JP2019085518A - ポリエステル系粘着剤組成物、ポリエステル系粘着剤、粘着シートおよび粘着剤層付き光学部材 - Google Patents

ポリエステル系粘着剤組成物、ポリエステル系粘着剤、粘着シートおよび粘着剤層付き光学部材 Download PDF

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Abstract

【課題】高温高湿条件下でもヘイズ変化が少ないだけでなく、耐久性にも優れたポリエステル系粘着剤組成物、ポリエステル系粘着剤、粘着シートおよび粘着剤層付き光学部材を提供する。【解決手段】ポリエステル系樹脂(A)を含有するポリエステル系粘着剤組成物であって、上記ポリエステル系樹脂(A)が、多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位とポリオール(a2)由来の構造単位とを有しており、上記多価カルボン酸類(a1)が、スルホン酸塩基含有ジカルボン酸類(a1−1)を含有し、そのスルホン酸塩基含有ジカルボン酸類(a1−1)由来の構造単位の含有量がポリエステル系樹脂(A)に対して0.0001〜0.15mmoL/gであるポリエステル系粘着剤組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステル系粘着剤組成物、ポリエステル系粘着剤、粘着シートおよび粘着剤層付き光学部材に関し、さらに詳しくは、高温高湿条件下でもヘイズ変化が少なく、耐久性にも優れたポリエステル系粘着剤組成物、ポリエステル系粘着剤、粘着シートおよび粘着剤層付き光学部材に関するものである。
従来、ポリエステルは、多価カルボン酸成分とポリオール成分とを組み合わせることにより、耐薬品性、機械的強度等に優れるものが得られることが知られており、粘着剤の分野でも有用である。このような粘着剤としては、例えば、特許文献1のものが挙げられる。上記特許文献1のものは、架橋剤の使用による架橋処理を施さなくても、スルホン酸塩基含有ジカルボン酸成分を相当量含有させることにより、接着力および凝集力に優れた粘着剤を得ることができるとされている。
特開2001−323243号公報
しかしながら、近年、粘着剤は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)等の表示装置やタッチパネル等の上記表示装置と組み合わせて用いられる入力装置の製造に使用されるケースが増大しており、高温高湿条件下において、ヘイズ変化が少なく、耐久性にも優れるものが求められるようになっている。上記特許文献1のものは室温(23℃)または40℃近傍の温度において接着力および凝集力に優れるものの、高温高湿条件下での性能は充分に満足できるものではないため、さらなる改良が求められている。
そこで、本発明ではこのような背景下において、高温高湿条件下でもヘイズ変化が少ないだけでなく、耐久性にも優れたポリエステル系粘着剤組成物、ポリエステル系粘着剤、粘着シートおよび粘着剤層付き光学部材を提供することを目的とする。
しかるに、本発明者は、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、ポリエステル系樹脂中にスルホン酸塩基含有ジカルボン酸類を含有する多価カルボン酸成分由来の構造単位を有するようにし、そのスルホン酸塩基含有ジカルボン酸類由来の構造単位の含有量を従来より少なくすることにより、高温高湿条件下でもヘイズ変化が少なく、しかも耐久性にも優れたポリエステル系粘着剤組成物を得ることができることを見い出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、ポリエステル系樹脂(A)を含有するポリエステル系粘着剤組成物であって、上記ポリエステル系樹脂(A)が、多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位とポリオール(a2)由来の構造単位とを有しており、上記多価カルボン酸類(a1)が、スルホン酸塩基含有ジカルボン酸類(a1−1)を含有し、そのスルホン酸塩基含有ジカルボン酸類(a1−1)由来の構造単位の含有量がポリエステル系樹脂(A)に対して0.0001〜0.15mmoL/gであるポリエステル系粘着剤組成物を第1の要旨とする。
また、本発明は、上記ポリエステル系粘着剤組成物が、架橋されてなるポリエステル系粘着剤を第2の要旨とし、上記ポリエステル系粘着剤を含有する粘着剤層を有する粘着シートを第3の要旨とし、粘着剤層と光学部材とを有する粘着剤層付き光学部材であって、上記粘着剤層が上記ポリエステル系粘着剤を含有する粘着剤層付き光学部材を第4の要旨とする。
一般に、ポリエステル系粘着剤組成物の被着体への接着性の改良のために、多価カルボン酸成分としてスルホン酸塩基含有ジカルボン酸類を含有させることが知られており、さらには、その含有量を多くすることにより、より一層接着性が向上することが知られている。すなわち、上記特許文献1にも、含有量が少ないと粘着剤としての凝集力および接着力が不充分となると記載があり、より優れた粘着剤を得るためには、スルホン酸塩基含有ジカルボン酸類の含有量を多くしようと考えるのが通常である。しかしながら、本発明においては、意外なことに、スルホン酸塩基含有ジカルボン酸類をごく少量含有させることにより、高温高湿条件下でもヘイズ変化がなく、耐久性にも優れるようになることを見い出したのである。
本発明のポリエステル系粘着剤組成物は、多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位とポリオール(a2)由来の構造単位とを有しており、上記多価カルボン酸類(a1)が、スルホン酸塩基含有ジカルボン酸類(a1−1)を含有し、そのスルホン酸塩基含有ジカルボン酸類(a1−1)由来の構造単位の含有量がポリエステル系樹脂(A)に対して0.0001〜0.15mmoL/gであることから、高温高湿条件下でもヘイズ変化が少なく、耐久性にも優れる。
以下、本発明の構成につき詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。
なお、本発明において、「カルボン酸類」との用語は、カルボン酸に加え、カルボン酸塩、カルボン酸無水物、カルボン酸ハロゲン化物、カルボン酸エステル等のカルボン酸誘導体も含むものである。
本発明のポリエステル系粘着剤組成物は、ポリエステル系樹脂(A)を含有するポリエステル系粘着剤組成物であって、上記ポリエステル系樹脂(A)が、多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位とポリオール(a2)由来の構造単位とを有しており、上記多価カルボン酸類(a1)が、スルホン酸塩基含有ジカルボン酸類(a1−1)を含有し、そのスルホン酸塩基含有ジカルボン酸類(a1−1)由来の構造単位の含有量がポリエステル系樹脂(A)に対して0.0001〜0.15mmoL/gであることを特徴とする。
すなわち、本発明のポリエステル系粘着剤組成物に用いられる上記ポリエステル系樹脂(A)は、上記スルホン酸塩基含有ジカルボン酸類(a1−1)由来の構造単位の含有量が上記ポリエステル系樹脂(A)に対して0.0001〜0.15mmoL/gとなるように、スルホン酸塩基含有ジカルボン酸類(a1−1)を含む多価カルボン酸類(a1)と、ポリオール(a2)と、重縮合して得られるものである。
そして、本発明のポリエステル系粘着剤組成物は、上記ポリエステル系樹脂(A)を必須成分とし、加水分解抑制剤(B)および架橋剤(C)の少なくとも一方を含有していることが好ましく、さらに加水分解抑制剤(B)および架橋剤(C)のいずれも含有することがより好ましい。
このような本発明のポリエステル系粘着剤組成物を構成する各成分について、以下、順次説明する。
<ポリエステル系樹脂(A)>
ポリエステル系樹脂(A)は、通常、構成原料として、多価カルボン酸類(a1)およびポリオール(a2)を含む共重合成分を共重合することにより得られ、そのポリエステル系樹脂(A)は、その樹脂組成として、多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位およびポリオール(a2)由来の構造単位を有するようになる。
[多価カルボン酸類(a1)]
ポリエステル系樹脂(A)の構成原料として用いられる上記多価カルボン酸類(a1)としては、例えば、二価カルボン酸類、三価以上の多価カルボン酸類があり、ポリエステル系樹脂(A)を安定的に得られる点から二価カルボン酸類が好ましく用いられる。これらの多価カルボン酸類(a1)は、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記二価カルボン酸類としては、例えば、マロン酸類、ジメチルマロン酸類、コハク酸類、グルタル酸類、アジピン酸類、トリメチルアジピン酸類、ピメリン酸類、2,2−ジメチルグルタル酸類、アゼライン酸類、セバシン酸類、フマル酸類、マレイン酸類、イタコン酸類、チオジプロピオン酸類、ジグリコール酸類、1,9−ノナンジカルボン酸類等の脂肪族ジカルボン酸類;
フタル酸類、テレフタル酸類、イソフタル酸類、ベンジルマロン酸類、ジフェン酸類、4,4’−オキシジ安息香酸類、さらに1,8−ナフタレンジカルボン酸類、2,3−ナフタレンジカルボン酸類、2,7−ナフタレンジカルボン酸類等のナフタレンジカルボン酸類等の芳香族ジカルボン酸類;
1,3−シクロペンタンジカルボン酸類、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸類、1,3−シクロペンタンジカルボン酸類、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸類、2,5−ノルボルナンジカルボン酸類、アダマンタンジカルボン酸類等の脂環族ジカルボン酸類;
等が挙げられる。
また、上記三価以上のカルボン酸類としては、例えば、トリメリット酸類、ピロメリット酸類、アダマンタントリカルボン酸類、トリメシン酸類等が挙げられる。
上記多価カルボン酸類(a1)の中でも、ポリエステル系樹脂(A)の結晶性を下げる点から、非対称の芳香族多価カルボン酸類を含ませることが好ましく、上記非対称の芳香族多価カルボン酸類としては、例えば、フタル酸類、イソフタル酸類、1,8−ナフタレンジカルボン酸類、2,3−ナフタレンジカルボン酸類、2,7−ナフタレンジカルボン酸類等が挙げられ、なかでも反応性の点でイソフタル酸類が特に好ましく用いられる。
かかる非対称の芳香族多価カルボン酸類の含有量としては、多価カルボン酸類(a1)全体に対して、1〜90モル%であることが好ましく、特に好ましくは2〜85モル%、さらに好ましくは3〜80モル%である。かかる含有量が少なすぎると、樹脂が結晶化し、充分な粘着性能が得られなくなる傾向があり、多すぎると初期粘着力(タック)が低下する傾向がある。
さらに、上記多価カルボン酸類(a1)の中でも、ポリエステル系樹脂(A)の結晶性を別観点より下げる点から、炭素数が奇数の脂肪族多価カルボン酸類を含ませることが好ましく、炭素数が奇数の脂肪族多価カルボン酸類としては、例えば、マロン酸類、グルタル酸類、ピメリン酸類、アゼライン酸類、1,9−ノナンジカルボン酸類等が挙げられ、なかでもアゼライン酸類が特に好ましく用いられる。
かかる炭素数が奇数の脂肪族多価カルボン酸類の含有量としては、多価カルボン酸類(a1)全体に対して、5〜100モル%であることが好ましく、特に好ましくは10〜100モル%、さらに好ましくは20〜100モル%、殊に好ましくは30〜100モル%である。かかる含有量が少なすぎると樹脂が結晶化し充分な粘着性能が得られなくなる傾向がみられる。
本発明においては、粘着物性の点から、多価カルボン酸類(a1)として、非対称の芳香族多価カルボン酸類と炭素数が奇数の脂肪族多価カルボン酸類とを併用することも好ましい。非対称の芳香族多価カルボン酸類および炭素数が奇数の脂肪族多価カルボン酸類の含有比率(モル比)としては、非対称の芳香族多価カルボン酸類/脂肪族多価カルボン酸類=1/99〜90/10であることが好ましく、特に好ましくは5/95〜85/15、さらに好ましくは10/90〜80/20である。
なお、ポリエステル系樹脂(A)中に分岐点を増やす目的で、三価以上の多価カルボン酸類を用いることもでき、なかでも比較的、ゲル化が発生しにくい点でトリメリット酸類を用いることが好ましい。
かかる三価以上の多価カルボン酸類の含有量としては、粘着剤の凝集力を高めることができる点で、多価カルボン酸類(a1)全体に対して、好ましくは10モル%以下、特に好ましくは0.1〜5モル%であり、かかる含有量が多すぎるとポリエステル系樹脂(A)の製造時にゲル化が生じやすい傾向がみられる。
[スルホン酸塩基含有ジカルボン酸類(a1−1)]
本発明においては、上記多価カルボン酸類(a1)として、少量のスルホン酸塩基含有ジカルボン酸類(a1−1)を用いる。このようなスルホン酸塩基含有ジカルボン酸類(a1−1)としては、ジカルボキシル基とスルホン酸塩基を分子内に共に有するモノマー成分であれば特に限定されるものではなく、例えば、スルホン酸ナトリウムやスルホン酸カリウム等のスルホン酸アルカリ金属を含有するフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、これらのモノまたはジエステルが好ましく用いられる。これらのスルホン酸塩基含有ジカルボン酸類(a1−1)は、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記スルホン酸塩基含有ジカルボン酸類(a1−1)として、具体的には、例えば、4−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム、5−スルホイソフタル酸ナトリウム、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム、4−スルホイソフタル酸ジメチルカリウム、5−スルホイソフタル酸ジメチルカリウム、2−スルホテレフタル酸ナトリウム、2−スルホテレフタル酸カリウム、2−スルホテレフタル酸ジメチルナトリウム、2−スルホテレフタル酸ジメチルカリウム等が挙げられる。これらの中でも、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウムが好ましく用いられる。
また、上記スルホン酸塩基含有ジカルボン酸類(a1−1)が、多価カルボン酸類(a1)中に占める割合は、多価カルボン酸類(a1)全体に対し、0.001〜10モル%であることが好ましく、特に好ましくは0.01〜5モル%、さらに好ましくは0.03〜3モル%、殊に好ましくは0.05〜2モル%である。上記スルホン酸塩基含有ジカルボン酸類(a1−1)が少なすぎると湿熱試験後のヘイズが大きくなる(透明性が低下する)傾向があり、多すぎると耐久性が低下する傾向がある。
[ポリオール(a2)]
ポリエステル系樹脂(A)の構成原料として用いられるポリオール(a2)としては、二価アルコール、三価以上のポリオールがある。
上記二価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール;
1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、トリシクロデカンジメタノール、アダマンタンジオール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール等の脂環族ジオール;
4,4’−チオジフェノール、4,4’−メチレンジフェノール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、o−,m−およびp−ジヒドロキシベンゼン、2,5−ナフタレンジオール、p−キシレンジオールおよびそれらのエチレンオキサイド付加体やプロピレンオキサイド付加体等の芳香族ジオール等が挙げられる。
さらに、ヒマシ油から誘導される脂肪酸エステルや、オレイン酸や、エルカ酸等から誘導されるダイマージオール、グリセロールモノステアレート等が挙げられる。
また、上記三価以上のポリオールとしては、例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,3,6−ヘキサントリオール、アダマンタントリオール等が挙げられる。
上記のこれらポリオール(a2)は単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記ポリオール(a2)の中でも、分岐構造含有ポリオールを含有することが分岐点を増やし、結晶性を崩す点から好ましい。分岐構造含有ポリオールとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,3,5−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−メチル−1,6−ヘキサンジオール等の分岐構造を有する脂肪族ポリオール等が挙げられる。さらに、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、トリシクロデカンジメタノール、アダマンタンジオール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール等の脂環族ジオールおよびそれらのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド付加体等、さらに1,2−ポリブタジエンポリオール、1,4−ポリブタジエンポリオール、1,2−ポリクロロプレンポリオール、1,4−ポリクロロプレンポリオール等のポリブタジエン系ポリオールあるいはこれらのポリブタジエン系ポリオールの二重結合を水素またはハロゲン等で飽和化した鎖のポリエチレンポリオール、塩素化ポリエチレンポリオールや分岐を有する飽和炭化水素系ポリオール等、さらには、ポリブタジエン系ポリオールにスチレン、エチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル等のオレフィン化合物を共重合させたポリオールやその水素化したポリオール等が挙げられる。なかでも、ネオペンチルグリコール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールが特に好ましい。
上記分岐構造含有ポリオールの含有量は、ポリオール(a2)全体に対して5〜99モル%であることが好ましく、特には10〜98モル%、さらには30〜97モル%であることが好ましい。かかる含有量が少なすぎると、樹脂が結晶化し充分な粘着性能が得られにくい傾向があり、多すぎると、ポリエステル系樹脂(A)の製造において反応時間が長くなる傾向がある。
一方、上記ポリオール(a2)の中でも、直鎖ポリオールを含有することが反応性の点から好ましく、さらには炭素数2〜40の直鎖ポリオールがより好ましい。かかる直鎖ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、等の脂肪族ポリオールおよびそれらのエチレンオキサイド付加体等が挙げられる。なかでも、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールが特に好ましい。
直鎖ポリオールの含有量は、ポリオール(a2)全体に対して、1〜100モル%であることが好ましく、さらには3〜99モル%、特には5〜95モル%、さらには7〜93モル%、殊には10〜90モル%であることが好ましい。かかる含有量が少なすぎると、安定した樹脂形成が得られにくくなる傾向がある。
また、三価以上のポリオールの含有量としては、ポリオール(a2)全体に対して、20モル%以下であることが好ましく、さらには0.1〜10モル%であることが好ましく、特には0.5〜5モル%が好ましく、かかる含有量が多すぎるとポリエステル系樹脂(A)の製造が困難となる傾向がある。
多価カルボン酸類(a1)とポリオール(a2)の配合割合としては、多価カルボン酸類(a1)1当量あたり、ポリオール(a2)が1〜3当量であることが好ましく、特に好ましくは1.1〜2当量である。ポリオール(a2)の配合割合が低すぎると、酸価が高くなり高分子量化が困難となる傾向があり、高すぎると収率が低下する傾向がある。
本発明で用いられるポリエステル系樹脂(A)は、上記多価カルボン酸類(a1)とポリオール(a2)とを任意に選び、これらを触媒存在下、公知の方法により重縮合反応させることにより製造される。
重縮合反応に際しては、まずエステル化反応が行われた後、重縮合反応が行われる。
かかるエステル化反応においては、触媒が用いられ、具体的には、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタン系触媒、三酸化アンチモン等のアンチモン系触媒、二酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム系触媒等の触媒や、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、ジブチル錫オキサイド等の触媒を挙げることができ、これらの1種あるいは2種以上が用いられる。これらの中でも、触媒活性の高さと得られる反応物の色相とのバランスから、三酸化アンチモン、テトラブチルチタネート、二酸化ゲルマニウム、酢酸亜鉛が好ましい。
上記触媒の配合量は、全共重合成分(重量基準)に対して1〜10,000ppmであることが好ましく、特に好ましくは10〜5,000ppm、さらに好ましくは20〜3,000ppmである。かかる配合量が少なすぎると、重合反応が充分に進行しにくい傾向があり、多すぎても反応時間短縮等の利点はなく副反応が起こりやすい傾向がある。
エステル化反応時の反応温度については、200〜300℃が好ましく、特に好ましくは210〜280℃、さらに好ましくは220〜260℃である。かかる反応温度が低すぎると反応が充分に進みにくい傾向があり、高すぎると分解等の副反応が起こりやすい傾向がある。また、反応時の圧力は通常、常圧である。
上記エステル化反応が行われた後に行われる重縮合反応の反応条件としては、上記のエステル化反応で用いるものと同様の触媒をさらに同程度の量配合し、反応温度を好ましくは220〜280℃、特に好ましくは230〜270℃として、反応系を徐々に減圧して最終的には5hPa以下で反応させることが好ましい。かかる反応温度が低すぎると反応が充分に進行しにくい傾向があり、高すぎると分解等の副反応が起こりやすい傾向がある。
かくして本発明で用いられるポリエステル系樹脂(A)が得られる。
本発明においては、かかるポリエステル系樹脂(A)中にスルホン酸塩基含有ジカルボン酸類(a1−1)由来の構造単位を含有することが重要であり、さらに、そのスルホン酸塩基含有ジカルボン酸類(a1−1)由来の構造単位の含有量がポリエステル系樹脂(A)に対して0.0001〜0.15mmoL/gであり、好ましくは0.0005〜0.1mmoL/gであり、特に好ましくは0.001〜0.05mmoL/gであり、さらに好ましくは0.0015〜0.03mmoL/gである。かかる含有量が少なすぎても、多すぎても、本発明の効果を充分に奏することができなくなる。
また、上記スルホン酸塩基含有ジカルボン酸類(a1−1)が、ポリエステル系樹脂(A)全体に対して、0.001〜10重量%であることが好ましく、特に好ましくは0.01〜5重量%であり、さらに好ましくは0.02〜2.5重量%であり、殊に好ましくは0.003〜1重量%である。上記スルホン酸塩基含有ジカルボン酸類(a1−1)が少なすぎると湿熱試験後のヘイズが大きくなる(透明性が低下する)傾向があり、多すぎると耐久性が低下する傾向がある。
また、ポリエステル系樹脂(A)は、多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位およびポリオール(a2)由来の構造単位を有するが、前記非対称の芳香族多価カルボン酸類由来の構造単位が、多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位として含まれる場合は、非対称の芳香族多価カルボン酸類由来の構造単位が、多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位中に1〜90モル%であることが好ましく、特に好ましくは2〜80モル%、さらに好ましくは3〜60モル%、殊に好ましくは5〜40モル%である。
前記炭素数が奇数の脂肪族多価カルボン酸類由来の構造単位が、多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位として含まれる場合は、炭素数が奇数の脂肪族多価カルボン酸類由来の構造単位が、多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位中に5〜100モル%であることが好ましく、特に好ましくは10〜100モル%、さらに好ましくは20〜100モル%、殊に好ましくは30〜100モル%である。
一方、前記分岐構造含有ポリオール由来の構造単位が、ポリオール(a2)由来の構造単位として含まれる場合は、分岐構造含有ポリオール由来の構造単位が、ポリオール(a2)由来の構造単位中に5〜99モル%含有することが結晶性を崩す点で好ましく、特には10〜98モル%、さらには20〜97モル%であることが好ましい。
また、前記直鎖ポリオール由来の構造単位が、ポリオール(a2)由来の構造単位として含まれる場合は、直鎖ポリオール由来の構造単位が、ポリオール(a2)由来の構造単位中に3〜95モル%含有することが安定した樹脂形成の点から好ましく、さらに好ましくは5〜90モル%、特に好ましくは10〜80モル%、殊には15〜70モル%である。
ここで、上記ポリエステル系樹脂(A)の各成分由来の構造単位割合(組成割合)は、例えば、核磁気共鳴(NMR)により求めることができる。
上記ポリエステル系樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、粘着物性の点から−70〜20℃であることが好ましく、特に好ましくは−65〜15℃、さらに好ましくは−60℃〜10℃である。かかるガラス転移温度が高すぎると柔軟性が失われ、初期粘着性が低下し、指圧程度の圧力で粘着力が発揮しにくくなることから、作業性が低下する傾向があり、低すぎると凝集力が低下し、粘着シートが変形しやすくなってしまい外観を損ねる傾向がある。
ここで、上記ポリエステル系樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、TAインスツルメント社製の示差走査熱量計DSC Q20を用いて測定される値である。
なお、測定温度範囲は−90℃から100℃で、温度上昇速度は、10℃/分である。
上記ポリエステル系樹脂(A)は結晶化しないことが保存安定性の点から好ましいが、結晶化する場合においても、ポリエステル系樹脂(A)の結晶化エネルギーができるだけ低いことが好ましく、通常35J/g以下、好ましくは、20J/g以下、特に好ましくは10J/g以下、殊に好ましくは5J/g以下である。
上記ポリスエテル系樹脂(A)の酸価は10mgKOH/g以下であることが好ましく、特には3mgKOH/g以下、さらには1mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価が高すぎると、粘着剤層の一方の面に、金属等の層が来た場合に腐食してしまう懸念がある。例えば、金属酸化物薄膜層となる構成とした際に、腐食が起こり、金属酸化物薄膜の導電性が低下する傾向がある。
ここで、上記ポリエステル系樹脂(A)の酸価は、JIS K 0070に基づき中和滴定により求められるものである。
また、上記ポリエステル系樹脂(A)の重量平均分子量は、粘着剤の凝集力の点から8,000〜200,000であることが好ましく、特には10,000〜180,000、さらには20,000〜150,000であることが好ましい。かかる重量平均分子量が小さすぎると粘着剤として充分な凝集力が得られず、耐熱性や機械的強度が低下しやすい傾向があり、大きすぎるとポリエステル系樹脂(A)の製造時にゲル化しやすくなり、樹脂が得られにくい傾向がある。
なお、上記の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフ(東ソー社製、「HLC−8320GPC」)に、カラム:TSKgel SuperMultipore HZ−M(排除限界分子量:2×106、理論段数:16,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:4μm)の2本直列を用いることにより測定されるものである。
本発明のポリエステル系粘着剤組成物(以下、「粘着剤組成物」と略すことがある)には、上記ポリエステル系樹脂(A)とともに、任意成分を用いてもよく、このような任意成分としては、例えば、加水分解抑制剤(B)、架橋剤(C)等が挙げられる。加水分解抑制剤(B)は、長期耐久性を担保させるために含有されるものであり、架橋剤(C)は、ポリエステル系樹脂(A)を架橋させ凝集力に優れたものとし、粘着剤としての性能を向上させるものである。また、これらの成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲において、ウレタン化触媒、触媒作用抑制剤、ヒンダードフェノール類等の酸化防止剤、軟化剤、紫外線吸収剤、安定剤、耐電防止剤、粘着付与剤、等の添加剤やその他、無機または有機の充填剤、金属粉、顔料等の粉体、粒子状等の添加剤を配合することができる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
<加水分解抑制剤(B)>
上記加水分解抑制剤(B)としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、上記ポリエステル系樹脂(A)のカルボン酸末端基と反応して結合する化合物が挙げられ、具体的には、例えば、カルボジイミド基、エポキシ基、オキサゾリン基等の官能基を含有する化合物等が挙げられる。これらの中でもカルボジイミド基含有化合物が、カルボキシル基末端基由来のプロトンの触媒活性を消失させる効果が高い点で好ましい。
上記カルボジイミド基含有化合物としては、通常、カルボジイミド基(−N=C=N−)を分子内に1個以上有する公知のポリカルボジイミドを用いればよいが、より高温高湿下での耐久性を上げる点でカルボジイミド基を分子内に2個以上含有する化合物、すなわち多価カルボジイミド系化合物であることが好ましく、特には3個以上、さらには5個以上、殊には7個以上含有する化合物であることが好ましい。なお、30個以上含有すると分子構造が大きくなりすぎるために、好ましくない傾向がある。また、カルボジイミド化触媒の存在下でジイソシアネートを脱炭酸縮合反応させることによって生成する高分子量ポリカルボジイミドを用いることも好ましい。
このような高分子量ポリカルボジイミドとしては、以下のジイソシアネートを脱炭酸縮合反応させたものが挙げられる。
かかるジイソシアネートとしては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1−メトキシフェニル−2,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上を併用することができる。このような高分子量ポリカルボジイミドは、合成してもよいし市販品を使用してもよい。
カルボジイミド基含有化合物の市販品としては、例えば、日清紡ケミカル社製のカルボジライト(登録商標)シリーズが挙げられ、それらの中でも、カルボジライト(登録商標)V−01、V−02B、V−03、V−05、V−07、V−09、V−09GBは有機溶剤との相溶性に優れる点で好ましい。
上記エポキシ基含有化合物としては、例えば、グリシジルエステル化合物やグリシジルエーテル化合物等が好ましい。
グリシジルエステル化合物の具体例としては、例えば、安息香酸グリシジルエステル、t−Bu−安息香酸グリシジルエステル、p−トルイル酸グリシジルエステル、シクロヘキサンカルボン酸グリシジルエステル、ペラルゴン酸グリシジルエステル、ステアリン酸グリシルエステル、ラウリン酸グリシジルエステル、パルミチン酸グリシジルエステル、ベヘン酸グリシジルエステル、バーサチック酸グリシジルエステル、オレイン酸グリシジルエステル、リノール酸グリシジルエステル、リノレイン酸グリシジルエステル、ベヘノール酸グリシジルエステル、ステアロール酸グリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、ナフタレンジカルボン酸ジグリシジルエステル、メチルテレフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、ドデカンジオン酸ジグリシジルエステル、オクタデカンジカルボン酸ジグリシジルエステル、トリメリット酸トリグリシジルエステル、ピロメリット酸テトラグリシジルエステル等を挙げられ、これらを単独でもしくは2種以上を併用することができる。
グリシジルエーテル化合物の具体例としては、例えば、フェニルグリシジルエ−テル、o−フェニルグリシジルエ−テル、1,4−ビス(β,γ−エポキシプロポキシ)ブタン、1,6−ビス(β,γ−エポキシプロポキシ)ヘキサン、1,4−ビス(β,γ−エポキシプポキシ)ベンゼン、1−(β,γ−エポキシプロポキシ)−2−エトキシエタン、1−(β,γ−エポキシプロポキシ)−2−ベンジルオキシエタン、2,2−ビス−[р−(β,γ−エポキシプロポキシ)フェニル]プロパンおよび2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン等のビスフェノールとエピクロルヒドリンの反応で得られるビスグリシジルポリエーテル等が挙げられ、これらを単独でもしくは2種以上を併用することができる。
上記オキサゾリン基含有化合物としては、ビスオキサゾリン化合物等が好ましい。具体的には、例えば、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−エチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4,4’−ジエチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−プロピル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−ブチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−ヘキシル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−シクロヘキシル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−ベンジル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−o−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−デカメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−9,9’−ジフェノキシエタンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−シクロヘキシレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ジフェニレンビス(2−オキサゾリン)等を例示することができ、これらの中では、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)が、ポリエステルとの反応性の観点から最も好ましい。また、これらを単独でもしくは2種以上を併用することができる。
これら加水分解抑制剤(B)としては、揮発性が低い方が好ましく、そのために数平均分子量は高いものを用いる方が好ましく、通常、300〜10,000、好ましくは1,000〜5,000のものを用いる。
また、加水分解抑制剤(B)としては、耐加水分解性の観点から重量平均分子量が高いものを用いるほうが好ましい。加水分解抑制剤(B)の重量平均分子量は、500以上であることが好ましく、2,000以上であることがより好ましく、3,000以上であることがさらに好ましい。なお、重量平均分子量の上限は通常50,000である。
加水分解抑制剤(B)の重量平均分子量が小さすぎると、耐加水分解性が低下する傾向がある。一方、重量平均分子量が大きすぎると、ポリエステル樹脂との相溶性が低下する傾向がある。
加水分解抑制剤(B)の中でも、カルボジイミド基含有化合物を使用することが好ましいが、その際の、カルボジイミド当量は、好ましくは、50〜10,000、特には100〜1,000、さらには150〜500であることが好ましい。なお、カルボジイミド当量とは、カルボジイミド基1個あたりの化学式量を示す。
上記加水分解抑制剤(B)の含有量は、上記ポリエステル系樹脂(A)100重量部に対して、0.01〜10重量部であることが好ましく、特に好ましくは0.1〜5重量部、さらに好ましくは0.2〜3重量部である。かかる含有量が、多すぎるとポリエステル系樹脂(A)との相溶性不良により濁りが発生する傾向があり、少なすぎると充分な耐久性が得られにくい傾向がある。
また、上記加水分解抑制剤(B)の含有量は、上記ポリエステル系樹脂(A)の酸価に応じて、含有量を最適化させることが好ましく、粘着剤組成物中のポリエステル系樹脂(A)の酸性の官能基のモル数合計(a)に対する、粘着剤組成物中の加水分解抑制剤(B)の官能基モル数の合計(b)のモル比((b)/(a))が、0.5≦(b)/(a)であることが好ましく、特に好ましくは1≦(b)/(a)≦1,000、さらに好ましくは1.5≦(b)/(a)≦100である。
(a)に対する(b)のモル比が低すぎると、耐湿熱性能が低下する傾向がある。逆に、(a)に対する(b)のモル比が高すぎると、ポリエステル系樹脂(A)との相溶性が低下したり、粘着力、凝集力、耐久性が低下する傾向がある。
上記架橋剤(C)としては、例えば、ポリイソシアネート系化合物、ポリエポキシ系化合物等、ポリエステル系樹脂(A)に含まれる水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方と反応する官能基を有する化合物が挙げられる。これらの中でも初期粘着性と機械的強度、耐熱性をバランスよく両立できる点から、特にポリイソシアネート系化合物を用いることが好ましい。
かかるポリイソシアネート系化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のポリイソシアネートが挙げられ、また、上記ポリイソシアネートと、トリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体や、これらポリイソシアネート系化合物のビュレット体、イソシアヌレート体等が挙げられる。なお、上記ポリイソシアネート系化合物は、フェノール、ラクタム等でイソシアネート部分がブロックされたものでも使用することができる。これらの架橋剤(C)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上混合して使用してもよい。
かかる架橋剤(C)の含有量は、ポリエステル系樹脂(A)の分子量と用途目的により適宜選択できるが、通常は、ポリエステル系樹脂(A)に含まれる水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方の1当量に対して、架橋剤(C)に含まれる反応性基が、0.2〜10当量となる割合で架橋剤(C)を含有することが好ましく、特に好ましくは0.5〜5当量、さらに好ましくは0.5〜3当量である。
かかる架橋剤(C)に含まれる反応性基の当量数が小さすぎると凝集力が低下する傾向があり、大きすぎると柔軟性が低下する傾向がある。
またポリエステル系樹脂(A)と架橋剤(C)との反応においては、これら(A)および(C)成分と反応する官能基を有しない有機溶剤、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族類等の有機溶剤を用いることができる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
<ウレタン化触媒>
本発明の粘着剤組成物の任意成分として用いられるウレタン化触媒としては、例えば、有機金属系化合物、3級アミン化合物等を用いることができる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記有機金属系化合物としては、例えば、ジルコニウム系化合物、鉄系化合物、錫系化合物、チタン系化合物、鉛系化合物、コバルト系化合物、亜鉛系化合物等を挙げることができる。
ジルコニウム系化合物としては、例えば、ナフテン酸ジルコニウム、ジルコニウムアセチルアセトネート等が挙げられる。
鉄系化合物としては、例えば、鉄アセチルアセトネート、2−エチルヘキサン酸鉄等が挙げられる。
錫系化合物としては、例えば、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジラウレート等が挙げられる。
チタン系化合物としては、例えば、ジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、ブトキシチタニウムトリクロライド等が挙げられる。
鉛系化合物としては、例えば、オレイン酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、ナフテン酸鉛等が挙げられる。
コバルト系化合物としては、例えば、2−エチルヘキサン酸コバルト、安息香酸コバルト等が挙げられる。
亜鉛系化合物としては、例えば、ナフテン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛等が挙げられる。
また、上記3級アミン化合物としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、1,8−ジアザビシクロ−(5,4,0)−ウンデセン−7等が挙げられる。
これらウレタン化触媒の中でも、反応速度と粘着剤層のポットライフの点で、有機金属系化合物が好ましく、特にジルコニウム系化合物が好ましい。
<触媒作用抑制剤>
本発明のポリエステル系粘着剤組成物は、ポットライフを延長し、塗工性を向上させる点で上記触媒に触媒作用抑制剤を含有させることが好ましい。
触媒作用抑制剤としては、例えば、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸オクチル、アセト酢酸オレイル、アセト酢酸ラウリル、アセト酢酸ステアリル等のβ−ケトエステルや、アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、ベンゾイルアセトン等のβ−ジケトンが挙げられる。これらはケトエノール互変異性化合物であり、上記触媒を保護することにより、触媒の溶液状態での触媒活性を低下させ、配合後における粘着剤組成物の過剰な粘度上昇やゲル化を抑制し、粘着剤組成物のポットライフを延長することができる。
これらの中でも、ポットライフと硬化速度のバランスの点から、触媒作用抑制剤としてアセチルアセトンを用いることが好ましい。なお、これらの触媒作用抑制剤は1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
触媒作用抑制剤と触媒の含有割合(重量比)は、触媒作用抑制剤:触媒=0.001:1〜15:1の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.005:1〜13:1であり、特に好ましくは0.01:1〜10:1である。触媒の含有量に対して、触媒作用抑制剤の含有量が少なすぎるとポットライフが短く塗工性が低下する傾向があり、多すぎると硬化速度が低下する傾向がある。
<酸化防止剤>
本発明のポリエステル系粘着剤組成物は、耐熱性を向上させる点において、さらに酸化防止剤を含有することが好ましい。酸化防止剤を含有することにより、耐熱環境下におけるポリエステル系樹脂(A)の分子量低下を抑制し、被着体への糊残り防止性に優れるようになる。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール構造を有する酸化防止剤が好ましい。
ヒンダードフェノール構造を有する酸化防止剤としては、例えば、フェノールの水酸基が結合した芳香族環上の炭素原子の隣接炭素原子の少なくとも一方に、ターシャリーブチル基等の立体障害の大きな基が結合したヒンダードフェノール構造を有する酸化防止剤が挙げられる。このような酸化防止剤を用いることによって、耐熱環境下におけるポリエステル系樹脂(A)の分子量低下を抑制する効果が非常に高くなる。
酸化防止剤の含有割合は、ポリエステル系樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部であり、より好ましくは0.03〜8部であり、さらに好ましくは0.05〜5重量部である。
かかる含有量が少なすぎると被着体への糊残りが発生しやすくなる傾向があり、多すぎると粘着物性が低下する傾向がある。
本発明のポリエステル系粘着剤組成物は、上記添加剤の他にも、粘着剤の構成成分の製造原料等に含まれる不純物等が少量含有されたものであってもよい。
また、本発明にかかるポリエステル系粘着剤(以下、「粘着剤」と略すことがある)は、上記粘着剤組成物からなるもの、即ち、粘着剤組成物が架橋(硬化)されてなるものである。
そして、本発明の粘着シートは、支持基材の片面または両面に、粘着剤層を有する粘着シートであり、特には、光学部材の貼り合わせに用いる光学部材用粘着シートとして好適である。
なお、本発明において「シート」とは、「フィルム」や「テープ」をも含めた意味である。
<粘着シート>
粘着シートは、例えば、つぎのようにして作製することができる。
かかる粘着シートの製造方法としては、公知一般の粘着シートの製造方法にしたがって製造することができ、例えば、基材の一方の面に、上記粘着剤組成物を塗工、乾燥して、粘着剤層を形成し、その表面(基材に接する面の反対面)に離型シートを貼合し、必要により養生することで基材上に、粘着剤組成物が架橋されてなる粘着剤層を有する本発明の粘着シートが得られる。
また、離型シート上に、上記粘着剤組成物を塗工、乾燥して、粘着剤層を形成し、その表面(離型シートに接する面の反対面)に基材を貼合し、必要により養生することでも、本発明の粘着シートが得られる。
そして、離型シート上に粘着剤層を形成し、その表面(離型シートに接する面の反対面)に上記離型シートと別の離型シートを貼り合わせることにより、基材レス両面粘着シートを製造することができる。
得られた粘着シートや基材レス両面粘着シートは、使用時には、上記離型シートを粘着剤層から剥離して粘着剤層と被着体を貼合する。
上記基材としては、例えば、ポリエチレンナフタート、ポリエチレンテレフタレート、ボリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン等のポリフッ化エチレン樹脂;ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体;三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂;ポリスチレン;ポリカーボネート;ポリアリレート;ポリイミド;シクロオレフィンポリマー等の合成樹脂シート;アルミニウム、銅、鉄の金属箔;上質紙、グラシン紙等の紙;硝子繊維、天然繊維、合成繊維等からなる織物や不織布が挙げられる。これらの基材は、単層体としてまたは2種以上が積層された複層体として用いることができる。
これらの中でも特にポリエチレンテレフタレート、ポリイミドからなる基材が好ましく、特には粘着剤との接着性に優れる点でポリエチレンテレフタレートが好ましく、さらには金属薄膜層を有したポリエチレンテレフタレートであることが、基材と粘着剤との粘着力に優れ、なおかつ金属薄膜層を腐食せずに基材を安定的に保つことができ、本発明に用いられる粘着剤の効果を顕著に発揮できる点で好ましい。
なお、本発明においては、ITO電極膜がポリエチレンテレフタレート(PET)基材上に薄膜形成されているフィルムのPET側に粘着剤層を有し、粘着剤層を介してPET基材とポリカーボネート(PC)系フィルムが積層され、さらにアクリル系フィルムが積層されてなる光学積層体とすることも好ましい(層構成:ITO電極膜/PET基材/粘着剤層/PC系フィルム/アクリル系フィルム)。
上記離型シートとしては、例えば、上記基材で例示した各種合成樹脂シート、紙、布、不織布等に離型処理したものを使用することができる。離型シートとしては、シリコン系の離型シートを用いることが好ましい。
上記基材の厚みとしては、例えば、1〜1000μmであることが好ましく、特に好ましくは2〜500μm、さらに好ましくは3〜300μmである。
上記粘着剤組成物の塗工方法としては、例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター、コンマコーター等用いればよい。
上記養生処理の条件としては、温度は通常室温(23℃)〜70℃、時間は通常1〜30日間であり、具体的には、例えば23℃で1〜20日間、好ましくは23℃で3〜14日間、40℃で1〜10日間等の条件で行なえばよい。
上記粘着剤組成物を塗工した後の乾燥条件としては、乾燥温度は60〜140℃が好ましく、特に好ましくは80〜120℃である。また、乾燥時間は0.5〜30分間が好ましく、特に好ましくは1〜5分間である。
上記粘着シートおよび基材レス両面粘着シートの粘着剤層の厚みは、いずれも2〜500μmであることが好ましく、特に好ましくは5〜200μm、さらに好ましくは10〜100μmである。かかる粘着剤層の厚みが薄すぎると、粘着力が低下する傾向があり、厚すぎると均一に塗工することが困難となるうえ、塗膜に気泡が入る等の不具合が発生しやすい傾向がある。なお、衝撃吸収性を考慮する際には、50μm以上とすることが好ましい。
なお、上記粘着剤層の厚みは、ミツトヨ社製「ID−C112B」を用いて、粘着シート全体の厚みの測定値から、粘着剤層以外の構成部材の厚みの測定値を差し引くことにより求められる値である。
上記粘着剤層のゲル分率については、耐久性と粘着力の点から10重量%以上であることが好ましく、特に好ましくは15〜95重量%、さらに好ましくは20〜90重量%である。ゲル分率が低すぎると凝集力が低下することにより耐久性が低下する傾向がある。なお、ゲル分率が高すぎると凝集力の上昇により粘着力が低下する懸念がある。
上記ゲル分率は、架橋度の目安となるもので、例えば、以下の方法にて算出される。すなわち、基材となる高分子シート(例えば、PETフィルム等)に粘着剤層が形成されてなる粘着シート(セパレーターを設けていないもの)を200メッシュのSUS製金網で包み、トルエン中に23℃×24時間浸漬し、金網中に残存した不溶解の粘着剤成分の重量百分率をゲル分率とする。ただし、基材の重量は差し引いておく。
さらに、かかる粘着シートは、必要に応じて、粘着剤層の外側に離型シートを設け、粘着剤層を保護してもよい。また、粘着剤層が基材の片面に形成されている粘着シートでは、基材の粘着剤層とは反対側の面に剥離処理を施すことにより、上記剥離処理面を利用して粘着剤層を保護することも可能である。
また、本発明の粘着剤は、種々の部材の貼り合わせに用いることができるが、なかでも、光学部材の貼り合わせに用いる光学部材用粘着剤として用いることが好ましい。かかる粘着剤組成物からなる粘着剤の粘着剤層を光学部材上に積層形成することにより、上記粘着剤層付き光学部材を得ることができる。
かかる光学部材としては、ITO電極膜やポリチオフェン等の無機系や有機系導電膜等の透明電極膜、偏光板、位相差板、楕円偏光板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、電磁波シールドフィルム、近赤外線吸収フィルム、AR(アンチリフレクション)フィルム等が挙げられる。これらの中でも、光学部材が透明電極膜であるときに有効で、高い粘着力が得られる点で好ましく、特に好ましくはITO電極膜である。なお、ITO電極膜はガラスやPET等の基材上に薄膜で形成されていることが多いが、本発明では、ITO電極膜がPET基材上に薄膜形成されているフィルムを使用することが特に好ましい。
また、有機EL素子の面発光体の発光面に設けられる光取出フィルム用や、液晶ディスプレイの光拡散シートにも好適である。
上記粘着剤層付き光学部材には、粘着剤層の光学部材面とは逆の面に、さらに離型フィルムを設けることが好ましく、実用に供する際には、上記離型フィルムを剥離して、粘着剤層と被着体を貼合する。かかる離型フィルムとしては、シリコン系の離型フィルムを用いることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する(ただし、「ヘイズ変化」を除く)。
また、下記実施例中におけるポリエステル系樹脂のガラス転移温度の測定に関しては、前述の方法にしたがって測定した。
<ポリエステル系樹脂(A)の製造>
以下の製造例で記載するモル%とは、多価カルボン酸類(a1)の合計量を100モル%とした場合のモル比を示す。
[ポリエステル系樹脂(A−1)の製造]
加熱装置、温度計、撹拌機、精留塔、窒素導入管および真空装置の付いた反応缶に、多価カルボン酸類(a1)としてイソフタル酸(IPA)172.6部およびセバシン酸(SebA)116.5部、スルホン酸塩基含有ジカルボン酸類(a1−1)として5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム(SIPM)2.4部、ポリオール(a2)としてネオペンチルグリコール(NPG)169部、ジエチレングリコール(DEG)86.2部、トリメチロールプロパン(TMP)3.3部、触媒として酢酸亜鉛0.05部を仕込み、内温250℃まで徐々に温度を上げ、4時間かけてエステル化反応を行った。
その後、内温260℃まで上げ、触媒としてテトラブチルチタネート0.05部を仕込み、1.33hPaまで減圧し、3時間かけて重合反応を行い、ポリエステル系樹脂(A−1)を製造した。
得られたポリエステル系樹脂(A−1)のガラス転移温度は−4.0℃、出来上がり成分比は、多価カルボン酸類(a1)としてイソフタル酸/セバシン酸/5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム=64モル%/35.5モル%/0.5モル%、ポリオール(a2)としてネオペンチルグリコール/ジエチレングリコール/トリメチロールプロパン=64モル%/34.5モル%/1.5モル%であった。
[ポリエステル系樹脂(A−2)の製造]
加熱装置、温度計、撹拌機、精留塔、窒素導入管および真空装置の付いた反応缶に、多価カルボン酸類(a1)としてイソフタル酸(IPA)171.4部およびセバシン酸(SebA)107.6部、スルホン酸塩基含有ジカルボン酸類(a1−1)として5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム(SIPM)14.3部、ポリオール(a2)としてネオペンチルグリコール(NPG)167.9部、ジエチレングリコール(DEG)85.6部、トリメチロールプロパン(TMP)3.2部、触媒として酢酸亜鉛0.05部を仕込み、内温250℃まで徐々に温度を上げ、4時間かけてエステル化反応を行った。
その後、内温260℃まで上げ、触媒としてテトラブチルチタネート0.05部を仕込み、1.33hPaまで減圧し、3時間かけて重合反応を行い、ポリエステル系樹脂(A−2)を製造した。
得られたポリエステル系樹脂(A−2)のガラス転移温度は−0.7℃、出来上がり成分比は、多価カルボン酸類(a1)としてイソフタル酸/セバシン酸/5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム=64モル%/33モル%/3モル%、ポリオール(a2)としてネオペンチルグリコール/ジエチレングリコール/トリメチロールプロパン=64モル%/34.5モル%/1.5モル%であった。
[ポリエステル系樹脂(A’−1)の製造]
加熱装置、温度計、撹拌機、精留塔、窒素導入管および真空装置の付いた反応缶に、多価カルボン酸類(a1)としてイソフタル酸(IPA)128.5部およびセバシン酸(SebA)115.7部、スルホン酸塩基含有ジカルボン酸類(a1−1)として5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム(SIPM)59.5部、ポリオール(a2)としてネオペンチルグリコール(NPG)161.1部、ジエチレングリコール(DEG)82.1部、トリメチロールプロパン(TMP)3.1部、触媒として酢酸亜鉛0.05部を仕込み、内温250℃まで徐々に温度を上げ、4時間かけてエステル化反応を行った。
その後、内温260℃まで上げ、触媒としてテトラブチルチタネート0.05部を仕込み、1.33hPaまで減圧し、3時間かけて重合反応を行い、ポリエステル系樹脂(A’−1)を製造した。
得られたポリエステル系樹脂(A’−1)のガラス転移温度は−6.9℃、出来上がり成分比は、多価カルボン酸類(a1)としてイソフタル酸/セバシン酸/5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム=50モル%/37モル%/13モル%、ポリオール(a2)としてネオペンチルグリコール/ジエチレングリコール/トリメチロールプロパン=64モル%/34.5モル%/1.5モル%であった。
[ポリエステル系樹脂(A’−2)の製造]
加熱装置、温度計、撹拌機、精留塔、窒素導入管および真空装置の付いた反応缶に、多価カルボン酸類(a1)としてイソフタル酸(IPA)210.6部およびセバシン酸(SebA)170.9部、ポリオール(a2)としてネオペンチルグリコール(NPG)198部、トリメチロールプロパン(TMP)3.7部、1,4ブタンジオール(1,4BG)95.2部、1,6ヘキサンジオール(1,6HG)21.7部、触媒として酢酸亜鉛0.05部を仕込み、内温250℃まで徐々に温度を上げ、4時間かけてエステル化反応を行った。
その後、内温260℃まで上げ、触媒としてテトラブチルチタネート0.05部を仕込み、1.33hPaまで減圧し、3時間かけて重合反応を行い、ポリエステル系樹脂(A’−2)を製造した。
得られたポリエステル系樹脂(A’−2)のガラス転移温度は−0.6℃、出来上がり成分比は、多価カルボン酸類(a1)としてイソフタル酸/セバシン酸=70モル%/30モル%、ポリオール(a2)としてネオペンチルグリコール/トリメチロールプロパン/1,4ブタンジオール/1,6ヘキサンジオール=59モル%/1モル%/34モル%/6モル%であった。
得られたポリエステル系樹脂(A)の樹脂組成(出来上がり成分由来の構造単位)およびガラス転移温度(Tg)の結果を下記表1に併せて示す。
Figure 2019085518
<ポリエステル系粘着剤組成物の製造>
上記で得られたポリエステル系樹脂(A−1)、(A−2)、(A’−1)および(A’−2)を用いてポリエステル系粘着剤組成物を製造する。
(実施例1)
上記で得られたポリエステル系樹脂(A−1)をメチルケトンで固形分濃度50%に希釈し、このポリエステル系樹脂(A−1)溶液100部(固形分として100部)に対し、加水分解抑制剤(B)(日清紡ケミカル社製、カルボジライトV−09BG)0.7部(固形分)、および架橋剤(C)としてトリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物(東ソー社製、コロネートL55E)3部(固形分)、ウレタン化触媒としてアセチルアセトンで固形分濃度1%に希釈したジルコニウム系化合物(マツモトファインケミカル社製、オルガチックスZC−150)0.01部(固形分)配合し、撹拌、混合することにより、ポリエステル系粘着剤組成物を得た。
(実施例2)
実施例1において、ポリエステル系樹脂(A−1)をポリエステル系樹脂(A−2)に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステル系粘着剤組成物を得た。
(比較例1)
実施例1において、ポリエステル系樹脂(A−1)をポリエステル系樹脂(A’−1)に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステル系粘着剤組成物を得た。すなわち、比較例1は、スルホン酸塩基含有ジカルボン酸類(a1−1)由来の構造単位の含有量が所定の範囲を超えている。
(比較例2)
実施例1において、ポリエステル系樹脂(A−1)をポリエステル系樹脂(A’−2)に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステル系粘着剤組成物を得た。すなわち、比較例2は、スルホン酸塩基含有ジカルボン酸類(a1−1)由来の構造単位を一切有していない。
得られたポリエステル系粘着剤組成物を用いて、以下の通り評価を行い、その結果を後記の表2に示す。
<基材レス両面粘着シート作製>
実施例1、2および比較例1、2で得られたポリエステル系粘着剤組成物を、厚み100μmのPET製離型フィルム(三井化学東セロ社製、SP−PET−03−BU)(α)上にアプリケータを用いて塗布し、100℃で4分間乾燥し、粘着剤層の厚みが50μmの離型フィルム付き粘着シートを得た。
次いで、得られた離型フィルム付き粘着シートの粘着剤層表面を上記離型フィルム(α)とは剥離力の異なる厚み38μmのPET製離型フィルム(三井化学東セロ社製、SP−PET−01−BU)(β)で覆い、40℃で4日間養生処理を行い、基材レス両面粘着シートを得た。
<粘着シート評価>
[ヘイズ変化]
上記で得られた基材レス両面粘着シートの粘着剤層から一方の面の離型フィルム(β)を剥がし、露出した粘着剤層を無アルカリガラス板(コーニング社製、イーグルXG)に貼合した後、オートクレーブ処理(50℃,0.5MPa,20分間)を行い、PETフィルム/ポリエステル系粘着剤層/無アルカリガラス板の構成を有する試験片を作製した。
上記試験片について、湿熱試験(85℃,85%RH,100時間)を行い、試験前後におけるヘイズを、HAZE MATER NDH2000(日本電色工業社製)を用いて測定してその変化率(%)を算出し、下記の基準にて評価した。なお、本機はJIS K7361−1に準拠している。
(評価基準)
ヘイズ変化率(%)=(湿熱試験後のヘイズ/湿熱試験前のヘイズ)×100
◎(非常に良い)・・・200%以下。
○(良い)・・・200%より大きく500%以下。
×(悪い)・・・500%より大きい。
[耐久性]
上記で得られた基材レス両面粘着シートから一方の面の離型フィルム(β)を剥がし、露出した粘着剤層をポリカーボネート板に貼合した後、オートクレーブ処理(50℃,0.5MPa,20分間)を行い、PETフィルム/ポリエステル系粘着剤層/ポリカーボネート板の構成を有する試験片を作製した。
上記試験片について、湿熱試験(85℃,85%RH,100時間)を行い、試験前後における外観変化を観察し、下記の基準にて評価した。
(評価基準)
◎(非常に良い)・・・粘着剤層の溶出は一切なく、外観変化がない。
〇(良い)・・・粘着剤層の溶出がわずかに認められるものの、外観変化はない。
×(悪い)・・・粘着剤層の溶出が明らかに認められ、外観変化がある。
Figure 2019085518
上記表2の結果より、実施例1、2のポリエステル系粘着剤組成物は、高温高湿条件下でもヘイズ変化が少なく、しかも耐久性に優れることがわかる。
これに対し、比較例1は、ヘイズ変化は少ないものの、耐久性に劣るものであった。また、比較例2は、耐久性についても問題はないものの、ヘイズ変化が極めて劣るものであった。
したがって、実施例は、高温高湿条件下において、ヘイズの変化と耐久性とに優れるポリエステル系粘着剤組成物であることが分かる。
本発明のポリエステル系粘着剤組成物は、高温高湿条件下におけるヘイズ変化および耐久性のいずれにも優れるため、それを用いた粘着剤や粘着シートは、ディスプレイやそれを構成する光学フィルムや基材等の光学部材において、その光学部材の貼り合わせ用途に好適に用いることができる。

Claims (10)

  1. ポリエステル系樹脂(A)を含有するポリエステル系粘着剤組成物であって、上記ポリエステル系樹脂(A)が、多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位とポリオール(a2)由来の構造単位とを有しており、上記多価カルボン酸類(a1)が、スルホン酸塩基含有ジカルボン酸類(a1−1)を含有し、そのスルホン酸塩基含有ジカルボン酸類(a1−1)由来の構造単位の含有量がポリエステル系樹脂(A)に対して0.0001〜0.15mmoL/gであることを特徴とするポリエステル系粘着剤組成物。
  2. 上記ポリエステル系樹脂(A)のガラス転移温度が−70〜20℃であることを特徴する請求項1記載のポリエステル系粘着剤組成物。
  3. さらに、加水分解抑制剤(B)を含有することを特徴とする請求項1または2記載のポリエステル系粘着剤組成物。
  4. さらに、架橋剤(C)を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組成物が、架橋されてなることを特徴するポリエステル系粘着剤。
  6. 請求項5記載のポリエステル系粘着剤を含有する粘着剤層を有することを特徴とする粘着シート。
  7. 基材と粘着剤層とを有し、上記粘着剤層が上記基材の少なくとも片面側に設けられていることを特徴とする請求項6記載の粘着シート。
  8. 粘着シートが、基材を有しない基材レスタイプであることを特徴する請求項6記載の粘着シート。
  9. 光学部材の貼り合わせに用いることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の粘着シート。
  10. 粘着剤層と光学部材とを有する粘着剤層付き光学部材であって、上記粘着剤層が請求項5記載のポリエステル系粘着剤を含有することを特徴とする粘着剤層付き光学部材。
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