JP2020063431A - 粘着剤層及び粘着シート - Google Patents

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健斗 坂本
Kento Sakamoto
健斗 坂本
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Abstract

【課題】ポリオレフィン基材に対する接着性及び透明性に優れ、更に、カット性に優れた粘着剤層及び粘着シートを提供する。【解決手段】ポリエステル系粘着剤組成物[I]が硬化されたポリエステル系粘着剤層であって、下記要件(1)及び(2)を満足する粘着剤層とする。(1)ポリエステル系粘着剤組成物[I]が、水添ポリブタジエン構造含有化合物由来の構造単位を有するポリエステル系樹脂(A)を含有すること。(2)ポリエステル系粘着剤層の150℃における貯蔵弾性率(X)が2.5×103Pa以上であること。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステル系の粘着剤層及び粘着シートに関し、さらに詳しくはポリオレフィン基材に対する接着性及び透明性に優れ、更に、粘着剤層を所定サイズに切り出す際のカット性についても優れた粘着剤層及び粘着シートに関するものである。
従来、ポリエステル系樹脂は、耐熱性、耐薬品性、耐久性、機械的強度に優れているため、フィルム、ペットボトル、繊維、トナー、電機部品、および接着剤や粘着剤等、幅広い用途で用いられている。
また、近年では、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)等の表示装置や、タッチパネル等の上記表示装置と組み合わせて用いられる入力装置が広く用いられるようになっており、これらの製造においては、光学フィルムや基材等の光学部材の貼り合わせに、透明な粘着シートが使用されている。
更に、粘着シートは、家電製品、建材、自動車外装・内装材などの各種産業分野における接合材料として使用されており、ステンレスやアルミニウム等の金属材料や、ポリエチレン、ポリプロロピレン、ABS、ポリカーボネート樹脂等の各種プラスチック材料、あるいはガラス材料等の様々な被着体に対して、高い信頼性をもって接着することが求められている。
このような粘着シートとして、例えば、水添ポリブタジエン骨格を有するポリエステル系粘着剤組成物を用いた粘着剤付きフィルムを用いて、金属板に貼り付けた際の粘着性と凝集性との両立を図った粘着シートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平3−167284号公報
しかしながら、上記特許文献1のポリエステル系粘着剤組成物は、金属板への接着性は得られるものの、一般的に接着性に劣るポリオレフィン基材への接着性については全く考慮されておらず、また、粘着シートとした場合の透明性の点では満足のいくものではない。
また、近年では、ポリオレフィン基材を被着体とする用途、例えば、自動車内装・外装材や建材等の用途が増えており、ポリオレフィン基材への接着性の要望が非常に高くなっている。
更に、粘着シートに求められる性能としていくつもある中で、所定サイズに切り出す際のカット性も非常に重要になっており、例えば、粘着シート製造現場や粘着シートを使用する際の施工現場での作業性や打ち抜き加工性(打ち抜き機のカッター汚染が少ないことや、粘着シートロールとした際の端部に糊のはみだしがないこと等の性能を言う。)の点で、特に要望が高まっている。
そこで、本発明ではこのような背景下において、ポリオレフィン基材に対する接着性及び透明性に優れ、更に、カット性に優れた粘着剤層及び粘着シートを提供することを目的とする。
しかるに、本発明者はかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、ポリエステル系粘着剤組成物が硬化されたポリエステル系粘着剤層において、ポリエステル系粘着剤組成物を構成するポリエステル系樹脂中に、水添ポリブタジエン構造含有化合物由来の構造単位を含有させ、更に、粘着剤層の貯蔵弾性率を高めに設定することにより、ポリオレフィン基材への接着性及び透明性に優れながら、更にカット性にも優れた粘着剤層となることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は、ポリエステル系粘着剤組成物[I]が硬化されたポリエステル系粘着剤層であって、下記要件(1)及び(2)を満足する粘着剤層に関するものである。
(1)ポリエステル系粘着剤組成物[I]が、水添ポリブタジエン構造含有化合物由来の構造単位を有するポリエステル系樹脂(A)を含有すること。
(2)ポリエステル系粘着剤層の150℃における貯蔵弾性率(X)が2.5×103Pa以上であること。
また、本発明は、上記粘着剤層を有する粘着シートを第2の要旨とする。
一般に、ポリエステル系粘着シートの基材や被着体への接着性の改善のためには、粘着付与剤を添加し、粘着剤層の凝集力や界面接着性を制御することが考えられる。
更に、一般的に接着性に劣るポリオレフィン基材に適用させるとなると、なおさらその含有量を多くしようと考えることが通常である。しかしながら、粘着付与剤とポリエステル系樹脂とは充分な相溶性が得られず、粘着剤層の白濁や低温タック性の低下による粘着特性のバランス取りが困難である。
また、ポリエステル系粘着シートの基材や被着体への接着性改善には、水添ポリブタジエン構造を含有させることも考えられ、粘着付与剤と同様、その含有量を多くすることにより改善効果を図ろうとするものであるが、やはり充分な相溶性が得られず粘着剤層の白濁や凝集力低下による粘着特性のバランスがとりづらくなる。
一方で、上述のような粘着シートのカット性を向上させるためには、粘着剤層の弾性率を上げることが考えられるが、単に粘着剤層を硬くした場合では接着性が低下してしまうという問題がある。
本発明においては、粘着付与剤を用いず、ポリエステル系樹脂中に水添ポリブタジエン構造含有化合物由来の構造単位を含有させることにより、カット性を良好に保つことができる程度に粘着剤層を硬くしても、ポリオレフィン基材への接着性や透明性に優れるといった、両方を満足する粘着剤層及び粘着シートを見出したのである。
本発明の粘着剤層は、ポリエステル系粘着剤組成物[I]が硬化されたポリエステル系粘着剤層であって、下記要件(1)及び(2)を満足することから、ポリオレフィン基材に対する接着性及び透明性に優れながら、更にはカット性にも優れた効果を有すものである。
(1)ポリエステル系粘着剤組成物[I]が、水添ポリブタジエン構造含有化合物由来の構造単位を有するポリエステル系樹脂(A)を含有すること。
(2)ポリエステル系粘着剤層の150℃における貯蔵弾性率(X)が2.5×103Pa以上であること。
以下、本発明の構成につき詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。
なお、本発明において、「カルボン酸類」との用語は、カルボン酸に加え、カルボン酸塩、カルボン酸無水物、カルボン酸ハロゲン化物、カルボン酸エステル等のカルボン酸誘導体も含むものである。
本発明の粘着剤層は、ポリエステル系粘着剤組成物[I]が硬化されたポリエステル系粘着剤層であり、上記ポリエステル系粘着剤組成物[I]は、水添ポリブタジエン構造含有化合物由来構造単位を有するポリエステル系樹脂(A)を含有するものである。
以下、上記ポリエステル系粘着剤組成物[I]を構成する各成分について、順次説明する。
<ポリエステル系樹脂(A)>
ポリエステル系樹脂(A)は、通常、構成原料として、多価カルボン酸類(a1)およびポリオール(a2)を含む共重合成分を共重合することにより得られ、そのポリエステル系樹脂(A)は、樹脂組成として、多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位およびポリオール(a2)由来の構造単位を有するようになる。
〔多価カルボン酸類(a1)〕
ポリエステル系樹脂(A)の構成原料として用いられる上記多価カルボン酸類(a1)としては、例えば、二価カルボン酸類、三価以上の多価カルボン酸類があり、ポリエステル系樹脂(A)を安定的に得られる点から二価カルボン酸類が好ましく用いられる。
上記二価カルボン酸類としては、例えば、
マロン酸類、ジメチルマロン酸類、コハク酸類、グルタル酸類、アジピン酸類、トリメチルアジピン酸類、ピメリン酸類、2,2−ジメチルグルタル酸類、アゼライン酸類、セバシン酸類、フマル酸類、マレイン酸類、イタコン酸類、チオジプロピオン酸類、ジグリコール酸類、1,9−ノナンジカルボン酸類、等の脂肪族ジカルボン酸類;
フタル酸類、テレフタル酸類、イソフタル酸類、ベンジルマロン酸類、ジフェン酸類、4,4’−オキシジ安息香酸類、さらに1,8−ナフタレンジカルボン酸類、2,3−ナフタレンジカルボン酸類、2,7−ナフタレンジカルボン酸類等のナフタレンジカルボン酸類、等の芳香族ジカルボン酸類(a1−1);
1,3−シクロペンタンジカルボン酸類、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸類、1,3−シクロペンタンジカルボン酸類、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸類、2,5−ノルボルナンジカルボン酸類、アダマンタンジカルボン酸類、等の脂環族ジカルボン酸類;
等が挙げられる。
上記三価以上のカルボン酸類としては、例えば、トリメリット酸類、ピロメリット酸類、アダマンタントリカルボン酸類、トリメシン酸類、等が挙げられる。
また、多価カルボン酸類(a1)としては、水添ポリブタジエン構造含有化合物を用いてもよく、例えば、1,2−ポリブタジエンジカルボン酸類、1,4−ポリブタジエンジカルボン酸類、1,4−ポリイソプレンジカルボン酸類等のポリブタジエン系多価カルボン酸類あるいはこれらのポリブタジエン系多価カルボン酸類の二重結合を水素またはハロゲン等で飽和化した飽和炭化水素系多価カルボン酸類等が挙げられる。さらには、ポリブタジエン系多価カルボン酸類にスチレン、エチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル等のオレフィン化合物を共重合させた多価カルボン酸類やその水素化した多価カルボン酸類等も使用できる。なかでも特に好ましくは、飽和度の高い炭化水素系ポリブタジエン多価カルボン酸類であり、数平均分子量が300〜30000、さらには500〜10000、特には800〜5000のものが好ましい。また、カルボキシ基の平均官能基数が1.5〜3のものであることが好ましい。
上記水添ポリブタジエン構造含有化合物としては、水添ポリブタジエン構造中における1,2結合部位、および1,4結合部位において、1,2結合部位の割合が多い方がポリオレフィン基材への接着性に優れる点で好ましい。また、水添ポリブタジエン構造中に占める1,2結合部位が25〜100%であることが好ましく、特には50〜100%であることが好ましく、殊には75〜100%であることが好ましい。
上記の多価カルボン酸類(a1)のなかでも、ポリオレフィン基材に対する接着性に優れ、透明性にも優れる点から、好ましくは芳香族ジカルボン酸類(a1−1)である。また、これらの多価カルボン酸類(a1)は単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
さらに、上記芳香族ジカルボン酸類(a1−1)のなかでも、ポリエステル系樹脂(A)の結晶性を下げる点から、非対称の芳香族ジカルボン酸類(a1−1−1)を含ませることが好ましく、非対称の芳香族ジカルボン酸類(a1−1−1)としては、例えば、フタル酸類、イソフタル酸類、1,8−ナフタレンジカルボン酸類、2,3−ナフタレンジカルボン酸類、2,7−ナフタレンジカルボン酸類等が挙げられ、なかでも反応性の点でイソフタル酸類が特に好ましい。
かかる非対称の芳香族ジカルボン酸類(a1−1−1)の含有量としては、多価カルボン酸類(a1)全体に対して、1〜90モル%であることが好ましく、特に好ましくは2〜80モル%、さらに好ましくは3〜60モル%、殊に好ましくは5〜40モル%である。かかる含有量が少なすぎると、樹脂が結晶化し、充分な粘着性能が得られなくなる傾向があり、多すぎると相溶性、および初期密着性(タック)が低下する傾向がある。
さらに、上記多価カルボン酸類(a1)のなかでも、ポリエステル系樹脂(A)の結晶性を別観点より下げる点から、炭素数が奇数の脂肪族多価カルボン酸類(a1−2)を含ませることが好ましく、炭素数が奇数の脂肪族多価カルボン酸類(a1−2)としては、例えば、マロン酸類、グルタル酸類、ピメリン酸類、アゼライン酸類、1,9−ノナンジカルボン酸類等が挙げられ、なかでもアゼライン酸類が特に好ましく用いられる。
かかる炭素数が奇数の脂肪族多価カルボン酸類(a1−2)の含有量としては、多価カルボン酸類(a1)全体に対して、5〜100モル%であることが好ましい。とりわけ、溶液透明性を重視する場合は、多価カルボン酸類(a1)全体に対して、5〜100モル%であることが好ましく、特に好ましくは10〜90モル%、さらに好ましくは20〜85モル%、殊に好ましくは30〜80モル%である。かかる含有量が少なすぎると樹脂が結晶化し充分な粘着性能が得られなくなる傾向がある。
本発明においては、粘着物性の点から、多価カルボン酸類(a1)として、非対称の芳香族ジカルボン酸類(a1−1−1)および脂肪族多価カルボン酸類を併用することも好ましい。非対称の芳香族ジカルボン酸類(a1−1−1)および脂肪族多価カルボン酸類の含有比率(モル比)としては、非対称の芳香族ジカルボン酸類(a1−1−1)/脂肪族多価カルボン酸類=0.1/99.9〜70/30であることが好ましく、特に好ましくは0.2/99.8〜60/40、さらに好ましくは0.5/99.5〜50/50、殊に好ましくは1/99〜40/60、より好ましくは3/97〜30/70である。
なお、ポリエステル系樹脂(A)中に分岐点を増やす目的で、三価以上の多価カルボン酸類を用いることもでき、なかでも、比較的ゲル化が発生しにくい点でトリメリット酸類を用いることが好ましい。
かかる三価以上の多価カルボン酸類の含有量としては、粘着剤の凝集力を高めることができる点で、多価カルボン酸類(a1)全体に対して、好ましくは10モル%以下、特に好ましくは0.1〜5モル%であり、かかる含有量が多すぎるとポリエステル系樹脂(A)の製造時にゲル化が生じやすい傾向がある。
〔ポリオール(a2)〕
ポリエステル系樹脂(A)の構成原料として用いられるポリオール(a2)としては、二価アルコール、三価以上のポリオールがある。ポリオール(a2)は、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記二価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール;
1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、トリシクロデカンジメタノール、アダマンタンジオール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール等の脂環族ジオール;
4,4’−チオジフェノール、4,4’−メチレンジフェノール、ビスフェノール、ビスフェノールフルオレン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、o−,m−及びp−ジヒドロキシベンゼン、2,5−ナフタレンジオール、p−キシレンジオール等の芳香族ジオール;
及びこれらのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド付加体が挙げられる。
さらに、ヒマシ油から誘導される脂肪酸エステルや、オレイン酸や、エルカ酸等から誘導されるダイマージオール、グリセロールモノステアレート等が挙げられる。
また、上記三価以上のポリオールとしては、例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,3,6−ヘキサントリオール、アダマンタントリオール等が挙げられる。
また、ポリオール(a2)としては、ポリオレフィン基材への接着性に優れる点から、水添ポリブタジエンポリオール(a2−1)を用いることが好ましい。
上記水添ポリブタジエンポリオール(a2−1)としては、例えば、1,2−ポリブタジエンポリオール、1,4−ポリブタジエンポリオール、1,4−ポリイソプレンポリオール等のポリブタジエン系ポリオールあるいはこれらのポリブタジエン系ポリオールの二重結合を水素またはハロゲン等で飽和化した飽和炭化水素系ポリオール等が挙げられる。さらには、ポリブタジエン系ポリオールにスチレン、エチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル等のオレフィン化合物を共重合させたポリオールやその水素化したポリオール等も使用できる。なかでも特に好ましくは、飽和度の高い炭化水素系ポリブタジエンポリオールであり、数平均分子量が300〜30000、さらには500〜10000、特には800〜5000のものが好ましい。また、水酸基の平均官能数が1.5〜3のものであることが好ましい。
さらに、水添ポリブタジエンポリオールの構造中における1,2結合部位、及び1,4結合部位において、1,2結合部位の割合が多い方がオレフィン基材への接着性に優れる点で好ましい。水添ポリブタジエンポリオール中に占める1,2結合部位が25〜100%であることが好ましく、特には50〜100%であることが好ましく、殊には75〜100%であることが好ましい。
上記水添ポリブタジエンポリオール(a2−1)の含有量は、ポリオール(a2)に対して、0.001〜60モル%であることが好ましく、さらには0.005〜40モル%、特には0.01〜20モル%、殊には0.05〜10モル%、より好ましくは0.1〜5モル%、0.2〜1モル%であることが好ましい。かかる含有量が少なすぎると、ポリオレフィン基材への接着性が低下する傾向があり、多すぎると、カット性、及び相溶性が低下する傾向がある。
また、上記ポリオール(a2)のなかでも、分岐構造含有ポリオール(a2−2)を含有することが分岐点を増やし、結晶性を崩す点から好ましい。分岐構造含有ポリオール(a2−2)としては、例えば、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,3,5−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−メチル−1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。なかでも、ネオペンチルグリコールが特に好ましい。
なお、分岐構造含有ポリオール(a2−2)としては、上述の水添ポリブタジエンポリオール(a2−1)を除くものである。
上記分岐構造含有ポリオール(a2−2)の含有量は、ポリオール(a2)全体に対して5〜99モル%であることが好ましく、特には10〜95モル%、さらには30〜90モル%であることが好ましい。かかる含有量が少なすぎると、樹脂が結晶化し充分な粘着性能が得られにくい傾向があり、多すぎると、ポリエステル系樹脂(A)の製造において反応時間が長くなる傾向がある。
また一方、上記ポリオール(a2)のなかでも、直鎖ポリオール(a2−3)を含有することが反応性の点から好ましく、更には炭素数2〜40の直鎖ポリオールがより好ましい。かかる直鎖ポリオール(a2−3)としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、等の脂肪族グリコールが挙げられる。なかでも、1,4−ブタンジオールが特に好ましい。
直鎖ポリオール(a2−3)の含有量は、ポリオール(a2)全体に対して、1〜99モル%であることが好ましく、さらには3〜95モル%、特には5〜90モル%、さらには10〜80モル%、殊には15〜60モル%であることが好ましい。かかる含有量が少なすぎると、安定した樹脂形成が得られ難くなる傾向がある。
また、ポリエステル系樹脂(A)中に分岐点を増やす目的で三価以上のポリオールを用いることもでき、三価以上のポリオールとしては、例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,3,6−ヘキサントリオール、アダマンタントリオール等が挙げられる。
かかる三価以上のポリオールの含有量としては、ポリオール(a2)全体に対して、20モル%以下であることが好ましく、さらには0.1〜10モル%であることが好ましく、特には0.5〜5モル%が好ましく、かかる含有量が多すぎるとポリエステル系樹脂(A)の製造が困難となる傾向がある。
本発明で用いられるポリエステル系樹脂(A)は、上記多価カルボン酸類(a1)とポリオール(a2)とを任意に選び、これらを触媒存在下、公知の方法により重縮合反応させることにより製造されるが、その構造中に、水添ポリブタジエン構造含有化合物由来の構造単位を有することが必要である。
多価カルボン酸類(a1)とポリオール(a2)の配合割合としては、多価カルボン酸類(a1)1当量あたり、ポリオール(a2)が1〜3当量であることが好ましく、特に好ましくは1.1〜2当量である。ポリオール(a2)の配合割合が少なすぎると、酸価が高くなり高分子量化が困難となる傾向があり、多すぎると収率が低下する傾向がある。
上記重縮合反応に際しては、まずエステル化反応が行われた後、重縮合反応が行われる。
かかるエステル化反応においては、通常、触媒が用いられ、具体的には、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタン系触媒、三酸化アンチモン等のアンチモン系触媒、二酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム系触媒等の触媒や、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、ジブチル錫オキサイド等の触媒を挙げることができ、これらの1種あるいは2種以上が用いられる。これらのなかでも、触媒活性の高さと色相のバランスから、三酸化アンチモン、テトラブチルチタネート、二酸化ゲルマニウム、酢酸亜鉛が好ましい。
該触媒の配合量は、全共重合成分に対して1〜10000ppmであることが好ましく、特に好ましくは10〜5000ppm、さらに好ましくは20〜3000ppmである。かかる配合量が少なすぎると、重合反応が充分に進行しにくい傾向があり、多すぎても反応時間短縮等の利点はなく副反応が起こりやすい傾向がある。
エステル化反応時の反応温度については、200〜300℃が好ましく、特に好ましくは210〜280℃、さらに好ましくは220〜260℃である。かかる反応温度が低すぎると反応が充分に進みにくい傾向があり、高すぎると分解等の副反応が起こりやすい傾向がある。また、反応時の圧力は通常、常圧下である。
上記エステル化反応が行われた後、重縮合反応が行われる。
重縮合反応の反応条件としては、上記のエステル化反応で用いるものと同様の触媒をさらに同程度の量配合し、反応温度を好ましくは220〜280℃、特に好ましくは230〜270℃として、反応系を徐々に減圧して最終的には5hPa以下で反応させることが好ましい。かかる反応温度が低すぎると反応が充分に進行しにくい傾向があり、高すぎると分解等の副反応が起こりやすい傾向がある。
かくして本発明で用いられるポリエステル系樹脂(A)が得られる。
上記ポリエステル系樹脂(A)は、水添ポリブタジエン構造含有化合物由来の構造単位を含有し、ポリエステル系樹脂(A)中の水添ポリブタジエン構造含有化合物由来の構造単位の含有量が、通常0.01〜80重量%であり、好ましくは0.03〜70重量%、特に好ましくは0.06〜60重量%、さらに好ましくは0.3〜40重量%、より好ましくは0.4〜20重量%、殊には0.5〜10重量%、特に好ましくは1〜5重量%である。
また、ポリエステル系樹脂(A)中の、上記水添ポリブタジエン構造含有化合物由来の構造単位は、多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位およびポリオール(a2)由来の構造単位の少なくとも一方として含まれることがポリオレフィン基材への接着性の点から好ましく、さらに好ましくはポリオール(a2)由来の構造単位として含まれることである。
さらに、前記水添ポリブタジエンポリオール(a2−1)由来の構造単位が、ポリオール(a2)由来の構造単位として含まれる場合は、水添ポリブタジエンポリオール(a2−1)由来の構造単位が、ポリオール(a2)由来の構造単位中に0.001〜60モル%含有することが相溶性の点から好ましく、さらに好ましくは0.005〜40モル%、特に好ましくは0.01〜20モル%、殊に好ましくは0.05〜10モル%、より好ましくは0.1〜5モル%、殊に好ましくは0.2〜1モル%である。
また、ポリエステル系樹脂(A)は、通常、多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位およびポリオール(a2)由来の構造単位を有するが、前記非対称の芳香族ジカルボン酸類(a1−1−1)由来の構造単位が、多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位として含まれる場合は、非対称の芳香族ジカルボン酸類(a1−1−1)由来の構造単位が、多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位中に1〜90モル%含有することが好ましく、特に好ましくは2〜80モル%、さらに好ましくは3〜60モル%、殊に好ましくは5〜40モル%である。
前記炭素数が奇数の脂肪族多価カルボン酸類(a1−2)由来の構造単位が、多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位として含まれる場合は、炭素数が奇数の脂肪族多価カルボン酸類(a1−2)由来の構造単位が、多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位中に5〜100モル%含有することが好ましく、特に好ましくは10〜95モル%、さらに好ましくは20〜90モル%、殊に好ましくは30〜80モル%である。
一方、前記分岐構造含有ポリオール(a2−2)由来の構造単位が、ポリオール(a2)由来の構造単位として含まれる場合は、分岐構造含有ポリオール(a2−2)由来の構造単位が、ポリオール(a2)由来の構造単位中に5〜99モル%含有することが結晶性を崩す点で好ましく、特には10〜95モル%、さらには30〜90モル%であることが好ましい。
また、前記直鎖ポリオール(a2−3)由来の構造単位が、ポリオール(a2)由来の構造単位として含まれる場合は、直鎖ポリオール(a2−3)由来の構造単位が、ポリオール(a2)由来の構造単位中に3〜99モル%含有することが安定した樹脂形成の点から好ましく、さらに好ましくは5〜90モル%、特に好ましくは10〜80モル%、殊には15〜60モル%である。
ここで、上記ポリエステル系樹脂(A)の各成分由来の構造単位割合(組成割合)は、例えば、NMRにより求めることができる。
また、ポリエステル系樹脂(A)中のエステル結合濃度は、通常1mmol/g以上であり、好ましくは1.5mmol/g以上、特に好ましくは2mmol/g以上、より好ましくは3mmol/g以上、さらに好ましくは5mmol/g以上、殊に好ましくは6mmol/g以上、最も好ましくは7mmol/g以上、であり、上限は通常15mmol/gである。エステル結合濃度が低すぎると、貯蔵弾性率が低くなりすぎる傾向があり、エステル結合濃度が高すぎると、貯蔵弾性率が高くなりすぎる傾向がある。
なお、上記ポリエステル系樹脂(A)のエステル結合濃度は、出来上がり樹脂の重量(g)に対する酸成分のモル数(mmol)として算出されるものである。
エステル結合濃度(mmol/g)=酸成分のモル数/出来上がり樹脂の重量
上記ポリエステル系樹脂(A)のガラス転移温度は、粘着物性の点から−80〜20℃であることが好ましく、特に好ましくは−75〜10℃、さらに好ましくは−70〜−20℃である。かかるガラス転移温度が高すぎると柔軟性が失われ、初期粘着性が低下し、指圧程度の圧力で粘着力が発揮しにくくなり、作業性が低下する傾向があり、低すぎると凝集力が低下し、粘着シートが変形しやすくなってしまい外観を損ねる傾向がある。
ここで、上記ポリエステル系樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、TAインスツルメント社製の示差走査熱量計DSC Q20を用いて測定される値である。
なお、測定温度範囲は−90〜100℃で、温度上昇速度は、10℃/分である。
上記ポリエステル系樹脂(A)は結晶化しないことが保存安定性の点から好ましいが、結晶化する場合においても、ポリエステル系樹脂(A)の結晶化エネルギーができるだけ低いことが好ましく、通常35J/g以下、好ましくは、20J/g以下、特に好ましくは10J/g以下、殊に好ましくは5J/g以下である。
上記ポリスエテル系樹脂(A)の酸価は10mgKOH/g以下であることが好ましく、特には3mgKOH/g以下、さらには1mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価が高すぎると、粘着剤層の一方の面に、金属等の層を積層した場合に腐食してしまう傾向がある。例えば、金属酸化物薄膜層となる構成とした際に、腐食が起こり、金属酸化物薄膜の導電性が低下する傾向がある。
ここで、上記ポリエステル系樹脂(A)の酸価は、JIS K 0070に基づき中和滴定により求められるものである。
また、上記ポリエステル系樹脂(A)の重量平均分子量は、粘着剤の凝集力の点から8000〜200000であることが好ましく、特には10000〜180000、さらには20000〜150000であることが好ましい。かかる重量平均分子量が小さすぎると粘着剤として充分な凝集力が得られず、耐熱性や機械的強度が低下しやすい傾向があり、大きすぎるとポリエステル系樹脂(A)の製造時にゲル化しやすくなり、樹脂が得られにくい傾向がある。
なお、本発明の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフ(東ソー社製、「HLC−8320GPC」)に、カラム:TSKgel SuperMultipore HZ−M(排除限界分子量:2×106、理論段数:16000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:4μm)の2本を直列にして用いることにより測定されるものであり、数平均分子量も同様の方法で測定することができる。
<加水分解抑制剤(B)>
本発明で用いるポリエステル系粘着剤組成物[I]は、上記ポリエステル系樹脂(A)と共に、加水分解抑制剤(B)を含有することが好ましい。かかる加水分解抑制剤(B)は、長期耐久性を担保させるために含有されるものである。
上記加水分解抑制剤(B)としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、上記ポリエステル系樹脂(A)のカルボン酸末端基と反応して結合する化合物が挙げられ、具体的には、例えば、カルボジイミド基、エポキシ基、オキサゾリン基、等の官能基を含有する化合物等が挙げられる。これらのなかでもカルボジイミド基含有化合物が、カルボン酸末端基由来のプロトンの触媒活性を消失させる効果が高い点で好ましい。
上記カルボジイミド基含有化合物としては、通常、カルボジイミド基(−N=C=N−)を分子内に1個以上有する公知のポリカルボジイミドを用いればよいが、より高温高湿下での耐久性を上げる点でカルボジイミド基を分子内に2個以上含有する化合物、すなわち多価カルボジイミド系化合物であることが好ましく、特にはカルボジイミド基を分子内に3個以上、さらには5個以上、殊には7個以上含有する化合物であることが好ましい。なお、分子内に有するカルボジイミド基の数は通常50個以下であり、カルボジイミド基が多すぎると分子構造が大きくなりすぎるために、好ましくない傾向がある。また、カルボジイミド化触媒の存在下でジイソシアネートを脱炭酸縮合反応させることによって生成する高分子量ポリカルボジイミドを用いることも好ましい。
さらに、高分子量ポリカルボジイミドは末端イソシアネート基が封止剤によって封止されているものが、保存安定性の点で好ましい。封止剤としては、イソシアネート基と反応する活性水素を有する化合物、またはイソシアネート基を有する化合物が挙げられる。例えば、カルボキシ基、アミノ基、およびイソシアネート基から選ばれる置換基を1個有するモノアルコール類、モノカルボン酸類、モノアミン類、およびモノイソシアネート類が挙げられる。
このような高分子量ポリカルボジイミドとしては、以下のジイソシアネートを脱炭酸縮合反応させたものが挙げられる。
かかるジイソシアネートとしては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1−メトキシフェニル−2,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上を併用することができる。このような高分子量ポリカルボジイミドは、合成してもよいし市販品を使用してもよい。
カルボジイミド基含有化合物の市販品としては、例えば、日清紡ケミカル社製のカルボジライト(登録商標)シリーズが挙げられ、それらのなかでも、カルボジライト(登録商標)V−01、V−02B、V−03、V−04K、V−04PF、V−05、V−07、V−09、V−09GBは有機溶剤との相溶性に優れる点で好ましい。
上記エポキシ基含有化合物としては、例えば、グリシジルエステル化合物やグリシジルエーテル化合物等が好ましい。
グリシジルエステル化合物の具体例としては、例えば、安息香酸グリシジルエステル、t−Bu−安息香酸グリシジルエステル、p−トルイル酸グリシジルエステル、シクロヘキサンカルボン酸グリシジルエステル、ペラルゴン酸グリシジルエステル、ステアリン酸グリシルエステル、ラウリン酸グリシジルエステル、パルミチン酸グリシジルエステル、ベヘニン酸グリシジルエステル、バーサチック酸グリシジルエステル、オレイン酸グリシジルエステル、リノール酸グリシジルエステル、リノレイン酸グリシジルエステル、ベヘノール酸グリシジルエステル、ステアロール酸グリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、ナフタレンジカルボン酸ジグリシジルエステル、メチルテレフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、ドデカンジオン酸ジグリシジルエステル、オクタデカンジカルボン酸ジグリシジルエステル、トリメリット酸トリグリシジルエステル、ピロメリット酸テトラグリシジルエステル等を挙げられ、これらを単独でもしくは2種以上を併用することができる。
グリシジルエーテル化合物の具体例としては、例えば、フェニルグリシジルエ−テル、o−フェニルグリシジルエ−テル、1,4−ビス(β,γ−エポキシプロポキシ)ブタン、1,6−ビス(β,γ−エポキシプロポキシ)ヘキサン、1,4−ビス(β,γ−エポキシプポキシ)ベンゼン、1−(β,γ−エポキシプロポキシ)−2−エトキシエタン、1−(β,γ−エポキシプロポキシ)−2−ベンジルオキシエタン、2,2−ビス−[р−(β,γ−エポキシプロポキシ)フェニル]プロパンおよび2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン等のビスフェノールとエピクロルヒドリンの反応で得られるビスグリシジルポリエーテル等が挙げられ、これらを単独でもしくは2種以上を併用することができる。
上記オキサゾリン基含有化合物としては、ビスオキサゾリン化合物等が好ましい。具体的には、例えば、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−エチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4,4’−ジエチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−プロピル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−ブチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−ヘキシル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−シクロヘキシル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−ベンジル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−o−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−デカメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−9,9’−ジフェノキシエタンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−シクロヘキシレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ジフェニレンビス(2−オキサゾリン)等を例示することができ、これらのなかでは、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)が、ポリエステル系樹脂(A)との反応性の観点から最も好ましい。また、これらを単独でもしくは2種以上を併用することができる。
これら加水分解抑制剤(B)としては、揮発性が低い方が好ましく、そのために数平均分子量は高いものを用いることが好ましく、通常、300〜10000、好ましくは1000〜5000のものを用いる。
また、加水分解抑制剤(B)としては、耐加水分解性の観点から重量平均分子量が高いものを用いることが好ましい。加水分解抑制剤(B)の重量平均分子量は、500以上であることが好ましく、2,000以上であることがより好ましく、3000以上であることがさらに好ましい。なお、重量平均分子量の上限は通常50000である。
加水分解抑制剤(B)の分子量が小さすぎると、耐加水分解性が低下する傾向がある。なお、分子量が大きすぎると、ポリエステル系樹脂(A)との相溶性が低下する傾向がある。
加水分解抑制剤(B)のなかでも、カルボジイミド基含有化合物を使用することが好ましく、その際の、カルボジイミド当量は、好ましくは、50〜10000、特には100〜1000、さらには150〜500であることが好ましい。なお、カルボジイミド当量とは、カルボジイミド基1個あたりの化学式量を示す。
上記加水分解抑制剤(B)の含有量は、上記ポリエステル系樹脂(A)100重量部に対して、0.01〜10重量部であることが好ましく、特に好ましくは0.1〜5重量部、さらに好ましくは0.2〜3重量部である。かかる含有量が、多すぎるとポリエステル系樹脂(A)との相溶性不良により濁りが発生する傾向があり、少なすぎると充分な耐久性が得られにくい傾向がある。
また、上記加水分解抑制剤(B)の含有量は、上記ポリエステル系樹脂(A)の酸価に応じて、含有量を最適化させることが好ましく、ポリエステル系粘着剤組成物[I]中のポリエステル系樹脂(A)の酸性官能基のモル数合計(a)に対する、ポリエステル系粘着剤組成物[I]中の加水分解抑制剤(B)の官能基のモル数合計(b)のモル比〔(b)/(a)〕が、0.5≦(b)/(a)であることが好ましく、特に好ましくは1≦(b)/(a)≦1000、さらに好ましくは1.5≦(b)/(a)≦100である。
(a)に対する(b)のモル比が低すぎると、耐湿熱性能が低下する傾向がある。なお、(a)に対する(b)のモル比が高すぎると、ポリエステル系樹脂(A)との相溶性が低下したり、粘着力、凝集力、耐久性能が低下する傾向がある。
<ウレタン化触媒(C)>
本発明で用いるポリエステル系粘着剤組成物[I]は、上記ポリエステル系樹脂(A)を含有するものであり、好ましくは上記加水分解抑制剤(B)を含むものであるが、反応速度の点からウレタン化触媒(C)を含有することがより好ましい。
ウレタン化触媒(C)としては、例えば、有機金属系化合物、3級アミン化合物等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記有機金属系化合物としては、例えば、ジルコニウム系化合物、鉄系化合物、錫系化合物、チタン系化合物、鉛系化合物、コバルト系化合物、亜鉛系化合物等を挙げることができる。
ジルコニウム系化合物としては、例えば、ナフテン酸ジルコニウム、ジルコニウムアセチルアセトネート等が挙げられる。
鉄系化合物としては、例えば、鉄アセチルアセトネート、2−エチルヘキサン酸鉄等が挙げられる。
錫系化合物としては、例えば、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジラウレート等が挙げられる。
チタン系化合物としては、例えば、ジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、ブトキシチタニウムトリクロライド等が挙げられる。
鉛系化合物としては、例えば、オレイン酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、ナフテン酸鉛等が挙げられる。
コバルト系化合物としては、例えば、2−エチルヘキサン酸コバルト、安息香酸コバルト等が挙げられる。
亜鉛系化合物としては、例えば、ナフテン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛等が挙げられる。
また、上記3級アミン化合物としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、1,8−ジアザビシクロ−(5,4,0)−ウンデセン−7等が挙げられる。
これらウレタン化触媒(C)のなかでも、反応速度と粘着剤層のポットライフの点で、有機金属系化合物が好ましく、特にジルコニウム系化合物が好ましい。さらにウレタン化触媒(C)は触媒作用抑制剤としてアセチルアセトンを併用することが好ましい。アセチルアセトンを含むことで、低温における触媒作用が抑制され、ポットライフが長くなる点で好ましい。
<架橋剤(D)>
本発明で用いるポリエステル系粘着剤組成物[I]は、上記ポリエステル系樹脂(A)を含有するものであり、好ましくは加水分解抑制剤(B)を含むものであるが、通常は架橋剤(D)をさらに含有することが好ましい。架橋剤(D)を含有させることにより、ポリエステル系樹脂(A)が架橋剤(D)で架橋され、凝集力に優れたものとなり、粘着剤としての性能を向上させることができる。
かかる架橋剤(D)としては、例えば、ポリイソシアネート系化合物、ポリエポキシ系化合物等、ポリエステル系樹脂(A)に含まれる水酸基およびカルボキシ基の少なくとも一方と反応する官能基を有する化合物が挙げられる。これらのなかでも初期粘着性と機械的強度、耐熱性をバランスよく両立できる点から、特にポリイソシアネート系化合物を用いることが好ましい。
かかるポリイソシアネート系化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、等のポリイソシアネートが挙げられ、また、上記ポリイソシアネートと、トリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体や、これらポリイソシアネート系化合物のビュレット体、イソシアヌレート体、等が挙げられる。なお、上記ポリイソシアネート系化合物は、フェノール、ラクタム等でイソシアネート部分がブロックされたものも使用することができる。これらの架橋剤(D)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上混合して使用してもよい。
かかる架橋剤(D)の含有量は、ポリエステル系樹脂(A)の分子量と用途目的により適宜選択できるが、通常は、ポリエステル系樹脂(A)に含まれる水酸基およびカルボキシ基の少なくとも一方の1当量に対して、架橋剤(D)に含まれる反応性基が、0.2〜10当量となる割合で架橋剤(D)を含有することが好ましく、特に好ましくは0.5〜5当量、さらに好ましくは0.5〜3当量である。
かかる架橋剤(D)に含まれる反応性基の当量数が小さすぎると凝集力が低下する傾向があり、大きすぎると柔軟性が低下する傾向がある。
また、ポリエステル系樹脂(A)と架橋剤(D)との反応においては、これら(A)および(D)成分と反応する官能基を有しない有機溶剤、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族類等の有機溶剤を用いることができる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
本発明で用いるポリエステル系粘着剤組成物[I]においては、上記の、ポリエステル系樹脂(A)、加水分解抑制剤(B)、ウレタン化触媒(C)、架橋剤(D)の他にも、本発明の効果を損なわない範囲において、ヒンダードフェノール類等の酸化防止剤(E)、軟化剤、紫外線吸収剤、安定剤、耐電防止剤、粘着付与剤、等の添加剤やその他、無機または有機の充填剤、金属粉、顔料等の粉体、粒子状等の添加剤を配合することができる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
本発明の粘着剤層は、上記ポリエステル系粘着剤組成物[I]が硬化されてなるものであり、上記ポリエステル系粘着剤組成物[I]を部材上に塗工、乾燥し、必要により養生することによって得ることができる。
上記粘着剤組成物の塗工方法としては、例えば、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター、コンマコーター等を用いればよい。
上記乾燥条件としては、乾燥温度は60〜140℃が好ましく、特に好ましくは80〜120℃であり、乾燥時間は0.5〜30分間が好ましく、特に好ましくは1〜5分間である。
上記養生処理の条件としては、温度は通常室温(23℃)〜70℃、時間は通常1〜30日間であり、具体的には、例えば23℃で1〜20日間、好ましくは23℃で3〜14日間、40℃で1〜10日間等の条件で行なえばよい。
本発明の粘着剤層のゲル分率は、耐久性能と粘着力の点から5重量%以上であることが好ましく、特に好ましくは10〜90重量%、さらに好ましくは15〜80重量%、殊に好ましくは20〜60重量%である。ゲル分率が低すぎると凝集力が低下することにより耐久性が低下する傾向がある。なお、ゲル分率が高すぎると凝集力の上昇により粘着力が低下する傾向がある。
上記ゲル分率は、架橋度の目安となるもので、例えば、以下の方法にて算出される。すなわち、粘着剤層を200メッシュのSUS製金網で包み、トルエン中に23℃×24時間浸漬し、浸漬前重量に対する金網中に残存した不溶解の粘着剤成分の重量百分率をゲル分率とする。
また、後述する粘着シートのゲル分率を算出する場合は、離型シートを設けていない粘着シートを用いて上記の方法により算出する。ただし、基材の重量は差し引いておくものとする。
本発明にかかる粘着剤層は、上記ポリエステル系粘着剤組成物[I]が硬化されたポリエステル系粘着剤層であり、下記要件(2)を満足することが必要である。
(2)ポリエステル系粘着剤層の150℃における貯蔵弾性率(X)が2.5×103Pa以上であること。
本発明においては、カット性に優れるという観点から、上記ポリエステル系粘着剤層の150℃における貯蔵弾性率(X)は、2.5×103Pa以上であり、好ましくは3×103〜65×103Pa、より好ましくは3.5×103〜50×103Pa、更に好ましくは4×103〜40×103Pa、特に好ましくは4.5×103〜30×103Pa、殊に好ましくは5×103〜20×103Paである。ポリエステル系粘着剤層の貯蔵弾性率が低すぎると、カット性に劣る傾向がある。なお、貯蔵弾性率が高すぎると、粘着性が低下する傾向がある。
また、ポリエステル系粘着剤層の150℃における貯蔵弾性率(X)に対する、ポリエステル系粘着剤層の23℃における貯蔵弾性率(Y)の比〔(Y)/(X)〕は、1〜35が好ましく、より好ましくは1.2〜30であり、特に好ましくは1.5〜25、さらに好ましくは2〜20である。貯蔵弾性率の比が上記の範囲であると、よりカット性に優れたものとすることができる。
本発明における貯蔵弾性率は、Anton Paar社製「Physica MCR301」を用いて、下記測定条件で測定することにより得られる。
〔測定条件〕
モード :せん断
周波数 :1Hz
温度 :0〜200℃
昇温速度:5℃/min
なお、貯蔵弾性率を測定するポリエステル系粘着剤層の厚みは、上記の機器で測定できる厚みであれば、特に制限はないが、通常100〜300μmである。
本発明において、ポリエステル系粘着剤層の150℃における貯蔵弾性率(X)を上記の範囲とする方法としては、[1]ポリエステル系樹脂(A)中の水添ポリブタジエン構造含有化合物由来の構造単位の含有量を少なくする方法、[2]ポリエステル系樹脂(A)中のエステル結合濃度を高くする方法、[3]ポリエステル系粘着剤組成物[I]中の架橋剤(D)の含有量を多くする方法、[4]ポリエステル系粘着剤層のゲル分率を高くする方法、更にはこれら[1]〜[4]の組み合わせ、等が挙げられる。なかでも、より凝集力を高めるとともに加水分解抑制剤(B)、ウレタン化触媒(C)、架橋剤(D)などの添加剤との相溶性に優れる点で[1]の方法が効果的である。
本発明の粘着剤層は、種々の部材同士の貼り合わせに好適に用いることができる。なかでも、光学部材の貼り合わせに用いることが好ましく、かかる粘着剤層を光学部材上に積層形成することにより、粘着剤層付き光学部材を得ることができる。
かかる光学部材としては、ITO電極膜やポリチオフェン等の無機系や有機系導電膜等の透明電極膜、偏光板、位相差板、楕円偏光板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、電磁波シールドフィルム、近赤外線吸収フィルム、AR(アンチリフレクション)フィルム等が挙げられる。これらのなかでも、光学部材が透明電極膜であるときに有効で、高い粘着力が得られる点で好ましく、特に好ましくはITO電極膜である。なお、ITO電極膜はガラスやPET等の基材上に薄膜で形成されていることが多いが、本発明では、ITO電極膜がPET基材上に薄膜形成されているフィルムを使用することが特に好ましい。
また、有機EL素子の面発光体の発光面に設けられる光取出フィルム用や、液晶ディスプレイの光拡散シートにも好適である。
上記粘着剤層付き光学部材には、粘着剤層の光学部材面とは逆の面に、さらに離型シートを設けることが好ましく、実用に供する際には、上記離型シートを剥離して、粘着剤層と被着体を貼合する。かかる離型シートとしては、シリコン系の離型シートを用いることが好ましい。
なお、本発明の粘着剤層は、ITO電極膜がポリエチレンテレフタレート(PET)基材上に薄膜形成されているフィルムのPET側に粘着剤層を有し、粘着剤層を介してPET基材とポリカーボネート(PC)系フィルムが積層され、さらにアクリル系フィルムが積層されてなる光学積層体とすることも好ましい(層構成:ITO電極膜/PET基材/粘着剤層/PC系フィルム/アクリル系フィルム)。
また、本発明の粘着剤層は、粘着シートの粘着剤層としても好適に用いることができる。
上記粘着シートは、支持基材の片面または両面に、本発明の粘着剤層を有するものであり、特には、光学部材の貼り合わせに用いる光学部材用粘着シートとして好適である。
なお、本発明において「シート」とは、「フィルム」や「テープ」をも含めた意味として記載するものである。
<粘着シート>
上記粘着シートは、例えば、つぎのようにして作製することができる。
かかる粘着シートの製造方法としては、公知一般の粘着シートの製造方法にしたがって製造することができ、例えば、基材上に、ポリエステル系粘着剤組成物[I]を塗工、乾燥し、粘着剤組成物層の表面に離型シート(または離型フィルム)を貼合し、必要により養生することで基材上に、ポリエステル系粘着剤組成物[I]からなる粘着剤層を有する本発明の粘着シートが得られる。
また、離型シート上に、上記粘着剤組成物を塗工、乾燥し、粘着剤組成物層の表面に基材を貼合し、必要により養生することでも、本発明の粘着シートが得られる。
さらに、離型シートに粘着剤層を形成し、粘着剤層の表面に離型シートを貼り合わせることにより、基材レス両面粘着シートを製造することができる。
得られた粘着シートや基材レス両面粘着シートは、使用時には、上記離型シートを粘着剤層から剥離して粘着剤層と被着体とを貼合する。
上記基材としては、例えば、ポリエチレンナフタート、ポリエチレンテレフタレート、ボリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン等のポリフッ化エチレン樹脂;ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体;三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂;ポリスチレン;ポリカーボネート;ポリアリレート;ポリイミド;シクロオレフィンポリマー等からなる群から選ばれた少なくとも1種の合成樹脂からなるシート、アルミニウム、銅、鉄の金属箔、上質紙、グラシン紙等の紙、ガラス繊維、天然繊維、合成繊維等からなる織物や不織布が挙げられる。これらの基材は、単層体としてまたは2種以上が積層された複層体として用いることができる。
これらのなかでも特にポリエチレンテレフタレート、ポリイミドからなる基材が好ましく、特には粘着剤との接着性に優れる点でポリエチレンテレフタレートが好ましく、さらには金属薄膜層を有したポリエチレンテレフタレートであることが、基材と粘着剤との粘着力に優れ、なおかつ金属薄膜層を腐食せずに基材を安定的に保つことができ、粘着剤の効果を顕著に発揮できる点で好ましい。
上記基材の厚みとしては、例えば、1〜1000μmであることが好ましく、特に好ましくは2〜500μm、さらに好ましくは3〜300μmである。
上記離型シートとしては、例えば、上記基材で例示した各種合成樹脂からなるシート、紙、布、不織布等に離型処理したものを使用することができる。離型シートとしては、シリコン系の離型シートを用いることが好ましい。
粘着シートを製造する際の、ポリエステル系粘着剤組成物[I]の塗工、乾燥および養生等は、前述の粘着剤層で記載した方法に準じて行えばよい。
上記粘着シート、基材レス両面粘着シートの粘着剤層の厚みは、2〜500μmであることが好ましく、特に好ましくは5〜200μm、さらに好ましくは10〜100μmである。かかる粘着剤層の厚みが薄すぎると、粘着力が低下する傾向があり、厚すぎると均一に塗工することが困難となるうえ、塗膜に気泡が入る等の不具合が発生しやすい傾向がある。なお、衝撃吸収性を考慮する際には、厚みを50μm以上とすることが好ましい。
なお、上記粘着剤層の厚みは、ミツトヨ社製「ID−C112B」を用いて、粘着シート全体の厚みの測定値から、粘着剤層以外の構成部材の厚みの測定値を差し引くことにより求められる。
本発明の粘着シートは、必要に応じて、粘着剤層の外側に離型シートを設け保護されていてもよい。また、粘着剤層が基材の片面に形成されている粘着シートでは、基材の粘着剤層とは反対側の面に剥離処理を施すことにより、該剥離処理面を利用して粘着剤層を保護することも可能である。
<フォーム基材>
また、粘着シートの基材としてフォーム基材、例えば、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリアクリレートフォーム等の合成樹脂の発泡体からなる発泡体シートを用いることができる。フォーム基材を用いることで、柔軟性に優れたものとなり被着体への追従性や粘着強度が向上する。これらのなかでも、被着体への追従性、接着強度のバランスに優れる点から、ポリアクリレートフォームが好ましい。
[気泡]
上記フォーム基材は、通常、気泡を有するものである。フォーム基材に気泡を含ませることにより、粘着シートのクッション性が向上し、柔軟性を高めることができる。粘着シートの柔軟性が高くなると、該粘着シートの変形により被着体表面の凹凸や段差を吸収しやすくなるため、被着体表面に粘着面をよりよく密着させることができる。被着体表面に対して粘着面がよく密着することにより、低極性の表面その他の各種表面に対する剥離強度の向上に有利に寄与することができる。
また、粘着シートの柔軟性の向上は、粘着シートの反発力の低減にも貢献することができる。これにより、粘着シートが曲面や段差を有する被着体の表面に沿って貼り付けられる場合や粘着シートの貼り付けられた被着体を変形させる場合等に、粘着シートが自身の反発力により該被着体の表面から剥がれる(浮き上がる)事象を効果的に抑制することができる。
フォーム基材に含まれる気泡は、独立気泡であってもよく、連続気泡であってもよく、これらが混在していてもよい。クッション性の観点からは、独立気泡を多く含む構成のフォーム基材がより好ましい。
独立気泡の場合、気泡中に含まれる気体成分(気泡を形成するガス成分、以下「気泡形成ガス」と称する場合がある。)は特に制限されず、例えば、窒素、二酸化炭素、アルゴン等の不活性ガスの他、空気等の各種気体成分が挙げられる。また、気泡形成ガスとしては、該気泡形成ガスが含まれた状態で合成樹脂の重合反応等を行う場合は、その反応を阻害しないものを用いることが好ましい。かかる観点およびコストの観点等から、気泡形成ガスとして窒素を好適に採用することができる。
気泡の形状は、典型的には概ね球状であるが、これに限定されない。気泡の平均直径(平均気泡径)は特に制限されず、例えば、通常1〜1000μm、好ましくは10〜500μm、さらに好ましくは30〜300μmである。
また、上記平均気泡径は、通常、フォーム基材の厚みの50%以下であることが適当であり、30%以下、さらには10%以下であることが好ましい。
なお、上記平均気泡径は、典型的には走査型電子顕微鏡(SEM)により求めることができ、10個以上の気泡について、それらの気泡の直径を測定した結果を算術平均することにより求めることが好ましい。このとき、非球状の形状の気泡については、同等の体積を有する球状の気泡に換算して平均気孔径を求めるものとする。
フォーム基材が気泡を有する場合、フォーム基材に占める気泡の体積割合(気泡含有率)は特に制限されず、目的とするクッション性や柔軟性が実現されるように適宜設定することができる。例えば、フォーム基材の体積(見かけの体積を指し、フォーム基材の厚みおよび面積から算出され得る。)に対して3〜70体積%程度とすることができ、通常は5〜50体積%程度とすることが適当であり、好ましくは8〜40体積%程度である。
フォーム基材を形成する方法は特に限定されず、公知の方法を適宜採用することができる。例えば、〔1〕あらかじめ気泡形成ガスが混入された合成樹脂組成物(好ましくは、紫外線等の活性エネルギー線により硬化して粘弾性体を形成するタイプの組成物)を硬化させて気泡含有粘弾性体層を形成する方法、〔2〕発泡剤を含む合成樹脂組成物を用いて該発泡剤から気泡を形成することで気泡含有粘弾性体層を形成する方法等を適宜採用することができる。使用する発泡剤は特に制限されず、公知の発泡剤から適宜選択することができる。例えば、熱膨張性微小球等の発泡剤を好ましく用いることができる。
上記〔1〕の方法による気泡含有粘弾性体層の形成において、気泡形成ガスが混入された合成樹脂組成物を調製する方法は特に限定されず、公知の気泡混合方法を利用することができる。例えば、気泡混合装置の例としては、中央部に貫通孔を持った円盤上に細かい歯が多数ついたステータと、このステータと対向しており円盤上にステータと同様の細かい歯がついているロータと、を備えた装置等が挙げられる。このような気泡混合装置におけるステータ上の歯とロータ上の歯との間に気泡混入前の組成物を導入し、ロータを高速回転させながら、気泡を形成させるためのガス成分(気泡形成ガス)を、上記貫通孔を通して導入する。これにより、気泡が細かく分散され混合された合成樹脂組成物が得られる。
このように気泡形成ガスが混入された合成樹脂組成物を、所定の面上に塗付して硬化させることにより、気泡含有粘弾性体層を形成することができる。硬化方法としては、加熱する方法や、活性エネルギー線(例えば紫外線)を照射する方法等を好ましく採用することができる。気泡形成ガスが混入された合成樹脂組成物に加熱や活性エネルギー線照射等を行って気泡を安定的に保持した状態で硬化させることにより、フォーム基材を好適に形成することができる。
気泡形成ガスの混入性や気泡の安定性の観点から、合成樹脂組成物には界面活性剤が添加されていてもよい。このような界面活性剤としては、例えば、イオン性界面活性剤、炭化水素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。なかでもフッ素系界面活性剤が好ましく、特に分子中にオキシアルキレン基(典型的には、炭素原子数2〜3のオキシアルキレン基)およびフッ素化炭化水素基を有するフッ素系界面活性剤が好ましい。フッ素系界面活性剤は、1種を単独でもしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。好ましいフッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、AGCセイミケミカル社製の商品名「サーフロンS−393」が挙げられる。
界面活性剤の使用量は特に限定されず、例えば、フォーム基材に含まれる合成樹脂100重量部に対して、固形分基準で、通常0.01〜3重量部程度である。
[充填材]
また、上記フォーム基材は、充填材を含んでいてもよい。フォーム基材に充填材を含ませることにより、剪断強度を高めることができる。このことによって、粘着シートを被着体から引き剥がすことに対する抵抗力(剥離強度)を向上させることができる。また、充填材の使用により、フォーム基材の過度の変形を抑え、粘着シート全体としての柔軟性と凝集性とのバランスを好適に調整することができる。
充填材としては、各種の粒子状物質を用いることができる。かかる粒子状物質の構成材料としては、例えば、銅、ニッケル、アルミニウム、クロム、鉄、ステンレス等の金属;アルミナ、ジルコニア等の金属酸化物;炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化窒素等の炭化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素等の窒化物;炭化カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、ガラス、シリカ等の無機材料;ポリスチレン、アクリル樹脂(例えばポリメチルメタクリレート)、フェノール樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミド、シリコーン、塩化ビニリデン等のポリマー;等が挙げられる。あるいは、火山シラス、砂等の天然原料粒子を用いてもよい。これらは1種を単独でもしくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、粒子状物質の外形や粒子形状は特に制限されない。
上記粒子状物質の外形は、例えば、球状、フレーク状、不定形状等が挙げられる。また、上記粒子状物質の粒子構造は、例えば、緻密構造、多孔質構造、中空構造等が挙げられる。
なかでも、上記充填材として中空構造の粒子状物質(以下「中空粒子」ともいう。)を含むことが好ましく、無機材料からなる中空粒子を含むことがより好ましい。そのような中空粒子の例として、中空ガラスバルーン等のガラス製のバルーン;中空アルミナバルーン等の金属化合物製の中空バルーン;中空セラミックバルーン等の磁器製の中空バルーン等が挙げられる。
中空ガラスバルーンとしては、例えば、富士シリシア化学社製の商品名「ガラスマイクロバルーン」、「フジバルーン H−40」、「フジバルーン H−35」、東海工業社製の商品名「セルスターZ−20」、「セルスターZ−27」、「セルスターCZ−31T」、「セルスターZ−36」、「セルスターZ−39」、「セルスターZ−39」、「セルスターT−36」、「セルスターPZ−6000」、ファインバルーン社製の商品名「サイラックス・ファインバルーン」、ポッターズ・バロッティーニ社製の商品名「Q−CEL(商標)5020」、「Q−CEL(商標)7014」、「Sphericel(商標)110P8」、「Sphericel(商標)25P45」、「Sphericel(商標)34P30」、「Sphericel(商標)60P18」、昭和化学工業社製の商品名「スーパーバルーンBA−15」、「スーパーバルーン732C」等の市販品を用いることができる。
中空粒子の平均粒子径は特に制限されない。中空粒子の平均粒子径は、例えば、通常1〜500μm、好ましくは5〜400μm、より好ましくは10〜300μm、さらに好ましくは10〜200μm、特に好ましくは10〜150μmである。
また、中空粒子の平均粒子径は、通常、フォーム基材の厚みの50%以下であることが適当であり、30%以下、さらには10%以下であることが好ましい。
中空粒子の比重は特に制限されないが、均一分散性や機械的強度等を考慮して、例えば、通常0.1〜1.8g/cm3、好ましくは0.1〜1.5g/cm3、さらに好ましくは0.1〜0.5g/cm3、特に好ましくは0.2〜0.5g/cm3である。
中空粒子の使用量は特に限定されず、例えば、フォーム基材全体の体積の1〜70体積%とすることができ、好ましくは5〜50体積%とすることが適当であり、特に好ましくは10〜40体積%とすることが好ましい。
上記フォーム基材は、上述のような充填材(例えば中空粒子)と気泡との両方を含んでもよい。このようなフォーム基材を含む粘着シートは、柔軟性と凝集力とのバランスに優れたものとなりやすいので好ましい。
さらに、上記フォーム基材は、本発明の効果が著しく妨げられない範囲で、可塑剤、軟化剤、着色剤(顔料、染料等)、酸化防止剤、レベリング剤、安定剤、防腐剤等の公知の添加剤を必要に応じて含有していてもよい。例えば、合成樹脂組成物を光重合法により硬化させてフォーム基材を形成する場合、フォーム基材を着色させるために、光重合を疎外しない程度の顔料(着色顔料)を着色剤として使用することができる。フォーム基材の着色として黒色が望まれる場合には、例えば、着色剤としてカーボンブラックを好ましく用いることができる。カーボンブラックの使用量は、着色の度合いや光重合反応性等を考慮して、例えば、フォーム基材全体の0.15重量%以下、好ましくは0.001〜0.15重量%、さらに好ましくは0.01〜0.1重量%である。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
また、下記実施例中におけるポリエステル系樹脂のガラス転移温度の測定、およびエステル結合濃度の算出に関しては、前述の方法に従った。
<ポリエステル系樹脂(A)および(A’)の製造>
以下の製造例で記載するモルとは、多価カルボン酸類(a1)の合計量を100モル%とした場合のモル比を示す。
〔ポリエステル系樹脂(A−1)の製造〕
加熱装置、温度計、撹拌機、精留塔、窒素導入管および真空装置の付いた反応缶に、多価カルボン酸類(a1)としてイソフタル酸(IPA)66.3部(20モル%)およびセバシン酸(SebA)322.9部(80モル%)、ポリオール(a2)としてネオペンチルグリコール(NPG)207.9部(100モル%)、1,4−ブタンジオール(1.4BG)89.9部(50モル%)、およびトリメチロールプロパン(TMP)4.0部(1.5モル%)、水添ポリブタジエンポリオール(a2−1)(日本曹達社製、「GI−1000」)9.0部(0.3モル%)、触媒として酢酸亜鉛0.05部を仕込み、内温250℃まで徐々に温度を上げ、4時間かけてエステル化反応を行った。
その後、内温260℃まで上げ、触媒としてテトラブチルチタネート0.05部を仕込み、1.33hPaまで減圧し、3時間かけて重合反応を行い、ポリエステル系樹脂(A−1)を製造した。
得られたポリエステル系樹脂(A−1)のガラス転移温度は−47.6℃、出来上がり成分由来の構造単位比(以下、「出来上がり成分比」と略すことがある)は、多価カルボン酸類(a1)としてイソフタル酸/セバシン酸=20モル%/80モル%、ポリオール(a2)としてネオペンチルグリコール/1,4−ブタンジオール/トリメチロールプロパン/水添ポリブタジエンポリオール=64.5モル%/33.7モル%/1.5モル%/0.3モル%であった。
ポリエステル系樹脂(A−1)中の水添ポリブタジエン構造含有化合物(a2−1)由来の構造単位の含有量は、1.7重量%、エステル結合濃度は7.6mmol/gであった。
〔ポリエステル系樹脂(A’−1)の製造〕
加熱装置、温度計、撹拌機、精留塔、窒素導入管および真空装置の付いた反応缶に、多価カルボン酸類(a1)としてセバシン酸35.7部(100モル%)、ポリオール(a2)として水添ポリブタジエンポリオール(a2−1)(日本曹達社製、「GI−3000」)656.7部(100モル%)、触媒として酢酸亜鉛0.02部を仕込み、内温250℃まで徐々に温度を上げ、4時間かけてエステル化反応を行った。
その後、内温260℃まで上げ、触媒としてテトラブチルチタネート0.02部を仕込み、1.33hPaまで減圧し、3時間かけて重合反応を行い、ポリエステル系樹脂(A’−1)を製造した。
得られたポリエステル系樹脂(A’−1)のガラス転移温度は−37.6℃、出来上がり成分比は、多価カルボン酸類(a1)としてセバシン酸=100モル%、ポリオール(a2)として水添ポリブタジエンポリオール=100モル%であった。
ポリエステル系樹脂(A’−1)中の水添ポリブタジエン構造含有化合物(a2−1)由来の構造単位の含有量は、94.8重量%、エステル結合濃度は0.6mmol/gであった。
得られたポリエステル系樹脂(A−1)および(A’−1)の樹脂組成(出来上がり成分由来の構造単位)およびガラス転移温度(Tg)の結果を下記表1に併せて示す。
Figure 2020063431
<ポリエステル系粘着剤組成物[I]および[I’]の製造>
上記で得られた各ポリエステル系樹脂を用いて下記実施例および比較例のポリエステル系粘着剤組成物を製造した。
〔ポリエステル系粘着剤組成物[I−1]の製造〕
上記で得られたポリエステル系樹脂(A−1)をトルエンで固形分濃度50%に希釈し、このポリエステル系樹脂(A−1)溶液200部(固形分として100部)に対し、加水分解抑制剤(日清紡ケミカル社製、「カルボジライトV−09BG」)1部(固形分)、および架橋剤としてトリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物(東ソー社製、「コロネートL55E」)1.5部(固形分)、ウレタン化触媒としてアセチルアセトンで固形分濃度1%に希釈したジルコニウム系化合物(マツモトファインケミカル社製、「オルガチックスZC−150」)0.01部(固形分)配合し、撹拌、混合することにより、ポリエステル系粘着剤組成物[I−1]を得た。
〔ポリエステル系粘着剤組成物[I−2]の製造〕
ポリエステル系粘着剤組成物[I−1]の製造において、架橋剤の配合量を2部(固形分)に変更した以外は同様にして、ポリエステル系粘着剤組成物[I−2]を得た。
〔ポリエステル系粘着剤組成物[I−3]の製造〕
ポリエステル系粘着剤組成物[I−1]の製造において、架橋剤の配合量を3部(固形分)に変更した以外は同様にして、ポリエステル系粘着剤組成物[I−3]を得た。
〔ポリエステル系粘着剤組成物[I’−1]の製造〕
ポリエステル系粘着剤組成物[I−3]の製造において、ポリエステル系樹脂(A−1)をポリエステル系樹脂(A’−1)、架橋剤をヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(東ソー社製、「コロネートHX」)に変更した以外は同様にして、ポリエステル系粘着剤組成物[I’−1]を得た。
得られた各ポリエステル系粘着剤組成物を用いて、実施例1〜3および比較例1の片面離型フィルム付き粘着シートおよび両面離型フィルム付き粘着シートを作製した。
<実施例1>
〔片面離型フィルム付き粘着シート作製〕
ポリエステル系粘着剤組成物[I−1]を、厚み38μmのPETフィルム(東レ社製、「ルミラーT60」)上にアプリケータを用いて塗布し、100℃で3分間乾燥し、粘着剤層の厚みが25μmのPETフィルム付き粘着シートを得た。
次いで、得られたPETフィルム付き粘着シートの粘着剤層表面を厚み38μmのPET製離型フィルム(三井化学東セロ社製、「SP−PET−01−BU」)(α)で覆い、40℃で4日間エージング処理を行い、実施例1の片面離型フィルム付き粘着シートを得た。
〔両面離型フィルム付き粘着シート作製〕
ポリエステル系粘着剤組成物[I−1]を、厚み38μmのPET製離型フィルム(三井化学東セロ社製、「SP−PET−03−BU」)(β)上にアプリケータを用いて塗布し、100℃で4分間乾燥し、粘着剤層の厚みが50μmの離型フィルム付き粘着シートを得た。
次いで、得られた離型フィルム付き粘着シートの粘着剤層表面を上記離型フィルム(β)とは剥離力の異なる厚み38μmのPET製離型フィルム(三井化学東セロ社製、「SP−PET−01−BU」)(α)で覆い、40℃で4日間エージング処理を行い、実施例1の両面離型フィルム付き粘着シートを得た。
<実施例2>
実施例1の片面離型フィルム付き粘着シート作製および両面離型フィルム付き粘着シート作製において、ポリエステル系粘着剤組成物[I−1]をポリエステル系粘着剤組成物[I−2]に変更した以外は同様にして、実施例2の片面離型フィルム付き粘着シートおよび両面離型フィルム付き粘着シートを得た。
<実施例3>
実施例1の片面離型フィルム付き粘着シート作製および両面離型フィルム付き粘着シート作製において、ポリエステル系粘着剤組成物[I−1]をポリエステル系粘着剤組成物[I−3]に変更した以外は同様にして、実施例3の片面離型フィルム付き粘着シートおよび両面離型フィルム付き粘着シートを得た。
<比較例1>
実施例1の片面離型フィルム付き粘着シート作製および両面離型フィルム付き粘着シート作製において、ポリエステル系粘着剤組成物[I−1]をポリエステル系粘着剤組成物[I’−1]に変更した以外は同様にして、比較例1の片面離型フィルム付き粘着シートおよび両面離型フィルム付き粘着シートを得た。
上記で得られた実施例1〜3および比較例1の粘着シートを用い、ゲル分率を前記の方法により算出した。また、下記評価基準に従って接着力、耐熱接着力、保持力、貯蔵弾性率、ヘイズおよびカット性を評価した。これらの結果を後記表2に示す。
[接着力]
上記で得られた片面離型フィルム付き粘着シートを、23℃、50%RHの環境下で25mm×200mmの大きさに裁断した後、離型フィルム(α)を剥がし、粘着剤層側を鏡面仕上げステンレス鋼板(SUS−BA板)、および、ポリプロピレン(PP)板に、それぞれ2kgローラーを2往復させ加圧貼付し、同雰囲気下で30分間放置した後に、オートグラフ(島津製作所社製、「オートグラフAGS−H 500N」)を用いて、剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定した。また、剥離状況について目視観察し下記の通り評価した。
(評価基準)
○・・・糊残りなし
△・・・わずかに糊残りあり
×・・・糊残りあり
[耐熱接着力]
上記で得られた片面離型フィルム付き粘着シートを、23℃、50%RHの環境下で25mm×200mmの大きさに裁断した後、離型フィルム(α)を剥がし、粘着剤層側をポリプロピレン(PP)板に、2kgローラーを2往復させ加圧貼付し、110℃の環境下で400時間放置した後に、23℃、50%RHで30分間放置し、オートグラフ(島津製作所社製、「オートグラフAGS−H 500N」)を用いて、剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定した。また、剥離状況について目視観察し上記と同様に評価した。
[保持力]
上記片面離形フィルム付き粘着シートの離型フィルム(α)を剥がした後、ステンレス板(SUS304)の試験板に貼着面積が25mm×25mmになるように貼着し、40℃の条件下にて1kgの荷重をかけて、JIS Z 0237の保持力の測定法に準じて測定し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
◎・・・24時間後もズレなし
○・・・24時間後のズレが1mm未満
△・・・24時間後のズレが1mm以上
×・・・24時間以内に落下
[貯蔵弾性率]
上記で得られた両面離形フィルム付き粘着シートから離形フィルム(α)を剥離し、粘着剤層の厚みが100μmとなるように積層し、貯蔵弾性率測定試験サンプルを作製した。この試験サンプルから離形フィルム(β)を剥離した粘着剤層について、Anton Paar社製「Physica MCR301」により、下記測定条件にて貯蔵弾性率を測定した。得られた測定チャートから、150℃における貯蔵弾性率(X)及び23℃における貯蔵弾性率(Y)を読み取った。
〔測定条件〕
モード :せん断
周波数 :1Hz
温度 :0〜200℃
昇温速度:5℃/min
[ヘイズ]
上記で得られた両面離型フィルム付き粘着シートの粘着剤層から一方の面の離型フィルム(α)を剥がし、粘着剤層側を無アルカリガラス板(コーニング社製、イーグルXG)に貼合した後、もう一方の離型フィルム(β)を剥がし粘着剤層付き無アルカリガラス板を得た。上記粘着剤層付き無アルカリガラス板のヘイズを、HAZE MATER NDH2000(日本電色工業社製)を用いて測定し、下記の基準にて評価した。なお、ヘイズが低いほど、透明性に優れていることを意味する。また、本機はJISK7361−1に準拠している。
(評価基準)
◎・・・1.0%以下
○・・・1.0%より大きく3.0%以下
×・・・3.0%より大きい
[カット性]
上記両面離型フィルム付き粘着シートに対して、カッターナイフでカットした際のカット性を目視観察した。
(評価基準)
○・・・カッターに粘着剤層の付着がなく、カット端面からの粘着剤層のはみ出しもない。
△・・・カッターに粘着剤層の付着、または、カット端面からの粘着剤層のはみ出しのいずれかはあった。
×・・・カッターに粘着剤層の付着があり、カット端面からの粘着剤層のはみ出しもあった。
Figure 2020063431
実施例1〜3の粘着剤層は、水添ポリブタジエン構造含有化合物由来の構造単位を有するポリエステル系樹脂を含有するポリエステル系粘着剤組成物を硬化して得られたものであり、かつ、150℃における貯蔵弾性率が所定の値以上であることから、ポリオレフィン基材に対する接着性及び透明性に優れ、更には、カット性にも優れていた。
一方、水添ポリブタジエン構造含有化合物由来の構造単位を有するポリエステル系樹脂を含有するものの、粘着剤層の150℃における貯蔵弾性率が所定の値未満である比較例1の粘着剤層は、ポリオレフィン基材に対する接着性には優れるが糊残りするものであり、更には透明性及びカット性にも劣るものであった。
本発明の粘着剤層は、一般的に接着性に劣るポリオレフィン基材への接着性に優れ、更に透明性及びカット性にも優れるため、それを用いた粘着シートは、ディスプレイやそれを構成する光学フィルム、基材等の光学部材において、その光学部材の貼り合わせ用途に好適に用いることができる。

Claims (11)

  1. ポリエステル系粘着剤組成物[I]が硬化されたポリエステル系粘着剤層であって、下記要件(1)及び(2)を満足することを特徴とする粘着剤層。
    (1)ポリエステル系粘着剤組成物[I]が、水添ポリブタジエン構造含有化合物由来の構造単位を有するポリエステル系樹脂(A)を含有すること。
    (2)ポリエステル系粘着剤層の150℃における貯蔵弾性率(X)が2.5×103Pa以上であること。
  2. 上記水添ポリブタジエン構造含有化合物由来の構造単位の含有量が、ポリエステル系樹脂(A)に対して0.01〜80重量%であることを特徴とする請求項1に記載の粘着剤層。
  3. 上記ポリエステル系樹脂(A)が、多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位およびポリオール(a2)由来の構造単位を有し、上記水添ポリブタジエン構造含有化合物が、ポリオール(a2)中の水添ポリブタジエンポリオール(a2−1)であり、上記水添ポリブタジエン構造含有化合物由来の構造単位が、ポリオール(a2)由来の構造単位中に0.001〜60モル%含有することを特徴とする請求項1または2記載の粘着剤層。
  4. ポリエステル系粘着剤層の150℃における貯蔵弾性率(X)に対する、ポリエステル系粘着剤層の23℃における貯蔵弾性率(Y)の比〔(Y)/(X)〕が1〜35であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着剤層。
  5. 上記ポリエステル系樹脂(A)のガラス転移温度が−80〜20℃であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘着剤層。
  6. 上記ポリエステル系粘着剤組成物[I]が、加水分解抑制剤(B)を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の粘着剤層。
  7. 上記ポリエステル系粘着剤組成物[I]が、ウレタン化触媒(C)を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の粘着剤層。
  8. 上記ポリエステル系粘着剤組成物[I]が、架橋剤(D)を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の粘着剤層。
  9. 部材同士の貼り合わせに用いることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の粘着剤層。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の粘着剤層を有することを特徴とする粘着シート。
  11. フォーム基材の少なくとも片面に上記粘着剤層を有することを特徴とする請求項10記載の粘着シート。
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