従来は、物品、例えば薬剤シートが搬送機の上流に配された複数の製造ラインで製造され、製造ライン数と同数の物品が、無端帯又はチェーンコンベア(以下、ベルトコンベアという。)からなる搬送経路の側方から同時に受入れられて搬送され、ピロー包装、バンド掛け包装等の包装形態に適合した数の物品数となるように搬送機から排出されている。
ベルトコンベアにより物品を搬送させる場合には、ベルトコンベアの移動と停止が断続的に繰り返されている。複数個の物品を一単位として搬送させるには、ベルトコンベアの物品受入部に同時に受入れ、受入物品を一つずつ断続的に下流に移動させている。そして物品受入部が空の状態となってから、次の一単位の物品を同時に受入れている。このため、次の一単位の物品を受入れる時間は、物品を一つ移動させる時間に制約されることになる。
製造ライン全体の生産能力を向上させるためには、ベルトコンベアが移動し始めてから、停止し、次に移動し始めるまでの単位移動時間を短縮することが必要になる。単位移動時間のうちのベルトコンベアが停止している停止時間が、物品を受入れる受入時間となる。搬送量を増大させるためには、単位移動時間を短縮する必要があるが、ベルトコンベアの停止時間を短縮させると物品受入時間も短くなり、物品受入の際に急な加力が必要になるため、変形されやすい物品、例えばアルミ箔製のPTPシート等が変形する可能性があった。
一方、単位移動時間のうちのベルトコンベアが移動する移動時間を短縮させると、ベルトコンベアの加速又は減速が大きくなり、それに伴い振動も発生しやすくなる。そうすると、物品が変形しやすくなるだけでなく、物品がベルトコンベアから脱落しやすくなる。このため、従来のベルトコンベア搬送による場合には、搬送速度を向上させにくく、製造ライン全体の生産能力を向上させにくいという課題があった。
特許文献1には、物品保持部を断続的に巡回させるベルトコンベア方式の搬送機の技術が開示されている。特許文献1に記載の搬送機は、ピロー包装、バンド掛け包装等の下流の製造工程に適合した数の物品数を搬送できるように、搬送物品数が、1個又は所定の複数個のいずれかに切換え可能とされたPTPシート搬送機とされている。
具体的には、受入数が1個の場合には、1個を受入れる長さを断続的に移動させ、受入数が所定の複数個の場合には、複数個を受入れる長さを一単位として、断続的に移動させるようにしている。これにより、物品の受入時間を短縮させずに、物品の搬送量を増大させることができ、製造ライン全体の生産能力を低下させることのない、多様な包装形態に対応できるPTPシート搬送機を提供するとされている。
この技術によれば、受入物品を1個単位又は複数個単位で物品排出部まで搬送することはできる。しかし、下流の包装形態に適合するように、物品排出部においては、受入間隔とは異なる排出間隔で、物品が一つずつ順にベルトコンベアから排出されている。そのため、物品排出部における排出時間を短縮することができず、搬送速度の向上が制約されるという課題があった。
また、受入時間を短縮させないで、所定の複数個の物品を同時に受入れたとしても、断続的に移動が繰り返されている。そうすると、一単位の受入物品数が少ない場合には、加減速の繰り返し数が多くなり、振動が発生しやすくなり、変形しやすい物品にこの技術を適用することは困難であった。また、受入物品のいずれにも欠品がないように、予め欠品を補充しておかないと、所定の複数個の物品が搬送できないという課題もあった。
また、特許文献2には、電磁相互作用により移動される可動子に備えられた羽根により物品を前後から挟んで、前後の羽根の間隔を縮めて、物品を圧縮しながら搬送させ、物品を搬送中に脱落させにくい搬送機の技術が開示されている。しかし、物品を一つずつ受入れることしかできないため、上流において複数のラインで製造された複数の物品を同時に受入れる搬送機には適用できない技術であった。
特許文献3には、不規則な搬送間隔で搬送されてくる物品を、包装機に確実に供給させるとする搬送機の技術が開示されている。この搬送機は、搬送終端までに複数の物品を貯留させる物品貯留部を備え、電磁相互作用により循環走行される走行体により、下流の包装機の包装能力に応じた搬送間隔で、物品貯留部から物品を順次搬送させる搬送機とされている。しかし、特許文献3に記載の技術も、物品を一つずつ受入れることしかできず、上流において複数のラインで製造された複数の物品を同時に受入れる搬送機には適用できない技術であった
特許文献4には、列をなした複数の物品を物品受入部に受入れ、受入物品の列に欠落があっても、物品が欠落した包装物が、下流の包装装置によって生産されない包装システムの技術が開示されている。この技術は、ベルトコンベアの第1搬送部と、リニア搬送部の第2搬送部とを含んだ包装システムとされ、2つの搬送部により一単位の受入物品を、搬送経路の方向に排出させているにすぎず、第2搬送部においては、一つずつ物品を受入れ、一つずつ排出させているため、製造ライン全体の生産能力を向上させることができないという課題があった。
本発明が解決しようとする課題は、物品を受入れる間隔と、物品を排出させる間隔とが異なっている場合でも、複数の製造ラインで製造された複数の物品を同時に搬送経路に受入れ、任意数の物品を同時に排出させることができる搬送機を提供することを課題とした。また、変形されやすい物品にも適用でき、不良物品の発生を抑制することができると共に、物品の受入れ又は物品の排出のいずれかに支障がある場合にも適用できる搬送機を提供することを課題とした。
本発明の第1の発明は、搬送経路が環状とされ、物品を搬送させる複数の可動子を備え、前記搬送経路に沿って物品受入部と物品排出部が配設され、前記物品受入部において、前記搬送経路に沿って並んだ複数の物品を、同時に受入れ、前記物品排出部において、物品を排出させる搬送機であって、前記可動子は、電磁相互作用により駆動され、移動速度を加減速させるに適し、物品に接して物品を搬送させる搬送片を有し、前記可動子が、前記複数の物品を受入れる直前に、順に、前記物品受入部に移動し待機され、物品を受入れると共に、前記搬送片が受入れた物品に接した状態で、前記物品受入部から同時に移動され、次の物品受入を可能とさせ、前記物品排出部において、下流に移動された前記可動子から排出されるように、所定数の物品が搬送されることを特徴としている。
第1の発明によれば、物品を搬送させる可動子は、電磁相互作用により駆動され、加速又は減速が容易とされている。このため、搬送経路の上流に待機させておいた可動子を、物品が受入れられる直前に、順に物品受入部に移動させて受入待機させることができる。予め欠品を検知している場合には、欠品位置には停止させないで、欠品とならない位置だけに、可動子を停止させるようにすればよい。また、弧状の搬送路の部分は、直線状の搬送路の部分と移動速度を変えることが容易である。
可動子を物品受入部に停止させ物品を受入れさせ、搬送片が受入れた物品に接した状態で、物品受入部から可動子を同時に移動させて、次の物品受入が可能なように、物品受入部を空とさせる。搬送経路の下流に移動された物品のうち、所定数の物品が物品排出部で排出されるように、下流側から順に物品排出部まで搬送される。
ここで物品排出部において排出される所定数とは、予め設定されていればよく、複数に限定されず、単数でもよく、受入物品数よりも多くてもよい。単数の場合には、順に一つずつ下流に移動させればよいが、複数の場合には、物品を一つずつ移動させてもよく、複数の物品を同時に移動させてもよい。排出数が受入数よりも多い場合には、単位時間あたりの受入数と排出数とを同じにし、搬出経路に滞留させた物品と合わせて排出させればよい。
また、物品排出の際に、可動子が停止していてもよく、可動子が排出先のベルトコンベアの移動速度と同期して移動していてもよい。なお、環状の配列は垂直方向の配列、水平方向の配列のいずれであってもよく、搬送経路への物品の受入が側方だけからに限定されないことも勿論のことである。
電磁相互作用により可動子が移動され、断続的な移動・停止の繰り返しに伴う振動が発生されない。また、複数の物品を受入れさせる直前に、可動子を順に、物品受入部に移動させ待機させるため、物品受入部の物品が欠品している場合には、当該位置には可動子を停止させないようにし、空きがない状態で可動子を移動させることが容易である。
第1の発明によれば、複数の製造ラインで製造された複数の物品を同時に受入れ、任意数の物品を同時に排出させることができると共に、変形されやすい物品にも適用でき、不良物品の発生を抑制することができるという従来にない有利な効果を奏する。
本発明の第2の発明は、第1の発明の搬送機において、前記所定数が複数とされ、前記物品排出部において、前記物品受入部における物品受入間隔とは異なる物品排出間隔で、複数の物品を、同時に排出させることを特徴としている。
第2の発明によれば、物品排出数が複数とされ、物品排出部と物品受入部とにおける物品間隔が異なっても、物品排出位置において、同時に複数の物品を排出させることが可能であり、製造ライン全体の生産能力を向上させることができるという従来にない有利な効果を奏する。
本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明の搬送機において、前記搬送経路のうちの、前記物品受入部から前記物品排出部に至る搬送経路の一部が、搬送されている物品を滞留させる滞留経路とされ、前記滞留経路の長さが、排出させる物品数を滞留させる長さ以上であり、次の複数の物品を受入れることができる余長を残した長さとされていることを特徴としている。
物品受入部から物品排出部までの搬送経路の一部が、搬送中の物品の滞留経路とされている。滞留経路の長さが、排出される物品数以上であるため、物品排出部において物品を排出させた後に、滞留している物品を、速やかに物品排出部に移動させることができる。また、次に受入れる複数の物品の搬送長さの余長が、空き経路として滞留経路に残されているため、物品受入部に受入れて搬送された物品が、滞留経路に滞留されている物品に衝突しにくい。
物品排出部における単位時間あたりの排出数と、物品受入部における単位時間あたりの受入数が同一の場合には、物品排出又は物品受入のいずれも停止させる必要がない。しかし、第3の発明によれば、仮に物品受入に連続した欠品が発生した場合でも、物品排出を停止させなくてもよいという有利な効果を奏する。滞留経路の長さを、過去の単位時間あたりの欠品実績に基づいて、物品排出および物品受入のいずれも停止させないように設定しておけばよい。
本発明の第4の発明は、第3の発明の搬送機であって、前記滞留経路に滞留された物品数が、排出される物品数よりも少なくなっている場合には、前記物品排出部における物品排出を停止させ、前記物品受入部において物品を受入れると、滞留経路の前記余長がなくなる場合には、前記物品受入部における物品の受入れを停止させることを特徴としている。
滞留経路に滞留された物品数は、公知の検知手段により検知させればよい。第4の発明によれば、滞留経路の滞留物品数が不足しないように物品排出が停止され、滞留経路の滞留物品数が過剰とならないように、物品受入が停止されて、滞留物品数が調整され、搬送機の不測の停止が回避されるという有利な効果を奏する。
本発明の第5の発明は、第3又は第4の発明の搬送機であって、前記物品排出部の下流側の可動子の移動経路が、物品を滞留させる第2滞留経路とされ、前記物品排出部において、物品の排出が停止された際には、物品の排出が停止されてから所定の時間は、前記物品受入部において物品の受入れを継続させると共に、受入れた物品を滞留経路と第2滞留経路に滞留させておくことを特徴としている。
物品排出部において物品が停止される場合としては、物品排出部において物品の排出に支障が発生した場合、生産ライン全体を停止させる場合などがある。物品が、周囲を熱溶着して薬剤を格納させるPTPシート等の場合には、物品受入部の近くに、PTPシートの周囲を熱溶着させる熱溶着手段が設置されている。物品受入部において、いきなりPTPシートの受入れを停止させると、薬剤を投入したPTPシートが、熱溶着手段の熱影響範囲に留まり、薬剤が変質し不良品となる可能性がある。
しかし、物品の排出が停止される場合でも、物品の排出が停止されてから所定の時間は、受入れた物品を物品排出部の下流の経路も含めて滞留させ、連続して物品を受入れ可能とさせている。PTPシートの受入れが継続されている間に、熱影響範囲に至るPTPシートには、薬剤を投入させないようにし、空のPTPシートを送り出しておき、空のPTPシートだけを廃棄するようにすればよい。第5の発明によれば、熱溶着による包装であっても、損傷された物品を排出させにくいという従来にない有利な効果を奏する。
本発明の第6の発明は、第1から第5の発明の搬送機であって、前記物品受入部において受入れる複数の物品のいずれかが欠品している場合には、前記可動子が、物品が欠品している位置には待機されないことを特徴としている。
物品受入部における、欠品の検知は公知の検知手段によればよい。物品受入の前に欠品検知がされ、物品受入部のどの位置が欠品状態となるかが検知され、予め、物品が欠品となる位置には、可動子が待機されない。これにより、物品受入部から搬送経路に移動された可動子のいずれもが物品を搬送させた状態とされ、物品排出部に向けて移動された可動子に空がなく、物品排出部において所定の数の物品数を排出させることができるという有利な効果を奏する。
・本発明の第1の発明によれば、複数の製造ラインで製造された複数の物品を同時に受入れ、任意数の物品を同時に排出させることができると共に、変形されやすい物品にも適用でき、不良物品の発生を抑制することができるという従来にない有利な効果を奏する。
・本発明の第2の発明によれば、物品排出数が複数とされ、物品排出部と物品受入部とにおける物品間隔が異なっても、物品排出位置において、同時に複数の物品を排出させることが可能であり、製造ライン全体の生産能力を向上させることができるという従来にない有利な効果を奏する。
・本発明の第3の発明によれば、仮に物品受入に連続した欠品が発生した場合でも、物品排出を停止させなくてもよいという有利な効果を奏する。
・本発明の第4の発明によれば、滞留経路の滞留物品数が不足しないように物品排出が停止され、滞留経路の滞留物品数が過剰とならないように、物品受入が停止されて、滞留物品数が調整され、搬送機の不測の停止が回避されるという有利な効果を奏する。
・本発明の第5の発明によれば、熱溶着による包装であっても、損傷された物品を排出させにくいという従来にない有利な効果を奏する。
・本発明の第6の発明によれば、物品受入部から搬送経路に移動された可動子のいずれもが物品を搬送させた状態とされ、物品排出部に向けて移動された可動子に空がなく、物品排出部において所定の数の物品数を排出させることができるという有利な効果を奏する。
環状の搬送経路を有し、電磁相互作用により移動される可動子により物品を搬送させる搬送機において、物品を受入れさせる直前に、物品受入部に物品受入体を移動して待機させ、搬送経路の側方から複数の物品を同時に受入れさせるようにした。そして、物品受入体を物品受入部から同時に移動させ、次の物品受入を可能とさせると共に、下流側から順に、移動させた物品のうち予め設定されている数の物品を、物品排出部において所定の間隔で排出できるようにした。
実施例1では、錠剤が収容されるPTPシートの製造ライン100に配設される搬送機1を、図1から図3を参照して説明する。図1(A)図は、搬送機1及び製造ライン100の側面図を示し、図1(B)図は、図1(A)図において破線で囲まれた部分の平面図を示している。図2は、搬送機1の通常動作を説明する工程図を示している。図3は、搬送機1の欠品が検知された際の動作を説明する工程図を示している。実施例3においてブロック図とフロー図を参照して説明し、実施例1及び実施例2では説明を省略している。
まず、図1(A)図を参照して、PTPシートの製造ライン100の全体構成を簡単に説明する。本実施例では、2枚のシート体が熱溶着されてなるPTPシート200のうち、錠剤格納部を有するシート体を表側シート体201とし、錠剤格納部の開口を封鎖させる平坦なアルミ箔製のシート体を裏側シート体202とし、2枚のPTPシートを積層させたものを積層体203と称して説明する。
PTPシートの製造ライン100は、上流側にシート体製造機110が配され、その下流に搬送機1が配され、搬送機1の下流にピロー包装機・バンド掛け包装機等の包装機120が配されて一つの製造ライン100をなしている。まず、シート体製造機110について簡単に説明する。本実施例では、生産効率を向上させるため、PTPシートの製造周期が同期された4機のシート体製造機110が並列して配され、搬送機1に同時に4組の積層体203を受け渡すようにされている(図1(B)図参照)。
各々のシート体製造機110は、錠剤格納部の開口を上方に向けた表側シート体201を、下流に搬送させながら、錠剤供給装置111から錠剤格納部に錠剤を供給させている。熱溶着手段をなす二つのローラ112,113により表側シート体201と、裏側シート体供給装置114から供給された裏側シート体202とを挟み込み、裏側シート体に接しているローラ112を加熱させ、2枚のシート体を熱溶着させて、錠剤格納部を閉鎖させている。
次いで、シート体の切断・反転装置115により、シート体をPTPシートの規格に合せて切断させると共に、シート体を上下反転させている。そして、積層装置116により二枚のPTPシートが積層体203をなすように積層させ、フィンガーコンベア117により搬送機1に複数の物品が同時に受け渡される。また、フィンガーコンベア117の上方には、搬送される積層体に欠品がないかを検知させる欠品検知手段50が設けられている(図1(B)図参照)。
搬送機1は、リニア駆動により物品を搬送させる搬送機であり、環状の搬送経路をなす固定子10と、固定子に沿って駆動される可動子20とを含んでいる。搬送経路に沿って、複数の物品を同時に受入れさせる物品受入部30と、予め設定されている数の物品を所定の間隔で排出させるように物品排出部40が配設されている。
固定子10は、電磁相互作用を生じさせる電磁石と、各々の可動子の現在位置を検知させる可動子位置検知手段と、可動子の制御手段とを有している。電磁石は、搬送経路に沿って環状に備えられている。可動子位置検知手段は、搬送経路に沿って環状に設けられたエンコーダとされ、可動子に設けられた無線通信タグを読み取ることにより可動子の位置情報を検知させている。無線通信タグは、電磁界や電波を用いた無線通信であればよく、限定されない。例えば、公知のRFID等が好適に利用できる。
可動子の制御手段は、可動子の位置を制御させる可動子位置制御手段と、可動子の速度を制御させる可動子速度制御手段とを備えている。可動子位置制御手段は、物品受入位置、物品排出位置、滞留位置に適合させるように可動子を移動させると共に、可動子の位置を制御させている。可動子速度制御手段は、可動子位置制御手段により制御された所定の位置にまで、可動子を滑らかに加速・減速させると共に、前の可動子に衝突させないように、各々の可動子の移動速度を制御させている。
また、物品受入部30から物品排出部40に至る搬送経路の一部が、搬送されている物品の滞留経路11とされている。滞留経路11の長さは、1回の物品排出で排出される物品を滞留させる長さ以上であり、次の物品受入で受入れさせる複数の物品を滞留させる余長12が残されている(図1(B)図,図3参照)。
可動子20は、基端側が固定子10に装着されると共に、他端側が物品に接して物品を挟んで搬送させる搬送片21(図1(A)図、図2(D)図参照)を有し、物品受入体をなしている。可動子20は、固定子との電磁相互作用により駆動されるため、その移動速度が加減速されるに適していると共に、各々を独立駆動させるに適している。電磁相互作用とは、同種の磁極間に働く反発力・異種の磁極間に働く引力をいう。可動子は、磁力による反発力により押し出され、磁力による引力により引き寄せられ、速く、且つ高い精度で滑らかに移動される。
搬送経路の物品受入部30よりも上流側で待機させた可動子22を、シート体製造機110から複数の積層体203が受け渡される直前に、物品受入部30に移動させる。そして、複数の物品の一部が欠品となっている場合には、物品が供給されるラインに対応された位置にのみ可動子を送り出させて待機させるようにし、可動子が空の状態のまま下流に送り出されることを防止させている(図3参照)。
欠品がいずれかのシート体製造機が緊急停止されたことを原因とする場合には、そのシート体製造機が復旧するまでの間は、他の正常に動作されているシート体製造機により、生産が継続されるため、生産効率の低下が抑制される。
各々の可動子の移動速度は、電磁相互作用の極性を反転させる周期を変えることにより、個別に変えることができる。例えば、弧状の搬送経路13の部分については、物品に大きな遠心力がかからないように可動子を低速で移動させ、直線状の搬送経路14の部分については、可動子を高速で移動させると好適である。これにより、生産効率を高くさせることができると共に、未包装・未結束の積層体であっても搬送中に崩れにくいという有利な効果を奏する。可動子の移動速度は、約4m/secの高速移動が可能とされている。
各々の可動子を独立駆動させることができるため、物品受入部30から物品排出部40に至るまでの移動時間と、物品の受入時間と、物品の排出時間とを、任意に設定させることができる。しかも、可動子を断続的に動作させないため、移動中に振動が発生されにくい。移動に要する時間を短くさせれば、物品受入から物品排出までの時間が同一でも、物品の受入時間と物品の排出時間を長くすることができる。これにより、変形されやすい両面アルミ箔製のPTPシート等であっても、物品の受入・排出に伴う変形が抑制される。
また、固定子の任意の位置において、可動子に対して磁力による引力のみを作用させるようにすれば、搬送経路のいずれの位置であっても、可動子を停止させる位置として設定させることができる。公知の搬送機用の固定子であれば、停止位置の誤差を10μmの高い精度で任意に設定させることができ、物品排出部40の物品排出間隔を、物品受入部30の物品受入間隔とは異なる間隔で設定させることができる。
更に、可動子が停止される位置の数を変えることにより、物品受入部・物品排出部に並べさせる可動子の数を変えることもできる。物品受入部30においては、並列させるシート体製造機の数に応じて、可動子の停止位置の設定数を決定させればよい。一方、物品排出部40においては、下流側の包装機の能力に応じて、可動子の停止位置の設定数を決定させればよい。
可動子に備えられる搬送片21は、物品を挟持して搬送させる挟持部23(図1(A)図参照)とされている。挟持部をなす上側板体24は、下方に延びる軸体25を有し、物品受入部30の下方に配される押上手段130により前記軸体が押し上げられ、挟持部23の開口幅が広げられる。また、上側板体24には、図示しない弾発手段が備えられ、その弾性復元力により上側板体24が下側板体26に押し付けられ挟持部23が閉じられる。物品の受入時には、挟持部23の開口幅が広げられた状態で物品が受入れられ、挟持部23が閉じられた状態で物品が搬送される。
なお、積層体203の長手方向が搬送経路に沿って、物品受入部30まで搬送されるため、積層体が挟持部23に挟持された状態において、PTPシートの長手方向の両端部が、挟持部の両端から外方に突き出された状態で搬送される。そして、物品排出部40で搬送片21から積層体203を排出させる際には、図示しない押出部が、固定子の中心側から外方側に向かって駆動され、PTPシートの両端部204を押し出して排出させている。
次に、搬送機1の基本動作の例を、図2を参照して説明する。図2は、物品受入部30において4個の可動子が4組の積層体203を同時に受入れ、物品排出部40において、下流側の2個の可動子が先行して積層体203を排出させ、次の排出で残りの積層体203が排出されるという一連の動作工程を示している。
図2では、理解を容易にするため、物品受入部30から物品排出部40までの直線状の搬送経路14、弧状の搬送経路13、直線状の搬送経路14(図1(B)図参照)の順で構成される搬送経路を、一つの直線に近似させて示すと共に、滞留経路に物品を滞留させていない状態を基にして説明する。また、物品受入部30と物品排出部40を破線で囲って示すと共に、積層体203を着色して示し、可動子20の動作方向を一点鎖線矢印で示している。
複数の可動子20が、物品受入部30よりも上流側の位置で待機されている状態で、搬送機1の上流側に配設されるフィンガーコンベア117により複数の積層体203が搬送されると共に、欠品検知手段50により欠品が生じているか否かが検知される(図2(A)図参照)。欠品が検知されなかった場合には、各々の積層体203を受入れる直前に、フィンガーコンベアの配設間隔に応じた所定の間隔となるように、4個の可動子20が物品受入部30に並べられ(図2(B)図参照)、4組の積層体203が各々の可動子20に受入れられる(図2(C)図参照)。
そして、搬送片21が、受入れた全ての物品を物品受入部30から同時に搬送させて、次の物品受入を可能な状態とさせる(図2(D)図参照)。なお、物品受入部から同時に搬送させるとは、必ずしも可動子の速度を同期させる必要はなく、各々の可動子が独立された状態で同じタイミングで搬送を開始させればよく、移動中に下流側の可動子同士の速度に差があってもよいことは勿論のことである。
4個の可動子20のうち下流側の2個の可動子27が、残りの可動子28よりも先行して移動される。そして、物品排出部40において、物品受入間隔よりも広い物品排出間隔となるように並べられて停止状態となる(図2(E)図参照)。より具体的には、包装機の性能に応じた間隔に適合させるように、下流側の第1停止位置15と上流側の第2停止位置16とが位置制御される。次の排出工程では、残りの可動子28が物品排出部40に至り、積層体を排出させる(図2(F)図)。そして、排出の終わった可動子20が、再び物品受入部30の上流側の待機位置にまで進んで停止される。
次に、上流から送られる積層体203に欠品が発生した場合における搬送機の動作について、図3を参照して説明する。図3は、図2と同様に、物品受入部から物品排出部までの搬送経路を、一つの直線で近似させて示している。ここでは、滞留経路11に5つの滞留可動子29が滞留されている状態を基にし、物品受入部の4か所の受入位置のうち、下流側から3番目の受入位置31で欠品が発生した場合を例に説明する。
図3(A)図は、欠品が検知された状態を示し、図3(B)図は、可動子20が物品受入の直前に、欠品位置を除いて物品受入部30に並べられた状態を示している。図3(C)図は、可動子に物品が受入れられた状態を示し、図3(D)図は、予め滞留された物品から順に、物品排出部に搬送させている状態を示している。
物品受入部から物品搬送部までの搬送経路の一部が滞留経路11とされ、予め5個の可動子29が滞留された状態とされている。欠品検知手段50は、物品受入部30よりも上流側の位置に配され、物品受入前に欠品の有無を検知させている。具体的には、公知の光学センサー等をフィンガーコンベアの上方に配設させ、欠品の有無を検知させればよい。
次に、欠品が発生した場合の搬送機の動作工程を説明する。まず、欠品検知手段50により欠品が検知される(図3(A)図参照)。欠品検知手段50から、欠品の発生と欠品の位置とを示す欠品情報が、可動子位置制御手段に通知される。可動子位置制御手段は、欠品情報に基づいて、物品受入部よりも上流側に待機させていた可動子22を、欠品が発生された受入位置31を除き、欠品とならない物品受入位置だけに送り出して停止させる(図3(B)図参照)。そして、欠品とならない物品受入位置で、可動子20が積層体203を受入れる(図3(C)図参照)。滞留可動子29の先頭から物品排出部40に送られて物品が排出されると共に、物品を受入れた可動子20が滞留可動子29の終端に停止される(図3(D)図参照)。
実施例2では、滞留数検知手段を備えた搬送機2を、図4を参照して説明する。図4(A)図は、滞留経路11に滞留されている物品数が、1回の排出で排出される物品数よりも少なくなった状態を示している。図4(B)図は、滞留経路11に滞留されている物品数が多くなり、次の物品受入が可能な余長がなくなった状態を示している。図4の各々の図では、物品受入後の可動子を黒塗りの丸印で示し、物品受入前の可動子を白抜き丸印で示している。以下の実施例でも同様としている。実施例2では、物品受入部から3個の物品を同時に受入れし、物品排出部から4個の物品を同時に排出させる場合を例に説明する。
搬送機2は、搬送機1で説明した構成に加えて、滞留経路11に滞留された物品数を検知させる滞留数検知手段19を備えている。滞留経路の位置・滞留される物品数等は、可動子位置制御手段により制御される。また、滞留数検知手段に検知された物品数に応じて、物品排出を継続又は停止させる物品排出制御手段と、物品受入を継続又は停止させる物品受入制御手段とを備えている。
図に示していない滞留数検知手段は、固定子10に備えられたエンコーダが、物品受入部30から物品排出部40までに滞留されている滞留可動子29のRFIDタグを読み取ることにより、滞留経路11に滞留された物品数を検知させている。滞留数検知手段により検知された物品数が、1回の物品排出数よりも少ない場合(図4(A)図参照)には、物品排出制御手段により、物品排出部40における物品排出を停止させると共に、滞留可動子29を物品排出部40に送らないようにさせる。滞留数検知手段により、滞留経路11に排出数以上の可動子が滞留されたことが検知された後には、物品の排出を再開させればよい。
滞留経路11において、余長12にも可動子29が滞留され、次の物品を受入れるための余長がなくなっていることが検知された場合(図4(B)図参照)には、物品受入制御手段により、物品受入部30における物品の受入を停止させると共に、物品の排出を継続させ、滞留された物品数を減らすようにさせる。
実施例3では、物品排出検知手段60を備えると共に、物品排出部40よりも下流側の移動経路が第2滞留経路17とされた搬送機3を、図5から図7を参照して説明する。図5は、搬送機3に物品が搬送されている状態を示している。図5(A)図は、物品の排出が停滞されていない状態を示している。図5(B)図は、物品の排出が停滞された後に、所定の時間は物品の受入を継続させると共に、物品を受入れた可動子を、物品排出部よりも下流側の第2滞留経路17にも滞留させている状態を示している。図5(C)図は、物品の受入を停止させた状態を示している。
図6は、搬送機のブロック図を示し、図7は、搬送機のフロー図を示している。図7において、物品受入位置制御処理とは、実施例1で示した欠品時における可動子の動作制御処理を指している。第1物品滞留処理とは、実施例2で示した可動子の動作制御処理を指している。第2物品滞留処理とは、実施例3で説明する可動子の動作制御処理を指している。
実施例3では、実施例1と同様に、物品受入部から4個の物品を同時に受入れ、物品排出部から2個の物品を同時に排出させる場合を例に説明する。物品排出検知手段60(図5(A)図参照)包装機120(図1参照)の動作状況から、物品の排出がされている状態と、物品の排出が停滞された状態とを検知している。物品排出検知手段60は、包装機自体から伝達される停止信号を検知させるものであってもよく、光学センサーにより包装機の動作状況を検知させてもよく、形態は限定されない。
搬送機3の上流工程をなすシート体製造機110(図1参照)と、搬送機の下流工程をなす包装機120(図1参照)のいずれも正常に動作している場合には、4個の物品を同時に受入れる1周期の間に、2個の物品が2回排出され、滞留経路11に滞留された物品数は一定数を維持している(図5(A)図参照)。
錠剤用のPTPシートの製造ラインにおいて、搬送機の下流工程をなす包装機が停止されると同時にシート体製造機も停止させると、連続して繋がったシート体の送出しが停止される。そうすると、既に送出された錠剤を格納させたPTPシートが、熱溶着手段の熱影響範囲に留まることになり、熱により前記錠剤が変質され、不良品となる可能性がある(図1(A)図参照)。
そこで、実施例3では、不良品を発生させないために、前記包装機が停止された際には、停止に合せて錠剤の供給のみを停止させ、PTPシートの送出しを継続させるようにしている。そうすると、既に錠剤を格納させたPTPシートについては、前記熱影響範囲から退避させることができ、錠剤が変質されるおそれをなくすことができる。すなわち、前記所定の時間とは、既に錠剤が格納されたPTPシートが、熱影響範囲から退避されるまでの時間以上であればよい。
前記所定の時間の間も、PTPシートの生産は継続されるため、排出ができない場合でもPTPシートの受入を継続させておく必要がある。熱影響範囲は、シート体製造機の性能に応じて異なるが、例えば熱影響範囲を約50cmの長さとし、PTPシートの幅を5cmと仮定すると、本実施例のように、4機のシート体製造機が並列されている場合には、合計40枚分のPTPシートが供給されるまでは、受入れを継続させる必要がある。
そこで、搬送機3では、物品排出部40よりも下流の移動経路を第2滞留経路17として、可動子20を滞留させるようにしている(図5(B)図参照)。そして、既に錠剤が格納されたPTPシートが熱影響範囲を通過し、全ての可動子20が物品を受入れた状態となってから、物品の受入を停止させれば、錠剤の変質を防止させることができる(図5(C)図参照)。
そして、包装機の停止の原因が解消し、物品の排出が可能となった場合には、第2滞留経路17に滞留させた可動子20を移動経路に沿って周回させ、先頭にある可動子61から順に物品の排出を再開させればよい。物品排出がある程度進んでからは、通常どおり物品の受入も再開させればよい(図5(A)図参照)。なお、空のPTPシートは、生産ラインから取り除かれ廃棄される。
次に、搬送機3の構成を、図6及び図7を参照して説明する。図6は搬送機のブロック図を示し、図7は可動子の速度を制御させるフロー図を示している。搬送機3は、入力手段70と、記憶手段80と、制御手段90とを含んでいる。制御手段90は、可動子の制御に必要となる欠品検知手段50、物品排出検知手段60、可動子位置検知手段18、滞留数検知手段19からの外部信号を受信し、可動子の動作を制御する。また、制御手段90には、動作処理の内容を表示させる表示手段300と、動作処理を選択させる選択手段310とが接続されている。
入力手段70からは、製造ラインの仕様や所望の搬送形態に適合されるように、必要な情報が入力され、記憶手段80には、入力手段から入力された情報が、一連の情報群として記憶される。記憶される情報群は、一つの搬送形態の情報群に限定されず、予め複数の搬送形態の情報群が記憶されてもよい。製造される製品の規格に応じて、予め複数の情報群を記憶させておけば、搬送形態を変える場合であっても、複数の情報群の中から所望の情報群を選択させるだけで、可動子の動作の設定を容易に変えることができる。
入力される一連の情報群は、可動子位置を制御させるために必要な位置関連情報と、可動子速度を制御させるために必要な速度関連情報とされる。位置関連情報は、物品受入位置・物品排出位置、1回あたりの物品受入数・物品排出数、物品排出間隔・物品受入間隔、滞留経路の位置・滞留物品数、第2滞留経路の位置等とされる。速度関連情報は、物品受入周期・物品排出周期、物品受入及び物品排出に要する受渡時間等とされる。
制御手段90は、実施例1で説明した可動子位置制御手段91及び可動子速度制御手段92と、実施例2で説明した物品排出制御手段93及び物品受入制御手段94とを有している。可動子位置制御手段91と可動子速度制御手段92は、選択された情報群と、各々の検知手段からの外部信号に基づいて、可動子を移動させる位置と可動子の移動速度を制御させる。そして、制御手段90からの動作信号に基づいて、固定子10と可動子20との間に電磁相互作用が作用され、可動子が所望の位置に至るまで、所望の速度で駆動される。
弧状に湾曲した経路を含む搬送経路において処理される可動子制御処理のフローについて、図7を参照して説明する。所定単位時間ごとに、以下の可動子制御処理(S0からS99)がされ、物品が搬送される。ステップ0にて、制御手段に前記情報群と前記外部信号とが読み込まれて可動子制御処理が開始される(S0)。
まず、ステップ1にて、欠品検知手段50(図6参照)により欠品が検知されたか否かの判定処理がされる(S1)。ステップ1にて、欠品が検知されたら、ステップ100にて物品受入位置制御処理がされ、欠品位置を除外した受入位置にのみ可動子を停止させ(S100)てからステップ2に進む。欠品が検知されなかったら、ステップ2に進む。
ステップ2では、前記情報群から読み出した所定の物品受入位置に、物品受入部よりも上流に待機されていた複数の可動子を、順に停止させる物品受入処理がされる(S2)。次に、ステップ3にて、可動子の速度制御処理がされる(S3)。可動子の速度制御処理においては、可動子速度制御手段91(図6参照)により、所定の物品排出周期に応じて、可動子を移動させている。ステップ3においては、可動子位置検知手段18(図6参照)で可動子の位置を検知させ、可動子の現在位置が弧状に湾曲した経路にある場合には、可動子を減速させ、直線状の経路にある場合には、高速で可動子を移動させる。
次に、ステップ4にて、滞留物品数が所定範囲内か否かの判定処理がされる(S4)。具体的には、滞留数検知手段19(図6参照)により所定の数よりも少ないか又は多いかが検知される。滞留物品数が所定の範囲内であり、物品受入部から受入れた物品を滞留経路に滞留させる場合には、ステップ200の第1物品滞留処理に進み、可動子を滞留可動子の終端に停止させ、滞留可動子の先頭を物品排出部に向けて送り出させながら、全体を順送りさせ(S200)、ステップ5の物品排出が停滞しているか否かの判定処理に進む(S5)。
ステップ4にて、滞留物品数が所定の範囲外、具体的には、滞留数検知手段により所定の数よりも少ないか又は多いかが検知された場合には、ステップ210に進む(S4)。ステップ210では、滞留物品数が少ない場合には、物品排出制御手段93(図6参照)で物品の排出を停止させ、滞留物品数が多い場合には、物品受入制御手段94(図6参照)で物品の受入を停止させるように、物品排出・受入制御処理をしてから(S210)、ステップ5の物品排出が停滞しているか否かの判定処理に進む(S5)。
ステップ5にて、物品排出検知手段60(図6参照)に検知された情報に基づき、物品排出が停滞しているか否かの判定処理がされる(S5)。物品排出が停滞している場合には、ステップ300にて、第2物品滞留処理(S300)を経て、ステップ6の物品排出処理に進む(S6)。第2物品滞留処理は、物品排出を停止させると共に、物品排出位置よりも下流に配された第2滞留経路まで物品を受入れた可動子を移動させ(図6(B)及び図6(C)図参照)、ステップ6の物品排出処理に進む(S6)。ステップ5にて、物品排出が停滞していない場合には、ステップ6の物品排出処理に進む(S6)。
ステップ6にて、可動子を所望の物品排出位置で停止させるように、各々の可動子を減速させ、物品排出部に可動子を並んだ状態で停止させる(S6)。ステップ99にて、可動子から物品が排出されて下流工程に受け渡され、物品受入から物品排出までの可動子制御処理が終了される(S99)。
(その他)
・実施例では、搬送経路に沿って、1か所の物品排出部が備えられる例を説明したが、複数の物品排出部を備えさせてもよいことは勿論のことである。例えば、物品排出部を複数の箇所に配設し、複数台の包装機を使って包装させることにより、生産効率を向上させてもよい。外にも物品排出部ごとに、ピロー包装・バンド掛け包装等の異なる包装形態に対応できるようにし、包装形態に応じて物品排出部を切り換えて使用させてもよい。
・実施例では、物品排出部において停止した状態で物品を排出させる例を説明したが、隣接されるベルトコンベアの移動速度に同期させて排出させてもよいことは、勿論のことである。
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記した説明に限られず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
従来は、物品、例えば薬剤シートが搬送機の上流に配された複数の製造ラインで製造され、製造ライン数と同数の物品が、無端帯又はチェーンコンベア(以下、ベルトコンベアという。)からなる搬送経路の側方から同時に受入れられて搬送され、ピロー包装、バンド掛け包装等の包装形態に適合した数の物品数となるように搬送機から排出されている。
ベルトコンベアにより物品を搬送させる場合には、ベルトコンベアの移動と停止が断続的に繰り返されている。複数個の物品を一単位として搬送させるには、ベルトコンベアの物品受入部に同時に受入れ、受入物品を一つずつ断続的に下流に移動させている。そして物品受入部が空の状態となってから、次の一単位の物品を同時に受入れている。このため、次の一単位の物品を受入れる時間は、物品を一つ移動させる時間に制約されることになる。
製造ライン全体の生産能力を向上させるためには、ベルトコンベアが移動し始めてから、停止し、次に移動し始めるまでの単位移動時間を短縮することが必要になる。単位移動時間のうちのベルトコンベアが停止している停止時間が、物品を受入れる受入時間となる。搬送量を増大させるためには、単位移動時間を短縮する必要があるが、ベルトコンベアの停止時間を短縮させると物品受入時間も短くなり、物品受入の際に急な加力が必要になるため、変形されやすい物品、例えばアルミ箔製のPTPシート等が変形する可能性があった。
一方、単位移動時間のうちのベルトコンベアが移動する移動時間を短縮させると、ベルトコンベアの加速又は減速が大きくなり、それに伴い振動も発生しやすくなる。そうすると、物品が変形しやすくなるだけでなく、物品がベルトコンベアから脱落しやすくなる。このため、従来のベルトコンベア搬送による場合には、搬送速度を向上させにくく、製造ライン全体の生産能力を向上させにくいという課題があった。
特許文献1には、物品保持部を断続的に巡回させるベルトコンベア方式の搬送機の技術が開示されている。特許文献1に記載の搬送機は、ピロー包装、バンド掛け包装等の下流の製造工程に適合した数の物品数を搬送できるように、搬送物品数が、1個又は所定の複数個のいずれかに切換え可能とされたPTPシート搬送機とされている。
具体的には、受入数が1個の場合には、1個を受入れる長さを断続的に移動させ、受入数が所定の複数個の場合には、複数個を受入れる長さを一単位として、断続的に移動させるようにしている。これにより、物品の受入時間を短縮させずに、物品の搬送量を増大させることができ、製造ライン全体の生産能力を低下させることのない、多様な包装形態に対応できるPTPシート搬送機を提供するとされている。
この技術によれば、受入物品を1個単位又は複数個単位で物品排出部まで搬送することはできる。しかし、下流の包装形態に適合するように、物品排出部においては、受入間隔とは異なる排出間隔で、物品が一つずつ順にベルトコンベアから排出されている。そのため、物品排出部における排出時間を短縮することができず、搬送速度の向上が制約されるという課題があった。
また、受入時間を短縮させないで、所定の複数個の物品を同時に受入れたとしても、断続的に移動が繰り返されている。そうすると、一単位の受入物品数が少ない場合には、加減速の繰り返し数が多くなり、振動が発生しやすくなり、変形しやすい物品にこの技術を適用することは困難であった。また、受入物品のいずれにも欠品がないように、予め欠品を補充しておかないと、所定の複数個の物品が搬送できないという課題もあった。
また、特許文献2には、電磁相互作用により移動される可動子に備えられた羽根により物品を前後から挟んで、前後の羽根の間隔を縮めて、物品を圧縮しながら搬送させ、物品を搬送中に脱落させにくい搬送機の技術が開示されている。しかし、物品を一つずつ受入れることしかできないため、上流において複数のラインで製造された複数の物品を同時に受入れる搬送機には適用できない技術であった。
特許文献3には、不規則な搬送間隔で搬送されてくる物品を、包装機に確実に供給させるとする搬送機の技術が開示されている。この搬送機は、搬送終端までに複数の物品を貯留させる物品貯留部を備え、電磁相互作用により循環走行される走行体により、下流の包装機の包装能力に応じた搬送間隔で、物品貯留部から物品を順次搬送させる搬送機とされている。しかし、特許文献3に記載の技術も、物品を一つずつ受入れることしかできず、上流において複数のラインで製造された複数の物品を同時に受入れる搬送機には適用できない技術であった
特許文献4には、列をなした複数の物品を物品受入部に受入れ、受入物品の列に欠落があっても、物品が欠落した包装物が、下流の包装装置によって生産されない包装システムの技術が開示されている。この技術は、ベルトコンベアの第1搬送部と、リニア搬送部の第2搬送部とを含んだ包装システムとされ、2つの搬送部により一単位の受入物品を、搬送経路の方向に排出させているにすぎず、第2搬送部においては、一つずつ物品を受入れ、一つずつ排出させているため、製造ライン全体の生産能力を向上させることができないという課題があった。
本発明が解決しようとする課題は、物品を受入れる間隔と、物品を排出させる間隔とが異なっている場合でも、複数の製造ラインで製造された複数の物品を同時に搬送経路に受入れ、任意数の物品を同時に排出させることができる搬送機を提供することを課題とした。また、変形されやすい物品にも適用でき、不良物品の発生を抑制することができると共に、物品の受入れ又は物品の排出のいずれかに支障がある場合にも適用できる搬送機を提供することを課題とした。
本発明の第1の発明は、搬送経路が環状とされ、物品を搬送させる複数の可動子を備え、前記搬送経路に沿って物品受入部と物品排出部が配設され、搬送経路に沿って側方に下流の搬送ラインが配設され、前記物品受入部において、前記搬送経路に沿って並んだ複数のm(整数)個の物品を、同時に受入れ、前記物品排出部において、前記下流の搬送ラインに物品を排出させる搬送機であって、 前記可動子は、電磁相互作用により駆動され、移動速度を加減速させるに適し、物品に接して物品を搬送させる搬送片を有し、 前記可動子が、前記複数の物品を受入れる直前に、順に、前記物品受入部に移動し待機され、物品を受入れると共に、前記搬送片が受入れた物品に接した状態で、前記物品受入部から同時に移動され、次の物品受入を可能とさせ、n(整数)個の物品が、前記物品排出部において、下流に移動された前記可動子が前記下流の搬送ラインの搬送速度に同期した速度で移動している状態で、側方に排出されることを特徴としている。
第1の発明によれば、物品を搬送させる可動子は、電磁相互作用により駆動され、加速又は減速が容易とされている。このため、搬送経路の上流に待機させておいた可動子を、物品が受入れられる直前に、順に物品受入部に移動させて受入待機させることができる。予め欠品を検知している場合には、欠品位置には停止させないで、欠品とならない位置だけに、可動子を停止させるようにすればよい。また、弧状の搬送路の部分は、直線状の搬送路の部分と移動速度を変えることが容易である。
可動子を物品受入部に停止させ物品を受入れさせ、搬送片が受入れた物品に接した状態で、物品受入部から可動子を同時に移動させて、次の物品受入が可能なように、物品受入部を空とさせる。搬送経路の下流に移動された物品のうち、所定数の物品が物品排出部で排出されるように、下流側から順に物品排出部まで搬送される。
ここで物品排出部において排出される所定数とは、予め設定されていればよく、複数に限定されず、単数でもよく、受入物品数よりも多くてもよい。単数の場合には、順に一つずつ下流に移動させればよいが、複数の場合には、物品を一つずつ移動させてもよく、複数の物品を同時に移動させてもよい。排出数が受入数よりも多い場合には、単位時間あたりの受入数と排出数とを同じにし、搬出経路に滞留させた物品と合わせて排出させればよい。
また、物品排出の際に、可動子が停止していてもよく、可動子が排出先のベルトコンベアの移動速度と同期して移動していてもよい。なお、環状の配列は垂直方向の配列、水平方向の配列のいずれであってもよく、搬送経路への物品の受入が側方だけからに限定されないことも勿論のことである。
電磁相互作用により可動子が移動され、断続的な移動・停止の繰り返しに伴う振動が発生されない。また、複数の物品を受入れさせる直前に、可動子を順に、物品受入部に移動させ待機させるため、物品受入部の物品が欠品している場合には、当該位置には可動子を停止させないようにし、空きがない状態で可動子を移動させることが容易である。
第1の発明によれば、複数の製造ラインで製造された複数の物品を同時に受入れ、任意数の物品を同時に排出させることができると共に、変形されやすい物品にも適用でき、不良物品の発生を抑制することができるという従来にない有利な効果を奏する。
本発明の第2の発明は、第1の発明の搬送機において、前記n個が複数とされ、前記物品排出部において、前記物品受入部における前記m個の物品の物品受入間隔とは異なる物品排出間隔で、前記n個の物品を、同時に排出させることを特徴としている。
第2の発明によれば、物品排出数が複数とされ、物品排出部と物品受入部とにおける物品間隔が異なっても、物品排出位置において、同時に複数の物品を排出させることが可能であり、製造ライン全体の生産能力を向上させることができるという従来にない有利な効果を奏する。
本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明の搬送機において、前記搬送経路のうちの、前記物品受入部から前記物品排出部に至る搬送経路の一部が、搬送されている物品を滞留させる滞留経路とされ、前記滞留経路の長さが、排出させる物品数を滞留させる長さ以上であり、次の複数の物品を受入れることができる余長を残した長さとされていることを特徴としている。
物品受入部から物品排出部までの搬送経路の一部が、搬送中の物品の滞留経路とされている。滞留経路の長さが、排出される物品数以上であるため、物品排出部において物品を排出させた後に、滞留している物品を、速やかに物品排出部に移動させることができる。また、次に受入れる複数の物品の搬送長さの余長が、空き経路として滞留経路に残されているため、物品受入部に受入れて搬送された物品が、滞留経路に滞留されている物品に衝突しにくい。
物品排出部における単位時間あたりの排出数と、物品受入部における単位時間あたりの受入数が同一の場合には、物品排出又は物品受入のいずれも停止させる必要がない。しかし、第3の発明によれば、仮に物品受入に連続した欠品が発生した場合でも、物品排出を停止させなくてもよいという有利な効果を奏する。滞留経路の長さを、過去の単位時間あたりの欠品実績に基づいて、物品排出および物品受入のいずれも停止させないように設定しておけばよい。
本発明の第4の発明は、第3の発明の搬送機であって、前記滞留経路に滞留された物品数が、排出される物品数よりも少なくなっている場合には、前記物品排出部における物品排出を停止させ、前記物品受入部において物品を受入れると、滞留経路の前記余長がなくなる場合には、前記物品受入部における物品の受入れを停止させることを特徴としている。
滞留経路に滞留された物品数は、公知の検知手段により検知させればよい。第4の発明によれば、滞留経路の滞留物品数が不足しないように物品排出が停止され、滞留経路の滞留物品数が過剰とならないように、物品受入が停止されて、滞留物品数が調整され、搬送機の不測の停止が回避されるという有利な効果を奏する。
本発明の第5の発明は、第3又は第4の発明の搬送機であって、前記物品排出部の下流側の可動子の移動経路が、物品を滞留させる第2滞留経路とされ、前記物品排出部において、物品の排出が停止された際には、物品の排出が停止されてから所定の時間は、前記物品受入部において物品の受入れを継続させると共に、受入れた物品を滞留経路と第2滞留経路に滞留させておくことを特徴としている。
物品排出部において物品が停止される場合としては、物品排出部において物品の排出に支障が発生した場合、生産ライン全体を停止させる場合などがある。物品が、周囲を熱溶着して薬剤を格納させるPTPシート等の場合には、物品受入部の近くに、PTPシートの周囲を熱溶着させる熱溶着手段が設置されている。物品受入部において、いきなりPTPシートの受入れを停止させると、薬剤を投入したPTPシートが、熱溶着手段の熱影響範囲に留まり、薬剤が変質し不良品となる可能性がある。
しかし、物品の排出が停止される場合でも、物品の排出が停止されてから所定の時間は、受入れた物品を物品排出部の下流の経路も含めて滞留させ、連続して物品を受入れ可能とさせている。PTPシートの受入れが継続されている間に、熱影響範囲に至るPTPシートには、薬剤を投入させないようにし、空のPTPシートを送り出しておき、空のPTPシートだけを廃棄するようにすればよい。第5の発明によれば、熱溶着による包装であっても、損傷された物品を排出させにくいという従来にない有利な効果を奏する。
本発明の第6の発明は、第1から第5の発明の搬送機であって、前記物品受入部において受入れる複数の物品のいずれかが欠品している場合には、前記可動子が、物品が欠品している位置には待機されないことを特徴としている。
物品受入部における、欠品の検知は公知の検知手段によればよい。物品受入の前に欠品検知がされ、物品受入部のどの位置が欠品状態となるかが検知され、予め、物品が欠品となる位置には、可動子が待機されない。これにより、物品受入部から搬送経路に移動された可動子のいずれもが物品を搬送させた状態とされ、物品排出部に向けて移動された可動子に空がなく、物品排出部において所定の数の物品数を排出させることができるという有利な効果を奏する。
・本発明の第1の発明によれば、複数の製造ラインで製造された複数の物品を同時に受入れ、任意数の物品を同時に排出させることができると共に、変形されやすい物品にも適用でき、不良物品の発生を抑制することができるという従来にない有利な効果を奏する。
・本発明の第2の発明によれば、物品排出数が複数とされ、物品排出部と物品受入部とにおける物品間隔が異なっても、物品排出位置において、同時に複数の物品を排出させることが可能であり、製造ライン全体の生産能力を向上させることができるという従来にない有利な効果を奏する。
・本発明の第3の発明によれば、仮に物品受入に連続した欠品が発生した場合でも、物品排出を停止させなくてもよいという有利な効果を奏する。
・本発明の第4の発明によれば、滞留経路の滞留物品数が不足しないように物品排出が停止され、滞留経路の滞留物品数が過剰とならないように、物品受入が停止されて、滞留物品数が調整され、搬送機の不測の停止が回避されるという有利な効果を奏する。
・本発明の第5の発明によれば、熱溶着による包装であっても、損傷された物品を排出させにくいという従来にない有利な効果を奏する。
・本発明の第6の発明によれば、物品受入部から搬送経路に移動された可動子のいずれもが物品を搬送させた状態とされ、物品排出部に向けて移動された可動子に空がなく、物品排出部において所定の数の物品数を排出させることができるという有利な効果を奏する。
環状の搬送経路を有し、電磁相互作用により移動される可動子により物品を搬送させる搬送機において、物品を受入れさせる直前に、物品受入部に物品受入体を移動して待機させ、搬送経路の側方から複数の物品を同時に受入れさせるようにした。そして、物品受入体を物品受入部から同時に移動させ、次の物品受入を可能とさせると共に、下流側から順に、移動させた物品のうち予め設定されている数の物品を、物品排出部において所定の間隔で排出できるようにした。
実施例1では、錠剤が収容されるPTPシートの製造ライン100に配設される搬送機1を、図1から図3を参照して説明する。図1(A)図は、搬送機1及び製造ライン100の側面図を示し、図1(B)図は、図1(A)図において破線で囲まれた部分の平面図を示している。図2は、搬送機1の通常動作を説明する工程図を示している。図3は、搬送機1の欠品が検知された際の動作を説明する工程図を示している。実施例3においてブロック図とフロー図を参照して説明し、実施例1及び実施例2では説明を省略している。
まず、図1(A)図を参照して、PTPシートの製造ライン100の全体構成を簡単に説明する。本実施例では、2枚のシート体が熱溶着されてなるPTPシート200のうち、錠剤格納部を有するシート体を表側シート体201とし、錠剤格納部の開口を封鎖させる平坦なアルミ箔製のシート体を裏側シート体202とし、2枚のPTPシートを積層させたものを積層体203と称して説明する。
PTPシートの製造ライン100は、上流側にシート体製造機110が配され、その下流に搬送機1が配され、搬送機1の搬送経路に沿って側方に下流の搬送ラインをなすピロー包装機・バンド掛け包装機等の包装機120が配されて一つの製造ライン100をなしている。まず、シート体製造機110について簡単に説明する。本実施例では、生産効率を向上させるため、PTPシートの製造周期が同期された4機のシート体製造機110が並列して配され、搬送機1に同時に4組の積層体203を受け渡すようにされている(図1(B)図参照)。
各々のシート体製造機110は、錠剤格納部の開口を上方に向けた表側シート体201を、下流に搬送させながら、錠剤供給装置111から錠剤格納部に錠剤を供給させている。熱溶着手段をなす二つのローラ112,113により表側シート体201と、裏側シート体供給装置114から供給された裏側シート体202とを挟み込み、裏側シート体に接しているローラ112を加熱させ、2枚のシート体を熱溶着させて、錠剤格納部を閉鎖させている。
次いで、シート体の切断・反転装置115により、シート体をPTPシートの規格に合せて切断させると共に、シート体を上下反転させている。そして、積層装置116により二枚のPTPシートが積層体203をなすように積層させ、フィンガーコンベア117により搬送機1に複数の物品が同時に受け渡される。また、フィンガーコンベア117の上方には、搬送される積層体に欠品がないかを検知させる欠品検知手段50が設けられている(図1(B)図参照)。
搬送機1は、リニア駆動により物品を搬送させる搬送機であり、環状の搬送経路をなす固定子10と、固定子に沿って駆動される可動子20とを含んでいる。搬送経路に沿って、複数の物品を同時に受入れさせる物品受入部30と、予め設定されている数の物品を所定の間隔で排出させるように物品排出部40が配設されている。
固定子10は、電磁相互作用を生じさせる電磁石と、各々の可動子の現在位置を検知させる可動子位置検知手段と、可動子の制御手段とを有している。電磁石は、搬送経路に沿って環状に備えられている。可動子位置検知手段は、搬送経路に沿って環状に設けられたエンコーダとされ、可動子に設けられた無線通信タグを読み取ることにより可動子の位置情報を検知させている。無線通信タグは、電磁界や電波を用いた無線通信であればよく、限定されない。例えば、公知のRFID等が好適に利用できる。
可動子の制御手段は、可動子の位置を制御させる可動子位置制御手段と、可動子の速度を制御させる可動子速度制御手段とを備えている。可動子位置制御手段は、物品受入位置、物品排出位置、滞留位置に適合させるように可動子を移動させると共に、可動子の位置を制御させている。可動子速度制御手段は、可動子位置制御手段により制御された所定の位置にまで、可動子を滑らかに加速・減速させると共に、前の可動子に衝突させないように、各々の可動子の移動速度を制御させている。
また、物品受入部30から物品排出部40に至る搬送経路の一部が、搬送されている物品の滞留経路11とされている。滞留経路11の長さは、1回の物品排出で排出される物品を滞留させる長さ以上であり、次の物品受入で受入れさせる複数の物品を滞留させる余長12が残されている(図1(B)図,図3参照)。
可動子20は、基端側が固定子10に装着されると共に、他端側が物品に接して物品を挟んで搬送させる搬送片21(図1(A)図、図2(D)図参照)を有し、物品受入体をなしている。可動子20は、固定子との電磁相互作用により駆動されるため、その移動速度が加減速されるに適していると共に、各々を独立駆動させるに適している。電磁相互作用とは、同種の磁極間に働く反発力・異種の磁極間に働く引力をいう。可動子は、磁力による反発力により押し出され、磁力による引力により引き寄せられ、速く、且つ高い精度で滑らかに移動される。
搬送経路の物品受入部30よりも上流側で待機させた可動子22を、シート体製造機110から複数の積層体203が受け渡される直前に、物品受入部30に移動させる。そして、複数の物品の一部が欠品となっている場合には、物品が供給されるラインに対応された位置にのみ可動子を送り出させて待機させるようにし、可動子が空の状態のまま下流に送り出されることを防止させている(図3参照)。
欠品がいずれかのシート体製造機が緊急停止されたことを原因とする場合には、そのシート体製造機が復旧するまでの間は、他の正常に動作されているシート体製造機により、生産が継続されるため、生産効率の低下が抑制される。
各々の可動子の移動速度は、電磁相互作用の極性を反転させる周期を変えることにより、個別に変えることができる。例えば、弧状の搬送経路13の部分については、物品に大きな遠心力がかからないように可動子を低速で移動させ、直線状の搬送経路14の部分については、可動子を高速で移動させると好適である。これにより、生産効率を高くさせることができると共に、未包装・未結束の積層体であっても搬送中に崩れにくいという有利な効果を奏する。可動子の移動速度は、約4m/secの高速移動が可能とされている。
各々の可動子を独立駆動させることができるため、物品受入部30から物品排出部40に至るまでの移動時間と、物品の受入時間と、物品の排出時間とを、任意に設定させることができる。しかも、可動子を断続的に動作させないため、移動中に振動が発生されにくい。移動に要する時間を短くさせれば、物品受入から物品排出までの時間が同一でも、物品の受入時間と物品の排出時間を長くすることができる。これにより、変形されやすい両面アルミ箔製のPTPシート等であっても、物品の受入・排出に伴う変形が抑制される。
また、固定子の任意の位置において、可動子に対して磁力による引力のみを作用させるようにすれば、搬送経路のいずれの位置であっても、可動子を停止させる位置として設定させることができる。公知の搬送機用の固定子であれば、停止位置の誤差を10μmの高い精度で任意に設定させることができ、物品排出部40の物品排出間隔を、物品受入部30の物品受入間隔とは異なる間隔で設定させることができる。
更に、可動子が停止される位置の数を変えることにより、物品受入部・物品排出部に並べさせる可動子の数を変えることもできる。物品受入部30においては、並列させるシート体製造機の数に応じて、可動子の停止位置の設定数を決定させればよい。一方、物品排出部40においては、下流側の包装機の能力に応じて、可動子の停止位置の設定数を決定させればよい。
可動子に備えられる搬送片21は、物品を挟持して搬送させる挟持部23(図1(A)図参照)とされている。挟持部をなす上側板体24は、下方に延びる軸体25を有し、物品受入部30の下方に配される押上手段130により前記軸体が押し上げられ、挟持部23の開口幅が広げられる。また、上側板体24には、図示しない弾発手段が備えられ、その弾性復元力により上側板体24が下側板体26に押し付けられ挟持部23が閉じられる。物品の受入時には、挟持部23の開口幅が広げられた状態で物品が受入れられ、挟持部23が閉じられた状態で物品が搬送される。
なお、積層体203の長手方向が搬送経路に沿って、物品受入部30まで搬送されるため、積層体が挟持部23に挟持された状態において、PTPシートの長手方向の両端部が、挟持部の両端から外方に突き出された状態で搬送される。そして、物品排出部40で搬送片21から積層体203を排出させる際には、図示しない押出部が、固定子の中心側から外方側に向かって駆動され、PTPシートの両端部204を押し出して排出させている。
次に、搬送機1の基本動作の例を、図2を参照して説明する。図2は、物品受入部30において4個の可動子が4組の積層体203を同時に受入れ、物品排出部40において、下流側の2個の可動子が先行して積層体203を排出させ、次の排出で残りの積層体203が排出されるという一連の動作工程を示している。
図2では、理解を容易にするため、物品受入部30から物品排出部40までの直線状の搬送経路14、弧状の搬送経路13、直線状の搬送経路14(図1(B)図参照)の順で構成される搬送経路を、一つの直線に近似させて示すと共に、滞留経路に物品を滞留させていない状態を基にして説明する。また、物品受入部30と物品排出部40を破線で囲って示すと共に、積層体203を着色して示し、可動子20の動作方向を一点鎖線矢印で示している。
複数の可動子20が、物品受入部30よりも上流側の位置で待機されている状態で、搬送機1の上流側に配設されるフィンガーコンベア117により複数の積層体203が搬送されると共に、欠品検知手段50により欠品が生じているか否かが検知される(図2(A)図参照)。欠品が検知されなかった場合には、各々の積層体203を受入れる直前に、フィンガーコンベアの配設間隔に応じた所定の間隔となるように、4個の可動子20が物品受入部30に並べられ(図2(B)図参照)、4組の積層体203が各々の可動子20に受入れられる(図2(C)図参照)。
そして、搬送片21が、受入れた全ての物品を物品受入部30から同時に搬送させて、次の物品受入を可能な状態とさせる(図2(D)図参照)。なお、物品受入部から同時に搬送させるとは、必ずしも可動子の速度を同期させる必要はなく、各々の可動子が独立された状態で同じタイミングで搬送を開始させればよく、移動中に下流側の可動子同士の速度に差があってもよいことは勿論のことである。
4個の可動子20のうち下流側の2個の可動子27が、残りの可動子28よりも先行して移動される。そして、物品排出部40において、物品受入間隔よりも広い物品排出間隔となるように並べられて停止状態となる(図2(E)図参照)。より具体的には、包装機の性能に応じた間隔に適合させるように、下流側の第1同期位置15と上流側の第2同期位置16とが位置制御される。次の排出工程では、残りの可動子28が物品排出部40に至り、積層体を排出させる(図2(F)図)。そして、排出の終わった可動子20が、再び物品受入部30の上流側の待機位置にまで進んで停止される。なお、可動子を隣接されるベルトコンベアの移動速度に同期させて排出させてもよい。
次に、上流から送られる積層体203に欠品が発生した場合における搬送機の動作について、図3を参照して説明する。図3は、図2と同様に、物品受入部から物品排出部までの搬送経路を、一つの直線で近似させて示している。ここでは、滞留経路11に5つの滞留可動子29が滞留されている状態を基にし、物品受入部の4か所の受入位置のうち、下流側から3番目の受入位置31で欠品が発生した場合を例に説明する。
図3(A)図は、欠品が検知された状態を示し、図3(B)図は、可動子20が物品受入の直前に、欠品位置を除いて物品受入部30に並べられた状態を示している。図3(C)図は、可動子に物品が受入れられた状態を示し、図3(D)図は、予め滞留された物品から順に、物品排出部に搬送させている状態を示している。
物品受入部から物品搬送部までの搬送経路の一部が滞留経路11とされ、予め5個の可動子29が滞留された状態とされている。欠品検知手段50は、物品受入部30よりも上流側の位置に配され、物品受入前に欠品の有無を検知させている。具体的には、公知の光学センサー等をフィンガーコンベアの上方に配設させ、欠品の有無を検知させればよい。
次に、欠品が発生した場合の搬送機の動作工程を説明する。まず、欠品検知手段50により欠品が検知される(図3(A)図参照)。欠品検知手段50から、欠品の発生と欠品の位置とを示す欠品情報が、可動子位置制御手段に通知される。可動子位置制御手段は、欠品情報に基づいて、物品受入部よりも上流側に待機させていた可動子22を、欠品が発生された受入位置31を除き、欠品とならない物品受入位置だけに送り出して停止させる(図3(B)図参照)。そして、欠品とならない物品受入位置で、可動子20が積層体203を受入れる(図3(C)図参照)。滞留可動子29の先頭から物品排出部40に送られて物品が排出されると共に、物品を受入れた可動子20が滞留可動子29の終端に停止される(図3(D)図参照)。
実施例2では、滞留数検知手段を備えた搬送機2を、図4を参照して説明する。図4(A)図は、滞留経路11に滞留されている物品数が、1回の排出で排出される物品数よりも少なくなった状態を示している。図4(B)図は、滞留経路11に滞留されている物品数が多くなり、次の物品受入が可能な余長がなくなった状態を示している。図4の各々の図では、物品受入後の可動子を黒塗りの丸印で示し、物品受入前の可動子を白抜き丸印で示している。以下の実施例でも同様としている。実施例2では、物品受入部から3個の物品を同時に受入れし、物品排出部から4個の物品を同時に排出させる場合を例に説明する。
搬送機2は、搬送機1で説明した構成に加えて、滞留経路11に滞留された物品数を検知させる滞留数検知手段19を備えている。滞留経路の位置・滞留される物品数等は、可動子位置制御手段により制御される。また、滞留数検知手段に検知された物品数に応じて、物品排出を継続又は停止させる物品排出制御手段と、物品受入を継続又は停止させる物品受入制御手段とを備えている。
図に示していない滞留数検知手段は、固定子10に備えられたエンコーダが、物品受入部30から物品排出部40までに滞留されている滞留可動子29のRFIDタグを読み取ることにより、滞留経路11に滞留された物品数を検知させている。滞留数検知手段により検知された物品数が、1回の物品排出数よりも少ない場合(図4(A)図参照)には、物品排出制御手段により、物品排出部40における物品排出を停止させると共に、滞留可動子29を物品排出部40に送らないようにさせる。滞留数検知手段により、滞留経路11に排出数以上の可動子が滞留されたことが検知された後には、物品の排出を再開させればよい。
滞留経路11において、余長12にも可動子29が滞留され、次の物品を受入れるための余長がなくなっていることが検知された場合(図4(B)図参照)には、物品受入制御手段により、物品受入部30における物品の受入を停止させると共に、物品の排出を継続させ、滞留された物品数を減らすようにさせる。
実施例3では、物品排出検知手段60を備えると共に、物品排出部40よりも下流側の移動経路が第2滞留経路17とされた搬送機3を、図5から図7を参照して説明する。図5は、搬送機3に物品が搬送されている状態を示している。図5(A)図は、物品の排出が停滞されていない状態を示している。図5(B)図は、物品の排出が停滞された後に、所定の時間は物品の受入を継続させると共に、物品を受入れた可動子を、物品排出部よりも下流側の第2滞留経路17にも滞留させている状態を示している。図5(C)図は、物品の受入を停止させた状態を示している。
図6は、搬送機のブロック図を示し、図7は、搬送機のフロー図を示している。図7において、物品受入位置制御処理とは、実施例1で示した欠品時における可動子の動作制御処理を指している。第1物品滞留処理とは、実施例2で示した可動子の動作制御処理を指している。第2物品滞留処理とは、実施例3で説明する可動子の動作制御処理を指している。
実施例3では、実施例1と同様に、物品受入部から4個の物品を同時に受入れ、物品排出部から2個の物品を同時に排出させる場合を例に説明する。物品排出検知手段60(図5(A)図参照)包装機120(図1参照)の動作状況から、物品の排出がされている状態と、物品の排出が停滞された状態とを検知している。物品排出検知手段60は、包装機自体から伝達される停止信号を検知させるものであってもよく、光学センサーにより包装機の動作状況を検知させてもよく、形態は限定されない。
搬送機3の上流工程をなすシート体製造機110(図1参照)と、搬送機の下流工程をなす包装機120(図1参照)のいずれも正常に動作している場合には、4個の物品を同時に受入れる1周期の間に、2個の物品が2回排出され、滞留経路11に滞留された物品数は一定数を維持している(図5(A)図参照)。
錠剤用のPTPシートの製造ラインにおいて、搬送機の下流工程をなす包装機が停止されると同時にシート体製造機も停止させると、連続して繋がったシート体の送出しが停止される。そうすると、既に送出された錠剤を格納させたPTPシートが、熱溶着手段の熱影響範囲に留まることになり、熱により前記錠剤が変質され、不良品となる可能性がある(図1(A)図参照)。
そこで、実施例3では、不良品を発生させないために、前記包装機が停止された際には、停止に合せて錠剤の供給のみを停止させ、PTPシートの送出しを継続させるようにしている。そうすると、既に錠剤を格納させたPTPシートについては、前記熱影響範囲から退避させることができ、錠剤が変質されるおそれをなくすことができる。すなわち、前記所定の時間とは、既に錠剤が格納されたPTPシートが、熱影響範囲から退避されるまでの時間以上であればよい。
前記所定の時間の間も、PTPシートの生産は継続されるため、排出ができない場合でもPTPシートの受入を継続させておく必要がある。熱影響範囲は、シート体製造機の性能に応じて異なるが、例えば熱影響範囲を約50cmの長さとし、PTPシートの幅を5cmと仮定すると、本実施例のように、4機のシート体製造機が並列されている場合には、合計40枚分のPTPシートが供給されるまでは、受入れを継続させる必要がある。
そこで、搬送機3では、物品排出部40よりも下流の移動経路を第2滞留経路17として、可動子20を滞留させるようにしている(図5(B)図参照)。そして、既に錠剤が格納されたPTPシートが熱影響範囲を通過し、全ての可動子20が物品を受入れた状態となってから、物品の受入を停止させれば、錠剤の変質を防止させることができる(図5(C)図参照)。
そして、包装機の停止の原因が解消し、物品の排出が可能となった場合には、第2滞留経路17に滞留させた可動子20を移動経路に沿って周回させ、先頭にある可動子61から順に物品の排出を再開させればよい。物品排出がある程度進んでからは、通常どおり物品の受入も再開させればよい(図5(A)図参照)。なお、空のPTPシートは、生産ラインから取り除かれ廃棄される。
次に、搬送機3の構成を、図6及び図7を参照して説明する。図6は搬送機のブロック図を示し、図7は可動子の速度を制御させるフロー図を示している。搬送機3は、入力手段70と、記憶手段80と、制御手段90とを含んでいる。制御手段90は、可動子の制御に必要となる欠品検知手段50、物品排出検知手段60、可動子位置検知手段18、滞留数検知手段19からの外部信号を受信し、可動子の動作を制御する。また、制御手段90には、動作処理の内容を表示させる表示手段300と、動作処理を選択させる選択手段310とが接続されている。
入力手段70からは、製造ラインの仕様や所望の搬送形態に適合されるように、必要な情報が入力され、記憶手段80には、入力手段から入力された情報が、一連の情報群として記憶される。記憶される情報群は、一つの搬送形態の情報群に限定されず、予め複数の搬送形態の情報群が記憶されてもよい。製造される製品の規格に応じて、予め複数の情報群を記憶させておけば、搬送形態を変える場合であっても、複数の情報群の中から所望の情報群を選択させるだけで、可動子の動作の設定を容易に変えることができる。
入力される一連の情報群は、可動子位置を制御させるために必要な位置関連情報と、可動子速度を制御させるために必要な速度関連情報とされる。位置関連情報は、物品受入位置・物品排出位置、1回あたりの物品受入数・物品排出数、物品排出間隔・物品受入間隔、滞留経路の位置・滞留物品数、第2滞留経路の位置等とされる。速度関連情報は、物品受入周期・物品排出周期、物品受入及び物品排出に要する受渡時間等とされる。
制御手段90は、実施例1で説明した可動子位置制御手段91及び可動子速度制御手段92と、実施例2で説明した物品排出制御手段93及び物品受入制御手段94とを有している。可動子位置制御手段91と可動子速度制御手段92は、選択された情報群と、各々の検知手段からの外部信号に基づいて、可動子を移動させる位置と可動子の移動速度を制御させる。そして、制御手段90からの動作信号に基づいて、固定子10と可動子20との間に電磁相互作用が作用され、可動子が所望の位置に至るまで、所望の速度で駆動される。
弧状に湾曲した経路を含む搬送経路において処理される可動子制御処理のフローについて、図7を参照して説明する。所定単位時間ごとに、以下の可動子制御処理(S0からS99)がされ、物品が搬送される。ステップ0にて、制御手段に前記情報群と前記外部信号とが読み込まれて可動子制御処理が開始される(S0)。
まず、ステップ1にて、欠品検知手段50(図6参照)により欠品が検知されたか否かの判定処理がされる(S1)。ステップ1にて、欠品が検知されたら、ステップ100にて物品受入位置制御処理がされ、欠品位置を除外した受入位置にのみ可動子を停止させ(S100)てからステップ2に進む。欠品が検知されなかったら、ステップ2に進む。
ステップ2では、前記情報群から読み出した所定の物品受入位置に、物品受入部よりも上流に待機されていた複数の可動子を、順に停止させる物品受入処理がされる(S2)。次に、ステップ3にて、可動子の速度制御処理がされる(S3)。可動子の速度制御処理においては、可動子速度制御手段91(図6参照)により、所定の物品排出周期に応じて、可動子を移動させている。ステップ3においては、可動子位置検知手段18(図6参照)で可動子の位置を検知させ、可動子の現在位置が弧状に湾曲した経路にある場合には、可動子を減速させ、直線状の経路にある場合には、高速で可動子を移動させる。
次に、ステップ4にて、滞留物品数が所定範囲内か否かの判定処理がされる(S4)。具体的には、滞留数検知手段19(図6参照)により所定の数よりも少ないか又は多いかが検知される。滞留物品数が所定の範囲内であり、物品受入部から受入れた物品を滞留経路に滞留させる場合には、ステップ200の第1物品滞留処理に進み、可動子を滞留可動子の終端に停止させ、滞留可動子の先頭を物品排出部に向けて送り出させながら、全体を順送りさせ(S200)、ステップ5の物品排出が停滞しているか否かの判定処理に進む(S5)。
ステップ4にて、滞留物品数が所定の範囲外、具体的には、滞留数検知手段により所定の数よりも少ないか又は多いかが検知された場合には、ステップ210に進む(S4)。ステップ210では、滞留物品数が少ない場合には、物品排出制御手段93(図6参照)で物品の排出を停止させ、滞留物品数が多い場合には、物品受入制御手段94(図6参照)で物品の受入を停止させるように、物品排出・受入制御処理をしてから(S210)、ステップ5の物品排出が停滞しているか否かの判定処理に進む(S5)。
ステップ5にて、物品排出検知手段60(図6参照)に検知された情報に基づき、物品排出が停滞しているか否かの判定処理がされる(S5)。物品排出が停滞している場合には、ステップ300にて、第2物品滞留処理(S300)を経て、ステップ6の物品排出処理に進む(S6)。第2物品滞留処理は、物品排出を停止させると共に、物品排出位置よりも下流に配された第2滞留経路まで物品を受入れた可動子を移動させ(図6(B)及び図6(C)図参照)、ステップ6の物品排出処理に進む(S6)。ステップ5にて、物品排出が停滞していない場合には、ステップ6の物品排出処理に進む(S6)。
ステップ6にて、可動子を所望の物品排出位置で停止させるように、各々の可動子を減速させ、物品排出部に可動子を並んだ状態で停止させる(S6)。ステップ99にて、可動子から物品が排出されて下流工程に受け渡され、物品受入から物品排出までの可動子制御処理が終了される(S99)。なお、ステップ6にて、所望の物品排出位置で、隣接されるベルトコンベアの移動速度に可動子を同期させて排出させてもよい。
(その他)
・実施例では、搬送経路に沿って、1か所の物品排出部が備えられる例を説明したが、複数の物品排出部を備えさせてもよいことは勿論のことである。例えば、物品排出部を複数の箇所に配設し、複数台の包装機を使って包装させることにより、生産効率を向上させてもよい。外にも物品排出部ごとに、ピロー包装・バンド掛け包装等の異なる包装形態に対応できるようにし、包装形態に応じて物品排出部を切り換えて使用させてもよい。
・実施例では、物品排出部において停止した状態で物品を排出させる例を説明したが、隣接されるベルトコンベアの移動速度に同期させて排出させてもよいことは、勿論のことである。
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記した説明に限られず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。