本発明は、活性化可能抗体を含んでいる複合体、及びこれらの活性化可能抗体複合体を作製する方法を提供する。薬物又は標識を受け入れるための結合点を有する活性化可能抗体もまた提供される。前記複合体は、治療的に使用されても、(例えば、インビトロ又はインビボにおいて)診断的に使用されても、インビボ画像化のために使用されても、及びその他のさまざまな治療的、診断的及び/又は予防的用途に使用されてもよい。
概して、本明細書中で提供する組成物及び方法は、標的を特異的に結合する抗体又は抗体フラグメント(AB)を含む活性化可能抗体を含み、ここでABは、ABのその標的物を結合する能力を低めるマスキング部分(MM)に結合される。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体はさらに、プロテアーゼのための基質である切断可能部分(CM)を含む。本明細書に提供される組成物及び方法は、活性化可能抗体の活性(例えば、マスキング、活性化又は結合活性)を損なうことなく、ABにおける1若しくは複数のシステイン残基への1若しくは複数の剤の結合を可能にする。いくつかの実施形態において、本明細書に提供される組成物及び方法は、MM内の1若しくは複数のジスルフィド結合を還元し、そうでなければ、破壊することなく、ABにおける1若しくは複数のシステイン残基への1若しくは複数の剤の結合を可能にする。本明細書に提供される組成物及び方法は、1若しくは複数の剤、例えば任意の種々の治療剤、診断剤及び/又は予防剤に結合される活性化可能抗体を生成し、いくつかの実施形態において、前記剤のいずれも、活性化可能抗体のMMに結合されない。本明細書に提供される組成物及び方法は、MMが切断されていない状態で活性化可能抗体のABを、効果的且つ効率的にマスキングする能力を保持する、複合活性化可能抗体(conjugated activatable antibody)を生成する。本明細書に提供される組成物及び方法は、複合活性化可能抗体を生成し、ここで活性化可能抗体は、CMを切断できるプロテアーゼの存在下でまだ活性されており、すなわち切断されている。
活性化可能抗体は、剤のための少なくとも1つの結合点を有するが、本明細書に提供される方法及び組成物においては、すべてよりも少ない可能性ある結合点が、剤への結合のために利用できる。いくつかの実施形態において、1若しくは複数の結合点は、ジスルフィド結合に含まれる硫黄原子である。いくつかの実施形態において、1若しくは複数の結合点は、鎖間ジスルフィド結合に含まれる硫黄原子である。いくつかの実施形態において、1若しくは複数の結合点は、鎖間スルフィド結合に含まれる硫黄原子であるが、しかし鎖内ジスルフィド結合に含まれる硫黄原子ではない。いくつかの実施形態において、1若しくは複数の結合点は、システイン、又は硫黄原子を含む他のアミノ酸残基中の硫黄原子である。そのような残基は、抗体構造中に天然に存在することができるか、又は部位特異的突然変異誘発、化学的変換、又は非天然アミノ酸の誤取り組みにより、抗体中に組み込まれ得る。
ABに1若しくは複数の鎖間シスルフィド結合及びMMに1若しくは複数の鎖内辞スルフィド結合を有する活性化可能抗体の調製方法もまた提供され、そして遊離チオールと反応性の薬物が提供される。前記方法は一般的に、活性化可能抗体における鎖間ジスルフィド結合を、還元剤、例えばTCEPにより部分的に還元し;そして前記部分的に還元された活性化可能抗体に、遊離チオールと反応性の薬物を結合することを含んでいる。本明細書において使用される場合、用語「部分的還元」とは、活性化可能抗体が、還元剤と接触され、そしてすべてよりも少ないジスルフィド結合、例えばすべてよりも少ない可能性ある結合部位が還元される状況を言及する。いくつかの実施形態において、すべての可能性ある結合部位の99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%又は5%未満が還元される。
いくつかの実施形態において、剤、例えば薬物を、前記剤の配置下で選択性をもたらす活性化可能抗体に還元し、そして結合する方法が提供される。前記方法は、一般的に、還元剤により活性化可能抗体を部分的に還元し、結果的に、活性化可能抗体のマスキング部分又は他の非−AB部分における任意の結合部位が還元されず、そして前記剤を、ABにおける鎖間チオールに結合することを含んでいる。結合部位は、所望する部位での結合を可能にする剤の所望する配置を可能にするよう選択される。還元剤は例えば、TCEPである。還元反応条件、例えば還元剤:活性化可能抗体の比、インキュベーションの長さ、インキュベーションとの間に温度、還元反応溶液のpH、等は、MMが切断されていない状態で活性化可能抗体のABを、効果的に且つ効率的にマスキングする能力を保持する、複合活性化可能抗体を生成する条件を同定することにより決定される。還元剤:活性化可能抗体の比は、活性化可能抗体に依存して変化するのであろう。いくつかの実施形態において、還元剤:活性化可能抗体の比は、約20:1〜1:1、約10:1〜1:1、約9:1〜1:1、約8:1〜1:1、約7:1〜1:1、約6:1〜1:1、約5:1〜1:1、約4:1〜1:1、約3:1〜1:1、約2:1〜1:1、約20:1〜1:1.5、約10:1〜1:1.5、約9:1〜1:1.5、約8:1〜1:1.5、約7:1〜1:1.5、約6:1〜1:1.5、約5:1〜1:1.5、約4:1〜1:1.5、約3:1〜1:1.5、約2:1〜1:1.5、約1.5:1〜1:1.5又は約1:1〜1:1.5の範囲で存在するであろう。いくつかの実施形態において、前記比は、約5:1〜1.5:1の範囲で存在する。いくつかの実施形態において、前記比は、約4:1〜1:1の範囲で存在する。いくつかの実施形態において、前記比は、約4:1〜1.5:1の範囲で存在する。いくつかの実施形態において、前記比は、約8:1〜約1:1の範囲で存在する。いくつかの実施形態において、前記比は、約2.5:1〜1:1の範囲で存在する。
いくつかの実施形態において、活性化可能抗体のABにおける鎖間ジスルフィド結合を還元し、そして剤、例えばチオール含有剤、例えば薬物を、AB上に剤を選択的に位置決定するために、前記得られる鎖間チオールに結合する方法が提供される。前記方法は一般的に、活性化可能抗体におけるすべての可能性ある鎖間チオールを形成しないで、少なくとも2つの鎖間チオールを形成するために、還元剤によりABを部分的に還元市;前記剤を、部分的に還元されたABの鎖間チオールに結合することを含んでいる。例えば活性化可能抗体のABは、還元剤:活性化可能抗体の所望する比で、約37℃で約1時間、部分的に還元される。いくつかの実施形態において、還元剤:活性化可能抗体の比は、約20:1〜1:1、約10:1〜1:1、約9:1〜1:1、約8:1〜1:1、約7:1〜1:1、約6:1〜1:1、約5:1〜1:1、約4:1〜1:1、約3:1〜1:1、約2:1〜1:1、約20:1〜1:1.5、約10:1〜1:1.5、約9:1〜1:1.5、約8:1〜1:1.5、約7:1〜1:1.5、約6:1〜1:1.5、約5:1〜1:1.5、約4:1〜1:1.5、約3:1〜1:1.5、約2:1〜1:1.5、約1.5:1〜1:1.5又は約1:1〜1:1.5の範囲で存在するであろう。いくつかの実施形態において、前記比は、約5:1〜1:1の範囲で存在する。いくつかの実施形態において、前記比は、約4:1〜1:1の範囲で存在する。いくつかの実施形態において、前記比は、約4:1〜1.5:1の範囲で存在する。いくつかの実施形態において、前記比は、約8:1〜約1:1の範囲で存在する。いくつかの実施形態において、前記比は、約2.5:1〜1:1の範囲で存在する。
チオール含有試薬は例えば、システイン又はN−アセチルシステインであり得る。還元剤は例えば、TCEPであり得る。いくつかの実施形態において、還元された活性化可能抗体は、結合の前、例えばカラムクロマトグラフィー、透析又はダイアフィルトレーションを用いて、精製され得る。いくつかの実施形態において、還元された抗体は、部分的還元の後、及び結合の前、精製されない。
いくつかの実施形態において、活性化可能抗体は、標的に特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントを(AB)含んでおり、ここで、ABへのMMのカップリングが標的を結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの能力を低下させるようにABがマスキング部分(MM)に結合される。いくつかの実施形態において、MMは、プロテアーゼ、例えば、対象の治療部位で標的と共に局在するプロテアーゼのための基質を含んでいる切断可能部分(CM)を介してABに結合される。本明細書中に提供された活性化可能抗体は、循環中で安定し、治療及び/又は診断の意図される部位で活性化されるが、しかし正常、例えば、健康な組織においてはそうではなく、そして活性化される場合、その対応する修飾されていない抗体に少なくとも匹敵する標的に対する結合を示す。
いくつかの実施形態において、切断されていない状態の活性化可能抗体では、N末端からC末端への構造配置は以下のような:MM−CM−AB又はAB−CM−MMを有する。
いくつかの実施形態において、活性化可能抗体は、標的に特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメント(AB)を含む。いくつかの実施形態において、標的に結合する抗体又はその免疫学的活性フラグメントは、モノクローナル抗体、ドメイン抗体、単鎖、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv、scAb、dAb、単一ドメインH鎖抗体、及び単一ドメインL鎖抗体である。いくつかの実施形態において、標的に結合するそのような抗体又はその免疫学的活性フラグメントは、マウス、キメラ、ヒト化又は完全ヒトモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態において、その抗原結合フラグメントは、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv、又はscAbである。
いくつかの実施形態において、抗体又はその抗原結合フラグメント(AB)は、表1に示したものから選択された標的に特異的に結合する。いくつかの実施形態において、ABは、上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する。いくつかの実施形態において、ABは、Jagged1及び/又はJagged2に特異的に結合する。いくつかの実施形態において、ABは、インターロイキン6受容体(IL−6R)に特異的に結合する。
いくつかの実施形態において、抗体又はその抗原結合フラグメント(AB)は、表2に示したものから選択された抗体であるか、又はそれらに由来する。
いくつかの実施形態において、ABは、標的への結合のために約100nM以下の平衡解離定数を有する。
いくつかの実施形態において、MMは、標的へのABの平衡解離定数より大きい、ABへの結合のための平衡解離定数を有する。
いくつかの実施形態において、MMは、標的へのABの平衡解離定数以下である、ABへの結合のための平衡解離定数を有する。
いくつかの実施形態において、MMは、標的への結合のために切断状態にある場合、活性化可能抗体のABを干渉もしないし、競合もしない。
いくつかの実施形態において、MMは、長さが約2〜40個の長さのアミノ酸のポリペプチド、例えば、40個以下のアミノ酸のポリペプチドである。
いくつかの実施形態において、MMポリペプチド配列は、標的のその配列とは異なり、そしてMMポリペプチド配列は、ABの任意の天然の結合パートナーに対して50%以下同一である。
いくつかの実施形態において、MMポリペプチド配列は、標的のその配列とは異なり、そしてMMポリペプチド配列は、ABの任意の天然の結合パートナーに対して25%以下同一である。いくつかの実施形態において、MMポリペプチド配列は、標的のその配列とは異なり、そしてMMポリペプチド配列は、ABの任意の天然の結合パートナーに対して10%以下同一である。
いくつかの実施形態において、ABへのMMのカップリングは、標的に結合するABの能力を低め、結果的に、標的に向かってMMにカップリングされる場合のABの解離定数(Kd)は、標的に向かってMMにカップリングされない場合のABのKdよりも、少なくとも20倍高い。いくつかの実施形態において、ABへのMMのカップリングは、標的に結合するABの能力を低め、結果的に、標的に向かってMMにカップリングされる場合のABの解離定数(Kd)は、標的に向かってMMにカップリングされない場合のABのKdよりも、少なくとも40倍高い。いくつかの実施形態において、ABへのMMのカップリングは、標的に結合するABの能力を低め、結果的に、標的に向かってMMにカップリングされる場合のABの解離定数(Kd)は、標的に向かってMMにカップリングされない場合のABのKdよりも、少なくとも50倍高い。いくつかの実施形態において、ABへのMMのカップリングは、標的に結合するABの能力を低め、結果的に、標的に向かってMMにカップリングされる場合のABのKdは、標的に向かってMMにカップリングされない場合のABのKdよりも、少なくとも100倍高い。いくつかの実施形態において、ABへのMMのカップリングは、標的に結合するABの能力を低め、結果的に、標的に向かってMMにカップリングされる場合のABのKdは、標的に向かってMMにカップリングされない場合のABのKdよりも、少なくとも1000倍高い。いくつかの実施形態において、ABへのMMのカップリングは、標的に結合するABの能力を低め、結果的に、標的に向かってMMにカップリングされる場合のABのKdは、標的に向かってMMにカップリングされない場合のABのKdよりも、少なくとも10,000倍高い。
いくつかの実施形態において、標的の存在下で、MMは、標的置換アッセイ、例えばPCT公開番号WO2009/025846及びWO2010/081173に記載されるアッセイを用いて、インビトロでアッセイされる場合、CMが切断される場合に比較して、CMが切断されていない場合、標的に結合するABの能力を、少なくとも90%低める。
いくつかの実施形態において、プロテアーゼは組織において標的と共に局在し、そしてプロテアーゼは、活性化可能抗体がプロテアーゼに暴露される場合、活性化可能抗体におけるCMを切断する。いくつかの実施形態において、プロテアーゼは、標的を有意に発現しない組織においては活性的ではないか又は有意に低い活性である。いくつかの実施形態において、プロテアーゼは、健康的な、例えば非疾患組織においては、活性的ではないか又は有意に低い活性である。
いくつかの実施形態において、CMは、長さが最大15個のアミノ酸のポリペプチドである。
いくつかの実施形態において、CMは、表3に示されるそれらから成る群から選択されたプロテアーゼのための基質である。いくつかの実施形態において、CMは、uPA(ウロキナーゼプラスミノーゲン活性因子)、レグマイン及びMT−SP1(マトリプターゼ)から成る群から選択されたプロテアーゼのための基質である。いくつかの実施形態において、プロテアーゼはuPAを含む。いくつかの実施形態において、プロテアーゼはレグマインを含む。いくつかの実施形態において、プロテアーゼはMT−SP1を含む。
いくつかの実施形態において、CMは、少なくとも2つのプロテアーゼのための基質である。いくつかの実施形態において、各プロテアーゼは、表3に示されるそれらから成る群から選択される。いくつかの実施形態において、CMは少なくとも2つのプロテアーゼのための基質であり、且つ、プロテアーゼの1つは、uPA、レグマイン及びMT−SP1から成る群から選択され、そして他のプロテアーゼは、表3に示されるそれらから成る群から選択される。いくつかの実施形態において、CMは、uPA、レグマイン及びMT−SP1から成る群から選択された少なくとも2種のプロテアーゼのための基質である。
いくつかの実施形態において、CMは、切断されていない状態では、標的への活性化可能抗体の結合は低下して、標的に結合する修飾されていないABの平衡解離定数より少なくとも20倍高い平衡解離定数でそれが起こるようにする一方で、切断状態では、活性化可能抗体のABが標的に結合するように、活性化可能抗体に配置される。
いくつかの実施形態において、CMは、切断されていない状態では、標的への活性化可能抗体の結合は低下して、標的に結合する修飾されていないABの平衡解離定数より少なくとも40倍高い平衡解離定数でそれが起こるようにする一方で、切断状態では、活性化可能抗体のABが標的に結合するように、活性化可能抗体に配置される。
いくつかの実施形態において、CMは、切断されていない状態では、標的への活性化可能抗体の結合は低下して、標的に結合する修飾されていないABの平衡解離定数より少なくとも50倍高い平衡解離定数でそれが起こるようにする一方で、切断状態では、活性化可能抗体のABが標的に結合するように、活性化可能抗体に配置される。
いくつかの実施形態において、CMは、切断されていない状態では、標的への活性化可能抗体の結合は低下して、標的に結合する修飾されていないABの平衡解離定数より少なくとも100倍高い平衡解離定数でそれが起こるようにする一方で、切断状態では、活性化可能抗体のABが標的に結合するように、活性化可能抗体に配置される。
いくつかの実施形態において、CMは、切断されていない状態では、標的への活性化可能抗体の結合は低下して、標的に結合する修飾されていないABの平衡解離定数より少なくとも200倍高い平衡解離定数でそれが起こるようにする一方で、切断状態では、活性化可能抗体のABが標的に結合するように、活性化可能抗体に配置される。
いくつかの実施形態において、活性化可能抗体は、MMとCMとの間に連結ペプチドを含む。
いくつかの実施形態において、活性化可能抗体は、CMとABとの間に連結ペプチドを含む。
いくつかの実施形態において、前記活性化可能抗体は、第1連結ペプチド(LP1)及び第2連結ペプチド(LP2)を含み、そして切断されていない状態での前記活性化可能抗体は次のようなN末端からC末端への構造配置:MM−LP1−CM−LP2−AB又はAB−LP2−CM−LP1−MMを有する。いくつかの実施形態において、前記2種の連結ペプチドはお互いに同一である必要はない。
いくつかの実施形態において、LP1及びLP2のそれぞれは、長さが約1〜20個のアミノ酸のペプチドである。
いくつかの実施形態において、LP1又はLP2の少なくとも1つは(GS)n、(GGS)n、(GSGGS)n(配列番号21)及び(GGGS)n(配列番号22)(nは、少なくとも1の整数である)から成る群から選択されたアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、LP1又はLP2の少なくとも1つはGGSG(配列番号23)、GGSGG(配列番号24)、GSGSG(配列番号25)、GSGGG(配列番号26)、GGGSG(配列番号27)及びGSSSG(配列番号28)から成る群から選択されたアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態において、活性化可能抗体がプロテアーゼに供され、そしてプロテアーゼにより切断され、その結果、活性化されたか又は切断された状態で活性化された抗体は、プロテアーゼがCMを切断した後、LP2及び/又はCM配列の少なくとも一部を含むL鎖アミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態において、活性化可能抗体はまた、シグナルペプチドを含む。いくつかの実施形態において、シグナルペプチドは、スペーサーを介して活性化可能抗体に結合される。いくつかの実施形態において、スペーサーは、シグナルペプチドの不在化で、活性化可能抗体に結合される。いくつかの実施形態において、スペーサーは、活性化可能抗体のMMに直接結合される。
いくつかの実施形態において、切断されていない状態で活性化可能抗体は、MMに直接結合されるスペーサーを含み、そしてN末端からC末端側にスペーサー−MM−CM−ABの構造配置を有する。いくつかの実施形態において、スペーサーは、少なくともアミノ酸配列QGQSGQ(配列番号11)を含む。
いくつかの実施形態において、活性化可能抗体のABは、天然に1若しくは複数のジスルフィド結合を含んでいる。いくつかの実施形態において、ABは、1若しくは複数のジスルフィド結合を含むように設計されてもよい。
いくつかの実施形態において、活性化可能抗体に結合する剤は、治療薬である。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体に結合する剤は、診断薬である。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体に結合する剤は、予防薬である。
いくつかの実施形態において、剤は抗腫瘍剤である。いくつかの実施形態において、剤は毒素又はそのフラグメントである。本明細書中に使用される場合、毒素のフラグメントとは、毒性活性を保有するフラグメントである。いくつかの実施形態において、剤は、表4に列挙される群から選択される剤である。いくつかの実施形態において、剤は微小管阻害剤である。いくつかの実施形態において、剤はドラスタチンである。いくつかの実施形態において、剤はアウリスタチン又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、剤はアウリスタチンE又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、剤はモノメチルアウリスタチンE(MMAE)である。いくつかの実施形態において、剤はモノメチルアウリスタチンD(MMAD)である。いくつかの実施形態において、剤はメイタンシノイド又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、剤はDM1又はDM4である。いくつかの実施形態において、剤は核酸損傷剤である。いくつかの実施形態において、剤はデュオカルマイシン又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、剤はカリチアマイシン又はその誘導体である。
いくつかの実施形態において、剤はリンカーを介してABに結合される。いくつかの実施形態において、リンカーはチオール含有リンカーである。いくつかの実施形態において、リンカーは切断できるリンカーである。いくつかの実施形態において、リンカーは、表5及び6に示されるリンカーから成る群から選択される。
いくつかの実施形態において、活性化可能抗体はまた、検出可能部分も含む。いくつかの実施形態において、検出可能部分は診断剤である。いくつかの実施形態において、検出可能部分は、結合可能検出試験である。いくつかの実施形態において、検出可能部分は例えばフルオロフォア、例えばフルオレセインイソチオシアネート(FITC)などのフルオレセイン誘導体である。
いくつかの実施形態において、活性化可能抗体及び/又は複合化(conjugated)活性化可能抗体は、単一特異的である。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体及び/又は複合活性化可能抗体は、多重特異的であり、例えば非限定な例によれば、二重特異的又は三官能性である。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体及び/又は複合活性化可能抗体は、プロ−二重特異的T細胞エンゲージ(BITE)分子の一部として処方される。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体及び/又は複合活性化可能抗体は、プロ−キメラ抗原受容体(CAR)修飾されたT細胞又は他の操作された受容体の一部として処方される。
いくつかの実施形態において、活性化可能抗体の血清中半減期は、対応する抗体の血清中半減期より長い;例えば、活性化可能抗体のpKは、対応する抗体のpKより長い。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体の血清中半減期は、対応する抗体の血清中半減期と同等である。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体の血清中半減期は、生物に投与される場合、少なくとも15日である。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体の血清中半減期は、生物に投与される場合、少なくとも12日である。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体の血清中半減期は、生物に投与される場合、少なくとも11日である。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体の血清中半減期は、生物に投与される場合、少なくとも10日である。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体の血清中半減期は、生物に投与される場合、少なくとも9日である。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体の血清中半減期は、生物に投与される場合、少なくとも8日である。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体の血清中半減期は、生物に投与される場合、少なくとも7日である。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体の血清中半減期は、生物に投与される場合、少なくとも6日である。いくつかの実施形態において、複合活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも5日である。いくつかの実施形態において、複合活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも4日である。いくつかの実施形態において、複合活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも3日である。いくつかの実施形態において、複合活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも2日である。いくつかの実施形態において、複合活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも24時間である。いくつかの実施形態において、複合活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも20時間である。いくつかの実施形態において、複合活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも18時間である。いくつかの実施形態において、複合活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも16時間である。いくつかの実施形態において、複合活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも14時間である。いくつかの実施形態において、複合活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも12時間である。いくつかの実施形態において、複合活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも10時間である。いくつかの実施形態において、複合活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも8時間である。いくつかの実施形態において、複合活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも6時間である。いくつかの実施形態において、複合活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも4時間である。いくつかの実施形態において、複合活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも3時間である。
本発明は、部分的に還元された活性化可能抗体も提供し、ここで前記活性化可能抗体における少なくとも1つの鎖間ジスルフィド結合が、活性化可能抗体中のいずれの鎖内ジスルフィド結合も妨害しないで、還元剤により還元されており、ここで前記活性化可能抗体は、標的に対して特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメント(AB)、切断されていない状態で、標的への活性化可能抗体中のABの結合を阻害するマスキング部分(MM)、及びABに結合される切断可能部分(CM)を含み、且つ、該CMはプロテアーゼのための基質として機能するポリペプチドである。いくつかの実施形態において、MMは、CMを介してABに結合される。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体の1若しくは複数の鎖内ジスルフィド結合は、還元剤により妨害されない。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体内のMMの1若しくは複数の鎖内ジスルフィド結合は、還元剤により妨害されない。いくつかの実施形態において、切断されていない状態での活性化可能抗体は、以下のようなN末端からC末端側への構造配置:MM−CM−AB又はAB−CM−MMを有する。いくつかの実施形態において、還元剤はTCEPである。
本発明はまた、部分的に還元された活性化可能抗体も提供し、ここで前記活性化可能抗体における少なくとも1つの鎖間ジスルフィド結合が、活性化可能抗体の活性及び/又は有効性を妨害することなく、そうでなければ、支障をきたすことなく、還元剤により還元されており、ここで前記活性化可能抗体は、標的に対して特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメント(AB)、切断されていない状態で、標的への活性化可能抗体中のABの結合を阻害するマスキング部分(MM)、及びABに結合される切断可能部分(CM)(ここで、CMはプロテアーゼのための基質として機能するポリペプチドである)を含む。活性化可能抗体の活性及び/又は有効性とは、限定されない例としては、マスキング活性、活性化可能抗体の活性化、及び/又は活性化された活性化可能抗体の結合活性である。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体の1若しくは複数の鎖内ジスルフィド結合は、還元剤により妨害されない。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体内のMMの1若しくは複数の鎖内ジスルフィド結合は、還元剤により妨害されない。いくつかの実施形態において、切断されていない状態での活性化可能抗体は、以下のようなN末端からC末端側への構造配置:MM−CM−AB又はAB−CM−MMを有する。いくつかの実施形態において、還元剤はTCEPである。
いくつかの実施形態において、部分的に還元された活性化可能抗体は、少なくとも1つの鎖間チオールによって剤に結合される。いくつかの実施形態において、剤は表4に列挙された剤の群から選択される。いくつかの実施形態において、剤は、毒素又はそのフラグメントである。いくつかの実施形態において、剤は微小管阻害剤である。いくつかの実施形態において、剤はドラスタチンである。いくつかの実施形態において、剤は、アウリスタチン又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、剤は、アウリスタチンE又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、剤はモノメチルアウリスタチンE(MMAE)である。いくつかの実施形態において、剤はモノメチルアウリスタチンD(MMAD)である。いくつかの実施形態において、剤は、マイタンシノイド又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、剤は、DM1又はDM4である。いくつかの実施形態において、剤は核酸損傷剤である。いくつかの実施形態において、剤は、デュオカルマイシン又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、剤は、カリケアマイシン又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、剤はリンカーを介してABに結合される。いくつかの実施形態において、リンカーは切断可能なリンカーである。いくつかの実施形態において、剤は検出可能部分である。いくつかの実施形態において、検出可能部分は診断薬である。
いくつかの実施形態において、標的は、表1で列挙された標的の群から選択される。いくつかの実施形態において、ABは、表2で列挙された抗体の群から選択された抗体であるか又はそれに由来する。いくつかの実施形態において、その抗原結合フラグメントは、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv、scAb、dAb、単一ドメインH鎖抗体、及び単一ドメインL鎖抗体から成る群から選択される。いくつかの実施形態において、ABは、標的に結合するための約100nM以下の平衡解離定数を有する。いくつかの実施形態において、MMは、標的へのABの平衡解離定数より高い、ABに結合するための平衡解離定数を有する。いくつかの実施形態において、MMは、標的に結合するために、切断状態の活性化可能抗体のABと干渉もしないし、競合もしない。いくつかの実施形態において、MMは、長さが40個以下のアミノ酸のポリペプチドである。いくつかの実施形態において、MMポリペプチド配列は標的の配列と異なり、MMポリペプチド配列はABの任意の天然の結合パートナーに対して50%以下同一である。いくつかの実施形態において、MMは、標的に対して25%超のアミノ酸配列同一性を含まない。いくつかの実施形態において、MMは、標的に対して10%超のアミノ酸配列同一性を含まない。いくつかの実施形態において、CMは、長さが最大15個のアミノ酸のポリペプチドである。いくつかの実施形態において、プロテアーゼは組織において標的と共に局在し、活性化可能抗体がプロテアーゼに晒されたとき、プロテアーゼは活性化可能抗体内のCMを切断する。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体は、MMとCMとの間に連結ペプチドを含んでいる。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体は、CMとABとの間に連結ペプチドを含んでいる。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体は、第1連結ペプチド(LP1)及び第2連結ペプチド(LP2)を含み、そして、切断されていない状態での活性化可能抗体が、以下のN末端からC末端への構造配置:MM−LP1−CM−LP2−AB又はAB−LP2−CM−LP1−MMを有する。いくつかの実施形態において、2つの連結ペプチドは互いに同一である必要はない。いくつかの実施形態において、LP1及びLP2のそれぞれは、長さが約1〜20個のアミノ酸のペプチドである。いくつかの実施形態において、LP1又はLP2の少なくとも1つは、(GS)n、(GGS)n、(GSGGS)n(配列番号21)及び(GGGS)n(配列番号22)(式中、nは少なくとも1の整数である)から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、LP1又はLP2の少なくとも1つは、GGSG(配列番号23)、GGSGG(配列番号24)、GSGSG(配列番号25)、GSGGG(配列番号26)、GGGSG(配列番号27)、及びGSSSG(配列番号28)から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CMは、表3に示したものから成る群から選択される酵素のための基質である。いくつかの実施形態において、切断されていない状態で活性化可能抗体はスペーサーを含み、そして、該スペーサーはMMに直接連結され、N末端からC末端にスペーサー−MM−CM−ABの構造配置を有する。
本発明はまた、部分的に還元された活性化可能抗体も提供し、ここで前記活性化可能抗体と第2の分子との間の少なくとも1つのジスルフィド結合が、活性化可能抗体中のいずれの鎖内ジスルフィド結合も妨害しないで、還元剤により還元されており、ここで前記活性化可能抗体は、標的に対して特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメント(AB)、切断されていない状態で、標的への活性化可能抗体中のABの結合を阻害するマスキング部分(MM)、及びABに結合される切断可能部分(CM)を含み、且つ、該CMはプロテアーゼのための基質として機能するポリペプチドである。いくつかの実施形態において、第2の分子はシステインである。いくつかの実施形態において、第2の分子はグルタチオンである。
本発明はまた、部分的に還元された活性化可能抗体も提供し、ここで前記活性化可能抗体と第2の分子との間の少なくとも1つのジスルフィド結合が、活性化可能抗体の活性及び/又は有効性を妨害することなく、そうでなければ、支障をきたすことなく、還元剤により還元されており、ここで前記活性化可能抗体は、標的に対して特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメント(AB)、切断されていない状態で、標的への活性化可能抗体中のABの結合を阻害するマスキング部分(MM)、及びABに結合される切断可能部分(CM)(ここで、CMはプロテアーゼのための基質として機能するポリペプチドである)を含む。活性化可能抗体の活性及び/又は有効性とは、限定されない例としては、マスキング活性、活性化可能抗体の活性化、及び/又は活性化された活性化可能抗体の結合活性である。いくつかの実施形態において、第2の分子はシステインである。いくつかの実施形態において、第2の分子はグルタチオンである。
いくつかの実施形態において、部分還元方法は、活性化可能抗体の鎖内ジスルフィド結合を妨害しない。いくつかの実施形態において、前記方法は、活性化可能抗体内のMMの鎖内ジスルフィド結合を妨害しない。
いくつかの実施形態において、切断されていない状態での活性化可能抗体は、以下のようなN末端からC末端側への構造配置:MM−CM−AB又はAB−CM−MMを有する。いくつかの実施形態において、還元剤はTCEPである。
いくつかの実施形態において、部分的に還元された活性化可能抗体は、少なくとも1つのチオールによって剤に結合される。いくつかの実施形態において、剤は表4に列挙された剤の群から選択される。いくつかの実施形態において、剤は、毒素又はそのフラグメントである。いくつかの実施形態において、剤は微小管阻害剤である。いくつかの実施形態において、剤はドラスタチンである。いくつかの実施形態において、剤は、アウリスタチン又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、剤は、アウリスタチンE又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、剤はモノメチルアウリスタチンE(MMAE)である。いくつかの実施形態において、剤はモノメチルアウリスタチンD(MMAD)である。いくつかの実施形態において、剤は、マイタンシノイド又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、剤は、DM1又はDM4である。いくつかの実施形態において、剤は核酸損傷剤である。いくつかの実施形態において、剤は、デュオカルマイシン又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、剤は、カリケアマイシン又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、剤はリンカーを介してABに結合される。いくつかの実施形態において、リンカーは切断可能なリンカーである。いくつかの実施形態において、剤は検出可能部分である。いくつかの実施形態において、検出可能部分は診断薬である。
いくつかの実施形態において、標的は、表1で列挙された標的の群から選択される。いくつかの実施形態において、ABは、表2で列挙された抗体の群から選択された抗体であるか又はそれに由来する。いくつかの実施形態において、その抗原結合フラグメントは、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv、scAb、dAb、単一ドメインH鎖抗体、及び単一ドメインL鎖抗体から成る群から選択される。いくつかの実施形態において、ABは、標的に結合するための約100nM以下の平衡解離定数を有する。いくつかの実施形態において、MMは、標的へのABの平衡解離定数より高い、ABに結合するための平衡解離定数を有する。いくつかの実施形態において、MMは、標的に結合するために、切断状態の活性化可能抗体のABと干渉もしないし、競合もしない。いくつかの実施形態において、MMは、長さが40個以下のアミノ酸のポリペプチドである。いくつかの実施形態において、MMポリペプチド配列は標的の配列と異なり、MMポリペプチド配列はABの任意の天然の結合パートナーに対して50%以下同一である。いくつかの実施形態において、MMは、標的に対して25%超のアミノ酸配列同一性を含まない。いくつかの実施形態において、MMは、標的に対して10%超のアミノ酸配列同一性を含まない。いくつかの実施形態において、CMは、長さが最大15個のアミノ酸のポリペプチドである。いくつかの実施形態において、プロテアーゼは組織において標的と共に局在し、活性化可能抗体がプロテアーゼに晒されたとき、プロテアーゼは活性化可能抗体内のCMを切断する。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体は、MMとCMとの間に連結ペプチドを含んでいる。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体は、CMとABとの間に連結ペプチドを含んでいる。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体は、第1連結ペプチド(LP1)及び第二の連結ペプチド(LP2)を含み、そして、切断されていない状態での活性化可能抗体が、以下のN末端からC末端への構造配置:MM−LP1−CM−LP2−AB又はAB−LP2−CM−LP1−MMを有する。いくつかの実施形態において、2つの連結ペプチドは互いに同一である必要はない。いくつかの実施形態において、LP1及びLP2のそれぞれは、長さが約1〜20個のアミノ酸のペプチドである。いくつかの実施形態において、LP1又はLP2の少なくとも1つは、(GS)n、(GGS)n、(GSGGS)n(配列番号21)及び(GGGS)n(配列番号22)(式中、nは少なくとも1の整数である)から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、LP1又はLP2の少なくとも1つは、GGSG(配列番号23)、GGSGG(配列番号24)、GSGSG(配列番号25)、GSGGG(配列番号26)、GGGSG(配列番号27)、及びGSSSG(配列番号28)から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CMは、表3に示したものから成る群から選択される酵素のための基質である。いくつかの実施形態において、切断されていない状態で活性化可能抗体はスペーサーを含み、そして、該スペーサーはMMに直接連結され、N末端からC末端にスペーサー−MM−CM−ABの構造配置を有する。
本発明は、剤を活性化可能抗体に選択的に結合する方法を提供する。例えば、本発明は、活性化可能抗体のいずれの鎖内ジスルフィド結合も妨害することなく、還元剤を用いて活性化可能抗体内の少なくとも1つの鎖間ジスルフィド結合を部分的に還元し、そして、剤を少なくとも1つの鎖間チオールに結合することによって、剤の配置の選択性をもたらす、部分的に還元し、剤を活性化可能抗体に結合する方法を提供し、ここで前記活性化可能抗体は、標的に対して特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメント(AB)、切断されていない状態で、標的への活性化可能抗体中のABの結合を阻害するマスキング部分(MM)、及びABに結合される切断可能部分(CM)を含み、且つ、該CMはプロテアーゼのための基質として機能するポリペプチドである。
本発明はまた、活性化可能抗体の活性及び/又は有効性を妨害することなく、でなければ、支障をきたすことなく還元剤を用いて活性化可能抗体内の少なくとも1つの鎖間ジスルフィド結合を部分的に還元することによって、剤の配置の選択性をもたらす、部分的に還元し、剤を活性化可能抗体に結合する方法も提供し、ここで前記活性化可能抗体は、標的に対して特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメント(AB)、切断されていない状態で、標的への活性化可能抗体中のABの結合を阻害するマスキング部分(MM)、及びABに結合される切断可能部分(CM)(ここで、CMはプロテアーゼのための基質として機能するポリペプチドである)を含む。活性化可能抗体の活性及び/又は有効性とは、限定されない例としては、マスキング活性、活性化可能抗体の活性化、及び/又は活性化された活性化可能抗体の結合活性である。
いくつかの実施形態において、前記方法は、活性化可能抗体の鎖内ジスルフィド結合を妨害しない。いくつかの実施形態において、前記方法は、活性化可能抗体内のMMの鎖内ジスルフィド結合を妨害しない。
いくつかの実施形態において、切断されていない状態での活性化可能抗体は、以下のようなN末端からC末端側への構造配置:MM−CM−AB又はAB−CM−MMを有する。いくつかの実施形態において、還元剤はTCEPである。いくつかの実施形態において、剤は表4に列挙された剤の群から選択される。いくつかの実施形態において、剤は、毒素又はそのフラグメントである。いくつかの実施形態において、剤は微小管阻害剤である。いくつかの実施形態において、剤はドラスタチンである。いくつかの実施形態において、剤は、アウリスタチン又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、剤は、アウリスタチンE又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、剤はモノメチルアウリスタチンE(MMAE)である。いくつかの実施形態において、剤はモノメチルアウリスタチンD(MMAD)である。いくつかの実施形態において、剤は、マイタンシノイド又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、剤は、DM1又はDM4である。いくつかの実施形態において、剤は核酸損傷剤である。いくつかの実施形態において、剤は、デュオカルマイシン又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、剤は、カリケアマイシン又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、剤はリンカーを介してABに結合される。いくつかの実施形態において、リンカーは切断可能なリンカーである。いくつかの実施形態において、剤は検出可能部分である。いくつかの実施形態において、検出可能部分は診断薬である。
いくつかの実施形態において、標的は、表1で列挙された標的の群から選択される。いくつかの実施形態において、ABは、表2で列挙された抗体の群から選択された抗体であるか又はそれに由来する。いくつかの実施形態において、その抗原結合フラグメントは、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv、scAb、dAb、単一ドメインH鎖抗体、及び単一ドメインL鎖抗体から成る群から選択される。いくつかの実施形態において、ABは、標的に結合するための約100nM以下の平衡解離定数を有する。いくつかの実施形態において、MMは、標的へのABの平衡解離定数より高い、ABに結合するための平衡解離定数を有する。いくつかの実施形態において、MMは、標的に結合するために、切断状態の活性化可能抗体のABと干渉もしないし、競合もしない。いくつかの実施形態において、MMは、長さが40個以下のアミノ酸のポリペプチドである。いくつかの実施形態において、MMポリペプチド配列は標的の配列と異なり、MMポリペプチド配列はABの任意の天然の結合パートナーに対して50%以下同一である。いくつかの実施形態において、MMは、標的に対して25%超のアミノ酸配列同一性を含まない。いくつかの実施形態において、MMは、標的に対して10%超のアミノ酸配列同一性を含まない。いくつかの実施形態において、CMは、長さが最大15個のアミノ酸のポリペプチドである。いくつかの実施形態において、プロテアーゼは組織において標的と共に局在し、活性化可能抗体がプロテアーゼに晒されたとき、プロテアーゼは活性化可能抗体内のCMを切断する。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体は、MMとCMとの間に連結ペプチドを含んでいる。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体は、CMとABとの間に連結ペプチドを含んでいる。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体は、第1連結ペプチド(LP1)及び第二の連結ペプチド(LP2)を含み、そして、切断されていない状態での活性化可能抗体が、以下のN末端からC末端への構造配置:MM−LP1−CM−LP2−AB又はAB−LP2−CM−LP1−MMを有する。いくつかの実施形態において、2つの連結ペプチドは互いに同一である必要はない。いくつかの実施形態において、LP1及びLP2のそれぞれは、長さが約1〜20個のアミノ酸のペプチドである。いくつかの実施形態において、LP1又はLP2の少なくとも1つは、(GS)n、(GGS)n、(GSGGS)n(配列番号21)及び(GGGS)n(配列番号22)(式中、nは少なくとも1の整数である)から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、LP1又はLP2の少なくとも1つは、GGSG(配列番号23)、GGSGG(配列番号24)、GSGSG(配列番号25)、GSGGG(配列番号26)、GGGSG(配列番号27)、及びGSSSG(配列番号28)から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CMは、表3に示したものから成る群から選択される酵素のための基質である。いくつかの実施形態において、切断されていない状態で活性化可能抗体はスペーサーを含み、そして、該スペーサーはMMに直接連結され、N末端からC末端にスペーサー−MM−CM−ABの構造配置を有する。
本発明は、活性化可能抗体のいずれの鎖内ジスルフィド結合も妨害することなく、還元剤を用いて活性化可能抗体と第2の分子との間の少なくとも1つのジスルフィド結合を部分的に還元し、そして、剤を少なくとも1つの鎖間チオールに結合することによって、剤の配置の選択性をもたらす、部分的に還元し、剤を活性化可能抗体に結合する方法を提供し、ここで前記活性化可能抗体は、標的に対して特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメント(AB)、切断されていない状態で、標的への活性化可能抗体中のABの結合を阻害するマスキング部分(MM)、及びABに結合される切断可能部分(CM)を含み、且つ、該CMはプロテアーゼのための基質として機能するポリペプチドである。いくつかの実施形態において、第2の分子はシステインである。いくつかの実施形態において、第2の分子はグルタチオンである。
本発明はまた、活性化可能抗体の活性及び/又は有効性を妨害することなく、でなければ、支障をきたすことなく還元剤を用いて活性化可能抗体と第2の分子との間の少なくとも1つのジスルフィド結合を部分的に還元することによって、剤の配置の選択性をもたらす、部分的に還元し、剤を活性化可能抗体に結合する方法も提供し、ここで前記活性化可能抗体は、標的に対して特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメント(AB)、切断されていない状態で、標的への活性化可能抗体中のABの結合を阻害するマスキング部分(MM)、及びABに結合される切断可能部分(CM)(ここで、CMはプロテアーゼのための基質として機能するポリペプチドである)を含む。活性化可能抗体の活性及び/又は有効性とは、限定されない例としては、マスキング活性、活性化可能抗体の活性化、及び/又は活性化された活性化可能抗体の結合活性である。いくつかの実施形態において、第2の分子はシステインである。いくつかの実施形態において、第2の分子はグルタチオンである。
いくつかの実施形態において、前記方法は、活性化可能抗体の鎖内ジスルフィド結合を妨害しない。いくつかの実施形態において、前記方法は、活性化可能抗体内のMMの鎖内ジスルフィド結合を妨害しない。
いくつかの実施形態において、切断されていない状態での活性化可能抗体は、以下のようなN末端からC末端側への構造配置:MM−CM−AB又はAB−CM−MMを有する。いくつかの実施形態において、還元剤はTCEPである。いくつかの実施形態において、剤は表4に列挙された剤の群から選択される。いくつかの実施形態において、剤は、毒素又はそのフラグメントである。いくつかの実施形態において、剤は微小管阻害剤である。いくつかの実施形態において、剤はドラスタチンである。いくつかの実施形態において、剤は、アウリスタチン又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、剤は、アウリスタチンE又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、剤はモノメチルアウリスタチンE(MMAE)である。いくつかの実施形態において、剤はモノメチルアウリスタチンD(MMAD)である。いくつかの実施形態において、剤は、マイタンシノイド又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、剤は、DM1又はDM4である。いくつかの実施形態において、剤は核酸損傷剤である。いくつかの実施形態において、剤は、デュオカルマイシン又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、剤は、カリケアマイシン又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、剤はリンカーを介してABに結合される。いくつかの実施形態において、リンカーは切断可能なリンカーである。いくつかの実施形態において、剤は検出可能部分である。いくつかの実施形態において、検出可能部分は診断薬である。
いくつかの実施形態において、標的は、表1で列挙された標的の群から選択される。いくつかの実施形態において、ABは、表2で列挙された抗体の群から選択された抗体であるか又はそれに由来する。いくつかの実施形態において、その抗原結合フラグメントは、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv、scAb、dAb、単一ドメインH鎖抗体、及び単一ドメインL鎖抗体から成る群から選択される。いくつかの実施形態において、ABは、標的に結合するための約100nM以下の平衡解離定数を有する。いくつかの実施形態において、MMは、標的へのABの平衡解離定数より高い、ABに結合するための平衡解離定数を有する。いくつかの実施形態において、MMは、標的に結合するために、切断状態の活性化可能抗体のABと干渉もしないし、競合もしない。いくつかの実施形態において、MMは、長さが40個以下のアミノ酸のポリペプチドである。いくつかの実施形態において、MMポリペプチド配列は標的の配列と異なり、MMポリペプチド配列はABの任意の天然の結合パートナーに対して50%以下同一である。いくつかの実施形態において、MMは、標的に対して25%超のアミノ酸配列同一性を含まない。いくつかの実施形態において、MMは、標的に対して10%超のアミノ酸配列同一性を含まない。いくつかの実施形態において、CMは、長さが最大15個のアミノ酸のポリペプチドである。いくつかの実施形態において、プロテアーゼは組織において標的と共に局在し、活性化可能抗体がプロテアーゼに晒されたとき、プロテアーゼは活性化可能抗体内のCMを切断する。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体は、MMとCMとの間に連結ペプチドを含んでいる。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体は、CMとABとの間に連結ペプチドを含んでいる。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体は、第1連結ペプチド(LP1)及び第二の連結ペプチド(LP2)を含み、そして、切断されていない状態での活性化可能抗体が、以下のN末端からC末端への構造配置:MM−LP1−CM−LP2−AB又はAB−LP2−CM−LP1−MMを有する。いくつかの実施形態において、2つの連結ペプチドは互いに同一である必要はない。いくつかの実施形態において、LP1及びLP2のそれぞれは、長さが約1〜20個のアミノ酸のペプチドである。いくつかの実施形態において、LP1又はLP2の少なくとも1つは、(GS)n、(GGS)n、(GSGGS)n(配列番号21)及び(GGGS)n(配列番号22)(式中、nは少なくとも1の整数である)から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、LP1又はLP2の少なくとも1つは、GGSG(配列番号23)、GGSGG(配列番号24)、GSGSG(配列番号25)、GSGGG(配列番号26)、GGGSG(配列番号27)、及びGSSSG(配列番号28)から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CMは、表3に示したものから成る群から選択される酵素のための基質である。いくつかの実施形態において、切断されていない状態で活性化可能抗体はスペーサーを含み、そして、該スペーサーはMMに直接連結され、N末端からC末端にスペーサー−MM−CM−ABの構造配置を有する。
本発明はまた、活性化可能抗体のいずれの鎖内ジスルフィド結合も妨害することなく、還元剤を用いて活性化可能抗体内の少なくとも1つの鎖内ジスルフィド結合を部分的に還元することによって、活性化可能抗体の1若しくは複数の潜在的結合部位の配置の選択性をもたらす、部分的に還元する方法も提供し、ここで前記活性化可能抗体は、標的に対して特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメント(AB)、切断されていない状態で、標的への活性化可能抗体中のABの結合を阻害するマスキング部分(MM)、及びABに結合される切断可能部分(CM)を含み、且つ、該CMはプロテアーゼのための基質として機能するポリペプチドである。
本発明はまた、活性化可能抗体の活性及び/又は有効性を妨害することなく、でなければ、支障をきたすことなく還元剤を用いて活性化可能抗体内の少なくとも1つの鎖間ジスルフィド結合を部分的に還元することによって、活性化可能抗体の1若しくは複数の潜在的結合部位の配置の選択性をもたらす、部分的に還元する方法も提供し、ここで前記活性化可能抗体は、標的に対して特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメント(AB)、切断されていない状態で、標的への活性化可能抗体中のABの結合を阻害するマスキング部分(MM)、及びABに結合される切断可能部分(CM)(ここで、CMはプロテアーゼのための基質として機能するポリペプチドである)を含む。活性化可能抗体の活性及び/又は有効性とは、限定されない例としては、マスキング活性、活性化可能抗体の活性化、及び/又は活性化された活性化可能抗体の結合活性である。
いくつかの実施形態において、前記方法は、活性化可能抗体の鎖内ジスルフィド結合を妨害しない。いくつかの実施形態において、前記方法は、活性化可能抗体内のMMの鎖内ジスルフィド結合を妨害しない。
いくつかの実施形態において、切断されていない状態での活性化可能抗体は、以下のようなN末端からC末端側への構造配置:MM−CM−AB又はAB−CM−MMを有する。いくつかの実施形態において、還元剤はTCEPである。
いくつかの実施形態において、標的は、表1で列挙された標的の群から選択される。いくつかの実施形態において、ABは、表2で列挙された抗体の群から選択された抗体であるか又はそれに由来する。いくつかの実施形態において、その抗原結合フラグメントは、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv、scAb、dAb、単一ドメインH鎖抗体、及び単一ドメインL鎖抗体から成る群から選択される。いくつかの実施形態において、ABは、標的に結合するための約100nM以下の平衡解離定数を有する。いくつかの実施形態において、MMは、標的へのABの平衡解離定数より高い、ABに結合するための平衡解離定数を有する。いくつかの実施形態において、MMは、標的に結合するために、切断状態の活性化可能抗体のABと干渉もしないし、競合もしない。いくつかの実施形態において、MMは、長さが40個以下のアミノ酸のポリペプチドである。いくつかの実施形態において、MMポリペプチド配列は標的の配列と異なり、MMポリペプチド配列はABの任意の天然の結合パートナーに対して50%以下同一である。いくつかの実施形態において、MMは、標的に対して25%超のアミノ酸配列同一性を含まない。いくつかの実施形態において、MMは、標的に対して10%超のアミノ酸配列同一性を含まない。いくつかの実施形態において、CMは、長さが最大15個のアミノ酸のポリペプチドである。いくつかの実施形態において、プロテアーゼは組織において標的と共に局在し、活性化可能抗体がプロテアーゼに晒されたとき、プロテアーゼは活性化可能抗体内のCMを切断する。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体は、MMとCMとの間に連結ペプチドを含んでいる。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体は、CMとABとの間に連結ペプチドを含んでいる。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体は、第1連結ペプチド(LP1)及び第二の連結ペプチド(LP2)を含み、そして、切断されていない状態での活性化可能抗体が、以下のN末端からC末端への構造配置:MM−LP1−CM−LP2−AB又はAB−LP2−CM−LP1−MMを有する。いくつかの実施形態において、2つの連結ペプチドは互いに同一である必要はない。いくつかの実施形態において、LP1及びLP2のそれぞれは、長さが約1〜20個のアミノ酸のペプチドである。いくつかの実施形態において、LP1又はLP2の少なくとも1つは、(GS)n、(GGS)n、(GSGGS)n(配列番号21)及び(GGGS)n(配列番号22)(式中、nは少なくとも1の整数である)から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、LP1又はLP2の少なくとも1つは、GGSG(配列番号23)、GGSGG(配列番号24)、GSGSG(配列番号25)、GSGGG(配列番号26)、GGGSG(配列番号27)、及びGSSSG(配列番号28)から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CMは、表3に示したものから成る群から選択される酵素のための基質である。いくつかの実施形態において、切断されていない状態で活性化可能抗体はスペーサーを含み、そして、該スペーサーはMMに直接連結され、N末端からC末端にスペーサー−MM−CM−ABの構造配置を有する。
本発明はまた、活性化可能抗体のいずれの鎖内ジスルフィド結合も妨害することなく、還元剤を用いて活性化可能抗体と第2の分子との間の少なくとも1つのジスルフィド結合を部分的に還元することによって、活性化可能抗体の1若しくは複数の潜在的結合部位の配置の選択性をもたらす、部分的に還元する方法も提供し、ここで前記活性化可能抗体は、標的に対して特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメント(AB)、切断されていない状態で、標的への活性化可能抗体中のABの結合を阻害するマスキング部分(MM)、及びABに結合される切断可能部分(CM)を含み、且つ、該CMはプロテアーゼのための基質として機能するポリペプチドである。いくつかの実施形態において、第2の分子はシステインである。いくつかの実施形態において、第2の分子はグルタチオンである。
本発明はまた、活性化可能抗体の活性及び/又は有効性を妨害することなく、でなければ、支障をきたすことなく還元剤を用いて活性化可能抗体と第2の分子との間の少なくとも1つのジスルフィド結合を部分的に還元することによって、活性化可能抗体の1若しくは複数の潜在的結合部位の配置の選択性をもたらす、部分的に還元する方法も提供し、ここで前記活性化可能抗体は、標的に対して特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメント(AB)、切断されていない状態で、標的への活性化可能抗体中のABの結合を阻害するマスキング部分(MM)、及びABに結合される切断可能部分(CM)(ここで、CMはプロテアーゼのための基質として機能するポリペプチドである)を含む。活性化可能抗体の活性及び/又は有効性とは、限定されない例としては、マスキング活性、活性化可能抗体の活性化、及び/又は活性化された活性化可能抗体の結合活性である。いくつかの実施形態において、第2の分子はシステインである。いくつかの実施形態において、第2の分子はグルタチオンである。
いくつかの実施形態において、前記方法は、活性化可能抗体の鎖内ジスルフィド結合を妨害しない。いくつかの実施形態において、前記方法は、活性化可能抗体内のMMの鎖内ジスルフィド結合を妨害しない。
いくつかの実施形態において、切断されていない状態での活性化可能抗体は、以下のようなN末端からC末端側への構造配置:MM−CM−AB又はAB−CM−MMを有する。いくつかの実施形態において、還元剤はTCEPである。いくつかの実施形態において、剤は表4に列挙された剤の群から選択される。いくつかの実施形態において、剤は、毒素又はそのフラグメントである。いくつかの実施形態において、剤は微小管阻害剤である。いくつかの実施形態において、剤はドラスタチンである。いくつかの実施形態において、剤は、アウリスタチン又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、剤は、アウリスタチンE又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、剤はモノメチルアウリスタチンE(MMAE)である。いくつかの実施形態において、剤はモノメチルアウリスタチンD(MMAD)である。いくつかの実施形態において、剤は、マイタンシノイド又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、剤は、DM1又はDM4である。いくつかの実施形態において、剤は核酸損傷剤である。いくつかの実施形態において、剤は、デュオカルマイシン又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、剤は、カリケアマイシン又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、剤はリンカーを介してABに結合される。いくつかの実施形態において、リンカーは切断可能なリンカーである。いくつかの実施形態において、剤は検出可能部分である。いくつかの実施形態において、検出可能部分は診断薬である。
いくつかの実施形態において、標的は、表1で列挙された標的の群から選択される。いくつかの実施形態において、ABは、表2で列挙された抗体の群から選択された抗体であるか又はそれに由来する。いくつかの実施形態において、その抗原結合フラグメントは、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv、scAb、dAb、単一ドメインH鎖抗体、及び単一ドメインL鎖抗体から成る群から選択される。いくつかの実施形態において、ABは、標的に結合するための約100nM以下の平衡解離定数を有する。いくつかの実施形態において、MMは、標的へのABの平衡解離定数より高い、ABに結合するための平衡解離定数を有する。いくつかの実施形態において、MMは、標的に結合するために、切断状態の活性化可能抗体のABと干渉もしないし、競合もしない。いくつかの実施形態において、MMは、長さが40個以下のアミノ酸のポリペプチドである。いくつかの実施形態において、MMポリペプチド配列は標的の配列と異なり、MMポリペプチド配列はABの任意の天然の結合パートナーに対して50%以下同一である。いくつかの実施形態において、MMは、標的に対して25%超のアミノ酸配列同一性を含まない。いくつかの実施形態において、MMは、標的に対して10%超のアミノ酸配列同一性を含まない。いくつかの実施形態において、CMは、長さが最大15個のアミノ酸のポリペプチドである。いくつかの実施形態において、プロテアーゼは組織において標的と共に局在し、活性化可能抗体がプロテアーゼに晒されたとき、プロテアーゼは活性化可能抗体内のCMを切断する。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体は、MMとCMとの間に連結ペプチドを含んでいる。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体は、CMとABとの間に連結ペプチドを含んでいる。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体は、第1連結ペプチド(LP1)及び第二の連結ペプチド(LP2)を含み、そして、切断されていない状態での活性化可能抗体が、以下のN末端からC末端への構造配置:MM−LP1−CM−LP2−AB又はAB−LP2−CM−LP1−MMを有する。いくつかの実施形態において、2つの連結ペプチドは互いに同一である必要はない。いくつかの実施形態において、LP1及びLP2のそれぞれは、長さが約1〜20個のアミノ酸のペプチドである。いくつかの実施形態において、LP1又はLP2の少なくとも1つは、(GS)n、(GGS)n、(GSGGS)n(配列番号21)及び(GGGS)n(配列番号22)(式中、nは少なくとも1の整数である)から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、LP1又はLP2の少なくとも1つは、GGSG(配列番号23)、GGSGG(配列番号24)、GSGSG(配列番号25)、GSGGG(配列番号26)、GGGSG(配列番号27)、及びGSSSG(配列番号28)から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CMは、表3に示したものから成る群から選択される酵素のための基質である。いくつかの実施形態において、切断されていない状態で活性化可能抗体はスペーサーを含み、そして、該スペーサーはMMに直接連結され、N末端からC末端にスペーサー−MM−CM−ABの構造配置を有する。
本発明はまた、モノメチルアウリスタチンD(MMAD)ペイロードに接続された活性化可能抗体を含む複合活性化可能抗体を提供し、ここで前記活性化可能抗体は、標的に対して特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメント(AB)、切断されていない状態で、標的への活性化可能抗体中のABの結合を阻害するマスキング部分(MM)、及びABに結合される切断可能部分(CM)を含み、且つ、該CMはプロテアーゼのための基質として機能するポリペプチドである。
いくつかの実施形態において、MMAD複合活性化可能抗体は、剤をABに付加するためのいくつかの方法:(a)ABの炭化水素部分への付加、又は(b)ABのスルフヒドリル基への付加、又は(c)ABのアミノ基への付加、又は(d)ABのカルボキシラート基への付加、のいずれかを使用して複合化され得る。
いくつかの実施形態において、MMADペイロードはリンカーを介してABに結合される。いくつかの実施形態において、MMADペイロードはリンカーを介してABのシステインに結合される。いくつかの実施形態において、MMADペイロードはリンカーを介してABのリジンに結合される。いくつかの実施形態において、MMADペイロードは、本明細書中に開示されたそれらの残基などのリンカーを介してABの別の残基に結合される。いくつかの実施形態において、リンカーはチオール含有リンカーである。いくつかの実施形態において、リンカーは切断可能なリンカーである。いくつかの実施形態において、リンカーは、切断不可能なリンカーである。いくつかの実施形態において、リンカーは、表5及び6に示したリンカーから成る群から選択される。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体とMMADペイロードは、マレイミドカプロイル−バリン−シトルリンリンカーを介して連結される。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体とMMADペイロードは、マレイミドPEG−バリン−シトルリンリンカーを介して連結される。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体とMMADペイロードは、マレイミドカプロイル−バリン−シトルリン−パラ−アミノベンジルオキシカルボニルリンカーを介して連結される。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体とMMADペイロードは、マレイミドPEG−バリン−シトルリン−パラ−アミノベンジルオキシカルボニルリンカーを介して連結される。いくつかの実施形態において、MMADペイロードは、本明細書中に開示した部分還元と結合技術を使用してABに結合される。
いくつかの実施形態において、標的は、表1で列挙された標的の群から選択される。いくつかの実施形態において、標的はEGFRである。いくつかの実施形態において、標的は、Jaggedタンパク質、例えば、Jagged1及び/又はJagged2である。いくつかの実施形態において、標的は、インターロイキン6受容体(IL−6R)である。いくつかの実施形態において、ABは、表2で列挙された抗体の群から選択された抗体であるか又はそれに由来する。いくつかの実施形態において、その抗原結合フラグメントは、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv、scAb、dAb、単一ドメインH鎖抗体、及び単一ドメインL鎖抗体から成る群から選択される。いくつかの実施形態において、ABは、標的に結合するための約100nM以下の平衡解離定数を有する。いくつかの実施形態において、MMは、標的へのABの平衡解離定数より高い、ABに結合するための平衡解離定数を有する。いくつかの実施形態において、MMは、標的に結合するために、切断状態の活性化可能抗体のABと干渉もしないし、競合もしない。いくつかの実施形態において、MMは、長さが40個以下のアミノ酸のポリペプチドである。いくつかの実施形態において、MMポリペプチド配列は標的の配列と異なり、MMポリペプチド配列はABの任意の天然の結合パートナーに対して50%以下同一である。いくつかの実施形態において、MMは、標的に対して25%超のアミノ酸配列同一性を含まない。いくつかの実施形態において、MMは、標的に対して10%超のアミノ酸配列同一性を含まない。いくつかの実施形態において、CMは、長さが最大15個のアミノ酸のポリペプチドである。いくつかの実施形態において、プロテアーゼは組織において標的と共に局在し、活性化可能抗体がプロテアーゼに晒されたとき、プロテアーゼは活性化可能抗体内のCMを切断する。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体は、MMとCMとの間に連結ペプチドを含んでいる。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体は、CMとABとの間に連結ペプチドを含んでいる。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体は、第1連結ペプチド(LP1)及び第二の連結ペプチド(LP2)を含み、そして、切断されていない状態での活性化可能抗体が、以下のN末端からC末端への構造配置:MM−LP1−CM−LP2−AB又はAB−LP2−CM−LP1−MMを有する。いくつかの実施形態において、2つの連結ペプチドは互いに同一である必要はない。いくつかの実施形態において、LP1及びLP2のそれぞれは、長さが約1〜20個のアミノ酸のペプチドである。いくつかの実施形態において、LP1又はLP2の少なくとも1つは、(GS)n、(GGS)n、(GSGGS)n(配列番号21)及び(GGGS)n(配列番号22)(式中、nは少なくとも1の整数である)から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、LP1又はLP2の少なくとも1つは、GGSG(配列番号23)、GGSGG(配列番号24)、GSGSG(配列番号25)、GSGGG(配列番号26)、GGGSG(配列番号27)、及びGSSSG(配列番号28)から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、CMは、表3に示したものから成る群から選択される酵素のための基質である。いくつかの実施形態において、切断されていない状態で活性化可能抗体はスペーサーを含み、そして、該スペーサーはMMに直接連結され、N末端からC末端にスペーサー−MM−CM−ABの構造配置を有する。
本発明は、活性化状態で標的に結合する複合活性化可能抗体、特に標的に結合して、標的の少なくとも1つの生物学的活性を中和するか、そうでなければ阻害する複合活性化可能抗体を使用して、対象での標的の発現及び/又は活性に関係した適応症、例えば、疾患又は障害の発症又は進行を治療する、予防する、及び/又は遅らせるか、或いは、症状を緩和する方法を提供する。本発明の方法及びキットのいずれかにおける使用のための好適な複合活性化可能抗体としては、本明細書中に記載した複合活性化可能抗体のいずれかが挙げられ、本明細書中に記載した部分的複合活性化可能抗体及び/又は部分的に還元された活性化可能抗体が含まれる。
いくつかの実施形態において、本発明は、活性化状態で標的に結合する複合活性化可能抗体、特に標的に結合し、そして、標的の少なくとも1つの生物学的活性を中和するか、そうでなければ阻害する複合活性化可能抗体を使用して、対象での標的の検出可能な発現レベル及び/又は活性に関係した適応症、例えば、疾患又は障害の発症又は進行を治療する、予防する、及び/又は遅らせるか、或いは、症状を緩和する方法を提供する。いくつかの実施形態において、活性化状態にある複合活性化可能抗体は、標的に結合して、内在化される。いくつかの実施形態において、標的の検出可能な発現レベル及び/又は活性は、少なくとも1つの意図される治療及び/又は診断部位で見られる。いくつかの実施形態において、標的の検出可能な発現レベル及び/又は活性は、正常な、例えば、健康な組織で見られるが、複合活性化可能抗体は、(単数若しくは複数の)意図される治療及び/又は診断部位で活性化され、正常な、例えば、健康な組織では活性化されない。複合活性化可能抗体は、例えば、(単数若しくは複数の)意図される治療及び/又は診断部位にて標的と共に局在するプロテアーゼによって活性化される。いくつかの実施形態において、標的の検出可能な発現レベル及び/又は活性は、少なくとも1つの意図される治療及び/又は診断部位、及び正常な、例えば、健康な組織で見られるが、複合活性化可能抗体は、(単数若しくは複数の)意図される治療及び/又は診断部位では活性化され、正常な、例えば、健康な組織では活性化されない。複合活性化可能抗体は、例えば、(単数若しくは複数の)意図される治療及び/又は診断部位にて標的と共に局在するプロテアーゼによって活性化される。
いくつかの実施形態において、標的の発現及び/又は活性に関係する適応症(例えば、疾患又は障害)は癌である。いくつかの実施形態において、標的の発現及び/又は活性に関係する適応症(例えば、疾患又は障害)は、炎症性疾患及び/又は自己免疫疾患である。
本発明はまた、それを必要としている対象に、本明細書中に記載した複合活性化可能抗体を治療上有効な量で投与することによって該対象の血管新生を阻害する方法を提供する。
複合活性化可能抗体は、疾患のいずれの病期であっても投与され得る。いくつかの実施形態において、複合活性化可能抗体は、初期から転移性病期のいずれの病期の癌に罹患している患者でも投与され得る。いくつかの実施形態において、複合活性化可能抗体は、早発期から進行期のいずれの病期の炎症性疾患、及び/又は自己免疫疾患に罹患している患者にも投与され得る。対象及び患者という用語は、本明細書中で互換的に使用されることは理解すべきである。
複合活性化可能抗体はまた、他の治療指標及び治療計画でも有用である。例えば、本明細書中に提供された実施形態の複合活性化可能抗体は、ネオアジュバント療法を含めた治療計画に使用されてもよい。
いくつかの実施形態において、複合活性化可能抗体は、制限されることのない例によれば、アルキル化剤や、代謝拮抗物質や、抗微小管剤や、トポイソメラーゼ阻害剤や、細胞傷害性の抗生物質や、その他の核酸損傷剤などの化学療法薬などの1若しくは複数の追加の剤と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態において、追加の剤はパクリタキセルなどのタキサン(例えば、Abraxane(登録商標))である。いくつかの実施形態において、追加の剤はゲムシタビンなどの代謝拮抗物質である。いくつかの実施形態において、追加の剤は、カルボプラチン又はシスプラチンなどの白金を用いた化学療法などのアルキル化剤である。いくつかの実施形態において、追加の剤は、キナーゼ阻害剤、例えば、ソラフェニブ又はエルロチニブなどの標的化剤である。いくつかの実施形態において、追加の剤は、別の抗体、例えば、モノクローナル抗体(例えば、ベバシズマブ)、二重特異性抗体、又は多重特異性抗体などの標的化剤である。いくつかの実施形態において、追加の剤は、ボルテゾミブ又はカーフィルゾミブなどのプロテオソーム阻害剤である。いくつかの実施形態において、追加の剤は、レナリドマイド(lenolidominde)又はIL−2などの免疫修飾薬である。いくつかの実施形態において、追加の剤は放射線である。いくつかの実施形態において、追加の剤は、当業者によって標準的な処置と考えられる剤である。いくつかの実施形態において、追加の剤は、当業者にとって周知の化学療法薬である。いくつかの実施形態において、複合活性化可能抗体と(単数若しくは複数の)追加の剤は、単一の組成物で処方される。いくつかの実施形態において、複合活性化可能抗体と(単数若しくは複数の)追加の剤は、2以上の別個の組成物として投与される。いくつかの実施形態において、複合活性化可能抗体と(単数若しくは複数の)追加の剤は、同時に投与される。いくつかの実施形態において、複合活性化可能抗体と(単数若しくは複数の)追加の剤は、連続して投与される。
いくつかの実施形態において、対象は哺乳類である。いくつかの実施形態において、対象はヒトである。いくつかの実施形態において、対象は、ヒト以外の哺乳類、例えばヒト以外の霊長類、愛玩動物(例えば、ネコ、イヌ、ウマ)、家畜、作業動物又は動物園の動物である。いくつかの実施形態において、対象は齧歯動物である。いくつかの実施形態において、対象はヒトである。いくつかの実施形態において、対象は愛玩動物である。いくつかの実施形態において、対象は、獣医が処置中の動物である。
複合活性化可能抗体及びその治療製剤は、異常な標的の発現及び/又は活性に関係する疾患又は障害を有するか又はかかりやすい対象に投与される。異常な標的の発現及び/又は活性に関係する疾患又は障害を有するか又はかかりやすい対象は、当業界において知られている種々の方法を用いて、同定される。例えば、癌又は他の腫瘍性状態を有する対象は、健康状態を評価するために、種々の臨床学的及び/又は臨床検査、例えば物理的試験、及び血液、尿及び糞便分析を用いて、同定される。
異常な標的の発現及び/又は活性に関係する疾患又は障害を有する患者への複合活性化可能抗体の投与は、種々の実験的又は臨床目的が達成される場合、成功したものとして見なされる。例えば、異常な標的の発現及び/又は活性に関係する疾患又は障害を有する患者への複合活性化可能抗体の投与は、患者又は障害に関連する1若しくは複数の症状が緩和され、軽減され、阻害されるか、又はさらなる悪化状態に進行しない場合、成功したものとして見なされる。異常な標的の発現及び/又は活性に関係する疾患又は障害を有する患者への複合活性化可能抗体の投与は、疾患が回復するか、又はさらに悪化状態に進行しない場合、成功したものとして見なされる。
本発明はまた、種々の診断及び/又は予防指標において標的を結合する複合活性化可能抗体の使用方法、並びにそれらの方法に使用するためのキットも提供する。それらの方法及び/又はキットのいくつかの実施形態において、前記複合活性化可能抗体は検出できる標識を含む。それらの方法及び/又はキットのいくつかの実施形態において、前記検出できる標識は、イメージング剤、造影剤、酵素、蛍光標識、発色団、色素、1若しくは複数の金属イオン、又はリガンド系標識を含む。それらの方法及び/又はキットのいくつかの実施形態において、イメージング剤は、放射性同位体を含む。それらの方法のいくつかの実施形態において、放射性同位体は、インジウム又はテクネチウムである。それらの方法のいくつかの実施形態において、放射性同位体は、ホウ素であるか、又はヨウ素から誘導される。それらの方法のいくつかの実施形態において、放射性同位体は、125I又は133Iである。それらの方法及び/又はキットのいくつかの実施形態において、造影剤は、ヨウ素、ガドリニウム又は酸化鉄を包含する。それらの方法及び/又はキットのいくつかの実施形態において、酵素は、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ又はβ−ガラクトシダーゼを含む。それらの方法及び/又はキットのいくつかの実施形態において、蛍光標識は、黄色蛍光タンパク質(YFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、変性された赤色蛍光タンパク質(mRFP)、赤色蛍光タンパク質tdimer2(RFP tdimer2)、HCRED、又はユーロピウム誘導体を含む。それらの方法及び/又はキットのいくつかの実施形態において、発光標識は、N−メチルアクリジニウム誘導体を含む。それらの方法及び/又はキットのいくつかの実施形態において、標識は、Alexa Fluor(登録商標)標識、例えばAlex Fluor(登録商標)680又はAlexa Fluor(登録商標)750を包含する。それらの方法及び/又はキットのいくつかの実施形態において、リガンドに基づく標識は、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、又は1若しくは複数のハプテンを含む。
それらの方法及び/又はキットのいくつかの実施形態において、対象は哺乳類である。いくつかの実施形態において、対象はヒトである。いくつかの実施形態において、対象は、非ヒト哺乳類、例えば非ヒト霊長類、愛玩動物(例えば、ネコ、イヌ、ウマ)、家畜、作業動物又は動物園の動物である。いくつかの実施形態において、対象は齧歯動物である。いくつかの実施形態において、対象はヒトである。いくつかの実施形態において、対象は愛玩動物である。いくつかの実施形態において、対象は、獣医が処置中の動物である。
本発明はまた、種々の診断及び/又は予防指標において、複合活性化可能抗体(すなわち、活性化可能抗体複合体)の使用方法も提供する。例えば、本発明は、(i)複合活性化可能抗体と、対象又はサンプルとを接触させ、そして(ii)前記対象又はサンプルにおける複合活性化可能抗体のレベルを測定することによる、対象又はサンプルにおける切断剤及び着目の標的の存在又は不在の検出方法を提供し、ここで前記対象又はサンプルにおける複合活性化可能抗体の検出可能レベルは、前記切断剤及び標的が対象又はサンプルに存在することを示し、そして前記対象又はサンプルにおける複合活性化可能抗体の検出可能レベルの不在が、前記切断剤、標的、又は切断剤及び標的の両者が対象又はサンプルに不在であることを示す。いくつかの実施形態において、複合活性化可能抗体内に結合した活性化可能抗体に相当する非複合活性化可能抗体は、対象又はサンプルを接触させるのに使用される。
本発明は、(i)複合活性化可能抗体と、対象又はサンプルとを、標的の存在下で接触し、そして(ii)前記対象又はサンプルにおける活性化された複合活性化可能抗体のレベルを測定することによる、対象又はサンプルにおける切断剤の存在又は不在の検出方法を提供し、ここで前記対象又はサンプルにおける活性化された複合活性化可能抗体の検出可能レベルは、前記切断剤が対象又はサンプルに存在することを示し、そして前記対象又はサンプルにおける複合活性化可能抗体の検出可能レベルの不在が、前記切断剤が対象又はサンプルに不在であることを示す。いくつかの実施形態において、複合活性化可能抗体内に結合した活性化可能抗体に相当する非複合活性化可能抗体は、対象又はサンプルを接触させるのに使用される。
本発明は、(i)複合活性化可能抗体と、対象又はサンプルとを接触し、そして(ii)前記対象又はサンプルにおける検出可能標識のレベルを測定することによる、対象又はサンプルにおける切断剤の存在又は不在の検出方法を提供し、ここで前記対象又はサンプルにおける検出可能標識の検出可能レベルは、前記切断剤が対象又はサンプルに存在しないことを示し、そして前記対象又はサンプルにおける検出可能標識の検出可能レベルの不在が、前記切断剤が対象又はサンプルに存在ことを示す。いくつかの実施形態において、複合活性化可能抗体内に結合した活性化可能抗体に相当する非複合活性化可能抗体は、対象又はサンプルを接触させるのに使用される。
それらの方法のいくつかの実施形態において、複合活性化可能抗体又は対応する非複合活性化可能抗体は、イメージング剤、造影剤、酵素、蛍光標識、発色団、色素、1若しくは複数の金属イオン、又はリガンド系標識から成る群から選択される検出可能標識を含む。それらの方法のいくつかの実施形態において、イメージング剤は、放射性同位体を含む。それらの方法のいくつかの実施形態において、放射性同位体は、インジウム又はテクネチウムである。それらの方法のいくつかの実施形態において、造影剤は、ヨウ素、ガドリニウム又は酸化鉄を包含する。それらの方法のいくつかの実施形態において、酵素は、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ又はβ−ガラクトシダーゼを含む。それらの方法のいくつかの実施形態において、蛍光標識は、黄色蛍光タンパク質(YFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、変性された赤色蛍光タンパク質(mRFP)、赤色蛍光タンパク質tdimer2(RFP tdimer2)、HCRED、又はユーロピウム誘導体を含む。それらの方法のいくつかの実施形態において、発光標識は、N−メチルアクリジニウム誘導体を含む。それらの方法のいくつかの実施形態において、標識は、Alexa Fluor(登録商標)標識、例えばAlex Fluor(登録商標)680又はAlexa Fluor(登録商標)750を包含する。それらの方法のいくつかの実施形態において、リガンドに基づく標識は、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、又は1若しくは複数のハプテンを含む。
それらの方法のいくつかの実施形態において、対象は哺乳類である。それらの方法のいくつかの実施形態において、対象はヒトである。いくつかの実施形態において、対象は、非ヒト哺乳類、例えば非ヒト霊長類、愛玩動物(例えば、ネコ、イヌ、ウマ)、家畜、作業動物又は動物園の動物である。いくつかの実施形態において、対象は齧歯動物である。いくつかの実施形態において、対象はヒトである。いくつかの実施形態において、対象は愛玩動物である。いくつかの実施形態において、対象は、獣医が処置中の動物である。
それらの方法のいくつかの実施形態において、前記方法はインビボ法である。それらの方法のいくつかの実施形態において、前記方法はインサイチュ法である。それらの方法のいくつかの実施形態において、前記方法はエクスビボ法である。それらの方法のいくつかの実施形態において、前記方法はインビトロ法である。
それらの方法のいくつかの実施形態において、前記方法は、開示の複合活性化可能抗体による治療のために適切な患者集団を同定するか、そうでなければ、細分するために使用される。例えば、標的、及びそれらの方法において試験される複合活性化可能抗体の切断可能部分(CM)において基質を切断するプロテアーゼの両者について検査陽性である患者は、そのようなCMを含むそのようなそのような複合活性化可能抗体による治療のための適切な候補体として同定される。同様に、標的、及びそれらの方法を用いて試験される複合活性化可能抗体又は対応する非複合活性化可能抗体中のCMにおける基質を切断するプロテアーゼのいずれか又は両者について検査陰性である患者は、別の治療形のための適切な候補体として同定されるであろう(すなわち、試験される複合活性化可能抗体による治療のために適切でない)。いくつかの実施形態において、そのような患者は、治療のための適切な複合活性化可能抗体が同定されるまで、他の活性化可能抗体及び/又は複合活性化可能抗体により検査され得る。
それらの方法のいくつかの実施形態において、前記方法は、開示の複合活性化可能抗体による治療と、それに続くその複合活性化可能抗体をそれを必要としている対象に投与することによる治療のために適切な患者集団を同定するか、そうでなければ、細分するために使用される。例えば、標的、及びそれらの方法において試験される複合活性化可能抗体又は対応する非複合活性化可能抗体の切断可能部分(CM)において基質を切断するプロテアーゼの両者について検査陽性である患者は、そのようなCMを含むそのようなそのような複合活性化可能抗体による治療のための適切な候補体として同定され、その後、該患者には、治療上有効な量の複合活性化可能抗体が投与される。同様に、標的、及びそれらの方法を用いて試験される複合活性化可能抗体又は対応する非複合活性化可能抗体中のCMにおける基質を切断するプロテアーゼのいずれか又は両者について検査陰性である患者は、別の治療形のための適切な候補体として同定されるであろう(すなわち、試験される複合活性化可能抗体による治療のために適切でない)。いくつかの実施形態において、そのような患者は、治療のための適切な複合活性化可能抗体が同定されるまで、他の活性化可能抗体及び/又は複合活性化可能抗体により検査され得る。いくつかの実施形態において、患者にはその後、該患者が検査で陽性であった複合活性化可能抗体の治療上有効な量が投与される。
本発明はまた、活性化状態で、標的に結合する複合活性化可能抗体を提供し;ここで、該複合活性化可能抗体は、標的に特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメント(AB)(ここで、該ABはモノメチルアウリスタチンD(MMAD)に結合される);活性化可能抗体が切断されていない状態でのABの標的への結合を阻害するマスキング部分(MM);及びABに結合された切断可能部分(CM)(ここで、該CMはプロテアーゼの基質として機能するポリペプチドである)を含む。
いくつかの実施形態において、切断されていない状態にある活性化可能抗体は、以下のようなN末端からC末端への構造配置:MM−CM−AB又はAB−CM−MMを有する。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体は、MMとCMとの間に連結ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体は、CMとABとの間に連結ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体は、第1連結ペプチド(LP1)及び第2連結ペプチド(LP2)を含み、そして、切断されていない状態にある活性化可能抗体は、以下のようなN末端からC末端への構造配置:MM−LP1−CM−LP2−AB又はAB−LP2−CM−LP1−MMを有する。いくつかの実施形態において、前記2つの連結ペプチドは互いに同一である必要はない。いくつかの実施形態において、LP1とLP2のそれぞれは、長さが約1〜20個のアミノ酸のペプチドである。
いくつかの実施形態において、前記MMは、標的へのABの平衡解離定数より高い、ABへの結合のための平衡解離定数を有する。いくつかの実施形態において、前記MMは、活性化可能抗体が切断状態にあるとき、標的への結合のためのABと干渉もしないし、競合もしない。いくつかの実施形態において、前記MMは、長さが40個以下のアミノ酸のポリペプチドである。いくつかの実施形態において、前記MMポリペプチド配列は、標的の配列と異なり、ここで、該MMポリペプチド配列は、ABの任意の天然の結合パートナーに対して50%以下同一である。
いくつかの実施形態において、プロテアーゼは組織において標的と共に局在し、そしてここで、該プロテアーゼは、活性化可能抗体がプロテアーゼに晒されるとき、活性化可能抗体内のCMを切断する。いくつかの実施形態において、CMは、長さが最大15個のアミノ酸のポリペプチドである。いくつかの実施形態において、CMは、表3に示されたものから成る群から選択される酵素のための基質である。
いくつかの実施形態において、その抗原結合フラグメントは、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv、scab、dAb、単一ドメインH鎖抗体、及び単一ドメインL鎖抗体から成る群から選択される。いくつかの実施形態において、ABの標的は、表1で列挙される標的から成る群から選択される。いくつかの実施形態において、ABは、表2で列挙された抗体であるか、又はそれに由来する。
いくつかの実施形態において、MMADは、リンカーを介してABに結合される。いくつかの実施形態において、リンカーは、切断可能なリンカーである。いくつかの実施形態において、リンカーは、切断不可能なリンカーである。いくつかの実施形態において、リンカーは、表5及び6に示されているリンカーから成る群から選択される。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体とMMADペイロードは、マレイミドカプロイル−バリン−シトルリンリンカーを介して連結される。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体とMMADペイロードは、マレイミドPEG−バリン−シトルリンリンカーを介して連結される。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体とMMADペイロードは、マレイミドカプロイル−バリン−シトルリン−パラ−アミノベンジルオキシカルボニルリンカーを介して連結される。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体とMMADペイロードは、マレイミドPEG−バリン−シトルリン−パラ−アミノベンジルオキシカルボニルリンカーを介して連結される。いくつかの実施形態において、MMADペイロードは、本明細書中に開示された部分還元及び結合技術を使用してABに結合される。
本発明による医薬組成物は、本発明の複合化抗体及び担体を含むことができる。これらの医薬組成物は、例えば、本明細書中に開示された方法で使用するための診断キットなどのキットに含まれ得る。
発明の詳細な説明
本発明は、活性化可能抗体を含んでいる複合体、及びこれらの活性化可能抗体複合体を作製する方法を提供する。薬物又は標識を受け入れるための結合点を有する活性化可能抗体もまた提供される。前記複合体は、治療的に使用されても、(例えば、インビトロ又はインビボにおいて)診断的に使用されても、インビボ画像化のために使用されても、及びその他のさまざまな治療的、診断的及び/又は予防的用途に使用されてもよい。
概して、本明細書中で提供する組成物及び方法は、標的を特異的に結合する抗体又は抗体フラグメント(AB)を含む活性化可能抗体を含み、ここでABは、ABのその標的物を結合する能力を低めるマスキング部分(MM)に結合される。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体はさらに、プロテアーゼのための基質である切断可能部分(CM)を含む。本明細書に提供される組成物及び方法は、活性化可能抗体の活性(例えば、マスキング、活性化又は結合活性)を損なうことなく、ABにおける1若しくは複数のシステイン残基への1若しくは複数の剤の結合を可能にする。いくつかの実施形態において、本明細書中に提供された組成物及び方法は、活性化可能抗体内の1若しくは複数の鎖内ジスルフィド結合を還元することなく、そうでなければ、妨害することなく、AB内の1若しくは複数のシステイン残基への1若しくは複数の剤の付加を可能にする。いくつかの実施形態において、本明細書に提供される組成物及び方法は、MM内の1若しくは複数のジスルフィド結合を還元し、そうでなければ、破壊することなく、ABにおける1若しくは複数のシステイン残基への1若しくは複数の剤の結合を可能にする。
本明細書に提供される組成物及び方法は、1若しくは複数の剤、例えば任意の種々の治療剤、診断剤及び/又は予防剤に結合される活性化可能を抗体を生成し、前記剤のいずれも、活性化可能抗体のMMに結合されない。本明細書に提供される組成物及び方法は、MMが切断されていない状態で活性化可能抗体のABを、効果的にマスキングする能力を保持する、複合活性化可能抗体を生成する。加えて、斯かる複合活性化可能抗体は、活性化されるべき能力を保有し、そして、活性化されたABはその標的に結合する能力を保有する。
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供された組成物及び方法は、活性化可能抗体内のMMのマスキング活性及び/又はマスキング効率に支障をきたすことはない。例えば、組成物及び方法が活性化可能抗体のMMのマスキング活性及び/又はマスキング効率に負の影響を与えることがわかっている状況で、該組成物及び方法は、結合前又はどんな結合も存在しない状況の活性化可能抗体のマスキング活性、及び/又はマスキング効率のレベルと比較して、50%以下、40%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、活性化可能抗体のマスキング活性及び/又はマスキング効率を減少するか、そうでなければ、妨害される。
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供された組成物及び方法は、活性化可能抗体の活性化活性及び/又は活性化効率に支障をきたすことはない。例えば、組成物及び方法が活性化活性及び/又は活性化効率に負の影響を与えることがわかっている状況で、該組成物及び方法は、結合前又はどんな結合も存在しない状況の活性化可能抗体の活性化活性及び/又は活性化効率のレベルと比較して、50%以下、40%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下又は1%以下、活性化可能抗体の活性化活性及び/又は活性化効率を減少するか、そうでなければ、妨害する。
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供された組成物及び方法は、活性化可能抗体の結合活性に支障をきたすことはない。例えば、組成物及び方法が結合活性に負の影響を与えることがわかっている状況で、該組成物及び方法は、結合前又はどんな結合も存在しない状況の活性化可能抗体の結合活性のレベルと比較して、50%以下、40%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下又は1%以下、活性化可能抗体の結合活性を減少するか、そうでなければ、妨害する。
本明細書中に提供された組成物及び方法は、結合が後に続く所望の部分還元を生じさせる試薬と反応条件の組み合わせを決定する。還元とその後の結合が適切に制御されていない場合、活性化可能抗体は完全に還元されるので、該活性化可能抗体のマスキング効率は支障をきたさない。
複合活性化可能抗体は、標的に特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメント(AB)を含み、且つ、該ABは、マスキング部分(MM)に結合され、結果的に、ABへのMMのカップリングは、標的を結合する抗体又はその抗原結合フラグメントの能力を低下させる。いくつかの実施形態において、MMは、プロテアーゼ、例えば対象の治療部位で標的と共に局在するプロテアーゼの基質を含む切断可能部分(CM)を介してABに結合される。多くの研究が、固形腫瘍における異常プロテアーゼレベル、例えばuPA、レグマイン、MT−SP1、マトリックス金属プロテアーゼ(MMP)レベルの相関性を示して来た(例えば、Murthy RV, et al. “Legumain expression in relation to clinicopathologic and biological variables in colorectal cancer.” Clin Cancer Res. 11 (2005): 2293-2299; Nielsen BS, et al. “Urokinase plasminogen activator is localized in stromal cells in ductal breast cancer.” Lab Invest 81 (2001): 1485-1501; Mook OR, et al. “In situ localization of gelatinolytic activity in the extracellular matrix of metastases of colon cancer in rat liver using quenched fluorogenic DQ-gelatin.” J Histochem Cytochem. 51 (2003): 821-829を参照のこと)。
本明細書に提供される複合活性化可能抗体は、治療及び/又は診断の部位での標的化された複合化抗体活性化のために腫瘍細胞におけるプロテアーゼ活性の活用において有用である、プロテアーゼのための基質を含む。基質選択工程を用いて、多くの所望する特徴を有する基質を同定する。例えば、選択される基質は全身的に安定し(すなわち、対象の全身性循環において安定する)、一般的に、循環プロテアーゼ、例えばプラスミン、トロンビン、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)又はカリクレイン(KLK)、例えばKLK−5及び/又はKLK−7による切断に対して一般的に感受性ではなく、非毒性であり、毒性の可能性ある部位、例えば皮膚で、プロテアーゼ、例えばADAM9、ADAM10、ADAM17及び/又はカリクレイン、例えばKLK−5及びKLK−7による切断に対して感受性ではなく、そして治療及び/又は診断の意図される部位で活性である。いくつかの実施形態において、同定される基質は、例えば、治療及び/又は診断の意図される部位で過剰発現されるか、又は余分な活性を示すか、或いは、プロテアーゼ阻害に影響を受けにくいため(例えば、対応する阻害剤の低発現又は阻害剤活性の低下のため)無調節であるが、しかし正常な、健康なそうでなければ、非疾患性又は損傷された組織では典型的には発現されないプロテアーゼのために選択され、そして次に、選択される基質は続いて、正常な、例えば非疾患性組織において発現されるプロテアーゼに対してカウンタースクリーニングされる。
制限されることのない例として、ABは、表1で列挙された任意の標的の結合パートナーである。
制限されることのない例として、ABは、表2で列挙された抗体であるか、又はそれに由来する。
いくつかの実施形態において、ABは、上皮成長因子受容体(EGFR)に結合する。いくつかの実施形態において、EGFRに結合するABは、以下に示したH鎖及び/又はL鎖配列の1以上を含む。
C225v5抗体H鎖ヌクレオチド配列:
CAGGTGCAGCTGAAACAGAGCGGCCCGGGCCTGGTGCAGCCGAGCCAGAGCCTGAGCATTACCTGCACCGTGAGCGGCTTTAGCCTGACCAACTATGGCGTGCATTGGGTGCGCCAGAGCCCGGGCAAAGGCCTGGAATGGCTGGGCGTGATTTGGAGCGGCGGCAACACCGATTATAACACCCCGTTTACCAGCCGCCTGAGCATTAACAAAGATAACAGCAAAAGCCAGGTGTTTTTTAAAATGAACAGCCTGCAAAGCCAGGATACCGCGATTTATTATTGCGCGCGCGCGCTGACCTATTATGATTATGAATTTGCGTATTGGGGCCAGGGCACCCTGGTGACCGTGAGCGCGGCTAGCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAACTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAATGA(配列番号:1)
C225v5抗体H鎖アミノ酸配列
QVQLKQSGPGLVQPSQSLSITCTVSGFSLTNYGVHWVRQSPGKGLEWLGVIWSGGNTDYNTPFTSRLSINKDNSKSQVFFKMNSLQSQDTAIYYCARALTYYDYEFAYWGQGTLVTVSAASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK*(配列番号:2)
C225v5抗体L鎖ヌクレオチド配列:
CAGATCTTGCTGACCCAGAGCCCGGTGATTCTGAGCGTGAGCCCGGGCGAACGTGTGAGCTTTAGCTGCCGCGCGAGCCAGAGCATTGGCACCAACATTCATTGGTATCAGCAGCGCACCAACGGCAGCCCGCGCCTGCTGATTAAATATGCGAGCGAAAGCATTAGCGGCATTCCGAGCCGCTTTAGCGGCAGCGGCAGCGGCACCGATTTTACCCTGAGCATTAACAGCGTGGAAAGCGAAGATATTGCGGATTATTATTGCCAGCAGAACAACAACTGGCCGACCACCTTTGGCGCGGGCACCAAACTGGAACTGAAACGTACGGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGTTAG (配列番号:10)
C225v5抗体L鎖アミノ酸配列:
QILLTQSPVILSVSPGERVSFSCRASQSIGTNIHWYQQRTNGSPRLLIKYASESISGIPSRFSGSGSGTDFTLSINSVESEDIADYYCQQNNNWPTTFGAGTKLELKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC*(配列番号:16)
C225v4抗体H鎖ヌクレオチド配列:
CAGGTGCAGCTGAAACAGAGCGGCCCGGGCCTGGTGCAGCCGAGCCAGAGCCTGAGCATTACCTGCACCGTGAGCGGCTTTAGCCTGACCAACTATGGCGTGCATTGGGTGCGCCAGAGCCCGGGCAAAGGCCTGGAATGGCTGGGCGTGATTTGGAGCGGCGGCAACACCGATTATAACACCCCGTTTACCAGCCGCCTGAGCATTAACAAAGATAACAGCAAAAGCCAGGTGTTTTTTAAAATGAACAGCCTGCAAAGCAACGATACCGCGATTTATTATTGCGCGCGCGCGCTGACCTATTATGATTATGAATTTGCGTATTGGGGCCAGGGCACCCTGGTGACCGTGAGCGCGGCTAGCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAACTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAATGA(配列番号:238)
C225v4抗体H鎖アミノ酸配列:
QVQLKQSGPGLVQPSQSLSITCTVSGFSLTNYGVHWVRQSPGKGLEWLGVIWSGGNTDYNTPFTSRLSINKDNSKSQVFFKMNSLQSNDTAIYYCARALTYYDYEFAYWGQGTLVTVSAASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK*(配列番号:239)
C225v6抗体H鎖ヌクレオチド配列:
CAGGTGCAGCTGAAACAGAGCGGCCCGGGCCTGGTGCAGCCGAGCCAGAGCCTGAGCATTACCTGCACCGTGAGCGGCTTTAGCCTGACCAACTATGGCGTGCATTGGGTGCGCCAGAGCCCGGGCAAAGGCCTGGAATGGCTGGGCGTGATTTGGAGCGGCGGCAACACCGATTATAACACCCCGTTTACCAGCCGCCTGAGCATTAACAAAGATAACAGCAAAAGCCAGGTGTTTTTTAAAATGAACAGCCTGCAAAGCCAGGATACCGCGATTTATTATTGCGCGCGCGCGCTGACCTATTATGATTATGAATTTGCGTATTGGGGCCAGGGCACCCTGGTGACCGTGAGCGCGGCTAGCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACGCCAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAACTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAATGA](配列番号:240)
C225v6抗体H鎖アミノ酸配列
QVQLKQSGPGLVQPSQSLSITCTVSGFSLTNYGVHWVRQSPGKGLEWLGVIWSGGNTDYNTPFTSRLSINKDNSKSQVFFKMNSLQSQDTAIYYCARALTYYDYEFAYWGQGTLVTVSAASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK*(配列番号:241)
いくつかの実施形態において、ABは、インターロイキン6受容体(IL−6R)に結合する。いくつかの実施形態において、IL−6Rに結合するABは、以下に示したH鎖及び/又はL鎖配列の1以上を含む。
Av1抗体H鎖アミノ酸配列:
QVQLQESGPGLVRPSQTLSLTCTVSGYSITSDHAWSWVRQPPGRGLEWIGYISYSGITTYNPSLKSRVTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARSLARTTAMDYWGQGSLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号:242)
Av1抗体L鎖アミノ酸配列:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYYTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYCQQGNTLPYTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号:243)
いくつかの実施形態において、ABは、Jagged標的、例えば、Jagged1、Jagged2又はJagged1とJagged2の両方に結合する。いくつかの実施形態において、Jagged標的に結合するABは、以下に示したH鎖及び/又はL鎖配列の1以上を含む。
4D11L鎖配列:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQTVVAPPLFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号:244)
4D11H鎖配列:
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSSIDPEGRQTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKDIGGRSAFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号:245)
4D11v2H鎖配列
EVHLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSSIDPEGRQTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKDIGGRSAFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号:246)
4D11v2L鎖配列
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQTVVAPPLFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLXKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号:247)
いくつかの実施形態において、Jagged標的に結合するABは、以下に示した可変H鎖及び/又は可変L鎖配列の1以上を含む。
可変L鎖アミノ配列 Lc4
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSVVAPLTFGQGTKVEIKR(配列番号:248)
可変H鎖アミノ配列 Hc4
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSSIEQMGWQTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKDIGGRSAFDYWGQGTLVTVSS(配列番号:249)
可変L鎖アミノ配列 Lc5
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSVVAPLTFGQGTKVEIKR(配列番号:250)
可変H鎖アミノ配列 Hc5
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSSIEQMGWQTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKSPPYHGQFDYWGQGTLVTVSS(配列番号:251)
可変L鎖アミノ配列 Lc7
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSVVAPLTFGQGTKVEIKR(配列番号:252)
可変H鎖アミノ配列 Hc7
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSSIEQMGWQTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKSPPFFGQFDYWGQGTLVTVSS(配列番号:253)
可変L鎖アミノ配列 Lc8
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSVVAPLTFGQGTKVEIKR(配列番号:254)
可変H鎖アミノ配列 Hc8
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSSIEQMGWQTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKHIGRTNPFDYWGQGTLVTVSS(配列番号:255)
可変L鎖アミノ配列 Lc13
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSVVAPLTFGQGTKVEIKR(配列番号:256)
可変H鎖アミノ配列 Hc13
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSSIEQMGWQTEYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKSAAAFDYWGQGTLVTVSS(配列番号:257)
可変L鎖アミノ配列 Lc16
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSVVAPLTFGQGTKVEIKR(配列番号:258)
可変H鎖アミノ配列 Hc16
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSSIEQMGWQTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKSPPYYGQFDYWGQGTLVTVSS(配列番号:259)
可変L鎖アミノ配列 Lc19
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSVVAPLTFGQGTKVEIKR(配列番号:260)
可変H鎖アミノ配列 Hc19
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSSIEQMGWQTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKSPPFFGQFDYWGQGTLVTVSS(配列番号:261)
可変L鎖アミノ配列 Lc21
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSVVAPLTFGQGTKVEIKR(配列番号:262)
可変H鎖アミノ配列 Hc21
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSSIEQMGWQTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKDIGGRSAFDYWGQGTLVTVSS(配列番号:263)
可変L鎖アミノ配列 Lc24
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSVVAPLTFGQGTKVEIKR(配列番号:264)
可変H鎖アミノ配列 Hc24
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSSIEEMGWQTLYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKSAAAFDYWGQGTLVTVSS(配列番号:265)
可変L鎖アミノ配列 Lc26
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSVVAPLTFGQGTKVEIKR(配列番号:266)
可変H鎖アミノ配列 Hc26
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSSIEQMGWQTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKDIGGRSAFDYWGQGTLVTVSS(配列番号:267)
可変L鎖アミノ配列 Lc27
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSVVAPLTFGQGTKVEIKR(配列番号:268)
可変H鎖アミノ配列 Hc27
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSSIEQMGWQTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKSPPFYGQFDYWGQGTLVTVSS(配列番号:269)
可変L鎖アミノ配列 Lc28
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSVVAPLTFGQGTKVEIKR(配列番号:270)
可変H鎖アミノ配列 Hc28
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSSIEQMGWQTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKSPPFFGQFDYWGQGTLVTVSS(配列番号:271)
可変L鎖アミノ配列 Lc30
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSVVAPLTFGQGTKVEIKR(配列番号:272)
可変H鎖アミノ配列 Hc30
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSSIEEMGWQTLYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYAKSAAAFDYWGQGTLVTVSS(配列番号:273)
可変L鎖アミノ配列 Lc31
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSVVAPLTFGQGTKVEIKR(配列番号:274)
可変H鎖アミノ配列 Hc31
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSSIEQMGWQTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKDIGGRSAFDYWGQGTLVTVSS(配列番号:275)
可変L鎖アミノ配列 Lc32
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSVVAPLTFGQGTKVEIKR(配列番号:276)
可変H鎖アミノ配列 Hc32
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSSIDPEGWQTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKSAAAFDYWGQGTLVTVSS(配列番号:277)
可変L鎖アミノ配列 Lc37
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSVVAPLTFGQGTKVEIKR(配列番号:278)
可変H鎖アミノ配列 Hc37
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSSIEQMGWQTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKSPPHNGQFDYWGQGTLVTVSS(配列番号:279)
可変L鎖アミノ配列 Lc39
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSVVAPLTFGQGTKVEIKR(配列番号:280)
可変H鎖アミノ配列 Hc39
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSSIEQMGWQTEYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKSAAAFDYWGQGTLVTVSS(配列番号:281)
可変L鎖アミノ配列 Lc40
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSVVAPLTFGQGTKVEIKR(配列番号:282)
H鎖アミノ配列 Hc40
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSSIEQMGWQTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKSPPFFGQFDYWGQGTLVTVSS(配列番号:283)
可変L鎖アミノ配列 Lc47
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSVVAPLTFGQGTKVEIKR(配列番号:284)
可変H鎖アミノ配列 Hc47
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSSIDEMGWQTEYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKSAAAFDYWGQGTLVTVSS(配列番号:285)
可変4B2L鎖
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQTLDAPPQFGQGTKVEIKR(配列番号:286)
可変4B2H鎖
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSSIEQMGWQTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKDIGGRSAFDYWGQGTLVTVSS(配列番号:287)
可変4D11L鎖
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQTVVAPPLFGQGTKVEIKR(配列番号:288)
可変4D11H鎖
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSSIDPEGRQTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKDIGGRSAFDYWGQGTLVTVSS(配列番号:289)
可変4E7L鎖
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSLVAPLTFGQGTKVEIKR(配列番号:290)
可変4E7H鎖
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSSIEEMGWQTKYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKSAAAFDYWGQGTLVTVSS(配列番号:291)
可変4E11L鎖
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQALDAPLMFGQGTKVEIKR(配列番号:292)
可変4E11H鎖
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSSIEPMGQLTEYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKDIGGRSAFDYWGQGTLVTVSS(配列番号:293)
可変6B7L鎖
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQALVAPLTFGQGTKVEIKR(配列番号:294)
可変6B7H鎖
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSSIDEMGWQTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKSAAAFDYWGQGTLVTVSS(配列番号:295)
可変6F8L鎖
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQALVAPLTFGQGTKVEIKR(配列番号:296)
可変6F8H鎖
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSSIDEMGWQTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKSAAAFDYWGQGTLVTVSS(配列番号:297)
制限されることのない例として、CMは、表3で列挙された以下の酵素又はプロテアーゼの1以上によって切断される基質又は基質に由来するアミノ酸配列を含む。
本明細書に提供される複合活性化可能抗体は、マスキング部分を含む。いくつかの実施形態において、マスキング部分は、活性化可能抗体にカップリングされるか、そうでなければ、付加され、そして活性化可能抗体構築物内に位置するアミノ酸配列であり、結果的に、マスキング部分は、標的を特異的に結合する抗体の能力を低下させる。適切なマスキング部分は、種々の既知技法のいずれかを用いて同定される。例えば、ペプチドマスキング部分は、Daughertyらによる米国特許第8,293,685号(その内容はその全体を参照により本明細書に援用する)に記載される方法を用いて、同定される。
いくつかの実施形態において、マスキング部分は、特異的抗体又は抗体フラグメントと共に使用するために選択される。例えば、EGFRに結合する抗体と共に使用するのに好適なマスキング部分としては、配列CISPRG(配列番号29)を含むMMが挙げられる。制限されることのない例として、MMは、CISPRGCG(配列番号30)、CISPRGCPDGPYVMY(配列番号31)、CISPRGCPDGPYVM(配列番号32)、CISPRGCEPGTYVPT(配列番号33)、及びCISPRGCPGQIWHPP(配列番号34)などの配列を含み得る。他の好適なマスキング部分としては、制限されることのない例によれば、GSHCLIPINMGAPSC(配列番号35);CISPRGCGGSSASQSGQGSHCLIPINMGAPSC(配列番号36);CNHHYFYTCGCISPRGCPG(配列番号37);ADHVFWGSYGCISPRGCPG(配列番号38);CHHVYWGHCGCISPRGCPG(配列番号39);CPHFTTTSCGCISPRGCPG(配列番号40);CNHHYHYYCGCISPRGCPG(配列番号41);CPHVSFGSCGCISPRGCPG(配列番号42);CPYYTLSYCGCISPRGCPG(配列番号43);CNHVYFGTCGCISPRGCPG(配列番号44);CNHFTLTTCGCISPRGCPG(配列番号45);CHHFTLTTCGCISPRGCPG(配列番号46);YNPCATPMCCISPRGCPG(配列番号47);CNHHYFYTCGCISPRGCG(配列番号48);CNHHYHYYCGCISPRGCG(配列番号49);CNHVYFGTCGCISPRGCG(配列番号50);CHHVYWGHCGCISPRGCG(配列番号51);CPHFTTTSCGCISPRGCG(配列番号52);CNHFTLTTCGCISPRGCG(配列番号53);CHHFTLTTCGCISPRGCG(配列番号54);CPYYTLSYCGCISPRGCG(配列番号55);CPHVSFGSCGCISPRGCG(配列番号56);ADHVFWGSYGCISPRGCG(配列番号57);YNPCATPMCCISPRGCG(配列番号58);CHHVYWGHCGCISPRGCG(配列番号59);C(N/P)H(H/V/F)(Y/T)(F/W/T/L)(Y/G/T/S)(T/S/Y/H)CGCISPRGCG(配列番号60);CISPRGCGQPIPSVK(配列番号61);CISPRGCTQPYHVSR(配列番号62);及び/又はCISPRGCNAVSGLGS(配列番号63)などのPCT出願公開WO2010/081173で開示されたEGFR特異的なマスクのいずれかが挙げられる。
Jagged標的(例えば、Jagged1及び/又はJagged2)に結合する抗体と共に使用するのに好適なマスキング部分としては、制限されることのない例としてQGQSGQCNIWLVGGDCRGWQG(配列番号232);QGQSGQGQQQWCNIWINGGDCRGWNG(配列番号64);PWCMQRQDFLRCPQP(配列番号65);QLGLPAYMCTFECLR(配列番号66);CNLWVSGGDCGGLQG(配列番号67);SCSLWTSGSCLPHSP(配列番号68);YCLQLPHYMQAMCGR(配列番号69);CFLYSCTDVSYWNNT(配列番号70);PWCMQRQDYLRCPQP(配列番号71);CNLWISGGDCRGLAG(配列番号72);CNLWVSGGDCRGVQG(配列番号73);CNLWVSGGDCRGLRG(配列番号74);CNLWISGGDCRGLPG(配列番号75);CNLWVSGGDCRDAPW(配列番号76);CNLWVSGGDCRDLLG(配列番号77);CNLWVSGGDCRGLQG(配列番号78);CNLWLHGGDCRGWQG(配列番号79);CNIWLVGGDCRGWQG(配列番号80);CTTWFCGGDCGVMRG(配列番号81);CNIWGPSVDCGALLG(配列番号82);CNIWVNGGDCRSFEG(配列番号83);YCLNLPRYMQDMCWA(配列番号84);YCLALPHYMQADCAR(配列番号85);CFLYSCGDVSYWGSA(配列番号86);CYLYSCTDSAFWNNR(配列番号87);CYLYSCNDVSYWSNT(配列番号88);CFLYSCTDVSYW(配列番号89);CFLYSCTDVAYWNSA(配列番号90);CFLYSCTDVSYWGDT(配列番号91);CFLYSCTDVSYWGNS(配列番号92);CFLYSCTDVAYWNNT(配列番号93);CFLYSCGDVSYWGNPGLS(配列番号94);CFLYSCTDVAYWSGL(配列番号95);CYLYSCTDGSYWNST(配列番号96);CFLYSCSDVSYWGNI(配列番号97);CFLYSCTDVAYW(配列番号98);CFLYSCTDVSYWGST(配列番号99);CFLYSCTDVAYWGDT(配列番号100);GCNIWLNGGDCRGWVDPLQG(配列番号101);GCNIWLVGGDCRGWIGDTNG(配列番号102);GCNIWLVGGDCRGWIEDSNG(配列番号103);GCNIWANGGDCRGWIDNIDG(配列番号104);GCNIWLVGGDCRGWLGEAVG(配列番号105);GCNIWLVGGDCRGWLEEAVG(配列番号106);GGPALCNIWLNGGDCRGWSG(配列番号107);GAPVFCNIWLNGGDCRGWMG(配列番号108);GQQQWCNIWINGGDCRGWNG(配列番号109);GKSEFCNIWLNGGDCRGWIG(配列番号110);GTPGGCNIWANGGDCRGWEG(配列番号111);GASQYCNLWINGGDCRGWRG(配列番号112);GCNIWLVGGDCRPWVEGG(配列番号113);GCNIWAVGGDCRPFVDGG(配列番号114);GCNIWLNGGDCRAWVDTG(配列番号115);GCNIWIVGGDCRPFINDG(配列番号116);GCNIWLNGGDCRPVVFGG(配列番号117);GCNIWLSGGDCRMFMNEG(配列番号118);GCNIWVNGGDCRSFVYSG(配列番号119);GCNIWLNGGDCRGWEASG(配列番号120);GCNIWAHGGDCRGFIEPG(配列番号121);GCNIWLNGGDCRTFVASG(配列番号122);GCNIWAHGGDCRGFIEPG(配列番号123);GFLENCNIWLNGGDCRTG(配列番号124);GIYENCNIWLNGGDCRMG(配列番号125);及び/又はGIPDNCNIWINGGDCRYG(配列番号126)などの配列を含むマスキング部分が挙げられる。
インターロイキン6標的、例えば、インターロイキン6受容体(IL−6R)に結合する抗体と共に使用するのに好適なマスキング部分としては、制限されることのない例としてQGQSGQYGSCSWNYVHIFMDC(配列番号127);QGQSGQGDFDIPFPAHWVPIT(配列番号128);QGQSGQMGVPAGCVWNYAHIFMDC(配列番号129);YRSCNWNYVSIFLDC(配列番号130);PGAFDIPFPAHWVPNT(配列番号131);ESSCVWNYVHIYMDC(配列番号132);YPGCKWNYDRIFLDC(配列番号133);YRTCSWNYVGIFLDC(配列番号134);YGSCSWNYVHIFMDC(配列番号135);YGSCSWNYVHIFLDC(配列番号136);YGSCNWNYVHIFLDC(配列番号137);YTSCNWNYVHIFMDC(配列番号138);YPGCKWNYDRIFLDC(配列番号139);WRSCNWNYAHIFLDC(配列番号140);WSNCHWNYVHIFLDC(配列番号141);DRSCTWNYVRISYDC(配列番号142);SGSCKWDYVHIFLDC(配列番号143);SRSCIWNYAHIHLDC(配列番号144);SMSCYWQYERIFLDC(配列番号145);YRSCNWNYVSIFLDC(配列番号146);YGSCSWNYVHIFMDC(配列番号147);SGSCKWDYVHIFLDC(配列番号148);YKSCHWDYVHIFLDC(配列番号149);YGSCTWNYVHIFMEC(配列番号150);FSSCNWNYVHIFLDC(配列番号151);WRSCNWNYAHIFLDC(配列番号152);YGSCQWNYVHIFLDC(配列番号153);YRSCNWNYVHIFLDC(配列番号154);NMSCHWDYVHIFLDC(配列番号155);FGPCTWNYARISWDC(配列番号156);XXsCXWXYvhIfXdC(配列番号157);MGVPAGCVWNYAHIFMDC(配列番号158);RDTGGQCRWDYVHIFMDC(配列番号159);AGVPAGCTWNYVHIFMEC(配列番号160);VGVPNGCVWNYAHIFMEC(配列番号161);DGGPAGCSWNYVHIFMEC(配列番号162);AVGPAGCWWNYVHIFMEC(配列番号163);CTWNYVHIFMDCGEGEGP(配列番号164);GGVPEGCTWNYAHIFMEC(配列番号165);AEVPAGCWWNYVHIFMEC(配列番号166);AGVPAGCTWNYVHIFMEC(配列番号167);SGASGGCKWNYVHIFMDC(配列番号168);MGVPAGCVWNYAHIFMDC(配列番号169);TPGCRWNYVHIFMECEAL(配列番号170);VGVPNGCVWNYAHIFMEC(配列番号171);PGAFDIPFPAHWVPNT(配列番号172);RGACDIPFPAHWIPNT(配列番号173);QGDFDIPFPAHWVPIT(配列番号174);XGafDIPFPAHWvPnT(配列番号175);RGDGNDSDIPFPAHWVPRT(配列番号176);SGVGRDRDIPFPAHWVPRT(配列番号177);WAGGNDCDIPFPAHWIPNT(配列番号178);WGDGMDVDIPFPAHWVPVT(配列番号179);AGSGNDSDIPFPAHWVPRT(配列番号180);ESRSGYADIPFPAHWVPRT(配列番号181);及び/又はRECGRCGDIPFPAHWVPRT(配列番号182)などの配列を含むマスキング部分が挙げられる。
いくつかの実施形態において、マスキング部分は、任意の抗体や又は抗体フラグメントと共に使用するために選択される。例えば、いくつかの実施形態において、マスキング部分は、非結合立体部分(NB)又は非結合立体部分のための結合パートナー(BP)であり、前記BPは、活性化可能抗体にNBを動員するか、そうでなければ、それを引き付ける。例えば、いくつかの実施形態において、NBは可溶性の、球状タンパク質である。いくつかの実施形態において、NBは、血流中を循環するタンパク質である。いくつかの実施形態において、NBは、アルブミン、フィブリノーゲン、フィブロネクチン、ヘモグロビン、トランスフェリン、免疫グロブリンドメイン、及び他の血清タンパク質から成る群から選択される。いくつかの実施形態において、BPは、アルブミン結合ペプチド、フィブリノーゲン結合ペプチド、フィブロネクチン結合ペプチドと、ヘモグロビン結合ペプチド、トランスフェリン結合ペプチド、免疫グロブリンドメイン結合ペプチド、及び他の血清タンパク質に結合するペプチドから成る群から選択される。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体は、切断されていない状態で、以下のようなN末端からC末端への構造配置:NB−CM−AB、AB−CM−NB、BP−CM−AB又はAB−CM−BPを有する。活性化可能抗体がBPを含み、且つ、活性化可能抗体が対応するNBが存在する状況にある実施形態において、活性化可能抗体は、切断されていない状態で、以下のようなN末端からC末端への構造配置:NB:BP−CM−AB又はAB−CM−BP:NBを有し、ここで、「:」は相互作用、例えばNBとBPとの間の結合を表す。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体は、切断されていない状態で、以下のようなN末端からC末端への構造配置:NB−LP1−CM−LP2−AB、AB−LP2−CM−LP1−NB、BP−LP1−CM−LP2−AB又はAB−LP2−CM−LP1−BPを有する。活性化可能抗体がBPを含み、且つ、活性化可能抗体が対応するNBが存在する状況にある実施形態において、活性化可能抗体は、切断されていない状態で、以下のようなN末端からC末端への構造配置:NB:BP−LP1−CM−LP2−AB又はAB−LP2−CM−LP1−BP:NBを有し、ここで、「:」は相互作用、例えばNBとBPとの間の結合を表す。
本明細書に提供される複合活性化可能抗体は、切断可能部分を含む。いくつかの実施形態において、切断可能部分は、プロテアーゼ、通常細胞外プロテアーゼのための基質であるアミノ酸配列を含む。適切な基質は、種々の既知技法のいずれかを用いて同定される。例えば、ペプチド基質は、Daughertyらによる米国特許第7,666,817号に記載される方法を用いて同定され、前記特許の内容は、その全体を参照により本明細書に援用する(また、Boulware et al. “Evolutionary optimization of peptide substrates for proteases that exhibit rapid hydrolysis kinetics.” Biotechnol Bioeng. 106.3 (2010): 339-46も参照のこと)。
いくつかの実施形態において、CMは、特異的プロテアーゼと共に使用するために選択される。いくつかの実施形態において、CMは、ADAM17、BMP−1、カテプシンなどのシステインプロテアーゼ、HtrA1、レグミン、マトリプターゼ(MT−SP1)、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)、好中球エラスターゼ、TMPRSS3又はTMPRSS4などのTMPRSS、トロンビン、及びu型プラスミノーゲン活性化因子(uPA、ウロキナーゼとも呼ばれる)から成る群から選択される少なくとも1つのプロテアーゼのための基質である。
いくつかの実施形態において、CMは、ADAM17のための基質である。いくつかの実施形態において、CMは、BMP−1のための基質である。いくつかの実施形態において、CMは、カテプシンのための基質である。いくつかの実施形態において、CMは、システインプロテアーゼのための基質である。いくつかの実施形態において、CMは、HtrA1のための基質である。いくつかの実施形態において、CMは、レグミンのための基質である。いくつかの実施形態において、CMは、MT−SP1のための基質である。いくつかの実施形態において、CMは、MMPのための基質である。いくつかの実施形態において、CMは、好中球エラスターゼのための基質である。いくつかの実施形態において、CMは、トロンビンのための基質である。いくつかの実施形態において、CMは、TMPRSSのための基質である。いくつかの実施形態において、CMは、TMPRSS3のための基質である。いくつかの実施形態において、CMは、TMPRSS4のための基質である。いくつかの実施形態において、CMは、uPAのための基質である。
いくつかの実施形態において、切断可能部分は、特異的プロテアーゼ、例えば、活性化可能抗体の標的と共存することが知られているプロテアーゼと共に使用するために選択される。例えば、開示の活性化可能抗体において使用するための好適な切断可能部分としては、配列TGRGPSWV(配列番号183);SARGPSRW(配列番号184);TARGPSFK(配列番号185);LSGRSDNH(配列番号186);GGWHTGRN(配列番号187);HTGRSGAL(配列番号188);PLTGRSGG(配列番号189);AARGPAIH(配列番号190);RGPAFNPM(配列番号191);SSRGPAYL(配列番号192);RGPATPIM(配列番号193);RGPA(配列番号194);GGQPSGMWGW(配列番号195);FPRPLGITGL(配列番号196);VHMPLGFLGP(配列番号197);SPLTGRSG(配列番号198);SAGFSLPA(配列番号199);LAPLGLQRR(配列番号200);SGGPLGVR(配列番号201);及び/又はPLGL(配列番号202)が挙げられる。
いくつかの実施形態において、CMは、少なくとも1つのマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)のための基質である。MMPの例としては、MMP1;MMP2;MMP3;MMP7;MMP8;MMP9;MMP10;MMP11;MMP12;MMP13;MMP14;MMP15;MMP16;MMP17;MMP19;MMP20;MMP23;MMP24;MMP26;及びMMP27が挙げられる。いくつかの実施形態において、CMは、MMP9、MMP14、MMP1、MMP3、MMP13、MMP17、MMP11、及びMMP19のための基質である。いくつかの実施形態において、CMは、MMP7のための基質である。いくつかの実施形態において、CMは、MMP9のための基質である。いくつかの実施形態において、CMは、MMP14のための基質である。いくつかの実施形態において、CMは、2以上のMMPのための基質である。いくつかの実施形態において、CMは、少なくともMMP9及びMMP14のための基質である。いくつかの実施形態において、CMは、同じMMPのための2以上の基質を含む。いくつかの実施形態において、CMは、少なくとも2以上のMMP9基質を含む。いくつかの実施形態において、CMは、少なくとも2以上のMMP14基質を含む。
いくつかの実施形態において、CMは、MMPのための基質であり、且つ、配列ISSGLLSS(配列番号14);QNQALRMA(配列番号15);AQNLLGMV(配列番号16);STFPFGMF(配列番号17);PVGYTSSL(配列番号18);DWLYWPGI(配列番号19);MIAPVAYR(配列番号20);RPSPMWAY(配列番号21);WATPRPMR(配列番号22);FRLLDWQW(配列番号23);LKAAPRWA(配列番号24);GPSHLVLT(配列番号25);LPGGLSPW(配列番号26);MGLFSEAG(配列番号27);SPLPLRVP(配列番号28);RMHLRSLG(配列番号29);LAAPLGLL(配列番号30);AVGLLAPP(配列番号31);LLAPSHRA(配列番号32);PAGLWLDP(配列番号33);及び/又はISSGLSS(配列番号159)を含む。
いくつかの実施形態において、開示の複合活性化可能抗体における使用のための活性化可能抗体は、組換えDNA技術や真核又は原核生物種での発現を使用することで合成によって作製されてもよい。マスキング部分であるリンカー配列(切断可能部分(CM)及び抗体鎖(H鎖若しくはL鎖)を含み得る)をコードするcDNAは、5’から3’に向かう(翻訳産物のN末端からC末端に向かう)配列に接続されて、核酸構築物を作り出し、そしてそれは、従来の抗体発現工程に従って活性化可能抗体タンパク質として発現される。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体は、CM−抗体を発現し、次に、該タンパク質のN末端又はその付近にマスクを化学的に結合することによって、半合成的に製造され得る。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体は、抗体を発現し、次に、切断されていない状態にある活性化可能抗体が、以下のようなN末端からC末端への構造配置:MM−CM−AB又はAB−CM−MMを有するように、該タンパク質のN末端又はその付近に化学的にマスク及びCMを結合することによって製造され得る。
本明細書中に記載した複合活性化可能抗体はまた、活性化可能抗体に複合化された剤を含む。いくつかの実施形態において、複合化される剤は、抗悪性腫瘍薬などの治療剤である。いくつかの実施形態において、剤は、活性化可能抗体内の抗体又は抗原結合フラグメントのスルフヒドリル基に結合される。いくつかの実施形態において、剤は、チオール含有剤である。いくつかの実施形態において、剤は、1若しくは複数のチオール基を含むように設計される。
いくつかの実施形態において、剤は、細胞毒性剤、例えば毒素(例えば、細菌、菌類、植物又は動物起源の酵素的活性毒素、若しくはそのフラグメント)、又は放射性同位体(すなわち、放射性複合体)である。適切な細胞毒性剤は、例えば、表4に列挙される細胞毒性剤のいずれかである。
いくつかの実施形態において、剤は、チオール含有剤である。いくつかの実施形態において、剤は、1若しくは複数のチオール基を含むように設計される。いくつかの実施形態において、剤は、微小管阻害剤である。いくつかの実施形態において、剤は、ドラスタチン又はその誘導体(例えば、アウリスタチンE、AFP、MMAF、MMAE、MMAD、DMAF、DMAE)である。いくつかの実施形態において、剤は、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)である。いくつかの実施形態において、剤は、モノメチルアウリスタチンD(MMAD)である。いくつかの実施形態において、剤は、マイタンシノイド又はマイタンシノイド誘導体である。いくつかの実施形態において、剤は、DM1又はDM4である。いくつかの実施形態において、剤は、核酸損傷剤である。いくつかの実施形態において、剤は、デュオカルマイシン又はその誘導体である。いくつかの実施形態において、剤は、カリケアマイシン又はその誘導体である。
いくつかの実施形態において、剤は、マレイミドカプロイル−バリン−シトルリンリンカー又はマレイミドPEG−バリン−シトルリンリンカーを使用してABに接続される。いくつかの実施形態において、剤は、マレイミドカプロイル−バリン−シトルリンリンカーを使用してABに接続される。いくつかの実施形態において、剤は、マレイミドPEG−バリン−シトルリンリンカーを使用してABに接続される。いくつかの実施形態において、剤は、マレイミドPEG−バリン−シトルリン−パラ−アミノベンジルオキシカルボニルリンカーを使用してABに接続されたモノメチルアウリスタチンD(MMAD)であり、このリンカーペイロード構築物は本明細書中で「vc−MMAD」と呼ばれる。いくつかの実施形態において、剤は、マレイミドPEG−バリン−シトルリン−パラ−アミノベンジルオキシカルボニルリンカーを使用してABに接続されたモノメチルアウリスタチンE(MMAE)であり、このリンカーペイロード構築物は本明細書中で「vc−MMAE」と呼ばれる。vc−MMAD及びvc−MMAEの構造物は、以下に示されている:
vc−MMAD:
vc−MMAE:
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供された組成物及び方法に加えて、複合活性化可能抗体もまた、活性化可能抗体配列に挿入されたか、そうでなければ、含まれる修飾されたアミノ酸配列を通して部位−特異的結合のために修飾され得る。それらの修飾されたアミノ酸配列は、複合活性化可能抗体内の結合された剤の制御された配置及び/又は投与を可能にするよう企画される。例えば、活性化可能抗体は、反応性チオ基を提供し、そして抗原結合を変更しないで、タンパク質折り畳み及びアッセンブリーに負の影響を及ぼさない、L及びH鎖上の位置でのシステイン置換を含むよう構築され得る。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体は、結合のための適切な部位を提供するために活性化可能抗体内に1若しくは複数の非天然アミノ酸残基を含むか、そうでなければ、導入するよう構築され得る。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体は、活性化可能抗体配列内に酵素的に活性化可能ペプチド配列を含むかそうでなければ、導入するよう構築され得る。
いくつかの実施形態において、剤は、検出可能部分、例えば標識又は他のマーカーである。例えば、剤は、放射性標識されたアミノ酸、マークされたアビジンにより検出され得る1若しくは複数のビオチニル部分(例えば、光学的又は熱量測定方法により検出され得る蛍光マーカー又は酵素活性を含むストレプタビジン)、1若しくは複数の放射性同位体又は放射性核種、1若しくは複数の蛍光標識、1若しくは複数の酵素標識、及び/又は1若しくは複数の化学発光剤であるか、又は含む。いくつかの実施形態において、検出可能部分は、スペーサー分子により結合される。
使用され得る酵素的活性の毒素及びそのフラグメントは、ジフテリアA鎖、ジフテリアトキシンの非結合活性フラグメント、外毒素A鎖(シュードモナス・アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosaからの)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、α−サルシン、アレウリテス・フォルジ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチンタンパク質、ファイトラカ・アメリカナ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII及びPAP−S)、ゴーヤ(Momordica charantia)阻害剤、クルシン、クロチン、サパオナリア・オフィシナリス(Sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン及びトリコテセンを包含する。種々の放射性核種は、放射性複合化抗体の製造のために利用できる。例としては、212Bi、131I、131In、90Y及び186Reを挙げることができる。
抗体及び剤の結合は、種々の二官能性タンパク質−カップリング剤、例えばN−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えば、ジメチルアジピミデートHCl)、活性エステル(例えば、ジスクシンイミジルスベート)、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)、ビス−アジド誘導体(例えば、ビス−(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス−ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トルエン2,6−ジイソシアネート)、及びビス−活性フッ素化合物(例えば、1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン)を用いて製造される。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta et al., Science 238: 1098 (1987)に記載のようにして調製され得る。炭素−14−標識された1−イソチオシアネートベンジル−3−メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX−DTPA)は、抗体への放射性核種の結合のための典型的なキレート剤である(WO94/11026を参照のこと)。
当業者は、多くの種類の可能性ある部分が、本発明の得られる抗体に結合され得ることを理解するであろう(例えば、"Conjugate Vaccines", Contributions to Microbiology and Immunology, J. M. Cruse and R. E. Lewis, Jr (eds), Carger Press, New York, (1989)を参照のこと;それらの全内容は、参照により本明細書に援用される)。
表4は、本明細書に記載される発明に使用され得る典型的な医薬剤のいくつかを列挙するが、但しそれらだけに限定するものではない。
表4:複合化のための代表的な医薬剤
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供された組成物及び方法に加えて、複合活性化可能抗体はまた、抗体及び他の部分がそれらのそれぞれの活性をできるだけ長く保持するよう、それらの2つの分子を結合するであろういずれかの化学反応を使用してカップリングされ得る。この結合は、多くの化学機構、例えば共有結合、親和性結合、インターカレーション、コーディネート結合及び複合体化を包含する。いくつかの実施形態において、結合は、共有結合である。共有結合は、存在する側鎖の直接的縮合により、又は外部架橋分子の組込みにより達成され得る。多くの二価又は多価結合剤が、タンパク質分子、例えば本発明の活性化可能抗体の他の分子へのカップリングにおいて有用である。例えば、代表的なカップリング剤は、有機化合物、例えばチオエステル、カルボジイミド、スクシンイミドエステル、ジイソシアネート、グルタルアルデヒド、ジアゾベンゼン及びヘキサメチレンジアミンを包含することができる。この列挙は、当業界において知られている種々の種類のカップリング剤を網羅することを意図するものではなく、むしろ、より一般的なカップリング剤の例である(Killen and Lindstrom, Jour. Immun. 133:1335-2549 (1984); Jansen et al., Immunological Reviews 62:185-216 (1982); 及びVitetta et al., Science 238:1098 (1987)を参照のこと)。
好適なリンカーは、文献に記載されている(例えば、MBS(M−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)の使用を記載する、Ramakrishnan, S. et al., Cancer Res. 44:201-208 (1984)を参照のこと)。また、オリゴペプチドリンカーにより抗体に結合されるハロゲン化されたアセチルヒドラジド誘導体の使用を記載する米国特許第5,030,719号を参照のこと。好適なリンカーは、次のものを包含する:(i)SMPT(4−スクシンイミジルオキシカルボニル−α−メチル−α−(2−ピリジル−ジチオ)−トルエン(Pierce Chem. Co.、カタログ番号(21558G);(ii)SPDP(スクシンイミジル−6[3−(2−ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ヘキサノエート(Pierce Chem. Co.、カタログ番号2165G)及び(iii)スルホ−LC−SPDP(スルホスクシンイミジル6[3−(2−ピリジルジチオ)−プロピオンアミド]ヘキサノエート(Pierce Chem. Co.、カタログ番号2165−G)。追加のリンカーとしては、これだけに限定されるものではないが、SMCC、スルホ−SMqCC、SPDB、又はスルホ−SPDBが挙げられる。
上記リンカーは、異なった属性を有し、従って異なった物理化学的特性を有する複合体を導く成分を含む。例えば、リンカーSHPTは、立体的ヒンダードジスルフィド結合を含み、そして高められた安定性を有する複合体を形成することができる。ジスルフィド結合はインビトロで切断され、低い利用可能な複合体をもたらすので、そのジスルフィド結合は一般的に、他の結合よりも低い安定性である。
試薬EDC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩は、カルボン酸、及び第一又第ニ級アミンから出発して、カルボキサミドを作成するために有用である。従って、EDCは、リンカー又は毒素におけるカルボン酸と抗体におけるリシン残基とを連結するために、又はリンカー又は毒素におけるアミンと抗体におけるアスパラギン酸又はグルタミン酸とを連結するために使用され得る。EDCを用いるそのような結合反応は、NHS(N−ヒドロキシスクシンイミド)又はスルホ−NHS(N−ヒドロキシ−3−オキシスルホニルスクシンイミド)の添加により増強され得る。そのような結合反応へのNHS又はスルホ−NHSの添加は、結合反応の速度、完全性、選択性及び/又は再現性を増強することができる。
いくつかの実施形態において、リンカーは切断可能である。いくつかの実施形態において、リンカーは非切断可能である。いくつかの実施形態において、複数のリンカーが存在する。それらの複数のリンカーは、すべて同じであり、例えば切断可能か又は非切断可能であるか、又はそれらの複数のリンカーは異なっており、例えば少なくとも1つは切断可能であり、そして少なくとも1つは非切断可能である。
本明細書中に提供された組成物及び方法に加えて、複合活性化可能抗体はまた、ABへの剤の結合、すなわち(a)ABの炭水化物部分への結合、又は(b)ABのスルフヒドリル基への結合、又は(c)ABのアミノ基への結合、又は(d)ABのカルボキシレート基への結合のためのいくつかの方法のいずれかを利用する。本発明によれば、ABは、少なくとも2種の反応性基(1つはABと反応し、そして1つは剤と反応する)を有する中間リンカーを通して剤に共有結合され得る。任意の適合性有機化合物を含むことができるリンカーが選択され、結果的に、AB(又は剤)との反応はAB反応性及び選択性に悪影響を及ぼさない。さらに、剤へのリンカーの結合は、剤の活性を破壊しない。酸化された抗体又は酸化された抗体フラグメントとの反応のための適切なリンカーは、第一級アミン、第二級アミン、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドロキシルアミン、フェニルヒドラジン、セミカルバジド及びチオセミカルバジド基から成る群から選択されるアミンを含むそれらのリンカーを包含する。そのような反応性官能基は、リンカーの構造の一部として存在することができ、又はそのような基を含まないリンカーの適切な化学変性により導入され得る。
本発明によれば、還元されたABへの結合のための適切なリンカーは、還元された抗体又はフラグメントのスルフヒドリル基と反応できる一定の反応性基を有するそれらのリンカーを包含する。そのような反応性基は、次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:反応性ハロアルキル基(例えば、ハロアセチル基を包含する)、p−マーキュリーベンゾエート基、及びマイケル型付加反応できる基(例えば、maleimides and groups of the type described by Mitra and Lawton, 1979, J. Amer. Chem. Soc. 101: 3097-3110により記載されるタイプの基を包含する)。
本発明によれば、酸化も、還元もされていないABへの結合のための適切なリンカーは、ABにおける修飾されていないリシン残基に存在する第一級アミノ基と反応できる一定の官能基を有するそれらのリンカーを包含する。そのような反応性基は、次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:NHSカルボン酸又は炭酸エステル、スルホ−NHSカルボン酸又は炭酸エステル、4−ニトロフェニルカルボン酸又は炭酸エステル、ペンタフルオロフェニルカルボン酸又は炭酸エステル、アシルイミダゾール、イソシアネート及びイソチオシアネート。
本発明によれば、酸化も又は還元もされていないABへの結合のための適切なリンカーは、適切な試薬により活性化された、Abにおけるアスパラギン酸又はグルタミン酸残基に存在するカルボン酸基と反応できる一定の官能基を有するそれらのリンカーを包含する。適切な活性化試薬は、NHS又はスルホ−NHSを添加されているか又は添加されていないEDC、及びカルボキシアミド形成のために利用される他の脱水剤を含む。それらの場合、適切なリンカーに存在する官能基は、第一及び第ニ級アミン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、及びヒドラジドを包含する。
剤は、リンカーがABに結合される前又はその後、リンカーに結合され得る。ある種の用途によれば、リンカーが関連する剤を有さないAB−リンカー中間体を、まず生成することが所望される。特定の用途に依存して、特定の剤がリンカーに共有結合され得る。いくつかの実施形態において、ABはまず、MM、CM、及び関連リンカーに結合され、そして次に、結合目的のためのリンカーに結合される。
分枝(branched)リンカー:特定の実施形態において、剤の結合のための複数の部位を有する分枝リンカーが使用される。複数部位リンカーに関しては、ABへの単一の共有結合が、多くの部位で剤を結合できるAB−リンカー中間体をもたらす。部位はアデヒド又はスルフヒドリル基、又は剤が結合され得るいずれかの化学部位であり得る。
いくつかの実施形態において、より高い比活性(又はABに対する剤のより高い比率)が、AB上の複数部位での単一部位リンカーの結合により達成され得る。この複数部位は、2種の方法のいずれかによりAB中に導入され得る。最初の方法は、同じABに複数のアルデヒド基及び/又はスルフヒドリル基を生成することができる。第2の方法は、リンカーへの続く結合のための複数の官能部位を有する「分枝リンカー」を、ABのアルデヒド又はスルフヒドリル基に結合することができる。分枝リンカー又は複数部位リンカー中の官能部位は、アルデヒド又はスルフヒドリル基であり得、又はリンカーが結合され得るいずれかの化学部位であり得る。さらに高い比活性が、それらの2つのアプロ−チを組合すことにより、すなわちAB上のいくつかの部位で複数部位リンカーを結合することにより得られる。
切断可能リンカー:補体系の酵素、例えばウロキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子、トリプシン、プラスミン、又はタンパク質分解活性を有する別の酵素(但し、それらだけには限定されない)による分解に対して敏感であるペプチドリンカーは、本発明の1つの実施形態に使用され得る。本発明の1つの方法によれば、剤は、補体による切断に対して感受性のリンカーを介して結合される。抗体は、補体を活性化できる種類から選択される。従って、抗体−剤複合体は、補体カスケードを活性化し、そして標的部位で剤を開放する。本発明の別の方法によれば、剤は、タンパク質分解活性を有する酵素、例えばウロキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性因子、プラスミン又はトリプシンによる切断に対して感受性のリンカーを介して結合される。それらの切断可能リンカーは、細胞外毒素、例えば非制限的例によれば、表4に示される細胞外毒素のいずれかを含む複合活性化可能抗体において有用である。
切断可能リンカー配列の非制限的例が、表5に提供される。
表5:複合化のための代表的なリンカー配列
さらに、剤は、ジスルフィド結合(例えば、システイン分子上のジスルフィド結合)を介してABに結合され得る。多くの腫瘍は自然に高レベルのグルタチオン(還元剤)を放出するので、これはジスルフィド結合を還元し、続いて、送達の部位で剤を開放する。一定の特定の実施形態において、CMを修飾する還元剤はまた、複合活性化可能抗体のリンカーも修飾するであろう。
スペーサー要素及び切断可能要素:いくつかの実施形態において、剤と、活性化可能抗体のABとの間の空間を最適化するような手段でリンカーを構築することが必要である。これは、下記一般構造のリンカーの使用により達成され得る:
W−(CH2)n−Q
ここで、Wは、−NH−CH2−又は−CH2−のいずれかであり;
Qは、アミノ酸、ペプチドであり;そして
nは、0〜20の整数である。
いくつかの実施形態において、リンカーは、スペーサー要素及び切断可能要素を含むことができる。スペーサー要素は、ABのコアーから離れて切断可能要素を配置するのに役立ち、結果的に、切断可能要素は切断を担当できる酵素により接近できる。上記に記載される特定の分枝リンカーがスペーサー要素として役立つことができる。
この議論を通して、剤へのリンカー(又は切断可能要素へのスペーサー要素の、又は剤への切断可能要素の)の結合は、結合又は反応の特定の様式によって達成される必要はない。適切な安定性及び生物学的適合性の生成物を提供するいずれかの反応が許容される。
血清補体及びリンカーの選択:本発明の1つの方法によれば、剤の放出が所望される場合、補体を活性化できる種類の抗体であるABが使用される。得られる複合体は、抗原を結合し、そして補体カスケードを活性化する両能力を保持する。従って、本発明の実施形態において、剤は、切断可能リンカー又は切断可能要素の一端に連結され、そしてリンカー基の他端はAB上の特定部位に結合される。例えば、剤がヒドロキシ基又はアミノ基を有する場合、それは、それぞれエステル又はアミド結合を介して、ペプチド、アミノ酸又は他の適切に選択されたリンカーのカルボキシ末端に結合され得る。例えば、そのような剤は、カルボジイミド反応を介してリンカーペプチドに結合され得る。剤がリンカーへの結合を干渉する官能基を含む場合、それらの干渉性官能基は、結合の前、ブロックされ得、そして生成物の複合体又は中間体が製造されると、ブロック解除される。次に、リンカーの反対又はアミノ末端が直接的に、又は補体を活性化できるABへの結合のためにさらなる修飾の後、使用される。
リンカー(又はリンカーのスペーサー要素)は任意の所望する長さのものであり得、その一端は、活性化可能抗体のAB上の特定部位に共有結合され得る。リンカー又はスペーサー要素の他端は、アミノ酸又はペプチドリンカーに結合され得る。
従って、それらの複合体が補体の存在下で抗原に結合する場合、リンカーに剤を結合するアミド又はエステル結合が切断され、その活性形での剤の放出がもたらされる。それらの複合体は、対象に投与される場合、標的部位で剤の送達及び放出を達成し、そして表1に提供されるように(但し、それらに限定されない)、医薬剤、抗生物質、代謝拮抗剤、抗増殖剤及び同様のもののインビボ送達のために、特に効果的である。
補体活性化を伴わない放出のためのリンカー:標的化された送達のさらなる別の用途によれば、補体活性化を伴わない剤の放出が、補体カスケードの活性化は究極的には標的細胞を溶解するので、所望される。従って、このアプローチは、剤の送達及び放出が標的細胞を殺さないで達成される場合、有用である。細胞メディエーター、例えばホルモン、酵素、コルチコステロイド、神経達成物質、遺伝子又は酵素の標的細胞への送達が所望される、そのような場合が、目標である。それらの複合体は、血清プロテアーゼによる切断に対して軽度に影響を受けるリンカーを介して、補体を活性化できないABへの剤の結合により調製され得る。この複合体が個人に投与される場合、抗原−抗体複合体はすばやく形成するが、ところが剤の切断はゆっくり生じ、従って標的部位での化合物の放出がもたらされる。
生化学的クロスリンカー:いくつかの実施形態において、活性化可能抗体は、一定の生化学的クロスリンカーを用いて、1若しくは複数の治療剤に結合され得る。架橋試薬は、2種の異なった分子の官能基を一緒に結びつける分子架橋を形成する。2種の異なったタンパク質を段階的に連結するためには、所望しないホモポリマー形成を排除するヘテロ二官能性クロスリンカーが使用され得る。
リソソームプロテアーゼにより切断できるペプチジルリンカー、例えばVal−Cit、Val−Ala、又は他のジペプチドがまた有用である。さらに、リソソームの低−pH環境下で切断できる酸−不安定性リンカー、例えば、ビス−シアリルエーテルが使用され得る。他の適切なリンカーは、カテプシン−不安定性基質、特に酸性pHで最適な機能を示すそれらのものを包含する。
代表的なヘテロ二官能性架橋剤が表6に参照される。
表6:代表的なヘテロ二官能性架橋剤
非切断可能リンカー又は直接的結合:本発明のいくつかの実施形態において、複合体は、剤が標的に送達するが、しかし放出されないよう企画され得る。これは、直接的に、又は非切断可能リンカーを介して、ABに剤を結合することにより達成され得る。
それらの非切断可能リンカーは、続いて、本明細書に記載される方法によりABへの結合において利用され得る官能基を含むよう修飾され得る、アミノ酸、ペプチド、D−アミノ酸又は他の有機化合物を包含することができる。そのような有機リンカーのための一般式は、下記式であり得る:
W−(CH2)n−Q
ここで、Wは、−NH−CH2−又は−CH2−のいずれかであり;
Qは、アミノ酸、ペプチドであり;そして
nは、0〜20の整数である。
非切断可能複合体:いくつかの実施形態において、化合物は、補体を活性化しないABに結合され得る。補体活性化できないABを用いる場合、この結合は、活性化された補体による切断に対して敏感であるリンカー、又は活性化された補体による切断に対して敏感ではないリンカーを用いて、達成され得る。
還元剤
還元剤:開示の組成物及び方法における使用に好適な還元剤の例としては、制限されることのない例として、BMS(ビス(2−メルカプトエチル)スルフォン)、システアミン、システイン、DMH(ジメチル−ビス−メルカプトアセチルヒドラジン)、DTBA(ジチオブチルアミン)、DTT(ジチオトレイトール)、GILT(酵素的還元のためのガンマインターフェロン誘導性リソソームチオールレダクターゼ)、グルタチオン、β−メルカプトエタノール、MEA(2−メルカプトエチルアミン)、ピリジン−2−チオン、水素化ホウ素ナトリウム、ホスホロチオ酸ナトリウム、TCEP((トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン))、及びチオプロピル−アガロースが挙げられる。いくつかの実施形態において、還元剤は、DTT、β−メルカプトエタノール又はTCEPである。
本明細書中に提供した試験では、還元剤TCEP(トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン)を使用し、それは以下の構造を有する:
TCEPは、タンパク質内やタンパク質間のジスルフィド結合を切断する還元剤として使用されることが多い。TCEPは非常に選択的であり、且つ、タンパク質内に見られる他の官能基に対して反応しない。TCEPは、埋没しているジスルフィドと反応しない。
この目的のために使用される他の2種類の最も一般的な剤(DTT及びβ−メルカプトエタノール)と比較して、TCEPは、無臭であり、より強力な還元剤であり、不可逆的な還元剤であり、より親水性であり、及び空気中での酸化に対してより耐性であるという利点を有する。DTTと異なって、TCEPは、アルカリ性条件と酸性条件の両方で活性である。TCEPは、マレイミドを用いてシステイン残基を標識する場合に、特に有用である。TCEPは、システインがジスルフィド結合を形成するのを防ぐので、DTTやβ−メルカプトエタノールと異なって、TCEPは、簡単にはマレイミドと反応しない。
還元剤対活性化可能抗体の比は、活性化可能抗体によって異なる。いくつかの実施形態において、還元剤対活性化可能抗体の比は、約20:1〜1:1、約10:1〜1:1、約9:1〜1:1、約8:1〜1:1、約7:1〜1:1、約6:1〜1:1、約5:1〜1:1、約4:1〜1:1、約3:1〜1:1、約2:1〜1:1、約20:1〜1:1.5、約10:1〜1:1.5、約9:1〜1.5、約8:1〜1:1.5、約7:1〜1:1.5、約6:1〜1:1.5、約5:1〜1:1.5、約4:1〜1:1.5、約3:1〜1:1.5、約2:1〜1:1.5、約1.5:1〜1:1.5、又は約1:1〜1:1.5の範囲内にある。いくつかの実施形態において、比は、約5:1〜1:1の範囲内にある。いくつかの実施形態において、比は、約5:1〜1.5:1の範囲内にある。いくつかの実施形態において、比は、約4:1〜1:1の範囲内にある。いくつかの実施形態において、比は、約4:1〜1.5:1の範囲内にある。いくつかの実施形態において、比は、約8:1〜約1対1の範囲内にある。いくつかの実施形態において、比は、約2.5:1〜1:1の範囲内にある。
定義:
特にことわらない限り、本発明に関連して使用される科学用語及び技術用語は、当業者により通常理解される意味を有するであろう。さらに、特に必要とされない限り、単数形の用語は複数を含むものとし、そして複数形は単数を含むものとする。一般的に、本明細書に記載される細胞及び組織培養物、分子生物学、及びタンパク質及びオリゴ−又はポリヌクレオチド化学及びハイブリダイゼーションに関連して使用される命名法及びそれらの技法は、当業者に良く知られており、そして当業界において通常使用される。標準技法が、組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、及び組織培養及び形質転換(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション)について使用される。酵素反応及び精製技法は、製造業者の規格に従って、又は当業界において通常達成されるようにして、又は本明細書に記載されるようにして、実施される。前述の技法及び手順は、当業界において良く知られている従来の方法に従って、及び本明細書を通して引用され、そして論じられる種々の一般的及び特定の参照に記載のようにして、一般的に実施される。例えば、Sambrook et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989))を参照のこと。本明細書に記載される分析化学、合成有機化学、及び医学及び薬化学に関連して使用される命名法、及び実験手順及び技法は、当業者に良く知られており、そして当業界において通常使用される。標準技法が、化学合成、化学分析、医薬調製、配合、及び送達、及び患者の治療のために使用される。
本開示に従って使用される場合、次の用語が、特にことわらない限り、次の意味を有することが理解されるであろう。
本明細書において使用される場合、用語「抗体」とは、免疫グロブリン分子、及び免疫グロブリン(Ig)分子の免疫学的活性部分、すなわち抗原を特異的に結合する(抗原と免疫反応する)抗原結合部位を含む分子を言及する。「特異的に結合する」又は「免疫反応する」又は「免疫特異的に結合する」とは、抗体が所望する抗原の1若しくは複数の抗原決定因子と反応し、そして他のポリペプチドと反応せず、そしてより低い親和性(Kd>10−6)で結合しないことを意味する。抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、ドメイン抗体、単鎖、Fab,及びF(ab’)2フラグメント、scFvs、及びFab発現ライブラリーを包含するが、但しそれらだけには限定されない。
基本的な抗体構造単位は、テトラマーを含むことが知られている。各テトラマーは、同一の2対のポリペプチド鎖から構成され、各対は1つの「L鎖」(約25kDa)及び1つの「H鎖」(約50−70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、抗原認識を主に担当する約100〜110又はそれ以上のアミノ酸の可変領域を含む。各鎖のカルボキシ末端は、エフェクター機能を主に担当する不変領域を規定する。一般的に、ヒトから得られる抗体分子は、分子に存在するH鎖の性質によりお互い異なる、クラスIgG、IgM、IgA、IgE及びIgDのいずれかに関連する。特定クラスは、サブクラス、例えばIgG1、IgG2及び他のものも有する。さらに、ヒトにおいては、L鎖はカッパ鎖又はラムダ鎖であり得る。
用語「モノクローナル抗体」(mAb)又は「モノクローナル抗体組成物」とは、本明細書において使用される場合、ユニークL鎖遺伝子生成物及びユニークH鎖遺伝子生成物から成る抗体分子の1つの分子種のみを含む抗体分子集団を言及する。特に、モノクローナル抗体の相補性決定領域(CDR)は、前記集団のすべての分子において同一である。MAbは、抗原のエピトープに対してユニーク結合親和性により特徴づけられる抗原の特定エピトープと免疫反応できる抗原結合部位を含む。
用語「抗原−結合部位」又は「結合部分」とは、抗原結合に関与する免疫グロブリン分子の一部を言及する。抗原結合部位は、重鎖(H)及び軽鎖(L)のN末端可変(V)領域のアミノ酸残基により形成される。「超可変領域」として言及される、H及びL鎖のV領域内の3種の高度に分岐するストレッチが、「フレームワーク領域」又は「FR」として知られているより保存された隣接ストレッチ間に介在される。従って、用語「FR」とは、免疫グロブリン中の超可変領域間に、及びそれに隣接して天然に見出されるアミノ酸配列を言及する。抗体分子においては、L鎖の3種の超可変領域及びH鎖の3種の超可変領域が、立体空間においてお互い相対的に配列され、抗原−結合表面が形成される。前記抗原−結合表面は、結合される抗原の立体表面に対して相補的であり、そして各H及びL鎖の3種の超可変領域は、「相補性−決定領域」又は「CDR」として言及される。各ドメインへのアミノ酸の割り当ては、Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interest (National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1987 and 1991)), or Chothia & Lesk J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987), Chothia et al. Nature 342:878-883 (1989)の定義に従う。
本明細書において使用される場合、用語「エピトープ」は、免疫グロブリン、scFv又はT−細胞受容体に対して特異的結合できる任意のタンパク質決定因子を包含する。用語「エピトープ」は、免疫グロブリン又はT−細胞受容体に対して特異的結合できる任意のタンパク質決定因子を包含する。エピトープ決定因子は通常、アミノ酸又は糖側鎖などの分子の化学的活性表面基から成り、そして通常、特定の立体構造特性、及び特定の電荷特性を有する。例えば、抗体は、ポリペプチドのN末端又はC末端ペプチドに対して産生され得る。抗体は、解離定数が≦1μM;いくつかの実施形態において、解離定数が≦100mM;いくつかの実施形態において、解離定数が≦10nMである場合、抗原を特異的に結合すると言われる。
本明細書において使用される場合、用語「特異的結合」、「免疫学的結合」及び「免疫学的結合性質」とは、免疫グロブリンが特異的である、免疫グロブリン分子と抗原との間に生じるタイプの非共有相互作用を言及する。免疫学的結合相互作用の強度又は親和性は、相互作用の解離定数(Kd)により表され、ここでより小さなKdはより大きな親和性を表す。選択されるポリペプチドの免疫学的結合性質は、当業界において良く知られている方法を用いて定量化され得る。1つのそのような方法は、抗原結合部位/抗原複合体形成及び解離の速度を測定することを伴い、ここでそれらの速度は、複雑なパートナーの濃度、相互作用の親和性、及び両方の速度の等しい影響を及ぼす幾何学的パラメーターに依存する。従って、「オン速度定数」(Kon)及び「オフ速度定数」(Koff)の両者は、濃度、及び会合及び解離の実際の速度の計算により決定され得る(Nature 361:186-87 (1993)を参照のこと)。Koff/Konの比は、親和性に関連しないすべてのパラメーターの取り消しを可能にし、そして解離定数Kdに等しい(一般的に、Davies et al. (1990) Annual Rev Biochem 59:439-473を参照のこと)。本発明の抗体は、アッセイ、例えば放射性リガンド結合アッセイ又は当業者に知られている類似するアッセイにより測定されるように、解離結合定数(Kd)が≦1μMである場合、標的に対して特異的に結合すると言われる。いくつかの実施形態において、Kdは、≦100nMである。いくつかの実施形態において、Kdは、≦10nMである。いくつかの実施形態において、Kdは、≦1nMである。いくつかの実施形態において、Kdは、≦100pM〜約1pMである。
本明細書中に提供された組成物及び方法は、活性化可能抗体の活性(例えば、マスキング、活性化又は結合活性)に支障をきたすことなく、1若しくは複数の剤のAB内の1若しくは複数のシステイン残基への付加を可能にする。
用語「単離されたポリヌクレオチド」とは、本明細書において使用される場合、ゲノム、cDNA又は合成起源、又はそれらのいくつかの組み合わせのポリヌクレオチドを意味し、その起源によれば、「単離されたポリヌクレオチド」は、(1)「単離されたポリヌクレオチド」が天然に見出されるポリヌクレオチドのすべて又は一部と会合せず、(2)それが天然で連結されないポリヌクレオチドに対して作動可能的に連結されるか、又は(3)大きな配列の一部として、天然に存在しない。本発明のポリヌクレオチドは、本明細書に示されるH鎖免疫グロブリン分子をコードする核酸分子、及び本明細書に記載されるL鎖免疫グロブリン分子をコードする核酸分子を含む。
本明細書に記載される用語「単離されたタンパク質」とは、cDNA又は組換えRNAから発現されるタンパク質、或いは、合成起源又はそれらのいくつかの組み合わせのタンパク質を意味し、その起源、又は誘導の源によれば、「単離されたタンパク質」は、(1)自然界に見出されるタンパク質に関連せず、(2)同じ源からの他のタンパク質を有さず、(3)異なった種からの細胞により発現され、又は(4)自然界には存在しない。
用語「ポリペプチド」は、ポリペプチド配列の天然タンパク質、フラグメント、又は類似体を言及するために一般用語として本明細書において使用される。従って、天然タンパク質、フラグメント及び類似体は、ポリペプチド属の種である。本発明のポリペプチドは、本明細書に示されるH鎖免疫グロブリン分子、及び本明細書に示されるL鎖免疫グロブリン分子、並びにL鎖免疫グロブリン分子、例えばカッパL鎖免疫グロブリン分子、及びその逆、並びにそれらのフラグメント及び類似体を含んで成る組み合わせにより形成される抗体分子を含む。
本明細書において使用される場合、用語「天然に存在する」とは、目的物に適用される場合、目的物が自然界において見出され得る事実を言及する。例えば、生物(例えば、ウィルス)に存在するポリペプチド又はポリヌクレオチドは、自然源から単離され、そして実験室においてヒトにより意図的に変性されていないか、そうでなければ、天然に存在する。
用語「作動可能的に連結された」とは、本明細書において使用される場合、記載される成分の意図された様式でのそれらの機能を可能にする関係下にあるそのような成分の位置を言及する。コード配列に「作動可能的に連結された」制御配列は、そのコード配列の発現が制御配列と適合できる条件下で達成されるような手段で連結される。
用語「制御配列」とは、本明細書において使用される場合、それらが連結されるコード配列の発現及びプロセッシングをもたらすのに必要であるポリヌクレオチド配列を言及する。そのような制御配列の性質は、宿主生物に依存して異なる:原核生物及び真核生物において、そのような制御配列は一般的に、プロモーター、リボソーム結合部位及び転写終結配列を含む。用語「制御配列」は、それらの存在が発現及びプロセッシングのために必須であるすべての成分を、最低でも含むことが意図され、そしてまた、それらの存在がリーダー配列及び融合パートナー配列のために好都合である追加成分も含むことができる。用語「ポリヌクレオチド」とは、本明細書において使用される場合、少なくとも10個の長さの塩基のヌクレオチド、リボヌクレオチド又はデオキシヌクレオチドのいずれか、又は修飾された形のいずれかのタイプのヌクレオチドを意味する。この用語は、単鎖及び二本鎖形のDNAを包含する。
本明細書に言及される用語オリゴヌクレオチドは、天然に存在し、そして天然に存在しないオリゴヌクレオチド結合により一緒に連結された、天然に存在し、そして修飾されたヌクレオチドを包含する。オリゴヌクレオチドは、200個の長さか、又はそれよりも少ない長さの塩基を、一般的に含むポリヌクレオチドサブセットである。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、10〜60個の長さの塩基である。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、12,13,14,15,16,17,18,19又は20〜40個の長さの塩基である。オリゴヌクレオチドは通常、例えばプローブに関しては、単鎖であり、ところがオリゴヌクレオチドは、遺伝子変異体の構成への使用のためには、二本鎖であり得る。本発明のオリゴヌクレオチドは、センス又はアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
本明細書において言及される用語「天然に存在するヌクレオチド」は、デオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドを包含する。本明細書において言及される用語「修飾されたヌクレオチド」は、修飾された又は置換された糖基及び同様のものを有するヌクレオチドを包含する。本明細書において言及される用語「オリゴヌクレオチド結合」は、オリゴヌクレオチド結合、例えばホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホラニラデ−ト(phoshoraniladate)、ホスホロンミデート(phoshoronmidate)及び同様のものを包含する。例えば、LaPlanche et al. Nucl. Acids Res. 14:9081 (1986); Stec et al. J. Am. Chem. Soc. 106:6077 (1984), Stein et al. Nucl. Acids Res. 16:3209 (1988), Zon et al. Anti Cancer Drug Design 6:539 (1991); Zon et al. Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach, pp. 87-108 (F. Eckstein, Ed., Oxford University Press, Oxford England (1991)); Stec et al. U.S. Patent No. 5,151,510; Uhlmann and Peyman Chemical Reviews 90:543 (1990)を参照のこと。オリゴヌクレオチドは、所望には、検出のための標識を含むことができる。
本明細書において使用される場合、20個の従来のアミノ酸及びそれらの略語は、従来の使用法に従う。Immunology - A Synthesis (2nd Edition, E.S. Golub and D.R. Gren, Eds., Sinauer Associates, Sunderland7 Mass. (1991))を参照のこと。20個の従来のアミノ酸の立体異性体(例えば、D−アミノ酸)、非天然アミノ酸、例えばα−、α−二置換されたアミノ酸、N−アルキルアミノ酸、乳酸、及び他の非従来型アミノ酸もまた、本発明のポリペプチドのための適切な成分であり得る。非従来型アミノ酸の例は、次のものを包含する:4−ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタメート、ε−N、N、N、N−トリメチルリシン、ε−N−アセチルリシン、O−ホスホセリン、N−アセチルセリン、N−ホルミルメチオニン、3−メチルヒスチジン、5−ヒドロキシリシン、σ−N−メチルアルギニン、及び他の類似するアミノ酸及びイミノ酸(例えば、4−ヒドロキシプロリン)。本明細書で使用されるポリペプチド表記法においては、標準用法及び慣例に従って、左側方向はアミノ末端方向であり、そして右側方向はカルボキシ末端方向である。
同様に、特にことわらない限り、単鎖ポリヌクレオチド配列の左側端は、5’端であり、二本鎖ポリヌクレオチド配列の左側方向は、5’方向として言及される。新生RNA転写体の5’から3’付加の方向は、転写方向として言及される。RNAと同じ配列を有するDNA鎖上の及びRNA転写体の5’末端に対して5’側に存在する配列領域は、「上流配列」と呼ばれる。RNAと同じ配列を有するDNA鎖上の、及びRNA転写体の3’末端に対して3’側に存在する領域は、「下流配列」と呼ばれる。
ポリペプチドに適用される場合、用語「実質的に同一」とは、2種のペプチド配列が、デフォルトギャップ重量を用いて、プログラムGAP又はGESTFITによれば、適切に整列される場合、少なくとも80%の配列同一性を共有することを意味する。いくつかの実施形態において、2つのペプチド配列が、少なくとも90%の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態において、2つのペプチド配列が、少なくとも95%の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態において、2つのペプチド配列が、少なくとも99%の配列同一性を共有する。
いくつかの実施形態において、同一でない残基位置は、保存性アミノ酸置換により異なる。
本明細書において論じられる場合、抗体又は免疫グロブリン分子のアミノ酸配列におけるマイナーな変動は、参照配列(例えば、野生型配列)に対するアミノ酸配列における変動が少なくとも75%のアミノ酸配列同一性を維持する場合、本発明により包含されるものとして意図される。いくつかの実施形態において、アミノ酸配列における変動は、参照配列に対して、より好ましくは少なくとも80%、90%、95%、又は99%のアミノ酸の同一性を維持する。特に、保存性アミノ酸置換が企画される。保存性置換は、それらの側鎖に関連するアミノ酸ファミリー内で起こるそれらの置換である。遺伝的にコードされたアミノ酸は一般的に、次のファミリーに分けられる:(1)酸性アミノ酸はアスパラギン酸、グルタミン酸であり;(2)塩基性アミノ酸は、リシン、アルギニン、ヒスチジンであり;(3)非極性アミノ酸は、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファンであり、そして(4)非荷電性極性アミノ酸は、グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシンである。親水性アミノ酸は、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、ヒスチジン、リジン、セリン、及びトレオニンを包含する。疎水性アミノ酸は、アラニン、システイン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、チロシン及びバリンを包含する。他のファミリーのアミノ酸は、(i)脂肪族−ヒドロキシファミリーである、セリン及びトレオニン;(ii)アミド含有ファミリーである、アスパラギン及びグルタミン;(iii)脂肪族ファミリーである、アラニン、バリン、ロイシン、及びイソロイシン;及び(iv)芳香族ファミリーである、フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシンを包含する。例えば、イソロイシン又はバリンによるロイシンの、グルタミン酸によるアスパラギン酸の、セリンによるトレオニンの単離された置換、又は構造的に関連するアミノ酸による1つのアミノ酸の類似する置換は、例えば、その置換が相補性決定領域(CDR)又は他の可変領域内にアミノ酸を含まない状況において、得られる分子の結合性質又は他の性質に対して主要効果を有さないであろうことを予測するが妥当である。アミノ酸変化が機能ペプチドをもたらすかどうかは、ポリペプチド誘導体の比活性をアッセイすることにより、容易に決定され得る。アッセイは本明細書に詳細に記載される。抗体又は免疫グロブリン分子のフラグメント又は類似体は、当業者により容易に調製され得る。いくつかの実施形態において、フラグメント又は類似体のアミノ−及びカルボキシ末端は、機能的ドメインの境界近くで存在する。構造的及び機能的ドメインは、公的又は独自の配列データベースとのヌクレオチド及び/又はアミノ酸配列データの比較により同定され得る。いくつかの実施形態において、コンピューター化された比較方法が、既知構造及び/又は機能の他のタンパク質に存在する配列モチーフ又は予測されるタンパク質コンフォメーションドメインを同定するために使用される。既知立体構造に折り畳むタンパク質配列を同定するための方法は周知である(Bowie et al. Science 253:164 (1991))。従って、前述の例は、当業者が本発明に従って構造及び機能的ドメインを規定するために使用され得る、配列モチーフ及び構造コンフォメーションを認識することができることを示している。
いくつかの実施形態において、アミノ酸置換は、(1)タンパク質分解に対する感受性を低め、(2)酸化に対する感受性を低め、(3)タンパク質複合体を形成するために結合親和性を変更し、(4)そのような類似体の他の物理化学的又は機能的性質を付与するか又は修正するそれらの置換である。類似体は、天然に存在するペプチド配列以外の配列の種々のムテインを含むことができる。例えば、単一又は複数のアミノ酸置換(いくつかの実施形態において、保存性アミノ酸置換)が、分子間接触を形成する天然に存在する配列(いくつかの実施形態において、(単数若しくは複数の)ドメイン外のポリペプチドの一部)において行われ得る。保存性アミノ酸置換は、親配列の構造特性を実質的変更すべきではない(例えば、置換アミノ酸は、親配列に生じるヘリックスを分解するか、又は親配列を特徴づける他のタイプの二次構造を破壊する傾向であってはならない)。当核分野で認識されるポリペプチド二次及び三次構造の例は、Proteins, Structures and Molecular Principles (Creighton, Ed., W. H. Freeman and Company, New York (1984)); Introduction to Protein Structure (C. Branden and J. Tooze, eds., Garland Publishing, New York, N.Y. (1991)); 及びThornton et at. Nature 354:105 (1991)に記載される。
用語「ポリペプチドフラグメント」とは、本明細書において使用される場合、アミノ酸末端及び/又はカルボキシ末端欠失及び/又は1若しくは複数の内部欠失を有するが、しかし残るアミノ酸配列は例えば完全長cDNA配列から推定される天然に存在する配列においてその対応する位置と同一であるポリペプチドを言及する。フラグメントは、典型的には、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の長さのアミノ酸である。いくつかの実施形態において、フラグメントは、少なくとも14個の長さのアミノ酸である抗体フラグメントである。いくつかの実施形態において、フラグメントは、少なくとも20個の長さのアミノ酸であるABのフラグメントである。いくつかの実施形態において、フラグメントは、少なくとも50個の長さのアミノ酸であるABのフラグメントである。いくつかの実施形態において、フラグメントは、少なくとも70個の長さのアミノ酸であるABのフラグメントである。用語「類似体」とは、本明細書において使用される場合、推定されるアミノ酸配列の一部に対して実質的な同一性を有し、そして適切な結合条件下で標的に対する特異的結合を有する、少なくとも25個のアミノ酸のセグメントから構成されるポリペプチドを言及する。典型的には、ポリペプチド類似体は、天然に存在する配列に関して、保存性アミノ酸置換(又は付加又は欠失)を含む。類似体は典型的には、少なくとも20個の長さのアミノ酸、いくつかの実施形態において、少なくとも50個又はそれ以上の長さのアミノ酸であり、そしてしばしば、完全な長さの天然に存在するポリペプチドと同じ長さであり得る。
用語「剤」は、化学物質、化学物質及び生体高分子の混合物、又は生物学的材料から製造される抽出物を示すために、本明細書において使用される。
本明細書において使用される場合、用語「標識」又は「標識された」とは、例えば放射性標識されたアミノ酸の組込み、又はマークされたアビジン(例えば、光学的又は熱量測定方法により検出され得る蛍光マーカー又は酵素活性を含むストレプタビジン)により検出され得るビオチニル部分のポリペプチドへの結合による、検出可能マーカーの組込みを言及する。一定の状況下で、標識又はマーカーもまた治療性であり得る。ポリペプチド及び糖タンパク質を標識する種々の方法は、周知であり、そして使用され得る。ポリペプチドについての標識の例は、次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:放射性同位体又は放射性核種(例えば、3H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I)、蛍光標識(例えば、FITC、ローダミン、ランタニド蛍光体)、酵素標識(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、p−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学ルミネセンス、ゼオチニル基、二次レポーターにより認識される所定のポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体のための結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)。いくつかの実施形態において、標識は、可能性ある立体障害を低下させるために、種々の長さのスペーサーアームにより結合される。用語「医薬剤又は薬剤」とは、本明細書において使用される場合、患者に適切に投与される場合、所望する治療効果を誘発できる化学物質又は組成物を言及する。
本明細書中で使用される場合「薬物」という用語は、例えば、医薬化合物、治療用化合物、又は薬理学的化合物を含めた成分、化合物、剤、分子的実体を意味する。
薬物は、天然物であっても、又は合成物であっても、或いはそれらの組み合わせであってもよい。「治療薬」は、単独又は別の剤(例えば、プロドラッグと組み合わせたプロドラッグ変換酵素)と組み合わせて、癌細胞又は免疫細胞(例えば、活性化された免疫細胞)に対して治療的(例えば、有益な)効果を発揮する剤である。一般的に、本明細書中に記載した方法及び組成物により有用な治療薬とは、細胞傷害性又は細胞増殖抑制性、或いは免疫抑制性効果を発揮するものである。特定の実施形態において、薬物は放射性元素でない。薬物は、チオール含有剤であり、及び/又は薬物は、1若しくは複数のチオール基を含むように設計される。
「細胞毒性剤」とは、細胞に対する剤の効果に関して、細胞を殺滅することを意味する。「細胞増殖抑制剤」は細胞増殖の阻害を意味する。
「鎖間ジスルフィド結合」という用語は、抗体との関連において、2本のH鎖又はH鎖とL鎖との間のジスルフィド結合を指す。
「鎖間チオール」という用語は、鎖間ジスルフィド結合の形成に参加できる抗体のH鎖又はL鎖のチオール基を指す。
特定のタイプ及び/又は同様の反応性の複合化のすべての点が、薬物に複合化され、均質集団のタンパク質−薬物複合体をもたらすとき、タンパク質は「完全に積み込まれたタンパク質」と呼ばれる。
特定のタイプ及び/又は同様の反応性の複合化の可能な点の一部だけが薬物に複合化され、特定の異性体の形成又はタンパク質−薬物複合体の異性体をもたらすとき、タンパク質は「部分的に積み込まれたタンパク質」と呼ばれる。
本明細書における他の化学用語は、The McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms (Parker, S., Ed., McGraw-Hill, San Francisco (1985))により例示されるように、当核技術分野における従来の使用法に従って使用される。
本明細書において使用される場合、「実質的に純粋な」とは、目的の種が存在する優性種であり(すなわち、モル基準で、組成物において任意の他の個々の種より豊富である)、そしていくつかの実施形態において、実質的に純粋な画分が、目的の種が存在するすべての高分子種の少なくとも約50%(モル基準で)を含む組成物であることを意味する。
一般的に、実質的に純粋な組成物は、組成物に存在するすべての高分子種の約80%以上、いくつかの実施形態において、約85%、90%、95%及び99%以上を含むであろう。いくつかの実施形態において、目的の種は、本質的な均質性に精製され(汚染種は従来の検出方法によっては、組成物において検出され得ない)、ここで組成物は単一の高分子種から実質的に成る。
用語、患者とは、ヒト及び動物種を包含する。
複合活性化可能抗体の使用
本発明の複合活性化可能抗体が、改良された転送、送達、耐性及び同様のものを提供するために製剤中に組み込まれる、適切な担体、賦形剤及び他の剤と共に投与されることは理解されるであろう。多数の適切な製剤が、すべての製薬化学者に周知の処方に見出され得る:Remington's Pharmaceutical Sciences (15th ed, Mack Publishing Company, Easton, PA (1975))、特にそこにおける、Blaug、Seymourによるチャプター87。それらの製剤は、例えば粉末、ペースト、軟膏、ジェリー、ワックス、オイル、脂質、脂質(カチオン性又はアニオン性)含有小胞(例えば、Lipofection(登録商標))、DNA複合体、無水吸水性ペースト、水中油型及び油中水型エマルジョン、エマルジョンカーボワックス(種々の分子量のポリエチレングリコール)、半固体状ゲル、及びカーボワックスを含む半固体状混合物を包含する。前述の混合物のいずれかが、製剤中の活性成分が製剤化により不活性化されず、そして製剤が生理学的に適合でき、そして投与の経路で許容できる場合、本発明による治療及び療法において適切であり得る。また、Baldrick P. “Pharmaceutical excipient development: the need for preclinical guidance.” Regul. Toxicol Pharmacol. 32(2):210-8 (2000), Wang W. “Lyophilization and development of solid protein pharmaceuticals.” Int. J. Pharm. 203(1-2):1-60 (2000), Charman WN “Lipids, lipophilic drugs, and oral drug delivery-some emerging concepts.” J Pharm Sci.89(8):967-78 (2000), Powell et al. “Compendium of excipients for parenteral formulations” PDA J Pharm Sci Technol. 52:238-311 (1998)、及び製薬化学者に周知の製剤、賦形剤及び担体に関連する追加の情報についてのそこにおける引用も参照のこと。
複合活性化可能抗体を含む、本発明の治療製剤は、標的の発現及び/又は活性に関係する疾患又は障害を予防し、治療し、そうでなければ、改善するために使用される。例えば、複合活性化可能抗体を含む、本発明の治療製剤は、癌又は他の腫瘍性状態を治療し、そうでなければ、改善するために使用される。いくつかの実施形態において、癌とは、標的が発現されている固形腫瘍又は血液悪性腫瘍である。いくつかの実施形態において、癌とは、標的が発現されている固形腫瘍である。いくつかの実施形態において、癌とは、標的が発現されている血液悪性腫瘍である。いくつかの実施形態において、標的は、実質(例えば、癌において、多くの場合臓器又は組織の機能を果たす臓器又は組織の一部)で発現される。いくつかの実施形態において、標的は、細胞、組織、又は臓器で発現される。いくつかの実施形態において、標的は、間質(すなわち、細胞、組織、又は臓器の結合支持フレームワーク)で発現される。いくつかの実施形態において、標的は、骨芽細胞で発現される。いくつかの実施形態において、標的は、内皮(血管系)で発現される。いくつかの実施形態において、標的は、癌の幹細胞で発現される。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体に複合化されている剤は、微小管阻害剤である。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体に複合化されている剤は、核酸損傷剤である。
本発明の複合化活性化可能抗EGFR抗体を使用して、処置される及び/又は予防される病状、並びに/或いは進行を遅らせる及び/又は症状を改善する病状としては、例えば、EGFRの発現及び/又は活性に関係する疾患又は障害が挙げられる。いくつかの実施形態において、EGFRの発現及び/又は活性に関係する疾患又は障害は癌である。いくつかの実施形態において、癌は乳癌であり、例えば、制限されることのない例として、乳癌はトリプルネガティブ乳癌である。いくつかの実施形態において、癌は、トリプルネガティブ乳癌である。いくつかの実施形態において、癌は、結腸直腸癌である。いくつかの実施形態において、癌は、胃癌である。いくつかの実施形態において、癌は、神経膠芽腫である。いくつかの実施形態において、癌は頭頚部癌であり、例えば、制限されることのない例として、食道癌である。いくつかの実施形態において、癌は、食道癌である。いくつかの実施形態において、癌は肺癌であり、例えば、制限されることのない例として、非小細胞肺癌である。いくつかの実施形態において、癌は、非小細胞肺癌である。いくつかの実施形態において、癌は、卵巣/子宮内膜癌である。いくつかの実施形態において、癌は、卵巣癌である。いくつかの実施形態において、癌は、子宮内膜癌である。いくつかの実施形態において、癌は、膵臓癌である。いくつかの実施形態において、癌は、前立腺癌である。いくつかの実施形態において、癌は、腎臓癌である。いくつかの実施形態において、癌は肉腫であり、例えば、制限されることのない例として、骨肉腫である。いくつかの実施形態において、癌は、骨肉腫である。いくつかの実施形態において、癌は皮膚癌であり、例えば、制限されることのない例として、扁平上皮癌、基底細胞癌、及び/又は黒色腫である。いくつかの実施形態において、癌は、扁平上皮癌である。いくつかの実施形態において、癌は、皮膚扁平上皮癌である。いくつかの実施形態において、癌は、食道扁平上皮癌である。いくつかの実施形態において、癌は、頭頚部扁平上皮癌である。いくつかの実施形態において、癌は、肺扁平上皮癌である。いくつかの実施形態において、癌は、基底細胞癌である。いくつかの実施形態において、癌は、黒色腫である。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体に複合化されている剤は、微小管阻害剤である。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体に複合化されている剤は、核酸損傷剤である。
いくつかの実施形態において、適応症、例えば、EGFRの発現及び/又は活性に関係する疾患又は障害は、炎症性疾患及び/又は自己免疫疾患である。いくつかの実施形態において、炎症性疾患及び/又は自己免疫疾患は乾癬である。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体に複合化されている剤は、微小管阻害剤である。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体に複合化されている剤は、核酸損傷剤である。
本発明の複合化活性化可能な抗Jagged抗体を使用して処置される及び/又は予防される病状、並びに/或いは、進行を遅らせる及び/又は症状を改善する病状としては、例えば癌が挙げられる。いくつかの実施形態において、本発明の複合化活性化可能な抗Jagged抗体は、例えば、T細胞性急性リンパ芽球性白血病(T−ALL)及び慢性リンパ球性白血病(CLL)を含めた白血病、多発性骨髄腫を含めたリンパ芽球性疾患、並びに肺癌、結腸直腸癌、前立腺癌、膵臓癌、及びトリプルネガティブ乳癌を含めた乳癌を含めた固形腫瘍などの病理を処置する、予防する、進行を遅らせる、及び/又は症状を改善する。加えて、Notchシグナリングが癌幹細胞の生存と増殖に重要なので、Jagged依存Notchシグナリングの阻害は、幹細胞の増殖と生存に影響を与えるであろう。
いくつかの実施形態において、本発明の複合化活性化可能な抗Jagged抗体は、例えば、原発性腫瘍起源にもかかわらず、癌の骨疾患又は転移などの病理を処置する、予防する、進行を遅らせる、及び/又は症状を改善するのに使用される。
いくつかの実施形態において、本発明の複合化活性化可能な抗Jagged抗体は、例えば、制限されることのない例として、ER/PR+乳癌、Her2+乳癌、トリプルネガティブ乳癌を含めた乳癌などの病理を処置する、予防する、進行を遅らせる、及び/又は症状を改善するのに使用される。
いくつかの実施形態において、本発明の複合化活性化可能な抗Jagged抗体は、例えば、結腸直腸癌などの病理を処置する、予防する、進行を遅らせる、及び/又は症状を改善するのに使用される。
いくつかの実施形態において、本発明の複合化活性化可能な抗Jagged抗体は、例えば、胃癌などの病理を処置する、予防する、進行を遅らせる、及び/又は症状を改善するのに使用される。
いくつかの実施形態において、本発明の複合化活性化可能な抗Jagged抗体は、例えば、神経膠芽腫などの病理を処置する、予防する、進行を遅らせる、及び/又は症状を改善するのに使用される。
いくつかの実施形態において、本発明の複合化活性化可能な抗Jagged抗体は、例えば、頭頚部癌などの病理を処置する、予防する、進行を遅らせる、及び/又は症状を改善するのに使用される。
いくつかの実施形態において、本発明の複合化活性化可能な抗Jagged抗体は、例えば、制限されることのない例として、非小細胞肺癌などの肺癌などの病理を処置する、予防する、進行を遅らせる、及び/又は症状を改善するのに使用される。
いくつかの実施形態において、本発明の複合化活性化可能な抗Jagged抗体は、例えば、多発性骨髄腫などの病理を処置する、予防する、進行を遅らせる、及び/又は症状を改善するのに使用される。
いくつかの実施形態において、本発明の複合化活性化可能な抗Jagged抗体は、例えば、卵巣癌などの病理を処置する、予防する、進行を遅らせる、及び/又は症状を改善するのに使用される。
いくつかの実施形態において、本発明の複合化活性化可能な抗Jagged抗体は、例えば、膵臓癌などの病理を処置する、予防する、進行を遅らせる、及び/又は症状を改善するのに使用される。
いくつかの実施形態において、本発明の複合化活性化可能な抗Jagged抗体は、例えば、前立腺癌などの病理を処置する、予防する、進行を遅らせる、及び/又は症状を改善するのに使用される。
いくつかの実施形態において、本発明の複合化活性化可能な抗Jagged抗体は、例えば、肉腫などの病理を処置する、予防する、進行を遅らせる、及び/又は症状を改善するのに使用される。
いくつかの実施形態において、本発明の複合化活性化可能な抗Jagged抗体は、例えば、制限されることのない例として腎細胞癌などの腎臓癌などの病理を処置する、予防する、進行を遅らせる、及び/又は症状を改善するのに使用される。
いくつかの実施形態において、本発明の複合化活性化可能な抗Jagged抗体は、例えば、甲状腺癌などの病理を処置する、予防する、進行を遅らせる、及び/又は症状を改善するのに使用される。
いくつかの実施形態において、本発明の複合化活性化可能な抗Jagged抗体は、例えば、膀胱癌、腎癌、又は子宮癌などの泌尿生殖器の癌などの病理を処置する、予防する、進行を遅らせる、及び/又は症状を改善するのに使用される。いくつかの実施形態において、病理は膀胱癌である。いくつかの実施形態において、病理は腎癌である。いくつかの実施形態において、病理は子宮癌である。
いくつかの実施形態において、のに使用される本発明の複合化活性化可能な抗Jagged抗体は、例えば、制限されることのない例として、食道扁平上皮癌(食道の扁平上皮細胞癌としても知られている)、頭頚部扁平上皮癌(頭頚部の扁平上皮癌としても知られている)、肺扁平上皮癌(肺の扁平上皮癌としても知られている)、基底細胞癌、又は黒色腫などの皮膚扁平上皮癌などの皮膚癌などの病理を処置する、予防する、進行を遅らせる、及び/又は症状を改善するのに使用される。いくつかの実施形態において、癌は、扁平上皮癌である。いくつかの実施形態において、癌は、皮膚扁平上皮癌である。いくつかの実施形態において、癌は、食道扁平上皮癌である。いくつかの実施形態において、癌は、頭頚部扁平上皮癌である。いくつかの実施形態において、癌は、肺扁平上皮癌である。いくつかの実施形態において、癌は、基底細胞癌である。いくつかの実施形態において、癌は、黒色腫である。
いくつかの実施形態において、本発明の複合化活性化可能な抗Jagged抗体は、例えば、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ芽球性白血病(CLL)又は骨髄異形成症候群(MDS)などの病理を処置する、予防する、進行を遅らせる、及び/又は症状を改善するのに使用される。いくつかの実施形態において、病理はALLである。いくつかの実施形態において、病理はAMLである。いくつかの実施形態において、病理はCLLである。いくつかの実施形態において、病理はMDSである。
癌に加えて、Jagged依存Notchシグナリングは、上皮及び繊維芽細胞を、線維症の発生において中心的役割を担う細胞である筋繊維芽細胞に分化するのに重要である。Jagged依存Notchシグナリングの阻害、そしてその結果としての筋繊維芽細胞の出現の阻害は、腎臓、肝臓、肺、及び皮膚の線維症に関する効果的な治療である。いくつかの実施形態において、複合化活性化可能な抗Jagged抗体は、特発性肺線維症などの線維性疾患(IPF)を処置するのに使用される。
いくつかの実施形態において、本発明の複合化活性化可能な抗Jagged抗体は、例えば、線維症などの病理を処置する、予防する、進行を遅らせる、及び/又は症状を改善するのに使用される。
いくつかの実施形態において、本発明の複合化活性化可能な抗Jagged抗体は、例えば、特発性肺線維症、腎臓線維症、肝臓線維症、腹膜透析誘発性線維症、強皮症などの病理を処置する、予防する、進行を遅らせる、及び/又は症状を改善するのに使用される。
いくつかの実施形態において、本発明の複合化活性化可能な抗Jagged抗体は、例えば、聴力損失などの病理を処置する、予防する、進行を遅らせる、及び/又は症状を改善するのに使用される。
いくつかの実施形態において、斯かる病状を処置する、予防する、進行を遅らせる、及び/又は症状を改善するのに使用されるのに使用される本発明の複合化活性化可能な抗Jagged抗体は、微小管阻害剤に複合化される。斯かる病状を処置する、予防する、進行を遅らせる、及び/又は症状を改善するのに使用されるのに使用される本発明の複合化活性化可能な抗Jagged抗体は、核酸損傷剤に複合化される。
本発明の複合化活性化可能な抗インターロイキン6受容体(IL−6)抗体を使用して処置する、予防する、進行を遅らせる、及び/又は症状を改善する病状としては、例えばIL−6Rの発現及び/又は活性に関係する疾患又は障害が挙げられる。いくつかの実施形態において、IL−6Rの発現及び/又は活性に関係する疾患又は障害は、癌である。いくつかの実施形態において、癌は、これだけに限定されるものではないが、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)を含めた乳癌である。いくつかの実施形態において、癌は、カストルマン病である。いくつかの実施形態において、癌は、肝細胞癌腫である。いくつかの実施形態において、癌は、肺癌である。いくつかの実施形態において、癌は、多発性骨髄腫である。いくつかの実施形態において、癌は、卵巣癌である。いくつかの実施形態において、癌は、前立腺癌である。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体に複合化されている剤は、微小管阻害剤である。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体に複合化されている剤は、核酸損傷剤である。
いくつかの実施形態において、疾患又は障害は、炎症及び/又は炎症性疾患である。いくつかの実施形態において、疾患又は障害は、自己免疫疾患である。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体に複合化されている剤は、微小管阻害剤である。いくつかの実施形態において、活性化可能抗体に複合化されている剤は、核酸損傷剤である。
高められたタンパク質分解は、癌の特徴であることが知られている(例えば、Affara NI, et al. “Delineating protease functions during cancer development.” Methods Mol Biol. 539 (2009): 1-32を参照のこと)。腫瘍の進行、浸潤及び転移は、プロテアーゼが関与するいくつかの相互依存工程に起因する。
予防、改善又は治療の有効性は、標的の発現及び/又は活性に関連する疾患又は障害を診断するか、又は治療するためのいずれかの既知方法に関連して決定される。対象の生存性の延長、そうでなければ、対象における標的の発現及び又は活性に関連する疾患又は障害の進行の遅延は、活性化可能抗体が臨床的利益を与えることを示唆する。
複合活性化可能抗体は、医薬組成物の形で投与され得る。そのような組成物の調製に関連する原則及び考慮点、並びに成分の選択の指針は、例えばRemington : The Science And Practice Of Pharmacy 19th ed. (Alfonso R. Gennaro, et al., editors) Mack Pub. Co., Easton, Pa.: 1995; Drug Absorption Enhancement : Concepts, Possibilities, Limitations, And Trends, Harwood Academic Publishers, Langhorne, Pa., 1994; and Peptide And Protein Drug Delivery (Advances In Parenteral Sciences, Vol. 4), 1991, M. Dekker, New Yorkに提供される。
活性化可能抗体フラグメントの一実施形態は、標的タンパク質の結合ドメインに対して特異的に結合する最小フラグメントである。例えば、抗体の可変領域配列に基づけば、標的タンパク質配列を結合する能力を保持するペプチド分子が企画され得る。そのようなペプチドは、化学的に合成され、及び/又は組換えDNA技法により製造され得る(例えば、Marasco et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 7889-7893 (1993)を参照のこと)。製剤はまた、治療される特定の徴候のために必要な1以上の活性化合物、そして、いくつかの実施形態において、互いに悪影響を与えない相補的活性を有するそれらのものも含むことができる。他方では、又はさらに、組成物は、その機能を増強する剤、例えば細胞毒性剤、サイトカイン、化学療法剤、又は成長阻害剤を含むことができる。そのような分子は、意図する目的のために効果的である量での組み合わせで適切に存在する。
活性成分はまた、それぞれ、コロイド状薬剤送達システム(例えば、リポソーム、アルブミン微小球、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)下で、又はマイクロエマルジョン下で、液滴形成技法又は界面重合により調製されたマイクロカプセル、例えばヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン−マイクロカプセル及びポリ−(メチルメタクリレート)マイクロカプセルに閉じ込められ得る。
インビボ投与のために使用される製剤は、無菌であるべきである。これは、無菌濾過膜を通しての濾液により容易に達成される。
徐放性製剤が調製され得る。除放性製剤の適切な例は、抗体を含む固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスを包含し、ここでマトリックスは成形品、例えばフィルム又はマイクロカプセルの形で存在する。除放性マトリックスの例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ−(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸及びγエチル−L−グルタノートのコポリマー、非分解性エチレン−酢酸ビニル、分解性乳酸−グルコール酸コポリマー、例えばLUPRON DEPOT(登録商標)(乳酸−クリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドから構成される注射用微小球)、及びポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸を包含する。ポリマー、例えばエチレン−酢酸ビニル及び乳酸−グリコール酸は100日間にわたって分子を放出できるが、ある種のヒドロゲルは、より短い期間、タンパク質を放出する。
いくつかの実施形態において、活性化可能抗体は、検出可能標識を含む。損なわれていない抗体、又はそのフラグメント(例えば、Fab、scFv又はF(ab)2)が使用される。プローブ又は抗体に関して、用語「標識された」とは、プローブ又は抗体に検出可能物質を結合する(すなわち、物理的に連結する)ことによるプローブの直接的標識、及び直接的に標識される別の試薬との反応性によるプローブ又は抗体の間接的標識の包含を意図する。間接的標識の例は、蛍光標識された二次抗体を用いての一次抗体の検出、及び蛍光標識されたストレプタビジンにより検出され得るようビオチンによるDNAプローブの末端標識を包含する。用語「生物学的サンプル」とは、対象から単離された組織、細胞及び生物学的流体、並びに対象内に存在する組織、細胞及び体液の包含を意図する。従って、用語「生物学的サンプル」の使用範囲内に包含されるものは、血液、及び血清、血漿又はリンパを含む血液の画分又は成分である。すなわち、本発明の検出方法は、インビトロ及びインビボで、生物学的サンプルにおけるタンパク質、ポリペプチド又はペプチドを検出するために使用され得る。例えば、分析物タンパク質の検出のためのインビトロ技法としては、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、ウェスターンブロット、免疫沈澱、免疫化学染色、及び免疫蛍光が挙げられる。免疫検定を行うための手順は、例えば“ELISA: Theory and Practice: Methods in Molecular Biology”, Vol. 42, J. R. Crowther (Ed.) Human Press, Totowa, NJ, 1995; “Immunoassay”, E. Diamandis and T. Christopoulus, Academic Press, Inc., San Diego, CA, 1996; and “Practice and Theory of Enzyme Immunoassays”, P. Tijssen, Elsevier Science Publishers, Amsterdam, 1985に記載される。さらに、分析物タンパク質の検出のためのインビボ技法は、標識された抗−分析物タンパク質抗体を対象中に導入することを包含する。例えば、抗体は、対象における存在及び位置が標識イメージング技法により検出され得る放射性マーカーにより標識され得る。
診断及び予防製剤
本発明の複合活性化可能抗体は、診断及び予防製剤に使用される。1つの実施形態において、複合活性化可能抗体は、1若しくは複数の前述の癌又は他の障害を発症する危険性がある患者に投与される。1若しくは複数の前述の障害に対する患者又は器官の素因は、遺伝子型、血清学的又は生化学的マーカーを用いて決定され得る。
本発明のいくつかの実施形態において、複合活性化可能抗体は、1若しくは複数の前述の障害に関連する臨床学的徴候を有するものとして診断されたヒト個人に投与される。診断に基づいて、複合活性化可能抗体は、臨床学的徴候の効果を軽減するか又は無効にするために投与される。
本発明の活性化可能抗体はまた、患者サンプルにおける標的の検出においても有用であり、そして従って、診断としても有用である。例えば、本発明の複合活性化可能抗体は、患者サンプルにおける標的レベルを検出するために、インビトロアッセイ、例えばELISAに使用される。
複合活性化可能抗体はまた、診断及び/又はイメージング方法にも使用され得る。いくつかの実施形態において、そのような方法は、インビトロ方法である。いくつかの実施形態において、そのような方法は、インビボ方法である。いくつかの実施形態において、そのような法方は、インサイチュ方法である。いくつかの実施形態において、そのような方法はエクスビボ方法である。例えば、酵素切断できるCMを有する複合活性化可能抗体は、CMを切断できる酵素の存在又は不在を検出するために使用され得る。そのような複合活性化可能抗体は、所定の宿主生物の所定の細胞又は組織における活性化された複合活性化可能抗体(すなわち、複合活性化可能抗体の切断に起因する抗体)の測定される蓄積を通して酵素活性(又は、いくつかの実施形態において、ジスルフィド結合の還元を提供することができる高められた還元電位の環境)のインビボ検出(例えば、定性的又は定量的)を包含することができる診断に使用され得る。活性化された複合化抗体のそのような蓄積は、組織が酵素活性(又はCMの性質に依存する高められた還元電位)を表すことを示すのみならず、また組織が活性化された抗体が結合する標的物を表すことも示唆する。
例えば、CMは、腫瘍の部位で、ウイルス又は細菌感染の部位で、生成学的に制限された部位で(例えば、膿瘍において、器官において、及び同様において)、及び同様の部位で見出されるプロテアーゼのためのプロテアーゼ基質として選択され得る。ABは、標的抗原を結合するものである。本明細書中に開示した方法、適切であれば、当業者になじみの方法を用いて、検出可能標識(例えば、蛍光標識又は放射性標識又は放射性トレーサー)は、AB、又は複合活性化可能抗体の他の領域に結合され得る。適切な検出可能標識は、上記スクリーニング方法において論じられ、そして追加の特定の例が下記に提供される。その活性が着目の疾患組織において高められるプロテアーゼと共に、病状のタンパク質又はペプチドに対して特異的なABを用いて、プロテアーゼで活性化された活性化可能抗体は、CM特異的酵素が検出可能レベルで存在しないか、又は疾患組織においてよりも低いレベルで存在するか、又は不活性である(例えば、チモーゲン形で、又は阻害剤との複合体下で)、組織と比較して、疾患組織への結合率の増加を示すであろう。小タンパク質及びペプチドは腎臓濾過システムにより血液から急速にクリアランスされるので、及びCMに対して特異的な酵素は検出可能レベルで存在しないので(又は非疾患組織に低レベルで存在するか、又は不活性コンフォメーション下で存在する)、疾患組織における活性化された抗体の蓄積は、非疾患組織に対して増強される。
別の例によれば、複合活性化可能抗体は、サンプルにおける切断剤の存在又は不在を検出するために使用され得る。例えば、複合活性化可能抗体が酸素による切断に対して敏感なCMを含む場合、複合活性化可能抗体は、サンプル中の酵素の存在を検出する(定性的に又は定量的に)ために使用され得る。複合活性化可能抗体が還元剤による切断に対して敏感なCMを含む別の例によれば、複合活性化可能抗体は、サンプルにおける還元状態の存在を検出する(定性的に又は定量的に)ために使用され得る。それらの方法での分析を促進するためには、複合活性化可能抗体は検出可能的に標識され得、そして支持体(例えば、固体支持体、例えばスライド又はビーズ)に結合され得る。検出可能標識は、切断に続いて放出されない活性化可能抗体の一部上に位置し、例えば検出可能標識は、クエンチ蛍光標識、又は切断が生じるまで検出できない他の標識であり得る。アッセイは、例えば固定された、検出可能的に標識された活性化可能抗体と、酵素及び/又は還元剤を含む疑いがあるサンプルとを、切断が生じるのに十分な時間、接触し、次に過剰のサンプル及び汚染物を除去するために洗浄することにより実施され得る。次に、サンプル中に切断剤(例えば、酵素又は還元剤)の存在又は不在が、サンプルとの接触の前、活性化可能抗体の検出可能シグナルの変化、例えばサンプル中の切断剤による活性化可能抗体の切断による検出可能シグナルの存在及び/又は上昇により評価され得る。
そのような検出方法は、切断される場合、複合活性化可能抗体のABを結合できる標的物の存在又は不在の検出を提供できるよう適合され得る。従って、アッセイは、切断剤の存在又は不在、及び着目の標的物の存在又は不在を評価するように適合され得る。切断剤の存在又は不在は、上記のような活性化可能抗体の検出可能レベルでの存在及び/又は上昇により検出され得、そして標的物の存在又は不在は標的物−AB複合体の検出により、例えば検出可能的に標識された抗標的抗体の使用により、検出され得る。
複合活性化可能抗体は、例えばプロテアーゼ切断及び特定標的物への結合による、活性化可能抗体活性化の検証のためのインサイチュイメージングにおいても有用である。インサイチュイメージングは、生物学的サンプル、例えば細胞培養物又は組織切片におけるタンパク質分解活性及び標的物の局在化を可能にする技法である。この技法を用いて、所定の標的物への結合、及び検出可能標識(例えば、蛍光標識)の存在に基づいてのタンパク質分解活性の両者を確認することが可能である。
それらの技法は、疾患部位(例えば、腫瘍組織)又は健康組織由来の任意の凍結細胞又は組織に関して有用である。それらの技法はまた、新鮮細胞又は組織サンプルに関しても有用である。
それらの技法によれば、活性化可能抗体は、検出可能標識により標識される。検出可能標識は、蛍光色素(例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミンイソチオシアネート(TRITC)、Alexa Fluor(登録商標)標識(Alexa Fluor(登録商標)680又はAlexa Fluor(登録商標)750など)、近赤外(NIR)色素(例えば、Qdot(登録商標)ナノ結晶)、コロイド状金属、ハプテン、放射性マーカー、ビオチン及び増幅試薬、例えばストレプタビジン、又は酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ又はアルカリホスファターゼ)であり得る。
標識された、活性化可能抗体と共にインキュベートされたサンプル中の標識の検出は、サンプルが標的物を含み、そして活性化可能抗体のCMに対して特異的であるプロテアーゼを含むことを示唆する。いくつかの実施形態において、プロテアーゼの存在は、広範囲のプロテアーゼ阻害剤を用いて、及び/又はプロテアーゼに対して特異的である剤、例えばプロテアーゼマトリプターゼ(MT−SP1)に対して特異的であり、そしてMT−SP1のタンパク質分解活性を阻害する抗体、例えばA11を用いて確認され得る;例えば、国際公開番号WO2010/129609号(2010年11月11日に公開された)を参照のこと。広範囲のプロテアーゼ阻害剤を使用し、及び/又はより選択的な阻害剤を使用する同じアプローチが、プロテアーゼ、又は活性化可能抗体のCMに対して特異的な種類のプロテアーゼを同定するために使用され得る。いくつかの実施形態において、標的物の存在は、標的物、例えば別の抗体に対して特異的である剤を用いて確認され得、又は検出可能標識が、標識されていない標的と比較され得る。いくつかの実施形態において、標識されていない活性化可能抗体が、標識された二次抗体又はより複雑な検出システムによる検出を伴って、使用され得る。
類似する技法がまた、対象、例えば哺乳類、例えばヒトにおける蛍光シグナルの検出が、疾患部位が標的物を含み、そして活性化可能抗体のCMに対して特異的であるプロテアーゼを含むことを示唆する、インビボイメージングのためにも有用である。
それらの技法はまた、活性化可能抗体におけるプロテアーゼ−特異的CMに基づいて、種々の細胞、組織及び生物におけるプロテアーゼの検出、同定又は特徴化のために、キットにおいて、及び/又は試薬としても有用である。
いくつかの実施形態において、インサイチュイメージング及び/又はインビボイメージングは、治療する患者を同定する方法において有用である。例えば、インサイチュイメージングによれば、活性化可能抗体は、適切な位置で、例えば腫瘍部位で、適切なプロテアーゼ及び標的物を有するそれらの患者を同定するために、患者サンプルをスクリーニングするために使用される。
いくつかの実施形態において、インサイチュイメージングが、本開示の複合活性化可能抗体による治療のために適切な患者集団を同定するか、そうでなければ、細分するために使用される。例えば、標的、及び試験される活性化可能抗体の切断可能部分(CM)(例えば、疾患部位で活性化抗体を蓄積する)における基質を切断するプロテアーゼの両者に対して陽性の患者が、そのようなCMを含む活性化可能抗体による治療のための適切な候補体として同定される。同様に、標的及びそれらの方法を用いて試験される活性化可能抗体中のCMにおいて基質を切断するプロテアーゼのいずれか又は両者に対して陰性の患者が、別の形の療法のための適切な候補体として同定される。いくつかの実施形態において、第1の活性化可能抗体に関して陰性のそのような患者は、治療のための適切な活性化可能抗体(例えば、疾患の部位で患者により切断されるCMを含む活性化可能抗体)が同定されるまで、異なったCMを含む他の活性化可能抗体により試験され得る。いくつかの実施形態において、患者は、その後、患者が検査で陽性であった複合活性化可能抗体の治療上有効な量が投与される。
いくつかの実施形態において、インビボイメージングは、本開示の活性化可能抗体による治療のために適切な患者集団を同定するか又は細分するために使用される。例えば、標的、及び試験される活性化可能抗体の切断可能部分(CM)(例えば、疾患部位で活性化抗体を蓄積する)における基質を切断するプロテアーゼの両者に対して陽性の患者が、そのようなCMを含むそのような活性化可能抗体による治療のための適切な候補体として同定される。同様に、陰性の患者が、別の形の療法のための適切な候補体として同定され得る。いくつかの実施形態において、第1の活性化可能抗体に関して陰性のそのような患者は、治療のための適切な活性化可能抗体(例えば、疾患の部位で患者により切断されるCMを含む活性化可能抗体)が同定されるまで、異なったCMを含む他の活性化可能抗体により試験され得る。いくつかの実施形態において、患者は、その後、患者が検査で陽性であった複合活性化可能抗体の治療上有効な量が投与される。
医薬組成物
本発明の複合活性化可能抗体(また「活性化合物」として、本明細書において言及される)、その誘導体、フラグメント、類似体及び相同体は、投与のために適切な医薬組成物中に組み込まれ得る。そのような組成物は典型的には、複合活性化可能抗体及び医薬的に許容できる担体を含む。本明細書において使用される場合、用語「医薬的に許容できる担体」とは、医薬投与に適合できる、いずれか及びすべての溶媒、分散媒体、コーチング、抗菌及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤、及び同様のものを含むよう意図される。適切な担体は、参照により本明細書に組み込まれる、分野的標準参考テキストである、Remington’s Pharmaceutical Sciencesの最新版に記載される。そのような担体又は希釈剤の例は、水、生理食塩水、リンガー溶液、デキストロース液体、及び5%ヒト血清アルブミンを包含するが、但しそれらだけには限定されない。リボソーム及び非水性ビヒクル、例えば固定油がまた使用され得る。医薬敵活性物質のためのそのような媒体及び剤の使用は、周知である。いずれかの従来の媒体又は剤が活性化合物と不適合である限りを除いて、組成物へのそれらの使用が企画される。補助活性化合物もまた、組成物中に組み込まれ得る。
本発明の医薬組成物は、その意図される投与経路と適合できるよう処方される。投与経路の例は、非経口、例えば静脈内、皮内、皮下、経口(例えば、吸入)、経皮(すなわち、局所)、経粘膜、及び直腸投与を包含する。非経口、皮内又は皮下適用のために使用される溶液又は懸濁液は次の成分を含むことができる:無菌希釈剤、例えば注射用蒸留水、生理食塩水溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の合成溶媒;抗菌剤、例えばベンジルアルコール又はメチルパラベン;酸化防止剤、例えばアスコルビン酸又は亜流酸水素ナトリウム;キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA);緩衝液、例えば酢酸塩、クエン酸塩又はリン酸塩及び張性の調整のための剤、例えば塩化ナトリウム又はデキストロース。pHは、酸又は塩基、例えば塩酸又は水酸化ナトリウムにより調節され得る。非経口製剤は、アンプル、使い捨て注射器、又はガラス又はプラスチック製の複数用量バイアル中に封入され得る。
注射使用に適した医薬組成物は、無菌注射用溶液又は分散液の即時調整のための無菌水溶液(ここで、水溶性)又は分散液、及び無菌粉末を含む。静脈内投与に関しては、適切な担体は、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(登録商標)(BASF, Parsippany, N.J.)又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含む。すべての場合、組成物は、無菌であるべきであり、そして容易な注射針通過性が存在する程度に流動する必要がある。それは、製造及び貯蔵の条件下で安定性でなければならず、そして微生物、例えば細菌及び菌類の汚染作用に対して保存されるべきである。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール、及び同様のもの)、及びそれらの適切な混合物を含む溶媒又は分散性媒体であり得る。適切な流動性は、例えばコーチング、例えばレシチンの使用により、分散液の場合、必要とされる粒度の維持により、及び界面活性剤の使用により維持され得る。微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール及び同様のものにより達成され得る。多くの場合、等張剤、例えば糖、ポリアルコール、例えばマニトール、ソルビトール、塩化ナトリウムを、組成物に含むことが好適である。注射用組成物の持続吸収は、吸収を遅延する剤、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを、組成物に含むことによりもたらされ得る。
無菌注射用溶液は、上記に列挙される1つの成分又は成分の組み合わせと共に、適切な溶媒に、必要とされる量の活性化合物を組み込むことにより、必要なら、続いて濾過殺菌により調製され得る。一般的に、分散液は、塩基性分散液媒体及び上記に列挙されるそれらからの必要とされる他の成分を含む無菌ビヒクル中に、活性化合物を組み込むことにより調製される。注射用溶液の調製のための無菌粉末の場合、調製方法は、活性成分の粉末、及び前もって無菌濾過された溶液からの任意の追加の所望する成分の粉末を生成する、真空乾燥及び凍結乾燥である。
経口組成物は一般的に、不活性希釈剤又は食用担体を含む。それらは、ゼラチンカプセルに封入されるか、又は錠剤に圧縮される。経口治療投与のためには、活性化合物が、賦形剤と共に組込まれ、そして錠剤、トローチ又はカプセルの形で使用され得る。経口組成物はまた、マウスウォシュとしての使用のために流体担体を用いて調製され得、ここで流体担体中、化合物が経口適用され、うがいされ、そして吐き出されるか、又は飲み込まれる。医薬的に適用できる結合剤及び/又はアジュバント材料が、組成物の一部として含まれ得る。錠剤、ピル、カプセル、トローチ及び同様のものは、次の成分、又は類似する性質の化合物:結合剤、例えば微結晶性セルロース、トラガカントゴム又はゼラチン;賦形剤、例えば澱粉又はラクトース、崩壊剤、例えばアルギン酸、プリモゲル又はコーンスターチ;潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム又はステローツ(Sterotes);流動促進剤、例えばコロイド状二酸化珪素;甘味剤、例えばスクロース又はサッカリン;又は風味剤、例えばペパーミント、サリチル酸メチル又はオレンジ香料、のいずれかを含むことができる。
吸入による投与に関しては、化合物は、適切な推進剤、例えばガス、例えば二酸化炭素を含む加圧された容器又は分散器、又はネブライザーからエアロゾル噴霧の形で供給される。
全身性投与はまた、経粘膜又は経皮手段によるものであっても良い。経粘膜又は経皮投与に関しては、浸透されるバリアに適切な浸透剤が製剤に使用される。そのような浸透剤は一般的に周知であり、そして例えば、経粘膜投与のためには、界面活性剤、胆汁酸塩、及びフシジン酸誘導体を包含する。経粘膜投与は、鼻用スプレー又は坐剤の使用を通して達成され得る。経皮投与に関しては、活性化合物は、一般的に当業界において知られているように、軟膏、膏剤、ゲル又はクリーム中に処方される。
化合物はまた、直腸供給のためには、坐剤(例えば、従来の坐剤基材、例えばココナツバター及び他のグリセリドを含む)、又は保持浣腸の形でも調製され得る。
1つの実施形態において、活性化合物は、身体からの急速な排除に対して化合物を保護するであろう担体、例えば制御放出製剤、例えばインプラント及びマイクロカプセル化送達システムにより調製される。生分解性、生体適合性ポリマー、例えばエチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル及びポリ乳酸が使用され得る。そのような製剤の調製方法は、当業者に明らかであろう。材料はまた、Alza Corporation and Nova Pharmaceuticals, Inc.から商業的に得られる。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体により、感染された細胞に標的化されるリポソームを含む)はまた、医薬的に許容できる担体としても使用され得る。それらは、米国特許第4,522,811号に記載されるように、当業者に知られている方法に従って調製され得る。
容易な投与及び投薬量の均一性のために、投薬単位形で、経口又は非経口組成物を処方することが特に好都合である。投薬単位形とは、本明細書において使用される場合、治療される対象のために単位投与量として適した物理的に別個の単位を言及し;各単位は、必要とされる医薬担体と共に所望する治療効果を生成するために計算された所定量の活性化合物を含む。本発明の単位剤形の仕様は、活性化合物のユニーク特性及び達成される特定の治療効果、及び個人の治療のために活性化合物を配合する技術的に固有の制限により決定され、そしてそれらに直接的に依存する。
医薬組成物は、投与についての説明書と共に、容器、パック又はディスペンサーに含まれ得る。
本発明はさらに、次の実施例に記載されるが、それらは請求項に記載される本発明の範囲を限定されるものではない。
実施例1.材料及び方法
本明細書中で提供する実施例では、EGFR結合配列、マスキング部分(MM)、及びプロテアーゼの基質である切断可能部分(CM)を含む、本明細書中で活性化可能抗体3954−1204−C225v5(本明細書中で3954−1204−C225v5活性化可能抗体又は3954−1204−C225v5とも呼ばれる)とも呼ばれる抗EGFR活性化可能抗体を使用する。これらの実施例ではまた、MMとEGFR結合配列との間に位置する切断不可能な部分を含む、本明細書中でマスク抗体3954−NSUB−C225v5(本明細書中で3954−NSUB−C225v5マスク抗体又は3954−NSUB−C225v5とも呼ばれる)とも呼ばれる活性化可能な抗EGFR抗体構築物も使用する。本明細書中に提供する実施例では、これらの抗EGFR活性化可能抗体構築物を使用するが、これらの方法では2以上のシステイン残基を有する任意の活性化可能抗体も適用可能であり、ここで、活性化可能抗体内のシステイン残基の総数の一部だけが複合化前に還元されるのが望ましいことは理解されるべきである。これは本明細書中で「部分還元」とも呼ばれる。
本明細書中で提供する実施例では、活性化可能抗体に複合化されるべき剤として蛍光剤Alexa−680Fluor(登録商標)(本明細書中でAlexa680(登録商標)とも呼ばれる)を使用することは、さらに理解されるべきである。この特定の色素が既知の細胞傷害剤、MMAEと類似した分子量を有するので、それが選ばれた。しかしながら、この蛍光剤は単に例として使用されるので、本明細書中に使用される組成物及び方法は、制限されることのない例として、毒素及び他のペイロード剤を含めた、あらゆる複合化される剤に有用である。前記組成物及び方法は、任意の特定の分子量、サイズ又は他のそうした特徴の剤に限定されない。
抗EGFR活性化可能抗体構築物:3954−1204−C225v5活性化可能抗EGFR抗体構築物は、以下のH鎖及びL鎖配列を含む:
3954−1204−C225v5活性化可能抗体H鎖ヌクレオチド配列:
[C225v5(配列番号1)]
[caggtgcagctgaaacagagcggcccgggcctggtgcagccgagccagagcctgagcattacctgcaccgtgagcggctttagcctgaccaactatggcgtgcattgggtgcgccagagcccgggcaaaggcctggaatggctgggcgtgatttggagcggcggcaacaccgattataacaccccgtttaccagccgcctgagcattaacaaagataacagcaaaagccaggtgttttttaaaatgaacagcctgcaaagccaggataccgcgatttattattgcgcgcgcgcgctgacctattatgattatgaatttgcgtattggggccagggcaccctggtgaccgtgagcgcggctagcaccaagggcccatcggtcttccccctggcaccctcctccaagagcacctctgggggcacagcggccctgggctgcctggtcaaggactacttccccgaaccggtgacggtgtcgtggaactcaggcgccctgaccagcggcgtgcacaccttcccggctgtcctacagtcctcaggactctactccctcagcagcgtggtgaccgtgccctccagcagcttgggcacccagacctacatctgcaacgtgaatcacaagcccagcaacaccaaggtggacaagaaagttgagcccaaatcttgtgacaaaactcacacatgcccaccgtgcccagcacctgaactcctggggggaccgtcagtcttcctcttccccccaaaacccaaggacaccctcatgatctcccggacccctgaggtcacatgcgtggtggtggacgtgagccacgaagaccctgaggtcaagttcaactggtacgtggacggcgtggaggtgcataatgccaagacaaagccgcgggaggagcagtacaacagcacgtaccgtgtggtcagcgtcctcaccgtcctgcaccaggactggctgaatggcaaggagtacaagtgcaaggtctccaacaaagccctcccagcccccatcgagaaaaccatctccaaagccaaagggcagccccgagaaccacaggtgtacaccctgcccccatcccgggatgaactgaccaagaaccaggtcagcctgacctgcctggtcaaaggcttctatcccagcgacatcgccgtggagtgggagagcaatgggcagccggagaacaactacaagaccacgcctcccgtgctggactccgacggctccttcttcctctacagcaagctcaccgtggacaagagcaggtggcagcaggggaacgtcttctcatgctccgtgatgcatgaggctctgcacaaccactacacgcagaagagcctctccctgtctccgggtaaatga](配列番号1)
3954−1204−C225v5活性化可能抗体H鎖アミノ酸配列:
[C225v5(配列番号2)]
[QVQLKQSGPGLVQPSQSLSITCTVSGFSLTNYGVHWVRQSPGKGLEWLGVIWSGGNTDYNTPFTSRLSINKDNSKSQVFFKMNSLQSQDTAIYYCARALTYYDYEFAYWGQGTLVTVSAASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK*](配列番号2)
3954−1204−C225v5活性化可能抗体L鎖ヌクレオチド配列:
[スペーサー(配列番号5)][マスク(配列番号6)][リンカー1(配列番号7)][1204基質(配列番号8)][リンカー2(配列番号9)][C225(配列番号10)]
[caaggccagtctggccag][tgcatctcacctcgtggttgtccggacggcccatacgtcatgtac][ggctcgagcggtggcagcggtggctctggtggatccggt][ctgagcggccgttccgataatcat][ggcagtagcggtacc][cagatcttgctgacccagagcccggtgattctgagcgtgagcccgggcgaacgtgtgagctttagctgccgcgcgagccagagcattggcaccaacattcattggtatcagcagcgcaccaacggcagcccgcgcctgctgattaaatatgcgagcgaaagcattagcggcattccgagccgctttagcggcagcggcagcggcaccgattttaccctgagcattaacagcgtggaaagcgaagatattgcggattattattgccagcagaacaacaactggccgaccacctttggcgcgggcaccaaactggaactgaaacgtacggtggctgcaccatctgtcttcatcttcccgccatctgatgagcagttgaaatctggaactgcctctgttgtgtgcctgctgaataacttctatcccagagaggccaaagtacagtggaaggtggataacgccctccaatcgggtaactcccaggagagtgtcacagagcaggacagcaaggacagcacctacagcctcagcagcaccctgacgctgagcaaagcagactacgagaaacacaaagtctacgcctgcgaagtcacccatcagggcctgagctcgcccgtcacaaagagcttcaacaggggagagtgttag](配列番号3)
太字:スペーサー
下線:マスク
イタリック体及び下線:リンカー1
太字及び下線:1204基質
太字、イタリック体及び下線:リンカー2
通常テキスト:抗EGFR抗体由来の配列
3954−1204−C225v5活性化可能抗体L鎖アミノ酸配列:
[スペーサー(配列番号11)][マスク(配列番号12)][リンカー1(配列番号13)][1204基質(配列番号14)][リンカー2(配列番号15)][C225(配列番号16)]
[QGQSGQ][CISPRGCPDGPYVMY][GSSGGSGGSGGSG][LSGRSDNH][GSSGT][QILLTQSPVILSVSPGERVSFSCRASQSIGTNIHWYQQRTNGSPRLLIKYASESISGIPSRFSGSGSGTDFTLSINSVESEDIADYYCQQNNNWPTTFGAGTKLELKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC*](配列番号4)
太字:スペーサー
下線:マスク
イタリック体及び下線:リンカー1
太字及び下線:1204基質
太字、イタリック体及び下線:リンカー2
通常テキスト:抗EGFR抗体由来の配列
いくつかの実施形態において、L鎖3954−1204−C225v5活性化可能抗体のスペーサー配列は、例えば、GQSGQ(配列番号235)、QSGQ(配列番号236)、SGQ(配列番号237)、GQ、及びQから成る群から選択されるスペーサーなどのN末端バリアントを含む。これらの実施形態において、3954−1204−C225v5活性化可能抗体のすべての他の成分、例えば、H鎖配列、L鎖配列、3954マスク、リンカー1、1204基質、及びリンカー2は、先の配列番号4に示したのとすべて同じである。
3954−NSUB−C225v5マスク抗EGFR抗体構築物は、先に示した3954−1204−C225v5活性化可能抗EGFR抗体と同じH鎖を含む。3954−NSUB−C225v5マスク抗EGFR抗体構築物は、以下のL鎖配列を含む:
3954−NSUB−C225v5マスク抗体L鎖ヌクレオチド配列:
[スペーサー(配列番号5)][マスク(配列番号6)][リンカー1−非切断可能基質−リンカー2(配列番号19)][C225(配列番号10)]
[caaggccagtctggccag][tgcatctcacctcgtggttgtccggacggcccatacgtcatgtac][ggctcgagcggtggcagcggtggctctggtggctcaggtggaggctcgggcggtgggagcggcggttct][cagatcttgctgacccagagcccggtgattctgagcgtgagcccgggcgaacgtgtgagctttagctgccgcgcgagccagagcattggcaccaacattcattggtatcagcagcgcaccaacggcagcccgcgcctgctgattaaatatgcgagcgaaagcattagcggcattccgagccgctttagcggcagcggcagcggcaccgattttaccctgagcattaacagcgtggaaagcgaagatattgcggattattattgccagcagaacaacaactggccgaccacctttggcgcgggcaccaaactggaactgaaacgtacggtggctgcaccatctgtcttcatcttcccgccatctgatgagcagttgaaatctggaactgcctctgttgtgtgcctgctgaataacttctatcccagagaggccaaagtacagtggaaggtggataacgccctccaatcgggtaactcccaggagagtgtcacagagcaggacagcaaggacagcacctacagcctcagcagcaccctgacgctgagcaaagcagactacgagaaacacaaagtctacgcctgcgaagtcacccatcagggcctgagctcgcccgtcacaaagagcttcaacaggggagagtgttag](配列番号17)
太字:スペーサー
下線:マスク
イタリック体及び下線:リンカー1−非切断可能基質−リンカー2
通常テキスト:抗EGFR抗体由来の配列
3954−NSUB−C225v5マスク抗体L鎖アミノ酸配列:
[スペーサー(配列番号11)][マスク(配列番号12)][リンカー1−非切断可能基質−リンカー2(配列番号20)][C225(配列番号16)]
[QGQSGQ][CISPRGCPDGPYVMY][GSSGGSGGSGGSGGGSGGGSGGS][QILLTQSPVILSVSPGERVSFSCRASQSIGTNIHWYQQRTNGSPRLLIKYASESISGIPSRFSGSGSGTDFTLSINSVESEDIADYYCQQNNNWPTTFGAGTKLELKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC*](配列番号18)
太字:スペーサー
下線:マスク
イタリック体及び下線:リンカー1−非切断可能基質−リンカー2
通常テキスト:抗EGFR抗体由来の配列
還元剤:本明細書中に提供した試験では、還元剤TCEP(トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン)を使用した。
抗EGFR活性化可能抗体のTCEP部分還元とその後のマレイミドAlexa−680への複合化のためのプロトコール:Bond−Breaker(登録商標)TCEP溶液(中性pH溶液、Thermo Scientific)は、TCEP−対−活性化可能抗体(切断状態(すなわち、活性化状態)において、上皮成長因子受容体に結合する)の様々なモル比で使用され、そして、抗EGFR活性化可能抗体はPBS中に処方される。例えば、還元剤、TCEP−対−試験されるべき活性化可能抗体の比は、約20:1〜1:1、約10:1〜1:1、約9:1〜1:1、約8:1〜1:1、約7:1〜1:1、約6:1〜1:1、約5:1〜1:1、約4:1〜1:1、約3:1〜1:1、約2:1〜1:1、約20:1〜1:1.5、約10:1〜1:1.5、約9:1〜1:1.5、約8:1〜1:1.5、約7:1〜1:1.5、約6:1〜1:1.5、約5:1〜1:1.5、約4:1〜1:1.5、約3:1〜1:1.5、約2:1〜1:1.5、約1.5:1〜1:1.5、又は約1:1〜1:1.5の範囲に比を含み得る。いくつかの実施形態において、比は、約5:1〜1:1の範囲内にある。いくつかの実施形態において、比は、約5:1〜1.5:1の範囲内にある。いくつかの実施形態において、比は、約4:1〜1:1の範囲内にある。いくつかの実施形態において、比は、約4:1〜1.5:1の範囲内にある。いくつかの実施形態において、比は、約8:1〜約1:1の範囲内にある。いくつかの実施形態において、比は、約2.5:1〜1:1の範囲内にある。本明細書中に提供する実施例では、3954−1204−C225v5と本明細書中で呼ばれる抗EGFR活性化可能抗体を使用したが、これらの方法では2以上のシステイン残基を有する任意の活性化可能抗体も適用可能であり、ここで、活性化可能抗体内のシステイン残基の総数の一部だけが複合化前に還元されるのが望ましいことは理解されるべきである。これは本明細書中で「部分還元」とも呼ばれる。
簡単に言えば、終濃度の2倍のTCEP溶液を、3954−1204−C225v5と1:1(体積:体積)の比で混合して、所望の最終的なTCEP:(3954−1204−C225v5)の比をもたらす。そして、還元反応が進行するために、最終溶液を指定した期間、37℃でインキュベートした。還元反応の終了時に、溶液を室温に冷まし、そして、Alexa−680複合化を開始するために、マレイミドAlexa−680(Invitrogen)を溶液(還元反応の間、マレイミドAlexa−680を還元体積の半分、TCEPの10×モル濃度にあたる濃度で使用した;例えば、本来の還元反応が50マイクロリットル(μl)の13.2μM、3954−1204−C225v5及び50μlの52.8μM、TCEPを含むのであれば、そのとき、50μlの264μM、マレイミドAlexa−680が使用される)に追加した。不透光性密閉容器内、2時間室温で複合化反応を続けた。2時間の反応後に、溶液をスピンダウンし、そして、製造業者の取扱説明書を使用してPD−10カラム(GE Healthcare)又は同等物を使用してバッファーをPBSに交換した。最終的な複合化生成物をUV分光光度計を使用して分析して、最終的なタンパク質濃度及びAlexa−680色素の標識の程度を測定した。
LabChip GXIIを使用したマレイミドAlexa−680複合化抗EGFR活性化可能抗体の分析のためのプロトコール:製造業者の取扱説明書に従って、HT Protein Express Labchip(Perkin Elmer)を、Pico Protein Expressプロトコール又はHT Protein Expressプロトコールのどちらかを使用して調製した:TCEP還元3954−1204−C225v5のAlexa−680複合化部分を分析するのにPico Protein Expressプロトコールを使用した;TCEP還元、Alexa−680複合化3954−1204−C225v5の総タンパク質量を分析するのにHT Protein Expressプロトコールを使用した。GXII分析のためにTCEP還元、Alexa−680複合化3954−1204−C225v5をPerkin Elmerの取扱説明書を使用して調製した。サンプルを、LabChip GXII分析プロトコールの200シリーズを使用して分析した(HTプロトコールではHigh sensitivity及びPicoプロトコールではPico)。得られたデータを、LabChip GXIIソフトウェアを使用して分析した。
EGFR結合ELISAのためのプロトコール:NUNC Maxisorp平底96ウェルプレートを、室温で2時間、50μl/ウェルのHank’s Balanced Salt溶液(HBSS、Teknova)の2μg/ml ヒトEGFR−Fc融合タンパク質(R&D Systems)でコートした。2時間のコーティング終了時に、プレートの液体内容物を排出し、250μl/ウェルの1% BSA含有HBSSを加え、30分間室温でプレートをブロッキングした。ブロッキング期間の終了時に、96ウェルプレートの液体内容物を取り除き、そして、50μl/ウェルで連続希釈サンプル(すなわち、3954−1204−C225v5、Alexa−680複合化3954−1204−C225v5、uPA活性化3954−1204−C225v5、uPA活性化Alexa−680複合化3954−1204−C225v5、及びC225(セツキシマブ抗体)、100μg/mlの濃度から開始し、1希釈段階あたり3倍希釈した)を加えた。プレートを、室温で1時間インキュベートした。その時間の終了時に、プレートを、BioTek ELx450 Select CWプレートウォッシャー(300μl/ウェルの洗浄体積、吸引と洗浄を6サイクル)を使用して、0.05% Tween−20含有HBSSで洗浄した。洗浄したプレートを、タップして乾燥させ、そして、50μl/ウェルの400ng/ml 西洋わさびペルオキシダーゼ(Jackson ImmunoResearch)複合化ヤギ抗ヒトIgG Fab’2特異的抗体を加え、そして、30分間室温でインキュベートした。プレートを前述のように洗浄し、そして、100μl/ウェルの1ステップTMB基質(Thermo Scientific)を加えた。色の変化を観察して、100μl/ウェルの1M HCl(Fisher Scientific)の添加によって反応を停止した。反応済プレートを、O.D.450にてBioTek EL800プレートリーダを使用して分析した。データをExcel(Microsoft)を使用して計算し、そして、結果をPrism6(GraphPad)を使用してプロットした。
実施例2.活性化可能抗体のTCEP媒介還元
本明細書中に提供した組成物及び方法は、所望の部分還元とそれに続く複合化を生じさせる試薬と反応条件の組み合わせを決定する。還元とその後の複合化が適切に制御されていない場合、活性化可能抗体は完全に還元されるので、活性化可能抗体のマスキング効率は支障をきたす。例えば、還元剤が20:1(還元剤対活性化可能抗体)の比で使用される場合、活性化可能抗体は遊離H鎖と遊離L鎖に完全に還元される。例えば、還元剤を固定することによって、より緩やかな還元(すなわち、完全な還元より少ない)を生じさせる試みは、緩やか過ぎて、その後の複合化を可能にするには不十分にしか活性化可能抗体を還元しなかった。これらの試験では、ほとんどが完全なままのIgGに相当するバンド(高分子量バンド>150kDa)をすべての還元条件で観察した。
還元剤対活性化可能抗体の範囲を決定するために、試験をおこなった。低い比、例えば、0.5:1〜2:1(還元剤対活性化可能抗体)範囲において、一部の還元が達成され、且つ、活性化可能抗体保全とマスキング効率は維持された。1.5:1〜5:1(還元剤対活性化可能抗体)の比、30分〜2時間の還元時間では、1本のH鎖及び1本のL鎖の活性化可能抗体の分子量に相当する多量の還元活性化可能抗体種が存在した。本来の非還元且つマスク活性化可能抗体のEGFR結合特性が維持されている部分的に還元した活性化可能抗体は、これらの条件で部分的に還元した活性化可能抗体が、本来のマスキング効率を維持できることを実証した。同定した還元剤対活性化可能抗体の比、及び還元時間にで、鎖間ジスルフィドを還元した活性化可能抗体は、遊離システインによるその後の最大の複合化を可能にすると同時に、本来の、非還元活性化可能抗体のマスキング効率を維持するように製造され得る。
2時間の還元時に、5:1を超える還元剤対活性化可能抗体の比は、試験した活性化可能抗体の本来のマスキング効率を維持できないくらい還元的であった。マスキング効率の損失における様々なシフト及び部分的に還元した活性化可能抗体亜種の様々な量は、試験した活性化可能抗体が、還元剤媒介還元、例えば、TCEP媒介還元に対して異なった寛容性を有することを示した。抗体、リンカー、切断可能部分(CM)、及びマスキング部分(MM)の様々な組み合わせは、還元剤媒介還元、例えば、TCEP媒介還元に対する活性化可能抗体の寛容性のスペクトルをもたらした。
本明細書中に記載したある試験セットでは、3954−1204−C225v5と呼ばれる活性化可能抗EGFR抗体を、TCEP−対−活性化可能抗体の様々な比(例えば、約1.5:1〜約4:1)にて、90分間の還元時間を使用して還元した。場合によっては、還元には、蛍光色素、Alexa680の複合化があとに続いた。これらの試験の結果(1.5:1、2:1、及び4:1のTCEP対活性化可能抗体の比)を図1に示す。
本明細書中に記載した別の試験セットでは、EGFRを特異的に結合する抗原結合部分、マスキング部分、及び切断不可能リンカーを含む抗EGFR抗体構築物(3954−NSUB−C225v5とも呼ばれる)を、TCEP−対−活性化可能抗体の様々な比(例えば、約1.5:1〜約4:1)で、90分間の還元時間を使用して還元した。場合によっては、還元には、Alexa680の複合化があとに続いた。これらの試験の結果(1.5:1、2:1、4:1のTCEP対活性化可能抗体の比)を図2に示す。
チオール複合化可能毒素の代用薬としてチオール複合化可能Alexa680を使用することで、これらの試験では、TCEP対活性化可能抗体の比と還元時間の両方に依存してAlexa680複合化の程度が変動することを実証する。TCEP部分還元3954−1204−C225v5又は3954−NSUB−C225v5へのチオール複合化可能Alexa680の複合化は、EGFRに対する3954−1204−C225v5又は3954−NSUB−C225v5の力価プロファイルを有意に変化させない。これにより、部分還元とその後のAlexa680のチオール複合化は、活性化可能抗体のマスキング効率を維持するような形でおこなわれ得る。図3〜6は、部分還元とその後のAlexa680Fluor(登録商標)のチオール複合化は、鉛で維持するのではなく、uPAによる3954−1204−C225v5の活性化も維持し、且つ、3954−NSUB−C225v5の活性化に至らないような形でおこなわれ得ることを実証している。
さらなる研究では、3.8の標識度(Alexa680Fluor(登録商標)対活性化可能抗体のモル比)を3954−1204−C225v5で達成され、そして、3.5の標識度を3954−NSUB−C225v5で達成したことを示した。
実施例3.複合活性化可能抗体の質量分析解析
MALDI Mass Spectrometry(MALDI MS)による分子量測定:MALDI MSでは、溶存態のサンプルを金属標的上に置き、そして、ペプチドとタンパク質を光吸収マトリックスと共結晶化させる。レーザビームを乾燥マトリックスサンプルに向け、サンプル分子を脱離させ、イオン化させ、そして、質量を飛行時間型(TOF)質量分析計で計測する。タンパク質は、単独(m/z MH+)並びに多重荷電イオンとして質量スペクトル(質量電荷比(mass-over-charge spectrum)m/z)で観察される。
本分析では、部分的に還元した及び複合活性化可能抗体(完全及びDTT還元)を、Millipore製C4 ziptipsを使用して精製した。それぞれの精製サンプルを、2,5−ジヒドロキシアセトフォノン/クエン酸二アンモニウム(DHAP/DAHC)マトリックスと混合し、Bruker製Big Anchor上にスポットした。質量スペクトルを、Compas1.4対照及び処理ソフトウェアを使用してリニアモードのAutoflex Speed MALDI TOF/TOF質量分析計によって得た。質量スペクトルを、Bruker Protein Calibration Standard1又は2を使用した外部二次較正によって較正した。サンプル質量を、質量スペクトルの較正範囲内で最少の荷電イオンで計算した。
それぞれのAlexa−680分子は、活性化可能抗体に1000ダルトン(〜1kDa)の質量を加えた。非複合化3954−1204−C225v5対複合化3954−1204−C225v5の分子量の比較は、3954−1204−C225v5に複合化したAlexa−680(登録商標)分子数の見積りを可能にする。
MALDI−MWデータは、最大4個の1kDa分子が活性化可能抗EGFR抗体3954−1204−C225v5に取り付けられたことを示した。還元したサンプルから、L鎖で0及び1つの修飾が観察され、そして、H鎖では0、1又は2つの修飾が観察されたので、この修飾が不均一である可能性が高いと判断された。
システイン残基を含んでいるすべてのペプチドが複合化サンプル(Cyt04−680高値)においてさらに観察されたことが、消化サンプルのMALDI−MSデータから判断された。MALDI−MWデータはまた、抗体がAlexa−680(登録商標)によって完全に標識されていないことも明らかにした。
実施例4.材料及び方法
本明細書中で提供する実施例では、Jagged結合配列、マスキング部分(MM)、及びプロテアーゼの基質である切断可能部分(CM)を含む、本明細書中で活性化可能抗体5342−1204−4D11(本明細書中で5342−1204−4D11活性化可能抗体又は5342−1204−4D11とも呼ばれる)とも呼ばれる抗Jagged活性化可能抗体を使用する。本明細書中に提供する実施例では、これらの抗Jagged活性化可能抗体構築物を使用するが、これらの方法では2以上のシステイン残基を有する任意の活性化可能抗体も適用可能であり、ここで、活性化可能抗体内のシステイン残基の総数の一部だけが複合化前に還元されるのが望ましいことは理解されるべきである。これは本明細書中で「部分還元」とも呼ばれる。
本明細書中で提供する実施例では、活性化可能抗体に複合化されるべき剤として蛍光剤Alexa−680Fluor(登録商標)(本明細書中でAlexa680(登録商標)とも呼ばれる)を使用することは、さらに理解されるべきである。この特定の色素が既知の細胞傷害剤、MMAEと類似した分子量を有するので、それが選ばれた。しかしながら、この蛍光剤は単に例として使用されるので、本明細書中に使用される組成物及び方法は、制限されることのない例として、毒素及び他のペイロード剤を含めた、あらゆる複合化される剤に有用である。前記組成物及び方法は、任意の特定の分子量、サイズ又は他のそうした特徴の剤に限定されない。
抗Jagged活性化可能抗体構築物:5342−1204−4D11活性化可能抗Jagged抗体構築物は、以下のH鎖及びL鎖配列を含む:
5342−1204−4D11活性化可能抗体H鎖ヌクレオチド配列:
GAGGTGCAGCTGTTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTACAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTTAGCAGCTATGCCATGAGCTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTGTCAAGTATTGACCCGGAAGGTCGGCAGACATATTACGCAGACTCCGTGAAGGGCCGGTTCACCATCTCCAGAGACAATTCCAAGAACACGCTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCCGTATATTACTGTGCGAAAGACATCGGCGGCAGGTCGGCCTTTGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCAGCTAGCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAA(配列番号:231)
5342−1204−4D11活性化可能抗体H鎖アミノ酸配列:
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSSIDPEGRQTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKDIGGRSAFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号:245)
5342−1204−4D11活性化可能抗体L鎖ヌクレオチド配列:
CAAGGCCAGTCTGGCCAGTGCAATATTTGGCTCGTAGGTGGTGATTGCAGGGGCTGGCAGGGGGGCTCGAGCGGTGGCAGCGGTGGCTCTGGTGGTCTGAGCGGCCGTTCCGATAATCATGGCGGCGGTTCTGACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCGGGCAAGTCAGAGCATTAGCAGCTATTTAAATTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGCTCCTGATCTATGCGGCATCCAGTTTGCAAAGTGGGGTCCCATCAAGGTTCAGTGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCAGCAGTCTGCAACCTGAAGATTTTGCAACTTACTACTGTCAACAGACGGTTGTGGCGCCTCCGTTATTCGGCCAAGGGACCAAGGTGGAAATCAAACGTACGGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGT(配列番号:233)
5342−1204−4D11活性化可能抗体L鎖アミノ酸配列:
QGQSGQCNIWLVGGDCRGWQGGSSGGSGGSGGLSGRSDNHGGGSDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQTVVAPPLFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号:234)
いくつかの実施形態において、L鎖5342−1204−4D11活性化可能抗体のスペーサー配列は、例えば、GQSGQ(配列番号235)、QSGQ(配列番号236)、SGQ(配列番号237)、GQ、及びQから成る群から選択されるスペーサーなどのN末端バリアントを含む。これらの実施形態において、5342−1204−4D11活性化可能抗体のすべての他の成分、例えば、H鎖配列、L鎖配列、5342マスク、リンカー1、1204基質、及びリンカー2は、先の配列番号234に示したのとすべて同じである。
還元剤:本明細書中に提供した試験では、還元剤TCEP(トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン)を使用した。
抗Jagged活性化可能抗体のTCEP部分還元とその後のマレイミドAlexa−680への複合化のためのプロトコール:Bond−Breaker(登録商標)TCEP溶液(中性pH溶液、Thermo Scientific)は、TCEP−対−活性化可能抗体(切断状態(すなわち、活性化状態)において、上皮成長因子受容体に結合する)の様々なモル比で使用され、そして、抗Jagged活性化可能抗体はPBS中に処方される。例えば、還元剤、TCEP−対−試験されるべき活性化可能抗体の比は、約20:1〜1:1、約10:1〜1:1、約9:1〜1:1、約8:1〜1:1、約7:1〜1:1、約6:1〜1:1、約5:1〜1:1、約4:1〜1:1、約3:1〜1:1、約2:1〜1:1、約20:1〜1:1.5、約10:1〜1:1.5、約9:1〜1:1.5、約8:1〜1:1.5、約7:1〜1:1.5、約6:1〜1:1.5、約5:1〜1:1.5、約4:1〜1:1.5、約3:1〜1:1.5、約2:1〜1:1.5、約1.5:1〜1:1.5、又は約1:1〜1:1.5の範囲に比を含み得る。いくつかの実施形態において、比は、約5:1〜1:1の範囲内にある。いくつかの実施形態において、比は、約5:1〜1.5:1の範囲内にある。いくつかの実施形態において、比は、約4:1〜1:1の範囲内にある。いくつかの実施形態において、比は、約4:1〜1.5:1の範囲内にある。いくつかの実施形態において、比は、約8:1〜約1:1の範囲内にある。いくつかの実施形態において、比は、約2.5:1〜1:1の範囲内にある。本明細書中に提供する実施例では、5342−1204−4D11と本明細書中で呼ばれる抗Jagged活性化可能抗体を使用したが、これらの方法では2以上のシステイン残基を有する任意の活性化可能抗体も適用可能であり、ここで、活性化可能抗体内のシステイン残基の総数の一部だけが複合化前に還元されるのが望ましいことは理解されるべきである。これは本明細書中で「部分還元」とも呼ばれる。
簡単に言えば、終濃度の2倍のTCEP溶液を、5342−1204−4D11と1:1(体積:体積)の比で混合して、所望の最終的なTCEP:(5342−1204−4D11)の比をもたらす。そして、還元反応が進行するために、最終溶液を指定した期間、37℃でインキュベートした。還元反応の終了時に、溶液を室温に冷まし、そして、Alexa−680複合化を開始するために、マレイミドAlexa−680(Invitrogen)を溶液(還元反応の間、マレイミドAlexa−680を還元体積の半分、TCEPの10×モル濃度にあたる濃度で使用した;例えば、本来の還元反応が50マイクロリットル(μl)の13.2μM、5342−1204−4D11及び50μlの52.8μM、TCEPを含むのであれば、そのとき、50μlの264μM、マレイミドAlexa−680が使用される)に追加した。不透光性密閉容器内、2時間室温で複合化反応を続けた。2時間の反応後に、溶液をスピンダウンし、そして、製造業者の取扱説明書を使用してPD−10カラム(GE Healthcare)又は同等物を使用してバッファーをPBSに交換した。最終的な複合化生成物をUV分光光度計を使用して分析して、最終的なタンパク質濃度及びAlexa−680色素の標識の程度を測定した。
LabChip GXIIを使用したマレイミドAlexa−680複合化抗Jagged活性化可能抗体の分析のためのプロトコール:製造業者の取扱説明書に従って、HT Protein Express Labchip(Perkin Elmer)を、Pico Protein Expressプロトコール又はHT Protein Expressプロトコールのどちらかを使用して調製した:TCEP還元5342−1204−4D11のAlexa−680複合化部分を分析するのにPico Protein Expressプロトコールを使用した;TCEP還元、Alexa−680複合化5342−1204−4D11の総タンパク質量を分析するのにHT Protein Expressプロトコールを使用した。GXII分析のためにTCEP還元、Alexa−680複合化5342−1204−4D11をPerkin Elmerの取扱説明書を使用して調製した。サンプルを、LabChip GXII分析プロトコールの200シリーズを使用して分析した(HTプロトコールではHigh sensitivity及びPicoプロトコールではPico)。得られたデータを、LabChip GXIIソフトウェアを使用して分析した。
Jagged結合ELISAのためのプロトコール:NUNC Maxisorp平底96ウェルプレートを、室温で2時間、50μl/ウェルのHank’s Balanced Salt溶液(HBSS、Teknova)の2μg/ml ヒトJagged−Fc融合タンパク質(R&D Systems)でコートした。2時間のコーティング終了時に、プレートの液体内容物を排出し、250μl/ウェルの1% BSA含有HBSSを加え、30分間室温でプレートをブロッキングした。ブロッキング期間の終了時に、96ウェルプレートの液体内容物を取り除き、そして、50μl/ウェルで連続希釈サンプル(すなわち、5342−1204−4D11、Alexa−680複合化5342−1204−4D11、uPA活性化5342−1204−4D11、uPA活性化Alexa−680複合化5342−1204−4D11、及び4D11(抗Jagged抗体)、100μg/mlの濃度から開始し、1希釈段階あたり3倍希釈した)を加えた。プレートを、室温で1時間インキュベートした。その時間の終了時に、プレートを、BioTek ELx450 Select CWプレートウォッシャー(300μl/ウェルの洗浄体積、吸引と洗浄を6サイクル)を使用して、0.05% Tween−20含有HBSSで洗浄した。洗浄したプレートを、タップして乾燥させ、そして、50μl/ウェルの400ng/ml 西洋わさびペルオキシダーゼ(Jackson ImmunoResearch)複合化ヤギ抗ヒトIgG Fab’2特異的抗体を加え、そして、30分間室温でインキュベートした。プレートを前述のように洗浄し、そして、100μl/ウェルの1ステップTMB基質(Thermo Scientific)を加えた。色の変化を観察して、100μl/ウェルの1M HCl(Fisher Scientific)の添加によって反応を停止した。反応済プレートを、O.D.450にてBioTek EL800プレートリーダを使用して分析した。データをExcel(Microsoft)を使用して計算し、そして、結果をPrism6(GraphPad)を使用してプロットした。
実施例5.活性化可能抗体のTCEP媒介還元
本明細書中に提供した組成物及び方法は、所望の部分還元とそれに続く複合化を生じさせる試薬と反応条件の組み合わせを決定する。還元とその後の複合化が適切に制御されていない場合、活性化可能抗体は完全に還元されるので、活性化可能抗体のマスキング効率は支障をきたす。
還元剤対活性化可能抗体の範囲を決定するために、試験をおこなった。低い比、例えば、0.5:1〜2:1(還元剤対活性化可能抗体)範囲において、一部の還元が達成され、且つ、活性化可能抗体保全とマスキング効率は維持された。1.5:1〜5:1(還元剤対活性化可能抗体)の比、30分〜2時間の還元時間では、1本のH鎖及び1本のL鎖の活性化可能抗体の分子量に相当する多量の還元活性化可能抗体種が存在した。本来の非還元且つマスク活性化可能抗体のJagged結合特性が維持されている部分的に還元した活性化可能抗体は、これらの条件で部分的に還元した活性化可能抗体が、本来のマスキング効率を維持できることを実証した。同定した還元剤対活性化可能抗体の比、及び還元時間にで、鎖間ジスルフィドを還元した活性化可能抗体は、遊離システインによるその後の最大の複合化を可能にすると同時に、本来の、非還元活性化可能抗体のマスキング効率を維持するように製造され得る。
本明細書中に記載したある試験セットでは、5342−1204−4D11と呼ばれる活性化可能抗Jagged抗体を、TCEP−対−活性化可能抗体の比は4:1であり、120分間の還元時間を使用して還元した。場合によっては、還元には、蛍光色素、Alexa680の複合化があとに続いた。これらの試験の結果(4:1のTCEP対活性化可能抗体の比)を図7に示す。
チオール複合化可能毒素の代用薬としてチオール複合化可能Alexa680を使用することで、これらの試験では、TCEP対活性化可能抗体の比と還元時間の両方に依存してAlexa680複合化の程度が変動することを実証する。TCEP部分還元5342−1204−4D11へのチオール複合化可能Alexa680の複合化は、Jaggedに対する5342−1204−4D11の力価プロファイルを有意に変化させない。これにより、部分還元とその後のAlexa680のチオール複合化は、活性化可能抗体のマスキング効率を維持するような形でおこなわれ得る。図8は、部分還元とその後のAlexa680Fluor(登録商標)のチオール複合化は、鉛で維持するのではなく、uPAによる5342−1204−4D11の活性化も維持するような形でおこなわれ得ることを実証している。
実施例6.材料及び方法
抗体と活性化可能抗体: 本明細書中で提供する実施例では、本明細書中で活性化可能抗体5342−1204−4D11と呼ばれる抗Jagged活性化可能抗体を使用し、それは、本明細書中に記載されている。本明細書中に提供する実施例では、これらの抗Jagged活性化可能抗体構築物を使用するが、これらの方法では2以上のシステイン残基を有する任意の活性化可能抗体も適用可能であり、ここで、活性化可能抗体内のシステイン残基の総数の一部だけが複合化前に還元されるのが望ましいことは理解されるべきである。これは本明細書中で「部分還元」とも呼ばれる。
本明細書中に提供した実施例ではまた、抗Jagged抗体4D11(抗体4D11や4D11抗体とも呼ばれる)と本明細書中で呼ばれる抗Jagged抗体も使用する。抗体4D11としては、以下のH鎖及びL鎖配列が挙げられる:
4D11抗体H鎖ヌクレオチド配列:
GAGGTGCAGCTGTTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTACAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTTAGCAGCTATGCCATGAGCTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTGTCAAGTATTGACCCGGAAGGTCGGCAGACATATTACGCAGACTCCGTGAAGGGCCGGTTCACCATCTCCAGAGACAATTCCAAGAACACGCTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCCGTATATTACTGTGCGAAAGACATCGGCGGCAGGTCGGCCTTTGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCAGCTAGCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCCCTGGCACCCTCCTCCAAGAGCACCTCTGGGGGCACAGCGGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCCGAACCGGTGACGGTGTCGTGGAACTCAGGCGCCCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCGGCTGTCCTACAGTCCTCAGGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCCTCCAGCAGCTTGGGCACCCAGACCTACATCTGCAACGTGAATCACAAGCCCAGCAACACCAAGGTGGACAAGAAAGTTGAGCCCAAATCTTGTGACAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAA(配列番号:231)
4D11抗体H鎖アミノ酸配列:
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVSSIDPEGRQTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCAKDIGGRSAFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号:245)
4D11抗体L鎖ヌクレオチド配列:
GACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCGGGCAAGTCAGAGCATTAGCAGCTATTTAAATTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGCTCCTGATCTATGCGGCATCCAGTTTGCAAAGTGGGGTCCCATCAAGGTTCAGTGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCAGCAGTCTGCAACCTGAAGATTTTGCAACTTACTACTGTCAACAGACGGTTGTGGCGCCTCCGTTATTCGGCCAAGGGACCAAGGTGGAAATCAAACGTACGGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTCCCGCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCTGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCCAGAGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCGGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACGCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACAAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGCTCGCCCGTCACAAAGAGCTTCAACAGGGGAGAGTGT(配列番号:233)
4D11抗体L鎖アミノ酸配列:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQTVVAPPLFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号:244)
本明細書中に使用される追加の抗体としては、Synagis(登録商標)(パリビズマブ)とリツキシマブが挙げられ、その両方をDrug Products Service Labs(UCSF)から購入して、ヒトIgG1のアイソタイプ対照として使用した。
SDSゲル:5〜10マイクログラム(μg)のサンプルを、終量7.5マイクロリットル(μl)の水中に希釈した。1μlの10×還元剤(Invitrogen)を加えた又は加えていない2.5μlの4×サンプル添加バッファー(Invitrogen)を加え、そして、サンプルをヒートブロック内で〜90℃にて〜10分間加熱した。サンプルを10%のBis−Tris(Novex)ゲルに添加し、MOPSバッファー中、200mVで〜40分間泳動した。ゲルを、Instant Blue(Expedion)中で〜1時間染色し、続いて、複数回の水での洗浄における脱染した。ゲル画像をImagequantにより得た。
細胞株:BxPC3細胞(ATCC CRL1687)をCM(10%の熱不活性化ウシ胎仔血清(FBS)を補ったRPMI1640)中で維持した。FACSの前に、結合細胞剥離バッファー(Sigma#C5914)を接着細胞を剥離するのに使用した。
FACS細胞結合のためのプロトコール:BxPC3細胞への抗体、活性化可能抗体、又はそれらの免疫複合体誘導体の結合を、間接的蛍光抗体法で評価した。剥離細胞(1ウェルあたり50,000〜100,000個)を、96ウェルv底プレート内でペレットにし、50〜100μlのFACSバッファー(2%のFBSを補ったFB;HBSS)中の試験物品の段階希釈物と共に40℃にて45分間インキュベートした。対照ウェルを、ヒトIgG1アイソタイプ対照(Synagis又はリツキシマブ)を含むか、又はIgG不含ウェルであった。細胞を、冷FB中で2回洗浄し、Alexa647複合化ヤギ抗ヒトIgG(AF−647を複合化した、アフィニティー精製F(ab’)2フラグメントであるヤギ抗ヒトIgGのFcガンマ(γ)フラグメント特異的、Jackson labs、#1909-606-170)を用いて40℃にて30分間染色した。細胞を、前述のとおり洗浄し、1%のパラホルムアルデヒド/FB内に固定し、そして、FACSAriaフローサイトメータ(BD Biosciences)を使用して分析した。FCSファイルをFCS Express(DeNovo)で解析し、平均蛍光強度(MFI)を用量力価に対してGraphPad PRISMによりプロットした。
インビトロ細胞毒性アッセイのためのプロトコール:細胞(1ウェルあたり4,000個)をホワイトウォール96ウェルプレート内の50μlのCM中で平板培養した。細胞を、3〜5日間、等量の試験物品の段階希釈物で処理した。製造業者の取扱説明書に従って、等量(100μl)のCell Titer Glo試薬(Promega)を各ウェルに加え、そして、相対発光単位(RLU)をTecan Infinite M200Proで評価した。用量力価に対してRLUをプロットし、そして、GraphPad PRISMで合致する曲線を作成した。
実施例7.TCEP媒介部分還元及び複合化による活性化可能抗体の製造
この実施例では、本発明の抗体複合体及び活性化可能抗体複合体を製造するための本発明の部分還元及び複合化方法の使用を説明する。本明細書中に提供する実施例では、これらの抗Jagged活性化可能抗体構築物を使用するが、これらの方法では2以上のシステイン残基を有する任意の活性化可能抗体も適用可能であり、ここで、活性化可能抗体内のシステイン残基の総数の一部だけが複合化前に還元されるのが望ましいことは理解されるべきである。これは本明細書中で「部分還元」とも呼ばれる。
この実施例では、「vc−MMAD」と本明細書中で呼ばれるマレイミドPEG−バリン−シトルリン−パラ−アミノベンジルオキシカルボニル−モノメチルアウリスタチンDリンカーペイロード、又は「vc−MMAE」と本明細書中で呼ばれるマレイミドPEG−バリン−シトルリン−パラ−アミノベンジルオキシカルボニル−モノメチルアウリスタチンEリンカーペイロードを示す複合体を提供する。
それぞれ、活性化可能抗体複合体5342−1204−4D11−vc−MMAD及び活性化可能抗体複合体5342−1204−4D11−vc−MMAEと本明細書中で呼ばれる、マレイミドカプロイル−バリン−シトルリンモノメチルアウリスタチンDリンカーペイロード(vc−MMAD)又はマレイミドカプロイル−バリン−シトルリンモノメチルアウリスタチンEリンカーペイロード(vc−MMAE)を含む抗Jagged活性化可能抗体5342−1204−4D11の複合体を、次のようにして調製した。
vc−MMAD及びvc−MMAE試薬を、Bayside Chemicals(Burlingame, CA)で調製した。N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP; cat #646547)、及び1N NaOHをSigmaから購入した。複合化をおこなう前に、以下の原液を調製した:PBS中の5.0mg/mLの抗体又は活性化可能抗体(総リン酸=4.25mM)、DMA中の5.0mg/mL vc−MMAD又はvc−MMAE、水中の1.0mM TCEP、及び水中の10mM NaOH。TCEPを、TCEP−対−抗体又は活性化可能抗体について1:1〜8:1の比の範囲にて、典型的には、2.5:1の等モル比にて使用した。
典型的な部分還元及び複合化は、次のようにおこなわれ、ここで、当量(eq)は抗体又は活性化可能抗体と比較して報告されている。試験管内で200μLのPBS中の抗体又は活性化可能抗体に、2.5eqのTCEPを加えた。試験管を閉じ、旋回して、均一な溶液にし、そしてそれを90分間室温で静置した。試験管を開け、13eqのNaOH及び6.0eqのvc−MMAD又はvc−MMAEを加えた。試験管を閉じ、旋回して、均一な溶液にし、そしてそれを120分間室温で静置した。試験管を開け、そして、反応混合物をZeba脱塩カラム(Thermo Scientific)に通した。濾液中のタンパク質濃度をUV分光測光で分析し、生成物をSDSゲル及びHIC−HPLCで分析し、次に、細胞結合及び殺細胞活性について試験した。細胞結合及び殺細胞アッセイについて、活性化可能抗体複合体を、組み換えヒトuPAプロテアーゼ(R and D systems、MN-207-16)の10%溶液中で0.5mgの活性化可能抗体複合体サンプルを16時間37℃にてインキュベートすることによって活性化した。予洗MabSelect(GE Healthcare)カラムにサンプルを通し、0.1Mのグリシンで溶出し、続いて、Tris HClを使用して中和することによって、こうして活性化した活性化可能抗体複合体からプロテアーゼを取り除いた。他の複合体では、TCEPのeqは1.0〜8.0の範囲で変動し、NaOHのeqは0〜13の範囲で変動し、及び/又はTCEP添加後、或いはNaOH及びvc−MMAD又はvc−MMADの添加後の反応時間は、60分間〜16時間の範囲で変動した。
実施例8.微小管阻害剤モノメチルアウリスタチンD(MMAD)を含む活性化可能抗体複合体の使用
この実施例では、微小管阻害剤MMADを含む活性化可能抗体複合体がインビトロにおいて強力な殺細胞活性を示すことを実証する。本実施例はまた、活性化可能抗体へのリンカーペイロードの追加が斯かるマスキング部分を含む活性化可能抗体がその標的に結合するのを妨げるマスキング部分の能力に干渉しないことも実証する。
図9Aは、vc−MMADリンカーペイロードを有する抗Jagged活性化可能抗体5342−1204−4D11又は抗Jagged抗体4D11の部分還元とその後のチオール複合化が、得られた複合体のBxPC3細胞への結合挙動に影響を及ぼさなかったことを実証している:抗体複合体4D11−vc−MMAD(0.7nM)と比較して、活性化可能抗体複合体5342−1204−4D11−vc−MMAD(27nM)の結合のIC50において38分の1の減少があった。uPAでの活性化により、活性化した活性化可能抗体複合体5342−1204−4D11−vc−MMADの結合は、抗体複合体4D11−vc−MMADのものに匹敵した。図面はまた、Synagis(ヒトIgG1アイソタイプ対照)がBxPC3細胞に結合しなかったことも実証している。
活性化可能抗体5342−1204−4D11及び抗体4D11の複合体では、SDS分析によって還元状態下でHC及びLCのMWの増加シフトが観察された。HIC−HPLC分析では毒素複合化物質の40〜75%の収率を実証した。
図9Bでは、uPAでの活性化による活性化可能抗体複合体5342−1204−4D11−vc−MMAD及び抗体複合体4D11−vc−MMADの強力な殺細胞活性を実証する。活性化していない活性化可能抗体5342−1204−4D11−vc−MMADは、抗体複合体4D11−vc−MMAD(IC50=0.4nM)と比較して、17分の1の低い効力(IC50=n7M)でBxPC3細胞を殺滅した。vc−MMADリンカーを複合化したリツキシマブ抗体(非関連IgG1アイソタイプ抗体)の殺細胞活性の不足も示されている。抗体4D11単独(すなわち、非複合化)では、BxPC3に対して全く細胞毒活性を発揮しなかった。
実施例9.微小管阻害剤モノメチルアウリスタチンE(MMAE)を含む活性化可能抗体複合体の使用
この実施例では、微小管阻害剤MMAEを含む活性化可能抗体複合体がインビトロにおいて強力な殺細胞活性を示すことを実証する。本実施例はまた、活性化可能抗体へのリンカーペイロードの追加が斯かるマスキング部分を含む活性化可能抗体がその標的に結合するのを妨げるマスキング部分の能力に干渉しないことも実証する。
図10Aは、vc−MMAEリンカーペイロードを有する抗Jagged活性化可能抗体5342−1204−4D11又は抗Jagged抗体4D11の部分還元とその後のチオール複合化が、得られた複合体のBxPC3細胞への結合挙動に影響を及ぼさなかったことを実証している:抗体複合体4D11−vc−MMAE(0.9nM)と比較して、活性化可能抗体複合体5342−1204−4D11−vc−MMAE(〜30nM)(非複合活性化可能抗体5342−1404−4D11の結合活性に類似していた)の結合のIC50において33分の1の減少があった。uPAでの活性化により、活性化した活性化可能抗体複合体5342−1204−4D11−vc−MMAEの結合は、抗体複合体4D11−vc−MMAEのものに匹敵した。図面はまた、vc−MMAEに複合化したSynagisがBxPC3細胞に結合しなかったことも実証している。
図10Bでは、uPAでの活性化による活性化可能抗体複合体5342−1204−4D11−vc−MMAE及び抗体複合体4D11−vc−MMAEの強力な殺細胞活性を実証する。活性化していない活性化可能抗体5342−1204−4D11−vc−MMAEは、抗体複合体4D11−vc−MMAE(IC50=0.4nM)と比較して、12分の1の低い効力(IC50=5nM)でBxPC3細胞を殺滅した。vc−MMAEリンカーを複合化したSynagisの殺細胞活性の不足も示されている。
他の実施形態
本発明はその詳細な説明と共に記載されて来たが、前述の記載は例示的であり、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲を限定するものではない。他の態様、利点及び改変は、以下の範囲内である。
明細書の開示の要約
項1
活性化可能抗体を部分的に還元し、剤を複合化することで、該剤の配置に選択性を与える方法であって、該方法は、活性化可能抗体内のいずれの鎖内ジスルフィドも妨害することなく、還元剤を用いて活性化可能抗体内の少なくとも1つのジスルフィド結合を部分的に還元すること、並びに、少なくとも1つのチオールに該剤を複合化することを含み、
ここで、前記活性化可能抗体は、標的に特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメント(AB)、切断されていない状態で活性化可能抗体のABが標的に結合するのを阻害するマスキング部分(MM)、及びABに対合した切断可能部分(CM)を含み、ここで、前記CMは、プロテアーゼの基質として機能するポリペプチドである方法。
項2
前記少なくとも1つのジスルフィド結合は、鎖間ジスルフィド結合である、項1に記載の方法。
項3
前記少なくとも1つのジスルフィド結合は、活性化可能抗体と第2の分子との間のジスルフィド結合である、項1に記載の方法。
項4
前記第2の分子は、システイン又はグルタチオンである、項3に記載の方法。
項5
前記の切断されていない状態にある活性化可能抗体は、以下のようなN末端からC末端への構造配置:MM−CM−AB又はAB−CM−MMを有する、項1に記載の方法。
項6
前記還元剤はTCEPである、項1に記載の方法。
項7
前記剤は、表4に列挙した剤の群から選択される、項1に記載の方法。
項8
前記剤は、毒素又はそのフラグメントである、項1に記載の方法。
項9
前記剤は、微小管阻害剤である、項8に記載の方法。
項10
前記剤は、核酸損傷剤である、項8に記載の方法。
項11
前記剤は、ドラスタチン、アウリスタチン又はその誘導体、マイタンシノイド又はその誘導体、デュオカルマイシン又はその誘導体、或いは、カリケアマイシン又はその誘導体である、項8に記載の方法。
項12
前記剤は、アウリスタチンE又はその誘導体である、項4に記載の方法。
項13
前記剤は、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)又はモノメチルアウリスタチンD(MMAD)である、項4に記載の方法。
項14
前記剤は、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)である、項4に記載の方法。
項15
前記剤は、モノメチルアウリスタチンD(MMAD)である、項4に記載の方法。
項16
前記剤は、DM1又はDM4である、項4に記載の方法。
項17
前記剤は、リンカーを介してABに結合される、項4に記載の方法。
項18
前記リンカーは、切断可能なリンカーである、項17に記載の方法。
項19
前記剤は、検出可能部分である、項1に記載の方法。
項20
前記検出可能部分は、診断薬である、項19に記載の方法。
項21
前記標的は、表1に列挙した標的の群から選択される、項1に記載の方法。
項22
前記ABは、表2に列挙した抗体の群から選択される抗体であるか、又はそれに由来する、項1に記載の方法。
項23
前記のその抗原結合フラグメントは、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv、scAb、dAb、単一ドメインH鎖抗体、及び単一ドメインL鎖抗体から成る群から選択される、項1に記載の方法。
項24
前記MMは、標的へのABの平衡解離定数より高い、ABへの結合のための平衡解離定数を有する、項1に記載の方法。
項25
前記MMは、活性化可能抗体が切断された状態にあるとき、標的への結合のためのABと干渉も競合もしない、項1に記載の方法。
項26
前記MMは、長さが40個以下のアミノ酸のポリペプチドである、項1に記載の方法。
項27
前記MMポリペプチド配列は、標的の配列と異なり、そして、該MMポリペプチド配列は、ABの任意の天然の結合パートナーに対して50%以下の同一性である、項1に記載の方法。
項28
前記MMは、標的に対して25%超のアミノ酸配列同一性を有さない、項1に記載の方法。
項29
前記MMは、標的に対して10%超のアミノ酸配列同一性を有さない、項1に記載の方法。
項30
前記CMは、長さが最大15個のアミノ酸のポリペプチドである、項1に記載の方法。
項31
前記プロテアーゼは、組織中で標的と共に局在し、活性化可能抗体が該プロテアーゼに晒されたとき、該プロテアーゼは活性化可能抗体内のCMを切断する、項1に記載の方法。
項32
前記活性化可能抗体は、MMとCMとの間に連結ペプチドを含む、項1に記載の方法。
項33
前記活性化可能抗体は、CMとABとの間に連結ペプチドを含む、項1に記載の方法。
項34
前記活性化可能抗体は、第1連結ペプチド(LP1)及び第2連結ペプチド(LP2)を含み、そして、切断されていない状態にある活性化可能抗体は、以下のようなN末端からC末端への構造配置:MM−LP1−CM−LP2−AB又はAB−LP2−CM−LP1−MMを有する、項1に記載の方法。
項35
前記の2つの連結ペプチドは、互いに同一である必要はない、項34に記載の方法。
項36
前記のLP1及びLP2のそれぞれは、長さが約1〜20個のアミノ酸のペプチドである、項34に記載の方法。
項37
前記LP1又はLP2の少なくとも1つは、(GS)n、(GGS)n、(GSGGS)n(配列番号21)及び(GGGS)n(配列番号22)、GGSG(配列番号23)、GGSGG(配列番号24)、GSGSG(配列番号25)、GSGGG(配列番号26)、GGGSG(配列番号27)、並びにGSSSG(配列番号28){式中、nは少なくとも1の整数である}から成る群から選択されるアミノ酸配列である、項34に記載の方法。
項38
前記CMは、表3に示した酵素から成る群から選択される酵素のための基質である、項1に記載の方法。
項39
前記の切断されていない状態にある活性化可能抗体はスペーサーを含み、ここで、該スペーサーは、MMに直接連結され、そして、スペーサー−MM−CM−ABのN末端からC末端への構造配置を有する、項1に記載の方法。
項40
活性化状態で標的と結合する複合活性化可能抗体であって、以下の:
該標的に特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメント(AB)、ここで、該ABはモノメチルアウリスタチンD(MMAD)に複合化され;
活性化可能抗体が切断されていない状態にあるとき、標的へのABの結合を阻害するマスキング部分(MM);及び
ABと対合した切断可能部分(CM)、ここで、該CMは、プロテアーゼの基質として機能するポリペプチドである、
を含む複合活性化可能抗体。
項41
前記MMは、標的へのABの平衡解離定数より高い、ABへの結合のための平衡解離定数を有する、項40に記載の複合活性化可能抗体。
項42
前記MMは、活性化可能抗体が切断された状態にあるとき、標的への結合のためのABと干渉しないし、競合もしない、項40に記載の複合活性化可能抗体。
項43
前記プロテアーゼは、組織中で標的と共に局在し、活性化可能抗体が該プロテアーゼに晒されたとき、該プロテアーゼは活性化可能抗体内のCMを切断する、項40に記載の複合活性化可能抗体。
項44
前記の切断されていない状態にある活性化可能抗体は、以下のようなN末端からC末端への構造配置:MM−CM−AB又はAB−CM−MMを有する、項40に記載の複合活性化可能抗体。
項45
前記活性化可能抗体は、MMとCMとの間に連結ペプチドを含む、項40に記載の複合活性化可能抗体。
項46
前記活性化可能抗体は、CMとABとの間に連結ペプチドを含む、項40に記載の複合活性化可能抗体。
項47
前記活性化可能抗体は、第1連結ペプチド(LP1)及び第2連結ペプチド(LP2)を含み、そして、切断されていない状態にある活性化可能抗体は、以下のようなN末端からC末端への構造配置:MM−LP1−CM−LP2−AB又はAB−LP2−CM−LP1−MMを有する、項40に記載の複合活性化可能抗体。
項48
前記の2つの連結ペプチドは、互いに同一である必要はない、項47に記載の複合活性化可能抗体。
項49
前記のLP1又はLP2のそれぞれは、長さが約1〜20個のアミノ酸のペプチドである、項47に記載の複合活性化可能抗体。
項50
前記MMは、長さが40個以下のアミノ酸のポリペプチドである、項40に記載の複合活性化可能抗体。
項51
前記MMポリペプチド配列は、標的の配列と異なり、そして、該MMポリペプチド配列は、ABの任意の天然の結合パートナーに対して50%以下同一である、項40に記載の複合活性化可能抗体。
項52
前記CMは、長さが最大15個のアミノ酸のポリペプチドである、項40に記載の複合活性化可能抗体。
項53
前記CMは、表3に示した酵素から成る群から選択される酵素のための基質である、項40に記載の複合活性化可能抗体。
項54
前記のその抗原結合フラグメントは、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv、scAb、dAb、単一ドメインH鎖抗体、及び単一ドメインL鎖抗体から成る群から選択される、請求項40に記載の複合活性化可能抗体。
項55
前記ABの標的は、表1に列挙した標的から成る群から選択される、項40に記載の複合活性化可能抗体。
項56
前記ABは、表2に列挙した抗体であるか、又はそれに由来する、項40に記載の複合活性化可能抗体。
項57
前記MMADは、リンカーを介してABに複合化される、項40に記載の複合活性化可能抗体。
項58
前記リンカーは、切断可能なリンカーである、項56に記載の複合活性化可能抗体。