JP2004305997A - 中空糸膜束の乾燥方法および中空糸膜束 - Google Patents

中空糸膜束の乾燥方法および中空糸膜束 Download PDF

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浩文 小川
Kotaro Inuzuka
孝太郎 犬塚
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Abstract

【課題】湿潤状態で巻き取った中空糸膜束をフィルム等で包装した後、性能低下および熱による酸化を抑え短時間で効率良く乾燥することのできる中空糸膜束の乾燥方法および乾燥装置を提供する。
【解決手段】湿潤状態の中空糸膜束1に低真空下でマイクロ波を照射する中空糸膜束の乾燥方法であって、湿潤状態で巻き取った複数本の中空糸膜1をフィルムで巻き取った中空糸束2を乾燥装置3の中に回転テーブル4に複数個の中空糸膜束をセットし、マイクロ波発生装置5によりマイクロ波を照射するとともに真空ポンプ6により前記乾燥装置内の空気を吸引し、低真空下で乾燥する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水その他各種液体ろ過または血液透析、血液濾過膜に用いられる湿潤状態で巻き取った中空糸膜束をフィルムで包装した後、性能低下および熱による酸化を抑え短時間で効率良く乾燥することのできる中空糸膜束の乾燥方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
水および各種液体のろ過または血液透析、血液濾過に用いられる中空糸膜モジュールを製造する際には、複数本の中空糸膜束をウレタン樹脂でケースに接着し、固化した後端部をカットして表面を開口させることで製造している。しかし、接着の際に中空糸膜束に多量の水分が存在するとウレタン樹脂が発泡して、製品の見栄えが悪くなるばかりでなく、接着不良になりリークが発生する。そこで、中空糸膜束の水分を適度に調節する必要があった。さらに、乾燥が不十分になると中空糸膜束中に保存中に菌が増殖してしまい、もはや医療用途には使用できなくなってしまう。
【0003】
従来、中空糸膜束の乾燥方法として乾燥用ガスを導く通気筒内に挿入され切り揃えられた中空繊維束の端部から、乾燥用空気を中空繊維内部へ強制的に通気して乾燥する方法があるが(例えば、特許文献1参照)、この方法では乾燥に長時間を要し、性能劣下および熱による酸化を抑えつつ短時間で効率よく乾燥することは極めて困難であった。また乾燥時間を短縮するために風量を上げて乾燥すると中空糸膜束の端部が乱れたり、膜形状が悪化したり、乾燥斑が発生した場合には過剰に熱履歴のかかった箇所は熱による酸化が進行してしまうという課題があった。
【0004】
中空糸膜製造工程において、インラインで連続的に湿熱処理を行いながらマイクロ波を照射して中空糸膜を乾燥する技術手段が開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、この乾燥法は常圧下でマイクロ波を照射する方法とは原理が異なる。また、この方法では、数本の中空糸膜を乾燥するのには適しているが、本方法の様に数千本以上の中空糸膜を束ねた中空糸膜束を乾燥する際には乾燥が不十分となり、減圧下で実施することが困難なため中空糸膜束の表面温度が上昇してしまい膜が酸化劣下してしまう問題がある。さらに、常圧下の水の沸点である100℃以上にならないと水分が蒸発しないため膜に過剰のマイクロ波が照射されてしまい、結果として膜素材自体の劣下や酸化が起こってしまう。さらに、中空糸膜束全体を均一に乾燥できないだけではなく、過剰な量のマイクロ波が中空糸膜束に照射されてしまいマイクロ波が集中しやすいエッジ部分が焦げたり、溶けて糸同士が固着してしまうおそれがあり、もはや使用することが出来なくなってしまう課題があった。
【0005】
【特許文献1】
特許3219445号公報(第1頁〜第2頁)
【特許文献2】
特開平11−332980号公報(第1頁〜第4頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、湿潤状態で巻き取った中空糸膜束を包装した後、性能劣下および熱による酸化を抑えるために、短時間で効率よく乾燥することができる中空糸膜束の乾燥方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、フィルムで包装された湿潤状態の中空糸膜束を乾燥する際に、減圧下でマイクロ波を照射することにより、性能低下および熱による酸化を抑え、短時間で効率良く乾燥することできることを見出し本発明に至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の様なものである。
(1)湿潤状態の中空糸膜束を乾燥するにあたり、20kPa以下の減圧下で出力0.1〜100kWのマイクロ波を照射する中空糸膜束の乾燥方法。
(2)前記マイクロ波の周波数が1,000〜5,000MHzである(1)記載の中空糸膜束の乾燥方法。
(3)乾燥処理中の中空糸膜束の最高到達温度が90℃以下である(1)または(2)記載の中空糸膜束の乾燥方法。
(4)前記中空糸膜束がポリスルホン系ポリマーまたはセルロース系ポリマーを主成分とする湿潤状態の中空糸膜である(1)〜(3)いずれか記載の中空糸膜束の乾燥方法。
(5)前記ポリスルホン系ポリマーがポリエーテルスルホンである(1)〜(4)いずれか記載の中空糸膜束の乾燥方法。
(6)前記セルロース系ポリマーが酢酸セルロースである(1)〜(4)いずれか記載の中空糸膜束の乾燥方法。
(7)湿潤状態の中空糸膜束を乾燥するにあたり、20kPa以下の減圧下で、出力が0.1〜100kW、周波数が1,000〜5,000MHzのマイクロ波を照射し、かつ乾燥中の中空糸膜束の温度が90℃以下で乾燥された中空糸膜束。
(8)乾燥後の中空糸膜束の水分率が15%以下である(7)記載の中空糸膜束。
(9)前記中空糸膜束がポリスルホン系ポリマーまたはセルロース系ポリマーを主成分とする湿潤状態の中空糸膜からなる(7)または(8)に記載の中空糸膜束。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用される中空糸膜束とは、例えば乾湿式紡糸法により二重管口金の外側より紡糸原液を吐出し、同時に二重管口金の内側より中空形成剤を吐出し凝固浴で凝固した後、洗浄し湿潤状態の中空糸膜を12点の巻取り機で束状に巻き取ることにより製造される。このようにして得られた内径100〜500μm、膜厚10〜100μmの中空糸膜を約1000〜30000本束ねた中空糸膜束は乾燥中や以後の処理でバラケないように可塑性のフィルム等で巻かれたり筒状のケースに挿入された後、長さ15〜40cmに切断することで両端を開口する。この湿潤状態の中空糸膜束は、遠心機を用いて中空糸内外表面に付着した余分な水分を除去する目的で脱液を行ってもよい。ここで、湿潤状態の中空糸膜束とは少なくとも中空糸膜細孔内に水を含む状態をいう。
【0010】
得られた湿潤状態の中空糸膜束を複数束乾燥機に入れ、20kPa以下の減圧下で出力0.1〜100kWのマイクロ波を照射する。乾燥時間短縮を考慮するとマイクロ波の出力は高いほうが好ましいが、例えば親水性高分子を含有する中空糸膜では過乾燥や過過熱による親水性高分子の劣下、分解が起こったり、使用時の濡れ性低下が起こるなどの問題があるため、出力はあまり上げないのが好ましい。また0.1kW未満の出力でも中空糸膜束を乾燥することは可能であるが、乾燥時間が伸びることによる処理量低下の問題が起こる可能性がある。減圧度とマイクロ波出力の組合せの最適値は、中空糸膜束の保有水分量および中空糸膜束の処理本数により異なるものであって、試行錯誤のうえ適宜設定値を求めるのが好ましい。
例えば、中空糸膜1本当たり50gの水分を有する中空糸膜束を20本乾燥した場合、総水分含量は50g×20本=1,000gとなり、この時のマイクロ波の出力は1.5kW、減圧度は5kPaが適当である。
より好ましいマイクロ波出力は0.1〜80kW、さらに好ましいマイクロ波出力は0.1〜60kWである。
【0011】
マイクロ波の照射周波数は、中空糸膜束への照射斑の抑制や、細孔内の水を細孔より押出す効果などを考慮すると1,000〜5,000MHzが好ましい。より好ましくは1,500〜4,000MHz、さらに好ましくは2,000〜3,000MHzである。
【0012】
減圧度についてはマイクロ波の出力、中空糸膜束の有する総水分含量および中空糸膜束の本数により適宜設定すれば良いが、乾燥中の中空糸膜束の温度上昇を防ぐため減圧度は20kPa以下、より好ましくは15kPa以下、さらに好ましくは10kPa以下で行う。20kPa以上では水分蒸発効率が低下するばかりでなく、中空糸膜を形成するポリマーの温度が上昇してしまい劣下してしまう可能性がある。また、減圧度は高い方が温度上昇抑制と乾燥効率を高める意味で好ましいが、装置の密閉度を維持するためにかかるコストが高くなるので0.1kPa以上が好ましい。より好ましくは0.25kPa以上、さらに好ましくは0.4kPa以上である。
【0013】
乾燥中の中空糸膜束の最高到達温度は、不可逆性のサーモラベルを中空糸膜束を保護するフィルム側面に貼り付けて乾燥を行い、乾燥後に取り出し表示を確認することで測定することができる。この時、乾燥中の中空糸膜束の最高到達温度は90℃以下が好ましく、より好ましくは80℃以下に抑える。さらに好ましくは70℃以下である。最高到達温度が90℃以上になると、膜構造が変化しやすくなり性能低下や酸化劣下を起こしてしまう場合がある。特に親水性高分子を含有する中空糸膜では、熱による親水性高分子の分解等が起こりやすいので温度上昇をできるだけ防ぐ必要がある。減圧度とマイクロ波出力の最適化と断続的に照射することで温度上昇を防ぐことができる。また、乾燥温度は低い方が好ましいが、減圧度の維持コスト、乾燥時間短縮の面より30℃以上が好ましい。
【0014】
乾燥後の中空糸束の水分率は15%以下であることが望ましい。水分率が15%より高い場合には、中空糸膜束をプラスチックケースに収納して両端をウレタン樹脂で硬化させ、両端を切断して中空糸端部を開口させて中空糸膜モジュールを製造する際、中空糸膜束中に含まれる水分のためにウレタン樹脂が発泡してしまい、接着不良の発生やウレタン樹脂部でリークが発生する可能性がある。水分率のより好ましい範囲は10%以下、さらに好ましくは7%以下、最も好ましくは5%以下である。しかし、親水性高分子を含有する中空糸膜において過乾燥(絶乾に近い状態まで乾燥)すると、親水性高分子と主成分である疎水性高分子とのポリマー鎖の絡み合いの程度が低下し、あるいは親水性高分子の濡れ性が低下し、血液処理時に低分子領域の親水性高分子が溶出しやすくなる問題が生じる可能性があるため、乾燥後の中空糸膜の水分率は0.5%以上が好ましい。より好ましくは1.0%以上である。
【0015】
乾燥に使用される中空糸膜の素材は、ポリスルホン系ポリマーまたはセルロース系ポリマーを主成分とする。ポリスルホン系ポリマーとしてはポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリルスルホンなどが挙げられるが、耐熱性、耐酸化性の点よりポリエーテルスルホンが好ましい。またセルロース系ポリマーとしては再生セルロースや酢酸セルロースが挙げられるが、酢酸セルロース、特にセルローストリアセテートが好ましい。
【0016】
本発明において、中空糸膜束は複数本の中空糸膜からなり、その中空糸膜の配置は平行配置、中央で折り返したU字型配置など特に限定されない。
【0017】
本発明によれば、マイクロ波の特徴を利用して中空糸膜束内部まで短時間に加熱することができ、誘電率の高い水のみを集中的に加熱して蒸発させることが可能であるため、相対的に誘電率の低い中空糸膜素材である、例えばポリスルホン系ポリマーまたはセルロース系ポリマー等へのダメージを抑えることができる。
また、20kPa以下の減圧状態にすることにより、より低い温度で水の蒸発が可能となり、酸化を促進する酸素濃度が低い環境下で乾燥することができるため、膜素材へのダメージを最小限に抑えられる。また、ランニングコストを抑えることができ、設備も比較的小型化が可能で優れており、大量生産するのに適している。
【0018】
また、本発明の減圧下でのマイクロ波乾燥に於いては、乾燥効率をさらに高めるために遠赤外線の照射をしても良い。マイクロ波照射と遠赤外線照射を併用することにより、マイクロ波で中空糸表面の水分を速やかに除去することができる。遠赤外線の出力としては、マイクロ波の出力同様、中空糸膜束の有する総水分量および中空糸膜束の本数により最適値が変化し、例えば中空糸膜1本当たり50gの水分を有する中空糸膜を20本乾燥した場合、総水分量は50g×20本=1,000gとなり、この時の遠赤外線の出力は1kwで十分である。
【0019】
乾燥による細孔径の縮小を防ぐために、中空糸膜をグリセリン水溶液に含浸させた中空糸膜束を乾燥する場合にも、本発明は効果を発揮する。すなわち、グリセリンは熱による酸化を受けやすい性質を有するが、減圧下マイクロ波乾燥を行うことにより低温、短時間で乾燥することができグリセリンの劣下も防ぐことができる。
【0020】
【実施例】
以下、実施例により本発明の効果ならびにより詳細な説明を加えるが、本発明は実施例によりなんら限定されるものではない。
【0021】
(限外濾過速度の測定法)
中空糸膜モジュールを使用し、膜の内外両側に純水を満たし37℃に恒温した。
膜の内側に通じるモジュール入口から圧力をかけて37℃の純水を流し、膜の内側と外側の圧力差、すなわち膜間圧力差を生じせしめ、1分間に膜を通じて膜外側に出てくる純水の量を測定した。膜間圧力差(TMP)はTMP=(Pi+Po)/2とする。ここでPiはモジュール入口圧力、Poはモジュール出口圧力である。)4点の異なった膜間圧力差において、1分間の透水量を測定し、膜間圧力差と透水量の2次元座標にプロットして、それらの近似直線の傾きを求めた。この数値に60をかけ、中空糸膜モジュールの膜面積で割って中空糸膜の純水の限外濾過係数を求めた。限外濾過速度の単位はml/(m・hr・mmHg)。
【0022】
(溶出物(UV値)の測定)
中空糸膜1.0gを水100mlに浸漬し70℃水浴中1時間加温し試験液を調整する。試験液の吸光度を波長220〜350nmの範囲で測定する。なお人工腎臓装置承認基準では、本条件での規格を0.1以下としている。
【0023】
(水分率の測定)
本発明における中空糸膜の水分率は、以下の式により計算する。
水分率%=100×(W1−W2)/W1
ここで、W1は中空糸膜重量(g)、W2は120℃の乾熱オーブンで2時間乾燥後(絶乾後)の中空糸膜重量(g)である。
【0024】
(中空糸の内径・膜厚の測定)
中空糸断面のサンプルは以下のようにして得ることができる。測定には中空形成材を洗浄、除去した後、中空糸膜を乾燥させた形態で観察することが好ましい。乾燥により著しく形態が変化する場合には中空形成材を洗浄、除去したのち、純水で完全に置換した後、湿潤状態で形態を観察することが好ましい。
1)乾燥後の中空糸膜をスライドグラスの中央に開けられたφ3mm孔に適当本数通し、スライドグラスの上下面でカミソリによりカットし、中空部を露出させた断面サンプルを得る。
2)湿潤状態の中空糸膜をスライドグラスの中央に開けられたφ3mmに適当本数通し、スライドグラスの上下面でカミソリによりカットし、中空部を露出させた断面サンプルを得た後、孔を水で満たしてカバーグラスでスライドグラスの上 下面を挟み測定サンプルとする。
測定方法は中空糸の形状を拡大し、0.1μmの精度で測定できれば、特に限定しないが、光学顕微鏡、または万能投影機を用いることが好ましい。本発明者らはNikon−12Aを用いて測定した。測定は視野内の任意の5個について無作為に抽出し測定を実施した。測定は各中空糸膜断面の内径および外径について夫々短径と長径を測定し、それぞれの算術平均値を中空糸膜断面1個の内径および外径とした。膜厚はそれぞれについて(外径−内径)/2で算出した。
【0025】
(実施例1)
ポリエーテルスルホン17重量部、ジメチルアセトアミド75重量部、ポリビニルピロリドン3重量部、水5重量部を50℃にて加熱混合して溶解し紡糸原液を得た。これを孔径40μmの焼結フィルターで濾過し、不純物を除去した後、二重管口金の外側から下方に向かって60.0m/minで吐出した。一方、同時に二重管口金の内側よりジメチルアセトアミド50重量部と水50重量部の混合液を供給し、中空糸形状を形成した。中空糸状の紡糸原液を口金から吐出した後、気体雰囲気中を500mm空中走行させ、凝固浴に導いた。凝固浴に導かれた紡糸原液は、水洗浴を経て綛によって巻き取られた。得られた中空糸のディメンジョンは内径200μm、膜厚30μmであった。得られた10,000本の中空糸膜束を厚さ150μmの高密度ポリエチレンフィルムで包装した。これを長さ280mmに切断し、直径35mm、長さ280mmの両端が開口された中空糸膜束が得られた。このフィルムで包装された湿潤状態の中空糸膜束2を乾燥装置3内の回転テーブル4に12本×2段に中空糸膜束をセットし、マイクロ波発生装置5により初期1.5kWのマイクロ波を照射するとともに真空ポンプ6により前記乾燥装置内を7kPaに減圧し31分間乾燥処理を行った。続いてマイクロ波出力0.5kW、減圧度7kPaにて10分間乾燥処理を行った。さらにマイクロ波出力を0.2kWに落として同様に8分間乾燥処理を行い終了した。
この時の中空糸膜束表面の最高到達温度は65℃で、除水水分量は1100g、乾燥後の中空糸膜の水分率は平均3wt%であった。この乾燥後の中空糸膜束は人工腎臓装置承認基準に示される方法に従い、浴比100、70℃の水で1時間抽出し、得られた抽出液の220〜350nmの紫外可視吸光度(UV)の最大値を測定した。また、乾燥後の中空糸膜束はポリカーボネート製のケースの中に挿入し、両端部をウレタン樹脂で固定するとともに切断開口させ、流入口を有するキャップを装着して膜面積1.5mの中空糸膜モジュールを作製し、限外濾過速度(ml/(hr・m・mmHg))を測定した。結果を表1に示す。真空マイクロ波乾燥機を用いることにより短時間で乾燥することができ、中空糸膜束同士の固着も見られず、限外濾過速度の低下が少なく、しかもUV値も低値であった。
【0026】
(実施例2)
ポリエーテルスルホン20重量部、N−メチル−2−ピロリドン35重量部、トリエチレングリコール45重量部を130℃にて加熱混合して溶解し紡糸原液を得た。これを孔径40μmの焼結フィルターで濾過し、不純物を除去した後、二重管口金の外側から下方に向かって60.0m/minで吐出した。一方、同時に二重管口金の内側より水を供給し、中空糸形状を形成した。つづいて、気体雰囲気中を350mm空中走行させ、凝固浴に導いた。凝固浴に導かれた紡糸原液は、水洗浴を経て綛によって巻き取られた。得られた中空糸のディメンジョンは内径200μm、膜厚50μmであった。巻き取られた8,000本の中空糸膜束を厚さ200μmのポリプロピレンフィルムで包装した。これを長さ300mmに切断し、外径35mm、長さ300mmの中空糸膜束が得られた。得られた中空糸膜束を60℃×50%グリセリン水溶液中に浸漬し十分含浸させた。このフィルムで包装された湿潤状態の中空糸膜束を乾燥装置内の回転テーブルに48本×2段に中空糸膜束をセットし、初期7kWのマイクロ波を照射するとともに乾燥装置内を5kPaに減圧し70分間乾燥処理を行った。続いてマイクロ波出力3.5kW、減圧度5kPaにて50分間乾燥処理を行った。さらにマイクロ波出力を2.5kWに落として同様に10分間乾燥処理を行い終了した。乾燥処理中の中空糸膜束表面の最高到達温度は65℃で水分率は平均5wt%であった。
これを、実施例1と同様の方法で紫外可視吸光度を測定し、さらに、膜面積1.5mの中空糸膜モジュールを作製し、限外濾過速度、UV値を測定した結果を表1に示す。
【0027】
(実施例3)
セルローストリアセテート15重量部、N−メチル−2−ピロリドン55重量部、トリエチレングリコール30重量部を170℃で混合加熱して均一溶解させ紡糸原液を得た。これを孔径30μmの焼結フィルターで濾過し不純物を除去した後、二重管口金の外側から下方に向かって吐出した。同時に二重管口金の内側にはRO水を供給し、中空糸形状を形成した。気体雰囲気中を350mm空中走行させ凝固浴に導き、続いて水洗浴にて溶媒、非溶媒を除去した後、綛によって巻き取られた。得られた中空糸膜のディメンジョンは内径195μm、膜厚20μmであった。得られた10,500本を中空糸膜束を、厚さ200μmのポリプロピレン筒状フィルム内に装填した。これを長さ320mmになるように切断し、直径35mm、長さ320mmの中空糸膜束が得られた。得られた中空糸膜束を70℃×65%グリセリン水溶液中に120分間浸漬しグリセリンを十分含浸させた。このフィルムで包装された湿潤状態の中空糸膜束を乾燥装置内の回転テーブルに48本×2段にセットし、初期3kWのマイクロ波を照射するとともに乾燥装置内を3kPaに減圧し60分間乾燥処理を行った。続いてマイクロ波出力1.5kW、減圧度3kPaにて15分間乾燥処理を行った。さらにマイクロ波出力を1.0kWに落として同様に10分間乾燥処理を行い終了した。乾燥処理中の中空糸膜束表面の最高到達温度は55℃で水分率は平均10wt%であった。これを、実施例1と同様の方法で溶出物量(UV)を測定し、さらに、中空糸膜内径基準で膜面積1.5mの中空糸膜モジュールを作製し、限外濾過速度を測定した。結果を表1に示す。また乾燥後の中空糸膜は、UV値が人工腎臓装置承認基準の上限である0.1を大きく下回っていた。
【0028】
(比較例1)
実施例1で作製した上記の中空糸膜束72本を乾燥空気を用いて風量1.2m/minで60℃×12時間かけて乾燥したところ、中空糸膜束表面の最高到達温度は60℃で、水分率は3wt%であった。これを、実施例1と同様の方法で紫外可視吸光度を測定し、さらに、膜面積1.5mの中空糸膜モジュールを作製し、限外濾過速度を測定した結果を表1に示す。乾燥後の中空糸膜束は、人工腎臓装置承認基準の基準である0.1を超えており、さらに限外濾過速度も実施例に比べ低下していた。
【0029】
(比較例2)
実施例1で作製した上記の中空糸膜束を常圧でマイクロ波のみを用いて乾燥したところ、乾燥途中で中空糸膜束の端部が融けて糸同士が融着してしまったにもかかわらず、未乾燥の中空糸膜が存在した。
【0030】
【表1】
Figure 2004305997
【0031】
【発明の効果】
以上のように、湿潤状態で巻き取った中空糸膜束を20kPa以下の減圧下でマイクロ波を照射することにより、低温、無酸素状態、短時間に効率良く乾燥することができるため、乾燥による膜性能や品質の低下、溶出物量を低減できる中空糸膜束の乾燥方法および中空糸膜束を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の中空糸膜束の乾燥方法の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1.湿潤状態で巻き取った中空糸膜
2.フィルム等で包装した中空糸膜束
3.乾燥装置
4.回転テーブル
5.マイクロ波発生装置
6.真空ポンプ

Claims (9)

  1. 湿潤状態の中空糸膜束を乾燥するにあたり、20kPa以下の減圧下で出力0.1〜100kWのマイクロ波を照射する中空糸膜束の乾燥方法。
  2. 前記マイクロ波の周波数が1,000〜5,000MHzである請求項1記載の中空糸膜束の乾燥方法。
  3. 乾燥処理中の中空糸膜束の最高到達温度が90℃以下である請求項1または2記載の中空糸膜束の乾燥方法。
  4. 前記中空糸膜束がポリスルホン系ポリマーまたはセルロース系ポリマーを主成分とする湿潤状態の中空糸膜である請求項1〜3いずれか記載の中空糸膜束の乾燥方法。
  5. 前記ポリスルホン系ポリマーがポリエーテルスルホンである請求項1〜4いずれか記載の中空糸膜束の乾燥方法。
  6. 前記セルロース系ポリマーが酢酸セルロースである請求項1〜4いずれか記載の中空糸膜束の乾燥方法。
  7. 湿潤状態の中空糸膜束を乾燥するにあたり、20kPa以下の減圧下で、出力が0.1〜100kW、周波数が1,000〜5,000MHzのマイクロ波を照射し、かつ乾燥中の中空糸膜束の温度が90℃以下で乾燥された中空糸膜束。
  8. 乾燥後の中空糸膜束の水分率が15%以下である請求項7記載の中空糸膜束。
  9. 前記中空糸膜束がポリスルホン系ポリマーまたはセルロース系ポリマーを主成分とする湿潤状態の中空糸膜からなる請求項7または8に記載の中空糸膜束。
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