JP7173252B2 - 粘着剤組成物、粘着剤及び粘着剤層 - Google Patents

粘着剤組成物、粘着剤及び粘着剤層 Download PDF

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本発明は、粘着剤組成物及びこの粘着剤組成物が架橋されてなる粘着剤、及び粘着剤層に関し、更に詳しくは、低誘電率及び低誘電正接であり、粘着物性に優れた粘着剤組成物及びこの粘着剤組成物が架橋された粘着剤、粘着剤層に関する。
従来、ポリエステル系樹脂は、耐熱性、耐薬品性、耐久性、機械的強度に優れているため、フィルムやペットボトル、繊維、トナー、電機部品、接着剤、粘着剤等、幅広い用途で用いられている。また、ポリエステル系樹脂はそのポリマー構造から極性が高いため、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、エポキシ樹脂等の極性ポリマー、及び銅、アルミニウム等の金属材料に対して優れた粘着性を発現することが知られている。
例えば、特許文献1には、硬化時の寸法安定性に優れ、硬化後の接着性、耐熱性、屈曲性、電気絶縁性、低誘電率及び低誘電正接に優れる熱硬化性接着シートを得ることを目的として、有機金属化合物又はエポキシ基含有化合物の少なくとも一方と反応し得る反応性官能基と、ハロゲン以外のヘテロ原子を有する官能基との合計量が0.01mmol/g以上、9mmol/g以下の樹脂(例えばポリエステル系樹脂)、有機金属化合物、及び3官能以上のエポキシ基含有化合物を含む熱硬化性組成物が提案されている。
特開2017-031301号公報
しかしながら、近年、伝送信号の高周波化に伴い、デバイス固定用・貼り合わせ用の粘着剤等にも低誘電特性、特には低誘電正接が求められるようになってきている。
上記特許文献1の開示技術では、低誘電率及び低誘電正接や低吸水率化のためにエステル結合濃度を低くしたりしているが、近年の低誘電特性の要求は非常に高く、エステル結合濃度を低くすることだけでは不充分で、更なる改良が求められるものであった。
そこで、本発明ではこのような背景下において、低誘電率及び低誘電正接であり、粘着物性に優れた粘着剤組成物及びこの粘着剤組成物が架橋された粘着剤、粘着剤層の提供を目的とする。
なお、粘着剤としては、通常アクリル系樹脂を用いた粘着剤が幅広く用いられており、また、低誘電正接を目指したアクリル系粘着剤も知られているが、低誘電正接のアクリル系粘着剤は設計上粘着力が非常に低くなるという問題があった。また、粘着力に関しては粘着付与剤を多量に添加することで改善は可能であるが、それにより透明性、耐熱性、耐久性等が悪化するという問題があり、アクリル系粘着剤では低誘電正接と粘着物性を高いレベルで両立することは困難であった。
本発明においては、低誘電特性と粘着物性を高いレベルで両立できる点でアクリル系粘着剤よりも優れるポリエステル系粘着剤を得ることを前提とするものである。
しかるに本発明者らは、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、多価カルボン酸類由来の構造単位と多価アルコール類由来の構造単位を含むポリエステル系樹脂であって、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下であり、温度23℃、相対湿度50%RH環境下での10GHzにおける誘電正接(α)が0.01以下であるポリエステル系樹脂(A)及び架橋剤(B)を含有することにより、本発明の目的に合致することを見出し、本発明を完成した。
また本発明は、上記粘着剤組成物が架橋された粘着剤、及び、粘着剤層も提供するものである。
上記特許文献1に関して述べたように、通常、吸水率や誘電率、誘電正接を低下させるためには長鎖アルキル基を有する多価カルボン酸や多価アルコールを多量に用い、エステル結合濃度を低くすることが考えられるが、一方で、湿熱環境下での長期耐久性が低下することとなってしまう。また、エステル結合濃度を低くすることでは、更なる低誘電特性までを得ることは困難である。
本発明者らは、ポリエステル系樹脂を構成するモノマーの組成等を調整し、更に、ガラス転移温度(Tg)を最適化することにより、低誘電率及び低誘電正接であり、粘着物性に優れることを見出し、本発明を完成させたものである。
本発明の粘着剤組成物は、低誘電率及び低誘電正接であり、粘着物性に優れた粘着剤を形成するものであり、とりわけかかる粘着剤組成物は、高周波信号を送受信する電子機器に用いられる粘着剤として有効である。
以下、本発明の構成につき詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。
なお、本発明において、化合物名の後に付された「類」は当該化合物に加え、当該化合物の誘導体をも包括する概念である。例えば、「カルボン酸類」との用語は、カルボン酸に加え、カルボン酸塩、カルボン酸無水物、カルボン酸ハロゲン化物、カルボン酸エステル等のカルボン酸誘導体も含むものである。
また、「X及び/又はY(X,Yは任意の構成)」とは、X及びYの少なくとも一方を意味するものであって、Xのみ、Yのみ、X及びY、の3通りを意味するものである。
本発明の粘着剤組成物は、多価カルボン酸類由来の構造単位と多価アルコール類由来の構造単位を含むポリエステル系樹脂(A)を少なくとも含有する。まず、ポリエステル系樹脂(A)について説明する。
<ポリエステル系樹脂(A)>
ポリエステル系樹脂(A)は、多価カルボン酸類由来の構造単位と多価アルコール類由来の構造単位を分子中に含むものであり、好ましくは、多価カルボン酸類と多価アルコール類とをエステル結合させて得られるものである。
〔多価カルボン酸類〕
多価カルボン酸類における多価カルボン酸としては、例えば、後述する芳香族多価カルボン酸;後述する酸無水物基数が0又は1である3価以上の多価カルボン酸(a1);1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸とその酸無水物等の脂環族多価カルボン酸;コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の脂肪族多価カルボン酸を挙げることができる。多価カルボン酸類は1種又は2種以上を用いることができる。
多価カルボン酸類は、低誘電特性の観点から芳香族多価カルボン酸類を含有することが好ましい。芳香族多価カルボン酸類としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、イソフタル酸ジメチル、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸ジメチル、ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸やその誘導体(芳香族ジカルボン酸類)が挙げられる。また、p-ヒドロキシ安息香酸、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸等の芳香族オキシカルボン酸類等を挙げることができる。更に、ポリエステル系樹脂(A)に分岐骨格や酸価を付与する目的で導入される3官能以上の芳香族カルボン酸類も上記の芳香族多価カルボン酸類に含まれる。3官能以上の芳香族カルボン酸類としては、例えば、トリメリット酸、トリメシン酸、エチレングルコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4'-(ヘキサフロロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、2,2'-ビス[(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物等が挙げられる。
これらの中でも芳香族ジカルボン酸類を(主成分として)用いることが好ましく、特に好ましくはテレフタル酸類、イソフタル酸類、ナフタレンジカルボン酸類であり、粘着特性及び低誘電特性の観点から更に好ましくはイソフタル酸類である。
多価カルボン酸類全体に対する芳香族多価カルボン酸類の含有量は、25モル%以上であることが好ましく、より好ましくは40モル%以上、更に好ましくは70モル%以上、特に好ましくは90モル%以上、最も好ましくは100モル%である。芳香族多価カルボン酸類の含有量が少なすぎると、湿熱環境下での長期耐久性が不充分となったり、誘電特性に劣る傾向があり、特に低誘電正接が得難い傾向がある。
なお、誘電特性に劣るとは、比誘電率や誘電正接の値が小さくならないこと、あるいは、値が大きくなることを意味するものである。
多価カルボン酸類全体に対する芳香族多価カルボン酸類の含有量(モル比)は下記式から求められる。
芳香族酸類含有量(モル%)=(芳香族多価カルボン酸類(モル)/多価カルボン酸類(モル))×100
また、ポリエステル系樹脂(A)全体に対する芳香族多価カルボン酸類の含有量は2~55重量%であることが好ましく、より好ましくは10~50重量%、更に好ましくは15~45重量%、特に好ましくは18~40重量%である。芳香族多価カルボン酸類の含有量が少なすぎると、誘電特性に劣る傾向があり、特に低誘電正接が得難い傾向があり、多すぎるとタック性が不充分となる傾向がある。
ポリエステル系樹脂(A)に酸価を付与する場合、多価カルボン酸類は、酸無水物基数が0又は1である3価以上の多価カルボン酸類を含有することが粘着力の観点から好ましい。かかる多価カルボン酸類におけるカルボキシ基の価数は、好ましくは3~6価であり、より好ましくは3~4価である。かかる多価カルボン酸類としては、例えば、上記の3官能以上の芳香族多価カルボン酸類のうち酸無水物基数が0又は1であるものが挙げられる。例えば、トリメリット酸無水物、トリメリット酸、トリメシン酸等が挙げられ、これらの中でも、酸無水物基数が1であるものが好ましく、トリメリット酸無水物が特に好ましい。
また、酸無水物基数が0又は1である3価以上の多価カルボン酸類のうち芳香族多価カルボン酸類以外のものとしては、例えば、水添トリメリット酸無水物等が挙げられる。
なお、スルホテレフタル酸、5-スルホイソフタル酸、4-スルホフタル酸、4-スルホナフタレン-2,7-ジカルボン酸、5(4-スルホフェノキシ)イソフタル酸、等のスルホン酸基を有する芳香族ジカルボン酸、及びそれらの金属塩やアンモニウム塩等のスルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸塩は、ポリエステル系樹脂(A)の吸湿性の点から、多価カルボン酸類全体に対する含有量が10モル%以下であることが好ましく、より好ましくは5モル%以下、特に好ましくは3モル%以下、更に好ましくは1モル%以下であり、最も好ましくは0モル%である。
〔多価アルコール類〕
多価アルコール類としては、例えば、ダイマージオール類、ビスフェノール骨格含有モノマー、脂肪族多価アルコール、脂環族多価アルコール、芳香族多価アルコールが挙げられる。多価アルコール類は1種又は2種以上を用いることができる。
本発明において、ポリエステル系樹脂(A)を構成する化合物は、多価アルコール類としてダイマージオール類を含有することが好ましい。
ダイマージオール類としては、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸等から誘導されるダイマー酸類(炭素数36~44のものを主とする)の還元体であるダイマージオール類、及びそれらの水素添加物等が挙げられる。なかでもポリエステル系樹脂(A)の製造時におけるゲル化抑制の点から、水素添加物が好ましい。
多価アルコール類全体に対するダイマージオールの含有量は、10~100モル%であることが好ましく、より好ましくは20~95モル%、特に好ましくは30~90モル%、更に好ましくは40~88モル%であり、最も好ましくは55~85モル%である。ダイマージオール類の含有量が少なすぎると低吸湿性や誘電特性、及びタック性に劣る傾向があり、多すぎると粘着力が不充分となる傾向がある。
また、ポリエステル系樹脂(A)全体に対するダイマージオール類の含有量は20~95重量%であることが好ましく、より好ましくは30~90重量%、更に好ましくは40~85重量%、特に好ましくは50~80重量%である。ダイマージオール類の含有量が少なすぎると、低吸湿性や誘電特性、及びタック性に劣る傾向があり、多すぎると粘着力が不充分となる傾向がある。
ビスフェノール骨格含有モノマーとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールE、ビスフェノールF、ビスフェノールAP、ビスフェノールBP、ビスフェノールP、ビスフェノールPH、ビスフェノールS、ビスフェノールZ、4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノン、ビスフェノールフルオレンやそれらの水添物、及びビスフェノール類の水酸基にエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドを1~数モル付加して得られるエチレンオキサイド付加物等やプロピレンオキサイド付加物等のグリコール類等が挙げられる。なかでも低誘電特性の点からは縮合多環式芳香族骨格を有するビスフェノールフルオレンが好ましく、反応性の点からはエチレンオキサイド付加物が好ましく、特に耐熱性や低吸湿性、湿熱環境下での長期耐久性の点からエチレンオキサイド2~3モル付加物が好ましく、最も好ましくはビスフェノキシエタノールフルオレンである。
脂肪族多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、2-エチル-2-ブチルプロパンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール等を挙げることができる。なかでも、後述する芳香環含有量を高めることができる点から、炭素数5以下のものを用いることが好ましい。
脂環族多価アルコールとしては、例えば、1,4-シクロヘキサンジオ-ル、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジオール、トリシクロデカンジメタノール、スピログリコール等を挙げることができる。
芳香族多価アルコールとしては、例えば、パラキシレングリコール、メタキシレングリコール、オルトキシレングリコール、1,4-フェニレングリコール、1,4-フェニレングリコ-ルのエチレンオキサイド付加物等を挙げることができる。
更に、ジオール由来の構造単位としては、目的とする分子量のポリマーを容易に得るために、ポリエステルジオール由来の構造単位、ポリエーテルジオール由来の構造単位、ポリカプロラクトンジオール由来の構造単位、ポリカーボネートジオール由来の構造単位、ポリブタジエンジオール由来の構造単位、ポリイソプレンジオール由来の構造単位等を有していてもよく、誘電特性の点から、ポリブタジエンジオール、ポリイソプレンジオール由来の構造単位を持つことが好ましい。
ポリブタジエンジオール由来の構造単位、ポリイソプレンジオール由来の構造単位としては、ポリエステル系樹脂(A)のゲル化抑制の観点から、水素添加物を使用することが好ましい。また、分子量は500~5000であることが好ましい。
本発明においては、低誘電正接の点から、芳香環含有量を高くすることが好ましい。
ポリエステル系樹脂(A)全体に対する芳香環含有量は、低誘電正接の点から、3重量%以上であることが好ましく、より好ましくは6重量%以上、特に好ましくは8重量%以上、更に好ましくは10重量%以上である。一方で、タック性の観点からは芳香環含有量は40重量%以下であることが好ましく、より好ましくは30重量%以下、特に好ましくは25重量%以下、更に好ましくは20重量%以下である。
ここで、本発明における芳香環含有量の定義及び計算方法については以下のとおりである。
芳香環含有量とは、ポリエステル系樹脂(A)中における芳香環を構成する原子が占める重量割合である。なお、ビスフェノール骨格由来の2つの芳香環部位については、低誘電特性に寄与しないため本発明における芳香環含有量には含めない。ビスフェノール骨格由来の2つの芳香環部位が低誘電正接に寄与しない理由は定かではないが、例えば立体的要因からビスフェノール骨格由来の2つの芳香環は芳香環同士のスタッキングに関与できないためと推測される。
芳香環含有量はポリエステル系樹脂(A)の組成から計算で求められる。かかる計算方法は以下のとおりである。
芳香環含有量=A1×(a11×m11+a12×m12+a13×m13・・・)/(x1-y1)+A2×(a21×m21+a22×m22+a23×m23・・・)/(x2-y2)+A3×(a31×m31+a32×m32+a33×m33・・・)/(x3-y3)・・・
A:ポリエステル系樹脂(A)中における各モノマー由来の構造単位の含有量(重量%)
a:各モノマー中の芳香環を構成する原子の原子量(例えば、炭素であれば12、窒素であれば14、等である。また原子が2種以上存在する場合には、上式のa11、a12、a13、・・・に相当し、例えば、a11:炭素、a12:窒素、a13:酸素となる。)
m:各モノマー中の芳香環を構成する原子の数
x:各モノマーの分子量
y:各モノマー中の脱離基の式量の総和
なお、ビスフェノール骨格由来の2つの芳香環部位については、上記理由のとおり、芳香環を構成する原子として含めない(m=0として扱う)。
また、分子構造の中に水酸基とカルボキシ基を有するオキシカルボン酸化合物もポリエステル系樹脂(A)の原料化合物として使用することができる。かかるオキシカルボン酸化合物としては、例えば、5-ヒドロキシイソフタル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、p-ヒドロキシフェニルプロピオン酸、p-ヒドロキシフェニル酢酸、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、4,4-ビス(p-ヒドロキシフェニル)バレリック酸等が挙げられる。
本発明で使用されるポリエステル系樹脂(A)は、後述する解重合反応で使用する多価カルボン酸類とは別に、分岐骨格を導入する目的で、3官能以上の多価カルボン酸類、及び3官能以上の多価アルコール類からなる群から選ばれる少なくとも一つが共重合されていることが好ましい。特に、架橋剤と反応させて架橋構造を形成する場合、分岐骨格を導入することによって、樹脂の反応点が増え、架橋密度が高い、強度な粘着剤層を得ることができる。
その場合の3官能以上の多価カルボン酸類としては、例えば、トリメリット酸、トリメシン酸、エチレングルコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4'-(ヘキサフロロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、2,2'-ビス[(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物等の化合物等が挙げられる。
また、3官能以上の多価アルコール類としては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
3官能以上の多価カルボン酸類及び3官能以上の多価アルコール類は、それぞれ1種又は2種以上を用いることができる。
後述する解重合反応で使用する多価カルボン酸類とは別に、分岐骨格を導入する目的で3官能以上の多価カルボン酸類、及び3官能以上の多価アルコール類からなる群から選ばれる少なくとも一つを使用する場合は、多価カルボン酸類全体に対する3官能以上の多価カルボン酸類の含有量、又は多価アルコール類全体に対する3官能以上の多価アルコール類の含有量は、それぞれ好ましくは0.1~5モル%、より好ましくは0.3~3モル%、更に好ましくは0.5~2モル%の範囲である。両方又はいずれか一方の含有量が多すぎると、粘着剤の塗布により形成された塗膜の破断点伸度等の力学物性が低下することとなり粘着力が低下する傾向があり、また重合中にゲル化を起こす傾向もある。
〔ポリエステル系樹脂(A)の製造〕
本発明に用いるポリエステル系樹脂(A)は周知の方法により製造することができる。
例えば、多価カルボン酸類と多価アルコール類とを、必要に応じて触媒の存在下で、エステル化反応に付してポリエステル系樹脂を得て、更に必要に応じて酸価を導入することにより製造することができる。
ポリエステル系樹脂に酸価を導入する方法としては、例えば、エステル化反応後や減圧重縮合後に酸付加によってカルボン酸を樹脂に導入する方法が挙げられる。酸付加にモノカルボン酸、ジカルボン酸、多官能カルボン酸化合物を用いると、エステル交換により分子量の低下が起こる可能性があり、カルボン酸無水物を少なくとも一つもった化合物を用いることが好ましい。酸無水物としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、オルソフタル酸無水物、2,5-ノルボルネンジカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、4,4'-(ヘキサフロロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、2,2'-ビス[(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物等の化合物等が挙げられる。
ポリエステル系樹脂(A)を構成する全多価カルボン酸類を100モル%としたとき、15モル%以上の酸付加を行うと、ゲル化を起こすことがある。酸付加の方法としては、バルク状態で直接付加する方法と、ポリエステルを溶液化し付加する方法が挙げられる。
バルク状態での反応は、速度が速いが、多量に付加するとゲル化が起こることがあり、かつ高温での反応になるので、酸素ガスを遮断し酸化を防ぐ等の注意が必要である。一方、溶液状態での付加は、反応は遅いが、多量のカルボキシ基を安定に導入することができる。
また、側鎖にカルボキシ基を有するポリエステル系樹脂を得るに際しては、多価カルボン酸無水物を除く多価カルボン酸類と多価アルコール類とを共重合して得られる水酸基含有プレポリマーに、多価カルボン酸無水物を反応させる方法が生産性の点で好ましい。
本発明においては、また、別の周知の方法、例えば、多価カルボン酸類と多価アルコール類とを、必要に応じて触媒の存在下で、エステル化反応に付してプレポリマーを得た後、重縮合を行い、更に解重合を行うことにより製造することができる。
多価カルボン酸類と多価アルコール類とのエステル化反応における温度は、通常180~280℃であり、反応時間は通常60分~8時間である。
重縮合における温度は、通常220~280℃であり、反応時間は通常20分~4時間である。また、重縮合は減圧下で行うことが好ましい。
解重合は、酸無水物基数が0又は1である3価以上の多価カルボン酸類を用いることが粘着力の点から好ましい。酸無水物基数が0又は1である3価以上の多価カルボン酸類としては、例えば、トリメリット酸、トリメリット酸無水物、水添トリメリット酸無水物、トリメシン酸等の化合物が挙げられる。好ましくは、分子量低下を抑制できる点から酸無水物基数が1である3価以上の多価カルボン酸類であり、例えば、トリメリット酸無水物、水添トリメリット酸無水物等が挙げられ、特には低誘電正接の点からトリメリット酸無水物が好ましい。
解重合における温度は、通常200~260℃であり、反応時間は通常10分~3時間である。
ポリエステル系樹脂(A)を構成する全多価カルボン酸類を100モル%としたとき、酸無水物基数が0又は1である3価以上の多価カルボン酸類を20モル%を超えて用いて解重合を行うと、樹脂の分子量が大きく低下することがある。したがって、ポリエステル系樹脂(A)を構成する全多価カルボン酸類を100モル%としたとき、酸無水物基数が0又は1である3価以上の多価カルボン酸類を20モル%以下用いて解重合を行うことが好ましく、より好ましくは1~15モル%、特に好ましくは2~10モル%、更に好ましくは3~8モル%を用いて解重合を行う。
〔ポリエステル系樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)〕
本発明に用いるポリエステル系樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、0℃以下であり、好ましくは-70~-5℃、より好ましくは-60~-10℃、特に好ましくは-50~-15℃、更に好ましくは-40~-20℃、最も好ましくは-35~-25℃である。
ガラス転移温度(Tg)が低すぎると、誘電特性に劣る傾向があり、ガラス転移温度(Tg)が高すぎると、タック性が不充分になる傾向がある。
ガラス転移温度(Tg)の測定方法は以下のとおりである。
ガラス転移温度(Tg)は示差走査熱量計を用いて測定することにより求めることができる。なお、測定条件は、測定温度範囲-90~100℃、温度上昇速度10℃/分である。
[ポリエステル系樹脂(A)の酸価と水酸基価の合計]
本発明において、ポリエステル系樹脂(A)は、架橋剤によって架橋されるものであり、架橋点として酸価及び/又は水酸基価を持つことが好ましく、酸価と水酸基価の合計は、1~40mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは2~20mgKOH/gであり、特に好ましくは3~25であり、更に好ましくは4~15mgKOH/gである。かかる酸価と水酸基価の合計が少なすぎると架橋点が少なくなることにより粘着剤のゲル分率を所望の値に調整することが困難となる傾向があり、高すぎると誘電特性、特に誘電正接に劣る傾向がある。
《ポリエステル系樹脂(A)の酸価が水酸基価より少ない場合の酸価と水酸基価》
(ポリエステル系樹脂(A)の酸価)
本発明に用いるポリエステル系樹脂(A)の酸価は5mgKOH/g以下であることが好ましく、より好ましくは4mgKOH/g以下、特に好ましくは3mgKOH/g以下、更に好ましくは2mgKOH/g以下、最も好ましくは1mgKOH/g以下である。
酸価が高すぎると、ポリエステルが加水分解しやすくなり湿熱耐久性が悪くなる傾向がある。
酸価の定義や測定方法については以下のとおりである。
酸価(mgKOH/g)は、ポリエステル系樹脂(A)1gをトルエン/メタノールの混合溶剤(例えば、体積比でトルエン/メタノール=7/3)30gに溶解し、JIS K 0070に基づき中和滴定により求めることができる。
なお、本発明において、ポリエステル系樹脂(A)の酸価は、樹脂中におけるカルボキシ基の含有量に起因するものである。
(ポリエステル系樹脂(A)の水酸基価)
また、上記ポリスエテル系樹脂(A)の水酸基価は1mgKOH/g以上であることが好ましく、特には2~30mgKOH/g、更には3~20mgKOH/g、より好ましくは4~15mgKOH/g、殊には5~10mgKOH/gであることが好ましい。かかる水酸基価が低すぎると、粘着剤層のゲル分率を所望の値に調整することが困難となり、所望の粘着物性を得ることが困難となる傾向がある。なお、かかる水酸基価が高すぎると、誘電特性、特には誘電正接が劣る傾向がある。
《ポリエステル系樹脂(A)の酸価が水酸基価と同じ、又は多い場合の酸価と水酸基価》
(ポリエステル系樹脂(A)の酸価)
本発明に用いるポリエステル系樹脂(A)の酸価は40mgKOH/g以下であることが好ましく、より好ましくは2~35mgKOH/g、特に好ましくは5~30mgKOH/g、更に好ましくは10~25mgKOH/g、最も好ましくは12~20mgKOH/gである。
酸価が高すぎると、湿熱耐久性の観点からエポキシ等の架橋剤を一定量配合する必要があるため、粘着剤層のゲル分率を所望の値に調整することが困難となり、所望の粘着物性を得ることが困難となる傾向がある。
(ポリエステル系樹脂(A)の水酸基価)
また、上記ポリスエテル系樹脂(A)の水酸基価は10mgKOH/g以下であることが好ましく、特には5mgKOH/g以下、更には3mgKOH/g以下、より好ましくは1mgKOH/g以下であることが好ましい。かかる水酸基価が高すぎると、誘電特性、特には誘電正接が劣る傾向がある。
上記ポリエステル系樹脂(A)の水酸基価は、JIS K 0070に基づき中和滴定により求められるものである。
〔ポリエステル系樹脂(A)のエステル結合濃度〕
本発明に用いるポリエステル系樹脂(A)のエステル結合濃度は、7ミリモル/g以下であることが好ましく、より好ましくは2~6.5ミリモル/g、更に好ましくは2.3~6ミリモル/g、特に好ましくは2.5~5.5ミリモル/g、殊に好ましくは2.8~5ミリモル/gである。
エステル結合濃度が高すぎると、低吸湿性が不充分となる傾向があり、エステル結合濃度が低すぎると、粘着力が不充分となる傾向がある。
エステル結合濃度の定義や測定方法については以下のとおりである。
エステル結合濃度(ミリモル/g)とは、ポリエステル系樹脂(A)1g中のエステル結合のモル数のことであり、例えば、仕込み量からの計算値で求められる。かかる計算方法は、多価カルボン酸類と多価アルコール類の各仕込み量のうち、より少ない方のモル数を樹脂全体重量で割った値であり、計算式の例を以下に示す。
なお、多価カルボン酸類と多価アルコール類の各仕込み量が同モル量の場合には、下記のどちらの計算式を用いてもよい。
また、モノマーとして、カルボキシ基と水酸基を両方持ったものを使ったり、カプロラクトン等からポリエステルを作製する場合等は、計算方法を適宜変えることとなる。
(多価カルボン酸類が多価アルコール類よりも少ない場合)
エステル基濃度(ミリモル/g)=〔(A1/a1×m1+A2/a2×m2+A3/a3×m3・・・)/Z〕×1000
A:多価カルボン酸類の仕込み量(g)
a:多価カルボン酸類の分子量
m:多価カルボン酸類の1分子あたりのカルボン酸基の数
Z:出来上がり重量(g)
(多価アルコール類が多価カルボン酸類よりも少ない場合)
エステル基濃度(ミリモル/g)=〔(B1/b1×n1+B2/b2×n2+B3/b3×n3・・・)/Z〕×1000
B:多価アルコール類の仕込み量(g)
b:多価アルコール類の分子量
n:多価アルコール類の1分子あたりの水酸基の数
Z:出来上がり重量(g)
上記エステル結合濃度は、NMR等を用いて公知の方法で測定することもできる。
また、エステル結合や反応性官能基以外のその他極性基濃度は、低吸湿性や湿熱環境下での長期耐久性の点から低い方が好ましい。
その他極性基としては、例えば、アミド基、イミド基、ウレタン基、ウレア基、エーテル基、カーボネート基等が挙げられる。
アミド基、イミド基、ウレタン基、ウレア基は、それらの合計の濃度が3ミリモル/g以下であることが好ましく、より好ましくは2ミリモル/g以下、特に好ましくは1ミリモル/g以下、更に好ましくは0.5ミリモル/g以下であり、最も好ましくは0.2ミリモル/g以下である。
エーテル基としては、例えば、アルキルエーテル基やフェニルエーテル基が挙げられ、低吸湿性や湿熱環境下での長期耐久性の点から特にアルキルエーテル基の濃度を低くすることが好ましい。アルキルエーテル基濃度としては、3ミリモル/g以下であることが好ましく、より好ましくは2ミリモル/g以下、特に好ましくは1.5ミリモル/g以下、更に好ましくは1ミリモル/g以下であり、最も好ましくは0.5ミリモル/g以下である。また、フェニルエーテル基濃度としては、5ミリモル/g以下であることが好ましく、より好ましくは4ミリモル/g以下、特に好ましくは3ミリモル/g以下、更に好ましくは2.5ミリモル/g以下である。
カーボネート基濃度としては、3ミリモル/g以下であることが好ましく、より好ましくは2ミリモル/g以下、特に好ましくは1ミリモル/g以下、更に好ましくは0.5ミリモル/g以下であり、最も好ましくは0.2ミリモル/g以下である。
〔ポリエステル系樹脂(A)のピークトップ分子量(Mp)及び重量平均分子量(Mw)〕
本発明に用いるポリエステル系樹脂(A)のピークトップ分子量(Mp)は、5000~150000が好ましく、より好ましくは10000~120000、特に好ましくは15000~100000、更に好ましくは20000~80000である。
ピークトップ分子量(Mp)が低すぎると、低吸湿性、湿熱環境下での長期耐久性、保持力が不充分となる傾向がある。また、ピークトップ分子量(Mp)が高すぎると、粘着力が不充分となったり、塗布時の溶液粘度が高すぎて、均一な塗膜が得られ難くなる傾向がある。
本発明に用いるポリエステル系樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、5000~500000が好ましく、より好ましくは10000~300000、特に好ましくは20000~200000、更に好ましくは30000~150000である。
重量平均分子量(Mw)が低すぎると、低吸湿性、湿熱環境下での長期耐久性、保持力が不充分となる傾向がある。また、重量平均分子量(Mw)が高すぎると、粘着力が不充分となったり、塗布時の溶液粘度が高すぎて、均一な塗膜が得られ難くなる傾向がある。
ピークトップ分子量(Mp)及び重量平均分子量(Mw)の測定方法は以下のとおりである。
ピークトップ分子量(Mp)及び重量平均分子量(Mw)は、高速液体クロマトグラフィー(東ソー社製、「HLC-8320GPC」)にてカラム(TSKgel SuperMultipore HZ-M(排除限界分子量:2×106、理論段数:16000段/本、充填剤材質:スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:4μm))の2本直列を用いて測定し、標準ポリスチレン分子量換算により求めることができる。
〔ポリエステル系樹脂(A)の吸水率(重量%)〕
本発明に用いるポリエステル系樹脂(A)の吸水率は、2重量%以下が好ましく、より好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.8重量%以下、更に好ましくは0.6重量%以下である。
吸水率が高すぎると湿熱耐久性、絶縁信頼性が低下したり、誘電特性に劣る傾向がある。
吸水率の測定方法は以下のとおりである。
ポリエステル系樹脂溶液(架橋剤配合前)を離型フィルム上にアプリケーターで塗布、120℃で10分間乾燥し、ポリエステル系樹脂層の乾燥膜厚が65μmのシートを作製した。このシートを7.5cm×11cmのサイズに切り出し、シートのポリエステル系樹脂層面をガラス板上にラミネートした後、離型フィルムを剥がした。この作業を6回繰り返すことで、ガラス板上に厚み390μmのポリエステル系樹脂層を有する試験板を得る。
このようにして得られる試験板を23℃の精製水に24時間浸漬させた後、取り出して表面の水気をふき取り、70℃で2時間乾燥させた。これらの各工程において必要な重量を測定して、下記式に従って重量変化から吸水率(重量%)を算出する。
(c-d)×100/(b-a)
a:ガラス板単独の重量
b:初期の試験板の重量
c:精製水から取り出して水気をふき取った直後の試験板の重量
d:70℃で2時間乾燥させた後の試験板の重量
〔ポリエステル系樹脂(A)の誘電特性〕
(比誘電率(Dk))
本発明に用いるポリエステル系樹脂(A)の温度23℃、相対湿度50%RH環境下での周波数10GHzにおける比誘電率は、2.9以下が好ましく、より好ましくは2.8以下、特に好ましくは2.7以下、更に好ましくは2.6以下である。上記比誘電率が高すぎると伝送速度が劣ったり伝送損失が大きくなる傾向がある。
(誘電正接(Df))
本発明に用いるポリエステル系樹脂(A)の温度23℃、相対湿度50%RH環境下での周波数10GHzにおける誘電正接は、0.01以下であり、好ましくは0.009以下、より好ましくは0.008以下、特に好ましくは0.007以下、更に好ましくは0.006以下、殊に好ましくは0.005以下、最も好ましくは0.0045以下である。上記誘電正接が高すぎると伝送損失が大きくなる。
比誘電率及び誘電正接の測定方法はネットワークアナライザを用いた空洞共振器摂動法により求めることができる。なお、ポリエステル系樹脂の粘着性が強く単独での測定サンプルの作製が困難な場合は、フィルムにサンドした状態で測定し、フィルム分を差し引くことでポリエステル系樹脂単独の誘電特性を算出することもできる。
かくして本発明において、従来に比べて、誘電正接の非常に小さいポリエステル系樹脂(A)を得ることができる。
そして、誘電正接の非常に小さいポリエステル系樹脂(A)は、高周波数領域での伝送損失を抑制できる点から、電子材料部材の貼り合わせ等に用いる粘着剤の原料として非常に有用となる。
また、本発明においては、非結晶性のポリエステル系樹脂であることが溶剤溶解性及びその溶液安定性、タック性、透明性等の点で好ましい。結晶性であると溶剤溶解性やその溶液安定性、タック性、透明性等が不充分となる傾向がある。
非結晶性とは、示差走査熱量計により確認することができ、例えば、測定温度範囲-90~400℃、温度上昇速度10℃/分で測定した際に結晶融解による吸熱ピークが観測されないものをいう。なお、測定温度範囲や昇温速度はサンプルに応じて適宜変更することができる。
また、本発明においては、ポリエステル系樹脂(A)が非ハロゲン系の有機溶剤に可溶であることが後述の粘着剤組成物とする点から好ましい。かかる有機溶剤に対する溶解性が不充分であると、粘着剤組成物の調製が困難となる傾向がある。
上記非ハロゲン系の有機溶剤とは、例えば、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、ソルベッソ等の芳香族系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸ノルマルブチル等エステル系溶剤、セロソルブアセテート、メトキシアセテート等のアセテート系溶剤、又はそれら溶剤の2種類以上の混合物等である。
<架橋剤(B)>
本発明の粘着剤組成物は、架橋剤(B)を更に含有することが好ましい。架橋剤(B)を含有させることにより、ポリエステル系樹脂(A)中の官能基とかかる官能基と反応する官能基を有する架橋剤(B)とが反応し、架橋して、粘着力や耐熱性、耐久性に優れた粘着剤を得ることができる。
かかる架橋剤(B)としては、例えば、ポリイソシアネート系化合物(b1)、ポリエポキシ系化合物(b2)、金属キレート系化合物(b3)等、ポリエステル系樹脂(A)に含まれる水酸基及びカルボキシ基の少なくとも一方と反応する官能基を有する化合物が挙げられ、ポリエステル系樹脂(A)に含まれる官能基が水酸基の時は、反応性及びゲル分率の調整の容易さの点でポリイソシアネート系化合物(b1)であることが好ましく、ポリエステル系樹脂(A)に含まれる官能基がカルボキシ基の時は、ポリエポキシ系化合物(b2)、金属キレート系化合物(b3)であることが好ましく、併用することも好ましい。なお、両官能基を含む場合は、いずれの架橋剤を使うことができ、併用することも好ましい。なかでも粘着物性の調整がしやすい点では、ポリエステル系樹脂(A)が水酸基を含み、ポリイソシアネート系化合物(b1)であることが好ましく、粘着層の耐熱性の点では、ポリエステル系樹脂(A)がカルボキシ基を含む場合は、ポリエポキシ系化合物(b2)であることが好ましい。
また、架橋剤同士が反応し、ポリエステル系樹脂(A)と絡み合いを作ることで、疑似架橋させることもでき、その場合の架橋剤としては例えば、多官能(メタ)アクリル系モノマーや多官能ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
「ポリエステル系樹脂(A)の酸価が水酸基価より少ない場合」は、架橋剤(B)はポリイソシアネート系化合物(b1)が好ましく、「ポリエステル系樹脂(A)の酸価が水酸基価と同じか多い場合」は、架橋剤(B)はポリエポキシ系化合物(b2)が好ましい。
上記ポリイソシアネート系化合物(b1)としては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート等のトリレンジイソシアネート系架橋剤、1,3-キシリレンジイソシアネート等のキシリレンジイソシアネート系架橋剤、ジフェニルメタン-4,4-ジイソシアネート等のジフェニルメタン系架橋剤、1,5-ナフタレンジイソシアネート等のナフタレンジイソシアネート系架橋剤等の芳香族系イソシアネート系架橋剤;イソホロンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル-4,4'-ジイソシアネート、1,3-ジイソシアナトメチルシクロヘキサン、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環族系イソシアネート系架橋剤;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族系イソシアネート系架橋剤;上記イソシアネート系化合物のアダクト体、ビュレット体、イソシアヌレート体等が挙げられる。なお、上記ポリイソシアネート系化合物は、フェノール、ラクタム等でイソシアネート部分がブロックされたものでも使用することができる。これらの多価イソシアネート系化合物は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上混合して使用してもよい。なかでも、相溶性や誘電特性の観点から、脂環族系イソシアネート系架橋剤や脂肪族系イソシアネート系架橋剤が好ましく、とりわけ、脂環族イソシアネート系架橋剤が好ましく、更には、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体やアダクト体が好ましい。
水酸基に対するイソシアネート基の当量は、0.2~5が好ましく、より好ましくは0.3~3、特に好ましくは0.5~2.0、更に好ましくは1.0~1.6である。
当該当量が大きすぎると、粘着力や粘着シートの経時安定性が不充分となったりする傾向がある。また、小さすぎると、湿熱環境下での長期耐久性、凝集力が不充分となったり、誘電正接に劣る傾向がある。
ポリエステル系樹脂(A)100部に対するポリイソシアネート系化合物(b1)の配合量は、0.01~15重量部であることが好ましく、より好ましくは、0.1~10重量部、更に好ましくは、0.2~5重量部、特に好ましくは、0.3~3重量部、殊に好ましくは、0.5~2重量部である。かかるポリイソシアネート系化合物(b1)の添加量が少なすぎると、凝集力が不足するだけでなく、水酸基が残ることにより誘電正接に劣る傾向があり、多すぎると凝集力が上がりすぎて粘着性が無くなり粘着特性が低下する傾向がある。
上記ポリエポキシ系化合物(b2)としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ブロム化ビスフェノールAジグリシジルエーテル等の2官能グリシジルエーテルタイプ;フェノールノボラックグリシジルエーテル、クレゾールノボラックグリシジルエーテル等の多官能グリシジルエーテルタイプ;ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル等のグリシジルエステルタイプ;トリグリシジルイソシアヌレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルカルボキシレート、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化大豆油等の脂環族又は脂肪族エポキサイド等が挙げられる。これらのポリエポキシ系化合物(b2)は、1種又は2種以上を用いることができる。なかでも、反応性の点からはグリシジルエーテルタイプ及びグリシジルエステルタイプが好ましく、湿熱耐久性の観点からはグリシジルエーテルタイプが好ましく、耐熱性の観点からは多官能タイプが好ましい。
また、ポリエポキシ系化合物(b2)のエポキシ当量は500g/eq以下であることが好ましく、より好ましくは350g/eq以下、特に好ましくは250g/eq以下、更に好ましくは200g/eq以下である。ポリエポキシ系化合物(b2)のエポキシ当量が大きすぎると架橋後の架橋密度が低くなるため耐熱性に劣ったり、架橋密度を稼ぐために多量のポリエポキシ系化合物(b2)を添加する必要があるため誘電特性に劣る傾向がある。
更に、ポリエポキシ系化合物(b2)として、窒素原子を含有するポリエポキシ系化合物(窒素原子含有ポリエポキシ系化合物)を含有すると、粘着剤層のエージング時間を短縮することができ、好ましい。
窒素原子含有ポリエポキシ系化合物としては、例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルパラアミノフェノール、テトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサノン、N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン等のグリシジルアミン系等が挙げられる。
カルボキシ基に対するエポキシ基の当量は、0.8~5が好ましく、より好ましくは0.9~3、特に好ましくは1~2.5、更に好ましくは1.2~2である。
当該当量が大きすぎると、粘着力や低吸湿性が不充分となったり、誘電特性が劣ったりする傾向がある。また、小さすぎると、湿熱環境下での長期耐久性、耐熱性が不充分となる傾向がある。
カルボキシ基(COOH)に対するエポキシ基の当量は、ポリエステル系樹脂(A)の酸価と、配合したポリエポキシ系化合物(b2)のエポキシ当量(g/eq)から、下記式により求められる。
COOHに対するエポキシの当量=(a÷WPE)/(AV÷56.1÷1000×b)
a:配合に用いたポリエポキシ系化合物(b2)の重量(g)
WPE:ポリエポキシ系化合物(b2)のエポキシ当量(g/eq)
AV:ポリエステル系樹脂(A)の酸価(mgKOH/g)
b:配合に用いたポリエステル系樹脂(A)の重量(g)
ポリエステル系樹脂(A)100重量部に対するポリエポキシ系化合物(b2)の配合量は、0.01~15重量部であることが好ましく、より好ましくは、0.1~10重量部、更に好ましくは、0.3~8重量部、特に好ましくは、0.5~5重量部、殊に好ましくは、1.0~3.5重量部である。かかるポリエポキシ系化合物(b2)の添加量が少なすぎると、凝集力が不足するだけでなく、耐久性が悪化する傾向があり、多すぎると凝集力が上がりすぎて粘着性が無くなり粘着特性が低下し、さらに誘電正接も劣る傾向がある。
金属キレート系化合物(b3)としては、例えば、テトラエチルチタネート、テトラエチルジルコネート、アルミニウムイソプロピオネート等の金属アルコキシドや、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウム等の多価金属のアセチルアセトンやアセト酢酸エステル、エチレンジアミン四酢酸配位化合物の金属キレート化合物等や、酢酸-アンモニウム錯塩、アンモニウム-カーボネート錯塩等が挙げられる。これらの金属キレート系化合物(b3)は、1種又は2種以上を用いることができる。
<粘着剤組成物>
本発明の粘着剤組成物は、ポリエステル系樹脂(A)、更に架橋剤(B)を含有し、低誘電特性に優れ、低吸湿性、高粘着性、湿熱環境下での長期耐久性に優れるという効果を奏する。
本発明の粘着剤組成物が架橋剤(B)を含有する場合、架橋剤(B)の含有量は、ポリエステル系樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは30重量部以下、より好ましくは0.1~20重量部、特に好ましくは0.5~10重量部、更に好ましくは1~5重量部である。架橋剤(B)の含有量が少なすぎると耐熱性や保持力、粘着力、湿熱環境下での長期耐久性が不充分となる傾向があり、多すぎると粘着力や低吸湿性が不充分となったり、誘電特性が劣ったりする傾向がある。
また、本発明においては、ポリエステル系樹脂(A)、架橋剤(B)の他に、加水分解抑制剤(C)、粘着付与樹脂、ウレタン化触媒、酸化防止剤等を配合することもできる。
<加水分解抑制剤(C)>
上記加水分解抑制剤(C)は、粘着剤組成物の長期耐久性を担保させるために含有されるものである。
上記加水分解抑制剤(C)としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、上記ポリエステル系樹脂(A)のカルボキシ基末端と反応して結合する化合物が挙げられ、具体的には、例えば、カルボジイミド基、エポキシ基、オキサゾリン基、等の官能基を含有する化合物等が挙げられる。これらの中でもカルボジイミド基含有化合物が、カルボキシ基末端由来のプロトンの触媒活性を消失させる効果が高い点で好ましい。
架橋剤(B)として、ポリイソシアネート系化合物(b1)を用いる場合は、加水分解抑制剤(C)を含有することが好ましい。
また、架橋剤(B)としてポリエポキシ系化合物(b2)を用いる場合は、エポキシ系加水分解抑制剤以外を含有することが好ましく、金属キレート系化合物(b3)を用いる場合は、各種加水分解抑制剤を用いることができる。
上記カルボジイミド基含有化合物としては、通常、カルボジイミド基(-N=C=N-)を分子内に1個以上有する公知のカルボジイミドを用いればよいが、より高温高湿下での耐久性を上げる点でカルボジイミド基を分子内に2個以上含有する化合物、すなわち多価カルボジイミド系化合物であることが好ましく、特にはカルボジイミド基を分子内に3個以上、更には5個以上、殊には7個以上含有する化合物であることが好ましい。なお、分子内に有するカルボジイミド基の数は通常50個以下であり、カルボジイミド基が多すぎると分子構造が大きくなりすぎるため相溶性が低下する傾向がある。また、カルボジイミド化触媒の存在下でジイソシアネートを脱炭酸縮合反応させることによって生成する高分子量ポリカルボジイミドを用いることも好ましい。
更に、高分子量ポリカルボジイミドは末端イソシアネート基が封止剤によって封止されているものが、保存安定性の点で好ましい。封止剤としては、イソシアネート基と反応する活性水素を有する化合物、又はイソシアネート基を有する化合物が挙げられる。例えば、カルボキシ基、アミノ基、及びイソシアネート基から選ばれる置換基を1個有するモノアルコール類、モノカルボン酸類、モノアミン類、モノイソシアネート類等が挙げられる。
このような高分子量ポリカルボジイミドとしては、以下のジイソシアネートを脱炭酸縮合反応させたものが挙げられる。
かかるジイソシアネートとしては、例えば、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3'-ジメチル-4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3'-ジメチル-4,4'-ジフェニルエーテルジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、1-メトキシフェニル-2,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上を併用することができる。このような高分子量ポリカルボジイミドは、合成してもよいし市販品を使用してもよい。
上記カルボジイミド基含有化合物の市販品としては、例えば、日清紡ケミカル社製のカルボジライト(登録商標)シリーズが挙げられ、それらのなかでも、カルボジライト(登録商標)V-01、V-02B、V-03、V-04K、V-04PF、V-05、V-07、V-09、V-09GBは有機溶剤との相溶性に優れる点で好ましい。
上記エポキシ基含有化合物としては、例えば、グリシジルエステル化合物やグリシジルエーテル化合物等が好ましい。
上記グリシジルエステル化合物の具体例としては、例えば、安息香酸グリシジルエステル、t-Bu-安息香酸グリシジルエステル、p-トルイル酸グリシジルエステル、シクロヘキサンカルボン酸グリシジルエステル、ペラルゴン酸グリシジルエステル、ステアリン酸グリシルエステル、ラウリン酸グリシジルエステル、パルミチン酸グリシジルエステル、ベヘニン酸グリシジルエステル、バーサチック酸グリシジルエステル、オレイン酸グリシジルエステル、リノール酸グリシジルエステル、リノレン酸グリシジルエステル、ベヘノール酸グリシジルエステル、ステアロール酸グリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、ナフタレンジカルボン酸ジグリシジルエステル、メチルテレフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、ドデカンジオン酸ジグリシジルエステル、オクタデカンジカルボン酸ジグリシジルエステル、トリメリット酸トリグリシジルエステル、ピロメリット酸テトラグリシジルエステル等を挙げられ、これらを単独でもしくは2種以上を併用することができる。
上記グリシジルエーテル化合物の具体例としては、例えば、フェニルグリシジルエ-テル、o-フェニルグリシジルエ-テル、1,4-ビス(β,γ-エポキシプロポキシ)ブタン、1,6-ビス(β,γ-エポキシプロポキシ)ヘキサン、1,4-ビス(β,γ-エポキシプロポキシ)ベンゼン、1-(β,γ-エポキシプロポキシ)-2-エトキシエタン、1-(β,γ-エポキシプロポキシ)-2-ベンジルオキシエタン、2,2-ビス-[р-(β,γ-エポキシプロポキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)メタン等のビスフェノールとエピクロルヒドリンの反応で得られるビスグリシジルポリエーテル等が挙げられ、これらを単独でもしくは2種以上を併用することができる。
上記オキサゾリン基含有化合物としては、ビスオキサゾリン化合物等が好ましい。具体的には、例えば、2,2'-ビス(2-オキサゾリン)、2,2'-ビス(4-メチル-2-オキサゾリン)、2,2'-ビス(4,4-ジメチル-2-オキサゾリン)、2,2'-ビス(4-エチル-2-オキサゾリン)、2,2'-ビス(4,4'-ジエチル-2-オキサゾリン)、2,2'-ビス(4-プロピル-2-オキサゾリン)、2,2'-ビス(4-ブチル-2-オキサゾリン)、2,2'-ビス(4-ヘキシル-2-オキサゾリン)、2,2'-ビス(4-フェニル-2-オキサゾリン)、2,2'-ビス(4-シクロヘキシル-2-オキサゾリン)、2,2'-ビス(4-ベンジル-2-オキサゾリン)、2,2'-p-フェニレンビス(2-オキサゾリン)、2,2'-m-フェニレンビス(2-オキサゾリン)、2,2'-o-フェニレンビス(2-オキサゾリン)、2,2'-p-フェニレンビス(4-メチル-2-オキサゾリン)、2,2'-p-フェニレンビス(4,4-ジメチル-2-オキサゾリン)、2,2'-m-フェニレンビス(4-メチル-2-オキサゾリン)、2,2'-m-フェニレンビス(4,4-ジメチル-2-オキサゾリン)、2,2'-エチレンビス(2-オキサゾリン)、2,2'-テトラメチレンビス(2-オキサゾリン)、2,2'-ヘキサメチレンビス(2-オキサゾリン)、2,2'-オクタメチレンビス(2-オキサゾリン)、2,2'-デカメチレンビス(2-オキサゾリン)、2,2'-エチレンビス(4-メチル-2-オキサゾリン)、2,2'-テトラメチレンビス(4,4-ジメチル-2-オキサゾリン)、2,2'-9,9'-ジフェノキシエタンビス(2-オキサゾリン)、2,2'-シクロヘキシレンビス(2-オキサゾリン)、2,2'-ジフェニレンビス(2-オキサゾリン)等を例示することができ、これらの中でも、2,2'-ビス(2-オキサゾリン)が、ポリエステル系樹脂(A)との反応性の観点から最も好ましい。また、これらを単独でもしくは2種以上を併用することができる。
これら加水分解抑制剤としては、揮発性が低い方が好ましく、そのために数平均分子量は高いものを用いる方が好ましく、通常、300~10000、好ましくは1000~5000である。
また、加水分解抑制剤としては、耐加水分解性の観点から重量平均分子量が高いものを用いる方が好ましい。加水分解抑制剤の重量平均分子量は、500以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましく、2000以上であることが更に好ましく、3000以上であることが特に好ましい。なお、重量平均分子量の上限は通常50000である。
加水分解抑制剤の分子量が小さすぎると、耐加水分解性が低下する傾向がある。
なお、分子量が大きすぎると、ポリエステル系樹脂(A)との相溶性が低下する傾向がある。
加水分解抑制剤のなかでも、カルボジイミド基含有化合物を使用することが好ましく、その際の、カルボジイミド当量は、好ましくは、50~10000、特には100~1000、更には150~500であることが好ましい。なお、カルボジイミド当量とは、カルボジイミド基1個あたりの化学式量を示す。
上記加水分解抑制剤の含有量は、上記ポリエステル系樹脂(A)100重量部に対して、0.01~10重量部であることが好ましく、特に好ましくは0.1~5重量部、更に好ましくは0.2~3重量部である。かかる含有量が、多すぎるとポリエステル系樹脂(A)との相溶性不良により濁りが発生する傾向があり、少なすぎると充分な耐久性が得られにくい傾向がある。
また、上記加水分解抑制剤の含有量は、上記ポリエステル系樹脂(A)の酸価に応じて、含有量を最適化させることが好ましく、粘着剤組成物中のポリエステル系樹脂(A)の酸性官能基のモル数合計(x)に対する、粘着剤組成物中の加水分解抑制剤の官能基のモル数合計(y)のモル比〔(y)/(x)〕が、0.5≦(y)/(x)であることが好ましく、特に好ましくは1≦(y)/(x)≦1000、更に好ましくは1.5≦(y)/(x)≦100である。
(x)に対する(y)のモル比が低すぎると、耐湿熱性能が低下する傾向がある。なお、(x)に対する(y)のモル比が高すぎると、ポリエステル系樹脂(A)との相溶性が低下したり、粘着力、凝集力、耐久性能が低下する傾向がある。
<粘着付与樹脂>
本発明においては、粘着特性の向上を図ることができる点で、粘着付与樹脂を含有させることが好ましい。
上記粘着付与樹脂としては、特に限定されるものではなく、従来公知のものを使用することができる。上記粘着付与樹脂として、例えば、炭化水素系粘着付与樹脂、テルペン系樹脂、フェノール系樹脂、ロジン系樹脂、キシレン樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ケトン系樹脂、エラストマー系樹脂等が挙げられる。これらは、単独でもしくは2種以上併せて用いてもよい。なかでも、炭化水素系粘着付与樹脂、テルペン系樹脂が好ましい。また、上記粘着付与樹脂は、少なくとも1種の炭化水素系粘着付与樹脂を含有することが特に好ましく、炭化水素系粘着付与樹脂が、粘着付与樹脂全体の30重量%以上であることが好ましく、50重量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることが好ましい。
上記炭化水素系粘着付与樹脂としては、例えば、脂肪族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、脂肪族系環状炭化水素樹脂、脂肪族・芳香族系石油樹脂(スチレン-オレフィン系共重合体等)、脂肪族・脂環族系石油樹脂、水素添加炭化水素樹脂、クマロン系樹脂、クマロンインデン系樹脂等の各種の炭化水素系の樹脂が挙げられる。また、市販品としては、例えば、三井化学社製の「FTR6100」、「FTR6110」、「FTR6125」等が挙げられる。
上記テルペン系樹脂としては、例えば、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂等が挙げられ、具体的には、α-ピネン重合体、β-ピネン重合体、ジペンテン重合体や、これらをフェノール変性、芳香族変性、水素添加変性、炭化水素変性したテルペン系樹脂を使用することができる。また、市販品としては、例えば、ヤスハラケミカル社製の「YSポリスターS145」、「YSレジンPX1000」、「YSレジンPX1250」、「YSポリスターT145」、「YSレジンTO115」、「YSポリスターU130」、「クリアロンP125」等が挙げられ、ポリプロピレン等の非極性被着体への密着性が良い点で、テルペン系樹脂が好ましい。
上記フェノール系樹脂としては、例えば、フェノール、m-クレゾール、3,5-キシレノール、p-アルキルフェノール、レゾルシン等の各種フェノール類と、ホルムアルデヒドとの縮合物を使用することができる。更に、前記フェノール類とホルムアルデヒドとを、アルカリ触媒下で付加反応させて得られるレゾールや、前記フェノール類とホルムアルデヒドとを、酸触媒下で縮合反応させて得られるノボラック、未変性又は変性ロジンやこれらの誘導体等のロジン類に、フェノールを酸触媒下で付加させ、熱重合することにより得られるロジン変性フェノール樹脂等を使用することができる。
上記ロジン系樹脂としては、例えば、ロジン樹脂、重合ロジン樹脂、水添ロジン樹脂、ロジンエステル樹脂、水添ロジンエステル樹脂、ロジンフェノール樹脂、重合ロジンエステル等が挙げられ、具体的には、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等の未変性ロジン(生ロジン)や、これらを水添化、不均化、重合、その他の化学的に修飾された変性ロジン、これらの誘導体を使用することができる。また、市販品としては、例えば、ハリマ化成製の「ハリエスターTF」、「ハリタック8LJA」、「ハリタックPH」、「ハリタックFK100」、「ハリタックPCJ」等が挙げられる。
粘着付与樹脂は、酸価が30mgKOH/g以下であることが好ましく、特には10mgKOH/g以下、更には6mgKOH/g以下、殊には3mgKOH/g以下であることが好ましい。複数種類の粘着付与樹脂を併用する場合は、その平均が上記範囲であることが好ましい。
粘着付与樹脂の軟化点(例えば、環球法によって測定)としては、80~170℃であることが好ましく、特には、90~160℃であり、より好ましくは、100~150℃である。かかる軟化点が、上記範囲内であると、粘着特性(粘着力、凝集力)を向上させることができ、好ましい。
本発明においては、粘着付与樹脂は、地球環境保全のために、植物由来のものが好ましい。植物由来の粘着付与樹脂としては、例えば、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂等が挙げられる。
粘着付与樹脂の含有量は、前記ポリエステル系樹脂(A)100重量部に対して、2~100重量部であることが好ましく、より好ましくは5~50重量部であり、更に好ましくは8~30重量部であり、特に好ましくは、10~20重量部である。かかる含有量が、上記範囲内であると、粘着特性(粘着力、凝集力)を向上させることができ、好ましい。
<ウレタン化触媒>
本発明の粘着剤組成物には、反応速度の点からウレタン化触媒を含有することがより好ましい。
ウレタン化触媒としては、例えば、有機金属系化合物、3級アミン化合物等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記有機金属系化合物としては、例えば、ジルコニウム系化合物、鉄系化合物、錫系化合物、チタン系化合物、鉛系化合物、コバルト系化合物、亜鉛系化合物等を挙げることができる。
ジルコニウム系化合物としては、例えば、ナフテン酸ジルコニウム、ジルコニウムアセチルアセトネート等が挙げられる。
鉄系化合物としては、例えば、鉄アセチルアセトネート、2-エチルヘキサン酸鉄等が挙げられる。
錫系化合物としては、例えば、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジラウレート等が挙げられる。
チタン系化合物としては、例えば、ジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、ブトキシチタニウムトリクロライド等が挙げられる。
鉛系化合物としては、例えば、オレイン酸鉛、2-エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、ナフテン酸鉛等が挙げられる。
コバルト系化合物としては、例えば、2-エチルヘキサン酸コバルト、安息香酸コバルト等が挙げられる。
亜鉛系化合物としては、例えば、ナフテン酸亜鉛、2-エチルヘキサン酸亜鉛等が挙げられる。
また、上記3級アミン化合物としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、1,8-ジアザビシクロ-(5,4,0)-ウンデセン-7等が挙げられる。
これらウレタン化触媒のなかでも、反応速度と粘着剤層のポットライフの点で、有機金属系化合物が好ましく、特にジルコニウム系化合物が好ましい。更にウレタン化触媒は触媒作用抑制剤としてアセチルアセトンを併用することが好ましい。アセチルアセトンを含むことで、低温における触媒作用を抑制し、ポットライフを長くする点で好ましい。
上記ウレタン化触媒の含有量は、ポリエステル系樹脂(A)100重量部に対して0.0001~1重量部であることが好ましく、特には0.001~0.1重量部、更には0.01~0.05重量部であることが好ましい。かかる含有量が少なすぎると架橋反応終了までのエージング時間が長くなる傾向があり、多すぎると粘着物性が低下する傾向がある。
<酸化防止剤>
本発明の粘着剤組成物には、樹脂の安定性を上げる点から酸化防止剤を含有することがより好ましい。
上記酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン酸系酸化防止剤等が挙げられる。なかでもヒンダードフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤及びリン酸系酸化防止剤から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、とりわけヒンダードフェノール系化合物からなる酸化防止剤が好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、フェノールの水酸基が結合した芳香族環上の炭素原子の隣接炭素原子の少なくとも一方に、ターシャリーブチル基等の立体障害の大きな基が結合したヒンダードフェノール構造を有する酸化防止剤が挙げられる。
酸化防止剤の含有量は、ポリエステル系樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは0.01~10重量部であり、より好ましくは0.03~8重量部であり、更に好ましくは0.05~5重量部である。
かかる含有量が少なすぎると被着体への糊残りが発生しやすくなる傾向があり、多すぎると粘着物性が低下する傾向がある。
本発明の粘着剤組成物においては、上記の、ポリエステル系樹脂(A)、架橋剤(B)、加水分解抑制剤、粘着付与樹脂、ウレタン化触媒、酸化防止剤の他にも、本発明の効果を損なわない範囲において、軟化剤、可塑剤、低弾性化剤、紫外線吸収剤、安定剤、耐電防止剤、シランカップリング剤、フラックス、難燃剤、分散剤、乳化剤、消泡剤、レベリング剤、イオントラップ剤、触媒等の添加剤やその他、無機又は有機の充填剤、金属粉、顔料等の粉体、粒子状等の添加剤を配合することができる。また、粘着剤の構成成分の製造原料等に含まれる不純物等が少量含有されたものであってもよい。
これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
本発明の粘着剤組成物がこれらその他成分を含有する場合、これらの成分の含有量は、好ましくは70重量%以下であり、より好ましくは0.05~60重量%、特に好ましくは0.1~50重量%、更に好ましくは0.2~40重量%である。
このような粘着剤組成物は、例えば、上記ポリエステル系樹脂(A)、及び必要な任意成分等を準備し、ポリエステル系樹脂(A)の製造時に配合し分散させることにより、もしくは有機溶剤で溶解させたポリエステル系樹脂(A)の溶液に配合しミキシングローラー等を用いて分散させることにより、得ることができる。
本発明の粘着剤組成物には、粘着剤組成物の粘度を適度に調整し、塗膜を形成する際の取り扱いを容易にするために、溶剤を配合してもよい。溶剤は、粘着剤組成物の成形における取り扱い性、作業性を確保するために用いられ、その使用量には特に制限がない。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド類;メタノール、エタノール等のアルコール類;ヘキサン、シクロヘキサン等のアルカン類;トルエン、キシレン等の芳香族類等が挙げられる。以上に挙げた溶剤は、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
<粘着剤>
本発明においては、上記粘着剤組成物を架橋することにより得られ、タック性、粘着力、保持力、低吸湿性、湿熱環境下での長期耐久性及び低誘電特性に優れた効果を奏する粘着剤を得ることができる。
本発明における「架橋」とは熱及び/又は光等により粘着剤組成物を意図的に架橋させることを意味し、その架橋の程度は所望の物性、用途により制御することができる。
架橋の程度は粘着剤のゲル分率によって確認することができ、好ましくはゲル分率が10~100%、より好ましくは15~90%、特に好ましくは20~80%、更に好ましくは25~70%以上である。ゲル分率が低すぎると耐熱性や保持力、粘着力、湿熱環境下での長期耐久性が不充分となる傾向があり、高すぎると粘着力が不充分となる傾向がある。
なお、上記ゲル分率は、架橋度の目安となるもので、例えば、以下の方法にて算出される。すなわち、基材となる高分子シート(例えば、PETフィルム等)に粘着剤層が形成されてなる粘着シート(離型シートを設けていないもの)を200メッシュのSUS製金網で包み、トルエン中に23℃×24時間浸漬し、浸漬前の粘着剤成分の重量に対する、浸漬後の金網中に残存した不溶解の粘着剤成分の重量百分率をゲル分率とする。ただし、基材の重量は差し引いておく。
そして、本発明の粘着剤から粘着剤層が形成されるのであり、かかる粘着剤層を有する粘着シートを得ることができる。
かかる粘着剤層は支持基材の片面又は両面に形成されることが好ましい。
なお、本発明において「シート」とは、「フィルム」や「テープ」をも含めた意味として記載するものである。
また、本発明の粘着剤層は、多価カルボン酸類由来の構造単位と多価アルコール類由来の構造単位を含む、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下のポリエステル系樹脂及び架橋剤(B)を含有する粘着剤組成物が架橋された粘着剤層であって、温度23℃、相対湿度50%RH環境下での10GHzにおける誘電正接(α)が0.01以下であることが好ましい。かかる温度23℃、相対湿度50%RH環境下での10GHzにおける誘電正接(α)は、より好ましくは0.009以下、特に好ましくは0.008以下、更に好ましくは0.007以下、殊に好ましくは0.006以下、最も好ましくは0.005以下である。かかる粘着剤層の誘電正接(α)が高すぎると伝送損失が大きくなる傾向がある。
<粘着シート>
粘着シートは、例えば、つぎのようにして作製することができる。
かかる粘着シートの製造方法としては、公知一般の粘着シートの製造方法に従って製造することができ、例えば、基材上に、上記粘着剤組成物を塗工、乾燥し、反対側の粘着剤組成物層面に離型シートを貼り合わせ、必要により養生することで基材上に、粘着剤を含有する粘着剤層を有する本発明の粘着シートが得られる。
また、離型シート上に、上記粘着剤組成物を塗工、乾燥し、反対側の粘着剤組成物層面に基材を貼り合わせ、必要により養生することでも、本発明の粘着シートが得られる。
また、離型シートに粘着剤層を形成し、反対側の粘着剤層面に離型シートを貼り合わせることにより、基材レス両面粘着シートを製造することができる。
得られた粘着シートや基材レス両面粘着シートは、使用時には、上記離型シートを粘着剤層から剥離して粘着剤層と被着体を貼り合わせる。
上記基材としては、例えば、ポリエチレンナフタート、ポリエチレンテレフタレート、ボリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン等のポリフッ化エチレン樹脂;ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体;三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂;ポリスチレン;ポリカーボネート;ポリアリレート;ポリイミド;シクロオレフィンポリマー等からなる群から選ばれた少なくとも1種の合成樹脂からなるシート;アルミニウム、銅、鉄の金属箔;上質紙、グラシン紙等の紙;ガラス繊維、天然繊維、合成繊維等からなる織物や不織布が挙げられる。これらの基材は、単層体として又は2種以上が積層された複層体として用いることができる。
これらの中でも特にポリエチレンテレフタレート、ポリイミドからなる基材が好ましく、特には粘着剤との接着性に優れる点でポリエチレンテレフタレートが好ましい。
また、上記基材としてフォーム基材、例えば、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリアクリレートフォーム等の合成樹脂の発泡体からなる発泡体シートを用いることができる。これらの中でも、被着体への追従性、接着強度のバランスに優れる点から、ポリエチレンフォーム、ポリアクリレートフォームが好ましい。
上記基材の厚みとしては、例えば、1~1000μmであることが好ましく、特に好ましくは2~500μm、更に好ましくは3~300μmである。
上記離型シートとしては、例えば、上記基材で例示した各種合成樹脂からなるシート、紙、布、不織布等に離型処理したものを使用することができる。離型シートとしては、シリコン系の離型シートを用いることが好ましい。
上記粘着剤組成物の塗工方法としては、例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター、コンマコーター等を用いればよい。
上記養生処理の条件としては、温度は通常室温(23℃)~70℃、時間は通常1~30日間であり、具体的には、例えば23℃で1~20日間、好ましくは23℃で3~14日間、40℃で1~10日間等の条件で行なえばよい。
また、乾燥条件として、乾燥温度は60~140℃が好ましく、特に好ましくは80~120℃であり、乾燥時間は0.5~30分間が好ましく、特に好ましくは1~5分間である。
上記粘着シート、基材レス両面粘着シートの粘着剤層の厚みは、2~500μmであることが好ましく、特に好ましくは5~200μm、更に好ましくは10~100μmである。かかる粘着剤層の厚みが薄すぎると、粘着力が低下する傾向があり、厚すぎると均一に塗工することが困難となるうえ、塗膜に気泡が入る等の不具合が発生しやすい傾向がある。なお、衝撃吸収性を考慮する際には、50μm以上とすることが好ましい。
なお、上記粘着剤層の厚みは、ミツトヨ社製「ID-C112B」を用いて、粘着シート全体の厚みの測定値から、粘着剤層以外の構成部材の厚みの測定値を差し引くことにより求められる。
更に、かかる粘着シートは、必要に応じて、粘着剤層の外側に離型シートを設け保護されていてもよい。また、粘着剤層が基材の片面に形成されている粘着シートでは、基材の粘着剤層とは反対側の面に剥離処理を施すことにより、該剥離処理面を利用して粘着剤層を保護することも可能である。
本発明の粘着剤は、種々の部材の貼り合わせに用いることができ、とりわけ、光学部材用の貼り合わせに用いる片面又は両面粘着シートや、携帯電子機器の部材固定用、電子部材固定用の片面又は両面粘着シート等に用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
ガラス転移温度(℃)、水酸基価(mgKOH/g)、酸価(mgKOH/g)、ピークトップ分子量(Mp)、重量平均分子量(Mw)、誘電特性、芳香環含有量、エステル結合濃度(mmol/g)については、本明細書の記載に従って測定を行なった。その他の物性の測定方法は次のとおりである。
〔ダイマージオール含有量〕
ポリエステル系樹脂に対するダイマージオールの含有量(重量%)を示す。
<ポリエステル系樹脂の製造>
以下の表1で記載する組成は、出来上がりの組成比(樹脂組成比)であり、得られたポリエステル系樹脂の各構成モノマー量の相対比(モル比)とその重量%である。
〔ポリエステル系樹脂(A-1)の製造〕
温度計、撹拌機、精留塔、窒素導入管の付いた反応缶に、多価カルボン酸類としてイソフタル酸(IPA)152.9部(0.9203mol)、多価アルコール類としてエチレングリコール(EG)31.4部(0.5059mol)、ダイマージオール「プリポール2033」(P2033)(クローダ社製)413.9部(0.7821mol)、トリメチロールプロパン(TMP)1.9部(0.0142mol)、触媒としてテトラブチルチタネート0.1部を仕込み、内温が270℃となるまで2.5時間かけて昇温し、270℃で1.5時間、エステル化反応を行った。
次いで、触媒としてテトラブチルチタネート0.1部を追加し、系内を2.5hPaまで減圧し、2時間かけて重合反応を行い、ポリエステル系樹脂(A-1)を得た。
〔ポリエステル系樹脂(A-2、A'-1、A'-2)の製造〕
樹脂組成を表1に記載のとおりになるよう変更した以外はA-1と同様にしてポリエステル系樹脂(A-2、A'-1、A'-2)を得た。
〔ポリエステル系樹脂(A-3)の製造〕
温度計、撹拌機、精留塔、窒素導入管の付いた反応缶に、多価カルボン酸類としてイソフタル酸(IPA)182.9部(1.1009mol)、トリメリット酸無水物(TMAn)2.1部(0.0109mol)、多価アルコール類としてエチレングリコール(EG)45.1部(0.7250mol)、ダイマージオール「プリポール2033」(P2033)(クローダ社製)502.7部(0.9499mol)、触媒としてテトラブチルチタネート0.1部を仕込み、内温が270℃となるまで2.5時間かけて昇温し、270℃で1.5時間、エステル化反応を行った。
次いで、触媒としてテトラブチルチタネート0.1部を追加し、系内を2.5hPaまで減圧し、2時間かけて重合反応を行った。
その後、内温を230℃まで下げ、トリメリット酸無水物(TMAn)17.2部(0.0895mol)を添加し230℃で1時間解重合反応を行い、ポリエステル系樹脂(A-3)を得た。
〔ポリエステル系樹脂(A-4、A'-3)の製造〕
樹脂組成を表1に記載のとおりになるよう変更した以外はA-3と同様にしてポリエステル系樹脂(A-4、A'-3)を得た。
得られたポリエステル系樹脂の樹脂組成(成分由来の構造単位)及び諸物性について表2に示す。なお、表1中、各略称は以下のとおりである。
「IPA」:イソフタル酸
「SebA」:セバシン酸
「P1009」:ダイマー酸「プリポール1009」(クローダ社製)
「TMAn」:トリメリット酸無水物
「BPE-20」:ビスフェノールAのエチレンオキサイド約2モル付加物「ニューポールBPE-20」(三洋化成工業社製)
「EG」:エチレングリコール
「NPG」:ネオペンチルグリコール
「TMP」:トリメチロールプロパン
「1.4BG」:1.4-ブタンジオール
「1.6HG」:1,6-ヘキサンジオール
「PD9」:2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール「キョーワジオールPD9」(KHネオケム社製)
「P2033」:ダイマージオール「プリポール2033」(クローダ社製)
Figure 0007173252000001
Figure 0007173252000002
上記得られたポリエステル系樹脂(A-1)~(A-4)は、誘電特性、特には低誘電正接に優れたポリエステル系樹脂であった。
一方、上記得られたポリエステル系樹脂(A'-1)~(A'-3)は、粘着剤組成物として使用可能なガラス転移温度領域(0℃以下)ではあったものの、誘電正接に大きく劣るものであった。
<架橋剤(B)>
架橋剤(B)として、以下のものを用意した。
(B-1):トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物の55%酢酸エチル溶液(東ソー社製、「コロネートL-55E」)
(B-2):ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートの三量体(東ソー社製、「コロネートHX」)
(B-3):N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン(三菱ガス化学社製、「テトラッドX」)
<粘着剤組成物の製造>
上記で得られたポリエステル系樹脂及び架橋剤を用いて、下記のとおり粘着剤組成物を製造した。
(実施例1)
上記で得られたポリエステル系樹脂(A-1)を酢酸エチルで固形分濃度50%に希釈し、このポリエステル系樹脂(A-1)溶液(固形分として100部)に対し、架橋剤(B-1)(固形分)を1.25部配合し、更に酢酸エチルで固形分50%になるように希釈、撹拌、混合することにより、粘着剤組成物を得た。
(実施例2~11、比較例1,2)
実施例1において、表3に示すとおりの各成分を配合とした以外は同様にして、粘着剤組成物を得た。
得られた粘着剤組成物を乾燥後の厚みが約25μmになるように、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み38μm)に塗布した後、100℃で3分間乾燥させて粘着剤層を形成した。その後、かかる粘着剤層に、離型処理されたPETフィルム(離型フィルム)を貼着してその表面を保護し、温度40℃の雰囲気下で10日間養生し、粘着シートを得た。
得られた粘着シートについて、下記の評価を行った。評価結果を後記の表3に示す。
〔粘着力(剥離強度)(対SUS-BA)〕
被着体としてSUS-BA板を準備した。上記で得られた粘着シートを23℃、50%RHの環境下で25mm×200mmに裁断した後、離型フィルムを剥がし、粘着剤層側をSUS-BA板に当接させ、2kgローラーを往復させ加圧貼付けした。そして、同雰囲気下で所定時間(30分間又は24時間)静置した後、オートグラフ(島津製作所社製、オートグラフAGS-H 500N)を用いて、剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定した。
〔粘着力(剥離強度)(対PI)〕
被着体として厚み50μmのポリイミドフィルム「カプトン200H」(東レ・デュポン社製)を準備した。上記で得られた粘着シートを23℃、50%RHの環境下で25mm×200mmに裁断した後、離型フィルムを剥がし、粘着剤層側をポリイミド(PI)フィルムに当接させ、2kgローラーを往復させ加圧貼付けした。そして、同雰囲気下で30分間静置した後に、オートグラフ(島津製作所社製、オートグラフAGS-H 500N)を用いて、剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定した。
〔ゲル分率〕
上記で得られた養生後の粘着シートを4cm×4cmサイズに切り出した。これを200メッシュのSUS製金網で包み、トルエン中に23℃×24時間浸漬し、浸漬前の粘着剤重量に対する金網中に残存した不溶解の粘着剤成分の重量百分率をゲル分率とした。
〔保持力(凝集力)〕
上記で得られた粘着シートをJIS Z-0237に準じ、SUS304を被着体とし、貼付面積25mm×25mmで貼り付けた後、80℃で20分間静置したものについて1kgの荷重をかけて、落下までの時間又は24時間静置しても落下しなかったものについては24時間後のズレを測定し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
〇・・・24時間静置後で、ズレが1mm以内であった。
△・・・24時間静置後でも落下しなかったが、ズレが1mmを超えた。
×・・・24時間静置中に落下した。
Figure 0007173252000003
〔粘着剤層の誘電特性〕
実施例2、4、8、10、11及び比較例1,2において、得られた粘着剤組成物を乾燥後の厚みが約50μmになるように、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み38μm)に塗布した後、100℃で3分間乾燥させて粘着剤層を形成した。その後、かかる粘着剤層に、離型処理されたPETフィルム(離型フィルム)を貼着してその表面を保護し、温度40℃の雰囲気下で10日間養生し、粘着シートを得た。
得られた粘着シートの粘着剤層について、ネットワークアナライザを用いた空洞共振器摂動法により、誘電特性(比誘電率Dk、誘電正接Df)を測定した。その結果を表4に示す。
Figure 0007173252000004
上記表1~4の結果より、本発明において、ポリエステル系樹脂(A-1)~(A-4)は誘電特性、特には低誘電正接に優れるものであった。更に、それらを用いて得られた実施例1~11の粘着剤組成物及び粘着シートの粘着剤層は、金属の被着体への初期及び経時後の粘着性に優れ、更にはポリイミドといった粘着しにくい被着体に対しても所望の粘着力を有していた。また、保持力もあり、粘着剤として有効に使えるものであった。更に、実施例2、4、8、10及び11の粘着シートの粘着剤層について誘電特性を測定したところ、それら粘着剤層も誘電特性、特に低誘電正接に優れるものであった。
これに対し、表2に示すようにポリエステル系樹脂(A'-1)~(A'-3)は粘着剤組成物として使用可能なガラス転移温度領域(0℃以下)ではあったものの、誘電正接には大きく劣るものであり、表4に示すように粘着剤層とした場合にも誘電正接は大きく劣るもので、本発明の目的を満足するものではなかった。
本発明の粘着剤組成物は、ポリエステル系樹脂を含有する粘着剤組成物であり、低誘電率及び低誘電正接、特には低誘電正接であり、粘着物性に優れた粘着剤を形成するものであり、とりわけかかる粘着剤組成物は、高周波信号を送受信する電子機器に用いられる粘着剤として有効である。

Claims (14)

  1. 多価カルボン酸類由来の構造単位と多価アルコール類由来の構造単位を含むポリエステル系樹脂であって、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下であり、温度23℃、相対湿度50%RH環境下での10GHzにおける誘電正接(α)が0.01以下であるポリエステル系樹脂(A)及び架橋剤(B)を含有し、任意成分として加水分解抑制剤、粘着付与樹脂、ウレタン化触媒、酸化防止剤を含有する粘着剤組成物であって、
    前記ポリエステル系樹脂(A)、架橋剤(B)、加水分解抑制剤、粘着付与樹脂、ウレタン化触媒、酸化防止剤以外の成分が50重量%以下であり、
    前記多価カルボン酸類がイソフタル酸類を70モル%以上含むことを特徴とする低誘電粘着剤組成物。
  2. 多価カルボン酸類由来の構造単位と多価アルコール類由来の構造単位を含むポリエステル系樹脂であって、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下であり、温度23℃、相対湿度50%RH環境下での10GHzにおける誘電正接(α)が0.01以下であるポリエステル系樹脂(A)及び架橋剤(B)を含有し、任意成分として加水分解抑制剤、粘着付与樹脂、ウレタン化触媒、酸化防止剤を含有する粘着剤組成物であって、
    前記ポリエステル系樹脂(A)、架橋剤(B)、加水分解抑制剤、粘着付与樹脂、ウレタン化触媒、酸化防止剤以外の成分が50重量%以下であり、
    前記多価カルボン酸類が芳香族多価カルボン酸類(ただし、多環式構造有する多価カルボン酸は除く)を70モル%以上含み、
    かつ、前記ポリエステル系樹脂(A)の酸価が2mg・KOH/g以上であり、前記酸価がポリエステル系樹脂(A)の水酸基価と同じ又は多いことを特徴とする低誘電粘着剤組成物。
  3. 多価カルボン酸類由来の構造単位と多価アルコール類由来の構造単位を含むポリエステル系樹脂であって、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下であり、温度23℃、相対湿度50%RH環境下での10GHzにおける誘電正接(α)が0.01以下であるポリエステル系樹脂(A)及び架橋剤(B)を含有し、任意成分として加水分解抑制剤、粘着付与樹脂、ウレタン化触媒、酸化防止剤を含有する粘着剤組成物であって、
    前記ポリエステル系樹脂(A)、架橋剤(B)、加水分解抑制剤、粘着付与樹脂、ウレタン化触媒、酸化防止剤以外の成分が50重量%以下であり、
    前記多価カルボン酸類が芳香族多価カルボン酸類を70モル%以上含み、
    前記多価カルボン酸類がナフタレンジカルボン酸成分を50モル%以上含有しないことを特徴とする低誘電粘着剤組成物。
  4. 架橋剤(B)がポリイソシアネート系化合物(b1)であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の低誘電粘着剤組成物。
  5. 架橋剤(B)がポリエポキシ系化合物(b2)であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の低誘電粘着剤組成物。
  6. 架橋剤(B)の含有量が、ポリエステル系樹脂(A)100重量部に対して、30重量部以下であることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の低誘電粘着剤組成物。
  7. 多価カルボン酸類が、芳香族多価カルボン酸類を含むことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の低誘電粘着剤組成物。
  8. 多価アルコール類が、ダイマージオール類を含むことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の低誘電粘着剤組成物。
  9. ポリエステル系樹脂(A)の水酸基価が、1mgKOH/g以上であることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の低誘電粘着剤組成物。
  10. ポリエステル系樹脂(A)の酸価が、5mgKOH/g以下であることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の低誘電粘着剤組成物。
  11. 請求項1~10のいずれか一項に記載の低誘電粘着剤組成物が架橋されたことを特徴とする粘着剤。
  12. 多価カルボン酸類由来の構造単位と多価アルコール類由来の構造単位を含む、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下のポリエステル系樹脂及び架橋剤(B)を含有し、任意成分として加水分解抑制剤、粘着付与樹脂、ウレタン化触媒、酸化防止剤を含有する粘着剤組成物が架橋された粘着剤層であって、
    前記ポリエステル系樹脂(A)、架橋剤(B)、加水分解抑制剤、粘着付与樹脂、ウレタン化触媒、酸化防止剤以外の成分が50重量%以下であり、
    前記多価カルボン酸類がイソフタル酸類を70モル%以上含み、
    温度23℃、相対湿度50%RH環境下での10GHzにおける誘電正接(α)が0.01以下であることを特徴とする粘着剤層。
  13. 多価カルボン酸類由来の構造単位と多価アルコール類由来の構造単位を含む、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下のポリエステル系樹脂及び架橋剤(B)を含有し、任意成分として加水分解抑制剤、粘着付与樹脂、ウレタン化触媒、酸化防止剤を含有する粘着剤組成物が架橋された粘着剤層であって、
    前記ポリエステル系樹脂(A)、架橋剤(B)、加水分解抑制剤、粘着付与樹脂、ウレタン化触媒、酸化防止剤以外の成分が50重量%以下であり、
    前記多価カルボン酸類が芳香族多価カルボン酸類(ただし、多環式構造有する多価カルボン酸は除く)を70モル%以上含み、
    かつ、前記ポリエステル系樹脂(A)の酸価が2mg・KOH/g以上であり、前記酸価がポリエステル系樹脂(A)の水酸基価と同じ又は多く、
    温度23℃、相対湿度50%RH環境下での10GHzにおける誘電正接(α)が0.01以下であることを特徴とする粘着剤層。
  14. 多価カルボン酸類由来の構造単位と多価アルコール類由来の構造単位を含む、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下のポリエステル系樹脂及び架橋剤(B)を含有し、任意成分として加水分解抑制剤、粘着付与樹脂、ウレタン化触媒、酸化防止剤を含有する粘着剤組成物が架橋された粘着剤層であって、
    前記ポリエステル系樹脂(A)、架橋剤(B)、加水分解抑制剤、粘着付与樹脂、ウレタン化触媒、酸化防止剤以外の成分が50重量%以下であり、
    前記多価カルボン酸類が芳香族多価カルボン酸類を70モル%以上含み、
    前記多価カルボン酸類がナフタレンジカルボン酸成分を50モル%以上含有せず、
    温度23℃、相対湿度50%RH環境下での10GHzにおける誘電正接(α)が0.01以下であることを特徴とする粘着剤層。
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