JP2020084033A - 生分解性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】卵殻由来の特定の粉末を含有する生分解性樹脂組成物を製造する方法を提供するとともに、抗菌性、生分解性、機械的強度及び耐熱性が付与された生分解性樹脂組成物及び成形品を提供すること。【解決手段】生分解性樹脂組成物の製造方法であって、卵殻粉末と、生分解性樹脂粉末とを混合する工程、及び前記混合工程の後、該混合物を溶融混練する工程とを含み、前記卵殻粉末及び前記生分解性樹脂粉末は、それぞれ0.1μm〜200μmの平均粒径を有する粉末であり、かつ、それらの平均粒径の比率が±1000%以内であることを特徴とする、製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、卵殻粉末と生分解性樹脂とを含有する生分解性樹脂組成物の製造方法並びに生分解性樹脂組成物に関する。
合成樹脂は、各種日用品、包装材料、飲料容器、家電製品、住宅用品、建設資材及び電気・電子機器等の様々な用途に用いられている。
そして、その中でも、ヒトが接触する機会の多い製品は病原菌や雑菌の感染源となる可能性があることから、衛生上安全であることが望まれ、それらの製品にはバクテリア等の細菌の発生・生育・増殖を抑制する抗菌性や、真菌の発生・生育・増殖を抑制する抗かび性等の特性が求められている。
また近年、合成樹脂の大量生産、大量消費及び大量廃棄が大きな社会問題になっている。廃棄された合成樹脂は、焼却処理や埋め立て処理され、地球温暖化や土壌汚染の原因になっている他、海洋上を漂って海上汚染域を形成し、鳥獣類の生育に被害を及ぼしている。このような問題に配慮した生分解性樹脂が開発され、実用化されつつある。
例えば、特許文献1には、ホタテ貝の貝殻を粉砕し焼成し更に水和させたものに、酸化ホウ素粉末を混合して得られた粉末抗菌剤を熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂に配合した抗菌性製品が開示されている。
また、特許文献2には、ホタテ貝殻由来の炭酸カルシウムを焼成して得られた粉末をポリ乳酸樹脂に配合した農業用マルチフィルムが開示されている。
特開第5515106号明細書 特許第5977997号明細書
上述したように、これまでにも貝殻焼成粉末を生分解性樹脂を始めとする樹脂と混合した樹脂組成物並びに成形品の提案がある。
一方、貝殻と同様に炭酸カルシウムを主成分とする卵殻は、肥料やチョーク等への利用が知られているものの、樹脂に配合する場合に卵殻が均一に混ざり難いという問題があり、特に生分解性樹脂への均一な混合は困難であるという問題があった。
本発明は、卵殻由来の特定の粉末を含有する生分解性樹脂組成物を製造する方法を提供するとともに、生分解性、機械的強度及び耐熱性が付与され、さらには抗菌性も付与され得る生分解性樹脂組成物及び成形品を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意研究を行った結果、卵殻を生分解性樹脂とを含有する樹脂組成物を製造する際、溶融樹脂に添加剤を配合する通常の溶融混練工程を経る前に、卵殻粉末と生分解性樹脂粉末とを混合し、その後混合物を溶融混練することにより、卵殻粉末と生分解性樹脂とが均一に混合した樹脂組成物が得られることを見出した。
そして上記の方法により得られた樹脂組成物が、溶融樹脂に卵殻粉末を添加した混合物と比べて、生分解性、機械的強度及び耐熱性に優れたものとなること、さらには抗菌性も
付与できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、生分解性樹脂組成物の製造方法であって、卵殻粉末と、生分解性樹脂粉末とを混合する工程、及び前記混合工程の後、該混合物を溶融混練する工程とを含み、前記卵殻粉末及び前記生分解性樹脂粉末は、それぞれ、0.1μm〜200μmの平均粒径を有する粉末であり、かつ、それらの平均粒径の比率
が±1000%以内であることを特徴とする、製造方法を対象とする。
上記製造方法において、前記卵殻粉末及び前記生分解性樹脂粉末がいずれも、粒度分布測定又は篩分けによって測定した粒度分布により得られる、篩い下60%粒子径を篩い下60%粒子径で除した値として定義される均一度が10以下であることが好ましい。
また、前記卵殻粉末は、焼成卵殻の消化粉末を含んでいてもよい。
また本発明は前述の製造方法により得られる生分解性樹脂組成物も対象とする。
好適な態様において、前記生分解性樹脂組成物は、その総質量に基いて、前記卵殻粉末を1質量%乃至80質量%の割合にて含む。
また前記生分解性樹脂が、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリ(ヒドロキシブチレート/ヒドロキシヘキサノエート)(PHBH)等のポリヒドロキシアルカン酸;ポリカプロラクトン(PCL)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ(カプロラクトン/ブチレンサクシネート)(PCLBS)、ポリ(ブチレンスクシネート/アジペート)(PBSA)、ポリ(ブチレンスクシネート/カーボネート)(PEC)、ポリ(エチレンテレフタレート/サクシネート)(PETS)、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)(PTMAT)、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリ(エチレンサクシネート/アジペート)、(ポリ乳酸/ポリブチレンサクシエート系)ブロックコポリマー、ポリビニルアルコール(PVA)、変性でんぷん、酢酸セルロース、キチン、キトサン、リグニン、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択されるものであることが好ましい。
さらに、前記生分解性樹脂組成物からなる成形品も本発明の対象である。
また本発明は、卵殻粉末と生分解性樹脂とを含有する生分解性樹脂材料であって、前記卵殻粉末及び前記生分解性樹脂粉末は、それぞれ0.1μm〜200μmの平均粒径を有する粉末であり、かつ、それらの平均粒径の比率が±1000%以内であることを特徴とする、生分解性樹脂材料も対象とする。前記卵殻粉末は、焼成卵殻の消化粉末を含んでいてもよい。
さらに本発明は、焼成卵殻の消化粉末からなり、0.1μm〜200μmの平均粒径を有する、生分解促進性抗菌フィラーも対象とする。
本発明の製造方法によれば、これまで均一な組成物の製造が困難とされた、卵殻粉末を含有する生分解性樹脂組成物を製造することができる。
そして本発明によれば、生分解性、機械的強度及び耐熱性に優れ、抗菌性も付与可能な、卵殻粉末含有の生分解性樹脂組成物及び成形品を提供できる。
また本発明の生分解促進性抗菌フィラーは、生分解性樹脂に対して抗菌性、優れた生分解性、機械的強度及び耐熱性を付与することができる。
さらに、卵殻はいわば廃棄物としても入手が可能な安価な材料であり、しかも本発明によれば卵殻粉末を樹脂組成物の最大80質量%まで配合することができることから、機械的強度及び耐熱性を付与し、抗菌性も付与可能な生分解性樹脂組成物及びその成形品をより安価に提供することが可能となる。
本発明は卵殻粉末と、生分解性樹脂とを含有する生分解性樹脂組成物の製造方法を対象とするものである。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
<卵殻粉末>
本発明で使用する卵殻の原料としては、例えば、ニワトリ卵殻、アヒル卵殻、ウズラ卵殻、ダチョウ卵殻など、天然又は飼育された鳥類の卵殻を使用し得る。中でも、卵殻組成が均一である点、並びに、供給量が多く一定量を安価で確保できる観点から、ニワトリ卵殻を使用することが好ましい。
これらの卵殻は、そのまま、または粉砕して粉砕物或いは粉末状とし、90〜120℃で乾燥させることにより、卵殻粉末が得られる。
上記卵殻粉末には、焼成卵殻の消化粉末が含まれてもいてもよい。
なお以下の説明において、便宜上、卵殻粉末と焼成卵殻の消化粉末とを分けて記載しているが、“焼成卵殻の消化粉末”は“卵殻粉末”に内包される概念である。
また本発明において使用する卵殻粉末には焼成卵殻の消化粉末が含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。すなわち、卵殻粉末における焼成卵殻の消化粉末の配合割合(質量割合)は0〜100質量%とすることができ、例えば0.001〜99質量%、0.01〜80質量%、0.005〜50質量%、0.1〜40質量%、1〜30質量%、あるいはまた1〜90質量%、10〜80質量%、20〜70質量%、30〜60質量%など、様々な割合とすることができる。
焼成卵殻の消化粉末とするには、まず卵殻をそのまま、または粉砕して粉砕物或いは粉末状とした後、例えば600℃〜1500℃で、例えば700℃〜1200℃で、また例えば850℃〜1000℃で、例えば炭酸ガスを導入しながら焼成する。焼成は空気中で行ってもよいし、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行なってもよい。焼成時間は焼成温度等によって適宜設定されるが、通常、雰囲気温度が所定の焼成温度に到達した後、1分〜60分、例えば3分〜30分、また例えば4分〜20分である。こうした焼成処理により、不要な有機物を熱分解によって除去する。
焼成後、続いて700℃〜1200℃の温度下にて、例えば850℃〜1000℃の温度下にて、加水し水和(消化)させて水酸化カルシウム主体の焼成物を得る。
なお生物由来のカルシウム化合物の組成は、一般的に炭酸カルシウム(CaCO)であり、これを焼成することによって酸化カルシウム(CaO)が得られる。本発明においては、焼成後に所定の加水処理を施すことにより、酸化カルシウムを水和させて水酸化カルシウム(Ca(OH))に変成させる。水酸化カルシウムは、pH12〜13にも及ぶ強アルカリ性を示すことにより、消臭効果、抗菌効果、防腐効果などの各種の効果が発揮されることになる。
すなわち、焼成卵殻の消化粉末は抗菌剤としての機能も有することとなる。
前述の卵殻粉末を得る際(乾燥の過程)、また、焼成卵殻の消化粉末を得る際(焼成又は水和(消化)の過程)で、適宜粉砕を実施し、また必要に応じて粉砕を繰り返し実施することにより、最終的に平均粒径0.1μm〜200μm、例えば0.1μm〜150μm、0.1μm〜100μm、0.1μm〜80μm、0.1μm〜60μm、1μm〜60μm、また例えば10μm〜100μm、20μm〜100μm、30μm〜100μm、40μm〜150μm、50μm〜200μmの微粉末形態の卵殻粉末、焼成卵殻の消化粉末を得る。平均粒径は樹脂組成物が適用される製品(成形品)の種類によって適宜選択され得、例えばフィルム状など薄層の成形品に適用される場合にはその厚さに応じて10μm程度まで、より厚みのある成形物の場合にはその厚さに応じて100μm〜200μm程度まで選択可能である。ただ、卵殻粉末、焼成卵殻の消化粉末の平均粒径が0.1μmより小さいと、粉末自体の製造が困難となり、また凝集しやすくなるなど取り扱
いが困難となり得るため注意を要する。
なお本発明において平均粒径とは、光学顕微鏡により測定した値や、篩分けによって得られる値をいう。またレーザ回折式粒度分布測定装置で測定した50%径(X50、D50ともいう)として得られた値を採用してもよい。
本発明にあっては、卵殻粉末はその粒径が一定に近いものであること、すなわち単分散であり、また、粒度分布が狭いものであることが好ましい。粒径が一定に近いものとすることにより、後述する生分解性樹脂粉末との混合をより均一なものとすることができる。例えば、粒度分布の幅の広さ(狭さ)を表す指標として均一度が挙げられる。均一度は、粒度分布測定あるいは篩分けによって測定した粒度分布により得られる、篩い下60%粒子径を篩い下60%粒子径で除した値であり、この値がより1に近いと、粒度分布の幅が狭く、粒子径が揃っており、凝集性が低く、流動性の高い粒子(粉末)であることを意味する。例えば均一度が10以下、8以下、5以下、3以下、また2以下の粉末を用いることができる。
なお篩分けを利用することで、卵殻粉末の粒径を測定するとともに、卵殻粉末(粒子)の粒径を一定のものとする(分散度(粒度分布)を狭いものとする)ことを同時に実現できる。
このように、粒子径を0.1〜200μm程度に微細化することによって、焼成卵殻の消化粉末とした際のpHは13.2程度にまで上昇し、消臭・抗菌効果が極めて強力になることを出願人により確認している。
また卵殻粉末の粒径をより細かくすることにより、後述する樹脂との混合において、より均一な混合を実現でき、ひいては生分解性、機械的強度及び耐熱性に優れ、また抗菌性にも優れ得る樹脂組成物を得ることができる。
なお、卵殻粉末を得る際の乾燥の前後、また、焼成粉末を得る際の焼成処理の前後において、卵殻(又はその粉砕物等)の洗浄を実施することが好ましい。洗浄により、卵殻に付着する汚れ等の不純物や、卵殻膜を除去することができる。
乾燥後や焼成処理後においてこれら不純物や卵殻膜が残存した場合、これを後述する樹脂と混合して樹脂組成物と為した際、性能の低下や望まない着色、望ましくない臭いが残存することがある。例えば卵殻膜はケラチン(硫黄分を含有)を主成分とする蛋白質よりなるため、残存したまま樹脂に配合して樹脂組成物を為し、これを成形した場合、硫黄分に由来する不快な臭いが発生する虞がある。
洗浄にかかる条件は特に限定されず、卵殻の状態により適宜設定され得、例えば水を用いて、室温〜50℃程度にて、1分〜60分程度から適宜選択される。また抗菌水を使用して洗浄を実施してもよい。洗浄は複数回実施してもよい。
またこれらの処理過程において、必要に応じて例えば70℃乃至120℃の温度下にて卵殻又はその粉砕物(粉末)等の乾燥を適宜実施する。乾燥によって、洗浄後に焼成処理や粉砕処理を行う場合にそれらの速やかな実施が実現でき、また乾燥により、卵殻に付着する好ましくない臭いを減少させることもできる。乾燥は複数回実施することができる。
<生分解性樹脂>
本発明に使用可能な生分解性樹脂として、従来公知の樹脂を使用することができる。
生分解性樹脂として、例えば、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリ(ヒドロキシブチレート/ヒドロキシヘキサノエート)(PHBH)等のポリヒドロキシアルカン酸;ポリカプロラクトン(PCL)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ(カプロラクトン/ブチレンサクシネート)(PCLBS)、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)(PBSA)、ポリ(ブチレンスクシネート/カーボネート)(PEC)、ポリ(エチレンテレフタレート/サクシ
ネート)(PETS)、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)(PTMAT)、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリ(エチレンサクシネート/アジペート)等のポリエステル樹脂;(ポリ乳酸/ポリブチレンサクシエート系)ブロックコポリマー;ポリビニルアルコール(PVA);変性でんぷん;酢酸セルロース;キチン;キトサン;リグニンなど、並びにこれらの組み合わせを挙げることができ、これらに限定されるものではない。
生分解性樹脂は適用箇所(用途)に求められる特性に応じて適宜選択され得る。
生分解性樹脂は、粉砕機を用いて平均粒径0.1μm〜200μm、例えば0.1μm〜150μm、0.1μm〜100μm、0.1μm〜80μm、0.1μm〜60μm、1μm〜60μm、また例えば10μm〜100μm、20μm〜100μm、30μm〜100μm、40μm〜150μm、50μm〜200μmの微粉末形態とする。
また前述の卵殻粉末と同様に、生分解性樹脂粉末はその粒径が一定に近いもの(単分散であり、粒度分布が狭い)であることが好ましい。例えば該粉末は均一度が10以下のもの、また例えば8以下、5以下、3以下、また2以下であるものを用いることができる。
<配合量>
前述の卵殻粉末の配合量(焼成卵殻の消化粉末を含む場合には該消化粉末を含んだ配合量)は、生分解性樹脂の種類によって異なるものの、例えば樹脂組成物の総質量に基いて1質量%乃至80質量%の割合にて、また例えば10質量%乃至70質量%、30質量%乃至65質量%の割合にて、配合することができる。
あるいは、卵殻粉末の配合量は、生分解性樹脂100質量部に対して例えば1質量部乃至400質量部であり、また例えば10質量部乃至250質量部、40質量部乃至200質量部などとすることができる。
卵殻粉末の配合量を上述の配合量範囲とすることにより、機械的強度や耐熱性、生分解性、そして抗菌性に優れる樹脂組成物を得ることができる。本発明にあっては、充填剤等が配合されてなる従来の樹脂組成物と比べても多量の卵殻粉末を配合することができるため、これまで生分解性樹脂を使用した各種材料において問題とされたコスト高の問題の解消にもつながり得る。但し、配合量が少なすぎる場合には配合による効果:所望の強度、生分解性、抗菌性等を得られず、また配合量が多すぎる場合には、その後に得られる成形物における機械特性や表面外観に悪影響を及ぼす虞があり、組み合わせる生分解性樹脂の種類や、樹脂組成物の用途により、卵殻粉末の配合量は適宜決定される。
<樹脂組成物の製造方法>
本発明にあっては、従来の樹脂混練物を製造する方法、すなわち、溶融樹脂に添加剤等を配合する方法とは異なり、まず前記卵殻粉末と、前記生分解性樹脂粉末とを、粉末状態にて混合することを特徴とする。ここで均一に混合した後、該混合物を溶融混練し、卵殻粉末と生分解性樹脂とが均一に混合した樹脂組成物を得る
前記卵殻粉末と前記生分解性樹脂粉末との混合にあたり、これら粉末の平均粒径の比率(一方の粉末の平均粒径に対する、他方の粉末の平均粒径の比率)が±1000%以内となることが好適であり、例えば±900%以内、±800%以内、±700%以内、±600%以内、±500%以内、±400%以内、±300%以内、±250%以内、±200%以内、±150%以内、±100%以内、±50%以内などとすることができる。なお、平均粒径が異なる卵殻粉末及び/又は樹脂粉末を組み合わせて混合する場合、例えば卵殻粉末が焼成卵殻の消化粉末を含み、該卵殻粉末(消化粉末以外)と該消化粉末の平均粒径が異なる場合、上記平均粒径の比率は、一方の粉末(例:卵殻粉末)を構成する主たる粉末の平均粒径と、他方の粉末(例:樹脂粉末)の平均粒径の比率として考慮すればよい。
このように、卵殻粉末と生分解性樹脂粉末の平均粒径を±10倍以内の程度の同程度の大きさとすることにより、卵殻粉末と生分解性樹脂粉末のより均一な混合が可能となる。
なお、卵殻粉末の平均粒径は生分解性樹脂粉末の平均粒径より小さい態様であることが好ましい。
上記の混合は、当業者に既知の装置、例えばタンブラー、単軸押出機、2軸押出機、ニーダー、ミキサー、2本ロールミルを用いて実施することができる。粉末状態で十分に均一となるように混合した後、溶融・混練し、樹脂組成物とする。
その後、射出成形、押出成形、ブロー成形等を用いて所望の形状に成形されて製造される。或いはカレンダー法やキャスティング法などによりフィルム・シート状に成形したり、用途によっては発泡させた製品としてもよい。
<その他添加剤>
本発明の樹脂組成物には、所望により、従来の熱可塑性樹脂からなる成形製品に慣用されている添加剤、例えば可塑剤、安定剤、酸化防止剤、充填剤、紫外線吸収剤、着色剤(顔料、染料など)、つや消し剤、劣化防止剤、蛍光増白剤、防炎剤、帯電防止剤、粘度調整剤、抗菌剤等の補助成分を添加することもできる。これらは、卵殻粉末と生分解性樹脂粉末とを混合した後、該混合物を溶融混練する際に添加することができる。また、卵殻粉末と生分解性樹脂粉末との混合時に、これら補助成分を添加してもよい。
なお、本発明は、卵殻粉末と生分解性樹脂とを含有する生分解性樹脂材料も対象とする。前記生分解性樹脂材料において、前記卵殻粉末及び前記生分解性樹脂粉末は、それぞれ0.1μm〜200μmの平均粒径を有する粉末であり、かつ、それらの平均粒径の比率が±1000%以内であることを特徴とする。なお前記卵殻粉末は、焼成卵殻の消化粉末を含んでいてもよい。
また本発明は、焼成卵殻の消化粉末からなり、0.1μm〜200μmの平均粒径を有する、生分解促進性抗菌フィラーも対象とする。
本発明の樹脂組成物は、優れた抗菌効果を有するとともに、強度に優れ、かつ、生分解性に優れる樹脂組成物である。
そのため、本発明の樹脂組成物には、様々な用途に適用可能である。
例えば、トレー、発泡トレー、ストレッチフィルム、シュリンクフィルム、ブローボトル、リフィル容器、飲料用ボトル、歯ブラシ用ブリスター等の各種包装資材;
各種食品用容器(デザート、惣菜、インスタント食品、レトルト食品、弁当容器等);
乳製品、清涼飲料水、酒類等の飲料用コップ及び飲料用ボトル;飲料・調味料等のキャップ等の飲食品関連製品;
ゴミ袋、レジ袋、ポリ袋、水切りネット、皿、箸、スプーン、フォーク、ナイフ等の食器、食器トレー、弁当箱、箸ケース等;
容器、結束テープ、歯ブラシや剃刀の柄、シャンプー・リンス用ボトル、化粧品ボトル、ペン、マーカー等の日用品・生活関連用品;
定規、クリップ等の文具類;
各種電子機器・OA機器・電化製品等のハウジング(携帯電話、プリンター、複写機、ランプシェード等)
ハウス用フィルム、トンネルフィルム、マルチフィルム、植生フィルム、苗木用ポット、種ひも、肥料・農薬の被覆材等の農業・園芸用資材、植生ネット、土嚢袋、工事用型枠、土木用シート、芝止め杭等の土木用資材;
住宅建材、住宅資材;
漁網、海苔網、養殖用網、釣り糸、釣り餌袋などの漁業用資材;
紙おむつや生理用品等の防水シート;
注射器、創傷被覆材等の医療器具・医療用資材;
空気用フィルター、その他磁気カード、ラベル、離型紙、ゴルフティ等、各種用途への適用が可能である。
以下、実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものでない。
[製造例1:卵殻粉末の製造]
ニワトリの卵殻を洗浄して卵殻表面に付着する汚れや卵殻膜を除去した。洗浄した卵殻を水分がなくなる程度に乾燥し、粉砕機でさらに微粉砕して、平均粒径が10μmの粉末状の卵殻粉末(1)並びに、平均粒径が3μmの粉末状の卵殻粉末(2)を製造した。
[製造例2:抗菌剤(焼成卵殻の消化粉末)の製造]
ニワトリの卵殻を洗浄して卵殻表面に付着する汚れや卵殻膜を除去した。洗浄した卵殻を水分がなくなる程度に乾燥し、900℃で10分間焼成を行った。ついで、約700乃至850℃の温度下で焼成物に水を加えて消化し、得られた消化物(水酸化カルシウム主体)を粉砕機でさらに微粉砕して、平均粒径が10μmの粉末状の焼成卵殻の消化粉末(1)並びに、平均粒径が3μmの粉末状の焼成卵殻の消化粉末(2)を製造した。
なお、該焼成卵殻の消化粉末を元素分析した結果、カルシウムを99%以上含む点が確認され、また熱重量分析した結果、水酸化カルシウムを95.7質量%含む点が確認された。
[例1〜例5:生分解性樹脂組成物の製造]
ポリ乳酸(ユニチカ(株)製、商品名:テラマックTE−2000)をタンブラーで粉砕し、平均粒径が10μmのポリ乳酸粉末(1)及び平均粒径が3μmのポリ乳酸樹脂粉末(2)、並びに平均粒径が150μmのポリ乳酸粉末(3)を製造した。
製造例1で製造した卵殻粉末(1)とポリ乳酸粉末(1)とを十分に混合した後、溶融混練して樹脂組成物1を得た。
同様に、製造例1で製造した卵殻粉末(2)とポリ乳酸粉末(2)とを十分に混合した後、溶融混練して樹脂組成物2を得た。
また製造例1で製造した卵殻粉末(1)とポリ乳酸粉末(2)とを十分に混合した後、溶融混練して樹脂組成物3を得た。
さらに、製造例1で製造した卵殻粉末(2)とポリ乳酸粉末(1)とを十分に混合した後、溶融混練して樹脂組成物4を得た。
そして、製造例1で製造した卵殻粉末(1)とポリ乳酸粉末(3)とを十分に混合した後、溶融混練して樹脂組成物5を得た。
[例6〜例7:生分解性樹脂組成物の製造]
ポリ乳酸(ユニチカ(株)製、商品名:テラマックTE−2000)を溶融し、ここに、製造例1で製造した卵殻粉末(1)又は卵殻粉末(2)を投入して溶融混練し、樹脂組成物6及び7を得た。
[例8〜例12:生分解性樹脂組成物の製造]
ポリブチレンサクシネート(三菱化学(株)、商品名:GS Pla AD92W)をタンブラーで粉砕し、平均粒径が10μmのポリブチレンサクシネート粉末(1)及び平均粒径が3μmのポリブチレンサクシネート粉末(2)、並びに平均粒径が150μmのポリブチレンサクシネート粉末(3)を製造した。
製造例1で製造した卵殻粉末(1)とポリブチレンサクシネート粉末(1)とを十分に混合した後、溶融混練して樹脂組成物8を得た。
同様に、製造例1で製造した卵殻粉末(2)とポリブチレンサクシネート粉末(2)とを十分に混合した後、溶融混練して樹脂組成物9を得た。
また製造例1で製造した卵殻粉末(1)とポリブチレンサクシネート粉末(2)とを十
分に混合した後、溶融混練して樹脂組成物10を得た。
さらに、製造例1で製造した卵殻粉末(2)とポリブチレンサクシネート粉末(1)とを十分に混合した後、溶融混練して樹脂組成物11を得た。
そして、製造例1で製造した卵殻粉末(1)とポリブチレンサクシネート粉末(3)とを十分に混合した後、溶融混練して樹脂組成物12を得た。
[例13〜例14:生分解性樹脂組成物の製造]
ポリブチレンサクシネート(三菱化学(株)、商品名:GS Pla AD92W)を溶融し、ここに、製造例1で製造した卵殻粉末(1)又は卵殻粉末(2)を投入して溶融混練し、樹脂組成物13及び14を得た。
得られた例1〜例7、例8〜例14の樹脂組成物において、以下の基準にて評価した。[評価基準]
◎ 均一な樹脂組成物が得られる(卵殻粉末と樹脂粉末の区別がつかない)
○ 一部不均一な部分がみられるがほとんど均一な樹脂組成物が得られる
△ 一部不均一な樹脂組成物が得られる
× 生分解性樹脂に卵殻粉末が混ざらず、分離する
なお、以上の例1〜例7、例8〜例14において、卵殻粉末は、生分解性樹脂(ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート)100質量部に対して、いずれも10質量部となるように添加した。
Figure 2020084033
Figure 2020084033
表1及び表2に示すように、卵殻粉末と生分解性樹脂粉末の平均粒径の比率が±1000%を超える(例5及び例12)と、均一な混練物(樹脂組成物)が得られず、また、溶融した生分解性樹脂に卵殻粉末を添加した場合(例6及び例7、例13及び例14)には、両者が分離し、樹脂組成物を得ることができなかった。
[例15〜例18:生分解性樹脂組成物の製造]
ポリ乳酸(ユニチカ(株)製、商品名:テラマックTE−2000)をタンブラーで粉砕し、平均粒径が100μmのポリ乳酸粉末(4)を製造した。
製造例1で製造した平均粒径が10μmの卵殻粉末(1)と、製造例2で製造した平均粒径が10μmの焼成卵殻の消化粉末(1)と、ポリ乳酸粉末(4)とを十分に混合した後、溶融混練して樹脂組成物15を得た。
同様に、製造例1で製造した平均粒径が3μmの卵殻粉末(2)と、製造例2で製造した平均粒径が3μmの焼成卵殻の消化粉末(2)と、ポリ乳酸粉末(4)とを十分に混合した後、溶融混練して樹脂組成物16を得た。
また、製造例1で製造した平均粒径が10μmの卵殻粉末(1)と、製造例2で製造した平均粒径が3μmの焼成卵殻の消化粉末(2)と、ポリ乳酸粉末(4)とを十分に混合した後、溶融混練して樹脂組成物17を得た。
さらに、製造例1で製造した平均粒径が3μmの卵殻粉末(2)と、製造例2で製造した平均粒径が10μmの焼成卵殻の消化粉末(1)と、ポリ乳酸粉末(4)とを十分に混合した後、溶融混練して樹脂組成物18を得た。
得られた例15〜例18の樹脂組成物において、以下の基準にて評価した。
[評価基準]
◎ 均一な樹脂組成物が得られる(卵殻粉末と樹脂粉末の区別がつかない)
○ 一部不均一な部分がみられるがほとんど均一な樹脂組成物が得られる
△ 一部不均一な樹脂組成物が得られる
× 生分解性樹脂に卵殻粉末が混ざらず、分離する
なお、以上の例15〜例18において、生分解性樹脂(ポリ乳)100質量部に対して、卵殻粉末は50質量部、焼成卵殻の消化粉末は5質量部となるように添加した。
Figure 2020084033
表3に示すように、卵殻粉末及び焼成卵殻の消化粉末と、生分解性樹脂粉末の平均粒径の比率が±1000%を超えた場合(例16)、また、卵殻粉末を構成する主たる成分の平均粒径と生分解性樹脂粉末の平均粒径の比率が±1000%を超えた場合(例18)にあっては、均一な混練物(樹脂組成物)が得られなかった。一方、粉末同士の平均粒径の比率が±1000%以内である場合(例15、例17)には、均一な混練物(樹脂組成物)を得ることができた。
<抗菌性評価>
[例19及び例20:樹脂組成物及び成形品の製造]
製造例2で製造した焼成卵殻の消化粉末(1)(抗菌剤)を、前記ポリ乳酸粉末(1)100質量部に対して、10質量部となるように混合し、幅40mm×長さ40mm×厚さ20μmの試験片を製造し、例19とした(供試菌の種類に応じて各例毎に6つの試験片を作成)。
また例20として、焼成卵殻の消化粉末未添加のポリ乳酸からなる試験片を製造した。
さらに、前記の例15及び17で製造した樹脂組成物を用いて、上記の大きさの試験片を製造した。
[試験1:かび抵抗性試験]
JIS Z2911−2010、付属書A(規定)[プラスチック製品のかび抵抗性の試験]に準じて、例19及び例20で製造した試験片、並びに例15及び例17の樹脂組成物から製造した試験片のかび抵抗性試験を実施した。
作製した5つの試験片をそれぞれエタノールに約1分間浸した後、45℃で4時間乾燥させた。次に、無機塩寒天平板培地に試験片をのせ、湿潤剤添加無機塩溶液を用いて調製した下記5種のかびの胞子を含む懸濁液(混合胞子懸濁液)0.1mLを試料(試験片)と寒天平板培地の全面に接種した。接種後、寒天平板培地を29±1℃、相対湿度95%以上で4週間培養した後、培養後の試験片表面を目視又は実態顕微鏡で観察して、下記表4に従いかび抵抗性を評価した。その結果を表5及び表6に示す。
<供試菌>
スペルギルス ニゲル(Aspergillus niger)NBRC 105649
ペニシリウム ピノヒルム(Penicillium pinophilum)NBRC 33285
ペシロミセス バリオッチ(Paecilomyces variotil)NBRC 33284
トリコデルマ ビレンス(Trichoderma virens)NBRC 6355
ケトミウム グロボスム(Chaetomium globosum)
また、上記混合胞子懸濁液の代わりに単一胞子懸濁液[ムコール ラセモサス(Mucor racemosus)NBRC 5403]を用いた以外は、上記[かび抵抗性試験]と同様の手順で、単一胞子懸濁液[ムコール ラセモサス(Mucor racemosus)NBRC 5403]に対するかび抵抗性も評価した。
Figure 2020084033
Figure 2020084033
Figure 2020084033
表5及び表6の結果より、菌を29±1℃、相対湿度95%以上で4週間培養した場合であっても、例19、例15及び例17の試験片では、全てのかびに対して発育が観測されず、優れたかび抵抗性を示した。一方、焼成卵殻の消化粉末未添加の試験片(例20)では、全てのかびに対して発育が激しく、発育の程度は試験片の全面をかびが覆う程であった。
以上、焼成卵殻の消化粉末が、抗かび剤として作用することを確認した。
<強度評価>
[例21:樹脂組成物及び成形品の製造]
製造例1で製造した卵殻粉末(1)を、前記ポリ乳酸粉末(1)100質量部に対して表7に示す配合量となるように混合し、射出成型機により幅10mm×長さ8mm×厚さ4mmの試験片を製造した。
[試験2:衝撃強度試験]
JIS K7 110に準拠して、例21で製造した各試験片のIzod衝撃強度を測定した。
衝撃試験は成形物の耐衝撃性・耐久性を示すことから高いことが好ましく、5kJ/cmより低い場合には問題の発生する可能性が高いので×として判定した。得られた結果を表7に合わせて示す。
[評価基準]
◎:15kJ/cm以上
○:10kJ/cm以上15kJ/cm未満
△:5kJ/cm以上10kJ/cm未満
×:5kJ/cm未満
[試験3:耐熱性試験]
JISK 7191−2に準拠して、例21で製造した各試験片の熱変形温度を測定した。耐熱性を示す熱変形温度も高いことが好ましく、70℃よりも低い場合には夏場の自動車内などの高温環境下で容易に変形してしまうことなどから×として判定した。得られた結果を表7に合わせて示す。
[評価基準]
◎:100℃以上
○:80℃以上100℃未満
△:70℃以上80℃未満
×:70℃未満
Figure 2020084033
表7の結果より、卵殻粉末を配合した樹脂組成物において耐衝撃性は向上したものの、配合量を増加させすぎた場合にはかえって耐衝撃性が損なわれることを確認した。
耐熱性は、卵殻粉末の配合量が増加すると向上し、但し耐衝撃性同様に、配合量を増加させすぎると耐熱性が損なわれることを確認した。
<生分解性評価>
[例22及び例23:樹脂組成物及び成形品の製造]
前記卵殻粉末(2)を、前記ポリ乳酸粉末(2)100質量部に対して3質量部混合した後、これをホットプレス法にて幅6mm×長さ100mm×厚さ0.1mmの短冊状試験片を製造し、これを例22とした。
また例23として、卵殻粉末未添加のポリ乳酸からなる試験片を製造した。
[試験4:加水分解試験]
例22及び例23の試験片それぞれイオン交換水15mL(例22:pH6.7、例23:pH7.3)に浸漬させ、恒温振とう水槽中にて40℃で加水分解試験を行った。試験開始から10日、20日、30日経過時のフィルムの質量変化を重量減少率(%)として算出し、加水分解性を評価した。結果を表8に示す。
Figure 2020084033
表8に示すように、例22の試験片は日数が経過するにつれて重量が減少したものの、
例23の試験片には重量変化がほとんど生じないとする結果であった。

Claims (10)

  1. 生分解性樹脂組成物の製造方法であって、
    卵殻粉末と、生分解性樹脂粉末とを混合する工程、及び
    前記混合工程の後、該混合物を溶融混練する工程とを含み、
    前記卵殻粉末及び前記生分解性樹脂粉末は、それぞれ0.1μm〜200μmの平均粒径を有する粉末であり、かつ、それらの平均粒径の比率が±1000%以内であることを特徴とする、
    製造方法。
  2. 前記卵殻粉末及び前記生分解性樹脂粉末は、いずれも、
    粒度分布測定又は篩分けによって測定した粒度分布により得られる、篩い下60%粒子径を篩い下60%粒子径で除した値として定義される均一度が10以下である、
    請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記卵殻粉末が、焼成卵殻の消化粉末を含む、請求項1又は請求項2に記載の製造方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載の製造方法より得られる生分解性樹脂組成物。
  5. 前記樹脂組成物の総質量に基いて、前記卵殻粉末を1質量%乃至80質量%の割合にて含む、請求項4に記載の生分解性樹脂組成物。
  6. 前記生分解性樹脂が、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリ(ヒドロキシブチレート/ヒドロキシヘキサノエート)(PHBH)等のポリヒドロキシアルカン酸;ポリカプロラクトン(PCL)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ(カプロラクトン/ブチレンサクシネート)(PCLBS)、ポリ(ブチレンスクシネート/アジペート)(PBSA)、ポリ(ブチレンスクシネート/カーボネート)(PEC)、ポリ(エチレンテレフタレート/サクシネート)(PETS)、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)(PTMAT)、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリ(エチレンサクシネート/アジペート)、(ポリ乳酸/ポリブチレンサクシエート系)ブロックコポリマー、ポリビニルアルコール(PVA)、変性でんぷん、酢酸セルロース、キチン、キトサン、リグニン、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項4又は請求項5に記載の生分解性樹脂組成物。
  7. 請求項4乃至請求項6のうちいずれか一項に記載の生分解性樹脂組成物からなる成形品。
  8. 卵殻粉末と生分解性樹脂とを含有する生分解性樹脂材料であって、
    前記卵殻粉末及び前記生分解性樹脂粉末は、それぞれ0.1μm〜200μmの平均粒径を有する粉末であり、かつ、それらの平均粒径の比率が±1000%以内であることを特徴とする、
    生分解性樹脂材料。
  9. 前記卵殻粉末が、焼成卵殻の消化粉末を含む、請求項8に記載の生分解性樹脂材料。
  10. 焼成卵殻の消化粉末からなり、0.1μm〜200μmの平均粒径を有する、
    生分解促進性抗菌フィラー。
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