JP2020094470A - ラッチ錠 - Google Patents

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Abstract

【課題】既存の小さい錠ケースに収容が可能であり、錠ケースが大型化することがなく、また、ラッチボルトが錠ケースから突出する際に生じる衝突音を良好に抑制することができ、さらに、ラッチボルトがラッチとして機能する程度まで速やかに突出することができるラッチ錠を提供することである。【解決手段】錠ケース2内から突出方向に移動するラッチボルト11が、錠ケース2から完全に突出する手前であって、少なくともラッチとして機能する位置まで突出したタイミングで、リンク部材21に対してリンク部材21の回動方向とは逆方向に負荷を付与し、リンク部材21の回動速度を低下させる直動式の負荷付与手段5を有する。【選択図】図9

Description

本発明は、蝶番を介して構造物の出入口に取り付けられ、回動して開閉される扉に設けられるラッチ錠に関するものである。
病院の病室や、図書館等の静粛性が保たれるべき環境下において、扉が閉まる際に生じる音は、非常に耳障りである。この耳障りな音は、ラッチ錠の構造に起因している。具体的には、以下のようである。
錠ケース内には、錠ケースから突出したり、錠ケース内に退入するラッチボルトが設けられている。また、錠ケースには、操作ハンドルの回転軸(ハンドル軸)が貫通している。この操作ハンドルのハンドル軸とラッチボルトの間には、操作ハンドルとラッチボルトの動作を連動させる連動部材(リンク部材)が設けられている。さらに、錠ケースには、ラッチボルトが錠ケースから突出するようにリンク部材を付勢する押圧バネが設けられている。そして、ハンドル軸が元の回転位置で停止するように、リンク部材に当接するストッパが設けられている。
操作ハンドルの操作者が操作ハンドルを操作すると、ラッチボルトが錠ケース内に退入し、扉が開閉動作可能になる。この状態で操作ハンドルから手を離すと、操作ハンドルは押圧バネの付勢力によって元の位置に復帰し、ラッチボルトは錠ケースから突出する。そして、錠ケースから突出したラッチボルトは、構造物側の凹部(ストライク)に係合し、扉は回動不能な閉鎖状態になる。
押圧バネによって押圧されたリンク部材は、勢いよく動作し、ストッパに当接して停止する。その際に、「カチッ」という衝突音が生じる。扉の操作ハンドル(ハンドル軸)が元に戻る際に生じる耳障りな音は、このようにして生じる。
そこで、この衝突音が生じないように、従来、様々な工夫が成されている。例えば、特許文献1に開示されたラッチ錠では、錠箱内に回転制御ダンパー部材(ロータリダンパ)を設け、ラッチボルトが錠箱から突出する際の移動速度を抑制し、衝突音を低減する構成が開示されている。
また、ラッチボルトが錠箱から突出する際に、弾性部材の弾性力によって部材同士の衝突の衝撃を緩和し、衝突音を低減する構成が特許文献2に開示されている。
特開2012−52385号公報 特許第5133825号公報
ところが、特許文献1に開示されたラッチ錠のようにロータリダンパを使用すると、ロータリダンパを収容する分だけ錠ケース(錠箱)が大型化してしまう。また、特許文献1に開示されたラッチ錠では、扉を閉める際に、ラッチボルトを錠ケースに対して進退させる部材(リンク部材に相当)が、周囲の部材(ストッパに相当)に衝突することで生じる衝突音を抑制する効果が得られるものの、ラッチボルトがラッチとして機能する程度まで突出するのに時間が掛かり、ラッチ本来の機能が発揮されにくい。具体的には、扉を閉じる方向に勢いよく回動させて扉から手を離した場合、扉は一旦閉鎖位置まで回動するが、ラッチの復帰(突出)が遅いために、閉鎖位置でラッチが十分に復帰せず、扉は跳ね返って再度開いてしまう。
さらに、特許文献2に開示されているように弾性部材を使用しても、本発明者の実験によると、衝突音を効果的に抑制することはできなかった。
そこで本発明は、既存の小さい錠ケースに収容が可能であり、錠ケースが大型化することがなく、ハンドル軸が元の回転位置に戻る際に生じる音を良好に抑制することができるラッチ錠を提供することを課題としている。さらに本発明は、ラッチボルトがラッチとして機能する程度まで速やかに突出することができるラッチ錠を提供することを課題としている。
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、錠ケースと、ラッチボルトを有し、ハンドル軸の回動と連動してラッチボルトが錠ケースに対して進退するラッチ錠であって、ハンドル軸と一体に回動する連動部材を有し、ラッチボルトが錠ケース内から突出する際に、前記連動部材に対して連動部材の回動方向とは逆方向に負荷を付与する直動式の負荷付与手段を有することを特徴とするラッチ錠である。
請求項1に記載の発明では、ラッチボルトが錠ケース内から突出する際に、ラッチボルトと連動した連動部材に対して連動部材の回動方向とは逆方向に負荷を付与する直動式の負荷付与手段を有するので、連動部材が周囲の部材と衝突する際の衝撃を緩和し、発生する音を良好に抑制することができる。また、負荷付与手段が直動式であるため、ロータリ式の負荷付与手段を使用する場合よりも錠ケースを小型化することができる。
請求項2に記載の発明は、錠ケースと、ラッチボルトを有し、ハンドル軸の回動と連動してラッチボルトが錠ケースに対して進退するラッチ錠であって、ハンドル軸と一体に回動する連動部材を有し、錠ケース内から突出方向に移動するラッチボルトが、錠ケースから完全に突出する手前であって、少なくともラッチとして機能する位置まで突出したタイミングで、前記連動部材に対して連動部材の回動方向とは逆方向に負荷を付与する直動式の負荷付与手段を有することを特徴とするラッチ錠である。
請求項2に記載の発明では、錠ケース内から突出方向に移動するラッチボルトが、錠ケースから完全に突出する手前であって、少なくともラッチとして機能する位置まで突出したタイミングで、連動部材に対して連動部材の回動方向とは逆方向に負荷を付与する直動式の負荷付与手段を有するので、ラッチボルトが完全に突出する際における突出速度が抑制される。そのため、ラッチボルトが速やかに突出してラッチとしての機能を発揮することができると共に、連動部材が周囲の部材と衝突することによって発生する音を良好に抑制することができる。
また、負荷付与手段が直動式であるため、ロータリ式の負荷付与手段を使用する場合よりも、錠ケースを小型化することができる。すなわち、ラッチ錠を小型化することができる。
請求項3に記載の発明は、ラッチボルトが錠ケース内に退入する際の連動部材の回転方向とは逆の方向の負荷を連動部材に付与する退入時負荷付与手段を有することを特徴とする請求項1に記載のラッチ錠である。
請求項3に記載の発明では、退入時負荷付与手段の負荷によって、ラッチボルトが錠ケース内に退入する際における、連動部材が周囲の部材と衝突する際の衝撃を緩和することができる。その結果、衝突時に発生する音を良好に抑制することができる。
負荷付与手段は、オイルダンパであるのが好ましい(請求項4)。すなわち、負荷付与手段は、直動式のオイルダンパであるのが好ましい。
本発明に係るラッチ錠は、ラッチボルトが錠ケースから突出する際に、ハンドル軸と一体に回動する連動部材から生じる音を抑制することができるラッチ錠を小型化することができる。また、本発明に係るラッチ錠は、錠ケース内に退入したラッチボルトが錠ケースから突出する際に、ラッチボルトが速やかにラッチとして機能する位置まで突出すると共に、生じる音を良好に抑制することができる。
本実施形態に係るラッチ錠の斜視図であり、錠ケースの蓋体を取り外した状態を示す。 図1のラッチ錠を各部材に分解した状態を示す分解斜視図である。 図2の各部材をさらに分解したラッチ錠の分解斜視図である。 ラッチボルトが錠ケースから突出している状態を示すラッチ錠の内部を示す正面図である。 図4のラッチ錠を部分的に断面視した正面図である。 ハンドル軸が回動し、ラッチボルトが錠ケース内に退入した状態を示すラッチ錠の正面図である。 図6のラッチ錠を部分的に断面視した正面図である。 ハンドル軸が図6に示す回転位置から図4に示す回転位置に至る途中の状態であって、ラッチボルトの一部が錠ケースから突出すると共に、ハンドル軸と係合するハブに、伸張したオイルダンパのロッドが当接した状態を示すラッチ錠の正面図である。 図8のラッチ錠を部分的に断面視した正面図である。 図1とは別の実施形態に係るラッチ錠の斜視図であり、錠ケースの蓋体を取り外した状態を示す。 図10のラッチ錠を各部材に分解した状態を示す分解斜視図である。 図10のラッチ錠において、ラッチボルトが錠ケースから突出している状態を示すラッチ錠の内部を示す正面図である。 図12のラッチ錠を部分的に断面視した正面図である。 図10のラッチ錠において、ハンドル軸が回動し、ラッチボルトが錠ケース内に退入した状態を示すラッチ錠の正面図である。 図14のラッチ錠を部分的に断面視した正面図である。 図13のラッチ錠の変形例のラッチ錠を部分的に示す断面視した正面図である。 図15のラッチ錠の変形例のラッチ錠を部分的に示す断面視した正面図である。
以下、図面を参照しながら説明する。
図1〜図3に示すように、ラッチ錠1は、錠ケース2、ラッチユニット3、動力伝達ユニット4(連動部材)、負荷付与ユニット5(負荷付与手段)を有する。また、ラッチ錠1は、施錠ユニット40(図1)を有する。
(錠ケース2)
錠ケース2は、ケース本体2aと蓋体2bとで構成されている。ケース本体2aは、六方(六面)のうちの五方(五面)を仕切る壁(裏板6、後方側壁7、底壁8、上壁9、下壁10)を有し、残りの一方(一面)が開放された構造を有する。この開放された一面に蓋体2bが装着されると、ラッチユニット3等の各ユニット又は各部材を収容する空間が形成される。
裏板6は、ケース本体2aの前方を仕切る壁面を構成している。また、裏板6は、ラッチ錠1を図示しない扉に固定する固定部材として機能する。裏板6の中央付近には、挿通孔6aが設けられている。挿通孔6aの開口には筒状の縁が形成されている。また、裏板6の上下の両端付近には、固定孔6b、6cが設けられている。さらに、裏板6の挿通孔6aと固定孔6cの間には、バネ固定部19が設けられている。バネ固定部19は、後述の戻しバネ33の一端を固定する突起状の部位である。
裏板6にはフロント板13(化粧板)が装着されている。フロント板13は、扉(図示せず)に装着されたラッチ錠1の露出部分(裏板6)に装着される。フロント板13における裏板6の挿通孔6a、固定孔6b、6cと一致する位置には、それぞれ挿通孔13aと固定孔13b、13cが設けられている。
上壁9及び下壁10は、それぞれケース本体2aの上方及び下方を仕切る壁面を構成している。後方側壁7は、後方を仕切る壁面を構成し、裏板6と対向している。底壁8は、四角形の形状を呈しており、底壁8の四辺は裏板6、後方側壁7、上壁9、下壁10と直交して連続している。すなわち、裏板6、後方側壁7、上壁9、下壁10は、底壁8の各辺から起立しており、裏板6、後方側壁7、上壁9、下壁10における底壁8とは反対側の各辺が開放されている。
底壁8には挿通孔8a(図2、図3)が設けられている。挿通孔8aは、底壁8を正面視して左右方向の右側(後方側壁7側)に偏った位置であって、上下方向の下方に偏った位置に設けられている。また、底壁8には、内方突出部8bが設けられている。内方突出部8bは、底壁8を正面視して左右方向の中央付近であって、上下方向の下側に偏った位置に設けられている。内方突出部8bは、ケース本体2aの内部側に突出しており、裏板6側から後方側壁7側へのびている。内方突出部8bは、下壁10と所定の間隔を置いて平行に設けられている。
さらに、底壁8には、受け部材支持部35が設けられている。受け部材支持部35は、底壁8の一部を切り起こした部位であり、底壁8の一部を折り曲げて起立させた部位である。すなわち、受け部材支持部35は、上下方向にのびる折り曲げ部35aを有し、折り曲げ部35aで折り曲げられて底壁8のその他の部位に対して起立している。
受け部材支持部35は、上下に配された突出部38a、38bと、突出部38a、38bの間に凹部35bが設けられた構造を有する。すなわち、受け部材支持部35はU字形状を呈しており、突出部38a、38bの先端(自由端)が蓋体2b側を向いている。突出部38bは、突出部38aよりも蓋体2b側に若干大きく突出している。凹部35bの高さ位置は、裏板6の挿通孔6aと一致しており、挿通孔6aの中心線(又は、中心線の延長線)は、凹部35bを通過する。
蓋体2bは、ケース本体2aの開口に取り付けられ、当該開口を閉じる部材である。蓋体2bと底壁8は、所定の距離(後方側壁7、上壁9、及び下壁10の底壁8からの起立高さ)を隔てて平行に配される。蓋体2bには、底壁8の内方突出部8bと対向するように突出する内方突出部39が設けられている。内方突出部39は、蓋体2bの一部を押圧変形させたものであり、図1〜図3では、内方突出部39の裏側の凹んだ部分が描写されている。また、蓋体2bには、底壁8の挿通孔8aと同様の挿通孔36や、受け部材支持部35の突出部38bを挿通して支持する孔37が設けられている。
(ラッチユニット3)
ラッチユニット3は、ラッチボルト11、圧縮バネ12、受け部材14等から成り、公知の構造を有するものである。
ラッチボルト11は、細長い棒状の部材であり、先端部17、バネ受け部15、当接部16、小径部18を有する。先端部17は、ラッチボルト11の先端を構成する部位であり、図示しない構造物の扉枠のストライク(凹部)に嵌まって係合する部位である。
先端部17の後端には円柱状の小径部18が接続されている。小径部18には、バネ受け部15が外嵌されている。バネ受け部15は、筒状を呈した部材で構成されていて先端部17に隣接する位置に設けられている。また、小径部18の後端部分には当接部16が取り付けられている。当接部16は、ラッチボルト11の後端に設けられており、バネ受け部15と同程度の径を有する部位である。
すなわちラッチボルト11は、先端側(前側)から順に、先端部17、小径部18、当接部16を有しており、小径部18における先端部17と隣接する部位にバネ受け部15が装着された構造を有する。
また、小径部18の途中の部位には、受け部材14が外嵌されている。受け部材14は、略コの字(又はU字)形状を呈する部材であり、凹部41を有している。すなわち、凹部41が小径部18を外嵌している。
受け部材14の内部には、受け部材支持部35を収容することができる略コの字(又はU字)形状の空間である収容部(図示せず)が形成されている。収容部(図示せず)には、基部側開口14a(開口自体は図示せず)と、先端側開口14b、14cが設けられている。換言すると、受け部材14の図示しない収容部(内部空間)は、基部側開口14aと先端側開口14b、14cを介して外部と連通している。
受け部材支持部35の突出部38a、38bは、受け部材14の先端側開口14b、14cに配置されている。突出部38aは、先端側開口14bと一致しているが、突出部38bは先端側開口14cから外部に突出している。先端側開口14cから突出した突出部38bは、蓋体2bの孔37に嵌まって係合している。
受け部材14は、底壁8の受け部材支持部35に装着されて、錠ケース2に固定されている。受け部材14は、受け部材支持部35に外嵌して対向する底壁8と蓋体2bの間に掛け渡される部材である。受け部材支持部35に装着された受け部材14の凹部41は、ラッチボルト11の軸線上に配置されており、凹部41には小径部18が挿通されている。
小径部18における受け部材14とバネ受け部15の間の部位には、圧縮バネ12が外嵌されている。すなわち、圧縮バネ12の両端は、受け部材14とバネ受け部15に当接している。
ラッチボルト11は、施錠ユニット40を操作することにより、デッドボルトとして機能する。すなわち、施錠ユニット40は介在部材42を有し、施錠ユニット40を操作すると、介在部材42がラッチボルト11の当接部16と錠ケース2の後方側壁7の間に入り込む。その結果、ラッチボルト11は後退することができなくなり、ラッチボルト11の先端部17がフロント板13から突出した状態が維持される。すなわち、図示しない操作ハンドル(例えば、レバーハンドルや握り玉)を操作しても、ハンドル軸23は回転せず、先端部17は錠ケース2内に退入しない。
(動力伝達ユニット4)
動力伝達ユニット4(連動部材)は、ハブ20、リンク部材21、押圧部材22を有する。
ハブ20は、挿通孔20aを有し、この挿通孔20aに操作ハンドルのハンドル軸23(図1、図4)が挿通され、ハンドル軸23と一体化する部材である。リンク部材21は、ハブ20に外嵌しており、ハンドル軸23を中心にハブ20と一体に回動する部材である。
リンク部材21は、離間した一対の薄板部24、25が接続部26で接続された構造を有する。すなわち、接続部26は、薄板部24、25の間に配置されている。薄板部24、25は同じ構造を有し、ハブ20を挿通させる孔24a、25aと、アーム部24b、25bを有する。アーム部24b、25bは、孔24a、25aの周囲から一方向に延びる部位である。本実施形態では、アーム部24b、25bと接続部26は、互いに回転中心(ハブ20)の略反対側に位置している。アーム部24b、25bの先端付近には、小径の孔24c、25cが設けられている。孔24c、25cは、互いに対向する位置にある。
押圧部材22は、略コの字形を呈する部材である。すなわち、押圧部材22は、基部22a、垂下部22b、22cを有し、基部22aの両側に垂下部22b、22cが直交して連続した構造を有する。垂下部22b、22cは、平行であって互いに対向しており、その間隔はラッチボルト11の小径部18の直径よりも大きい。また、垂下部22b、22cにおける基部22a付近の部位には、連結軸27が挿通される孔が設けられている。連結軸27が押圧部材22を挿通すると、連結軸27の両端が、垂下部22b、22cの外側に突出する。すなわち、連結軸27の長さは、錠ケース2内に収容可能な長さであって、垂下部22b、22cの間隔よりは大きい長さである。
さらに、押圧部材22の基部22aにおける垂下部22b、22cと直交する一辺には、垂下部22b、22cとは反対側(上側)に折れ曲がる折れ曲がり部29が設けられている。垂下部22b、22cの先端部分(下端部分)であって、折れ曲がり部29とは反対側の部位は、当接部30a、30bを構成している。
押圧部材22とリンク部材21は、押圧部材22に挿通された連結軸27が、さらにリンク部材21の薄板部24、25の孔24c、25cに挿通されることによって連結されている。すなわち、押圧部材22がリンク部材21の薄板部24、25の間に配置され、連結軸27によって押圧部材22とリンク部材21は相対回動可能に連結されている。押圧部材22は、リンク部材21と一体化したハブ20に当接及び接触することなく連結軸27を中心にリンク部材21に対して揺動することができる。
(負荷付与ユニット5)
負荷付与ユニット5は、図3に示すように、オイルダンパ31(直動式の負荷付与手段)と支持部材32とを有する。本実施形態では、負荷付与ユニット5にオイルダンパ31を使用しているが、代わりにエアダンパを使用することもできる。
オイルダンパ31は、市販品であり、本実施形態では不二ラテックス株式会社製のFPD0805シリーズを使用している。オイルダンパ31は、シリンダ部31aとロッド部31bを有する。ロッド部31bがシリンダ部31aから突出しており、ロッド部31bが押圧され、ロッド部31bがシリンダ部31a内に退入する際に、オイルダンパ31は、ロッド部31bを押圧するものに対して負荷を付与する。オイルダンパ31のロッド部31bは、後述の支持部材32によって位置が固定されたシリンダ部31aに対して進退する。
支持部材32は、オイルダンパ31を支持する部材であり、錠ケース2内にオイルダンパ31(シリンダ部31a)を固定する機能を有する。支持部材32は、オイルダンパ31のシリンダ部31aを収容する収容部32aを有する。収容部32aは、シリンダ部31aをちょうど収容できる大きさの内径の孔である。また、支持部材32には、底壁8(錠ケース2)と蓋体2bに設けられた係合孔と係合する係合突起32bが設けられている。錠ケース2内の支持部材32は、底壁8と蓋体2bに同時に当接し、挟持されている。すなわち、支持部材32は、錠ケース2内で固定されている。
また、支持部材32は、リンク部材21の回動を停止させるストッパとしても機能する。
すなわち、錠ケース2内に退入したラッチボルト11が錠ケース2から突出する際に、リンク部材21が反時計回りに回動し、リンク部材21の接続部26が支持部材32の前端に当接すると、リンク部材21は停止する。
また、錠ケース2内には、戻しバネ33が設けられている。戻しバネ33の一端は、裏板6の内面に設けられたバネ固定部19に取り付けられている。さらに戻しバネ33の周囲には、外嵌部材34が外嵌されている。外嵌部材34は、戻しバネ33の四方(底壁8側、蓋体2b側、上壁9側、後方側壁7側)を囲う部材である。
外嵌部材34における上壁9側の面と底壁8側の面の境界には、摺動部34aが設けられている。同様に、外嵌部材34における上壁9側の面と蓋体2b側の面の境界には、摺動部34bが設けられている。
外嵌部材34の後方側壁7側の内面は、図5に示すように、戻しバネ33の他端(後方側壁7側の端部)と当接している。また、外嵌部材34の長さは、戻しバネ33の長さよりも短い。すなわち、裏板6のバネ固定部19に戻しバネ33の一端を固定し、戻しバネ33に外嵌部材34を外嵌させると、外嵌部材34と裏板6の間には隙間が生じる。また、図6、図7に示すように、外嵌部材34を裏板6側へ押圧すると、外嵌部材34が裏板6に接近するが、その際、外嵌部材34と当接した戻しバネ33が圧縮される。
外嵌部材34の摺動部34aには、底壁8に設けられた内向きに突出した内方突出部8bが係合している。同様に、外嵌部材34の摺動部34bには、蓋体2bに設けられた内方突出部39が係合している。そのため外嵌部材34は、錠ケース2内で下壁10と内方突出部8b、39の間に配され、下壁10と内方突出部8b、39に沿う方向(前後方向)にのみ移動が可能である。すなわち、内方突出部8b、39は、外嵌部材34の直線往復移動のガイドとして機能する。
次に、ラッチ錠1の各部材同士の関係について説明する。
錠ケース2の裏板6の外面には、フロント板13が装着されている。すなわち、フロント板13の固定孔13b、13cと、裏板6の固定孔6b、6cが一致している。これらの各固定孔に、各々共通のネジ(図示せず)が挿通されて、錠ケース2が扉(図示せず)にネジ止めされる。裏板6とフロント板13は重なっており、フロント板13の挿通孔13aと、裏板6の挿通孔6aが一致している。
錠ケース2内にはラッチユニット3が配されている。ラッチユニット3の受け部材14は、底壁8と一体の受け部材支持部35に装着されており、受け部材支持部35の突出部38bが蓋体2bの孔37に挿通されている。すなわち受け部材14は、錠ケース2の底壁8と蓋体2bの間に掛け渡されるように設けられている。ラッチボルト11の先端部17は、裏板6の挿通孔6aと、フロント板13の挿通孔13aを挿通して錠ケース2の外部に突出している。ラッチボルト11の先端側は、裏板6の挿通孔6aで支持されている。ラッチボルト11の後端側は、受け部材14によって支持されている。
ラッチボルト11の小径部18は、錠ケース2(底壁8と蓋体2b)に固定された受け部材14を挿通している。すなわち、受け部材14は小径部18に外嵌している。小径部18は、受け部材14を貫通して後方へのびており、ラッチボルト11の後端の当接部16は、受け部材14よりも後方に配されている。受け部材14とラッチボルト11のバネ受け部15の間には、圧縮バネ12が縮設されている。すなわち、圧縮バネ12によってラッチボルト11は前方へ付勢されており、これによってラッチボルト11の先端部17が、フロント板13の外側に突出している。
錠ケース2内には、負荷付与ユニット5(負荷付与手段)が配されている。負荷付与ユニット5の支持部材32は、錠ケース2の下壁10、底壁8、蓋体2b、及び後方側壁7と接している。支持部材32は、錠ケース2に対して固定されており、移動不能である。負荷付与ユニット5のオイルダンパ31のロッド部31bは、先端に頭部を備え、裏板6側に向かって突出しており、裏板6に取り付けられた戻しバネ33に外嵌された外嵌部材34と対向している。
錠ケース2内には、動力伝達ユニット4が配されている。
図1に示すように、動力伝達ユニット4の略コの字形の押圧部材22の内部には、ラッチボルト11の小径部18が配されている。ラッチボルト11の当接部16は、押圧部材22の後方側に配されている。また、ラッチボルト11の当接部16は、押圧部材22の当接部30a、30bと当接している。すなわち、ラッチボルト11における受け部材14と当接部16の間の小径部18には、動力伝達ユニット4が係合している。
また、押圧部材22の折れ曲がり部29が、錠ケース2(底壁8、蓋体2b)に固定された干渉部材28に当接している。
動力伝達ユニット4のリンク部材21の接続部26(被押圧部)は、戻しバネ33に外嵌した外嵌部材34と負荷付与ユニット5のオイルダンパ31のロッド部31bの間に配されている。図5に示すように、接続部26には外嵌部材34が常時当接している。
動力伝達ユニット4のハブ20は、ハンドル軸23を挿通させる挿通孔20aを有し、図4に示すように、挿通孔20aにはハンドル軸23が挿通されている。ハンドル軸23は、錠ケース2の底壁8の挿通孔8a(図2)と、蓋体2bの挿通孔36(図2)を挿通しており、図示しない操作ハンドルと一体化されている。
次に、ラッチ錠1の動作について説明する。
図4、図5に示すように、ハンドル軸23が通常時の回転角度が角度ゼロのとき、すなわち、操作ハンドルが操作されていないときには、ラッチユニット3の圧縮バネ12及び戻しバネ33の付勢力によって、ラッチボルト11がフロント板13から突出した状態が維持されている。また、動力伝達ユニット4のリンク部材21の接続部26の両側には、戻しバネ33で付勢された外嵌部材34とオイルダンパ31のロッド部31bが当接している。
この状態で操作ハンドル(図示せず)を操作すると、ラッチ錠1は図6、図7に示す状態になる。すなわち、ラッチ錠1を操作する(本実施形態では、図5、図7で見て時計回りに操作ハンドルを15度回動させる)と、ハンドル軸23と一体にリンク部材21が回動し、リンク部材21によって連結軸27と共に押圧部材22が後方(後方側壁7側)へ移動する。
押圧部材22が後方へ移動する際、押圧部材22の折れ曲がり部29が、錠ケース2に固定されて停止した干渉部材28に当接し、押圧部材22は連結軸27を中心に回動する。すなわち、押圧部材22は、後方へ移動しながら連結軸27を中心にリンク部材21に対して回動する。
その結果、押圧部材22の下端側(当接部30a、30b)が後方に突出し、当接部30a、30bがラッチボルト11の当接部16に当接すると共に、当接部16(ラッチボルト11)を後方へ押圧する。そのため、ラッチボルト11は後方へ移動する。すなわち、リンク部材21は、操作ハンドル(ハンドル軸23)とラッチボルト11の動作を連動させる連動部材として機能する。
本実施形態では、ハブ20とリンク部材21を別部材としているが、ハブ20とリンク部材21は一体化されていても差し支えはない。
図6、図7に示すように、ラッチボルト11が後方へ移動する際、圧縮バネ12が圧縮される。すなわち、ラッチボルト11のバネ受け部15が後方へ移動するため、バネ受け部15と停止した受け部材14の間の距離が短くなり、両者の間に配された圧縮バネ12は圧縮され、圧縮バネ12の付勢力が増大する。
リンク部材21が回動すると、接続部26が外嵌部材34を押圧し、戻しバネ33が圧縮される。また、リンク部材21が回動すると、負荷付与ユニット5のオイルダンパ31のロッド部31bは若干伸張するが、ロッド部31bは接続部26には追従せず、ロッド部31bは接続部26から離れる(図7)。
図6、図7に示す状態では、ラッチボルト11が錠ケース2内に退入しており、図示しない扉は、開動作が可能である。
次に、ラッチ錠1を操作する操作者が図示しない操作ハンドルから手を離すと、ハンドル軸23と一体のリンク部材21は支持を失う。そのため、圧縮バネ12の付勢力によってラッチボルト11が前方へ移動して錠ケース2から突出する(突出方向に移動する)と共に、リンク部材21を含む動力伝達ユニット4(ハンドル軸23より上方の部分)を前方へ牽引する。すなわち、圧縮バネ12は、ハンドル軸23が角度15度の位置からゼロ度の位置に戻るようにリンク部材21を回動させる。
また、図6、図7に示す状態では、リンク部材21の接続部26は、戻しバネ33で付勢された外嵌部材34に押圧されており、戻しバネ33がさらに圧縮されて付勢力が増大している。この状態で操作ハンドルの操作者が操作ハンドルから手を離すと、ハンドル軸23と一体のリンク部材21は、戻しバネ33の付勢力に抗する力を失う。そのため、戻しバネ33の付勢力によって接続部26が後方へ移動し、リンク部材21(ハンドル軸23)の回転角が15度の状態からゼロ度の状態に近づく。
そして、図8、図9に示すように、ラッチボルト11が錠ケース2から完全に突出する手前(少なくともラッチとして機能する位置)まで突出したタイミングで、オイルダンパ31(直動式の負荷付与手段)が、リンク部材21(ハンドル軸23)に対して、リンク部材21の回動方向とは逆方向に負荷を付与し、リンク部材21の回動速度を低下させる。
具体的には、リンク部材21の回転角が自然状態のゼロ度になる手前で、接続部26がオイルダンパ31のロッド部31bに当接する(図8、図9)。ロッド部31bは、若干伸張しており、接続部26が衝突して押圧されることによって伸張した分だけシリンダ部31a内に退入し、オイルダンパ31は収縮する。すなわち、オイルダンパ31(ロッド部31b)は、リンク部材21(ハンドル軸23)の回動方向とは逆方向にリンク部材21(接続部26)に対して負荷を付与する。
換言すると、接続部26は、後方へ移動する途中でオイルダンパ31から負荷が付与され、後方への移動速度が急激に減速される。また、ラッチボルト11は、フロント板13の外側に、途中までは速やかに突出するが、その後は比較的ゆっくりと突出する。そして、リンク部材21の接続部26が、支持部材32の前端部分に当接すると、リンク部材21(ラッチボルト11)は停止する。よって、接続部26と支持部材32の衝突は、オイルダンパ31によって緩和されており、発生する音が良好に低減されている。
すなわち、ラッチユニット3では、ラッチボルト11が、ラッチとして機能する位置まで速やかに突出すると共に、オイルダンパ31によってその後は比較的ゆっくりと突出し、突出する際に生じる音は良好に低減される。また、動力伝達ユニット4では、リンク部材21(接続部26)が、音を生じ易い角度位置(角度ゼロ度)になる直前で回転速度が減速(抑制)されるため、音の発生が良好に低減される。
換言すると、ラッチボルト11が錠ケース2(フロント板13)から突出する突出量が、ラッチとして機能することができる突出量P(図8、図9)となったタイミングで、接続部26がオイルダンパ31のロッド部31bに衝突する。そして、衝突後、直ちにロッド部31bはシリンダ部31a内への退入を開始し、オイルダンパ31は衝突の衝撃を吸収する。その結果、ラッチボルト11の突出速度及びリンク部材21の回動速度が抑制され、ラッチ錠1の操作時の音の発生が抑制される。
本実施形態に係るラッチ錠1では、ラッチ錠1を操作する操作者が、開いた扉を強く叩き付けるように閉じたとしても、扉は閉扉位置で停止し、構造物の出入口を確実に閉じることができる。
この動作について説明する。
開いた扉のラッチ錠1が、図4、図5に示すようなラッチボルト11が突出した状態(操作ハンドルが操作されていない自然状態)となっており、この状態で扉が勢いよく閉じられると、突出したラッチボルト11は、構造物の戸当り部材(ストライクの縁)に当接し、圧縮バネ12及び戻しバネ33の付勢力に抗して錠ケース2内に退入する(図6、図7)。
ラッチボルト11が図示しないストライクの縁を通過すると、ラッチボルト11を押圧する力がなくなり、ラッチボルト11は速やかに錠ケース2から突出する(図8、図9)。この時の突出速度は極めて速いため、ラッチボルト11(先端部17)は、図示しないストライク(凹部)に係合し、速やかにラッチとして機能する。そのため、勢いよく閉じられた扉が、構造物の出入口に衝突して跳ね返り、再度開くことが阻止される。
すなわち、ラッチ錠1は、ラッチボルト11がラッチとして機能する突出位置まで速やかに突出し、扉が跳ね返って再度開くことを阻止することができる。さらに、ラッチとして機能する突出位置まで突出したラッチボルト11のその後の突出は比較的緩やかであるので、ラッチ錠1自体が発する音は良好に低減される。
すなわち、本実施形態に係るラッチ錠1では、ラッチボルト11がラッチとしての基本性能を維持した上で、ラッチ錠1が発する音を良好に低減することができる。
本実施形態においては、操作ハンドルを15度回動させると、ラッチボルト11が完全に錠ケース2内に退入するように設定されている。すなわち、操作ハンドルの回動角が0度(ゼロ度)のときに、ラッチボルト11の先端部17が錠ケース2から完全に突出し、操作ハンドルの回動角(回動操作角度)が15度に達したときに、ラッチボルト11は完全に錠ケース2内に退入する。
操作ハンドルの操作角(回動角)が0度(ゼロ度)から15度の間では、回動角の大きさに応じてラッチボルト11の先端部17が錠ケース2(フロント板13)内に退入する。すなわち、操作角が0度(ゼロ度)のときには、先端部17が錠ケース2から完全に突出しており、操作角が15度のときには、先端部17が錠ケース2内に完全に退入している。換言すると、操作角が0度(ゼロ度)から15度の間では、ラッチボルト11の先端部17の突出量は、操作ハンドルの回動角の大きさに反比例する。
一方、錠ケース2から突出したラッチボルト11が、ラッチとして機能する突出量P(図8,図9)が、例えば、操作ハンドルの回動角(操作角)の7度(突出量50%)からゼロ度(突出量100%)の範囲のときの突出量であるとすると、操作ハンドルの回動角が7度以下まで戻ったときの突出量でラッチボルト11はラッチとして機能する。
そこで、本実施形態においては、操作ハンドルの回動角が5度(<7度)のときに、リンク部材21の接続部26にオイルダンパ31のロッド部31bが当接するように調整されている。すなわち、操作ハンドル(ハンドル軸23)は、回動角が速やかに15度の位置から5度の位置まで戻ると共に、ラッチボルト11が速やかにラッチとして機能する位置まで錠ケース2から突出する。さらに、操作ハンドル(ハンドル軸23)の回動角が5度まで戻ったときに、リンク部材21の回動に制動が掛かり、回動角が5度から0度(ゼロ度)に至るまでは、リンク部材21はゆっくり回動すると共に、ラッチボルト11はゆっくり突出する。
従来のラッチ錠では、錠ケースからラッチボルトが突出する際の突出速度を低減させるために回転体を有する円形のロータリダンパが使用されていたため、ロータリダンパを収容する分だけ錠ケースが大型化していた。
一方、本実施形態に係るラッチ錠1では、ラッチボルト11の突出速度を低減させるために直動式(シリンダに対してピストンが直線的に移動する構造)のオイルダンパ31(負荷付与手段)を使用するため、錠ケース2を小型化することができる。
本実施形態に係るラッチ錠1では、錠ケース2内に退入したラッチボルト11は、操作者が操作ハンドルから手を離すと、ラッチボルト11が速やかにラッチとして機能する突出位置まで突出するので、扉が跳ね返って再度開いてしまう前にラッチ機能が発揮され、扉を閉鎖状態にすることができる。
さらに、本実施形態に係るラッチ錠1では、ラッチボルト11がラッチとして機能する位置まで突出した後は、突出速度が減速されるので、ラッチ錠1は良好な静音性を有している。
次に、図10〜図17を参照しながら、別の実施形態に係るラッチ錠について説明する。
図10、図11に示すように、ラッチ錠51は、錠ケース52、ラッチユニット53、動力伝達ユニット54(連動部材)、負荷付与ユニット55(負荷付与手段)を有する。ラッチ錠51には、図1に示すラッチ錠1のような施錠ユニット40は設けられていない。ラッチ錠51の前後の向きは、図10〜図17に示されている通りである。すなわち、裏板56側が前側であり、後方側壁57側が後ろ側である。
(錠ケース52)
錠ケース52は、ケース本体52aと蓋体52bとで構成されている。ケース本体52aは、裏板56、後方側壁57、底壁58を有する。また、底壁58の上端部と下端部が、それぞれ同方向に湾曲して上壁部と下壁部を構成している。すなわち、ケース本体52aは、六方(六面)のうちの五方(五面)を仕切る壁を有し、残りの一方(一面)が開放された構造を有する。この開放された一面に蓋体52bが装着されると、ラッチユニット53等の各ユニット又は各部材を収容する空間が形成される。
裏板56は、ケース本体52aの前方を仕切る壁面を構成している。また、裏板56は、ラッチ錠51を図示しない扉に固定する固定部材として機能する。裏板56の中央付近には、挿通孔56aが設けられている。また、裏板56の上下の両端付近には、固定孔56b、56cが設けられている。さらに、裏板56の挿通孔56aと固定孔56cの間には、バネ当接部69が設けられている。バネ当接部69は、ケース本体52a内における戻しバネ83の一端を当接させて配置する部位である。
裏板56にはフロント板63(化粧板)が装着されている。フロント板63は、扉(図示せず)に装着されたラッチ錠51の露出部分(裏板56)に装着される。フロント板63における裏板56の挿通孔56a、固定孔56b、56cと一致する位置には、それぞれ挿通孔63aと固定孔63b、63cが設けられている。
後方側壁57は、ケース本体52aの後方を仕切る壁面を構成し、裏板56と対向している。底壁58は、四角形の形状を呈しており、底壁58の前後の二辺は、それぞれ裏板56、後方側壁57と直交して連続している。すなわち、裏板56、後方側壁57は、底壁58の前後両辺から起立している。
また、底壁58の上部及び下部は、裏板56及び後方側壁57が起立する方向に湾曲しており、それぞれ上壁部59と下壁部60を構成している。そして、裏板56、後方側壁57、上壁部59、下壁部60によって開口が形成されており、この開口は蓋体52bによって閉鎖される。
底壁58には挿通孔58a(図11)が設けられている。挿通孔58aは、底壁58を正面視して左右方向の右側(後方側壁57側)に偏った位置であって、上下方向の中央付近に設けられている。また、底壁58には、戻しバネ配置部84が設けられている。戻しバネ配置部84は、上下に離間して配された一対の起立壁部58b、58cと、バネ当接部69で構成されている。起立壁部58cは、上面が平坦面であって、下壁部60の一部を構成している。また、起立壁部58bは、ケース本体52aの左右方向の左側に偏った位置に設けられていて、ケース本体52aの内部側に起立しており、裏板56側から後方側壁57側へのびている。起立壁部58b、58cは、前後方向にのびており、両者は間隔を置いて平行に配されている。
戻しバネ配置部84における裏板56側の端部は、バネ当接部69及び底壁58と連続する水平壁部92bが設けられている。水平壁部92bは、底壁58から起立した板状の部位である。水平壁部92bの前端は裏板56と接続されており、後端は自由端である。水平壁部92bの後端と起立壁部58bの間には空間95が形成されている。水平壁部92bの前後方向の長さは、後述の干渉部材90の前後方向の長さよりも若干短い。
水平壁部92bの上方には水平壁部92bと平行な水平壁部92aが配されている。水平壁部92aは、水平壁部92bと所定の間隔を置いて底壁58から起立した板状の部位である。水平壁部92a、92b、底壁58、裏板56で後述の干渉部材90を配置する干渉部材配置部91が構成されている。すなわち、干渉部材配置部91は、バネ当接部69の上方に設けられている。
干渉部材90は、ゴム等の弾性を有す素材で構成された部材である。干渉部材90は、干渉部材配置部91内に収容されている。干渉部材90の前端部分は裏板56に当接しており、干渉部材90の後端側は自由端である当接部90aを構成する。図12に示すように、当接部90aは、水平壁部92bから露出し、空間95内に配されている。
底壁58には、受け部材64が設けられている。受け部材64は、底壁58から起立した部位である。受け部材64は、上下に配された突出部64a、64bと、突出部64a、64bの間に凹部64cが設けられた構造を有する。すなわち、受け部材64はU字形状を呈しており、突出部64a、64bの先端(自由端)が蓋体52b側を向いている。凹部64cの高さ位置は、裏板56の挿通孔56aと一致しており、挿通孔56aの中心線(又は、中心線の延長線)は、凹部64cを通過する。
また、底壁58には、前方から後方へいくにつれて高さが低くなるように傾斜したガイド長孔78aが設けられている。ガイド長孔78aは、前述の凹部64cよりも高い位置に設けられている。すなわち、ガイド長孔78aの下端(後端)は、凹部64cよりも高い。
ケース本体52aには、複数の係合突起98a、98bが設けられている。係合突起98aは上壁部59に設けられており、係合突起98bは後方側壁57に設けられている。また、図示していないが、下壁部60にも同様の係合突起が設けられている。
ケース本体52aには、後述のオイルダンパ81(負荷付与手段)を収容する収容部82が設けられている。収容部82は、後方側壁57、底壁58、下壁部60、及び蓋体52bで仕切られた空間であり、シリンダ部81aをちょうど収容できる容積を有する。収容部82の前端側には、底壁58から突出する突出壁部50が設けられている。突出壁部50は、後述のオイルダンパ81のロッド部81bの外径に沿う円弧状の縁を有している。
蓋体52bは、ケース本体52aの開口に取り付けられ、当該開口を閉じる部材である。蓋体52bには、底壁58の挿通孔58aと同様の挿通孔86が設けられている。また、蓋体52bには、底壁58と同様に傾斜したガイド長孔78bが設けられている。さらに蓋体52bの周囲には、複数の係合部99a、99bが設けられている。各図では、蓋体52bの下部に設けられた係合部は描写されていない。係合部99a、99bは、突出した板片の中央部分に貫通孔が設けられた構造を呈している。
各係合部99a、99bは、ケース本体52a側の係合突起98a、98bと係合し、ケース本体52aと蓋体52bが一体化される。蓋体52bがケース本体52aと一体化されると、蓋体52b(中央部分)と底壁58は、所定の距離を隔てて平行に配される。蓋体52bがケース本体52aに固定されると、ガイド長孔78a、78bは対向する。
(ラッチユニット53)
ラッチユニット53は、ラッチボルト61、圧縮バネ62等から成り、公知の構造を有するものである。
ラッチボルト61は、細長い棒状の部材であり、先端部67、バネ受け部65、当接部66、小径部68を有する。先端部67は、ラッチボルト61の先端を構成する部位であり、図示しない構造物の扉枠のストライク(凹部)に嵌まって係合する部位である。先端部67の後端には円柱状の小径部68が接続されている。小径部68には、バネ受け部65が外嵌されている。バネ受け部65は、筒状を呈した部材で構成されていて先端部67に隣接する位置に設けられている。また、小径部68の後端部分には当接部66が取り付けられている。当接部66は、ラッチボルト61の後端に設けられており、バネ受け部65と同程度の径を有する部位である。
すなわちラッチボルト61は、先端側(前側)から順に、先端部67、小径部68、当接部66を有しており、小径部68における先端部67と隣接する部位にバネ受け部65が装着された構造を有する。
小径部68には、圧縮バネ62が外嵌されている。圧縮バネ62の一端は、バネ受け部65に取り付けられている。圧縮バネ62の他端は、図10に示すように、ケース本体52a側の受け部材64(突出部64a、64b)に当接している。すなわち、圧縮バネ62の両端は、受け部材64とバネ受け部65に当接している。
(動力伝達ユニット54)
動力伝達ユニット54(連動部材)は、ハブ70、リンク部材71、押圧部材72を有する。
ハブ70は、挿通孔70aを有し、この挿通孔70aに操作ハンドルのハンドル軸73(図10、図12)が挿通され、ハンドル軸73と一体化する部材である。リンク部材71は、ハブ70に外嵌しており、ハンドル軸73を中心にハブ70と一体に回動する部材である。
リンク部材71は、離間した一対の薄板部74、75が接続部76で接続された構造を有する。すなわち、接続部76は、薄板部74、75の間に配置されている。薄板部74、75は同じ構造を有し、ハブ70を挿通させる孔74a、75aと、アーム部74b、75bを有する。アーム部74b、75bは、孔74a、75aの周囲から接続部76とは相違する方向に延びる部位である。本実施形態では、アーム部74b、75bと接続部76は、互いに回転中心(ハブ70)の略反対側に位置している。アーム部74b、75bの先端付近には、小径の孔74c、75cが設けられている。孔74c、75cは、互いに対向する位置にある。
また、アーム部74b、75bの後端部分には、当接部74d、75dが設けられている。当接部74d、75dは、後述の押圧部材72の突出片87a、87bを当接させる部位である。
押圧部材72は、基部80a、側壁部80b、80cを有し、基部80aの両側に側壁部80b、80cが同方向に直角に屈曲して連続した構造を有する。側壁部80b、80cは、中心角が90度程度の扇状を呈しており、扇の一方の半径部分が基部80aと連続している。側壁部80b、80cは、平行であって互いに対向しており、その間隔はラッチボルト61の小径部68の直径よりも大きい。
側壁部80b、80cの扇の中心付近の部位には、連結軸77が挿通される孔が設けられている。連結軸77が押圧部材72を挿通すると、連結軸77の両端が、側壁部80b、80cの外側に突出する。すなわち、連結軸77の長さは、錠ケース52内に収容可能な長さであって、側壁部80b、80cの間隔よりは大きい長さである。
また、側壁部80b、80cの下端付近の後端部分は、当接部85a、85bを構成している。
さらに、側壁部80b、80cにおける基部80aとの接続部付近であって、連結軸77を通す孔とは反対側の部位(扇の外周側の部位)には、外側に突出する係合突起79a、79bが設けられている。係合突起79a、79bは、連結軸77よりも突出しており、それぞれケース本体52aのガイド長孔78a、蓋体52bのガイド長孔78bに係合している。すなわち、押圧部材72は、係合突起79a、79bがガイド長孔78a、78bに沿う範囲で、錠ケース52に対して移動(揺動)することができる。
また、押圧部材72の側壁部80b、80cの後端側には突出片87a、87bが設けられている。突出片87a、87bは、リンク部材71のアーム部74b、75bの当接部74d、75dに当接する部位である。
押圧部材72とリンク部材71は、押圧部材72に挿通された連結軸77が、さらにリンク部材71の薄板部74、75の孔74c、75cに挿通されることによって連結されている。すなわち、押圧部材72がリンク部材71の薄板部74、75の間に配置され、連結軸77によって押圧部材72とリンク部材71は相対回動可能に連結されている。押圧部材72は、リンク部材71と一体化したハブ70に当接及び接触することなく連結軸77を中心にリンク部材71に対して揺動することができる。突出片87a、87bと当接部74d、75dは、押圧部材72とリンク部材71の揺動(回動)のストッパとして機能する。
(負荷付与ユニット55)
負荷付与ユニット55は、図11に示すように、オイルダンパ81(直動式の負荷付与手段)で構成されている。本実施形態では、負荷付与ユニット55にオイルダンパ81を使用しているが、代わりにエアダンパを使用することもできる。
オイルダンパ81(負荷付与手段)は、シリンダ部81a(本体)、ロッド部81b、頭部81cを有する。ロッド部81bの基部側がシリンダ部81a内に収容されており、ロッド部81bの先端に頭部81cが取り付けられている。頭部81cは、ロッド部81bよりも大径である。すなわちオイルダンパ81を外観すると、シリンダ部81aと頭部81cが大径であってロッド部81bが小径であり、ロッド部81b部分が括れたような構造を呈している。シリンダ部81aに対してロッド部81bが伸長することにより、頭部81cとシリンダ部81aの距離を変更することができる。
オイルダンパ81は、市販品である。オイルダンパ81は、オイルダンパ31(図5、図7)よりも押圧力が小さい。
(その他の構成)
錠ケース52内には、戻しバネ83が設けられている。戻しバネ83の一端は、裏板56の内面に設けられたバネ当接部69に当接している。戻しバネ83の周囲には、外嵌部材94が外嵌されている。外嵌部材94は、戻しバネ83の四方(底壁58側、蓋体52b側、上壁部59側、後方側壁57側)を囲う部材である。
外嵌部材94の後端部分は閉塞されている。外嵌部材94の後端部分の内面には、図13に示すように、戻しバネ83の他端(後方側壁57側の端部)が当接している。また、外嵌部材94の長さは、戻しバネ83の長さよりも短い。すなわち、裏板56のバネ当接部69に戻しバネ83の一端を固定し、戻しバネ83に外嵌部材94を外嵌させると、外嵌部材94と裏板56の間には隙間が生じる。
また、図14、図15に示すように、外嵌部材94を裏板56側へ押圧すると、外嵌部材94が裏板56に接近するが、その際、外嵌部材94と当接した戻しバネ83が圧縮される。すなわち、戻しバネ83は、ラッチボルト61が錠ケース52内に退入する際に、リンク部材71の回動を阻止する方向に負荷を付与する退入時負荷付与手段として機能する。また、外嵌部材94の後端部分の外面は、リンク部材71の接続部76を押圧する押圧部として機能する。
外嵌部材94における底壁58側の側面と蓋体52b側の側面には、それぞれ突出係合部94a、94b(ただし、突出係合部94aは図示せず。)が設けられている。突出係合部94a、94bの上下幅は、それぞれ底壁58の係合孔88a、蓋体52bの係合孔88bの上下幅と略一致している。
外嵌部材94の突出係合部94a(図示せず)は、底壁58に設けられた係合孔88aにちょうど嵌まっている。また、突出係合部94bは、蓋体52bに設けられた係合孔88bにちょうど嵌まっている。さらに、突出係合部94a、94bの前後方向の長さは、係合孔88a、88bの前後方向の長さよりも短い。
また、外嵌部材94の前端部分の上面には、張出部89が設けられている。張出部89は、錠ケース52内の空間95に配置されている。張出部89の前後方向の大きさは、空間95の前後方向の長さよりも短い。外嵌部材94が前方に移動すると、張出部89が干渉部材90に衝突する。
次に、ラッチ錠51の各部材同士の関係について説明する。
図10に示すように、錠ケース52の裏板56の外面には、フロント板63が装着されている。すなわち、フロント板63の固定孔63b、63c(図11)と、裏板56の固定孔56b、56c(図11)が一致している。これらの各固定孔に、各々共通のネジ(図示せず)が挿通されて、錠ケース52が扉(図示せず)にネジ止めされる。裏板56とフロント板63は重なっており、フロント板63の挿通孔63aと、裏板56の挿通孔56aが一致している。
錠ケース52内にはラッチユニット53が配されている。ラッチボルト61の先端部67は、裏板56の挿通孔56aと、フロント板63の挿通孔63aを挿通して錠ケース52の外部に突出している。ラッチボルト61の先端側は、裏板56の挿通孔56aで支持されている。ラッチボルト61の後端側は、受け部材64によって支持されている。すなわち、ラッチボルト61の小径部68が、錠ケース52内の受け部材64の凹部64cと、リンク部材71の両アーム部74b、75bの間と、押圧部材72の両側壁部80b、80cの間を前後に貫通している。そして、ラッチボルト61の当接部66が、押圧部材72の当接部85a、85bと当接している(図10、図12)。
ラッチボルト61の小径部68は、受け部材64(凹部64c)を挿通している。すなわち、受け部材64は小径部68に外嵌している。小径部68は、受け部材64を貫通して後方へのびており、ラッチボルト61の後端の当接部66は、受け部材64よりも後方に配されている。受け部材64とラッチボルト61のバネ受け部65の間には、圧縮バネ62が縮設されている。すなわち、圧縮バネ62によってラッチボルト61は前方へ付勢されており、これによってラッチボルト61の先端部67が、フロント板63の外側に突出している。
錠ケース52内には、負荷付与ユニット55(負荷付与手段)が設けられている。負荷付与ユニット55のオイルダンパ81のロッド部81bは、裏板56側に向かって突出しており、裏板56に取り付けられた戻しバネ83に外嵌された外嵌部材94と対向している。
錠ケース52内には、動力伝達ユニット54が配されている。
図10に示すように、動力伝達ユニット54の押圧部材72の内部には、ラッチボルト61の小径部68が配されている。ラッチボルト61の当接部66は、押圧部材72の後方側に配されている。また、ラッチボルト61の当接部66は、押圧部材72の当接部85a、85bと当接している。すなわち、ラッチボルト61における受け部材64と当接部66の間の小径部68には、動力伝達ユニット54が係合している。また、押圧部材72の係合突起79a、79bが、錠ケース52(底壁58、蓋体52b)に設けられたガイド長孔78a、78b(傾斜した長孔)に嵌まっている。
動力伝達ユニット54のリンク部材71の接続部76(被押圧部)は、戻しバネ83に外嵌した外嵌部材94と負荷付与ユニット55のオイルダンパ81のロッド部81bの間に配されている。図13に示すように、接続部76の前方側の部位には外嵌部材94が常時当接している。また、接続部76の後方側の部位には、オイルダンパ81のロッド部81bが常時当接している。すなわち、接続部76は、前後から外嵌部材94とオイルダンパ81(ロッド部81b)に押圧されている。
動力伝達ユニット54のハブ70は、ハンドル軸73を挿通させる挿通孔70aを有し、図12に示すように、挿通孔70aにはハンドル軸73が挿通されている。ハンドル軸73は、錠ケース52の底壁58の挿通孔58a(図11)と、蓋体52bの挿通孔86(図11)を挿通しており、図示しない操作ハンドルと一体化されている。
錠ケース52内には、負荷付与ユニット55(オイルダンパ81)が配されている。
オイルダンパ81は、頭部81cが前側となり、シリンダ部81aが後ろ側となり、シリンダ部81aが収容部82内に配置され、ロッド部81bが突出壁部50の前後に渡って配置され、頭部81cが突出壁部50よりも前側に配置されている。よって、頭部81cは、突出壁部50を超えて後方へ移動することはできない。後述するように、突出壁部50は、リンク部材71が反時計回りに回動して元の回転位置(ラッチボルト61が錠ケース52から突出したときの回転位置)に戻す際におけるストッパとして機能する。
次に、ラッチ錠51の動作について説明する。
図12、図13に示すように、ハンドル軸73が通常時の角度ゼロの操作角のとき、すなわち、図示しない操作ハンドルが操作されていないときには、ラッチユニット53の圧縮バネ62及び戻しバネ83の付勢力によって、ラッチボルト61がフロント板63から突出した状態が維持されている。また、動力伝達ユニット54のリンク部材71の接続部76の両側には、戻しバネ83で付勢された外嵌部材94とオイルダンパ81の頭部81cが当接している。
この状態で操作ハンドル(図示せず)を操作すると、ラッチ錠51は図14、図15に示す状態になる。すなわち、ラッチ錠51を操作する(本実施形態では、操作ハンドルを時計回りに15度回動させる)と、ハンドル軸73と一体にリンク部材71が時計回りに回動し、リンク部材71によって連結軸77と共に押圧部材72が後方(後方側壁57側)へ移動する。
押圧部材72が後方へ移動する際、押圧部材72の係合突起79a、79bが、錠ケース52側のガイド長孔78a、78bに沿って移動し、押圧部材72は連結軸77を中心に回動する。すなわち、押圧部材72は、後方へ移動しながら連結軸77を中心にリンク部材71に対して回動する。
その結果、押圧部材72の当接部85a、85bの下端側が後方に突出し、当接部85a、85bが当接部66(ラッチボルト61)を後方へ押圧する。そのため、ラッチボルト61は後方へ移動する。すなわち、リンク部材71は、操作ハンドル(ハンドル軸73)とラッチボルト61の動作を連動させる連動部材として機能する。当接部66は、後方側壁57の手前で停止し、後方側壁57には当接又は接触しない。
また、リンク部材71が時計回りに回動すると、リンク部材71の下部に設けた接続部76は前方へ移動する。リンク部材71の接続部76は、戻しバネ83の押圧力に抗して外嵌部材94を前方に押圧して移動させ、戻しバネ83が圧縮される。そして、外嵌部材94の張出部89が空間95内を前方へ移動し、空間95内に配置された干渉部材90の当接部90aに衝突し、外嵌部材94の前方移動が停止する。すなわち、図示しないハンドルが素早く操作されても、外嵌部材94の張出部89が干渉部材90に衝突して衝撃が緩和され、衝突音も生じにくい。
本実施形態では、ハブ70とリンク部材71を別部材としているが、ハブ70とリンク部材71は一体化されていても差し支えはない。
図14、図15に示すように、ラッチボルト61が後方へ移動し、錠ケース52内に退入する際、圧縮バネ62が圧縮される。すなわち、ラッチボルト61のバネ受け部65が後方へ移動するため、バネ受け部65と停止した受け部材64の間の距離が短くなり、両者の間に配された圧縮バネ62は圧縮され、圧縮バネ62の付勢力が増大する。
リンク部材71が回動すると、接続部76が外嵌部材94を押圧し、戻しバネ83が圧縮される。また、リンク部材71が回動すると、負荷付与ユニット55のオイルダンパ81のロッド部81bが伸張し、頭部81cが接続部76に追従する。すなわち、頭部81cは接続部76に常時当接している(図15)。
図14、図15に示す状態では、ラッチボルト61が錠ケース52内に退入しており、図示しない扉は、開動作が可能である。
次に、ラッチ錠51を操作する操作者が図示しない操作ハンドルから急に手を離すと、ハンドル軸73と一体のリンク部材71は支持を失う。そのため、圧縮バネ62の付勢力によってラッチボルト61が前方へ移動して錠ケース52から突出する(突出方向に移動する)と共に、リンク部材71を含む動力伝達ユニット54(ハンドル軸73より上方の部分)を前方へ牽引する。すなわち、圧縮バネ62は、ハンドル軸73が角度15度の位置からゼロ度の位置に戻るようにリンク部材71を回動させる。
また、図14、図15に示す状態では、リンク部材71の接続部76は、戻しバネ83で付勢された外嵌部材94に押圧されており、戻しバネ83がさらに圧縮されて付勢力が増大している。この状態で操作ハンドルの操作者が操作ハンドルから手を離すと、戻しバネ83の付勢力によって接続部76が後方へ移動し、リンク部材71(ハンドル軸73)の回転角が15度の状態からゼロ度の状態に近づく。
そして、ラッチボルト61が錠ケース52内に退入した状態から完全に突出した状態になるまで、オイルダンパ81(直動式の負荷付与手段)が、リンク部材71(ハンドル軸73)に対して、リンク部材71の回動方向とは逆方向に負荷を付与する。
具体的には、オイルダンパ81の押圧力は、オイルダンパ31(図5、図7)の押圧力よりも小さい。そして、リンク部材71の接続部76がオイルダンパ81の頭部81cに常時押圧されており、ロッド部81bがシリンダ部81a内に退入しながら接続部76に負荷を付与する。すなわち、オイルダンパ81は、リンク部材71(ハンドル軸73)の回動方向とは逆方向にリンク部材71(接続部76)に対して負荷を付与し続ける。そして、頭部81cが突出壁部50(ストッパ)に当接し、頭部81c及び接続部76の移動(リンク部材71の回動)が停止する。オイルダンパ81は、接続部76(リンク部材71)に対して負荷を付与し続け、頭部81cが突出壁部50に当接する際の衝撃は緩和されている。
その結果、ラッチユニット53では、ラッチボルト61が、ラッチとして機能する位置まで速やかに錠ケース52から突出する。また、動力伝達ユニット54においても、リンク部材71による音の発生が良好に低減される。換言すると、頭部81cが突出壁部50に当接する際の衝撃が緩和され、頭部81cが突出壁部50に当接(衝突)する際に生じる音の発生が抑制される。
本実施形態に係るラッチ錠51では、ラッチ錠51を操作する操作者が、開いた扉を強く叩き付けるように閉じたとしても、扉は閉扉位置で停止し、構造物の出入口を確実に閉じることができる。
この動作について説明する。
開いた扉のラッチ錠51が、図12、図13に示すようなラッチボルト61が突出した状態(操作ハンドルが操作されていないハンドル軸73の回転角が角度ゼロ度の自然状態)となっており、この状態で扉が勢いよく閉じられると、錠ケース52から突出したラッチボルト61は、構造物の戸当り部材(ストライクの縁)に当接し、圧縮バネ62及び戻しバネ83の付勢力に抗して錠ケース52内に退入する(図14、図15)。また、ハンドル軸73は、角度15度の角度位置まで回転している。すなわち、この場合、図示しないハンドル(ハンドル軸73)は操作されていないが、ハンドル軸73は回動する。
ラッチボルト61が図示しないストライクの縁を通過すると、ラッチボルト61を押圧する力がなくなり、ラッチボルト61は錠ケース52から突出する(図12、図13)。
ラッチボルト61(先端部67)は、錠ケース52から速やかに突出して図示しないストライク(凹部)に係合し、ラッチとして機能する。そのため、勢いよく閉じられた扉が、構造物の出入口に衝突して跳ね返り、再度開くことが阻止される。
その際、リンク部材71の接続部76がオイルダンパ81によって押圧されており、オイルダンパ81は、リンク部材71の回動方向とは逆方向に接続部76に負荷を付与している。そのため、オイルダンパ81の頭部81cが突出壁部50(ストッパ)に当接する際の衝撃が緩和され、頭部81cが突出壁部50に当接する際に生じる音は良好に抑制される。
すなわち、ラッチ錠51は、ラッチボルト61がラッチとして機能する突出位置まで速やかに突出し、扉が跳ね返って再度開くことを阻止することができる。さらに、リンク部材71(接続部76)が停止する際に生じる音が、オイルダンパ81によって良好に低減される。このようにラッチ錠51が機能するように、オイルダンパ81の押圧力がオイルダンパ31(図5、図7)よりも小さくなるように調整されている。
図10〜図15に示す実施形態に加え、図16、図17に示すように、戻しバネ83の内部に、別のオイルダンパ96(退入時負荷付与手段)を設けることもできる。すなわち、オイルダンパ96のシリンダ部96aをバネ当接部69に固定し、頭部96bを戻しバネ83と共に外嵌部材94の後方側壁の内部側に固定する。
このように戻しバネ83の内部にオイルダンパ96を設けることにより、ラッチボルト.61を錠ケース52内に退入させるときに、連動部材であるリンク部材71(接続部76)に対して、リンク部材71(連動部材)の回転方向とは逆の方向に負荷を付与することができる。そして、ラッチボルト61が錠ケース52内に退入するときの静音性を向上させることができる。
すなわち、オイルダンパ96が常時外嵌部材94を押圧することにより、張出部89が干渉部材90又は水平壁部92bに衝突(当接)する際の衝撃が緩和され、生じる音が抑制される。
図16、図17に示すように、オイルダンパ96と干渉部材90を併用するのが好ましいが、オイルダンパ96を設けて干渉部材90を省略することもできる。
1、51 ラッチ錠
2、52 錠ケース
5、55 負荷付与ユニット(負荷付与手段)
11、61 ラッチボルト
21、71 リンク部材(連動部材)
23、73 ハンドル軸
31、81 オイルダンパ
83 戻しバネ(退入時負荷付与手段)
96 オイルダンパ(退入時負荷付与手段)

Claims (4)

  1. 錠ケースと、ラッチボルトを有し、
    ハンドル軸の回動と連動してラッチボルトが錠ケースに対して進退するラッチ錠であって、
    ハンドル軸と一体に回動する連動部材を有し、
    ラッチボルトが錠ケース内から突出する際に、
    前記連動部材に対して連動部材の回動方向とは逆方向に負荷を付与する直動式の負荷付与手段を有することを特徴とするラッチ錠。
  2. 錠ケースと、ラッチボルトを有し、
    ハンドル軸の回動と連動してラッチボルトが錠ケースに対して進退するラッチ錠であって、
    ハンドル軸と一体に回動する連動部材を有し、
    錠ケース内から突出方向に移動するラッチボルトが、錠ケースから完全に突出する手前であって、少なくともラッチとして機能する位置まで突出したタイミングで、前記連動部材に対して連動部材の回動方向とは逆方向に負荷を付与する直動式の負荷付与手段を有することを特徴とするラッチ錠。
  3. ラッチボルトが錠ケース内に退入する際の連動部材の回転方向とは逆の方向に連動部材に負荷を付与する退入時負荷付与手段を有することを特徴とする請求項1に記載のラッチ錠。
  4. 前記負荷付与手段は、オイルダンパであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のラッチ錠。
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