JP2020092234A - セラミックス配線基板 - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、配線抵抗を下げる手法として、AgやCuに代表されるように、融点は低いが低抵抗の金属を用いたLTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)基板が開発されている。
そこで、配線を構成する導体として、例えばCu及びWを用いることにより、焼成温度が1000℃以上の比較的高い温度にて焼成可能とすることで、セラミックに添加するガラス成分の量を少なくして、低抵抗で高強度のセラミックス配線基板を得る技術が検討されている。
具体的には、上述のように、内部導電部に低融点のCuを含み、表面導電部に高融点のMo等を含むセラミックス配線基板を製造する場合には、セラミックス基板の材料と配線の材料とを同時焼成するときに、内部導電部中のCuが熔融し、ビアを通って表面導電部の表面に熔出することがあった。
焼成後にビア導電部となる部分にNiが含まれている場合には、焼成の際の加熱によって、Niがビア導電部側から内部導電部側に移動する性質がある。それに伴って、逆にCuが内部導電部側からビア導電部側に移動し、さらに、移動したCuがビア導電部側から表面導電部側に移動すると考えられる。従って、ビア導電部となる部分にNiが含まれていない場合(又はNiが少ない場合)には、Cuはビア導電部側から表面導電部側に移動しにくいと考えられる。
(2)本開示の第2局面では、表面導電部のうち、ビア導電部と接する表面からの厚みが5μmの範囲(以下表面隣接領域と称することもある)では、導電成分中のNiの含有量が0.01重量%以下であってもよい。なお、Niの含有量は少ない方が望ましく、含有量が0であれば最も好ましい。
このように、裏面導電部と第2のビア導電部とを備えている場合に、第2のビア導電部の導電成分中のNiの含有量が0.01重量%以下であるときには、上述のように、内部導電部のCuが熔融した場合でも、そのCuが第2のビア導電部を介して裏面導電部に熔出し難いので好適である。
・セラミックス基板とは、セラミックを主成分とする基板を示している。なお、主成分とは、最も量(即ち体積)が多い成分を示している。
[1.第1実施形態]
[1−1.セラミックス配線基板の構成]
まず、第1実施形態のセラミックス配線基板について説明する。
なお、内部導電部5及び表面導電部9により、導電性を有する例えば層状の配線が構成されている。
前記内部導電部5は、主として導電成分であるCu及びWを含んでおり、導電成分以外には、例えばAl2O3等の添加成分を含んでいる。内部導電部5における導電成分の割合は、例えば70重量%〜90重量%である。また、導電成分中のCuの割合は、例えば20重量%〜30重量%である。なお、内部導電部5の導電成分としては、Cu及びMoを用いてもよい。
次に、表面導電部9の構成について説明する。
図2Aに拡大して示すように、表面導電部9の全表面を覆うように、Niを主成分とするNi層17が形成されており、更に、Ni層17の全表面を覆うようにAuを主成分とするAu層19が形成されている。
なお、図2Bに示すように、平面視(図2Aの上方から見た場合)でのビア導電部7の端面の形状(即ち界面K1の形状)が円形の場合には、表面隣接領域R1の平面形状も界面K1の形状と同様に円形となる。従って、表面隣接領域R1の立体形状は円柱である。
次に、本第1実施形態のセラミックス配線基板1の製造方法について説明する。なお、下記の第1工程〜第4工程の順番は前後してもよい。
まず、セラミックス基板3の主原料(主成分となる原料)として、Al2O3粉末を用意するとともに、焼結助剤として、SiO2、MgCO3、BaCO3等の粉末を用意した。
内部導電部5の主原料として、Cu粉末及びW粉末を用意するとともに、Al2O3粉末を用意した。
<ビア導電部用の導電ペーストの作製工程:第3工程>
ビア導電部7の主原料として、Mo粉末を用意するとともに、Al2O3粉末を用意した。
<表面導電部用の導電ペーストの作製工程:第4工程>
表面導電部9の主原料として、Mo粉末(例えばD50が1μm未満)を用意するとともに、Al2O3粉末を用意した。さらに、焼結助剤として、SiO2、BaCO3、MgCO3、Mn2O5、Nb2O3の粉末を用意した。
図3Bに示すように、複数のセラミックグリーンシート21を積層して、第1セラミックス層13となる第1積層体23を作製した。なお、第1積層体23ではなく、1層のセラミックグリーンシート21としてもよい。
また、図3Cに示すように、複数のセラミックグリーンシート21を積層して、第2セラミックス層15となる第2積層体27を作製した。なお、第2積層体27ではなく、1層のセラミックグリーンシート21としてもよい。
次に、前記積層体35を、周知にように脱脂した後に、所定の焼成条件にて同時焼成した。なお、焼成条件としては、例えば還元雰囲気にて、1200〜1300℃の温度範囲で、0.5〜2時間焼成する条件を採用できる。
(1)本第1実施形態では、ビア導電部(即ち表面ビア導電部)7は、導電成分としてMoを含むとともに、導電成分中のNiの含有量が0.01重量%以下である。
[2.第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明するが、第1実施形態と同様な内容については、その説明は省略又は簡略化する。
本第2実施形態は、第1実施形態と同様な効果を奏する。
[3.第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明するが、第1実施形態と同様な内容については、その説明は省略又は簡略化する。
詳しくは、図5Aに示すように、本第3実施形態のセラミックス配線基板61は、第1実施形態と同様な材料からなるセラミックス基板63を有している。このセラミックス基板63は、第1セラミックス層65と第2セラミックス層67とが積層された構成を有する。
セラミックス基板43の厚み方向の一方(図5Aの上方)の表面には、第1実施形態の表面導電部と同様な表面導電部71が配置されている。また、セラミックス基板43の厚み方向の他方(図5Aの下方)の表面(即ち裏面)には、第1実施形態の表面導電部と同様な裏面導電部73が配置されている。
また、表面導電部71及び裏面導電部73を構成する材料は、第1実施形態の表面導電部と同様である。詳しくは、表面導電部71及び裏面導電部73の導電成分はMoからなり、実質的にNiを含んでいない(即ちNiの含有量は0.01重量%以下である)。
また、図示しないが、裏面導電部73にも、表面導電部71と同様に、裏面ビア導電部77と接するように、表面隣接領域R1と同様な範囲の裏面隣接領域(第2領域)R2が設けられ、その裏面隣接領域R2におけるNiの含有量は0.01重量%以下である。なお、裏面隣接領域R2とは、裏面導電部73のうち、裏面ビア導電部77と接する表面からの厚みが5μmの範囲である。
この変形例1では、裏面ビア導電部77を構成する材料は、第2実施形態の内部ビア導電部と同様である。詳しくは、裏面ビア導電部77の導電成分はCu及びWからなる。なお、他の構成は、前記第3実施形態と同様である。
この変形例2では、裏面ビア導電部77及び裏面導電部73を構成する材料は、第2実施形態の内部ビア導電部と同様である。詳しくは、裏面ビア導電部77及び裏面導電部73の導電成分はCu及びWからなる。なお、他の構成は、前記第3実施形態と同様である。
[4.第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明するが、第2実施形態や第3実施形態と同様な内容については、その説明は省略又は簡略化する。
詳しくは、図6に示すように、本第4実施形態のセラミックス配線基板81は、第2実施形態と同様な材料からなるセラミックス基板83を有している。このセラミックス基板83は、第1セラミックス層85と第2セラミックス層87と第3セラミックス層89とが積層された構成を有する。
本第4実施形態では、第1内部導電部91と第2内部導電部93と内部ビア導電部103とを構成する材料は、第2実施形態の内部導電部と同様であり、その導電成分はCu及びWである。
本第4実施形態は、第2、第3実施形態と同様な効果を奏する。
[5.第5実施形態]
次に、第5実施形態について説明するが、第3実施形態と同様な内容については、その説明は省略又は簡略化する。
(1)図7に示すように、本第5実施形態のセラミックス配線基板111は、基本的には、第3実施形態(詳しくはその変形例1)とほぼ同様な構成を有している。
さらに、セラミックス基板113の側面113aには、内部導電部119の露出部121を覆うとともに、露出部121と電気的に接続された側面導電部123が形成されている。この側面導電部123は、セラミックス基板113の裏面(図7の下方の表面)113bの一部を覆うように形成されている。
(2)次に、側面導電部123について詳細に説明する。
なお、図8Bに示すように、側方(図8Aの左側)から見た場合での内部導電部119の端面の形状(詳しくは界面K3の形状)が長方形の場合には、側面隣接領域R3の形状も界面K3の形状と同様に長方形となる。従って、側面隣接領域R3の立体形状は直方体である。
本第5実施形態は、第3実施形態及び第3実施形態の変形例1と同様な効果を奏する。また、内部導電部119が側面に露出し、側面導電部123で覆われている場合でも、内部導電部119中のCuが側面導電部123に熔出することを抑制できるという利点がある。
[6.第6実施形態]
次に、第6実施形態について説明するが、第4実施形態や第5実施形態と同様な内容については、その説明は省略又は簡略化する。
詳しくは、図9に示すように、本第6実施形態のセラミックス配線基板141は、第4実施形態と同様なセラミックス基板143内に、第1内部導電部145と第2内部導電部147とを備えている。
[7.第7実施形態]
次に、第7実施形態について説明するが、第1実施形態と同様な内容については、その説明は省略又は簡略化する。
セラミックス基板167の厚み方向の一方の表面(図10の上方)には、第1実施形態と同様な表面隣接領域R1を有する表面導電部171を備えている。なお、表面導電部171の導電成分は、Moであり、Niの含有量は0.01重量%以下である。
図11A及び図11Bに示すように、第1セラミックス層163の側面(図10の左右の側面)には、厚み方向から見た平面視で、長円形状の凹部181が形成されている。
[8.実験例]
次に、本開示の効果を確認するために行った実験例について説明する。
まず、実施例の試料をビアに沿って厚み方向に破断し、その破断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。
図12Bから明らかなように、Cuは、内部導電部と、ビア導電部のうち内部導電部側の一部に存在するだけであり、表面導電部では観察されなかった。なお、図12DのNiの分布では、多数の白点が見られるが、これは、周知のように、EDSによる元素マッピングの際のバックグラウンドであり、Niの存在を示すものではない。
また、上述した実施例とは別に、他の実施例として、Mo及びNiからなる表面導電部の導電材料として、Niを0.01重量%含む導電材料を用いて、前記実施例と同様にして試料を作製した。
一方、比較例の試料もビア導電部に沿って厚み方向に破断し、その破断面をSEMにより観察した。
[9.その他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
(3)表面導電部、裏面導電部、側面導電部におけるNiの含有量については、表面隣接領域、裏面隣接領域、側面隣接領域において、Niの含有量が0.01重量%以下であれば、好適にCuの熔出を抑制できる。
例えば、図13Aに示すように、第3実施形態と同様な構成のセラミックス配線基板201を用いる場合には、第3実施形態と同様な裏面導電部203と、他の配線基板205の表面の配線層207とを、半田バンプ209によって接合してもよい。
3、43、63、83、113、143、167…セラミックス基板
5、69、119、169…内部導電部
7…ビア導電部
9、55、71、95、125…表面導電部
51、91、145、213…第1内部導電部
53、93、147、219…第2内部導電部
59、75、99、129、173…表面ビア導電部
73、97、127、171、203…裏面導電部
77、101、131…裏面ビア導電部
121、149、175、215、221…露出部
123、151、177、217、223…側面伝導部
Claims (5)
- アルミナを主成分とするセラミックス基板と、
前記セラミックス基板の内部に配置された内部導電部と、
前記セラミックス基板の厚み方向の表面に配置された表面導電部と、
前記セラミックス基板の内部に配置されて、前記内部導電部と前記表面導電部とを電気的に接続するビア導電部と、
を備えたセラミックス配線基板において、
前記内部導電部は、導電成分として、Cu及びMo、又は、Cu及びW、のいずれか一方を含み、
前記ビア導電部は、導電成分として、Mo及びWのうち少なくとも一方を含むとともに、前記導電成分中のNiの含有量が0.01重量%以下である、
セラミックス配線基板。 - 前記表面導電部のうち、前記ビア導電部と接する表面からの厚みが5μmの範囲では、前記導電成分中のNiの含有量が0.01重量%以下である、
請求項1に記載のセラミックス配線基板。 - 前記内部導電部は、前記セラミックス基板の厚み方向に対して垂直方向にある側面に露出する露出部を有するとともに、前記セラミックス基板の側面には、前記露出部を覆うとともに前記露出部と電気的に接続された側面導電部を有しており、
前記側面導電部のうち、前記露出部と接する表面からの厚みが5μmの範囲では、導電成分中のNiの含有量が0.01重量%以下である、
請求項1又は2に記載のセラミックス配線基板。 - 前記セラミックス基板の厚み方向の表面と反対側の裏面に配置された裏面導電部と、
前記セラミックス基板の内部に配置されて、前記内部導電部と前記裏面導電部とを電気的に接続する第2のビア導電部と、
を備え、
前記第2のビア導電部は、導電成分として、Mo及びWのうち少なくとも一方を含むとともに、前記導電成分中のNiの含有量が0.01重量%以下である、
請求項1〜3のいずれか1項に記載のセラミックス配線基板。 - 前記裏面導電部のうち、前記第2のビア導電部と接する表面からの厚みが5μmの範囲では、前記導電成分中のNiの含有量が0.01重量%以下である、
請求項4に記載のセラミックス配線基板。
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