JP2001129366A - 限外濾過モジュールの製造方法 - Google Patents

限外濾過モジュールの製造方法

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JP2001129366A
JP2001129366A JP31441899A JP31441899A JP2001129366A JP 2001129366 A JP2001129366 A JP 2001129366A JP 31441899 A JP31441899 A JP 31441899A JP 31441899 A JP31441899 A JP 31441899A JP 2001129366 A JP2001129366 A JP 2001129366A
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Yuzuru Ishibashi
譲 石橋
Tatsuyuki Abe
辰行 阿部
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製膜後の膜特性を保持し、かつ、容易に洗浄
して使用することが可能な限外濾過モジュールの製造方
法を提供する。 【解決手段】 限外濾過膜をモジュールケースにセット
し、次いで該膜の端部とモジュールケースとを接着剤で
接着・固定する限外濾過モジュールの製造方法におい
て、接着剤でポッティングするにあたって、予め、該膜
中に無機塩と水とを含有させ、該膜中の無機塩含有量が
膜形成ポリマー1kg当り0.5mol以上であり、か
つ、無機塩濃度が1mol/リットルから25℃におけ
る飽和近傍濃度の範囲であるように調製することを特徴
とする限外濾過モジュールの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、限外濾過プロセス
に用いられる濾過モジュールの製造方法に関し、さらに
詳しくは、濾過モジュールを成形するに際して膜性能を
低下させることなく、容易に洗浄して使用することが可
能な濾過モジュールの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】有機高分子からなる限外濾過膜は、製膜
後に乾燥させると乾燥前に比べて著しく透水性能や分画
特性等の膜特性が低下することが知られている。一方、
濾過モジュール等の濾過に適した形態に成形するに際し
て、該濾過膜が湿潤状態では接着剤との界面が剥離する
等の問題があった。膜特性を低下させることなく、接着
での問題を回避するために、従来は、グリセリン等の低
揮発性有機液体を該濾過膜中に含浸させて乾燥すること
が行われていた。しかしながら、この方法では膜を使用
するにあたって低揮発性有機液体を洗浄するのに時間が
かかったり、その洗浄排水を無害化するための処理が必
要であった。
【0003】これに対して、無機塩を使用することが、
特開昭57−21903号公報や特開平3−24582
7号公報、特開平6−277470号公報等で提案され
ている。特開昭57−21903号公報では、逆浸透膜
に無機塩水溶液を含浸させた後、特定含水率になるまで
乾燥することによって、膜特性を低下させることなく接
着できることが開示されている。さらに、特開平3−2
45827号公報では、逆浸透膜を特定濃度の硫酸塩水
溶液に浸漬した後、遠心処理等の手段を用いて中空部の
水を除去することによって、膜特性を低下させることな
く接着できることが開示されている。しかしながら、こ
れらの方法を限外濾過膜に適用した場合、膜特性の保持
が十分でなかったり、接着界面での剥離が起きる問題が
あった。また、特開平6−277470号公報におい
て、無機塩溶液を含浸させた後乾燥することによって膜
の空孔部分に無機塩を詰めた多孔膜は、再度湿潤するこ
とによって乾燥処理前の膜特性を回復することが開示さ
れている。しかしながら、該公報で開示された情報を基
に、限外濾過膜を処理して濾過モジュールを成形した場
合、膜特性の保持が十分でなかったり、接着界面での剥
離が起きるという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な状況に鑑み、製膜後の膜特性を保持し、かつ、容易に
洗浄して使用することが可能な限外濾過モジュールの製
造方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めの本発明は、(1)限外濾過膜をモジュールケースに
セットし、次いで該膜の端部とモジュールケースとを接
着剤で接着・固定する限外濾過モジュールの製造方法に
おいて、接着剤でポッティングするにあたって、予め、
該膜中に無機塩と水とを含有させ、該膜中の無機塩含有
量が膜形成ポリマー1kg当り0.5mol以上であ
り、かつ、無機塩濃度が1mol/リットルから25℃
における飽和近傍濃度の範囲であるように調製すること
を特徴とする限外濾過モジュールの製造方法、(2)無
機塩が、塩化リチウム、塩化マグネシウム、塩化カルシ
ウム、塩化アルミニウム、塩化鉄、硝酸リチウム、硝酸
マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸アルミニウム、硝
酸鉄、チオシアン酸カリウム、硫酸水素ナトリウム、炭
酸カリウムの中から選ばれた少なくとも1種である上記
(1)記載の限外濾過モジュールの製造方法、
【0006】(3)膜中の無機塩含有量がポリマー1k
g当り1mol以上である上記(1)記載の限外濾過モ
ジュールの製造方法、(4)接着剤がエポキシ樹脂であ
り、無機塩濃度が1mol/リットルから25℃におけ
る飽和濃度の範囲である上記(1)記載の限外濾過モジ
ュールの製造方法、(5)接着剤がポリウレタン樹脂で
あり、無機塩濃度が2mol/リットルから25℃にお
ける飽和濃度の範囲である上記(1)記載の限外濾過モ
ジュールの製造方法、を提供するものである。
【0007】以下、本発明について詳細に説明する。濾
過膜の本来有する透水性能、分画性能、機械的強度特性
等の膜特性を変化させることなく濾過モジュールを形成
し、かつ、該モジュールの使用条件下において充分なシ
ール性を持たせるためには、接着剤で接着・固定するに
あたって、予め、該膜の空孔中に水とともに特定量の無
機塩を含有させておく必要がある。本発明で用いられる
無機塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ア
ルミニウム、鉄(III)のハロゲン化物、硝酸塩、硫酸
塩、炭酸塩、リン酸塩、チオシアン酸塩、チオ硫酸塩、
ホウ酸塩が挙げられる。好ましくは、塩化リチウム、塩
化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、
塩化鉄、硝酸リチウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシ
ウム、硝酸アルミニウム、硝酸鉄、チオシアン酸カリウ
ム、硫酸水素ナトリウム、炭酸カリウムであり、特に好
ましくは、塩化リチウム、塩化マグネシウム、塩化カル
シウムである。これらの無機塩は単独で用いても良く、
また、複数種を混合して用いることもできる。
【0008】本発明においては、無機塩の含有量がポリ
マー成分1kgに対して0.5mol以上である必要が
ある。好ましくは、1mol以上であり、より好ましく
は2mol以上である。0.5mol未満では、膜の透
水性能が低下する。また、無機塩濃度は、1mol/リ
ットルから25℃における飽和近傍濃度の範囲である必
要がある。該無機塩濃度の好ましい範囲は、濾過モジュ
ールを成形するに際して膜を固定するための接着剤の種
類によって若干異なる。該接着剤としては、後述のよう
にエポキシ樹脂、シリコーン樹脂およびウレタン樹脂が
好適に使用される。エポキシ樹脂やシリコーン樹脂の場
合には、1mol/リットルから該無機塩の25℃にお
ける飽和濃度の範囲が好ましく、2mol/リットルか
ら該無機塩の25℃における飽和濃度の範囲がより好ま
しい。一方、ウレタン樹脂の場合には、2mol/リッ
トルから該無機塩の25℃における飽和濃度の範囲が好
ましく、3mol/リットルから該無機塩の25℃にお
ける飽和濃度の範囲がより好ましい。該無機塩濃度が1
mol/リットル未満では、濾過モジュールを成形した
場合に接着界面での剥離や接着部の強度不足が起きる傾
向が強くなる。また、飽和近傍濃度を越える濃度では、
膜中で無機塩の結晶が析出することによって分画特性を
低下させる傾向が強くなる。
【0009】なお、本発明でいう無機塩含有量、含水量
および無機塩濃度とは、下記の数式(1)、(2)、
(3)で計算される値である。 S=(1000+A−P)×C/P (1) W=(A−P)/P−S×M/1000 (2) SC=(1000+A−P)×C×ρ/(A−P) (3) ここで、Sが無機塩含有量(mol/kg−ポリマ
ー)、Wが含水量(kg/kg−ポリマー)、SCが無
機塩濃度(mol/リットル)であり、Aは濾過膜サン
プルの重量、Pは該濾過膜サンプルを形成しているポリ
マー重量、Cは濾過膜サンプルを1000gの純水中に
浸漬して溶出した液の無機塩濃度(mol/kg−
液)、Mは無機塩の無水物としての分子量(g/mo
l)、ρは該濃度の無機塩水溶液の密度(kg/リット
ル)である。具体的な計算方法は、下記の「発明の実施
の形態」で説明する。
【0010】また、本発明における飽和近傍濃度とは、
該無機塩の25℃における飽和濃度の1.1倍の値であ
る。さらに、本発明における飽和濃度とは、無機塩結晶
共存下での平衡状態における液相の無機塩濃度(mol
/リットル)である。膜を上記の状態に調製する方法と
しては、公知の方法によって製膜した膜を湿潤状態のま
ま、予め所定濃度に調整した無機塩水溶液と接触させ
て、該膜中に該無機塩を含浸させ、次いで脱水および/
または乾燥処理を行うことによって、容易に実施するこ
とができる。
【0011】含浸させる方法としては、膜を無機塩水溶
液中に浸漬する方法、膜に無機塩水溶液を噴霧する方
法、膜上に無機塩水溶液を流下させる方法等を採ること
ができる。この場合、膜と接触させる無機塩水溶液の濃
度や接触時間を調整することによって、膜中の無機塩含
有量を制御することができる。膜種によっては、製膜後
に湿潤状態を保ったまま加熱処理を行って膜構造を固定
する工程を経ることがあるが、この時に同時に含浸処理
を行うことも可能である。
【0012】次いで、上記のようにして含浸させた後、
乾燥処理を行なうことによって含水量を調整し、所定の
膜中無機塩濃度に調整することができる。この場合、乾
燥時の環境温度や湿度、および、乾燥環境への暴露時間
を調整することによって、含水量を制御することができ
る。上記の方法によって膜に無機塩を含有させた特定の
状態に調整した後に、接着剤でポッティングした場合、
接着剤の変性が起こることなく硬化させることができ、
良好な機械的強度とシール性を発現する。
【0013】ポッティングに用いる接着剤としては、エ
ポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリレ
ート系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の公知の接着剤
を使用できる。中でも、エポキシ樹脂やウレタン樹脂
は、機械的強度や耐薬品性、耐久性が良好であり、濾過
モジュールのポッティング剤として好ましく用いられ
る。上記のエポキシ樹脂のうち、エポキシ基含有化合物
とアミン化合物とを混合して硬化させる2液型エポキシ
樹脂が、比較的低温で成形および硬化を完了させること
ができるので特に好適である。また、ウレタン樹脂の中
でも、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオー
ル、ポリブタジエン系ポリオール、リシノレート系ポリ
オール、アルキレンポリオール等のポリオール類とイソ
シアネート化合物とを混合して硬化させる2液型のウレ
タン樹脂は、室温で成形および硬化を短時間に完了させ
ることができるので特に好適である。
【0014】本発明を適用できる限外濾過膜の形態は、
特に限定されるものでなく、中空糸膜や平膜等公知の形
態のものに適用できる。また、膜形成ポリマー種も特に
限定されるものでなく、公知の高分子膜に適用できる。
すなわち、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレ
フィンや、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン等
のスルフォン系樹脂の他、セルロース類、ポリアミド
類、ポリビニルアルコール、アクリル系樹脂、フッ化ビ
ニリデン系樹脂等である。これらの中でも、膜形成ポリ
マーのSP値が20以上の高分子膜においては、乾燥に
よって膜特性の変化が大きい傾向があり、本発明による
効果が大きい。SP値が20以上の膜形成性ポリマーと
しては、ポリスルフォン(SP値20;Polymer
Handbook(第3版),John Wiley
&Sons,New York,1989)、エチルセ
ルロース(SP値21;同上)、ニ酢酸セルロース(S
P値23;同上)、酢酸セルロース(SP値27;同
上)、セルロース(SP値32;同上)等のセルロース
類、ポリアミド6,6(SP値23;同上)等のポリア
ミド類、ポリビニルアルコール(SP値26;同上)、
ポリアクリロニトリル(SP値26;同上)等のアクリ
ル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン(SP値23;Jou
rnal of Polymer Science;P
artB:Polymer Physics,Vol.
26,785−794(1988))等のフッ化ビニリ
デン系樹脂が挙げられる。なお、分離機能を担う活性層
を多孔質基材膜の表面に設けた複合膜では、該活性層が
SP値20以上の膜形成性ポリマーで形成されている場
合に、本発明の効果が大きい。
【0015】本発明でいう限外濾過膜とは、その孔径が
0.001μm〜0.05μm未満の膜である。該孔径
は、25℃における0.1重量%のデキストラン水溶液
の阻止率と該デキストランの分子量分布から求めた分子
量を用い、下記の数式(4)によって計算される値であ
る。 D=2×(3V・M/(4π・N))1/3 (4) ここで、Dは孔径(cm)、Vは偏比容(cm3
g)、Mは分子量(g/mol)、Nはアボガドロ数
(mol-1)である。上記条件で求める場合、Vは1.
0として計算する。
【0016】本発明を適用できるモジュールケースの材
質は、使用条件に耐え得る機械的および化学的特性を有
するものであれば特に限定されるものではなく、公知の
高分子材料や金属材料および無機材料を使用することが
できる。これらの中でも、上記の接着材との接着強度が
大きい材料が好ましい。このような材料として、ABS
樹脂等のスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート、
ポリカーボネート等の高分子材料やSUS304、SU
S316等のSUS系材料が例示される。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態をさら
に詳細に説明する。 (1)限外濾過膜の純水透水量の測定 濾過膜サンプルの片側表面から他の表面側へ1kgf/
cm2 の差圧をかけて25℃の限外濾過水を透過さ
せ、単位時間、単位圧力(単位差圧)当りの透過速度を
測定し、その量をリットル/hr・m2 ・atmで表
した。但し、中空糸の場合には外表面積を有効表面積と
して計算した。 (2)分画性能の測定 0.1重量%のデキストランT−2000(Pharm
acia Biotech社製 Dextran T−
2000)水溶液を用い、入り圧と出圧の平均圧力を
0.5kgf/cm2 、流体線速を1m/secなるク
ロスフローの条件、25℃の温度条件で濾過し、30分
後の阻止率を測定した。 (3)膜中の無機塩含有量の測定と無機塩濃度の計算 濾過膜サンプル約2.0gを精秤(重量A)した後、純
水1000g中に24時間浸漬した。該水溶液中のイオ
ン濃度をICPおよびイオンクロマトグラフィーを用い
て分析し、定量(濃度C;mol/kg−液)した。
【0018】次いで、上記液中の濾過膜サンプルを取り
出し、純水100g中に浸漬して洗浄した。この洗浄操
作を3回行った後、105℃で16時間乾燥し、乾燥後
の重量を精秤してサンプルのポリマー重量(重量P)を
求めた。該ポリマー重量と上記のイオン濃度から無機塩
含有量、含水量および無機塩濃度を各々数式(1)、
(2)、(3)によって求めた。 S=(1000+A−P)×C/P (1) W=(A−P)/P−S×M/1000 (2) SC=(1000+A−P)×C×ρ/(A−P) (3) ここで、Sが無機塩含有量(mol/kg−ポリマ
ー)、Wが含水量(kg/kg−ポリマー)、SCが無
機塩濃度(mol/リットル)であり、Aは濾過膜サン
プルの重量、Pは該濾過膜サンプルを形成しているポリ
マー重量、Cは濾過膜サンプルを1000gの純水中に
浸漬して溶出した液の無機塩濃度(mol/kg−
液)、Mは無機塩の無水物としての分子量(g/mo
l)、ρは該濃度の無機塩水溶液の密度(kg/リット
ル)である。
【0019】なお、ρは以下のようにして求めた。先
ず、下記数式(5)から無機塩の質量濃度(mol/k
g−液)を計算した。次いで、試薬を用いて該質量濃度
の液を別途調整し、その液の25℃における密度を測定
して求めた。 SC’=S×P/(A−P) (5) なお、飽和濃度を超えている場合には、懸濁状態での液
重量と容積を測定し、その値から求めた。 (4)モジュール透水量の測定 モジュールの入圧と出圧の差が0.5kg/cm2
なるように膜の片側表面から他の表面側へ圧力を印加し
て25℃の限外濾過水を透過させて透水量を測定し、単
位圧力当りの透水量を求めた。なお、中空糸の場合は、
外表面側から透過させて測定した。
【0020】
【参考例1】特開平11−197473号公報記載の実
施例1に準じて、外径1.35mm、内径0.75mm
のポリアクリロニトリル系中空糸膜を作成した。次い
で、該膜を純水中に浸漬して、55℃まで昇温して3時
間保持した後に室温に戻した。該膜の純水透水量は、3
10リットル/hr・m2 ・atmであり、デキスト
ランT−2000の阻止率は85%であった。該阻止率
とデキストランT−2000の分子量分布から求めた孔
径は、0.013μmであった。また、該膜の含水量
は、2.7kg/kg−ポリマーであった。
【0021】
【実施例1〜5および比較例1〜3】参考例1の膜を、
表1に示す無機塩水溶液に浸漬し、25℃において2時
間静置した後、表1に示す環境条件で4時間乾燥した。
なお、実施例5および比較例2では、無機塩水溶液に2
5℃浸漬した後、乾燥処理の代わりに、糸の端部におい
て60Gの遠心力がかかる条件で1時間遠心処理を施し
て脱液を行った。上記のような処理を行った膜につい
て、上記の方法によって膜中の無機塩含有量と無機塩濃
度を求めた。結果を表2に示す。
【0022】同様に処理した中空糸膜300本を内径2
5mmのアクリル樹脂製ケースに挿入し、中空糸の端部
を目止めした後、両端部を2液混合型のエポキシ樹脂で
封止した。次いで、50℃で2日間キュアーした後、端
部を切断して中空部を開口させ、濾過モジュール(膜の
総外表面積0.38m2 )を作成した。該濾過モジュ
ールの中空糸外表面側から限外濾過水を50リットル/
hrで1時間透過させて洗浄した後、モジュール透水量
と分画性能を測定した。次いで、操作圧3kgf/cm
2 の条件で濾過および逆洗を2000回繰り返し、リ
ークの有無を観察した。
【0023】結果を表2に示す。実施例でのモジュール
透水量は、いずれも無機塩処理前の単糸の純水透水量と
膜面積とから計算される値の95%以上であり、分画性
能は無機塩処理前の単糸の性能と同等であった。また、
接着剤での封止も良好に行われ、リークの発生は全くな
かった。
【0024】
【実施例6】2液混合型のウレタン樹脂を用いた他は、
実施例2と同様にして濾過モジュールを作成した。該濾
過モジュールについて実施例1と同様にして洗浄し、モ
ジュール透水量と分画性能を測定した後、リーク発生の
有無をテストした。その結果、モジュール透水量は、無
機塩処理前の単糸の純水透水量と膜面積とから計算され
る値の96%であり、また、リークは全く発生しなかっ
た。
【0025】
【実施例7〜9】無機塩種、含浸液濃度、乾燥での温度
および相対湿度を表3に示した条件に変えた他は実施例
1と同様にして、中空糸膜を処理した。膜中の無機塩含
有量と無機塩濃度を測定した結果を表4に示す。次ぎ
に、実施例6と同様にして濾過モジュールを形成した。
実施例1と同様にして洗浄し、モジュール透水量と分画
性能を測定した後、リーク発生の有無をテストした。そ
の結果、モジュール透水量は、無機塩処理前の単糸の純
水透水量と膜面積とから計算される値の95%以上であ
り、分画性能は無機塩処理前の単糸の性能と同等であっ
た。また、全くリークは発生しなかった。
【0026】
【比較例4】参考例1の中空糸膜を、特開昭57−21
903号公報の記載内容に準拠して、塩化ナトリウム水
溶液1.8mol/リットル(10重量%)に2時間浸
漬した。次いで、表面付着液を遠心処理して除いた後、
温度25℃、相対湿度30%の環境で30分間乾燥し
た。該膜中の無機塩含有量と含水量は、各々4.7mo
l/kg−ポリマー、0.63kg/kg−ポリマーで
あり、含水膜重量基準の含水率は、乾燥前の含水率の4
5%であった。また、無機塩濃度は6.4mol/リッ
トルであり、25℃における飽和濃度の1.2倍であっ
た。
【0027】次ぎに、実施例6と同様にして濾過モジュ
ールを形成した。実施例1と同様にして洗浄した後、モ
ジュール透水量と分画性能を測定した。その結果、モジ
ュール透水量は、無機塩処理前の単糸の純水透水量と膜
面積とから計算される値の121%であり、デキストラ
ンT−2000の阻止率が43%であり、分画性能が低
下していた。
【0028】
【比較例5】参考例1の中空糸膜を、特開平3−245
827号公報の記載内容に準拠して、0.5mol/リ
ットル(MgSO4・7H2O;11重量%)の硫酸マグ
ネシウム水溶液に2時間浸漬した。次いで、表面付着液
を遠心処理して除いた。該膜中の無機塩含有量と含水量
は、各々0.7mol/kg−ポリマー、1.3kg/
kg−ポリマーであり、含水膜重量基準の含水率は、乾
燥前の含水率の79%であった。また、無機塩濃度は
0.5mol/リットルであり、25℃の飽和濃度の
0.19倍であった。次ぎに、実施例6と同様にして濾
過モジュールを形成したところ、ウレタン樹脂成分であ
るイソシアネート基の分解による発泡が起こり、接着部
に気泡が多量に混在していた。該濾過モジュールで実施
例1と同様にしてリークの有無を観察したところ、濾過
・逆洗の繰り返し10回目でリークが発生した。
【0029】
【参考例2】ポリフッ化ビニリデン(Atochem社
製Kynar761)20重量%、N−メチル−2−ピ
ロリドン68重量%、平均分子量50000のポリエチ
レングリコール(和光純薬工業社製試薬一級)15重量
%を混合・溶解して原液を調製した。原液を50℃に加
熱してガラス板上に流延し、直ちに30℃の水中に浸漬
して凝固させた後、ガラス板から自然に剥離させて平膜
を得た。次いで、大量の純水で水洗した後、55℃まで
昇温して3時間保持した後に室温に戻して保存した。該
膜の厚みは80μmであり、純水透水量は、210リッ
トル/hr・m2 ・atm、デキストランT−70の阻
止率は16%であった。該阻止率とデキストランT−7
0の分子量分布から求めた孔径は、0.006μmであ
った。
【0030】
【実施例10】参考例2の膜を0.75mol/リット
ルの塩化カルシウム水溶液に浸漬し、25℃において2
時間静置した後、25℃−相対湿度30%の環境条件で
1時間乾燥した。該膜中の無機塩含有量と含水量は、各
々1.5mol/kg−ポリマー、0.2kg/kg−
ポリマーであった。また、無機塩濃度は5.8mol/
リットルであり、25℃の飽和濃度の0.99倍であっ
た。
【0031】内径25mm、外径45mm、厚み5mm
のABS製環状板の片面に、10mm幅で実施例6のウ
レタン樹脂を塗布し、直ちに上記の無機塩処理した平膜
を置いて接着して平膜カートリッジを成形した。該接着
面を観察したところ、気泡の発生がなく、良好な接着部
を形成していた。該カートリッジの片面から0.5kg
/cm2 の圧力を印加して限外濾過水を0.10リッ
トル/hrで1時間透過させて洗浄した後、透水量を測
定したところ、0.40リットル/hr・atmであ
り、製膜後の純水透水量と膜面積から計算される値と同
等であった。また、膜の分画性能を測定したところ、阻
止率が17%であり無機塩処理前と同等であった。次ぎ
に、該カートリッジの両面から5分毎に交互に0.5k
gf/cm 2 の圧力をかけて純水を透過させ、リーク
の有無を観察したところ、100回繰り返してもリーク
は発生しなかった。
【0032】
【比較例6】乾燥せずに表面の付着液を濾紙で拭き取っ
た以外は、実施例10と同様にして膜を処理した。該膜
中の無機塩含有量と含水量は、各々1.5mol/kg
−ポリマー、1.9kg/kg−ポリマーであった。ま
た、無機塩濃度は0.75mol/リットルであり、2
5℃の飽和濃度の0.13倍であった。次ぎに、実施例
10と同様にしてカートリッジを形成したところ、ウレ
タン樹脂が発泡し、接着部に気泡が多量に混在した。実
施例10と同様にして該カートリッジのリークの発生を
観察したことろ、3回目で膜が剥離してリークした。以
下に、表1〜4を掲げる。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
【本発明の効果】以上に述べたように、本発明の濾過モ
ジュールの製造方法によれば、製膜後の膜特性を保持
し、かつ、実用上充分な接着部強度を有する濾過モジュ
ールを成形することができる。また、濾過モジュールの
使用時には、容易に洗浄することができ、洗浄排水の無
害化処理を行う必要がないので、本発明の製造方法は、
実用上極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01D 71/34 B01D 71/34 71/42 71/42 Fターム(参考) 4D006 GA06 HA02 HA19 HA41 JA02C JA08Z JA13Z JB04 KA12 KC03 MA01 MA03 MA22 MA33 MB02 MB06 MB18 MB19 MC11 MC18 MC22 MC23 MC29 MC33 MC36 MC37 MC38 MC39X MC54 NA04 NA13 NA14 NA18 NA58 NA61 NA62 NA63 NA64 PA05 PB01

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 限外濾過膜をモジュールケースにセット
    し、次いで該膜の端部とモジュールケースとを接着剤で
    接着・固定する限外濾過モジュールの製造方法におい
    て、接着剤でポッティングするにあたって、予め、該膜
    中に無機塩と水とを含有させ、該膜中の無機塩含有量が
    膜形成ポリマー1kg当り0.5mol以上であり、か
    つ、無機塩濃度が1mol/リットルから25℃におけ
    る飽和近傍濃度の範囲であるように調製することを特徴
    とする限外濾過モジュールの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018063948A (ja) * 2004-07-07 2018-04-19 エルジー・ケム・リミテッド 有機無機複合多孔性フィルム及びこれを用いる電気化学素子
KR20190135405A (ko) 2018-05-28 2019-12-06 노무라마이크로사이엔스가부시키가이샤 한외 여과막 모듈 및 한외 여과막 모듈을 사용한 초순수 제조 방법
JP2020069443A (ja) * 2018-10-31 2020-05-07 積水化学工業株式会社 分離膜モジュール及びその製造方法

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