JP2020059290A - メタルマスク - Google Patents

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Abstract

【課題】パターン開口に対する調整開口の形状を最適化して、適正な量の印刷ペーストで所望の印刷パターンの印刷層を的確に形成することができるメタルマスクを提供する。【解決手段】一群のパターン開口1を備えたマスク版5と、パターン開口1に対応する一群の調整開口3を備えたスキージ版6とを備えているメタルマスクである。調整開口3には、開口内面同士を繋ぐ調整リブ9が形成されている。調整リブ9の下面に支持ポスト50が形成されている。【選択図】図17

Description

本発明は、特に、セラミックコンデンサの内部電極などの微細な印刷パターンをスクリーン印刷法で形成する際に用いられるメタルマスク、なかでもマスク版とスキージ版とを備えるメタルマスクに関する。
この種のメタルマスクは、所望の印刷パターンにパターン開口が形成されたマスク版と、マスク版と一体に形成されてスキージ面となるスキージ版とを備えている。スキージ版には、パターン開口に供給される、例えば、はんだペーストや導電性インキなどの印刷ペーストの供給量を調整する調整開口が、各パターン開口毎に形成されている。このようなマスク版とスキージ版とを備えるメタルマスクは、マスク版がポリイミドなどの樹脂材料を素材として形成され、スキージ版がニッケルなどの金属材料を素材として形成される形態と、マスク版およびスキージ版の両者が金属材料を素材として形成される形態とが知られている。前者のメタルマスクは特許文献1に見ることができ、後者のメタルマスクは特許文献2に見ることができる。
特開平11−042867号公報 特開平05−085077号公報
スクリーン印刷を行う場合には、印刷対象の表面にメタルマスクを載置し、メタルマスクの表面一側に乗せた印刷ペーストをスキージで移動させながら印刷対象側へ押し出して、印刷パターンに合致した印刷層を形成する。このとき、調整開口によりパターン開口への印刷ペーストの供給量が調整され、印刷パターンに最適な量の印刷ペーストで印刷層が形成される。スクリーン印刷時には、印刷対象の表面に対するメタルマスクの載置と剥離を繰り返す。そのため、マスク版がポリイミドなどの樹脂材料で形成してある特許文献1のスクリーン印刷用マスクでは、印刷時における印刷対象とマスクとの摩擦やマスク洗浄時などにマスク版の表面が磨耗しやすく、耐久性に問題があった。
その点、マスク版が金属材料で形成してある特許文献2のスクリーン刷版は、マスク版表面の磨耗を低減することができ、十分な耐久性を発揮できる。しかし、特許文献2に係るスクリーン刷版は、図21および図22に示すように、第1の金属膜101に印刷パターンに合致するパターン開口102が形成されており、第2の金属膜103にパターン開口102の外形形状内に収まる調整開口104が形成されている。こうした開口構造では、第2の金属膜103がパターン開口102の開口周縁部分の上側に迫り出してしまう。そのため、スクリーン印刷時に印刷ペーストをスキージで印刷対象W側へ押し出した際に、図21に示すように、上方から供給された印刷ペーストの周囲にリング状の隙間105が形成され、この隙間105に空気が残留し、印刷層を印刷パターン通りに形成できないことがある。
また、印刷ペーストがパターン開口102に適正に充満された場合でも、図22に示すように、スクリーン刷版を印刷対象Wから剥離する際に、印刷ペーストの一部がスクリーン刷版とともに剥離されて、印刷層を適正に形成できないことがある。これは、印刷ペーストが、第1の金属膜101と第2の金属膜103との隣接部分に形成される入隅部106に、ペースト自身の表面張力で付着するのが原因である。従って、印刷層の形状がいびつなものとなり、印刷品質の低下を招いていた。印刷品質が低下した場合、最終製品が例えばセラミックコンデンサである場合には、設計通りの容量を発揮できない。また、スクリーン刷版に印刷ペーストが吸着している場合には、スクリーン刷版を洗浄して印刷ペーストを取り除く必要があり、印刷効率が低下する。
本発明の目的は、パターン開口に対する調整開口の形状を最適化して、適正な量の印刷ペーストで所望の印刷パターンの印刷層を的確に形成することができるメタルマスクを提供することにある。
本発明の目的は、メタルマスクを製造する際の加工不良発生率を低下して、メタルマスクの製造コストを削減することができるメタルマスクの製造方法を提供することにある。
本発明に係るスクリーン印刷用メタルマスクは、一群のパターン開口1を備えたマスク版5と、パターン開口1に対応する一群の調整開口3を備えたスキージ版6とを備えており、両版5・6のそれぞれが、金属材で形成されている。調整開口3には、対向する開口内面同士を繋ぐ調整リブ9が形成されている。調整開口3の開口形状が、パターン開口1の開口形状と同じ、ないしはパターン開口1の開口形状よりも僅かに大きく形成されていることを特徴とする。
調整開口3の開口形状を、パターン開口1の開口形状よりも相似的に大きく形成して、調整開口3の開口内面と、パターン開口1の開口周縁壁との間に段落ち部8を形成する。段落ち部8の幅寸法w1を、1μm以上15μm以下に設定する。
調整開口3の開口形状を、パターン開口1の開口形状と同じに形成する。マスク版5に、調整開口3内に進入して調整開口3の開口内面を構成する調整開口周縁部49を一体に形成し、両開口1・3の開口内面どうしを面一状に形成する。
調整リブ9を直線状に形成された第1リブ9aと第2リブ9bとで構成する。第1リブ9aと第2リブ9bとを互いに交差する状態で配置する。
本発明は、図1に示すように、一群のパターン開口1を備えたマスク版5と、パターン開口1に対応する一群の調整開口3を備えたスキージ版6とを備えており、両版5・6のそれぞれが、金属材で形成されており、調整開口3の開口形状が、パターン開口1の開口形状よりも相似的に大きく形成されているスクリーン印刷用メタルマスクの製造方法であって、メタルマスクは、第1電鋳層24を形成する1次電鋳工程と、第2電鋳層34を形成する2次電鋳工程と、剥離工程とを経て形成される。1次電鋳工程は、平板状の電鋳母型20の上面に第1フォトレジスト層21を形成し、調整開口3に対応する透光孔を有する第1パターンフィルム22を、第1フォトレジスト層21の上面に載置したのち第1フォトレジスト層21を露光して、調整開口3の開口形状に対応する第1レジスト体23を形成する工程と、電鋳母型20上の第1レジスト体23で覆われていない表面に、一群の調整開口3が形成されるスキージ版6となる第1電鋳層24を電鋳法により形成する工程とを含む。2次電鋳工程は、第1電鋳層24および第1レジスト体23の上面に第2フォトレジスト層31を形成し、パターン開口1に対応する透光孔を有する第2パターンフィルム32を、第2フォトレジスト層31の上面に載置したのち第2フォトレジスト層31を露光して、パターン開口1の開口形状に対応する第2レジスト体33を形成する工程と、第1電鋳層24および第1レジスト体23上の第2レジスト体33で覆われていない表面に、一群のパターン開口1が形成されるマスク版5となる第2電鋳層34を電鋳法により形成する工程とを含む。剥離工程は、電鋳母型20から第1および第2電鋳層24・34を剥離する工程を含むことを特徴とする。これにて、図1に示すように、調整開口3の開口内面と、パターン開口1の開口周縁壁との間に段落ち部8が形成されたスクリーン印刷用メタルマスクを得ることができる。
また、本発明は、図9に示すように、一群のパターン開口1を備えたマスク版5と、パターン開口1に対応する一群の調整開口3を備えたスキージ版6とを備えており、両版5・6のそれぞれが、金属材で形成されており、調整開口3の開口形状と、パターン開口1の開口形状とが一致するように形成されているスクリーン印刷用メタルマスクの製造方法であって、メタルマスクは、第1電鋳層24を形成する1次電鋳工程と、中間処理工程と、第2電鋳層34を形成する2次電鋳工程と、剥離工程とを経て形成される。1次電鋳工程は、平板状の電鋳母型20の上面に第1フォトレジスト層21を形成し、調整開口3の開口形状に対応する透光孔を有する第1パターンフィルム22を、第1フォトレジスト層21の上面に載置したのち第1フォトレジスト層21を露光して、調整開口3の開口形状に対応する第1レジスト体23を形成する工程と、電鋳母型20上の第1レジスト体23で覆われていない表面に、一群の調整開口3が形成されるスキージ版6となる第1電鋳層24を電鋳法により形成する工程とを含む。中間処理工程は、電鋳母型20上の第1レジスト体23を除去する工程と、第1レジスト体23を除去することにより露出した調整開口3にフォトレジスト41を充填する工程とを含む。2次電鋳工程は、第1電鋳層24および調整開口3に充填したフォトレジスト41の上面に第2フォトレジスト層31を形成し、パターン開口1に対応する透光孔を有する第2パターンフィルム32を、第2フォトレジスト層31の上面に載置したのち第2フォトレジスト層31およびフォトレジスト41を同時に露光して、パターン開口1および調整開口3の開口形状に対応する第2レジスト体33および第3レジスト体43を形成する工程と、第1電鋳層24上の第2レジスト体33で覆われていない表面に、一群のパターン開口1が形成されるマスク版5となる第2電鋳層34を電鋳法により形成する工程とを含む。剥離工程は、電鋳母型20から第1および第2電鋳層24・34を剥離する工程を含むことを特徴とする。これにて、図9に示すように、調整開口3の開口形状と、パターン開口1の開口形状が一致するスクリーン印刷用メタルマスクを得ることができる。
また、本発明は、図12に示すように、一群のパターン開口1を備えたマスク版5と、パターン開口1に対応する一群の調整開口3を備えたスキージ版6とを備えており、両版5・6のそれぞれが、金属材で形成されており、調整開口3の開口形状と、パターン開口1の開口形状とが一致するように形成されているスクリーン印刷用メタルマスクの製造方法であって、メタルマスクは、第1電鋳層24を形成する1次電鋳工程と、中間処理工程と、第2電鋳層34を形成する2次電鋳工程と、剥離工程とを経て形成される。1次電鋳工程は、平板状の電鋳母型20の上面に第1フォトレジスト層21を形成し、調整開口3の開口形状よりも所定寸法だけ大きなダミー開口45の開口形状に対応する透光孔を有するダミーパターンフィルム46を、第1フォトレジスト層21の上面に載置したのち第1フォトレジスト層21を露光して、ダミー開口45の開口形状に対応するダミーレジスト体47を形成する工程と、電鋳母型20上のダミーレジスト体47で覆われていない表面に、一群のダミー開口45が形成されるスキージ版6となる第1電鋳層24を電鋳法により形成する工程とを含む。中間処理工程は、電鋳母型20のダミーレジスト体47を除去する工程と、ダミーレジスト体47を除去することにより露出したダミー開口45にフォトレジスト41を充填する工程とを含む。2次電鋳工程は、第1電鋳層24およびダミー開口45に充填したフォトレジスト41の上面に第2フォトレジスト層31を形成し、パターン開口1に対応する透光孔を有する第2パターンフィルム32を、第2フォトレジスト層31の上面に載置したのち第2フォトレジスト層31およびフォトレジスト41を同時に露光して、パターン開口1および調整開口3の開口形状に対応する第2レジスト体33および第3レジスト体43を形成する工程と、電鋳母型20および第1電鋳層24上の第2および第3レジスト体33・43で覆われていない表面に、一群のパターン開口1が形成されるマスク版5およびダミー開口45内に侵入して調整開口周縁部49となる第2電鋳層34を電鋳法により形成する工程とを含むことを特徴とする。これにて、図12に示すように、調整開口3の開口形状と、パターン開口1の開口形状が一致し、調整開口周縁部49がダミー開口45内に進入しているスクリーン印刷用メタルマスクを得ることができる。
フォトレジスト41が、流動性を有する液状フォトレジストである形態を採ることができる。
本発明のスクリーン印刷用メタルマスクにおいては、それぞれ金属材で形成した一群のパターン開口1を備えたマスク版5と、パターン開口1に対応する一群の調整開口3を備えたスキージ版6とを備え、調整開口3の開口形状を、パターン開口1の開口形状と同じ、ないしはパターン開口1の開口形状よりも僅かに大きく形成した。これによれば、スキージ版6がパターン開口1の開口周縁部分の上側に迫り出すことがないので、メタルマスクを印刷対象W上に載置した際に、従来のメタルマスクにおいて避けられなかったリング状の隙間や入隅部が形成されるのを解消できる。従って、隙間での空気の残留や入隅部での印刷ペーストの剥離が発生することなく、適正な量の印刷ペーストで所望の印刷パターンの印刷層を的確に形成することができる。
調整開口3の開口形状を、パターン開口1の開口形状よりも相似的に大きく形成して調整開口3の開口内面と、パターン開口1の開口周縁壁との間に段落ち部8を形成した。これによれば、例えば2層構造のメタルマスクを電鋳法で一体的に製造する場合には、パターン開口1および調整開口3を形成するレジスト体の相対位置が僅かにずれた場合でも、位置ずれ量が段落ち部8の幅寸法w1を超えない限りスキージ版6がパターン開口1の開口周縁部分の上側に迫り出すのを解消できる。また、マスク版5およびスキージ版6をそれぞれ別々に製造して接着剤などで一体化する場合には、両版5・6を貼り合せる際の位置精度に段落ち部8の幅寸法w1分だけ余裕ができるので、位置合わせを厳密に規定することなく貼り合せることができる。なお、段落ち部8の幅寸法w1は、1μm以上15μm以下に設定することが好ましい。これは、1μm未満であると段落ち部8がほとんど形成されず、また、15μmを超えると印刷時に段落ち部8に印刷ペーストが付着するおそれがあり、印刷ペーストが段落ち部8に付着した場合には、無駄に消費される印刷ペーストの量が増加するからである。
調整開口3の開口形状を、パターン開口1の開口形状と同じに形成し、マスク版5に、調整開口3内に進入して調整開口3の開口内面を構成する調整開口周縁部49を一体に形成し、両開口1・3の開口内面どうしを面一状に形成した。これによれば、両開口1・2の開口内面がともにマスク版5で形成されるので、両開口1・3の開口内面の境界部分に段差が形成されることがなく、両開口1・3の内面を滑らかに連続させることができる。
第1リブ9aと第2リブ9bとを互いに交差する状態で配置すると、両リブ9a・9bが互いに支持し合って調整リブ9の構造強度を向上することができる。従って、印刷時に調整リブ9上をスキージSが通過する際に、調整リブ9や調整開口3の開口縁がパターン開口1側へ撓み変形するのを防止して、調整リブ9の破損を防止できる。
請求項5に係る本発明の調整開口3の開口形状が、パターン開口1の開口形状よりも相似的に大きく形成されているスクリーン印刷用メタルマスクの製造方法においては、1次電鋳工程でパターン開口1の開口形状よりも相似的に大きく形成されている調整開口3が形成されるスキージ版を形成したのち、2次電鋳工程でパターン開口1が形成されるマスク版5を形成した。これによれば、第2パターンフィルム32を第2フォトレジスト層31の上面に載置する際に、第2パターンフィルム32の第1レジスト体23に対する載置位置が僅かにずれた場合でも、両開口1・2の寸法差の半分を超えない限り、スキージ版6がパターン開口1の開口周縁部分の上側に迫り出すことがなく、第2パターンフィルム32の位置決め精度に余裕ができる。従って、メタルマスクを製造する際の加工不良発生率を低下して、メタルマスクの製造コストを削減することができる。また、第2レジスト体33の形成後に、第1レジスト体23に対する第2レジスト体33の形成位置を上方から確認することができるので、第2レジスト体33の形成位置が大きく位置ずれしている場合には、加工不良品として処理することにより、その後の電着処理を省くことができる。
請求項6に係る本発明の調整開口3の開口形状と、パターン開口1の開口形状とが一致するように形成されているスクリーン印刷用メタルマスクの製造方法においては、1次電鋳工程と、中間処理工程と、2次電鋳工程と、剥離工程とを経てメタルマスクを形成するようにした。そして、中間処理工程で、電鋳母型20の第1レジスト体23を除去する工程と、第1レジスト体23を除去することにより露出した調整開口3内にフォトレジスト41を充填する工程とを行うようにした。これによれば、第2電鋳層34を形成する際の第2レジスト体33の剥離を防止して、所望の形状の第2電鋳層34を形成することができる。
詳しくは、電鋳法でメタルマスクを製造する場合には、第1電鋳層24を形成する1次電鋳工程に次いで、第1電鋳層24の上面の平滑化を目的として、第1電鋳層24および第1レジスト体23の上面の研磨処理を行う研磨工程を行う場合がある。この研磨工程の際に、第1レジスト体23にクラックや欠損などの欠陥部が生じることがある。欠陥部が生じた状態の第1レジスト体23に、2次電鋳工程で第2フォトレジスト層31を形成すると、第1レジスト体23と第2フォトレジスト層31との間に空気が封入されてしまう。この状態で、第2レジスト体33を形成したのち第2電鋳層34を形成すると、電鋳法では、電鋳浴槽内の電鋳めっき液は高温に保持されているので、この熱により第1レジスト体23と第2レジスト体33との間に封入された空気が膨張して、第1レジスト体23から第2レジスト体33が剥離され、所望の形状に第2電鋳層34を形成することができない。しかし、研磨工程で第1レジスト体23にクラックや欠損が生じた場合でも、中間処理工程を行って第1レジスト体23を除去したのち、新たにフォトレジスト41を調整開口3に充填することにより、第1、第2のレジスト体23・33の間に空気が封入されるのを防止でき、第2電鋳層34を確実に所望の形状に形成することができる。また、研磨工程の有無にかかわらず同一の製造方法でメタルマスクを製造することができるので、製造ラインを統一してメタルマスクの製造コストを削減することができる。
請求項7に係る本発明の調整開口3の開口形状と、パターン開口1の開口形状とが一致するように形成されているスクリーン印刷用メタルマスクの製造方法においては、1次電鋳工程と、中間処理工程と、2次電鋳工程と、剥離工程とを経てメタルマスクを形成するようにした。そして、1次電鋳工程で、調整開口3の開口形状よりも所定寸法だけ大きなダミー開口45を形成した。また、2次電鋳工程で、ダミー開口45内のフォトレジスト41と第2フォトレジスト層31とを同時に露光して、パターン開口1および調整開口3の開口形状に対応する第2レジスト体33および第3レジスト体43を形成したのち、マスク版5およびダミー開口内に侵入して調整開口周縁部49となる第2電鋳層34を電鋳法により形成した。
上記のような製造方法によれば、ダミー開口45内のフォトレジスト41と第2フォトレジスト層31とを同時に露光するので、第2レジスト体33の外形形状と第3レジスト体43の外形形状を完全に一致させることができる。これにより、マスク版5および調整開口周縁部49となる第2電鋳層34を電鋳法で形成することにより、調整開口3とパターン開口1との形成位置および開口形状を完全に一致させることができる。また、調整開口周縁部49とパターン開口1の周縁部はともに第2電鋳層34で形成されるので、両開口1・3の境界部分に段差が形成されることがない。さらに、ダミー開口45がパターン開口1よりも大きく形成されているので、第2パターンフィルム32の載置位置は、パターン開口1に対応する透光孔の位置がダミー開口45の外周縁を超えない範囲で余裕があり、第2パターンフィルム32の載置位置が僅かにずれた場合でも、両開口1・2の境界部分に段差が形成されることがなく、製造時の加工不良発生率を低下させてメタルマスクの製造コストを削減することができる。加えて、中間処理工程を行って、ダミーレジスト体47を除去してフォトレジスト41をダミー開口45に充填するので、ダミーレジスト体47の欠陥部に起因する第2電鋳層34を形成する際の第2レジスト体33の剥離を防止して、所望の形状の第2電鋳層34を形成することができる。
フォトレジスト41が、流動性を有する液状フォトレジストであると、固形状のフォトレジストを使用する場合に比べて、露出した調整開口3に簡単に充填することができる。従って、中間処理時の調整開口3へのフォトレジスト41の充填作業を簡便に行うことができ、製造時間を短縮することができる。
本発明の第1実施形態に係るスクリーン印刷用メタルマスクの使用態様例を示す縦断側面図である。 メタルマスクの全体平面図とパターン開口および調整開口の拡大図である。 メタルマスクの斜視図である。 印刷対象に印刷層を形成した状態を示す縦断側面図である。 本発明の第1実施形態に係るスクリーン印刷用メタルマスクの1次電鋳工程を示す説明図である。 本発明の第1実施形態に係るスクリーン印刷用メタルマスクの2次電鋳工程および剥離工程を示す説明図である。 メタルマスクの部分拡大平面図である。 カットマーク開口を示す平面図である。 本発明の第2実施形態に係るスクリーン印刷用メタルマスクの使用態様例を示す縦断側面図である。 本発明の第2実施形態に係るスクリーン印刷用メタルマスクの1次電鋳工程および中間処理工程を示す説明図である。 本発明の第2実施形態に係るスクリーン印刷用メタルマスクの2次電鋳工程および剥離工程を示す説明図である。 本発明の第3実施形態に係るスクリーン印刷用メタルマスクの使用態様例を示す縦断側面図である。 本発明の第3実施形態に係るスクリーン印刷用メタルマスクの1次電鋳工程および中間処理工程を示す説明図である。 本発明の第3実施形態に係るスクリーン印刷用メタルマスクの2次電鋳工程および剥離工程を示す説明図である。 本発明の第4実施形態に係るパターン開口および調整開口の平面図である。 本発明の第4実施形態に係るメタルマスクの斜視図である。 本発明の第5実施形態に係るスクリーン印刷用メタルマスクを示す縦断側面図である。 本発明の第5実施形態に係るパターン開口の平面図である。 本発明の第5実施形態に係るスクリーン印刷用メタルマスクの2次電鋳工程および剥離工程を示す説明図である。 本発明の第6実施形態に係るカットマーク開口を示す平面図である。 従来のスクリーン印刷用メタルマスクにおける印刷層の形成態様を示す縦断側面図である。 従来のスクリーン印刷用メタルマスクにおける印刷層の形成態様を示す縦断側面図である。
(第1実施形態) 図1から図8に、本発明に係るスクリーン印刷用メタルマスク(以下、単にメタルマスクと言う。)の第1実施形態を示す。なお、本発明における前後、左右、上下とは、図1および図2に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。この実施形態のメタルマスクは、印刷対象Wであるセラミックフィルムの表面に、積層型セラミックコンデンサを構成する内部電極をスクリーン印刷法で印刷形成するために用いる。図2においてメタルマスクは一辺が250mmの正方形状に形成されており、同マスクを四つの象限に分割したとき、各象限にそれぞれパターン形成領域Mが区画されており、このパターン形成領域Mに一群のパターン開口1が形成されている。また、メタルマスクには、パターン形成領域Mの周囲を囲むように、スクリーン印刷後の工程で印刷対象Wを規定の形状にカットする際に用いられるカットマークを印刷するための一群のカットマーク開口2が形成されるカットマーク形成領域Cが区画されている。メタルマスクは、マスク単体で、あるいはマスクの四周縁に枠体が接着された状態でスクリーン印刷装置のマスク固定部に装着される。
図1に示すように、メタルマスクは、一群のパターン開口1を備えたマスク版5と、パターン開口1に対応する一群の調整開口3を備えたスキージ版6とを備えている。スキージ版6はスキージ面7を構成しており、印刷時にはスキージ面7上にのせた印刷ペーストをスキージSでスキージングすることにより、印刷ペーストが調整開口3を介してパターン開口1およびカットマーク開口2に押し出されて、印刷対象W表面にパターン開口1およびカットマーク開口2に合致した印刷層PPとカットマークCMが形成される(図7参照)。スキージSは、その先端がスキージ面7と接触した状態でメタルマスクの前側から後側に向かって移動しながら印刷層を形成する。ここで言う「印刷ペースト」とは、はんだペースト、クリームはんだ、液状はんだ、導電性インキなどを含む概念である。
マスク版5の厚み寸法t1は6μm以上100μm以下に設定することが好ましく、スキージ版6の厚み寸法t2は3μm以上20μm以下に設定することが好ましい。マスク版5の厚み寸法t1が6μm未満であると、印刷される印刷層PPの厚みが薄くなりすぎ、100μmを超えるとメタルマスクの厚み寸法が厚くなりすぎる。また、スキージ版6の厚み寸法t2が3μm未満であると、後述する調整リブ9の厚み寸法が薄く強度を確保できず、20μmを超えると印刷ペーストが調整開口3を介してパターン開口1に押し出され難くなるからである。スキージ版6とマスク版5との厚み寸法の比率は、1:1.5から1:5に設定することが好ましい。本実施形態では、マスク版5の厚み寸法t1は9μmに設定し、スキージ版6の厚み寸法t2は6μmに設定した。
図2に示すように、マスク版5に形成されるパターン開口1の開口形状は、四隅部が丸められた左右横長の長方形状に形成されており、パターン形成領域M内に格子状に配置されている。パターン開口1の上方のスキージ版6に形成される調整開口3の開口形状は、
パターン開口1の開口形状よりも僅かに大きく設定されている。詳しくは、調整開口3の開口形状は、パターン開口1の開口形状よりも相似的に大きく形成されている。これにより、図1に示すように、調整開口3の開口内面と、パターン開口1の開口周縁壁との間に段落ち部8が形成される。調整開口3の開口形状は、パターン開口1と調整開口3との中心を一致するように形成したとき、段落ち部8の幅寸法w1が、1μm以上15μm以下に設定することが好ましい。段落ち部8の幅寸法w1が、1μm未満であると段落ち部8がほとんど形成されず、後述するメタルマスクの製造時における第1パターンフィルム22と第2パターンフィルム32との相対位置のずれの許容値が小さくなるため、製造時の寸法精度を高度に管理する必要があるからである。また、15μmを超えると印刷時に段落ち部8に印刷ペーストが付着するおそれがあり、印刷ペーストが段落ち部8に付着した場合には、無駄に消費される印刷ペーストの量が増加するからである。より好ましくは、2μm以上12μm以下に設定するとよい。本実施形態では、段落ち部8の幅寸法w1は10μmに設定した。また、パターン開口1は、長辺の寸法が0.25mmで短辺の寸法が0.05mmに形成されており、その上下の形成ピッチの寸法は0.10mmで、左右の形成ピッチは0.30mmに設定した。
パターン開口1に対する印刷ペーストの供給量を調整するために、パターン開口1の上方のスキージ版6には調整開口3が形成されている。図2および図3に示すように、調整開口3には、調整開口3の開口周縁の内壁面から延設されてパターン開口1の上面を部分的に覆う調整リブ9が形成されている。調整リブ9は、対向する長辺部の開口周縁どうしを橋絡するように形成されており、直線状の4個の調整リブ9が、隣接する調整リブ9どうしの延設方向が異なるように形成されている。つまり、隣接する調整リブ9が互いに逆向きに傾斜する状態で形成してある。調整リブ9の形成基端部と調整開口3の開口内面との接続部分は丸められており、スキージング時のスキージSとスキージ面7との摩擦によりメタルマスクの前後方向に発生する引張り応力が、前記接続部分に集中してメタルマスクが破損するのを防止している。なお、調整リブ9は、パターン開口1の上方を覆って開口率を減じることで、パターン開口1に押し出される印刷ペーストの量を調整している。本実施形態では、パターン開口1の開口率を100とした場合、調整開口3の開口率を60に設定した。
調整リブ9の幅寸法w2は、8μm以上20μm以下に設定することが好ましい。8μm未満であると、調整リブ9の強度を確保することが困難であり、20μmを越えると、1個の調整リブ9で覆われるパターン開口1の面積が大きすぎ、印刷ペーストをパターン開口1に均等に充満させることが困難になるからである。また、傾斜する調整リブ9のパターン開口1の長辺方向に対する角度は、20度以上70度以下に設定することが好ましい。角度が20度未満であると、調整リブ9の形成長さが長くなるため強度が低下し、メタルマスクの破損に繋がるおそれがあるからであり、70度を超えると、パターン開口1の開口率を一定にする場合、調整リブ9の幅寸法w2が同じであるときには角度が小さい場合に比べてより多くの調整リブ9を形成する必要があり、調整開口9の形状が微細化してメタルマスクの製造時に加工不良が生じやすくなるからである。本実施形態では、調整リブ9の幅寸法w2を8μmに設定し、パターン開口1の長辺方向に対する角度を60度に設定した。
図8に示すように、マスク版5に形成されるカットマーク開口2の開口形状は、四隅部が丸められた横長の長方形状に形成されており、その一側辺部分に切欠き11がそれぞれ形成されている。一群のカットマーク開口2は、カットマーク形成領域Cの長手方向に沿って並列状に形成されている。カットマーク開口2は、前後に長いカットマーク形成領域Cでは、切欠き11が形成された一側が左側に位置する状態で左右に指向しており、左右に長いカットマーク形成領域Cでは、切欠き11が形成された一側が後側に位置する状態で前後に指向している。
カットマーク開口2の上方のスキージ版6には、図8に示すようにカットマーク調整開口12が形成されている。カットマーク調整開口12の開口形状は、調整開口3と同様に、カットマーク開口2の開口形状よりも僅かに大きく設定されている。詳しくは、カットマーク調整開口12の開口形状は、カットマーク開口2の開口形状よりも相似的に大きく形成されている。これにより、カットマーク調整開口12の開口内面と、カットマーク開口2の開口周縁壁との間に段落ち部13が形成されている。カットマーク調整開口12の開口形状は、パターン開口1と調整開口3との中心を一致するように形成したとき、段落ち部13の幅寸法w3が、1μm以上15μm以下に設定することが好ましい。より好ましくは、段落ち部13の幅寸法w3は、2μm以上12μm以下に設定するとよい。本実施形態では、段落ち部13の幅寸法w3は10μmに設定した。また、カットマーク開口2は、長辺の寸法が2.0mmで短辺の寸法が0.07mmに形成されており、その隣接ピッチp1の寸法は、2.8mmに設定した。
パターン開口1の調整開口3と同様に、カットマーク調整開口12の上方のスキージ版6には調整リブ15が形成されており、カットマーク調整開口12用の調整リブ15は菱形の網目状に形成されている。調整リブ15の形成基端部とカットマーク調整開口12の開口内面との接続部分は丸められており、スキージング時のスキージSとスキージ面7との摩擦によりメタルマスクの前後方向に発生する引張り応力が、前記接続部分に集中してメタルマスクが破損するのを防止している。調整リブ15の幅寸法は、パターン開口1の調整開口3に形成される調整リブ9と同様の寸法に形成することが好ましい。
また、切欠き11の底辺部とカットマーク調整開口12の長辺部とを接続する接続辺部14は、底辺部と長辺部とを緩やかに接続するように形成されている。このように、接続辺部14を緩やかに接続するように形成することにより、スキージング時のスキージSとスキージ面7との摩擦によりメタルマスクの前後方向に発生する引張り応力が、前記接続辺部14に集中してメタルマスクが破損するのを防止できる。本実施形態では、切欠きの底辺部と接続辺部14とがなす接続角度θ1が、45度となるように形成した。なお、接続角度θ1は、10度以上90度以下に設定すること好ましい。接続角度θ1が10度未満であると、切断時の基準位置となる切欠き部分による印刷層の形状が不明確になり、後工程での切断作業が困難となるためであり、接続角度θ1が90度を超えると、スキージSが通過する際に、スキージSが接続辺部14に引っ掛かり、メタルマスクが破損するおそれがあるからである。より好ましくは、接続角度θ1は、30度以上60度以下に設定するとよい。
図5および図6に本実施形態のメタルマスクの製造方法を示す。メタルマスクは図5(a)〜(d)に示す1次電鋳工程と、図6(a)〜(c)に示す2次電鋳工程と、図6(d)に示す剥離工程とを経て形成される。1次電鋳工程においては、図5(a)に示すように、導電性を有する平板状のステンレス製の電鋳母型20の上面に第1フォトレジスト層21を形成した上で、該第1フォトレジスト層21の上面に、調整開口3に対応する透光孔を有する第1パターンフィルム22を載置し密着させる。次いで、紫外光ランプ19で紫外線光を照射して露光を行い、現像、乾燥の各処理を行って、未露光部分を溶解除去することにより、図5(b)に示すように、調整開口3に対応する第1レジスト体23を電鋳母型20上に形成した。なお、第1フォトレジスト層21は、ネガタイプの感光性ドライフィルムレジストを、所定の高さに合わせて一枚ないし数枚ラミネートして熱圧着により形成したものを用いた。
次に、図5(c)に示すように、第1レジスト体23以外の電鋳母型20上に、電鋳金属としてのニッケル−コバルトを電鋳法により電着させることにより、スキージ版6となる第1電鋳層24を電鋳形成した。第1電鋳層24を電鋳形成したのち、第1レジスト体23および第1電鋳層24の表面を研磨することにより、図5(d)に示すように第1レジスト体23および第1電鋳層24の表面を平滑化した。
2次電鋳工程においては、図6(a)に示すように、第1レジスト体23および第1電鋳層24の上面に第2フォトレジスト層31を形成した上で、該第2フォトレジスト層31の上面に、パターン開口1に対応する透光孔を有する第2パターンフィルム32を載置し密着させる。次いで、紫外光ランプ19で紫外線光を照射して露光を行い、現像、乾燥の各処理を行って、未露光部分を溶解除去することにより、図6(b)に示すように、パターン開口1に対応する第2レジスト体33を第1レジスト体23および第1電鋳層24上に形成した。なお、第2フォトレジスト層31は、第1フォトレジスト層21と同様に、ネガタイプの感光性ドライフィルムレジストを、所定の高さに合わせて一枚ないし数枚ラミネートして熱圧着により形成したものを用いた。
次に、図6(c)に示すように、第2レジスト体33以外の第1レジスト体23および第1電鋳層24上に、電鋳金属としてのニッケル−コバルトを電鋳法により電着させることにより、マスク版5となる第2電鋳層34を電鋳形成した。最後に、第2レジスト体33および第2電鋳層34の表面を研磨したのち、第1および第2電鋳層24・34を電鋳母型20から剥離して、第1および第2レジスト体23・33を除去することにより、図6(d)に示すメタルマスクを得た。
上記のように、本実施形態のメタルマスクにおいては、図4に示すように、スキージ版6の調整開口3の開口形状を、マスク版5のパターン開口1の開口形状よりも僅かに大きく形成したので、スキージ版6がパターン開口1の開口周縁部分の上側に迫り出すことがなく、メタルマスクを印刷対象W上に載置した際に、従来のメタルマスクにおいて避けられなかったリング状の隙間や入隅部が形成されるのを解消できる。従って、隙間での空気の残留や入隅部での印刷ペーストの剥離を解消して、適正な量の印刷ペーストで所望の印刷パターンの印刷層を的確に形成することができる。
また、本実施形態のメタルマスクの製造方法においては、第2パターンフィルム32を第2フォトレジスト層31の上面に載置する際に、第2パターンフィルム32の第1レジスト体23に対する載置位置が僅かにずれた場合でも、両開口1・3の寸法差の半分を超えない限り、スキージ版6がパターン開口1の開口周縁部分の上側に迫り出すことがなく、第2パターンフィルム32の位置決め精度に余裕ができる。従って、メタルマスクを製造する際の加工不良発生率を低下して、メタルマスクの製造コストを削減することができる。また、第2レジスト体33の形成後に、第1レジスト体23に対する第2レジスト体33の形成位置を上方から確認することができるので、第2レジスト体33の形成位置が大きく位置ずれしている場合には、加工不良品として処理することにより、その後の電着処理を省くことができる。
(第2実施形態) 図9から図11に本発明に係るスクリーン印刷用メタルマスクの第2実施形態を示す。本実施形態では、パターン開口1の開口形状と調整開口3の開口形状とを同じに形成した点が第1実施形態と異なる。パターン開口1の開口形状と調整開口3の開口形状とを同じに形成すると、図9に示すように、パターン開口1と調整開口3との境界部に段部が形成されない。これにより、スキージ版6がパターン開口1の開口周縁部分の上側に迫り出すことがなく、メタルマスクを印刷対象W上に載置した際に、従来のメタルマスクにおいて避けられなかったリング状の隙間や入隅部が形成されるのを解消できる。従って、隙間での空気の残留や入隅部での印刷ペーストの剥離を解消して、適正な量の印刷ペーストで所望の印刷パターンの印刷層を的確に形成することができる。他は第1実施形態と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。以下の実施形態においても同じとする。
図10および図11に本実施形態のメタルマスクの製造方法を示す。メタルマスクは図10(a)〜(c)に示す1次電鋳工程と、図10(d)〜(f)に示す中間処理工程と、図11(a)〜(c)に示す2次電鋳工程と、図11(d)に示す剥離工程とを経て形成される。1次電鋳工程においては、図10(a)に示すように、導電性を有する平板状のステンレス製の電鋳母型20の上面に第1フォトレジスト層21を形成した上で、該第1フォトレジスト層21の上面に、調整開口3に対応する透光孔を有する第1パターンフィルム22を載置し密着させる。次いで、紫外光ランプ19で紫外線光を照射して露光を行い、現像、乾燥の各処理を行って、未露光部分を溶解除去することにより、図10(b)に示すように、調整開口3に対応する第1レジスト体23を電鋳母型20上に形成した。なお、第1フォトレジスト層21は、ネガタイプの感光性ドライフィルムレジストを、所定の高さに合わせて一枚ないし数枚ラミネートして熱圧着により形成したものを用いた。
次に、図10(c)に示すように、第1レジスト体23以外の電鋳母型20上に、電鋳金属としてのニッケル−コバルトを電鋳法により電着させることにより、スキージ版6となる第1電鋳層24を電鋳形成した。第1電鋳層24を電鋳形成したのち、第1レジスト体23および第1電鋳層24の表面を研磨して第1レジスト体23および第1電鋳層24の表面の平滑化した。なお、第1電鋳層24の表面状態が研磨を必要としない場合には、研磨工程を省略することができる。
中間処理工程においては、電鋳母型20上の第1レジスト体23を除去して調整開口3を露出したのち、図10(d)に示すように、液状フォトレジスト(フォトレジスト)41を電鋳母型20および第1レジスト体23の上面に塗布した。次に、第1レジスト体23の上面の不要な液状フォトレジスト41を除去して、調整開口3内にのみ液状フォトレジスト41を充填した。
2次電鋳工程においては、図11(a)に示すように、液状フォトレジスト41および第1電鋳層24の上面に第2フォトレジスト層31を形成した上で、該第2フォトレジスト層31の上面に、パターン開口1に対応する透光孔を有する第2パターンフィルム32を載置し密着させる。次いで、紫外光ランプ19で紫外線光を照射して液状フォトレジスト41と第2フォトレジスト層31とを同時に露光を行い、現像、乾燥の各処理を行って、未露光部分を溶解除去することにより、図11(b)に示すように、パターン開口1に対応する第2レジスト体33と第3レジスト体43を電鋳母型20および第1電鋳層24上に形成した。なお、第2フォトレジスト層31は、第1フォトレジスト層21と同様に、ネガタイプの感光性ドライフィルムレジストを、所定の高さに合わせて一枚ないし数枚ラミネートして熱圧着により形成したものを用いた。
次に、図11(c)に示すように、第2レジスト体33以外の第1電鋳層24上に、電鋳金属としてのニッケル−コバルトを電鋳法により電着させることにより、マスク版5となる第2電鋳層34を電鋳形成した。最後に、第2レジスト体および第2電鋳層34の表面を研磨したのち、第1および第2電鋳層24・34を電鋳母型20から剥離して、第2および第3レジスト体33・43を除去することにより、図11(d)に示すメタルマスクを得た。
上記のように、本実施形態のメタルマスクの製造方法においては、研磨工程で第1レジスト体23にクラックや欠損が生じた場合でも、中間処理工程を行って第1レジスト体23を除去したのち、新たに液状フォトレジスト41を調整開口3に充填することにより、第1、第2のレジスト体23・33の間に空気が封入されるのを防止でき、第2電鋳層34を確実に所望の形状に形成することができる。また、研磨工程の有無にかかわらず同一の製造方法でメタルマスクを製造することができるので、製造ラインを統一してメタルマスクの製造コストを削減することができる。また、露出した調整開口3に充填するフォトレジストは、液状フォトレジスト41を使用することにより、固形状のフォトレジストを使用する場合に比べて調整開口3に簡単に充填することができる。
(第3実施形態) 図12から図14に本発明に係るスクリーン印刷用メタルマスクの第4実施形態を示す。本実施形態では、パターン開口1の開口形状と調整開口3の開口形状とを同じに形成した点と、マスク版5をスキージ版6側にまで形成して、調整開口3の開口周縁部を第2電鋳層34の一部で形成した点が第1実施形態と異なる。図12に示すように、マスク版5には、調整開口3内に進入して調整開口3の開口内面を構成する調整開口周縁部49が一体に形成されており、両開口1・3の開口内面どうしが面一状に形成されている。これにより、パターン開口1と調整開口3の開口内面どうしを境界のない状態で滑らかに連続させることができる。従って、スキージ版6がパターン開口1の開口周縁部分の上側に迫り出すことがなく、メタルマスクを印刷対象W上に載置した際に、従来のメタルマスクにおいて避けられなかったリング状の隙間や入隅部が形成されるのを解消できる。従って、隙間での空気の残留や入隅部での印刷ペーストの剥離を解消して、適正な量の印刷ペーストで所望の印刷パターンの印刷層を的確に形成することができる。
図13および図14に本実施形態のメタルマスクの製造方法を示す。メタルマスクは図13(a)〜(c)に示す1次電鋳工程と、図13(d)〜(f)に示す中間処理工程と、図14(a)〜(c)に示す2次電鋳工程と、図14(d)に示す剥離工程とを経て形成される。1次電鋳工程においては、図13(a)に示すように、導電性を有する平板状のステンレス製の電鋳母型20の上面に第1フォトレジスト層21を形成した上で、該第1フォトレジスト層21の上面に、ダミー開口45に対応する透光孔を有するダミーパターンフィルム46を載置し密着させる。次いで、紫外光ランプ19で紫外線光を照射して露光を行い、現像、乾燥の各処理を行って、未露光部分を溶解除去することにより、図13(b)に示すように、ダミー開口45に対応するダミーレジスト体47を電鋳母型20上に形成した。なお、第1フォトレジスト層21は、ネガタイプの感光性ドライフィルムレジストを、所定の高さに合わせて一枚ないし数枚ラミネートして熱圧着により形成したものを用いた。
次に、図13(c)に示すように、ダミーレジスト体47以外の電鋳母型20上に、電鋳金属としてのニッケル−コバルトを電鋳法により電着させることにより、スキージ版6となる第1電鋳層24を電鋳形成した。第1電鋳層24を電鋳形成したのち、ダミーレジスト体47および第1電鋳層24の表面を研磨してダミーレジスト体47および第1電鋳層24の表面の平滑化した。なお、第1電鋳層24の表面状態が研磨を必要としない場合には、研磨工程を省略することができる。
中間処理工程においては、電鋳母型20上にダミーレジスト体47を除去してダミー開口45を露出したのち、図13(d)に示すように、液状フォトレジスト41を電鋳母型20およびダミーレジスト体47の上面に塗布した。次に、ダミーレジスト体47および第1電鋳層24の上面の不要な液状フォトレジスト41を除去して、ダミー開口45内にのみ液状フォトレジスト41を充填した。
2次電鋳工程においては、図14(a)に示すように、液状フォトレジスト41および第1電鋳層24の上面に第2フォトレジスト層31を形成した上で、該第2フォトレジスト層31の上面に、パターン開口1に対応する透光孔を有する第2パターンフィルム32を載置し密着させる。次いで、紫外光ランプ19で紫外線光を照射して液状フォトレジスト41と第2フォトレジスト層31とを同時に露光を行い、現像、乾燥の各処理を行って、未露光部分を溶解除去することにより、図14(b)に示すように、パターン開口1および調整開口3に対応する第2レジスト体33と第3レジスト体43を電鋳母型20および第1電鋳層24上に形成した。なお、第2フォトレジスト層31は、第1フォトレジスト層21と同様に、ネガタイプの感光性ドライフィルムレジストを、所定の高さに合わせて一枚ないし数枚ラミネートして熱圧着により形成したものを用いた。
次に、図14(c)に示すように、第2レジスト体33以外の第1電鋳層24上に、電鋳金属としてのニッケル−コバルトを電鋳法により電着させることにより、マスク版5および調整開口周縁部49となる第2電鋳層34を電鋳形成した。この状態の調整開口周縁部49は、図14(c)に示すようにダミー開口45内に進入している。最後に、第2レジスト体33および第2電鋳層34の表面を研磨したのち、第1および第2電鋳層24・34を電鋳母型20から剥離して、第2および第3レジスト体33・43を除去することにより、図14(d)に示すメタルマスクを得た。
上記のように、本実施形態のメタルマスクの製造方法においては、ダミー開口45内の液状フォトレジスト41と第2フォトレジスト層31とを同時に露光するので、第2レジスト体33の外形形状と第3レジスト体43の外形形状を完全に一致させることができ、マスク版5および調整開口周縁部49となる第2電鋳層34を電鋳法で形成することにより、調整開口3とパターン開口1との形成位置および開口形状を完全に一致させることができる。また、調整開口周縁部49とパターン開口1の周縁部はともに第2電鋳層34で形成されるので、両開口1・2の境界部分に段差が形成されることがなく、両開口1・3の内面を滑らかに連続させることができる。さらに、ダミー開口45がパターン開口1よりも大きく形成されているので、第2パターンフィルム32の載置位置は、パターン開口1に対応する透光孔の位置がダミー開口45の外周縁を超えない範囲で余裕があり、第2パターンフィルム32の載置位置が僅かにずれた場合でも、両開口1・3の境界部分に段差が形成されることがなく、製造時の加工不良発生率を低下させてメタルマスクの製造コストを削減することができる。
(第4実施形態) 図15および図16に本発明に係るスクリーン印刷用メタルマスクの第4実施形態を示す。本実施形態では、調整開口3の調整リブ9の形状を変更した点が第1実施形態と異なる。調整リブ9は、直線状に形成された第1リブ9aと第2リブ9bとで構成されている。第1および第2リブ9a・9bは互いに交差する状態で配置されており、調整開口3の対向する長辺部同士を繋ぐように形成されている。各リブ9a・9bの形成基端部と調整開口3の開口内面との接続部分は丸められており、スキージング時のスキージSとスキージ面7との摩擦によりメタルマスクの前後方向に発生する引張り応力が、前記接続部分に集中してメタルマスクが破損するのを防止している。
第1リブ9aは、調整開口3の伸び方向に対して反時計回りに傾斜角度θ2だけ傾斜した状態で形成されており、第2リブ9bは、調整開口3の伸び方向に対して時計回りに傾斜角度θ3だけ傾斜した状態で形成されており、第1リブ9aおよび第2リブ9bの中央で両リブ9a・9bが交差するように配置されている。傾斜角度θ2と傾斜角度θ3とは同一に設定することが好ましく、その角度は20度以上70度以下に設定することが好ましい。傾斜角度θ2・θ3が20度未満であると、第1および第2リブ9a・9bの形成長さが長くなるため強度が低下し、メタルマスクの破損に繋がるおそれがあるからであり、70度を超えると第1および第2リブ9a・9bを互いに交差する状態で配置することが困難となるためである。本実施形態では、傾斜角度θ2・θ3を30度に設定した。
上記のように、第1および第2リブ9a・9bを互いに交差する状態で配置すると、両リブ9a・9bが互いに支持し合って調整リブ9の構造強度を向上することができ、印刷時に調整リブ9上をスキージSが通過する際に、調整リブ9や調整開口3の開口縁がパターン開口1側へ撓み変形するのを防止して、調整リブ9の破損を防止できる。
(第5実施形態) 図17から図19に本発明に係るスクリーン印刷用メタルマスクの第5実施形態を示す。本実施形態では、調整リブ9に支持ポスト50を形成した点が第1実施形態と異なる。図17および図18に示すように、支持ポスト50は円柱状に形成されて、調整リブ9の長手方向中央部の下面に一体に設けられており、その下面部が印刷対象Wと接触して印刷時に調整リブ9を下方から支持している。これにより、スキージSが調整開口3上を通過する際の調整リブ9の撓み変形を防止して、調整リブ9の撓み変形に起因するメタルマスクの破損を防止できる。図19に示すように、支持ポスト50の形成は2次電鋳工程において、支持ポスト50に対応する部分の第2フォトレジスト層31を露光せず、パターン開口1の開口形状および支持ポスト50に対応する第2レジスト体33を形成したのち、マスク版5となる第2電鋳層34を電鋳法により形成することにより形成できる。
(第6実施形態) 図20に本発明に係るスクリーン印刷用メタルマスクの第6実施形態を示す。本実施形態では、カットマーク調整開口12の接続辺部14の接続角度θ1が90度となるように形成した点と、調整リブ15をカットマーク調整開口12の長辺部と接続辺部14との接続位置から延設した点が第1実施形態と異なる。接続角度θ1が90度に近づくにつれスキージSの通過時に、スキージSが接続辺部14に引っ掛かるおそれが高まるが、調整リブ15の延設基端をカットマーク調整開口12の長辺部と接続辺部14との接続位置にすることにより、調整リブ9で接続辺部14を補強することができ、スキージSが接続辺部14に引っ掛かることに起因するメタルマスクの破損を防止することができる。
上記の各実施形態以外に、パターン開口1の開口内面を上窄まりのテーパー状に形成することにより、印刷後のメタルマスクの剥離時の印刷層とパターン開口1の開口内面との剥離性を向上できる。この場合には、第2パターンフィルム32を載置して第2フォトレジスト層31を露光する際に、第2パターンフィルム32の透光孔を通過した光源からの光が、下方に行くに従って収束するように光源を配置して第2フォトレジスト層31を露光すればよい。フォトレジスト41は、感光性ドライフィルムレジストなど固形状フォトレジストを使用して、製造過程における調整開口3あるいはダミー開口45に充填してもよい。
1 パターン開口
3 調整開口
5 マスク版
6 スキージ版
8 段落ち部
9 調整リブ
20 電鋳母型
21 第1フォトレジスト層
22 第1パターンフィルム
23 第1レジスト体
24 第1電鋳層
31 第2フォトレジスト層
32 第2パターンフィルム
33 第2レジスト体
34 第2電鋳層
41 液状フォトレジスト
43 第3レジスト体
45 ダミー開口
46 ダミーパターンフィルム
47 ダミーレジスト体
49 調整開口周縁部

Claims (5)

  1. 一群のパターン開口(1)を備えたマスク版(5)と、前記パターン開口(1)に対応する一群の調整開口(3)を備えたスキージ版(6)とを備えているメタルマスクであって、
    前記調整開口(3)には、開口内面同士を繋ぐ調整リブ(9)が形成されており、
    前記調整リブ(9)の下面に支持ポスト(50)が形成されていることを特徴とするメタルマスク
  2. 前記調整リブ(9)は、前記調整開口(3)における対向する辺部どうしを橋絡するように形成されており、
    前記支持ポスト(50)は、前記調整リブ(9)の長手方向中央部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のメタルマスク
  3. 前記調整リブ(9)の幅寸法(w2)は、8μm以上20μm以下に設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載のメタルマスク。
  4. 前記調整リブ(9)は、前記調整開口(3)の辺部に対して傾斜する状態で形成されており、傾斜する前記調整リブ(9)の前記調整開口(3)の辺部に対する角度は、20度以上70度以下に設定されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のメタルマスク。
  5. 前記調整開口(3)の開口形状が、前記パターン開口(1)の開口形状よりも大きく形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のメタルマスク。
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