本開示は、表面抗原分類(cluster of differentiation)166、活性化白血球細胞接着分子(ALCAM)、および/またはMEMDとも知られるCD166に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を提供する。「CD166」という用語の使用は、その任意のバリエーション、例えば、非限定的な例として、CD-166および/またはCD 166をカバーすることが意図され、全てのバリエーションが本明細書において互換的に用いられる。
いくつかの態様において、前記抗体は、CD166に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む。いくつかの態様において、CD166に結合する抗体またはその抗原結合断片は、モノクローナル抗体、ドメイン抗体、単鎖、Fab断片、F(ab')2断片、scFv、scAb、dAb、シングルドメイン重鎖抗体、またはシングルドメイン軽鎖抗体である。いくつかの態様において、このような、CD166に結合する抗体またはその抗原結合断片は、マウス抗体、他のげっ歯類抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、または完全ヒトモノクローナル抗体である。
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 119、121および122からなる群より選択される重鎖可変領域アミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 121またはSEQ ID NO: 122を含む重鎖可変領域アミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 121を含む重鎖可変領域アミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 122を含む重鎖可変領域アミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 120および123~126からなる群より選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 123~126からなる群より選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 123を含む軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 119、121および122からなる群より選択される重鎖可変領域アミノ酸配列と、SEQ ID NO: 120および123~126からなる群より選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む。
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 121またはSEQ ID NO: 122からなる群より選択される重鎖可変領域アミノ酸配列と、SEQ ID NO: 123~126からなる群より選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 121からなる群より選択される重鎖可変領域アミノ酸配列と、SEQ ID NO: 123からなる群より選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 122からなる群より選択される重鎖可変領域アミノ酸配列と、SEQ ID NO: 123からなる群より選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む。
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 119、121および122からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である重鎖可変領域アミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 121またはSEQ ID NO: 122を含むアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である重鎖可変領域アミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 122を含むアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である重鎖可変領域アミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 121を含むアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である重鎖可変領域アミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 120および123~126からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 123~126からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、アミノ酸配列SEQ ID NO: 123と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 119、121および122からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である重鎖可変領域アミノ酸配列と、SEQ ID NO: 120および123~126からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む。
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 121またはSEQ ID NO: 122からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である重鎖可変領域アミノ酸配列と、SEQ ID NO: 123~126からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 122より選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である重鎖可変領域アミノ酸配列と、アミノ酸配列SEQ ID NO: 123と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 121より選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である重鎖可変領域アミノ酸配列と、アミノ酸配列SEQ ID NO: 123と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む。
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、可変重鎖相補性決定領域1 (VH CDR1、本明細書においてCDRH1ともいわれる)配列、可変重鎖相補性決定領域2 (VH CDR2、本明細書においてCDRH2ともいわれる)配列、可変重鎖相補性決定領域3 (VH CDR3、本明細書においてCDRH3ともいわれる)配列、可変軽鎖相補性決定領域1 (VL CDR1、本明細書においてCDRL1ともいわれる)配列、可変軽鎖相補性決定領域2 (VL CDR2、本明細書においてCDRL2ともいわれる)配列および可変軽鎖相補性決定領域3 (VL CDR3、本明細書においてCDRL3ともいわれる)配列の組み合わせを含み、ここで少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)配列が、アミノ酸配列
を含むVH CDR1配列; アミノ酸配列
を含むVH CDR2配列; アミノ酸配列
を含むVH CDR3配列; アミノ酸配列
を含むVL CDR1配列; アミノ酸配列
QMSNLAS (SEQ ID NO: 132)またはQMSNRAS (SEQ ID NO: 133)
を含むVL CDR2配列; およびアミノ酸配列
を含むVL CDR3配列
からなる群より選択される。
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、可変重鎖相補性決定領域1 (VH CDR1、本明細書においてCDRH1ともいわれる)配列、可変重鎖相補性決定領域2 (VH CDR2、本明細書においてCDRH2ともいわれる)配列、可変重鎖相補性決定領域3 (VH CDR3、本明細書においてCDRH3ともいわれる)配列、可変軽鎖相補性決定領域1 (VL CDR1、本明細書においてCDRL1ともいわれる)配列、可変軽鎖相補性決定領域2 (VL CDR2、本明細書においてCDRL2ともいわれる)配列および可変軽鎖相補性決定領域3 (VL CDR3、本明細書においてCDRL3ともいわれる)配列の組み合わせを含み、ここで少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)配列が、アミノ酸配列
を含むVH CDR1配列; アミノ酸配列
を含むVH CDR2配列; アミノ酸配列
を含むVH CDR3配列; アミノ酸配列
を含むVL CDR1配列; アミノ酸配列
QMSNLAS (SEQ ID NO: 132)
を含むVL CDR2配列; およびアミノ酸配列
を含むVL CDR3配列
からなる群より選択される。
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、VH CDR1配列、VH CDR2配列、VH CDR3配列、VL CDR1配列、VL CDR2配列およびVL CDR3配列の組み合わせを含み、ここで少なくとも1つのCDR配列が、アミノ酸配列
を含むVH CDR1配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVH CDR1配列; アミノ酸配列
を含むVH CDR2配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVH CDR2配列; アミノ酸配列
を含むVH CDR3配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVH CDR3配列; アミノ酸配列
を含むVL CDR1配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVL CDR1配列; アミノ酸配列
を含むVL CDR2配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVL CDR2配列; およびアミノ酸配列
を含むVL CDR3配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVL CDR3配列
からなる群より選択される。
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、VH CDR1配列、VH CDR2配列、VH CDR3配列、VL CDR1配列、VL CDR2配列およびVL CDR3配列の組み合わせを含み、ここで少なくとも1つのCDR配列が、アミノ酸配列
を含むVH CDR1配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVH CDR1配列; アミノ酸配列
を含むVH CDR2配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVH CDR2配列; アミノ酸配列
を含むVH CDR3配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVH CDR3配列; アミノ酸配列
を含むVL CDR1配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVL CDR1配列; アミノ酸配列
QMSNLAS (SEQ ID NO: 132)
を含むVL CDR2配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVL CDR2配列; およびアミノ酸配列
を含むVL CDR3配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVL CDR3配列
からなる群より選択される。
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、VH CDR1配列、VH CDR2配列、VH CDR3配列、VL CDR1配列、VL CDR2配列およびVL CDR3配列の組み合わせを含み、ここでVH CDR1配列がアミノ酸配列
を含み; VH CDR2配列がアミノ酸配列
を含み; VH CDR3配列がアミノ酸配列
を含み; VL CDR1配列がアミノ酸配列
を含み; VL CDR2配列がアミノ酸配列
を含み; およびVL CDR3配列がアミノ酸配列
を含む。
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、VH CDR1配列、VH CDR2配列、VH CDR3配列、VL CDR1配列、VL CDR2配列およびVL CDR3配列の組み合わせを含み、ここでVH CDR1配列がアミノ酸配列
を含み; VH CDR2配列がアミノ酸配列
を含み; VH CDR3配列がアミノ酸配列
を含み; VL CDR1配列がアミノ酸配列
を含み; VL CDR2配列がアミノ酸配列
QMSNLAS (SEQ ID NO: 132)
を含み; およびVL CDR3配列がアミノ酸配列
を含む。
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、VH CDR1配列、VH CDR2配列、VH CDR3配列、VL CDR1配列、VL CDR2配列およびVL CDR3配列の組み合わせを含み、ここでVH CDR1配列がアミノ酸配列
と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含み; VH CDR2配列がアミノ酸配列
と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含み; VH CDR3配列がアミノ酸配列
と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含み; VL CDR1配列がアミノ酸配列
と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含み; VL CDR2配列がアミノ酸配列
と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含み; およびVL CDR3配列がアミノ酸配列
と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含む。
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、VH CDR1配列、VH CDR2配列、VH CDR3配列、VL CDR1配列、VL CDR2配列およびVL CDR3配列の組み合わせを含み、ここでVH CDR1配列がアミノ酸配列
と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含み; VH CDR2配列がアミノ酸配列
と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含み; VH CDR3配列がアミノ酸配列
と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含み; VL CDR1配列がアミノ酸配列
と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含み; VL CDR2配列がアミノ酸配列
QMSNLAS (SEQ ID NO: 132)
と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含み; およびVL CDR3配列がアミノ酸配列
と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含む。
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 119、121および122からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖アミノ酸配列をコードする核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 121またはSEQ ID NO: 122からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖アミノ酸配列をコードする核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 122より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖アミノ酸配列をコードする核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 121より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖アミノ酸配列をコードする核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 120および123~126からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖アミノ酸配列をコードする核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 123~126からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖アミノ酸配列をコードする核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、アミノ酸配列SEQ ID NO: 123を含む軽鎖アミノ酸配列をコードする核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 119、121および122からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖アミノ酸配列をコードする核酸配列、ならびにSEQ ID NO: 120および123~126からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖アミノ酸配列をコードする核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 121および122からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖アミノ酸配列をコードする核酸配列、ならびにSEQ ID NO: 123~126からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖アミノ酸配列をコードする核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 122のアミノ酸配列を含む重鎖アミノ酸配列をコードする核酸配列、およびアミノ酸配列SEQ ID NO: 123を含む軽鎖アミノ酸配列をコードする核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 121のアミノ酸配列を含む重鎖アミノ酸配列をコードする核酸配列、およびアミノ酸配列SEQ ID NO: 123を含む軽鎖アミノ酸配列をコードする核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 121またはSEQ ID NO: 122からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖アミノ酸配列をコードする核酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 121またはSEQ ID NO: 122からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖アミノ酸配列をコードする核酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 122のアミノ酸配列を含む重鎖アミノ酸配列をコードする核酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 121のアミノ酸配列を含む重鎖アミノ酸配列をコードする核酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 120および123~126からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖アミノ酸配列をコードする核酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 123~126からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖アミノ酸配列をコードする核酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 123のアミノ酸配列を含む軽鎖アミノ酸配列をコードする核酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 119、121および122からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖アミノ酸配列をコードする核酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である核酸配列、ならびにSEQ ID NO: 120および123~126からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖アミノ酸配列をコードする核酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 121またはSEQ ID NO: 122からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖アミノ酸配列をコードする核酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である核酸配列、およびSEQ ID NO: 123~126からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖アミノ酸配列をコードする核酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 122のアミノ酸配列を含む重鎖アミノ酸配列をコードする核酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である核酸配列、およびSEQ ID NO: 123のアミノ酸配列を含む軽鎖アミノ酸配列をコードする核酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 121のアミノ酸配列を含む重鎖アミノ酸配列をコードする核酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である核酸配列、およびSEQ ID NO: 123のアミノ酸配列を含む軽鎖アミノ酸配列をコードする核酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、多重特異性抗体またはその抗原結合断片に組み入れられ、ここで多重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部がCD166に特異的に結合する。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、二重特異性抗体またはその抗原結合断片に組み入れられ、ここで二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部がCD166に特異的に結合する。
いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、SEQ ID NO: 119、121および122からなる群より選択される重鎖可変領域アミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、SEQ ID NO: 121またはSEQ ID NO: 122からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域アミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、SEQ ID NO: 122のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域アミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、SEQ ID NO: 121のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域アミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、SEQ ID NO: 120および123~126からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、SEQ ID NO: 123~126からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、SEQ ID NO: 123のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、SEQ ID NO: 119、121および122からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域アミノ酸配列と、SEQ ID NO: 120および123~126からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む。
いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、SEQ ID NO: 121またはSEQ ID NO: 122からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域アミノ酸配列と、SEQ ID NO: 123~126からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む。いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、SEQ ID NO: 122のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域アミノ酸配列と、SEQ ID NO: 123のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む。二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、SEQ ID NO: 121のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域アミノ酸配列と、SEQ ID NO: 123のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む。
いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、SEQ ID NO: 119、121および122からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である重鎖可変領域アミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、SEQ ID NO: 121またはSEQ ID NO: 122からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である重鎖可変領域アミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、SEQ ID NO: 122のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である重鎖可変領域アミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、SEQ ID NO: 121のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である重鎖可変領域アミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、SEQ ID NO: 120および123~126からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、SEQ ID NO: 123~126からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、SEQ ID NO: 123のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、SEQ ID NO: 119、121および122からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である重鎖可変領域アミノ酸配列と、SEQ ID NO: 120および123~126からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む。
いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、SEQ ID NO: 121またはSEQ ID NO: 122からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である重鎖可変領域アミノ酸配列と、SEQ ID NO: 123~126からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む。
いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、SEQ ID NO: 122のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である重鎖可変領域アミノ酸配列と、SEQ ID NO: 123のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む。
いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、SEQ ID NO: 121のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である重鎖可変領域アミノ酸配列と、SEQ ID NO: 123のアミノ酸配列を含むアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む。
いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、可変重鎖相補性決定領域1 (VH CDR1、本明細書においてCDRH1ともいわれる)配列、可変重鎖相補性決定領域2 (VH CDR2、本明細書においてCDRH2ともいわれる)配列、可変重鎖相補性決定領域3 (VH CDR3、本明細書においてCDRH3ともいわれる)配列、可変軽鎖相補性決定領域1 (VL CDR1、本明細書においてCDRL1ともいわれる)配列、可変軽鎖相補性決定領域2 (VL CDR2、本明細書においてCDRL2ともいわれる)配列および可変軽鎖相補性決定領域3 (VL CDR3、本明細書においてCDRL3ともいわれる)配列の組み合わせを含み、ここで少なくとも1つのCDR配列が、アミノ酸配列
を含むVH CDR1配列; アミノ酸配列
を含むVH CDR2配列; アミノ酸配列
を含むVH CDR3配列; アミノ酸配列
を含むVL CDR1配列; アミノ酸配列
を含むVL CDR2配列; およびアミノ酸配列
を含むVL CDR3配列
からなる群より選択される。
いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、可変重鎖相補性決定領域1 (VH CDR1、本明細書においてCDRH1ともいわれる)配列、可変重鎖相補性決定領域2 (VH CDR2、本明細書においてCDRH2ともいわれる)配列、可変重鎖相補性決定領域3 (VH CDR3、本明細書においてCDRH3ともいわれる)配列、可変軽鎖相補性決定領域1 (VL CDR1、本明細書においてCDRL1ともいわれる)配列、可変軽鎖相補性決定領域2 (VL CDR2、本明細書においてCDRL2ともいわれる)配列および可変軽鎖相補性決定領域3 (VL CDR3、本明細書においてCDRL3ともいわれる)配列の組み合わせを含み、ここで少なくとも1つのCDR配列が、アミノ酸配列
を含むVH CDR1配列; アミノ酸配列
を含むVH CDR2配列; アミノ酸配列
を含むVH CDR3配列; アミノ酸配列
を含むVL CDR1配列; アミノ酸配列
QMSNLAS (SEQ ID NO: 132)
を含むVL CDR2配列; およびアミノ酸配列
を含むVL CDR3配列
からなる群より選択される。
いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、VH CDR1配列、VH CDR2配列、VH CDR3配列、VL CDR1配列、VL CDR2配列およびVL CDR3配列の組み合わせを含み、ここで少なくとも1つのCDR配列が、アミノ酸配列
を含むVH CDR1配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVH CDR1配列; アミノ酸配列
を含むVH CDR2配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVH CDR2配列; VH CDR3配列
と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVH CDR3配列; アミノ酸配列
を含むVL CDR1配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVL CDR1配列; アミノ酸配列
を含むVL CDR2配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVL CDR2配列; およびアミノ酸配列
を含むVL CDR3配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVL CDR3配列
からなる群より選択される。
いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、VH CDR1配列、VH CDR2配列、VH CDR3配列、VL CDR1配列、VL CDR2配列およびVL CDR3配列の組み合わせを含み、ここで少なくとも1つのCDR配列が、アミノ酸配列
を含むVH CDR1配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVH CDR1配列; アミノ酸配列
を含むVH CDR2配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVH CDR2配列; VH CDR3配列
と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVH CDR3配列; アミノ酸配列
を含むVL CDR1配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVL CDR1配列; アミノ酸配列
QMSNLAS (SEQ ID NO: 132)
を含むVL CDR2配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVL CDR2配列; およびアミノ酸配列
を含むVL CDR3配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVL CDR3配列
からなる群より選択される。
いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、VH CDR1配列、VH CDR2配列、VH CDR3配列、VL CDR1配列、VL CDR2配列およびVL CDR3配列の組み合わせを含み、ここでVH CDR1配列がアミノ酸配列
を含み; VH CDR2配列がアミノ酸配列
を含み; VH CDR3配列がアミノ酸配列
を含み; VL CDR1配列がアミノ酸配列
を含み; VL CDR2配列がアミノ酸配列
を含み; およびVL CDR3配列がアミノ酸配列
を含む。
いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、VH CDR1配列、VH CDR2配列、VH CDR3配列、VL CDR1配列、VL CDR2配列およびVL CDR3配列の組み合わせを含み、ここでVH CDR1配列がアミノ酸配列
を含み; VH CDR2配列がアミノ酸配列
を含み; VH CDR3配列がアミノ酸配列
を含み; VL CDR1配列がアミノ酸配列
を含み; VL CDR2配列がアミノ酸配列
QMSNLAS (SEQ ID NO: 132)
を含み; およびVL CDR3配列がアミノ酸配列
を含む。
いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、VH CDR1配列、VH CDR2配列、VH CDR3配列、VL CDR1配列、VL CDR2配列およびVL CDR3配列の組み合わせを含み、ここでVH CDR1配列がアミノ酸配列
と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含み; VH CDR2配列がアミノ酸配列
と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含み; VH CDR3配列がアミノ酸配列
と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含み; VL CDR1配列がアミノ酸配列
と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含み; VL CDR2配列がアミノ酸配列
と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含み; およびVL CDR3配列がアミノ酸配列
と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含む。
いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、VH CDR1配列、VH CDR2配列、VH CDR3配列、VL CDR1配列、VL CDR2配列およびVL CDR3配列の組み合わせを含み、ここでVH CDR1配列がアミノ酸配列
と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含み; VH CDR2配列がアミノ酸配列
と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含み; VH CDR3配列がアミノ酸配列
と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含み; VL CDR1配列がアミノ酸配列
と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含み; VL CDR2配列がアミノ酸配列
QMSNLAS (SEQ ID NO: 132)
と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含み; およびVL CDR3配列がアミノ酸配列
と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含む。
いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、表12に示される重鎖可変領域アミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むか、またはそれに由来する重鎖または重鎖可変領域を含む。いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、表12に示される軽鎖可変領域アミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むか、またはそれに由来する軽鎖または軽鎖可変領域を含む。いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、表12に示される重鎖可変領域配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むか、またはそれに由来する重鎖または重鎖可変領域および表12に示される軽鎖可変領域アミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むか、またはそれに由来する軽鎖または軽鎖可変領域を含む。
いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、表12に示される重鎖可変領域配列からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である重鎖可変領域アミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、表12に示される軽鎖可変領域配列からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、表12に示される重鎖可変領域配列からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列と、表12に示される軽鎖可変領域配列からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む。
いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、可変重鎖相補性決定領域1 (VH CDR1、本明細書においてCDRH1ともいわれる)配列、可変重鎖相補性決定領域2 (VH CDR2、本明細書においてCDRH2ともいわれる)配列、可変重鎖相補性決定領域3 (VH CDR3、本明細書においてCDRH3ともいわれる)配列、可変軽鎖相補性決定領域1 (VL CDR1、本明細書においてCDRL1ともいわれる)配列、可変軽鎖相補性決定領域2 (VL CDR2、本明細書においてCDRL2ともいわれる)配列および可変軽鎖相補性決定領域3 (VL CDR3、本明細書においてCDRL3ともいわれる)配列の組み合わせを含み、ここで少なくとも1つのCDR配列が、表13に示されるVH CDR1配列; 表13に示されるVH CDR2配列; 表13に示されるVH CDR3配列; 表13に示されるVL CDR1配列; 表13に示されるVL CDR2配列; および表13に示されるVL CDR3配列からなる群より選択される。
いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、VH CDR1配列、VH CDR2配列、VH CDR3配列、VL CDR1配列、VL CDR2配列およびVL CDR3配列の組み合わせを含み、ここで少なくとも1つのCDR配列が、表13に示されるVH CDR1配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVH CDR1配列; 表13に示されるVH CDR2配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVH CD2配列; 表13に示されるVH CDR3配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVH CDR3配列; 表13に示されるVL CDR1配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVL CDR1配列; 表13に示されるVL CDR2配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVL CDR2配列; および表13に示されるVL CDR3配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVL CDR3配列からなる群より選択される。
いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、VH CDR1配列、VH CDR2配列、VH CDR3配列、VL CDR1配列、VL CDR2配列およびVL CDR3配列の組み合わせを含み、ここで該組み合わせは、表13の単一列内に示される6つのCDR配列(VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3)の組み合わせである。
いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、VL CDR1配列、VL CDR2配列およびVL CDR3配列の組み合わせを含む軽鎖可変領域を含み、ここで該組み合わせは、表13の単一列内に示される3つの軽鎖CDR配列(VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3)の組み合わせである。
いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、VH CDR1配列、VH CDR2配列およびVH CDR3配列の組み合わせを含む重鎖可変領域を含み、ここで該組み合わせは、表13の単一列内に示される3つの重鎖CDR配列(VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3)の組み合わせである。
いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、VH CDR1配列、VH CDR2配列、VH CDR3配列、VL CDR1配列、VL CDR2配列およびVL CDR3配列の組み合わせを含み、ここで該組み合わせにおける各CDR配列は、表13の単一列内に示される6つのCDR配列(VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3)の組み合わせにおける対応するCDR配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含む。
いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、VH CDR1配列、VH CDR2配列およびVH CDR3配列の組み合わせを含む重鎖可変領域を含み、ここで該組み合わせにおける各CDR配列は、表13の単一列内に示される3つの重鎖CDR配列(VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3)の組み合わせにおける対応するCDR配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含む。
いくつかの態様において、多重特異性抗体またはその抗原結合断片、例えば二重特異性抗体またはその抗原結合断片の少なくとも1つの腕部は、VL CDR1配列、VL CDR2配列およびVL CDR3配列の組み合わせを含む軽鎖可変領域を含み、ここで該組み合わせにおける各CDR配列は、表13の単一列内に示される3つの軽鎖CDR配列(VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3)の組み合わせにおける対応するCDR配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含む。
本開示の好適な抗CD166抗体はまた、ヒトCD166および/またはカニクイザルCD166上の、SEQ ID NO: 119、121および122からなる群より選択される重鎖可変領域アミノ酸配列とSEQ ID NO: 120および123~126からなる群より選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む抗CD166抗体と同じエピトープに結合する、抗体またはその抗原結合断片を含む。
本開示の好適な抗CD166抗体はまた、ヒトCD166および/またはカニクイザルCD166上の、アミノ酸配列
を含むVH CDR1配列; アミノ酸配列
を含むVH CDR2配列; アミノ酸配列
を含むVH CDR3配列; アミノ酸配列
を含むVL CDR1配列; アミノ酸配列
を含むVL CDR2配列; およびアミノ酸配列
を含むVL CDR3配列
を含む抗CD166抗体と同じエピトープに結合する、抗体またはその抗原結合断片を含む。
本開示の好適な抗CD166抗体はまた、ヒトCD166および/またはカニクイザルCD166上の、アミノ酸配列
を含むVH CDR1配列; アミノ酸配列
を含むVH CDR2配列; アミノ酸配列
を含むVH CDR3配列; アミノ酸配列
を含むVL CDR1配列; アミノ酸配列
QMSNLAS (SEQ ID NO: 132)
を含むVL CDR2配列; およびアミノ酸配列
を含むVL CDR3配列
を含む抗CD166抗体と同じエピトープに結合する、抗体またはその抗原結合断片を含む。
本開示の好適な抗CD166抗体はまた、ヒトCD166および/またはカニクイザルCD166に対する結合について、SEQ ID NO: 119、121および122からなる群より選択される重鎖可変領域アミノ酸配列とSEQ ID NO: 120および123~126からなる群より選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む抗CD166抗体と交差競合する、抗体またはその抗原結合断片を含む。
本開示の好適な抗CD166抗体はまた、ヒトCD166および/またはカニクイザルCD166に対する結合について、SEQ ID NO: 122を含む重鎖可変領域アミノ酸配列とSEQ ID NO: 123を含む軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む抗CD166抗体と交差競合する、抗体またはその抗原結合断片を含む。本開示の好適な抗CD166抗体はまた、ヒトCD166および/またはカニクイザルCD166に対する結合について、SEQ ID NO: 121を含む重鎖可変領域アミノ酸配列とSEQ ID NO: 123を含む軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む抗CD166抗体と交差競合する、抗体またはその抗原結合断片を含む。
本開示の好適な抗CD166抗体はまた、ヒトCD166および/またはカニクイザルCD166に対する結合について、アミノ酸配列
を含むVH CDR1配列; アミノ酸配列
を含むVH CDR2配列; アミノ酸配列
を含むVH CDR3配列; アミノ酸配列
を含むVL CDR1配列; アミノ酸配列
を含むVL CDR2配列; およびアミノ酸配列
を含むVL CDR3配列
を含む抗CD166抗体と交差競合する、抗体またはその抗原結合断片を含む。
本開示の好適な抗CD166抗体はまた、ヒトCD166および/またはカニクイザルCD166に対する結合について、アミノ酸配列
を含むVH CDR1配列; アミノ酸配列
を含むVH CDR2配列; アミノ酸配列
を含むVH CDR3配列; アミノ酸配列
を含むVL CDR1配列; アミノ酸配列
QMSNLAS (SEQ ID NO: 132)
を含むVL CDR2配列; およびアミノ酸配列
を含むVL CDR3配列
を含む抗CD166抗体と交差競合する、抗体またはその抗原結合断片を含む。
本開示はまた、CD166に結合する抗体またはその抗原結合断片の能力をMMのカップリングが低減させるような、マスキング部分(MM)にカップリングされた、CD166に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む活性化可能抗体を提供する。いくつかの態様において、MMはプロテアーゼ、例えば、罹患組織において活性であるプロテアーゼおよび/または対象の処置部位でCD166と共局在するプロテアーゼの基質を含む配列を介してカップリングされる。本明細書において互換的に抗CD166活性化可能抗体またはCD166活性化可能抗体ともいわれる、本明細書において提供される活性化可能抗CD166抗体は、循環血中で安定であり、治療および/または診断の対象部位で活性化されるが、正常な、例えば健常な組織または処置および/もしくは診断の標的とされない他の組織では活性化されず、そして、活性化されると、本明細書において親抗体ともいわれる、対応する未改変抗体に少なくとも匹敵するCD166への結合を示す。
本発明はまた、CD166に結合する活性化可能抗体、特に、CD166に結合するおよびそれを中和する、またはそうでなければCD166の生物学的活性および/もしくはCD166媒介シグナル伝達の少なくとも1つを阻害する活性化可能抗体を用いて対象におけるCD166の異常な発現および/もしくは活性に関連する症状を処置する、予防する、および/またはその症状の発症もしくは進行を遅らせる、あるいはその症状を緩和する方法を提供する。
本発明はまた、CD166に結合する活性化可能抗体、特に、CD166を発現しているもしくはそれを異常に発現している細胞に結合する、それを標的とする、中和する、死滅化する、またはそうでなければCD166を発現しているもしくはそれを異常に発現している細胞の少なくとも1つの生物学的活性を阻害する活性化可能抗体を用いて、対象における、CD166を発現しているまたはCD166を異常に発現している細胞の存在、成長、増殖、転移および/または活性に関連する症状を処置する、予防する、および/またはその症状の発症もしくは進行を遅らせる、あるいはその症状を緩和する方法を提供する。
本発明はまた、CD166に結合する活性化可能抗体、特に、CD166を発現している細胞に結合する、それを標的とする、中和する、死滅化する、またはそうでなければCD166を発現している細胞の少なくとも1つの生物学的活性を阻害する活性化可能抗体を用いて、対象における、CD166を発現している細胞の存在、成長、増殖、転移および/もしくは活性に関連する症状を処置する、予防する、および/またはその症状の発症もしくは進行を遅らせる、あるいはその症状を緩和する方法を提供する。
本発明はまた、CD166に結合する活性化可能抗体、特に、CD166を異常に発現している細胞に結合する、それを標的とする、中和する、死滅化する、またはそうでなければCD166を異常に発現している細胞の少なくとも1つの生物学的活性を阻害する活性化可能抗体を用いて、対象における、CD166を異常に発現している細胞の存在、成長、増殖、転移および/もしくは活性に関連する症状を処置する、予防する、および/またはその症状の発症もしくは進行を遅らせる、あるいはその症状を緩和する方法を提供する。
活性化可能抗体は活性化状態ではCD166に結合し、(i) CD166に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片(AB)と、(ii)活性化可能抗体が非切断状態にある場合にABとCD166との結合を阻害するマスキング部分(MM)と、(c)ABにカップリングされた切断可能部分(CM)とを含み、該CMは、プロテアーゼの基質として機能するポリペプチドである。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、非切断状態では、N末端からC末端に向かって、MM-CM-ABまたはAB-CM-MMのような構造的配置を有する。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、MMとCMとの間に連結ペプチドを含む。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、CMとABとの間に連結ペプチドを含む。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は第1の連結ペプチド(LP1)および第2の連結ペプチド(LP2)を含み、非切断状態では、N末端からC末端に向かって、MM-LP1-CM-LP2-ABまたはAB-LP2-CM-LP1-MMのような構造的配置を有する。いくつかの態様において、2つの連結ペプチドは互いに同一である必要はない。
いくつかの態様において、LP1またはLP2の少なくとも1つは、(GS)n、(GGS)n、(GSGGS)n(SEQ ID NO:1)、および(GGGS)n(SEQ ID NO:2)からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、nは、少なくとも1の整数である。
いくつかの態様において、LP1またはLP2の少なくとも1つは、
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、LP1は、アミノ酸配列
を含む。
いくつかの態様において、LP2は、アミノ酸配列GSS、GGS、GGGS(SEQ ID NO:15)、GSSGT(SEQ ID NO:16)、またはGSSG(SEQ ID NO:17)を含む。
いくつかの態様において、ABは、CD166に対する結合について、約100nM以下の解離定数を有する。
いくつかの態様において、ABは、哺乳動物CD166に対する結合について約100 nMまたはそれ未満の解離定数を有する。いくつかの態様において、ABは、哺乳動物CD166に対する結合について約10 nMまたはそれ未満の解離定数を有する。いくつかの態様において、ABは、CD166に対する結合について約5 nMまたはそれ未満の解離定数を有する。いくつかの態様において、ABは、CD166に対する結合について約1 nMまたはそれ未満の解離定数を有する。いくつかの態様において、ABは、CD166に対する結合について約0.5 nMまたはそれ未満の解離定数を有する。いくつかの態様において、ABは、CD166に対する結合について約0.1 nMまたはそれ未満の解離定数を有する。いくつかの態様において、ABは、哺乳動物CD166に対する結合について、0.01 nM~100 nM、0.01 nM~10 nM、0.01 nM~5 nM、0.01 nM~1 nM、0.01~0.5 nM、0.01 nM~0.1 nM、0.01 nM~0.05 nM、0.05 nM~100 nM、0.05 nM~10 nM、0.05 nM~5 nM、0.05 nM~1 nM、0.05~0.5 nM、0.05 nM~0.1 nM、0.1 nM~100 nM、0.1 nM~10 nM、0.1 nM~5 nM、0.1 nM~1 nM、0.1~0.5 nM、0.5 nM~100 nM、0.5 nM~10 nM、0.5 nM~5 nM、0.5 nM~1 nM、1 nM~100 nM、1 nM~10 nM、1 nM~5 nM、5 nM~100 nM、5 nM~10 nMまたは10 nM~100 nMの解離定数を有する。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、CD166に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片(AB)を含む。いくつかの態様において、CD166に結合する抗体またはその抗原結合断片は、モノクローナル抗体、ドメイン抗体、単鎖、Fab断片、F(ab')2断片、scFv、scAb、dAb、シングルドメイン重鎖抗体、またはシングルドメイン軽鎖抗体である。いくつかの態様において、このような、CD166に結合する抗体またはその抗原結合断片は、マウス抗体、他のげっ歯類抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、または完全ヒトモノクローナル抗体である。
いくつかの態様において、非切断状態の活性化可能抗体は、1 nM以下、5 nM以下、10 nM以下、15 nM以下、20 nM以下、25 nM以下、50 nM以下、100 nM以下、150 nM以下、250 nM以下、500 nM以下、750 nM以下、1000 nM以下および122/または2000 nM以下の解離定数で哺乳動物CD166に特異的に結合する。
いくつかの態様において、非切断状態の活性化可能抗体は、1 nM以上、5 nM以上、10 nM以上、15 nM以上、20 nM以上、25 nM以上、50 nM以上、100 nM以上、150 nM以上、250 nM以上、500 nM以上、750 nM以上、1000 nM以上および122/または2000 nM以上の解離定数で哺乳動物CD166に特異的に結合する。
いくつかの態様において、非切断状態の活性化可能抗体は、1 nM~2000 nM、1 nM~1000 nM、1 nM~750 nM、1 nM~500 nM、1 nM~250 nM、1 nM~150 nM、1 nM~100 nM、1 nM~50 nM、1 nM~25 nM、1 nM~15 nM、1 nM~10 nM、1 nM~5 nM、5 nM~2000 nM、5 nM~1000 nM、5 nM~750 nM、5 nM~500 nM、5 nM~250 nM、5 nM~150 nM、5 nM~100 nM、5 nM~50 nM、5 nM~25 nM、5 nM~15 nM、5 nM~10 nM、10 nM~2000 nM、10 nM~1000 nM、10 nM~750 nM、10 nM~500 nM、10 nM~250 nM、10 nM~150 nM、10 nM~100 nM、10 nM~50 nM、10 nM~25 nM、10 nM~15 nM、15 nM~2000 nM、15 nM~1000 nM、15 nM~750 nM、15 nM~500 nM、15 nM~250 nM、15 nM~150 nM、15 nM~100 nM、15 nM~50 nM、15 nM~25 nM、25 nM~2000 nM、25 nM~1000 nM、25 nM~750 nM、25 nM~500 nM、25 nM~250 nM、25 nM~150 nM、25 nM~100 nM、25 nM~50 nM、50 nM~2000 nM、50 nM~1000 nM、50 nM~750 nM、50 nM~500 nM、50 nM~250 nM、50 nM~150 nM、50 nM~100 nM、100 nM~2000 nM、100 nM~1000 nM、100 nM~750 nM、100 nM~500 nM、100 nM~250 nM、100 nM~150 nM、150 nM~2000 nM、150 nM~1000 nM、150 nM~750 nM、150 nM~500 nM、150 nM~250 nM、250 nM~2000 nM、250 nM~1000 nM、250 nM~750 nM、250 nM~500 nM、500 nM~2000 nM、500 nM~1000 nM、500 nM~750 nM、500 nM~500 nM、500 nM~250 nM、500 nM~150 nM、500 nM~100 nM、500 nM~50 nM、750 nM~2000 nM、750 nM~1000 nMまたは1000 nM~2000 nMの範囲内の解離定数で哺乳動物CD166に特異的に結合する。
いくつかの態様において、活性化状態の活性化可能抗体は、0.01 nM、0.05 nM、0.1 nM、0.5 nM、1 nM、5 nMまたは10 nM以下である解離定数で哺乳動物CD166に特異的に結合する。
いくつかの態様において、活性化状態の活性化可能抗体は、0.01 nM、0.05 nM、0.1 nM、0.5 nM、1 nM、5 nMまたは10 nM以上である解離定数で哺乳動物CD166に特異的に結合する。
いくつかの態様において、活性化状態の活性化可能抗体は、0.01 nM~100 nM、0.01 nM~10 nM、0.01 nM~5 nM、0.01 nM~1 nM、0.01~0.5 nM、0.01 nm~0.1 nM、0.01 nm~0.05 nM、0.05 nM~100 nM、0.05 nM~10 nM、0.05 nM~5 nM、0.05 nM~1 nM、0.05~0.5 nM、0.05 nM~0.1 nM、0.1 nM~100 nM、0.1 nM~10 nM、0.1 nM~5 nM、0.1 nM~1 nM、0.1~0.5 nM、0.5 nM~100 nM、0.5 nM~10 nM、0.5 nM~5 nM、0.5 nM~1 nM、1 nM~100 nM、1 nM~10 nM、1 nM~5 nM、5 nM~100 nM、5 nM~10 nMまたは10 nM~100 nMの範囲内の解離定数で哺乳動物CD166に特異的に結合する。
いくつかの態様において、哺乳動物CD166は、ヒトCD166およびカニクイザルCD166からなる群より選択される。いくつかの態様において、ABは、1 nM未満の解離定数でヒトCD166またはカニクイザルCD166に特異的に結合する。いくつかの態様において、哺乳動物CD166は、ヒトCD166である。いくつかの態様において、哺乳動物CD166は、カニクイザルCD166である。
いくつかの態様において、ABは、以下の特徴の1つまたは複数を有する: (a) ABはヒトCD166に特異的に結合する; および(b) ABはヒトCD166およびカニクイザルCD166に特異的に結合する。
いくつかの態様において、ABは、以下の特徴の1つまたは複数を有する: (a) ABはヒトCD166およびカニクイザルCD166に特異的に結合する; (b) ABは哺乳動物CD166に対する哺乳動物CD6の結合を阻害する; (c) ABはヒトCD166に対するヒトCD6の結合を阻害する; ならびに(d) ABはカニクイザルCD166に対するカニクイザルCD6の結合を阻害する。
いくつかの態様において、ABは、5 nM以下、10 nM以下、50 nM以下、100 nM以下、500 nM以下および/または1000 nM以下のEC50で哺乳動物CD166に結合する天然リガンドまたは受容体の能力をブロックする。いくつかの態様において、ABは、5 nM以下、10 nM以下、50 nM以下、100 nM以下、500 nM以下および/または1000 nM以下のEC50で哺乳動物CD166に結合する哺乳動物CD6の能力をブロックする。いくつかの態様において、CD166の天然リガンドまたは受容体はCD6である。
いくつかの態様において、ABは、5 nM~1000 nM、5 nM~500 nM、5 nM~100 nM 5 nM~50 nM、5 nM~10 nM、10 nM~1000 nM、10 nM~500 nM、10 nM~100 nM 10 nM~50 nM、50 nM~1000 nM、50 nM~500 nM、50 nM~100 nM、100 nM~1000 nM、100 nM~500 nM、500 nM~1000 nMのEC50で哺乳動物CD166に結合する天然リガンドの能力をブロックする。いくつかの態様において、ABは、5 nM~1000 nM、5 nM~500 nM、5 nM~100 nM 5 nM~50 nM、5 nM~10 nM、10 nM~1000 nM、10 nM~500 nM、10 nM~100 nM 10 nM~50 nM、50 nM~1000 nM、50 nM~500 nM、50 nM~100 nM、100 nM~1000 nM、100 nM~500 nM、500 nM~1000 nMのEC50で哺乳動物CD166に結合する哺乳動物CD6の能力をブロックする。いくつかの態様において、CD166の天然リガンドまたは受容体はCD6である。
いくつかの態様において、本開示のABは、哺乳動物CD166を発現する細胞の成長、増殖および/または転移を阻害または低減する。いかなる理論にも束縛されるつもりはないが、CD166に特異的に結合して、哺乳動物CD166に対する天然リガンドまたは受容体の結合を阻害する、ブロックするおよび/または阻止することによって、本開示のABは、哺乳動物CD166を発現する細胞の成長、増殖および/または転移を阻害または低減しうる。いくつかの態様において、哺乳動物CD166の天然リガンドまたは受容体は哺乳動物CD6である。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、SEQ ID NO: 119、121および122からなる群より選択される重鎖可変領域アミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、活性化可能抗体は、SEQ ID NO: 121またはSEQ ID NO: 122を含む重鎖可変領域アミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、SEQ ID NO: 120および123~126からなる群より選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、活性化可能抗体は、SEQ ID NO: 123~126からなる群より選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、SEQ ID NO: 119、121および122からなる群より選択される重鎖可変領域アミノ酸配列と、SEQ ID NO: 120および123~126からなる群より選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、SEQ ID NO: 121またはSEQ ID NO: 122を含む重鎖可変領域アミノ酸配列と、SEQ ID NO: 123~126からなる群より選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、SEQ ID NO: 119、121および122からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である重鎖可変領域アミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、活性化可能抗体は、SEQ ID NO: 121またはSEQ ID NO: 122を含むアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である重鎖可変領域アミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、SEQ ID NO: 120および123~126からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、活性化可能抗体は、SEQ ID NO: 123~126からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、SEQ ID NO: 119、121および122からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である重鎖可変領域アミノ酸配列と、SEQ ID NO: 120および123~126からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、SEQ ID NO: 121またはSEQ ID NO: 122を含むアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である重鎖可変領域アミノ酸配列と、SEQ ID NO: 123~126からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、可変重鎖相補性決定領域1 (VH CDR1、本明細書においてCDRH1ともいわれる)配列、可変重鎖相補性決定領域2 (VH CDR2、本明細書においてCDRH2ともいわれる)配列、可変重鎖相補性決定領域3 (VH CDR3、本明細書においてCDRH3ともいわれる)配列、可変軽鎖相補性決定領域1 (VL CDR1、本明細書においてCDRL1ともいわれる)配列、可変軽鎖相補性決定領域2 (VL CDR2、本明細書においてCDRL2ともいわれる)配列および可変軽鎖相補性決定領域3 (VL CDR3、本明細書においてCDRL3ともいわれる)配列の組み合わせを含み、ここで少なくとも1つのCDR配列が、アミノ酸配列
を含むVH CDR1配列; アミノ酸配列
を含むVH CDR2配列; アミノ酸配列
を含むVH CDR3配列; アミノ酸配列
を含むVL CDR1配列; アミノ酸配列
を含むVL CDR2配列; およびアミノ酸配列
を含むVL CDR3配列
からなる群より選択される。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、VH CDR1配列、VH CDR2配列、VH CDR3配列、VL CDR1配列、VL CDR2配列およびVL CDR3配列の組み合わせを含み、ここで少なくとも1つのCDR配列が、アミノ酸配列
を含むVH CDR1配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVH CDR1配列; アミノ酸配列
を含むVH CDR2配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVH CDR2配列; VH CDR3配列
と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVH CDR3配列; アミノ酸配列
を含むVL CDR1配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVL CDR1配列; アミノ酸配列
を含むVL CDR2配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVL CDR2配列; およびアミノ酸配列
を含むVL CDR3配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVL CDR3配列
からなる群より選択される。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、VH CDR1配列、VH CDR2配列、VH CDR3配列、VL CDR1配列、VL CDR2配列およびVL CDR3配列の組み合わせを含み、ここでVH CDR1配列がアミノ酸配列
を含み; VH CDR2配列がアミノ酸配列
を含み; VH CDR3配列がアミノ酸配列
を含み; VL CDR1配列がアミノ酸配列
を含み; VL CDR2配列がアミノ酸配列
を含み; およびVL CDR3配列がアミノ酸配列
を含む。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、VH CDR1配列、VH CDR2配列、VH CDR3配列、VL CDR1配列、VL CDR2配列およびVL CDR3配列の組み合わせを含み、ここでVH CDR1配列がアミノ酸配列
と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含み; VH CDR2配列がアミノ酸配列
と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含み; VH CDR3配列がアミノ酸配列
と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含み; VL CDR1配列がアミノ酸配列
と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含み; VL CDR2配列がアミノ酸配列
と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含み; およびVL CDR3配列がアミノ酸配列
と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含む。
いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体のABは、表12に示される重鎖可変領域配列からなる群より選択される重鎖可変領域アミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体のABは、表12に示される軽鎖可変領域配列からなる群より選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体のABは、表12に示される重鎖可変領域配列からなる群より選択される重鎖可変領域アミノ酸配列と、表12に示される軽鎖可変領域配列からなる群より選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む。
いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体のABは、表12に示される重鎖可変領域配列からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である重鎖可変領域アミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体のABは、表12に示される軽鎖可変領域配列からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体のABは、表12に示される重鎖可変領域配列からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である重鎖可変領域アミノ酸配列と、表12に示される軽鎖可変領域配列からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、可変重鎖相補性決定領域1 (VH CDR1、本明細書においてCDRH1ともいわれる)配列、可変重鎖相補性決定領域2 (VH CDR2、本明細書においてCDRH2ともいわれる)配列、可変重鎖相補性決定領域3 (VH CDR3、本明細書においてCDRH3ともいわれる)配列、可変軽鎖相補性決定領域1 (VL CDR1、本明細書においてCDRL1ともいわれる)配列、可変軽鎖相補性決定領域2 (VL CDR2、本明細書においてCDRL2ともいわれる)配列および可変軽鎖相補性決定領域3 (VL CDR3、本明細書においてCDRL3ともいわれる)配列の組み合わせを含み、ここで少なくとも1つのCDR配列が、表13に示されるVH CDR1配列; 表13に示されるVH CDR2配列; 表13に示されるVH CDR3配列; 表13に示されるVL CDR1配列; 表13に示されるVL CDR2配列; および表13に示されるVL CDR3配列からなる群より選択される。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、VH CDR1配列、VH CDR2配列、VH CDR3配列、VL CDR1配列、VL CDR2配列およびVL CDR3配列の組み合わせを含み、ここで少なくとも1つのCDR配列が、表13に示されるVH CDR1配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVH CDR1配列; 表13に示されるVH CDR2配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVH CDR2配列; 表13に示されるVH CDR3配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVH CDR3配列; 表13に示されるVL CDR1配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVL CDR1配列; 表13に示されるVL CDR2配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVL CDR2配列; および表13に示されるVL CDR3配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVL CDR3配列からなる群より選択される。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、VH CDR1配列、VH CDR2配列、VH CDR3配列、VL CDR1配列、VL CDR2配列およびVL CDR3配列の組み合わせを含み、ここで該組み合わせは、表13の単一列内に示される6つのCDR配列(VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3)の組み合わせである。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、VH CDR1配列、VH CDR2配列およびVH CDR3配列の組み合わせを含む重鎖可変領域を含み、ここで該組み合わせは、表13の単一列内に示される3つの重鎖CDR配列(VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3)の組み合わせである。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、VL CDR1配列、VL CDR2配列およびVL CDR3配列の組み合わせを含む軽鎖可変領域を含み、ここで該組み合わせは、表13の単一列内に示される3つの軽鎖CDR配列(VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3)の組み合わせである。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、VH CDR1配列、VH CDR2配列、VH CDR3配列、VL CDR1配列、VL CDR2配列およびVL CDR3配列の組み合わせを含み、ここで該組み合わせにおける各CDR配列は、表13の単一列内に示される6つのCDR配列(VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3)の組み合わせにおける対応するCDR配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含む。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、VH CDR1配列、VH CDR2配列およびVH CDR3配列の組み合わせを含む重鎖可変領域を含み、ここで該組み合わせにおける各CDR配列は、表13の単一列内に示される3つの重鎖CDR配列(VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3)の組み合わせにおける対応するCDR配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含む。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、VL CDR1配列、VL CDR2配列およびVL CDR3配列の組み合わせを含む軽鎖可変領域を含み、ここで該組み合わせにおける各CDR配列は、表13の単一列内に示される3つの軽鎖CDR配列(VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3)の組み合わせにおける対応するCDR配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含む。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、表Aの所与の列内の配列の組み合わせか、または表Bのマスク配列(MM)と、基質配列(CM)と、軽鎖可変ドメイン配列もしくは軽鎖可変ドメインCDR配列と、重鎖可変ドメイン配列もしくは重鎖可変ドメインCDR配列の任意の組み合わせを含む、1つまたは複数のポリペプチドを含む/含みうる。
いくつかの態様において、抗体薬物コンジュゲート(ADC)および活性化可能抗体薬物コンジュゲート(AADC)は、表Cの所与の列内の軽鎖配列もしくは軽鎖可変ドメイン配列と、重鎖配列もしくは重鎖可変ドメイン配列と、リンカーと、毒素の組み合わせか、または表Cの軽鎖配列もしくは軽鎖可変ドメイン配列と、重鎖配列もしくは重鎖可変ドメイン配列と、リンカーと、毒素の任意の組み合わせを含む、1つまたは複数のポリペプチドを含むことができる。
いくつかの態様において、MMは、ABに対する結合について、CD166に対するABの解離定数よりも大きい解離定数を有する。
いくつかの態様において、MMは、ABに対する結合について、CD166に対するABの解離定数以下の解離定数を有する。
いくつかの態様において、MMは、ABに対する結合について、CD166に対するABの解離定数よりも小さい解離定数を有する。
いくつかの態様において、ABに対するMMの解離定数(Kd)は、標的に対するABの解離定数よりも2、3、4、5、10、25、50、100、250、500、1,000、2,500、5,000、10,000、50,000、100,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000倍以下もしくはそれ以上であるか、または1~5、5~10、10~100、10~1,000、10~10,000、10~100,000、10~1,000,000、10~10,000,000、100~1,000、100~10,000、100~100,000、100~1,000,000、100~10,000,000、1,000~10,000、1,000~100,000、1,000~1,000,000、1000~10,000,000、10,000~100,000、10,000~1,000,000、10,000~10,000,000、100,000~1,000,000もしくは100,000~10,000,000倍もしくはそれ以上である。
いくつかの態様において、活性化可能抗体が切断状態にある場合、MMはCD166に対する結合についてABに干渉も競合もしない。
いくつかの態様において、MMは、長さが約2~40アミノ酸のポリペプチドである。いくつかの態様において、MMは、長さが約40アミノ酸までのポリペプチドである。
いくつかの態様において、MMのポリペプチド配列はCD166のポリペプチド配列とは異なる。いくつかの態様において、MMのポリペプチド配列の、ABのあらゆる天然結合パートナーに対する同一性は、50%以下である。いくつかの態様において、MMのポリペプチド配列はCD166のポリペプチド配列と異なり、ABのあらゆる天然結合パートナーに対する同一性が、40%以下、30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、または10%以下である。
いくつかの態様では、CD166に対する、MMにカップリングしている時のABの解離定数(Kd)が、CD166に対する、MMにカップリングしていない時のABのKdの少なくとも2倍になるように、MMがABにカップリングすることによって、ABのCD166に結合する能力が低下する。
いくつかの態様では、CD166に対する、MMにカップリングしている時のABの解離定数(Kd)が、CD166に対する、MMにカップリングしていない時のABのKdの少なくとも5倍になるように、MMがABにカップリングすることによって、ABのCD166に結合する能力が低下する。
いくつかの態様では、CD166に対する、MMにカップリングしている時のABの解離定数(Kd)が、CD166に対する、MMにカップリングしていない時のABのKdの少なくとも10倍になるように、MMがABにカップリングすることによって、ABのCD166に結合する能力が低下する。
いくつかの態様では、CD166に対する、MMにカップリングしている時のABの解離定数(Kd)が、CD166に対する、MMにカップリングしていない時のABのKdの少なくとも20倍になるように、MMがABにカップリングすることによって、ABのCD166に結合する能力が低下する。
いくつかの態様では、CD166に対する、MMにカップリングしている時のABの解離定数(Kd)が、CD166に対する、MMにカップリングしていない時のABのKdの少なくとも40倍になるように、MMがABにカップリングすることによって、ABのCD166に結合する能力が低下する。
いくつかの態様では、CD166に対する、MMにカップリングしている時のABの解離定数(Kd)が、CD166に対する、MMにカップリングしていない時のABのKdの少なくとも100倍になるように、MMがABにカップリングすることによって、ABのCD166に結合する能力が低下する。
いくつかの態様では、CD166に対する、MMにカップリングしている時のABの解離定数(Kd)が、CD166に対する、MMにカップリングしていない時のABのKdの少なくとも1000倍になるように、MMがABにカップリングすることによって、ABのCD166に結合する能力が低下する。
いくつかの態様では、CD166に対する、MMにカップリングしている時のABの解離定数(Kd)が、CD166に対する、MMにカップリングしていない時のABのKdの少なくとも10,000倍になるように、MMがABにカップリングすることによって、ABのCD166に結合する能力が低下する。
いくつかの態様において、標的置換(target displacement)アッセイ、例えば、PCT公開番号WO2010/081173に記載のアッセイを用いてインビトロでアッセイした時、CMが切断されている場合と比較して、CMが切断されていない場合、CD166の存在下で、MMによって、ABのCD166に結合する能力は少なくとも90%低下する。WO2010/081173の内容は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
いくつかの態様において、MMは、SEQ ID NO:135~238からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、CMを切断するプロテアーゼは、罹患組織において活性があり、例えばアップレギュレートされているかまたはさもなくばレギュレートされておらず、活性化可能抗体がプロテアーゼに曝露された時に、活性化可能抗体にあるCMを切断する。
いくつかの態様において、プロテアーゼは、組織においてCD166と共存しており、活性化可能抗体がプロテアーゼに曝露された時に、活性化可能抗体にあるCMを切断する。
いくつかの態様において、活性化可能抗体が非切断状態にある場合は、活性化可能抗体とCD166との結合が、改変されていないABとCD166との結合の解離定数の少なくとも2倍の解離定数で起こるように低下するが、切断状態にある場合(すなわち、活性化可能抗体が切断状態にある場合)は、ABがCD166に結合するように、CMは活性化可能抗体に配置される。
いくつかの態様において、活性化可能抗体が非切断状態にある場合は、活性化可能抗体とCD166との結合が、改変されていないABとCD166との結合の解離定数の少なくとも5倍の解離定数で起こるように低下するが、切断状態にある場合(すなわち、活性化可能抗体が切断状態にある場合)は、ABがCD166に結合するように、CMは活性化可能抗体に配置される。
いくつかの態様において、活性化可能抗体が非切断状態にある場合は、活性化可能抗体とCD166との結合が、改変されていないABとCD166との結合の解離定数の少なくとも10倍の解離定数で起こるように低下するが、切断状態にある場合(すなわち、活性化可能抗体が切断状態にある場合)は、ABがCD166に結合するように、CMは活性化可能抗体に配置される。
いくつかの態様において、活性化可能抗体が非切断状態にある場合は、活性化可能抗体とCD166との結合が、改変されていないABとCD166との結合の解離定数の少なくとも20倍の解離定数で起こるように低下するが、切断状態にある場合(すなわち、活性化可能抗体が切断状態にある場合)は、ABがCD166に結合するように、CMは活性化可能抗体に配置される。
いくつかの態様において、活性化可能抗体が非切断状態にある場合は、活性化可能抗体とCD166との結合が、改変されていないABとCD166との結合の解離定数の少なくとも40倍の解離定数で起こるように低下するが、切断状態にある場合は、ABがCD166に結合するように、CMは活性化可能抗体に配置される。
いくつかの態様において、活性化可能抗体が非切断状態にある場合は、活性化可能抗体とCD166との結合が、改変されていないABとCD166との結合の解離定数の少なくとも50倍の解離定数で起こるように低下するが、切断状態にある場合は、ABがCD166に結合するように、CMは活性化可能抗体に配置される。
いくつかの態様において、活性化可能抗体が非切断状態にある場合は、活性化可能抗体とCD166との結合が、改変されていないABとCD166との結合の解離定数の少なくとも100倍の解離定数で起こるように低下するが、切断状態にある場合は、ABがCD166に結合するように、CMは活性化可能抗体に配置される。
いくつかの態様において、活性化可能抗体が非切断状態にある場合は、活性化可能抗体とCD166との結合が、改変されていないABとCD166との結合の解離定数の少なくとも200倍の解離定数で起こるように低下するが、切断状態にある場合は、ABがCD166に結合するように、CMは活性化可能抗体に配置される。
いくつかの態様において、CMは、長さが15アミノ酸までのポリペプチドである。
いくつかの態様において、CMは、少なくとも1つのマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の基質である第1の切断可能部分(CM1)と、少なくとも1種類のセリンプロテアーゼ(SP)の基質である第2の切断可能部分(CM2)を含むポリペプチドである。いくつかの態様において、CM1-CM2基質のCM1基質配列およびCM2基質配列はそれぞれ、独立して、長さが15アミノ酸までのポリペプチドである。
いくつかの態様において、CMは、がんにおいてアップレギュレートされているもしくはさもなくばレギュレートされていない、またはがんにおいてアップレギュレートされているもしくはさもなくばレギュレートされていないと考えられている、少なくとも1種類のプロテアーゼの基質である。いくつかの態様において、CMは、炎症においてアップレギュレートされている、または炎症においてアップレギュレートされていると考えられている、少なくとも1種類のプロテアーゼの基質である。いくつかの態様において、CMは、自己免疫においてアップレギュレートされているもしくはさもなくばレギュレートされていない、または自己免疫においてアップレギュレートされているもしくはさもなくばレギュレートされていないと考えられている、少なくとも1種類のプロテアーゼの基質である。
いくつかの態様において、CMは、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)、トロンビン、好中球エラスターゼ、システインプロテアーゼ、レグマイン(legumain)、およびセリンプロテアーゼ、例えば、マトリプターゼ(MT-SP1)、ならびにウロキナーゼ(uPA)からなる群より選択される少なくとも1種類のプロテアーゼの基質である。理論に拘束されるものではないが、これらのプロテアーゼは、がん、炎症、および/または自己免疫の少なくとも1つにおいてアップレギュレートされているまたはさもなくばレギュレートされていないと考えられている。
例示的な基質には、表4に列挙した以下の酵素またはプロテアーゼの1つまたは複数によって切断可能な基質が含まれるが、これに限定されない。
いくつかの態様において、CMは、特定のプロテアーゼ、例えば、活性化可能抗体の標的と共存することが知られているプロテアーゼと共に使用するために選択される。
いくつかの態様において、CMは、少なくとも1種類のMMPの基質である。MMPの例には、表4に列挙したMMPが含まれる。いくつかの態様において、CMは、MMP9、MMP14、MMP1、MMP3、MMP13、MMP17、MMP11、およびMMP19からなる群より選択されるプロテアーゼの基質である。いくつかの態様において、CMはMMP9の基質である。いくつかの態様において、CMはMMP14の基質である。
いくつかの態様において、CMは、配列
を含む基質である。
いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
PLGL(SEQ ID NO:37)
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
RGPA(SEQ ID NO:29)
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列および/または
を含む。
いくつかの態様において、CMはMMPの基質であり、配列
を含む。
いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。
いくつかの態様において、CMはトロンビンの基質である。いくつかの態様において、CMはトロンビンの基質であり、配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。
いくつかの態様において、CMは、
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。いくつかの態様において、CMは、アミノ酸配列
を含む。
いくつかの態様において、CMは好中球エラスターゼの基質である。いくつかの態様において、CMはセリンプロテアーゼの基質である。いくつかの態様において、CMはuPAの基質である。いくつかの態様において、CMはレグマインの基質である。いくつかの態様において、CMはマトリプターゼの基質である。いくつかの態様において、CMはシステインプロテアーゼの基質である。いくつかの態様において、CMは、カテプシンなどのシステインプロテアーゼの基質である。
いくつかの態様において、CMはCM1~CM2基質であり、以下の配列を含む:
、これは本明細書において基質2001ともいわれる;
、これは本明細書において基質3001ともいわれる;
、これは本明細書において基質2003ともいわれる;
、これは本明細書において基質2004ともいわれる;
、これは本明細書において基質2005ともいわれる;
、これは本明細書において基質2006ともいわれる;
、これは本明細書において基質2007ともいわれる;
、これは本明細書において基質2008ともいわれる;
、これは本明細書において基質2009ともいわれる;
、これは本明細書において基質2010ともいわれる;
、これは本明細書において基質2011ともいわれる;
、これは本明細書において基質2012ともいわれる;
、これは本明細書において基質2013ともいわれる;
、これは本明細書において基質3006ともいわれる;
、これは本明細書において基質3007ともいわれる;
、これは本明細書において基質3008ともいわれる;
、これは本明細書において基質3009ともいわれる;
、これは本明細書において基質3010ともいわれる;
、これは本明細書において基質3011ともいわれる;
、これは本明細書において基質3012ともいわれる;
、これは本明細書において基質3013ともいわれる;
、これは本明細書において基質2014ともいわれる; および/または
、これは本明細書において基質3014ともいわれる。
いくつかの態様において、CM1-CM2基質は配列
を含む。いくつかの態様において、CM1-CM2基質は配列
を含む。いくつかの態様において、CM1-CM2基質は配列
を含む。いくつかの態様において、CM1-CM2基質は配列
を含む。いくつかの態様において、CM1-CM2基質は配列
を含む。いくつかの態様において、CM1-CM2基質は配列
を含む。いくつかの態様において、CM1-CM2基質は配列
を含む。いくつかの態様において、CM1-CM2基質は配列
を含む。いくつかの態様において、CM1-CM2基質は配列
を含む。いくつかの態様において、CM1-CM2基質は配列
を含む。いくつかの態様において、CM1-CM2基質は配列
を含む。いくつかの態様において、CM1-CM2基質は配列
を含む。いくつかの態様において、CM1-CM2基質は配列
を含む。いくつかの態様において、CM1-CM2基質は配列
を含む。いくつかの態様において、CM1-CM2基質は配列
を含む。いくつかの態様において、CM1-CM2基質は配列
を含む。いくつかの態様において、CM1-CM2基質は配列
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いくつかの態様において、CMは、少なくとも2種類のプロテアーゼの基質である。いくつかの態様において、それぞれのプロテアーゼは、表4に示したプロテアーゼからなる群より選択される。いくつかの態様において、CMは、少なくとも2種類のプロテアーゼの基質であり、プロテアーゼの一方は、MMP、トロンビン、好中球エラスターゼ、システインプロテアーゼ、uPA、レグマイン、およびマトリプターゼからなる群より選択され、他方のプロテアーゼは、表4に示したプロテアーゼからなる群より選択される。いくつかの態様において、CMは、MMP、トロンビン、好中球エラスターゼ、システインプロテアーゼ、uPA、レグマイン、およびマトリプターゼからなる群より選択される少なくとも2種類のプロテアーゼの基質である。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は少なくとも第1のCMおよび第2のCMを含む。いくつかの態様において、第1のCMおよび第2のCMはそれぞれ、15アミノ酸以下の長さのポリペプチドである。いくつかの態様において、非切断状態の活性化可能抗体にある第1のCMおよび第2のCMは、N末端からC末端に向かって、MM-CM1-CM2-ABまたはAB-CM2-CM1-MMのような構造的配置を有する。いくつかの態様において、第1のCMおよび第2のCMの少なくとも1つは、MMP、トロンビン、好中球エラスターゼ、システインプロテアーゼ、uPA、レグマイン、およびマトリプターゼからなる群より選択されるプロテアーゼの基質として機能するポリペプチドである。いくつかの態様において、第1のCMは、標的組織にある、MMP、トロンビン、好中球エラスターゼ、システインプロテアーゼ、uPA、レグマイン、およびマトリプターゼからなる群より選択される第1の切断剤によって切断され、第2のCMは、標的組織にある第2の切断剤によって切断される。いくつかの態様において、他のプロテアーゼは、表4に示したプロテアーゼからなる群より選択される。いくつかの態様において、第1の切断剤および第2の切断剤は、MMP、トロンビン、好中球エラスターゼ、システインプロテアーゼ、uPA、レグマイン、およびマトリプターゼからなる群より選択される同じプロテアーゼであり、第1のCMおよび第2のCMは、この酵素の異なる基質である。いくつかの態様において、第1の切断剤および第2の切断剤は、表4に示したプロテアーゼからなる群より選択される同じプロテアーゼである。いくつかの態様において、第1の切断剤および第2の切断剤は異なるプロテアーゼである。いくつかの態様において、第1の切断剤および第2の切断剤は標的組織において共存している。いくつかの態様において、第1のCMおよび第2のCMは、標的組織にある少なくとも1種類の切断剤によって切断される。
いくつかの態様において、プロテアーゼがCMを切断した後に、活性化された抗体が、活性化状態または切断状態では、LP2および/またはCM配列の少なくとも一部を含む軽鎖アミノ酸配列を含むように、活性化可能抗体はプロテアーゼに曝露され、プロテアーゼによって切断される。
本開示の好適な活性化可能抗CD166抗体はまた、ヒトCD166および/またはカニクイザルCD166上の、SEQ ID NO: 119、121および122からなる群より選択される重鎖可変領域アミノ酸配列とSEQ ID NO: 120および123~126からなる群より選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む抗CD166抗体と同じエピトープに結合する、抗体またはその抗原結合断片を含む。
本開示の好適な活性化可能抗CD166抗体はまた、ヒトCD166および/またはカニクイザルCD166上の、アミノ酸配列
を含むVH CDR1配列; アミノ酸配列
を含むVH CDR2配列; アミノ酸配列
を含むVH CDR3配列; アミノ酸配列
を含むVL CDR1配列; アミノ酸配列
を含むVL CDR2配列; およびアミノ酸配列
を含むVL CDR3配列
を含む抗CD166抗体と同じエピトープに結合する、抗体またはその抗原結合断片を含む。
本開示の好適な活性化可能抗CD166抗体はまた、ヒトCD166および/またはカニクイザルCD166上の、表12に示される重鎖可変領域配列からなる群より選択される重鎖可変領域アミノ酸配列と表12に示される軽鎖可変領域配列からなる群より選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む抗CD166抗体と同じエピトープに結合する、抗体またはその抗原結合断片を含む。
本開示の好適な活性化可能抗CD166抗体はまた、ヒトCD166および/またはカニクイザルCD166上の、VH CDR1配列、VH CDR2配列、VH CDR3配列、VL CDR1配列、VL CDR2配列およびVL CDR3配列の組み合わせを含む抗CD166抗体と同じエピトープに結合する、抗体またはその抗原結合断片を含み、ここで該組み合わせは、表13の単一列内に示される6つのCDR配列(VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3)の組み合わせである。
本開示の好適な活性化可能抗CD166抗体はまた、ヒトCD166および/またはカニクイザルCD166に対する結合について、SEQ ID NO: 119、121および122からなる群より選択される重鎖可変領域アミノ酸配列とSEQ ID NO: 120および123~126からなる群より選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む抗CD166抗体と交差競合する、抗体またはその抗原結合断片を含む。
本開示の好適な活性化可能抗CD166抗体はまた、ヒトCD166および/またはカニクイザルCD166に対する結合について、アミノ酸配列
を含むVH CDR1配列; アミノ酸配列
を含むVH CDR2配列; アミノ酸配列
を含むVH CDR3配列; アミノ酸配列
を含むVL CDR1配列; アミノ酸配列
を含むVL CDR2配列; およびアミノ酸配列
を含むVL CDR3配列
を含む抗CD166抗体と交差競合する、抗体またはその抗原結合断片を含む。
本開示の好適な活性化可能抗CD166抗体はまた、ヒトCD166および/またはカニクイザルCD166に対する結合について、表12に示される重鎖可変領域配列からなる群より選択される重鎖可変領域アミノ酸配列と表12に示される軽鎖可変領域配列からなる群より選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含む抗CD166抗体のように交差競合する、抗体またはその抗原結合断片を含む。
本開示の好適な活性化可能抗CD166抗体はまた、ヒトCD166および/またはカニクイザルCD166に対する結合について、VH CDR1配列、VH CDR2配列、VH CDR3配列、VL CDR1配列、VL CDR2配列およびVL CDR3配列の組み合わせを含む抗CD166抗体のように交差競合する、抗体またはその抗原結合断片を含み、ここで該組み合わせは、表13の単一列内に示される6つのCDR配列(VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3)の組み合わせである。
いくつかの態様において、活性化可能抗体はまた、ABにコンジュゲートされた作用物質も含む。いくつかの態様において、ABにコンジュゲートされた作用物質または活性化可能抗体のABは治療用作用物質である。いくつかの態様において、前記作用物質は抗新生物性作用物質である。いくつかの態様において、前記作用物質は毒素またはその断片である。本明細書で使用する、毒素の断片は、毒素活性を保持している断片である。いくつかの態様において、前記作用物質は、切断可能なリンカーを介してABにコンジュゲートされる。いくつかの態様において、前記作用物質は、少なくとも1つのCM1-CM2基質配列を含むリンカーを介してABにコンジュゲートされる。いくつかの態様において、前記作用物質は、切断不可能なリンカーを介してABにコンジュゲートされる。いくつかの態様において、前記作用物質は、細胞内環境またはリソソーム環境において切断可能なリンカーを介してABにコンジュゲートされる。いくつかの態様において、前記作用物質は微小管阻害物質である。いくつかの態様において、前記作用物質は、核酸損傷性作用物質、例えば、DNAアルキル化剤、DNA切断剤、DNA架橋剤、DNAインターカレーター、または他のDNA損傷性作用物質である。いくつかの態様において、前記作用物質は、表5に列挙した群より選択される作用物質である。いくつかの態様において、前記作用物質はドラスタチンである。いくつかの態様において、前記作用物質はアウリスタチンまたはその誘導体である。いくつかの態様において、前記作用物質はアウリスタチンEまたはその誘導体である。いくつかの態様において、前記作用物質はモノメチルアウリスタチンE(MMAE)である。いくつかの態様において、前記作用物質はモノメチルアウリスタチンD(MMAD)である。いくつかの態様において、前記作用物質はメイタンシノイドまたはメイタンシノイド誘導体である。いくつかの態様において、前記作用物質はDM1またはDM4である。いくつかの態様において、前記作用物質はデュオカルマイシンまたはその誘導体である。いくつかの態様において、前記作用物質はカリチアマイシンまたはその誘導体である。いくつかの態様において、前記作用物質はピロロベンゾジアゼピンである。いくつかの態様において、前記作用物質はピロロベンゾジアゼピン二量体である。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、ある作用物質の1個または複数個の等価物にコンジュゲートされる。いくつかの態様において、活性化可能抗体は、作用物質の1個の等価物にコンジュゲートされる。いくつかの態様において、活性化可能抗体は、作用物質の2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、または10個より多い等価物にコンジュゲートされる。いくつかの態様において、活性化可能抗体は、コンジュゲートされた複数の作用物質の均一な数の等価物を有する、活性化可能抗体の混合物の一部である。いくつかの態様において、活性化可能抗体は、コンジュゲートされた複数の作用物質の不均一な数の等価物を有する、活性化可能抗体の混合物の一部である。いくつかの態様において、活性化可能抗体の混合物は、それぞれの活性化可能抗体にコンジュゲートされている作用物質の数の平均が0~1、1~2、2~3、3~4、4~5、5~6、6~7、7~8、8~9、9~10、および10以上になるような混合物である。いくつかの態様において、活性化可能抗体の混合物は、それぞれの活性化可能抗体にコンジュゲートされている作用物質の数の平均が1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれより多くなるような混合物である。いくつかの態様において、活性化可能抗体は、活性化可能抗体の元々のアミノ酸配列に対してリジン残基および/もしくはシステイン残基の数が増加または減少するような、従って、いくつかの態様では、それに対応して、活性化可能抗体にコンジュゲートすることができる作用物質の数が増加もしくは減少するような、またはいくつかの態様では、活性化可能抗体に対する作用物質の部位特異的なコンジュゲートが制限されるような1つまたは複数の部位特異的なアミノ酸配列改変を含む。いくつかの態様において、改変される活性化可能抗体は、1つまたは複数の非天然アミノ酸を用いて部位特異的に改変され、従って、いくつかの態様では、作用物質のコンジュゲートが非天然アミノ酸の部位だけに限定される。
いくつかの態様において、前記作用物質は抗炎症作用物質である。
いくつかの態様において、活性化可能抗体はまた、検出可能部分も含む。いくつかの態様において、検出可能部分は診断用作用物質である。
いくつかの態様において、活性化可能抗体はまた、シグナルペプチドも含む。いくつかの態様において、シグナルペプチドはスペーサーを介して活性化可能抗体にコンジュゲートされる。いくつかの態様において、スペーサーは、シグナルペプチドの非存在下において活性化可能抗体にコンジュゲートされる。いくつかの態様において、スペーサーは、活性化可能抗体のMMに直接連結される。いくつかの態様において、スペーサーは、N末端からC末端に向かってスペーサー-MM-CM-ABである構造的配置において、活性化可能抗体のMMに直接連結される。活性化可能抗体のMMのN末端に直接連結されたスペーサーの例は、QGQSGQ (SEQ ID NO: 88)である。活性化可能抗体のMMのN末端に直接連結されたスペーサーの他の例としては、QGQSGQG (SEQ ID NO: 305)、QGQSG (SEQ ID NO: 306)、QGQS (SEQ ID NO: 307)、QGQ (SEQ ID NO: 308)、QG (SEQ ID NO: 309)およびQが挙げられる。活性化可能抗体のMMのN末端に直接連結されたスペーサーの他の例としては、GQSGQG (SEQ ID NO: 359)、QSGQG (SEQ ID NO: 360)、SGQG (SEQ ID NO: 361)、GQG (SEQ ID NO: 362)およびGが挙げられる。いくつかの態様において、スペーサーはMMのN末端に連結されない。いくつかの態様において、スペーサーは少なくともアミノ酸配列QGQSGQ (SEQ ID NO: 88)を含む。いくつかの態様において、スペーサーは少なくともアミノ酸配列QGQSGQG (SEQ ID NO: 305)を含む。いくつかの態様において、スペーサーは少なくともアミノ酸配列QGQSG (SEQ ID NO: 306)を含む。いくつかの態様において、スペーサーは少なくともアミノ酸配列QGQS (SEQ ID NO: 307)を含む。いくつかの態様において、スペーサーは少なくともアミノ酸配列QGQ (SEQ ID NO: 308)を含む。いくつかの態様において、スペーサーは少なくともアミノ酸配列QG (SEQ ID NO: 309)を含む。いくつかの態様において、スペーサーは少なくともアミノ酸残基Qを含む。いくつかの態様において、スペーサーは少なくともアミノ酸配列GQSGQG (SEQ ID NO: 359)を含む。いくつかの態様において、スペーサーは少なくともアミノ酸配列QSGQG (SEQ ID NO: 360)を含む。いくつかの態様において、スペーサーは少なくともアミノ酸配列SGQG (SEQ ID NO: 361)を含む。いくつかの態様において、スペーサーは少なくともアミノ酸配列GQG (SEQ ID NO: 362)を含む。いくつかの態様において、スペーサーは少なくともアミノ酸配列Gを含む。いくつかの態様において、スペーサーは存在しない。
いくつかの態様において、活性化可能抗体のABは、天然には1つまたは複数のジスルフィド結合を含む。いくつかの態様において、ABは、1つまたは複数のジスルフィド結合を含むように操作することができる。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、SEQ ID NO: 119、121および122からなる群より選択される重鎖可変領域アミノ酸配列をコードする核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、活性化可能抗体は、SEQ ID NO: 121またはSEQ ID NO: 122を含む重鎖可変領域アミノ酸配列をコードする核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、SEQ ID NO: 120および123~126からなる群より選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列をコードする核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、活性化可能抗体は、SEQ ID NO: 123~126からなる群より選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列をコードする核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、SEQ ID NO: 119、121および122からなる群より選択される重鎖可変領域アミノ酸配列をコードする核酸配列、ならびにSEQ ID NO: 120および123~126からなる群より選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列をコードする核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、SEQ ID NO: 121および122からなる群より選択される重鎖可変領域アミノ酸配列をコードする核酸配列、ならびにSEQ ID NO: 123~126からなる群より選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列をコードする核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、SEQ ID NO: 121またはSEQ ID NO: 122を含む重鎖可変領域アミノ酸配列をコードする核酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、活性化可能抗体は、SEQ ID NO: 121またはSEQ ID NO: 122を含む重鎖可変領域アミノ酸配列をコードする核酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、SEQ ID NO: 120および123~126からなる群より選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列をコードする核酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、活性化可能抗体は、SEQ ID NO: 123~126からなる群より選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列をコードする核酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、SEQ ID NO: 119、121および122からなる群より選択される重鎖可変領域アミノ酸配列をコードする核酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である核酸配列、ならびにSEQ ID NO: 120および123~126からなる群より選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列をコードする核酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、SEQ ID NO: 121またはSEQ ID NO: 122を含む重鎖可変領域アミノ酸配列をコードする核酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である核酸配列、ならびにSEQ ID NO: 123~126からなる群より選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列をコードする核酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、表12に示される重鎖可変領域配列からなる群より選択される重鎖可変領域アミノ酸配列をコードする核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、活性化可能抗体は、表12に示される軽鎖可変領域配列からなる群より選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列をコードする核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、活性化可能抗体は、表12に示される重鎖可変領域配列からなる群より選択される重鎖可変領域アミノ酸配列をコードする核酸配列および表12に示される軽鎖可変領域配列からなる群より選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列をコードする核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、表12に示される重鎖可変領域配列からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である重鎖可変領域アミノ酸配列をコードする核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、活性化可能抗体は、表12に示される軽鎖可変領域配列からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である軽鎖可変領域アミノ酸配列をコードする核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。いくつかの態様において、活性化可能抗体は、表12に示される重鎖可変領域配列からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である重鎖可変領域アミノ酸配列をコードする核酸配列を含む核酸配列および表12に示される軽鎖可変領域配列からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である軽鎖可変領域アミノ酸配列をコードする核酸配列を含む核酸配列によってコードされる。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、可変重鎖相補性決定領域1 (VH CDR1、本明細書においてCDRH1ともいわれる)配列、可変重鎖相補性決定領域2 (VH CDR2、本明細書においてCDRH2ともいわれる)配列、可変重鎖相補性決定領域3 (VH CDR3、本明細書においてCDRH3ともいわれる)配列、可変軽鎖相補性決定領域1 (VL CDR1、本明細書においてCDRL1ともいわれる)配列、可変軽鎖相補性決定領域2 (VL CDR2、本明細書においてCDRL2ともいわれる)配列および可変軽鎖相補性決定領域3 (VL CDR3、本明細書においてCDRL3ともいわれる)配列の組み合わせをコードする核酸配列を含む核酸配列によってコードされ、ここで少なくとも1つのCDR配列が、表13に示されるVH CDR1配列; 表13に示されるVH CDR2配列; 表13に示されるVH CDR3配列; 表13に示されるVL CDR1配列; 表13に示されるVL CDR2配列; および表13に示されるVL CDR3配列からなる群より選択される。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、VH CDR1配列、VH CDR2配列、VH CDR3配列、VL CDR1配列、VL CDR2配列およびVL CDR3配列の組み合わせをコードする核酸配列を含む核酸配列によってコードされ、ここで少なくとも1つのCDR配列が、表13に示されるVH CDR1配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVH CDR1配列; 表13に示されるVH CDR2配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVH CDR2配列; 表13に示されるVH CDR3配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVH CDR3配列; 表13に示されるVL CDR1配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVL CDR1配列; 表13に示されるVL CDR2配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVL CDR2配列; および表13に示されるVL CDR3配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含むVL CDR3配列からなる群より選択される。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、VH CDR1配列、VH CDR2配列、VH CDR3配列、VL CDR1配列、VL CDR2配列およびVL CDR3配列の組み合わせをコードする核酸配列を含む核酸配列によってコードされ、ここで該組み合わせは、表13の単一列内に示される6つのCDR配列(VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3)の組み合わせである。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、VL CDR1配列、VL CDR2配列およびVL CDR3配列の組み合わせを含む軽鎖可変領域をコードする核酸配列を含む核酸配列によってコードされ、ここで該組み合わせは、表13の単一列内に示される3つの軽鎖CDR配列(VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3)の組み合わせである。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、VH CDR1配列、VH CDR2配列およびVH CDR3配列の組み合わせを含む重鎖可変領域をコードする核酸配列を含む核酸配列によってコードされ、ここで該組み合わせは、表13の単一列内に示される3つの重鎖CDR配列(VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3)の組み合わせである。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、VH CDR1配列、VH CDR2配列、VH CDR3配列、VL CDR1配列、VL CDR2配列およびVL CDR3配列の組み合わせをコードする核酸配列を含む核酸配列によってコードされ、ここで該組み合わせにおける各CDR配列は、表13の単一列内に示される6つのCDR配列(VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3)の組み合わせにおける対応するCDR配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含む。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、VH CDR1配列、VH CDR2配列およびVH CDR3配列の組み合わせを含む重鎖可変領域をコードする核酸配列を含む核酸配列によってコードされ、ここで該組み合わせにおける各CDR配列は、表13の単一列内に示される3つの重鎖CDR配列(VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3)の組み合わせにおける対応するCDR配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含む。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、VL CDR1配列、VL CDR2配列およびVL CDR3配列の組み合わせを含む軽鎖可変領域をコードする核酸配列を含む核酸配列によってコードされ、ここで該組み合わせにおける各CDR配列は、表13の単一列内に示される3つの軽鎖CDR配列(VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3)の組み合わせにおける対応するCDR配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一である配列を含む。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、表Aの所与の列内の配列の組み合わせか、または表Bのマスク配列(MM)と、基質配列(CM)と、軽鎖可変ドメイン配列もしくは軽鎖可変ドメインCDR配列と、重鎖可変ドメイン配列もしくは重鎖可変ドメインCDR配列の任意の組み合わせを含む、1つまたは複数のポリペプチドを含む。
いくつかの態様において、本開示の活性化可能抗体は、表Aまたは表Bから選択される配列の組み合わせを含む1つまたは複数のポリペプチドを含み、ここで該ポリペプチドは、表Aまたは表Bの「マスク配列(MM)」と題された縦列から選択されるマスキング配列と、表Aまたは表Bの「基質配列(CM)」と題された縦列からの基質配列と、表Aまたは表Bの「VLもしくはVL CDR」または「VL CDR SEQ ID NO」と題された縦列からの軽鎖可変ドメインまたは軽鎖CDRと、表Aまたは表Bの「VHもしくはVH CDR」または「VH CDR SEQ ID No」と題された縦列からの重鎖可変ドメインまたは重鎖CDRの組み合わせを含む。例えば、本開示の活性化可能抗体は、組み合わせ番号54のアミノ酸配列を含み、これにはSEQ ID NO: 222のマスキング配列、SEQ ID NO: 76の基質配列、SEQ ID NO: 130、132および134のVL CDR配列を含む軽鎖可変ドメイン、ならびに127、128および129のVH CDR配列を含む重鎖可変ドメインが含まれる。それゆえ、少なくとも表Aの任意の所与の列内の配列の組み合わせを含む活性化可能抗体が本明細書において記述される。同様に、表Bのマスク配列(MM)と、基質配列(CM)と、軽鎖可変ドメイン配列または軽鎖可変ドメインCDR配列と、重鎖可変ドメイン配列または重鎖可変ドメインCDR配列の任意の組み合わせが本明細書において記述される。少なくとも、対応する縦列の表Aまたは表Bから選択されるマスキング配列と、基質配列と、可変重鎖または可変重鎖CDRと、可変軽鎖または可変軽鎖CDRの任意の組み合わせを含む活性化可能抗体もまた、本明細書において記述される。いくつかの例示的な態様において、少なくとも、表Aの任意の所与の列内の配列の組み合わせか、または表Bのマスク配列(MM)と、基質配列(CM)と、軽鎖可変ドメイン配列もしくは軽鎖可変ドメインCDR配列と、重鎖可変ドメイン配列もしくは重鎖可変ドメインCDR配列の任意の組み合わせを含む、活性化可能抗体を、ドラスタチンもしくはその誘導体、アウリスタチンもしくはその誘導体、メイタンシノイドもしくはその誘導体、デュオカルマイシンもしくはその誘導体、カリケアマイシンもしくはその誘導体、またはピロロベンゾジアゼピンもしくはその誘導体を含む、1つまたは複数の毒素と組み合わせることができる。いくつかの例示的な態様において、少なくとも、表Aの任意の所与の列内の配列の組み合わせか、または表Bのマスク配列(MM)と、基質配列(CM)と、軽鎖可変ドメイン配列もしくは軽鎖可変ドメインCDR配列と、重鎖可変ドメイン配列もしくは重鎖可変ドメインCDR配列の任意の組み合わせを含む、活性化可能抗体を、アウリスタチンE、モノメチルアウリスタチンF (MMAF)、モノメチルアウリスタチンE (MMAE)、モノメチルアウリスタチンD (MMAD)、メイタンシノイドDM4、メイタンシノイドDM1、ピロロベンゾジアゼピン、ピロロベンゾジアゼピン二量体および/またはデュオカルマイシンを含む、1つまたは複数の毒素と組み合わせることができる。
上記の表Aまたは表Bにおける組み合わせのいずれも、ヒト免疫グロブリン定常領域と組み合わせて、IgG1、IgG2、IgG4を含む完全ヒトIgGを生じさせることができ、または変異定常領域と組み合わせて、IgG1 N297A、IgG1 N297QまたはIgG4 S228Pのような改変された機能を有するヒトIgGを生じさせることができる。表Aまたは表Bに記述された組み合わせは、任意の所与の列内に示された特定の組み合わせによって限定されず、したがって表Aの縦列3 (または表Bの縦列2)からの任意の基質配列と組み合わされ、表Aの縦列4 (または表Bの縦列3)からの任意のVL配列またはVL CDR配列セットと組み合わされ、表Aの縦列5 (または表Bの縦列4)からの任意のVH配列またはVH CDR配列セットと組み合わされた表Aの縦列2 (または表Bの縦列1)からの任意のマスク配列を含みうる。表Aの縦列2または表Bの縦列1に開示されたマスク配列に加え、本明細書において開示される任意のマスク配列を組み合わせて用いることができる。表Aの縦列3または表Bの縦列2に開示された基質配列に加え、本明細書において開示される任意のCMを組み合わせて用いることができる。表Aの縦列4または表Bの縦列3に開示された軽鎖可変領域配列または軽鎖CDR配列に加え、本明細書において開示される任意の軽鎖可変領域配列または軽鎖CDR配列を組み合わせて用いることができる。表Aの縦列5または表Bの縦列4に開示された重鎖可変領域配列または重鎖CDR配列に加え、本明細書において開示される任意の重鎖可変領域配列または重鎖CDR配列を組み合わせて用いることができる。
いくつかの態様において、抗体薬物コンジュゲート(ADC)および活性化可能抗体薬物コンジュゲート(AADC)は、表Cの所与の列内の軽鎖配列もしくは軽鎖可変ドメイン配列と、重鎖配列もしくは重鎖可変ドメイン配列と、リンカーと、毒素の組み合わせか、または表Cの軽鎖配列もしくは軽鎖可変ドメイン配列と、重鎖配列もしくは重鎖可変ドメイン配列と、リンカーと、毒素の任意の組み合わせを含む、1つまたは複数のポリペプチドを含むことができる。
(表C)抗CD166 ADCおよび抗CD166活性化可能ADCの組み合わせ
本開示の抗体薬物コンジュゲート(ADC)または本開示の活性化可能抗体薬物コンジュゲート(AADC)は、表Cの所与の列内に列挙されたアミノ酸配列、リンカー、および毒素の組み合わせを含む、1つまたは複数のポリペプチドを含みうる。それゆえ、所与の列内に列挙されたまたは特定の組み合わせとして提供されたアミノ酸配列、リンカー、および毒素の組み合わせを含む本開示の活性化可能抗体薬物コンジュゲート(ADC)または本開示の活性化可能抗体薬物コンジュゲート(AADC)が、本明細書において記述される。例えば、本開示の活性化可能抗体薬物コンジュゲートは、組み合わせ番号55のアミノ酸配列を含むことができ、これにはSEQ ID NO: 239のアミノ酸配列を含む重鎖、SEQ ID NO: 246のアミノ酸配列を含む軽鎖、およびspdb-DM4リンカー-毒素が含まれる。本明細書において開示され記述されるAADCの別の例において、本開示の活性化可能抗体薬物コンジュゲートは、組み合わせ番号33のアミノ酸配列を含むことができ、これにはSEQ ID NO: 239のアミノ酸配列を含む重鎖、SEQ ID NO: 244のアミノ酸配列を含む軽鎖、およびvc-MMAEリンカー-毒素が含まれる。
重鎖および軽鎖可変領域を列挙する表Cにおける組み合わせのいずれも、ヒト免疫グロブリン定常領域と組み合わせて、IgG1、IgG2、IgG4を含む完全ヒトIgGを生じさせることができ、または変異定常領域と組み合わせて、IgG1 N297A、IgG1 N297QまたはIgG4 S228Pのような改変された機能を有するヒトIgGを生じさせることができる。表Cに記述された組み合わせは、任意の所与の列内に示された特定の組み合わせによって限定されず、したがって表Cの縦列3からの任意の軽鎖配列または軽鎖可変領域配列と組み合わされ、縦列4からの任意のリンカーと組み合わされ、縦列5からの任意の毒素と組み合わされた、表Cの縦列2からの任意の重鎖配列または重鎖可変領域配列を含むことができる。縦列2に列挙された重鎖配列または重鎖可変領域配列に加え、本明細書において開示される任意の重鎖配列または重鎖可変領域配列を組み合わせて用いることができる。縦列3に列挙された軽鎖配列または軽鎖可変領域配列に加え、本明細書において開示される任意の軽鎖配列または軽鎖可変領域配列を組み合わせて用いることができる。縦列4に列挙されたリンカーに加え、本明細書において開示される任意のリンカーを組み合わせて用いることができる。縦列5に列挙された毒素に加え、本明細書において開示される任意の毒素を組み合わせて用いることができる。
いくつかの態様において、活性化可能抗体の血清半減期は、対応する抗体の血清半減期より長い。例えば、活性化可能抗体のpKは、対応する抗体のpKより長い。いくつかの態様において、活性化可能抗体の血清半減期は、対応する抗体の血清半減期と同様である。いくつかの態様において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与された場合に少なくとも15日である。いくつかの態様において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与された場合に少なくとも12日である。いくつかの態様において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与された場合に少なくとも11日である。いくつかの態様において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与された場合に少なくとも10日である。いくつかの態様において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与された場合に少なくとも9日である。いくつかの態様において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与された場合に少なくとも8日である。いくつかの態様において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与された場合に少なくとも7日である。いくつかの態様において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与された場合に少なくとも6日である。いくつかの態様において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与された場合に少なくとも5日である。いくつかの態様において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与された場合に少なくとも4日である。いくつかの態様において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与された場合に少なくとも3日である。いくつかの態様において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与された場合に少なくとも2日である。いくつかの態様において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与された場合に少なくとも24時間である。いくつかの態様において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与された場合に少なくとも20時間である。いくつかの態様において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与された場合に少なくとも18時間である。いくつかの態様において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与された場合に少なくとも16時間である。いくつかの態様において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与された場合に少なくとも14時間である。いくつかの態様において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与された場合に少なくとも12時間である。いくつかの態様において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与された場合に少なくとも10時間である。いくつかの態様において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与された場合に少なくとも8時間である。いくつかの態様において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与された場合に少なくとも6時間である。いくつかの態様において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与された場合に少なくとも4時間である。いくつかの態様において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与された場合に少なくとも3時間である。
いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体は単一特異性である。いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体は多重特異性であり、例えば、非限定的な例として、二重特異性または三機能性である。いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体は、プロ二重特異性T細胞エンゲージャー(Bispecific T Cell Engager:BITE)分子の一部として処方される。いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体は、プロキメラ抗原受容体(CAR)によって改変されたT細胞または他の操作受容体の一部として処方される。
いくつかの態様において、活性化可能抗体またはその抗原結合断片は多重特異性活性化可能抗体またはその抗原結合断片に組み入れられ、多重特異性活性化可能抗体の少なくとも1つのアームはCD166に特異的に結合する。いくつかの態様において、活性化可能抗体またはその抗原結合断片は二重特異性抗体またはその抗原結合断片に組み入れられ、二重特異性活性化可能抗体の少なくとも1つのアームはCD166に特異的に結合する。
いくつかの態様において、本明細書に記載の抗CD166抗体、コンジュゲートされた抗CD166抗体、活性化可能抗CD166抗体、および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体は、1種類もしくは複数種類のさらなる作用因子またはさらなる作用因子の組み合わせと一緒に用いられる。適切なさらなる作用因子には、例えば、がんなどの意図された用途のための現行の薬学的療法および/または外科的療法が含まれる。例えば、抗CD166抗体、コンジュゲートされた抗CD166抗体、活性化可能抗CD166抗体、および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体は、さらなる化学療法剤または抗新生物剤と一緒に使用することができる。
いくつかの態様において、さらなる作用因子は、化学療法剤、例えば、ドセタキセル、パクリタキセル、アブラキサン(すなわち、アルブミンにコンジュゲートしたパクリタキセル)、ドキソルビシン、オキサリプラチン、カルボプラチン、シスプラチン、イリノテカン、およびゲムシタビンからなる群より選択される化学療法剤である。
いくつかの態様において、さらなる作用因子は、チェックポイント阻害剤、キナーゼ阻害剤、腫瘍微小環境にある阻害因子を標的とする作用因子、および/またはT細胞アゴニストもしくはNKアゴニストである。いくつかの態様において、さらなる作用因子は、単独の、または例えば化学療法剤または抗新生物剤などの別のさらなる作用因子と組み合わせた、放射線療法である。いくつかの態様において、さらなる作用因子は、ワクチン、オンコウイルス、および/またはDC活性化剤、例えば、非限定的な例として、toll様受容体(TLR)アゴニストおよび/またはα-CD40である。いくつかの態様において、さらなる作用因子は、ADCCを介して、または毒素への直接的なコンジュゲート(例えば、抗体薬物コンジュゲート(ADC))を介して腫瘍を死滅するように設計された、腫瘍を標的とする抗体である。
いくつかの態様において、チェックポイント阻害剤は、CTLA-4、LAG-3、PD1、CD166、TIGIT、TIM-3、B7H4、およびVistaからなる群より選択される標的の阻害剤である。いくつかの態様において、キナーゼ阻害剤は、B-RAFi、MEKi、およびBtk阻害剤、例えば、イブルチニブからなる群より選択される。いくつかの態様において、キナーゼ阻害剤はクリゾチニブである。いくつかの態様において、腫瘍微小環境阻害剤は、IDO阻害剤、α-CSF1R阻害剤、α-CCR4阻害剤、TGF-β、骨髄系由来サプレッサー細胞、または制御性T細胞からなる群より選択される。いくつかの態様において、アゴニストは、Ox40、GITR、CD137、ICOS、CD27、およびHVEMからなる群より選択される。
いくつかの態様において、前記阻害剤はCTLA-4阻害剤である。いくつかの態様において、阻害剤はLAG-3阻害剤である。いくつかの態様において、前記阻害剤はPD1阻害剤である。いくつかの態様において、前記阻害剤はCD166阻害剤である。いくつかの態様において、前記阻害剤はTIGIT阻害剤である。いくつかの態様において、前記阻害剤はTIM-3阻害剤である。いくつかの態様において、前記阻害剤はB7H4阻害剤である。いくつかの態様において、前記阻害剤はVista阻害剤である。いくつかの態様において、前記阻害剤はB-RAFi阻害剤である。いくつかの態様において、前記阻害剤はMEKi阻害剤である。いくつかの態様において、前記阻害剤はBtk阻害剤である。いくつかの態様において、前記阻害剤はイブルチニブである。いくつかの態様において、前記阻害剤はクリゾチニブである。いくつかの態様において、前記阻害剤はIDO阻害剤である。いくつかの態様において、前記阻害剤はα-CSF1R阻害剤である。いくつかの態様において、前記阻害剤はα-CCR4阻害剤である。いくつかの態様において、前記阻害剤はTGF-βである。いくつかの態様において、前記阻害剤は骨髄系由来サプレッサー細胞である。いくつかの態様において、前記阻害剤は制御性T細胞である。
いくつかの態様において、前記アゴニストはOx40である。いくつかの態様において、アゴニストはGITRである。いくつかの態様において、アゴニストはCD137である。いくつかの態様において、アゴニストはICOSである。いくつかの態様において、アゴニストはCD27である。いくつかの態様において、アゴニストはHVEMである。
いくつかの態様において、抗CD166抗体、コンジュゲートされた抗体、活性化可能抗体、および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体は、1種類または複数種類のさらなる作用因子、例えば、化学療法剤、抗炎症剤、および/または免疫抑制剤と組み合わせて処置中および/または処置後に投与される。いくつかの態様において、抗CD166抗体、コンジュゲートされた抗CD166抗体、活性化可能抗CD166抗体、および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体と、さらなる作用因子は単一の治療用組成物に処方され、抗CD166抗体、コンジュゲートされた抗CD166抗体、活性化可能抗CD166抗体、および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体と、さらなる作用因子は同時に投与される。あるいは、抗CD166抗体、コンジュゲートされた抗CD166抗体、活性化可能抗CD166抗体、および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体と、さらなる作用因子は互いに分かれており、例えば、それぞれは、別々の治療用組成物に処方され、抗CD166抗体、コンジュゲートされた抗CD166抗体、活性化可能抗CD166抗体、および/もしくはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体と、さらなる作用因子は、同時に投与されるか、または抗CD166抗体、コンジュゲートされた抗CD166抗体、活性化可能抗CD166抗体、および/もしくはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体と、さらなる作用因子は、処置レジメン中に異なる時間に投与される。例えば、抗CD166抗体、コンジュゲートされた抗CD166抗体、活性化可能抗CD166抗体、および/もしくはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体は、さらなる作用因子が投与される前に投与されるか、抗CD166抗体、コンジュゲートされた抗CD166抗体、活性化可能抗CD166抗体、および/もしくはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体は、さらなる作用因子が投与された後に投与されるか、または抗CD166抗体、コンジュゲートされた抗CD166抗体、活性化可能抗CD166抗体、および/もしくはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体と、さらなる作用因子は、交互に投与される。本明細書において説明されるように、抗CD166抗体、コンジュゲートされた抗CD166抗体、活性化可能抗CD166抗体、および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体と、さらなる作用因子は、単一の用量で、または複数の用量で投与される。
いくつかの態様において、抗CD166抗体、コンジュゲートされた抗CD166抗体、活性化可能抗CD166抗体、および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体と、さらなる作用因子は同時に投与される。例えば、抗CD166抗体、コンジュゲートされた抗CD166抗体、活性化可能抗CD166抗体、および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体と、さらなる作用因子は、単一の組成物に処方されてもよく、または2種類以上の別々の組成物として投与されてもよい。いくつかの態様において、抗CD166抗体、コンジュゲートされた抗CD166抗体、活性化可能抗CD166抗体、および/もしくはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体と、さらなる作用因子は、連続して投与されるか、または抗CD166抗体、コンジュゲートされた抗CD166抗体、活性化可能抗CD166抗体、および/もしくはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体と、さらなる作用因子は、処置レジメン中に異なる時間に投与される。
いくつかの態様において、処置の間および/または処置の後に、抗CD166抗体、コンジュゲートされた抗CD166抗体、活性化可能抗CD166抗体、および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体は、1種類または複数種類のさらなる作用因子、例えば、非限定的な例として、化学療法剤、抗炎症剤、および/または免疫抑制剤、例えば、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗微小管剤、トポイソメラーゼ阻害剤、細胞傷害性抗生物質、および/または他の任意の核酸損傷剤と組み合わせて投与される。いくつかの態様において、さらなる作用因子は、タキサン、例えば、パクリタキセル(例えば、Abraxane(登録商標))である。いくつかの態様において、さらなる作用因子は、代謝拮抗剤、例えば、ゲムシタビンである。いくつかの態様において、さらなる作用因子は、アルキル化剤、例えば、カルボプラチンまたはシスプラチンなどの白金に基づく化学療法である。いくつかの態様において、さらなる作用因子は、標的化された作用物質、例えば、キナーゼ阻害剤、例えば、ソラフェニブまたはエルロチニブである。いくつかの態様において、さらなる作用因子は、標的化された作用物質、例えば、別の抗体、例えば、モノクローナル抗体(例えば、ベバシズマブ)、二重特異性抗体、または多重特異性抗体である。いくつかの態様において、さらなる作用因子は、プロテオソーム阻害剤、例えば、ボルテゾミブまたはカーフィルゾミブである。いくつかの態様において、さらなる作用因子は、免疫調節剤、例えば、レノリドミンドまたはIL-2である。いくつかの態様において、さらなる作用因子は放射線である。いくつかの態様において、さらなる作用因子は、当業者によって治療の標準だとみなされている作用因子である。いくつかの態様において、さらなる作用因子は、当業者に周知の化学療法である。
いくつかの態様において、さらなる作用因子は、別の抗体もしくはその抗原結合断片、別のコンジュゲートされた抗体もしくはその抗原結合断片、別の活性化可能抗体もしくはその抗原結合断片、および/または別のコンジュゲートされた活性化可能抗体もしくはその抗原結合断片である。いくつかの態様において、さらなる作用因子は、第1の抗体もしくはその抗原結合断片、第1のコンジュゲートされた抗体もしくはその抗原結合断片、活性化可能抗体もしくはその抗原結合断片、および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体もしくはその抗原結合断片と同じ標的に対する、例えば、CD166に対する、別の抗体もしくはその抗原結合断片、別のコンジュゲートされた抗体もしくはその抗原結合断片、別の活性化可能抗体もしくはその抗原結合断片、および/または別のコンジュゲートされた活性化可能抗体もしくはその抗原結合断片である。いくつかの態様において、さらなる作用因子は、第1の抗体もしくはその抗原結合断片、第1のコンジュゲートされた抗体もしくはその抗原結合断片、活性化可能抗体もしくはその抗原結合断片、および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体もしくはその抗原結合断片の標的とは異なる標的に対する、別の抗体もしくはその抗原結合断片、別のコンジュゲートされた抗体もしくはその抗原結合断片、別の活性化可能抗体もしくはその抗原結合断片、および/または別のコンジュゲートされた活性化可能抗体もしくはその抗原結合断片である
非限定的な例として、前記抗体もしくは抗原結合断片および/または活性化可能抗体のABは、表1に列挙した任意の標的の結合パートナーである。
非限定的な例として、前記抗体もしくは抗原結合断片および/または活性化可能抗体のABは、表2に列挙した抗体であるか、または該抗体に由来する。
いくつかの態様において、さらなる抗体もしくはその抗原結合断片、コンジュゲートされた抗体もしくはその抗原結合断片、活性化可能抗体もしくはその抗原結合断片、および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体もしくはその抗原結合断片は、モノクローナル抗体、ドメイン抗体、単鎖、Fab断片、F(ab')2断片、scFv、scAb、dAb、シングルドメイン重鎖抗体、またはシングルドメイン軽鎖抗体である。いくつかの態様において、さらなる抗体もしくはその抗原結合断片、コンジュゲートされた抗体もしくはその抗原結合断片、活性化可能抗体もしくはその抗原結合断片、および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体もしくはその抗原結合断片は、マウス抗体、他のげっ歯類抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、または完全ヒトモノクローナル抗体である。
本開示はまた、抗CD166抗体および/または活性化可能抗CD166抗体ポリペプチドの発現をもたらす条件下で細胞を培養することによって該ポリペプチドを産生する方法であって、前記細胞が、本明細書に記載の抗体および/もしくは活性化可能抗体をコードする単離された核酸分子、ならびに/またはこれらの単離された核酸配列を含むベクターを含む、前記方法も提供する。本開示は、抗体および/または活性化可能抗体の発現をもたらす条件下で細胞を培養することによって抗体および/または活性化可能抗体を産生する方法であって、前記細胞が、本明細書に記載の抗体および/もしくは活性化可能抗体をコードする単離された核酸分子、ならびに/またはこれらの単離された核酸配列を含むベクターを含む、前記方法を提供する。
本発明はまた、(a)活性化可能抗体の発現をもたらす条件下で、活性化可能抗体をコードする核酸構築物を含む細胞を培養する工程であって、活性化可能抗体が、マスキング部分(MM)と、切断可能部分(CM)と、CD166に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片(AB)とを含み、(i)CMが、プロテアーゼの基質として機能するポリペプチドであり、(ii)活性化可能抗体が非切断状態にある場合にMMがCD166に対するABの特異的結合に干渉するように、および活性化可能抗体が切断状態にある場合はMMがCD166に対するABの特異的結合に干渉も競合もしないように、CMが活性化可能抗体に配置される、前記工程、および(b)活性化可能抗体を回収する工程によって、活性化状態でCD166に結合する活性化可能抗体を製造する方法も提供する。適切なAB、MM、および/またはCMは、本明細書において開示された任意のAB、MM、および/またはCMを含む。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、非切断状態では、N末端からC末端に向かって、MM-CM-ABまたはAB-CM-MMのような構造的配置を有する。いくつかの態様において、活性化可能抗体はMMとCMとの間に連結ペプチドを含む。いくつかの態様において、活性化可能抗体はCMとABとの間に連結ペプチドを含む。いくつかの態様において、活性化可能抗体は第1の連結ペプチド(LP1)および第2の連結ペプチド(LP2)を含み、非切断状態では、N末端からC末端に向かって、MM-LP1-CM-LP2-ABまたはAB-LP2-CM-LP1-MMのような構造的配置を有する。いくつかの態様において、2つの連結ペプチドは互いに同一である必要はない。いくつかの態様において、活性化可能抗体は、非切断状態では、N末端からC末端に向かって、スペーサー-MM-LP1-CM-LP2-ABまたはAB-LP2-CM-LP1-MM-スペーサーのような構造的配置を有する。
いくつかの態様において、LP1またはLP2の少なくとも1つは、(GS)n、(GGS)n、(GSGGS)n(SEQ ID NO:1)、および(GGGS)n(SEQ ID NO:2)からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、nは、少なくとも1の整数である。
いくつかの態様において、LP1またはLP2の少なくとも1つは、
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、LP1は、アミノ酸配列
を含む。
いくつかの態様において、LP2は、アミノ酸配列GSS、GGS、GGGS(SEQ ID NO:15)、GSSGT(SEQ ID NO:16)、またはGSSG(SEQ ID NO:17)を含む。
本発明は、その必要のある対象に、治療的有効量の本明細書に記載の抗CD166抗体、コンジュゲートされた抗CD166抗体、活性化可能抗CD166抗体、および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体を投与することによって、対象においてCD166を介した疾患を予防する、該疾患の進行を遅らせる、該疾患を処置する、該疾患の症状を緩和する、または別の形で該疾患を寛解させる方法を提供する。
本発明はまた、治療的有効量の本明細書において記述される抗CD166抗体、コンジュゲートされた抗CD166抗体、活性化可能抗CD166抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体を、その必要のある対象に投与することによって、対象においてがんを予防する、がんの進行を遅らせる、がんを処置する、がんの症状を緩和する、またはそれ以外の方法でがんを改善する方法を提供する。CD166は、非限定的な例として、任意の上皮細胞癌または扁平上皮細胞癌、任意のカルチノイドおよび/または神経内分泌癌のような種々のがんにおいて発現することが知られている。がんの例としては、腺癌、胆管(胆道)癌、膀胱癌、乳癌、例えばトリプルネガティブ乳癌、Her2陰性乳癌、エストロゲン受容体陽性乳癌; カルチノイド癌; 子宮頸癌; 胆管癌; 大腸癌; 子宮内膜癌; 神経膠腫; 頭頸部癌、例えば頭頸部扁平上皮癌; 白血病; 肝臓癌; 肺癌、例えばNSCLC、SCLC; リンパ腫; 黒色腫; 口腔咽頭癌; 卵巣癌; 膵臓癌; 前立腺癌、例えば転移性去勢抵抗性前立腺癌; 腎臓癌; 皮膚癌; 扁平上皮細胞癌; 胃癌; 精巣癌; 甲状腺癌; および尿路上皮癌が挙げられるが、これらに限定されることはない。
いくつかの態様において、がんは、任意の上皮癌または扁平上皮癌である。いくつかの態様において、がんは、前立腺癌、乳癌、肺癌、子宮頸癌、口腔咽頭癌、および/または頭頸部癌である。
いくつかの態様において、がんは、膀胱癌、骨がん、乳癌、カルチノイド、子宮頸癌、大腸癌、結腸癌、子宮内膜癌、上皮癌、神経膠腫、頭頸部癌、肝臓癌、肺癌、黒色腫、口腔咽頭癌、精巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、肉腫、皮膚癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、泌尿生殖器癌および/または尿路上皮癌である。
いくつかの態様において、がんは、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌(SCLC)、Ras変異大腸癌、希な上皮癌、口腔咽頭癌、子宮頸癌、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)、および/または前立腺癌からなる群より選択される。いくつかの態様において、がんは、CD166発現腫瘍と関連している。いくつかの態様において、がんはCD166発現腫瘍によるものである。
これらの方法および使用の任意の態様において用いられる抗CD166抗体、コンジュゲートされた抗CD166抗体、活性化可能抗CD166抗体、および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体は疾患の任意の段階で投与することができる。例えば、このような抗CD166抗体、コンジュゲートされた抗CD166抗体、活性化可能抗CD166抗体、および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体は、初期がんから転移がんまで任意の段階のがんに罹患している患者に投与することができる。対象および患者という用語は本明細書において互換的に用いられる。
いくつかの態様において、対象は、哺乳動物、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、コンパニオンアニマル(例えば、ネコ、イヌ、ウマ)、家畜、ワークアニマル(work animal)、または動物園の動物である。いくつかの態様において、対象はヒトである。いくつかの態様において、対象はコンパニオンアニマルである。いくつかの態様において、対象は、獣医師に管理されている動物である。
抗CD166抗体、コンジュゲートされた抗CD166抗体、活性化可能抗CD166抗体、および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体、ならびにその治療製剤は、異常なCD166発現および/または活性に関連する疾患または障害に罹患しているか、またはかかりやすい対象に投与される。異常なCD166発現および/または活性に関連する疾患または障害に罹患しているか、またはかかりやすい対象は、当技術分野において公知の任意の様々な方法を用いて特定される。例えば、がんまたは他の新生物状態に罹患している対象は、健康状態を評価するために、任意の様々な臨床検査および/または実験室検査、例えば、理学的検査ならびに血液分析、尿分析、および/または糞便分析を用いて特定される。例えば、炎症および/または炎症性障害に罹患している対象は、健康状態を評価するために、任意の様々な臨床検査および/または実験室検査、例えば、理学的検査ならびに/または体液分析、例えば、血液分析、尿分析、および/もしくは糞便分析を用いて特定される。
異常なCD166発現および/または活性に関連する疾患または障害に罹患している患者への、抗CD166抗体、コンジュゲートされた抗CD166抗体、活性化可能抗CD166抗体、および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体の投与は、様々な実験目的または臨床目的のうちどれでも達成されれば成功したとみなされる。例えば、異常なCD166発現および/または活性に関連する疾患または障害に罹患している患者への、抗CD166抗体、コンジュゲートされた抗CD166抗体、活性化可能抗CD166抗体、および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体の投与は、疾患または障害に関連する症状の1つまたは複数が軽減すれば、低減すれば、阻害されれば、またはさらなる、すなわちさらに悪い状態に進行しなければ成功したとみなされる。異常なCD166発現および/または活性に関連する疾患または障害に罹患している患者への、抗CD166抗体、コンジュゲートされた抗CD166抗体、活性化可能抗CD166抗体、および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体の投与は、疾患または障害が寛解期に入れば、またはさらなる、すなわちさらに悪い状態に進行しなければ成功したとみなされる。
いくつかの態様において、抗CD166抗体、コンジュゲートされた抗CD166抗体、活性化可能抗CD166抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体およびその治療用製剤は、がんまたは他の新生物状態に罹患している対象のような、疾患または障害に罹患しているまたはそれに対して感受性が高い対象に投与され、ここで対象の罹患細胞はCD166を発現している。いくつかの態様において、罹患細胞は、異常なCD166発現および/または活性に関連する。いくつかの態様において、罹患細胞は、正常なCD166発現および/または活性に関連する。対象の罹患細胞がCD166を発現する疾患または障害に罹患しているまたはそれに対して感受性が高い対象は、当技術分野において公知の種々の方法のいずれかを用いて同定される。例えば、健康状態を評価するための身体検査ならびに血液分析、尿分析および/または糞便分析のような種々の臨床検査および/または検査室検査のいずれかを用いて、がんまたは他の新生物状態に罹患している対象が同定される。例えば、炎症および/または炎症性障害に罹患している対象は、健康状態を評価するための身体検査および/または体液分析、例えば血液分析、尿分析および/または糞便分析のような種々の臨床検査および/または検査室検査のいずれかを用いて同定される。
いくつかの態様において、抗CD166抗体、コンジュゲートされた抗CD166抗体、活性化可能抗CD166抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体およびその治療用製剤は、がんまたは他の新生物状態に罹患している対象のような、CD166を発現する細胞またはそのような細胞の存在、成長、増殖、転移および/もしくは活性に関連する疾患または障害に罹患しているまたはそれに対して感受性が高い対象に投与される。いくつかの態様において、細胞は、異常なCD166発現および/または活性に関連する。いくつかの態様において、細胞は、正常なCD166発現および/または活性に関連する。CD166を発現する細胞に関連する疾患または障害に罹患しているまたはそれに対して感受性が高い対象は、当技術分野において公知の種々の方法のいずれかを用いて同定される。例えば、健康状態を評価するための身体検査ならびに血液分析、尿分析および/または糞便分析のような種々の臨床検査および/または検査室検査のいずれかを用いて、がんまたは他の新生物状態に罹患している対象が同定される。例えば、炎症および/または炎症性障害に罹患している対象は、健康状態を評価するための身体検査および/または体液分析、例えば血液分析、尿分析および/または糞便分析のような種々の臨床検査および/または検査室検査のいずれかを用いて同定される。
CD166を発現する細胞に関連する疾患または障害に罹患している患者への抗CD166抗体、コンジュゲートされた抗CD166抗体、活性化可能抗CD166抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体の投与は、種々の検査室または臨床の目的のいずれかが達成されるなら成功と見なされる。例えば、CD166を発現する細胞に関連する疾患または障害に罹患している患者への抗CD166抗体、コンジュゲートされた抗CD166抗体、活性化可能抗CD166抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体の投与は、疾患または障害に関連する症状の1つまたは複数が緩和されれば、低減されれば、阻害されれば、またはさらなる、すなわちさらに悪い状態に進行しなければ成功と見なされる。CD166を発現する細胞に関連する疾患または障害に罹患している患者への抗CD166抗体、コンジュゲートされた抗CD166抗体、活性化可能抗CD166抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体の投与は、疾患または障害が寛解に入れば、またはさらなる、すなわちさらに悪い状態に進行しなければ成功と見なされる。
いくつかの態様において、抗CD166抗体、コンジュゲートされた抗CD166抗体、活性化可能抗CD166抗体、および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体は、1種類または複数種類のさらなる作用因子、例えば、化学療法剤、抗炎症剤、および/または免疫抑制剤と組み合わせて、処置中および/または処置後に投与される。いくつかの態様において、抗CD166抗体、コンジュゲートされた抗CD166抗体、活性化可能抗CD166抗体、および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体と、さらなる作用因子は、同時に投与される。例えば、抗CD166抗体、コンジュゲートされた抗CD166抗体、活性化可能抗CD166抗体、および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体と、さらなる作用因子は、単一の組成物に処方されてもよく、または2種類以上の別々の組成物として投与されてもよい。いくつかの態様において、抗CD166抗体、コンジュゲートされた抗CD166抗体、活性化可能抗CD166抗体、および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体と、さらなる作用因子は連続して投与される。
本発明はまた、様々な診断上および/または予防上の適用において、活性化可能抗CD166抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体を使用するための方法およびキットも提供する。例えば、本発明は、(i)対象または試料を抗CD166活性化可能抗体と接触させる工程であって、抗CD166活性化可能抗体が、マスキング部分(MM)と、切断剤によって切断される切断可能部分(CM)と、関心対象の標的に特異的に結合する抗原結合ドメインまたはその断片(AB)とを含み、切断されておらず活性化されていない状態にある抗CD166活性化可能抗体がN末端からC末端に向かって、MM-CM-ABまたはAB-CM-MMのような構造的配置を含み、(a)MMがABとCD166との結合を阻害するペプチドであり、かつMMがABの天然結合パートナーのアミノ酸配列を有さず、かつABの天然結合パートナーの改変型ではなく、(b)ABが切断されておらず活性化されていない状態にある場合に、MMがCD166に対するABの特異的結合に干渉し、ABが切断され活性化された状態にある場合は、MMがCD166に対するABの特異的結合に干渉も競合もしない、前記工程と、(ii)対象または試料における、活性化された抗CD166活性化可能抗体のレベルを測定する工程であって、対象または試料に、活性化された抗CD166活性化可能抗体の検出可能なレベルがあることは、切断剤およびCD166が対象または試料に存在することを示し、対象または試料に、活性化された抗CD166活性化可能抗体の検出可能なレベルが無いことは、対象または試料に切断剤が存在しないか、CD166が存在しないか、または切断剤とCD166が両方とも存在しないことを示す、前記工程によって、対象または試料における切断剤および関心対象の標的の有無を検出するための方法およびキットを提供する。
いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体は、治療用作用物質がコンジュゲートした活性化可能抗CD166抗体である。いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体は、作用物質にコンジュゲートされていない。いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体は、検出可能な標識を含む。いくつかの態様において、検出可能な標識はAB上に配置される。いくつかの態様において、対象または試料における活性化可能抗CD166抗体のレベルの測定は、活性化された抗体に特異的に結合する二次試薬を用いて成し遂げられ、試薬は、検出可能な標識を含む。いくつかの態様において、二次試薬は、検出可能な標識を含む抗体である。
これらの方法およびキットのいくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体は、検出可能な標識を含む。これらの方法およびキットのいくつかの態様において、検出可能な標識は、イメージング剤、造影剤(contrasting agent)、酵素、蛍光標識、発色団、色素、1つもしくは複数の金属イオン、またはリガンドをベースとする標識を含む。これらの方法およびキットのいくつかの態様において、イメージング剤は放射性同位体を含む。これらの方法およびキットのいくつかの態様において、放射性同位体はインジウムまたはテクネチウムである。これらの方法およびキットのいくつかの態様において、造影剤は、ヨウ素、ガドリニウム、または酸化鉄を含む。これらの方法およびキットのいくつかの態様において、酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、またはβ-ガラクトシダーゼを含む。これらの方法およびキットのいくつかの態様において、蛍光標識は、黄色蛍光タンパク質(YFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、改変赤色蛍光タンパク質(mRFP)、赤色蛍光タンパク質tdimer2(RFP tdimer2)、HCRED、またはユーロピウム誘導体を含む。これらの方法およびキットのいくつかの態様において、ルミネセンス標識はN-メチルアクリジウム(methylacrydium)誘導体を含む。これらの方法のいくつかの態様において、標識は、Alexa Fluor(登録商標)標識、例えば、Alex Fluor(登録商標)680またはAlexa Fluor(登録商標)750を含む。これらの方法およびキットのいくつかの態様において、リガンドをベースとする標識は、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、または1つもしくは複数のハプテンを含む。
これらの方法およびキットのいくつかの態様において、対象は哺乳動物である。これらの方法のいくつかの態様において、対象はヒトである。いくつかの態様において、対象は非ヒト哺乳動物、例えば、非ヒト霊長類、コンパニオンアニマル(例えば、ネコ、イヌ、ウマ)、家畜、ワークアニマル、または動物園の動物である。いくつかの態様において、対象は、げっ歯類である。
これらの方法およびキットのいくつかの態様において、前記方法はインビボ方法である。これらの方法のいくつかの態様において、前記方法はインサイチュー方法である。これらの方法のいくつかの態様において、前記方法はエクスビボ方法である。これらの方法のいくつかの態様において、前記方法はインビトロ方法である。
前記方法およびキットのいくつかの態様において、前記方法は、本開示の抗CD166活性化可能抗体を用いた処置に適した患者集団を特定するか、または別の方法で正確にし、それに続いて、処置を必要とする対象に、活性化可能抗CD166抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体を投与することによって処置するのに用いられる。例えば、標的(例えば、CD166)と、これらの方法において試験されている抗CD166活性化可能抗体の切断可能部分(CM)にある基質を切断するプロテアーゼの両方が陽性と試験結果がでた患者は、このようなCMを含む、このような抗CD166活性化可能抗体を用いた処置に適した候補であると特定され、次いで、この患者には、治療的有効量の、試験された活性化可能抗CD166抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体が投与される。同様に、標的(例えば、CD166)と、これらの方法を用いて試験されている活性化可能抗体のCMにある基質を切断するプロテアーゼのいずれか、または両方が陰性と試験結果がでた患者は、別の形の療法に適した候補であると特定される可能性がある。いくつかの態様では、処置に適した抗CD166活性化可能抗体(例えば、疾患部位で患者によって切断されるCMを含む抗CD166活性化可能抗体)が特定されるまで、このような患者は他の抗CD166活性化可能抗体を用いて試験することができる。いくつかの態様では、次いで、患者には、患者において陽性と試験結果がでた治療的有効量の活性化可能抗CD166抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体が投与される。適切なAB、MM、および/またはCMには、本明細書において開示された任意のAB、MM、および/またはCMが含まれる。
本発明による薬学的組成物は本発明の抗体と担体を含んでもよい。これらの薬学的組成物は、例えば、診断キットなどのキットに含まれてもよい。
[本発明1001]
哺乳動物CD166に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片(AB)であって、該ABがヒトCD166およびカニクイザルCD166に特異的に結合する、前記抗体またはその抗原結合断片(AB)。
[本発明1002]
前記抗体またはその抗原結合断片が、
VH CDR1アミノ酸配列
; VH CDR2アミノ酸配列
; VH CDR3アミノ酸配列
; VL CDR1アミノ酸配列
; VL CDR2アミノ酸配列
; および
VL CDR3アミノ酸配列
を含む、本発明1001の単離された抗体。
[本発明1003]
前記抗体またはその抗原結合断片が、SEQ ID NO: 121またはSEQ ID NO: 122のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO: 123~126からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、本発明1001または本発明1002の単離された抗体。
[本発明1004]
ヒトCD166および/またはカニクイザルCD166上の、本発明1001~1003のいずれかの単離された抗体と同じエピトープに結合する、単離された抗体またはその抗原結合断片。
[本発明1005]
ヒトCD166および/またはカニクイザルCD166に対する結合について、本発明1001~1004のいずれかの単離された抗体と交差競合する、単離された抗体またはその抗原結合断片。
[本発明1006]
哺乳動物CD166に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片(AB)であって、該ABがヒトCD166およびカニクイザルCD166に特異的に結合する、前記抗体またはその抗原結合断片(AB);
活性化可能抗体が非切断状態にある場合にCD166に対するABの結合を阻害するマスキング部分(MM); ならびに
ABにカップリングされた切断可能部分(CM)であって、プロテアーゼの基質として機能するポリペプチドである、前記CM
を含む、活性化状態ではCD166に結合する活性化可能抗体。
[本発明1007]
MMが、ABに対する結合について、CD166に対するABの解離定数よりも大きい解離定数を有する、本発明1006の活性化可能抗体。
[本発明1008]
活性化可能抗体が切断状態にある場合、MMがCD166に対する結合についてABに干渉も競合もしない、本発明1006または本発明1007の活性化可能抗体。
[本発明1009]
MMが、長さが40アミノ酸以下のポリペプチドである、本発明1006~1008のいずれかの活性化可能抗体。
[本発明1010]
MMのポリペプチド配列がヒトCD166のポリペプチド配列とは異なる、本発明1006~1009のいずれかの活性化可能抗体。
[本発明1011]
MMのポリペプチド配列の、ABのあらゆる天然の結合パートナーに対する同一性が、50%以下である、本発明1006~1010のいずれかの活性化可能抗体。
[本発明1012]
MMが、SEQ ID NO: 135~238からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、本発明1006~1011のいずれかの活性化可能抗体。
[本発明1013]
MMが、SEQ ID NO: 219~238からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、本発明1006~1012のいずれかの活性化可能抗体。
[本発明1014]
CMが、罹患組織において活性のあるプロテアーゼの基質である、本発明1006~1013のいずれかの活性化可能抗体。
[本発明1015]
CMが、SEQ ID NO: 18~87および318~358からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、本発明1006~1014のいずれかの活性化可能抗体。
[本発明1016]
CMが、SEQ ID NO: 70~87および336~358からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、本発明1006~1015のいずれかの活性化可能抗体。
[本発明1017]
その抗原結合断片が、Fab断片、F(ab')
2
断片、scFv、scAb、dAb、単一ドメイン重鎖抗体、および単一ドメイン軽鎖抗体からなる群より選択される、本発明1001~1005のいずれかの抗体または本発明1006~1016のいずれかの活性化可能抗体。
[本発明1018]
ABがヒトCD166に特異的に結合する、本発明1001~1005のいずれかの抗体または本発明1006~1017のいずれかの活性化可能抗体。
[本発明1019]
ABが、
VH CDR1アミノ酸配列
; VH CDR2アミノ酸配列
; VH CDR3アミノ酸配列
; VL CDR1アミノ酸配列
; VL CDR2アミノ酸配列
; および
VL CDR3アミノ酸配列
を含む、本発明1001~1005のいずれかの抗体または本発明1006~1018のいずれかの活性化可能抗体。
[本発明1020]
ABが、SEQ ID NO: 121またはSEQ ID NO: 122のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO: 123~126からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、本発明1001~1005のいずれかの抗体または本発明1006~1019のいずれかの活性化可能抗体。
[本発明1021]
ABがCMに連結されている、本発明1006~1020のいずれかの活性化可能抗体。
[本発明1022]
ABがCMに直接連結されている、本発明1006~1021のいずれかの活性化可能抗体。
[本発明1023]
ABが連結ペプチドを介してCMに連結されている、本発明1006~1022のいずれかの活性化可能抗体。
[本発明1024]
活性化可能抗体が、非切断状態では、N末端からC末端に向かってMM-CM-ABまたはAB-CM-MMのような構造的配置を含むように、MMがCMに連結されている、本発明1006~1023のいずれかの活性化可能抗体。
[本発明1025]
MMとCMとの間に連結ペプチドを含む、本発明1006~1024のいずれかの活性化可能抗体。
[本発明1026]
CMとABとの間に連結ペプチドを含む、本発明1006~1025のいずれかの活性化可能抗体。
[本発明1027]
第1の連結ペプチド(LP1)および第2の連結ペプチド(LP2)を含み、かつ非切断状態では、N末端からC末端に向かって、MM-LP1-CM-LP2-ABまたはAB-LP2-CM-LP1-MMのような構造的配置を有する、本発明1006~1026のいずれかの活性化可能抗体。
[本発明1028]
2つの連結ペプチドが互いに同一である必要はない、本発明1027の活性化可能抗体。
[本発明1029]
LP1およびLP2の各々が、約1~20アミノ酸長のペプチドである、本発明1027または本発明1028の活性化可能抗体。
[本発明1030]
SEQ ID NO: 121、122または239のアミノ酸配列を含む重鎖と、SEQ ID NO: 123~126、242、244、246、248、303、310、312、314、316および363~474からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む、本発明1006~1029のいずれかの活性化可能抗体。
[本発明1031]
前記活性化可能抗体がアミノ酸配列の組み合わせを含み、該アミノ酸配列の組み合わせが表Aの単一列から選択され、
ここで所与の組み合わせについて
(a) ABの重鎖が、表Aに列挙された単一列内の所与の組み合わせに対応するVH CDR配列のアミノ酸配列を含み、
(b) ABの軽鎖が、表Aに列挙された単一列内の所与の組み合わせに対応するVL CDR配列のアミノ酸配列を含み、
(c) MMが、表Aに列挙された単一列内の所与の組み合わせに対応するマスク配列(MM)のアミノ酸配列を含み、かつ
(d) CMが、表Aに列挙された単一列内の所与の組み合わせに対応する基質配列(CM)のアミノ酸配列を含む、
本発明1006~1030のいずれかの活性化可能抗体。
[本発明1032]
前記活性化可能抗体がアミノ酸配列の組み合わせを含み、ここでアミノ酸配列の所与の組み合わせについて
(a) ABの重鎖が、表Bの対応する縦列に列挙されたVH配列またはVH CDR配列からなる群より選択されるVH配列またはVH CDR配列のアミノ酸配列を含み、
(b) ABの軽鎖が、表Bの対応する縦列に列挙されたVL配列またはVL CDR配列からなる群より選択されるVL配列またはVL CDR配列のアミノ酸配列を含み、
(c) MMが、表Bの対応する縦列に列挙されたMM配列からなる群より選択されるマスク配列(MM)のアミノ酸配列を含み、かつ
(d) CMが、表Bの対応する縦列に列挙されたCM配列からなる群より選択される基質配列(CM)のアミノ酸配列を含む、
本発明1006~1030のいずれかの活性化可能抗体。
[本発明1033]
哺乳動物CD166に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片(AB)と、MMと、CMとを含む活性化可能抗体であって、
SEQ ID NO: 121、122または239のアミノ酸配列を含む重鎖と;
SEQ ID NO: 123~126、242、244、246、248、303、310、312、314、316および363~474からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖配列と
を含む、前記活性化可能抗体。
[本発明1034]
哺乳動物CD166に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片(AB);
SEQ ID NO: 135~238からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むMM; ならびに
SEQ ID NO: 18~87および318~358からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むCM
を含む活性化可能抗体。
[本発明1035]
MMが、SEQ ID NO: 219~238からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、かつCMが、SEQ ID NO: 70~87および336~358からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、本発明1034の活性化可能抗体。
[本発明1036]
ABが、
VH CDR1アミノ酸配列
; VH CDR2アミノ酸配列
; VH CDR3アミノ酸配列
; VL CDR1アミノ酸配列
; VL CDR2アミノ酸配列
; および
VL CDR3アミノ酸配列
を含む、本発明1034または本発明1035の活性化可能抗体。
[本発明1037]
ABが、SEQ ID NO: 121またはSEQ ID NO: 122のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO: 123~126、363~370、373、374、377、378、381、382、385、386、389、390、393、394、397、398、401、402、405、406、409、410、413、414、417、418、421、422、425、426、429、430、433、434、437、438、441、442、445、446、449、450、453、454、457、458、461、462、465、466、469、470、473および474からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、本発明1034~1036のいずれかの活性化可能抗体。
[本発明1038]
哺乳動物CD166に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片(AB)であって、該ABが、ヒトCD166および/またはカニクイザルCD166上の、本発明1001~1005のいずれかの単離された抗体と同じエピトープに特異的に結合する、前記抗体またはその抗原結合断片(AB);
活性化可能抗体が非切断状態にある場合にCD166に対するABの結合を阻害するマスキング部分(MM); ならびに
ABにカップリングされた切断可能部分(CM)であって、プロテアーゼの基質として機能するポリペプチドである、前記CM
を含む、活性化可能抗CD166抗体。
[本発明1039]
哺乳動物CD166に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片(AB)であって、該ABが、ヒトCD166および/またはカニクイザルCD166に対する結合について、本発明1001~1005のいずれかの単離された抗体と特異的に交差競合する、前記抗体またはその抗原結合断片(AB);
活性化可能抗体が非切断状態にある場合にCD166に対するABの結合を阻害するマスキング部分(MM); ならびに
ABにカップリングされた切断可能部分(CM)であって、プロテアーゼの基質として機能するポリペプチドである、前記CM
を含む、活性化可能抗CD166抗体。
[本発明1040]
作用物質にコンジュゲートされた本発明1001~1005のいずれかの抗体または作用物質にコンジュゲートされた本発明1006~1039のいずれかの活性化可能抗体を含む、コンジュゲートされた抗体またはコンジュゲートされた活性化可能抗体。
[本発明1041]
作用物質が毒素またはその断片である、本発明1040のコンジュゲートされた抗体またはコンジュゲートされた活性化可能抗体。
[本発明1042]
作用物質が微小管阻害物質である、本発明1040または本発明1041の活性化可能抗体。
[本発明1043]
作用物質が核酸損傷性作用物質である、本発明1040または本発明1041の活性化可能抗体。
[本発明1044]
作用物質が、ドラスタチンまたはその誘導体、アウリスタチンまたはその誘導体、メイタンシノイドまたはその誘導体、デュオカルマイシンまたはその誘導体、カリケアマイシンまたはその誘導体、およびピロロベンゾジアゼピンまたはその誘導体からなる群より選択される、本発明1040または本発明1041のコンジュゲートされた抗体またはコンジュゲートされた活性化可能抗体。
[本発明1045]
作用物質がアウリスタチンEまたはその誘導体である、本発明1040~1042および1044のいずれかのコンジュゲートされた抗体またはコンジュゲートされた活性化可能抗体。
[本発明1046]
作用物質がモノメチルアウリスタチンE (MMAE)である、本発明1040~1042および1044のいずれかのコンジュゲートされた抗体またはコンジュゲートされた活性化可能抗体。
[本発明1047]
作用物質がモノメチルアウリスタチンD (MMAD)である、本発明1040~1042および1044のいずれかのコンジュゲートされた抗体またはコンジュゲートされた活性化可能抗体。
[本発明1048]
作用物質が、DM1およびDM4からなる群より選択されるメイタンシノイドである、本発明1040~1042および1044のいずれかのコンジュゲートされた抗体またはコンジュゲートされた活性化可能抗体。
[本発明1049]
作用物質がメイタンシノイドDM4である、本発明1040~1042および1044のいずれかのコンジュゲートされた抗体またはコンジュゲートされた活性化可能抗体。
[本発明1050]
作用物質がデュオカルマイシンである、本発明1040、1041、1043および1044のいずれかのコンジュゲートされた抗体またはコンジュゲートされた活性化可能抗体。
[本発明1051]
作用物質がリンカーを介してABにコンジュゲートされている、本発明1040~1050のいずれかのコンジュゲートされた抗体またはコンジュゲートされた活性化可能抗体。
[本発明1052]
作用物質をABにコンジュゲートするリンカーが、SPDB部分、vc部分またはPEG2-vc部分を含む、本発明1040~1051のいずれかのコンジュゲートされた抗体またはコンジュゲートされた活性化可能抗体。
[本発明1053]
リンカーおよびABコンジュゲート毒素が、SPDB-DM4部分、vc-MMAD部分、vc-MMAE部分、vc-デュオカルマイシン部分、またはPEG2-vc-MMAD部分を含む、本発明1040~1051のいずれかのコンジュゲートされた抗体またはコンジュゲートされた活性化可能抗体。
[本発明1054]
リンカーが切断可能リンカーである、本発明1051のコンジュゲートされた抗体またはコンジュゲートされた活性化可能抗体。
[本発明1055]
リンカーが非切断可能リンカーである、本発明1051のコンジュゲートされた抗体またはコンジュゲートされた活性化可能抗体。
[本発明1056]
作用物質が検出可能部分である、本発明1040~1055のいずれかのコンジュゲートされた抗体またはコンジュゲートされた活性化可能抗体。
[本発明1057]
検出可能部分が診断用作用物質である、本発明1056のコンジュゲートされた抗体またはコンジュゲートされた活性化可能抗体。
[本発明1058]
哺乳動物CD166に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片(AB)であって、該ABがヒトCD166およびカニクイザルCD166に特異的に結合する、前記抗体またはその抗原結合断片(AB);
活性化可能抗体が非切断状態にある場合にCD166に対するABの結合を阻害するマスキング部分(MM);
ABにカップリングされた切断可能部分(CM)であって、プロテアーゼの基質として機能するポリペプチドである、前記CM; ならびに
ABにコンジュゲートされた作用物質
を含む、活性化状態ではCD166に結合するコンジュゲートされた活性化可能抗体。
[本発明1059]
作用物質が、ドラスタチンまたはその誘導体、アウリスタチンまたはその誘導体、メイタンシノイドまたはその誘導体、デュオカルマイシンまたはその誘導体、カリケアマイシンまたはその誘導体、およびピロロベンゾジアゼピンまたはその誘導体からなる群より選択される、本発明1058のコンジュゲートされた活性化可能抗体。
[本発明1060]
作用物質が、アウリスタチンE、モノメチルアウリスタチンF (MMAF)、モノメチルアウリスタチンE (MMAE)、モノメチルアウリスタチンD (MMAD)、メイタンシノイドDM4、メイタンシノイドDM1、デュオカルマイシン、ピロロベンゾジアゼピン、およびピロロベンゾジアゼピン二量体からなる群より選択される、本発明1058または1059のコンジュゲートされた活性化可能抗体。
[本発明1061]
作用物質がリンカーを介してABにコンジュゲートされている、本発明1058~1060のいずれかのコンジュゲートされた活性化可能抗体。
[本発明1062]
作用物質をABにコンジュゲートするリンカーが、SPDB部分、vc部分またはPEG2-vc部分を含む、本発明1058~1061のいずれかのコンジュゲートされた抗体またはコンジュゲートされた活性化可能抗体。
[本発明1063]
リンカーおよびABコンジュゲート毒素が、SPDB-DM4部分、vc-MMAD部分、vc-MMAE部分、vc-デュオカルマイシン部分、またはPEG2-vc-MMAD部分を含む、本発明1058~1062のいずれかのコンジュゲートされた抗体またはコンジュゲートされた活性化可能抗体。
[本発明1064]
前記抗体またはその抗原結合断片が、
VH CDR1配列
; VH CDR2アミノ酸配列
; VH CDR3アミノ酸配列
; VL CDR1アミノ酸配列
; VL CDR2アミノ酸配列
; および
VL CDR3アミノ酸配列
を含む、本発明1058~1063のいずれかのコンジュゲートされた活性化可能抗体。
[本発明1065]
前記抗体またはその抗原結合断片が、SEQ ID NO: 121および122からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO: 123~126、363~370、373、374、377、378、381、382、385、386、389、390、393、394、397、398、401、402、405、406、409、410、413、414、417、418、421、422、425、426、429、430、433、434、437、438、441、442、445、446、449、450、453、454、457、458、461、462、465、466、469、470、473および474からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、本発明1058~1064のいずれかのコンジュゲートされた活性化可能抗体。
[本発明1066]
MMが、SEQ ID NO: 135~238からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、本発明1058~1065のいずれかのコンジュゲートされた活性化可能抗体。
[本発明1067]
MMが、SEQ ID NO: 219~238からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、本発明1058~1066のいずれかのコンジュゲートされた活性化可能抗体。
[本発明1068]
CMが、SEQ ID NO: 18~87および318~358からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、本発明1058~1067のいずれかのコンジュゲートされた活性化可能抗体。
[本発明1069]
CMが、SEQ ID NO: 70~87および336~358からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、本発明1058~1068のいずれかのコンジュゲートされた活性化可能抗体。
[本発明1070]
前記活性化可能抗体がアミノ酸配列の組み合わせを含み、該アミノ酸配列の組み合わせが表Aの単一列から選択され、
ここで所与の組み合わせについて
(a) ABの重鎖が、表Aに列挙された単一列内の所与の組み合わせに対応するVH CDR配列のアミノ酸配列を含み、
(b) ABの軽鎖が、表Aに列挙された単一列内の所与の組み合わせに対応するVL CDR配列のアミノ酸配列を含み、
(c) MMが、表Aに列挙された単一列内の所与の組み合わせに対応するマスク配列(MM)のアミノ酸配列を含み、かつ
(d) CMが、表Aに列挙された単一列内の所与の組み合わせに対応する基質配列(CM)のアミノ酸配列を含む、
本発明1058~1069のいずれかのコンジュゲートされた活性化可能抗体。
[本発明1071]
前記活性化可能抗体がアミノ酸配列の組み合わせを含み、ここでアミノ酸配列の所与の組み合わせについて
(a) ABの重鎖が、表Bの対応する縦列に列挙されたVH配列またはVH CDR配列からなる群より選択されるVH配列またはVH CDR配列のアミノ酸配列を含み、
(b) ABの軽鎖が、表Bの対応する縦列に列挙されたVL配列またはVL CDR配列からなる群より選択されるVL配列またはVL CDR配列のアミノ酸配列を含み、
(c) MMが、表Bの対応する縦列に列挙されたMM配列からなる群より選択されるマスク配列(MM)のアミノ酸配列を含み、かつ
(d) CMが、表Bの対応する縦列に列挙されたCM配列からなる群より選択される基質配列(CM)のアミノ酸配列を含む、
本発明1058~1070のいずれかのコンジュゲートされた活性化可能抗体。
[本発明1072]
SEQ ID NO: 121、122または239のアミノ酸配列を含む重鎖; ならびに
SEQ ID NO: 123~126、242、244、246、248、303、310、312、314、316および363~474からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む、本発明1058~1071のいずれかのコンジュゲートされた活性化可能抗体。
[本発明1073]
以下を含む、コンジュゲートされた抗体:
(a) 哺乳動物CD166に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片(AB)であって、該ABが、
(i) VH CDR1アミノ酸配列
; VH CDR2アミノ酸配列
; VH CDR3アミノ酸配列
; VL CDR1アミノ酸配列
; VL CDR2アミノ酸配列
; および
VL CDR3アミノ酸配列
または
(ii) SEQ ID NO: 121および122からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、ならびにSEQ ID NO: 123~126、363~370、373、374、377、378、381、382、385、386、389、390、393、394、397、398、401、402、405、406、409、410、413、414、417、418、421、422、425、426、429、430、433、434、437、438、441、442、445、446、449、450、453、454、457、458、461、462、465、466、469、470、473および474からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、または
(iii) SEQ ID NO: 121、122および239からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖、ならびにSEQ ID NO: 123~126、242、244、246、248、303、310、312、314、316および363~474からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む、前記抗体またはその抗原結合断片(AB); ならびに
(b) アウリスタチンE、モノメチルアウリスタチンF (MMAF)、モノメチルアウリスタチンE (MMAE)、モノメチルアウリスタチンD (MMAD)、メイタンシノイドDM4、メイタンシノイドDM1、ピロロベンゾジアゼピン、ピロロベンゾジアゼピン二量体およびデュオカルマイシンからなる群より選択される、ABにコンジュゲートされた作用物質。
[本発明1074]
哺乳動物CD166に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片(AB)であって、該ABがヒトCD166およびカニクイザルCD166に特異的に結合する、前記抗体またはその抗原結合断片(AB);
活性化可能抗体が非切断状態にある場合にCD166に対するABの結合を阻害するマスキング部分(MM);
ABにカップリングされた切断可能部分(CM)であって、プロテアーゼの基質として機能するポリペプチドである、前記CM; ならびに
ABにコンジュゲートされた作用物質
を含む、活性化状態ではCD166に結合するコンジュゲートされた活性化可能抗体であって、
ABが以下:
(i) VH CDR1アミノ酸配列
; VH CDR2アミノ酸配列
; VH CDR3アミノ酸配列
; VL CDR1アミノ酸配列
; VL CDR2アミノ酸配列
; および
VL CDR3アミノ酸配列
または
(ii) SEQ ID NO: 121および122からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、ならびにSEQ ID NO: 123~126、363~370、373、374、377、378、381、382、385、386、389、390、393、394、397、398、401、402、405、406、409、410、413、414、417、418、421、422、425、426、429、430、433、434、437、438、441、442、445、446、449、450、453、454、457、458、461、462、465、466、469、470、473および474からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、または
(iii) SEQ ID NO: 121、122および239からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖、ならびにSEQ ID NO: 123~126、242、244、246、248、303、310、312、314、316および363~474からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖
を含み; かつ
作用物質が、アウリスタチンE、モノメチルアウリスタチンF (MMAF)、モノメチルアウリスタチンE (MMAE)、モノメチルアウリスタチンD (MMAD)、メイタンシノイドDM4、メイタンシノイドDM1、ピロロベンゾジアゼピン、ピロロベンゾジアゼピン二量体およびデュオカルマイシンからなる群より選択される、
前記活性化可能抗体。
[本発明1075]
MMが、SEQ ID NO: 135~238からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、本発明1074のコンジュゲートされた活性化可能抗体。
[本発明1076]
MMが、SEQ ID NO: 219~238からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、本発明1074または本発明1075のコンジュゲートされた活性化可能抗体。
[本発明1077]
CMが、SEQ ID NO: 18~87および318~358からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、本発明1074~1076のいずれかのコンジュゲートされた活性化可能抗体。
[本発明1078]
CMが、SEQ ID NO: 70~87および336~358からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、本発明1074~1077のいずれかのコンジュゲートされた活性化可能抗体。
[本発明1079]
作用物質がリンカーを介してABにコンジュゲートされており、かつ作用物質をABにコンジュゲートするリンカーが、SPDB部分、vc部分またはPEG2-vc部分を含む、本発明1074~1078のいずれかのコンジュゲートされた活性化可能抗体。
[本発明1080]
リンカーおよびABコンジュゲート毒素が、SPDB-DM4部分、vc-MMAD部分、vc-MMAE部分、vc-デュオカルマイシン部分、またはPEG2-vc-MMAD部分を含む、本発明1074~1078のいずれかのコンジュゲートされた抗体またはコンジュゲートされた活性化可能抗体。
[本発明1081]
活性化状態ではCD166に結合する抗体またはその抗原結合断片(AB); および
リンカーを介してABにコンジュゲートされた毒素
を含むコンジュゲートされた活性化可能抗体またはコンジュゲートされた抗体であって、
該コンジュゲートされた活性化可能抗体またはコンジュゲートされた抗体が、表Cの単一列から選択されるアミノ酸配列、リンカーおよび毒素を含み、ここで所与の組み合わせについて、
(a) ABが、表Cに列挙された単一列内の所与の組み合わせに対応する重鎖配列または重鎖可変ドメイン配列のアミノ酸配列を含む重鎖を含み、
(b) ABが、表Cに列挙された単一列内の所与の組み合わせに対応する軽鎖配列または軽鎖可変ドメイン配列のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、かつ
(c) リンカーおよび毒素が、表Cに列挙された単一列内の所与の組み合わせに対応するリンカーおよび毒素を含む、
前記コンジュゲートされた活性化可能抗体またはコンジュゲートされた抗体。
[本発明1082]
本発明1001~1005のいずれかの抗体、本発明1006~1039のいずれかの活性化可能抗体、または本発明1040~1081のいずれかのコンジュゲートされた抗体もしくはコンジュゲートされた活性化可能抗体、および担体を含む、薬学的組成物。
[本発明1083]
さらなる作用物質を含む、本発明1082の薬学的組成物。
[本発明1084]
さらなる作用物質が治療用作用物質である、本発明1083の薬学的組成物。
[本発明1085]
本発明1001~1005のいずれかの単離された抗体または本発明1006~1081のいずれかの活性化可能抗体をコードする、単離された核酸分子。
[本発明1086]
本発明1085の単離された核酸分子を含む、ベクター。
[本発明1087]
本発明1085の核酸分子または本発明1086のベクターを含む細胞を、抗体または活性化可能抗体の発現をもたらす条件下で培養することによって、抗体または活性化可能抗体を産生する方法。
[本発明1088]
活性化状態ではCD166に結合する活性化可能抗体を製造する方法であって、
(a) 本発明1006~1039のいずれかの活性化可能抗体を含む活性化可能抗体の発現をもたらす条件下で、活性化可能抗体をコードする核酸構築体を含む細胞を培養する段階; および
(b) 活性化可能抗体を回収する段階
を含む、前記方法。
[本発明1089]
治療的有効量の本発明1001~1005のいずれかの抗体、本発明1006~1039のいずれかの活性化可能抗体、本発明1040~1081のいずれかのコンジュゲートされた抗体もしくはコンジュゲートされた活性化可能抗体、または本発明1082~1084のいずれかの薬学的組成物を、その必要のある対象に投与する段階を含む、罹患細胞がCD166を発現する障害または疾患を処置するか、その症状を緩和するか、またはその進行を遅らせる方法。
[本発明1090]
障害または疾患が、がんである、本発明1089の方法。
[本発明1091]
治療的有効量の本発明1001~1005のいずれかの抗体、本発明1006~1039のいずれかの活性化可能抗体、本発明1040~1081のいずれかのコンジュゲートされた抗体もしくはコンジュゲートされた活性化可能抗体、または本発明1082~1084のいずれかの薬学的組成物を、その必要のある対象に投与する段階を含む、CD166を発現する細胞に関連した障害または疾患を処置するか、その症状を緩和するか、またはその進行を遅らせる方法。
[本発明1092]
CD166を発現する細胞に関連した障害または疾患が、がんである、本発明1091の方法。
[本発明1093]
がんが、腺癌、胆管(胆道)癌、膀胱癌、骨がん、乳癌、Her2陰性乳癌、トリプルネガティブ乳癌、子宮内膜癌、エストロゲン受容体陽性乳癌、カルチノイド、子宮頸癌、胆管癌、大腸癌、結腸癌、子宮内膜癌、神経膠腫、頭頸部癌、頭頸部扁平上皮癌、白血病、肝臓癌、肺癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、リンパ腫、黒色腫、口腔咽頭癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、転移性去勢抵抗性前立腺癌、腎臓癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮細胞癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、泌尿生殖器癌、または尿路上皮癌である、本発明1090または本発明1092の方法。
[本発明1094]
がんが、胆管癌、子宮内膜癌、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、エストロゲン受容体陽性乳癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、前立腺癌(prostate carcinoma)、小細胞肺癌(SCLC)、口腔咽頭癌、子宮頸癌、卵巣癌、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)、および前立腺癌(prostate cancer)からなる群より選択される、本発明1090または本発明1092の方法。
[本発明1095]
治療的有効量の本発明1001~1005のいずれかの抗体、本発明1006~1039のいずれかの活性化可能抗体、本発明1040~1081のいずれかのコンジュゲートされた抗体もしくはコンジュゲートされた活性化可能抗体、または本発明1082~1084のいずれかの薬学的組成物を、その必要のある対象に投与する段階を含む、哺乳動物CD166を発現する細胞の成長、増殖または転移を阻害または低減する方法。
[本発明1096]
治療的有効量の本発明1001~1005のいずれかの抗体、本発明1006~1039のいずれかの活性化可能抗体、本発明1040~1081のいずれかのコンジュゲートされた抗体もしくはコンジュゲートされた活性化可能抗体、または本発明1082~1084のいずれかの薬学的組成物を、その必要のある対象に投与する段階を含む、哺乳動物CD166に対する天然リガンドまたは受容体の結合を阻害する、ブロックするまたは阻止する方法。
[本発明1097]
天然リガンドまたは受容体が哺乳動物CD6である、本発明1096の方法。
[本発明1098]
哺乳動物CD166の発現および/または活性が異常である、本発明1089~1097のいずれかの方法。
[本発明1099]
さらなる作用物質を投与する段階を含む、本発明1089~1098のいずれかの方法。
[本発明1100]
さらなる作用物質が治療用作用物質である、本発明1099の方法。
発明の詳細な説明
本発明は、活性化白血球細胞接着分子(ALCAM)としても知られている、CD166に特異的に結合するモノクローナル抗体(mAb)および活性化可能モノクローナル抗体を提供する。いくつかの態様において、モノクローナル抗体および活性化可能モノクローナル抗体は、CD166含有細胞によって内部移行される。CD166は、スカベンジャー受容体システインリッチ(SRCR)タンパク質スーパーファミリー(SRCRSF)に属する細胞表面受容体であるCD6に結合する細胞接着分子である。CD166は、細胞間および細胞・マトリックス間の相互作用、細胞接着、細胞移動、ならびにT細胞活性化および増殖に関連することが知られている。CD166およびCD166関連シグナル伝達の異常な発現および/または活性は、がん、炎症および自己免疫のような、多くの疾患および障害の病因に関与している。例えば、CD166は、例えば、前立腺癌、乳癌、NSCLCおよび/またはSCLCのような肺癌、口腔咽頭癌、子宮頸癌、ならびにHNSCCのような頭頸部癌のような種々のがんの種類において高度に発現される。
本開示は、異常なCD166発現および/または活性に関連する疾患または障害の症状を処置する、予防する、その進行を遅らせる、その症状を改善するおよび/または緩和する方法において有用である抗CD166抗体、コンジュゲートされた抗CD166抗体、活性化可能抗CD166抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体を提供する。例えば、活性化可能抗CD166抗体は、がんまたは他の新生物状態の症状を処置する、予防する、その進行を遅らせる、その症状を改善するおよび/または緩和する方法において用いられる。
本開示は、CD166を発現する細胞に関連する疾患または障害の症状を処置する、予防する、その進行を遅らせる、その症状を改善するおよび/または緩和する方法において有用である抗CD166抗体、コンジュゲートされた抗CD166抗体、活性化可能抗CD166抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体を提供する。いくつかの態様において、細胞は、異常なCD166発現および/または活性に関連する。いくつかの態様において、細胞は、正常なCD166発現および/または活性に関連する。例えば、活性化可能抗CD166抗体は、がんまたは他の新生物状態の症状を処置する、予防する、その進行を遅らせる、その症状を改善するおよび/または緩和する方法において用いられる。
本開示は、罹患細胞がCD166を発現する疾患または障害の症状を処置する、予防する、その進行を遅らせる、その症状を改善するおよび/または緩和する方法において有用である抗CD166抗体、コンジュゲートされた抗CD166抗体、活性化可能抗CD166抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体を提供する。いくつかの態様において、罹患細胞は、異常なCD166発現および/または活性に関連する。いくつかの態様において、罹患細胞は、正常なCD166発現および/または活性に関連する。例えば、活性化可能抗CD166抗体は、がんまたは他の新生物状態の症状を処置する、予防する、その進行を遅らせる、その症状を改善するおよび/または緩和する方法において用いられる。
活性化可能抗CD166抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体は、CD166に結合する抗体またはその抗原結合断片の能力をMMのカップリングが低減させるような、マスキング部分(MM)にカップリングされた、CD166に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む。いくつかの態様において、MMはプロテアーゼ、例えば、対象の処置部位でCD166と共局在するプロテアーゼの基質を含む配列を介してカップリングされる。
本発明の例示的な活性化可能抗CD166抗体には、例えば、以下に示される重鎖可変配列および軽鎖可変配列であるか、またはそれに由来する重鎖および軽鎖を含む活性化可能抗体が含まれる(www_bioinf_org_uk/abs/ で利用可能な、Dr. Andrew C. R. Martinのウェブサイトにおいて提供されているAbM定義にしたがって定義されたCDR配列は、太字および下線で示されている)。
本発明の例示的な活性化可能抗CD166抗体としては、例えば、以下に示される重鎖および軽鎖可変部であるか、またはそれに由来する重鎖および軽鎖を含む活性化可能抗体が挙げられる。
本発明の例示的な活性化可能抗CD166抗体としては、例えば、可変重鎖相補性決定領域1 (VH CDR1、本明細書においてCDRH1ともいわれる)配列、可変重鎖相補性決定領域2 (VH CDR2、本明細書においてCDRH2ともいわれる)配列、可変重鎖相補性決定領域3 (VH CDR3、本明細書においてCDRH3ともいわれる)配列、可変軽鎖相補性決定領域1 (VL CDR1、本明細書においてCDRL1ともいわれる)配列、可変軽鎖相補性決定領域2 (VL CDR2、本明細書においてCDRL2ともいわれる)配列および可変軽鎖相補性決定領域3 (VL CDR3、本明細書においてCDRL3ともいわれる)配列の組み合わせを含む活性化可能抗体が挙げられ、ここで少なくとも1つのCDR配列が、アミノ酸配列
を含むVH CDR1配列; アミノ酸配列
を含むVH CDR2配列; アミノ酸配列
を含むVH CDR3配列; アミノ酸配列
を含むVL CDR1配列; アミノ酸配列
を含むVL CDR2配列; およびアミノ酸配列
を含むVL CDR3配列
からなる群より選択される。
いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体は、各々の内容が参照によりその全体として本明細書に組み入れられる、米国特許出願公開第20150071937号、同第20090070890号、および/または同第20090203538号に示される重鎖アミノ酸配列を含む、またはそれに由来する重鎖を含む。
いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体は、各々の内容が参照によりその全体として本明細書に組み入れられる、米国特許出願公開第20150071937号、同第20090070890号、および/または同第20090203538号に示されるCDR酸配列を含む、またはそれに由来するVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、および/またはVL CDR3配列を含む重鎖を含む。
いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体は、表12に示される重鎖アミノ酸配列を含む、またはそれに由来する重鎖を含む。いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体は、表12に示される重鎖アミノ酸配列を含む、またはそれに由来する軽鎖を含む。いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体は、表12に示される重鎖アミノ酸配列を含む、またはそれに由来する重鎖、および表12に示される軽鎖アミノ酸配列を含む、またはそれに由来する軽鎖を含む。いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体は、表12のグループAに示される組み合わせ由来の重鎖可変領域および軽鎖可変領域配列の組み合わせを含む。いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体は、表12のグループBに示される配列由来の重鎖可変領域および軽鎖可変領域配列の組み合わせを含む。いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体は、表12のグループCに示される配列由来の重鎖可変領域および軽鎖可変領域配列の組み合わせを含む。いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体は、表12のグループDに示される配列由来の重鎖可変領域および軽鎖可変領域配列の組み合わせを含む。
いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体は、表12のグループAに示される重鎖配列由来の重鎖配列の相補性決定領域(CDR)配列の組み合わせを含む。いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体は、表12のグループAに示される軽鎖配列由来の軽鎖配列のCDRの組み合わせを含む。いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体は、表12のグループAに示される重鎖配列由来の重鎖配列のCDR、および表12のグループAに示される重鎖配列由来の軽鎖配列のCDRの組み合わせを含む。
いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体は、表12のグループBに示される重鎖配列由来の重鎖配列のCDRの組み合わせを含む。いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体は、表12のグループBに示される軽鎖配列由来の軽鎖配列のCDRの組み合わせを含む。いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体は、表12のグループBに示される重鎖配列由来の重鎖配列のCDR、および表12のグループBに示される重鎖配列由来の軽鎖配列のCDRの組み合わせを含む。
いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体は、表12のグループCに示される重鎖配列由来の重鎖配列のCDRの組み合わせを含む。いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体は、表12のグループCに示される軽鎖配列由来の軽鎖配列のCDRの組み合わせを含む。いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体は、表12のグループCに示される重鎖配列由来の重鎖配列のCDR、および表12のグループCに示される重鎖配列由来の軽鎖配列のCDRの組み合わせを含む。
いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体は、表12のグループDに示される重鎖配列由来の重鎖配列のCDRの組み合わせを含む。いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体は、表12のグループDに示される軽鎖配列由来の軽鎖配列のCDRの組み合わせを含む。いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体は、表12のグループDに示される重鎖配列由来の重鎖配列のCDR、および表12のグループDに示される重鎖配列由来の軽鎖配列のCDRの組み合わせを含む。
(表12)CD166に結合する活性化可能抗体の可変重鎖領域(VH)および可変軽鎖領域(VL)配列
いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体は、表13に示されるCDR配列、表13の単一列内に示される組み合わせからなる群より選択されるVL CDR配列(VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3)の組み合わせ、表13に示される組み合わせからなる群より選択されるVH CDR配列(VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3)の組み合わせ、または表13に示される組み合わせからなる群より選択されるVL CDRおよびVH CDR配列(VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3)の組み合わせを含む。
(表13)CD166に結合する抗体および活性化可能抗体のCDR配列
いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体は、例えば、米国特許出願公開第20040048319号に開示され、寄託番号PTA-4478の下でアメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection; ATCC)に寄託されているハイブリドーマのようなハイブリドーマにより製造され、分泌されまたはその他の方法で産生される抗体を含むか、またはそれに由来する。いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体は、例えば、米国特許第6,022,540号に開示され、寄託番号HB 11789の下でATCCに寄託されているハイブリドーマのようなハイブリドーマにより製造され、分泌されまたはその他の方法で産生される抗体を含むか、またはそれに由来する。
いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体は、例えば、米国特許第5,998,172号に開示され、寄託番号HB 12136、HB 12137、HB 12138、HB12139、HB 12140および/またはHB 12141の下でATCCに寄託されているハイブリドーマのようなハイブリドーマにより製造され、分泌されまたはその他の方法で産生される抗体を含むか、またはそれに由来する。
本開示の活性化可能抗体における抗CD166抗体およびABは、例えば、哺乳動物CD166および/またはヒトCD166のような、CD166標的に特異的に結合する。本開示の抗体および/または本明細書において記述される活性化された活性化可能抗体と同じCD166エピトープに結合する抗CD166抗体およびABも本開示に含まれる。CD166標的、例えばヒトCD166に対する結合について、本明細書において記述される抗CD166抗体および/または活性化された抗CD166活性化可能抗体と競合する抗CD166抗体およびABも本開示に含まれる。CD166標的、例えばヒトCD166に対する結合について、本明細書において記述される抗CD166抗体および/または活性化された抗CD166活性化可能抗体と交差競合する抗CD166抗体およびABも本開示に含まれる。
本明細書で提供される活性化可能抗CD166抗体は、マスキング部分を含む。いくつかの態様において、マスキング部分は、抗CD166抗体にカップリングされるかまたは別の方法で付加されるアミノ酸配列であり、マスキング部分が、抗CD166抗体のCD166に特異的に結合する能力を低減させるように、活性化可能抗CD166抗体構築物内に位置づけられる。好適なマスキング部分は、様々な公知の技法のいずれかを用いて特定される。例えば、ペプチドマスキング部分は、DaughertyらによるPCT公開公報第WO 2009/025846号に記載されている方法を用いて特定され、それらの内容は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
本明細書で提供される活性化可能抗CD166抗体は、切断可能部分を含む。いくつかの態様において、切断可能部分は、プロテアーゼ、通常は細胞外プロテアーゼに対する基質であるアミノ酸配列を含む。好適な基質は、様々な公知の技法のいずれかを用いて特定される。例えば、ペプチド基質は、Daughertyらによる米国特許第7,666,817号;Staglianoらによる米国特許第8,563,269号;およびLa PorteらによるPCT公開公報第WO 2014/026136号に記載されている方法を用いて特定され、それらの各々の内容は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。(Boulware et al. "Evolutionary optimization of peptide substrates for proteases that exhibit rapid hydrolysis kinetics." Biotechnol Bioeng. 106.3 (2010): 339-46も参照されたい。)
例示的な基質には、表4に列挙される以下の酵素またはプロテアーゼのうちの1つまたは複数によって切断可能な基質が含まれるが、それらに限定されない。
本明細書に記載される活性化可能抗CD166抗体は、抗体治療法、とりわけ、インビボで少なくともある程度まで毒性であることが公知である抗体治療法の限界を克服する。標的媒介性毒性は、治療用抗体の開発にとって大きな制限となっている。本明細書で提供される活性化可能抗CD166抗体は、伝統的な治療用抗体による正常組織中の標的の阻害と関連する毒性に対処するように設計されている。これらの活性化可能抗CD166抗体は、疾患の部位でタンパク質分解性に活性化されるまでマスクされたままである。親治療用抗体として抗CD166抗体から出発して、本発明の活性化可能抗CD166抗体を、プロテアーゼ基質を組み込むリンカーを通して抗体を阻害性マスクにカップリングすることによって作製した。
ABがMMで修飾され、かつ標的の存在下にある場合、ABのその標的に対する特異的結合は、標的に対する、MMで修飾されていないABの特異的結合または親ABの特異的結合と比較して、低減または阻害される。
標的に対する、MMで修飾されたABのKdは、標的に対する、MMで修飾されていないABまたは親ABのKdよりも、少なくとも5、10、25、50、100、250、500、1,000、2,500、5,000、10,000、50,000、100,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000倍もしくはそれよりも大きい、または、5~10、10~100、10~1,000、10~10,000、10~100,000、10~1,000,000、10~10,000,000、100~1,000、100~10,000、100~100,000、100~1,000,000、100~10,000,000、1,000~10,000、1,000~100,000、1,000~1,000,000、1000~10,000,000、10,000~100,000、10,000~1,000,000、10,000~10,000,000、100,000~1,000,000、もしくは100,000~10,000,000倍大きい。逆に、標的に対する、MMで修飾されたABの結合親和性は、標的に対する、MMで修飾されていないABまたは親ABの結合親和性よりも、少なくとも2、3、4、5、10、25、50、100、250、500、1,000、2,500、5,000、10,000、50,000、100,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000倍もしくはそれよりも大きい、または、5~10、10~100、10~1,000、10~10,000、10~100,000、10~1,000,000、10~10,000,000、100~1,000、100~10,000、100~100,000、100~1,000,000、100~10,000,000、1,000~10,000、1,000~100,000、1,000~1,000,000、1000~10,000,000、10,000~100,000、10,000~1,000,000、10,000~10,000,000、100,000~1,000,000、もしくは100,000~10,000,000倍低い。
ABに対するMMの解離定数(Kd)は、一般に、標的に対するABのKdよりも大きい。ABに対するMMのKdは、標的に対するABのKdよりも少なくとも5、10、25、50、100、250、500、1,000、2,500、5,000、10,000、100,000、1,000,000倍、または10,000,000倍大きいことすらある。逆に、ABに対するMMの結合親和性は、一般に、標的に対するABの結合親和性よりも低い。ABに対するMMの結合親和性は、標的に対するABの結合親和性よりも少なくとも5、10、25、50、100、250、500、1,000、2,500、5,000、10,000、100,000、1,000,000倍、または10,000,000倍低いことすらある。
いくつかの態様において、ABに対するMMの解離定数(Kd)は、標的に対するABのKdとほぼ同等である。いくつかの態様において、ABに対するMMの解離定数(Kd)は、標的に対するABの解離定数以下である。
いくつかの態様において、ABに対するMMの解離定数(Kd)は、標的に対するABの解離定数よりも小さい。
いくつかの態様において、ABに対するMMの解離定数(Kd)は、標的に対するABの解離定数よりも大きい。
いくつかの態様において、MMは、ABに対する結合について、標的に対するABの結合についてのKd以下であるKdを有する。
いくつかの態様において、MMは、ABに対する結合について、標的に対するABの結合についてのKd以上であるKdを有する。
いくつかの態様において、MMは、ABに対する結合について、標的に対するABの結合についてのKdとほぼ同等であるKdを有する。
いくつかの態様において、MMは、ABに対する結合について、標的に対するABの結合についてのKdよりも小さいKdを有する。
いくつかの態様において、MMは、ABに対する結合について、標的に対するABの結合についてのKdよりも大きいKdを有する。
いくつかの態様において、MMは、ABに対する結合について、標的に対するABの結合についてのKdの2、3、4、5、10、25、50、100、250、500、または1,000倍以下だけ大きいKdを有する。いくつかの態様において、MMは、ABに対する結合について、標的に対するABの結合のKdの1~5、2~5、2~10、5~10、5~20、5~50、5~100、10~100、10~1,000、20~100、20~1000、または100~1,000倍大きいKdを有する。
いくつかの態様において、MMは、ABに対する結合について、標的に対するABの結合親和性よりも低い親和性を有する。
いくつかの態様において、MMは、ABに対する結合について、標的に対するABの結合親和性以下である親和性を有する。
いくつかの態様において、MMは、ABに対する結合について、標的に対するABの結合親和性とほぼ同等である親和性を有する。
いくつかの態様において、MMは、ABに対する結合について、標的に対するABの結合親和性以上である親和性を有する。
いくつかの態様において、MMは、ABに対する結合について、標的に対するABの結合親和性よりも高い親和性を有する。
いくつかの態様において、MMは、ABに対する結合について、標的に対するABの結合親和性よりも2、3、4、5、10、25、50、100、250、500、または1,000倍低い親和性を有する。いくつかの態様において、MMは、ABに対する結合について、標的に対するABの結合親和性よりも1~5、2~5、2~10、5~10、5~20、5~50、5~100、10~100、10~1,000、20~100、20~1000、または100~1,000倍低い親和性を有する。いくつかの態様において、MMは、ABに対する結合について、標的に対するABの結合親和性よりも2~20倍低い親和性を有する。いくつかの態様において、ABに共有結合で連結されておらず、かつABと等モル濃度のMMは、標的に対するABの結合を阻害しない。
ABがMMで修飾され、かつ標的の存在下にある場合、ABのその標的に対する特異的結合は、標的に対する、MMで修飾されていないABの特異的結合または親ABの特異的結合と比較して、低減または阻害される。標的に対する、MMで修飾されていないABの結合または親ABの結合と比較した場合、MMで修飾した場合の、標的に結合するABの能力は、インビボでまたはインビトロアッセイにおいて測定した際、少なくとも2、4、6、8、12、28、24、30、36、48、60、72、84、もしくは96時間、または5、10、15、30、45、60、90、120、150、もしくは180日、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12か月またはそれより長くに渡って、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、およびさらに100%低減され得る。
MMは、標的に対するABの結合を阻害する。MMは、ABの抗原結合ドメインに結合し、標的に対するABの結合を阻害する。MMは、標的に対するABの結合を立体的に阻害することができる。MMは、ABのその標的に対する結合をアロステリックに阻害することができる。これらの態様において、ABが修飾されるかまたはMMにカップリングされ、かつ標的の存在下にある場合、インビボでまたはインビトロアッセイにおいて測定した際、少なくとも2、4、6、8、12、28、24、30、36、48、60、72、84、もしくは96時間、または5、10、15、30、45、60、90、120、150、もしくは180日、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12か月またはそれより長くに渡って、標的に対するABの結合は存在しないかもしくは実質的に結合が存在せず、または、標的に対する、MMで修飾されていないAB、親AB、もしくはMMにカップリングされていないABの結合と比較して、標的に対するABの結合は、0.001%、0.01%、0.1%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、または50%以下である。
ABがMMにカップリングされるかまたはMMにより修飾されている場合、MMは、標的に対するABの特異的結合を「マスクする」か、または低減させるか、またはさもなくば阻害する。ABがMMにカップリングされるかまたはMMにより修飾されている場合、そのようなカップリングまたは修飾は、構造変化をもたらすことができ、それが、ABのその標的に特異的に結合する能力を低減または阻害する。
MMにカップリングされるかまたはMMで修飾されているABは、以下の式によって表すことができる(アミノ(N)末端領域からカルボキシル(C)末端領域への順序):
(MM)-(AB)
(AB)-(MM)
(MM)-L-(AB)
(AB)-L-(MM)
式中、MMはマスキング部分であり、ABは抗体またはその抗体断片であり、かつLはリンカーである。多くの態様において、可動性を提供するために1つまたは複数のリンカー、例えばフレキシブルリンカーを、組成物中に挿入することが望ましい場合がある。
ある特定の態様において、MMは、ABの天然の結合パートナーではない。いくつかの態様において、MMは、ABのいずれの天然の結合パートナーに対しても相同性を有さないか、または実質的に相同性を有さない。いくつかの態様において、MMの、ABのあらゆる天然の結合パートナーに対する類似性は、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、または80%以下である。いくつかの態様において、MMの、ABのあらゆる天然の結合パートナーに対する同一性は、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、または80%以下である。いくつかの態様において、MMの、ABのあらゆる天然の結合パートナーに対する同一性は、25%以下である。いくつかの態様において、MMの、ABのあらゆる天然の結合パートナーに対する同一性は、50%以下である。いくつかの態様において、MMの、ABのあらゆる天然の結合パートナーに対する同一性は、20%以下である。いくつかの態様において、MMの、ABのあらゆる天然の結合パートナーに対する同一性は、10%以下である。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、MMにより修飾され、かつ1つまたは複数の切断可能部分(CM)も含むABを含む。そのような活性化可能抗体は、ABの標的に対して、活性化可能/切り換え可能な結合を呈する。活性化可能抗体は、一般に、マスキング部分(MM)および修飾可能または切断可能な部分(CM)により修飾されるかまたはそれにカップリングされた、抗体または抗体断片(AB)を含む。いくつかの態様において、CMは、少なくとも1つのプロテアーゼに対する基質として働くアミノ酸配列を含有する。
活性化可能抗体の要素は、切断された(または相対的に活性の)状態および標的の存在下で、ABが標的に結合し、活性化可能抗体が切断されていない(または相対的に不活性の)状態で標的の存在下にある間は、ABのその標的に対する特異的結合が低減または阻害されるように、MMおよびCMが位置づけられて配置される。ABのその標的に対する特異的結合は、ABのその標的に特異的に結合する能力のMMによる阻害またはマスキングに起因して低減され得る。
標的に対するMMおよびCMで修飾されたABのKdは、標的に対するMMおよびCMで修飾されていないABまたは親ABのKdよりも、少なくとも5、10、25、50、100、250、500、1,000、2,500、5,000、10,000、50,000、100,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000倍もしくはそれより大きい、または、5~10、10~100、10~1,000、10~10,000、10~100,000、10~1,000,000、10~10,000,000、100~1,000、100~10,000、100~100,000、100~1,000,000、100~10,000,000、1,000~10,000、1,000~100,000、1,000~1,000,000、1000~10,000,000、10,000~100,000、10,000~1,000,000、10,000~10,000,000、100,000~1,000,000、もしくは100,000~10,000,000倍大きい。逆に、標的に対するMMおよびCMで修飾されたABの結合親和性は、標的に対するMMおよびCMで修飾されていないABまたは親ABの結合親和性よりも、少なくとも5、10、25、50、100、250、500、1,000、2,500、5,000、10,000、50,000、100,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000倍もしくはそれより大きい、または、5~10、10~100、10~1,000、10~10,000、10~100,000、10~1,000,000、10~10,000,000、100~1,000、100~10,000、100~100,000、100~1,000,000、100~10,000,000、1,000~10,000、1,000~100,000、1,000~1,000,000、1000~10,000,000、10,000~100,000、10,000~1,000,000、10,000~10,000,000、100,000~1,000,000、もしくは100,000~10,000,000倍低い。
ABがMMおよびCMで修飾され、標的の存在下にあるが修飾作用物質(例えば、少なくとも1つのプロテアーゼ)の存在下にはない時、ABのその標的に対する特異的結合は、標的に対するMMおよびCMで修飾されていないABまたは親ABの特異的結合と比較して、低減または阻害される。その標的に対する、親ABの結合またはMMおよびCMで修飾されていないABの結合と比較した場合、MMおよびCMで修飾された際の標的に結合するABの能力は、インビボでまたはインビトロアッセイにおいて測定した際、少なくとも2、4、6、8、12、28、24、30、36、48、60、72、84、もしくは96時間、または5、10、15、30、45、60、90、120、150、もしくは180日、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12か月またはそれより長くに渡って、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、およびさらに100%低減され得る。
本明細書において使用される際、切断状態という用語は、少なくとも1つのプロテアーゼによるCMの修飾後の活性化可能抗体の様子を指す。非切断状態という用語は、本明細書において使用される際、プロテアーゼによるCMの切断のない活性化可能抗体の様子を指す。上記で議論されるように、「活性化可能抗体」という用語は、その切断されていない(天然の)状態、およびその切断状態の両方の活性化可能抗体を指すように、本明細書において使用される。いくつかの態様において、切断された活性化可能抗体は、(例えば、MMが共有結合(例えば、システイン残基間のジスルフィド結合)によって活性化可能抗体に接続されていない場合は)少なくともMMの放出を結果としてもたらす、プロテアーゼによるCMの切断のためにMMを欠如する場合があることが、当業者に明らかであろう。
活性化可能または切り替え可能とは、活性化可能抗体が阻害された状態、マスクされた状態、または非切断状態(すなわち、第1のコンフォメーション)にある場合、活性化可能抗体が標的に対する結合の第1のレベルを示し、阻害されていない状態、マスクされていない状態、および/または切断状態(すなわち、第2のコンフォメーション)にある場合は、標的に対する結合の第2のレベルを示し、ここで標的結合の第2のレベルが結合の第1のレベルよりも大きいことを意味する。一般に、活性化可能抗体のABに対する標的のアクセスは、CMを切断することができる切断作用物質、すなわちプロテアーゼの存在下では、そのような切断作用物質の非存在下よりも大きい。したがって、活性化可能抗体が非切断状態にある場合、ABは、標的結合から阻害され、標的結合からマスクされることができ(すなわち、第1のコンフォメーションは、ABが標的に結合できないようなものである)、切断状態にある場合は、ABは、標的結合について阻害されないか、またはマスクされない。
活性化可能抗体のCMおよびABは、ABが所定の標的に対する結合部分に相当し、CMがプロテアーゼに対する基質に相当するように選択される。いくつかの態様において、プロテアーゼは、対象における処置部位または診断部位で標的と共局在化する。本明細書において使用される際、共局在化とは、同じ部位または相対的にすぐ近くにあることを指す。いくつかの態様において、プロテアーゼはCMを切断し、切断部位の近くに位置する標的に結合する活性化抗体を生じる。本明細書において開示される活性化可能抗体は、例えば、CM中の部位を切断することができるプロテアーゼ、すなわちプロテアーゼが、処置部位または診断部位の標的含有組織において、非処置部位の組織において(例えば、健常組織において)よりも相対的に高いレベルで存在する場合、特定の用途を見いだす。いくつかの態様において、本開示のCMはまた、1つまたは複数の他のプロテアーゼによっても切断される。いくつかの態様において、それは、標的と共局在化し、インビボでCMの切断を担う1つまたは複数の他のプロテアーゼである。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、ABが標的に対する結合からマスクされていないかまたはさもなくば阻害されていない場合に、非処置部位でのABの結合にさもなくば起因しうる毒性および/または有害副作用の低減を提供する。
一般に、活性化可能抗体は、関心対象のABを選択すること、および、コンフォメーション的に束縛された時に、MMがABのマスキングまたはABのその標的に対する結合の低減を提供するように、活性化可能抗体の残りの部分を構築することによって設計することができる。構造設計基準は、この機能的特色を提供するように考慮に入れることができる。
阻害されたコンフォメーション対阻害されていないコンフォメーションにおいて、標的結合について望ましいダイナミックレンジの切り換え可能な表現型を呈する活性化可能抗体が、提供される。ダイナミックレンジとは、一般に、(a)第1のセットの条件下でのパラメータの最大検出レベルの、(b)第2のセットの条件下でのそのパラメータの最小検出値に対する比を指す。例えば、活性化可能抗体の文脈において、ダイナミックレンジとは、(a)活性化可能抗体のCMを切断することができる少なくとも1つのプロテアーゼの存在下での活性化可能抗体への標的タンパク質結合の最大検出レベルの、(b)プロテアーゼの非存在下での活性化可能抗体への標的タンパク質結合の最小検出レベルに対する比を指す。活性化可能抗体のダイナミックレンジは、活性化可能抗体切断作用物質(例えば、酵素)処置の解離定数の、活性化可能抗体切断作用物質処置の解離定数に対する比として算出することができる。活性化可能抗体のダイナミックレンジが大きければ大きいほど、活性化可能抗体の切り換え可能な表現型は良好である。相対的に高い(例えば、1よりも大きい)ダイナミックレンジ値を有する活性化可能抗体は、活性化可能抗体による標的タンパク質結合が、活性化可能抗体のCMを切断することができる切断作用物質(例えば、酵素)の存在下で、切断作用物質の非存在下よりも大きい程度まで起こる(例えば、優勢に起こる)ように、より望ましい切り換え表現型を呈する。
活性化可能抗体は、様々な構造的配置で提供することができる。活性化可能抗体の例示的な式は、下記で提供される。AB、MM、およびCMのN末端からC末端への順序は、活性化可能抗体内で逆であってもよいことが、特に企図される。CMおよびMMは、例えば、CMがMM内に含有されるように、アミノ酸配列において重複してもよいこともまた、特に企図される。
例えば、活性化可能抗体は、以下の式によって表すことができる(アミノ(N)末端領域からカルボキシル(C)末端領域への順序):
(MM)-(CM)-(AB)
(AB)-(CM)-(MM)
式中、MMはマスキング部分であり、CMは切断可能部分であり、かつABは抗体またはその断片である。MMおよびCMは、上記の式において別個の構成要素として示されているが、本明細書において開示されるすべての例示的な態様(式を含む)において、MMおよびCMのアミノ酸配列は、例えば、CMがMM内に完全にまたは部分的に含有されるように重複しうると企図されることに、注目されるべきである。加えて、上記の式は、活性化可能抗体要素のN末端またはC末端に位置づけられてもよい追加的なアミノ酸配列を提供する。
ある特定の態様において、MMは、ABの天然の結合パートナーではない。いくつかの態様において、MMは、ABのいずれの天然の結合パートナーに対しても相同性を有さないか、または実質的に相同性を有さない。いくつかの態様において、MMの、ABのあらゆる天然の結合パートナーに対する類似性は、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、または80%以下である。いくつかの態様において、MMの、ABのあらゆる天然の結合パートナーに対する同一性は、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、または80%以下である。いくつかの態様において、MMの、ABのあらゆる天然の結合パートナーに対する同一性は、50%以下である。いくつかの態様において、MMの、ABのあらゆる天然の結合パートナーに対する同一性は、25%以下である。いくつかの態様において、MMの、ABのあらゆる天然の結合パートナーに対する同一性は、20%以下である。いくつかの態様において、MMの、ABのあらゆる天然の結合パートナーに対する同一性は、10%以下である。
多くの態様において、MM-CM接合部、CM-AB接合部、またはその両方のうちの1つまたは複数で可動性を提供するために、1つまたは複数のリンカー、例えばフレキシブルリンカーを、活性化可能抗体構築物中に挿入することが望ましい場合がある。例えば、AB、MM、および/またはCMは、望ましい可動性を提供するのに十分な数の残基(例えば、Gly、Ser、Asp、Asn、特にGlyおよびSer、とりわけGly)を含有しない場合がある。そのような際、そのような活性化可能抗体構築物の切り換え可能な表現型は、フレキシブルリンカーを提供するための1つまたは複数のアミノ酸の導入から恩恵を受ける場合がある。加えて、下記のように、活性化可能抗体がコンフォメーション的に束縛された構築物として提供される場合には、フレキシブルリンカーを、切断されていない活性化可能抗体における環状構造の形成および維持を促進するために機能的に挿入することができる。
例えば、ある特定の態様において、活性化可能抗体は、以下の式(下記の式は、N末端からC末端の方向、またはC末端からN末端の方向のいずれかでのアミノ酸配列を表す)のうちの1つを含むことができる:
(MM)-L1-(CM)-(AB)
(MM)-(CM)-L2-(AB)
(MM)-L1-(CM)-L2-(AB)
式中、MM、CM、およびABは上記で定義されたようであり;L1およびL2は、各々独立しており、任意で存在するかまたは欠如しており、少なくとも1つの可動性アミノ酸(例えば、Gly)を含む、同じかまたは異なるフレキシブルリンカーである。加えて、上記の式は、活性化可能抗体要素のN末端またはC末端に位置づけられてもよい追加的なアミノ酸配列を提供する。例には、標的部分(例えば、標的組織中に存在する細胞の受容体に対するリガンド)および血清半減期延長部分(例えば、免疫グロブリン(例えば、IgG)または血清アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン(HAS))などの血清タンパク質に結合するポリペプチド)が含まれるが、それらに限定されない。
CMは、約0.001~1500×104 M-1S-1または少なくとも0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.5、1、2.5、5、7.5、10、15、20、25、50、75、100、125、150、200、250、500、750、1000、1250、もしくは1500×104 M-1S-1の速度で少なくとも1つのプロテアーゼによって特異的に切断される。いくつかの態様において、CMは、約100,000 M-1S-1の速度で特異的に切断される。いくつかの態様において、CMは、約1×10E2~約1×10E6 M-1S-1(すなわち、約1×102~約1×106 M-1S-1)の速度で特異的に切断される。
酵素による特異的切断のために、酵素とCMとの間の接触がなされる。MMおよびCMにカップリングされたABを含む活性化可能抗体が、標的および十分な酵素活性の存在下にある場合に、CMは切断され得る。十分な酵素活性とは、CMと接触して切断をもたらす酵素の能力を指すことができる。酵素は、CMの付近にあってもよいが、他の細胞因子または酵素のタンパク質修飾のために切断できないことを、容易に想定することができる。
本明細書に記載される組成物における使用に適しているリンカーは、一般に、修飾されたABまたは活性化可能抗体の可動性を提供して、標的に対するABの結合の阻害を促進するものである。そのようなリンカーは、一般に、フレキシブルリンカーと呼ばれる。好適なリンカーは、容易に選択することができ、様々な長さ、例えば、4アミノ酸~10アミノ酸、5アミノ酸~9アミノ酸、6アミノ酸~8アミノ酸、または7アミノ酸~8アミノ酸を含む、1アミノ酸(例えば、Gly)~20アミノ酸、2アミノ酸~15アミノ酸、3アミノ酸~12アミノ酸の好適ないずれかであることができ、長さが1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20アミノ酸であってもよい。
例示的なフレキシブルリンカーには、グリシンポリマー(G)n、グリシン-セリンポリマー(例えば、(GS)n、(GSGGS)n(SEQ ID NO: 1)および(GGGS)n(SEQ ID NO: 2)(式中、nは少なくとも1の整数である)を含む)、グリシン-アラニンポリマー、アラニン-セリンポリマー、および当技術分野において公知である他のフレキシブルリンカーが含まれる。グリシンポリマーおよびグリシン-セリンポリマーは、相対的に構造化されておらず、そのため、構成要素間の中性のつなぎとして働くことができうる。グリシンは、互角のアラニンよりも有意に大きいphi-psi空間にアクセスし、より長い側鎖を有する残基よりもずっと制限されない(Scheraga, Rev. Computational Chem. 11173-142 (1992))。例示的なフレキシブルリンカーには、
などが含まれるが、それらに限定されない。当業者は、リンカーが、フレキシブルリンカー、およびより可動性が低い構造を付与して望ましい活性化可能抗体構造を提供する1つまたは複数の部分を含むことができるように、活性化可能抗体の設計が、すべてまたは部分的に可動性であるリンカーを含みうることを認識しているであろう。
本開示はまた、CD166に特異的に結合する抗体または抗体断片(AB)を含み、該ABが、該ABのその標的に結合する能力を減少させるマスキング部分(MM)にカップリングされている、活性化可能抗CD166抗体を含む組成物および方法も提供する。いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体は、プロテアーゼに対する基質である切断可能部分(CM)をさらに含む。本明細書で提供される組成物および方法は、活性化可能抗CD166抗体の活性(例えば、マスキング活性、活性化活性、または結合活性)を損なうことなく、AB中の1つまたは複数のシステイン残基に対する1つまたは複数の作用物質の付加を可能にする。いくつかの態様において、本明細書で提供される組成物および方法は、MM内の1つまたは複数のジスルフィド結合を低減させるかまたはさもなくば妨害することなく、AB中の1つまたは複数のシステイン残基に対する1つまたは複数の作用物質の付加を可能にする。本明細書で提供される組成物および方法は、1つまたは複数の作用物質、例えば、様々な治療用、診断用、および/または予防用作用物質のいずれかにコンジュゲートされている活性化可能抗CD166抗体を生じ、例えば、いくつかの態様においては、作用物質のいずれも活性化可能抗CD166抗体のMMにコンジュゲートされていない。本明細書で提供される組成物および方法は、MMが、非切断状態において活性化可能抗体のABを効果的かつ効率的にマスクする能力を保持する、コンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体を生じる。本明細書で提供される組成物および方法は、活性化可能抗体がさらに活性化されている、すなわち、CMを切断することができるプロテアーゼの存在下で切断されている、コンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体を生じる。
活性化可能抗CD166抗体は、作用物質に対するコンジュゲーションの少なくとも1つの点を有するが、本明細書で提供される方法および組成物においては、すべてよりは少ない可能なコンジュゲーションの点が、作用物質に対するコンジュゲーションのために利用可能である。いくつかの態様において、1つまたは複数のコンジュゲーションの点は、ジスルフィド結合に関与する硫黄原子である。いくつかの態様において、1つまたは複数のコンジュゲーションの点は、鎖間ジスルフィド結合に関与する硫黄原子である。いくつかの態様において、1つまたは複数のコンジュゲーションの点は、鎖間スルフィド結合に関与する硫黄原子であるが、鎖内ジスルフィド結合に関与する硫黄原子ではない。いくつかの態様において、1つまたは複数のコンジュゲーションの点は、システインまたは硫黄原子を含有する他のアミノ酸残基の硫黄原子である。そのような残基は、抗体構造中に天然に存在してもよく、または、部位特異的変異誘発、化学変換、または非天然アミノ酸の誤取り込みによって抗体中に組み込まれてもよい。
AB中の1つまたは複数の鎖間ジスルフィド結合、およびMM中の1つまたは複数の鎖内ジスルフィド結合を有する活性化可能抗CD166抗体と、遊離チオールと反応する薬物とのコンジュゲートを調製する方法もまた提供される。方法は、一般に、活性化可能抗体中の鎖間ジスルフィド結合を、例えばTCEPなどの還元剤で部分的に還元する工程;および、遊離チオールと反応する薬物を、部分的に還元された活性化可能抗体にコンジュゲートする工程を含む。本明細書において使用される際、部分的還元という用語は、活性化可能抗CD166抗体を還元剤と接触させ、すべてよりは少ないジスルフィド結合、例えば、すべてよりは少ない可能なコンジュゲーションの部位が還元される状況を指す。いくつかの態様において、すべての可能なコンジュゲーションの部位の99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%未満、または5%未満が還元される。
さらに他の態様において、作用物質、例えば薬物を還元して活性化可能抗CD166抗体にコンジュゲートして、作用物質の配置において選択性を結果としてもたらす方法が提供される。方法は、一般に、活性化可能抗体のマスキング部分または他の非AB部分中のいずれのコンジュゲーション部位も還元されないように、活性化可能抗CD166抗体を還元剤で部分的に還元する工程、および、作用物質をAB中の鎖間チオールにコンジュゲートする工程を含む。コンジュゲーション部位は、作用物質の望ましい配置を可能にして、コンジュゲーションを望ましい部位で起こさせるように選択される。還元剤は、例えばTCEPである。例えば、還元剤の活性化可能抗体に対する比、インキュベーションの長さ、インキュベーション中の温度、還元反応溶液のpHなどのような還元反応条件は、MMが、非切断状態において活性化可能抗体のABを効果的かつ効率的にマスクする能力を保持する、コンジュゲートされた活性化可能抗体を生じる条件を特定することによって決定される。還元剤の活性化可能抗CD166抗体に対する比は、活性化可能抗体に応じて変動することになる。いくつかの態様において、還元剤の活性化可能抗CD166抗体に対する比は、約20:1~1:1、約10:1~1:1、約9:1~1:1、約8:1~1:1、約7:1~1:1、約6:1~1:1、約5:1~1:1、約4:1~1:1、約3:1~1:1、約2:1~1:1、約20:1~1:1.5、約10:1~1:1.5、約9:1~1:1.5、約8:1~1:1.5、約7:1~1:1.5、約6:1~1:1.5、約5:1~1:1.5、約4:1~1:1.5、約3:1~1:1.5、約2:1~1:1.5、約1.5:1~1:1.5、または約1:1~1:1.5の範囲であろう。いくつかの態様において、比は約5:1~1:1の範囲である。いくつかの態様において、比は約5:1~1.5:1の範囲である。いくつかの態様において、比は約4:1~1:1の範囲である。いくつかの態様において、比は約4:1~1.5:1の範囲である。いくつかの態様において、比は約8:1~約1:1の範囲である。いくつかの態様において、比は約2.5:1~1:1の範囲である。
いくつかの態様において、活性化可能抗CD166抗体のAB中の鎖間ジスルフィド結合を還元し、作用物質、例えば薬物などのチオール含有作用物質を、結果として生じた鎖間チオールにコンジュゲートして作用物質をAB上に選択的に置く方法が提供される。方法は、一般に、ABを還元剤で部分的に還元して、活性化可能抗体中のすべての可能な鎖間チオールを形成させることなく、少なくとも2つの鎖間チオールを形成させる工程;および、部分的に還元されたABの鎖間チオールに作用物質をコンジュゲートする工程を含む。例えば、活性化可能抗体のABは、約37℃で約1時間、還元剤:活性化可能抗体の望ましい比で部分的に還元される。いくつかの態様において、還元剤の活性化可能抗体に対する比は、約20:1~1:1、約10:1~1:1、約9:1~1:1、約8:1~1:1、約7:1~1:1、約6:1~1:1、約5:1~1:1、約4:1~1:1、約3:1~1:1、約2:1~1:1、約20:1~1:1.5、約10:1~1:1.5、約9:1~1:1.5、約8:1~1:1.5、約7:1~1:1.5、約6:1~1:1.5、約5:1~1:1.5、約4:1~1:1.5、約3:1~1:1.5、約2:1~1:1.5、約1.5:1~1:1.5、または約1:1~1:1.5の範囲であろう。いくつかの態様において、比は約5:1~1:1の範囲である。いくつかの態様において、比は約5:1~1.5:1の範囲である。いくつかの態様において、比は約4:1~1:1の範囲である。いくつかの態様において、比は約4:1~1.5:1の範囲である。いくつかの態様において、比は約8:1~約1:1の範囲である。いくつかの態様において、比は約2.5:1~1:1の範囲である。
チオール含有試薬は、例えば、システインまたはN-アセチルシステインであることができる。還元剤は、例えばTCEPであることができる。いくつかの態様において、還元された活性化可能抗体は、コンジュゲーションの前に、例えば、カラムクロマトグラフィー、透析、または透析濾過を用いて精製することができる。あるいは、還元された抗体は、部分的還元の後、およびコンジュゲーションの前に精製されない。
本発明はまた、活性化可能抗体中の少なくとも1つの鎖間ジスルフィド結合が、活性化可能抗体中のいずれの鎖内ジスルフィド結合も妨害することなく還元剤で還元されている、部分的に還元された活性化可能抗CD166抗体も提供し、該活性化可能抗体は、CD166に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片(AB)と、非切断状態においてCD166標的に対する活性化可能抗体のABの結合を阻害するマスキング部分(MM)と、ABにカップリングされた切断可能部分(CM)とを含み、該CMは、プロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドである。いくつかの態様において、MMは、CMを介してABにカップリングされている。いくつかの態様において、活性化可能抗体の1つまたは複数の鎖内ジスルフィド結合は、還元剤によって妨害されない。いくつかの態様において、活性化可能抗体内のMMの1つまたは複数の鎖内ジスルフィド結合は、還元剤によって妨害されない。いくつかの態様において、非切断状態における活性化可能抗体は、以下のようなN末端からC末端への構造的配置を有する:MM-CM-ABまたはAB-CM-MM。いくつかの態様において、還元剤はTCEPである。
本開示はまた、活性化可能抗体中の少なくとも1つの鎖間ジスルフィド結合が、活性化可能抗体中のいずれの鎖内ジスルフィド結合も妨害することなく還元剤で還元されている、部分的に還元された活性化可能抗体も提供し、該活性化可能抗体は、標的、例えばCD166に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片(AB)と、非切断状態において標的に対する活性化可能抗体のABの結合を阻害するマスキング部分(MM)と、ABにカップリングされた切断可能部分(CM)とを含み、該CMは、少なくとも1つのプロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドである。いくつかの態様において、MMは、CMを介してABにカップリングされている。いくつかの態様において、活性化可能抗体の1つまたは複数の鎖内ジスルフィド結合は、還元剤によって妨害されない。いくつかの態様において、活性化可能抗体内のMMの1つまたは複数の鎖内ジスルフィド結合は、還元剤によって妨害されない。いくつかの態様において、非切断状態における活性化可能抗体は、N末端からC末端に向かって、以下のような構造的配置を有する:MM-CM-ABまたはAB-CM-MM。いくつかの態様において、還元剤はTCEPである。
さらに他の態様において、活性化可能抗CD166抗体を還元する、および作用物質、例えば薬物をコンジュゲートさせる方法は、規定された数および位置のリジンおよび/またはシステイン残基を有する活性化可能抗CD166抗体を提供することによって、作用物質の配置において選択性をもたらす。いくつかの態様において、規定された数のリジンおよび/またはシステイン残基は、親抗体または活性化可能抗体のアミノ酸配列における対応する残基の数よりも多いか、または少ない。いくつかの態様において、規定された数のリジンおよび/またはシステイン残基は結果として、抗CD166抗体または活性化可能抗CD166抗体にコンジュゲート可能な作用物質等価物の数を規定しうる。いくつかの態様において、規定された数のリジンおよび/またはシステイン残基は結果として、部位特異的な様式で抗CD166抗体または活性化可能抗CD166抗体にコンジュゲート可能な作用物質等価物の数を規定しうる。いくつかの態様において、改変された活性化可能抗体は、部位特異な様式で1つまたは複数の非天然アミノ酸で改変され、したがっていくつかの態様において、非天然アミノ酸の部位のみに作用物質のコンジュゲーションを制限する。いくつかの態様において、規定された数および位置のリジンおよび/またはシステイン残基を有する抗CD166抗体または活性化可能抗CD166抗体は、活性化可能抗体のマスキング部分または他の非AB部分におけるいかなるコンジュゲーション部位も還元されず、AB中の鎖間チオールに作用物質がコンジュゲートされるように、本明細書において論じられる還元剤で部分的に還元されうる。
いくつかの態様において、本明細書に記載される活性化可能抗体はまた、活性化可能抗体にコンジュゲートされた作用物質も含む。いくつかの態様において、コンジュゲートされた作用物質は、抗炎症性作用物質および/または抗新生物性作用物質などの治療用作用物質である。そのような態様において、例えば、炭水化物部分が活性化可能抗体中の抗体または抗原結合断片の抗原結合領域の外側に位置するいくつかの態様において、作用物質は、活性化可能抗体の炭水化物部分にコンジュゲートされる。いくつかの態様において、作用物質は、活性化可能抗体中の抗体または抗原結合断片のスルフヒドリル基にコンジュゲートされる。
いくつかの態様において、作用物質は、毒素(例えば、細菌、真菌、植物、もしくは動物起源の酵素学的に活性を有する毒素、またはそれらの断片)などの細胞傷害性作用物質、または放射性同位体(すなわち、放射性コンジュゲート)である。
いくつかの態様において、作用物質は、例えば、標識または他のマーカーなどの検出可能部分である。例えば、作用物質は、放射標識されたアミノ酸、マークされたアビジン(例えば、光学的方法または熱量測定法によって検出することができる蛍光マーカーまたは酵素活性を含有するストレプトアビジン)によって検出することができる1つもしくは複数のビオチン化部分、1つもしくは複数の放射性同位体もしくは放射性核種、1つもしくは複数の蛍光標識、1つもしくは複数の酵素標識、および/または1つもしくは複数の化学発光作用物質であるか、またはそれらを含む。いくつかの態様において、検出可能部分は、スペーサー分子によって付加される。
本開示はまた、毒素(例えば、細菌、真菌、植物、もしくは動物起源の酵素学的に活性を有する毒素、またはそれらの断片)などの細胞傷害性作用物質、または放射性同位体(すなわち、放射性コンジュゲート)にコンジュゲートされた抗体を含むイムノコンジュゲートにも関係する。好適な細胞傷害性作用物質には、例えば、ドラスタチン類およびそれらの誘導体(例えば、アウリスタチンE、AFP、MMAF、MMAE、MMAD、DMAF、DMAE)が含まれる。例えば、作用物質は、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)またはモノメチルアウリスタチンD(MMAD)である。いくつかの態様において、作用物質は、表5に列挙される群より選択される作用物質である。いくつかの態様において、作用物質はドラスタチンである。いくつかの態様において、作用物質はアウリスタチンまたはその誘導体である。いくつかの態様において、作用物質はアウリスタチンEまたはその誘導体である。いくつかの態様において、作用物質はモノメチルアウリスタチンE(MMAE)である。いくつかの態様において、作用物質はモノメチルアウリスタチンD(MMAD)である。いくつかの態様において、作用物質はメイタンシノイドまたはメイタンシノイド誘導体である。いくつかの態様において、作用物質はDM1またはDM4である。いくつかの態様において、作用物質はデュオカルマイシンまたはその誘導体である。いくつかの態様において、作用物質はカリケアマイシンまたはその誘導体である。いくつかの態様において、作用物質はピロロベンゾジアゼピンである。
いくつかの態様において、作用物質は、マレイミドカプロイル-バリン-シトルリンリンカーまたはマレイミドPEG-バリン-シトルリンリンカーを用いてABに連結される。いくつかの態様において、作用物質は、マレイミドカプロイル-バリン-シトルリンリンカーを用いてABに連結される。いくつかの態様において、作用物質は、マレイミドPEG-バリン-シトルリンリンカーを用いてABに連結される。いくつかの態様において、作用物質は、マレイミドPEG-バリン-シトルリン-パラ-アミノベンジルオキシカルボニルリンカーを用いてABに連結されたモノメチルアウリスタチンD(MMAD)であり、このリンカーペイロード構築物は、本明細書において「vc-MMAD」と呼ばれる。いくつかの態様において、作用物質は、マレイミドPEG-バリン-シトルリン-パラ-アミノベンジルオキシカルボニルリンカーを用いてABに連結されたモノメチルアウリスタチンE(MMAE)であり、このリンカーペイロード構築物は、本明細書において「vc-MMAE」と呼ばれる。いくつかの態様において、作用物質は、マレイミドPEG-バリン-シトルリンリンカーを用いてABに連結される。いくつかの態様において、作用物質は、マレイミドビス-PEG-バリン-シトルリン-パラ-アミノベンジルオキシカルボニルリンカーを用いてABに連結されたモノメチルアウリスタチンD(MMAD)であり、このリンカーペイロード構築物は、本明細書において「PEG2-vc-MMAD」と呼ばれる。vc-MMAD、vc-MMAE、およびPEG2-vc-MMADの構造を下記に示す。
vc-MMAD:
vc-MMAE:
PEG2-vc-MMAD:
本開示はまた、モノメチルアウリスタチンD(MMAD)ペイロードに連結された活性化可能抗体を含む、コンジュゲートされた活性化可能抗体も提供し、該活性化可能抗体は、標的に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片(AB)と、非切断状態において標的に対する活性化可能抗体のABの結合を阻害するマスキング部分(MM)と、ABにカップリングされた切断可能部分(CM)とを含み、該CMは、少なくとも1つのMMPプロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドである。
いくつかの態様において、MMADコンジュゲートされた活性化可能抗体は、作用物質をABに付加するためのいくつかの方法:(a)ABの炭水化物部分への付加、または(b)ABのスルフヒドリル基への付加、または(c)ABのアミノ基への付加、または(d)ABのカルボキシル基への付加のうちのいずれかを用いてコンジュゲートすることができる。
いくつかの態様において、MMADペイロードは、リンカーを介してABにコンジュゲートされる。いくつかの態様において、MMADペイロードは、リンカーを介してAB中のシステインにコンジュゲートされる。いくつかの態様において、MMADペイロードは、リンカーを介してAB中のリジンにコンジュゲートされる。いくつかの態様において、MMADペイロードは、リンカーを介して、本明細書において開示される残基などの、ABの別の残基にコンジュゲートされる。いくつかの態様において、リンカーはチオール含有リンカーである。いくつかの態様において、リンカーは切断可能なリンカーである。いくつかの態様において、リンカーは切断不可能なリンカーである。いくつかの態様において、リンカーは、表6および表7に示されるリンカーからなる群より選択される。いくつかの態様において、活性化可能抗体とMMADペイロードとは、マレイミドカプロイル-バリン-シトルリンリンカーを介して連結される。いくつかの態様において、活性化可能抗体とMMADペイロードとは、マレイミドPEG-バリン-シトルリンリンカーを介して連結される。いくつかの態様において、活性化可能抗体とMMADペイロードとは、マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-パラ-アミノベンジルオキシカルボニルリンカーを介して連結される。いくつかの態様において、活性化可能抗体とMMADペイロードとは、マレイミドPEG-バリン-シトルリン-パラ-アミノベンジルオキシカルボニルリンカーを介して連結される。いくつかの態様において、MMADペイロードは、本明細書において開示される部分的還元およびコンジュゲーション技術を用いてABにコンジュゲートされる。
いくつかの態様において、本開示のリンカーのポリエチレングリコール(PEG)構成要素は、2個のエチレングリコール単量体、3個のエチレングリコール単量体、4個のエチレングリコール単量体、5個のエチレングリコール単量体、6個のエチレングリコール単量体、7個のエチレングリコール単量体、8個のエチレングリコール単量体、9個のエチレングリコール単量体、または少なくとも10個のエチレングリコール単量体から形成される。本開示のいくつかの態様において、PEG構成要素は分岐型ポリマーである。本開示のいくつかの態様において、PEG構成要素は非分岐型ポリマーである。いくつかの態様において、PEGポリマー構成要素は、アミノ基もしくはその誘導体、カルボキシル基もしくはその誘導体、または、アミノ基もしくはその誘導体およびカルボキシル基もしくはその誘導体の両方で官能化されている。
いくつかの態様において、本開示のリンカーのPEG構成要素は、アミノ-テトラ-エチレングリコール-カルボキシル基またはその誘導体である。いくつかの態様において、本開示のリンカーのPEG構成要素は、アミノ-トリ-エチレングリコール-カルボキシル基またはその誘導体である。いくつかの態様において、本開示のリンカーのPEG構成要素は、アミノ-ジ-エチレングリコール-カルボキシル基またはその誘導体である。いくつかの態様において、アミノ誘導体は、アミノ基と、それがコンジュゲートされるカルボキシル基との間のアミド結合の形成物である。いくつかの態様において、カルボキシル誘導体は、カルボキシル基と、それがコンジュゲートされるアミノ基との間のアミド結合の形成物である。いくつかの態様において、カルボキシル誘導体は、カルボキシル基と、それがコンジュゲートされるヒドロキシル基との間のエステル結合の形成物である。
使用することができる酵素学的に活性を有する毒素およびそれらの断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、外毒素A鎖(緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、α-サルシン、シナアブラギリ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP-S)、ツルレイシ(momordica charantia)阻害剤、クルシン、クロチン、サボンソウ(sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、およびトリコテセン類が含まれる。様々な放射性核種が、放射コンジュゲート抗体の生産のために利用可能である。例には、212Bi、131I、131In、90Y、および186Reが含まれる。
抗体と細胞傷害性作用物質とのコンジュゲートは、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオール)プロピオナート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステル類の二官能性誘導体(ジメチルアジピミダートHCLなど)、活性エステル類(ジスクシンイミジルスベラートなど)、アルデヒド類(グルタルアルデヒドなど)、ビス-アジド化合物(ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミンなど)、ビス-ジアゾニウム誘導体(ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミンなど)、ジイソシアナート類(トリエン2,6-ジイソシアナートなど)、およびビス活性フッ素化合物(1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼンなど)などの、様々な二官能性タンパク質カップリング剤を用いて作製される。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta et al., Science 238: 1098 (1987)に記載されているように調製することができる。炭素14で標識された1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミンペンタ酢酸(MX-DTPA)は、放射性ヌクレオチドの抗体へのコンジュゲーションのための例示的なキレート剤である。(第WO94/11026号を参照されたい。)
表5は、本明細書に記載される開示において使用されうる例示的な薬学的作用物質のいくつかを列挙するが、決して網羅的な一覧であるようには意味されない。
(表5)コンジュゲーションのための例示的な薬学的作用物質
当業者は、多種多様の可能な部分を、本開示の結果として生じた抗体にカップリングできることを認識しているであろう。(例えば、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる"Conjugate Vaccines", Contributions to Microbiology and Immunology, J. M. Cruse and R. E. Lewis, Jr (eds), Carger Press, New York, (1989)を参照されたい。)
カップリングは、抗体および他の部分がそのそれぞれの活性を保持する限り、2つの分子を結合することになる任意の化学反応によって達成されてもよい。この連結は、多くの化学的機構、例として、共有結合、親和性結合、インターカレーション、配位結合、および複合体化を含むことができる。しかし、いくつかの態様において、結合は共有結合である。共有結合は、既存の側鎖の直接縮合、または外部架橋分子の組み込みのいずれかによって成し遂げることができる。多くの二価または多価の連結剤が、本開示の抗体などのタンパク質分子を他の分子にカップリングするのに有用である。例えば、代表的なカップリング剤には、チオエステル類、カルボジイミド類、スクシンイミドエステル類、ジイソシアナート類、グルタルアルデヒド、ジアゾベンゼン類、およびヘキサメチレンジアミン類などの有機化合物が含まれることができる。この一覧は、当技術分野において公知である種々のクラスのカップリング剤を網羅するようには意図されないが、むしろ、より一般的なカップリング剤を例示する。(Killen and Lindstrom, Jour. Immun. 133:1335-2549 (1984);Jansen et al., Immunological Reviews 62:185-216 (1982));およびVitetta et al., Science 238:1098 (1987)を参照されたい。)
いくつかの態様において、本明細書で提供される組成物および方法に加えて、コンジュゲートされた活性化可能抗体はまた、活性化可能抗体配列に挿入されるかまたは別の方法で含まれる修飾アミノ酸配列を通して、部位特異的コンジュゲーションのために修飾することもできる。これらの修飾アミノ酸配列は、コンジュゲートされた活性化可能抗体内で、コンジュゲートされた作用物質の配置および/または投薬量の制御を可能にするように設計される。例えば、活性化可能抗体は、反応性チオール基を提供して、タンパク質のフォールディングおよびアセンブリに負の影響も及ぼさず、抗原結合も変更しない軽鎖および重鎖上の位置で、システイン置換を含むように作製することができる。いくつかの態様において、活性化可能抗体は、コンジュゲーションに適している部位を提供するために、活性化可能抗体内に1つまたは複数の非天然アミノ酸残基を含むか、または別の方法で導入するように作製することができる。いくつかの態様において、活性化可能抗体は、活性化可能抗体配列内に酵素学的に活性化可能なペプチド配列を含むか、または別の方法で導入するように作製することができる。
好適なリンカーは、文献に記載されている。(例えば、MBS(M-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステルの使用を記載している、Ramakrishnan, S. et al., Cancer Res. 44:201-208 (1984)を参照されたい。)また、オリゴペプチドリンカーとして抗体にカップリングされるハロゲン化アセチルヒドラジド誘導体の使用を記載している、米国特許第5,030,719号も参照されたい。いくつかの態様において、好適なリンカーには、(i)EDC(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノ-プロピル)カルボジイミドヒドロクロリド);(ii)SMPT(4-スクシンイミジルオキシカルボニル-α-メチル-α-(2-ピリジル-ジチオ)-トルエン)(Pierce Chem. Co., カタログ21558G);(iii)SPDP(スクシンイミジル-6[3-(2-ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ヘキサノアート)(Pierce Chem. Co., カタログ番号21651G);(iv)スルホ-LC-SPDP(スルホスクシンイミジル6[3-(2-ピリジルジチオ)-プロピアンアミド]ヘキサノアート)(Pierce Chem. Co. カタログ番号2165-G);および(v)EDCにコンジュゲートされたスルホ-NHS(N-ヒドロキシスルホ-スクシンイミド:Pierce Chem. Co., カタログ番号24510)が含まれる。追加的なリンカーには、SMCC((スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート)、スルホ-SMCC(スルホスクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート)、SPDB(N-スクシンイミジル-4-(2-ピリジルジチオ)ブタノアート)、またはスルホ-SPDB(N-スクシンイミジル-4-(2-ピリジルジチオ)-2-スルホブタノアート)が含まれるが、それらに限定されない。
上記のリンカーは、様々な属性を有する構成要素を含有し、したがって、異なる物理化学的特性を有するコンジュゲートをもたらす。例えば、アルキルカルボキシラートのスルホ-NHSエステルは、芳香族カルボキシラートのスルホ-NHSエステルよりも安定である。NHS-エステルを含有するリンカーは、スルホ-NHSエステルよりも溶解度が低い。さらに、リンカーSMPTは、立体的に妨げられたジスルフィド結合を含有し、安定性が増大したコンジュゲートを形成することができる。ジスルフィド連結は、一般に、インビトロで切断されるために他の連結よりも安定性が低く、利用可能なコンジュゲートがより少ない状態を結果としてもたらす。スルホ-NHSは、とりわけ、カルボジイミドカップリングの安定性を増強することができる。カルボジイミドカップリング(EDCなど)は、スルホ-NHSと共に使用される時、加水分解に対してカルボジイミドカップリング反応単独よりも耐性であるエステルを形成する。
いくつかの態様において、リンカーは切断可能である。いくつかの態様において、リンカーは切断不可能である。いくつかの態様において、2つ以上のリンカーが存在する。2つ以上のリンカーはすべて同じであり、すなわち、切断可能もしくは切断不可能であるか、または、2つ以上のリンカーは異なり、すなわち、少なくとも1つは切断可能および少なくとも1つは切断不可能である。
本開示は、作用物質をABに付加するためのいくつかの方法:(a)ABの炭水化物部分への付加、または(b)ABのスルフヒドリル基への付加、または(c)ABのアミノ基への付加、または(d)ABのカルボキシラート基への付加を利用する。本開示によると、ABは、少なくとも2つの反応基、ABと反応する1つおよび作用物質と反応する1つを有する中間体リンカーを通して、作用物質に共有結合で付加されてもよい。任意の適合性有機化合物を含みうるリンカーは、AB(または作用物質)との反応がABの反応性および選択性に有害な影響を及ぼさないように選択することができる。さらに、リンカーの作用物質への付加は、作用物質の活性を破壊しえない。酸化された抗体または酸化された抗体断片との反応に適しているリンカーには、一級アミン、二級アミン、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドロキシルアミン、フェニルヒドラジン、セミカルバジド、およびチオセミカルバジド基からなる群より選択されるアミンを含有するものが含まれる。そのような反応性官能基は、リンカーの構造の一部として存在してもよいし、または、そのような基を含有しないリンカーの好適な化学修飾によって導入されてもよい。
本開示によると、還元されたABへの付加に適しているリンカーには、還元された抗体または断片のスルフヒドリル基と反応することができる、ある特定の反応基を有するものが含まれる。そのような反応基には、反応性ハロアルキル基(例えば、ハロアセチル基を含む)、p-水銀安息香酸基、およびマイケル型付加反応が可能である基(例えば、マレイミド類およびMitra and Lawton, 1979, J. Amer, Chem. Soc. 101: 3097-3110により記載されているタイプの基を含む)が含まれるが、それらに限定されない。
本開示によると、酸化も還元もされていないAbへの付加に適しているリンカーには、Ab中の修飾されていないリジン残基に存在する一級アミノ基と反応することができる、ある特定の官能基を有するものが含まれる。そのような反応基には、NHSカルボン酸または炭酸エステル類、スルホ-NHSカルボン酸または炭酸エステル類、4-ニトロフェニルカルボン酸または炭酸エステル類、ペンタフルオロフェニルカルボン酸または炭酸エステル類、アシルイミダゾール類、イソシアナート類、およびイソチオシアナート類を含まれるが、それらに限定されない。
本開示によると、酸化も還元もされていないAbへの付加に適しているリンカーには、好適な試薬で活性化されている、Ab中のアスパラギン酸残基またはグルタミン酸残基に存在するカルボン酸基と反応することができる、ある特定の官能基を有するものが含まれる。好適な活性化試薬には、NHSまたはスルホ-NHSが加えられているかまたは加えられていないEDC、および、カルボキサミド形成に利用される他の脱水剤が含まれる。これらの例において、好適なリンカー中に存在する官能基には、一級および二級アミン類、ヒドラジン類、ヒドロキシルアミン類、ならびにヒドラジド類が含まれることになる。
作用物質は、リンカーがABに付加される前または後に、リンカーに付加されてもよい。ある特定の適用において、リンカーが会合した作用物質から遊離しているAB-リンカー中間体を最初に生じることが望ましい場合がある。特定の適用に応じて、特異的な作用物質が、次いで、リンカーに共有結合で付加されてもよい。いくつかの態様において、ABは、MM、CM、および会合したリンカーに最初に付加され、次いで、コンジュゲーションの目的でリンカーに付加される。
分岐型リンカー:具体的な態様において、作用物質の付加のための複数部位を有する分岐型リンカーが利用される。複数部位リンカーについては、ABへの単一の共有結合性付加が、数多くの部位で作用物質に結合することができるAB-リンカー中間体を結果としてもたらすことになる。部位は、アルデヒド基もしくはスルフヒドリル基、または作用物質が付加することができる任意の化学的部位であってもよい。
いくつかの態様において、より高い比活性(または作用物質のABに対するより高い比)は、AB上の多数の部位での単一部位リンカーの付加によって成し遂げることができる。この多数の部位は、2つの方法のいずれかによってAB中に導入されてもよい。第1に、1つは、同じAB中に複数のアルデヒド基および/またはスルフヒドリル基を生成しうる。第2に、1つは、ABのアルデヒドまたはスルフヒドリルに、その後のリンカーへの付加のために複数の官能部位を有する「分岐型リンカー」を付加しうる。分岐型リンカーまたは複数部位リンカーの官能部位は、アルデヒド基もしくはスルフヒドリル基であってもよく、または、リンカーが付加されうる任意の化学的部位であってもよい。さらにより高い比活性は、これらの2つのアプローチを組み合わせること、すなわち、AB上のいくつかの部位で複数部位リンカーを付加することによって得られうる。
切断可能なリンカー:u-プラスミノーゲンアクチベーター、組織プラスミノーゲンアクチベーター、トリプシン、プラスミン、またはタンパク質分解活性を有する別の酵素などであるがそれらに限定されない、補体系の酵素による切断を受けやすいペプチドリンカーが、本開示の1つの態様において使用されてもよい。本開示の1つの方法によると、作用物質は、補体による切断を受けやすいリンカーを介して付加される。抗体は、補体を活性化することができるクラスから選択される。したがって、抗体-作用物質コンジュゲートは、補体カスケードを活性化し、標的部位で作用物質を放出する。本開示の別の方法によると、作用物質は、u-プラスミノーゲンアクチベーター、組織プラスミノーゲンアクチベーター、プラスミン、またはトリプシンなどのタンパク質分解活性を有する酵素による切断を受けやすいリンカーを介して付加される。これらの切断可能なリンカーは、細胞外毒素、例えば、非限定的な例として、表5に示される細胞外毒素のいずれかを含む、コンジュゲートされた活性化可能抗体において有用である。
切断可能なリンカー配列の非限定的な例を、表6において提供する。
(表6)コンジュゲーションのための例示的なリンカー配列
加えて、作用物質は、ジスルフィド結合(例えば、システイン分子上のジスルフィド結合)を介してABに付加されてもよい。多くの腫瘍は、高レベルのグルタチオン(還元剤)を天然に放出するため、これは、ジスルフィド結合を還元して、送達の部位での作用物質のその後の放出を伴うことができる。いくつかの態様において、CMを修飾するであろう還元剤はまた、コンジュゲートされた活性化可能抗体のリンカーも修飾するであろう。
スペーサーおよび切断可能要素:いくつかの態様において、活性化可能抗体の作用物質とABとの間の間隔を最適化するような方式で、リンカーを構築することが必要でありうる。これは、以下の一般構造のリンカーの使用によって達成されてもよい:
W-(CH2)n-Q
式中、
Wは--NH--CH2--または--CH2--のいずれかであり;
Qはアミノ酸、ペプチドであり;かつ
nは0~20の整数である。
いくつかの態様において、リンカーは、スペーサー要素および切断可能要素を含んでもよい。スペーサー要素は、切断可能要素が切断を担う酵素によりアクセス可能であるように、切断可能要素をABのコアから離れて位置づけるために働く。上記の分岐型リンカーのある特定のものは、スペーサー要素として働きうる。
この議論を通して、リンカーの作用物質への(またはスペーサー要素の切断可能要素への、または切断可能要素の作用物質への)付加は、特定の様式の付加または反応である必要はないことが理解されるべきである。好適な安定性および生物学的適合性の産物を提供する任意の反応が、受け入れられる。
血清補体およびリンカーの選択:本開示の1つの方法によると、作用物質の放出が望ましい時、補体を活性化することができるクラスの抗体であるABが使用される。結果として生じたコンジュゲートは、抗原を結合する能力、および補体カスケードを活性化する能力の両方を保持する。したがって、本開示のこの態様によると、作用物質は、切断可能なリンカーまたは切断可能要素の1つの末端に接合され、リンカー基のもう1つの末端は、AB上の特定の部位に付加される。例えば、作用物質がヒドロキシ基またはアミノ基を有する場合は、ペプチド、アミノ酸、または他の適切に選択されたリンカーのカルボキシ末端に、それぞれ、エステル結合またはアミド結合を介して付加されてもよい。例えば、そのような作用物質は、カルボジイミド反応を介してリンカーペプチドに付加されてもよい。作用物質が、リンカーへの付加に干渉するであろう官能基を含有する場合は、これらの干渉する官能基を、付加の前に遮断し、ひとたび産物コンジュゲートまたは中間体が作製されたら脱遮断することができる。リンカーの反対の末端またはアミノ末端を、次いで、直接、または、補体を活性化することができるABに対する結合のためのさらなる修飾後のいずれかに使用する。
リンカー(またはリンカーのスペーサー要素)は、任意の望ましい長さであってもよく、その1つの末端は、活性化可能抗体のAB上の特定の部位に共有結合で付加させることができる。リンカーまたはスペーサー要素のもう1つの末端は、アミノ酸またはペプチドリンカーに付加されてもよい。
したがって、これらのコンジュゲートが補体の存在下で抗原に結合する時、作用物質をリンカーに付加するアミド結合またはエステル結合が切断され、作用物質のその活性型での放出を結果としてもたらすことになる。これらのコンジュゲートは、対象に投与される時、標的部位での作用物質の送達および放出を達成することになり、表5に提示されるがそれらに限定されない、薬学的作用物質、抗生物質、代謝拮抗物質、抗増殖作用物質などのインビボ送達に特に有効である。
補体活性化を伴わない放出のためのリンカー:標的化送達のさらに別の適用において、補体カスケードの活性化は最終的に標的細胞を溶解することになるため、補体活性化を伴わない作用物質の送達が望ましい。そのため、このアプローチは、標的細胞を殺傷することなく作用物質の送達および放出が達成されるべきである場合に有用である。ホルモン、酵素、コルチコステロイド、神経伝達物質、遺伝子または酵素などの細胞媒介物質の標的細胞への送達が望ましい時、そのようなことが目標である。これらのコンジュゲートは、血清プロテアーゼによる切断を少々受けやすいリンカーを介して、補体を活性化することができないABに作用物質を付加することによって調製されうる。このコンジュゲートが個体に投与される時、作用物質の切断はゆっくり起こることになるが、抗原-抗体複合体は急速に形成し、したがって標的部位での化合物の放出を結果としてもたらすことになる。
生化学的クロスリンカー:いくつかの態様において、活性化可能抗体は、ある特定の生化学的クロスリンカーを用いて1つまたは複数の治療用作用物質にコンジュゲートされてもよい。架橋試薬は、2つの異なる分子の官能基を結びつける分子架橋を形成する。2つの異なるタンパク質を段階的様式で連結するために、望ましくないホモポリマー形成を排除するヘテロ二官能性クロスリンカーを使用することができる。
リソソームプロテアーゼによって切断可能であるペプチジルリンカー、例えば、Val-Cit、Val-Ala、または他のジペプチドもまた有用である。加えて、リソソームの低pH環境で切断可能である酸に不安定なリンカー、例えば、ビスシアリルエーテルが使用されてもよい。他の好適なリンカーには、カテプシンに不安定な基質、特に酸性pHで最適な機能を示すものが含まれる。
例示的なヘテロ二官能性クロスリンカーを、表7に参照として載せる。
切断不可能なリンカーまたは直接付加:本開示のいくつかの態様において、コンジュゲートは、作用物質が標的に送達されるが放出されないように設計されうる。これは、直接または切断不可能なリンカーを介してのいずれかで、作用物質をABに付加することによって達成されうる。
これらの切断不可能なリンカーには、アミノ酸、ペプチド、D-アミノ酸、または、本明細書に記載される方法によるABへの付加においてその後利用することができる官能基を含むように改変されうる他の有機化合物が含まれうる。そのような有機リンカーについての一般式は、
W-(CH2)n-Q
であることができ、
式中、
Wは--NH--CH2--または--CH2--のいずれかであり;
Qはアミノ酸、ペプチドであり;かつ
nは0~20の整数である。
切断不可能なコンジュゲート:いくつかの態様において、化合物は、補体を活性化しないABに付加されてもよい。補体活性化ができないABを使用する時、この付加は、活性化された補体による切断を受けやすいリンカーを用いて、または、活性化された補体による切断を受けやすくないリンカーを用いて達成されうる。
本明細書において開示される抗体はまた、イムノリポソームとして製剤化することもできる。抗体を含有するリポソームは、Epstein et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 3688 (1985);Hwang et al., Proc. Natl Acad. Sci. USA, 77: 4030 (1980);ならびに米国特許第4,485,045号および第4,544,545号に記載されているものなどの、当技術分野において公知である方法によって調製される。増強された循環時間を有するリポソームは、米国特許第5,013,556号において開示されている。
特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール、およびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成で、逆相蒸発法によって生成することができる。リポソームは、望ましい直径を有するリポソームを生じるように規定された孔サイズのフィルターを通して押し出し成形される。本開示の抗体のFab'断片は、ジスルフィド相互交換反応を介して、Martin et al., J. Biol. Chem., 257: 286-288 (1982)に記載されているように、リポソームにコンジュゲートすることができる。
定義
特に別の定義がなければ、本開示に関連して用いられる科学的および技術的用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。「1つの(a)」実体または「1つの(an)」実体という用語は、その実体の1つまたは複数をいう。例えば、1つの化合物(a compound)は、1つまたは複数の化合物(one or more compounds)をいう。したがって、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「1つまたは複数の(one or more)」および「少なくとも1つの(at least one)」という用語は、互換的に用いることができる。さらに、文脈に別段の定めがない限り、単数形の用語は複数形を含むものとし、複数形の用語は単数形を含むものとする。一般に、本明細書において記述される細胞および組織培養、分子生物学、ならびにタンパク質およびオリゴまたはポリヌクレオチド化学およびハイブリダイゼーションに関連して利用される命名法や、それらの技法は、当技術分野において周知で、一般的に用いられるものである。組み換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、ならびに組織培養および形質転換(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション)のために標準的な技法が用いられる。酵素反応および精製技法は、製造業者の仕様書にしたがって、または当技術分野において一般的に行われるように、または本明細書において記述されるように行われる。前述の技法および手順は一般に、当技術分野において周知の従来の方法にしたがって、および本明細書の全体にわたって引用され論じられている種々の一般的なおよびより具体的な参考文献に記述されているように行われる。例えば、Sambrook et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989))を参照されたい。本明細書において記述される分析化学、合成有機化学、ならびに医化学および薬化学に関連して利用される命名法、ならびにそれらの実験手順および技法は、当技術分野において周知で、一般的に用いられるものである。化学合成、化学分析、薬学的調製、処方、ならびに患者への送達および患者の処置のために標準的な技法が用いられる。
本開示にしたがって利用される場合、以下の用語は、別段の指示がない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする。
本明細書において用いられる場合、「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン(Ig)分子の免疫学的に活性な例えば抗原に結合する部分、すなわち、抗原に特異的に結合する(抗原と免疫反応する)抗原結合部位を含む分子をいう。「特異的に結合する」または「~と免疫反応する」または「免疫特異的に結合する」とは、抗体が所望の抗原の1つもしくは複数の抗原性決定基と反応し、その他のポリペプチドとは反応しないか、またはかなり低い親和性(Kd>10-6)で結合することを意味する。抗体には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ドメイン抗体、単鎖、FabおよびF(ab')2断片、scFv、ならびにFab発現ライブラリが含まれるが、これらに限定されることはない。
抗体の基本構造単位は、四量体を含むことが知られている。各四量体は、各対が1本の「軽」鎖(約25 kDa)および1本の「重」鎖(約50~70 kDa)を有する、ポリペプチド鎖の2つの同一の対で構成される。各鎖のアミノ末端部分は、抗原認識を主に担う約100~110個またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能を主に担う定常領域を定義する。一般的に、ヒトから得られる抗体分子は、分子に存在する重鎖の性質が互いに異なるIgG、IgM、IgA、IgEおよびIgDのクラスのいずれかに関連する。あるクラスはIgG1、IgG2などのような、サブクラスも同様に有する。さらに、ヒトでは、軽鎖はカッパ鎖またはラムダ鎖でありうる。
本明細書において用いられる「モノクローナル抗体」(mAb)または「モノクローナル抗体組成物」という用語は、固有の軽鎖遺伝子産物および固有の重鎖遺伝子産物からなる抗体分子の1つの分子種のみを含む抗体分子集団をいう。特に、モノクローナル抗体の相補性決定領域(CDR)は、その集団の全ての分子において同一である。MAbは、抗原に対する固有の結合親和性によって特徴付けられる特定の抗原エピトープと免疫反応することができる抗原結合部位を含む。
「抗原結合部位」または「結合部分」という用語は、抗原結合に関与する免疫グロブリン分子の部分をいう。抗原結合部位は、重(「H」)鎖および軽(「L」) 鎖のN末端可変(「V」)領域のアミノ酸残基によって形成される。「超可変領域」といわれる、重鎖および軽鎖のV領域内の3つの高度に多様な伸長部が、「フレームワーク領域」または「FR」として知られるいっそう保存された隣接伸長部の間に挿入される。このように、「FR」という用語は、免疫グロブリンの超可変領域の間に、および超可変領域に隣接して天然に見出されるアミノ酸配列をいう。抗体分子において、軽鎖の3つの超可変領域および重鎖の3つの超可変領域は、三次元空間で互いに関連して配置されて、抗原結合表面を形成する。抗原結合表面は、結合した抗原の三次元表面と相補的であり、重鎖および軽鎖の各々の3つの超可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」といわれる。各ドメインに対するアミノ酸の割付は、Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interest (National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1987 and 1991))、またはChothia & Lesk J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987), Chothia et al. Nature 342:878-883 (1989)の定義に従う。
本明細書において用いられる場合、「エピトープ」という用語は、免疫グロブリン、scFvまたはT細胞受容体に特異的に結合することができる任意のタンパク質決定基を含む。「エピトープ」という用語は、免疫グロブリンまたはT細胞受容体に特異的に結合することができる任意のタンパク質決定基を含む。エピトープ決定基は通常、アミノ酸または糖側鎖のような分子の化学的に活性な表面官能基からなり、通常、特異的な三次元構造特徴、ならびに特異的な電荷特徴を有する。例えば、抗体は、ポリペプチドのN末端ペプチドまたはC末端ペプチドに対して作製されうる。抗体は、解離定数が1μM以下; いくつかの態様では100 nM以下およびいくつかの態様では10 nM以下である場合に抗原に特異的に結合すると言われる。
本明細書において用いられる場合、「特異的結合」、「免疫学的な結合」および「免疫学的な結合特性」という用語は、免疫グロブリン分子と、免疫グロブリン分子が特異的である抗原との間に起こるタイプの非共有結合性相互作用をいう。免疫学的な結合相互作用の強度または親和性は、相互作用の解離定数(Kd)に関して表現することができ、ここでKdが小さいほど親和性が大きくなることを表す。選択されたポリペプチドの免疫学的な結合特性は、当技術分野において周知の方法を用いて定量することができる。そのような1つの方法では、抗原結合部位/抗原複合体の形成および解離の速度を測定する段階を伴い、ここでそれらの速度は複合体パートナーの濃度、相互作用の親和性、および両方向の速度に等しく影響を及ぼす幾何学的パラメータに依存する。したがって、濃度ならびに実際の結合速度および解離速度の計算により「結合速度(on rate)定数」(Kon)および「解離速度(off rate)定数」(Koff)の両方を決定することができる(Nature 361:186-87 (1993)を参照のこと)。Koff/Konの比率は、親和性に関連しない全てのパラメータの削除を可能にし、解離定数Kdに等しい(一般的には、Davies et al. (1990) Annual Rev Biochem 59:439-473を参照のこと)。本開示の抗体は、放射性リガンド結合アッセイ法または当業者に公知の類似のアッセイ法のようなアッセイにより測定された場合に、結合定数(Kd)が1 μM以下、いくつかの態様では100 nM以下、いくつかの態様では10 nM以下、およびいくつかの態様では100 pM以下~約1 pMであれば、標的に特異的に結合すると言われる。
本明細書において用いられる「単離(された)ポリヌクレオチド」という用語は、ゲノム、cDNA、もしくは合成由来のポリヌクレオチドまたはそのいくつかの組み合わせを意味するものとし、その起源によって「単離(された)ポリヌクレオチド」は、(1) 「単離(された)ポリヌクレオチド」が天然において見出されるポリヌクレオチドの全部または一部に結び付いていない、(2) 天然において連結されていないポリヌクレオチドに機能的に連結されている、または(3) より大きい配列の一部として天然において存在しない。本開示によるポリヌクレオチドは、本明細書において示される重鎖免疫グロブリン分子をコードする核酸分子、および本明細書において示される軽鎖免疫グロブリン分子をコードする核酸分子を含む。
本明細書において言及される「単離(された)タンパク質」という用語は、cDNA、組み換えRNAもしくは合成由来のタンパク質、またはそのいくつかの組み合わせを意味し、その由来または起源によって「単離(された)タンパク質」は、(1) 天然において見出されるタンパク質に結び付いていない、(2) 同じ起源の他のタンパク質を含まない、例えば、マウスタンパク質を含まない、(3) 異なる種からの細胞によって発現される、または(4) 天然において存在しない。
「ポリペプチド」という用語は本明細書において一般的な用語として用いられ、ポリペプチド配列の本来のタンパク質、断片または類似体をいう。ゆえに、本来のタンパク質断片および類似体は、ポリペプチド属の種である。本開示によるポリペプチドは、本明細書において示される重鎖免疫グロブリン分子および本明細書において示される軽鎖免疫グロブリン分子、ならびに重鎖免疫グロブリン分子と、カッパ軽鎖免疫グロブリン分子のような軽鎖免疫グロブリン分子とを含む組み合わせ、およびその逆によって形成される抗体分子、ならびにその断片および類似体を含む。
本明細書において物体に適用される場合に用いられる「天然に存在する」という用語は、天然において物体を見出すことができるという事実をいう。例えば、天然の供給源から単離することができる生物(ウイルスを含む)に存在し、かつ研究室において人為的にまたはそれ以外の方法で意図的に修飾されていないポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列は、天然に存在する。
本明細書において用いられる「機能的に連結された」という用語は、そのように記述された構成要素の位置がその意図される方法でそれらを機能させる関係にあることをいう。コード配列に「機能的に連結された」制御配列は、コード配列の発現が、制御配列と適合性の条件下で達成されるようにライゲーションされる。
本明細書において用いられる「制御配列」という用語は、それらがライゲーションされるコード配列の発現およびプロセッシングを達成するために必要であるポリヌクレオチド配列をいう。そのような制御配列の性質は、原核生物では宿主生物に応じて異なり、そのような制御配列は一般に、真核生物ではプロモーター、リボソーム結合部位および転写終結配列を含み、一般に、そのような制御配列はプロモーターおよび転写終結配列を含む。「制御配列」という用語は、少なくとも、発現およびプロセッシングにとって存在が不可欠な全ての構成要素を含むことが意図され、同様に存在が有利となる追加の構成要素、例えばリーダー配列および融合パートナー配列を含むことができる。本明細書において言及される「ポリヌクレオチド」という用語は、リボヌクレオチドもしくはデオキシヌクレオチドのいずれかの、長さが少なくとも10塩基のヌクレオチドまたはいずれかのタイプのヌクレオチドの修飾型を意味する。この用語は、DNAの一本鎖型および二本鎖型を含む。
本明細書において言及されるオリゴヌクレオチドという用語は、天然に存在するヌクレオチド、ならびに天然に存在するおよび天然に存在しないオリゴヌクレオチド結合によってともに連結された修飾ヌクレオチドを含む。オリゴヌクレオチドは、200塩基またはそれ未満の長さを一般的に含むポリヌクレオチドサブセットである。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、長さが10~60塩基であり、いくつかの態様において、長さが12、13、14、15、16、17、18、19、または20~40塩基である。オリゴヌクレオチドは通常、例えばプローブの場合、一本鎖であるが、例えば遺伝子変異体の構築に用いる場合には、オリゴヌクレオチドは二本鎖であってもよい。本開示のオリゴヌクレオチドは、センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドのいずれかである。
本明細書において言及される「天然に存在するヌクレオチド」という用語は、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含む。本明細書において言及される「修飾ヌクレオチド」という用語は、修飾されたまたは置換された糖基などを有するヌクレオチドを含む。本明細書において言及される「オリゴヌクレオチド結合」という用語は、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレロエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホラニラデート、ホスホロンミデート(phosphoronmidate)などのようなオリゴヌクレオチド結合を含む。例えば、LaPlanche et al. Nucl. Acids Res. 14:9081 (1986); Stec et al. J. Am. Chem. Soc. 106:6077 (1984)、Stein et al. Nucl. Acids Res. 16:3209 (1988)、Zon et al. Anti Cancer Drug Design 6:539 (1991); Zon et al. Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach, pp. 87-108 (F. Eckstein, Ed., Oxford University Press, Oxford England (1991)); Stec et al. 米国特許第5,151,510号; Uhlmann and Peyman Chemical Reviews 90:543 (1990)を参照されたい。オリゴヌクレオチドは、所望なら、検出用の標識を含むことができる。
本明細書において用いられる場合、20種類の通常アミノ酸およびその略語は、慣例的用法に従う。Immunology - A Synthesis (2nd Edition, E.S. Golub and D.R. Green, Eds., Sinauer Associates, Sunderland, Mass. (1991))を参照されたい。20種類の通常アミノ酸の立体異性体(例えば、D-アミノ酸)、非天然アミノ酸、例えばα-,α-二置換アミノ酸、N-アルキルアミノ酸、乳酸、および他の非通常アミノ酸も同様に、本開示のポリペプチドに適した成分でありうる。非通常アミノ酸の例としては、4ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタメート、ε-N,N,N-トリメチルリジン、ε-N-アセチルリジン、O-ホスホセリン、N-アセチルセリン、N-ホルミルメチオニン、3-メチルヒスチジン、5-ヒドロキシリジン、σ-N-メチルアルギニン、ならびに他の類似のアミノ酸およびイミノ酸(例えば、4-ヒドロキシプロリン)が挙げられる。本明細書において用いられるポリペプチドの表記において、標準的な用法および慣例にしたがって、左手方向はアミノ末端方向であり、右手方向はカルボキシ末端方向である。
同様に、特別の定めのない限り、一本鎖ポリヌクレオチド配列の左手末端は5'末端であり、二本鎖ポリヌクレオチド配列の左手方向は、5'方向といわれる。新生RNA転写産物の5'から3'への付加の方向は転写方向といわれ、RNAと同じ配列を有し、RNA転写産物の5'末端に対して5'側にあるDNA鎖上の配列領域は「上流配列」といわれ、RNAと同じ配列を有し、RNA転写産物の3'末端に対して3'側にあるDNA鎖上の配列領域は「下流配列」といわれる。
ポリペプチドに適用される場合、「実質的な同一性」という用語は、2つのペプチド配列が、例えばプログラムGAPまたはBESTFITなどにより、デフォルトのギャップ重みを用いて最適に整列された場合に、少なくとも80%の配列同一性、いくつかの態様において、少なくとも90%の配列同一性、いくつかの態様において、少なくとも95%の配列同一性、およびいくつかの態様において、少なくとも99%の配列同一性を共有することを意味する。
いくつかの態様において、同一でない残基の位置は、保存的アミノ酸置換によって異なる。
本明細書において論じられるように、抗体または免疫グロブリン分子のアミノ酸配列の軽微な変化は、アミノ酸配列の変化が、少なくとも75%、いくつかの態様において、少なくとも80%、90%、95%、およびいくつかの態様において99%を維持する限り、本開示によって包含されると企図される。特に、保存的アミノ酸交換が企図される。保存的交換は、その側鎖が関連するアミノ酸のファミリー内で行われるものである。遺伝的にコードされるアミノ酸は一般に、以下のファミリーに分けられる: (1) 酸性アミノ酸はアスパラギン酸塩、グルタミン酸塩であり; (2) 塩基性アミノ酸はリジン、アルギニン、ヒスチジンであり; (3) 非極性アミノ酸はアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファンであり、および(4) 非荷電極性アミノ酸はグリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシンである。親水性アミノ酸には、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸塩、グルタミン、グルタミン酸塩、ヒスチジン、リジン、セリンおよびトレオニンが含まれる。疎水性アミノ酸には、アラニン、システイン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、チロシンおよびバリンが含まれる。他のアミノ酸ファミリーには、(i) 脂肪族ヒドロキシファミリーであるセリンおよびトレオニン; (ii) アミド含有ファミリーであるアスパラギンおよびグルタミン; (iii) 脂肪族ファミリーであるアラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシン; ならびに(iv) 芳香族ファミリーであるフェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンが含まれる。例えば、ロイシンとイソロイシンまたはバリンとの、アスパラギン酸塩とグルタミン酸塩との、トレオニンとセリンとの単独交換、またはアミノ酸と構造的に関連するアミノ酸との同類交換は、特に交換にはフレームワーク部位内のアミノ酸が含まれない場合、結果的に得られる分子の結合または特性に大きな影響を及ぼさないと予想することは妥当である。アミノ酸の変化によって機能的ペプチドが得られるかどうかは、ポリペプチド誘導体の特異的活性をアッセイすることにより容易に判定することができる。アッセイ法は、本明細書において詳細に記述される。当業者は、抗体または免疫グロブリン分子の断片または類似体を容易に調製することができる。断片または類似体の好適なアミノ末端およびカルボキシ末端は、機能的ドメインの境界付近に存在する。構造的および機能的ドメインは、公共または専用の配列データベースとのヌクレオチドおよび/またはアミノ酸配列データの比較によって同定することができる。いくつかの態様において、コンピュータ化比較法を用いて、既知構造および/または機能の他のタンパク質に存在する配列モチーフまたは予測されるタンパク質コンフォメーションドメインを同定する。既知の三次元構造に折り畳まれるタンパク質配列を同定する方法は、公知である。Bowie et al. Science 253: 164 (1991)。このように、前述の例は、本開示によって構造的および機能的ドメインを定義するために用いられうる配列モチーフおよび構造的コンフォメーションを当業者が認識できることを実証する。
好適なアミノ酸置換は、(1) タンパク質分解に対する感受性を低減させる、(2) 酸化に対する感受性を低減させる、(3) タンパク質複合体を形成するための結合親和性を変化させる、(4) 結合親和性を変化させる、および(5) そのような類似体の他の物理化学的または機能的特性を付与または改変するものである。類似体は、天然に存在するペプチド配列以外の配列の様々なムテインを含むことができる。例えば、1つまたは複数のアミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換)が、天然に存在する配列において(例えば、分子間接触を形成するドメイン外のポリペプチドの部分において行われうる。保存的アミノ酸置換は、親配列の構造的特徴を実質的に変化させてはならない(例えば、交換アミノ酸は、親配列に存在するらせんを切断させる傾向も、親配列を特徴付ける他のタイプの二次構造を崩壊させる傾向もあってはならない)。当技術分野で認識されるポリペプチドの二次および三次構造の例はProteins, Structures and Molecular Principles (Creighton, Ed., W. H. Freeman and Company, New York (1984)); Introduction to Protein Structure (C. Branden and J. Tooze, eds., Garland Publishing, New York, N.Y. (1991)); およびThornton et at. Nature 354: 105 (1991)に記述されている。
本明細書において用いられる「ポリペプチド断片」という用語は、アミノ末端および/またはカルボキシ末端欠失および/または1つもしくは複数の内部欠失を有するが、しかし残りのアミノ酸配列は、例えば、完全長cDNA配列から推定される天然配列における対応する位置と同一であるポリペプチドをいう。断片は、典型的には、少なくとも5、6、8または10アミノ酸長であり、いくつかの態様において、少なくとも14アミノ酸長であり、いくつかの態様において、少なくとも20アミノ酸長であり、通常は、少なくとも50アミノ酸長であり、およびいくつかの態様において、少なくとも70アミノ酸長である。本明細書において用いられる「類似体」という用語は、推定されたアミノ酸配列の部分と実質的な同一性を有し、かつ好適な結合条件下で、標的への特異的結合を有する少なくとも25アミノ酸のセグメントで構成されるポリペプチドをいう。典型的には、ポリペプチド類似体は、天然に存在する配列に関して保存的アミノ酸置換(または付加もしくは欠失)を含む。類似体は、典型的には、少なくとも20アミノ酸長、いくつかの態様において、少なくとも50アミノ酸長またはそれ以上であり、完全長の天然ポリペプチドと同じくらい長いことも多い。
「作用物質」という用語は、本明細書において、化学化合物、化学化合物の混合物、生物学的高分子、または生物学的材料から作製された抽出物を示すために用いられる。
本明細書において用いられる場合、「標識」または「標識された」という用語は、例えば、放射性標識アミノ酸の組み入れ、またはマーキングされたアビジン(例えば、光学的方法もしくは熱量測定法によって検出できる蛍光マーカーもしくは酵素活性を含むストレプトアビジン)によって検出できるビオチニル部分のポリペプチドへの結合による、検出可能なマーカーの組み入れをいう。ある特定の状況では、標識またはマーカーは治療的であることもできる。ポリペプチドおよび糖タンパク質を標識する様々な方法が当技術分野において公知であり、用いられうる。ポリペプチドの標識の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されることはない: 放射性同位体または放射性核種(例えば、3H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I)、蛍光標識(例えば、FITC、ローダミン、ランタニド蛍光体)、酵素標識(例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ、p-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光物質、ビオチニル基、二次レポーターによって認識される所定のポリペプチドエピトープ(例えばロイシンジッパー対配列、二次抗体の結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)。いくつかの態様において、潜在的な立体障害を低減させるために、様々な長さのスペーサーアームによって標識が結合される。本明細書において用いられる「薬学的作用物質(pharmaceutical agent)または薬物」という用語は、患者に適切に投与された場合に、所望の治療効果を誘導することができる化学化合物または組成物をいう。
本明細書における他の化学用語は、The McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms (Parker, S., Ed., McGraw-Hill, San Francisco (1985))によって例証されるように、当技術分野における慣例的用法にしたがって用いられる。
本明細書において用いられる場合、「実質的に純粋な」とは、目的種が、存在する優勢な種である(すなわち、モルに基づいて、組成物中の他の任意の個々の種より豊富に存在する)ことを意味し、いくつかの態様において、実質的に精製された画分は、目的種が、存在する全ての高分子種の少なくとも約50パーセント(モルに基づいて)を構成する組成物である。
一般的に、実質的に純粋な組成物は、組成物中に存在する全ての高分子種の約80%超、いくつかの態様において、約85%、90%、95%および99%超を構成するであろう。いくつかの態様において、目的種は、組成物が単一の高分子種から本質的になる、本質的な均一性となるまで精製される(通常の検出法によって組成物中に夾雑種を検出することができない)。
患者という用語には、ヒトおよび獣医学の対象が含まれる。
本開示の抗体および/または活性化可能抗体は、所定の標的、例えばヒトCD166のようなヒト標的タンパク質に特異的に結合する。本明細書において記述される抗体および/または活性化可能抗体と同じエピトープに結合する抗体および/または活性化可能抗体も本開示に含まれる。本開示にはまた、CD166、例えばヒトCD166に対する結合について、本明細書において記述される抗CD166抗体および/または抗CD166活性化可能抗体と競合する、抗体および/または抗体活性化可能抗体も含まれる。本開示にはまた、CD166、例えばヒトCD166に対する結合について本明細書において記述される抗CD166抗体および/または抗CD166活性化可能抗体と交差競合する、抗体および/または抗体活性化可能抗体も含まれる。
モノクローナル抗体(例えば、マウスモノクローナル抗体またはヒト化抗体)が、本明細書において記述される方法において用いられるモノクローナル抗体と同じ特異性を有するかどうかを、前者が後者を標的に結合させないようにするかどうかを確かめることにより、過度の実験なしに、判定することが可能であることを当業者は認識するであろう。試験されているモノクローナル抗体が、本開示のモノクローナル抗体による結合の減少によって示されるように、本開示のモノクローナル抗体と競合するなら、この2つのモノクローナル抗体は、同じ、または密接に関連するエピトープに結合する。モノクローナル抗体が本開示のモノクローナル抗体の特異性を有するかどうかを判定するための別の方法は、本開示のモノクローナル抗体を標的とプレインキュベートし、次に試験されているモノクローナル抗体を添加して、試験されているモノクローナル抗体は標的に結合するその能力が阻害されるかを判定することである。試験されているモノクローナル抗体が阻害されるなら、恐らく、それは本開示のモノクローナル抗体と同じ、または機能的に等価な、エピトープ特異性を有する。
多重特異性活性化可能抗体
本開示はまた、多重特異性抗CD166活性化可能抗体を提供する。本明細書において提供される多重特異性活性化可能抗体は、CD166および少なくとも1つまたは複数の異なる抗原またはエピトープを認識し、かつ多重特異性抗体の少なくとも1つの抗原結合ドメインまたはエピトープ結合ドメインに連結された少なくとも1つのマスキング部分(MM)を含む多重特異性抗体であり、MMのカップリングによって、抗原結合ドメインまたはエピトープ結合ドメインのその標的に結合する能力が低減される。いくつかの態様において、MMは、少なくとも1つのプロテアーゼの基質として機能する切断可能部分(CM)を介して、多重特異性抗体の抗原結合ドメインまたはエピトープ結合ドメインにカップリングされている。本明細書において提供される活性化可能な多重特異性抗体は、循環血中で安定であり、意図された治療部位および/または診断部位で活性化されるが、しかし正常な、すなわち健常な組織では活性化されず、活性化されると、対応する非修飾多重特異性抗体に少なくとも匹敵する標的への結合を示す。
いくつかの態様において、多重特異性活性化可能抗体は、免疫エフェクター細胞に係合するようにデザインされ、本明細書において免疫エフェクター細胞係合性の多重特異性活性化可能抗体ともいわれる。いくつかの態様において、多重特異性活性化可能抗体は、白血球に係合するようにデザインされ、本明細書において白血球係合性の多重特異性活性化可能抗体ともいわれる。いくつかの態様において、多重特異性活性化可能抗体は、T細胞に係合するようにデザインされ、本明細書においてT細胞係合性の多重特異性活性化可能抗体ともいわれる。いくつかの態様において、多重特異性活性化可能抗体は、白血球上、例えばT細胞上、ナチュラルキラー(NK)細胞上、骨髄単核細胞上、マクロファージ上、および/または別の免疫エフェクター細胞上の表面抗原に係合する。いくつかの態様において、免疫エフェクター細胞は白血球である。いくつかの態様において、免疫エフェクター細胞はT細胞である。いくつかの態様において、免疫エフェクター細胞はNK細胞である。いくつかの態様において、免疫エフェクター細胞は骨髄単核細胞のような、単核細胞である。いくつかの態様において、多重特異性活性化可能抗体は、2つ以上の標的および/または2つ以上のエピトープと結合するかまたはそうでなければ相互作用するようにデザインされ、本明細書において多抗原標的性の活性化可能抗体ともいわれる。本明細書において用いられる場合、「標的」および「抗原」という用語は互換的に用いられる。
いくつかの態様において、本開示の免疫エフェクター細胞係合性の多重特異性活性化可能抗体は、CD166に結合するターゲティング抗体またはその抗原結合断片、および免疫エフェクター細胞係合性の抗体またはその抗原結合部分を含み、ここで該ターゲティング抗体もしくはその抗原結合断片および/または免疫エフェクター細胞係合性の抗体もしくはその抗原結合部分の少なくとも1つがマスクされている。いくつかの態様において、免疫エフェクター細胞係合性の抗体またはその抗原結合断片は、第1の免疫エフェクター細胞係合性の標的に結合する第1の抗体またはその抗原結合断片(AB1)を含み、ここでAB1はマスキング部分(MM1)に、MM1のカップリングが第1の標的に結合するAB1の能力を低減させるように結合されている。いくつかの態様において、ターゲティング抗体またはその抗原結合断片は、CD166に結合する第2の抗体またはその抗原結合断片(AB2)を含む第2の抗体またはその断片を含み、ここでAB2はマスキング部分(MM2)に、MM2のカップリングがCD166に結合するAB2の能力を低減させるように結合されている。いくつかの態様において、免疫エフェクター細胞係合性の抗体またはその抗原結合断片は、第1の免疫エフェクター細胞係合性の標的に結合する第1の抗体またはその抗原結合断片(AB1)を含み、ここでAB1はマスキング部分(MM1)に、MM1のカップリングが第1の標的に結合するAB1の能力を低減させるように結合され、かつターゲティング抗体またはその抗原結合断片は、CD166に結合する第2の抗体またはその抗原結合断片(AB2)を含む第2の抗体またはその断片を含み、ここでAB2はマスキング部分(MM2)に、MM2のカップリングがCD166に結合するAB2の能力を低減させるように結合されている。いくつかの態様において、非免疫エフェクター細胞係合性の抗体は、がんターゲティング抗体である。いくつかの態様において、非免疫細胞エフェクター抗体はIgGである。いくつかの態様において、免疫エフェクター細胞係合性の抗体はscFvである。いくつかの態様において、CD166ターゲティング抗体(例えば、非免疫細胞エフェクター抗体)はIgGであり、かつ免疫エフェクター細胞係合性の抗体はscFvである。いくつかの態様において、免疫エフェクター細胞は白血球である。いくつかの態様において、免疫エフェクター細胞はT細胞である。いくつかの態様において、免疫エフェクター細胞はNK細胞である。いくつかの態様において、免疫エフェクター細胞は骨髄単核細胞である。
いくつかの態様において、本開示のT細胞係合性の多重特異性活性化可能抗体は、CD166ターゲティング抗体またはその抗原結合断片およびT細胞係合性の抗体またはその抗原結合部分を含み、ここでCD166ターゲティング抗体もしくはその抗原結合断片および/またはT細胞係合性の抗体もしくはその抗原結合部分の少なくとも1つがマスクされている。いくつかの態様において、T細胞係合性の抗体またはその抗原結合断片は、第1のT細胞係合性の標的に結合する第1の抗体またはその抗原結合断片(AB1)を含み、ここでAB1はマスキング部分(MM1)に、MM1のカップリングが第1の標的に結合するAB1の能力を低減させるように結合されている。いくつかの態様において、ターゲティング抗体またはその抗原結合断片は、CD166に結合する第2の抗体またはその抗原結合断片(AB2)を含む第2の抗体またはその断片を含み、ここでAB2はマスキング部分(MM2)に、MM2のカップリングがCD166に結合するAB2の能力を低減させるように結合されている。いくつかの態様において、T細胞係合性の抗体またはその抗原結合断片は、第1のT細胞係合性の標的に結合する第1の抗体またはその抗原結合断片(AB1)を含み、ここでAB1はマスキング部分(MM1)に、MM1のカップリングが第1の標的に結合するAB1の能力を低減させるように結合され、かつターゲティング抗体またはその抗原結合断片は、CD166に結合する第2の抗体またはその抗原結合断片(AB2)を含む第2の抗体またはその断片を含み、ここでAB2はマスキング部分(MM2)に、MM2のカップリングがCD166に結合するAB2の能力を低減させるように結合されている。
免疫エフェクター細胞係合性の多重特異性活性化可能抗体のいくつかの態様において、1つの抗原はCD166であり、別の抗原は、典型的には、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、骨髄単核細胞、マクロファージ、および/または限定されるものではないが、B7-H4、BTLA、CD3、CD4、CD8、CD16a、CD25、CD27、CD28、CD32、CD56、CD137、CTLA-4、GITR、HVEM、ICOS、LAG3、NKG2D、OX40、PD1、TIGIT、TIM3もしくはVISTAのような、他の免疫エフェクター細胞の表面上に存在する刺激性または阻害性の受容体である。いくつかの態様において、抗原は、T細胞またはNK細胞の表面上に存在する刺激性受容体であり; そのような刺激性受容体の例としては、CD3、CD27、CD28、CD137 (4-1BBともいわれる)、GITR、HVEM、ICOS、NKG2DおよびOX40が挙げられるが、これらに限定されることはない。いくつかの態様において、抗原は、T細胞の表面上に存在する阻害性受容体であり; そのような阻害性受容体の例としては、BTLA、CTLA-4、LAG3、PD1、TIGIT、TIM3およびNK発現KIRが挙げられるが、これらに限定されることはない。T細胞表面抗原に特異性を付与する抗体ドメインはまた、限定されるものではないが、B7-1、B7-2、B7H3、PDL1、PDL2またはTNFSF9のような、T細胞受容体、NK細胞受容体、マクロファージ受容体、および/または他の免疫エフェクター細胞受容体に結合するリガンドまたはリガンドドメインによって置換されうる。
いくつかの態様において、T細胞係合性の多重特異性活性化可能抗体は、抗CD3イプシロン(CD3ε、本明細書においてCD3eおよびCD3ともいわれる) scFvならびにターゲティング抗体またはその抗原結合断片を含み、ここで抗CD3ε scFvおよび/またはターゲティング抗体もしくはその抗原結合部分の少なくとも1つがマスクされている。いくつかの態様において、CD3ε scFvは、CD3εに結合する第1の抗体またはその抗原結合断片(AB1)を含み、ここでAB1はマスキング部分(MM1)に、MM1のカップリングがCD3εに結合するAB1の能力を低減させるように結合されている。いくつかの態様において、ターゲティング抗体またはその抗原結合断片は、CD166に結合する第2の抗体またはその抗原結合断片(AB2)を含む第2の抗体またはその断片を含み、ここでAB2はマスキング部分(MM2)に、MM2のカップリングがCD166に結合するAB2の能力を低減させるように結合されている。いくつかの態様において、CD3ε scFvは、CD3εに結合する第1の抗体またはその抗原結合断片(AB1)を含み、ここでAB1はマスキング部分(MM1)に、MM1のカップリングがCD3εに結合するAB1の能力を低減させるように結合され、かつターゲティング抗体またはその抗原結合断片は、CD166に結合する第2の抗体またはその抗原結合断片(AB2)を含む第2の抗体またはその断片を含み、ここでAB2はマスキング部分(MM2)に、MM2のカップリングがCD166に結合するAB2の能力を低減させるように結合されている。
いくつかの態様において、多抗原ターゲティング抗体および/または多抗原ターゲティング活性化可能抗体は、少なくとも、第1の標的および/または第1のエピトープに結合する第1の抗体またはその抗原結合断片、ならびに第2の標的および/または第2のエピトープに結合する第2の抗体またはその抗原結合断片を含む。いくつかの態様において、多抗原ターゲティング抗体および/または多抗原ターゲティング活性化可能抗体は、2つまたはそれ以上の異なる標的に結合する。いくつかの態様において、多抗原ターゲティング抗体および/または多抗原ターゲティング活性化可能抗体は、同じ標的上の2つまたはそれ以上の異なるエピトープに結合する。いくつかの態様において、多抗原ターゲティング抗体および/または多抗原ターゲティング活性化可能抗体は、2つまたはそれ以上の異なる標的および同じ標的上の2つまたはそれ以上の異なるエピトープの組み合わせに結合する。
いくつかの態様において、IgGを含む多重特異性活性化可能抗体は、IgG可変ドメインがマスクされている。いくつかの態様において、scFvを含む多重特異性活性化可能抗体は、scFvドメインがマスクされている。いくつかの態様において、多重特異性活性化可能抗体は、複数のIgG可変ドメインおよび複数のscFvドメインの両方を有し、ここでIgG可変ドメインの少なくとも1つがマスキング部分にカップリングされている。いくつかの態様において、多重特異性活性化可能抗体は、複数のIgG可変ドメインおよび複数のscFvドメインの両方を有し、ここでscFvドメインの少なくとも1つがマスキング部分にカップリングされている。いくつかの態様において、多重特異性活性化可能抗体は、複数のIgG可変ドメインおよび複数のscFvドメインの両方を有し、ここでIgG可変ドメインの少なくとも1つがマスキング部分にカップリングされ、かつscFvドメインの少なくとも1つがマスキング部分にカップリングされている。いくつかの態様において、多重特異性活性化可能抗体は、複数のIgG可変ドメインおよび複数のscFvドメインの両方を有し、ここでIgG可変ドメインおよびscFvドメインの各々が、それ自体のマスキング部分にカップリングされている。いくつかの態様において、多重特異性活性化可能抗体の1つの抗体ドメインは標的抗原に対する特異性を有し、別の抗体ドメインはT細胞表面抗原に対する特異性を有する。いくつかの態様において、多重特異性活性化可能抗体の1つの抗体ドメインは標的抗原に対する特異性を有し、別の抗体ドメインは別の標的抗原に対する特異性を有する。いくつかの態様において、多重特異性活性化可能抗体の1つの抗体ドメインは標的抗原のエピトープに対する特異性を有し、別の抗体ドメインは該標的抗原の別のエピトープに対する特異性を有する。
多重特異性活性化可能抗体において、scFvは、IgG活性化可能抗体の重鎖のカルボキシル末端に、IgG活性化可能抗体の軽鎖のカルボキシル末端に、またはIgG活性化可能抗体の重鎖および軽鎖の両方のカルボキシル末端に融合することができる。多重特異性活性化可能抗体において、scFvは、IgG活性化可能抗体の重鎖のアミノ末端に、IgG活性化可能抗体の軽鎖のアミノ末端に、またはIgG活性化可能抗体の重鎖および軽鎖の両方のアミノ末端に融合することができる。多重特異性活性化可能抗体において、scFvは、IgG活性化可能抗体の1つまたは複数のカルボキシル末端および1つまたは複数のアミノ末端の任意の組み合わせに融合することができる。いくつかの態様において、切断可能部分(CM)に連結されたマスキング部分(MM)は、IgGの抗原結合ドメインに結合され、それをマスクする。いくつかの態様において、切断可能部分(CM)に連結されたマスキング部分(MM)は、少なくとも1つのscFvの抗原結合ドメインに結合され、それをマスクする。いくつかの態様において、切断可能部分(CM)に連結されたマスキング部分(MM)は、IgGの抗原結合ドメインに結合され、それをマスクし、かつ切断可能部分(CM)に連結されたマスキング部分(MM)は、少なくとも1つのscFvの抗原結合ドメインに結合され、それをマスクする。
本開示は、以下を含むがそれらに限定されない、多重特異性活性化可能抗体の構造の例を提供する:
上記構造中: VLおよびVHは、IgGに含まれる、第1の特異性の軽鎖および重鎖可変ドメインを表し; VL
*およびVH
*は、scFvに含まれる、第2の特異性の可変ドメインを表し; L1は、マスキング部分(MM)と切断可能部分(CM)とをつなぐリンカーペプチドであり; L2は、切断可能部分(CM)と抗体とをつなぐリンカーペプチドであり; L3は、scFvの可変ドメイン間をつなぐリンカーペプチドであり; L4は、第1の特異性の抗体を第2の特異性の抗体につなぐリンカーペプチドであり; CLは軽鎖定常ドメインであり; ならびにCH1、CH2、CH3は重鎖定常ドメインである。第1および第2の特異性は、任意の抗原またはエピトープに対するものでありうる。
T細胞係合性の多重特異性活性化可能抗体のいくつかの態様において、1つの抗原はCD166であり、別の抗原は、典型的には、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、骨髄単核細胞、マクロファージ、および/または限定されるものではないが、B7-H4、BTLA、CD3、CD4、CD8、CD16a、CD25、CD27、CD28、CD32、CD56、CD137 (TNFRSF9ともいわれる)、CTLA-4、GITR、HVEM、ICOS、LAG3、NKG2D、OX40、PD-1、TIGIT、TIM3もしくはVISTAのような、他の免疫エフェクター細胞の表面上に存在する刺激性(本明細書において活性化ともいわれる)または阻害性の受容体である。T細胞表面抗原に特異性を付与する抗体ドメインはまた、T細胞受容体、NK細胞受容体、マクロファージ受容体、および/または他の免疫エフェクター細胞受容体に結合するリガンドまたはリガンドドメインによって置換されうる。
いくつかの態様において、ターゲティング抗体は、本明細書において開示される抗CD166抗体である。いくつかの態様において、ターゲティング抗体は、活性化可能抗体の形態であることができる。いくつかの態様において、scFvはPro-scFvの形態であることができる(例えば、WO 2009/025846、WO 2010/081173を参照のこと)。
いくつかの態様において、scFvは、CD3εの結合に特異的であり、CD3εに結合する抗体またはその断片、例えばCH2527、FN18、H2C、OKT3、2C11、UCHT1またはV9を含むか、またはそれらに由来する。いくつかの態様において、scFvは、CTLA-4 (本明細書においてCTLAおよびCTLA4ともいわれる)の結合に特異的である。
いくつかの態様において、抗CTLA-4 scFvは、アミノ酸配列:
を含む。
いくつかの態様において、抗CTLA-4 scFvは、SEQ ID NO: 117のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一であるアミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、抗CD3ε scFvは、アミノ酸配列:
を含む。
いくつかの態様において、抗CD3ε scFvは、SEQ ID NO: 118のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上同一であるアミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、scFvは、1つもしくは複数のT細胞、1つもしくは複数のNK細胞および/または1つもしくは複数のマクロファージの結合に特異的である。いくつかの態様において、scFvは、B7-H4、BTLA、CD3、CD4、CD8、CD16a、CD25、CD27、CD28、CD32、CD56、CD137、CTLA-4、GITR、HVEM、ICOS、LAG3、NKG2D、OX40、PD-1、TIGIT、TIM3またはVISTAからなる群より選択される標的の結合に特異的である。
いくつかの態様において、多重特異性活性化可能抗体には、ABにコンジュゲートされた作用物質も含まれる。いくつかの態様において、作用物質は治療用作用物質である。いくつかの態様において、作用物質は抗新生物性作用物質である。いくつかの態様において、作用物質は毒素またはその断片である。いくつかの態様において、作用物質はリンカーを介して多重特異性活性化可能抗体にコンジュゲートされる。いくつかの態様において、作用物質は切断可能なリンカーを介してABにコンジュゲートされる。いくつかの態様において、リンカーは切断不可能なリンカーである。いくつかの態様において、作用物質は微小管阻害物質である。いくつかの態様において、作用物質は、DNAアルキル化剤もしくはDNAインターカレーターのような核酸損傷性作用物質、または他のDNA損傷性作用物質である。いくつかの態様において、リンカーは切断可能なリンカーである。いくつかの態様において、作用物質は、表5に列挙される群から選択される作用物質である。いくつかの態様において、作用物質はドラスタチンである。いくつかの態様において、作用物質はアウリスタチンまたはその誘導体である。いくつかの態様において、作用物質はアウリスタチンEまたはその誘導体である。いくつかの態様において、作用物質はモノメチルアウリスタチンE (MMAE)である。いくつかの態様において、作用物質はモノメチルアウリスタチンD (MMAD)である。いくつかの態様において、作用物質はメイタンシノイドまたはメイタンシノイド誘導体である。いくつかの態様において、作用物質はDM1またはDM4である。いくつかの態様において、作用物質はデュオカルマイシンまたはその誘導体である。いくつかの態様において、作用物質はカリケアマイシンまたはその誘導体である。いくつかの態様において、作用物質はピロロベンゾジアゼピンである。いくつかの態様において、作用物質はピロロベンゾジアゼピン二量体である。
いくつかの態様において、多重特異性活性化可能抗体はまた、検出可能部分も含む。いくつかの態様において、検出可能部分は診断用作用物質である。
いくつかの態様において、多重特異性活性化可能抗体は、天然には、1つまたは複数のジスルフィド結合を含む。いくつかの態様において、多重特異性活性化可能抗体は、1つまたは複数のジスルフィド結合を含むように操作することができる。
本開示はまた、本明細書において記述される多重特異性活性化可能抗体をコードする単離された核酸分子、およびこれらの単離された核酸配列を含むベクターを提供する。本開示は、活性化可能抗体の発現をもたらす条件下で、そのような核酸分子を含む細胞を培養することによって、多重特異性活性化可能抗体を産生する方法を提供する。いくつかの態様において、細胞はそのようなベクターを含む。
本開示はまた、(a) 多重特異性活性化可能抗体の発現をもたらす条件下で、多重特異性活性化可能抗体をコードする核酸構築体を含む細胞を培養すること、および(b) 多重特異性活性化可能抗体を回収することによって、本開示の多重特異性活性化可能抗体を製造する方法を提供する。好適なAB、MMおよび/またはCMは、本明細書において開示されるAB、MMおよび/またはCMのいずれかを含む。
本開示はまた、少なくとも、第1の標的または第1のエピトープに特異的に結合する第1の抗体またはその抗原結合断片(AB1)および第2の標的または第2のエピトープに特異的に結合する第2の抗体またはその抗原結合断片(AB2)を含む多重特異性活性化可能抗体および/または多重特異性活性化可能抗体組成物を提供し、ここで少なくともAB1はマスキング部分(MM1)に、MM1のカップリングがAB1のその標的に結合する能力を低減させるようにカップリングされているか、またはそれ以外の方法で結合されている。いくつかの態様において、MM1は、プロテアーゼ、例えば対象における処置部位または診断部位でAB1の標的と共局在化されているプロテアーゼの基質を含む第1の切断可能部分(CM1)配列を介してAB1にカップリングされている。本明細書において提供される多重特異性活性化可能抗体は、循環血中で安定であり、意図された治療部位および/または診断部位で活性化されるが、しかし正常な、すなわち健常な組織では活性化されず、活性化されると、対応する非修飾多重特異性抗体に少なくとも匹敵するAB1の標的への結合を示す。好適なAB、MMおよび/またはCMは、本明細書において開示されるAB、MMおよび/またはCMのいずれかを含む。
本開示はまた、少なくとも、標的に特異的に結合する第1の抗体または抗体断片(AB1)および第2の抗体または抗体断片(AB2)を含む多重特異性活性化可能抗体を含む組成物および方法を提供し、ここで少なくとも多重特異性活性化可能抗体における第1のABは、AB1のその標的に結合する能力を低下させるマスキング部分(MM1)にカップリングされている。いくつかの態様において、各ABは、各標的に対するその対応するABの能力を低下させるMMにカップリングされている。例えば、二重特異性の活性化可能抗体の態様において、AB1は、AB1のその標的に結合する能力を低下させる第1のマスキング部分(MM1)にカップリングされており、AB2は、AB2のその標的に結合する能力を低下させる第2のマスキング部分(MM2)にカップリングされている。いくつかの態様において、多重特異性活性化可能抗体は3つ以上のAB領域を含み; そのような態様において、多重特異性活性化可能抗体における各ABについて、AB1は、AB1のその標的に結合する能力を低下させる第1のマスキング部分(MM1)にカップリングされており、AB2は、AB2のその標的に結合する能力を低下させる第2のマスキング部分(MM2)にカップリングされており、AB3は、AB3のその標的に結合する能力を低下させる第3のマスキング部分(MM3)にカップリングされている、などである。好適なAB、MMおよび/またはCMは、本明細書において開示されるAB、MMおよび/またはCMのいずれかを含む。
いくつかの態様において、多重特異性活性化可能抗体は、プロテアーゼの基質である少なくとも1つの切断可能部分(CM)をさらに含み、ここでCMがMMをABに連結している。例えば、いくつかの態様において、多重特異性活性化可能抗体は、少なくとも、標的に特異的に結合する第1の抗体または抗体断片(AB1)および第2の抗体または抗体断片(AB2)を含み、ここで少なくとも多重特異性活性化可能抗体における第1のABは、AB1のその標的に結合する能力を低下させるマスキング部分(MM1)に第1の切断可能部分(CM1)を介してカップリングされている。いくつかの二重特異性の活性化可能抗体の態様において、AB1はMM1にCM1を介してカップリングされており、AB2は、AB2のその標的に結合する能力を低下させる第2のマスキング部分(MM2)に第2の切断可能部分(CM2)を介してカップリングされている。いくつかの態様において、多重特異性活性化可能抗体は3つ以上のAB領域を含み; これらの態様のいくつかにおいて、多重特異性活性化可能抗体における各ABについて、AB1はMM1にCM1を介してカップリングされており、AB2はMM2にCM2を介してカップリングされており、AB3は、AB3のその標的に結合する能力を低下させる第3のマスキング部分(MM3)に第3の切断可能部分(CM3)を介してカップリングされている、などである。好適なAB、MMおよび/またはCMは、本明細書において開示されるAB、MMおよび/またはCMのいずれかを含む。
非結合性立体部分または非結合性立体部分の結合パートナーを有する活性化可能抗体
本開示はまた、非結合性立体部分(NB)または非結合性立体部分の結合パートナー(BP)を含む活性化可能抗体を提供し、ここでBPが、活性化可能抗体にNBを動員するか、またはそれ以外の方法で誘引する。本明細書において提供される活性化可能抗体には、例えば、非結合性立体部分(NB)、切断可能なリンカー(CL)および標的に結合する抗体または抗体断片(AB)を含む活性化可能抗体; 非結合性立体部分の結合パートナー(BP)、CLおよびABを含む活性化可能抗体; ならびにNBが動員されたBP、CLおよび標的に結合するABを含む活性化可能抗体が含まれる。NBが活性化可能抗体のCLおよびABに共有結合しているか、または活性化可能抗体のCLおよびABに共有結合しているBPとの相互作用により結び付いている活性化可能抗体は、本明細書において「NBを含有する活性化可能抗体」といわれる。活性化可能または切り替え可能とは、活性化可能抗体が阻害された状態、マスクされた状態、または非切断状態(なわち、第1のコンフォメーション)にある場合、活性化可能抗体が標的に対する結合の第1レベルを示し、活性化可能抗体が阻害されていない状態、マスクされていない状態、および/または切断状態(すなわち、第2のコンフォメーション、すなわち、活性化抗体)にある場合は、標的に対する結合の第2レベルを示し、ここで標的結合の第2レベルが標的結合の第1レベルよりも大きいことを意味する。活性化可能抗体組成物は、従来の抗体治療法と比べて、増大された生物学的利用能およびさらに好ましい生体内分布を示すことができる。
いくつかの態様において、活性化可能抗体は、ABが非処置部位および/または非診断部位への結合からマスクされていないかまたはそれ以外の方法で阻害されていない場合に、そのような部位への結合によって活性化可能抗体でない場合に生じうる毒性および/または有害な副作用の低減をもたらす。
非結合性立体部分(NB)を含む抗CD166活性化可能抗体は、PCT公開番号WO 2013/192546に記載された方法を用いて作製することができ、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
抗体、コンジュゲートされた抗体、活性化可能抗体およびコンジュゲートされた活性化可能抗体の使用
本開示による治療実体の投与は、改善された移入、送達、寛容などを提供するよう製剤に組み入れられる、好適な担体、賦形剤および他の作用物質とともに投与されることが理解されよう。全薬剤師に公知の処方集: Remington's Pharmaceutical Sciences (15th ed, Mack Publishing Company, Easton, PA (1975))、特にその中の、Blaug, Seymourによる第87章において多数の適切な製剤を見出すことができる。これらの製剤には、例えば、粉末、ペースト、軟膏、ゼリー、ワックス、油、脂質、脂質(陽イオンまたは陰イオン性)含有小胞(リポフェクチン(商標)のような)、DNAコンジュゲート、無水吸収ペースト、水中油型および油中水型乳剤、乳剤カーボワックス(様々な分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル、およびカーボワックスを含有する半固体混合物が含まれる。前述の混合物のいずれも、製剤中の活性成分が製剤によって不活性化されず、製剤が投与経路と生理学的に適合性かつ認容性である限り、本開示による処置および治療において適切でありうる。薬剤師には周知の製剤、賦形剤および担体に関するさらなる情報については、Baldrick P. 「Pharmaceutical excipient development: the need for preclinical guidance.」 Regul. Toxicol Pharmacol. 32(2):210-8 (2000), Wang W. 「Lyophilization and development of solid protein pharmaceuticals.」 Int. J. Pharm. 203(1-2): 1-60 (2000), Charman WN 「Lipids, lipophilic drugs, and oral drug delivery-some emerging concepts.」 J Pharm Sci.89(8):967-78 (2000), Powell et al. 「Compendium of excipients for parenteral formulations」 PDA J Pharm Sci Technol. 52:238-311 (1998)およびその中の引用文献も参照されたい。
非限定的な例として、抗体、コンジュゲートされた抗体、活性化可能抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体のような、抗CD166抗体および/または活性化可能な抗CD166抗体を含む、本開示の治療用製剤は、異常な標的発現および/または活性に関連する疾患または障害を予防、処置またはそれ以外の方法で改善するために用いられる。例えば、抗体、コンジュゲートされた抗体、活性化可能抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体を含む、本開示の治療用製剤は、がんまたは他の新生物状態、炎症、炎症性障害、および/または自己免疫疾患を処置またはそれ以外の方法で改善するために用いられる。いくつかの態様において、がんは、標的が発現される固形腫瘍または血液悪性腫瘍である。いくつかの態様において、がんは、標的が発現される固形腫瘍である。いくつかの態様において、がんは、標的が発現される血液悪性腫瘍である。いくつかの態様において、標的は実質上(例えば、がん、臓器または組織の機能を行うことが多い臓器または組織の部分中)に発現される。いくつかの態様において、標的は細胞、組織または臓器上に発現される。いくつかの態様において、標的は間質(すなわち、細胞、組織または臓器の結合支持骨格)上に発現される。いくつかの態様において、標的は骨芽細胞上に発現される。いくつかの態様において、標的は内皮(血管系)上に発現される。いくつかの態様において、標的はがん幹細胞上に発現される。いくつかの態様において、抗体および/または活性化可能抗体がコンジュゲートされた作用物質は、微小管阻害物質である。いくつかの態様において、抗体および/または活性化可能抗体がコンジュゲートされた作用物質は、核酸損傷性作用物質である。
予防、改善または処置の有効性は、例えば、異常な標的発現および/または活性のような、標的発現および/または活性に関連する疾患または障害を診断または処置するための任意の公知の方法に関連して判定される。対象の生存時間を延長させるか、またはそうでなければ対象における標的発現および/もしくは活性、例えば異常な標的発現および/もしくは活性に関連する疾患または障害の進行を遅らせることにより、抗体、コンジュゲートされた抗体、活性化可能抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体が臨床的利益をもたらすことが示唆される。
抗体、コンジュゲートされた抗体、活性化可能抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体は、薬学的組成物の形態で投与することができる。そのような組成物の調製に関与する原理および考察、ならびに成分の選択における指針は、例えば、Remington : The Science And Practice Of Pharmacy 19th ed. (Alfonso R. Gennaro, et al., editors) Mack Pub. Co., Easton, Pa. : 1995; Drug Absorption Enhancement: Concepts, Possibilities, Limitations, And Trends, Harwood Academic Publishers, Langhorne, Pa., 1994; およびPeptide And Protein Drug Delivery (Advances In Parenteral Sciences, Vol. 4), 1991, M. Dekker, New Yorkにおいて提供されている。
抗体断片が用いられるいくつかの態様において、標的タンパク質の結合ドメインに特異的に結合する最小の断片が選択される。例えば、抗体の可変領域配列に基づいて、標的タンパク質配列に結合する能力を保持するペプチド分子をデザインすることができる。そのようなペプチドは、化学的に合成することができ、および/または組み換えDNA技術によって産生することができる。(例えば、Marasco et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 7889-7893 (1993)を参照されたい)。製剤は、処置される特定の適応症に対し必要に応じて2つ以上の活性化合物、例えば、いくつかの態様において、互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有するものを含有することもできる。いくつかの態様において、またはさらに、組成物は、例えば、細胞傷害剤、サイトカイン、化学療法剤または成長阻害剤のような、その機能を増強する作用物質を含むことができる。そのような分子は、意図された目的に有効な量で組み合わせて適切に存在する。
活性成分はまた、例えば、コアセルベーション技術によってまたは界面重合化によって調製されたマイクロカプセル、例えば、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、およびナノカプセル)において、またはマクロエマルジョンにおいて、それぞれヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセルおよびポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセルに閉じ込めることができる。
インビボ投与のために用いられる製剤は無菌でなければならない。これは、滅菌ろ過膜によるろ過によって容易に達成される。
徐放性調製物を調製することができる。徐放性調製物の好適な例としては、マトリックスが、成型された物品、例えばフィルムまたはマイクロカプセルの形状である、抗体を含有する固体疎水性重合体の半透過性マトリックスが挙げられる。徐放性マトリックスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸とγエチル-L-グルタメートの共重合体、非分解性エチレン酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(商標)のような分解性の乳酸-グリコール酸共重合体(乳酸-グリコール酸共重合体および酢酸ロイプロリドで構成される注射可能なミクロスフェア)、ならびにポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が挙げられる。エチレン酢酸ビニルおよび乳酸-グリコール酸のような重合体は、100日を超える分子の放出を可能にするが、ある特定のヒドロゲルは、タンパク質をより短い期間放出する。
いくつかの態様において、抗体、コンジュゲートされた抗体、活性化可能抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体は、検出可能な標識を含む。無傷の抗体またはその断片(例えば、Fab、scFvまたはF(ab)2)が用いられる。プローブまたは抗体に関して「標識された」という用語は、検出可能な物質をプローブまたは抗体にカップリングさせる(すなわち、物理的に連結させる)ことによるプローブまたは抗体の直接的標識、および直接的に標識されている別の試薬との反応性によるプローブまたは抗体の間接的標識を包含することが意図される。間接的標識の例としては、蛍光的に標識された二次抗体を用いる一次抗体の検出、および蛍光的に標識されたストレプトアビジンによって検出できるようにビオチンを用いたDNAプローブの末端標識が挙げられる。「生体サンプル」という用語は、対象から単離された組織、細胞および生体液、ならびに対象内に存在する組織、細胞および液体を含むことが意図される。それゆえ、血液、および血清、血漿、またはリンパ液を含む血液の画分または成分は「生体サンプル」という用語の用法内に含まれる。すなわち、本開示の検出法を用いて、インビトロおよびインビボで生体サンプル中の被分析物mRNA、タンパク質またはゲノムDNAを検出することができる。例えば、被分析物mRNAの検出のためのインビトロ技法には、ノザンハイブリダイゼーションおよびインサイチューハイブリダイゼーションが含まれる。被分析物タンパク質の検出のためのインビトロ技法には、酵素免疫測定法(ELISA)、ウエスタンブロット、免疫沈降、免疫化学的染色、および免疫蛍光が含まれる。被分析物ゲノムDNAの検出のためのインビトロ技法には、サザンハイブリダイゼーションが含まれる。免疫アッセイ法を行うための手順は、例えば、「ELISA: Theory and Practice: Methods in Molecular Biology」, Vol. 42, J. R. Crowther (Ed.) Human Press, Totowa, NJ, 1995; 「Immunoassay」, E. Diamandis and T. Christopoulus, Academic Press, Inc., San Diego, CA, 1996; および「Practice and Theory of Enzyme Immunoassays」, P. Tijssen, Elsevier Science Publishers, Amsterdam, 1985に記述されている。さらに、被分析物タンパク質の検出のためのインビボ技法は、標識された抗被分析物タンパク質抗体を対象に導入する段階を含む。例えば、標準的な撮像技法によって対象における存在および位置を検出できる放射性マーカーで、抗体を標識することができる。
本開示の抗体、コンジュゲートされた抗体、活性化可能抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体は、種々の診断および予防製剤においても有用である。1つの態様において、抗体、コンジュゲートされた抗体、活性化可能抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体は、上記の障害の1つまたは複数を発症する危険性のある患者に投与される。上記の障害の1つまたは複数に対する患者または臓器の素因は、遺伝子型マーカー、血清学的マーカーまたは生化学的マーカーを用いて判定することができる。
本開示のいくつかの態様において、抗体、コンジュゲートされた抗体、活性化可能抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体は、上記の障害の1つまたは複数に関連する臨床的適応症と診断されたヒト個体に投与される。診断時に、抗体、コンジュゲートされた抗体、活性化可能抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体は、臨床的適応症の影響を緩和するか、または反転させるために投与される。
本開示の抗体、コンジュゲートされた抗体、活性化可能抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体はまた、患者サンプル中の標的の検出において有用であり、したがって診断薬として有用である。例えば、本開示の、抗体および/または活性化可能抗体、ならびにそれらのコンジュゲートバージョンは、患者サンプルにおける標的レベルを検出するためにインビトロアッセイ法、例えばELISAにおいて用いられる。
1つの態様において、本開示の抗体、コンジュゲートされた抗体、活性化可能抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体は、固体支持体(例えば、マイクロタイタープレートのウェル)上に固定化される。固定化された抗体、コンジュゲートされた抗体、活性化可能抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体は、試験サンプル中に存在しうる任意の標的の捕捉抗体として働く。固定化された抗体および/もしくは活性化可能抗体、ならびに/またはそれらのコンジュゲートバージョンを患者サンプルと接触させる前に、固体支持体をすすぎ、乳タンパク質またはアルブミンのようなブロッキング剤で処理して被分析物の非特異的吸着を防ぐ。
引き続いて、抗原を含有するのではないかと疑われる試験サンプルを用いて、または標準の抗原量を含有する溶液を用いてウェルを処理する。そのようなサンプルは、例えば、病態の診断になると考えられる循環血中抗原レベルを有するのではないかと疑われる対象由来の血清サンプルである。試験サンプルまたは標準物質をすすいだ後、固体支持体を、検出可能に標識されている二次抗体で処理する。標識された二次抗体は、検出用抗体として働く。検出可能な標識のレベルを測定し、標準サンプルから作成した標準曲線との比較によって試験サンプル中の標的抗原の濃度を判定する。
インビトロ診断アッセイ法において、本開示の抗体および活性化可能抗体、ならびにそれらのコンジュゲートバージョンを用いて得られた結果に基づき、標的抗原の発現レベルに基づいて対象において疾患を病期分類することが可能であるものと理解されよう。所与の疾患について、血液のサンプルは、疾患進行の様々な段階にあると診断された対象から、および/または疾患の治療的処置における様々な時点で採取される。進行または治療の各段階について統計的に有意な結果を提供するサンプルの集団を用いて、各段階に特徴的であるとみなされうる抗原の濃度の範囲が指定される。
抗体、コンジュゲートされた抗体、活性化可能抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体はまた、診断方法および/または撮像方法において用いることもできる。いくつかの態様において、そのような方法はインビトロの方法である。いくつかの態様において、そのような方法はインビボの方法である。いくつかの態様において、そのような方法はインサイチューの方法である。いくつかの態様において、そのような方法はエクスビボの方法である。例えば、酵素的に切断可能なCMを有する活性化可能抗体を用いて、CMを切断することができる酵素の有無を検出することができる。そのような活性化可能抗体は、診断法において用いることができ、これには、所与の宿主生物の所与の細胞または組織において活性化された抗体(すなわち、活性化可能抗体の切断から生じる抗体)の、測定された蓄積による酵素活性(または、いくつかの態様において、ジスルフィド結合の還元をもたらすことができるものなどの増大した還元電位の環境)のインビボでの検出(例えば、定性的または定量的)が含まれうる。活性化された抗体のそのような蓄積からは、組織が酵素活性(またはCMの性質に依って増大した還元電位)を発現することだけでなく、活性化された抗体が結合する標的を組織が発現することも示唆される。
例えば、CMは、腫瘍の部位、生物学的に限定された部位(例えば、膿瘍中、臓器中などのような)におけるウイルス感染または細菌感染の部位などで見出される少なくとも1つのプロテアーゼの基質であるように選択することができる。ABは、標的抗原に結合するものであることができる。本明細書において開示される方法、または適切な場合には、当業者によく知られている方法を用いて、検出可能な標識(例えば、蛍光標識または放射性標識または放射性追跡子)をABまたは抗体および/もしくは活性化可能抗体の他の領域にコンジュゲートさせることができる。好適な検出可能な標識は、上記のスクリーニング方法の文脈において論じられており、さらなる具体的な例が以下に提供されている。関心対象の疾患組織において活性が上昇する少なくとも1つのプロテアーゼとともに、疾患状態のタンパク質またはペプチドに特異的なABを用いることにより、活性化可能抗体は、CM特異的な酵素が検出可能なレベルで存在しない、もしくは疾患組織におけるよりも低いレベルで存在するか、または不活性である(例えば、酵素前駆体の形態にあるもしくは阻害物質との複合体の状態にある)組織と比べて、疾患組織への結合速度の増大を示すであろう。小さなタンパク質およびペプチドが腎臓ろ過システムによって血液から迅速に除去されるため、およびCMに特異的な酵素が検出可能なレベルで存在しない(または、非疾患組織ではより低いレベルで存在するか、もしくは不活性なコンフォメーションで存在する)ため、疾患組織における活性化された抗体の蓄積は、非疾患組織と比べて増大する。
別の例では、活性化可能抗体を用いて、サンプル中の切断作用物質の有無を検出することができる。例えば、活性化可能抗体が酵素による切断を受けやすいCMを含む場合、活性化可能抗体を用いて、サンプル中の酵素の存在を(定性的または定量的に)検出することができる。別の例では、活性化可能抗体が還元剤による切断を受けやすいCMを含む場合、活性化可能抗体を用いて、サンプルにおける還元条件の存在を(定性的または定量的に)検出することができる。これらの方法における分析を容易にするために、活性化可能抗体を検出可能に標識することができ、支持体(例えば、スライドまたはビーズのような固体支持体)に結合させることができる。検出可能な標識は、活性化可能抗体の、切断後に放出されない部分に配置することができ、例えば、検出可能な標識は、切断が行われるまで検出できない消光された蛍光標識または他の標識であることができる。アッセイ法は、例えば、固定化された検出可能に標識された活性化可能抗体を、切断が行われるのに十分な時間、酵素および/または還元剤を含有するのではないかと疑われるサンプルと接触させ、次に洗浄して過剰なサンプルおよび夾雑物を除去することによって行うことができる。次に、サンプル中の切断作用物質(例えば、酵素または還元剤)の有無を、サンプルと接触させる前の活性化可能抗体の検出可能なシグナルの変化、例えば、サンプル中の切断作用物質による活性化可能抗体の切断に起因する検出可能なシグナルの存在および/または増加によって評価する。
そのような検出方法は、切断時に活性化可能抗体のABに結合できる標的の有無の検出を同様に提供するように適合させることができる。したがって、アッセイ法は、切断作用物質の有無および関心対象の標的の有無を評価するように適合させることができる。切断作用物質の有無は、上記のように活性化可能抗体の、検出可能な標識の存在および/または増加によって検出することができ、標的の有無は、例えば検出可能に標識された抗標的抗体の使用による、標的-AB複合体の検出によって検出することができる。
活性化可能抗体はまた、例えばプロテアーゼ切断、および特定の標的への結合による、活性化可能抗体活性化の検証のためのインサイチュー撮像において有用である。インサイチュー撮像は、細胞培養または組織切片のような生体サンプルにおけるタンパク質分解活性および標的の局在確認を可能にする技法である。この技法を用いて、検出可能な標識(例えば、蛍光標識)の存在に基づき、所与の標的への結合およびタンパク質分解活性の両方を確認することが可能である。
これらの技法は、疾患部位(例えば腫瘍組織)または健常組織に由来するどんな凍結細胞または組織でも有用である。これらの技法はまた、新鮮な細胞または組織サンプルでも有用である。
これらの技法においては、活性化可能抗体は検出可能な標識で標識される。検出可能な標識は、蛍光色素(例えばフルオロフォア、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミンイソチオシアネート(TRITC)、Alexa Fluor (登録商標)標識)、近赤外(NIR)色素(例えば、Qdot(登録商標)ナノクリスタル)、コロイド金属、ハプテン、放射性マーカー、ビオチンおよびストレプトアビジンのような増幅試薬、または酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼ)でありうる。
標識された活性化可能抗体とともにインキュベートされたサンプル中の標識の検出は、サンプルが標的を含み、活性化可能抗体のCMに特異的なプロテアーゼを含有することを示す。いくつかの態様において、本明細書において記述されるものなどの広域プロテアーゼ阻害剤を用いることにより、および/またはプロテアーゼに特異的な作用物質、例えば、プロテアーゼのマトリプターゼに特異的であり、マトリプターゼのタンパク質分解活性を阻害する、A11のような抗体を用いることにより、プロテアーゼの存在を確認することができる; 例えば、2010年11月11日付で刊行された国際公開番号WO 2010/129609を参照されたい。活性化可能抗体のCMに特異的なプロテアーゼを同定するために、本明細書において記述されるものなどの広域プロテアーゼ阻害剤を用いる、および/またはより選択的な阻害剤を用いることによる同じ手法を用いることができる。いくつかの態様において、標的の存在は標的に特異的な作用物質、例えば、別の抗体を用いて確認することができ、または検出可能な標識は非標識の標的と競合させることができる。いくつかの態様において、標識された二次抗体またはより複雑な検出系による検出とともに、標識されていない活性化可能抗体を用いることができる。
同様の技法はまた、対象、例えば、ヒトを含む哺乳動物における蛍光シグナルの検出から、疾患部位が標的を含み、かつ活性化可能抗体のCMに特異的なプロテアーゼを含むことが示唆される、インビボ撮像にも有用である。
これらの技法はまた、活性化可能抗体におけるプロテアーゼ特異的CMに基づく、種々の細胞、組織および生物におけるプロテアーゼ活性を検出、同定、または特性を明らかにするためのキットにおいておよび/または試薬として有用である。
本開示は、種々の診断上および/または予防上の適用において抗体および/または活性化可能抗体を用いる方法を提供する。例えば、本開示は、以下によって対象またはサンプルにおける切断作用物質および関心対象の標的の有無を検出する方法を提供する:(i) 活性化可能抗体と対象またはサンプルを接触させる段階であって、活性化可能抗体が、マスキング部分(MM)と、切断作用物質、例えばプロテアーゼにより切断される切断可能部分(CM)と、関心対象の標的に特異的に結合する抗原結合ドメインまたはその断片(AB)とを含み、ここで、切断されていない非活性化状態にある活性化可能抗体が、N末端からC末端に向かって、MM-CM-ABまたはAB-CM-MMのような構造的配置を含み; (a) MMは、標的に対するABの結合を阻害するペプチドであり、かつMMは、天然に存在するABの結合パートナーのアミノ酸配列を持たずかつ天然のABの結合パートナーの修飾型ではなく; および(b) 切断されていない非活性化状態において、MMは、標的に対するABの特異的結合に干渉し、かつ、切断された活性化状態では、MMは、標的に対するABの特異的結合に干渉も競合もしない、前記段階; ならびに(ii) 対象またはサンプルにおける活性化された活性化可能抗体のレベルを測定する段階であって、対象またはサンプルにおける活性化された活性化可能抗体の検出可能なレベルから、切断作用物質および標的が対象またはサンプル中に存在することが示唆され、かつ、対象またはサンプルにおける活性化された活性化可能抗体の検出不能なレベルから、切断作用物質、標的、もしくは切断作用物質と標的の両方が対象もしくはサンプル中に存在しないおよび/または十分に存在しないことが示唆される、前記段階。いくつかの態様において、活性化可能抗体は、治療用作用物質がコンジュゲートされている活性化可能抗体である。いくつかの態様において、活性化可能抗体は作用物質にコンジュゲートされていない。いくつかの態様において、活性化可能抗体は、検出可能な標識を含む。いくつかの態様において、検出可能な標識はABに配置される。いくつかの態様において、対象またはサンプルにおける活性化可能抗体のレベルを測定する段階は、活性化された抗体に特異的に結合する二次試薬であって、検出可能な標識を含む該試薬を用いて達成される。いくつかの態様において、二次試薬は、検出可能な標識を含む抗体である。
本開示はまた、以下によって対象またはサンプルにおける切断作用物質の有無を検出する方法を提供する:(i) 関心対象の標的、例えば、標的の存在下において活性化可能抗体と対象またはサンプルを接触させる段階であって、活性化可能抗体が、マスキング部分(MM)と、切断作用物質、例えばプロテアーゼにより切断される切断可能部分(CM)と、関心対象の標的に特異的に結合する抗原結合ドメインまたはその断片(AB)とを含み、ここで、切断されていない非活性化状態にある活性化可能抗体が、N末端からC末端に向かって、MM-CM-ABまたはAB-CM-MMのような構造的配置を含み; (a) MMは、標的に対するABの結合を阻害するペプチドであり、かつMMは、天然に存在するAB結合パートナーのアミノ酸配列を持たずかつ天然のAB結合パートナーの修飾型ではなく; および(b) 切断されていない非活性化状態において、MMは、標的に対するABの特異的結合に干渉し、かつ、切断された活性化状態では、MMは、標的に対するABの特異的結合に干渉も競合もしない、前記段階; ならびに(ii) 対象またはサンプルにおける活性化された活性化可能抗体のレベルを測定する段階であって、対象またはサンプルにおける活性化された活性化可能抗体の検出可能なレベルから、切断作用物質が対象またはサンプル中に存在することが示唆され、かつ、対象またはサンプルにおける活性化された活性化可能抗体の検出不能なレベルから、切断作用物質が対象もしくはサンプル中に存在しないおよび/または十分に存在しないことが示唆される、前記段階。いくつかの態様において、活性化可能抗体は、治療用作用物質がコンジュゲートされている活性化可能抗体である。いくつかの態様において、活性化可能抗体は作用物質にコンジュゲートされていない。いくつかの態様において、活性化可能抗体は、検出可能な標識を含む。いくつかの態様において、検出可能な標識はABに配置される。いくつかの態様において、対象またはサンプルにおける活性化可能抗体のレベルを測定する段階は、活性化された抗体に特異的に結合する二次試薬であって、検出可能な標識を含む該試薬を用いて達成される。いくつかの態様において、二次試薬は、検出可能な標識を含む抗体である。
本開示はまた、対象またはサンプルにおける切断作用物質および標的の有無を検出する方法で用いるためのキットであって、少なくとも、マスキング部分(MM)と、切断作用物質、例えばプロテアーゼにより切断される切断可能部分(CM)と、関心対象の標的に特異的に結合する抗原結合ドメインまたはその断片(AB)とを含む活性化可能抗体を含むキットを提供し、ここで、切断されていない非活性化状態にある活性化可能抗体は、N末端からC末端に向かって、MM-CM-ABまたはAB-CM-MMのような構造的配置を含み; (a) MMは、標的に対するABの結合を阻害するペプチドであり、かつ、MMは、天然に存在するAB結合パートナーのアミノ酸配列を持たずかつ天然のAB結合パートナーの修飾型ではなく; および(b) 切断されていない非活性化状態において、MMは、標的に対するABの特異的結合に干渉し、かつ、切断された活性化状態では、MMは、標的に対するABの特異的結合に干渉も競合もしない; ならびに(ii) 対象またはサンプルにおける活性化された活性化可能抗体のレベルを測定する段階であって、対象またはサンプルにおける活性化された活性化可能抗体の検出可能なレベルから、切断作用物質が対象またはサンプル中に存在することが示唆され、かつ、対象またはサンプルにおける活性化された活性化可能抗体の検出不能なレベルから、切断作用物質が対象もしくはサンプル中に存在しないおよび/または十分に存在しないことが示唆される、前記段階。いくつかの態様において、活性化可能抗体は、治療用作用物質がコンジュゲートされている活性化可能抗体である。いくつかの態様において、活性化可能抗体は作用物質にコンジュゲートされていない。いくつかの態様において、活性化可能抗体は、検出可能な標識を含む。いくつかの態様において、検出可能な標識はABに配置される。いくつかの態様において、対象またはサンプルにおける活性化可能抗体のレベルを測定する段階は、活性化された抗体に特異的に結合する二次試薬であって、検出可能な標識を含む該試薬を用いて達成される。いくつかの態様において、二次試薬は、検出可能な標識を含む抗体である。
本開示はまた、以下によって対象またはサンプルにおける切断作用物質の有無を検出する方法を提供する:(i) 活性化可能抗体と対象またはサンプルを接触させる段階であって、活性化可能抗体が、マスキング部分(MM)と、切断作用物質、例えばプロテアーゼにより切断される切断可能部分(CM)と、標的に特異的に結合する抗原結合ドメイン(AB)と、検出可能な標識とを含み、ここで、切断されていない非活性化状態にある活性化可能抗体が、N末端からC末端に向かって、MM-CM-ABまたはAB-CM-MMのような構造的配置を含み; MMが、標的に対するABの結合を阻害するペプチドであり、かつMMが、天然に存在するAB結合パートナーのアミノ酸配列を持たずかつ天然のAB結合パートナーの修飾型ではなく; 切断されていない非活性化状態において、MMが、標的に対するABの特異的結合に干渉し、かつ、切断された活性化状態では、MMが、標的に対するABの特異的結合に干渉も競合もしない; かつ、検出可能な標識が、活性化可能抗体の、CMの切断後に放出される部分に配置される、前記段階; ならびに(ii) 対象またはサンプルにおける検出可能な標識のレベルを測定する段階であって、対象またはサンプルにおける検出可能な標識の検出可能なレベルから、切断作用物質が対象もしくはサンプル中に存在しないおよび/または十分に存在しないことが示唆され、かつ、対象またはサンプルにおける検出可能な標識の検出不能なレベルから、切断作用物質が対象またはサンプル中に存在することが示唆される、前記段階。いくつかの態様において、活性化可能抗体は、治療用作用物質がコンジュゲートされている活性化可能抗体である。いくつかの態様において、活性化可能抗体は作用物質にコンジュゲートされていない。いくつかの態様において、活性化可能抗体は、検出可能な標識を含む。いくつかの態様において、検出可能な標識はABに配置される。いくつかの態様において、対象またはサンプルにおける活性化可能抗体のレベルを測定する段階は、活性化された抗体に特異的に結合する二次試薬であって、検出可能な標識を含む該試薬を用いて達成される。いくつかの態様において、二次試薬は、検出可能な標識を含む抗体である。
本開示はまた、対象またはサンプルにおける切断作用物質および標的の有無を検出する方法で用いるためのキットであって、少なくとも、対象または生体サンプルと接触させるのに用いるための本明細書において記述される活性化可能抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体(例えば、治療用作用物質がコンジュゲートされている活性化可能抗体)ならびに対象または生体サンプルにおける活性化された活性化可能抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体のレベルを検出するための手段を含む該キットを提供し、ここで、対象または生体サンプルにおける活性化された活性化可能抗体の検出可能なレベルから、切断作用物質および標的が対象または生体サンプル中に存在することが示唆され、かつ、対象または生体サンプルにおける活性化された活性化可能抗体の検出不能なレベルから、切断作用物質、標的、もしくは切断作用物質と標的の両方が対象もしくは生体サンプル中に存在しないおよび/または十分に存在せず、したがって活性化可能抗体の標的結合および/またはプロテアーゼ切断を、対象または生体サンプルにおいて検出することができないことが示唆される。
本開示はまた、(i) 標的の存在下において活性化可能抗体と対象または生体サンプルを接触させること、および(ii) 対象または生体サンプルにおける活性化された活性化可能抗体のレベルを測定することによって、対象またはサンプルにおける切断作用物質の有無を検出する方法を提供し、ここで、対象または生体サンプルにおける活性化された活性化可能抗体の検出可能なレベルから、切断作用物質が対象または生体サンプル中に存在することが示唆され、かつ、対象または生体サンプルにおける活性化された活性化可能抗体の検出不能なレベルから、切断作用物質が対象もしくは生体サンプル中に検出可能なレベルで存在しないおよび/または十分に存在せず、したがって活性化可能抗体のプロテアーゼ切断を、対象または生体サンプルにおいて検出することができないことが示唆される。そのような活性化可能抗体は、マスキング部分(MM)と、切断作用物質、例えばプロテアーゼにより切断される切断可能部分(CM)と、標的に特異的に結合する抗原結合ドメインまたはその断片(AB)とを含み、ここで、切断されていない(すなわち非活性化)状態にある活性化可能抗体は、N末端からC末端に向かって、MM-CM-ABまたはAB-CM-MMのような構造的配置を含み; (a) MMは、標的に対するABの結合を阻害するペプチドであり、かつMMは、天然に存在するAB結合パートナーのアミノ酸配列を持たず; および(b) 非切断状態において、活性化可能抗体のMMは、標的に対するABの特異的結合に干渉し、かつ、切断された(すなわち、活性化)状態では、活性化可能抗体のMMは、標的に対するABの特異的結合に干渉も競合もしない。いくつかの態様において、活性化可能抗体は、治療用作用物質がコンジュゲートされている活性化可能抗体である。いくつかの態様において、活性化可能抗体は作用物質にコンジュゲートされていない。いくつかの態様において、検出可能な標識は、マスキング部分に結合される。いくつかの態様において、検出可能な標識は、プロテアーゼ切断部位に対してN末端側の切断可能部分に結合される。いくつかの態様において、ABの単一の抗原結合部位がマスクされる。本開示の抗体が少なくとも2つの抗原結合部位を有するいくつかの態様において、少なくとも1つの抗原結合部位がマスクされ、かつ少なくとも1つの抗原結合部位がマスクされない。いくつかの態様において、全ての抗原結合部位がマスクされる。いくつかの態様において、測定する段階は、検出可能な標識を含む二次試薬の使用を含む。
本開示はまた、対象またはサンプルにおける切断作用物質および標的の有無を検出する方法で用いるためのキットであって、少なくとも、標的の存在下において活性化可能抗体と対象または生体サンプルを接触させかつ対象または生体サンプルにおける活性化された活性化可能抗体のレベルを測定するのに用いるための、本明細書において記述される活性化可能抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体を含む該キットを提供し、ここで、対象または生体サンプルにおける活性化された活性化可能抗体の検出可能なレベルから、切断作用物質が対象または生体サンプル中に存在することが示唆され、かつ、対象または生体サンプルにおける活性化された活性化可能抗体の検出不能なレベルから、切断作用物質が対象もしくは生体サンプル中に検出可能なレベルで存在しないおよび/または十分に存在せず、したがって活性化可能抗体のプロテアーゼ切断を、対象または生体サンプルにおいて検出することができないことが示唆される。そのような活性化可能抗体は、マスキング部分(MM)と、切断作用物質、例えばプロテアーゼにより切断される切断可能部分(CM)と、標的に特異的に結合する抗原結合ドメインまたはその断片(AB)とを含み、ここで、切断されていない(すなわち非活性化)状態にある活性化可能抗体は、N末端からC末端に向かって、MM-CM-ABまたはAB-CM-MMのような構造的配置を含み; (a) MMは、標的に対するABの結合を阻害するペプチドであり、かつMMは、天然に存在するAB結合パートナーのアミノ酸配列を持たず; および(b) 非切断状態において、活性化可能抗体のMMは、標的に対するABの特異的結合に干渉し、かつ、切断された(すなわち、活性化)状態では、活性化可能抗体のMMは、標的に対するABの特異的結合に干渉も競合もしない。いくつかの態様において、活性化可能抗体は、治療用作用物質がコンジュゲートされている活性化可能抗体である。いくつかの態様において、活性化可能抗体は作用物質にコンジュゲートされていない。いくつかの態様において、検出可能な標識は、マスキング部分に結合される。いくつかの態様において、検出可能な標識は、プロテアーゼ切断部位に対してN末端側の切断可能部分に結合される。いくつかの態様において、ABの単一の抗原結合部位がマスクされる。本開示の抗体が少なくとも2つの抗原結合部位を有するいくつかの態様において、少なくとも1つの抗原結合部位がマスクされ、かつ少なくとも1つの抗原結合部位がマスクされない。いくつかの態様において、全ての抗原結合部位がマスクされる。いくつかの態様において、測定する段階は、検出可能な標識を含む二次試薬の使用を含む。
本開示はまた、対象またはサンプルにおける切断作用物質の有無を検出する方法で用いるためのキットであって、少なくとも、対象または生体サンプルと接触させるのに用いるための本明細書において記述される活性化可能抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体ならびに対象または生体サンプルにおける活性化された活性化可能抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体のレベルを検出するための手段を含む該キットを提供し、ここで、活性化可能抗体は、活性化可能抗体の、CMの切断後に放出される部分に配置される検出可能な標識を含み、ここで、対象または生体サンプルにおける活性化された活性化可能抗体の検出可能なレベルから、切断作用物質が対象もしくは生体サンプル中に存在せずおよび/または十分に存在せず、したがって活性化可能抗体の標的結合および/またはプロテアーゼ切断を、対象または生体サンプルにおいて検出できないことが示唆され、かつ、対象または生体サンプルにおける活性化された活性化可能抗体の検出不能なレベルから、切断作用物質が対象または生体サンプル中に検出可能なレベルで存在することが示唆される。
本開示は、(i) 活性化可能抗体と対象または生体サンプルを接触させることであって、活性化可能抗体が、活性化可能抗体の、CMの切断後に放出される部分に配置される検出可能な標識を含む、前記接触、および(ii) 対象または生体サンプルにおける活性化された活性化可能抗体のレベルを測定することによって、対象またはサンプルにおける切断作用物質および標的の有無を検出する方法を提供し、ここで、対象または生体サンプルにおける活性化された活性化可能抗体の検出可能なレベルから、切断作用物質、標的、もしくは切断作用物質と標的の両方が対象または生体サンプル中に存在せずおよび/または十分に存在せず、したがって活性化可能抗体の標的結合および/またはプロテアーゼ切断を、対象または生体サンプルにおいて検出できないことが示唆され、かつ、対象または生体サンプルにおける活性化された活性化可能抗体の検出可能なレベルの低減から、切断作用物質および標的が対象または生体サンプル中に存在することが示唆される。検出可能な標識のレベルの低減は、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%および/または約100%の低減である。そのような活性化可能抗体は、マスキング部分(MM)と、切断作用物質により切断される切断可能部分(CM)と、標的に特異的に結合する抗原結合ドメインまたはその断片(AB)とを含み、ここで、切断されていない(すなわち非活性化)状態にある活性化可能抗体は、N末端からC末端に向かって、MM-CM-ABまたはAB-CM-MMのような構造的配置を含み; (a) MMは、標的に対するABの結合を阻害するペプチドであり、かつMMは、天然に存在するAB結合パートナーのアミノ酸配列を持たず; および(b) 非切断状態において、活性化可能抗体のMMは、標的に対するABの特異的結合に干渉し、かつ切断された(すなわち、活性化)状態では、活性化可能抗体のMMは、標的に対するABの特異的結合に干渉も競合もしない。いくつかの態様において、活性化可能抗体は、治療用作用物質がコンジュゲートされている活性化可能抗体である。いくつかの態様において、活性化可能抗体は作用物質にコンジュゲートされていない。いくつかの態様において、活性化可能抗体は、検出可能な標識を含む。いくつかの態様において、検出可能な標識はABに配置される。いくつかの態様において、対象またはサンプルにおける活性化可能抗体のレベルを測定する段階は、活性化された抗体に特異的に結合する二次試薬であって、検出可能な標識を含む該試薬を用いて達成される。いくつかの態様において、二次試薬は、検出可能な標識を含む抗体である。
本開示はまた、対象またはサンプルにおける切断作用物質および標的の有無を検出する方法で用いるためのキットであって、少なくとも、対象または生体サンプルと接触させるのに用いるための本明細書において記述される活性化可能抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体ならびに対象または生体サンプルにおける活性化された活性化可能抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体のレベルを検出するための手段を含む該キットを提供し、ここで、対象または生体サンプルにおける活性化された活性化可能抗体の検出可能なレベルから、切断作用物質、標的、もしくは切断作用物質と標的の両方が対象もしくは生体サンプル中に存在せずおよび/または十分に存在せず、したがって活性化可能抗体の標的結合および/またはプロテアーゼ切断を、対象または生体サンプルにおいて検出できないことが示唆され、かつ、対象または生体サンプルにおける活性化された活性化可能抗体の検出可能なレベルの低減から、切断作用物質および標的が対象または生体サンプル中に存在することが示唆される。検出可能な標識のレベルの低減は、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%および/または約100%の低減である。
本開示はまた、(i) 活性化可能抗体と対象または生体サンプルを接触させることであって、活性化可能抗体が、活性化可能抗体の、CMの切断後に放出される部分に配置される検出可能な標識を含む、前記接触; および(ii) 対象または生体サンプルにおける検出可能な標識のレベルを測定することによって、対象またはサンプルにおける切断作用物質の有無を検出する方法を提供し、ここで、対象または生体サンプルにおける検出可能な標識の検出可能なレベルから、切断作用物質が対象または生体サンプル中に検出可能なレベルで存在せずおよび/または十分に存在せず、したがって活性化可能抗体のプロテアーゼ切断を、対象または生体サンプルにおいて検出できないことが示唆され、かつ、対象または生体サンプルにおける検出可能な標識の検出可能なレベルの低減から、切断作用物質が対象または生体サンプル中に存在することが示唆される。検出可能な標識のレベルの低減は、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%および/または約100%の低減である。そのような活性化可能抗体は、マスキング部分(MM)と、切断作用物質により切断される切断可能部分(CM)と、標的に特異的に結合する抗原結合ドメインまたはその断片(AB)とを含み、ここで、切断されていない(すなわち非活性化)状態にある活性化可能抗体は、N末端からC末端に向かって、MM-CM-ABまたはAB-CM-MMのような構造的配置を含み; (a) MMは、標的に対するABの結合を阻害するペプチドであり、かつMMは、天然に存在するAB結合パートナーのアミノ酸配列を持たず; および(b) 非切断状態において、活性化可能抗体のMMは、標的に対するABの特異的結合に干渉し、かつ切断された(すなわち、活性化)状態では、活性化可能抗体のMMは、標的へのABの特異的結合に干渉も競合もしない。いくつかの態様において、活性化可能抗体は、治療用作用物質がコンジュゲートされている活性化可能抗体である。いくつかの態様において、活性化可能抗体は作用物質にコンジュゲートされていない。いくつかの態様において、活性化可能抗体は、検出可能な標識を含む。いくつかの態様において、検出可能な標識はABに配置される。いくつかの態様において、対象またはサンプルにおける活性化可能抗体のレベルを測定する段階は、活性化された抗体に特異的に結合する二次試薬であって、検出可能な標識を含む該試薬を用いて達成される。いくつかの態様において、二次試薬は、検出可能な標識を含む抗体である。
本開示はまた、対象またはサンプルにおける関心対象の切断作用物質の有無を検出する方法で用いるためのキットであって、少なくとも、対象または生体サンプルと接触させるのに用いるための本明細書において記述される活性化可能抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体ならびに対象または生体サンプルにおける活性化された活性化可能抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体のレベルを検出するための手段を含む該キットを提供し、ここで、活性化可能抗体が、活性化可能抗体の、CMの切断後に放出される部分に配置される検出可能な標識を含み、ここで対象または生体サンプルにおける検出可能な標識の検出可能なレベルから、切断作用物質、標的、もしくは切断作用物質と標的の両方が対象もしくは生体サンプル中に存在せずおよび/または十分に存在せず、したがって活性化可能抗体の標的結合および/またはプロテアーゼ切断を、対象または生体サンプルにおいて検出できないことが示唆され、かつ、対象または生体サンプルにおける検出可能な標識の検出可能なレベルの低減から、切断作用物質および標的が対象または生体サンプル中に存在することが示唆される。検出可能な標識のレベルの低減は、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%および/または約100%の低減である。
これらの方法およびキットのいくつかの態様において、活性化可能抗体は検出可能な標識を含む。これらの方法およびキットのいくつかの態様において、検出可能な標識は、造影剤、コントラスト剤、酵素、蛍光標識、発色団、色素、1つもしくは複数の金属イオン、またはリガンドに基づく標識を含む。これらの方法およびキットのいくつかの態様において、造影剤は放射性同位体を含む。これらの方法およびキットのいくつかの態様において、放射性同位体はインジウムまたはテクネチウムである。これらの方法およびキットのいくつかの態様において、コントラスト剤は、ヨウ素、ガドリニウムまたは酸化鉄を含む。これらの方法およびキットのいくつかの態様において、酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、またはβ-ガラクトシダーゼを含む。これらの方法およびキットのいくつかの態様において、蛍光標識は黄色蛍光タンパク質(YFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、修飾赤色蛍光タンパク質(mRFP)、赤色蛍光タンパク質tdimer2 (RFP tdimer2)、HCREDまたはユーロピウム誘導体を含む。これらの方法およびキットのいくつかの態様において、発光標識はN-メチルアクリジウム誘導体を含む。これらの方法のいくつかの態様において、標識は、Alex Fluor(登録商標)680またはAlexa Fluor(登録商標)750のような、Alexa Fluor(登録商標)標識を含む。これらの方法およびキットのいくつかの態様において、リガンドに基づく標識は、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジンまたは1つもしくは複数のハプテンを含む。
これらの方法およびキットのいくつかの態様において、対象は哺乳動物である。これらの方法およびキットのいくつかの態様において、対象はヒトである。いくつかの態様において、対象は、非ヒト霊長類、伴侶動物(例えば、ネコ、イヌ、ウマ)、家畜、作業動物、または動物園の動物のような、非ヒト哺乳動物である。いくつかの態様において、対象はげっ歯類である。
これらの方法のいくつかの態様において、本方法はインビボの方法である。これらの方法のいくつかの態様において、本方法はインサイチューの方法である。これらの方法のいくつかの態様において、本方法はエクスビボの方法である。これらの方法のいくつかの態様において、本方法はインビトロの方法である。
いくつかの態様において、インサイチュー撮像および/またはインビボ撮像は、どの患者を処置するかを同定する方法において有用である。例えば、インサイチュー撮像では、活性化可能抗体を用いて患者サンプルをスクリーニングし、適切なプロテアーゼおよび標的を適切な位置、例えば腫瘍部位に有する患者を同定する。
いくつかの態様において、本開示の活性化可能抗体での処置に適した患者集団を同定するかまたはそうでなければ精緻化するためにインサイチュー撮像が用いられる。例えば、試験されている活性化可能抗体の切断可能部分(CM)における基質を切断するプロテアーゼおよび標的(例えば、標的)の両方の検査で陽性となる(例えば、疾患部位に活性化された抗体を蓄積させる)患者は、そのようなCMを含むそのような活性化可能抗体による処置に適した候補として同定される。同様に、これらの方法を用いて試験されている活性化可能抗体中のCMにおける基質を切断するプロテアーゼおよび標的(例えば、標的)の一方または両方の検査で陰性となる患者は、別の治療形態に適した候補として同定されうる。いくつかの態様において、第1の活性化可能抗体に関する検査で陰性となるそのような患者は、処置に適した活性化可能抗体(例えば、疾患の部位で患者により切断されるCMを含む活性化可能抗体)が同定されるまで、異なるCMを含む他の活性化可能抗体で試験することができる。いくつかの態様において、患者にその後、患者が試験で陽性となった活性化可能抗体の治療的有効量が投与される。
いくつかの態様において、本開示の活性化可能抗体での処置に適した患者集団を同定するかまたはそうでなければ精緻化するためにインビボ撮像が用いられる。例えば、試験されている活性化可能抗体の切断可能部分(CM)における基質を切断するプロテアーゼおよび標的(例えば、標的)の両方の検査で陽性となる(例えば、疾患部位に活性化された抗体を蓄積させる)患者は、そのようなCMを含むそのような活性化可能抗体による処置に適した候補として同定される。同様に、検査で陰性となる患者は、別の治療形態に適した候補として同定されうる。いくつかの態様において、第1の活性化可能抗体に関する検査で陰性となるそのような患者は、処置に適した活性化可能抗体(例えば、疾患の部位で患者により切断されるCMを含む活性化可能抗体)が同定されるまで、異なるCMを含む他の活性化可能抗体で試験することができる。いくつかの態様において、患者にその後、患者が試験で陽性となった活性化可能抗体の治療的有効量が投与される。
本方法およびキットのいくつかの態様において、本開示の活性化可能抗体での処置に適した患者集団を同定するかまたはそうでなければ精緻化するために本方法またはキットが用いられる。例えば、これらの方法において試験されている活性化可能抗体の切断可能部分(CM)における基質を切断するプロテアーゼおよび標的(例えば、標的)の両方の検査で陽性となる患者は、そのようなCMを含むそのような活性化可能抗体による処置に適した候補として同定される。同様に、これらの方法を用いて試験されている活性化可能抗体中のCMにおける基質を切断するプロテアーゼおよび標的(例えば、標的)の両方の検査で陰性となる患者は、別の治療形態に適した候補として同定されうる。いくつかの態様において、そのような患者は、処置に適した活性化可能抗体(例えば、疾患の部位で患者により切断されるCMを含む活性化可能抗体)が同定されるまで他の活性化可能抗体で試験することができる。いくつかの態様において、標的(例えば、標的)の一方の検査で陰性となる患者は、そのようなCMを含むそのような活性化可能抗体による処置に適した候補として同定される。いくつかの態様において、標的(例えば、標的)の一方の検査で陰性となる患者は、そのようなCMを含むそのような活性化可能抗体による処置に適した候補ではないとして同定される。いくつかの態様において、そのような患者は、処置に適した活性化可能抗体(例えば、疾患の部位で患者により切断されるCMを含む活性化可能抗体)が同定されるまで他の活性化可能抗体で試験することができる。いくつかの態様において、活性化可能抗体は、治療用作用物質がコンジュゲートされている活性化可能抗体である。いくつかの態様において、活性化可能抗体は作用物質にコンジュゲートされていない。いくつかの態様において、活性化可能抗体は、検出可能な標識を含む。いくつかの態様において、検出可能な標識はABに配置される。いくつかの態様において、対象またはサンプルにおける活性化可能抗体のレベルを測定する段階は、活性化された抗体に特異的に結合する二次試薬であって、検出可能な標識を含む該試薬を用いて達成される。いくつかの態様において、二次試薬は、検出可能な標識を含む抗体である。
いくつかの態様において、本開示の抗標的活性化可能抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体(例えば、治療用作用物質がコンジュゲートされている活性化可能抗体)での処置に適した患者集団を同定しまたはそうでなければ精緻化し、引き続いてその活性化可能抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体を、その必要のある対象に投与することによる処置を行うために方法またはキットが用いられる。例えば、これらの方法において試験されている活性化可能抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体の切断可能部分(CM)における基質を切断するプロテアーゼおよび標的(例えば、標的)の両方の検査で陽性となる患者は、そのようなCMを含むそのような抗体および/またはそのようなコンジュゲートされた活性化可能抗体による処置に適した候補として同定され、患者にその後、試験された活性化可能抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体の治療的有効量が投与される。同様に、これらの方法を用いて試験されている活性化可能抗体中のCMにおける基質を切断するプロテアーゼおよび標的(例えば、標的)の一方または両方の検査で陰性となる患者は、別の治療形態に適した候補として同定されうる。いくつかの態様において、そのような患者は、処置に適した抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体(例えば、疾患の部位で患者により切断されるCMを含む活性化可能抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体)が同定されるまで他の抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体で試験することができる。いくつかの態様において、患者にその後、患者が試験で陽性となった活性化可能抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体の治療的有効量が投与される。
これらの方法およびキットのいくつかの態様において、MMは、約4~40アミノ酸の長さを有するペプチドである。これらの方法およびキットのいくつかの態様において、活性化可能抗体は、MMとCMとの間に位置しているリンカーペプチドを含む。これらの方法およびキットのいくつかの態様において、活性化可能抗体は、ABとCMとの間に位置しているリンカーペプチドを含む。これらの方法およびキットのいくつかの態様において、活性化可能抗体は、第1のリンカーペプチド(L1)および第2のリンカーペプチド(L2)を含み、第1のリンカーペプチドはMMとCMとの間に位置し、かつ第2のリンカーペプチドはABとCMとの間に位置している。これらの方法およびキットのいくつかの態様において、L1およびL2の各々は、長さが約1~20アミノ酸のペプチドであり、L1およびL2の各々は同じリンカーである必要はない。これらの方法およびキットのいくつかの態様において、L1およびL2の一方または両方は、グリシン-セリン重合体を含む。これらの方法およびキットのいくつかの態様において、L1およびL2の少なくとも一方は、(GS)n、(GSGGS)n (SEQ ID NO: 1)および(GGGS)n (SEQ ID NO: 2)からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、ここでnは少なくとも1の整数である。これらの方法およびキットのいくつかの態様において、L1およびL2の少なくとも一方は、式(GGS)nを有するアミノ酸配列を含み、ここでnは少なくとも1の整数である。これらの方法およびキットのいくつかの態様において、L1およびL2の少なくとも一方は、
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
これらの方法およびキットのいくつかの態様において、ABは、本明細書において提示される交差反応性抗体配列から選択される抗体または抗体断片配列を含む。これらの方法およびキットのいくつかの態様において、ABはFab断片、scFvまたは単鎖抗体(scAb)を含む。
これらの方法およびキットのいくつかの態様において、切断作用物質は、対象またはサンプル中に標的とともに共局在化されるプロテアーゼであり、CMは、プロテアーゼの基質として機能するポリペプチドであり、ここでプロテアーゼは、活性化可能抗体がプロテアーゼに曝露される場合に活性化可能抗体中のCMを切断する。これらの方法およびキットのいくつかの態様において、CMは、長さが15アミノ酸までのポリペプチドである。これらの方法およびキットのいくつかの態様において、CMはABのN末端にカップリングされる。これらの方法およびキットのいくつかの態様において、CMはABのC末端にカップリングされる。これらの方法およびキットのいくつかの態様において、CMは、ABのVL鎖のN末端にカップリングされる。
本開示の抗体、コンジュゲートされた抗体、活性化可能抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体は、診断および予防製剤において用いられる。1つの態様において、活性化可能抗体は、前述の炎症、炎症性障害、がんまたは他の障害の1つまたは複数を発症する危険性のある患者に投与される。
前述の障害の1つまたは複数に対する患者または臓器の素因は、遺伝子型マーカー、血清学的マーカーまたは生化学的マーカーを用いて判定することができる。
本開示のいくつかの態様において、抗体、コンジュゲートされた抗体、活性化可能抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体は、前述の障害の1つまたは複数に関連する臨床的適応症と診断されたヒト個体に投与される。診断時に、抗体、コンジュゲートされた抗体、活性化可能抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体が、臨床的適応症の影響を緩和するか、または反転させるために投与される。
本開示の抗体、コンジュゲートされた抗体、活性化可能抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体はまた、患者サンプル中の標的の検出においても有用であり、したがって診断薬として有用である。例えば、本開示の抗体、コンジュゲートされた抗体、活性化可能抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体は、患者サンプルにおける標的レベルを検出するためにインビトロアッセイ法、例えばELISAにおいて用いられる。
1つの態様において、本開示の抗体および/または活性化可能抗体は、固体支持体(例えば、マイクロタイタープレートのウェル)上に固定化される。固定化された抗体および/または活性化可能抗体は、試験サンプル中に存在しうる任意の標的の捕捉抗体として働く。固定化された抗体および/または活性化可能抗体を患者サンプルと接触させる前に、固体支持体をすすぎ、乳タンパク質またはアルブミンのようなブロッキング剤で処理して被分析物の非特異的吸着を防ぐ。
引き続いて、抗原を含有するのではないかと疑われる試験サンプルを用いて、または標準の抗原量を含有する溶液を用いてウェルを処理する。そのようなサンプルは、例えば、病態の診断になると考えられる循環血中抗原のレベルを有するのではないかと疑われる対象由来の血清サンプルである。試験サンプルまたは標準物質をすすいだ後、固体支持体を、検出可能に標識されている二次抗体で処理する。標識された二次抗体は、検出用抗体として働く。検出可能な標識のレベルを測定し、標準サンプルから作成した標準曲線との比較によって試験サンプル中の標的抗原の濃度を判定する。
インビトロ診断アッセイ法において、本開示の抗体および/または活性化可能抗体を用いて得られた結果に基づき、標的抗原の発現レベルに基づいて対象において疾患を病期分類することが可能であるものと理解されよう。所与の疾患について、血液のサンプルは、疾患進行の様々な段階にあると診断された対象から、および/または疾患の治療的処置における様々な時点で採取される。進行または治療の各段階について統計的に有意な結果を提供するサンプルの集団を用いて、各段階に特徴的であるとみなされうる抗原の濃度の範囲が指定される。
抗体、コンジュゲートされた抗体、活性化可能抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体はまた、診断方法および/または撮像方法において用いることもできる。いくつかの態様において、そのような方法はインビトロの方法である。いくつかの態様において、そのような方法はインビボの方法である。いくつかの態様において、そのような方法はインサイチューの方法である。いくつかの態様において、そのような方法はエクスビボの方法である。例えば、酵素的に切断可能なCMを有する活性化可能抗体を用いて、CMを切断することができる酵素の有無を検出することができる。そのような活性化可能抗体は、診断法において用いることができ、これには、所与の宿主生物の所与の細胞または組織において活性化された抗体(すなわち、活性化可能抗体の切断から生じる抗体)の、測定された蓄積による酵素活性(または、いくつかの態様において、ジスルフィド結合の還元をもたらすことができるものなどの増大した還元電位の環境)のインビボでの検出(例えば、定性的または定量的)が含まれうる。活性化された抗体のそのような蓄積からは、組織が酵素活性(またはCMの性質に依って増大した還元電位)を発現することだけでなく、活性化された抗体が結合する標的を組織が発現することも示唆される。
例えば、CMは、腫瘍の部位、生物学的に限定された部位(例えば、膿瘍中、臓器中などのような)におけるウイルス感染または細菌感染の部位などで見出されるプロテアーゼのプロテアーゼ基質であるように選択することができる。ABは、標的抗原に結合するものであることができる。当業者によく知られている方法を用いて、検出可能な標識(例えば、蛍光標識または放射性標識または放射性追跡子)をABまたは活性化可能抗体の他の領域にコンジュゲートさせることができる。好適な検出可能な標識は、上記のスクリーニング方法の文脈において論じられており、さらなる具体的な例が以下に提供されている。関心対象の疾患組織において活性が上昇するプロテアーゼとともに、疾患状態のタンパク質またはペプチドに特異的なABを用いることにより、活性化可能抗体は、CM特異的な酵素が検出可能なレベルで存在しない、もしくは疾患組織におけるよりも低いレベルで存在するか、または不活性である(例えば、酵素前駆体の形態にあるもしくは阻害物質との複合体の状態にある)組織と比べて、疾患組織への結合速度の増大を示すであろう。小さなタンパク質およびペプチドが腎臓ろ過システムによって血液から迅速に除去されるため、およびCMに特異的な酵素が検出可能なレベルで存在しない(または非疾患組織ではより低いレベルで存在するか、もしくは不活性なコンフォメーションで存在する)ので、疾患組織における活性化された抗体の蓄積は、非疾患組織と比べて増大する。
別の例では、活性化可能抗体を用いて、サンプル中の切断作用物質の有無を検出することができる。例えば、活性化可能抗体が酵素による切断を受けやすいCMを含む場合、活性化可能抗体を用いて、サンプル中の酵素の存在を(定性的または定量的に)検出することができる。別の例では、活性化可能抗体が還元剤による切断を受けやすいCMを含む場合、活性化可能抗体を用いて、サンプルにおける還元条件の存在を(定性的または定量的に)検出することができる。これらの方法における分析を容易にするために、活性化可能抗体を検出可能に標識することができ、支持体(例えば、スライドまたはビーズのような固体支持体)に結合させることができる。検出可能な標識は、活性化可能抗体の、切断後に放出されない部分に配置することができ、例えば、検出可能な標識は、切断が行われるまで検出できない消光された蛍光標識または他の標識であることができる。アッセイ法は、例えば、固定化された検出可能に標識された活性化可能抗体を、切断が行われるのに十分な時間、酵素および/または還元剤を含有するのではないかと疑われるサンプルと接触させ、次に洗浄して過剰なサンプルおよび夾雑物を除去することによって行うことができる。次に、サンプル中の切断作用物質(例えば、酵素または還元剤)の有無を、サンプルと接触させる前の活性化可能抗体の検出可能なシグナルの変化、例えば、サンプル中の切断作用物質による活性化可能抗体の切断に起因する検出可能なシグナルの存在および/または増加によって評価する。
そのような検出方法は、切断時に活性化可能抗体のABに結合できる標的の有無の検出を同様に提供するように適合させることができる。したがって、アッセイ法は、切断作用物質の有無および関心対象の標的の有無を評価するように適合させることができる。切断作用物質の有無は、上記のように活性化可能抗体の、検出可能な標識の存在および/または増加によって検出することができ、標的の有無は、例えば検出可能に標識された抗標的抗体の使用による、標的-AB複合体の検出によって検出することができる。
活性化可能抗体はまた、例えばプロテアーゼ切断、および特定の標的への結合による、活性化可能抗体活性化の検証のためのインサイチュー撮像においても有用である。インサイチュー撮像は、細胞培養または組織切片のような生体サンプルにおけるタンパク質分解活性および標的の局在確認を可能にする技法である。この技法を用いて、検出可能な標識(例えば、蛍光標識)の存在に基づき、所与の標的への結合およびタンパク質分解活性の両方を確認することが可能である。
これらの技法は、疾患部位(例えば腫瘍組織)または健常組織に由来するどんな凍結細胞または組織でも有用である。これらの技法はまた、新鮮な細胞または組織サンプルでも有用である。
これらの技法においては、活性化可能抗体は検出可能な標識で標識される。検出可能な標識は、蛍光色素(例えばフルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミンイソチオシアネート(TRITC)、近赤外(NIR)色素(例えば、Qdot(登録商標)ナノクリスタル)、コロイド金属、ハプテン、放射性マーカー、ビオチンおよびストレプトアビジンのような増幅試薬、または酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼ)でありうる。
標識された活性化可能抗体とともにインキュベートされたサンプル中の標識の検出は、サンプルが標的を含み、活性化可能抗体のCMに特異的なプロテアーゼを含有することを示す。いくつかの態様において、本明細書において記述されるものなどの広域プロテアーゼ阻害剤を用いることにより、および/またはプロテアーゼに特異的な作用物質、例えば、プロテアーゼのマトリプターゼに特異的であり、マトリプターゼのタンパク質分解活性を阻害する、A11のような抗体を用いることにより、プロテアーゼの存在を確認することができる; 例えば、2010年11月11日付で刊行された国際公開番号WO 2010/129609を参照されたい。活性化可能抗体のCMに特異的なプロテアーゼまたはプロテアーゼのクラスを同定するために、本明細書において記述されるものなどの広域プロテアーゼ阻害剤を用いる、および/またはより選択的な阻害剤を用いることによる同じ手法を用いることができる。いくつかの態様において、標的の存在は標的に特異的な作用物質、例えば、別の抗体を用いて確認することができ、または検出可能な標識は非標識の標的と競合させることができる。いくつかの態様において、標識された二次抗体またはより複雑な検出系による検出とともに、標識されていない活性化可能抗体を用いることができる。
同様の技法はまた、対象、例えば、ヒトを含む哺乳動物における蛍光シグナルの検出から、疾患部位が標的を含み、かつ活性化可能抗体のCMに特異的なプロテアーゼを含むことが示唆される、インビボ撮像にも有用である。
これらの技法はまた、活性化可能抗体におけるプロテアーゼ特異的CMに基づく種々の細胞、組織および生物におけるプロテアーゼ活性を検出、同定、または特性を明らかにするためのキットにおいておよび/または試薬として有用である。
いくつかの態様において、インサイチュー撮像および/またはインビボ撮像は、どの患者を処置するかを同定する方法において有用である。例えば、インサイチュー撮像では、活性化可能抗体を用いて患者サンプルをスクリーニングし、適切なプロテアーゼおよび標的を適切な位置、例えば腫瘍部位に有する患者を同定する。
いくつかの態様において、本開示の活性化可能抗体での処置に適した患者集団を同定するかまたはそうでなければ精緻化するためにインサイチュー撮像が用いられる。例えば、試験されている活性化可能抗体の切断可能部分(CM)における基質を切断するプロテアーゼおよび標的の両方の検査で陽性となる(例えば、疾患部位に活性化された抗体を蓄積させる)患者は、そのようなCMを含むそのような活性化可能抗体による処置に適した候補として同定される。同様に、これらの方法を用いて試験されている活性化可能抗体中のCMにおける基質を切断するプロテアーゼおよび標的の一方または両方の検査で陰性となる患者は、別の治療形態に適した(すなわち、試験されている活性化可能抗体での処置に適していない)候補として同定される。いくつかの態様において、第1の活性化可能抗体に関する検査で陰性となるそのような患者は、処置に適した活性化可能抗体(例えば、疾患の部位で患者により切断されるCMを含む活性化可能抗体)が同定されるまで、異なるCMを含む他の活性化可能抗体で試験することができる。
いくつかの態様において、本開示の活性化可能抗体での処置に適した患者集団を同定するかまたはそうでなければ精緻化するためにインビボ撮像が用いられる。例えば、試験されている活性化可能抗体の切断可能部分(CM)における基質を切断するプロテアーゼおよび標的の両方の検査で陽性となる(例えば、疾患部位に活性化された抗体を蓄積させる)患者は、そのようなCMを含むそのような活性化可能抗体による処置に適した候補として同定される。同様に、検査で陰性となる患者は、別の治療形態に適した(すなわち、試験されている活性化可能抗体での処置に適していない)候補として同定される。いくつかの態様において、第1の活性化可能抗体に関する検査で陰性となるそのような患者は、処置に適した活性化可能抗体(例えば、疾患の部位で患者により切断されるCMを含む活性化可能抗体)が同定されるまで、異なるCMを含む他の活性化可能抗体で試験することができる。
薬学的組成物
本開示の抗体、コンジュゲートされた抗体、活性化可能抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体(本明細書において「活性化合物」ともいわれる)、ならびにその誘導体、断片、類似体および相同体は、投与に適した薬学的組成物に組み入れることができる。そのような組成物は、典型的には、抗体、コンジュゲートされた抗体、活性化可能抗体および/またはコンジュゲートされた活性化可能抗体ならびに薬学的に許容される担体を含む。本明細書において用いられる場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、薬学的投与に適合する任意のおよび全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含むことが意図される。好適な担体は、参照により本明細書に組み入れられる、この分野における標準的な参考テキストであるRemington's Pharmaceutical Sciencesの最新版に記述されている。そのような担体または希釈剤の好適な例としては、水、生理食塩水、リンゲル溶液、デキストロース溶液、および5%ヒト血清アルブミンが挙げられるが、これらに限定されることはない。リポソームおよび固定油のような非水性媒体が用いられてもよい。薬学的に活性な物質のためのそのような媒質および剤の使用は、当技術分野において周知である。任意の従来の媒質または剤が活性化合物と不適合である場合を除いて、組成物におけるその使用が企図される。補充性の活性化合物を組成物に組み入れることもできる。
本開示の薬学的組成物は、その意図される投与経路に適合するように処方される。投与経路の例としては非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下、経口(例えば、吸入)、経皮(すなわち、局所)、経粘膜および直腸投与が挙げられる。非経口、皮内、または皮下適用に用いられる溶液または懸濁液は、以下の成分: 注射用水、生理食塩水溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒のような滅菌希釈剤; ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような抗菌剤; アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウムのような抗酸化剤; エチレンジアミン四酢酸(EDTA)のようなキレート剤; 酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩のような緩衝液、および塩化ナトリウムまたはデキストロースのような張度調整剤を含むことができる。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムのような、酸または塩基で調節することができる。非経口調製物は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨て注射器または複数回投与バイアルに封入することができる。
注射可能な用途に適した薬学的組成物は、滅菌水溶液(水溶性の場合)または滅菌分散液および注射可能な滅菌溶液または滅菌分散液の即時調製用の滅菌粉末を含む。静脈内投与の場合、好適な担体としては、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL (商標) (BASF, Parsippany, N.J.)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。いかなる場合でも、この組成物は無菌でなければならず、容易に注射できる程度に流動性とするべきである。これは製造および保存の条件下で安定でなければならず、これは細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対して保護されなければならない。この担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、およびその好適な混合物を含む溶媒または分散媒とすることができる。その適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用により、分散液の場合には必要とされる粒径の維持によりおよび界面活性剤の使用により維持することができる。微生物の作用からの保護はさまざまな抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどにより達成することができる。いくつかの態様において、等張剤、例えば、糖類、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール、塩化ナトリウムを組成物の中に含めることが望ましいであろう。注射可能な組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる作用物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物の中に含めることにより実現することができる。
注射可能な滅菌溶液は、必要とされる量の活性化合物を適切な溶媒中に、必要に応じて、上記に列挙した成分の一つまたは組み合わせとともに組み入れ、続けてろ過滅菌を行うことによって調製することができる。一般に、分散液は活性化合物を、基本的な分散媒および上記に列挙したものから必要とされるその他の成分を含む滅菌媒体の中に組み入れることによって調製される。注射可能な滅菌溶液の調製用の滅菌粉末の場合、調製の方法は、活性成分に加えて所望とされる付加的な任意の成分の粉末を予め滅菌ろ過したその溶液からもたらす真空乾燥法および凍結乾燥法である。
経口用組成物は一般に、不活性希釈剤または食用担体を含む。それらはゼラチンカプセルの中に封入され、または錠剤に圧縮されることができる。治療的な経口投与を目的に、活性化合物を賦形剤とともに組み入れて、錠剤、トローチ、またはカプセルの形態で使用することができる。経口用組成物はうがい薬として用いるために液体担体を使用して調製することもでき、この場合、液体担体中の化合物は経口的に適用され、かつこれで口をすすぎ(swished)、かつ喀出されまたは嚥下される。薬学的に適合する結合剤および/または補助物質を、組成物の一部として含めることができる。この錠剤、丸剤、カプセル、トローチなどは、以下の成分のいずれかまたは似通った性質の化合物を含むことができる: 微結晶性セルロース、トラガカントゴムもしくはゼラチンのような結合剤; でんぷんもしくはラクトースのような賦形剤、アルギン酸、Primogel、もしくはとうもろこしでんぷんのような崩壊剤; ステアリン酸マグネシウムもしくはSterotesのような滑沢剤; コロイド状二酸化ケイ素のような流動促進剤; スクロースもしくはサッカリンのような甘味剤; またはペパーミント、サリチル酸メチル、もしくはオレンジ風味のような香料添加剤。
吸入による投与の場合、化合物は、適した噴射剤、例えば、二酸化炭素のようなガスを含有する加圧容器もしくは分注機、または噴霧器からエアロゾルスプレイの形態で送達される。
全身投与を経粘膜的なまたは経皮的な手段によるものとすることもできる。経粘膜投与または経皮投与の場合、浸透される障壁に適した浸透剤が処方物の中に用いられる。そのような浸透剤は一般に当技術分野において公知であり、例えば、経粘膜投与の場合、界面活性剤、胆汁塩、およびフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は鼻腔用スプレイまたは坐剤の使用により達成することができる。経皮投与の場合、活性化合物は当技術分野において一般に公知であるように軟膏剤、膏薬、ゲル、またはクリームの中に処方される。
化合物はまた、直腸送達のために坐剤(例えば、ココアバターおよび他のグリセリドのような従来の坐剤基剤を用いて)または停留浣腸の形態で調製することもできる。
1つの態様において、活性化合物はインプラントおよびマイクロカプセル化した送達系を含めて、制御放出処方物のような、体内からの迅速除去から化合物を防御する担体とともに調製される。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸のような、生体分解・生体適合性高分子を用いることができる。そのような処方物の調製方法は当業者には明らかであろう。その材料はAlza社およびNova Pharmaceuticals社から商業的に入手することもできる。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体によって感染細胞を標的とするリポソームを含めて)を薬学的に許容される担体として用いることもできる。これらは当業者に公知の方法により、例えば、米国特許第4,522,811号に記述されているように、調製することができる。
投与の容易さおよび投与量の均一性のために、経口用組成物または非経口用組成物を投与量単位形態で処方することが特に有利である。投与量単位形態とは、本明細書において用いられる場合、処置される対象のために単一投与量として適した、物理的に不連続な単位をいい、各単位は、所望の治療効果を生じると計算された所定量の活性化合物を、必要とされる薬学的担体に関連して含有する。本開示の投与量単位形態の仕様は、活性化合物の独特の特徴および達成されたい特定の治療効果、ならびにそのような活性化合物を個体の処置のために配合する技術に固有の制限により決定され、それらに直接依存する。
薬学的組成物は、投与のための使用説明書とともに容器、パックまたは分注機に含めることができる。
本発明は、特許請求の範囲に記述された本発明の範囲を限定するものではない以下の実施例においてさらに記述されよう。
実施例1. 抗CD166抗体の特性評価
本明細書において提供される研究は、本開示の抗CD166抗体の結合を評価するためにデザインされた。
本開示のさまざまな抗CD166抗体の結合をELISAによって確認した(図1)。以下のVHおよびVL配列を含む抗ヒトCD166抗体を試験した。
マウスハイブリドーマ技術を用いてM9 mAbを得て、M9 mAb配列をヒト化することにより残りの配列を作製した。研究者らは、ヒトCD166を投与されたマウスにおいてハイブリドーマおよび/または抗体を作製することができなかったことから、当業者なら、抗CD166抗体を産生させる能力が長い間にわたって阻まれたことを理解するであろう。対照的に、本明細書において提示される抗CD166抗体は、マウスにおいてヒトCD166に対して産生された。
SEQ ID NO: 119のVH、SEQ ID NO: 120のVLを含む抗体CD166-M9抗体を陽性対照として用い、アイソタイプ対照抗体を陰性対照として用いた。
図1に示されるように、ヒト化抗CD166抗体の全てが、CD166 M9に匹敵する結合を示した。標準的なELISAプロトコルを用いて、ヒトCD166タンパク質をELISAプレートに吸収させ、続いて示されている抗体濃度でインキュベートした。結合した抗体を、抗ヒトFABペルオキシダーゼ二次抗体で検出した。
実施例2. マスクの発見
本明細書において提供される研究は、本開示の活性化可能抗CD166抗体で用いるためのマスキング部分を同定および特性を明らかにするためにデザインされた。
2010年7月15日付で公開されたPCT国際公開番号WO 2010/081173に記述されたものと類似の方法を用い、マウス抗CD166 Mab M9 (SEQ ID NO: 119のVH、SEQ ID NO: 120のVL)を使って、Xが任意のアミノ酸である、3×1011の総多様性を有するシステイン制約X15ペプチドライブラリをスクリーニングした。スクリーニングは、2ラウンドのMACSおよび4ラウンドのFACS選別からなった。選別プロセスは、図2に概説されている。
M2F1.1、M2F2.1、M2F3.1およびM2F4.1集団由来の個々のクローンを配列決定し、その結果を表9に示す。
マスクを切断し、アラニンスキャンして、異なるマスキング効率を有する活性化可能抗体のファミリーを作製した。配列を以下の表10に示す。「a」は、スキャンの一部として組み入れられたアラニンの位置を示す。それは「A」と同等である。
(表10)マスキングペプチドの切断およびアラニンスキャニング
これらのマスキングペプチドを用いて、本開示の抗CD166活性化可能抗体を作製した。これらの抗CD166活性化可能抗体のうちの若干数の配列を以下の表11に示す。いくつかの態様において、これらの抗CD166活性化可能抗体は、示されるように、切断可能部分2001
、切断可能部分3001
、切断可能部分2007
、切断可能部分2008
、切断可能部分2011
、切断可能部分2012
、切断可能部分2013
、切断可能部分3007
、切断可能部分3008
、切断可能部分3011
、切断可能部分3012
、または切断可能部分3013
を含む。
以下に示されるある特定の配列はSEQ ID NO: 305のスペーサー配列を含むが、当業者は、本開示の活性化可能抗CD166抗体が、例えば、
、GまたはQからなる群より選択されるスペーサー配列のような、任意の好適なスペーサー配列を含むことができることを理解する。いくつかの態様において、本開示の活性化可能抗CD166抗体は、そのN末端にスペーサー配列が連結されていなくてもよい。
(表11)抗CD166活性化可能抗体の配列
抗CD166活性化可能抗体の重鎖(HuCD166_HcC):
アミノ酸配列
実施例3. 活性化可能抗CD166抗体の作製
本明細書において提供される研究は、本開示の活性化可能抗CD166抗体を作製するためにデザインされた。
異なるマスキング効率(すなわち、活性化可能抗体のABの、その標的に対する結合をブロックする、活性化可能抗体のMMの能力の測定値)で抗CD166活性化可能抗体を作製した。ペプチド16522および7614を実施例2に記述されているように切断およびアラニンスキャニングにより突然変異させ、これらのマスキングペプチド変種を用いて、ある範囲のマスキング倍率を有する抗CD166活性化可能抗体のファミリーを作製した。CD166結合ELISAを用いて、ヒトCD166に結合する抗CD166抗体CD166 M9 vK1/HcB (SEQ ID NO: 121のVH、SEQ ID NO: 123のVL)およびさまざまな抗CD166活性化可能抗体の能力を評価した(図3A、3B)。試験した抗CD166活性化可能抗体は、SEQ ID NO: 121の可変重鎖配列と、SEQ ID NO: 123の可変軽鎖配列と、本明細書において基質2001といわれるアミノ酸配列
を含む切断可能部分(CM)と、表10に示されるマスキング部分のうちの1つとを含んでいた。完全配列は、上記の表11に示されている。
標準的なELISAプロトコルを用いて、ヒトCD166タンパク質をELISAプレートに吸収させ、続いて示されている濃度の抗体または活性化可能抗体とともにインキュベートする。結合した抗体または活性化可能抗体を抗ヒトFAB-ペルオキシダーゼ二次抗体で検出した。ELISAによって決定された、CD166ポリペプチドに対する本発明の活性化可能抗体の例示的な見かけのインビトロ解離定数(Kd)の要約を、以下の表17に示し、同様に、親抗CD166 M9抗体(vk-1/HcB)と比べた、Kdの個々の増加を示す。親抗CD166 M9抗体を除いて、各活性化可能抗体用のマスクは本明細書に記述の通りであり、基質配列は2001
であった。
(表17)活性化可能抗CD166抗体の見かけのELISA解離定数
実施例4. 活性化可能抗CD166抗体の活性化
本明細書において提供される研究は、活性化可能抗CD166抗体の活性化を評価するためにデザインされた。
図4は、タンパク質分解的に活性化された場合にヒトCD166に結合する、本開示のさまざまな抗CD166活性化可能抗体の能力を示すグラフである。図4に示されるように、抗CD166活性化可能抗体は、タンパク質分解的に活性化された場合に抗体結合を回復する。CD166結合ELISAを用いて、抗CD166抗体(huM9 HcC/vk-1; SEQ ID NO: 122のVH、SEQ ID NO: 123のVL)、本開示のさまざまな抗CD166活性化可能抗体、およびuPA活性化抗CD166活性化可能抗体の結合を評価した。試験された抗CD166活性化可能抗体は、SEQ ID NO: 122の可変重鎖配列と、SEQ ID NO: 123の可変軽鎖配列と、アミノ酸配列
を含む切断可能部分(CM1、基質2001)またはアミノ酸配列
を含む切断可能部分(CM2、基質3001)のどちらかと、表10に示されるマスキング部分のうちの1つとを含んでいた。完全配列は、上記の表11に示されている。
標準的なELISAプロトコルを用いて、ヒトCD166タンパク質をELISAプレートに吸収させ、続いて示されている濃度の抗体または活性化可能抗体とともにインキュベートする。結合した抗体または活性化可能抗体を抗ヒトFAB-ペルオキシダーゼ二次抗体で検出した。
例示的な研究では、ヒト細胞(HCC1806ヒト乳癌細胞)およびヒトCD166に対する、本開示の抗CD166抗体(抗CD166 HcC/vk-1)および本開示の抗CD166活性化可能抗体(抗CD166-7614.6-3001)の結合親和性を決定した。これらの条件下で、ELISAによる見かけの例示的結合親和性(Kd)は、本開示の抗CD166活性化可能抗体および抗CD166抗体についてそれぞれ96.2 nMおよび1.3 nMである。フローサイトメトリーにより測定された例示的なHCC1806細胞結合アッセイ法において、見かけの結合親和性(Kd)は、本開示の抗CD166活性化可能抗体および抗CD166抗体についてそれぞれ372 nMおよび3.2 nMである。これらの例示的な結果から、非切断状態の抗CD166活性化可能抗体は、本開示の抗CD166抗体と比較して、単離されたCD166ポリペプチドおよび細胞上のCD166に対して低い結合親和性を示したことが示された。
図5は、uPAでタンパク質分解的に活性化された場合にHCC1806細胞の細胞死滅化をもたらす、本開示のさまざまなコンジュゲートされた抗CD166活性化可能抗体の能力を示すグラフである。これらのコンジュゲートされた抗CD166活性化可能抗体は、本明細書において「CD166 AADC」またはCD166活性化可能抗体薬物コンジュゲート(CD166
Activatable
Antibody
Drug
Conjugates)ともいわれる。試験したコンジュゲートされた抗CD166活性化可能抗体は、SEQ ID NO: 122の可変重鎖配列と、SEQ ID NO: 123の可変軽鎖配列と、アミノ酸配列
を含む切断可能部分(CM1、基質2001)と、表10に示されるマスキング部分のうちの1つと、SPDBリンカーを介して活性化可能抗体にコンジュゲートされたメイタンシノイドDM4とを含んでいた。活性化可能抗体の完全配列は、上記の表11に示されている。本明細書において開示される全てのコンジュゲートされた活性化可能抗体は、TCRS (The Chemistry Research Solution)によって製造された。
図5に示されるように、本開示のさまざまなコンジュゲートされた抗CD166活性化可能抗体は、マスクされるとアイソタイプDM4のように挙動するが、しかしuPAでタンパク質分解活性化されると、これらのコンジュゲートされた抗CD166活性化可能抗体はhuCD166 ADCのものと同様の細胞死滅化を示す。表示されている濃度のADCまたはAADCを加え、細胞を3日間インキュベートすることによって、HCC1806細胞を死滅化させる薬物コンジュゲートの能力を評価した。CellTiter Gloアッセイ法を用いて細胞生存率を測定した。そのような細胞死滅化アッセイ法において核酸損傷性作用物質にコンジュゲートされた活性化可能抗体を試験した場合にも同様の結果が観察された。
次の研究は、1つまたは複数のプロテアーゼへの曝露時の腫瘍サンプルにおける抗CD166活性化可能抗体の活性化および結合を評価するためにデザインされた。
参照により内容がその全体として本明細書に組み入れられる、PCT公開番号WO 2014/107599に記述されている免疫組織化学(IHC)分析およびインサイチュー画像化アッセイ法を用いて、異種移植腫瘍サンプルおよび健常組織サンプルを分析した。簡潔には、このインサイチューアッセイ法では、本開示の活性化可能抗CD166抗体、対応する親抗体、および本明細書において概して抗CD166 NSUB改変抗体といわれる、非切断可能リンカーでCMが置き換えられている改変バージョンの活性化可能抗CD166抗体を用いる。親抗体を陽性対照として用い、一方では非切断可能バージョンの活性化可能抗CD166抗体を陰性対照として用いる。次いで、異種移植凍結組織切片をガラススライド上に置き、PBS-T、その後PBSで2回すすぎ、続いて広域プロテアーゼ阻害物質カクテルまたは緩衝液のみで組織を30分間前処理する。次に、Alexa Fluor-680 (登録商標)のような検出可能標識を、活性化可能抗CD166抗体および抗CD166 NSUB改変抗体の各々にコンジュゲートさせる。次いで、検出可能に標識された活性化可能抗CD166抗体および抗CD166 NSUB改変抗体を組織に適用し、暗所中(蛍光の退色を防ぐため)で1時間インキュベートする。1 μg/mlとのインキュベーション後、インキュベートされた腫瘍切片を、PBS-T、続いてPBSで3回すすぎ、核マーカーDAPIで1分間対比染色した。次いで蛍光顕微鏡分析を用いて陽性染色を検出する。プロテアーゼ阻害物質による組織切片の前処理により消失される活性化可能抗CD166抗体の陽性染色から、活性化可能抗CD166抗体の、組織サンプルに対する結合が、タンパク質分解事象の結果であることが示唆される。活性化可能抗CD166抗体の陽性染色は、組織を過剰の非標識(「非放射性」)親抗体で前処理する場合にも消失されるはずである。さらに、プロテアーゼ阻害物質による組織の前処置の影響を受けないが、しかし組織を非標識親抗体で前処理すると消失される親抗体の陽性染色を、腫瘍組織のインキュベーションは明らかにするはずである。前処理された組織での検出でも、プロテアーゼ阻害物質で前処理されていない組織での検出でも、非標識親抗体で前処理された組織での検出でも、抗CD166 NSUB改変抗体についてシグナルは検出されないはずである。
図6A~6Dは、活性化可能抗CD166抗体が結腸癌組織サンプルにおいて活性化され(すなわち切断され)、活性化可能抗CD166抗体が健常組織サンプルにおいて活性化されないことを実証する一連の画像である。図6Aおよび6Cは、腫瘍および健常組織サンプルに対するIHC分析の結果を示し、図6Bおよび6Dは、腫瘍および健常組織サンプルに対するインサイチュー画像化アッセイ法の結果を示す。
図7A~7Dは、活性化可能抗CD166抗体が肺癌組織サンプルにおいて活性化され(すなわち切断され)、活性化可能抗CD166抗体が健常組織サンプルにおいて活性化されないことを実証する一連の画像である。図7Aおよび7Cは、腫瘍および健常組織サンプルに対するIHC分析の結果を示し、図7Bおよび7Dは、腫瘍および健常組織サンプルに対するインサイチュー画像化アッセイ法の結果を示す。
図8A~8Dは、活性化可能抗CD166抗体が健常組織サンプルにおいて活性化されないことを実証する一連の画像である。図8Aおよび8Cは健常組織サンプルに対するIHC分析の結果を示し、図8Bおよび8Dは健常組織サンプルに対するインサイチュー画像化アッセイ法の結果を示す。
実施例5. コンジュゲートされた抗CD166抗体の効力
本実施例は、本開示のコンジュゲートされた抗CD166抗体(「CD166 ADC」)が対照抗体コンジュゲート(「対照ADC」)と比較してインビトロでの死滅化活性を示すことを実証する。
図9は、乳癌細胞株、前立腺癌細胞株、膵臓癌細胞株、頭頸部扁平上皮癌細胞株、および陰性対照としてのCD166細胞株に対する本開示のコンジュゲートされた抗CD166抗体の効力を示す一連のグラフである。
実施例6. 腫瘍モデルにおけるコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体の有効性
本実施例は、さまざまながんモデルにおける本開示のコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体(「CD166 AADC」またはCD166活性化可能抗体薬物コンジュゲート(CD166 Activatable Antibody Drug Conjugate))の有効性を実証する。
図10は、メイタンシノイドDM4にコンジュゲートされた本開示の活性化可能抗CD166抗体を含むAADCの有効性を、アイソタイプDM4コンジュゲート対照、および活性化可能抗CD166抗体の親抗体のDM4コンジュゲートバージョンを含むADCと比較して示すグラフである。有効性は、乳癌モデルにおける投与(1日目および8日目に5 mg/kg IV)後のさまざまな時点で測定された平均腫瘍体積として測定される。
図10に示されるように、AADCの有効性はADCで見られる有効性と同等である。
図11は、本開示のCD166活性化可能抗CD166抗体の有効性を、アイソタイプDM4コンジュゲート対照、およびCD166 ADC DM4コンジュゲート親抗CD166抗体と比較して示すグラフである。有効性は、H292非小細胞肺癌(NSCLC)モデルにおける投与(1日目および8日目に5 mg/kg IV)後のさまざまな時点で測定された平均腫瘍体積として測定される。
H292異種移植腫瘍を、アイソタイプDM4対照、huCD166-DM4 ADC、huCD166_7614.6_CM2-DM4 AADC、またはhuCD166_7614.6_CM1-DM4 ADDCで処理し、ここでCM1およびCM2はそれぞれ、本明細書において記述される2001および3001基質である。腫瘍を平均150 mm3まで成長させた後、マウスを無作為に8群に分け、1日目および8日目に表示されている試験物を投与した。平均腫瘍体積±SEMをプロットする。
図11に示されるように、試験した両方のAADCの有効性は、ADCで見られる有効性と同等である。
図12は、本明細書においてhuCD166_7614.6_CM2-DM4 AADC (ここでCM2は3001基質である)ともいわれる、CD166 AADC DM4コンジュゲート活性化可能抗CD166抗体の有効性を、アイソタイプDM4コンジュゲート対照、およびCD166 ADC DM4コンジュゲート親抗CD166抗体と比較して示すグラフである。有効性は、H1975非小細胞肺癌(NSCLC)モデルにおける投与(1日目および8日目に5 mg/kg IV)後のさまざまな時点で測定された平均腫瘍体積として測定される。
図12に示されるように、AADCの有効性はADCで見られる有効性と同等である。
実施例7. 活性化可能抗CD166抗体の認容性分析
本開示の抗CD166抗体は、ヒトCD166および他の密接に関連するタンパク質への結合に対するその種特異性について特性評価された。
図13に示されるように、本開示の抗CD166抗体は、ヒトおよびカニクイザルCD166に、等しい親和性で結合する。試験した本開示の抗CD166抗体のいずれも、ラットまたはマウスCD166に結合しなかった。これらの例示的な結合調査における、ヒトCD166およびカニクイザルCD166に対する抗CD166抗体の結合のKdは、両方について1.3 nMである。
次に、正常なヒトおよびカニクイザルのさまざまな種類の組織においてCD166発現レベルを分析した。以下の表3に示されるように、CD166発現レベルは、分析したヒトおよびカニクイザルの組織サンプルでほぼ同一であった。
(表3)正常なヒトおよびカニクイザル組織サンプルにおけるCD166発現レベル
ヒトおよびカニクイザル肝臓組織サンプルの両方において有意なCD166発現が検出された。
初期の薬物動態学的研究では、本開示のコンジュゲートされた抗CD166活性化可能抗体は、抗原シンク(すなわち、体全体に天然発現されたCD166抗原が豊富にあることに起因する、抗体の迅速な除去)を回避することが分かった。
図14は、本開示のコンジュゲートされた抗CD166活性化可能抗体の5 mg/kg投与を用いたカニクイザルにおける認容性試験の結果を示す。これらの研究は、huCD166_7614.6_CM2-DM4 AADC (ここでCM2は3001基質である)を用いて行われた。SPDB連結を含む他のDM4抗体コンジュゲートに用いられる治療用量であるので、5 mg/kgを選択した。
huCD166-7614.6-CM1 DM4薬物コンジュゲート(ここでCM1は2001基質である)および非コンジュゲートhuCD166抗体の薬物動態を、それぞれ5 mg/kgまたは3 mg/kgの単回投与後のカニクイザルにおいて評価した。抗ヒトIgGサンドイッチELISAを用いてヒトIgGの全血清レベルを測定した。標的のシンクを回避することと一致して、CD166 AADCは抗体よりも有意に多くの曝露を示した。huCD166-7614.6-CM1 DM4薬物コンジュゲートで処置したサルは、観察可能な毒性を有していなかった。21日後、臨床所見はなく、標的毒性の兆候もなく、肝臓毒性の兆候もなかった。図14に示されるように、DM4抗CD166抗体コンジュゲートの除去を親抗体と比較した。抗原結合は定量化レベルに満たなかった。
図15は、コンジュゲートされた抗CD166活性化可能抗体が、予測される治療用量で十分に認容されることを実証するグラフである。これらの研究は、huCD166_7614.6_CM2-DM4 AADC (ここでCM2は3001基質である)を用いて行われた。
したがって、従来のADC療法と違い、本開示のコンジュゲートされた抗CD166活性化可能抗体の投与後にカニクイザルにおける肝臓損傷の証拠はない。
実施例8. 抗CD166活性化可能抗体のプロテアーゼ依存的活性化
本明細書において提供される例示的な研究は、本開示の活性化可能抗CD166活性化可能抗体およびコンジュゲートされた活性化可能抗体のプロテアーゼ依存的活性化を評価するためにデザインされた。
図16A、16Bおよび16Cは、プロテアーゼ依存的活性化有りまたは無しでの、HCC1806細胞上のヒトCD166に結合する本開示のさまざまな抗CD166コンジュゲート抗CD166活性化可能抗体の能力を示すグラフである。これらのコンジュゲートされた抗CD166活性化可能抗体は、本明細書において「CD166 AADC」または「CD166活性化可能抗体薬物コンジュゲート(CD166 Activatable Antibody Drug Conjugates)」ともいわれる。図16Aに示されるように、コンジュゲートされた抗CD166活性化可能抗体は、HCC1806細胞上のCD166に対する結合からブロックされる。対照的に、図16Bおよび16Cに示されるように、コンジュゲートされた抗CD166活性化可能抗体は、AADCがマトリプターゼ(MT-SP1)またはマトリックスメタロプロテアーゼ14 (MMP-14)でタンパク質分解的に活性化された場合に、マスクされていないコンジュゲート抗CD166抗体およびマスクされていない抗CD166抗体の結合活性に類似する抗体結合活性を回復する。
フローサイトメトリーに基づく結合アッセイ法を用いて、抗CD166抗体(SEQ ID NO: 122のVH、SEQ ID NO: 123のVL)、本開示のさまざまなコンジュゲートおよび非コンジュゲート抗CD166活性化可能抗体、ならびに本開示のプロテアーゼ活性化されたコンジュゲート抗CD166活性化可能抗体の結合を評価した。試験したコンジュゲートおよび非コンジュゲート抗CD166活性化可能抗体は、SEQ ID NO: 122の可変重鎖配列と、SEQ ID NO: 123の可変軽鎖配列と、アミノ酸配列
を含む切断可能部分(CM1、基質2001)またはアミノ酸配列
を含む切断可能部分(CM2、基質3001)のどちらかと、表10に示されるマスキング部分のうちの1つとを含んでいた。完全配列は、上記の表11に示されている。コンジュゲートされた抗CD166抗体およびコンジュゲートされた抗CD166活性化可能抗体は、SPDBリンカーを介して活性化可能抗体にコンジュゲートされたメイタンシノイドDM4を含んでいた。典型的なアッセイ法では、HCC1806細胞を氷上で1時間、PBS+2%FBS中にて表示されている濃度の抗CD166抗体、活性化可能抗体、コンジュゲートされた抗体、または活性化可能抗体とともにインキュベートした。PBS + 2% FBSで2回洗浄した後、細胞を氷上で30~45分間、AlexaFluor 647にコンジュゲートされたヤギ抗ヒトIgG二次抗体(Jackson ImmunoResearch)とともにインキュベートした。次いで、細胞をPBS +2% FBSで2回洗浄し、1%ホルムアルデヒドで固定した。結合した抗体を、Guava EasyCyteサイトメーターを用いて検出し、細胞集団の蛍光強度中央値(MFI)を測定した。
図16Aに示されるように、コンジュゲートされた抗CD166活性化可能抗体は、HCC1806細胞上のCD166に対する結合からブロックされる。図16Bおよび16Cに示されるように、本開示のさまざまなコンジュゲートおよび非コンジュゲート抗CD166活性化可能抗体は、マスクされた場合互いに同様に挙動するが、しかしコンジュゲートされた抗CD166活性化可能抗体がプロテアーゼでタンパク質分解的に活性化された場合は、それらはマスクされていないhuCD166親抗体およびマスクされていないhuCD166 ADCのものと同様の結合を示した。
実施例9. ヒト組織に対する活性化可能抗CD166および抗体薬物コンジュゲートの結合
本実施例における例示的な研究は、ヒト組織に対する本開示の抗CD166抗体薬物コンジュゲート(ADC)および活性化可能抗CD166抗体薬物コンジュゲート(AADC)の結合特性を示す。
本研究では、正常なヒト前立腺、卵巣、乳房、膵臓および右心房に由来する凍結組織切片(それぞれカタログ番号T1234201、T1234086、T1234183、T1234188およびT1234127; BioChain, Newark, CA)を、標準的なプロトコルを用いて調製およびブロックし、その後、0.4 μg/mLで本開示の抗CD166 ADC (抗CD166-spdb-DM4)、本開示の抗CD166 AADC (抗CD166-7614.6-3001-spdb-DM4)、本開示の活性化された抗CD166 AADC (37℃で16時間精製uPAとともにインキュベートされた抗CD166-7614.6-3001-spdb-DM4)、またはアイソタイプ対照ADC (chKTI-spdb-DM4、spdb-DM4にコンジュゲートされたキメラヒトIgG1抗ダイズトリプシン阻害物質抗体)とともにインキュベートした。試験物とのインキュベーション後、切片を2.5 μg/mLのマウス抗DM4モノクローナル抗体(Immunogen)で処理した。DM4ペイロードの検出はHRP重合体(EnvisionTM+ System-HRP標識重合体抗マウス、Dako、K4006)にコンジュゲートされた抗マウス抗体とのインキュベーション、それに引き続く3,3'-ジアミノベンジジン基質(DAB Plus、Dako、K3467)の添加により達成された。組織をヘマトキシリンで対比染色し、画像をOlympus VS120バーチャルスライドスキャナー(Virtual Slide Scanner)で取得した。
本研究の例示的結果は、本開示の抗CD166 AADC(抗CD166-7614.6-3001-spdb-DM4)が、そのマスクされた状態と一致して、かつアイソタイプ対照ADCで観察されたものと同様に、5つのヒト組織切片の各々に対して免疫染色の欠如を呈することを示した。本開示の抗CD166 AADCの、uPAによる活性化は、2つの最も高発現の組織である前立腺および乳房における活性化抗CD166 AADCの結合を回復させた。本開示のuPA活性化抗CD166 AADCの染色強度および分布は、親抗CD166抗体薬物コンジュゲート(抗CD166-spdb-DM4)のものと同様であった。
実施例10. ヒトがんに対する抗CD166抗体の結合
本実施例は、抗CD166抗体を用いた免疫組織化学(IHC)染色によりCD166が種々の患者由来腫瘍において発現されることを示す。
本研究では、組織マイクロアレイ(US Biomax)中のホルマリン固定パラフィン包埋腫瘍サンプル(FFPE)を調製し、標準的なプロトコルを用いてブロックし、次いで5 μg/mLの抗CD166ウサギモノクローナル抗体EPR2759[2] (Abcam、ab109215)とともにインキュベートした。抗CD166抗体の検出は、5 μg/mLのビオチニル化されたコンジュゲートロバ抗ウサギIgG抗体(Jackson Immunoresearch、711-065-152)とのインキュベーション、それに引き続くアビジン-ビオチン-HRP複合体を形成させるためのABC-HRP Elite Standard (Vector Laboratories、PK-6100)の添加、それに引き続く3,3'-ジアミノベンジジン基質(DAB Plus、Dako、K3467)の添加によって行われた。組織をヘマトキシリンで対比染色し、画像をOlympus VS120バーチャルスライドスキャナーで取得した。
各組織コアには「陰性」(染色なし)、「弱」(腫瘍細胞の70%以下で強度1+、もしくは腫瘍細胞の30%以下で2+)、「中」(腫瘍細胞の70%超で強度1+、もしくは腫瘍細胞の30%超~70%以下で2+、もしくは腫瘍細胞の30%以下で3+)、または「強」(腫瘍細胞の70%超で強度2+、もしくは腫瘍細胞の30%超で3+)のIHCスコアを割り当て、抗CD166に対する「中」または「強」IHC染色を示す試験サンプル率を下記表4に示す。
(表4)患者由来がんにおけるCD166発現のIHCアッセイ法
実施例11. ヒトおよびカニクイザル細胞に対する抗CD166抗体の結合
本明細書において提供される例示的な研究は、フローサイトメトリーアッセイ法においてヒトおよびカニクイザル細胞に対する結合について本開示の抗CD166活性化可能抗体を評価するためにデザインされた。
図17は、フローサイトメトリーによって測定された、ヒトH292細胞またはカニクイザル初代腎臓上皮細胞に結合する本開示の抗CD166抗体(抗huCD166)の能力を示すグラフである。図17に示されるように、本開示の抗CD166抗体は、ヒトおよびカニクイザル細胞の両方の細胞表面上のCD166に対して同等な結合親和性を示した。
ヒトH292細胞およびカニクイザル初代腎臓上皮細胞に対する本開示の抗CD166抗体(huM9 vk-1/HcC; SEQ ID NO: 122のVH、SEQ ID NO: 123のVL)の結合を、フロー サイトメトリーに基づく結合アッセイ法を用いて評価した。典型的なアッセイ法では、H292細胞またはカニクイザル初代腎臓上皮細胞を氷上で1時間、PBS+2%FBS中にて表示されている濃度の抗CD166抗体とともにインキュベートした。PBS + 2% FBSで2回洗浄した後、細胞を氷上で30~45分間、AlexaFluor 647にコンジュゲートされたヤギ抗ヒトIgG二次抗体(Jackson ImmunoResearch)とともにインキュベートした。次いで、細胞をPBS +2% FBSで2回洗浄し、1%ホルムアルデヒドで固定した。結合した抗体を、Guava EasyCyteサイトメーターを用いて検出し、細胞集団の平均蛍光強度(MFI)を測定した。
図17に示されるように、本開示の抗CD166抗体はヒトおよびカニクイザル細胞に、同等の親和性(ヒト細胞に対して3.1 nMのEC50、およびカニクイザル細胞に対して1.7 nMのEC50)で結合した。
実施例12. 抗CD166抗体によるCD6に対する細胞結合の阻害
この例示的な研究では、本開示の抗CD166抗体は、CD166がリガンドの受容体である固定化CD6に対するヒトリンパ腫細胞の接着をブロックする能力を示す。
図18は、固定化ヒトCD166に対するHuT-78ヒトリンパ腫細胞の接着をブロックする本開示の抗CD166抗体(抗huCD166; vk-1/HcC)の能力を示すグラフである。このアッセイ法では、CD166発現HuT-78細胞を蛍光標識し、プラスチックプレート上に固定化した組み換えCD6タンパク質とともにインキュベートする。数回の洗浄後、結合したHuT-78細胞を、蛍光を測定することによって検出し、全蛍光の百分率(洗浄前)として報告する。MAB656は、このアッセイ法(R&D Systems)において細胞接着を阻害すると報告されている抗CD166マウスモノクローナル抗体であり、これはおそらく、CD166の、その受容体CD6との相互作用を破壊することによる。この例示的なアッセイ法において、本開示の抗CD166抗体およびMAB656は、CD6に対する細胞接着の同レベルの阻害を示した。両方の抗体は、およそ3.7 nM近くであるEC50を示した。アイソタイプ対照抗体は、細胞接着の阻害を示さなかった。
実施例13. 抗CD166活性化可能抗体のプロテアーゼ依存的活性化
本明細書において提供される例示的な研究は、本開示の抗CD166活性化可能抗体およびコンジュゲートされた活性化可能抗体のプロテアーゼ依存的活性化を評価するためにデザインされた。
図19Aは、抗CD166抗体(抗huCD166 HcC/vk-1、「CD166 Ab」)、抗CD166抗体薬物コンジュゲート(抗CD166-spdb-DM4、「CD166-ADC」)、抗CD166活性化可能抗体(抗CD166-7614.6-3001、「CD166 Pb」)、活性化可能抗体薬物コンジュゲート(抗CD166-7614.6-3001-spdb-DM4、「CD166-AADC」)のELISAアッセイ法でのCD166に対するインビトロ結合を示すグラフである。表示のように、ウロキナーゼ(uPA)、マトリプターゼ(MT-SP1)、またはマトリックスメタロプロテアーゼ14 (MMP14)のいずれかを表示のように用いて、プロテアーゼ活性化された抗CD166活性化可能抗体薬物コンジュゲートでもアッセイ法が行われた。標準的なELISAプロトコルを用いて、ヒトCD166タンパク質をELISAプレートに吸収させ、続いて表示されている濃度の抗体とともにインキュベートした。結合した抗体を西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲート抗ヒトIgG二次抗体で検出した。
図19Bおよび19Cは、抗CD166抗体(抗huCD166 HcC/vk-1、「CD166 Ab」)、抗CD166抗体薬物コンジュゲート(抗CD166-spdb-DM4、「CD166-ADC」)、抗CD166活性化可能抗体(抗CD166-7614.6-3001、「CD166 Pb」)、活性化可能抗体薬物コンジュゲート(抗CD166-7614.6-3001-spdb-DM4、「CD166-AADC」)のフローサイトメトリーアッセイ法でのヒトHCC1806またはH292細胞に対する結合を示すグラフである。表示のように、ウロキナーゼ(uPA)、マトリプターゼ(MT-SP1)、またはマトリックスメタロプロテアーゼ14 (MMP14)のいずれかを表示のように用いて、プロテアーゼ活性化された抗CD166活性化可能抗体薬物コンジュゲートでもアッセイ法が行われた。対照として、spdb-DM4にコンジュゲートされたIgG1アイソタイプ抗体(「IgG1アイソタイプ-ADC」)も試験した。典型的なアッセイ法では、H292細胞またはHCC1806細胞を氷上で1時間、PBS+2%FBS中にて表示されている濃度の抗CD166抗体とともにインキュベートした。PBS + 2% FBSで2回洗浄した後、細胞を氷上で30~45分間、AlexaFluor 647にコンジュゲートされたヤギ抗ヒトIgG二次抗体(Jackson ImmunoResearch)とともにインキュベートした。次いで、細胞をPBS +2% FBSで2回洗浄し、1%ホルムアルデヒドで固定した。結合した抗体を、Guava EasyCyteサイトメーターを用いて検出し、細胞集団の蛍光強度中央値(MFI)を測定した。
(表14)CD166およびヒト細胞に対する抗CD166抗体構築体の結合
表14における例示的な結果によって示されるように、非切断CD166-AADCは、ELISAおよびフローサイトメトリーアッセイ法において、マスクされていないCD166-ADCと比較して増加した見かけのKdを示した。3つ全てのプロテアーゼによるCD166-AADCの活性化は、抗CD166活性化可能抗体薬物コンジュゲートの結合親和性を、マスクされていないCD166-ADCのものに匹敵するレベルに回復させるようであった。
図20Aおよび20Bは、抗CD166抗体(抗huCD166 HcC/vk-1、「CD166 Ab」)、抗CD166抗体薬物コンジュゲート(抗CD166-spdb-DM4、「CD166-ADC」)、抗CD166活性化可能抗体(抗CD166-7614.6-3001、「CD166 Pb」)、活性化可能抗体薬物コンジュゲート(抗CD166-7614.6-3001-spdb-DM4、「CD166-AADC」)のヒトHCC1806またはH292細胞に対するインビトロ細胞傷害性を示すグラフである。表示のように、ウロキナーゼ(uPA)、マトリプターゼ(MT-SP1)、またはマトリックスメタロプロテアーゼ14 (MMP14)のいずれかを表示のように用いて、プロテアーゼ活性化された抗CD166活性化可能抗体薬物コンジュゲートでもアッセイ法が行われた。対照として、spdb-DM4にコンジュゲートされたIgG1アイソタイプ抗体(「IgG1アイソタイプ-ADC」)も試験した。典型的なアッセイ法では、H292細胞またはHCC1806細胞を、表示されている濃度の抗体、活性化可能抗体、活性化可能抗体薬物コンジュゲート、またはプロテアーゼで処理した活性化可能抗体薬物コンジュゲートとともにインキュベートし、細胞を3~5日間インキュベートした。CellTiter Gloアッセイ法を用いて細胞生存率を測定した。これらの細胞傷害性アッセイ法の結果を以下の表15に要約する。
(表15)ヒト細胞に対する抗CD166抗体構築体のインビトロ細胞傷害性
表15ならびに図20Aおよび20Bのこれらの例示的な結果は、基質配列(CM)を認識するプロテアーゼでタンパク質分解的に活性化される、本開示の活性化可能抗CD166抗体薬物コンジュゲート(CD166-AADC)が、対応する非切断抗CD166 AADCと比較してヒト細胞に対する細胞傷害性の数倍の増加を示すことを実証している。さらに、活性化された抗CD166 AADCは、マスクされていない抗CD166 ADCに匹敵する細胞傷害性を示す。
実施例14. 抗CD166活性化可能抗体の免疫学的危険性アッセイ法
本明細書において提供される例示的な研究は、インビトロアッセイ法において免疫応答を誘発する本開示の活性化可能抗CD166抗体薬物コンジュゲート(CD166-AADC)の能力を評価するためにデザインされた。
これらの例示的な研究では、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、以下の濃度での活性化可能抗CD166抗体薬物コンジュゲート(抗CD166-7614.6-3001-spdb-DM4、「CD166-AADC」)、抗CD166抗体薬物コンジュゲート(抗CD166 (vk-1/HcC)-spdb-DM4、「CD166-ADC」)、抗CD3陽性対照(OKT3抗体)およびアイソタイプ対照抗体薬物コンジュゲート(「アイソタイプ」)による処理に応じたサイトカイン放出および増殖のインビトロアッセイ法において試験した。
この例示的な研究では、湿潤コートおよび可溶性試験物の2つの別の形式での正常な5人の健常ドナーを評価した。IL-2、IL-4、IL-6、IL-10、TNFαおよびIFNγを含む標準的なTh1およびTh2サイトカインのパネルを、処置の24時間後に測定した。図21A~21Dに示されるように、陽性対照(抗CD3、OKT3)および陰性(アイソタイプADC)対照抗体と比較して、CD166-AADC用量漸増法(dose titration)も、対応するCD166-ADCの用量漸増法も、ヒトPBMCからの有意なサイトカイン放出は示されなかった。さらに、陽性対照OKT3抗体とは異なり、CD166-AADCもCD166-ADCも、処置後8日目に評価された際、PBMC増殖を誘導しなかった。
実施例16. コンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体の抗体依存性細胞傷害
本明細書において提供される例示的な研究は、本開示の抗CD166活性化可能抗体薬物コンジュゲートのヒト細胞に対するインビトロでの抗体依存性細胞傷害(ADCC)を評価するためにデザインされた。
図22は、本開示の抗CD166活性化可能抗体薬物コンジュゲート(抗huCD166 (HcC/vk-1)-7614.6-3001-spdb-DM4、「CD166-AADC」)、抗CD166抗体薬物コンジュゲート(抗CD166-spdb-DM4、「CD166-ADC」)、抗EGFR陽性対照およびIgG1アイソタイプ対照-spdb-DM4 (「IgG1アイソタイプ-ADC」)を用いたヒト卵巣腺癌細胞(SKOV3)に対するインビトロADCCアッセイ法を示すグラフである。
この例示的なアッセイ法におけるADCC活性を、ADCCレポーターバイオアッセイ(Promega)を用いて評価した。このアッセイ法では、FcRγIIIaおよびNF-AT誘導性ルシフェラーゼレポーターで安定にトランスフェクションされたJurkat T細胞を、CD166-AADCまたは対照抗体の存在下においてCD166発現SKOV3細胞とともにインキュベートした。ルシフェラーゼ活性は、標的細胞に対する抗体結合、FcRγIIIa受容体連結およびエフェクター細胞における下流シグナル伝達に応じて刺激される。高レベルのCD166およびEGFRを発現するSKOV3細胞において、CD166-AADCまたはCD166-ADCとのインキュベーションは、IgG1アイソタイプ対照ADCと同様の活性、および陽性対照抗EGFR抗体で観察されたものよりも低い活性を示した。アッセイ法におけるCD166-AADCまたはCD166-ADCの用量漸増法。これらのデータから、CD166-AADCおよびCD166-ADCはADCCの可能性が制限されていることが示唆される。
実施例17. 細胞および患者由来異種移植腫瘍モデルに対するコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体の有効性
本明細書において提供される例示的な研究は、マウス腫瘍モデルにおける細胞および患者由来異種移植片に対する本開示の抗CD166活性化可能抗体薬物コンジュゲートのインビボ有効性を評価するためにデザインされた。
これらの例示的な研究では、がんのさまざまな種類に相当する複数のヒト細胞株由来および患者由来異種移植(PDX)モデルを試験した。2つの細胞株由来異種移植モデル(H292非小細胞肺癌(NSCLC)細胞およびHCC1806トリプルネガティブ乳癌細胞)、ならびに卵巣癌(CTG-0791)および胆管癌(CTG-0941)に対する2つの患者由来異種移植(PDX)モデル。各モデルについて、腫瘍担持マウスを無作為に群に分け、表示のように本開示の抗CD166活性化可能抗体薬物コンジュゲート(抗huCD166 (HcC/vk-1)-7614.6-3001-spdb-DM4、「CD166-AADC」)、アイソタイプ対照SPDB-DM4コンジュゲート、またはビヒクル対照で処置を開始した。試験物は表示のように3または5 mg/kgで、試験0および7日目に、静脈内投与された。
図23に示されるように、ヒトでの予想される治療用量以下でのCD166-AADCによる処置は、大多数のマウスにおいて腫瘍退縮および持続的応答をもたらした。他の同様の例示的な研究を以下の表16に要約する。
(表16)抗CD166活性化可能抗体薬物コンジュゲートの有効性
実施例18. 子宮内膜癌由来細胞株に対するコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体のインビトロ細胞傷害性
本明細書において提供される例示的な研究は、子宮内膜癌由来細胞株に対する本開示の抗CD166活性化可能抗体薬物コンジュゲートのインビトロでの有効性を評価するためにデザインされた。
図24A~24Cに示されるように、これらの例示的な研究は、抗CD166抗体薬物コンジュゲート(抗CD166-spdb-DM4、「CD166-ADC」)、ならびに活性化可能抗体薬物コンジュゲート(抗CD166-7614.6-3001-spdb-DM4、「CD166-7614.6-AADC」; および抗CD166-7614.8-3001-spdb-DM4、「CD166-7614.8-AADC」)のヒト子宮・子宮内膜癌由来細胞株(HEC-1-A、AN3-CAおよびKLE細胞株)に対するインビトロ細胞傷害性を示した。アイソタイプ対照ADC (chKTI-spdb-DM4)を対照として用いた。典型的なアッセイ法では、細胞を、表示されている濃度の抗体薬物コンジュゲート、または活性化可能抗体薬物コンジュゲートとともにインキュベートし、細胞を3~5日間インキュベートした。CellTiter Gloアッセイ法を用いて細胞生存率を測定した。これらの例示的な結果から、本開示の抗CD166-AADCおよび抗CD166-ADCが、陰性対照と比較して、全ての細胞株に対して細胞傷害性を示すことが示された。これらの例示的な結果から、標的に対する、マスク基質に起因するその低い親和性のために、非切断抗CD166-AADCが、本開示の抗CD166-ADCよりも低い細胞傷害性を示すことも示された。本開示の抗CD166物質に対する細胞株の相対的感受性は、各細胞におけるCD166発現のレベルと相関するようであった。図24Dに示されるように、各子宮内膜細胞株上の表面発現CD166の相対量を決定するため、本開示の抗CD166を用いたフローサイトメトリーアッセイ法を行った。
実施例18. さまざまながん由来細胞株に対するコンジュゲートされた抗CD166抗体薬物コンジュゲートのインビトロ細胞傷害性
本明細書において提供される例示的な研究は、子宮内膜癌由来細胞株に対する本開示の抗CD166抗体薬物コンジュゲートのインビトロでの有効性を評価するためにデザインされた。
これらの例示的な研究では、抗CD166抗体薬物コンジュゲート(抗CD166 (vk-1/HcC)-spdb-DM4、「CD166-ADC」)のインビトロ細胞傷害性を複数のヒトがん由来細胞株に対して試験した。典型的なアッセイ法では、細胞を3~5日間、さまざまな濃度(0.1 nM~50 nM)のCD166-ADCとともにインキュベートした。CellTiter Gloアッセイ法を用いて細胞生存率を測定した。CD166-ADCの細胞傷害性を陰性アイソタイプ対照(chKTI-spdb-DM4と比較した。PC3前立腺癌細胞株およびSAS頭頸部扁平上皮癌細胞株の場合、試験物は抗CD166-vc-MMADであり、陰性対照はアイソタイプパリビズマブ-vc-MMADであった。これらの細胞傷害性アッセイ法の結果を以下の表8に要約する。
(表8)ヒトがん細胞に対する抗CD166抗体薬物コンジュゲートのインビトロ細胞傷害性
実施例19: マウス肺癌異種移植モデルにおける活性化可能抗CD166抗体のインビボ画像化
本実施例は、本開示の活性化可能抗CD166抗体が、腫瘍関連プロテアーゼ依存性インビボ活性化および肺癌(NSCLC)マウス異種移植モデルにおいて発現されるCD166に対する結合を示すことを、インビボ蛍光画像化によって示す。
図25Aは、本開示の蛍光的にコンジュゲートされた抗CD166抗体および活性化可能抗CD166抗体を用いた肺腫瘍異種移植片(H292細胞)を有する生存マウスのインビボ画像化を示す。本研究では、7~8週齢のnu/nu雌マウス(n=3)の右後横腹にヒト非小細胞肺癌由来細胞株H292細胞5×106個を皮下移植した。腫瘍が300~380 mm3に成長した後、本開示の抗CD166抗体(vk-1/HcC) (「CD166-Ab」)、異なるマスク配列および基質配列を有する本開示の活性化可能抗CD166抗体(抗CD166-7614.6-3001、抗CD166-7614.8-2001)、またはCMドメインを欠く本開示のマスクされた抗CD166抗体(「CD166 7614.6-NSUB」)をプレブロッキング試薬として、5 mg/kgの用量でマウスの各々に投与した。対照として、アイソタイプ抗体(パリビズマブ)を同様に投与した。約48時間後、マウスにAlexaFluor 750で標識された抗CD166抗体(抗CD166-AF750)を注射した。745 nmの励起シグナルを使用し、800 nmの放出シグナルを検出して、抗CD166-AF750の投与から24、72および96時間後にマウスをインビボ蛍光画像化に供した。96時間の時点で画像化された代表的なマウスが描写されている。スケールは、検出された蛍光シグナルの相対的な大きさを示す。マウスについて測定された各試験物の平均腫瘍集積比(TBR; tumor-to-background ratio)を図25Bに示す。
この例示的な研究の結果から、本開示のマスクされていない抗CD166抗体および本開示の活性化可能抗CD166抗体からの蛍光シグナルは、異種移植片においてCD166に結合し、したがってその後の蛍光標識抗CD166の結合をブロックしうることが示された。対照的に、相応してマスクされた抗CD166抗体であるがしかしプロテアーゼ切断部位(CM)を欠いたものは、アイソタイプ対照に匹敵する程度までCD166-AF750のその後の結合をブロックしなかった。任意の特定の理論によって束縛されるわけではないが、本開示の活性化可能抗CD166抗体が、腫瘍関連プロテアーゼ切断を介してインビボで活性化されることができ、したがってこれにより、活性化された活性化可能抗CD166抗体が、本開示のマスクされていない抗CD166抗体に匹敵する程度まで、異種移植腫瘍におけるCD166に結合することを可能にすることを、本例示的な研究は実証した。本開示のプロテアーゼ切断ドメイン(CM)を欠くマスクされた抗CD166抗体は、同様に活性化できず、したがって、腫瘍異種移植片に感知できるほどには結合しなかった。
実施例20. 細胞由来異種移植腫瘍モデルに対するコンジュゲートされた活性化可能抗CD166抗体の有効性
本明細書において提供される例示的な研究は、マウス腫瘍モデルにおける細胞由来異種移植片に対する本開示の抗CD166活性化可能抗体薬物コンジュゲート(AADC)のインビボ有効性を評価するためにデザインされた。
これらの例示的な研究では、本開示の抗CD166活性化可能抗体薬物コンジュゲートを、肺癌のモデルマウス腫瘍異種移植モデル(H292ヒト非小細胞肺癌(NSCLC)細胞)に対する有効性について試験した。本研究では、腫瘍担持マウスを、抗CD166-7614-2001-spdb-DM4 (「CD166-7614-2001-DM4」)、抗CD166-7614.6-2001-spdb-DM4 (「CD166-7614.6-2001-DM4」)、抗CD166-7614.8-3001-spdb-DM4 (「CD166-7614.8-3001-DM4」)、抗huCD166-spdb-DM4 (「CD166-DM4」) を含む本開示の抗CD166抗体薬物コンジュゲートおよび抗CD166活性化可能抗体薬物コンジュゲート(AADC)、ならびにアイソタイプ対照(パリビズマブ-spdb-DM4; 「アイソタイプDM4」)で処置した。各マウスに、研究1日目および8日目に5 mg/kgの試験物を静脈内投与し、H292異種移植片の平均腫瘍体積(MTV)を表示日に測定した。
図26に示されるように、本開示の活性化可能抗CD166抗体薬物コンジュゲートを用いた処置は、マスクされていない抗CD166-DM4薬物コンジュゲートで観察されるものに匹敵する程度まで経時的にMTVの減少をもたらした。CD166に対する親抗体結合親和性を減少させることに関して測定可能なほどに高い効果の有るマスクを有する抗CD166-DM4 AADC (例えば、表17を参照のこと)は、より低いマスクを有する抗CD166 AADCよりも測定可能なほどに低い有効性を有するようであった。
他の態様
本発明をその詳細な説明とともに説明してきたが、前述の説明は例示することを意図するものであり、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定するものではないことが意図される。他の局面、利点および修正は、以下の範囲内にある。