JP2020056909A - 電子写真感光体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、耐摩耗性・クリーニング性が高く、かつ高速機に使用してもかぶりの発生がほとんどない高画質の画像を得ることができる電子写真感光体を提供する。【解決手段】本発明は、導電性支持体上に少なくとも感光層と保護層とを順次積層してなる電子写真感光体において、前記保護層は、ラジカル重合性化合物と金属酸化物粒子とを含有する組成物の硬化物を含有してなり、前記金属酸化物粒子は、数平均アスペクト比が5以上100以下であり、数平均長径が50nm以上1μm以下であり、側鎖にシリコーン鎖を有する分岐型シリコーン表面処理剤で表面処理された針状の金属酸化物粒子であることを特徴とする電子写真感光体により達成されるものである。【選択図】図3

Description

本発明は、電子写真感光体およびこれを用いた画像形成装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置は、形成しようとする画像に対応した光信号に応じた静電潜像を形成するための手段として、電子写真感光体(以下、単に「感光体」とも称する)を有している。当該感光体には、有機光導電性物質を含有する有機感光体が広く用いられているが、画像形成における帯電、露光、現像、滑剤供給、転写、およびクリーニングなどの各種工程において、電気エネルギー、光エネルギー、機械的な力などが供給される。したがって、上記感光体には、画像形成の繰り返しによっても帯電安定性や電位保持性などが損なわれないことが求められている。このような要求に対し、感光体の表面に無機粒子を含む保護層を設ける技術が知られている。
また、近年、高精細、高画質の画像への要求の高まりから、小粒径の球形トナーが主流になっている。小粒径の球形トナーは感光体表面への付着力が大きく、表面に付着した転写残トナーなどの残留トナーの除去が不十分となりやすい。ゴムブレードを用いたクリーニング方式では、トナーすり抜けが発生しやすくなり、それを解決するためにはブレードの感光体への当接圧力を高くする必要があるが、繰り返し使用することにより感光体の表面が摩耗し耐久性が不足するという問題が発生する。
さらに、高精細、高画質の画像を維持しながら、プリント速度(時間当たりのプリント枚数)の高速化への対応が求められている。プリント速度を高速化するためには、画像形成装置のラインスピードを速くする必要があり、そのため感光体の回転数を高くし、同時に現像器の現像スリーブの回転数を上げて現像性を確保する必要が生じる。しかしながら、感光体の回転数や現像スリーブの回転数を上げると、小粒径トナーを用いた場合には、必然的にトナー飛散が発生しやすい状態となるので、飛散したトナーの一部が感光体の表面に付着し、その結果、画像にかぶり(地肌かぶり)を生じてしまう。そのため、高速化と高画質化とを両立させることは極めて困難であった。この現象は、トナーに熱定着時の可塑性や転写性等に優れるスチレン−アクリル樹脂(結着樹脂)を用い、感光体の表面保護層(最外層、表面層、保護層等とも称されている。以下、保護層という)に放電に対する耐性、物理的な耐傷性に優れる(メタ)アクリル樹脂(バインダー樹脂)を含有する場合に顕著な現象であった。
感光体の耐摩耗性・クリーニング性を向上させるためには、感光体の保護層中に針状の金属酸化物粒子を含有した保護層(特許文献1)や金属酸化物粒子にシリコーン処理した保護層(特許文献2)が開発されている。
特開2008−146022号公報 特開2011−154067号公報
しかしながら、特許文献1に記載の保護層では針状の金属酸化物粒子の分散性が不十分であり、針状の金属酸化物粒子の凝集体が保護層の膜中に存在してしまう。分散している針状の金属酸化物粒子は、耐久後に樹脂部が削れても脱離せずに残っているが、凝集体の部分は耐久が進むにつれて脱離してしまうため、滑剤保持力が低下し、耐摩耗性およびクリーニング性が不十分である。また、分散性が不十分であるため、針状の金属酸化物粒子が、バラバラの向きで不均一に存在しており、耐久後も脱離せずに長期間残っているため、長期間残った部分が電荷の注入点となる。よって電荷の注入点が多くあることから耐久後のかぶりが悪化すると考えられる。
一方、特許文献2に記載の保護層では、球状の粒子であるため耐久後の樹脂部の削れと共に粒子が脱離しやすく、滑剤保持率が低下してしまい、耐摩耗性およびクリーニング性が悪くなると考えられる。
また、かぶりに関しても、金属酸化物粒子をシリコーン処理をすることで分散性が向上し改善がみられるものの、プリント速度が高速の電子写真画像形成装置(以下、単に高速機ともいう)においては不十分である。
そこで、本発明は、耐摩耗性・クリーニング性が高く、かつ高速機に使用してもかぶりの発生がほとんどない高画質の画像を得ることができる電子写真感光体を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究を積み重ねた。その結果、側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤で表面処理された針状の金属酸化物粒子を含有する保護層を備えた電子写真感光体により、上記課題が解決することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、導電性支持体上に少なくとも感光層と保護層とを順次積層してなる電子写真感光体において、前記保護層は、ラジカル重合性化合物と金属酸化物粒子とを含有する組成物の硬化物を含有してなり、前記金属酸化物粒子は、数平均アスペクト比が5以上100以下であり、数平均長径が50nm以上1μm以下であり、側鎖にシリコーン鎖を有する分岐型シリコーン表面処理剤で表面処理された針状の金属酸化物粒子であることを特徴とする電子写真感光体である。
本発明によれば、高速機においても、耐摩耗性・クリーニング性が高く、尚且つかぶりの発生がほとんどない高画質の画像を得ることができる電子写真感光体を提供できる。
図1(a)は、特許文献2の保護層の構成を模式的に表したイメージ図であり、図1(b)は、実使用が進んだ後(耐久後)の保護層の様子を模式的に表したイメージ図である。 図2(a)は、特許文献1の保護層の構成を模式的に表したイメージ図であり、図2(b)は、実使用が進んだ後(耐久後)の保護層の様子を模式的に表したイメージ図である。 図3(a)は、本発明の保護層の基本的な構成(一実施形態)を模式的に表したイメージ図であり、図3(b)は、実使用が進んだ後(耐久後)の保護層の様子を模式的に表したイメージ図である。 図4(a)は、直鎖型のシリコーン表面処理剤で表面処理した針状の金属酸化物粒子を模式的に表したイメージ図であり、図4(b)は、側鎖にシリコーン鎖を持つ分岐型(側鎖型)シリコーン表面処理剤で表面処理した針状の金属酸化物粒子を模式的に表したイメージ図である。 図5(a)は、針状の芯材を模式的に表したイメージ図である。図5(b)は、コア−シェル構造の複合金属酸化物粒子を模式的に表したイメージ図である。 本発明の一実施形態による画像形成装置を示す概略構成図である。 本発明の一実施形態による画像形成装置に備えられる滑剤供給手段の一例を示す概略構成図である。 本発明の他の一実施形態による画像形成装置に備えられる滑剤供給手段の一例を示す概略構成図である。
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。なお、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、本明細書において、特記しない限り、操作および物性等の測定は、室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件で行う。
[電子写真感光体]
本発明の一実施形態による電子写真感光体は、導電性支持体上に少なくとも感光層と保護層とを順次積層してなる電子写真感光体において、前記保護層は、ラジカル重合性化合物と金属酸化物粒子とを含有する組成物の硬化物を含有してなり、前記金属酸化物粒子は、数平均アスペクト比が5以上100以下であり、数平均長径が50nm以上1μm以下であり、側鎖にシリコーン鎖を有する分岐型シリコーン表面処理剤で表面処理された針状の金属酸化物粒子であることを特徴とするものである。かかる構成を有することにより、上記した発明の効果を有効に奏することができる。
なぜ、本発明の電子写真感光体により、上記した発明の効果が得られるのか、その発現機構や作用機構(メカニズム)については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
(高速機におけるかぶり発生推定メカニズムとその発生抑制メカニズム)
マイナス帯電の有機感光体を用いたデジタル方式の電子写真画像形成装置においては、トナーはマイナス帯電性のものが用いられ、像露光により、表面電位(V0)の絶対値が低下した部分にマイナス帯電したトナーが付着し可視化(現像)される。
高速の電子写真画像形成装置においては、感光体と現像スリーブの回転数が高くなるため、感光体の表面とトナーとの擦過力が大きくなり、トナーと感光体とが摩擦帯電する。このとき、感光体表面がプラス側に帯電、すなわち、感光体の表面電位(V0)が、僅かに低下すると、この表面電位の低下により、マイナス帯電したトナーが感光体表面に付着しかぶりとなるものと推定される。
すなわち、感光体とトナーとが摩擦帯電したときに、感光体の表面電位が、帯電工程で帯電したときの表面電位より、暗所においても(像露光のない状態でも)低下してしまう。感光体の表面電位が、所定の表面電位より低下したことにより、マイナス帯電したトナーが感光体表面に付着しやすくなり、特に高速機においては、感光体表面とトナーとの擦過力が大きくなるので、擦過による摩擦帯電の効果が大きくなり、かぶりが増大するものと考えられる。
一方、一般にシリコーン材料は、摩擦帯電序列において、トナーと同極性のマイナス帯電性を有する。そのため、感光体の保護層にシリコーン鎖を有する表面処理剤で表面処理された金属酸化物粒子を添加し、保護層表面に該粒子が露出すると、電子写真プロセスにおいてマイナス帯電させた感光体の表面電位が現像スリーブの擦過により低下するのを抑制でき、その結果、トナー飛散によるかぶりの発生を抑制することができると推定される。
上記のような効果を得るためには、金属酸化物粒子の表面により多くのシリコーン鎖を導入できることが好ましい。この点につき、背景技術で挙げた特許文献1、2に記載の発明の問題点を見出し、これらの問題点を解消することで、本発明では上記のような効果が得られることを、図面を用いて説明する。
図1(a)は、特許文献2の保護層の構成を模式的に表したイメージ図であり、図1(b)は、実使用が進んだ後(耐久後)の保護層の様子を模式的に表したイメージ図である。図1(a)に示すように、特許文献2では、耐摩耗性・クリーニング性を向上させるためにシリコーン処理によりシリコーン部12が被覆・形成された金属酸化物粒子13を含む保護層11が提案されている。
しかしながら、本発明者らは、図1(b)に示すように、金属酸化物粒子13が球状の粒子であるため実使用が進むにつれて保護層11の樹脂部15が削れると共に金属酸化物粒子13が脱離しやすく、滑剤保持力が低下してしまい、耐摩耗性およびクリーニング性が悪化すると考えた。即ち、実使用が進むにつれて上記した課題が新たに生じ得ることを見出した。
また、図1(a)に示すように、シリコーン処理をしている金属酸化物粒子13の分散性は向上する。しかしながら、シリコーン処理には、一般的な直鎖型のシリコーン処理剤が用いられているため、金属酸化物粒子の表面により多くのシリコーン鎖を導入できることができず、高速機に適用した場合に、上記した高速機におけるかぶり発生推定メカニズムにより、かぶりの発生抑制が不十分であることを本発明者らは見出した。この点については、図4を用いて後述する。
図2(a)は、特許文献1の保護層の構成を模式的に表したイメージ図であり、図2(b)は、実使用が進んだ後(耐久後)の保護層の様子を模式的に表したイメージ図である。図2(a)に示すように、耐摩耗性・クリーニング性を向上させるために保護層31中に針状の金属酸化物粒子33を含有した感光体(図示せず)が提案されている。
図2(b)に示すように、実使用が進むにつれて保護層31の樹脂部35が削れても、針状の粒子33が脱離しにくいため滑剤保持力が高くなり、耐摩耗性・クリーニング性が向上する。しかしながら、本発明者らは、針状の粒子33の分散性が不十分であり、凝集体となっている部分33’は、実使用が進むにつれて樹脂部35の削れと共に脱離してしまうため、耐摩耗性・クリーニング性は不十分であることを本発明者らは見出した。
また、針状の粒子33の分散性が不十分であり、凝集体となっている部分33’も残ってしまうため、高速機に適用した場合に、凝集体となっている部分33’での擦過による摩擦帯電の効果が大きくなり、かぶりが増大し悪化することを本発明者らは見出した。
また、針状の粒子33が不均一に存在して、脱離せずに長期間残っているため、電荷の注入点が多くなってしまい、耐久後のかぶりが悪化することを本発明者らは見出した。
一方、図3(a)は、本発明の保護層の基本的な構成を模式的に表したイメージ図であり、図3(b)は、実使用が進んだ後(耐久後)の保護層の様子を模式的に表したイメージ図である。図3(a)に示すように、本発明では、保護層51中に、特定のアスペクト比(数平均アスペクト比が5以上100以下)と特定の長径(数平均長径が50nm以上1μm以下)とを有し、かつ側鎖にシリコーン鎖を有する分岐型シリコーン表面処理剤での表面処理によりシリコーン部52が被覆・形成された針状の金属酸化物粒子53を含有した感光体(図示せず)である。
そのため、図3(b)に示すように、実使用が進むにつれて保護層51の樹脂部55が削れても、針状の粒子53が脱離しにくいため滑剤保持力が高くなり、耐摩耗性・クリーニング性が向上する。
更に、側鎖にシリコーンを持つ表面処理剤で表面処理をすることで、分散性が向上する。その結果、実使用が進んでも、特許文献1のような凝集体となっている部分(図2(b)参照)も生じないため、高速機に適用した場合でも、当該凝集体となっている部分での擦過による摩擦帯電の効果が大きいという問題も生じ得ないことから、かぶりも大幅に改善することができる。さらに、一般的な直鎖型のシリコーン表面処理剤による表面処理では、金属酸化物粒子の表面により多くのシリコーン鎖を導入することができないため、本発明で規定する特定のアスペクト比と特定の長径とを有する針状の粒子に対して分散が不十分となる。この点については、図4を用いて以下に説明する。
更にまた、針状の粒子53が保護層51中で向きがバラバラに不均一に存在していて、実使用が進んだ後に、脱離しにくく残っていても(図3(b)参照)、側鎖にシリコーン鎖をもつ分岐型シリコーン表面処理剤で表面処理すると、擦過帯電序列が負帯電側にあるため、耐久後の耐かぶり性が向上する。
(直鎖型のシリコーン表面処理剤ではなく、側鎖にシリコーン鎖を持つ分岐型(側鎖型)シリコーン表面処理剤で表面処理することが良い理由)
図4(a)は、直鎖型のシリコーン表面処理剤で表面処理した針状の金属酸化物粒子を模式的に表したイメージ図であり、図4(b)は、側鎖にシリコーン鎖を持つ分岐型(側鎖型)シリコーン表面処理剤で表面処理した針状の金属酸化物粒子を模式的に表したイメージ図である。図4(a)に示すように、直鎖型のシリコーン表面処理剤で表面処理した場合、直鎖型のシリコーン鎖61だけでは、均一に針状の金属酸化物粒子63を覆いにくい。そのため、分散性が不十分となる。一方、図4(b)に示すように、本発明の側鎖にシリコーン鎖を持つ分岐型(側鎖型)シリコーン表面処理剤で表面処理した場合、略均一に針状の金属酸化物粒子63を覆うことが可能となる(図中の、丸で囲った部分65は、イメージとして表面処理により形成されたシリコーンの部分を表している)。また、針状の金属酸化物粒子63の表面により多くのシリコーン部分65(シリコーン側鎖65a、好ましくは更にシリコーン主鎖65b)を導入できる。これらの点が、直鎖型のシリコーン表面処理剤ではなく、側鎖にシリコーン鎖を持つ分岐型(側鎖型)シリコーン表面処理剤で表面処理することが良い理由である。
なお、上記メカニズムは推測に基づくものであり、その正誤が本発明の技術的範囲に影響を及ぼすものではない。
電子写真感光体とは、電子写真方式の画像形成方法において潜像または顕像をその表面に担持する物体である。電子写真感光体は、後述する保護層を有する以外は、従来の感光体と同様の構成を有することができ、また従来の感光体と同様に作製することが可能である。また、保護層においても、後述する特徴を含む以外は、従来の保護層と同様の構成を有し、従来の保護層と同様に作製することが可能である。保護層以外の部分は、たとえば、特開2012−078620号公報に記載の感光体における最外層以外の部分と同様の構成とすることができる。また、保護層も、材料が異なる以外は、特開2012−078620号公報に記載の最外層の構成と同様の構成とすることができる。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体と、当該導電性支持体上に配置される感光層と、当該感光層上に配置される保護層を含む。以下、かような構成を有する電子写真感光体について詳細に説明する。
(導電性支持体)
導電性支持体は、感光層を支持し、かつ導電性を有する部材である。導電性支持体の好ましい例としては、金属製のドラムまたはシート、ラミネートされた金属箔を有するプラスチックフィルム、蒸着された導電性物質の膜を有するプラスチックフィルム、導電性物質、または導電性物質とバインダ樹脂とからなる塗料を塗布してなる導電層を有する金属部材やプラスチックフィルム、紙等が挙げられる。上記金属の好ましい例としては、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛およびステンレス鋼等が挙げられ、上記導電性物質の好ましい例としては、上記金属、酸化インジウムおよび酸化スズ等が挙げられる。
(感光層)
感光層は、後述する露光手段により、所期の画像の静電潜像を感光体の表面に形成するための層である。当該感光層は、単層でもよいし、積層された複数の層で構成されていてもよい。感光層の好ましい例としては、電荷輸送物質と、電荷発生物質とを含有する単層、および電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と、電荷発生物質を含有する電荷発生層との積層物等が挙げられる。
(保護層)
保護層は、感光体表面の機械的強度を向上させ、耐傷性や耐摩耗性を向上させるための層である。当該保護層の好ましい例としては、ラジカル重合性化合物を含む組成物の重合硬化物を含む層が挙げられる。
(他の構成)
感光体は、上記の導電性支持体、感光層および保護層以外の他の構成をさらに含んでいてもよい。当該他の構成の好ましい例としては、中間層等が挙げられる。当該中間層は、例えば、上記導電性支持体と上記感光層との間に配置される、バリア機能と接着機能とを有する層である。
以下、上記した保護層について説明する。本明細書において、感光体の保護層とは、表面層、最外層、表面保護層などと称されるものであり、トナーと接触する側の最外部に配置される層を表す。保護層は、特に制限されず、上記した保護層としての機能を持たせて配置される。本発明の一形態において、保護層は、ラジカル重合性化合物と、金属酸化物粒子を含む組成物(以下、保護層形成用組成物とも称する)の硬化物を含む。前記金属酸化物粒子は、数平均アスペクト比が5以上100以下であり、数平均長径が50nm以上1μm以下であり、側鎖にシリコーン鎖を有する分岐型シリコーン表面処理剤で表面処理された針状の金属酸化物粒子である。
次に、保護層の構成成分について詳細に説明する。
<金属酸化物粒子>
保護層は、金属酸化物粒子を含む組成物(保護層形成用組成物)の硬化物を含み、上記金属酸化物粒子は、数平均アスペクト比が5以上100以下であり、数平均長径が50nm以上1μm以下であり、側鎖にシリコーン鎖を有する分岐型シリコーン表面処理剤で表面処理された針状の金属酸化物粒子である。
以下では、側鎖にシリコーン鎖を有する分岐型シリコーン表面処理剤を、単に「シリコーン表面処理剤」とも称し、「シリコーン表面処理剤」による表面処理を、単に「シリコーン表面処理」とも称し、シリコーン表面処理が施された金属酸化物粒子を、単に「シリコーン表面処理粒子」とも称する。
また、重合性基を有する表面処理剤を、単に「反応性表面処理剤」とも称し、「反応性表面処理剤」による表面処理を、単に「反応性表面処理」とも称し、反応性表面処理が施された針状の金属酸化物粒子を、単に「反応性表面処理粒子」とも称する。
さらに、「シリコーン表面処理」および「反応性表面処理」の少なくとも一方が施された金属酸化物粒子を、単に「表面処理粒子」と総称する場合もある。また、「シリコーン表面処理」および「反応性表面処理」のいずれも施されていない金属酸化物粒子を、単に「未処理の金属酸化物粒子」と総称する場合もある。
前記側鎖にシリコーン鎖を有する分岐型シリコーン表面処理剤で表面処理された針状の金属酸化物粒子の含有量は、前記ラジカル重合性化合物100質量部対して70質量部以上120質量部以下であることが好ましい。前記金属酸化物粒子の含有量が70質量部以上であれば、保護層中の上記表面処理された針状の金属酸化物粒子の量が減りすぎることもなく、実使用が進んだ後(耐久後)に保護層樹脂部の削れが多くなるのを防止でき、また耐久後に樹脂部が削れても、針状の粒子が脱離しにくいため滑剤保持力が高くなり、耐摩耗性・耐クリーニング性が向上する。また、前記金属酸化物粒子の含有量が120質量部以下であれば、保護層樹脂部が減りすぎるのを防止でき、保護層が脆くなるのを防ぐことができる。また、針状の粒子が保護層中で不均一化されていて、耐久後に保護層樹脂部が減っても脱離しにくく残っていて、耐摩耗性が向上する。それと共に、側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤で処理することで、擦過帯電による電位の低下が生じにくく、電荷注入点が多くなりすぎず、かぶり現象を防止することができる。
(未処理の金属酸化物粒子)
本明細書において、未処理の金属酸化物粒子とは、少なくともその表面が導電性の金属酸化物から構成される針状の粒子をいう。
未処理の金属酸化物粒子を構成する導電性の金属酸化物の例としては、特に制限されないが、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化スズ、酸化タンタル、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化イットリウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化マンガン、酸化セレン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化ゲルマニウム、酸化錫、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化バナジウム、銅アルミ酸化物、アンチモンイオンをドープした酸化スズ等が挙げられる。これら未処理の金属酸化物粒子は、単独でもまたは2種以上を組み合わせても用いることができる。また、未処理の金属酸化物粒子は合成品であってもよいし、市販品であってもよい。
これら導電性の金属酸化物の中でも、入手容易性、実用性等の観点から、酸化スズ(SnO)、酸化チタン(TiO)および酸化亜鉛(ZnO)の少なくとも1種を含むのが好ましい。さらに保護層の光透過性を確保する観点から、SnOがより好ましい。上記未処理の金属酸化物粒子は1種であってもよいし、それ以上であっても良い。
(コア−シェル構造の複合金属酸化物粒子(単に複合粒子ともいう))
また、上記未処理の金属酸化物粒子は、針状の芯材の表面に金属酸化物からなる外殻が形成されてなるコア−シェル構造の複合金属酸化物粒子であってもよい。複合金属酸化物粒子にすることで、比表面積を大きくすることができるため、シリコーン表面処理量を大きくすることができ、均一に粒子を覆うことができる。この点を、図面を用いて説明する。図5(a)は、針状の芯材を模式的に表したイメージ図である。図5(b)は、コア−シェル構造の複合金属酸化物粒子を模式的に表したイメージ図である。図5(b)に示すように、コア−シェル構造の複合金属酸化物粒子91のイメージとしては、針状の複合金属酸化物粒子91の外殻95を針状の芯材93に万遍なく付けるイメージである。即ち、多数の小さい粒子(外殻)95が針状の芯材93をたくさん覆うことができるため、比表面積が増える。その結果、シリコーン表面処理量を大きくすることができ、均一に粒子を覆うことができる。
ここで、コア−シェル構造の複合金属酸化物粒子の針状の芯材(コア)としては、例えば、TiO、ZnO、SnO等が挙げられる。保護層の光透過性を確保する観点から、SnOが好ましい。これらは、単独でもまたは2種以上を組み合わせても用いることができる。また、当該複合金属酸化物粒子の外殻(シェル)を構成する材料は、上記未処理の金属酸化物粒子を構成する金属酸化物の例として挙げたものと同様である。未処理の金属酸化物粒子をコア−シェル構造の複合金属酸化物粒子とすれば、粒子表面の表面処理剤の量を多くすることができ、その結果、保護層中での金属酸化物粒子の分散性が高まり、活性エネルギー線(特には紫外線)の透過性を高めることができる。これにより、硬化後の保護層の膜強度を高めることができ、耐摩耗性がより向上する。コア−シェル構造の複合金属酸化物粒子の好ましい例としては、ZnOからなる針状の芯材と、SnOからなる外殻と、を有する複合粒子が挙げられる。なお、針状の芯材の数平均長径と、外殻の厚みとの比率は、使用する針状の芯材および外殻の種類、ならびにこれらの組み合わせに応じて、適宜設定すればよい。
前記複合金属酸化物粒子に占める金属酸化物からなる外殻(シェル)の割合は、針状の芯材(コア)粒子100質量部に対して30質量部以上70質量部以下であることが好ましい。上記範囲であれば、外殻(シェル)により、比表面積を大きくすることができる。その結果、シリコーン表面処理量を大きくすることができ、均一に粒子を覆うことができる。
(針状の金属酸化物粒子の数平均アスペクト比および数平均長径)
本発明の金属酸化物粒子は、数平均アスペクト比が5以上100以下であり、数平均長径が50nm以上1μm以下である針状の粒子であることを特徴とするものである。上記した針状の金属酸化物粒子を保護層に含むことにより、図3、4(b)等に示すように、高速機において、実使用が進むにつれて保護層の樹脂部が削れても、粒子が脱離しにくいため滑剤保持力が高くなり、耐摩耗性・クリーニング性が向上する。また、シリコーン表面処理をすることで、保護層内への分散性が向上し、不均一化(粒子の向きがバラバラに存在)もされていて、実使用が進んだ後に脱離しにくく残っていても、擦過帯電序列が負帯電側にあるため耐久後の耐かぶり性が向上し、かぶりの発生がほとんどない高画質の画像を得ることができる。
上記金属酸化物粒子の数平均アスペクト比が5未満だと、実使用が進んだ後(耐久後)の保護層樹脂部の削れによる粒子の脱離抑制効果が小さくなってしまう。一方、数平均アスペクト比が100より大きいと、上記した針状の粒子の保護層内への分散性が低下してしまい、かぶり抑制の効果が低減されてしまう。かかる観点から、上記金属酸化物粒子の数平均アスペクト比は、5以上20以下であることが好ましい。この範囲にあると針状の粒子がやや均一化され、かぶり抑制効果があると考えられる。ここで「均一化」とは、樹脂部内に針状の金属酸化物粒子の分散状態が均一であると同時に、針状の金属酸化物粒子の向きも揃っていることを意味する。理想的には、感光体の断面方向(厚さ方向)に針状の金属酸化物粒子が配向して向きが揃うと、針状の金属酸化物粒子の先端部分が樹脂部表面から突出する状態なので電荷の注入点が減ることになる。本発明で用いられる針状の金属酸化物粒子は、側鎖にシリコーン鎖を有する分岐型シリコーン表面処理剤でシリコーン処理されているので、針状の金属酸化物粒子の向きが不揃いでも上記効果は得られるが、針状の金属酸化物粒子の向きが揃った状態に近づくことで、かぶりがさらに抑制されると考えられる。
上記金属酸化物粒子の数平均長径が、50nmより小さくなると、実使用が進んだ後の保護層樹脂部の削れによる粒子の脱離抑制効果が小さくなってしまうと共に、粒子の個数増加に伴い、界面の数が多くなり、電気特性悪化の原因となる。一方、数平均長径が1μmより長くなると、長期間脱離せずに残っているがゆえに偏摩耗やクリーニング不良を起こしてしまうと考えられる。かかる観点から、上記金属酸化物粒子の数平均長径は、100nm以上500nm以下であることが好ましい。この範囲にあると、実使用が進んだ後の保護層樹脂部の削れによる粒子脱離のバランスが取れ、耐摩耗性・耐クリーニング性が良くなると考えられる。
なお、所望のアスペクト比及び長径を有する針状形状の制御は、金属酸化物粒子の金属種に応じて若干異なるが概ね、原料の調合や、pHおよび焼結温度を調整することで行うことができる。例えば、酸化チタン(TiO)の場合、アルカリ金属塩とチタン源との割合(原料の調合)、pHおよび焼成温度の調整が、所望のアスペクト比及び長径を有する針状形状を得るために有効である。ZnOの場合、水酸化物イオン/亜鉛イオンのモル比およびpHの調整が、所望のアスペクト比及び長径を有する針状形状を得るために有効である。SnOの場合、ケイ素化合物と錫化合物の混合割合および焼成温度の調整が、所望のアスペクト比及び長径を有する針状形状を得るために有効である。複合金属酸化物粒子の場合、針状の芯材(金属酸化物粒子)に他の金属酸化物粒子を付着させるため、針状の芯材の形状を制御すればよい。
(針状の金属酸化物粒子の数平均アスペクト比および数平均長径の算出の方法)
本明細書において、針状の金属酸化物粒子の数平均アスペクト比および数平均長径は、以下の方法で測定、算出される数平均アスペクト比および数平均長径と定義する。
まず、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製)を用いて、1種類の金属酸化物粒子の試料を60000倍の倍率で5視野撮影し、その画像をそれぞれ画像部分が短辺12cm、長辺16.5cmの写真とする。その後得られた写真を2倍に拡大印刷し、それぞれの写真1枚につき、それぞれの短辺および長辺の中間点からそれぞれの短辺および長辺に対して平行線を引き、さらに対角線2本を引き、合計4本の直線に重なっている粒子の短径および長径をノギスを用いて測定する。ただし、一つの粒子の形が全て画像部に入っており、形がはっきりと認識できるものを計測するものとし、このようにして5枚の写真にて100〜150個の粒子の短径および長径を測定し、その測定値の平均値をその金属酸化物粒子の数平均短径および長径とする。また、その数平均長径の値を平均短径の値で割った値をその金属酸化物の数平均アスペクト値とする。なお、金属酸化物粒子の数平均アスペクト比および数平均長径の測定・算出は、表面処理剤由来の化学種(被覆層)を含む、表面処理後の金属酸化物粒子について行うものとする。なお、感光体中の金属酸化物粒子に関しても、感光体の複数の断面について、金属酸化物粒子の大きさ(短径および長径)をTEMにて観察し、上記と同様の手法を用いて測定、算出することもできる。
(側鎖にシリコーン鎖を有する分岐型シリコーン表面処理剤で表面処理された金属酸化物粒子)
側鎖にシリコーン鎖を有する分岐型シリコーン表面処理剤で表面処理された金属酸化物粒子は、原料となる未処理の金属酸化物粒子に側鎖にシリコーン鎖を有する分岐型シリコーン表面処理剤による表面処理が施されたものである。側鎖にシリコーン鎖を有する分岐型シリコーン表面処理剤で表面処理された金属酸化物粒子は、側鎖にシリコーン鎖を有する分岐型シリコーン表面処理剤を含む表面処理剤由来の化学種(被覆層)および金属酸化物粒子を含む被覆粒子となると考えられる。なお、表面処理された針状の金属酸化物粒子は、その表面上の少なくとも一部に表面処理剤由来の化学種(被覆層)を有していればよい。
〔側鎖にシリコーン鎖を有する分岐型シリコーン表面処理剤〕
側鎖にシリコーン鎖を有する分岐型シリコーン表面処理剤としては、特に制限されないが、高分子主鎖の側鎖にシリコーン鎖を有し、さらに表面処理官能基を有するものが好ましい。上記表面処理官能基としては、カルボン酸基、水酸基、−Rd−COOH(Rdは、2価の炭化水素基)、アルキルシリル基、ハロゲン化シリル基、およびアルコキシシリル基等の導電性かつ針状の金属酸化物粒子と結合しうる基が挙げられる。これらの中でもカルボン酸基、水酸基またはアルコキシシリル基が好ましい。
上記シリコーン表面処理剤が有する高分子主鎖は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体鎖や下記式1に示すモノマー由来の繰返し単位を有するものなどのポリ(メタ)アクリレート主鎖(単にアクリル主鎖ともいう)またはシリコーン主鎖であることが好ましく、シリコーン主鎖であることがより好ましい。主鎖および側鎖の両方にシリコーン鎖を有する表面処理剤により表面処理された導電性かつ針状の金属酸化物粒子は、シリコーン鎖をより多く有することから、保護層中での分散性がより高まり、保護層の耐摩耗性がより向上する。
側鎖および主鎖のシリコーン鎖は、ジメチルシロキサン構造を繰り返し単位として有することが好ましく、その繰り返し単位数は、側鎖および主鎖のいずれも、3〜100個であるものが好ましく、3〜50個であるものがより好ましく、3〜30個であるものがさらに好ましい。側鎖および主鎖のいずれも、繰り返し単位数が3個以上であれば、シリコーン表面処理による効果を有効に発現することができ、100個以下であれば、ラジカル重合性化合物との相性が良く、凝集・沈降することなく、分散性に優れる。
シリコーン表面処理剤の重量平均分子量は、特に制限されないが、1,000以上50,000以下であることが好ましい。シリコーン表面処理剤の重量平均分子量が1,000以上であれば、シリコーン表面処理による効果を有効に発現することができ、50,000以下であれば、ラジカル重合性化合物との相性が良く、凝集・沈降することなく、分散性に優れる。なお、シリコーン表面処理剤の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
シリコーン表面処理剤は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。また、シリコーン表面処理剤は、合成品であってもよいし、市販品であってもよい。アクリル主鎖から分岐した側鎖にシリコーン鎖を有する分岐型シリコーン表面処理剤の市販品の具体例としては、サイマック(登録商標)US−350(以上、東亞合成株式会社製)、KP−541、KP−574、およびKP−578(以上、信越化学工業株式会社製)等を挙げることができる。また、シリコーン主鎖から分岐した側鎖にシリコーン鎖を有する分岐型シリコーン表面処理剤の市販品の具体例としては、KF−9908、KF−9909(以上、信越化学工業株式会社製)等を挙げることができる。これらは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
(側鎖にシリコーン鎖を有する分岐型シリコーン表面処理剤(シリコーン表面処理剤)による表面処理方法)
シリコーン表面処理剤による表面処理方法は、特に制限されず、針状の金属酸化物粒子の表面上にシリコーン表面処理剤を付着(または結合)することができる方法であればよい。かような方法としては、一般的に、湿式処理方法と乾式処理方法との二通りに大別されるが、いずれを用いてもよい。
なお、後述する反応性表面処理後の金属酸化物粒子をシリコーン表面処理する場合は、金属酸化物粒子の表面上または反応性表面処理剤上に、シリコーン表面処理剤が付着(または結合)する。以下の湿式処理方法及び乾式処理方法では、未反応の金属酸化物粒子、または反応性表面処理粒子を総称して金属酸化物粒子として説明する。
(湿式処理方法)
湿式処理方法とは、金属酸化物粒子と、シリコーン表面処理剤とを溶剤中で分散することによって、シリコーン表面処理剤を金属酸化物粒子の表面上に付着(または結合)させる方法である。当該方法としては、金属酸化物粒子と、シリコーン表面処理剤とを溶剤中で分散させ、得られた分散液を乾燥し溶剤を除去する方法が好ましく、その後さらに加熱処理を行い、シリコーン表面処理剤と金属酸化物粒子とを反応させることによって、シリコーン表面処理剤を金属酸化物粒子の表面上に付着(または結合)させる方法がより好ましい。また、シリコーン表面処理剤と金属酸化物粒子とを溶剤中で分散した後、得られた分散液を湿式粉砕することにより、金属酸化物粒子を微細化すると同時に表面処理を進行させてもよい。また、上記分散液は、金属酸化物粒子を溶剤中に分散させた後に、シリコーン表面処理剤を添加し混合して調製してもよい。
金属酸化物粒子およびシリコーン表面処理剤を溶剤中で分散させる手段としては、特に制限されず公知の手段を用いることができ、その例としては、ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル等の一般的な分散手段を挙げることができる。
溶剤としては、特に制限されず公知の溶剤を用いることができ、その好ましい例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール(2−ブタノール)、tert−ブタノール、ベンジルアルコールなどのアルコール系溶剤や、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤等が挙げられる。これらは単独でもまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、メタノール、2−ブタノール、トルエン、および2−ブタノールとトルエンとの混合溶剤がより好ましい。
分散時間は、特に制限されないが、たとえば、1分以上600分以下であることが好ましく、10分以上360分以下であることがより好ましく、30分以上120分以下であることがより好ましい。
溶剤の除去方法としては、特に制限されず公知の方法を用いることができ、その例としては、エバポレーターを用いる方法、室温下で溶剤を揮発させる方法等が挙げられる。
加熱温度としては、特に制限されないが、50℃以上250℃以下であることが好ましく、70℃以上200℃以下であることがより好ましく、90℃以上150℃以下であることがさらに好ましい。また、加熱時間としては、特に制限されないが、1分以上600分以下であることが好ましく、10分以上300分以下であることがより好ましく、30分以上90分以下であることがさらに好ましい。なお、加熱方法は、特に制限されず、公知の方法を用いることができる。
(乾式処理方法)
乾式処理方法とは、溶剤を用いず、シリコーン表面処理剤と金属酸化物粒子とを混合し混練を行うことによって、シリコーン表面処理剤を金属酸化物の表面上に付着(または結合)させる方法である。当該方法としては、シリコーン表面処理剤と、金属酸化物粒子とを混合し混練した後、さらに加熱処理を行い、シリコーン表面処理剤と金属酸化物粒子とを反応させることによって、シリコーン表面処理剤を金属酸化物粒子の表面上に付着(または結合)させる方法であってもよい。また、金属酸化物粒子と、シリコーン表面処理剤とを混合し混練する際に、これらを乾式粉砕することにより、金属酸化物粒子を微細化すると同時に表面処理を進行させてもよい。
シリコーン表面処理剤の使用量は、処理前の金属酸化物粒子(後述する反応性表面処理後の金属酸化物粒子をシリコーン表面処理する場合は、反応性表面処理後の金属酸化物粒子)100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、2質量部以上であることがさらに好ましい。この範囲であれば、保護層の耐摩耗性およびかぶり抑制効果がより向上する。
また、シリコーン表面処理剤の使用量は、シリコーン表面処理前の金属酸化物粒子(後述する反応性表面処理後の金属酸化物粒子をシリコーン表面処理する場合は、反応性表面処理後の金属酸化物粒子)100質量部に対して、100質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましく、5質量部以下であることがさらに好ましい。この範囲であると、未反応のシリコーン表面処理剤による保護層の膜強度の低下が抑制され、保護層の耐摩耗性が向上する。
また、未処理の金属酸化物粒子や反応性表面処理後の金属酸化物粒子にシリコーン表面処理が施されたことは、熱重量・示差熱(TG/DTA)測定、走査型電子顕微鏡(SEM)または透過電子顕微鏡(TEM)による観察、エネルギー分散型X線分光法(EDX)による分析、元素分析等によって確認することができる。
シリコーン表面処理粒子は、重合性基由来の基を有することが好ましい。シリコーン表面処理粒子が重合性基由来の基を有することにより、保護層の耐摩耗性が向上する。この理由は、保護層を構成する硬化物中で、シリコーン表面処理粒子とラジカル重合性化合物とが化学結合した状態となり、保護層の膜強度が向上する(十分に高い強度の保護層を形成することができる)からであると推測される。重合性基の種類は、特に制限されないが、ラジカル重合性基が好ましい。重合性基の導入方法としては、特に制限されないが、金属酸化物粒子に対して重合性基を有する表面処理剤で表面処理を行う方法が好ましい。
シリコーン表面処理粒子が重合性基を有することや、保護層中のシリコーン表面処理粒子が重合性基由来の基を有することは、熱重量・示差熱(TG/DTA)測定、走査型電子顕微鏡(SEM)または透過電子顕微鏡(TEM)による観察、エネルギー分散型X線分光法(EDX)による分析、質量分析等によって確認することができる。
(重合性基を有する表面処理剤(反応性表面処理剤)による表面処理方法)
シリコーン表面処理が施された金属酸化物粒子は、反応性表面処理剤でさらに表面処理されることが好ましい。重合性基は、反応性表面処理によって、金属酸化物粒子の表面に担持され、その結果、シリコーン表面処理粒子は、さらに重合性基を有することとなる。そして、保護層中で、当該シリコーン表面処理粒子が重合性基を介してラジカル重合性化合物と重合することになり、膜強度がより高い保護層が形成され、保護層の耐摩耗性がさらに向上する。このとき、シリコーン表面処理粒子は、保護層中で重合性基由来の基を有する構造として存在することとなる。
反応性表面処理剤は、重合性基および表面処理官能基を有する。重合性基の種類は、特に制限されないが、ラジカル重合性基が好ましい。ここで、ラジカル重合性基は、炭素−炭素二重結合を有するラジカル重合可能な基を表す。ラジカル重合性基の例としては、ビニル基および(メタ)アクリロイル基等が挙げられ、これらの中でもメタクリロイル基が好ましい。また、表面処理官能基とは、金属酸化物粒子の表面に存在する水酸基などの極性基への反応性を有する基を表す。表面処理官能基の例としては、カルボン酸基、水酸基、−R’−COOH(R’は、二価の炭化水素基)、アルキルシリル基、ハロゲン化シリル基、アルコキシシリル基等が挙げられ、これらの中でもアルキルシリル基、ハロゲン化シリル基、アルコキシシリル基が好ましい。
反応性表面処理剤は、ラジカル重合性基を有するシランカップリング剤が好ましく、その例としては、下記式S−1〜S−21で表される化合物等が挙げられる。
反応性表面処理剤は、単独でもまたは2種以上を組み合わせても用いることができる。また、反応性表面処理剤は、合成品であってもよいし市販品であってもよい。市販品の具体例としては、KBM−502、KBM−503、KBE−502、KBE−503、KBM−5103(以上、信越化学工業株式会社製)等を挙げることができる。
シリコーン表面処理および反応性表面処理の両方を行う場合、反応性表面処理を行った後にシリコーン表面処理を行うことが好ましい。この順序で表面処理を行うことにより、保護層の耐摩耗性がより向上する。この理由は、撥油効果を有するシリコーン鎖(シリコーン表面処理剤)によって、反応性表面処理剤の金属酸化物粒子表面への接触が妨げられることがないため、金属酸化物粒子表面への重合性基の導入がより効率よく行われるからである。
反応性表面処理の方法は、特に制限されず、反応性表面処理剤を用いる以外は、シリコーン表面処理で説明した方法と同様の方法を採用することができる。また、公知の金属酸化物粒子の表面処理技術を用いてもよい。
湿式処理方法により反応性表面処理を用いる場合、溶剤としては、メタノール、エタノール、トルエンが好ましく、メタノール、トルエンがより好ましい。
反応性表面処理剤の使用量は、反応性表面処理前の金属酸化物粒子100質量部に対して、0.5質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、1.5質量部以上であることがさらに好ましい。この範囲であると、保護層の耐摩耗性およびかぶり抑制効果がより向上する。また、反応性表面処理剤の使用量は、処理前の金属酸化物粒子100質量部に対して、15質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましく、8質量部以下であることがさらに好ましい。この範囲であると、粒子表面の水酸基数に対して反応性表面処理剤の量が過剰とはならずより適切な範囲となり、未反応の反応性表面処理剤による保護層の膜強度の低下が抑制され、保護層の耐摩耗性がより向上する。
<ラジカル重合性化合物>
保護層形成用組成物は、ラジカル重合性化合物を含む。本明細書において、ラジカル重合性化合物とは、ラジカル重合性基を有し、紫外線、可視光線、電子線等の活性エネルギー線の照射により、または加熱等のエネルギーの付加により、重合(硬化)して、保護層のバインダ樹脂となる化合物を表す。なお、本明細書でいうラジカル重合性化合物には、上記の反応性表面処理剤を含めないものとし、後述する潤滑剤として重合性シリコーン化合物や重合性パーフルオロポリエーテル化合物を用いる場合にはこれらも含めないものとする。
ここで、ラジカル重合性基は、炭素−炭素二重結合を有するラジカル重合可能な基を表す。ラジカル重合性基の例としては、ビニル基および(メタ)アクリロイル基等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。重合性基が(メタ)アクリロイル基であると、保護層の耐摩耗性およびかぶり抑制効果が向上する。保護層の耐摩耗性の向上の理由は、少ない光量または短い時間での効率的な硬化が可能となるからであると推測される。
ラジカル重合性化合物の例としては、スチレン系モノマー、(メタ)アクリル系モノマー、ビニルトルエン系モノマー、酢酸ビニル系モノマー、N−ビニルピロリドン系モノマー等が挙げられる。これらラジカル重合性化合物は、単独でもまたは2種以上混合しても用いることができる。
ラジカル重合性化合物が有する1分子中の重合性基の数は、特に制限されないが、2個以上であることが好ましく、3個以上であることがより好ましい。この範囲であると、保護層の耐摩耗性が向上する。この理由は、保護層の架橋密度が増加し、膜強度がより向上するからであると推測される。また、ラジカル重合性化合物が有する1分子中の重合性基の数は、特に制限されないが、6個以下であることが好ましく、5個以下であることがより好ましく、4個以下であることがさらに好ましい。この範囲であると、保護層の均一性が高まり、かぶりの抑制効果が向上する。この理由は、架橋密度が一定以下となり、硬化収縮が起こりにくくなるからであると推測される。これらの観点から、ラジカル重合性化合物が有する1分子中の重合性基の数は、3個であることが最も好ましい。
ラジカル重合性化合物の具体例としては、特に制限されないが、下記の化合物M1〜M11が挙げられ、これらの中でも、下記の化合物M2が特に好ましい。下記の各式中、Rは、アクリロイル基(CH=CHCO−)を表し、R’は、メタクリロイル基(CH=C(CH)CO−)を表す。
ラジカル重合性化合物は、単独でもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。また、ラジカル重合性化合物は、合成品であってもよいし市販品であってもよい。
<重合開始剤>
保護層形成用組成物は、さらに重合開始剤を含むことが好ましい。重合開始剤は、上記ラジカル重合性化合物を重合反応することによって得られる硬化樹脂(バインダ樹脂)を製造する過程で使用されるものである。重合開始剤は、熱重合開始剤であっても、光重合開始剤であってもよいが、光重合開始剤であることが好ましく、ラジカル重合開始剤であることがより好ましい。ラジカル重合開始剤としては、特に制限されず公知のものを用いることができ、その例としては、アルキルフェノン系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物等が挙げられる。これらの中でも、α−アミノアルキルフェノン構造またはアシルホスフィンオキサイド構造を有する化合物が好ましく、アシルホスフィンオキサイド構造を有する化合物がより好ましい。アシルホスフィンオキサイド構造を有する化合物の一例としては、IRGACURE(登録商標)819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド)(BASFジャパン株式会社製)が挙げられる。これら重合開始剤は、単独でもまたは2種以上を混合して用いてもよい。
重合開始剤の使用量は、ラジカル重合性化合物100質量部に対して0.1〜40質量部であることが好ましく、0.5〜20質量部であることがより好ましい。
<電荷輸送剤>
保護層形成用組成物は、さらに電荷輸送剤を含んでもよい。電荷輸送剤としては、特に制限されず、公知のものを用いることができる。その例としては、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、ベンジジン誘導体等が挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン誘導体が好ましい。トリアリールアミン誘導体としては、下記化学式1で表されるものが好ましい。
上記化学式1中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、炭素数1〜7のアルキル基、または炭素数1〜7のアルコキシ基を表す。k,lおよびnは、それぞれ独立して、0〜5の整数を示し、mは0〜4の整数を示す。ただし、k、l、nまたはmが2以上である場合においては、複数存在するR、R、RおよびRは、互いに同一のものであっても、異なるものであってもよい。これらの中でも、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましい。また、k、l、nおよびmは、それぞれ独立して、0〜1の整数であることが好ましい。
上記化学式1で表される化合物としては、たとえば、特開2015−114454号公報に記載のものを使用でき、また、公知の合成方法、たとえば、特開2006−143720号公報で開示されている方法などで合成することができる。
<他の成分>
保護層形成用組成物は、上記成分以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。他の成分の例としては、特に制限されないが、潤滑剤等が挙げられる。潤滑剤は、特に制限されず公知のものを用いることができ、その例としては、重合性シリコーン化合物および重合性パーフルオロポリエーテル化合物等が挙げられる。
(電子写真感光体の製造方法)
本発明の一形態に係る電子写真感光体は、本発明に係る保護層形成用組成物を含む保護層形成用塗布液を用いる以外は、特に制限されず公知の電子写真感光体の製造方法によって製造することができる。中でも、導電性支持体上に形成された感光層の表面に、保護層形成用組成物を含む塗布液を塗布する工程と、塗布された保護層形成用塗布液に活性エネルギー線を照射して、または塗布された保護層形成用塗布液を加熱して、保護層形成用組成物の硬化物を得る工程と、を含む方法によって製造することが好ましい。
保護層形成用塗布液は、ラジカル重合性化合物と、針状の金属酸化物粒子(および/または表面処理粒子)と、を含む保護層形成用組成物を含むものである。保護層形成用組成物は、重合開始剤等他の成分をさらに含んでいてもよい。また、保護層形成用塗布液は、保護層形成用組成物と、分散媒とを含むことが好ましい。
保護層形成用塗布液に用いられる分散媒としては、ラジカル重合性化合物、針状の金属酸化物粒子(および/または表面処理粒子)、さらに必要に応じて添加される重合開始剤等を溶解または分散させることができれば、いずれのものでも使用できる。具体的には、たとえば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール(sec−ブタノール)、tert−ブタノール、ベンジルアルコール、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジンおよびジエチルアミン等が挙げられる。分散媒は、単独でもまたは2種以上混合しても用いることができる。
保護層形成用塗布液の総質量に対する分散媒の含有量は、特に制限されないが、1質量%以上99質量%以下であることが好ましく、40質量%以上90質量%以下であることがより好ましく、50質量%以上80質量%以下であることがさらに好ましい。
保護層形成用組成物中のラジカル重合性化合物の含有量は、特に制限されないが、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましい。この範囲であると、保護層の架橋密度が増加し、膜強度がより向上し、保護層の耐摩耗性がより向上する。また、保護層形成用組成物中のラジカル重合性化合物の含有量は、特に制限されないが、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることがさらに好ましい。
保護層形成用組成物中の針状の金属酸化物粒子(および/または表面処理粒子)の含有量は、特に制限されないが、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましい。この範囲であると、保護層の架橋密度が増加し、機械的強度がより向上し、保護層の耐摩耗性がより向上する。また、保護層形成用組成物中の針状の金属酸化物粒子(および/または表面処理粒子)の含有量は、特に制限されないが、70質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることがさらに好ましい。
保護層形成用組成物が重合開始剤を含む場合、その含有量は、特に制限されないが、ラジカル重合性化合物100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、5質量部以上であることがさらに好ましい。この範囲であると、保護層の耐摩耗性が向上する。この理由は、保護層の架橋密度が増加し、機械的強度がより向上し、保護層の耐摩耗性がより向上する。また、保護層形成用組成物中の重合開始剤の含有量は、特に制限されないが、ラジカル重合性化合物100質量部に対して、40質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましく、20質量部以下であることがさらに好ましい。
保護層形成用塗布液の調製方法も、特に制限はなく、ラジカル重合性化合物、針状の金属酸化物粒子(および/または表面処理粒子)、さらに必要に応じて添加される重合開始剤などの各種添加剤を分散媒に加えて、溶解または分散するまで攪拌混合すればよい。
本発明に係る保護層は、上記方法で調製した保護層形成用塗布液を感光層の上に塗布した後、乾燥および硬化させることにより形成することができる。
上記塗布、乾燥、および硬化の過程で、ラジカル重合性化合物間の反応、ラジカル重合性化合物と反応性表面処理された針状の金属酸化物粒子との間の反応、反応性表面処理された針状の金属酸化物粒子同士の反応等が進行し、保護層形成用組成物の硬化物を含む保護層が形成される。
保護層形成用塗布液の塗布方法は、特に制限されず、たとえば、浸漬塗布法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー塗布法、円形スライドホッパー塗布法などの公知の方法を用いることができる。
上記塗布液を塗布した後は、自然乾燥または熱乾燥を行い、塗膜を形成した後、活性エネルギー線を照射して塗膜を硬化させる。活性エネルギー線としては紫外線や電子線が好ましく、紫外線がより好ましい。
紫外線光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。たとえば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、フラッシュ(パルス)キセノンランプ等を用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、紫外線の照射量(積算光量)は、好ましくは5〜5000mJ/cmであり、より好ましくは10〜2000mJ/cmである。また、紫外線の照度は、好ましくは5〜500mW/cmであり、より好ましくは10〜100mW/cmである。
必要な活性エネルギー線の照射量(積算光量)を得るための照射時間としては、0.1秒〜10分が好ましく、作業効率の観点から0.1秒〜5分がより好ましい。
保護層を形成する過程においては、活性エネルギー線を照射する前後や、活性エネルギー線を照射中に乾燥を行うことができ、乾燥を行うタイミングはこれらを組み合わせて適宜選択できる。
乾燥の条件は、溶媒の種類、膜厚などによって適宜選択できる。乾燥温度は、好ましくは20〜180℃であり、より好ましくは80〜140℃であり、乾燥時間は、好ましくは1〜200分であり、より好ましくは5〜100分である。
保護層の膜厚は、2〜10μmであることが好ましく、3〜6μmであることがより好ましい。
なお、保護層が上記組成物の硬化物を含むことは、熱分解GC−MS、核磁気共鳴(NMR)、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)、元素分析などの公知の分析方法によって確認することができる。
[画像形成装置]
本発明の電子写真感光体は、電子写真方式の画像形成装置に好適に用いられる。すなわち、本発明の他の一形態は、上記した本発明の一形態に係る電子写真感光体と、前記電子写真感光体の表面を帯電させるための帯電装置(帯電手段)と、前記帯電手段により帯電した前記電子写真感光体の表面に光を照射して静電潜像を形成するための露光装置(露光手段)と、前記静電潜像が形成された前記電子写真感光体にトナーを提供してトナー像を形成するための現像装置(現像手段)と、前記電子写真感光体の表面のトナー像を記録媒体に転写するための転写装置(転写手段)と、を備える画像形成装置を提供する。
図6は、本発明の画像形成装置の構成の一例を示す断面概略図である。図6に示す画像形成装置100は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bk、無端ベルト状中間転写体ユニット7、給紙手段21、定着手段24等を備えている。画像形成装置100の装置本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
イエロー色の画像を形成する画像形成ユニット10Yは、ドラム状の感光体1Yの周囲に感光体1Yの回転方向に沿って順次配置された、帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、一次転写ローラー(一次転写手段)5Y、およびクリーニング手段6Yを有する。
マゼンタ色の画像を形成する画像形成ユニット10Mは、ドラム状の感光体1Mの周囲に感光体1Mの回転方向に沿って順次配置された、帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写ローラー(一次転写手段)5M、およびクリーニング手段6Mを有する。
シアン色の画像を形成する画像形成ユニット10Cは、ドラム状の感光体1Cの周囲に感光体1Cの回転方向に沿って順次配置された、帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写ローラー(一次転写手段)5C、およびクリーニング手段6Cを有する。
黒色画像を形成する画像形成ユニット10Bkは、ドラム状の感光体1Bkの周囲に感光体1Bkの回転方向に沿って順次配置された、帯電手段2Bk、露光手段3Bk、現像手段4Bk、一次転写ローラー(一次転写手段)5Bk、およびクリーニング手段6Bkを有する。
感光体1Y、1M、1C、1Bkとしては、本発明に係る電子写真感光体を用いる。
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、感光体1Y、1M、1C、1Bk上に形成するトナー像の色が異なるのみで同様に構成される。したがって、画像形成ユニット10Yを例にとって詳細に説明し、画像形成ユニット10M、10C、10Bkの説明を省略する。
画像形成ユニット10Yは、像形成体である感光体1Yの周囲に、帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、一次転写ローラー(一次転写手段)5Y、およびクリーニング手段6Yを有し、感光体1Y上にイエロー(Y)のトナー像を形成するものである。また、本実施形態においては、画像形成ユニット10Yのうち、少なくとも感光体1Y、帯電手段2Y、現像手段4Y、およびクリーニング手段6Yが一体化されて設けられている。
帯電手段2Yは、感光体1Yに対して一様な電位を与える手段であって、たとえば、図6、7に示すようなスコロトロンなどのコロナ放電型の帯電器等の非接触式の帯電装置が用いられる。
また、本発明では、図8に示すように、帯電手段2Y’として帯電ローラーなどの接触式の帯電装置を用いることもできる。帯電手段2Y’は、感光体1Y表面に対して帯電ローラーにより帯電を行う手段である。この例の帯電手段2Y’は、感光体1Yの表面に接触して配置された帯電ローラーと帯電ローラーに電圧を印加する電源とからなる。本発明において、帯電手段は、帯電ローラーを感光体に接触または近接した状態で帯電させる近接第伝方式によるものであってもよい。帯電ローラーは、芯金と、芯金の表面上に積層され、帯電音を低減させると共に弾性を付与して感光体1Yに対する均一な密着性を得るための弾性層と、を有する。弾性層の表面上には、必要に応じて帯電ローラーが全体として高い均一性の電気抵抗を得るための抵抗制御層が積層される。当該抵抗制御層上には、表面層が積層される。帯電ローラーは、押圧バネによって感光体1Yの方向に付勢され、感光体1Yの表面に対して所定の押圧力で圧接されて帯電ニップ部が形成される構成となっており、感光体1Yの回転に従動して回転される。
本発明においては、帯電電圧を印加するための接触式の帯電装置を用いることもできる。すなわち、電子写真感光体の表面に接触する接触式の帯電装置を用いた場合、図1、2に示すような既存の電子写真感光体と組み合わせると、図1、2で説明したような問題が生じる。一方、図3に示すように、本発明の電子写真感光体と組み合わせた場合、図3で説明したように既存の感光体の問題を生じることなく、高速機においても、耐摩耗性・クリーニング性が高く、尚且つかぶりの発生がほとんどない高画質の画像を得ることができる。
露光手段3Yは、帯電手段2Yによって一様な電位を与えられた感光体1Y上に、画像信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する手段である。露光手段3Yとしては、たとえば、感光体1Yの軸方向にアレイ状に発光素子を配列したLEDと結像素子とから構成されるもの、またはレーザー光学系が用いられる。
現像手段4Yは、たとえば、マグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブおよび感光体1Yとこの現像スリーブとの間に直流および/または交流バイアス電圧を印加する電圧印加装置よりなるものである。
一次転写ローラー5Yは、感光体1Y上に形成されたトナー像を無端ベルト状の中間転写体70に転写する手段(一次転写手段)である。一次転写ローラー5Yは、中間転写体70と当接して配置されている。
感光体1Yの表面に滑剤を供給する(塗布する)滑剤供給手段116Yは、たとえば図7に示すように、一次転写ローラー(一次転写手段)5Yの下流側かつクリーニング手段6Yの上流側に設けられている。ただし、クリーニング手段6Yの下流側であってもよい。
滑剤供給手段116Yを構成するブラシローラー121としては、たとえば、基布に繊維の束をパイル糸として織り込んだパイル織り生地をリボン状生地にし、起毛した面を外側にして金属製シャフトの周囲に螺旋状に巻き付け、接着したものが挙げられる。この例のブラシローラー121は、たとえばポリプロピレンなどの樹脂製のブラシ繊維が高密度に植設されてなる長尺の織布がローラー基体の周面に形成されてなるものである。
ブラシ毛は、金属製シャフトに対し垂直方向に起毛させる、直毛タイプが滑剤の塗布能力の観点から好ましい。ブラシ毛に用いる糸は、フィラメント糸が望ましく、材料としては、6−ナイロン、12−ナイロンなどのポリアミド、ポリエステル、アクリル樹脂、ビニロン等の合成樹脂が挙げられ、導電性を高める目的でカーボンやニッケル等の金属を練り込んだものでもよい。ブラシ繊維の太さはたとえば3〜7デニール、ブラシ繊維の毛長はたとえば2〜5mm、ブラシ繊維の電気抵抗率はたとえば1×1010Ω以下、ブラシ繊維のヤング率は4900〜9800N/mm、ブラシ繊維の植設密度(単位面積あたりのブラシ繊維数)は、たとえば5万〜20万本/平方インチ(50k〜200k本/inch)が好ましい。ブラシローラー121の感光体に対する食込み量は、0.5〜1.5mmであることが好ましい。ブラシローラーの回転速度は、たとえば感光体の周速比で0.3〜1.5とされ、感光体の回転方向と同じ方向の回転であっても、逆の方向の回転であってもよい。
加圧バネ123は、ブラシローラー121の感光体1Yに対する押圧力が、たとえば0.5〜1.0Nとなるよう、滑剤122を感光体1Yに近接する方向に押圧するものが用いられる。
滑剤供給手段116Yにおいては、感光体1Yの表面1cm当たりに対する塗布量が0.5×10−7〜1.5×10−7g/cmとされるよう、たとえば滑剤122のブラシローラー121に対する押圧力およびブラシローラー121の回転速度が調整される。
滑剤122の種類としては、特に制限されず、公知のものを適宜選択することができるが、脂肪酸金属塩を含有することが好ましい。
脂肪酸金属塩としては、炭素数10以上の飽和または不飽和脂肪酸の金属塩が好ましく、たとえば、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸鉄、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸銅、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸インジウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸鉄、オレイン酸コバルト、オレイン酸銅、オレイン酸鉛、オレイン酸マンガン、オレイン酸アルミニウム、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸コバルト、パルミチン酸鉛、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸アルミニウム、パルミチン酸カルシウム、カプリン酸鉛、リノレン酸亜鉛、リノレン酸コバルト、リノレン酸カルシウム、リシノール酸亜鉛、リシノール酸カドミウムなどが挙げられる。
クリーニング手段6Yは、クリーニングブレードと、このクリーニングブレードより上流側に設けられたブラシローラーとにより構成される
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のローラー71〜74により巻回され、回動可能に支持された無端ベルト状の中間転写体70を有する。無端ベルト状中間転写体ユニット7には、中間転写体70上にトナーを除去するクリーニング手段6bが配置されている。
また、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とにより筐体8が構成されている。筐体8は、装置本体Aから支持レール82L、82Rを介して引き出し可能に構成されている。
定着手段24としては、たとえば、内部に加熱源を備えた加熱ローラーと、この加熱ローラーに定着ニップ部が形成されるよう圧接された状態で設けられた加圧ローラーとにより構成されてなる熱ローラー定着方式のものが挙げられる。
なお、上記した実施形態においては、画像形成装置100がカラーのレーザープリンターであるものとしたが、モノクロのレーザープリンター、コピー機、複合機等であってもよい。また、露光光源は、レーザー以外の光源、たとえばLED光源等であってもよい。
[画像形成方法]
本発明の画像形成方法は、本発明の電子写真感光体の表面を帯電させる帯電工程と、帯電した前記電子写真感光体の表面に光を照射して静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像が形成された前記電子写真感光体にトナーを提供してトナー像を形成する現像工程と、前記電子写真感光体の表面の前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、を有する。
上記のように構成される画像形成装置100においては、次のようにして用紙P上に画像が形成される。
まず、帯電手段2Y、2M、2C、2Bkにより、感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面を負に帯電させる(帯電工程)。本発明では、図8に示すような接触式の帯電手段2Y’と同様の構成を有する各色の接触式の帯電手段2Y’2M’、2C’、2Bk’により、感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面を負に帯電させるようにしてもよい(帯電工程)。
次いで、露光手段3Y、3M、3C、3Bkで、感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面を画像信号に基づいて露光し、静電潜像を形成する(露光工程)。
次いで、現像手段4Y、4M、4C、4Bkにより、感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面にトナーを付与して現像し、トナー像を形成する(現像工程)。
次いで、一次転写ローラー5Y、5M、5C、5Bkにより、感光体1Y、1M、1C、1Bk上にそれぞれ形成した各色のトナー像を、回動する中間転写体70上に逐次転写(一次転写、転写工程)させて、中間転写体70上にカラー画像を形成する。
そして、一次転写ローラー5Y、5M、5C、5Bkと中間転写体70とを分離させた後、滑剤供給手段により感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面に滑剤を供給する(滑剤供給工程)。
その後、感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面に残存したトナーを、クリーニング手段6Y、6M、6C、6Bkで除去する。
そして、次の画像形成プロセスに備えて、帯電手段2Y、2M、2C、2Bkにより感光体1Y、1M、1C、1Bkを負に帯電させる。
一方、給紙カセット20から給紙手段21により用紙Pを給紙し、複数の中間ローラー22A、22B、22C、22D、レジストローラー23を経て二次転写部(二次転写手段)5bに搬送する。そして、二次転写部5bにより、用紙P上にカラー画像を転写(二次転写)する。
このようにしてカラー画像が転写された用紙Pを、定着手段24で定着処理した後、排紙ローラー25で挟持して装置外に排紙し、排紙トレイ26上に載置する。また、用紙Pが中間転写体70から分離された後、クリーニング手段6bにより中間転写体70上の残存トナーを除去する。
以上のようにして、用紙P上に画像を形成することができる。
〔トナー〕
本発明の画像形成方法および画像形成装置において使用されるトナーは、特に限定されないが、結着樹脂および着色剤を含むトナー粒子を含有することが好ましく、該トナー粒子は、必要に応じて離型剤などの他の成分が含有されていてもよい。
該トナー粒子は、高画質化を企図する観点から、その体積平均粒子径が2〜8μmであることが好ましい。
上記のトナーを製造する方法としては、特に制限されないが、たとえば、通常の粉砕法や、分散媒中で作製する湿式溶融球形化法や、懸濁重合、分散重合、乳化重合凝集法等の既知の重合法などが挙げられる。
また、トナー粒子には、外添剤として、平均粒子径10〜300nm程度のシリカおよびチタニア等の無機粒子、平均粒子径0.2〜3μm程度の研磨剤等を適宜添加することができる。
トナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
トナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄などの強磁性金属、強磁性金属とアルミニウムおよび鉛などとの合金、フェライトおよびマグネタイトなどの強磁性金属の化合物など、従来公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライトが好ましい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
また、本発明の画像形成装置には、滑剤を感光体の表面から除去する滑剤除去手段が設けられてもよい。具体的には、たとえば感光体1Yの回転方向において、クリーニング手段6Yの下流側かつ帯電手段2Yの上流側に滑剤供給手段116Yが設けられ、さらに当該滑剤供給手段116Yの下流側かつ帯電手段2Yの上流側に滑剤除去手段が配置されて、画像形成装置が構成される。
滑剤除去手段は、除去部材が感光体1Y表面に接触し、機械的作用によって滑剤を除去する手段であることが好ましく、ブラシローラーや発泡ローラーなどの除去部材を用いることができる。
すなわち、本発明の画像形成方法は、滑剤除去工程をさらに有してもよい。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、下記実施例においては、特記しない限り、感光体作製までの操作は、室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件下で行った。また、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「質量%」および「質量部」を意味する。
金属酸化物粒子の数平均アスペクト比および数平均長径は、以下のようにして測定、算出した。まず、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製)を用いて、1種類の金属酸化物粒子の試料を60000倍の倍率で5視野撮影し、その画像をそれぞれ画像部分が短辺12cm、長辺16.5cmの写真とした。その後得られた写真を2倍に拡大印刷し、それぞれの写真1枚につき、それぞれの短辺および長辺の中間点からそれぞれの短辺および長辺に対して平行線を引き、さらに対角線2本を引き、合計4本の直線に重なっている粒子の短径および長径をノギスを用いて測定した。ただし、一つの粒子の形が全て画像部に入っており、形がはっきりと認識できるものを計測するものとし、このようにして5枚の写真にて100〜150個の粒子の短径および長径を測定し、その測定値の平均値をその金属酸化物粒子の数平均短径および長径とした。また、その数平均長径の値を平均短径の値で割った値をその金属酸化物の数平均アスペクト値とした。なお、金属酸化物粒子の数平均アスペクト比および数平均長径の測定・算出は、表面処理剤由来の化学種(被覆層)を含む、表面処理後の金属酸化物粒子について行った。
<表面処理金属酸化物粒子1の作製>
「金属酸化物粒子1aの作製」
(1)TiCl濃度207.9g/リットルの四塩化チタン水溶液を準備し、TiO重量基準で462.5g相当量を、5リットルの4つ口フラスコに採取し撹拌下75℃に加温した。次いで予め分散されたルチル型種晶の二酸化チタンスラリーをTiO重量基準で37.5g相当量添加し、75℃で2時間加熱し、加水分解して、TiO濃度163.2/リットルのルチル結晶の二酸化チタンスラリーを2941ml得た。
(2)前記(1)のスラリーを500mlずつ、1リットルのビーカーに分取し、撹拌下、NaCO粉末を添加して、スラリーpHで5まで中和した。その後、Na粉末をTiO100質量部に対して30質量部添加して、よく混合後、濾過、脱水したケーキを得た。この操作を複数回繰り返した後、該ケーキをそれぞれマッフル炉にて870℃で3時間焼成した。得られたそれぞれの焼成物は、ひとまとめにして粉砕後、脱イオン水中に投入し、ミキサーで約10分混合後、濾過、洗浄して可溶性塩を除去したのち、乾燥した。これにより金属酸化物粒子1aを得た。ここで、複数回に分けて実施したのは、大量に実施すると、中和や脱水、濾過に時間がかかるが、少量に分けることで、中和や脱水、濾過に時間がかからず、尚且つ作製したケーキの中までしっかりと焼成できるためである。
「金属酸化物粒子1aの表面処理」
エタノール100mlに得られた金属酸化物粒子1a 110gを加え、USホモジナイザーを用いて60分間分散を行い、次いで、ラジカル重合性基を有する表面処理剤としてシランカップリング剤である3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.2gおよびトルエン10mLを加えUSホモジナイサーを用いて30分間分散を行った。エバポレーターによって溶剤を除去した後、120℃で1時間加熱することにより、反応性表面処理が施された金属酸化物粒子〔1−a〕を得た。
得られた金属酸化物粒子〔1−a〕10gを、2−ブタノール40gに加え、USホモジナイザーを用いて60分間分散を行い、次いで、シリコーン表面処理剤としてシリコーン主鎖の側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤「KF−9908」(信越化学工業株式会社製)0.3gおよびトルエン10mLを加えて、さらに30分間USホモジナイザーを用いて分散を行った。分散後、溶剤を室温下で揮発させ、100℃で60分間乾燥させることにより、表面処理が施された金属酸化物粒子(以下、表面処理金属酸化物粒子と称する)1を調製した。
<表面処理金属酸化物粒子2の作製>
「金属酸化物粒子2aの作製」
(1)で得られたスラリーを500mlずつ、1リットルのビーカーに分取し、撹拌しながらNaCO粉末を添加して、スラリーpHで6まで中和したこと以外は、金属酸化物粒子1aの作製と同様にして、金属酸化物粒子2aを作製した。
「金属酸化物粒子2aの表面処理」
金属酸化物粒子1aに代えて金属酸化物粒子2aを用いたこと以外は、金属酸化物粒子1aの表面処理と同様にして、表面処理金属酸化物粒子2を調製した。
<表面処理金属酸化物粒子3、4の作製>
「金属酸化物粒子3a、4aの作製」
金属酸化物粒子2aの作製と同様にして、金属酸化物粒子3a、4a(いずれも金属酸化物粒子2aと同じもの)を作製した。
「金属酸化物粒子3a、4aの表面処理」
金属酸化物粒子3a、4a(いずれも金属酸化物粒子2aと同じもの)を用い、シリコーン表面処理剤の種類を表1に従って変更したこと以外は、金属酸化物粒子2aの表面処理と同様にして、表面処理金属酸化物粒子3、4をそれぞれ作製した。
<表面処理金属酸化物粒子5の作製>
「金属酸化物粒子5aの作製」
3リットル容量の反応槽に温度55℃の水300mlを張り込み、十分な撹拌下に超音波照射機(日本精機株式会社製)を用いて周波数20kHzの超音波を照射した。超音波を照射しながら、反応槽に135g/リットル濃度の塩化亜鉛水溶液1500ml(塩化亜鉛として1.48モル)と142g/リットル濃度の水酸化ナトリウム水溶液750ml(水酸化ナトリウムとして2.66モル)とを2分間かけて同時に投入して、沈殿を生成させた。この間、反応槽中の混合物のpHは6.8から7.5の間にあった。このようにして生成した沈殿を濾過、水洗、乾燥して金属酸化物粒子5aを得た。
「金属酸化物粒子5aの表面処理」
金属酸化物粒子1aに代えて金属酸化物粒子5aを用いたこと以外は、金属酸化物粒子1aの表面処理と同様にして、表面処理金属酸化物粒子5を調製した。
<表面処理金属酸化物粒子6の作製>
「金属酸化物粒子6aの作製」
90℃の純水5リットル中に、塩化第二スズ5水塩500g、及び三塩化アンチモン10.1gを3N塩酸水溶液500mlに溶解した溶液と、ケイ酸ナトリウム水溶液(SiOとして308g/リットル)17.4mlと、水酸化ナトリウムと、を系のpHを7〜7.5に維持するように20分間にわたって並行添加して共沈殿物を生成させた。次に、ここへ塩酸を加えて系のpHを3に調整した後、水洗した。得られたケーキを110℃で12時間乾燥した後、この乾燥状物100質量部に対して20質量部の割合の塩化ナトリウムを加え、両者を均一に混合粉砕した。この混合物を電気炉で900℃にて1時間焼成した。その後、得られた焼成生成物をフッ化水素酸水溶液で浸漬処理して可溶性塩類を除去した後、乾燥、粉砕を行って、金属酸化物粒子6aを得た。
「金属酸化物粒子6aの表面処理方法」
金属酸化物粒子1aに代えて金属酸化物粒子6aを用いたこと以外は、金属酸化物粒子1aの表面処理と同様にして、表面処理金属酸化物粒子6を調製した。
<表面処理金属酸化物粒子7の作製>
「金属酸化物粒子7aの作製」
三塩化アンチモンの量を3.36gとしたこと以外は、金属酸化物粒子6aの作製と同様にして、金属酸化物粒子7aを作製した。
「金属酸化物粒子7aの表面処理」
金属酸化物粒子1aに代えて金属酸化物粒子7aを用いたこと以外は、金属酸化物粒子1aの表面処理と同様にして、表面処理金属酸化物粒子7を調製した。
<表面処理金属酸化物粒子8の作製>
「金属酸化物粒子8aの作製」
焼成温度を1000℃とすること以外は、金属酸化物粒子6aの作製と同様にして、金属酸化物粒子8aを作製した。
「金属酸化物粒子8aの表面処理」
金属酸化物粒子1aに代えて金属酸化物粒子8aを用いたこと以外は、金属酸化物粒子1aの表面処理と同様にして、表面処理金属酸化物粒子8を調製した。
<表面処理金属酸化物粒子9の作製>
「金属酸化物粒子9aの作製」
焼成温度を1500℃とすること以外は、金属酸化物粒子6aの作製と同様にして、金属酸化物粒子9aを作製した。
「金属酸化物粒子9aの表面処理」
金属酸化物粒子1aに代えて金属酸化物粒子9aを用いたこと以外は、金属酸化物粒子1aの表面処理と同様にして、表面処理金属酸化物粒子9を調製した。
<表面処理金属酸化物粒子10の作製>
「金属酸化物粒子(コア・シェル複合金属酸化物粒子)10aの作製」
金属酸化物粒子1aの作製と同様にして金属酸化物粒子(コア粒子)1aを得たのち、金属酸化物粒子1a 200gを水3リットルに分散させてスラリーを得た。このスラリーに、スズの含有量が41質量%であるスズ酸ナトリウム(NaSnO)208gを添加し溶解させて混合スラリーを得た。この混合スラリーを循環させながら、循環経路の一部に設けられた超音波振動子によって超音波を照射した。超音波の周波数は40kHzとし、出力570Wとした。循環する混合スラリーに超音波を照射しつつ、該混合スラリーに20%希硫酸水溶液を添加してスズの中和を行った。希硫酸水溶液は、混合スラリーのpHが2.5になるまで60分間かけて添加した。中和の後、0.97gの塩化亜鉛(II)を混合スラリーに添加し、該混合スラリーを撹拌した。これによって、目的とする金属酸化物粒子の前駆体を得た。この前駆体を、温水によって洗浄した後、脱水濾過を行った。濾過によって回収された前駆体ケーキを横型チューブ炉中に載置し、2体積%H/N雰囲気下で500℃、1時間還元焼成し、金属酸化物粒子(コア・シェル(TiO/SnO)複合金属酸化物粒子)10aを得た。
「金属酸化物粒子10aの表面処理」
金属酸化物粒子1aに代えて金属酸化物粒子10aを用いたこと以外は、金属酸化物粒子1aの表面処理と同様にして、表面処理金属酸化物粒子10を調製した。
<表面処理金属酸化物粒子11の作製>
「金属酸化物粒子11aの作製」
金属酸化物粒子6aの作製と同様にして、金属酸化物粒子11a(金属酸化物粒子6aと同じもの)を作製した。
「金属酸化物粒子11aの表面処理」
金属酸化物粒子11a(金属酸化物粒子6aと同じもの)を用い、ラジカル重合性基を有する表面処理剤で表面処理を施すことなく、シリコーン表面処理剤(KF9908)のみで表面処理したこと以外は、金属酸化物粒子6aの表面処理と同様にして、表面処理金属酸化物粒子11を得た。
<表面処理金属酸化物粒子12の作製>
「金属酸化物粒子12aの準備」
金属酸化物粒子としては、CIKナノテック社製の酸化スズ(数平均一次粒径20nm、体積抵抗率1.05×10Ω・cm)を金属酸化物粒子12aとして準備した。
「金属酸化物粒子12の表面処理」
金属酸化物粒子1aに代えて金属酸化物粒子12aを用い、シリコーン表面処理剤の種類を表1に従って変更したこと以外は、金属酸化物粒子1aの表面処理と同様にして、表面処理金属酸化物粒子12を調製した。
<表面処理金属酸化物粒子13の作製>
「金属酸化物粒子13aの作製」
金属酸化物粒子2aの作製と同様にして、金属酸化物粒子13a(金属酸化物粒子2aと同じもの)を作製した。
「金属酸化物粒子13aの表面処理」
金属酸化物粒子13a(金属酸化物粒子2aと同じもの)を用い、シリコーン表面処理剤の種類を表1に従って変更したこと以外は、金属酸化物粒子2aの表面処理と同様にして、表面処理金属酸化物粒子13を調製した。
<表面処理金属酸化物粒子14の作製>
「金属酸化物粒子14aの作製」
金属酸化物粒子6aの作製と同様にして、金属酸化物粒子14a(金属酸化物粒子6aと同じもの)を作製した。
「金属酸化物粒子14の表面処理」
金属酸化物粒子14a(金属酸化物粒子6aと同じもの)を用い、シリコーン表面処理剤の代わりに、側鎖にシリコーン鎖を有さない分岐型フッ素系表面処理剤(側鎖型)「Novec2702」(スリーエムジャパン株式会社製)を用いたこと以外は、金属酸化物粒子6aの表面処理と同様にして、表面処理金属酸化物粒子14を調製した。
<表面処理金属酸化物粒子15の作製>
「金属酸化物粒子15aの作製」
焼成温度を2000℃とすること以外は、金属酸化物粒子6aの作製と同様にして、金属酸化物粒子15aを得た。
「金属酸化物粒子15aの表面処理」
金属酸化物粒子1aに代えて金属酸化物粒子15aを用いたこと以外は、金属酸化物粒子1aの表面処理と同様にして、表面処理金属酸化物粒子15を調製した。
<表面処理金属酸化物粒子16の作製>
「金属酸化物粒子16aの作製」
(1)で得られたスラリーを500mlずつ、1リットルのビーカーに分取し、撹拌しながらNaCO粉末を添加して、スラリーpHで4まで中和し、得られたケーキをそれぞれ500℃で焼成したこと以外は、金属酸化物粒子1aの作製と同様にして、金属酸化物粒子16aを作製した。
「金属酸化物粒子16aの表面処理」
金属酸化物粒子1aに代えて金属酸化物粒子16aを用いたこと以外は、金属酸化物粒子1aの表面処理と同様にして、表面処理金属酸化物粒子16を調製した。
≪電子写真感光体(単に、感光体ともいう)1〜23の作製≫
<感光体1の作製>
下記のようにして感光体1を作製した。
(導電性支持体の準備)
直径80mmの円筒形アルミニウム支持体の表面を切削加工し、導電性支持体を用意した。
(中間層の形成)
分散機としてサンドミルを用いて、バッチ式で5時間の分散を行って、下記組成の分散液を得た。得られた下記組成の分散液を同じ混合溶媒にて1.5倍に希釈し、一夜静置後に濾過(フィルター;日本ポール社製リジメッシュ5μmフィルター使用)し、中間層塗布液を作製した。
バインダー:ポリアミド樹脂CM8000(東レ株式会社製)
100質量部
金属酸化物粒子:酸化チタンSMT500SAS(テイカ株式会社製)
120質量部
金属酸化物粒子:酸化チタンSMT150MK (テイカ株式会社製)
155質量部
溶媒:エタノール/n−PrOH(n−プロパノール)/THF(体積比60:20:20)
1290質量部。
上記塗布液を用いて前記導電性支持体上に、乾燥後の厚さが2μmとなるようにして浸漬塗布法で塗布し中間層を形成した。
(電荷発生層の形成)
電荷発生物質:チタニルフタロシアニン顔料(Cu−Kα特性X線回折スペクトル測定で、少なくとも27.3°の位置に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料) 20質量部
バインダー:ポリビニルブチラール樹脂#6000−C(電気化学工業株式会社製)
10質量部
溶媒:酢酸t−ブチル 700質量部
4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン 300質量部
を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を前記中間層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥後の厚さが0.3μmの電荷発生層を形成した。
(電荷輸送層の形成)
電荷輸送物質:4,4′−ジメチル−4”−(β−フェニルスチリル)トリフェニルアミン
225質量部
バインダー樹脂:ポリカーボネート(Z300:三菱ガス化学株式会社製)
300質量部
酸化防止剤:Irganox(登録商標)1010(BASFジャパン社製)
6質量部
溶媒:テトラヒドロフラン 1600質量部
トルエン 400質量部
レベリング剤:シリコーンオイル(KF−54:信越化学工業株式会社製)
1質量部
を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥後の厚さが20μmの電荷輸送層を形成した。
(保護層(最外層)の形成)
表面処理金属酸化物粒子1 95質量部
バインダー樹脂:重合性化合物「化合物M2」 100質量部
重合開始剤:イルガキュア819(登録商標)(BASFジャパン社製)
6.6質量部
溶媒:2−ブタノール 313質量部
テトラヒドロフラン 35質量部。
化合物M2を表す上記式中、R’はメタクリロイル基(CH=CCHCO−)である。
上記成分を混合撹拌し、十分に溶解・分散し、保護層塗布液を作製した。該塗布液を先に電荷輸送層まで作製した感光体上に円形スライドホッパー塗布機を用いて塗布し、キセノンランプを用いて紫外線を1分間照射後、80℃で70分間乾燥を行い、乾燥後の厚さが5.0μmの保護層を得た。このようにして感光体1を作製した。
<感光体2〜5、7、11〜14、17、19〜23の作製>
保護層の形成に用いる表面処理金属酸化物粒子1を表1に記載の表面処理金属酸化物粒子2〜11、13〜16、または表面処理を施していない金属酸化物粒子6aに変更した以外は、感光体1の作製と同様にして、感光体2〜5、7、11〜14、17、19〜23を作製した。
<感光体6、10、15、16の作製>
保護層の形成に用いる表面処理金属酸化物粒子6の添加量を表1に記載の通りに変更したこと以外は、感光体7の作製と同様にして、感光体6、10、15、16を作製した。
<感光体8の作製>
直径30mmの円筒形アルミニウム支持体の表面を切削加工し、導電性支持体を用意したこと以外は、感光体7の作製と同様にして、感光体8を作製した。
<感光体9の作製>
保護層に下記構造式1で表される電荷輸送剤を22.2質量部添加し、重合開始剤を8.1質量部に変更したこと以外は、感光体7の作製と同様にして、感光体9を作製した。
<感光体18の作製>
表面処理金属酸化物粒子1を表1に記載の表面処理金属酸化物粒子12に変更し、添加量を120質量部に変更したこと以外は、感光体1の作製と同様にして、感光体18を作製した。
[評価方法]
以上のようにして作製した感光体1〜23について、以下のように評価を行なった。
<耐摩耗性評価>
フルカラー印刷機(帯電方式にスコロトロン採用のbizhub PRESS C1100;コニカミノルタ株式会社製、「bizhub」は同社の登録商標)に上記で得られた各感光体を搭載し、30℃80%RH環境下で、画像面積比率6%の文字画像をA4横送りで各30万枚両面連続でプリントを行う耐久試験を実施し、耐久試験前後における感光体の保護層の膜厚減耗量により評価した。
ただし、実施例8(感光体8)のみ、フルカラー印刷機(帯電方式に帯電ローラー採用のbizhub 658e:コニカミノルタ株式会社製、「bizhub」は同社の登録商標)を用いて同様に評価を実施した。
感光体の保護層の膜厚は、均一膜厚部分(塗布の先端部及び後端部の膜厚変動部分を膜厚プロフィールを作製して除く)をランダムに10ケ所測定し、その平均値を感光体の保護層の膜厚とする。
膜厚測定器は、渦電流方式の膜厚測定器EDDY560C(HELMUT FISCHER GMBTE CO社製)を用いて行い、実写試験前後の感光体の保護層の膜厚の差を膜厚減耗量とする。100krot(10万回転)あたりの減耗量をα値(単位;μm)として表1に記載する。α値が0.2μm以内であれば、本発明内においては基準を満たすレベル(実用上問題のないレベル)と言える。
<かぶり評価>
フルカラー印刷機(帯電方式にスコロトロン採用のbizhub PRESS C1100;コニカミノルタ株式会社製、「bizhub」は同社の登録商標)に上記耐摩耗性評価の耐久試験後の感光体を搭載し、30℃80%RH環境下で白ベタ画像を20枚プリントし20枚目の画像をスキャナーでスキャンした。
このスキャン画像を画像編集ソフト「フォトショップ(登録商標)CS6」(アドビシステムズ株式会社製)で取り込み、モノクロ画像に変換した。その後、同ソフトにてスキャン画像の黒率を算出した。
この黒率を黒化率として評価した。10点平均した値を採用した。ここでは、白地部にトナーがかぶった部分が黒として、認識される。黒化率とは、画像の黒点部分の面積率を表し、ベタ黒画像は黒化率100%、白紙は0%となる。
ただし、実施例8(感光体8)のみ、フルカラー印刷機(帯電方式に帯電ローラー採用のbizhub 658e:コニカミノルタ株式会社製、「bizhub」は同社の登録商標)を用いて同様に評価を実施した。
−評価基準−
A:黒化率0.05%未満(実用上問題なし)
B:黒化率0.05%以上0.15%未満(実用上問題なし)
C:黒化率0.15%以上0.3%未満(実用上問題あり)
D:黒化率0.3%以上(実用上問題あり)。
<クリーニング性の評価>
フルカラー印刷機(帯電方式にスコロトロン採用のbizhub PRESS C1100;コニカミノルタ株式会社製、「bizhub」は同社の登録商標)に上記かぶり評価試験後の感光体を搭載し、試験後に、30℃80%RHの環境下において、紙の搬送方向の前方部に黒地部、後方部に白地部が位置するように、ハーフトーン画像を、A3版中性紙に100枚プリントし、100枚目の紙の白地部を目視により観察し、下記基準に基づいて、トナーのすり抜けを評価した。評価結果が「A」および「B」の場合を合格と判定した。
ただし、実施例8(感光体8)のみ、フルカラー印刷機(帯電方式に帯電ローラー採用のbizhub 658e:コニカミノルタ株式会社製、「bizhub」は同社の登録商標)を用いて同様に評価を実施した。
−評価基準−
A:白地部に汚れが見られなかった
B:白地部に軽微なスジ状の汚れが発生したが、実用上の問題はない
C:白地部に明らかなスジ状の汚れが発生し、実用上の問題がある。
感光体の構成および評価結果を、下記表1に示す。なお、下記表1中、「No.」は、上記で作製した表面処理金属酸化物粒子の番号1〜16又は金属酸化物粒子の番号6aを表している。下記表1中、「シリコーン表面処理剤種」の欄には、側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤又は直鎖型シリコーン表面処理剤の種類をそれぞれ示している。但し、感光体20(比較例3)の「シリコーン表面処理剤種」の欄には、シリコーン表面処理剤に代わるフッ素系表面処理剤(側鎖型)の種類を示している。金属酸化物粒子の欄の「添加量」は、各実施例で用いたラジカル重合性化合物100質量部に対する添加量(質量部)を表している。CTMは、感光体の保護層中の電荷輸送剤の有無を表している。備考欄の「金属酸化物粒子形状」は、アクペクト比が2以上のものを「針状」とし、1以上2未満のもの「球状」として、表記したものである。備考欄の「ラジカル重合性基を有する表面処理剤」の欄は、当該ラジカル重合性基を有する表面処理剤(反応性表面処理剤)の有無を示している。「側鎖型」は、主鎖に側鎖を有する樹脂を含む表面処理剤を示し、「直鎖型」は主鎖に側鎖を有しない直鎖の樹脂を含む表面処理剤を示す。
表1の「シリコーン表面処理剤種」の欄の「KF−9908」は、シリコーン主鎖の側鎖にシリコーン鎖を有する分岐型シリコーン表面処理剤(信越化学工業株式会社製)であり、
「KF−574」は、アクリル主鎖の側鎖にシリコーン鎖を有する分岐型シリコーン表面処理剤(信越化学工業株式会社製)であり、
「KF−578」は、アクリル主鎖の側鎖にシリコーン鎖を有する分岐型シリコーン表面処理剤(信越化学工業株式会社製)であり、
「KF−99」は、直鎖型シリコーン表面処理剤(メチルハイドロジェンシリコーンオイル)(信越化学工業株式会社製)であり、
「Novec」は、側鎖にシリコーン鎖を有さない分岐型フッ素系表面処理剤「Novec2702」(スリーエムジャパン株式会社製)である。
上記表1から明らかなように、実施例の感光体は、優れた耐摩耗性およびクリーニング性を有し、またかぶりも抑制されることがわかった。一方、比較例の感光体では、耐摩耗性、クリーニング性、およびかぶりの程度の少なくとも1つが、実用可能なレベルに達しないことが分かった。
1Y、1M、1C、1Bk 電子写真感光体、
2Y、2Y’、2M、2C、2Bk 帯電手段、
3Y、3M、3C、3Bk 露光手段、
4Y、4M、4C、4Bk 現像手段、
5Y、5M、5C、5Bk 一次転写ローラー(一次転写手段)、
5b 二次転写部(二次転写手段)、
6Y、6M、6C、6Bk、6b クリーニング手段、
7 中間転写体ユニット、
8、120 筐体、
10Y、10M、10C、10Bk 画像形成ユニット、
11 保護層、
12 シリコーン部、
13 球状の金属酸化物粒子、
15 樹脂部、
20 給紙カセット、
21 給紙手段、
22A、22B、22C、22D 中間ローラー、
23 レジストローラー、
24 定着手段、
25 排紙ローラー、
26 排紙トレイ、
31 保護層、
33 針状の金属酸化物粒子、
33’ 凝集体となっている部分、
35 樹脂部、
37 反応性CTM、
51 保護層、
52 シリコーン部、
53 球状の金属酸化物粒子、
55 樹脂部、
61 直鎖型のシリコーン鎖、
63 針状の金属酸化物粒子、
65 シリコーンの部分(丸で囲った部分)、
65a 多数のシリコーン側鎖、
65b シリコーン主鎖、
70 中間転写体、
82R、82L 支持レール、
91 コア−シェル構造の針状の複合金属酸化物粒子、
93 芯材(コア)
95 外殻(シェル)、
100 画像形成装置、
116Y 滑剤供給手段、
121 ブラシローラー、
122 滑剤、
122a 表面、
123 加圧バネ、
A 本体、
P 用紙、
SC 原稿画像読み取り装置。

Claims (9)

  1. 導電性支持体上に少なくとも感光層と保護層とを順次積層してなる電子写真感光体において、
    前記保護層は、ラジカル重合性化合物と金属酸化物粒子とを含有する組成物の硬化物を含有してなり、
    前記金属酸化物粒子は、数平均アスペクト比が5以上100以下であり、数平均長径が50nm以上1μm以下であり、側鎖にシリコーン鎖を有する分岐型シリコーン表面処理剤で表面処理された針状の金属酸化物粒子であることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記金属酸化物粒子は、数平均アスペクト比が5以上20以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記金属酸化物粒子は、数平均長径が100nm以上500nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記側鎖にシリコーン鎖を有する分岐型シリコーン表面処理剤が、シリコーン主鎖から分岐したシリコーン側鎖を有するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記側鎖にシリコーン鎖を有する分岐型シリコーン表面処理剤が、アクリル主鎖から分岐したシリコーン側鎖を有するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  6. 前記側鎖にシリコーン鎖を有する分岐型シリコーン表面処理剤で表面処理された針状の金属酸化物粒子が、重合性基由来の基を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  7. 前記金属酸化物粒子の含有量が、前記ラジカル重合性化合物100質量部に対して70質量部以上120質量部以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  8. 前記金属酸化物粒子が、SnO、TiOおよびZnOの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  9. 請求項1〜8のいずれかの1項に記載の電子写真感光体と、前記電子写真感光体の表面を帯電させるための帯電装置と、帯電した前記電子写真感光体の表面に光を照射して静電潜像を形成するための露光装置と、静電潜像が形成された前記電子写真感光体にトナーを提供してトナー像を形成するための現像装置と、前記電子写真感光体の表面の前記トナー像を記録媒体に転写するための転写装置と、を有する画像形成装置であって、
    前記帯電装置は、前記電子写真感光体の表面に接触して、帯電電圧を印加するための接触式の帯電装置であることを特徴とする画像形成装置。
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