JP2020096120A - セラミックス配線基板及びその製造方法 - Google Patents

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大輔 山下
慎二郎 井野
Shinjiro Ino
慎二郎 井野
敬士 加賀
Takashi Kaga
敬士 加賀
沓名 正樹
Masaki Kutsuna
正樹 沓名
正憲 伊東
Masanori Ito
正憲 伊東
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Abstract

【課題】配線中にNiの含有量が少ない場合でも、配線に欠陥が生じることを抑制できるセラミックス配線基板及びその製造方法を提供すること。【解決手段】セラミック配線基板1では、ビア導電部7及び表面導電部9は、導電成分としてMoを含むとともに、導電成分中のNiの含有量が0.01重量%以下である。さらに、ビア導電部7及び表面導電部9の導電成分であるMoの平均粒径は、0.5μm以上1.0μm未満である。つまり、導電成分であるMoの平均粒径は、1.0μm未満と非常に微細であるので、ビア導電部7や表面導電部9には、配線の欠陥(空隙)が少なく、非常に緻密である。【選択図】図1

Description

本開示は、例えば電子部品のパッケージ、無線通信モジュール基板、制御回路用基板、半導体検査装置などに用いることができるセラミックス配線基板と、そのセラミックス配線基板の製造方法に関するものである。
従来、セラミックス配線基板には、融点が高い例えばMoやW等を用いた配線が形成されているが、配線の抵抗値が高いため、電気的ロスが大きいという問題があった。
そこで、配線の抵抗値を下げる手法として、AgやCuに代表されるように、融点は低いが電気抵抗の低い金属を配線に用いたLTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)基板が開発されている。
ところが、上述したLTCC基板は、低温で焼成可能にするため、ガラス成分を多くしてあるために、一般的に基板強度が低いという問題がある。
そこで、配線を構成する導体として、例えばCu及びWを用いることにより、焼成温度が1000℃以上の比較的高い温度にて焼成可能とすることで、セラミックに添加するガラス成分の量を少なくして、配線の電気抵抗が低く、高強度のセラミックス配線基板を得る技術が検討されている。
例えば、アルミナを主成分とするセラミックス基板の表面に、Cuからなるマトリックス中にW及び/又はMoを分散させた構成を有する配線を設ける技術などが開示されている(特許文献1参照)。
また、前記セラミックス配線基板としては、セラミックス基板の内部に配線(即ち内部導電部)を備えるとともに、セラミックス基板の表面に配線(即ち表面導電部)を備え、内部導電部と表面導電部とがビアにより接続されているものが知られている。
このような構造のセラミックス配線基板では、内部導電部には導体として融点の低い例えばCuが使用されるが、表面導電部には、焼成時に好適に配線の形状を保つために、Cuより融点の高い例えばMo等が使用される。
特開2000−77805号公報
ところで、上述したように、内部導電部に低融点のCuを含み、表面導電部に高融点のMo等を含むセラミックス配線基板を製造する場合に、セラミックス基板の材料と配線の材料とを同時焼成するときには、内部導電部中のCuが熔融し、ビアを通って表面導電部の表面に熔出することがあった。
このように、Cuが表面導電部の表面に熔出すると、図12A(矢印部分参照)に示す外見上の不具合だけではなく、内部導電部のCuの含有量が変化してしまい配線の電気特性も変化してしまうことで、配線の電気特性が十分に発揮されないことがあった。
この対策として、本願発明者等によって、表面導電部の材料にNiを添加しない方法が検討されている。つまり、表面導電部となる材料にNiが含まれている場合には、Niがビア等に拡散すると、逆に、内部導電部中のCuがビアを介して表面導電部側に熔出する現象が見られる。そのため、表面導電部の材料中にNiを添加しない方法が研究されている。
ところが、表面導電部等の配線中のNiは、配線を焼成する際の焼結助剤として機能するので、Niを添加しない場合には、図12Bに示すように、配線に空隙等の欠陥が生じることがある。
本開示は、前記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、内部導電部からのCuの熔出を抑制しつつ、配線中にNiの含有量が少ない場合でも、配線に欠陥が生じることを抑制できるセラミックス配線基板及びその製造方法を提供することにある。
(1)本開示の第1局面は、アルミナを主成分とするセラミックス基板と、セラミックス基板の内部に配置された内部導電部と、セラミックス基板の表面に配置された表面導電部と、を備えたセラミックス配線基板に関するものである。
このセラミックス配線基板は、内部導電部と表面導電部とは、セラミックス基板内に配置されたビア導電部を介して又はビア導電部を介さずして、電気的に接続されている。内部導電部は、導電成分として、Cu及びMo、又は、Cu及びW、のいずれか一方を含んでいる。
さらに、ビア導電部及び表面導電部のうち少なくとも一方は、導電成分として、Moを含むとともに、ビア導電部及び表面導電部のうち少なくとも一方の導電成分の内、Moを導電成分として含む導電成分中のNiの含有量が0.01重量%以下であり、しかも、Moの平均粒径は、0.5μm以上1.0μm未満である。
本第1局面では、ビア導電部及び表面導電部のうち少なくとも一方(例えば表面導電部)は、導電成分として、Moを含むとともに、導電成分中のNiの含有量が0.01重量%以下である。なお、Niの含有量は少ない方が望ましく、含有量が0であれば最も好ましい。
そのため、セラミックス配線基板を製造する場合に、焼成の際の加熱によって、内部導電部となる部分のCuが熔融した場合でも、CuがNiの含有量が少ない配線(例えばビア導電部や表面導電部)となる部分に熔出することを抑制できる。そのため、Cuが表面導電部等の配線に熔出することを抑制できるという効果がある。
詳しくは、内部導電部と表面導電部とがビア導電部を介して接続されている場合には、内部導電部のCuはビア導電部を介して表面導電部に移動し易い。しかし、ビア導電部や表面導電部のNiの含有量が少ない場合には、CuがNiの含有量が少ない配線側に移動することを抑制できる。従って、Cuが表面導電部等の配線に熔出することを抑制できる。
一方、内部導電部と表面導電部とが例えばセラミックス配線基板の側面等にて直接または側面導電部を介して接続されている場合には、内部導電部のCuは直接または側面導電部を介して表面導電部に移動し易いが、表面導電部や側面導電部のNiの含有量が少ない場合には、内部配線部側に移動するNiが少ないので(或いは無いので)、Cuも表面導電部に移動することが抑制できる。従って、Cuが表面導電部に熔出することを抑制できる。
このように、本第1局面では、上述した構成によって、内部導電部のCuが表面導電部等に熔出することが抑制できる。そのため、セラミックス配線基板の表面導電部の外観不良(例えば、変色、Cuの玉浮き、等)を抑制するとともに、表面導電部等における電気特性が変化しにくいという効果を奏する。
しかも、本第1局面では、ビア配線部や表面導電部の配線の導電成分のMoの平均粒径は、0.5μm以上1.0μm未満である。つまり、導電成分であるMoの平均粒径は、1.0μm未満と非常に微細である。従って、表面導電部等の上記Moを含む配線は緻密に焼結されており、前記図12Bに示すような欠陥(空隙)の発生が抑制されている。
従って、表面導電部等の配線に欠陥を有さず(又は欠陥が少なく)耐久性が向上するとともに、表面導電部等の配線の電気的性能が変化することを抑制できる(例えば電気抵抗の変化が小さい)という顕著な効果を奏する。
なお、Moの平均粒径が0.5μm未満の場合には、製造段階でのMoの材料(即ち微細な粉体)が発火し易いので、好ましくない。また、配線とセラミックス基板となる材料(即ちアルミナを主成分とする材料)と同時焼成する場合に、配線の材料とセラミックス基板の材料との焼成の挙動が大きく異なり、収縮率も大きく異なるので、好ましくない。また、Moの平均粒径が1.0μm以上の場合には、製造段階でのMoの材料の粒径も大きくなり、配線が十分に焼結されず、欠陥が発生してしまうため、好ましくない。
なお、「Cu及びMo、又は、Cu及びW、のいずれか一方」とは、「Cu及びMo」を含むか、又は、「Cu及びW」を含むことを示している(以下同様)。
(2)本開示の第2局面では、ビア導電部及び表面導電部のうち少なくとも一方において、Moの含有量は、75体積%以上90体積%以下であってもよい。
このように、ビア導電部及び表面導電部のうち少なくとも一方の配線において、Moを主成分としており、Moの含有量が75体積%以上90体積%以下である場合には、配線が十分に焼結されており、欠陥の発生が抑制できているので、好適である。
ここで、Moの含有量が75体積%未満の場合には、導電成分の含有量が少なくなり導電性が低くなることがある。さらに、配線が十分に焼結されず、欠陥を多く有することとなる。また、Moの含有量が90体積%を上回る場合には、アルミナ等の添加成分が少なくなり、例えば配線の密着性が低くなる等の問題が生じることがある。従って、前記含有量の範囲が好適である。
なお、Moが90体積%の場合の残部の10体積%の材料としては、例えばセラミックス基板との密着性を高めるために、アルミナ等のセラミック材料等を採用できる。また、焼結性を高めるために、ガラス等の焼結助剤の成分を採用できる。
(3)本開示の第3局面では、ビア導電部及び表面導電部のうち少なくとも一方において、Alの含有量は、10体積%を上回り20体積%以下であってもよい。
このように、ビア導電部及び表面導電部のうち少なくとも一方の配線において、Al(アルミナ)の含有量が10体積%を上回り20体積%以下である場合には、配線とセラミックス基板との密着性が高いので(即ち密着強度が高いので)、好適である。
ここで、Alの含有量が、10体積%未満の場合には、配線の密着性が低下する恐れがあり、20体積%を上回る場合には、Moの含有量が少なくなって導電性が低下する恐れがある。従って、前記含有量の範囲が好適である。
(4)本開示の第4局面では、ビア導電部及び表面導電部のうち少なくとも一方において、ガラスの含有量は、5体積%未満であってもよい。
このように、ビア導電部及び表面導電部のうち少なくとも一方の配線において、ガラスの含有量が5体積%未満(但し0体積%を上回る)である場合には、焼成の際にガラスがセラミックス基板に移動した場合でも、配線の欠陥が少ないので、好適である。
ここで、ガラスの含有量は、5体積%を上回る場合には、配線の焼結性が低下する恐れがあるので、前記含有量の範囲が好適である。
(5)本開示の第5局面は、前記第1〜第4局面のいずれかに記載のセラミックス配線基板の製造方法に関するものである。
このセラミックス配線基板の製造方法では、アルミナを主成分とする材料を用いて作製したグリーンシートと、導電成分を含む無機材料を用いて作製した導電形成部と、同時に又は別個に焼成して、それぞれ、セラミックス基板とビア導電部及び表面導電部のうち少なくとも一方とを作製する工程を有する。
さらに、ビア導電部及び表面導電部のうち少なくとも一方の作製に使用する導電成分の材料として、平均粒径D50が0.5μm以上1.0μm未満のMo粉末を用いる。
このように、本第5局面では、ビア導電部及び表面導電部のうち少なくとも一方の配線の作製に使用する導電成分の材料として、平均粒径D50が0.5μm以上1.0μm未満の微細なMo粉末を用いるので、上述した欠陥の少ない配線を備えたセラミックス配線基板を容易に製造することができる。
(6)本開示の第6局面では、無機材料において、Mo粉末の添加量は、75体積%以上90体積%以下であってもよい。
これにより、前記第2局面のセラミックス配線基板を容易に製造することができる。
(7)本開示の第7局面では、無機材料において、Al粉末の添加量は、10体積%を上回り20体積%以下であってもよい。
これにより、前記第3局面のセラミックス配線基板を容易に製造することができる。
(8)本開示の第8局面では、無機材料において、ガラスの添加量は、5体積%未満であってもよい。
これにより、前記第4局面のセラミックス配線基板を容易に製造することができる。
<以下に、本開示の各構成について説明する>
・セラミックス基板とは、セラミックを主成分とする基板を示している。なお、主成分とは、最も量(即ち体積)が多い成分を示している。
・内部導電部とは、セラミックス基板の内部に配置されている導電性を有する部分である。なお、内部導電部の一部が、セラミックス基板の表面(例えば側面)に達していてもよい。
・ビア導電部とは、セラミックス基板の内部において、基板の厚み方向に延びる導電性を有する部分である。
・導電成分中のNiの含有量が0.01重量%以下の範囲としては、内部導電部と表面導電部とがビア導電部を介して電気的に接続されている場合には、表面導電部の内部において、表面導電部とビア導電部とが接触する界面から、表面導電部の表面側に向かって5μmに到る範囲が挙げられる。
一方、内部導電部と表面導電部とが直接又は後述する側面導電部を介して接触している場合には、表面導電部や側面導電部の内部において、表面導電部や側面導電部と内部導電部とが接触する界面から、表面導電部の表面側に向かって5μmに到る範囲が挙げられる。
・表面導電部やビア導電部の各配線による平均粒径は、配線の断面に対する例えば走査型電子顕微鏡(SEM)によって撮影された画像から、周知の画像解析等によって求めることができる。
・粉末の平均粒径D50(即ちD50粒径)とは、粉体をある粒子径から2つに分けたとき、大きい側と小さい側とが等量となる径(いわゆるメジアン径)である。
・前記D50粒径のMo粉末としては、市販のMo粉末を用いることができる。なお、Mo粉末等のD50粒径等の粒径は、例えば周知のレーザー回折・散乱法により求めることができる。
・ガラスの成分としては、例えば、SiO、BaCO、MgCO、Mn、Nbなどが挙げられる。
第1実施形態のセラミックス配線基板を厚み方向に破断して示す断面図である。 図2Aは第1実施形態のセラミックス配線基板をビア導電部に沿って厚み方向に破断し拡大して示す断面図、図2Bはそのセラミックス配線基板のビア導電部の位置における平面図(但しNi層とAu層を除く)である。 第1実施形態のセラミックス配線基板の製造方法を示す説明図である。 第2実施形態のセラミックス配線基板を厚み方向に破断して示す断面図である。 第3実施形態のセラミックス配線基板を厚み方向に破断して示す断面図である。 図6Aは第3実施形態のセラミックス配線基板をビア導電部に沿って厚み方向に破断し拡大して示す断面図、図6Bはそのセラミックス配線基板のビア導電部の位置における平面図(但しNi層とAu層を除く)である。 図7Aは実施例の試料を厚み方向に破断した破断面のSEM画像を示す説明図、図7Bは同破断面におけるCuのマッピング画像を示す説明図、図7Cは同破断面におけるWのマッピング画像を示す説明図、図7Dは同破断面におけるNiのマッピング画像を示す説明図、図7Eは比較例の試料を厚み方向に破断した破断面のSEM画像を示す説明図、図7Fは同破断面におけるCuのマッピング画像を示す説明図、図7Gは同破断面におけるWのマッピング画像を示す説明図、図7Hは同破断面におけるNiのマッピング画像を示す説明図である。 図8AはNo.1の試料を厚み方向に破断した破断面のSEM画像を示す説明図、図8BはNo.2の試料を厚み方向に破断した破断面のSEM画像を示す説明図、図8CはNo.3の試料を厚み方向に破断した破断面のSEM画像を示す説明図である。 図9AはNo.4の試料を厚み方向に破断した破断面のSEM画像を示す説明図、図9BはNo.5の試料を厚み方向に破断した破断面のSEM画像を示す説明図、図9CはNo.6の試料を厚み方向に破断した破断面のSEM画像を示す説明図、図9DはNo.7の試料を厚み方向に破断した破断面のSEM画像を示す説明図である。 実験例4の結果を示し、Al添加量と密着強度との関係を示すグラフである。 実験例6の結果を示し、試料を厚み方向に破断した破断面のSEM画像を示す説明図である。 図12Aは従来のセラミックス配線基板の表面の配線の拡大画像を示す説明図、図12BはNiを含有しない試料を厚み方向に破断した破断面のSEM画像を示す説明図である。
次に、本開示のセラミックス配線基板及びセラミックス配線基板の製造方法の実施形態について説明する。
[1.第1実施形態]
[1−1.セラミックス配線基板の構成]
まず、第1実施形態のセラミックス配線基板について説明する。
図1に模式的に示す様に、第1実施形態のセラミックス配線基板1は、Alを90体積%以上含むセラミックス基板3の内部に、例えばCu及びWを主成分とする内部導電部5と、例えばMoを主成分とするビアであるビア導電部7とを備えている。
さらに、セラミックス基板3の厚み方向の一方の表面(図1の上方)に、例えばMoを主成分とする表面導電部9を備えている。
なお、内部導電部5、ビア導電部7及び表面導電部9により、導電性を有する例えば層状の配線が構成されている。
このうち、セラミックス基板3は、第1セラミックス層13と第2セラミックス層15とを備えており、第1セラミックス層13と第2セラミックス層15との間に内部導電部5が配置されている。
セラミックス基板3は、Al以外に、例えば、SiO、MgCO、BaCO等の焼結助剤の成分(即ちガラス成分)などが含まれている。
前記内部導電部5は、主として導電成分であるCu及びWを含んでおり、導電成分以外には、例えばAlや前記ガラス成分の添加成分を含んでいる。
この内部導電部5における導電成分の割合は、例えば95体積%であり、導電成分中のCuの割合は、例えば40体積%である。なお、内部導電部5の導電成分としては、Cu及びMoを用いてもよい。
ビア導電部7は、内部導電部5と電気的に接続されるとともに、セラミックス基板3の厚み方向に延びて、即ち第2セラミックス層15を貫通して、表面導電部9と電気的に接続されている。
このビア導電部7は、主成分として導電成分であるMoを含んでおり、導電成分以外には、例えばAlやガラス成分(例えばSiO、MgCO、BaCO等)を含んでいる。
ビア導電部7における導電成分の割合は、例えば75体積%以上90体積%以下の範囲の例えば83体積%である。また、ビア導電部7におけるAlの割合は、例えば10体積%を上回り20体積%以下の範囲の例えば15体積%である。さらに、ビア導電部7におけるガラス成分の割合は、例えば5体積%未満の範囲の例えば2体積%である。
また、ビア導電部7の導電成分中のNiの含有量は実質的に0重量%である(詳しくは0.01重量%以下である)。つまり、ビア導電部7は、Niの含有量が少ない方が好ましく、最も好ましくは含有量は0重量%である。
さらに、ビア導電部7の導電成分中のMoの平均粒径は、0.5μm以上1.0μm未満(例えば0.9μm)であるが、1.0μm以上であってもよい。
この平均粒径は、ビア導電部7の断面を研磨し、3000倍の走査型電子顕微鏡(SEM)の二次電子像に基づいて求めたものである(以下同様)。
詳しくは、ビア導電部7の断面の画像の所定範囲(例えば20μm角)における全Mo粒子について、同一の方向における最大の粒径を測定し、その平均粒径を算出した。なお、Mo粒子の個数としては、100個以上(例えば100個)を採用できる。
表面導電部9は、ビア導電部7と同様に、主成分として導電成分であるMoを含んでおり、導電成分以外には、例えばAlやガラス成分(例えばSiO、MgCO、BaCO等)を含んでいる。
表面導電部9における導電成分の割合は、例えば75体積%以上90体積%以下の範囲の例えば83体積%である。また、表面導電部9におけるAlの割合は、例えば10体積%を上回り20体積%以下の範囲の例えば15体積%である。さらに、表面導電部9におけるガラス成分の割合は、例えば5体積%未満の範囲の例えば2体積%である。
また、表面導電部9の導電成分中のNiの含有量は実質的に0重量%である(詳しくは0.01重量%以下である)。つまり、表面導電部9は、Niの含有量が少ない方が好ましく、最も好ましくは含有量は0重量%である。
さらに、表面導電部9の導電成分中のMoの平均粒径は、0.5μm以上1.0μm未満(例えば0.9μm)である。
なお、後述するように、表面導電部9の作製する際の材料中にはNiを添加しないが、表面導電部9の表面にNi層17(図2A参照)を設ける場合には、Ni層17中のNiが表面導電部9中に拡散して、表面導電部9のNi層17側に僅かにNiが含まれることがある。
[1−2.表面導電部の構成]
次に、表面導電部9の構成について説明する。
図2Aに拡大して示すように、表面導電部9の全表面を覆うように、Niを主成分とするNi層17が形成されており、更に、Ni層17の全表面を覆うようにAuを主成分とするAu層19が形成されている。
表面導電部9のうち、ビア導電部7と接する表面(即ち表面導電部9とビア導電部7との界面K1)からの厚みが5μmの範囲、即ち一点鎖線で囲まれた表面隣接領域(即ち第1領域)R1では、導電成分中のNiの含有量が0.01重量%以下である。なお、この含有量は、表面隣接領域R1における平均の含有量である。
この表面隣接領域R1では、不可避不純物としてNiが含まれていてもよいが、Niの含有量はできる限り少ない方が望ましい。例えば0重量%が好ましい。
なお、図2Bに示すように、平面視(図2Aの上方から見た場合)でのビア導電部7の端面の形状(即ち界面K1の形状)が円形の場合には、表面隣接領域R1の平面形状も界面K1の形状と同様に円形となる。従って、表面隣接領域R1の立体形状は円柱である。
なお、Ni層17とAu層19は、省略してもよい。この場合には、表面導電部9の導電成分中のNiの含有量は、Ni層17がある場合よりも少なくなる。
[1−3.セラミックス配線基板の製造方法]
次に、本第1実施形態のセラミックス配線基板1の製造方法について説明する。なお、下記の第1工程〜第4工程の順番は前後してもよい。
<セラミックグリーンシートの作製工程:第1工程>
まず、周知のように、セラミックス基板3の主原料(主成分となる原料)として、Al粉末を用意するとともに、焼結助剤(即ちガラス成分)として、SiO、MgCO、BaCO等の粉末を用意した。
そして、これらの粉末材料(なお、焼結助剤は各粉末から1種又は複数種を選択して使用する)に、バインダや溶剤等を加えて、セラミックスラリーを作製した。このセラミックスラリーを用いて、図3Aに示すように、ドクターブレード法によって、複数のセラミックグリーンシート21を作製した。
<内部導電部用の導電ペーストの作製工程:第2工程>
内部導電部5の主原料として、周知のように、Cu粉末及びW粉末を用意するとともに、Al粉末を用意した。
なお、各粉末の割合は、例えば、Cu粉末及びW粉末が95体積%、Al粉末が5体積%である。
そして、これらの粉末材料に、ワニス成分を加えて内部導電部5用の導電ペーストを作製した。なお、この導電ペーストの導電材料は、Cu及びWである。
<ビア導電部用の導電ペーストの作製工程:第3工程>
ビア導電部7の主原料として、Mo粉末を用意するとともに、Al粉末及びガラス粉末(例えばSiO、MgCO、BaCO等の粉末)を用意した。なお、Mo粉末のD50粒径は、0.5μm以上1.0μm未満(例えば0.9μm)であるが、D50粒径が1.0μm以上のMo粉末を用いてもよい。
また、各粉末の割合は、例えば、Mo粉末が75体積%以上90体積%以下の範囲の例えば83体積%、Al粉末が10体積%を上回り20体積%以下の範囲の例えば15体積%、ガラス粉末が5体積%未満の例えば2体積%である。
そして、これらの粉末材料に、ワニス成分を加えてビア導電部7用の導電ペーストを作製した。なお、この導電ペーストの導電材料は、Moである。
<表面導電部用の導電ペーストの作製工程:第4工程>
表面導電部9の主原料として、Mo粉末を用意するとともに、Al粉末を用意した。さらに、焼結助剤として、SiO、BaCO、MgCO、Mn、Nbのガラスの粉末を用意した。なお、Mo粉末のD50粒径は、0.5μm以上1.0μm未満(例えば0.9μm)である。
また、各粉末の割合は、例えば、Mo粉末が75体積%以上90体積%以下の範囲の例えば83体積%、Al粉末が10体積%を上回り20体積%以下の範囲の例えば15体積%、ガラス粉末が5体積%未満の例えば2体積%である。
そして、これらの粉末材料(なお、焼結助剤は各粉末から1種又は複数種を選択して使用する)に、ワニス成分を加えて表面導電部9用の導電ペーストを作製した。この導電ペーストの導電材料は、Moである。
なお、ビア導電部7用の導電ペーストと表面導電部9用の導電ペーストとして、同一の導電ペーストを使用できるが、異なる組成であってもよい。
<積層体の作製工程:第5工程>
図3Bに示すように、複数のセラミックグリーンシート21を積層して、第1セラミックス層13となる第1積層体23を作製した。なお、第1積層体23ではなく、1層のセラミックグリーンシート21としてもよい。
そして、第1積層体23の表面に、内部導電部5用の導電ペーストをスクリーン印刷して、内部導電パターン25を形成した。
また、図3Cに示すように、複数のセラミックグリーンシート21を積層して、第2セラミックス層15となる第2積層体27を作製した。なお、第2積層体27ではなく、1層のセラミックグリーンシート21としてもよい。
この第2積層体27に、ビア導電部7用の貫通孔29を開け、その貫通孔29にビア導電部7用の導電ペーストを充填してビア構成部31を形成した。その後、第2積層体27の一方の表面に、ビア構成部31を覆うように、表面導電部9用の導電ペーストをスクリーン印刷して、表面導電部9用の表面導電パターン33を形成した。
次に、図3Dに示すように、第1積層体23と第2積層体27とを積層して、セラミックス基板3となる積層体35を作製した。詳しくは、第1積層体23の内部導電パターン25が形成された側に、第2積層体27の表面導電パターン33が形成されていない側を積層するようにして、第1積層体23と第2積層体27とを積層した。
なお、ビア構成部31や表面導電パターン33が、焼成前の導電形成部である。
<焼成工程:第6工程>
次に、前記積層体35を、周知にように脱脂した後に、所定の焼成条件にて同時焼成した。なお、焼成条件としては、例えば還元雰囲気にて、1200〜1300℃の温度範囲で、0.5〜2時間焼成する条件を採用できる。
そして、焼成後に、表面導電部9の表面に、電解メッキ又は無電解メッキによって、Ni層17を形成した。また、Ni層17の表面に、同様なメッキ法によって、Au層19を形成し、本第1実施形態のセラミックス配線基板1を得た。
[1−4.効果]
(1)本第1実施形態では、ビア導電部7及び表面導電部9は、導電成分としてMoを含むとともに、ビア導電部7及び表面導電部9の導電成分中のNiの含有量が0.01重量%以下である。
そのため、セラミックス配線基板1を製造する場合に、焼成の際の加熱によって、内部導電部5となる部分のCuが熔融した場合でも、Cuがビア導電部7となる部分や表面導電部9となる部分に熔出することを抑制できる。つまり、Cuがビア導電部7を介して表面導電部9に熔出することを抑制できる。
このように、本第1実施形態では、上述した構成によって、セラミックス配線基板1の表面導電部9の外観不良(例えば、変色、Cuの玉浮き、等)を抑制するとともに、内部導電部5、ビア導電部7や表面導電部9における電気特性が変化しにくいという顕著な効果を奏する。
更に、本第1実施形態では、ビア導電部7及び表面導電部9の導電成分であるMoの平均粒径は、0.5μm以上1.0μm未満である。つまり、導電成分であるMoの平均粒径は、1.0μm未満と非常に微細であるので、ビア導電部7や表面導電部9には、配線の欠陥(空隙)が少なく、非常に緻密に焼結されている。従って、ビア導電部7や表面導電部9の耐久性が高く、電気的性能が変化することが抑制されている(例えば電気抵抗の変化が小さい)という顕著な効果を奏する。
(2)本第1実施形態では、ビア導電部7及び表面導電部9のMoの含有量は、75体積%以上90体積%以下である。従って、ビア導電部7及び表面導電部9は十分に焼結されており、欠陥の発生が抑制できているので、好適である。
(3)本第1実施形態では、ビア導電部7及び表面導電部9のAlの含有量は、10体積%を上回り20体積%以下である。従って、ビア導電部7及び表面導電部9とセラミックス基板3との密着性が高いので(即ち密着強度が高いので)、好適である。
(4)本第1実施形態では、ビア導電部7及び表面導電部9のガラスの含有量は、5体積%未満である。従って、焼成の際にガラスがセラミックス基板3に移動した場合でも、ビア導電部7及び表面導電部9の欠陥が少ないので、好適である。
(5)本第1実施形態では、ビア導電部7及び表面導電部9の作製に使用する導電成分の材料として、平均粒径D50が0.5μm以上1.0μm未満のMo粉末を用いる。従って、上述した構成のビア導電部7及び表面導電部9を備えたセラミックス配線基板1を容易に製造することができる。
(6)本第1実施形態では、ビア導電部7及び表面導電部9の作製に使用する無機材料において、Mo粉末の添加量は、75体積%以上90体積%以下、Al粉末の添加量は、10体積%を上回り20体積%以下、ガラスの添加量は、5体積%未満である。
従って、上述した構成の内部導電部5、ビア導電部7及び表面導電部9を備えたセラミックス配線基板1を容易に製造することができる。
[2.第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明するが、第1実施形態と同様な内容については、その説明は省略又は簡略化する。
本第2実施形態では、セラミックス配線基板の厚み方向の両表面に、配線が形成されている。
詳しくは、図4に示すように、本第2実施形態のセラミックス配線基板41は、第1実施形態と同様な材料からなるセラミックス基板43を有している。このセラミックス基板43は、第1セラミックス層45と第2セラミックス層47とが積層された構成を有する。
第1セラミックス層45と第2セラミックス層47との間には、第1実施形態の内部導電部と同様な構成の内部導電部49が配置されている。つまり、主成分である導電成分がCu及びWからなる内部導電部49が配置されている。
セラミックス基板43の厚み方向の一方(図4の上方)の表面には、第1実施形態の表面導電部と同様な表面導電部51が配置されている。また、セラミックス基板43の厚み方向の他方(図4の下方)の表面(即ち裏面)には、第1実施形態の表面導電部と同様な表面導電部(即ち裏面導電部)53が配置されている。
つまり、両表面導電部51、53は、主成分である導電成分がMoであり、導電成分中のNiの含有量は0.01重量%であり、Moの平均粒径は、0.5μm以上1.0μm未満である。
また、表面導電部51と内部導電部49との間には、第1実施形態のビア導電部と同様なビア導電部55が配置されている。また、他の表面導電部53と内部導電部49との間には、第1実施形態のビア導電部と同様な他のビア導電部57が配置されている。
つまり、両ビア導電部55、57は、主成分である導電成分がMoであり、導電成分中のNiの含有量は0.01重量%であり、Moの平均粒径は、0.5μm以上1.0μm未満(なお、1.0μm以上でもよい)である。
なお、図示しないが、第1実施形態と同様に、両表面導電部51、53の表面隣接領域R1におけるNiの含有量は0.01重量%以下である。
本第2実施形態は、裏面導電部53とビア導電部57を設けることで、セラミックス配線基板41をプリント基板等に実装する際に、裏面導電部53を使用した平面実装が可能となる。このようなセラミックス配線基板41の両表面導電部51、53とビア導電部55、57により、内部導電部49からのCuの熔出を抑制しつつ、第1実施形態と同様な効果を奏する。
[3.第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明するが、第1、第2実施形態と同様な内容については、その説明は省略又は簡略化する。
本第3実施形態では、セラミックス配線基板の側面に、内部導電部と接続された側面導電部が形成されている。
(1)図5に示すように、本第3実施形態のセラミックス配線基板61は、基本的には、第2実施形態とほぼ同様な構成を有している。
詳しくは、セラミックス基板63を構成する第1セラミックス層65と第2セラミックス層67との間には、第2実施形態と同様に内部導電部69が設けられている。但し、この内部導電部69の一端(図5の左端)は、セラミックス基板63の側面63aにまで到達して、露出部71にて露出している。
つまり、内部導電部69は、セラミックス基板63の厚み方向に対して垂直方向にある側面63aに露出する露出部71を有している。
さらに、セラミックス基板63の側面63aには、内部導電部69の露出部71を覆うとともに、露出部71と電気的に接続された側面導電部73が形成されている。この側面導電部73は、セラミックス基板63の裏面(図5の下方の表面)63bの一部を覆うように形成されている。
なお、その他の構成は、第2実施形態と基本的に同様である。つまり、第2実施形態と同様な、表側及び裏側の各表面導電部75、77や、各表面導電部75、77にそれぞれ接続されたビア導電部79、81を備えている。
(2)次に、側面導電部73について詳細に説明する。
図6Aに拡大して示すように、側面導電部73の全表面を覆うように、NiからなるNi層83が形成されており、更に、Ni層83の全表面を覆うようにAuからなるAu層85が形成されている。なお、Ni層83とAu層85は、省略してもよい。
特に、側面導電部83のうち、内部導電部69と接する表面(即ち側面導電部73と内部導電部69との界面K2)からの厚みが5μmの範囲、即ち一点鎖線で囲まれた側面隣接領域(第2領域)R2では、導電成分中のNiの含有量が0.01重量%以下である。なお、この含有量は、側面隣接領域R2における平均の含有量である。
この側面隣接領域R2では、不可避不純物としてNiが含まれていてもよいが、Niの含有量はできる限り少ない方が望ましい。例えば0重量%が好ましい。
なお、図6Bに示すように、側方(図6Aの左側)から見た場合での内部導電部69の端面の形状(詳しくは界面K2の形状)が長方形の場合には、側面隣接領域R2の形状も界面K2の形状と同様に長方形となる。従って、側面隣接領域R2の立体形状は直方体である。
この側面導電部73の構成は、表面導電部75、77と同様である。つまり、側面導電部37は、主成分である導電成分がMoであり、導電成分中のNiの含有量は0.01重量%であり、Moの平均粒径は、0.5μm以上1.0μm未満である。なお、側面導電部73は、表面導電部75、77と同様にして形成できる。
本第3実施形態は、第2実施形態と同様な効果を奏する。また、内部導電部69が側面に露出し、側面導電部73で覆われている場合でも、内部導電部69中のCuが側面導電部73に熔出することを抑制できるという利点がある。
[4.実験例]
次に、本開示の効果を確認するために行った実験例について説明する。
[4−1.実験例1]
この実験例1では、本開示の範囲の実施例の試料として、前記第1実施形態と同様な構成のセラミックス配線基板を、同様な製造方法によって作製した。
詳しくは、表面導電部及びビア導電部の導電材料として、Niを含まないMoのみの材料(但しMo粉末のD50粒径は0.5μm以上1.0μm未満)を用いて、同様なセラミックス配線基板を作製した。
また、本開示の範囲外の比較例では、表面導電部の導電材料として、Moを65重量%含むとともに、Niを1.0重量%含む材料を用いる以外は、前記実施例と同様にして、セラミックス配線基板を作製した。
(実施例)
まず、実施例の試料をビアに沿って厚み方向に破断し、その破断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。
そのSEM画像(倍率1000倍)を図7Aに示すが、同図のS1の範囲が第1セラミックス層を示し、S2の範囲が内部導電部を示し、S3の範囲がビア導電部を示し、S4の範囲が表面導電部を示している。なお、S1〜S4の区分については、後述する図7Eについても同様である。
また、同じ破断面について、エネルギー分散型X線分析(EDS)により、Cu、W、Niの各元素のマッピングを行った。その結果を、図7B〜図7Dに示す。
図7Bから明らかなように、Cuは、内部導電部と、ビア導電部のうち内部導電部側の一部に存在するだけであり、表面導電部では観察されなかった。なお、図7DのNiの分布では、多数の白点が見られるが、これは、周知のように、EDSによる元素マッピングの際のバックグラウンドであり、Niの存在を示すものではない。
また、EDSにより、表面導電部のうちの表面隣接領域R1において、複数箇所(例えば5点)にて、Niのatm%を求めた。その結果、Niは0atm%(従って0重量%)であった。即ち、Niは、測定限界以下であった。
さらに、同様にして、表面隣接領域R1において、Cuのatm%を求めたところ、Cuは0atm%であった。即ち、Cuは、測定限界以下であった。
(比較例)
一方、比較例の試料もビア導電部に沿って厚み方向に破断し、その破断面をSEMにより観察した。
そのSEM画像(倍率1000倍)を図7Eに示す。また、同じ破断面について、EDSにより、Cu、W、Niの各元素のマッピングを行った。その結果を、図7F〜図7Hに示す。
図7Fから明らかなように、Cuは、内部導電部とビア導電部と表面導電部の一部に存在していた。また、図7Hの楕円内の明瞭な白点に示すように、Niが、ビア導電部や内部導電部に見られた。
また、EDSにより、表面導電部のうちの表面隣接領域R1において、複数箇所(5点)にて、Ni、Cuの有無を確認した。その結果、表面隣接領域R1にてNi及びCuが確認された。
[4−2.実験例2]
この実験例2は、Niの添加状態による表面導電部の構造的な変化を調べたものである。
まず、前記第1実施形態と同様にして、No.1の試料であるセラミックス配線基板を作製した。
但し、Mo粉末とAl粉末と焼結助剤粉末との体積比を、83:15:2とした。表面導電部の導電成分は、Mo:99重量%、Ni:1重量%とした。ビア導電部の導電成分は、Mo:99重量%、Ni:1重量%とした。Mo粉末としては、D50粒径が、1.0μm以上1.99μm以下の範囲のものを用いた。焼結助剤としては、SiO、BaCO、MgCO、Mn、Nbを用いた。
そして、No.1の試料の厚み方向に沿った断面をSEMにより観察した。このSEM画像を図8Aに示す。この図8Aから明らかなように、導電成分にNiを含む場合には、表面導電部(図8Aの上部の白色部分)には、あまり欠陥(空隙)が見られなかった。
次に、前記No.1と同様にして、No.2の試料であるセラミックス配線基板を作製した。但し、表面導電部の導電成分は、Moのみであり、Niは添加しなかった。
そして、No.2の試料の厚み方向に沿った断面をSEMにより観察した。このSEM画像を図8Bに示す。この図8Bから明らかなように、導電成分にNiを添加しない場合には、表面導電部には、多くの欠陥が見られた。
次に、前記No.2と同様にして、No.3の試料であるセラミックス配線基板を作製した。但し、Mo粉末としては、D50粒径が、0.5μm以上1.0μm未満の範囲の微小なものを用いた。
そして、No.3の試料の厚み方向に沿った断面をSEMにより観察した。このSEM画像を図8Cに示す。この図8Cから明らかなように、導電成分にNiを添加しない場合でも、D50粒径が微小な場合には、Niを添加しない場合に比べて、表面導電部の欠陥が少なく、好適であった。
また、表面導電部の断面のSEM画像を用いて、Moの平均粒径を求めたところ、Moの平均粒径は、0.5μm以上1.0μm未満の範囲であった。
ここで、試料No.3について詳しく説明する。
No.3の試料を作製する際には、Mo粉末のD50粒径を、0.5μm以上1.0μm未満の範囲で、0.5μm、0.7μm、0.8μmに変更した3種の材料を用いて3種の試料を作製した。そして、各試料のMoの平均粒径を測定したところ、それぞれ、0.56μm、0.75μm、0.88μmであった。
[4−3.実験例3]
この実験例3は、ガラスの添加量による表面導電部の変化を調べたものである。
まず、前記第1実施形態と同様にして、No.4の試料であるセラミックス配線基板を作製した。但し、表面導電部のガラスの添加量は、0体積%とした。
そして、No.4の試料の厚み方向に沿った断面をSEMにより観察した。このSEM画像を図9Aに示す。この図9Aから明らかなように、表面導電部にガラスを添加しない場合には、表面導電部(図8Aの上部の白色部分)には、あまり欠陥(空隙)が見られなかった。但し、ガラスを添加しないので、基板との密着力の低下という問題はある。
次に、前記No.4と同様にして、No.5の試料であるセラミックス配線基板を作製した。但し、表面導電部のガラスの添加量は、1.5体積%とした。
そして、No.5の試料の厚み方向に沿った断面をSEMにより観察した。このSEM画像を図9Bに示す。この図9Bから明らかなように、表面導電部のガラスの添加量が、1.5体積%の場合には、表面導電部には、あまり欠陥が見られなかった。
次に、前記No.4と同様にして、No.6の試料であるセラミックス配線基板を作製した。但し、表面導電部のガラスの添加量は、3.5体積%とした。
そして、No.6の試料の厚み方向に沿った断面をSEMにより観察した。このSEM画像を図9Cに示す。この図9Cから明らかなように、表面導電部のガラスの添加量が、3.5体積%の場合には、表面導電部には、あまり欠陥が見られなかった。
次に、前記No.4と同様にして、No.7の試料であるセラミックス配線基板を作製した。但し、表面導電部のガラスの添加量は、5体積%とした。
そして、No.7の試料の厚み方向に沿った断面をSEMにより観察した。このSEM画像を図9Dに示す。この図9Dから明らかなように、表面導電部のガラスの添加量が、5体積%の場合には、表面導電部に、多くの欠陥が見られた。
[4−4.実験例4]
この実験例4は、Alの添加量による表面導電部の密着強度の変化を調べたものである。
まず、前記第1実施形態と同様にして、セラミックス配線基板を作製した。但し、表面導電部のAlの添加量を違えた試料を、それぞれ複数個作製した。
詳しくは、Alの添加量を、2.4体積%、5体積%、10体積%、15体積%と違えた試料を、それぞれ10個作製した。
そして、各試料に対して、表面導電部にNiメッキとAuメッキを施した後、表面導電部に対してワイヤーをハンダ付けし、密着強度測定用サンプルとした。このサンプルに対して、セラミックス配線基板を固定してワイヤーを垂直方向に引っ張り、表面導電部の密着強度を測定した。
その結果を図10に記す。図10から明らかなように、Alの添加量が10体積%の場合には、密着強度が20[N/2mm□]未満となるが、Alの添加量が10体積%を上回る場合には、密着強度が20[N/2mm□]以上となり、好適である。なお、図10中の灰色の長円を示す数値は平均値である。
[4−5.実験例5]
この実験例5は、Moの含有量による表面導電部の比抵抗の変化を調べたものである。
まず、前記第1実施形態と同様にして、セラミックス配線基板を作製した。但し、表面導電部のMoの含有量を、下記表1に記載のように違えた試料を作製した。
そして、各試料に対して、配線抵抗を測定した後、配線長、配線幅、配線厚みから、比抵抗を算出して、表面導電部の比抵抗を求めた。
その結果を下記表1に記すが、Moの含有量が75体積%以上の場合には、比抵抗が30[μΩ・cm]以下となり、好適である。
[4−6.実験例6]
この実験例6は、第1実施形態と同様にして(但し下記の表面導電部の条件を設定)、セラミックス配線基板の試料を作製し、表面導電部の状態(欠陥の状態)、密着強度、比抵抗を調べたものである。
(表面導電部の条件)
Mo添加量 :83.5体積%
Al添加量:15体積%
ガラス添加量 :1.5体積%
(実験結果)
・前記試料の厚み方向に沿った断面をSEMにより観察した。このSEM画像を図11に示す。この図11から明らかなように、表面導電部(図11の上部の白色部分)には、欠陥となるほどの空隙が見られなかった。
・前記実験例4と同様にて密着強度を測定したところ、密着強度は38.3[N/2mm□]であった。つまり、20[N/2mm□]以上であり、好適である。
・前記実験例5と同様にて比抵抗を測定したところ、比抵抗は23.1[μΩ・cm]であった。つまり、比抵抗は30[μΩ・cm]以下であり、好適である。
[5.その他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
(1)例えば、内部導電部、表面導電部、側面導電部、ビア導電部の組成については、本開示の範囲を逸脱しない範囲内で、各種の組成を採用できる。
例えば、導電成分としてMo又はWを用いる導電部において、Mo又はWに代えて、Mo及びWを採用することも可能である。
(2)表面導電部、側面導電部におけるNiの含有量については、表面隣接領域、側面隣接領域において、Niの含有量が0.01重量%以下であれば、好適にCuの熔出を抑制できる。
(3)セラミックス基板は、2つのセラミックス層を積層した形態に限られず、3以上の複数を積層した形態としてもよい。この場合、セラミックス層同士の間には内部導電部をそれぞれ設けることができる。また、内部導電部同士を接続するビア導電部を設けてもよい。この内部導電部同士を接続するビア導電部は、Cu及びMo、又は、Cu及びWを導電成分としてもよい。
(4)なお、上記各実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分担させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に発揮させたりしてもよい。また、上記各実施形態の構成の一部を、省略してもよい。また、上記各実施形態の構成の少なくとも一部を、他の実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
1、41、61…セラミックス配線基板
3、43、63…セラミックス基板
5、49、69…内部導電部
7、55、57、79、81…ビア導電部
9、51、53、75、77…表面導電部

Claims (8)

  1. アルミナを主成分とするセラミックス基板と、
    前記セラミックス基板の内部に配置された内部導電部と、
    前記セラミックス基板の表面に配置された表面導電部と、
    を備えたセラミックス配線基板において、
    前記内部導電部と前記表面導電部とは、前記セラミックス基板内に配置されたビア導電部を介して又は前記ビア導電部を介さずして、電気的に接続されており、
    前記内部導電部は、導電成分として、Cu及びMo、又は、Cu及びW、のいずれか一方を含み、
    前記ビア導電部及び前記表面導電部のうち少なくとも一方は、導電成分として、Moを含むとともに、前記導電成分中のNiの含有量が0.01重量%以下であり、
    且つ、前記Moの平均粒径が、0.5μm以上1.0μm未満である、
    セラミックス配線基板。
  2. 前記ビア導電部及び前記表面導電部のうち少なくとも一方において、前記Moの含有量は、75体積%以上90体積%以下である、
    請求項1に記載のセラミックス配線基板。
  3. 前記ビア導電部及び前記表面導電部のうち少なくとも一方において、Alの含有量は、10体積%を上回り20体積%以下である、
    請求項1又は2に記載のセラミックス配線基板。
  4. 前記ビア導電部及び前記表面導電部のうち少なくとも一方において、ガラスの含有量は、5体積%未満である、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載のセラミックス配線基板。
  5. 前記請求項1〜4のいずれか1項に記載のセラミックス配線基板の製造方法であって、
    アルミナを主成分とする材料を用いて作製したグリーンシートと、導電成分を含む無機材料を用いて作製した導電形成部とを、同時に又は別個に焼成して、それぞれ、セラミックス基板と前記ビア導電部及び前記表面導電部のうち少なくとも一方とを作製する工程を有しており、
    前記ビア導電部及び前記表面導電部のうち少なくとも一方の作製に使用する前記導電成分の材料として、平均粒径D50が0.5μm以上1.0μm未満のMo粉末を用いる、
    セラミックス配線基板の製造方法。
  6. 前記無機材料において、前記Mo粉末の添加量は、75体積%以上90体積%以下である、
    請求項5に記載のセラミックス配線基板の製造方法。
  7. 前記無機材料において、Al粉末の添加量は、10体積%を上回り20体積%以下である、
    請求項5又は6に記載のセラミックス配線基板の製造方法。
  8. 前記無機材料において、ガラスの添加量は、5体積%未満である、
    請求項5〜7のいずれか1項に記載のセラミックス配線基板の製造方法。
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