JP2020076858A - 画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】粉体を用いて樹脂層を加飾する画像形成方法において、画像形成時の温度や湿度によらず、要求される質感を有する加飾画像を安定して形成することができる方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、記録媒体上に樹脂層を形成する工程と、記録媒体上に粉体を供給する工程と、を有する、樹脂層と粉体とが接触してなる加飾画像を形成する画像形成方法であって、前記樹脂層がビニル系樹脂を含む、画像形成方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、画像形成方法に関する。
近年、オンデマンド印刷市場において、特色印刷、印刷物に表面加工や特殊印刷を施した高付加価値印刷の需要が高まっている。特に、質感付与に関する要望は大きく、その中でも、メタリック印刷やパール印刷は印象的な印刷物を得ることができることから、多種多様な検討が行われている。
その方法の一つとして、トナー画像を利用して金属箔、樹脂箔を転写する方法が検討されてきた(特許文献1)。しかし、この方法では、画像の一部のみに箔を転写する場合、残りの箔はすべて無駄になるという問題があった。
次に、トナー中に光輝性顔料を添加したメタリックトナーやパールトナーに関しても検討が行われてきた(特許文献2)。しかし、この方法では、要求されるメタリック感、パール感に到達していない。
そこで、熱溶融性材料からなる画像(樹脂層)を加熱して粘着性を持たせ、粘着性を持った画像に粉体を供給して、画像を加飾する方法も検討されている(特許文献3)。
特開平01−200985号公報 特開2014−157249号公報 特開2013−178452号公報
しかしながら、特許文献3のように粉体を用いて樹脂層を加飾する画像形成方法において、画像形成時の温度や湿度によっては、要求される質感を有する加飾画像を安定して形成することができないことがある。
本発明は上記課題を解決するためのものであり、粉体を用いて樹脂層を加飾する画像形成方法において、画像形成時の温度や湿度によらず、要求される質感を有する加飾画像を安定して形成することができる方法を提供することを目的とする。
上記課題は以下の手段により解決されるものである。
[1]記録媒体上に樹脂層を形成する工程と、記録媒体上に粉体を供給する工程と、を有する、樹脂層と粉体とが接触してなる加飾画像を形成する画像形成方法であって、前記樹脂層がビニル系樹脂を含む、画像形成方法。
[2]前記ビニル系樹脂の含有量が、前記樹脂層に含まれる樹脂の全質量に対して、50質量%以上95質量%以下である、[1]に記載の画像形成方法。
[3]前記ビニル系樹脂がスチレン−アクリル樹脂を含む、[1]または[2]に記載の画像形成方法。
[4]前記スチレン−アクリル樹脂のスチレン含有量が、前記スチレン−アクリル樹脂の全質量に対して、50質量%以上90質量%以下である、[3]に記載の画像形成方法。
[5]前記樹脂層はトナーで形成される層であり、前記トナーは、マグネシウムおよびアルミニウムから選ばれる少なくとも1種の金属を含む、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の画像形成方法。
[6]前記トナーがマグネシウムを含み、蛍光X線分析により測定されるトナー中のマグネシウムのNet強度が3.0上6.0以下である、[5]に記載の画像形成方法。
[7]前記トナーがアルミニウムを含み、蛍光X線分析により測定されるトナー中のアルミニウムのNet強度が0.2以上3.5以下である、[5]または[6]に記載の画像形成方法。
[8]前記樹脂層を軟化させる工程をさらに有し、前記記録媒体上に粉体を供給する工程は、前記樹脂層の表面に前記粉体を供給する工程である、[1]〜[7]のいずれか1項に記載の画像形成方法。
[9]前記樹脂層の表面に供給された粉体を配向させる工程を含む、[8]に記載の画像形成方法。
[10]前記粉体の配向は、前記粉体が供給された樹脂層の表面の摺擦により行われる、[9]に記載の画像形成方法。
[11]前記粉体は扁平形粒子を含む粉体である、[1]〜[10]のいずれか1項に記載の画像形成方法。
[12]前記粉体は金属粒子を含む粉体である、[1]〜[11]のいずれか1項に記載の画像形成方法。
[13]記録媒体と、前記記録媒体上に形成された樹脂層とを含む樹脂製画像が有する前記樹脂層を軟化する工程と、前記樹脂層の表面に粉体を供給する工程と、を有する加飾画像を形成する画像形成方法において、前記樹脂層がビニル系樹脂を含む、画像形成方法。
本発明によれば、粉体を用いて樹脂層を加飾する画像形成方法において、画像形成時の温度や湿度によらず、要求される質感を有する加飾画像を安定して形成することができる方法を提供することができる。
図1Aは、記録媒体とその上に配置されている樹脂層とを含む樹脂製画像に粉体を供給した状態を模式的に示す図である。図1Bは、樹脂層が接着能有し始める軟化状態とし、粉体を供給して配向させた状態を模式的に示す図である。図1Cは、樹脂層を十分に軟化させて、粉体粒子を供給して配向させた状態を模式的に示す図である。 図2は、本発明の一実施形態の画像形成装置の構成を模式的に示す図である。 図3は、本発明の一実施形態の画像形成装置における表面処理部の構成を模式的に示す図である。
[画像形成方法]
本発明の一実施形態は、記録媒体上に樹脂層を形成する工程と、記録媒体上に粉体を供給する工程と、を有する、樹脂層と粉体とが接触してなる加飾画像を形成する画像形成方法であって、前記樹脂層がビニル系樹脂を含む、画像形成方法に関する。
また、本発明の一実施形態は、樹脂層を軟化させる工程と、前記樹脂層の表面に粉体を供給する工程とを含んでもよい。
本発明によれば、粉体を用いて樹脂層を加飾する画像形成方法において、要求される質感を有する加飾画像を安定して形成することができる理由は、以下のように推測される。
例えば、樹脂層の軟化状態が粉体を付着できる接着力(粘着力)を持ちはじめる程度の軟化状態とし、ここに粉体粒子200を供給するとする。このとき、図1Aに示すように、樹脂層100上に粉体粒子200は無秩序に供給される。
次に、樹脂製画像110上の粉体を摺擦すると、図1Bに示すように、樹脂層100の表面上に供給された粉体粒子200が摺擦によって平らに配向する。ここで、例えば、粉体が金属粒子を含む場合、粉体粒子200への入射光が正反射しやすくなり、ミラー調、パール調の質感が得られやすくなる。
一方で、樹脂層100をさらに軟化した状態で粉体を供給し、摺擦すると、図1Cに示されるように、粉体粒子200の一部が樹脂層100の内部に入り込んだ状態となる。ここで、例えば、粉体が金属粒子を含む場合、粉体粒子200への入射光が乱反射しやすくなり、グリッター調の質感が得られやすくなる。
このように、樹脂層と粉体とが接触してなる加飾画像を形成する画像形成方法において、加飾画像の質感は、樹脂層の軟化状態に影響を受ける。特に、金属粒子を含む粉体を用いる場合、樹脂層の軟化状態の違いによって金属粒子の配向状態が変わり、入射光の反射状態が大きく変動するため影響は大きくなる。樹脂層の軟化状態は、加飾画像形成時の環境(例えば、温度、湿度)によって変動してしまい、加飾画像の質感が変動してしまうと推測される。
これに対して本発明では、樹脂層に疎水性が強いビニル樹脂を含み、これにより環境中の水分の影響を受けにくくなり、要求する質感の画像を得ることができると推測される。
[記録媒体]
上記記録媒体は、その上に樹脂層が形成されるものであれば特に制限されない。記録媒体の例には、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙またはコート紙などの塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙、プラスチックフィルム、樹脂製フィルム、布などの各種が含まれる。記録媒体の色は特に制限されない
[樹脂層]
上記樹脂層はビニル系樹脂を含む層であり、記録媒体上に形成されるものであれば特に制限されない。樹脂層は、例えば、電子写真方式により記録媒体上に形成されたトナー画像である。
樹脂層の全質量に対するビニル系樹脂の含有量の下限は、樹脂層の疎水性が強くなり環境の影響を受けにくいという観点から50質量%以上であることが好ましい。ビニル系樹脂の含有量の上限は、トナーの記録媒体への定着性という観点から95質量%以下であることが好ましい。
ビニル系樹脂の例には、アクリル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、スチレン−アクリル樹脂などが含まれる。これらの内で、樹脂層の疎水性が強くなり環境の影響を受けにくいという観点から、樹脂層はスチレン−アクリル樹脂であることが好ましい。
上記スチレン−アクリル樹脂において、樹脂層の疎水性に比較的大きな影響を与えているのは、ベンゼン環を有するスチレンであると考えられる。したがって、樹脂層の疎水性が強くなり環境の影響を受けにくいという観点から、スチレン−アクリル樹脂のスチレン含有量の下限は、スチレン−アクリル樹脂の全質量に対して50質量%以上であることが好ましい。また、スチレン−アクリル樹脂のスチレン含有量の上限は、樹脂層を形成する、トナーの記録媒体への定着性を良好にし、環境の影響を受けにくくするという観点から90質量%以下であることが好ましい。
上記スチレン−アクリル樹脂は、少なくともスチレン単量体と(メタ)アクリル基を有する単量体とを重合させることにより合成することができる。ここで、スチレン単量体には、CH=CH−Cの構造式で表されるスチレンの他、スチレン構造中に公知の側鎖や官能基を有する構造のものも含まれる。
(メタ)アクリル基を有する単量体の例には、(メタ)アクリル酸単量体、(メタ)アクリル酸エステル単量体などが含まれる。
(メタ)アクリル酸エステル単量体とは、(メタ)アクリル酸とアルコールとがエステル結合してなる化合物である。具体的には、CH=CHCOOR(Rはアルキル基)で表されるアクリル酸エステル単量体の他、CH=C(CH)COOR(Rはアルキル基)で表されるメタクリル酸エステル単量体などのビニル系エステル化合物が含まれる。
以下に、スチレン−アクリル樹脂を形成することが可能なスチレン単量体および(メタ)アクリル酸エステル単量体の具体例を示すが、以下に示すものに限定されるものではない。
スチレン単量体の例には、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンなどが含まれる。
また、(メタ)アクリル酸エステル単量体は、以下に示すアクリル酸エステル単量体お
よびメタクリル酸エステル単量体が代表的なものである。
アクリル酸エステル単量体の例には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、フェニルアクリレートなどが含まれる。
メタクリル酸エステル単量体の例には、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレートなどが含まれる。
これらのスチレン単量体、アクリル酸エステル単量体、またはメタクリル酸エステル単
量体は、単独でもまたは2種以上を組み合わせても使用することができる。
また、スチレン−アクリル共重合体には、上述したスチレン単量体および(メタ)アクリル酸エステル単量体のみで形成された共重合体の他に、これらスチレン単量体および(メタ)アクリル酸エステル単量体に加えて、一般のビニル単量体を併用して形成されるものもある。以下に、本発明でいうスチレン−アクリル共重合体を形成する際に併用可能なビニル単量体を例示するが、併用可能なビニル単量体は以下に示すものに限定されるものではない。
(1)オレフィン類
エチレン、プロピレン、イソブチレン等
(2)ビニルエステル類
プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等
(3)ビニルエーテル類
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等
(4)ビニルケトン類
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等
(5)N−ビニル化合物類
N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等
(6)その他
ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体等。
また、多官能性ビニル単量体を使用して、架橋構造の樹脂を作製することも可能である。さらに、側鎖にイオン性解離基を有するビニル単量体を使用することも可能である。イオン性解離基の例には、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基などが含まれる。以下に、これらイオン性解離基を有するビニル単量体の例を示す。
カルボキシル基を有するビニル単量体の例には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステルなどが含まれる。
スチレン−アクリル樹脂の合性方法は、特に制限されず、公知の油溶性あるいは水溶性の重合開始剤を使用して単量体を重合する方法が挙げられる。必要に応じてたとえば、n−オクチルメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネートなどの公知の連鎖移動剤を使用してもよい。
スチレン−アクリル樹脂の合成方法は、特に制限されず、公知の油溶性あるいは水溶性の重合開始剤を使用して単量体を重合する方法が挙げられる。油溶性の重合開始剤としては、具体的には、以下に示すアゾ系またはジアゾ系重合開始剤や過酸化物系重合開始剤がある。
アゾ系またはジアゾ系重合開始剤の例には、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルなどが含まれる。
過酸化物系重合開始剤の例には、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、tert−ブチルヒドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,2−ビス−(4,4−tert−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(tert−ブチルパーオキシ)トリアジンなどが含まれる。
また、乳化重合法でスチレン−アクリル樹脂粒子を形成する場合は水溶性ラジカル重合開始剤が使用可能である。水溶性ラジカル重合開始剤の例には、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸およびその塩、過酸化水素などが含まれる。
重合温度は、用いる単量体や重合開始剤の種類によっても異なるが、50〜100℃であることが好ましく、55〜90℃であることがより好ましい。また、重合時間は、用いる単量体や重合開始剤の種類によっても異なるが、たとえば2〜12時間であることが好ましい。
乳化重合法により形成されるスチレン−アクリル樹脂粒子は、組成の異なる樹脂よりなる2層以上の構成とすることもできる。この場合の製造方法としては、常法に従った乳化重合処理(第1段重合)により調製した樹脂粒子の分散液に、重合開始剤と重合性単量体とを添加し、この系を重合処理(第2段重合)する多段重合法を採用することができる。
スチレン−アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、定着性や耐熱保管性などの観点から、35〜70℃の範囲が好ましく、40〜60℃の範囲がより好ましい。Tgは、示差走査熱量測定(DSC)により測定することができる。
樹脂層がトナーで形成される層である場合、トナーは金属を含んでもよい。金属は、トナー母体粒子の形成時に樹脂粒子を架橋すると考えられる。トナー中に含まれる金属の含有量は蛍光X線分析により測定されるNet強度で表すことができる。金属の例には、マグネシウム、アルミニウムなどが含まれる。
トナーがマグネシウムを含む場合、蛍光X線分析により測定されるトナー中のマグネシウムのNet強度は、樹脂層の過度な高光沢を抑制するという観点から3.0以上が好ましく、水分が吸着しにくく環境の影響を受けにくいという観点から6.0以下が好ましい。
トナーがアルミニウムを含む場合、蛍光X線分析により測定されるトナー中のアルミニウムのNet強度は、樹脂層の過度な高光沢を抑制するという観点から0.2以上が好ましく、水分が吸着しにくく環境の影響を受けにくいという観点から3.5以下が好ましい。
上記樹脂層はポリエステル樹脂を含んでもよい。ポリエステル樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂であっても、非晶性ポリエステル樹脂であってもよく、これらの組み合わせであってもよい。
ポリエステル樹脂の含有量の下限は、トナーの記録媒体への定着性を良好にするという観点から樹脂層の全樹脂量に対して3質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。ポリエステル樹脂の含有量の上限は、樹脂層が水分を吸着しにくく環境の影響を受けにくいという観点から50質量%以下が好ましい。
ポリエステル樹脂は、例えば、カルボン酸成分(多価カルボン酸成分)及び多価アルコール成分を原料として適宜の触媒の存在下で重縮合反応によって製造される。
[樹脂層を形成する工程]
樹脂層を形成する工程は、記録媒体上に樹脂層を形成することができれば特に制限されない。樹脂層を形成する工程は、記録媒体上に粉体を供給する工程の前に行われても、後に行われてもよい。
樹脂層を形成する工程が記録媒体上に粉体を供給する工程の前に行われる場合、樹脂層を軟化させる工程によって、粉体が樹脂層に接着することが好ましい。この場合、トナーの付着量の下限は0.5g/m以上が好ましく、トナーの付着量の上限は15.0g/m以下であることが好ましく、10.0g/m未満であることがより好ましい。
樹脂層を形成する工程が記録媒体上に粉体を供給する工程の後に行われる場合、粉体による加飾効果をより発揮させるという観点からは、トナー粒子は光透過性が高いことが好ましく、粉体の色調を維持したメタリック画像を得たい場合はクリアトナー、粉体の色調を調整したメタリック画像を得たい場合はシアントナー、マゼンタトナー、イエロートナーなどのカラートナーから所望の色調のものを選択することが好ましい。また、複数種類のトナーを混合することも可能である。
粉体の上に樹脂を供給する場合のトナーの付着量は、粉体を固定するという観点から0.5g/m以上が好ましく、トナーによる光の散乱、光の吸収などを抑制し、メタリック感を有する加飾画像を得るという観点から、15.0g/m以下が好ましく、10.0g/m未満がさらに好ましい。
樹脂層は、乾式および湿式の電子写真方式やインクジェット法などの公知の画像形成方法によって記録媒体上に形成することができる。
これらのうち、樹脂層は、電子写真方式で形成されたトナーからなる層であり、記録媒体に定着されたトナー粒子により構成された樹脂層であることが好ましい。
また、樹脂層は、記録媒体に定着された複数種のトナー粒子により構成された樹脂層であることが好ましい。複数種のトナー粒子により樹脂層を構成することで、トナー画像と粉体との組み合わせで、様々な加飾画像を形成することができる。上記複数種のトナー粒子は、たとえば、含有する色材により呈される色が異なる複数種のトナー粒子、または熱特性が異なる複数種のトナー粒子とすることができる。トナー粒子の例には、ブラックトナー粒子、ホワイトトナー粒子、クリアトナー粒子、シアントナー粒子、イエロートナー粒子、マゼンダトナー粒子などが含まれる。
[粉体]
上記粉体は記録媒体上に供給され、樹脂層および粉体に応じた加飾効果を奏する。粉体は粉体粒子が集合したものである。粉体粒子の例には、金属粒子、樹脂粒子、熱応答性材料を含む粒子、磁性粒子、非磁性粒子などが含まれる。
粉体は、たとえば、メタリック感のある加飾効果を得たい場合、金属粒子を含むものであることが好ましい。また、粉体粒子は異なる2種以上の材料からなるものであってもよい。
粉体粒子の形状は、球形粒子であってもよいし、非球形粒子であってもよい。粉体は、合成品であってもよいし市販品であってもよい。粉体は、異なる二種以上の粉体粒子の混合品であってもよい。なお、粉体はトナーではない。
金属粒子は、金属および/または金属酸化物を含む粒子であれば特に制限されない。また、金属粒子は、被覆されていてもよい。たとえば、金属粒子は、当該金属とは異なる金属、金属酸化物または樹脂で被覆されたものでもよいし、樹脂またはガラス等の表面を金属、金属酸化物で被覆したものでもよい、また、金属粒子は金属酸化物粒子であってもよく、当該金属酸化物とは異なる金属酸化物、金属または樹脂で被覆されたものでもよい。また、金属粒子は、金属または金属酸化物を板状に延展させて粉砕したものやそれを種々の材料で被覆したもの、フィルムやガラスに金属または金属酸化物を蒸着または湿式コーティングしたものでもよい。メタリック画像を得るためには、金属粒子は金属または金属酸化物を含有することが好ましいが、金属または金属酸化物の含有量は0.2wt%から100wt%が好ましい。
上記非球形粒子は、球形粒子以外の粒子である。球形粒子は、無作為に100個の粉体粒子を選択し、その投影形状の平均円形度が0.970以上である粒子である。なお、当該平均円形度は、公知の方法によって求めることができ、あるいはカタログ値であってもよい。
非球形粒子は、扁平な粒子形状を有する扁平形粒子であることが、樹脂層の表面に沿って粉体粒子を配向させる観点から好ましい。非球形粒子の「扁平な粒子形状」とは、非球形粒子における最大長さを長径、当該長径に直交する方向における最大長さを短径、長径および短径の両方に直交する方向の最少長さを厚み、とするときに、厚みに対する短径の比率(短径/厚み)が5以上である形状であることを意味する。
粉体粒子の長径、短径、および厚みは走査型電子顕微鏡を用いて以下のように測定する。カーボンテープに対して接触面積が大きくなるように粉体粒子を接着させて測定試料とする。カーボンテープの表面に対して真上から走査型電子顕微鏡で粉体粒子を観察することで長径および短径を測定する。一方、厚みは、カーボンテープの表面に対して真横から走査型電子顕微鏡で粉体粒子を観察することで測定する。
上記扁平な粒子形状は、粉体粒子を記録媒体の表面に対して配向させるという観点から、長径が10μm以上100μm以下であることが好ましく、短径が10μm以上100μm以下であることが好ましい。
上記扁平な粒子形状は、厚みが0.2μm以上3.0μm以下の粒子であることが好ましく、1.0μm以上2.0μm以下であることがより好ましい。扁平な粒子形状の厚みが0.2μm以上であると、樹脂層の表面に沿って配向した粉体が所望の外観を呈しやすくなる。上記扁平な粒子形状の厚みが3.0μm以下であると、画像をこすったときに粉体がはがれにくくなる。
上記非球形粒子の例には、サンシャインベビー クロムパウダー、オーロラパウダー、パールパウダー(いずれも株式会社GGコーポレーション製)、ICEGEL ミラーメタルパウダー(株式会社TAT製)、ピカエース MCシャインダスト 、エフェクトC(株式会社クラチ製、「ピカエース」は同社の登録商標)、PREGEL マジックパウダー、ミラーシリーズ(有限会社プリアンファ製、「PREGEL」は同社の登録商標)、Bonnailシャインパウダー(株式会社ケイズプランイング製、「BON NAIL」は同社の登録商標)、メタシャイン(日本板硝子株式会社製、同社の登録商標)、エルジーneo(尾池工業株式会社製、同社の登録商標)、アストロフレーク(日本防湿工業株式会社製、岡崎一の登録商標)、アルミニウム顔料(東洋アルミニウム株式会社製)が含まれる。
また、球形の粉体の例には、高精度ユニビーズ(ユニチカ製)、ファインスフィア(日本電気硝子製、「ファインスフィア」は同社の登録商標)等が含まれる。
上記熱応答性材料は、熱による刺激をきっかけに膨張、収縮、変形などの形状の変化、顕色、消色、変色などの色の変化を起こす材料である。熱応答性材料を含む粒子の例には、熱膨張性マイクロカプセル、感温カプセルなどが含まれる。熱膨張性マイクロカプセルの例には、マツモトマイクロスフェアー(松本油脂製薬株式会社製)、クレハマイクロスフェアー(株式会社クレハ製)などが、感温カプセルの例には、感温染料カプセル(株式会社日本カプセルプロダクツ製)などが含まれる。
[樹脂層を軟化させる工程]
本発明の一実施形態は樹脂層を軟化させる工程を含んでもよい。樹脂層は軟化されると接着能を有し、粉体を接着することができるようになる。樹脂層を軟化させる工程は、粉体を供給する工程の前に行われてもよいし、同時に行われてもよいし、後に行われてもよい。軟化は樹脂層の加熱によって行われてもよいし、樹脂層への軟化剤の付与によって行われてもよい。
上記加熱は、樹脂層を軟化させることができれば特に制限されない。加熱は、記録媒体の温度が当該記録媒体に変形が生じる温度より低くなるように、または粉体の温度が当該粉体に劣化、変色もしくは変形が生じる温度よりも低い温度となるように行う。樹脂層にトナーを用いた場合、加熱は80℃から170℃程度で行うことが好ましい。加熱は、粉体が供給された後に行われてもよいし、粉体が供給される前に行われてもよいし、粉体の供給と同時に行われてもよい。加熱は、たとえば、ホットプレートを用いて、記録媒体の裏面から加熱することにより行われる。
上記軟化剤は、樹脂層を軟化させることができれば特に制限されない。軟化剤の例には、有機溶剤、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、またはそれらを含む溶液などが含まれ、具体的には、アジピン酸イソブチル、テトラヒドロフラン、またはそれらを含む溶液などが含まれる。軟化剤を樹脂層の表面に付与すると、樹脂層を構成する樹脂が部分的に溶解するか、または、樹脂が膨潤することにより、樹脂層が軟化すると考えられる。
上記軟化剤の付与は、軟化剤を樹脂層の表面に付与できれば特に制限されない。軟化剤を付与する方法の例には、スプレー塗布、インクジェット方式、ディスペンサーによる塗布などが含まれる。軟化剤は、粉体を供給する前に付与されてもよいし、粉体を供給した後に付与されてもよいし,粉体の供給と同時に付与されてもよい。上記軟化剤の付与量は、特に制限されず、樹脂層、粉体、所望の加飾効果等に応じて任意に調整されればよく、樹脂層を十分に軟化させる程度でも、樹脂層が接着能を持ちはじめる程度でもよい。
軟化剤は所定の膜厚になるように調整されて供給されてもよい。供給された軟化剤の膜厚は、たとえば、0.1μm〜10μmが好ましく、0.5μm〜5μmがさらに好ましく、1μm〜3μmがさらに好ましい。
[粉体を供給する工程]
粉体を供給する工程は、記録媒体上に粉体を供給することができれば特に制限されない。粉体を供給する工程は、記録媒体上に樹脂層を形成する前に行われても、後に行われてもよい。
粉体を供給する工程は、公知の粉体供給手段を用いることができ、たとえば、特許文献3に記載されている粉末供給手段を用いることができる。
[粉体を配向する工程]
本発明の一実施形態は、樹脂層の表面に供給された粉体を配向する工程を含んでもよい。配向は、粉体の向きを少なくともある程度、樹脂層の表面に対して揃えることができれば、当該工程は特に制限されない。配向は、たとえば、摺擦すること、粉体を供給した樹脂層の表面に送風することによって行うことができる。また、粉体が磁性粒子を含むものであれば、記録媒体の裏から磁力を使って粉体を引き寄せることによって行うことができる。
上記摺擦は、粉体が供給された樹脂層の表面に接触した摺擦部材を当該表面に対して相対的に移動させることを意味する。摺擦には押圧が伴うことが、樹脂層の表面に粉体を配向させる観点、および、樹脂層に対する粉体の接着を強める観点から好ましい。「押圧」とは、樹脂層の表面に対して交差する方向(たとえば垂直方向)に樹脂層の表面を押すことを意味する。なお、押圧は樹脂層が弾性回復する範囲内の力で行われるため、樹脂層の表面の状態は摺擦前後で保たれる。
上記摺擦は、摺擦の速度が遅すぎると樹脂層の表面に沿う粉体の配向が不十分となり、速すぎると粉体の付着が不十分となることがあり、樹脂層の表面に沿う粉体の配向が不十分となり、最終画像における所期の外観の明瞭さが低下することがある。樹脂層の表面における粉体の付着と配向とを十分に行う観点から、樹脂層の表面に対する摺擦部材の相対的な速度差は、5mm/秒〜500mm/秒であることが好ましく、70mm/秒〜130mm/秒であることがより好ましい。
上記摺擦は、樹脂層の表面に対する摺擦部材の接触幅が、狭すぎると摺擦部材が樹脂層の表面に沿って移動する際に粉体の向きのばらつきが生じやすく、樹脂層に付着する粉体の配向が不十分になることがあり、接触幅が広すぎると、記録媒体の搬送が難しくなる。樹脂層の表面に付着する粉体の所期の配向性および記録媒体の搬送性を十分に実現する観点から、接触幅は、樹脂層に対する摺擦部材の移動方向の長さで、1mm〜200mmであることが好ましい。
上記摺擦は、押圧力が低すぎると、粉体の付着強度が弱くなることがあり、高すぎると、樹脂層自体が乱れることがあり、また、樹脂製画像を搬送する際のトルクが高くなることがある。樹脂製画像の搬送の円滑な実現かつ省力化の観点、樹脂層に形成されている画像の保持の観点、および、粉体の付着強度を高める観点から、押圧力は、樹脂層の表面に対して1〜30kPaであるが好ましく、7〜13kPaであることがより好ましい。
上記摺擦部材は、樹脂層の表面を押圧しながら樹脂層に対して相対的に異なる方向へ移動自在に構成されていればよい。
上記摺擦部材は、回転部材であってもよいし、往復運動する部材または固定されている部材のような非回転部材であってもよい。摺擦部材は、略水平な表面を有する樹脂層の表面に接して水平方向に、当該表面に対して相対的に移動可能な部材であってもよいし、略水平な表面を有する樹脂層の表面に接して、当該表面に対して垂直な方向を回転軸として相対的に回転する部材であってもよいし、上記樹脂層の表面に接する回転自在なローラであってもよい。
上記摺擦部材は、樹脂層を押圧しながらその表面が樹脂層の表面に対して相対的に移動自在に構成される。摺擦部材による摺擦は、たとえば、樹脂層が形成された記録媒体が搬送されているときに、固定された摺擦部材で摺擦することによって、あるいは、搬送されているときに、搬送速度よりも遅い速度で回転するローラで摺擦することによって、あるいは、搬送されているときに搬送方向とは逆の方向に回転するローラで摺擦することによって、あるいは、搬送方向に対してその回転軸が斜めとなる向きに配置された回転自在なローラで摺擦することによって、あるいは、樹脂層が形成された記録媒体の表面上を往復運動する部材で摺擦することによって、あるいは、樹脂層が形成された記録媒体の表面に垂直な方向を回転軸として回転する部材で摺擦することによって行うことが可能である。
上記摺擦部材は、柔軟性を有することが好ましい。摺擦部材の柔軟性は、たとえば、押圧時に、樹脂層の表面の形状に追従可能な程度に摺擦部材の表面が変形する程度の柔らかさ(変形追従性)である。このような柔軟性を有する摺擦部材の例には、スポンジおよびブラシが含まれる。
[粉体を回収する工程]
本発明の一実施形態は粉体を回収する工程を含んでもよい。本工程では、樹脂層に付着しなかった粉体を回収する。回収は、たとえば、余剰の粉体を吸引する集粉器を用いて行われる。集粉器は、記録媒体の搬送路から適当な高さの位置で吸引口が開口するように配置されており、たとえば、粉体を吸引するが記録媒体を吸引しない適度な出力で運転するように構成されている。
[画像形成装置]
本発明の別の実施形態に係る画像形成装置について図2を用いて説明する。画像形成装置1は、図2に示されるように、樹脂製画像形成部60と表面処理部70とを有する。樹脂製画像形成部60は、記録媒体とその上に配置されている樹脂層とを含む樹脂製画像を作製する部分である。表面処理部70は、樹脂製画像形成部60で形成された樹脂製画像の表面を処理して加飾する部分である。
樹脂製画像形成部60は、公知のカラープリンタと同様の構成を有している。樹脂製画像形成部60は、画像読取部、画像形成部、用紙搬送部、給紙部、データ受付部、制御部および定着部27を有する。
画像読取部は、光源11、光学系12、撮像素子13、および画像処理部14を有する。
画像形成部は、イエロー(Y)トナーからなる画像を形成する画像形成部、マゼンタ(M)トナーからなる画像を形成する画像形成部、シアン(C)トナーからなる画像を形成する画像形成部、ブラック(K)トナーからなる画像を形成する画像形成部、および、中間転写ベルト26を有する。なお、Y、M、CおよびKは、トナーの色を表している。
画像形成部は、回転体としての感光体ドラム21、ならびにその周囲に配置された帯電部22、光書込部23、現像装置24およびドラムクリーナー25を有している。中間転写ベルト26は、複数のローラにより巻回され、走行可能に支持されている。
用紙搬送部は、送り出しローラ31、さばきローラ32、搬送ローラ33、ループローラ34、レジストローラ35、排紙ローラ36および用紙反転部37を備える。給紙部は、記録媒体Sを収容している複数の給紙トレイ41、42、43を有する。
制御部は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)を有する。CPUは、ROMに記憶されたプログラムにしたがって、画像読取部、画像形成部、用紙搬送部、給紙部、および表面処理部70を制御し、演算結果などをRAMに記憶する。また、制御部は、外部から受信された印刷データを解析して、ビットマップ形式の画像データを生成し、画像データに基づく画像を記録媒体S上に形成する制御を行う。上記プログラムには、表面処理部70における軟化剤供給量を調整するためのプログラム、および、摺擦条件を設定するためのプログラムが含まれている。
また、制御部は、不図示の通信部を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で、各種データの送受信を行う。制御部は、例えば、外部の装置から送信された画像データ、または、データ受付部が受け付けた、形成すべき加飾画像に関する入力されたデータを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいて記録媒体Sに画像を形成させる。通信部は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
樹脂製画像形成部60によって形成された樹脂製画像は、表面処理部70に搬送され加飾される。
図3に示されるように、表面処理部70は、軟化剤供給手段として軟化剤供給部97、粉体供給手段として粉体供給部98、摺擦ローラ74、ヒータ75、および粉体回収部99を有する。
ヒータ75は、例えば、軟化剤供給部97の前の位置、軟化剤供給部97に対向する位置、粉体供給部98に対向する位置、摺擦ローラ74に対向する位置、摺擦ローラ74の後の位置などに設けられる。ヒータ75は、例えばホットプレートである。ヒータ75は、加熱により、樹脂層を軟化させたり、プロセス速度を上げたり、樹脂製画像の表面に供給された熱応答性材料を加熱するなどの種々の目的のために、記録媒体、粉体の耐熱性に配慮した範囲で用いられることがある。
軟化剤供給部97は、記録媒体Sと、その上に配置されている樹脂層100とを含む樹脂製画像110の表面に軟化剤90を供給する。軟化剤供給部は軟化剤を供給することができれば特に制限されない。軟化剤供給部の例には、スプレー、インクジェット、ディスペンサーなどが含まれる。
粉体供給部98は、樹脂製画像110に粉体を供給する。粉体供給手段は、公知の手段を用いることができ、例えば特許文献3に記載されている粉末供給手段を用いることができる。
粉体供給部98は、粉体粒子200を収容するための容器98aと、容器98aの開口部まで粉体粒子200を搬送するための搬送スクリュー98bと、粉体粒子200を容器98aから取り出すためのブラシローラ98cと、ブラシローラ98cに保持される粉体粒子200を弾き飛ばすためのフリッカー98dとを有する。粉体粒子200は、例えば前述した扁平な粒子形状を有する非球形粉体である。
容器98aの開口部は、ブラシローラ98cに保持される粉体粒子200の量を規制するために、ブラシローラ98cのブラシの先端に接触する大きさに形成されている。フリッカー98dは、板状の部材であり、ブラシローラ98cと接触する位置に配置されている。ブラシローラ98cへのフリッカー98dの食い込み量は、例えば粉体粒子200の供給量やブラシの偏摩耗などを考慮して決めることができ、ブラシローラ98cのブラシ毛長やブラシ密度は、例えば粉体粒子200の供給量やそのボタ落ちなどを考慮して決めることができる。
フリッカー98dは、ブラシローラ98cと接触する位置に固定されていてもよいが、ブラシローラ98cの停止時にフリッカー98dがブラシローラ98cから離間するように、フリッカー98dが移動可能に構成されていてもよい。
摺擦部材である摺擦ローラ74は、記録媒体Sの搬送方向と垂直な方向であり、かつ紙面に対して垂直な方向に回転軸を有し、図中の矢印の方向へ回転自在に構成されており、付勢部材(不図示)により付勢されるように構成されている。摺擦ローラ74は、例えば、円筒状の芯金と、その外周面上に配置されている樹脂製のスポンジなどの弾性層とを有している。摺擦ローラ74の軸方向の長さは、記録媒体Sの幅よりも長い。
なお、摺擦部材は図3においては摺擦ローラ74として示されているが、摺擦部材は摺擦ができれば特に制限されず、往復運動する部材であってもよいし、樹脂製画像の表面に対して垂直な方向を回転軸として回転する部材であってもよいし、固定されている部材であってもよい。
粉体回収部99は、例えば、粉体供給部98から供給された粉体粒子200のうちの余剰の粉体粒子200を吸引するための集粉器である。集粉器は、記録媒体Sの搬送路から適当な高さの位置で吸引口が開口するように配置されており、例えば、粉体粒子200を吸引するが記録媒体Sを吸引しない適度な出力で運転するように構成されている。
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示が用いられるが、特に断りが無い限りこれらは「質量部」又は「質量%」をそれぞれ表す。
樹脂製画像は、AccurioPressC2060(コニカミノルタ株式会社製、「AccurioPress」は同社の登録商標)を改造したものに現像剤を装填し、記録媒体にトナー画像を形成することで作製した。当該現像剤の作製に用いられるトナー母体粒子を以下のように作製した。
[トナー母体粒子(1)の製造]
トナー母体粒子の製造に用いられる、ビニル系樹脂分散液(SA1)〜(SA6)、ポリエステル樹脂分散液(AP1)、(AP2)、結晶性ポリエステル樹脂分散液(CP1)、着色剤微粒子の水系分散液(Bk)、離型剤粒子分散液(W1)を以下のように調整した。
(ビニル系樹脂分散液(SA1)の調整)
〈第1段重合〉
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器にポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム4質量部をイオン交換水3040質量部に溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
上記界面活性剤水溶液中に、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、温度を75℃に昇温させた後、下記化合物よりなる単量体混合液を1時間かけて反応容器中に滴下した。
・スチレン 354.8質量部
・n−ブチルアクリレート 250.0質量部
・メタクリル酸 68.0質量部
・n−オクチルメルカプタン 16.4質量部
上記単量体混合液を滴下後、この系を75℃にて2時間にわたり加熱、撹拌することにより重合(第1段重合)を行い、樹脂粒子〔A11〕を作製した。
〈第2段重合〉
撹拌装置を取り付けたフラスコ内に下記化合物よりなる単量体混合液を投入し、離型剤としてパラフィンワックス「HNP−57」(日本精蝋社製)93.8質量部を添加し、90℃に加温して溶解させた。
・スチレン 272.2質量部
・n−ブチルアクリレート 41.0質量部
・2−エチルヘキシルアクリレート 41.0質量部
・メタクリル酸 29.8質量部
・n−オクチルメルカプタン 5.5質量部
一方、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム3質量部をイオン交換水1560質量部に溶解させた界面活性剤水溶液を調製し、98℃に加熱した。この界面活性剤水溶液中に樹脂粒子〔A11〕を32.8質量部(固形分換算)添加し、さらに、上記パラフィンワックスを含有する単量体混合液を添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エムテクニック社製)で8時間混合分散した。
次いで、この乳化粒子分散液に過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、この系を98℃にて12時間にわたり加熱撹拌を行うことで重合(第2段重合)を行って樹脂粒子〔A12〕を作製した。
〈第3段重合〉
樹脂粒子〔A12〕に、過硫酸カリウム5.45質量部をイオン交換水220質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下で、下記化合物よりなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。
・スチレン 397.4質量部
・n−ブチルアクリレート 128.9質量部
・メタクリル酸 46.8質量部
・n−オクチルメルカプタン 8.0質量部
滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却し、ビニル系樹脂分散液(SA1)を調製した。当該分散液中のビニル系樹脂粒子は、体積基準のメジアン径が250nmであった。なお、体積基準のメジアン径は、「MICROTRACUPA−150」(日機装社製)により測定した。
[ビニル系樹脂分散液(SA2)の調製]
ビニル系樹脂分散液(SA1)の調製における、第2段重合、第3段重合で使用された単量体混合液を以下のものに変更した以外は同様にして、ビニル系樹脂分散液(SA2)を調整した。当該分散液中のビニル系樹脂粒子は、体積基準のメジアン径が265nmであった。
〈第2段重合〉
・スチレン 194.4質量部
・n−ブチルアクリレート 54.6質量部
・2−エチルヘキシルアクリレート 54.6質量部
・メタクリル酸 39.7質量部
・n−オクチルメルカプタン 5.5質量部
〈第3段重合〉
・スチレン 283.8質量部
・n−ブチルアクリレート 171.8質量部
・メタクリル酸 62.4質量部
・n−オクチルメルカプタン 8.0質量部
[ビニル系樹脂分散液(SA3)の調製]
ビニル系樹脂分散液(SA1)の調製における、第2段重合、第3段重合で使用された単量体混合液を以下のものに変更した以外は同様にして、ビニル系樹脂分散液(SA3)を調整した。当該分散液中のビニル系樹脂粒子は、体積基準のメジアン径が240nmであった。
〈第2段重合〉
・スチレン 413.1質量部
・n−ブチルアクリレート 23.7質量部
・2−エチルヘキシルアクリレート 23.7質量部
・メタクリル酸 17.2質量部
・n−オクチルメルカプタン 5.5質量部
〈第3段重合〉
・スチレン 603.2質量部
・n−ブチルアクリレート 74.5質量部
・メタクリル酸 27.0質量部
・n−オクチルメルカプタン 8.0質量部
[ビニル系樹脂分散液(SA4)の調製]
ビニル系樹脂分散液(SA1)の調製における、第2段重合、第3段重合で使用された単量体混合液を以下のものに変更した以外は同様にして、ビニル系樹脂分散液(SA4)を調整した。当該分散液中のビニル系樹脂粒子は、体積基準のメジアン径が245nmであった。
〈第2段重合〉
・スチレン 145.8質量部
・n−ブチルアクリレート 63.7質量部
・2−エチルヘキシルアクリレート 63.7質量部
・メタクリル酸 46.3質量部
・n−オクチルメルカプタン 5.5質量部
〈第3段重合〉
・スチレン 212.9質量部
・n−ブチルアクリレート 200.5質量部
・メタクリル酸 72.8質量部
・n−オクチルメルカプタン 8.0質量部
[ビニル系樹脂分散液(SA5)の調製]
ビニル系樹脂分散液(SA1)の調製における、第2段重合、第3段重合で使用された単量体混合液を以下のものに変更した以外は同様にして、ビニル系樹脂分散液(SA5)を調整した。当該分散液中のビニル系樹脂粒子は、体積基準のメジアン径が255nmであった。
〈第2段重合〉
・スチレン 534.6質量部
・n−ブチルアクリレート 18.2質量部
・2−エチルヘキシルアクリレート 18.2質量部
・メタクリル酸 13.2質量部
・n−オクチルメルカプタン 5.5質量部
〈第3段重合〉
・スチレン 780.6質量部
・n−ブチルアクリレート 57.3質量部
・メタクリル酸 20.8質量部
・n−オクチルメルカプタン 8.0質量部
[ビニル系樹脂分散液(SA6)の調製]
〈第1段重合〉
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器にポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム4質量部をイオン交換水3040質量部に溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
上記界面活性剤水溶液中に、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、温度を75℃に昇温させた後、下記化合物よりなる単量体混合液を1時間かけて反応容器中に滴下した。
・メタクリル酸メチル 354.8質量部
・n−ブチルアクリレート 250.0質量部
・メタクリル酸 68.0質量部
・n−オクチルメルカプタン 16.4質量部
上記単量体混合液を滴下後、この系を75℃にて2時間にわたり加熱、撹拌することにより重合(第1段重合)を行い、樹脂粒子〔A61〕を作製した。
〈第2段重合〉
撹拌装置を取り付けたフラスコ内に下記化合物よりなる単量体混合液を投入し、離型剤としてパラフィンワックス「HNP−57」(日本精蝋社製)93.8質量部を添加し、90℃に加温して溶解させた。
・メタクリル酸メチル 272.2質量部
・n−ブチルアクリレート 41.0質量部
・2−エチルヘキシルアクリレート 41.0質量部
・メタクリル酸 29.8質量部
・n−オクチルメルカプタン 5.5質量部
一方、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム3質量部をイオン交換水1560質量部に溶解させた界面活性剤水溶液を調製し、98℃に加熱した。この界面活性剤水溶液中に樹脂粒子〔A61〕を32.8質量部(固形分換算)添加し、さらに、上記パラフィンワックスを含有する単量体混合液を添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エムテクニック社製)で8時間混合分散した。
次いで、この乳化粒子分散液に過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、この系を98℃にて12時間にわたり加熱撹拌を行うことで重合(第2段重合)を行って樹脂粒子〔A62〕を作製した。
〈第3段重合〉
樹脂粒子〔A62〕に、過硫酸カリウム5.45質量部をイオン交換水220質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下で、下記化合物よりなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。
・メタクリル酸メチル 397.4質量部
・n−ブチルアクリレート 128.9質量部
・メタクリル酸 46.8質量部
・n−オクチルメルカプタン 8.0質量部
滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却し、非晶性樹脂分散液(SA6)を調製した。当該分散液中のビニル系樹脂粒子は、体積基準のメジアン径が250nmであった。
[ポリエステル樹脂分散液(AP1)の調製]
(ポリエステル樹脂(1)の合成)
下記化合物を窒素導入管、脱水管、撹拌拌器および熱電対を備えた四つ口フラスコに入れ、170℃に加熱して溶解させた。
・フマル酸 47.4質量部
・テレフタル酸 66.9質量部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 228.6質量部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 57.1質量部
撹拌下で、Ti(OBu)を0.4質量部投入した。窒素ガス気流下、235℃で6時間反応させた後、200℃まで冷却し、減圧下(20kPa)にてさらに5時間反応を行った後、脱溶剤を行い、ポリエステル樹脂(1)を得た。
(ポリエステル樹脂分散液(AP1)の調製)
得られたポリエステル樹脂(1)100質量部を、400質量部の酢酸エチル(関東化学社製)に溶解し、あらかじめ調製しておいた0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合した。混合液を撹拌しながら、超音波ホモジナイザーUS−150T(日本精機製作所製)によりV−LEVEL 400μAで30分間の超音波分散処理を行った。その後、40℃に加温した状態で、ダイヤフラム真空ポンプV−700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で3時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、固形分量が13.5質量%のポリエステル樹脂分散液を調製した。
[ポリエステル樹脂分散液(AP2)の調製]
(ポリエステル樹脂(2)の合成)
・フマル酸 12質量部
・テレフタル酸 112質量部
・トリメリット酸 6質量部
・アジピン酸 60質量部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 290質量部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物 55質量部
を、撹拌機、温度計、冷却管、窒素ガス導入管を備えた反応容器に入れ、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、Ti(OBu)4を0.1質量部添加し、窒素ガス気流下において180℃で撹拌しながら9時間重合反応を行った。更にTi(OBu)を0.2質量部添加し、温度を220℃に上げて撹拌しながら6時間重合反応を行った後、反応容器内を1333.2Paまで減圧し、減圧下で反応を行うことにより、ポリエステル樹脂(2)を得た。
(ポリエステル樹脂分散液(AP2)の調製)
得られたポリエステル樹脂(2)200質量部を、200質量部の酢酸エチル(関東化学社製)に溶解し、イオン交換水800質量部にポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムを濃度が1.3質量%になるよう溶解させた水溶液と混合し、超音波ホモジナイザーUS−150T(日本精機製作所製)によりV−LEVEL 400μAで30分間の超音波分散処理を行った。この溶液を減圧下、酢酸エチルを除去した後、固形分量が20質量%のポリエステル樹脂分散液(AP2)を調整した。
[結晶性ポリエステル樹脂分散液(CP1)の調製]
(結晶性ポリエステル樹脂(1)の合成)
下記の結晶性ポリエステル樹脂の単量体を、窒素導入管、脱水管、撹拌器および熱電対を備えた四つ口フラスコに入れ、170℃に加熱し溶解させた。
・ドデンカン二酸 440.0質量部
・1,6−ヘキサンジオール 173.0質量部
次いで、エステル化触媒としてTi(OBu)を0.8質量部投入し、235℃まで昇温して、常圧下(101.3kPa)にて5時間、さらに減圧下(8kPa)にて1時間、反応を行った。
次いで200℃まで冷却し、減圧下(20kPa)にて反応を行った後、結晶性ポリエステル樹脂(1)を得た。
(結晶性ポリエステル樹脂分散液(CP1)の調製)
結晶性ポリエステル樹脂(1)100質量部を、400質量部の酢酸エチル(関東化学株式会社製)に溶解し、あらかじめ調製しておいた0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合した。混合液を撹拌しながら、超音波ホモジナイザーUS−150T(株式会社日本精機製作所製)によりV−LEVELを300μAで30分間の超音波分散処理を行った。その後、40℃に加温した状態で、ダイヤフラム真空ポンプV−700(BUCHI社製)を使用し、減圧下で3時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、結晶性ポリエステル樹脂分散液(CP1)を調製した。
[着色剤微粒子の水系分散液(Bk)の調製]
ドデシル硫酸ナトリウムを90.0質量部のイオン交換水1600.0質量部に添加した。この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「リーガル330R」(キャボット社製)420.0質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子の水系分散液(Bk)を調製した。得られた着色剤微粒子の水系分散液〔Bk〕について、着色剤微粒子の平均粒径(体積基準のメジアン粒径)は115nmであった。
なお、着色剤微粒子の水系分散液(Bk)の体積基準のメジアン径は、「MICROTRAC UPA−150」(日機装社製)を用いて測定した。
[離型剤粒子分散液(W1)の調製]
・ベヘン酸ベヘネート(離型剤、融点73℃) 45質量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製ネオゲンRK) 5質量部
・イオン交換水 200質量部
上記の材料を混合し80℃に加熱して、IKA社製のウルトラタラックスT50にて十分に分散した。その後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理した後、分散液にイオン交換水を加えて固形分量を15%に調整して離型剤粒子の分散液(W1)を調製した。この分散液中の離型剤粒子の体積基準のメジアン径をレーザー回折式粒度分布測定器LA−750(HORIBA製)にて測定したところ、210nmであった。
[トナー母体粒子の作製]
(トナー母体粒子(1)の作製)
撹拌装置、温度センサーおよび冷却管を取り付けた反応容器に、ビニル系樹脂分散液(SA1)189.6質量部(固形分換算)、離型剤分散液(W1)35.0質量部(固形分換算)、およびイオン交換水2000質量部を投入した。室温下(25℃)で、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。
さらに、着色剤微粒子の水系分散液(Bk)50.0質量部(固形分換算)を投入し、塩化マグネシウム60.0質量部をイオン交換水60質量部に溶解させた水溶液を、撹拌下、30℃において10分間かけて添加した。3分間放置した後、この系を60分かけて80℃まで昇温し、80℃に到達すると、粒子径の成長速度が0.01μm/分となるように撹拌速度を調整して、「コールターマルチサイザー3」(コールター・ベックマン社製)により測定した体積基準のメジアン径が6.0μmになるまで成長させた。
さらに、ポリエステル樹脂分散液(AP1)80.0質量部(固形分換算)を投入し、液の上澄みが透明になった時点で、塩化ナトリウム190質量部をイオン交換水760質量部に溶解させた水溶液を添加して、粒子径の成長を停止させた。さらに昇温して80℃の状態で撹拌して粒子の融着を進行させ、「FPIA−3000」(Sysmex社製)により測定したトナー粒子の平均円形度が0.970になった時点で、1℃/minの冷却速度で30℃まで冷却した。
次いで、固液分離し、脱水したトナーケーキをイオン交換水に再分散し固液分離する操作を3回繰り返して洗浄したのち、40℃で24時間乾燥させることにより、トナー母体粒子(1)を製造した。
[トナー母体粒子(2)〜(11)、(14)、(15)、(18)の作製]
トナー母体粒子(1)の作製において、ビニル系樹脂分散液の種類、ビニル系樹脂分散液(SA)量、ポリエステル樹脂分散液(AP)量を表1に示したようにした以外は、(トナー母体粒子(1)の作製)と同様にすることでトナー母体粒子(2)〜(11)、(14)、(15)、(18)を製造した。
[トナー母体粒子(12)、(13)、(16)、(17)の作製]
トナー母体粒子(1)の作製において、ビニル系樹脂分散液の種類、ビニル系樹脂分散液(SA)量、ポリエステル樹脂分散液(AP)量を表1に示したようにして、さらに、塩化マグネシウムではなく硫酸アルミニウム水溶液を使用して量を表1に示したようにした以外は、トナー母体粒子(1)の作製と同様にすることでトナー母体粒子(12)、(13)、(16)、(17)を製造した。
なお、前記硫酸アルミニウム水溶液は、硫酸アルミニウム粉末(浅田化学工業株式会社製:17%硫酸アルミニウム)35質量部と、イオン交換水1965質量部と、を2リットル容器へ投入し、30℃にて、沈殿物が消失するまで撹拌混合することで調製した。
[トナー母体粒子(19)の作製]
撹拌装置、温度センサーおよび冷却管を取り付けた反応容器に、ポリエステル樹脂分散液(AP2)90.0質量部(固形分換算)、結晶性ポリエステル樹脂分散液(CP1)10.0質量部、離型剤分散液(W1)10.0質量部(固形分換算)、着色剤微粒子の水系分散液(Bk)8.0質量部(固形分換算)およびイオン交換水295質量部を投入した。室温下(25℃)で、0.3モル/リットルの硝酸を添加してpHを3に調整した。
さらに、ホモジナイザー(IKAジャパン社製:ウルトラタラクスT50)にて5000rpmで分散しながら、硫酸アルミニウム水溶液(0.2975質量%:固形分0.18g)62.0質量部を7分間かけて添加した。なお、前記硫酸アルミニウム水溶液は、硫酸アルミニウム粉末(浅田化学工業株式会社製:17%硫酸アルミニウム)35質量部と、イオン交換水1965質量部と、を2リットル容器へ投入し、30℃にて、沈殿物が消失するまで撹拌混合することで調製した。
その後、この系が充分に攪拌されるように攪拌速度を調整して、0.2℃/分の昇温速度で40℃まで昇温し、40℃に到達すると、0.05℃/分の昇温速度で昇温し、10分ごとに「コールターマルチサイザー3」(コールター・ベックマン社製)により体積基準のメジアン径を測定した。
体積基準のメジアン径が6.0μmになったところで昇温を停止し、その後、0.5N水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを8.5に調整した。その後、5℃ごとにpHが8.5になるように同様にして調整しながら、昇温速度1℃/分でさらに昇温して85℃の状態で撹拌して粒子の融着を進行させ、「FPIA−3000」(Sysmex社製)により測定したトナー粒子の平均円形度が0.970になった時点で、10℃/分の冷却速度で60℃まで、その後、30℃まで冷却した。
次いで、固液分離し、脱水したトナーケーキをイオン交換水に再分散し固液分離する操作を3回繰り返して洗浄したのち、40℃で24時間乾燥させることにより、トナー母体粒子(19)を製造した。
[トナーの製造]
得られたトナー母体粒子(1)100質量部に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm、疎水化度=68)0.6質量部および疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm、疎水化度=63)1.0質量部を添加し、「ヘンシェルミキサー」(三井三池化工機社製)により回転翼周速35m/sec、32℃で20分間混合する外添剤処理工程後、45μmの目開きの篩を用いて粗大粒子を除去することにより、トナー(1)を作製した。トナー(1)と同様にしてトナー(2)〜(19)を製造した。
[金属含有量の測定方法]
トナー3gを加圧成型器で荷重15t、加圧時間10秒間で、加圧成型したものを測定試料とし、蛍光X線分析装置「XRF−1700」(株式会社島津製作所製)を用いて、管電圧40kV、管電流90mAの条件で分析し、金属含有量(Net強度)を測定した。測定には、2θテーブルより測定したい金属のKαピーク角度を決定して用いた。金属が存在することを示すピーク角度におけるX線強度よりバックグラウンド強度を差し引いたX線強度を、Net強度として得た。なお、Net強度は小数点第2位を四捨五入して小数点第1位まで求めた値を採用した。
Figure 2020076858
[現像剤(1)の作製]
トナー(1)に対して、シクロヘキシルメタクリレートとメチルメタクリレートの共重合樹脂(モノマー質量比=1:1)を被覆した体積平均粒子径30μmのフェライトキャリアを用い、トナー濃度が6質量%となるようにして混合することにより、現像剤(1)を作製した。
[現像剤(2〜19)の作製]
[現像剤(1)の作製]において、それぞれトナー(2〜19)とした以外は、(現像剤(1)の作製)と同様にすることで現像剤(2〜19)を作製した。
(粉体1〜4の準備)
下記粉体1〜4を用意した。粉体1〜3は金属を含有する粒子であり、粉体4はガラスビーズである。
粉体1:東洋アルミニウム株式会社「VelvetSL」
粉体2:日本板硝子株式会社「メタシャインME2025PS」
粉体3:尾池イメージング株式会社「エルジーneo」
粉体4:ユニチカ株式会社製ホウケイ酸ガラスビーズ「UBS−0010E」
「AccurioPressC2060」(コニカミノルタ株式会社製、「AccurioPress」は同社の登録商標)を改造したものを用いて、上記で作製した現像剤を順次装填して評価を行った。
高温高湿(温度30℃、湿度80%RH)の環境をHHとし、常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)の環境をNNとし、それぞれの環境下において以下のように樹脂製画像の出力と、粉体による加飾とを行った。最終的な評価は、HH環境とNN環境とで得られた結果の差から評価した。
記録媒体としてリンテック社製ニューカラーRゆきを収容し、2cm×2cmの正方形のパッチ画像を記録媒体上に形成し、記録媒体上にパッチ画像を有するトナー画像(樹脂製画像)を出力した。樹脂製画像におけるパッチ画像の部分は、黒色(ブラック)を呈していた。
85℃に加熱したホットプレートの上に樹脂製画像を、パッチ画像を上に向けて10秒間置き、パッチ画像上に粉体を散布し、樹脂製画像のパッチ画像の表面をスポンジローラーで押圧力10kPaで摺擦した。
摺擦後、樹脂製画像を室温条件下で冷却したのち、刷毛によって残余の粉体1をパッチ画像の表面から除去し、画像を得た。
実施例1〜19、比較例1、2において、現像剤、トナー、粉体の組み合わせの関係は、以下の表2および表3の通りである。
Figure 2020076858
Figure 2020076858
[評価]
(トナー定着性)
「bizhub PRESS C1070(コニカミノルタ社製)」において、加熱ローラの表面温度(定着温度)を120〜180℃の範囲で変更することができるように改造したものを用いて、上記で作製した現像剤を順次装填して評価を行った。
常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)の環境下において、A4サイズの上質紙「CFペーパー」(コニカミノルタ社製)上でトナーの付着量を8.0g/mに設定した後、100mm×100mmサイズのベタ画像を定着させる定着実験を、設定される定着温度を120℃から2℃刻みで増加させるように変更しながら180℃まで繰り返し行った。上記で得られた各定着温度におけるプリント物を目視確認し、すべてのトナーが定着器に付着せず紙に定着した最も低い温度を最低定着温度(℃)とした。最低定着温度が低いほどトナー定着性が高いことを示す。
(樹脂層の光沢)
常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)の環境下において、記録媒体としてリンテック社製ニューカラーRゆきを収容し、2cm×5cmの長方形のパッチ画像を記録媒体上に形成し、記録媒体上にパッチ画像を有するトナー画像(樹脂製画像)を出力した。得られた画像について、株式会社テツタニ製の光沢測定器「マイクロ−グロス75°」を用いて光沢を測定した。
(質感の評価)
金属を含有する粉体である粉体1〜3で加飾した実施例1〜18および比較例1については反射光の半値幅および光沢度によって質感の評価を行った。一方、ガラスビーズである粉体4で加飾した実施例19および比較例2については光沢度によって質感の評価を行った。
〈半値幅〉
変角光度計「GP−5」(株式会社村上色彩技術研究所製)を用いて測定した。入射角度20°における反射光を、受光角度−10〜50°の範囲で計測し、得られたピークの半値幅を求めた。半値幅が小さいほど、正反射がより多いミラー調、パール調の質感があり、半値幅が大きいほど、乱反射がより多いグリッター調の質感があることを意味する。
〈光沢度〉
株式会社テツタニ製の光沢測定器「マイクロ−グロス75°」を用いて測定した。光沢度が高いほどグロスな外観を呈し、光沢度が低いほどマットな外観を呈する。
(粉体定着性の評価)
画像の表面を、ブラシローラーを用い、100kPaの押圧力で30秒こすった(劣化試験)。劣化試験後の画像を、キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−6000を用いて倍率100倍で写真を撮影し、株式会社ニレコ製LUZEX−APにて二値化処理を行った。下記式に基づいて、はがれ率を算出することで定着性を評価した。
式:はがれ率=100−(劣化試験後の粉体による粉体供給領域に対する隠ぺい率/粉体供給および摺擦後の粉体による粉体供給領域に対する隠ぺい率)
評価結果を以下の表4および表5に示す。
Figure 2020076858
Figure 2020076858
表2〜表5から以下のことが明らかとなった。ビニル系樹脂を含む樹脂層を加飾した実施例1〜19においては、半値幅及びはがれ率(HH−NNの差)が低く、ビニル系樹脂を含まない比較例1、2と比べて良好であった。すなわち、ビニル系樹脂を含む樹脂層を加飾する場合、要求される質感を安定して形成することができた。
樹脂層に含まれる樹脂の全質量に対して、ビニル系樹脂の含有量が、50質量%以上95質量%以下である実施例1〜3は、その他の条件をほぼ同様にして、ビニル系樹脂の含有量を45質量%とした実施例4と比べて、半値幅及びはがれ率(HH−NNの差)が低かった。
また、上記と同様に、ビニル系樹脂の含有量が50質量%以上95質量%以下である実施例1〜3は、その他の条件をほぼ同様にして、ビニル系樹脂の含有量を97質量%とした実施例5と比べて、半値幅及びはがれ率(HH−NNの差)がより低く、最低定着温度が低かった。
ビニル系樹脂としてスチレン−アクリル樹脂を含む実施例1、6〜11は、その他の条件はほぼ同様にして、ビニル系樹脂としてアクリル樹脂を含む実施例18と比べて、半値幅及びはがれ率(HH−NNの差)が低く、最低定着温度が低かった。
スチレン−アクリル樹脂のスチレン含有量が、スチレン−アクリル樹脂の全質量に対して50質量%以上90質量%以下である実施例1、6、7は、その他の条件をほぼ同様にして、スチレン含有量を45質量%とした実施例8と比べて、半値幅及びはがれ率(HH−NNの差)がより低かった。
また、上記と同様に、スチレン−アクリル樹脂のスチレン含有量が50質量%以上90質量%以下である実施例1、6、7は、その他の条件をほぼ同様にして、スチレン含有量を91%にした実施例9と比べて、半値幅及びはがれ率(HH−NNの差)がより低く、最低定着温度が低かった。
トナー中のマグネシウムのNet強度が3.0以上6.0以下である実施例1、10、11は、その他の条件が同様であり、マグネシウムのネット強度が2.8である実施例14と比べて、半値幅(HH−NNの差)が低く、また、樹脂層の光沢が低いため良好な外観が得られた。
また、上記と同様に、トナー中のマグネシウムのネット強度が3.0以上6.0以下である実施例1、10、11は、その他の条件が同様であり、マグネシウムのネット強度が6.5である実施例15と比べて、半値幅及びはがれ率(HH−NNの差)が低く、光沢が高かった。
トナー中のアルミニウムのNet強度が0.2以上3.5以下である実施例12、13は、その他の条件が同様であり、アルミニウムのNet強度が0.1である実施例16と比べて、半値幅(HH−NNの差)が低く、また、樹脂層の光沢が低いため良好な外観が得られた。
また、上記と同様に、トナー中のアルミニウムのNet強度が0.2以上3.5以下である実施例12、13は、その他の条件が同様であり、アルミニウムのNet強度が3.8である実施例17と比べて、半値幅及びはがれ率(HH−NNの差)が低く、光沢が高かった。
本発明によれば、粉体で加飾された画像において、要求される質感を安定して形成することができる画像形成方法を提供することができる。よって、本発明によれば、画像を加飾する画像形成方法のさらなる普及が期待される。
1 画像形成装置
11 光源
12 光学系
13 撮像素子
14 画像処理部
21 感光体ドラム
22 帯電部
23 光書込部
24 現像装置
25 ドラムクリーナー
26 中間転写ベルト
27 定着部
31 送り出しローラ
32 さばきローラ
33 搬送ローラ
34 ループローラ
35 レジストローラ
36 排紙ローラ
37 用紙反転部
41〜43 給紙トレイ
60 樹脂製画像形成部
70 表面処理部
74 摺擦ローラ
75 ヒータ
90 軟化剤
97 軟化剤供給部
98 粉体供給部
98a 容器
98b 搬送スクリュー
98c ブラシローラ
98d フリッカー
99 粉体回収部
100 樹脂層
110 樹脂製画像
200 粉体粒子
S 記録媒体

Claims (13)

  1. 記録媒体上に樹脂層を形成する工程と、
    記録媒体上に粉体を供給する工程と、
    を有する、樹脂層と粉体とが接触してなる加飾画像を形成する画像形成方法であって、
    前記樹脂層がビニル系樹脂を含む、
    画像形成方法。
  2. 前記ビニル系樹脂の含有量が、前記樹脂層に含まれる樹脂の全質量に対して、50質量%以上95質量%以下である、請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記ビニル系樹脂がスチレン−アクリル樹脂を含む、請求項1または2に記載の画像形成方法。
  4. 前記スチレン−アクリル樹脂のスチレン含有量が、前記スチレン−アクリル樹脂の全質量に対して、50質量%以上90質量%以下である、請求項3に記載の画像形成方法。
  5. 前記樹脂層はトナーで形成される層であり、前記トナーは、マグネシウムおよびアルミニウムから選ばれる少なくとも1種の金属を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  6. 前記トナーがマグネシウムを含み、蛍光X線分析により測定されるトナー中のマグネシウムのNet強度が3.0以上6.0以下である、請求項5に記載の画像形成方法。
  7. 前記トナーがアルミニウムを含み、蛍光X線分析により測定されるトナー中のアルミニウムのNet強度が0.2以上3.5以下である、請求項5または6に記載の画像形成方法。
  8. 前記樹脂層を軟化させる工程をさらに有し、
    前記記録媒体上に粉体を供給する工程は、前記樹脂層の表面に前記粉体を供給する工程である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  9. 前記樹脂層の表面に供給された粉体を配向させる工程を含む、請求項8に記載の画像形成方法。
  10. 前記粉体の配向は、前記粉体が供給された樹脂層の表面の摺擦により行われる、請求項9に記載の画像形成方法。
  11. 前記粉体は扁平形粒子を含む粉体である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  12. 前記粉体は金属粒子を含む粉体である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  13. 記録媒体と、前記記録媒体上に形成された樹脂層とを含む樹脂製画像が有する前記樹脂層を軟化する工程と、前記樹脂層の表面に粉体を供給する工程と、を有する加飾画像を形成する画像形成方法において、
    前記樹脂層がビニル系樹脂を含む、
    画像形成方法。
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