JP2023019373A - ポリエステル系粘着剤組成物、ポリエステル系粘着剤、粘着シート - Google Patents

ポリエステル系粘着剤組成物、ポリエステル系粘着剤、粘着シート Download PDF

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健斗 坂本
Kento Sakamoto
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Abstract

【課題】 ポリエステル系粘着剤とした際に、低極性被着体に対する粘着力に優れ、さらに被着体剥離時の耐汚染性、タック性に優れるポリエステル系粘着剤組成物を提供すること【解決手段】 多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位およびポリオール(a2)由来の構造単位を有するポリエステル系樹脂(A)、ポリエステル系可塑剤(B)を含有してなるポリエステル系粘着剤組成物であって、ポリエステル系可塑剤(B)が、多価カルボン酸類(b1)由来の構造単位、ポリオール(b2)由来の構造単位、および反応性分子末端封鎖剤(b3)由来の構造単位を有することを特徴とするポリエステル系粘着剤組成物【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステル系粘着剤組成物、ポリエステル系粘着剤、粘着シートに関し、
さらに詳しくは、粘着剤とした際に、低極性被着体に対する粘着力に優れ、さらに被着体
剥離時の耐汚染性、タック性にも優れるポリエステル系粘着剤組成物、ポリエステル系粘
着剤、粘着シートに関するものである。
従来、ポリエステル系樹脂は、多価カルボン酸成分とポリオール成分とを組み合わせる
ことにより、耐薬品性、耐可塑剤性、機械的強度等に優れたものとなることが知られてお
り、感圧接着剤(粘着剤)の分野でも検討されている。
また、近年では部品や部材の小型化、薄層化に伴い、粘着剤も小面積においても高い粘
着力が求められており、粘着力を向上させる方法として、例えば、特許文献1においては
、ポリエステル系樹脂に粘着付与剤を含有させて得られるポリエステル系粘着剤組成物が
提案されている。
そして、特許文献2においては、ポリエステル系樹脂と脂肪酸エステルを含有するポリ
エステル系粘着剤組成物が提案されている。
特開2014-169419号公報 特開2015-196822号公報
ここで、特許文献1の開示技術では、ポリエステル系樹脂にロジンエステルやテルペン
樹脂等の高軟化点の粘着付与剤を配合しており、一般的に、高温での凝集力を付与するた
めに高軟化点の粘着付与剤を配合することがよく行われるが、かかる粘着付与剤では、常
温におけるタック性が低下するという問題があった。
また、特許文献2の開示技術では、ポリエステル系樹脂に脂肪酸エステルを配合するこ
とにより、被着体への濡れ性が付与されているものの、かかる脂肪酸エステルは低分子量
であるため粘着力、特に低極性被着体への粘着力が十分でなく、更に被着体から剥離する
際の耐汚染性において課題が残るものであった。
そこで、本発明ではこのような背景下において、粘着剤とした際に、低極性被着体に対
する粘着力に優れ、さらに被着体剥離時の耐汚染性、タック性に優れるポリエステル系粘
着剤組成物を提供することを目的とする。
しかるに、本発明者は、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、多価カルボン酸類(
a1)由来の構造単位およびポリオール(a2)由来の構造単位を有するポリエステル系
樹脂(A)を含有する粘着剤組成物において、極性が高いポリエステル系樹脂に、あえて
極性が高いポリエステル系可塑剤を混ぜることで、特にポリエステル系可塑剤(B)が多
価カルボン酸類(b1)、及び由来の構造単位、ポリオール(b2)由来の構造単位、お
よび反応性分子末端封鎖剤(b3)由来の構造単位を有するものである場合に、粘着剤と
した際に、低極性被着体に対する粘着力、被着体剥離時の耐汚染性、タック性に優れるポ
リエステル系粘着剤組成物を得ることができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[15]を、その要旨とする。
[1] 多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位およびポリオール(a2)由来の構造
単位を有するポリエステル系樹脂(A)、ポリエステル系可塑剤(B)を含有してなるポ
リエステル系粘着剤組成物であって、ポリエステル系可塑剤(B)が、多価カルボン酸類
(b1)由来の構造単位、ポリオール(b2)由来の構造単位、および反応性分子末端封
鎖剤(b3)由来の構造単位を有することを特徴とするポリエステル系粘着剤組成物。
[2] 上記ポリエステル系樹脂(A)の重量平均分子量が15,000~200,00
0であること特徴とする[1]記載のポリエステル系粘着剤組成物。
[3] 上記ポリエステル系樹脂(A)のガラス転移温度(TgA)が-80~-25℃
であることを特徴とする[1]または[2]記載のポリエステル系粘着剤組成物。
[4] 上記ポリエステル系樹脂(A)の酸価が5mgKOH/g以下であることを特徴
とする[1]~[3]のいずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組成物。
[5] 上記ポリエステル系可塑剤(B)の重量平均分子量が1,000~12,000
であることを特徴とする[1]~[4]のいずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組
成物。
[6] 上記ポリエステル系可塑剤(B)の含有量が、ポリエステル系樹脂(A)100
重量部に対して0.1~150重量部であることを特徴とする[1]~[5]のいずれか
に記載のポリエステル系粘着剤組成物。
[7] 上記ポリエステル系可塑剤(B)の酸価が5mgKOH/g以下であることを特
徴とする[1]~[6]のいずれかに記載のポリエステル系粘着剤組成物。
[8] 上記ポリエステル系可塑剤(B)のガラス転移温度(TgB)が-80~0℃で
あることを特徴とする[1]~[7]のいずれかに記載のポリエステル系粘着剤組成物。
[9] 上記ポリエステル系樹脂(A)のガラス転移温度(TgA)がポリエステル系可
塑剤(B)のガラス転移温度(TgB)よりも小さいことを特徴とする[1]~[8]の
いずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組成物。
[10] 加水分解抑制剤(C)を含有することを特徴とする[1]~[9]のいずれか
に記載のポリエステル系粘着剤組成物。
[11] 架橋剤(D)を含有することを特徴とする[1]~[10]のいずれかに記載
のポリエステル系粘着剤組成物。
[12] [1]~[11]のいずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組成物が架橋
されてなることを特徴とするポリエステル系粘着剤。
[13] [12]記載のポリエステル系粘着剤を含有する粘着剤層を有することを特徴
とする粘着シート。
[14] [12]記載のポリエステル系粘着剤から得られる粘着剤層と基材とを有する
粘着シートであって、上記粘着剤層が上記基材の少なくとも片面に設けられていることを
特徴とする粘着シート。
[15] [12]記載のポリエステル系粘着剤から得られる粘着剤層を有する粘着シー
トであって、基材を有しない基材レスタイプであることを粘着シート。
粘着剤において、一般的には、被着体への粘着力、濡れ性を向上させるために粘着付与
剤、可塑剤を配合するが、この場合、主剤の凝集力を高めるために低分子量でかつ高軟化
点の粘着付与樹脂を配合したり、低分子量のエステル系可塑剤を配合したりすることが考
えられる。しかし、本発明では、あえて高極性を有するエステル結合からなる繰り返し構
造単位を有するポリエステル系可塑剤を配合することにより、意外なことに主剤との相溶
性に優れブリードが発生することなく、粘着剤とした際に、タック性、耐汚染性に優れ、
さらには低極性被着体への粘着力に優れる粘着剤組成物を得ることができたものである。
本発明のポリエステル系粘着剤組成物は、粘着力、特に低極性被着体への粘着力、被着
体剥離時の耐汚染性、タック性優れた粘着剤を得ることができる。とりわけ、電子部材用
やラベル用の粘着剤、粘着シートとして有用である。
以下、本発明の構成につき詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示す
ものである。
本発明のポリエステル系粘着剤組成物は、ポリエステル系樹脂(A)、ポリエステル系
可塑剤(B)を含有してなるポリエステル系粘着剤であって、ポリエステル系樹脂(A)
は多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位およびポリオール(a2)由来の構造単位を
有し、ポリエステル系可塑剤(B)は多価カルボン酸類(b1)由来の構造単位、ポリオ
ール(b2)由来の構造単位、および反応性分子末端封鎖剤(b3)由来の構造単位を有
するものである。
以下、本発明のポリエステル系粘着剤組成物に用いられる各構成成分について詳述する
<ポリエステル系樹脂(A)>
本発明で用いることができるポリエステル系樹脂は、構成原料として、多価カルボン酸
類(a1)およびポリオール(a2)を含む共重合成分を共重合することにより得られ、
そのポリエステル系樹脂は、その樹脂組成として、多価カルボン酸類(a1)由来の構造
単位およびポリオール(a2)由来の構造単位を有するようになる。
なお、本発明において、「カルボン酸類」との用語は、カルボン酸に加え、カルボン酸
塩、カルボン酸無水物、カルボン酸ハロゲン化物、カルボン酸エステル等のカルボン酸誘
導体も含むものである。
[多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位]
上記多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位としては、例えば、二価カルボン酸類由
来の構造単位、三価以上の多価カルボン酸類由来の構造単位が挙げられ、ポリエステル系
樹脂を安定的に得られる点から二価カルボン酸類由来の構造単位を含むことが好ましい。
上記多価カルボン酸類(a1)は、単独でもしくは2種以上を併せて用いることができる
上記二価カルボン酸類由来の構造単位としては、例えば、マロン酸類、ジメチルマロン
酸類、コハク酸類、グルタル酸類、アジピン酸類、トリメチルアジピン酸類、ピメリン酸
類、2,2-ジメチルグルタル酸類、アゼライン酸類、セバシン酸類、フマル酸類、マレ
イン酸類、イタコン酸類、チオジプロピオン酸類、ジグリコール酸類、1,9-ノナンジ
カルボン酸類等の脂肪族ジカルボン酸類由来の構造単位;
フタル酸類、テレフタル酸類、イソフタル酸類、ベンジルマロン酸類、ジフェン酸類、
4,4’-オキシジ安息香酸類、さらに1,8-ナフタレンジカルボン酸類、2,3-ナ
フタレンジカルボン酸類、2,7-ナフタレンジカルボン酸類等のナフタレンジカルボン
酸類等の芳香族ジカルボン酸類由来の構造単位;
1,3-シクロペンタンジカルボン酸類、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸類、1
,3-シクロペンタンジカルボン酸類、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸類、2,5
-ノルボルナンジカルボン酸類、アダマンタンジカルボン酸類等の脂環式ジカルボン酸類
由来の構造単位;
オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸等から誘導されるダイマー酸類(炭素
数36~44のものを主とする)由来の構造単位;等が挙げられる。
また、上記三価以上の多価カルボン酸類由来の構造単位としては、例えば、トリメリッ
ト酸類、ピロメリット酸類、アダマンタントリカルボン酸類、トリメシン酸類等由来の構
造単位が挙げられる。
これらの多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位は単独で有していてもよいし、2種
以上の構造単位を有していてもよい。
上記多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位のなかでも、ポリエステル系樹脂の結晶
性を下げる点、凝集力に優れる点から、芳香族多価カルボン酸類由来の構造単位、特には
非対称の芳香族ジカルボン酸類(a1-1)由来の構造単位を含ませることが好ましく、
非対称の芳香族ジカルボン酸類(a1-1)由来の構造単位としては、例えば、フタル酸
類、イソフタル酸類、1,8-ナフタレンジカルボン酸類、2,3-ナフタレンジカルボ
ン酸類、2,7-ナフタレンジカルボン酸類等由来の構造単位が挙げられる。なかでも反
応性の点でイソフタル酸類由来の構造単位を含むことが特に好ましい。
かかる芳香族多価カルボン酸類由来の構造単位、特には非対称の芳香族ジカルボン酸類
(a1-1)由来の構造単位の含有量は、多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位全体
に対して0.1~70モル%であることが好ましく、より好ましくは0.5~60モル%
、さらに好ましくは1~50モル%、特に好ましくは2~40モル%、殊に好ましくは3
~30、最も好ましくは5~25モル%である。かかる含有量が少なすぎると、凝集力が
低下したり、ポリエステル系樹脂が結晶化し、充分な粘着性能が得られにくくなったりす
る傾向がある。なお、かかる含有量が多すぎるとタック性が低下する傾向がある。
また、本発明においては、多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位として、タック性
を向上させる観点から、炭素数(カルボキシ基の炭素を含む)4以上の脂肪族ジカルボン
酸類(a1-2)由来の構造単位を含有することが好ましく、なかでも炭素数(カルボキ
シ基の炭素を含む)6~12の脂肪族ジカルボン酸類を含有することがより好ましく、ア
ジピン酸類、セバシン酸類、アゼライン酸類由来の構造単位を含有することが特に好まし
い。
かかる炭素数4以上の脂肪族ジカルボン酸類(a1-2)由来の構造単位の含有量とし
ては、多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位全体に対して、5~100モル%である
ことが好ましく、より好ましくは20~99モル%、さらに好ましくは40~98モル%
、特に好ましくは60~97モル%、殊に好ましくは70~95モル%である。かかる含
有量が少なすぎるとポリエステル系樹脂のガラス転移温度が高くなりすぎ、タック性が低
下する傾向があり、多すぎると、凝集力が低下したり、ポリエステル系樹脂が結晶化し充
分な粘着性能が得られなくなったりする傾向がある。
本発明においては、粘着物性の点から、多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位とし
て、非対称の芳香族ジカルボン酸類(a1-1)由来の構造単位、および炭素数4以上の
脂肪族ジカルボン酸類(a1-2)由来の構造単位が含まれることも好ましい。その場合
、非対称の芳香族ジカルボン酸類(a1-1)由来の構造単位と炭素数4以上の脂肪族ジ
カルボン酸類(a1-2)由来の構造単位との含有比率(モル比)は、(a1-1)/(
a1-2)=0.1/99.9~70/30であることが好ましく、より好ましくは0.
5/99.5~60/40、さらに好ましくは1/99~50/50、特に好ましくは2
/98~40/60、殊に好ましくは3/97~30/70、最も好ましくは5/95~
25/75である。
また、本発明においては、ポリエステル系樹脂中に分岐点を増やす目的で、三価以上の
多価カルボン酸類(a1-3)由来の構造単位が含まれていてもよく、なかでも製造の際
に比較的ゲル化が発生しにくい点でトリメリット酸類由来の構造単位が含まれることが好
ましい。
かかる三価以上の多価カルボン酸類(a1-3)由来の構造単位の含有量としては、粘
着剤とした場合の凝集力を高めることができる点で、多価カルボン酸類(a1)由来の構
造単位全体に対して、好ましくは10モル%以下、特に好ましくは0.1~5モル%、殊
に好ましくは0.5~3モル%である。かかる含有量が多すぎるとポリエステル系樹脂の
製造時にゲル化が生じたり、酸価が高くなったりする傾向がある。
[ポリオール(a2)由来の構造単位]
ポリオール(a2)由来の構造単位としては、二価アルコール由来の構造単位、三価以
上のポリオール由来の構造単位が挙げられる。ポリオール(a2)は、単独でもしくは2
種以上併せて用いることができる。
上記二価アルコール由来の構造単位としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレ
ングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、1,3-プロパンジオール、2,4-ジメチル-2-エチルヘキサン-1,3-ジオ
ール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジ
オール(ネオペンチルグリコール)、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオー
ル、2-エチル-2-イソブチル-1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール
、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3
-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオ
ール等の脂肪族ジオール由来の構造単位;
1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4
-シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、トリシクロデカンジメタノール、ア
ダマンタンジオール、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール等
の脂環式ジオール由来の構造単位;
4,4’-チオジフェノール、4,4’-メチレンジフェノール、4,4’-ジヒドロ
キシビフェニル、o-,m-、およびp-ジヒドロキシベンゼン、2,5-ナフタレンジ
オール、p-キシレンジオール、およびそれらのエチレンオキサイド付加体やプロピレン
オキサイド付加体等の芳香族ジオール由来の構造単位等が挙げられる。
さらに、ヒマシ油から誘導される脂肪酸エステル由来の構造単位や、オレイン酸、リノ
ール酸、リノレン酸や、エルカ酸等から誘導されるダイマージオール由来の構造単位、グ
リセロールモノステアレート由来の構造単位等が挙げられる。
また、上記三価以上のポリオール由来の構造単位としては、例えば、ペンタエリスリト
ール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、トリメチロー
ルプロパン、トリメチロールエタン、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペン
タントリオール、1,2,6-ヘキサントリオール、1,3,6-ヘキサントリオール、
アダマンタントリオール由来の構造単位等が挙げられる。
これらポリオール(a2)由来の構造単位は単独で有していてもよいし、2種以上の構
造単位を有していてもよい。
本発明においては、ポリエステル系樹脂のガラス転移温度を下げ、タック性を向上させ
る点から、ポリオール(a2)由来の構造単位として、直鎖構造の脂肪族ジオール(a2
-1)由来の構造単位を含有することが好ましく、より好ましくは、炭素数2~18の直
鎖構造の脂肪族ジオール由来の構造単位を含有することであり、特に好ましくは、エチレ
ングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール由来の構造単位を含
有することである。
直鎖構造の脂肪族ジオール(a2-1)由来の構造単位の含有量は、ポリオール(a2
)由来の構造単位全体に対して、5~100モル%であることが好ましく、より好ましく
は10~95モル%、さらに好ましくは15~90モル%、特に好ましくは20~80モ
ル%、殊に好ましくは30~70モル%である。かかる含有量が少なすぎると、安定した
樹脂形成が得られにくくなる傾向がある。
また、上記ポリオール(a2)由来の構造単位のなかでも結晶性を崩すことができる点
から、側鎖に炭化水素基を有するジオール(a2-2)由来の構造単位を含有することが
好ましい。このような側鎖に炭化水素基を有するジオール(a2-2)由来の構造単位と
しては、例えば、ジプロピレングリコール、2,4-ジメチル-2-エチルヘキサン-1
,3-ジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-
プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2-メチル-2-エチル-1,3-プロ
パンジオール、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-
イソブチル-1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、3-メチル-1,5
-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオール等の分岐構造
を有する脂肪族ジオール由来の構造単位や、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,
3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、スピログリコ
ール、トリシクロデカンジメタノール、アダマンタンジオール、2,2,4,4-テトラ
メチル-1,3-シクロブタンジオール等の分岐構造を有する脂環式ジオール由来の構造
単位や、オレイン酸、エルカ酸等から誘導されるダイマージオール由来の構造単位等が挙
げられる。なかでも、分岐構造を有する脂肪族ジオール由来の構造単位が好ましく、2-
メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネ
オペンチルグリコール)、3-メチル-1,5-ペンタンジオール由来の構造単位が特に
好ましい。
上記側鎖に炭化水素基を有するジオール(a2-2)由来の構造単位の含有量は、ポリ
オール(a2)由来の構造単位全体に対して5~95モル%であることが好ましく、より
好ましくは10~90モル%、さらに好ましくは15~80モル%、特に好ましくは20
~70モル%、殊に好ましは30~60モル%である。かかる含有量が少なすぎると、樹
脂が結晶化し充分な粘着性能が得られにくい傾向があり、多すぎると、ポリエステル系樹
脂の製造において反応時間が長くなる傾向がある。
さらに、本発明においては、ポリエステル系樹脂中に後述の架橋剤(D)との反応点を
形成し、凝集力を高める点からポリオール(a2)由来の構造単位として、三価以上のポ
リオール(a2-3)由来の構造単位が含まれることも好ましい。三価以上のポリオール
(a2-3)由来の構造単位のなかでも、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタ
ン、グリセリン、ペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-
ペンタントリオール、1,2,6-ヘキサントリオール由来の構造単位が好ましく、比較
的ゲルが発生しにくい点でトリメチロールプロパン由来の構造単位が含まれることが特に
好ましい。
かかる三価以上のポリオール(a2-3)由来の構造単位の含有量としては、ポリオー
ル(a2)由来の構造単位全体に対して、10モル%以下であることが好ましく、さらに
は0.1~5モル%、より好ましくは0.5~3モル%であることが好ましい。かかる三
価以上のポリオール由来の構造単位の含有量が多すぎるとポリエステル系樹脂の製造が困
難となる傾向がある。
ここで、上記ポリエステル系樹脂の各成分由来の構造単位割合(組成割合)は、例えば
、NMRにより求めることができる。
本発明で用いられるポリエステル系樹脂は、上記多価カルボン酸類(a1)とポリオー
ル(a2)とを上記の含有量の範囲において、適宜選び、これらを触媒存在下、公知の方
法により重縮合反応させることにより製造される。
上記多価カルボン酸類(a1)とポリオール(a2)の配合割合としては、多価カルボ
ン酸類(a1)1当量あたり、ポリオール(a2)が1~2当量であることが好ましく、
特に好ましくは1.1~1.7当量である。ポリオール(a2)の配合割合が低すぎると
、酸価が高くなり高分子量化が困難となる傾向があり、高すぎると収率が低下する傾向が
ある。
重縮合反応に際しては、まずエステル化反応が行われた後、重縮合反応が行われる。
かかるエステル化反応においては、通常触媒が用いられ、具体的には、例えば、テトラ
イソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタン系触媒、三酸化アンチモン
等のアンチモン系触媒、二酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム系触媒等の触媒や、酢酸亜
鉛、酢酸マンガン、ジブチル錫オキサイド等の触媒を挙げることができ、これらの1種あ
るいは2種以上が用いられる。これらのなかでも、触媒活性の高さと色相のバランスから
、三酸化アンチモン、テトラブチルチタネート、二酸化ゲルマニウム、酢酸亜鉛が好まし
い。
該触媒の配合量は、全共重合成分に対して重量基準で1~10000ppmであること
が好ましく、特に好ましくは10~5000ppm、さらに好ましくは20~3000p
pmである。かかる配合量が少なすぎると、重合反応が充分に進行しにくい傾向があり、
多すぎても反応時間短縮等の利点はなく副反応が起こりやすい傾向がある。
エステル化反応時の反応温度については、200~300℃が好ましく、特に好ましく
は210~280℃、さらに好ましくは220~260℃である。かかる反応温度が低す
ぎると反応が充分に進みにくい傾向があり、高すぎると分解等の副反応が起こりやすい傾
向がある。また、反応時の圧力は通常、常圧下である。
上記エステル化反応が行われた後、重縮合反応が行われる。
重縮合反応の反応条件としては、上記のエステル化反応で用いるものと同様の触媒を、
さらに同程度の量配合し、反応温度を好ましくは220~280℃、特に好ましくは23
0~270℃として、反応系を徐々に減圧して最終的には5hPa以下で反応させること
が好ましい。かかる反応温度が低すぎると反応が充分に進行しにくい傾向があり、高すぎ
ると分解等の副反応が起こりやすい傾向がある。
かくして本発明で用いられるポリエステル系樹脂(A)が得られる。
上記で説明したポリエステル系樹脂(A)は、以下の物性を有することが好ましい。
上記ポリエステル系樹脂(A)のガラス転移温度(TgA)は、粘着物性の点から、通
常-80~-25℃であり、好ましくは-75~-30℃、より好ましくは-70~-3
5℃、さらに好ましくは-65~-40℃、特に好ましくは-60~-45℃である。か
かるガラス転移温度(TgA)が高すぎると柔軟性が失われ、タック性が低下し、指圧程
度の圧力で粘着力が発揮しにくくなり、作業性が低下する傾向があり、低すぎると凝集力
が低下する傾向がある。
ここで、上記ポリエステル系樹脂(A)のガラス転移温度(TgA)は、TAインスツ
ルメント社製の示差走査熱量計DSC Q20を用いて測定される値である。
なお、測定温度範囲は-90~100℃で、温度上昇速度は、10℃/分である。
また、上記ポリエステル系樹脂(A)のガラス転移温度(TgA)は、後述するポリエ
ステル系可塑剤(B)のガラス転移温度(TgB)よりも低いことが、粘着物性の点から
好ましい。さらには、ポリエステル系樹脂(A)のガラス転移温度がポリエステル系可塑
剤(B)のガラス転移温度よりも3~80℃低いことがより好ましく、5~60℃低いこ
とがさらに好ましく、10~40℃低いことが特に好ましく、15~30℃低いことが殊
に好ましい。
上記の範囲とすることで、低極性被着体に対する粘着力、タック性に優れる粘着剤を得
ることができる。
上記ポリエステル系樹脂(A)の重量平均分子量は、粘着剤の凝集力の点から通常15
,000~200,000である。好ましくは20,000~150,000であり、特
に好ましくは30,000~140,000、さらに好ましくは40,000~130,
000、殊に好ましくは50,000~120,000である。上記の範囲とすることで
、耐熱性や機械的強度、基材への密着性に優れる粘着剤を得ることができる。
かかる重量平均分子量が小さすぎると粘着剤として充分な凝集力が得られず、耐熱性や
機械的強度が低下しやすい傾向がある。また、重量平均分子量が大きすぎると基材への密
着性が低下する傾向がある。
上記ポリエステル系樹脂の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量
平均分子量であり、高速液体クロマトグラフ(Waters社製、「ACQUITY A
PCシステム」)に、カラム:ACQUITY APC XT 450を1本、ACQU
ITY APC XT 200を1本、ACQUITY APC XT 45を2本、の
計4本を直列にして用いることにより測定される。
上記ポリエステル系樹脂(A)の数平均分子量は、粘着剤の凝集力の点から通常5,0
00~50,000である。好ましくは7,500~40,000であり、特に好ましく
は10,000~3,5000、さらに好ましくは12,000~30,000である。
上記の範囲とすることで、基材への密着性とせん断強度に優れる粘着剤を得ることがで
きる。
かかる数平均分子量が小さすぎると粘着剤として充分な凝集力が得られず、せん断強度
が低下しやすい傾向がある。また、数平均分子量が大きすぎると基材への密着性が低下す
る傾向がある。
なお、上記数平均分子量は、前記ポリエステル系樹脂(A)で説明したポリエステル系
樹脂の重量平均分子量と同じ方法により測定することができる。
また、上記ポリエステル系樹脂(A)の水酸基価は、0.1~50mgKOH/gであ
ることが好ましく、より好ましくは1~30mgKOH/g、さらに好ましくは2~20
mgKOH/g、特に好ましくは3~15mgKOH/gである。水酸基価が高すぎると
、架橋剤(D)との架橋効率が低下する傾向がある。
上記ポリエステル系樹脂(A)の酸価は、10mgKOH/g以下であることが好まし
く、より好ましくは5mgKOH/g以下、さらに好ましくは3mgKOH/g以下、特
に好ましくは1mgKOH/g以下、殊に好ましくは0.5mgKOH/g以下、最も好
ましくは0.3mgKOH/g以下である。上記の範囲とすることで、ポリエステル系樹
脂(A)の加水分解を抑制し被着体剥離時の耐汚染性に優れ、さらには金属等へ貼合した
場合における腐食を抑制することができる。酸価が高すぎると、加水分解が進行しやすく
なる傾向や、粘着剤層の一方の面に、金属等の層を貼り合わせた場合に腐食させてしまう
傾向がある。
ここで、上記本発明における水酸基価、酸価は、JIS K 0070に基づき中和滴
定により求められるものである。
<ポリエステル系可塑剤(B)>
上記ポリエステル系可塑剤(B)は、可塑剤としての効果を奏するものであり、多価カ
ルボン酸類(b1)由来の構造単位、ポリオール(b2)由来の構造単位、および反応性
分子末端封鎖剤(b3)由来の構造単位を有する。例えば、ポリエステル系樹脂の少なく
とも1つの反応性分子末端が反応性分子末端封鎖剤(b3)により封鎖されてなるもので
ある。
また、上記多価カルボン酸類(b1)由来の構造単位、上記ポリオール(b2)由来の
構造単位および反応性分子末端封鎖剤(b3)の少なくともひとつに芳香族構造単位を含
有することが粘着力、タック性、耐汚染性に優れる点から好ましく、多価カルボン酸類(
b1)由来の構造単位および/または反応性分子末端封鎖剤(b3)に芳香族構造単位を
含有することがより好ましく、反応性分子末端封鎖剤(b3)に芳香族構造単位を含有す
ることが特に好ましい。
上記ポリエステル系可塑剤(B)は、反応性分子末端として、多価カルボン酸類(b1
)に由来するカルボキシ基末端および、ポリオール(b2)に由来する水酸基末端の少な
くとも1つを有するポリエステル系可塑剤の反応性分子末端を後述する反応性分子末端封
鎖剤(b3)で封鎖することにより得られる。
以下、反応性分子末端を封鎖する前のポリエステル系可塑剤(B’)(以下、「末端封
鎖前ポリエステル系可塑剤(B’)」と記載することがある。)について説明する。
〔末端封鎖前ポリエステル系可塑剤(B’)〕
上記末端封鎖前ポリエステル系可塑剤(B’)は、通常、構成原料として、多価カルボ
ン酸類(b1)およびポリオール(b2)を含む共重合成分を共重合することにより得ら
れ、かかる末端封鎖前ポリエステル系可塑剤(B’)は、樹脂組成として、多価カルボン
酸類(b1)由来の構造単位およびポリオール(b2)由来の構造単位を有するようにな
る。
〔多価カルボン酸類(b1)由来の構造単位〕
上記多価カルボン酸類(b1)由来の構造単位としては、前記多価カルボン酸類(a1
)由来の構造単位として説明したもの同様のものが挙げられる。
上記多価カルボン酸類(b1)由来の構造単位のなかでも、ポリエステル系樹脂の結晶
性を下げる点、被着体汚染性に優れる点から、芳香族多価カルボン酸類由来の構造単位、
特には非対称の芳香族ジカルボン酸類(b1-1)由来の構造単位が含まれることが好ま
しく、非対称の芳香族ジカルボン酸類(b1-1)由来の構造単位としては、例えば、フ
タル酸類、イソフタル酸類、1,8-ナフタレンジカルボン酸類、2,3-ナフタレンジ
カルボン酸類、2,7-ナフタレンジカルボン酸類由来の構造単位等が挙げられる。なか
でも反応性の点でイソフタル酸類由来の構造単位が特に好ましい。
かかる芳香族多価カルボン酸類由来の構造単位、特には非対称の芳香族ジカルボン酸類
(b1-1)由来の構造単位の含有量は、多価カルボン酸類(b1)由来の構造単位全体
に対して、0.1~100モル%であることが好ましく、より好ましくは1~80モル%
、さらに好ましくは3~70モル%、特に好ましくは5~60モル%、さらに好ましくは
10~55モル%である。かかる含有量が少なすぎると、凝集力が低下したり、ポリエス
テル系可塑剤(B)が結晶化し、充分な粘着性能が得られなくなったりする傾向があり、
多すぎるとタック性が低下する傾向がある。
また、上記多価カルボン酸類(b1)由来の構造単位として、タック性を向上させる観
点から、炭素数(カルボキシ基の炭素を含む)4以上の脂肪族ジカルボン酸類(b1-2
)由来の構造単位を含有することが好ましく、なかでも炭素数(カルボキシ基の炭素を含
む)6~12の脂肪族ジカルボン酸類由来の構造単位を含有することがより好ましく、ア
ジピン酸類、セバシン酸類、アゼライン酸類由来の構造単位を含有することが特に好まし
い。
かかる炭素数4以上の脂肪族ジカルボン酸類(b1-2)由来の構造単位の含有量とし
ては、多価カルボン酸類(b1)由来の構造単位全体に対して、10~100モル%であ
ることが好ましい。とりわけ、20~95モル%であることが好ましく、さらに好ましく
は30~90モル%、特に好ましくは40~80モル%である。かかる含有量が少なすぎ
るとポリエステル系可塑剤(B)のガラス転移温度が高くなりすぎ、充分な粘着力が得ら
れなくなる傾向がある。なお、かかる含有量が好ましい範囲内であると、ポリエステル系
可塑剤(B)の結晶化が抑制され、粘着剤のタック性に優れる傾向がある。
本発明においては、粘着物性の点から、多価カルボン酸類(b1)由来の構造単位とし
て、非対称の芳香族ジカルボン酸類(b1-1)由来の構造単位、および炭素数4以上の
脂肪族ジカルボン酸類(b1-2)由来の構造単位を含有することも好ましい。その場合
、非対称の芳香族ジカルボン酸類(b1-1)由来の構造単位と炭素数4以上の脂肪族ジ
カルボン酸類(b1-2)由来の構造単位との含有比率(モル比)は、(b1-1)/(
b1-2)=1/99~99/1であることが好ましく、特に好ましくは5/95~90
/10、さらに好ましくは20/80~80/20、殊に好ましくは30/70~70/
30である。
また、ポリエステル系樹脂中に分岐点を増やす目的で、三価以上の多価カルボン酸類(
b1-3)由来の構造単位を用いることもでき、なかでも製造の際に比較的ゲル化が発生
しにくい点でトリメリット酸類を用いることが好ましい。
かかる三価以上の多価カルボン酸類(b1-3)由来の構造単位の含有量としては、粘
着剤とした場合の凝集力を高めることができる点で、多価カルボン酸類(b1)全体に対
して、好ましくは10モル%以下、特に好ましくは5モル%以下、殊に好ましくは3モル
%以下であり、最も好ましくは1モル%以下である。かかる含有量が多すぎるとポリエス
テル系樹脂の製造時にゲル化が生じたり、酸価が高くなったりする傾向がある。
〔ポリオール(b2)〕
上記ポリオール(b2)由来の構造単位としては、前記ポリオール(a2)由来の構造
単位として説明したものと同様のものが挙げられる。
上記ポリオール(b2)由来の構造単位としては、ポリエステル系可塑剤(B)のガラ
ス転移温度(TgB)を下げ、タック性を向上させる点から、直鎖構造の脂肪族ジオール
(b2-1)由来の構造単位を含有してもよく、より好ましくは、炭素数2~18の直鎖
構造の脂肪族ジオール由来の構造単位を含有することであり、特に好ましくはエチレング
リコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオ
ール、1,6-ヘキサンジオール由来の構造単位を含有することである。
直鎖構造の脂肪族ジオール(b2-1)由来の構造単位の含有量は、ポリオール(b2
)由来の構造単位全体に対して、1~80モル%であることが好ましく、より好ましくは
3~60モル%、さらに好ましくは5~40モル%、特に好ましくは10~30モル%で
ある。かかる含有量が多すぎるとポリエステル系樹脂が結晶化し、充分な粘着性能が得ら
れなくなる傾向がある。
また、上記ポリオール(b2)由来の構造単位のなかでも結晶性を崩すことができる点
から、側鎖に炭化水素基を有するジオール(b2-2)由来の構造単位を含有することが
好ましい。上記炭化水素基を有するジオール(b2-2)由来の構造単位としては、前記
炭化水素基を有するジオール(a2-2)で説明したものが挙げられる。なかでも、分岐
構造を有する脂肪族ジオール由来の構造単位を含有することが好ましく、2-メチル-1
,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチル
グリコール)、3-メチル-1,5-ペンタンジオール由来の構造単位を含有することが
特に好ましい。
上記側鎖に炭化水素基を有するジオール(b2-2)由来の構造単位の含有量は、ポリ
オール(b2)由来の構造単位全体に対して5~100モル%であることが好ましく、特
に好ましくは15~100モル%、さらに好ましくは30~100モル%、殊に好ましく
は45~100モル%、最も好ましくは60~100モル%である。かかる含有量が少な
すぎると、ポリエステル系可塑剤(B)が結晶化し、粘着剤のタック性が低下する傾向が
ある。
さらには、ポリオール(b2)由来の構造単位として、三価以上のポリオール(b2-
3)由来の構造単位が含まれていてもよい。かかる三価以上のポリオール(b2-3)由
来の構造単位の含有量としては、ポリオール(b2)由来の構造単位全体に対して、10
モル%以下であることが好ましく、さらには0.01~5モル%、特に好ましくは0.0
5~3モル%、殊に好ましくは0.1~1モル%であることが好ましい。かかる三価以上
のポリオール由来(b2-3)の構造単位の含有量が多すぎると、タック性が低下する傾
向がある。
上記多価カルボン酸類(b1)とポリオール(b2)とを前述のポリエステル系樹脂の
製造方法に準じた方法により反応させることにより、末端封鎖前ポリエステル系可塑剤(
B’)が得られる。
なお、上記末端封鎖前ポリエステル系可塑剤(B’)の多価カルボン酸類(b1)とポ
リオール(b2)の配合割合としては、水酸基末端を有するポリエステル系樹脂(B’)
とする場合は、多価カルボン酸類(b1)1当量あたり、ポリオール(b2)が1~2当
量であることが好ましく、特に好ましくは1.03~1.8当量であり、より好ましくは
1.05~1.7、殊に好ましくは1.1~1.6である。ポリオール(b2)の配合割
合が低すぎるとポリエステル系樹脂(A)との相溶性が低下する傾向があり、高すぎると
粘着剤として凝集力が低下し粘着力、耐汚染性が低下する傾向がある。
また、カルボキシ末端を有する末端封鎖前ポリエステル系可塑剤(B’)とする場合は
、ポリオール(b2)1当量あたり、多価カルボン酸類(b1)が1~2当量であること
が好ましく、特に好ましくは1.03~1.8当量であり、より好ましくは1.05~1
.7、殊に好ましくは1.1~1.6である。多価カルボン酸類(b1)の配合割合が低
すぎるとポリエステル系樹脂(A)との相溶性が低下する傾向があり、高すぎると粘着剤
として凝集力が低下し粘着力、耐汚染性が低下する傾向がある。
このようにして得られる末端封鎖前ポリエステル系可塑剤(B’)は、反応性分子末端
として、通常、多価カルボン酸類(b1)に由来するカルボキシ基末端および、ポリオー
ル(b2)に由来する水酸基末端の少なくとも1つを有するものであり、耐加水分解性の
点から水酸基末端を有することがより好ましい。
上記末端封鎖前ポリエステル系可塑剤(B’)のガラス転移温度(TgB’)は、粘着
物性の点から、通常、-80~30℃であり、好ましくは-75~20℃、さらに好まし
くは-70~0℃、特に好ましくは-65~-20℃、殊に好ましくは-60~-40℃
である。かかるガラス転移温度(TgB)が高すぎると柔軟性が失われ、タック性が低下
し、指圧程度の圧力で粘着力が発揮しにくくなり、作業性が低下する傾向があり、低すぎ
ると凝集力が低下し、粘着シートが変形しやすくなってしまい外観を損ねる傾向がある。
なお、上記末端封鎖前ポリエステル系可塑剤(B’)のガラス転移温度は、前記ポリエス
テル系樹脂(A)で説明したポリエステル系樹脂のガラス転移温度と同じ方法により測定
することができる。
また、上記末端封鎖前ポリエステル系可塑剤(B’)の数平均分子量は、粘着剤の凝集
力の点から、通常、200~12,000であり、好ましくは300~10,000、特
に好ましくは400~8,000、さらに好ましくは600~6,000、殊に好ましく
は800~5,000、より好ましくは1,000~4,000である。かかる数平均分
子量が小さすぎると粘着剤として充分な凝集力が得られず、粘着力、耐汚染性が低下しや
すい傾向がある。
また、数平均分子量が大きすぎるとポリエステル系樹脂(A)との相溶性が低下する傾
向がある。なお、上記数平均分子量は、前記ポリエステル系樹脂(A)で説明したポリエ
ステル系樹脂の重量平均分子量と同じ方法により測定することができる。
また、上記末端封鎖前ポリエステル系可塑剤(B’)の重量平均分子量は、粘着剤の凝
集力の点から800~12,000である。好ましくは1,000~10,000であり
、特に好ましくは1,500~8,000、さらに好ましくは2,000~7,500、
殊に好ましくは2,500~7,000、より好ましくは3,000~6,500である
。かかる重量平均分子量が小さすぎるとポリエステル系可塑剤(B)を可塑剤として用い
た場合に粘着剤として充分な凝集力が得られず、粘着力、耐汚染性が低下しやすい傾向が
ある。また、重量平均分子量が大きすぎるとポリエステル系樹脂(A)との相溶性が低下
する傾向がある。なお、上記重量平均分子量は、前記ポリエステル系樹脂(A)で説明し
たポリエステル系樹脂の重量平均分子量と同じ方法により測定することができる。
上記末端封鎖前ポリエステル系可塑剤(B’)の水酸基価は、水酸基末端を有する末端
封鎖前ポリエステル系可塑剤(B’)とする場合は、5~200mgKOH/gであり、
好ましくは10~150mgKOH/g以下、さらに好ましくは15~100mgKOH
/gである。水酸基価が高すぎると凝集力が低下する傾向があり、低すぎるとポリエステ
ル系樹脂(A)との相溶性が低下する傾向がある。
また、カルボキシ基末端を有する末端封鎖前ポリエステル系可塑剤(B’)とする場合
は、10mgKOH/g以下であり、好ましくは5mgKOH/g以下、さらに好ましく
は3mgKOH/g以下、特に好ましくは1mgKOH/g以下、殊には0.5mgKO
H/g以下である。なお、下限は0.0mgKOH/gである。水酸基価が高すぎるとタ
ック性が低下する傾向がある。
上記末端封鎖前ポリエステル系可塑剤(B’)の酸価は、水酸基末端を有する末端封鎖
前ポリエステル系可塑剤(B’)とする場合は、10mgKOH/g以下であり、好まし
くは5mgKOH/g以下、さらに好ましくは3mgKOH/g以下、特に好ましくは1
mgKOH/g以下、殊には0.5mgKOH/g以下である。なお、下限は0.0mg
KOH/gである。酸価が高すぎると凝集力の低下や、加水分解が進行しやすい傾向があ
る。
また、カルボキシ基末端を有する末端封鎖前ポリエステル系可塑剤(B’)とする場合
は、5~200mgKOH/gであり、好ましくは10~150mgKOH/g、さらに
好ましくは15~100mgKOH/gである。酸価が高すぎると、凝集力の低下や、加
水分解が進行しやすくなる傾向や、粘着剤層の一方の面に、金属等の層を貼り合わせた場
合に腐食させてしまう傾向がある。
前述のとおり上記末端封鎖前ポリエステル系可塑剤(B’)は、反応性分子末端として
、通常、カルボキシ基末端および水酸基末端の少なくとも1つを有するものである。本発
明で用いるポリエステル系可塑剤(B)は、上記末端封鎖前ポリエステル系可塑剤(B’
)の反応性分子末端の少なくとも1つを反応性分子末端封鎖剤(b3)によって、封鎖す
ることによって得られる。
〔反応性分子末端封鎖剤(b3)由来の構造単位〕
上記反応性分子末端封鎖剤(b3)は、上記末端封鎖前ポリエステル系可塑剤(B’)
の末端の反応性基(例えば、水酸基)と反応性を有する官能基を含有するものであり、末
端封鎖前ポリエステル系可塑剤(B’)の反応性末端と反応性末端封鎖剤(b3)の官能
基が反応し、末端の反応性基を封鎖する。
反応性分子末端封鎖剤(b3)としては、例えば、イソシアネート基含有化合物、カル
ボジイミド基含有化合物、エポキシ基含有化合物、オキサゾリン基含有化合物、カルボキ
シ基含有化合物、ヒドロキシ基含有化合物等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種
以上を併せて用いてもよい。
本発明において、上記イソシアネート基含有化合物としては、イソシアネート基を分子
構造中に1つ有するモノイソシアネートが好ましい。
上記モノイソシアネート化合物としては、例えば、メチルイソシアネート、エチルイソ
シアネート、プロピルイソシアネート、n-ブチルイソシアネート、t-ブチルイソシア
ネート、イソブチルイソシアネート、ペンチルイソシアネート、ネオペンチルイソシアネ
ート、2-エチル-ヘキシルイソシアネート、2-イソシアナトエチルメタクリレート、
2-イソシアナトエチルアクリレート、イソシアン酸オクタデシル等の脂肪族モノイソシ
アネート化合物、フェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、1-ナフチルイソシ
アネート、2-ナフチルイソシアネート、m-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジ
ルイソシアネート等の芳香族モノイソシアネート化合物等を挙げることができる。これら
は単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。なかでも、反応性、粘着力、耐汚染性
に優れる点で芳香族モノイソシアネート化合物が好ましく、フェニルイソシアネートが特
に好ましい。
本発明において、上記カルボジイミド基含有化合物としては、カルボジイミド基(-N
=C=N-)を分子内に1個有するモノカルボジイミドが好ましい。
上記モノカルボジイミド化合物としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、
ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド
、ジオクチルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、およびナフチルカルボジイミ
ド等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。
本発明において、上記エポキシ基含有化合物としては、エポキシ基を分子構造中に1つ
有する単官能エポキシ化合物が好ましく、例えば、モノグリシジルエステル化合物やモノ
グリシジルエーテル化合物等が挙げられる。これらを単独でもしくは2種以上を併用する
ことができる。
上記モノグリシジルエステル化合物としては、例えば、安息香酸グリシジルエステル、
t-Bu-安息香酸グリシジルエステル、p-トルイル酸グリシジルエステル、シクロヘ
キサンカルボン酸グリシジルエステル、ペラルゴン酸グリシジルエステル、ステアリン酸
グリシルエステル、ラウリン酸グリシジルエステル、パルミチン酸グリシジルエステル、
ベヘニン酸グリシジルエステル、バーサチック酸グリシジルエステル、オレイン酸グリシ
ジルエステル、リノール酸グリシジルエステル、リノレン酸グリシジルエステル、ベヘノ
ール酸グリシジルエステル、ステアロール酸グリシジルエステル、等が挙げられ、これら
を単独でもしくは2種以上を併用することができる。
上記モノグリシジルエーテル化合物としては、例えば、フェニルグリシジルエ-テル、
o-フェニルグリシジルエ-テル、等が挙げられ、これらを単独でもしくは2種以上を併
用することができる。
本発明において、上記オキサゾリン基含有化合物としては、オキサゾリン基を分子構造
中に1つ有する単官能オキサゾリン化合物が好ましい。具体的には、例えば、2-フェニ
ル(2-オキサゾリン)、2-エチル-2-オキサゾリン等が挙げられ、これらを単独で
もしくは2種以上を併用することができる。
本発明において、上記カルボキシ基含有化合物としては、カルボキシ基を分子構造中に
1つ有するモノカルボン酸が好ましく、特に好ましくは飽和モノカルボン酸等が好ましい

上記モノカルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、ピロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、
吉草酸、イソ吉草酸、2-メチルブタン酸、ピバル酸、ヘキサン酸、4-メチルペンタン
酸、2-エチルブタン酸、2,2-ジメチルブタン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン
酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカ
ン酸、ヘキサデカン酸、へプタデカン酸、オクタデカン酸、エイコサン酸、ドコサン酸、
ヘキサコサン酸、トリアコンタン酸などの脂肪族モノカルボン酸類、安息香酸、トルイル
酸、ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等の芳香族モノ
カルボン酸類が挙げられ、これらを単独もしくは2種以上を併用することができる。なか
でも、反応性、耐汚染性に優れる点で芳香族モノカルボン酸類が好ましい。
本発明において、上記ヒドロキシ基含有化合物としては、ヒドロキシ基を分子構造中に
1つ有するモノアルコールが好ましい。
上記モノアルコールとしては、例えば、ブタノール、ヘキサノール、ペンタノール、ヘ
プタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、
トリデカノールなどの脂肪族モノアルコール、ベンジルアルコール、3-フェニル-1-
プロパノールなどの芳香族モノアルコールが挙げられ、これらを単独もしくは2種以上を
併用することができる。
なお、本発明においては、反応性分子末端封鎖剤(b3)として、上記の官能基を1つ
有する化合物の他に、2つ以上の官能基を有する化合物を本発明の効果を損なわない範囲
で用いることもできる。
上記反応性分子末端封鎖剤(b3)のなかでも、末端封鎖前ポリエステル系可塑剤(B
’)のヒドロキシ基末端との反応性に優れる点でイソシアネート基含有化合物が好ましい
また、上記反応性分子末端封鎖剤(b3)は、粘着物性に優れる点から、数平均分子量
が50~5,000であることが好ましく、60~3,000であることがより好ましく
、70~1,000であることが特に好ましく、80~500であることがさらに好まし
く、90~300であることが殊に好ましい。かかる分子量が小さすぎると揮発性が高く
なる傾向があり、大きすぎるとポリエステル系樹脂(A)との相溶性が低下する傾向があ
る。
本発明で用いるポリエステル系可塑剤(B)は、粘着物性に優れる点から、上記反応性
分子末端封鎖剤(b3)により少なくとも1つの反応性分子末端が封鎖されてなることが
好ましく、より好ましくは、全ての反応性分子末端が封鎖されてなることである。
上記反応性分子末端封鎖剤(b3)を用いた末端封鎖前ポリエステル系可塑剤(B’)
の反応性分子末端の封鎖は、公知の方法で行えばよく、例えば、有機溶剤中で、末端封鎖
前ポリエステル系可塑剤(B’)と上記反応性分子末端封鎖剤(b3)とを反応させても
よい。
上記末端封鎖前ポリエステル系可塑剤(B’)と反応性分子末端封鎖剤(b3)との反
応比率は、末端封鎖前ポリエステル系可塑剤(B’)の水酸基価、および酸価に応じて、
すなわち、末端封鎖前ポリエステル系可塑剤(B’)が有するカルボキシ基、および水酸
基に応じて最適化させることが好ましく、末端封鎖前ポリエステル系可塑剤(B’)が有
するカルボキシ基100モル%、または、水酸基100モル%に対し、反応性分子末端封
鎖剤(b3)が有する反応性分子末端と反応する官能基を通常、80~120モル%、好
ましくは90~110モル%、より好ましくは95~105モル%、特に好ましくは97
~103モル%、さらに好ましくは98~102モル%、殊に好ましくは99~101モ
ル%用いればよい。例えば、反応性分子末端封鎖剤(b3)として、イソシアネート基含
有化合物を用いる場合、イソシアネート基含有化合物は、カルボキシ基および水酸基と反
応性を有することから、末端封鎖前ポリエステル系可塑剤(B’)が有するカルボキシ基
およびヒドロキシ基の合計100モル%に対して、上記の範囲のイソシアネート基含有化
合物を用いればよい。
上記有機溶剤としては、反応性分子末端封鎖剤(b3)と反応性を示さないものを用い
ればよく、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族類等の有機溶剤を用い
ることができる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記末端封鎖前ポリエステル系可塑剤(B’)と反応性分子末端封鎖剤(b3)との反
応温度は、通常、20~240℃、好ましくは25~180℃、より好ましくは30~1
20℃、殊に好ましくは40~80℃であり、反応時間は、通常、0.1~24時間、好
ましくは0.5~12時間、より好ましくは0.5~3時間である。
上記の方法により、少なくとも1つの反応性分子末端が封鎖されたポリエステル系可塑
剤(B)を得ることができる。
上記ポリエステル系可塑剤(B)のガラス転移温度(TgB)は、-80~0℃である
ことが好ましく、-70~-3℃であることがより好ましく、-60~-5℃であること
がさらに好ましく、-55~-10℃であることが特に好ましく、-50~-15℃であ
ることが殊に好ましく、-40~-20℃であることが最も好ましい。上記の範囲とする
ことで、粘着力、柔軟性、タック性に優れる粘着剤を得ることができる。
ポリエステル系可塑剤(B)のガラス転移温度が低すぎると、凝集力が低下し粘着力が
低下する傾向があり、ガラス転移温度が高すぎると、柔軟性が失われ、タック性が低下し
、指圧程度の圧力で粘着力が発揮しにくくなる傾向がある。そして、すでに述べていると
おり、ポリエステル系樹脂(A)のガラス転移温度との関係においては、ポリエステル系
樹脂(A)のガラス転移温度(TgA)が、ポリエステル系可塑剤(B)のガラス転移温
度(TgB)よりも低い温度であることが好ましい。
上記ポリエステル系可塑剤(B)は非晶性であることが好ましい。結晶性を有する場合
、結晶融解熱は20J/g以下であることが好ましく、10J/g以下であることがより
好ましく、5J/g以下であることが特に好ましく、3J/g以下であることがさらに好
ましく、1J/g以下であることが殊に好ましい。結晶融解熱が高すぎると、保存安定性
やタック性が低下したり、ポリエステル系樹脂(A)との相溶性が低下したりする傾向が
ある。
ここで、上記ポリエステル系可塑剤(B)の結晶融解熱は、TAインスツルメント社製
の示差走査熱量計DSC Q20を用いて測定される値である。
なお、測定温度範囲は-90~100℃で、温度上昇速度は、10℃/分であり、10
0℃まで昇温し完全融解させたのち、-90℃まで降温し、再び100℃まで昇温させた
場合の融解発熱の熱量を結晶融解熱とした。
また、上記ポリエステル系可塑剤(B)の数平均分子量は、粘着剤の凝集力の点から3
00~12,000である。好ましくは400~10,000であり、特に好ましくは6
00~8,000、さらに好ましくは1,000~6,000、殊に好ましくは1,20
0~5,000、より好ましくは1,500~4,000である。
上記の範囲とすることで、低極性被着体への粘着力、タック性、耐汚染性に優れる粘着
剤を得ることができ、ポリエステル系樹脂(A)との相溶性も向上する。
かかる数平均分子量が小さすぎるとポリエステル系可塑剤(B)を可塑剤として用いた
場合に粘着剤として充分な凝集力が得られず、粘着力、耐汚染性が低下しやすい傾向があ
る。また、数平均分子量が大きすぎるとポリエステル系樹脂(A)との相溶性が低下する
傾向がある。
なお、上記数平均分子量は、前記ポリエステル系樹脂(A)で説明したポリエステル系
樹脂の重量平均分子量と同じ方法により測定することができる。
また、上記ポリエステル系可塑剤(B)の重量平均分子量は、粘着剤の凝集力の点から
1000~12,000である。好ましくは1,200~10,000であり、特に好ま
しくは1,500~8,000、さらに好ましくは2,000~7,500、殊に好まし
くは2,500~7,000、より好ましくは3,000~6,500である。
上記の範囲とすることで、低極性被着体への粘着力、耐汚染性に優れる粘着剤を得るこ
とができ、ポリエステル系樹脂(A)との相溶性も向上する。
かかる重量平均分子量が小さすぎるとポリエステル系可塑剤(B)を可塑剤として用い
た場合に粘着剤として充分な凝集力が得られず、粘着力、耐汚染性が低下しやすい傾向が
ある。また、重量平均分子量が大きすぎるとポリエステル系樹脂(A)との相溶性が低下
する傾向がある。
なお、上記重量平均分子量は、前記ポリエステル系樹脂(A)で説明したポリエステル
系樹脂の重量平均分子量と同じ方法により測定することができる。
上記ポリスエテル系樹脂(B)の水酸基価は15mgKOH/g以下であることが好ま
しく、10mgKOH/g以下であることがより好ましく、8mgKOH/g以下である
ことがさらに好ましく、5mgKOH/g以下であることが特に好ましく、3mgKOH
/g以下であることが殊に好ましく、1mgKOH/g以下であることが最も好ましい。
なお、下限は0mgKOH/gである。水酸基価が高すぎると、ポリエステル系樹脂(A
)と架橋し、粘着力、およびタック性が低下する傾向がある。
上記ポリスエテル系樹脂(B)の酸価は10mgKOH/g以下であることが好ましく
、特には5mgKOH/g以下であることがより好ましく、3mgKOH/g以下である
ことがさらに好ましく、1mgKOH/g以下であることが特に好ましく、0.5mgK
OH/g以下であることが殊に好ましい。なお、下限は0mgKOH/gである。
上記の範囲とすることで、粘着力、タック性に優れる粘着剤を得ることができ、ポリエ
ステル系可塑剤(B)の加水分解を抑制できる。酸価が高すぎると、ポリエステル系樹脂
(A)と架橋し、粘着力、およびタック性が低下したり、耐加水分解性が低下したりする
傾向がある。
上記ポリエステル系可塑剤(B)の酸価と水酸基価の合計は20mgKOH/g以下で
あることが好ましく、15mgKOH/g以下であることがより好ましく、10mgKO
H/g以下であることがさらに好ましく、5mgKOH/g以下であることが特に好まし
く、3mgKOH/g以下であることが殊に好ましく、1mgKOH/g以下であること
が最も好ましい。なお、下限は0mgKOH/gである。酸価と水酸基価の合計が高すぎ
ると、ポリエステル系(A)と架橋し、粘着力、およびタック性が低下したり、耐加水分
解性が低下したりする傾向がある。
上記ポリエステル系可塑剤(B)の含有量は、ポリエステル系樹脂(A)100重量部
に対して0.1~150重量部であることが好ましく、1~140重量部であることがよ
り好ましく、3~130重量部であることがさらに好ましく、5~120重量部であるこ
とが特に好ましく、10~100重量部であることがより好ましく、15~90重量部で
あることがさらに好ましく、20~80重量部であることが特に好ましく、30~70重
量部であることが殊に好ましく、40~60重量部であることが最も好ましい。上記の範
囲とすることで、耐汚染性、粘着力、タック性に優れる粘着剤を得ることができる。ポリ
エステル系可塑剤(B)の含有量が多すぎると、凝集力が低下し耐汚染性が低下する傾向
があり、含有量が少なすぎると粘着力、タック性が低下する傾向がある。
また、上記ポリエステル系可塑剤(B)の含有量は、粘着剤組成物(有効成分量)10
0重量%に対して0.1~75重量%であることが好ましく、1~60重量%であること
がより好ましく、5~55重量%であることがさらに好ましく、10~50重量%である
ことが特に好ましく、20~45重量%であることが殊に好ましく、25~40重量%で
あることが最も好ましい。ポリエステル系可塑剤(B)の含有量が多すぎると、凝集力が
低下し耐汚染性が低下する傾向があり、含有量が少なすぎると粘着力、タック性が低下す
る傾向がある。
<加水分解抑制剤(C)>
本発明の粘着剤組成物は、さらに加水分解抑制剤(C)を含有することが好ましい。か
かる加水分解抑制剤(C)は、長期耐久性を担保するために含有されるものである。
上記加水分解抑制剤(C)としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、
ポリエステル系樹脂(A)が有するカルボキシ基末端と反応して結合する化合物が挙げら
れ、具体的には、例えば、カルボジイミド基、エポキシ基、オキサゾリン基、等の官能基
を含有する化合物等が挙げられる。上記加水分解抑制剤(C)は、単独でもしくは2種以
上を併用することができる。なかでも、カルボジイミド基含有化合物が、カルボン酸末端
基由来のプロトンの触媒活性を消失させる効果が高い点で好ましい。
上記カルボジイミド基含有化合物としては、通常、カルボジイミド基(-N=C=N-
)を分子内に1個以上有する公知のカルボジイミド系化合物が挙げられ、なかでもカルボ
ジイミド基を分子内に2個以上含有する化合物、すなわち多価カルボジイミド系化合物で
あることが好ましく、特にはカルボジイミド基を分子内に3個以上、さらには5個以上、
殊には7個以上含有する化合物であることが好ましい。なお、上記多価カルボジイミド系
化合物が、分子内に含有するカルボジイミド基の数は通常50個以下であり、カルボジイ
ミド基が多すぎると分子構造が大きくなりすぎるために、ポリエステル系樹脂(A)との
相溶性が低下し好ましくない傾向がある。
また、上記カルボジイミド基含有化合物としては、カルボジイミド化触媒の存在下でジ
イソシアネートを脱炭酸縮合反応させることによって生成する高分子量ポリカルボジイミ
ドを用いることも好ましい。
このような高分子量ポリカルボジイミドは、合成してもよいし市販品を使用してもよい
。高分子量ポリカルボジイミドを合成する場合は、例えば、以下のジイソシアネートを脱
炭酸縮合反応させたものが挙げられる。
かかるジイソシアネートとしては、例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネ
ート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’
-ジメチル-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエー
テルジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ジフェニルエーテルジイソシア
ネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、1-
メトキシフェニル-2,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’
-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート
等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上を併用することができる。
さらに、上記高分子量ポリカルボジイミドは末端イソシアネート基が封止剤によって封
止されているものが、保存安定性の点で好ましい。封止剤としては、イソシアネート基と
反応する活性水素を有する化合物、またはイソシアネート基を有する化合物が挙げられる
。例えば、カルボキシ基、アミノ基、およびイソシアネート基から選ばれる置換基を1個
有するモノアルコール類、モノカルボン酸類、モノアミン類、およびモノイソシアネート
類が挙げられる。
上記カルボジイミド基含有化合物のカルボジイミド当量は、好ましくは、50~100
00、特には100~1000、さらには150~500であることが好ましい。
なお、カルボジイミド当量とは、カルボジイミド基1個あたりの化学式量を示す。
また、上記カルボジイミド基含有化合物は、市販品を用いてもよく、カルボジイミド基
含有化合物の市販品としては、例えば、日清紡ケミカル社製のカルボジライト(登録商標
)シリーズが挙げられ、それらのなかでも、カルボジライト(登録商標)「V-01」、
「V-02B」、「V-03」、「V-04K」、「V-04PF」、「V-05」、「
V-07」、「V-09」、「V-09GB」はポリエステル系樹脂(A)との相溶性に
優れる点で好ましい。
前記エポキシ基含有化合物としては、例えば、グリシジルエステル化合物やグリシジル
エーテル化合物等が挙げられる。これらを単独でもしくは2種以上を併用することができ
る。
上記グリシジルエステル化合物としては、例えば、安息香酸グリシジルエステル、t-
Bu-安息香酸グリシジルエステル、p-トルイル酸グリシジルエステル、シクロヘキサ
ンカルボン酸グリシジルエステル、ペラルゴン酸グリシジルエステル、ステアリン酸グリ
シルエステル、ラウリン酸グリシジルエステル、パルミチン酸グリシジルエステル、ベヘ
ニン酸グリシジルエステル、バーサチック酸グリシジルエステル、オレイン酸グリシジル
エステル、リノール酸グリシジルエステル、リノレン酸グリシジルエステル、ベヘノール
酸グリシジルエステル、ステアロール酸グリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジル
エステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、ナフタ
レンジカルボン酸ジグリシジルエステル、メチルテレフタル酸ジグリシジルエステル、ヘ
キサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル
、シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル
、コハク酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、ドデカンジオン酸
ジグリシジルエステル、オクタデカンジカルボン酸ジグリシジルエステル、トリメリット
酸トリグリシジルエステル、ピロメリット酸テトラグリシジルエステル等が挙げられ、こ
れらを単独でもしくは2種以上を併用することができる。
上記グリシジルエーテル化合物としては、例えば、フェニルグリシジルエ-テル、o-
フェニルグリシジルエ-テル、1,4-ビス(β,γ-エポキシプロポキシ)ブタン、1
,6-ビス(β,γ-エポキシプロポキシ)ヘキサン、1,4-ビス(β,γ-エポキシ
プポキシ)ベンゼン、1-(β,γ-エポキシプロポキシ)-2-エトキシエタン、1-
(β,γ-エポキシプロポキシ)-2-ベンジルオキシエタン、2,2-ビス-[р-(
β,γ-エポキシプロポキシ)フェニル]プロパン、および2,2-ビス-(4-ヒドロ
キシフェニル)プロパンや2,2-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)メタン等のビスフ
ェノールとエピクロルヒドリンの反応で得られるビスグリシジルポリエーテル等が挙げら
れ、これらを単独でもしくは2種以上を併用することができる。
前記オキサゾリン基含有化合物としては、ビスオキサゾリン化合物等が好ましい。具体
的には、例えば、2,2’-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-ビス(4-メチル-
2-オキサゾリン)、2,2’-ビス(4,4-ジメチル-2-オキサゾリン)、2,2
’-ビス(4-エチル-2-オキサゾリン)、2,2’-ビス(4,4’-ジエチル-2
-オキサゾリン)、2,2’-ビス(4-プロピル-2-オキサゾリン)、2,2’-ビ
ス(4-ブチル-2-オキサゾリン)、2,2’-ビス(4-ヘキシル-2-オキサゾリ
ン)、2,2’-ビス(4-フェニル-2-オキサゾリン)、2,2’-ビス(4-シク
ロヘキシル-2-オキサゾリン)、2,2’-ビス(4-ベンジル-2-オキサゾリン)
、2,2’-p-フェニレンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-m-フェニレンビス
(2-オキサゾリン)、2,2’-o-フェニレンビス(2-オキサゾリン)、2,2’
-p-フェニレンビス(4-メチル-2-オキサゾリン)、2,2’-p-フェニレンビ
ス(4,4-ジメチル-2-オキサゾリン)、2,2’-m-フェニレンビス(4-メチ
ル-2-オキサゾリン)、2,2’-m-フェニレンビス(4,4-ジメチル-2-オキ
サゾリン)、2,2’-エチレンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-テトラメチレン
ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-ヘキサメチレンビス(2-オキサゾリン)、2,
2’-オクタメチレンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-デカメチレンビス(2-オ
キサゾリン)、2,2’-エチレンビス(4-メチル-2-オキサゾリン)、2,2’-
テトラメチレンビス(4,4-ジメチル-2-オキサゾリン)、2,2’-9,9’-ジ
フェノキシエタンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-シクロヘキシレンビス(2-オ
キサゾリン)、2,2’-ジフェニレンビス(2-オキサゾリン)等が挙げられ、これら
を単独でもしくは2種以上を併用することができる。
これら加水分解抑制剤(C)としては、揮発性が低い方が好ましく、そのために数平均
分子量は高いものを用いることが好ましく、通常、300~10,000、好ましくは1
,000~5,000のものを用いる。
また、加水分解抑制剤(C)としては、耐加水分解性の観点から重量平均分子量が高い
ものを用いることが好ましい。加水分解抑制剤(C)の重量平均分子量は、500~30
,000であることが好ましく、2,000~20,000であることがより好ましく、
3,000~15,000であることがさらに好ましく、4,000~10,000であ
ることが殊に好ましい。
加水分解抑制剤(C)の分子量が小さすぎると、耐加水分解性が低下する傾向がある。
なお、分子量が大きすぎると、ポリエステル系樹脂(A)との相溶性が低下する傾向があ
る。
上記加水分解抑制剤(C)の含有量は、上記ポリエステル系樹脂(A)100重量部に
対して、0.01~10重量部であることが好ましく、特に好ましくは0.1~5重量部
、さらに好ましくは0.3~3重量部、殊に好ましくは0.5~2重量部である。かかる
含有量が、多すぎるとポリエステル系樹脂(A)との相溶性不良により濁りが発生する傾
向があり、少なすぎると充分な耐久性が得られにくい傾向がある。
また、上記加水分解抑制剤(C)の含有量は、上記ポリエステル系樹脂(A)の酸価に
応じて、含有量を最適化させることが好ましい。
例えば、ポリエステル系樹脂(A)がポリエステル系樹脂の場合では、粘着剤組成物中
のポリエステル系樹脂の酸性官能基のモル数合計(X)に対する、粘着剤組成物中の加水
分解抑制剤(C)の官能基のモル数合計(Y)のモル比〔(Y)/(X)〕が、0.5≦
(Y)/(X)であることが好ましく、特に好ましくは1≦(Y)/(X)≦1000、
さらに好ましくは1.5≦(Y)/(X)≦100である。
(X)に対する(Y)のモル比が低すぎると、耐湿熱性能が低下する傾向がある。なお
、(X)に対する(Y)のモル比が高すぎると、ポリエステル系樹脂(A)との相溶性が
低下したり、粘着力、凝集力、耐久性能が低下したりする傾向がある。
<架橋剤(D)>
本発明の粘着剤組成物には、更に架橋剤(D)を含むことが好ましい。
上記架橋剤(D)としては、例えば、ポリイソシアネート系化合物、ポリエポキシ系化
合物等、ポリエステル系樹脂(A)に含まれる水酸基、およびカルボキシ基の少なくとも
一方と反応する官能基を有する化合物が挙げられる。これらのなかでもタック性と機械的
強度、耐熱性をバランスよく両立できる点から、特にポリイソシアネート系化合物を用い
ることが好ましい。
かかるポリイソシアネート系化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシ
アネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキ
シリレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタン
トリイソシアネート等のポリイソシアネートが挙げられ、また、上記ポリイソシアネート
と、トリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体や、これらポリイソシ
アネート系化合物のビュレット体、イソシアヌレート体等が挙げられる。なお、上記ポリ
イソシアネート系化合物は、フェノール、ラクタム等でイソシアネート部分がブロックさ
れたものでも使用することができる。これらの架橋剤(D)は、1種を単独で使用しても
よいし、2種以上混合して使用してもよい。
かかる架橋剤(D)の含有量は、ポリエステル系樹脂(A)の分子量と用途目的により
適宜選択できるが、通常は、ポリエステル系樹脂(A)に含まれる水酸基、およびカルボ
キシ基の少なくとも一方の1当量に対して、架橋剤(D)に含まれる反応性基が、0.2
~10当量となる割合で架橋剤(D)を含有することが好ましく、特に好ましくは0.5
~5当量、さらに好ましくは0.5~3当量である。
かかる架橋剤(D)に含まれる反応性基の当量数が小さすぎると凝集力が低下する傾向
があり、大きすぎると柔軟性が低下する傾向がある。
また、上記架橋剤(D)の含有量は、ポリエステル系樹脂(A)100重量部に対して
0.1~20重量部であることが好ましく、0.5~15重量部であることがより好まし
く、1~10重量部であることが特に好ましく、1.5~8重量部であることがさらに好
ましく、2~6重量部であることが殊に好ましい。架橋剤(D)の含有量が多すぎるとタ
ック性が低下する傾向があり、含有量が少なすぎると耐汚染性が低下する傾向がある。
上記ポリエステル系樹脂(A)と架橋剤(D)との反応においては、これらポリエステ
ル系樹脂(A)、および架橋剤(D)成分と反応する官能基を有しない有機溶剤、例えば
、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族類等の有機溶剤を用いることができる。
これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
<ウレタン化触媒(E)>
本発明の粘着剤組成物は、ウレタン化触媒(E)をさらに含有することが好ましい。
上記ウレタン化触媒(E)としては、例えば、有機金属系化合物、3級アミン化合物等
を用いることができる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記有機金属系化合物としては、例えば、ジルコニウム系化合物、鉄系化合物、錫系化
合物、チタン系化合物、鉛系化合物、コバルト系化合物、亜鉛系化合物等を挙げることが
できる。
ジルコニウム系化合物としては、例えば、ナフテン酸ジルコニウム、ジルコニウムアセ
チルアセトネート等が挙げられる。
鉄系化合物としては、例えば、鉄アセチルアセトネート、2-エチルヘキサン酸鉄等が
挙げられる。
錫系化合物としては、例えば、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキシド、ジブチ
ル錫ジラウレート等が挙げられる。
チタン系化合物としては、例えば、ジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチ
タネート、ブトキシチタニウムトリクロライド等が挙げられる。
鉛系化合物としては、例えば、オレイン酸鉛、2-エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、
ナフテン酸鉛等が挙げられる。
コバルト系化合物としては、例えば、2-エチルヘキサン酸コバルト、安息香酸コバル
ト等が挙げられる。
亜鉛系化合物としては、例えば、ナフテン酸亜鉛、2-エチルヘキサン酸亜鉛等が挙げ
られる。
また、上記3級アミン化合物としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジア
ミン、1,8-ジアザビシクロ-(5,4,0)-ウンデセン-7等が挙げられる。
これらウレタン化触媒(E)のなかでも、反応速度と粘着剤層のポットライフの点で、
有機金属系化合物が好ましく、特に好ましくはジルコニウム系化合物であり、殊に好まし
くはジルコニウムアセチルアセトネートである。
〔触媒作用抑制剤〕
本発明の粘着剤組成物においては、ポットライフを延長し、塗工性を向上させる点で上
記ウレタン化触媒(E)に触媒作用抑制剤を含有させることが好ましい。
触媒作用抑制剤としては、例えば、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸
オクチル、アセト酢酸オレイル、アセト酢酸ラウリル、アセト酢酸ステアリル等のβ-ケ
トエステルや、アセチルアセトン、2,4-ヘキサンジオン、ベンゾイルアセトン等のβ
-ジケトンが挙げられる。これらはケトエノール互変異性化合物であり、これらが上記ウ
レタン化触媒(E)を保護することにより、ウレタン化触媒(E)の溶液状態での触媒活
性を低下させ、配合後における粘着剤組成物の過剰な粘度上昇やゲル化を抑制し、粘着剤
組成物のポットライフを延長することができる。
これらのなかでも、ポットライフと硬化速度のバランスの点から、触媒作用抑制剤とし
てアセチルアセトンを用いることが好ましい。なお、これらの触媒作用抑制剤は1種また
は2種以上組み合わせて使用することができる。
触媒作用抑制剤とウレタン化触媒(E)の配合割合(重量比)は、触媒作用抑制剤:ウ
レタン化触媒(E)=0.001:1~15:1の範囲であることが好ましく、さらに好
ましくは0.005:1~13:1であり、特に好ましくは0.01:1~10:1であ
る。ウレタン化触媒(E)の含有量に対して、触媒作用抑制剤の含有量が少なすぎるとポ
ットライフが短く塗工性が低下する傾向があり、多すぎると硬化速度が低下する傾向があ
る。
本発明の粘着剤組成物においては、上記ポリエステル系樹脂(A)、ポリエステル系可
塑剤(B)、加水分解抑制剤(C)、架橋剤(D)、ウレタン化触媒(E)等の他にも、
本発明の効果を損なわない範囲において、ヒンダードフェノール類等の酸化防止剤、軟化
剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、安定剤、耐電防止剤、粘着付与剤、等の添加
剤やその他、無機または有機の充填剤、金属粉、顔料等の粉体、粒子状等の添加剤を配合
することができる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記粘着付与剤としては、特に限定されるものではなく、従来公知のものを使用するこ
とができ、例えば、テルペン系粘着付与剤、フェノール系粘着付与剤、ロジン系粘着付与
剤、石油系粘着付与剤、キシレン系粘着付与剤、エポキシ系粘着付与剤、ポリアミド系粘
着付与剤、ケトン系粘着付与剤、エラストマー系粘着付与剤等が挙げられる。なかでも、
タック性、粘着力に優れる点で、石油系粘着付与樹脂やテルペン系粘着付与剤を用いるこ
とが好ましく、特にはスチレン系粘着付与剤、テルペンフェノール系粘着付与樹脂が好ま
しい。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
上記粘着付与剤を配合する場合には、ポリエステル系樹脂(A)100重量部に対して
、0.01~50重量部であることが好ましく、より好ましくは0.1~30重量部、さ
らに好ましくは1~20重量部、殊に好ましは3~10重量部であることが、タック性に
優れる点で好ましい。
また、本発明の粘着剤組成物は、上記添加剤の他にも、粘着剤組成物の構成成分の製造
原料等に含まれる不純物等が少量含有されたものであってもよい。
このような粘着剤組成物は、例えば、上記ポリエステル系樹脂(A)、ポリエステル系
可塑剤(B)および必要な任意成分等を準備し、ポリエステル系樹脂(A)の製造時に配
合し分散させることにより、もしくは有機溶剤で溶解させたポリエステル系樹脂(A)の
溶液に配合しミキシングローラーを用いて分散させること等により、得ることができる。
また、本発明にかかる粘着剤は、上記粘着剤組成物からなるもの、すなわち、粘着剤組
成物が架橋(硬化)されてなるものである。
そして、本発明の粘着シートは、上記粘着剤を含有する粘着剤層を有するものである。
上記粘着シートは、支持基材の片面または両面に、粘着剤層を有する粘着シートであっ
ても、また、基材を有しない基材レスタイプの基材レス両面粘着シートであってもよい。
そして、本発明の粘着シートは、特には、電子部材の貼り合わせに用いる電子部材用粘着
シートとして好適である。
なお、本発明において「シート」とは、「フィルム」や「テープ」をも含めた意味であ
る。
<粘着シート>
上記粘着シートは、例えば、つぎのようにして作製することができる。
かかる粘着シートの製造方法としては、公知一般の粘着シートの製造方法にしたがって
製造することができ、例えば、基材の一方の面に、上記粘着剤組成物を塗工、乾燥して、
粘着剤層を形成し、その表面(基材に接する面の反対面)に離型シートを貼合し、必要に
より養生することで、基材と粘着剤層とを有し、上記粘着剤層が上記基材の少なくとも片
面に設けられた本発明の粘着シートが得られる。
あるいは、離型シート上に、上記粘着剤組成物を塗工、乾燥して、粘着剤層を形成し、
その表面(離型シートに接する面の反対面)に基材を貼合し、必要により養生することで
も、本発明の粘着シートが得られる。
また、離型シート上に粘着剤層を形成し、その表面(離型シートに接する面の反対面)
に上記離型シートと別の離型シートを貼り合わせることにより、基材を有しない基材レス
タイプの基材レス両面粘着シートを製造することができる。
得られた粘着シートや基材レス両面粘着シートは、使用時には、上記離型シートを粘着
剤層から剥離して粘着剤層と被着体を貼合する。
上記基材としては、例えば、樹脂フィルム、紙、布、ゴムシート、発泡体シート、金属
箔、これらの複合体等を用いることができる。
上記樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)
、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン製フィルム;ポリエチレンテレフタ
レート(PET)等のポリエステルフィルム;塩化ビニル樹脂フィルム;酢酸ビニル樹脂
フィルム;ポリイミド樹脂フィルム;ポリアミド樹脂フィルム;フッ素樹脂フィルム;ポ
リウレタンフィルム;セロハン等が挙げられる。
上記紙としては、例えば、和紙、クラフト紙、グラシン紙、上質紙、合成紙、トップコ
ート紙等が挙げられる。
上記布としては、例えば、各種繊維状物質の単独または混紡等による織布や不織布等が
挙げられる。上記繊維状物質としては、例えば、綿、スフ、マニラ麻、パルプ、レーヨン
、アセテート繊維、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアミド繊維、ポ
リオレフィン繊維等が挙げられる。
上記ゴムシートとしては、例えば、天然ゴムシート、ブチルゴムシート等が挙げられる

上記発泡体シートとしては、例えば、発泡ポリウレタンシート、発泡ポリアクリルシー
ト、発泡ポリオレフィンシート等が挙げられる。
上記金属箔としては、例えば、アルミニウム箔、銅箔等が挙げられる。
これらの基材は、単層体としてまたは2種以上が積層された複層体として用いることが
できる。
これらのなかでも特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、発泡ポリウレタン
シート、発泡ポリアクリルシート、または発泡ポリオレフィンシートからなる基材が好ま
しく、特には粘着剤との接着性に優れる点でポリエチレンテレフタレートが好ましく、基
材と粘着剤との粘着力に優れ、本発明に用いられる粘着剤の効果を顕著に発揮できる点で
好ましい。
上記離型シートとしては、例えば、上記基材で例示した各種樹脂フィルム、紙、布、ゴ
ムシート、発泡シート、金属箔、これらの複合体等に離型処理したものを使用することが
できる。なかでも、離型シートとしては、シリコーン系の離型シートを用いることが好ま
しい。
上記基材として樹脂フィルムを用いる場合、樹脂フィルム基材の厚みは特に限定されな
い。粘着シートが過度に厚くなることを避ける観点から、基材フィルムの厚みは、例えば
、200μm以下、好ましくは150μm以下、より好ましくは100μm以下とするこ
とができる。また、粘着シートの使用目的や使用態様に応じて、基材フィルムの厚みは、
70μm以下であってよく、50μm以下でもよく、30μm以下でもよく、20μm以
下でもよく、10μm以下でもよい。基材フィルムの厚みを薄くすることにより、粘着シ
ートの総厚みが同じであっても粘着剤層の厚みをより大きくすることができる。このこと
は、基材との密着性向上の観点から有利となり得る。基材フィルムの厚みの下限は特に制
限されないが、粘着シートの取扱い性(ハンドリング性)や加工性等の観点から、通常は
0.5μm以上であり、好ましくは2μm以上、特に好ましくは4μm以上である。
上記基材として発泡体基材を用いる場合、発泡体基材の厚みは、特に限定されず、粘着
シートの強度や柔軟性、使用目的等に応じて適宜設定することができる。接合部を薄型化
する観点から、発泡体基材の厚みとしては、通常、0.70mm以下であり、0.40m
m以下がより好ましく、0.30mm以下が特に好ましく、0.2mm以下であることが
殊に好ましい。また耐衝撃性の観点から、発泡体基材の厚みとしては、0.05mm以上
が好ましく、0.06mm以上がより好ましく、0.07mm以上が特に好ましく、0.
10mm以上が殊に好ましい。発泡体基材の厚みが大きくなると、耐衝撃性が発揮される
傾向にある。
上記粘着剤組成物の塗工方法としては、例えば、グラビヤロールコーター、リバースロ
ールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコ
ーター、スプレーコーター、コンマコーター等を用いればよい。
上記粘着剤組成物を塗工した後の乾燥条件としては、乾燥温度は60~140℃が好ま
しく、特に好ましくは80~120℃である。また、乾燥時間は0.5~30分間が好ま
しく、特に好ましくは1~5分間である。
上記養生処理の条件としては、温度は通常室温(23℃)~70℃、時間は通常1~3
0日間であり、具体的には、例えば23℃で1~20日間、好ましくは23℃で3~14
日間、40℃で1~10日間等の条件で行えばよい。
上記粘着シート、および基材レス両面粘着シートの粘着剤層の厚みは、特に限定されな
いが、いずれも0.5~500μmであることが好ましく、特に好ましくは1~300μ
m、さらに好ましくは5~200μm、殊に好ましくは10~100μmである。かかる
粘着剤層の厚みが薄すぎると、粘着力が低下する傾向があり、厚すぎると均一に塗工する
ことが困難となるうえ、塗膜に気泡が入る等の不具合が発生しやすい傾向がある。
なお、上記粘着剤層の厚みは、デジマチックインジケータ(ミツトヨ社製、ID-C1
12B)を用い、粘着シート全体の厚みの測定値から、粘着剤層以外の構成部材の厚みの
測定値を差し引くことにより求められる値である。
上記粘着剤層のゲル分率については、粘着力とタック性の点から5重量%以上であるこ
とが好ましく、特に好ましくは10~80重量%、さらに好ましくは15~60重量%、
殊に好ましくは20~50重量%、最も好ましくは25~45重量%である。ゲル分率が
低すぎると耐汚染性が低下する傾向がある。なお、ゲル分率が高すぎると粘着力、タック
性が低下する傾向がある。
上記ゲル分率は、架橋度の目安となるもので、例えば、以下の方法にて算出される。す
なわち、基材となる高分子シート(例えば、PETフィルム等)に粘着剤層が形成されて
なる粘着シート(セパレーターを設けていないもの)を200メッシュのSUS製金網で
包み、トルエン中に23℃×24時間浸漬し、浸漬前の粘着剤成分の重量に対する、浸漬
後の金網中に残存した不溶解の粘着剤成分の重量百分率をゲル分率とする。ただし、基材
の重量は差し引いておく。
さらに、かかる粘着シートは、必要に応じて、粘着剤層の外側に離型シートを設け、粘
着剤層を保護してもよい。また、粘着剤層が基材の片面に形成されている粘着シートでは
、基材の粘着剤層とは反対側の面に剥離処理を施すことにより、上記剥離処理面を利用し
て粘着剤層を保護することも可能である。
また、本発明の粘着剤は、種々の部材の貼り合わせに用いることができるが、なかでも
、光学部材の貼り合わせに用いる光学部材用粘着剤やラベル用粘着剤として用いることが
好ましい。
上記粘着剤層付き光学部材には、粘着剤層の光学部材面とは逆の面に、さらに離型フィ
ルムを設けることが好ましく、実用に供する際には、上記離型フィルムを剥離して、粘着
剤層と被着体を貼合する。かかる離型フィルムとしては、シリコーン系の離型フィルムを
用いることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えな
い限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中「部」、「%」とあるのは、
特に断りのない限り重量基準を意味する。
また、下記実施例中におけるガラス転移温度や重量平均分子量、数平均分子量、酸価、
水酸基価等に関しては、前述の方法に従って測定した。
下記の通り各成分を用意した。
以下のポリエステル系樹脂の製造例で記載する多価カルボン酸類である各成分のモル%
は、多価カルボン酸類の合計量を100モル%とした場合のモル比を示す。
また、以下の製造例で記載するポリオールである各成分のモル%は、ポリオールの合計
量を100モル%とした場合のモル比を示す。
〔ポリエステル系樹脂(A)〕
〔ポリエステル系樹脂(A-1)の製造〕
加熱装置、温度計、撹拌機、精留塔、窒素導入管、および真空装置の付いた反応缶に、
多価カルボン酸類(a1)としてイソフタル酸(IPA;a1-1)96部、セバシン酸
(SebA;a1-2)468部、ポリオール(a2)としてネオペンチルグリコール(
NPG;a2-2)271部、1,4ブタンジオール(1,4BG;a2-1)130部
、1,6-ヘキサンジオール(1、6HG;a2-1)30部、トリメチロールプロパン
(TMP;a2-3)5部、触媒として酢酸亜鉛0.05部を仕込み、内温(液温)25
0℃まで温度を上げ、4時間かけてエステル化反応を行った。
その後、内温を更に260℃まで上げ、触媒としてテトラブチルチタネート0.05部
を仕込み、1.33hPaまで減圧し、3時間かけて重縮合反応を行なうことにより、ポ
リエステル系樹脂(A-1)を得た。
得られたポリエステル系樹脂(A-1)のガラス転移温度(Tg)は-48℃、数平均
分子量は16,000、重量平均分子量(Mw)は86,000であった。その他の諸物
性等は後記の表1の通りであった。
また、出来上がり成分割合は、多価カルボン酸類(a1)としてイソフタル酸/セバシ
ン酸=20モル%/80モル%、ポリオール(a2)としてネオペンチルグリコール/1
,4ブタンジオール/1,6-ヘキサンジオール/トリメチロールプロパン=58.5モ
ル%/34モル%/6.2モル%/1.3モル%であった。
Figure 2023019373000001
〔ポリエステル系可塑剤(B-1)〕
[末端封鎖前のポリエステル系可塑剤(B’-1)の製造]
加熱装置、温度計、撹拌機、精留塔、窒素導入管、および真空装置の付いた反応缶に、
後記の表2に示す通りの多価カルボン酸類(b1)として、イソフタル酸(IPA;b1
-1)290部、アジピン酸(AdA;b1-2)255部、およびポリオール(b2)
として3-メチルペンタンジオール(MPD;b2-2)454部、触媒としてテトラブ
チルチタネート0.05部仕込み、内温250℃まで温度を上げ、4時間かけてエステル
化反応を行った。
その後、内温260℃まで上げ100hPaまで減圧し、1時間かけてエステル化反応
を行い、末端封鎖前のポリエステル系可塑剤(B’-1)を得た。得られた末端封鎖前の
ポリエステル系可塑剤(B’-1)の出来上がり成分割合は多価カルボン酸類(a1)と
してイソフタル酸/アジピン酸=50/50モル%、ポリオール(a2)として3-メチ
ル-1,5-ペンタンジオール=100モル%であった。また、酸価は0.1mgKOH
/g、水酸基価は56.0mgKOH/gであった。
得られた末端封鎖前のポリエステル系可塑剤(B’-1)の諸物性等を後記の表2に示
す。
[ポリエステル系可塑剤(B-1)の製造]
上記の末端封鎖前のポリエステル系可塑剤(B’-1)100部に対して酢酸エチル4
0部、封鎖剤としてフェニルイソシアネート11.8部を仕込み、内温60℃で4時間か
けて反応し、反応性分子末端が封鎖されたポリエステル系可塑剤(B-1)を得た。得ら
れたポリエステル系可塑剤(B-1)の酸価は0.1mgKOH/g、水酸基価は0.6
mgKOH/gであった。なお、得られたポリエステル系可塑剤(B-1)は、結晶融解
熱(J/g)のピークが観察できず、融点がなかった。
上記で得られた、反応性分子末端が封鎖されたポリエステル系可塑剤(B-1)の諸物
性等を後記の表3に示す。
Figure 2023019373000002
Figure 2023019373000003
次いで、加水分解抑制剤(C)、架橋剤(D)、ウレタン化触媒(E)として、以下の
ものを用意した。
〔加水分解抑制剤(C)〕
(C-1):ポリカルボジイミド化合物(日清紡ケミカル社製、「カルボジライトV-0
9GB」;数平均分子量 3,700;重量平均分子量 9,200;(Y)/(X)=
28.0)
〔架橋剤(D)〕
(D-1):トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物(東ソー社製、
「コロネートL55E」)
〔ウレタン化触媒(E)〕
(E-1):アセチルアセトンで固形分濃度1%に希釈したジルコニウム系化合物(マツ
モトファインケミカル社製、「オルガチックスZC-150」)
(実施例1)
上記で得られたポリエステル系樹脂(A-1)を酢酸エチルで固形分濃度50%に希釈
し、このポリエステル系樹脂(A-1)溶液100部(固形分)に対し、ポリエステル系
可塑剤(B-1)10部、加水分解抑制剤(C-1)1部(固形分)、架橋剤(D-1)
1.7部(固形分)、ウレタン化触媒(E-1)0.02部(固形分)を配合し、撹拌、
混合することにより、ポリエステル系粘着剤組成物を得た。
(実施例2)
実施例1において、ポリエステル系可塑剤(B-1)の配合量を30部、架橋剤(D-
1)の配合量を2部に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステル系粘着剤組成
物を得た。
(実施例3)
実施例1において、ポリエステル系可塑剤(B-1)の配合量を50部、架橋剤(D-
1)の配合量を2.5部に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステル系粘着剤
組成物を得た。
(実施例4)
実施例1において、ポリエステル系可塑剤脂(B-1)の配合量を100部、架橋剤(
D-1)の配合量を4部に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステル系粘着剤
組成物を得た。

(比較例1)
実施例1において、ポリエステル系可塑剤(B-1)を配合せず、架橋剤(D-1)の
配合量を1.3部に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステル系粘着剤組成物
を得た。
上記実施例1~4、および比較例1で得られたポリエステル系粘着剤組成物を用いて、
下記の通り粘着シートを作製し、種々評価をおこなった。
<片面離型フィルム付き粘着シートの作製>
実施例1~4および比較例1で得られたポリエステル系粘着剤組成物を、厚み38μm
のPETフィルム(東レ社製、「ルミラーT60」)上にアプリケータを用いて塗布した
後、100℃で3分間乾燥し、粘着剤組成物層の厚みが25μmの粘着シートを得た。
次いで、得られた粘着シートの粘着剤層表面を厚み38μmのPET製離型フィルム(
三井化学東セロ社製、「SP-PET-01-BU」)で覆った後、40℃で4日間エー
ジング処理を行うことにより、片面離型フィルム付き粘着シートを得た。
[ゲル分率]
上記で得られた片面離型フィルム付き粘着シートを50mm×50mmの大きさに裁断
した後、離型フィルムを剥がし、200メッシュのSUS製金網で包み、トルエン中に2
3℃×24時間浸漬し、浸漬前の粘着剤成分の重量と浸漬後の金網中に残存した不溶解の
粘着剤成分の重量を測定し、以下の計算式の通り百分率を算出し、ゲル分率(%)とした

ただし、基材の重量は差し引いた。
浸漬後の金網中に残存した不溶解の粘着剤成分の重量/浸漬前の粘着剤成分の重量×1
00(%)
(粘着シート評価)
[粘着力]
上記で得られた片面離型フィルム付き粘着シートを、23℃、50%RHの環境下で2
5mm×200mmの大きさに裁断した後、離型フィルムを剥がし、粘着剤層側を、(1
)鏡面仕上げステンレス鋼板(SUS-BA板)、(2)ポリプロピレン板(PP)、(
3)ポリエチレン板(PE)に2kgローラーを往復させ加圧貼付し、同雰囲気下で30
分間静置した後に、オートグラフ(島津製作所社製、「オートグラフAG-X 50N」
)を用いて、剥離速度300mm/minで180度剥離粘着力(N/25mm)を測定
した。評価基準は下記の通りである。
(評価基準)
◎・・・5N/25mmより大きく、かつ剥離状態が被着体界面剥離であった
〇・・・3N/25mmより大きく5N/25mm以下であり、かつ剥離状態が被着体
界面剥離であった
△・・・1N/25mmより大きく3N/25mm以下であり、かつ剥離状態が被着体
界面剥離であった
×・・・1N/25mm以下、もしくは剥離状態が凝集剥離か基材界面剥離であった
[耐汚染性]
上記で得られた片面離型フィルム付き粘着シートを、23℃、50%RHの環境下で2
5mm×200mmの大きさに裁断した後、離型フィルムを剥がし、粘着剤層側を、鏡面
仕上げステンレス鋼板(SUS-BA板)に2kgローラーを往復させ加圧貼付し、同雰
囲気下で30分間養生し、測定サンプルとした後に、オートグラフ(島津製作所社製、「
オートグラフAG-X 50N」)を用いて、剥離速度300mm/minで180度剥
離し、被着体である鏡面仕上げステンレス鋼板への粘着剤残渣の有無を目視で確認した。
評価基準は下記の通りである。
(評価基準)
◎・・・残渣が確認されなかった
×・・・残渣が確認された
[タック性]
上記で得られた片面離型フィルム付き粘着シートを、23℃、50%RHの環境下で1
2mm×12mmの大きさに裁断した後、離型フィルムを剥がし、プローブタック(テス
ター産業社製、TE-6001)を用いてプローブ径5mmΦ、押し込み速度10mm/
sec、引き上げ速度10mm/sec、加圧時間5秒、貼付圧力1000gf/cm
でプローブタックを測定した。評価基準は下記の通りである。
(評価基準)
◎・・・5N以上
〇・・・4N以上5N未満
△・・・3N以上4N未満
×・・・3N未満
Figure 2023019373000004
上記表4の結果より、実施例1~4の粘着剤組成物から得られる粘着シートは、粘着力
、被着体から剥離する際の耐汚染性、タック性のいずれにも優れることがわかる。
一方、ポリエステル系可塑剤(B)を含有しない比較例1の粘着剤組成物から得られる
粘着シートは、被着体剥離時の耐汚染性には優れるものの、低極性被着体であるPEに対
する粘着力、およびタック性に劣るものであった。
以上より、ポリエステル系可塑剤を含有するポリエステル系粘着剤組成物は、粘着剤と
した際の粘着特性にバランスよく優れるものであることがわかる。
本発明の粘着剤組成物は、粘着力、耐汚染性およびタック性に優れるものであり、その
ため、それを用いた粘着剤や粘着シートは、電子部材の貼り合わせ用途、及びラベル用途
に好適に用いることができる。

Claims (15)

  1. 多価カルボン酸類(a1)由来の構造単位およびポリオール(a2)由来の構造単位を
    有するポリエステル系樹脂(A)、ポリエステル系可塑剤(B)を含有してなるポリエス
    テル系粘着剤組成物であって、ポリエステル系可塑剤(B)が、多価カルボン酸類(b1
    )由来の構造単位、ポリオール(b2)由来の構造単位、および反応性分子末端封鎖剤(
    b3)由来の構造単位を有することを特徴とするポリエステル系粘着剤組成物。
  2. 上記ポリエステル系樹脂(A)の重量平均分子量が15,000~200,000であ
    ること特徴とする請求項1記載のポリエステル系粘着剤組成物。
  3. 上記ポリエステル系樹脂(A)のガラス転移温度(TgA)が-80~-25℃である
    ことを特徴とする請求項1または2記載のポリエステル系粘着剤組成物。
  4. 上記ポリエステル系樹脂(A)の酸価が5mgKOH/g以下であることを特徴とする
    請求項1~3のいずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組成物。
  5. 上記ポリエステル系可塑剤(B)の重量平均分子量が1,000~12,000である
    ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組成物。
  6. 上記ポリエステル系可塑剤(B)の含有量が、ポリエステル系樹脂(A)100重量部
    に対して0.1~150重量部であることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記
    載のポリエステル系粘着剤組成物。
  7. 上記ポリエステル系可塑剤(B)の酸価が5mgKOH/g以下であることを特徴とす
    る請求項1~6のいずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組成物。
  8. 上記ポリエステル系可塑剤(B)のガラス転移温度(TgB)が-80~0℃であるこ
    とを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組成物。
  9. 上記ポリエステル系樹脂(A)のガラス転移温度(TgA)がポリエステル系可塑剤(
    B)のガラス転移温度(TgB)よりも小さいことを特徴とする1~8のいずれか一項に
    記載のポリエステル系粘着剤組成物。
  10. 加水分解抑制剤(C)を含有することを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載
    のポリエステル系粘着剤組成物。
  11. 架橋剤(D)を含有することを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載のポリ
    エステル系粘着剤組成物。
  12. 請求項1~11のいずれか一項に記載のポリエステル系粘着剤組成物が架橋されてなる
    ことを特徴とするポリエステル系粘着剤。
  13. 請求項12記載のポリエステル系粘着剤を含有する粘着剤層を有することを特徴とする
    粘着シート。
  14. 請求項12記載のポリエステル系粘着剤から得られる粘着剤層と基材とを有する粘着シ
    ートであって、上記粘着剤層が上記基材の少なくとも片面に設けられていることを特徴と
    する粘着シート。
  15. 請求項12記載のポリエステル系粘着剤から得られる粘着剤層を有する粘着シートであ
    って、基材を有しない基材レスタイプであることを特徴する粘着シート。
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