JP2020069443A - 分離膜モジュール及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】乾燥防止条件によってモジュールの純水透過流束が膜の純水透過流束より大きく低下することなく、純水透過流束を高い水準で維持できる分離膜モジュール及びその製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】複数の分離膜12と、該分離膜の少なくとも一端が開口した状態で外筒部材11にて固定された固定部13を備えた分離膜モジュール10であって、前記分離膜モジュールに純水を透過させたときの透過流束を膜間差圧で除した値Apが、前記分離膜に純水を透過させたときの透過流束を膜間差圧で除した値Bpに対する比(Ap/Bp)で、0.8以上1.2以下であることを特徴とする分離膜モジュール。【選択図】図1A
Description
本開示は、分離膜モジュール及びその製造方法に関する。
膜分離法は種々の用途で広く使われており、分離膜素材としても多種多様な物が使用され水との親和性が高い親水性のものと、水との親和性が低い疎水性のものとに分類できる。
一般的には、複数の分離膜を整束し、少なくとも一端が開口した状態で外筒部材にて固定されている分離膜モジュールとして使用される。
従来の公知技術では、分離膜をモジュールにする際に乾燥工程を含む方法が取られているが、乾燥による膜特性(特に、透水性能)への影響は大きいことが課題として挙げられている。例えば、親水性の多孔膜は乾燥前後での膜構造変化が大きく、疎水性の多孔膜は乾燥前後での膜構造変化が少ない一方で、製膜後に乾燥すると乾燥前に比べて著しく透水性能が低下することが挙げられている(例えば、特許文献1)。
そのため、公知の製造方法では親水性膜、疎水性膜を問わず、分離膜の固定工程において膜が乾燥しないよう乾燥防止処理を行っている。しかし、この分離膜の固定工程では、乾燥防止剤が剥離しないような処理が必要であり、その乾燥防止剤が透過水に浸出しないような洗浄工程が必要であった。また、乾燥防止条件によっては、モジュールの純水透過流束が膜の純水透過流束より大きく低下すること、モジュールの純水透過流束が不安定になることがある。これはすなわち本来発現すべき分離孔径を維持できていないことを意味する。
また、長期にわたる優れた透過性能を維持するために、透過流束を膜間差圧で除した値を適切な範囲に設定することが提案されている(例えば、特許文献2)。この実施例の欄には、分離膜モジュールに純水を透過させたときの透過流束を膜間差圧で除した値と、分離膜単品に純水を透過させたときの透過流束を膜間差圧で除した値との比が、最小で0.08、最大で0.71と、モジュールにした際の透水量の低下が開示されている。つまり、特許文献2のような膜モジュールの透水量を発揮するためには、膜単品の透水量をさらに大きく設計する必要があった。また、乾燥防止剤を不要とするモジュールの製造方法についても開示がなく、モジュール製造過程において、純水透水量又は孔径を維持することは技術的に容易ではないと推測される。
一般的には、複数の分離膜を整束し、少なくとも一端が開口した状態で外筒部材にて固定されている分離膜モジュールとして使用される。
従来の公知技術では、分離膜をモジュールにする際に乾燥工程を含む方法が取られているが、乾燥による膜特性(特に、透水性能)への影響は大きいことが課題として挙げられている。例えば、親水性の多孔膜は乾燥前後での膜構造変化が大きく、疎水性の多孔膜は乾燥前後での膜構造変化が少ない一方で、製膜後に乾燥すると乾燥前に比べて著しく透水性能が低下することが挙げられている(例えば、特許文献1)。
そのため、公知の製造方法では親水性膜、疎水性膜を問わず、分離膜の固定工程において膜が乾燥しないよう乾燥防止処理を行っている。しかし、この分離膜の固定工程では、乾燥防止剤が剥離しないような処理が必要であり、その乾燥防止剤が透過水に浸出しないような洗浄工程が必要であった。また、乾燥防止条件によっては、モジュールの純水透過流束が膜の純水透過流束より大きく低下すること、モジュールの純水透過流束が不安定になることがある。これはすなわち本来発現すべき分離孔径を維持できていないことを意味する。
また、長期にわたる優れた透過性能を維持するために、透過流束を膜間差圧で除した値を適切な範囲に設定することが提案されている(例えば、特許文献2)。この実施例の欄には、分離膜モジュールに純水を透過させたときの透過流束を膜間差圧で除した値と、分離膜単品に純水を透過させたときの透過流束を膜間差圧で除した値との比が、最小で0.08、最大で0.71と、モジュールにした際の透水量の低下が開示されている。つまり、特許文献2のような膜モジュールの透水量を発揮するためには、膜単品の透水量をさらに大きく設計する必要があった。また、乾燥防止剤を不要とするモジュールの製造方法についても開示がなく、モジュール製造過程において、純水透水量又は孔径を維持することは技術的に容易ではないと推測される。
このような状況下、純水透過流束がより安定かつより良好な透過性能を維持することができる分離膜モジュールが求められている。
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、乾燥防止条件によってモジュールの純水透過流束が分離膜の純水透過流束より大きく低下することなく、純水透過流束を高い水準で維持できる分離膜モジュール及びその製造方法を提供することを目的とする。
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、乾燥防止条件によってモジュールの純水透過流束が分離膜の純水透過流束より大きく低下することなく、純水透過流束を高い水準で維持できる分離膜モジュール及びその製造方法を提供することを目的とする。
本願は以下の発明を含む。
(1)複数の分離膜と、該分離膜の少なくとも一端が開口した状態で外筒部材にて固定された固定部を備えた分離膜モジュールであって、
前記分離膜モジュールに純水を透過させたときの透過流束を膜間差圧で除した値Apと、前記分離膜に純水を透過させたときの透過流束を膜間差圧で除した値Bpとの比(Ap/Bp)が、0.8以上1.2以下であることを特徴とする分離膜モジュール。
(2)前記外筒部材の断面の内面積のうち、前記複数の分離膜の合計断面積が占める充填率が30%以上70%以下である上記に記載の分離膜モジュール。
(3)前記分離膜が中空糸膜である上記に記載の分離膜モジュール。
(4)前記中空糸膜が親水性を有し、かつ、前記固定部を構成する固定用樹脂がエポキシ樹脂及びウレタン樹脂の少なくとも一方を含む熱硬化性樹脂である上記のいずれかに記載の分離膜モジュール。
(5)前記外筒部材に固定された前記分離膜であって、前記熱硬化性樹脂と接着された位置の分離膜内表面の孔面積率Adと、前記熱硬化性樹脂と接着されていない位置の分離膜内表面の孔面積率Bdとの比(Ad/Bd)が0.6以上である上記に記載の分離膜モジュール。
(6)複数の分離膜と、該分離膜の少なくとも一端が開口した状態で外筒部材に固定された固定部を備えた分離膜モジュールの製造方法であって、
前記分離膜の外表面の水分量を一定量に調整した湿潤分離膜を準備する工程と、
前記湿潤分離膜の少なくとも一端が開口するように外筒部材に固定する工程を有することを特徴とする分離膜モジュールの製造方法。
(7)前記湿潤分離膜の前記固定部と接触する外表面を除く外表面の水分量が10%以上である上記に記載の製造方法。
(8)前記湿潤分離膜を準備する工程において、水槽に浸漬させた分離膜の外表面から水分を除去することによって浸潤分離膜を準備し、前記除去された水が、全有機炭素濃度5,000ppm以下及び全蒸発残留物400ppm以下の少なくとも一方を満たす上記に記載の製造方法。
(9)前記固定部を構成する固定用樹脂がエポキシ樹脂及びウレタン樹脂の少なくとも一方を含む熱硬化性樹脂であり、
前記熱硬化性樹脂を充填する方法が遠心注型法である上記のいずれかに記載の製造方法。
(10)前記固定部を構成する固定用樹脂がエポキシ樹脂及びウレタン樹脂の少なくとも一方を含む熱硬化性樹脂から構成されており、
前記分離膜モジュールを静置した状態で前記熱硬化性樹脂を前記浸潤分離膜の端部又は端部付近に充填する上記のいずれかに記載の製造方法。
(11)前記熱硬化性樹脂の充填時、充填後又はその両方において分離膜モジュールに振動を与える上記に記載の製造方法。
(12)前記外筒部材の断面の内面積のうち、前記複数の湿潤分離膜の合計断面積が占める充填率が30%以上70%以下になるよう前記湿潤分離膜を固定する上記のいずれかに記載の製造方法。
(1)複数の分離膜と、該分離膜の少なくとも一端が開口した状態で外筒部材にて固定された固定部を備えた分離膜モジュールであって、
前記分離膜モジュールに純水を透過させたときの透過流束を膜間差圧で除した値Apと、前記分離膜に純水を透過させたときの透過流束を膜間差圧で除した値Bpとの比(Ap/Bp)が、0.8以上1.2以下であることを特徴とする分離膜モジュール。
(2)前記外筒部材の断面の内面積のうち、前記複数の分離膜の合計断面積が占める充填率が30%以上70%以下である上記に記載の分離膜モジュール。
(3)前記分離膜が中空糸膜である上記に記載の分離膜モジュール。
(4)前記中空糸膜が親水性を有し、かつ、前記固定部を構成する固定用樹脂がエポキシ樹脂及びウレタン樹脂の少なくとも一方を含む熱硬化性樹脂である上記のいずれかに記載の分離膜モジュール。
(5)前記外筒部材に固定された前記分離膜であって、前記熱硬化性樹脂と接着された位置の分離膜内表面の孔面積率Adと、前記熱硬化性樹脂と接着されていない位置の分離膜内表面の孔面積率Bdとの比(Ad/Bd)が0.6以上である上記に記載の分離膜モジュール。
(6)複数の分離膜と、該分離膜の少なくとも一端が開口した状態で外筒部材に固定された固定部を備えた分離膜モジュールの製造方法であって、
前記分離膜の外表面の水分量を一定量に調整した湿潤分離膜を準備する工程と、
前記湿潤分離膜の少なくとも一端が開口するように外筒部材に固定する工程を有することを特徴とする分離膜モジュールの製造方法。
(7)前記湿潤分離膜の前記固定部と接触する外表面を除く外表面の水分量が10%以上である上記に記載の製造方法。
(8)前記湿潤分離膜を準備する工程において、水槽に浸漬させた分離膜の外表面から水分を除去することによって浸潤分離膜を準備し、前記除去された水が、全有機炭素濃度5,000ppm以下及び全蒸発残留物400ppm以下の少なくとも一方を満たす上記に記載の製造方法。
(9)前記固定部を構成する固定用樹脂がエポキシ樹脂及びウレタン樹脂の少なくとも一方を含む熱硬化性樹脂であり、
前記熱硬化性樹脂を充填する方法が遠心注型法である上記のいずれかに記載の製造方法。
(10)前記固定部を構成する固定用樹脂がエポキシ樹脂及びウレタン樹脂の少なくとも一方を含む熱硬化性樹脂から構成されており、
前記分離膜モジュールを静置した状態で前記熱硬化性樹脂を前記浸潤分離膜の端部又は端部付近に充填する上記のいずれかに記載の製造方法。
(11)前記熱硬化性樹脂の充填時、充填後又はその両方において分離膜モジュールに振動を与える上記に記載の製造方法。
(12)前記外筒部材の断面の内面積のうち、前記複数の湿潤分離膜の合計断面積が占める充填率が30%以上70%以下になるよう前記湿潤分離膜を固定する上記のいずれかに記載の製造方法。
本発明の分離膜モジュール製造方法によれば、乾燥工程を用いずにモジュールを製造することができる。よって、モジュールの純水透過流束が膜の純水透過流束より大きく低下させることなく、モジュールの純水透過流束を安定化させることができる。
また、本発明の分離膜モジュールは、純水透過流束を高い水準で維持することができる。
また、本発明の分離膜モジュールは、純水透過流束を高い水準で維持することができる。
〔分離膜モジュール〕
本開示における一実施形態は、複数の分離膜と、これら分離膜の少なくとも一端が開口した状態で外筒部材にて固定された固定部を備えた分離膜モジュールである。
この分離膜モジュールは、分離膜モジュールに純水を透過させたときの透過流束を膜間差圧で除した値Apと、分離膜に純水を透過させたときの透過流束を膜間差圧で除した値Bpとの比(Ap/Bp)が0.8以上1.2以下であり、0.9以上1.1以下が好ましく、0.95以上1.05以下がより好ましい。
この分離膜モジュールでは、複数の分離膜は、直線状の分離膜を複数本束ねたもの、複数の分離膜を中間位置でU字状に折り返して結束したもの等、用途に応じて種々の形態を採ることができる。
このような分離膜モジュールでは、モジュール製造時においても、長期にわたっても、分離孔径の変化、特に縮小を抑制でき、純水透過流束を高い水準で維持することができる。
本開示における一実施形態は、複数の分離膜と、これら分離膜の少なくとも一端が開口した状態で外筒部材にて固定された固定部を備えた分離膜モジュールである。
この分離膜モジュールは、分離膜モジュールに純水を透過させたときの透過流束を膜間差圧で除した値Apと、分離膜に純水を透過させたときの透過流束を膜間差圧で除した値Bpとの比(Ap/Bp)が0.8以上1.2以下であり、0.9以上1.1以下が好ましく、0.95以上1.05以下がより好ましい。
この分離膜モジュールでは、複数の分離膜は、直線状の分離膜を複数本束ねたもの、複数の分離膜を中間位置でU字状に折り返して結束したもの等、用途に応じて種々の形態を採ることができる。
このような分離膜モジュールでは、モジュール製造時においても、長期にわたっても、分離孔径の変化、特に縮小を抑制でき、純水透過流束を高い水準で維持することができる。
一実施形態では、図1Aに示すように、分離膜モジュール10は、外筒部材11と、外筒部材11内に収容された複数の分離膜12とを備える。複数の分離膜12は、外筒部材11内の一端部(好ましくは両端部)において分離膜の端部が開口した状態で、固定部13によって外筒部材11に固定されている。外筒部材11の両端は、被濾過水(原水)を供給するための接続部14と、濃縮水を排出するための接続部15とを有している。また、外筒部材の側面には、濾過水を排出するための排出口11aが設けられている。
(分離膜)
本実施形態で用いられる分離膜は、膜形状、膜径、肉厚、分離孔径、空孔率、膜長さ、内部構造等は、特に限定されるものではなく、得ようとする分離膜モジュールの特性等に応じて、適宜調整することができる。
膜形状としては、平膜、中空糸膜等公知の分離膜を適用することができる。なかでも、分離膜モジュールへの分離膜の充填率を高めることがより容易であるという観点から、中空糸膜が好ましい。
分離膜は、例えば、15mm程度以下の内径を有するものが挙げられる。分離膜の内径は、その外径及び肉厚によって決定されるが、耐圧性能又は膜モジュールにおける膜ろ過面積のとのバランスを図る観点から、例えば、8mm以下が好ましく、5mm程度以下がより好ましい。分離膜の肉厚は、0.05mm〜3.0mm程度が挙げられ、0.05mm〜2mm程度が好ましい。特に、分離膜の内径が8mm以下の場合、肉厚は0.05mm〜2mm程度が好ましい。なお、分離膜の内外径、肉厚等は、電子顕微鏡写真等を用いた実測等によって測定することができる。
分離膜の膜長さ、分離孔径、内部構造等は種々の要因によって適宜決定することができる。
本実施形態で用いられる分離膜は、膜形状、膜径、肉厚、分離孔径、空孔率、膜長さ、内部構造等は、特に限定されるものではなく、得ようとする分離膜モジュールの特性等に応じて、適宜調整することができる。
膜形状としては、平膜、中空糸膜等公知の分離膜を適用することができる。なかでも、分離膜モジュールへの分離膜の充填率を高めることがより容易であるという観点から、中空糸膜が好ましい。
分離膜は、例えば、15mm程度以下の内径を有するものが挙げられる。分離膜の内径は、その外径及び肉厚によって決定されるが、耐圧性能又は膜モジュールにおける膜ろ過面積のとのバランスを図る観点から、例えば、8mm以下が好ましく、5mm程度以下がより好ましい。分離膜の肉厚は、0.05mm〜3.0mm程度が挙げられ、0.05mm〜2mm程度が好ましい。特に、分離膜の内径が8mm以下の場合、肉厚は0.05mm〜2mm程度が好ましい。なお、分離膜の内外径、肉厚等は、電子顕微鏡写真等を用いた実測等によって測定することができる。
分離膜の膜長さ、分離孔径、内部構造等は種々の要因によって適宜決定することができる。
分離膜は、透水性能を確保する観点から、その表面に多数の微細孔を有する多孔質膜であることが好ましい。その微細孔の平均孔径(以下、分離孔径ということがある)は、例えば、10μm程度以下が好ましい。膜表面の細孔の大きさ及び密度は、上述した内径、肉厚、得ようとする特性等によって適宜調整することができるが、本願では、分離膜の孔径低下を抑制できる効果があることを考慮すると、0.001μm〜5μm程度が好ましく、0.01μm〜1μm程度がさらに好ましい。
分離膜の空孔率は、例えば、10%〜90%程度が挙げられ、20%〜80%程度が好ましい。ここでの空孔率は、任意の横断面(中空糸膜の径方向の断面、以下同じ)における中空糸膜の全面積に対する空孔の全面積の割合を意味し、例えば、膜横断面の顕微鏡写真から各面積を算出して求める方法が挙げられる。
分離膜の空孔率は、例えば、10%〜90%程度が挙げられ、20%〜80%程度が好ましい。ここでの空孔率は、任意の横断面(中空糸膜の径方向の断面、以下同じ)における中空糸膜の全面積に対する空孔の全面積の割合を意味し、例えば、膜横断面の顕微鏡写真から各面積を算出して求める方法が挙げられる。
分離膜は、単一層で形成されてもよいし、複数の素材の複合体、積層体であってもよい。また、無機系、高分子系等の材料が挙げられるが、高分子材料の膜であることが好ましく、親水性を有する膜であることがより好ましい。親水性を有する膜の場合、その親水性によって分離膜が水分を保持しやすく、後述するように、分離膜の製造において、乾燥防止剤を用いた乾燥防止処理を行うことなく、分離膜の外表面の水分量を一定水分量以上に保持することが容易になるからである。膜に親水性を付与する方法としては、分離膜を構成する高分子材料として(1)親水性モノマーとの共重合による膜素材の親水化、(2)親水素材とのブレンドによる親水化又は(3)分離膜成形後に表面の親水化改質等当該分野で公知の種々の方法を利用することができる(例えば、特許第5791592号)。膜における親水性は、空気層と接する膜表面が親水化されていることが好ましい。
一実施形態では、本願の分離膜モジュールにおいて用いられる分離膜は、少なくとも分離膜モジュールを組み立てる際に浸潤した状態のものが好ましく、乾燥防止剤を用いた乾燥工程を行うことなく、浸潤した状態のものがより好ましい。そのような分離膜は、膜間差圧100kPaにおける純水の透過流束が100L/(m2・h)程度以上とするものが挙げられる。分離膜の強度とのバランスの観点から、また、本願においては分離膜の孔径低下を抑制できる効果があることを考慮すると、100L/(m2・h)〜10000L/(m2・h)程度とするものが好ましく、200L/(m2・h)〜6000L/(m2・h)程度がより好ましい。なお、上述した分離膜の純水の透過流束は、実施例に記載の方法で測定することができる。
また、この分離膜は、純水を透過させたときの透過流束を膜間差圧で除した値Bpが、1L/(m2・h・kPa)〜100L/(m2・h・kPa)程度とするものが好ましく、2L/(m2・h・kPa)〜60L/(m2・h・kPa)程度がより好ましい。
例えば、Bpは、分離膜の製造条件等によって制御することができる。具体的には、Bpは、分離膜を相分離法で成膜する場合、相分離の挙動を変化させることで孔の大小、多少を制御し、延伸法で成膜する場合、延伸する程度によって孔の大小、多少を制御することによって制御することができる。
また、この分離膜は、純水を透過させたときの透過流束を膜間差圧で除した値Bpが、1L/(m2・h・kPa)〜100L/(m2・h・kPa)程度とするものが好ましく、2L/(m2・h・kPa)〜60L/(m2・h・kPa)程度がより好ましい。
例えば、Bpは、分離膜の製造条件等によって制御することができる。具体的には、Bpは、分離膜を相分離法で成膜する場合、相分離の挙動を変化させることで孔の大小、多少を制御し、延伸法で成膜する場合、延伸する程度によって孔の大小、多少を制御することによって制御することができる。
(外筒部材)
外筒部材は、複数の分離膜の分離膜束の少なくとも一端が開口するように固定し得る部材である。分離膜束の固定された部分を除いては、必ずしも分離膜束の全部を収容していなくてもよいが、図1Aに示すように、分離膜束の全部を収容していることが好ましい。
外筒部材に分離膜が充填されすぎると、固定する強度が低下したり、分離膜同士が接触して分離に有効となる分離膜表面積が低下する。一方で、分離膜の充填量が少ないと、コストが増加する。そのため、外筒部材の断面の内面積のうち、複数の分離膜の合計断面積が占める充填率が30%〜70%であることが好ましい。ここでの外筒部材の断面とは、分離膜及び/又は外筒部材が延長する方向に垂直な断面を意味する。
外筒部材は、筒状成形体であることが好ましい。外筒部材は、複数の分離膜を均等に配置し得る形状を有するものが好ましい。また、複数の分離膜が、分離対象物質に同時又は並行に接触し得る形態であってもよいし、直列で接触し得る形態であってもよい。必要に応じて外筒部材には、貫通孔、突出部、螺子部、ろ過水を集合するための集水管等が付設されていてもよい。
外筒部材は、機械的強度及び耐久性を有するものであればよく、例えば、各種樹脂によって形成することができる。具体的には、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ABS樹脂等が挙げられる。なかでも、後述する固定部との接着性が良好な材料を用いることが好ましい。
外筒部材は、固定部との接着面にプライマー処理又はプラズマ処理等を施す、溝等の処理を施し、アンカー効果を付与する等、固定部との接着表面の改質処理を行うことが好ましい。このような処理は、特に、以下に示す固定部との接着性が低い場合には効果的である。
外筒部材は、複数の分離膜の分離膜束の少なくとも一端が開口するように固定し得る部材である。分離膜束の固定された部分を除いては、必ずしも分離膜束の全部を収容していなくてもよいが、図1Aに示すように、分離膜束の全部を収容していることが好ましい。
外筒部材に分離膜が充填されすぎると、固定する強度が低下したり、分離膜同士が接触して分離に有効となる分離膜表面積が低下する。一方で、分離膜の充填量が少ないと、コストが増加する。そのため、外筒部材の断面の内面積のうち、複数の分離膜の合計断面積が占める充填率が30%〜70%であることが好ましい。ここでの外筒部材の断面とは、分離膜及び/又は外筒部材が延長する方向に垂直な断面を意味する。
外筒部材は、筒状成形体であることが好ましい。外筒部材は、複数の分離膜を均等に配置し得る形状を有するものが好ましい。また、複数の分離膜が、分離対象物質に同時又は並行に接触し得る形態であってもよいし、直列で接触し得る形態であってもよい。必要に応じて外筒部材には、貫通孔、突出部、螺子部、ろ過水を集合するための集水管等が付設されていてもよい。
外筒部材は、機械的強度及び耐久性を有するものであればよく、例えば、各種樹脂によって形成することができる。具体的には、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ABS樹脂等が挙げられる。なかでも、後述する固定部との接着性が良好な材料を用いることが好ましい。
外筒部材は、固定部との接着面にプライマー処理又はプラズマ処理等を施す、溝等の処理を施し、アンカー効果を付与する等、固定部との接着表面の改質処理を行うことが好ましい。このような処理は、特に、以下に示す固定部との接着性が低い場合には効果的である。
(固定部)
分離膜を固定するための固定部は、O−リング等の物理的に外筒部材に固定し得る部材であってもよいし、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂、これらに繊維状物又は微粉体等が含有された部材であってもよい。固定部は、分離膜モジュールの用途に応じて、種々の形態にて分離膜を固定し得るものであればよい。熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。なかでも、固定部は、ウレタン樹脂又はエポキシ樹脂のいずれか一方を含む熱硬化性樹脂であることが好ましい。特に、分離膜表面に水分が一定量以上存在する状態にて硬化する場合、ウレタン樹脂は水と反応して発泡が起こるため、発泡抑制を目的とした吸水剤が配合されたウレタン樹脂であることがより好ましい。また、外筒部材を構成する材料との接着性が良好なものを選択することが好ましい。
固定用の樹脂を用いる場合、例えば、硬化した後の硬度は用途に応じて選択することができるが、その耐久性の観点からは、ショアD硬度で50以上であることが好ましく、60以上がより好ましく、ショアD硬度で50以上の熱硬化性樹脂がさらに好ましい。熱硬化性樹脂を用いる場合は、硬化中の最高発熱温度は100℃以下であることが好ましく、90℃以下であることがより好ましい。分離膜中の水分が気化し、固定用の樹脂に混入すると、その部分が空洞となり、被分離空間と透過空間とが連通するリーク不良が発生しやすい。そのために、最高発熱温度を一定値以下にすることにより、このようなリーク不良を防ぐことができる。
分離膜を固定するための固定部は、O−リング等の物理的に外筒部材に固定し得る部材であってもよいし、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂、これらに繊維状物又は微粉体等が含有された部材であってもよい。固定部は、分離膜モジュールの用途に応じて、種々の形態にて分離膜を固定し得るものであればよい。熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。なかでも、固定部は、ウレタン樹脂又はエポキシ樹脂のいずれか一方を含む熱硬化性樹脂であることが好ましい。特に、分離膜表面に水分が一定量以上存在する状態にて硬化する場合、ウレタン樹脂は水と反応して発泡が起こるため、発泡抑制を目的とした吸水剤が配合されたウレタン樹脂であることがより好ましい。また、外筒部材を構成する材料との接着性が良好なものを選択することが好ましい。
固定用の樹脂を用いる場合、例えば、硬化した後の硬度は用途に応じて選択することができるが、その耐久性の観点からは、ショアD硬度で50以上であることが好ましく、60以上がより好ましく、ショアD硬度で50以上の熱硬化性樹脂がさらに好ましい。熱硬化性樹脂を用いる場合は、硬化中の最高発熱温度は100℃以下であることが好ましく、90℃以下であることがより好ましい。分離膜中の水分が気化し、固定用の樹脂に混入すると、その部分が空洞となり、被分離空間と透過空間とが連通するリーク不良が発生しやすい。そのために、最高発熱温度を一定値以下にすることにより、このようなリーク不良を防ぐことができる。
(分離膜モジュール)
分離膜モジュールは、固定前の分離膜と同等の性能が維持されたモジュールであることが好ましい。ここでの同等の性能とは、例えば、純水透過流束が同等であること、分離膜の孔径が同等であること等が挙げられる。なかでも、分離膜モジュールに固定される前後の分離膜の孔径が同等であることが好ましい。ここでの同等とは、例えば、孔径については、固定前後の分離膜の孔の大きさが±40%程度以内の変化にとどまる程度を意味する。また、固定部が樹脂等で分離膜を固定している場合、分離膜が固定される部分は分離に寄与しない。よって、分離膜モジュールにおいて中空糸膜を固定する場合、固定前後のろ過に寄与する分離膜の孔径が同等であることに加え、分離膜モジュール内の全中空糸膜において、固定部、例えば、固定用の樹脂と接着された位置(図1B中のM)の分離膜内表面の孔面積率Adと固定部、例えば、固定用の樹脂と接着されていない位置(図1B中のN)の分離膜内表面の孔面積率Bdとの比(Ad/Bd)が0.6以上であることが挙げられ、0.7以上が好ましく、0.8以上がより好ましい。これによって、固定前後の分離膜の孔径が同等であると判断することができ、分離性能に変化がないことを容易に確認することができる。分離膜の孔径の観察には、電子顕微鏡写真、走査型プローブ顕微鏡写真等を用いた実測等によって測定することができる。
分離膜モジュールは、固定前の分離膜と同等の性能が維持されたモジュールであることが好ましい。ここでの同等の性能とは、例えば、純水透過流束が同等であること、分離膜の孔径が同等であること等が挙げられる。なかでも、分離膜モジュールに固定される前後の分離膜の孔径が同等であることが好ましい。ここでの同等とは、例えば、孔径については、固定前後の分離膜の孔の大きさが±40%程度以内の変化にとどまる程度を意味する。また、固定部が樹脂等で分離膜を固定している場合、分離膜が固定される部分は分離に寄与しない。よって、分離膜モジュールにおいて中空糸膜を固定する場合、固定前後のろ過に寄与する分離膜の孔径が同等であることに加え、分離膜モジュール内の全中空糸膜において、固定部、例えば、固定用の樹脂と接着された位置(図1B中のM)の分離膜内表面の孔面積率Adと固定部、例えば、固定用の樹脂と接着されていない位置(図1B中のN)の分離膜内表面の孔面積率Bdとの比(Ad/Bd)が0.6以上であることが挙げられ、0.7以上が好ましく、0.8以上がより好ましい。これによって、固定前後の分離膜の孔径が同等であると判断することができ、分離性能に変化がないことを容易に確認することができる。分離膜の孔径の観察には、電子顕微鏡写真、走査型プローブ顕微鏡写真等を用いた実測等によって測定することができる。
分離膜の固定前後の純水透過流束が同等であることは、例えば、分離膜モジュールの純水透過流束が、分離膜の純水透過流束と同等程度であることを、その判断指標とすることができる。具体的には、分離膜モジュールに純水を透過させたときの透過流束を膜間差圧で除した値(Ap)と、分離膜に純水を透過させたときの透過流束を膜間差圧で除した値(Bp)との比(Ap/Bp)が、0.8以上1.2以下が好ましく、0.9以上1.1以下がより好ましく、0.95以上1.05以下がさらに好ましい。
この比(Ap/Bp)が、当該範囲内であることで、膜単体の水分量と、モジュール製造工程を経て得られたモジュールの膜束の水分量の差が小さいことを確認できる。従って、モジュール製造工程中で揮発する水分量を最小限に抑え、水分量を一定にしたモジュールを得ることが可能となる。その結果、得られるモジュールの膜束の分離膜の孔径が乾燥によって潰れることなく、膜単体を製造した時点での孔径を保持できるため、高い純水透過量を維持できる。ここでの一定の水分量とは、後述するように、10%以上が挙げられる。
Ap及びBpを算出する場合の透過流束及び/又は膜間差圧は、特に限定されないが、例えば、透過流束及び膜間差圧のいずれかを所定の値として設定し、Ap及びBpを算出することが好ましい。この場合、膜間差圧100kPaにおける純水の透過流束が100L/(m2・h)以上の所定量とすることが挙げられる。あるいは、膜間差圧をその膜が破壊しない範囲の所定圧とすることが挙げられる。
例えば、Ap及びBpは、それぞれ、分離膜モジュールに純水を透過させたときの膜間差圧100kPaにおける純水の透過流束、分離膜に純水を透過させたときの膜間差圧100kPaにおける純水の透過流束として得られた値とすることができる。
なお、Ap及びBpの値は、透過流束、膜間差圧の値によって変動することがある。一方、透過流束は膜間差圧によって比例的に変化するものであり、分離膜の性能が安定しているものであれば、透過流束を膜間差圧で除した値(膜間差圧あたりの透過流束)は膜間差圧を変化させても同一又は略同一の値になる。
この比(Ap/Bp)が、当該範囲内であることで、膜単体の水分量と、モジュール製造工程を経て得られたモジュールの膜束の水分量の差が小さいことを確認できる。従って、モジュール製造工程中で揮発する水分量を最小限に抑え、水分量を一定にしたモジュールを得ることが可能となる。その結果、得られるモジュールの膜束の分離膜の孔径が乾燥によって潰れることなく、膜単体を製造した時点での孔径を保持できるため、高い純水透過量を維持できる。ここでの一定の水分量とは、後述するように、10%以上が挙げられる。
Ap及びBpを算出する場合の透過流束及び/又は膜間差圧は、特に限定されないが、例えば、透過流束及び膜間差圧のいずれかを所定の値として設定し、Ap及びBpを算出することが好ましい。この場合、膜間差圧100kPaにおける純水の透過流束が100L/(m2・h)以上の所定量とすることが挙げられる。あるいは、膜間差圧をその膜が破壊しない範囲の所定圧とすることが挙げられる。
例えば、Ap及びBpは、それぞれ、分離膜モジュールに純水を透過させたときの膜間差圧100kPaにおける純水の透過流束、分離膜に純水を透過させたときの膜間差圧100kPaにおける純水の透過流束として得られた値とすることができる。
なお、Ap及びBpの値は、透過流束、膜間差圧の値によって変動することがある。一方、透過流束は膜間差圧によって比例的に変化するものであり、分離膜の性能が安定しているものであれば、透過流束を膜間差圧で除した値(膜間差圧あたりの透過流束)は膜間差圧を変化させても同一又は略同一の値になる。
分離膜モジュールに純水を透過させたときの透過流束を膜間差圧で除した値(Ap)は、例えば、1L/(m2・h・kPa)〜100L/(m2・h・kPa)程度とするものが好ましく、2L/(m2・h・kPa)〜60L/(m2・h・kPa)程度がより好ましく、10.5L/(m2・h・kPa)〜60L/(m2・h・kPa)程度がさらに好ましく、11L/(m2・h・kPa)〜50L/(m2・h・kPa)程度がより一層好ましく、11.5L/(m2・h・kPa)〜40L/(m2・h・kPa)程度が特に好ましい。ここで用いられる分離膜は、後述するように、分離膜の外表面の水分量を一定にした湿潤した分離膜の状態である。
例えば、Apは、分離膜モジュールの製造方法によって制御することができる。具体的には、後述するように、分離膜を成膜した後、完全に乾燥せずに湿潤した状態でモジュール化することによって、Apを制御することができる。従って、その結果物として、AdとBdとの比を一定以上として、ApとBpとの比(Ap/Bp)を上述した所定の範囲内に制御することができる。
例えば、Apは、分離膜モジュールの製造方法によって制御することができる。具体的には、後述するように、分離膜を成膜した後、完全に乾燥せずに湿潤した状態でモジュール化することによって、Apを制御することができる。従って、その結果物として、AdとBdとの比を一定以上として、ApとBpとの比(Ap/Bp)を上述した所定の範囲内に制御することができる。
本開示における分離膜モジュールは、目的用途に使用する前に洗浄工程を不要もしくは最低限とするため、分離膜モジュールに純水を透過させたときに得られる透過水のうち、最初に得られる透過水の全有機炭素濃度(TOC)は、5,000ppm以下程度が挙げられ、2,000ppm以下程度が好ましく、1,000ppm以下がより好ましい。あるいは、最初に得られる透過水の全蒸発残留物量(TDS)が400mg/L以下程度であることが好ましく、200mg/L以下程度がより好ましく、100mg/L以下がさらに好ましい。ここで、全有機炭素濃度は、燃焼酸化型全有機体炭素分析計によって測定することができる。また、全蒸発残留物量は得られた透過水を105℃で蒸発乾固させたときの蒸発皿の重量との重量差によって測定することができる。なお、透過流束は、各モジュール径(インチサイズ)、膜面積、容器の大きさ等によって変動するが、モジュールの容器内、つまり外筒部材内に水が溜まって膜を通過する流束であればよい。例えば、所定量の透水量で満たされるサイズの容器、膜面積であれば、その所定量の透過水を流して回収し、全有機炭素濃を測定することができる。よって、最初に得られる透過水は、最初に得られた透過水の所定量、例えば、2Lを回収して得られたものを意味する。
〔分離膜モジュールの製造方法〕
本願における一実施形態の分離膜モジュールの製造方法は、少なくとも
前記分離膜の外表面の水分量を一定量に調整した湿潤分離膜を準備する工程を含む。
また、さらに、湿潤分離膜の少なくとも一端が開口するように外筒部材に固定する工程を含んでいることが好ましい。
このような製造方法では、乾燥防止剤を用いた乾燥工程を行うことなく分離膜モジュールを製造することができるため、つまり、乾燥防止処理工程が不要となり、プロセスを短縮することができ、製造コストの低減を図ることができる。
例えば、従来、分離膜の製造後において分離膜が乾燥しすぎないように乾燥防止処理が行われていたが、その処理で用いられる乾燥防止剤(グリセリン等)は一定の粘性を有する液体であるため、一定の膜厚を有する分離膜の場合、分離孔径が小さいほど、乾燥防止剤が分離孔に浸透しにくくなる。その結果、表面上の分離孔の乾燥を防止できても、分離膜の内部にまで乾燥防止剤が浸透しないため、結果的に透過水量が減るという現象が生じていた。しかし、本願の製造方法では、乾燥防止剤を用いることなく、分離膜内部の乾燥を防止できる。
また、乾燥防止条件によってモジュールの純水透過流束が膜の純水透過流束より大きく低下させることがなく、モジュールの純水透過流束を安定化させることができる。
本願における一実施形態の分離膜モジュールの製造方法は、少なくとも
前記分離膜の外表面の水分量を一定量に調整した湿潤分離膜を準備する工程を含む。
また、さらに、湿潤分離膜の少なくとも一端が開口するように外筒部材に固定する工程を含んでいることが好ましい。
このような製造方法では、乾燥防止剤を用いた乾燥工程を行うことなく分離膜モジュールを製造することができるため、つまり、乾燥防止処理工程が不要となり、プロセスを短縮することができ、製造コストの低減を図ることができる。
例えば、従来、分離膜の製造後において分離膜が乾燥しすぎないように乾燥防止処理が行われていたが、その処理で用いられる乾燥防止剤(グリセリン等)は一定の粘性を有する液体であるため、一定の膜厚を有する分離膜の場合、分離孔径が小さいほど、乾燥防止剤が分離孔に浸透しにくくなる。その結果、表面上の分離孔の乾燥を防止できても、分離膜の内部にまで乾燥防止剤が浸透しないため、結果的に透過水量が減るという現象が生じていた。しかし、本願の製造方法では、乾燥防止剤を用いることなく、分離膜内部の乾燥を防止できる。
また、乾燥防止条件によってモジュールの純水透過流束が膜の純水透過流束より大きく低下させることがなく、モジュールの純水透過流束を安定化させることができる。
(湿潤分離膜の準備)
まず、分離膜を準備する。分離膜は、熱誘起相分離法(TIPS)、非溶媒誘起相分離法(NIPS)、延伸法等、当該分野で公知の方法を利用して製造したものを用いることができる。例えば、特開2016−039190、WO2011/108579号に記載された方法等で製造されたものが挙げられる。
次に、分離膜の外表面の水分量を一定量に調整した湿潤分離膜を準備する。ここでの分離膜の外表面とは、固定部と接触する外表面を除く。
例えば、相分離法によって成膜された分離膜を凝固槽又は別の水槽(例えば、脱溶媒槽等)等から取り出し又は成膜方法にかかわらず水槽に浸漬させた分離膜を準備し、その分離膜の外表面に付着した水分を除去する方法、あるいは、成膜方法にかかわらず、得られた分離膜を浸潤させる方法等によって、水分量を一定にすることができる。水分の除去は、分離膜の外表面の水分量が一定水分量以上に保持できるように、例えば、分離膜の外表面の水を切ること、つまり、水滴を除去することが挙げられる。これにより、外筒部材への固定不良を防ぐことができる。これは特に、固定用の樹脂を用いて外筒部材に固定する際により効果的となる。分離膜の外表面の水切又は水滴除去は、袋に包装して一定時間分離膜を吊る(放置)してもよいし、外筒部材に内包して一定時間分離膜を吊る(放置)してもよい。袋又は外筒部材内においては、雰囲気温度、雰囲気湿度、水分除去に要する時間等の条件を適宜調整することができる。また、水分除去時間を短縮するため、分離膜束を振動させながら水分を除去してもよいし、遠心力を加えながら又は加えて水分を除去してもよい。ただし、必要以上の水分が蒸発することを防ぐために、雰囲気温度は50℃以下が適しており、作業性の観点も含めて、40℃以下が好ましい。浸潤させる方法は、やはり分離膜の外表面の水分量が一定水分量以上に保持できるように、分離膜の外表面に水分を塗布又は噴霧する方法、分離膜を水槽に浸漬する方法、分離膜に透水する方法などが挙げられる。
ここで、水分量を一定量に調整するとは、分離膜モジュールの純水透過流束が低下しない程度の水分量の範囲に調整することを意味する。具体的には、水分除去又は水分付加後の浸潤膜の表面を電気抵抗式水分計で測定した際の水分量が10%以上であることが挙げられ、15%以上が好ましく、20%以上がより好ましい。また、80%以下であることが挙げられ、75%以下が好ましく、70%以下がより好ましい。分離膜が親水性を有する場合は、親水性により水分を保持しやすくなる。ここでの水分量は、分離膜の固定部と接触する外表面を除く外表面の水分量を意味する。
まず、分離膜を準備する。分離膜は、熱誘起相分離法(TIPS)、非溶媒誘起相分離法(NIPS)、延伸法等、当該分野で公知の方法を利用して製造したものを用いることができる。例えば、特開2016−039190、WO2011/108579号に記載された方法等で製造されたものが挙げられる。
次に、分離膜の外表面の水分量を一定量に調整した湿潤分離膜を準備する。ここでの分離膜の外表面とは、固定部と接触する外表面を除く。
例えば、相分離法によって成膜された分離膜を凝固槽又は別の水槽(例えば、脱溶媒槽等)等から取り出し又は成膜方法にかかわらず水槽に浸漬させた分離膜を準備し、その分離膜の外表面に付着した水分を除去する方法、あるいは、成膜方法にかかわらず、得られた分離膜を浸潤させる方法等によって、水分量を一定にすることができる。水分の除去は、分離膜の外表面の水分量が一定水分量以上に保持できるように、例えば、分離膜の外表面の水を切ること、つまり、水滴を除去することが挙げられる。これにより、外筒部材への固定不良を防ぐことができる。これは特に、固定用の樹脂を用いて外筒部材に固定する際により効果的となる。分離膜の外表面の水切又は水滴除去は、袋に包装して一定時間分離膜を吊る(放置)してもよいし、外筒部材に内包して一定時間分離膜を吊る(放置)してもよい。袋又は外筒部材内においては、雰囲気温度、雰囲気湿度、水分除去に要する時間等の条件を適宜調整することができる。また、水分除去時間を短縮するため、分離膜束を振動させながら水分を除去してもよいし、遠心力を加えながら又は加えて水分を除去してもよい。ただし、必要以上の水分が蒸発することを防ぐために、雰囲気温度は50℃以下が適しており、作業性の観点も含めて、40℃以下が好ましい。浸潤させる方法は、やはり分離膜の外表面の水分量が一定水分量以上に保持できるように、分離膜の外表面に水分を塗布又は噴霧する方法、分離膜を水槽に浸漬する方法、分離膜に透水する方法などが挙げられる。
ここで、水分量を一定量に調整するとは、分離膜モジュールの純水透過流束が低下しない程度の水分量の範囲に調整することを意味する。具体的には、水分除去又は水分付加後の浸潤膜の表面を電気抵抗式水分計で測定した際の水分量が10%以上であることが挙げられ、15%以上が好ましく、20%以上がより好ましい。また、80%以下であることが挙げられ、75%以下が好ましく、70%以下がより好ましい。分離膜が親水性を有する場合は、親水性により水分を保持しやすくなる。ここでの水分量は、分離膜の固定部と接触する外表面を除く外表面の水分量を意味する。
この湿潤分離膜の準備工程では、従来技術のように乾燥防止処理を行わず、よって、乾燥防止剤の処理を必要としないことから、乾燥防止剤が剥離しないような処理を行う必要がなく、乾燥防止剤が透過水に浸出しないように洗浄することも必要とせず、製造プロセスを簡略化することができる。言い換えると、湿潤分離膜の準備工程で、水槽に浸漬された分離膜(好ましくは、成膜直後の分離膜)の外表面から水分を除去することによって浸潤分離膜を準備した場合、除去された水が、全有機炭素濃度5,000ppm以下又は全蒸発残留物量400mg/L以下の少なくとも一方を満たすことが好ましく、双方を満たすことがより好ましい。
なお、分離膜は、固定部と接触する部分においては膜分離に寄与しないため、固定部と接触する分離膜の一部のみ乾燥処理を行い、外筒部材との接着性を高める処理を行ってもよい。具体的には、固定部と接触する分離膜の一部のみ、熱風で乾燥させてもよいし、水分をアルコール等で置換した後に乾燥させる等してもよい。この際、固定部と接触する分離膜の一部は外表面だけでなく、内表面も乾燥してもよい。
また、浸潤分離膜の製造後から分離膜モジュールの製造に取り掛かるまでの浸潤分離膜保管の際などに、一定の殺菌作用を有する溶液中、脱溶媒促進剤を含む水中等に保管されていてもよい。
なお、分離膜は、固定部と接触する部分においては膜分離に寄与しないため、固定部と接触する分離膜の一部のみ乾燥処理を行い、外筒部材との接着性を高める処理を行ってもよい。具体的には、固定部と接触する分離膜の一部のみ、熱風で乾燥させてもよいし、水分をアルコール等で置換した後に乾燥させる等してもよい。この際、固定部と接触する分離膜の一部は外表面だけでなく、内表面も乾燥してもよい。
また、浸潤分離膜の製造後から分離膜モジュールの製造に取り掛かるまでの浸潤分離膜保管の際などに、一定の殺菌作用を有する溶液中、脱溶媒促進剤を含む水中等に保管されていてもよい。
(分離膜の外筒部材への固定)
分離膜モジュールの製造方法では、上記のように準備した湿潤分離膜を、少なくとも一端が開口するように外筒部材に固定することが好ましい。
分離膜は複数を束にして、上述したように、固定部として、O−リング、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いて、外筒部材内に固定する。
一実施形態では、熱硬化性樹脂を用いて中空糸膜を固定して、分離膜モジュールを製造する。ただし、固定方法は、当該分野で公知の方法のいずれを利用してもよい。
まず、(a)準備した湿潤分離膜の束の端部を目止めして分離膜束を形成する。
目止め処理を行うことにより、それ以上、分離膜の中空部に固定用の樹脂が進入することを防ぎ、中空部が固定用樹脂で満たされる不貫通の中空糸の発生を防止することができる。目止め処理を行うための目止め材としては、固定用の樹脂の進入を防げるものであればよく、熱硬化性樹脂、シリコーン、粘土等を用いることができる。目止め材の再利用の観点からは、室温付近に融点のある材料を用いることが好ましい。その場合、後述の端面カット工程後に加温することで目止め材が回収可能となる。分離膜束の外周には、分離膜の保護、整束を目的に、保護材を設けてもよい。保護材の材質、形状、大きさ、数量等は特に限定されるものではない。
分離膜モジュールの製造方法では、上記のように準備した湿潤分離膜を、少なくとも一端が開口するように外筒部材に固定することが好ましい。
分離膜は複数を束にして、上述したように、固定部として、O−リング、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いて、外筒部材内に固定する。
一実施形態では、熱硬化性樹脂を用いて中空糸膜を固定して、分離膜モジュールを製造する。ただし、固定方法は、当該分野で公知の方法のいずれを利用してもよい。
まず、(a)準備した湿潤分離膜の束の端部を目止めして分離膜束を形成する。
目止め処理を行うことにより、それ以上、分離膜の中空部に固定用の樹脂が進入することを防ぎ、中空部が固定用樹脂で満たされる不貫通の中空糸の発生を防止することができる。目止め処理を行うための目止め材としては、固定用の樹脂の進入を防げるものであればよく、熱硬化性樹脂、シリコーン、粘土等を用いることができる。目止め材の再利用の観点からは、室温付近に融点のある材料を用いることが好ましい。その場合、後述の端面カット工程後に加温することで目止め材が回収可能となる。分離膜束の外周には、分離膜の保護、整束を目的に、保護材を設けてもよい。保護材の材質、形状、大きさ、数量等は特に限定されるものではない。
続いて、(b)目止めされた分離膜束を引き揃えて外筒部材に収納する。
その後、(c)浸潤分離膜を、固定部を利用して外筒部材に固定するために、外筒部材の端部に注型キャップを取り付ける。(d)外筒部材の側方にあるノズルから、例えば、浸潤分離膜の端部又は端部付近に、熱硬化性樹脂を注入するか、注型キャップの側面又は底面方向から、隔壁材料を注入する方法等を行う。固定用の樹脂と注型キャップの間から固定用樹脂が漏れることがないよう、固定用樹脂と接着しにくいシール材によってシールすることが好ましい。注入した熱硬化性樹脂の発熱を抑制するために、固定用の樹脂を冷却しながら硬化することが好ましい。この場合、硬化時間が長くなるため、最高発熱を迎える時点程度から、冷却を中止し、加温による硬化促進を図ることが好ましい。
その後、(c)浸潤分離膜を、固定部を利用して外筒部材に固定するために、外筒部材の端部に注型キャップを取り付ける。(d)外筒部材の側方にあるノズルから、例えば、浸潤分離膜の端部又は端部付近に、熱硬化性樹脂を注入するか、注型キャップの側面又は底面方向から、隔壁材料を注入する方法等を行う。固定用の樹脂と注型キャップの間から固定用樹脂が漏れることがないよう、固定用樹脂と接着しにくいシール材によってシールすることが好ましい。注入した熱硬化性樹脂の発熱を抑制するために、固定用の樹脂を冷却しながら硬化することが好ましい。この場合、硬化時間が長くなるため、最高発熱を迎える時点程度から、冷却を中止し、加温による硬化促進を図ることが好ましい。
固定用の樹脂を注型する方法としては、(1)遠心力を利用して液状の接着剤を浸潤分離膜間に浸透させてから硬化させる遠心注型法、(2)液状の固定化剤をノズルから注入し、自然に流動させることにより分離膜間に浸透させてから硬化させる静置注型法等が挙げられる。いずれの場合においても、樹脂の充填中又は後に、分離膜モジュールに振動をあたえてレベリングし、固定用の樹脂の均一性を向上させてもよい。振動を与える手段としては、振動発生機、超音波発生機等が挙げられる。また、固定用の樹脂を注入する際、雰囲気温度を60℃未満で管理することが好ましい。雰囲気温度が高いと熱硬化性樹脂の発熱が高くなり、上述したように、水分による気化が起こりやすくなり、その結果、リーク不良を招く原因となる。
(1)遠心力を利用する場合は、固定用の樹脂をより均一に充填することが可能であるが、遠心力により分離膜中の水分が、固定用の樹脂と接着する浸潤分離膜端部に移動することを避けるため、回転数は300rpm以下とすることが好ましく、固定用樹脂の流動性がなくなった時点以降に回転を停止することがより好ましい。
(2)静置注型法は遠心機等の設備が不要となり、量産がより容易である。静置注型は、固定用の樹脂をより均一に充填するために、また、浸潤分離膜が水分を有しており、分離膜の水分による熱硬化性樹脂の冷却に伴って、熱硬化性樹脂の粘度を上昇させやすいことなどから、注型する時の初期の固定用の樹脂の粘度は低いことが好ましい。その粘度は、例えば、2000mPa・s程度以下が好ましく、固定用の樹脂が分離膜を透過する可能性があることを考慮して、200〜1000mPa・s程度が好ましい。
浸潤分離膜を固定する作業性、固定用用樹脂の充填性を考慮し、外筒部材の断面の内面積のうち、複数の分離膜の合計断面積が占める充填率が30%以上70%以下になるよう分離膜を固定することが好ましい。
硬化した固定用の樹脂は、その強度を高めるために、後工程で加熱してもよい。複数の温度ステップで熱処理を行ってもよい。
(1)遠心力を利用する場合は、固定用の樹脂をより均一に充填することが可能であるが、遠心力により分離膜中の水分が、固定用の樹脂と接着する浸潤分離膜端部に移動することを避けるため、回転数は300rpm以下とすることが好ましく、固定用樹脂の流動性がなくなった時点以降に回転を停止することがより好ましい。
(2)静置注型法は遠心機等の設備が不要となり、量産がより容易である。静置注型は、固定用の樹脂をより均一に充填するために、また、浸潤分離膜が水分を有しており、分離膜の水分による熱硬化性樹脂の冷却に伴って、熱硬化性樹脂の粘度を上昇させやすいことなどから、注型する時の初期の固定用の樹脂の粘度は低いことが好ましい。その粘度は、例えば、2000mPa・s程度以下が好ましく、固定用の樹脂が分離膜を透過する可能性があることを考慮して、200〜1000mPa・s程度が好ましい。
浸潤分離膜を固定する作業性、固定用用樹脂の充填性を考慮し、外筒部材の断面の内面積のうち、複数の分離膜の合計断面積が占める充填率が30%以上70%以下になるよう分離膜を固定することが好ましい。
硬化した固定用の樹脂は、その強度を高めるために、後工程で加熱してもよい。複数の温度ステップで熱処理を行ってもよい。
(e)固定用の樹脂を硬化した後、外筒部材の少なくとも一方の端部付近で浸潤分離膜をカットし、分離膜の少なくとも一方の端面を開口させる。切断の容易性の観点から、固定用の樹脂が完全硬化する前に分離膜を切断してもよいし、完全硬化した樹脂を加温したりして樹脂硬度を低下させて分離膜を切断してもよい。その後、(f)外筒部材の端部に固定用のキャップを取り付けて、分離膜モジュールを完成させる。
上述した膜モジュールの製造方法では、浸潤分離膜の水分量を一定に保ったまま製造することができるため、分離膜モジュールに純水を透過させたときの透過流束を膜間差圧で除した値Apと、分離膜に純水を透過させたときの透過流束を膜間差圧で除した値Bとの比(Ap/Bp)が0.9以上1.1以下と高い値を示すことができる。また、乾燥防止剤を用いる必要がないことから、浸潤分離膜の状態で又は分離膜モジュールが完成した後、分離膜又は分離膜モジュールに純水を透過させたときに得られる透過水のうち、最初に得られる透過水の全有機炭素濃度を5,000ppm以下程度に、また、全蒸発残留物量を400mg/L以下程度に抑えることができ、洗浄工程が不要となる。
分離膜モジュール中の分離膜は、通水性をより高めるために、必要に応じて、表面張力の低いアルコール等の溶液に浸漬してもよいし、分離膜にアルコール等の溶液を通水してもよい。
また、製造された分離膜モジュールに、次亜塩素酸ソーダ、酸、アルカリ等殺菌等を目的とした公知の保存液を適宜封入することが好ましい。
分離膜モジュール中の分離膜は、通水性をより高めるために、必要に応じて、表面張力の低いアルコール等の溶液に浸漬してもよいし、分離膜にアルコール等の溶液を通水してもよい。
また、製造された分離膜モジュールに、次亜塩素酸ソーダ、酸、アルカリ等殺菌等を目的とした公知の保存液を適宜封入することが好ましい。
本実施形態における分離膜モジュールは、例えば、公知の水処理技術に適用することができる。被分離水は用途に応じて選択すればよく、河川水、浄水、農業用水、工業用水、下水、し尿、畜産排水、工場排水等の排水分離、懸濁物又は有価物等の濃縮に用いることができる。また、分離膜モジュールの形態によって分離膜を被分離水に浸漬する方法や被分離水槽とは別に独立した設置する方法等、適宜選択することができる。ろ過方式は、内圧ろ過方式、外圧ろ過方式を利用することができ、ろ過駆動力は、加圧、吸引力、重力等を用いることができる。例えば、WO2014/128850号には全ろ過によるろ過をする水処理方法、WO2014/128851号にはクロスフローにてろ過をする水処理方法が示されており、これらの水処理方法に適用することができる。
以下、本発明の分離膜モジュールを、実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
塩化ビニルモノマー単位とヒドロキシエチルメタアクリレートモノマー単位とを重量比88:12で含む共重合体樹脂を懸濁重合法により製造した。共重合樹脂の重合度は1000であった。共重合樹脂を15重量%と、製膜助剤としてポリエチレングリコール400を10重量%とを、ジメチルアセトアミド75重量%に溶解させ、中空糸ノズルより連続的に吐出させ、水槽にて相分離させる非溶媒相分離法にて、親水性のポリ塩化ビニル製の多孔質の中空糸分離膜Aを得た。分離膜Aの内径は4mm、外径は6mmであった。
実施例1
塩化ビニルモノマー単位とヒドロキシエチルメタアクリレートモノマー単位とを重量比88:12で含む共重合体樹脂を懸濁重合法により製造した。共重合樹脂の重合度は1000であった。共重合樹脂を15重量%と、製膜助剤としてポリエチレングリコール400を10重量%とを、ジメチルアセトアミド75重量%に溶解させ、中空糸ノズルより連続的に吐出させ、水槽にて相分離させる非溶媒相分離法にて、親水性のポリ塩化ビニル製の多孔質の中空糸分離膜Aを得た。分離膜Aの内径は4mm、外径は6mmであった。
(分離膜単体の透過流束の測定方法)
得られた分離膜A単体の透過流束およびBp値を以下の手順で測定した。
水槽での脱溶媒が完了した分離膜1本を分離膜保管水槽から取り出し、分離膜の一端に純水通水用のホースを、他端に純水排出用のホースと圧力調整用バルブを接続した。次いで、前記通水用ホースから膜の内部に純水を供給し、純水供給ポンプの吐出圧力と、圧力調整用バルブの開度調整にて分離膜の内側と分離膜の外側(透過水側)の膜間差圧が100kPaで一定になるよう調整し、分離膜A単体の外側に透過した透過流束およびBp値を測定した。
その結果、膜間差圧100kPaにおける純水の透過流束は、1333L/(m2・h)であった。つまり、Bp値は13.33L/(m2・h・kPa)であった。
得られた分離膜A単体の透過流束およびBp値を以下の手順で測定した。
水槽での脱溶媒が完了した分離膜1本を分離膜保管水槽から取り出し、分離膜の一端に純水通水用のホースを、他端に純水排出用のホースと圧力調整用バルブを接続した。次いで、前記通水用ホースから膜の内部に純水を供給し、純水供給ポンプの吐出圧力と、圧力調整用バルブの開度調整にて分離膜の内側と分離膜の外側(透過水側)の膜間差圧が100kPaで一定になるよう調整し、分離膜A単体の外側に透過した透過流束およびBp値を測定した。
その結果、膜間差圧100kPaにおける純水の透過流束は、1333L/(m2・h)であった。つまり、Bp値は13.33L/(m2・h・kPa)であった。
(湿潤分離膜を準備する工程で除去された水の水質測定方法)
上述した分離膜Aを100本結束し、分離膜束を作製した。
次に、分離膜束を室温20℃、湿度40%の環境にて、30分間吊るして分離膜の外表面の水分を除去した湿潤分離膜束Bを作成した。
このときの除去された水分を採取し、以下に示す測定装置のオートサンプラー用の試験セル(10mL)に水を入れて測定した全有機炭素濃度は48ppm、全蒸発残留物は70mg/Lであった。
全有機炭素濃度は、TELEDYNE INSTRUMENT Tekmar社製のTorch 燃焼酸化型全有機体炭素分析計を用い、水浴槽から引き上げた際に分離膜に付着していた水分(サンプル)を超純水で適時希釈しながら測定した。
また、得られたサンプルのうち100mlを、あらかじめ重量を測定した蒸発皿に入れ、105℃で蒸発乾固させた後の重量の増分を測定することで、単位体積あたりの全残留物量を算出した。
(湿潤分離膜の外表面の水分量測定方法)
さらに、湿潤分離膜B束の外表面(固定部と接触する外表面を除く)を電気抵抗式水分計(ケット科学研究所製 ユニバーサル水分計HB−300)で測定した際の水分量は場所によって変動はあるが25〜35%であった。
上述した分離膜Aを100本結束し、分離膜束を作製した。
次に、分離膜束を室温20℃、湿度40%の環境にて、30分間吊るして分離膜の外表面の水分を除去した湿潤分離膜束Bを作成した。
このときの除去された水分を採取し、以下に示す測定装置のオートサンプラー用の試験セル(10mL)に水を入れて測定した全有機炭素濃度は48ppm、全蒸発残留物は70mg/Lであった。
全有機炭素濃度は、TELEDYNE INSTRUMENT Tekmar社製のTorch 燃焼酸化型全有機体炭素分析計を用い、水浴槽から引き上げた際に分離膜に付着していた水分(サンプル)を超純水で適時希釈しながら測定した。
また、得られたサンプルのうち100mlを、あらかじめ重量を測定した蒸発皿に入れ、105℃で蒸発乾固させた後の重量の増分を測定することで、単位体積あたりの全残留物量を算出した。
(湿潤分離膜の外表面の水分量測定方法)
さらに、湿潤分離膜B束の外表面(固定部と接触する外表面を除く)を電気抵抗式水分計(ケット科学研究所製 ユニバーサル水分計HB−300)で測定した際の水分量は場所によって変動はあるが25〜35%であった。
(分離膜モジュールの透過流束の測定方法)
続いて、得られた湿潤分離膜束を瞬間硬化型のエポキシ樹脂で目止めし、内径75mmの筒状成形体である外筒部材に充填した。充填率は64%であった。外筒部材の両端にシール用パッキン、注型キャップを取り付け、200rpmの速度にて外筒部材を遠心しながら、外筒部材側面のノズルから、固定部として、吸水材料を配合したウレタン樹脂が注入されるよう遠心注型を行った。ウレタン樹脂の硬化後、外筒部材両端のウレタン樹脂を切断し、図1Aに示すような分離膜モジュール10を得た。
得られた分離膜モジュールの一次側(被ろ過水と連結する空間側、図1A中、14側)の一端に純水通水用のホースを、他端(図1A中、15側)に純水排出用のホースと圧力調整用バルブを、二次側(透過水と連結する空間側、(図1A中、15側)に透過水ホースとを接続した。次いで、前記通水用ホースから純水を供給し、純水供給ポンプの吐出圧力と、圧力調整用バルブの開度調整にて分離膜の内側と分離膜の外側(二次側)の膜間差圧が100kPaで一定になるよう調整し、分離膜モジュールの透過流束及びAp値を測定した。
得られた分離膜モジュールの膜間差圧100kPaにおける純水の透過流束は、1315L/(m2・h)であった。つまり、Ap値は13.15L/(m2・h・kPa)であり、Ap/Bpは、0.99であった。
(分離膜モジュールから得られた透過水の水質測定方法)
また、最初に得られた透過水の2Lを回収し、全有機炭素濃度を測定したところ、325ppmであった。さらに、全蒸発残留物量を測定したところ89mg/Lであった。
(分離膜内表面の孔面積率測定方法)
表面の孔面積率は、以下の手順で実施した。
測定対象の一部の分離膜を取り出し、分離膜の内表面が露出するように分離膜を長手方向に切断し、10mm四方程度のサイズに調整した。サイズ調整したサンプルを水に浸漬し、次いで、日立ハイテクノロジーズ社製 走査型プローブ顕微鏡(SPM)システムの液中DFMモードにて1μm四方を測定した。撮影した画像を用いて、画像解析から孔面積率を算出した。
ウレタン樹脂と接着された位置の分離膜内表面の孔面積率Adは9.8%、ウレタン樹脂と接着されていない位置の分離膜内表面の孔面積率Bdは12.7%、その比(Ad/Bd)は0.77であった。
続いて、得られた湿潤分離膜束を瞬間硬化型のエポキシ樹脂で目止めし、内径75mmの筒状成形体である外筒部材に充填した。充填率は64%であった。外筒部材の両端にシール用パッキン、注型キャップを取り付け、200rpmの速度にて外筒部材を遠心しながら、外筒部材側面のノズルから、固定部として、吸水材料を配合したウレタン樹脂が注入されるよう遠心注型を行った。ウレタン樹脂の硬化後、外筒部材両端のウレタン樹脂を切断し、図1Aに示すような分離膜モジュール10を得た。
得られた分離膜モジュールの一次側(被ろ過水と連結する空間側、図1A中、14側)の一端に純水通水用のホースを、他端(図1A中、15側)に純水排出用のホースと圧力調整用バルブを、二次側(透過水と連結する空間側、(図1A中、15側)に透過水ホースとを接続した。次いで、前記通水用ホースから純水を供給し、純水供給ポンプの吐出圧力と、圧力調整用バルブの開度調整にて分離膜の内側と分離膜の外側(二次側)の膜間差圧が100kPaで一定になるよう調整し、分離膜モジュールの透過流束及びAp値を測定した。
得られた分離膜モジュールの膜間差圧100kPaにおける純水の透過流束は、1315L/(m2・h)であった。つまり、Ap値は13.15L/(m2・h・kPa)であり、Ap/Bpは、0.99であった。
(分離膜モジュールから得られた透過水の水質測定方法)
また、最初に得られた透過水の2Lを回収し、全有機炭素濃度を測定したところ、325ppmであった。さらに、全蒸発残留物量を測定したところ89mg/Lであった。
(分離膜内表面の孔面積率測定方法)
表面の孔面積率は、以下の手順で実施した。
測定対象の一部の分離膜を取り出し、分離膜の内表面が露出するように分離膜を長手方向に切断し、10mm四方程度のサイズに調整した。サイズ調整したサンプルを水に浸漬し、次いで、日立ハイテクノロジーズ社製 走査型プローブ顕微鏡(SPM)システムの液中DFMモードにて1μm四方を測定した。撮影した画像を用いて、画像解析から孔面積率を算出した。
ウレタン樹脂と接着された位置の分離膜内表面の孔面積率Adは9.8%、ウレタン樹脂と接着されていない位置の分離膜内表面の孔面積率Bdは12.7%、その比(Ad/Bd)は0.77であった。
実施例2
実施例1と同様に分離膜を得た。すなわち、Bp値は13.33L/(m2・h・kPa)である。分離膜束を軟質ビニール袋に入れて20時間吊るして分離膜の外表面の水分を除去したことを除いては実施例1と同様に浸潤分離膜を準備した。この浸潤分離膜1000本を結束し、分離膜束を作製した。このとき、除去された水分を採取し、以下に示す測定装置のオートサンプラー用の試験セル(10mL)に水を入れて測定した全有機炭素濃度は3706ppm、全蒸発残留物は221mg/Lであった。また、湿潤分離膜束の外表面(固定部と接触する外表面を除く)を電気抵抗式水分計で測定した際の水分量は場所によって変動はあるが15〜25%であった。
実施例1と同様の手順で、目止め工程まで行い、内径250mmの筒状成形体である外筒部材に充填した。充填率は58%であった。外筒部材を遠心せず、縦置きで静置した状態で外筒部材側面のノズルから自然流動にてエポキシ樹脂を注入し、注入後の1時間、分離膜モジュールの外周に沿うように振動発生器を固定し、振動をあたえることでエポキシ樹脂のレベリングを実施したこと以外は実施例1と同様の手順で分離膜モジュールを得た。
得られた分離膜モジュールの膜間差圧100kPaにおける純水の透過流束は、1190L/(m2・h)であった。つまり、Ap値は11.9L/(m2・h・kPa)であり、従って、Ap/Bpは、0.89であった。
また、最初に得られた透過水の2Lを回収し、全有機炭素濃度を測定したところ、38ppmであった。また、全蒸発残留物量を測定したところ67mg/Lであった。
エポキシ樹脂と接着された位置の分離膜内表面の孔面積率Adは7.9%、エポキシ樹脂と接着されていない位置の分離膜内表面の孔面積率Bdは11.4%、その比(Ad/Bd)は0.69であった。
実施例1と同様に分離膜を得た。すなわち、Bp値は13.33L/(m2・h・kPa)である。分離膜束を軟質ビニール袋に入れて20時間吊るして分離膜の外表面の水分を除去したことを除いては実施例1と同様に浸潤分離膜を準備した。この浸潤分離膜1000本を結束し、分離膜束を作製した。このとき、除去された水分を採取し、以下に示す測定装置のオートサンプラー用の試験セル(10mL)に水を入れて測定した全有機炭素濃度は3706ppm、全蒸発残留物は221mg/Lであった。また、湿潤分離膜束の外表面(固定部と接触する外表面を除く)を電気抵抗式水分計で測定した際の水分量は場所によって変動はあるが15〜25%であった。
実施例1と同様の手順で、目止め工程まで行い、内径250mmの筒状成形体である外筒部材に充填した。充填率は58%であった。外筒部材を遠心せず、縦置きで静置した状態で外筒部材側面のノズルから自然流動にてエポキシ樹脂を注入し、注入後の1時間、分離膜モジュールの外周に沿うように振動発生器を固定し、振動をあたえることでエポキシ樹脂のレベリングを実施したこと以外は実施例1と同様の手順で分離膜モジュールを得た。
得られた分離膜モジュールの膜間差圧100kPaにおける純水の透過流束は、1190L/(m2・h)であった。つまり、Ap値は11.9L/(m2・h・kPa)であり、従って、Ap/Bpは、0.89であった。
また、最初に得られた透過水の2Lを回収し、全有機炭素濃度を測定したところ、38ppmであった。また、全蒸発残留物量を測定したところ67mg/Lであった。
エポキシ樹脂と接着された位置の分離膜内表面の孔面積率Adは7.9%、エポキシ樹脂と接着されていない位置の分離膜内表面の孔面積率Bdは11.4%、その比(Ad/Bd)は0.69であった。
実施例3
塩化ビニリデンモノマー単位とメトキシポリエチレングリコールメタクリレートモノマー単位とを重量比90:10で含む共重合体を懸濁重合法により製造した。共重合を12%と、製膜助剤としてポリエチレングリコール400を10%とを、N−メチルピロリドン78%に溶解させ、内部に水を注入させながらこの溶液を中空糸ノズルより連続的に吐出させ、水浴槽にて相分離させることによって、塩化ビニリデン系共重合体からなる分離膜を作成した。分離膜の内径は2mm、外径は4mmであった。得られた分離膜を実施例1と同様の手順にて、純水の透過流束を測定した。膜間差圧100kPaにおける純水の透過流束は、3310L/(m2・h)であった。つまりBp値は33.1L/(m2・h・kPa)であった。
得られた分離膜12本の外表面水分を拭き取ることで、湿潤分離膜を得た。このとき、除去された水分を採取し、以下に示す測定装置のオートサンプラー用の試験セル(10mL)に水を入れて測定した全有機炭素濃度は21ppm、全蒸発残留物は62mg/Lであった。また、湿潤分離膜束の外表面(固定部と接触する外表面を除く)を電気抵抗式水分計で測定した際の水分量は場所によって変動はあるが30〜35%であった。
次に、湿潤分離膜束を内径25mmで、両端に径4mmの10個の穴が開いた板を有する外筒部材に充填した。充填率は31%であった。湿潤分離膜の両端を、外筒部材の1つの穴に1つの膜が通るよう通し、Oリングで固定することで分離膜モジュールを得た。
得られた分離膜モジュールの膜間差圧100kPaにおける純水の透過流束は、3350L/(m2・h)であった。つまり、Ap値は33.5L/(m2・h・kPa)であり、従って、Ap/Bpは、1.01であった。
得られた分離膜モジュールに純水を透過して最初に得られる透過水の2Lを回収し、全有機炭素濃度を測定すると725ppmであった。また、全蒸発残留物量を測定したところ288mg/Lであった。
塩化ビニリデンモノマー単位とメトキシポリエチレングリコールメタクリレートモノマー単位とを重量比90:10で含む共重合体を懸濁重合法により製造した。共重合を12%と、製膜助剤としてポリエチレングリコール400を10%とを、N−メチルピロリドン78%に溶解させ、内部に水を注入させながらこの溶液を中空糸ノズルより連続的に吐出させ、水浴槽にて相分離させることによって、塩化ビニリデン系共重合体からなる分離膜を作成した。分離膜の内径は2mm、外径は4mmであった。得られた分離膜を実施例1と同様の手順にて、純水の透過流束を測定した。膜間差圧100kPaにおける純水の透過流束は、3310L/(m2・h)であった。つまりBp値は33.1L/(m2・h・kPa)であった。
得られた分離膜12本の外表面水分を拭き取ることで、湿潤分離膜を得た。このとき、除去された水分を採取し、以下に示す測定装置のオートサンプラー用の試験セル(10mL)に水を入れて測定した全有機炭素濃度は21ppm、全蒸発残留物は62mg/Lであった。また、湿潤分離膜束の外表面(固定部と接触する外表面を除く)を電気抵抗式水分計で測定した際の水分量は場所によって変動はあるが30〜35%であった。
次に、湿潤分離膜束を内径25mmで、両端に径4mmの10個の穴が開いた板を有する外筒部材に充填した。充填率は31%であった。湿潤分離膜の両端を、外筒部材の1つの穴に1つの膜が通るよう通し、Oリングで固定することで分離膜モジュールを得た。
得られた分離膜モジュールの膜間差圧100kPaにおける純水の透過流束は、3350L/(m2・h)であった。つまり、Ap値は33.5L/(m2・h・kPa)であり、従って、Ap/Bpは、1.01であった。
得られた分離膜モジュールに純水を透過して最初に得られる透過水の2Lを回収し、全有機炭素濃度を測定すると725ppmであった。また、全蒸発残留物量を測定したところ288mg/Lであった。
比較例1
実施例1と同様に分離膜を得た。すなわち、Bp値は13.33L/(m2・h・kPa)である。この分離膜を30%のグリセリン水溶液が入った水槽に浸漬した後、グリセリン水溶液を排出し24時間乾燥することでグリセリン被覆された乾燥分離膜を得た。
得られた乾燥分離膜の両端10cmは、アルコールに浸漬させグリセリンを除去した後、再度乾燥させた。この分離膜を100本結束し、分離膜束を作製し、瞬間硬化型のエポキシ樹脂で目止めした後、内径75mmの筒状成形体である外筒部材に充填した。外筒部材の両端にシール用パッキン、注型キャップを取り付け、300rpmの速度にて外筒部材を遠心しながら、外筒部材側面のノズルからエポキシ樹脂が注入されるよう遠心注型を行った。硬化後、外筒部材両端のエポキシ樹脂を切断し、分離膜モジュールを得た。
得られた分離膜モジュールの膜間差圧100kPaにおける純水の透過流束は、1044L/(m2・h)であった。つまり、Ap値は10.44L/(m2・h・kPa)であり、従って、Ap/Bpは、0.78であった。
得られた分離膜モジュールに純水を透過して最初に得られる透過水の2Lを回収し、全有機炭素濃度を測定すると10,500ppmであった。また、全蒸発残留物量を測定したところ496mg/Lであった。
エポキシ樹脂と接着された位置の分離膜内表面の孔面積率Adが2.4%、エポキシ樹脂と接着されていない位置の分離膜内表面の孔面積率Bdが12.7%、その比(Ad/Bd)は0.19であった。
実施例1と同様に分離膜を得た。すなわち、Bp値は13.33L/(m2・h・kPa)である。この分離膜を30%のグリセリン水溶液が入った水槽に浸漬した後、グリセリン水溶液を排出し24時間乾燥することでグリセリン被覆された乾燥分離膜を得た。
得られた乾燥分離膜の両端10cmは、アルコールに浸漬させグリセリンを除去した後、再度乾燥させた。この分離膜を100本結束し、分離膜束を作製し、瞬間硬化型のエポキシ樹脂で目止めした後、内径75mmの筒状成形体である外筒部材に充填した。外筒部材の両端にシール用パッキン、注型キャップを取り付け、300rpmの速度にて外筒部材を遠心しながら、外筒部材側面のノズルからエポキシ樹脂が注入されるよう遠心注型を行った。硬化後、外筒部材両端のエポキシ樹脂を切断し、分離膜モジュールを得た。
得られた分離膜モジュールの膜間差圧100kPaにおける純水の透過流束は、1044L/(m2・h)であった。つまり、Ap値は10.44L/(m2・h・kPa)であり、従って、Ap/Bpは、0.78であった。
得られた分離膜モジュールに純水を透過して最初に得られる透過水の2Lを回収し、全有機炭素濃度を測定すると10,500ppmであった。また、全蒸発残留物量を測定したところ496mg/Lであった。
エポキシ樹脂と接着された位置の分離膜内表面の孔面積率Adが2.4%、エポキシ樹脂と接着されていない位置の分離膜内表面の孔面積率Bdが12.7%、その比(Ad/Bd)は0.19であった。
以下に、実施例1〜3及び比較例1の結果等を表1に示す。
*透過流束の単位:L/(m2・h)
**Ap及びBpの単位:L/(m2・h・kPa)
+:全有機炭素濃度
++:全蒸発残留物量
**Ap及びBpの単位:L/(m2・h・kPa)
+:全有機炭素濃度
++:全蒸発残留物量
10 分離膜モジュール
11 外筒部材
11a 濾過水を排出するための排出口
12 分離膜
13 固定部
14 被濾過水(原水)を供給するための接続部
15 濃縮水を排出するための接続部
11 外筒部材
11a 濾過水を排出するための排出口
12 分離膜
13 固定部
14 被濾過水(原水)を供給するための接続部
15 濃縮水を排出するための接続部
Claims (12)
- 複数の分離膜と、該分離膜の少なくとも一端が開口した状態で外筒部材にて固定された固定部を備えた分離膜モジュールであって、
前記分離膜モジュールに純水を透過させたときの透過流束を膜間差圧で除した値Apと、前記分離膜に純水を透過させたときの透過流束を膜間差圧で除した値Bpとの比(Ap/Bp)が、0.8以上1.2以下であることを特徴とする分離膜モジュール。 - 前記外筒部材の断面の内面積のうち、前記複数の分離膜の合計断面積が占める充填率が30%以上70%以下である請求項1に記載の分離膜モジュール。
- 前記分離膜が中空糸膜である請求項1又は2に記載の分離膜モジュール。
- 前記中空糸膜が親水性を有し、かつ、前記固定部を構成する固定用樹脂がエポキシ樹脂及びウレタン樹脂の少なくとも一方を含む熱硬化性樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載の分離膜モジュール。
- 前記外筒部材に固定された前記分離膜であって、前記熱硬化性樹脂と接着された位置の分離膜内表面の孔面積率Adと、前記熱硬化性樹脂と接着されていない位置の分離膜内表面の孔面積率Bdとの比(Ad/Bd)が0.6以上である請求項4に記載の分離膜モジュール。
- 複数の分離膜と、該分離膜の少なくとも一端が開口した状態で外筒部材に固定された固定部を備えた分離膜モジュールの製造方法であって、
前記分離膜の外表面の水分量を一定量に調整した湿潤分離膜を準備する工程と、
前記湿潤分離膜の少なくとも一端が開口するように外筒部材に固定する工程を有することを特徴とする分離膜モジュールの製造方法。 - 前記湿潤分離膜の前記固定部と接触する外表面を除く外表面の水分量が10%以上である請求項6に記載の製造方法。
- 前記湿潤分離膜を準備する工程において、水槽に浸漬させた分離膜の外表面から水分を除去することによって浸潤分離膜を準備し、前記除去された水が、全有機炭素濃度5,000ppm以下及び全蒸発残留物400ppm以下の少なくとも一方を満たす請求項6に記載の製造方法。
- 前記固定部を構成する固定用樹脂がエポキシ樹脂及びウレタン樹脂の少なくとも一方を含む熱硬化性樹脂であり、
前記熱硬化性樹脂を充填する方法が遠心注型法である請求項6〜8のいずれかに記載の製造方法。 - 前記固定部を構成する固定用樹脂がエポキシ樹脂及びウレタン樹脂の少なくとも一方を含む熱硬化性樹脂から構成されており、
前記分離膜モジュールを静置した状態で前記熱硬化性樹脂を前記浸潤分離膜の端部又は端部付近に充填する請求項6〜8のいずれかに記載の製造方法。 - 前記熱硬化性樹脂の充填時、充填後又はその両方において前記分離膜モジュールに振動を与える請求項10に記載の製造方法。
- 前記外筒部材の断面の内面積のうち、前記複数の湿潤分離膜の合計断面積が占める充填率が30%以上70%以下になるよう前記湿潤分離膜を固定する請求項6〜11のいずれかに記載の製造方法。
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