JP7155864B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真感光体に関する。
電子写真方式の画像形成装置は、形成しようとする画像に対応した光信号に応じた静電潜像を形成するための手段として、電子写真感光体(以下、単に「感光体」とも称する)を有している。当該感光体には、有機光導電性物質を含有する有機感光体が広く用いられているが、画像形成における帯電、露光、現像、滑剤供給、転写、およびクリーニングなどの各種工程において、電気エネルギー、光エネルギー、機械的な力などが供給される。したがって、上記感光体には、画像形成の繰り返しによっても帯電安定性や電位保持性などが損なわれないことが求められている。このような要求に対し、感光体の表面に無機粒子を含む最外層を設ける技術が知られている。
また、近年、電子写真方式の複写機やプリンタなどの画像形成装置には、より一層の高耐久化、高画質化が望まれており、感光体においても、高耐久化、高画質化への要求が高まっている。高耐久化に関しては、特に耐摩耗性や耐傷性等の機械的強度が感光体の耐久寿命を決定する最大の要素であるため重要となる。一方、高画質化に関しては、様々な種類の出力物に対応するために、特に細かい画像や文字を再現するための細線再現性や電荷の蓄積により前の出力画像の履歴が残ってしまうメモリに対する耐性の向上が重要となる。
そこで、感光体の高耐久化を実現するために、感光体の最外層に平均粒径の異なるケイ素原子を含む粒子を含有させる技術(特許文献1参照)が検討されている。また、感光体の高耐久化に加え電荷の蓄積を抑制するために、感光体の最外層に硬化型樹脂と導電性金属酸化物粒子を用いる技術(特許文献2参照)が検討されている。
特開平8-234471号公報 特開平6-308756号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されている技術では、ケイ素原子を含む粒子だけでは導電性が不足し、メモリ耐性が不十分となってしまうという問題が生じてしまう。一方、上記特許文献2に記載されている技術では、導電性金属酸化物粒子による最外層の抵抗低下により、細線再現性が悪化するという問題が生じてしまう。
そこで、本発明は、耐傷性が高く、かつメモリ耐性と細線再現性を両立できる電子写真感光体を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究を積み重ねた。その結果、感光体の最外層が重合性硬化物を含み、当該最外層に、側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤により表面処理をした導電性を有する第1のフィラーと、前記第1のフィラーよりも比誘電率が低く、かつ比誘電率が5以下である第2のフィラーとを併用した電子写真感光体により上記課題が解決することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、導電性支持体上に少なくとも感光層と最外層とを順次積層してなる電子写真感光体において、
前記最外層が、重合性モノマーとフィラーとを含有する組成物の重合硬化物を含み、
前記フィラーが、側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤で表面処理された導電性を有する第1のフィラーと、前記第1のフィラーよりも比誘電率が低く、かつ比誘電率が5以下である第2のフィラーとを含有することを特徴とする電子写真感光体である。
本発明の電子写真感光体によれば、重合硬化物である最外層に、側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤により表面処理をした導電性を有する第1のフィラーと誘電率の低い第2のフィラーとを併用することで、耐傷性が高く、かつ、局所的な表面抵抗の低下も生じず、メモリ耐性向上と細線再現性との両立が図れる。
本発明の一実施形態による電子写真感光体を用いた電子写真方式の画像形成装置を示す概略構成図である。 実施例で作製した導電性を有する第1のフィラー(CF-3)~(CF-7)を構成する母体としての複合粒子(コア-シェル粒子)の作製に用いた製造装置を模式的に表す概略構成図である。 実施例のメモリ耐性の評価を目的として転写材に形成した画像を表す図面である。 実施例の耐久試験で、A4横送りの転写材に形成した縦帯状ベタ画像を表す図面である。 実施例の細線再現性の評価を目的として転写材に形成した画像を表す図面である。
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。なお、本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、本明細書において、特記しない限り、操作および物性等の測定は、室温(20~25℃)/相対湿度40~50%RHの条件で行う。
[電子写真感光体]
本発明の一実施形態による電子写真感光体は、導電性支持体上に少なくとも感光層と最外層とを順次積層してなる電子写真感光体において、前記最外層が、重合性モノマーとフィラーとを含有する組成物の重合硬化物を含み、前記フィラーが、側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤で表面処理された導電性を有する第1のフィラーと、前記第1のフィラーよりも比誘電率が低く、かつ比誘電率が5以下である第2のフィラーとを含有することを特徴とするものである。かかる構成を有することにより、上記した発明の効果を有効に発現することができる。詳しくは、側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤により導電性を有する第1のフィラーを表面処理することで、導電性を有する第1のフィラーの分散性が向上し、最外層中に凝集したフィラーがなくなることで、耐傷性に優れ、局所的な抵抗の低下を抑制することができる。導電性を有する第1のフィラーが均一に存在している場合でも、導電性を有する第1のフィラーの含有量を増やすと最外層の導電性が上がり、メモリ耐性の向上を図れるが、最外層全体の抵抗が低下してしまい、細線再現性の低下が生じてしまう。一方、誘電率の低い第2のフィラーは、電界強度を確保できるため、ホール輸送能が高くなり、メモリ耐性の向上につながる。また、導電性を有する第1のフィラーと異なり、抵抗の低下が生じないため、細線再現性の低下は起こらない。この2種類のフィラーを併用することで、耐傷性に優れ、より優れたメモリ耐性と細線再現性との両立を実現することができる。
なぜ、本発明の電子写真感光体により、上記した発明の効果が得られるのか、その発現機構や作用機構(メカニズム)については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
メモリ耐性を向上するためには、最外層に耐久性向上にも効果がある導電性を有するフィラー(単に、導電性フィラーともいう)を含有させることが有効である。しかしながら、単に導電性フィラーを入れるだけでは、メモリ耐性は、向上するものの、最外層の表面抵抗が低下し、細線再現性が悪化してしまう。
一方、表面抵抗を下げずにメモリ耐性を向上させる方法として、誘電率の低いフィラーを用いることで、電界強度を確保することが知られている。しかしながら、プロセス速度が上がった際は、誘電率の低いフィラーによる電界強度の確保だけではメモリ耐性が不十分である。
そのため、導電性フィラーと誘電率の低いフィラーとを併用することで、メモリ耐性と細線再現性との両立を狙ったが、単純に併用するだけでは導電性フィラーの凝集が生じてしまい、局所的に表面抵抗が低下することで細線再現性が悪化してしまう。
そこで、側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤により導電性フィラーを処理することで、分散性が向上し導電性フィラーの凝集が生じず、最外層中にフィラーが均一に分散された状態にできる。特にシリコーン鎖を有する表面処理剤により導電性フィラーを表面処理しない場合は、単独でも凝集はみられるが、誘電率の低いフィラーと併用するとより凝集しやすい状態となる。よって併用する場合には表面処理の効果がより顕著となる。これは、導電性フィラーと誘電率の低いフィラーとの組成が異なるので、表面処理をしない場合は、導電性フィラー同士はより集まりやすくなることが要因と考えられる。
誘電率の異なるフィラーが存在する場合、微視的にみると誘電率の高いフィラー周囲では電界強度が弱いため電荷はトラップされやすく、誘電率の低いフィラー周囲では電界強度が強くなるため電荷のトラップは生じにくくなる。本発明では誘電率の高いフィラーは、導電性フィラーであり、電界強度が弱くなっても、導電性フィラー内は、電子が移動しやすいため、電荷のトラップは生じにくく、メモリ耐性の悪化は起こらない傾向が見られる。本発明では、導電性を有する第1のフィラーと、前記第1のフィラーよりも比誘電率が低く、かつ比誘電率が5以下である第2のフィラーとが均一に分散されており、上記の本発明の効果が発揮される。
なお、上記メカニズムは推測に基づくものであり、その正誤が本発明の技術的範囲に影響を及ぼすものではない。
電子写真感光体とは、電子写真方式の画像形成方法において潜像または顕像をその表面に担持する物体である。電子写真感光体は、後述する最外層を有する以外は、従来の感光体と同様の構成を有することができ、また従来の感光体と同様に作製することが可能である。また、最外層においても、後述する特徴を含む以外は、従来の最外層と同様の構成を有し、従来の最外層と同様に作製することが可能である。最外層以外の部分は、たとえば、特開2012-078620号公報に記載の感光体における最外層以外の部分と同様の構成とすることができる。また、最外層も、材料が異なる以外は、特開2012-078620号公報に記載の構成と同様の構成とすることができる。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体と、当該導電性支持体上に配置される感光層と、当該感光層上に配置される最外層を含む。以下、かような構成を有する電子写真感光体について詳細に説明する。
(導電性支持体)
導電性支持体は、感光層を支持し、かつ導電性を有する部材である。導電性支持体の好ましい例としては、金属製のドラムまたはシート、ラミネートされた金属箔を有するプラスチックフィルム、蒸着された導電性物質の膜を有するプラスチックフィルム、導電性物質、または導電性物質とバインダ樹脂とからなる塗料を塗布してなる導電層を有する金属部材やプラスチックフィルム、紙等が挙げられる。上記金属の好ましい例としては、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛およびステンレス鋼等が挙げられ、上記導電性物質の好ましい例としては、上記金属、酸化インジウムおよび酸化スズ等が挙げられる。
(感光層)
感光層は、後述する露光手段により、所期の画像の静電潜像を感光体の表面に形成するための層である。当該感光層は、単層でもよいし、積層された複数の層で構成されていてもよい。感光層の好ましい例としては、電荷輸送物質と、電荷発生物質とを含有する単層、および電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と、電荷発生物質を含有する電荷発生層との積層物等が挙げられる。
(他の構成)
感光体は、上記の導電性支持体および感光層、並びに下記の最外層以外の他の構成をさらに含んでいてもよい。当該他の構成の好ましい例としては、中間層、保護層等が挙げられる。当該中間層は、例えば、上記導電性支持体と上記感光層との間に配置される、バリア機能と接着機能とを有する層である。上記保護層は、感光層の上に配置され、感光層が傷ついたり摩耗したりすることを防ぐための層である。当該保護層は、感光体表面の機械的強度を向上させ、耐傷性や耐摩耗性を向上させる層であることが好ましく、例えば、重合性モノマーを含む組成物の重合硬化物を含む層である形態が挙げられる。
(最外層)
本明細書において、感光体の最外層とは、通常、表面層、表面保護層などとも称されるものであり、トナーと接触する側の最外部に配置される層を表す。最外層は、感光層の上に配置されるとともに、感光体の表面を構成する層ともいえる。最外層は、特に制限されないが、上記した保護層の機能である感光体表面の機械的強度を向上させる機能を持たせて配置されることが好ましい。本発明の一形態において、最外層は、重合性モノマーと、フィラーと、を含む組成物(以下、最外層形成用組成物とも称する)の重合硬化物を含む。かかる構成により、最外層は、重合性モノマーの重合による一体的な重合体、即ち、バインダ機能を持つ重合体(バインダ樹脂)で構成され、その内部に、導電性を有する第1のフィラー及び誘電率の低い第2のフィラーが分散されている。また、当該導電性を有する第1のフィラー及び誘電率の低い第2のフィラーを、上記重合体と重合反応による共有結合によって結合させることができる。これら重合性モノマー、導電性を有する第1のフィラー、及び誘電率の低い第2のフィラーは、それぞれ一種単独で用いられても良いし、二種以上を混合して用いられても良い。
下記では、最外層の構成成分について詳細に説明する。
<フィラー>
最外層は、フィラーを含む組成物(最外層形成用組成物)の重合硬化物を含み、上記フィラーは、側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤で表面処理された導電性を有する第1のフィラーと、前記第1のフィラーよりも比誘電率が低く、かつ比誘電率が5以下である第2のフィラーとを含有する。側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤で表面処理された導電性を有する第1のフィラーは、側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤を含む表面処理剤由来の化学種(被覆層)および導電性を有する第1のフィラーを含む表面被覆フィラーとなると考えられる。なお、表面処理された導電性を有する第1のフィラーは、その表面上の少なくとも一部に表面処理剤由来の化学種(被覆層)を有していればよい。
以下では、側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤を、単に「シリコーン表面処理剤」とも称し、「シリコーン表面処理剤」による表面処理を、単に「シリコーン表面処理」とも称し、シリコーン表面処理が施された導電性を有する第1のフィラーを、単に「シリコーン表面処理された第1のフィラー」とも称する。同様にシリコーン表面処理が施された、第1のフィラーよりも比誘電率が低く、かつ比誘電率が5以下である第2のフィラーを、単に「シリコーン表面処理された第2のフィラー」とも称する。
また、重合性基を有する表面処理剤を、単に「反応性表面処理剤」とも称し、「反応性表面処理剤」による表面処理を、単に「反応性表面処理」とも称し、反応性表面処理が施された導電性を有する第1のフィラーを、単に「反応性表面処理された第1のフィラー」とも称する。同様に、反応性表面処理が施された、第1のフィラーよりも比誘電率が低く、かつ比誘電率が5以下である第2のフィラーを、単に「反応性表面処理された第2のフィラー」とも称する。
さらに、「シリコーン表面処理」および「反応性表面処理」の少なくとも一方が施された導電性を有する第1のフィラーを、単に「表面処理された第1のフィラー」と総称する場合もある。同様に、「シリコーン表面処理」および「反応性表面処理」の少なくとも一方が施された、第1のフィラーよりも比誘電率が低く、かつ比誘電率が5以下である第2のフィラーを、単に「表面処理された第2のフィラー」と総称する場合もある。
<導電性を有する第1のフィラー>
本明細書において、導電性を有する第1のフィラー(単に、「第1のフィラー」ともいう)とは、少なくともその表面が導電性を有する化合物から構成されるフィラーをいう。機械的強度や耐摩耗性、耐久性等の観点から、導電性を有する金属酸化物から構成されるフィラーが好ましい。
上記第1のフィラーを構成する導電性を有する化合物、とりわけ導電性を有する金属酸化物の例としては、特に制限されないが、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化スズ、酸化タンタル、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化イットリウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化マンガン、酸化セレン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化ゲルマニウム、二酸化チタン、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化バナジウム、銅アルミ複合酸化物およびアンチモンをドープした酸化スズ等が挙げられる。中でも、酸化スズ(SnO)、二酸化チタン(TiO)、銅アルミ複合酸化物(CuAlO)が好ましい。上記第1のフィラーを構成する導電性を有する化合物、とりわけ導電性を有する金属酸化物は、一種であってもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。また、上記第1のフィラーは、合成品であってもよいし、市販品であってもよい。
また、上記第1のフィラーは、芯材(コア)と、当該芯材の表面に上述したような導電性を有する化合物、とりわけ導電性を有する金属酸化物からなる外殻(シェル)と、を有する、コア-シェル構造を有する粒子(複合粒子)であることが好ましい。コア-シェル構造を有さない単一材料からなる第1のフィラーを用いた場合、特に数平均一次粒径が大きくなると重合性モノマーとの屈折率の差が大きくなって、最外層の硬化に用いられる活性エネルギー線(特には紫外線)の透過性がコア-シェル構造を有する複合粒子からなる第1のフィラーに比して低下する。その結果、硬化後の最外層の膜強度が複合粒子からなる第1のフィラーの場合よりも若干低くなる場合がある。また、第1のフィラーをコア-シェル構造を有する複合粒子とすれば、当該複合粒子表面の表面処理剤の量を多くすることができる。その結果、最外層中での第1のフィラーの分散性がより高まり、活性エネルギー線(特には紫外線)の透過性をより高めることができる。これにより、硬化後の最外層の膜強度をより高めることができ、耐摩耗性、耐傷性等がより向上する。
当該複合粒子の芯材(コア)を構成する材料は、特に制限されないが、硫酸バリウム、アルミナ(酸化アルミニウム)、シリカ(酸化ケイ素)等が挙げられる。これらの中でも、最外層の硬化に用いられる活性エネルギー線の透過性を確保する観点から、硫酸バリウム(BaSO)が好ましい。また、当該複合粒子の外殻(シェル)を構成する材料は、上記第1のフィラーを構成する導電性を有する化合物、とりわけ金属酸化物の例として挙げたものと同様である。コア-シェル構造の複合粒子の好ましい例としては、硫酸バリウムからなる芯材と、酸化スズからなる外殻と、を有する複合粒子が挙げられる。なお、芯材の数平均一次粒径と、外殻の厚みとの比率は、使用する芯材および外殻の種類、ならびにこれらの組み合わせに応じて、適宜設定すればよい。
上記第1のフィラーの形状は、特に制限されるものではなく、例えば、球状、断面楕円形状、針状、円盤状、不定形状などが挙げられる。分散性等の観点から、球状または断面楕円形状等が好ましい。
上記第1のフィラーの数平均一次粒径は、10nm以上200nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下であることが更に好ましい。第1のフィラーの数平均一次粒径が10nm以上であれば、十分な耐傷性が得られる。また、第1のフィラーの数平均一次粒径が200nm以下であれば、最外層の形成時に第1のフィラーを溶剤に分散させるときに、分散液中で導電性を有する第1のフィラーが沈降することなく安定して分散するため、感光体の製造が容易となる。
なお、本明細書において、上記第1のフィラーや第2のフィラー等のフィラーや他の粒子等の数平均一次粒径は、以下の方法で測定される数平均一次粒径と定義する。
まず、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製)により撮影された試料(フィラー等)の10000倍の拡大写真をスキャナーに取り込む。次いで、得られた写真画像から、凝集したフィラーや粒子を除く300個のフィラー像又は粒子像を、ランダムに自動画像処理解析システム ルーゼックス(登録商標)AP ソフトウエアVer.1.32(株式会社ニレコ製)を使用して2値化処理して、当該フィラー像又は粒子像のそれぞれの水平方向フェレ径を算出する。そして、当該フィラー像又は粒子像のそれぞれの水平方向フェレ径の平均値を算出して数平均一次粒径とする。ここで、水平方向フェレ径とは、上記フィラー像又は粒子像を2値化処理したときの外接長方形の、x軸に平行な辺の長さをいう。また、上記第1のフィラー及び第2のフィラーの数平均一次粒径の測定は、表面処理剤由来の化学種(被覆層)を含まない第1のフィラー及び第2のフィラーについて、それぞれ行うものとする。
<側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤で表面処理された第1のフィラー>
側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤で表面処理された第1のフィラーは、原料となる未処理の第1のフィラーに、側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤による表面処理が施されたものである。側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤で表面処理された第1のフィラーは、側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤を含む表面処理剤由来の化学種(被覆層)および第1のフィラーを含む表面被覆フィラーとなると考えられる。なお、表面処理された第1のフィラーは、その表面上の少なくとも一部に表面処理剤由来の化学種(被覆層)を有していればよい。
第1のフィラーは、側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤(単に、「シリコーン表面処理剤」ともいう)により表面処理されている。側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤で第1のフィラーの表面処理を行うと、第1のフィラーは効率的に疎水化され、その表面上には高濃度のシリコーン鎖が存在することとなる。このように表面処理された第1のフィラーと、重合性モノマーとを用いて組成物を調製し、その重合硬化物で感光体の最外層を形成すると、当該表面処理された第1のフィラーは、フィラー表面上にシリコーン鎖が高濃度に存在するため分散性に対して有利となる。
<側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤>
前記シリコーン表面処理剤としては、高分子主鎖から分岐した側鎖にシリコーン鎖を有するものであればよく、特に制限されないが、さらに表面処理官能基を有するものが好ましい。前記表面処理官能基としては、カルボン酸基、水酸基、-Rd-COOH(Rdは、2価の炭化水素基)、アルキルシリル基、ハロゲン化シリル基、およびアルコキシシリル基等の、シリコーン表面処理前の第1のフィラーと結合しうる基が挙げられる。これらの中でもカルボン酸基、水酸基またはアルコキシシリル基が好ましい。
上記シリコーン表面処理剤が有する高分子主鎖は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体鎖や下記式1に示すモノマー由来の繰返し単位を有するものなどのポリ(メタ)アクリレート主鎖(単に、「アクリル主鎖」ともいう)またはシリコーン主鎖であることが、分散性が高まる観点から好ましい。最外層中での第1のフィラーの分散性が高まると、最外層の耐摩耗性、耐傷性等がより向上するとともに、第1のフィラーの凝集による局所的な抵抗の低下は生じにくくなる。
Figure 0007155864000001
側鎖および主鎖のシリコーン鎖は、ジメチルシロキサン構造を繰り返し単位として有することが好ましく、その繰り返し単位数は、側鎖および主鎖のいずれも、3~100個であるものが好ましく、3~50個であるものがより好ましく、3~30個であるものがさらに好ましい。側鎖および主鎖のいずれも、繰り返し単位数が3個以上であれば、シリコーン表面処理による効果を有効に発現することができ、100個以下であれば、重合性モノマーとの相性が良く、凝集・沈降することなく、分散性に優れる。
主鎖のアクリル鎖は、上記式1に示すモノマー由来の構造を繰り返し単位として有することが好ましく、その繰り返し単位数は、3~100個であるものが好ましく、3~50個であるものがより好ましく、3~30個であるものがさらに好ましい。繰り返し単位数が3個以上であれば、シリコーン表面処理による効果を有効に発現することができ、100個以下であれば、重合性モノマーとの相性が良く、凝集・沈降することなく、分散性に優れる。
シリコーン表面処理剤の重量平均分子量は、特に制限されないが、1,000以上50,000以下であることが好ましい。シリコーン表面処理剤の重量平均分子量が1,000以上であれば、シリコーン表面処理による効果を有効に発現することができ、50,000以下であれば、重合性モノマーとの相性が良く、凝集・沈降することなく、分散性に優れる。なお、シリコーン表面処理剤の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
シリコーン表面処理剤は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。また、シリコーン表面処理剤は、合成品であってもよいし、市販品であってもよい。アクリル主鎖から分岐した側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤の市販品の具体例としては、サイマック(登録商標)US-350(以上、東亞合成株式会社製)、KP-541、KP-574、およびKP-578(以上、信越化学工業株式会社製)等を挙げることができる。また、シリコーン主鎖から分岐した側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤の市販品の具体例としては、KF-9908、KF-9909(以上、信越化学工業株式会社製)等を挙げることができる。
<側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤(シリコーン表面処理剤)による表面処理方法>
シリコーン表面処理剤による表面処理方法は、特に制限されず、第1のフィラーの表面上にシリコーン表面処理剤を付着(または結合)することができる方法であればよい。かような方法としては、一般的に、湿式処理方法と乾式処理方法との二通りに大別されるが、いずれを用いてもよい。
なお、後述する反応性表面処理後の第1のフィラーをシリコーン表面処理する場合は、第1のフィラーの表面上または反応性表面処理剤(由来の化学種)上に、シリコーン表面処理剤が付着(または結合)する。以下の湿式処理方法及び乾式処理方法では、未反応の第1のフィラー、または反応性表面処理された第1のフィラーを総称して、「第1のフィラー」として説明する。
(湿式処理方法)
湿式処理方法とは、第1のフィラーと、シリコーン表面処理剤とを溶剤中で分散することによって、シリコーン表面処理剤を第1のフィラーの表面上に付着(または結合)させる方法である。当該方法としては、第1のフィラーと、シリコーン表面処理剤とを溶剤中で分散させ、得られた分散液を乾燥し溶剤を除去する方法が好ましく、その後さらに加熱処理を行い、シリコーン表面処理剤と第1のフィラーとを反応させることによって、シリコーン表面処理剤を第1のフィラーの表面上に付着(または結合)させる方法がより好ましい。また、シリコーン表面処理剤と第1のフィラーとを溶剤中で分散した後、得られた分散液を湿式粉砕することにより、第1のフィラーを微細化すると同時に表面処理を進行させてもよい。また、上記分散液は、第1のフィラーを溶剤中に分散させた後に、シリコーン表面処理剤を添加し混合して調製してもよい。
第1のフィラーおよびシリコーン表面処理剤を溶剤中で分散させる手段としては、特に制限されず公知の手段を用いることができ、その例としては、ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル等の一般的な分散手段を挙げることができる。
溶剤としては、特に制限されず公知の溶剤を用いることができ、その好ましい例としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール(2-ブタノール)、tert-ブタノール、ベンジルアルコールなどのアルコール系溶剤や、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤等が挙げられる。これらは単独でもまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、メタノール、2-ブタノール、トルエン、および2-ブタノールとトルエンとの混合溶剤がより好ましい。
分散時間は、特に制限されないが、たとえば、1分以上600分以下であることが好ましく、10分以上360分以下であることがより好ましく、30分以上120分以下であることがより好ましい。
溶剤の除去方法としては、特に制限されず公知の方法を用いることができ、その例としては、エバポレーターを用いる方法、室温下で溶剤を揮発させる方法等が挙げられる。
加熱温度としては、特に制限されないが、50℃以上250℃以下であることが好ましく、70℃以上200℃以下であることがより好ましく、80℃以上150℃以下であることがさらに好ましい。また、加熱時間としては、特に制限されないが、1分以上600分以下であることが好ましく、10分以上300分以下であることがより好ましく、30分以上90分以下であることがさらに好ましい。なお、加熱方法は、特に制限されず、公知の方法を用いることができる。
(乾式処理方法)
乾式処理方法とは、溶剤を用いず、シリコーン表面処理剤と第1のフィラーとを混合し混練を行うことによって、シリコーン表面処理剤を第1のフィラーの表面上に付着(または結合)させる方法である。当該方法としては、シリコーン表面処理剤と、第1のフィラーとを混合し混練した後、さらに加熱処理を行い、シリコーン表面処理剤と第1のフィラーとを反応させることによって、シリコーン表面処理剤を第1のフィラーの表面上に付着(または結合)させる方法であってもよい。また、第1のフィラーと、シリコーン表面処理剤とを混合し混練する際に、これらを乾式粉砕することにより、第1のフィラーを微細化すると同時に表面処理を進行させてもよい。
シリコーン表面処理剤の使用量は、処理前の第1のフィラー(後述する反応性表面処理後の第1のフィラーをシリコーン表面処理する場合は、反応性表面処理後の第1のフィラー)100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、2質量部以上であることがさらに好ましい。この範囲であれば、最外層の耐摩耗性がより向上する。さらに耐傷性が高く、かつ局所的な表面抵抗の低下も生じず、メモリ耐性と細線再現性を両立できる。
また、シリコーン表面処理剤の使用量は、シリコーン表面処理前の第1のフィラー(後述する反応性表面処理後の第1のフィラーをシリコーン表面処理する場合は、反応性表面処理後の第1のフィラー)100質量部に対して、100質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましく、5質量部以下であることがさらに好ましい。この範囲であると、未反応のシリコーン表面処理剤による最外層の膜強度の低下が抑制され、最外層の耐摩耗性が向上する。さらに耐傷性が高く、かつ局所的な表面抵抗の低下も生じず、メモリ耐性と細線再現性を両立できる。
未処理の第1のフィラーや反応性表面処理後の第1のフィラーにシリコーン表面処理が施されたことは、熱重量・示差熱(TG/DTA)測定、走査型電子顕微鏡(SEM)または透過電子顕微鏡(TEM)による観察、エネルギー分散型X線分光法(EDX)による分析、元素分析等によって確認することができる。
前記シリコーン表面処理された第1のフィラーは、重合性基由来の基を有することが好ましい。シリコーン表面処理された第1のフィラーが重合性基由来の基を有することにより、最外層の耐摩耗性、耐傷性等が向上する。この理由は、最外層を構成する硬化物中で、シリコーン表面処理された第1のフィラーと重合性モノマーとが化学結合した状態となり、最外層の膜強度が向上するからであると推測される。重合性基の種類は、特に制限されないが、ラジカル重合性基が好ましい。重合性基の導入方法としては、特に制限されないが、第1のフィラーに対して重合性基を有する表面処理剤で表面処理を行う方法が好ましい。
シリコーン表面処理された第1のフィラーが重合性基を有することや、最外層中のシリコーン表面処理された第1のフィラーが重合性基由来の基を有することは、熱重量・示差熱(TG/DTA)測定、走査型電子顕微鏡(SEM)または透過電子顕微鏡(TEM)による観察、エネルギー分散型X線分光法(EDX)による分析、質量分析等によって確認することができる。
<重合性基を有する表面処理剤(反応性表面処理剤)による表面処理方法>
シリコーン表面処理が施された第1のフィラーは、反応性表面処理剤でさらに表面処理されることが好ましい。重合性基は、反応性表面処理によって、第1のフィラーの表面に担持される。即ち、シリコーン表面処理された第1のフィラーは、さらに重合性基を有することが好ましい。そして、最外層中で、当該シリコーン表面処理された第1のフィラーが重合性基を介して重合性モノマーと重合することになり、より機械的強度を得られやすくなるとともに、第1のフィラーが脱落しにくくなるため長期にわたり効果を発揮しやすくなる。これにより膜強度がより高い最外層が形成され、最外層の耐摩耗性、耐傷性等がさらに向上する。このとき、シリコーン表面処理された第1のフィラーは、最外層中で重合性基由来の基を有する構造として存在することとなる。
反応性表面処理剤は、重合性基および表面処理官能基を有する。当該重合性基は、炭素-炭素二重結合を有し、重合可能な基である。第1のフィラーが有していてもよい重合性基は、一種でもそれ以上でも良く、互いに同じであっても異なっていてもよく、また、重合硬化物を形成する重合性モノマーが有する重合性基と同じであっても異なっていてもよい。前記重合性基の種類は、特に制限されないが、ラジカル重合性基が好ましい。ここで、ラジカル重合性基は、炭素-炭素二重結合を有するラジカル重合可能な基を表す。ラジカル重合性基の例としては、ビニル基および(メタ)アクリロイル基等が挙げられ、これらの中でもメタクリロイル基が好ましい。また、表面処理官能基とは、第1のフィラーの表面に存在する水酸基などの極性基への反応性を有する基を表す。表面処理官能基の例としては、カルボン酸基、水酸基、-R’-COOH(R’は、二価の炭化水素基)、アルキルシリル基、ハロゲン化シリル基、アルコキシシリル基等が挙げられ、これらの中でもアルキルシリル基、ハロゲン化シリル基、アルコキシシリル基が好ましい。
反応性表面処理剤は、ラジカル重合性基を有するシランカップリング剤が好ましく、その例としては、下記式S-1~S-32で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0007155864000002
反応性表面処理剤は、単独でもまたは2種以上を組み合わせても用いることができる。また、反応性表面処理剤は、合成品であってもよいし市販品であってもよい。市販品の具体例としては、KBM-502、KBM-503、KBE-502、KBE-503、KBM-5103(以上、信越化学工業株式会社製)等を挙げることができる。
シリコーン表面処理および反応性表面処理の両方を行う場合、反応性表面処理を行った後にシリコーン表面処理を行うことが好ましい。この順序で表面処理を行うことにより、最外層の耐摩耗性、耐傷性等がより向上する。この理由は、撥油効果を有するシリコーン鎖によって、反応性表面処理剤の第1のフィラー表面への接触が妨げられることがないため、第1のフィラーへの重合性基の導入がより効率よく行われるからである。
反応性表面処理の方法は、特に制限されず、反応性表面処理剤を用いる以外は、シリコーン表面処理で説明した方法と同様の方法を採用することができる。また、公知のフィラーとして用いられる金属酸化物粒子や複合粒子等の表面処理技術を用いてもよい。
湿式処理方法により反応性表面処理を用いる場合、溶剤としては、メタノール、エタノール、トルエンが好ましい。
反応性表面処理剤の使用量は、反応性表面処理前の第1のフィラー100質量部に対して、0.5質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、1.5質量部以上であることがさらに好ましい。この範囲であると、最外層の耐摩耗性がより向上する。さらに耐傷性が高く、かつ局所的な表面抵抗の低下も生じず、メモリ耐性と細線再現性とを両立できる。また、反応性表面処理剤の使用量は、反応性表面処理前の第1のフィラー100質量部に対して、15質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましく、8質量部以下であることがさらに好ましい。この範囲であると、フィラー表面の水酸基数に対して反応性表面処理剤の量が過剰とはならずより適切な範囲となり、未反応の反応性表面処理剤による最外層の膜強度の低下が抑制され、最外層の耐摩耗性がより向上する。
<第2のフィラー>
本明細書において、第2のフィラーは、第1のフィラーよりも比誘電率が低く、かつ比誘電率が5以下であるフィラーをいう。すなわち、第1のフィラーよりも比誘電率が低く、かつ比誘電率が5以下の化合物(単に、「誘電率の低い化合物」ともいう)から構成されるフィラーであればよい。ここで、誘電率(比誘電率)とは、気体、液体、固体を問わず、絶縁性物質の持つ基本的な電気的定数であると定義されている。
第2のフィラーを構成する化合物は、上記した誘電率の低い化合物であれば、どのような化合物でもよく、例えば、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂等の有機高分子化合物やシリカ(酸化ケイ素)等の無機化合物が挙げられる。誘電率の低い化合物は、一種であってもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。第2のフィラーは、耐傷性、耐摩耗性等の観点から、前記無機化合物で構成された無機フィラーであることが好ましく、シリカで構成されたフィラーがさらに好ましい。また、第2のフィラーは、合成品であってもよいし、市販品であってもよい。
上記第2のフィラーは、第1のフィラーよりも比誘電率が低く、かつ比誘電率が5以下であればよく、比誘電率は小さいほど好ましい。第2のフィラーが、第1のフィラーよりも比誘電率が高くなる、或いは第2のフィラーの比誘電率が5よりも大きくなると、電界強度の確保が不十分になり、メモリ耐性への効果が十分に得られないため好ましくない。
上記第1のフィラーや第2のフィラーの比誘電率は、以下の方法で測定される比誘電率と定義する。ここで、比誘電率の測定は、後述する反応性表面処理剤や側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤で表面処理が施されたフィラーを試料として用いるものとする。
<比誘電率の測定方法>
内径25mm、厚さ50mmの円筒状の成形金型に入れた試料(フィラー)に、金型上部から400kgfの荷重を1分間かけて、直径25mm、厚さ1.5±0.5mmの円盤状の測定試料に成型する。この測定試料をプレシジョンLCRメータE4980A(アジレント・テクノロジー社製)を用いて、1MHz、23℃、50%RH環境下にて、比誘電率εの測定を行う。
上記第2のフィラーの形状は、特に制限されるものではなく、例えば、球状、断面楕円形状、針状、円盤状、不定形状などが挙げられる。分散性等の観点から、球状ないし断面楕円形状等が好ましい。
上記第2のフィラーの数平均一次粒径は、10nm以上200nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下であることが更に好ましい。第2のフィラーの数平均一次粒径が10nm以上であれば、十分な耐傷性が得られる。また、第2のフィラーの数平均一次粒径が200nm以下であれば、最外層の形成時に第2のフィラーを溶剤に分散させるときに、分散液中で第2のフィラーが沈降することなく安定して分散するため、感光体の製造が容易となる。
<第2のフィラーの表面処理>
第2のフィラーは、分散性の観点から、側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤(シリコーン表面処理剤)で表面処理されていることが好ましい。前記シリコーン表面処理剤は、第1のフィラーの表面処理に用いたシリコーン表面処理剤と同じであってもよいし異なっていてもよいが、第1のフィラーの表面処理に用いたシリコーン表面処理剤と同一のシリコーン表面処理剤により表面処理をした方が好ましい。第1のフィラーと第2のフィラーが同じシリコーン表面処理剤により表面処理をされていると、より均一に分散される。
ここで、第2のフィラーの表面処理に用いられるシリコーン表面処理剤やこれを用いた表面処理方法等に関しては、第1のフィラーの表面処理に用いられるシリコーン表面処理剤やこれを用いた表面処理方法等で既に説明したと同様である。そのため、ここでの説明は省略する。
また、第2のフィラーは、重合性基由来の基を有することが好ましい。すなわち、第2のフィラーは、重合性基を有する表面処理剤(反応性表面処理剤)でさらに表面処理されることが好ましい。当該重合性基は、炭素-炭素二重結合を有し、重合可能な基である。第2のフィラーが有していてもよい重合性基は、一種でもそれ以上でも良く、互いに同じであっても異なっていても良く、また、重合硬化物を形成する重合性モノマーや第1のフィラーが有する重合性基と同じであってもよいし異なっていてもよい。第2のフィラーが重合性基を有すると重合性モノマーと重合し、より機械的強度を得られやすくなるとともに、第2のフィラーが脱落しにくくなるため長期にわたり効果を発揮しやすくなる。
ここでまた、第2のフィラーの表面処理に用いられる反応性表面処理剤やこれを用いた表面処理方法等に関しては、第1のフィラーの表面処理に用いられる反応性表面処理剤やこれを用いた表面処理方法等で既に説明したと同様である。そのため、ここでの説明は省略する。
<重合性モノマー>
最外層形成用組成物は、重合性モノマーを含む。本明細書において、重合性モノマーとは、重合性基を有し、紫外線、可視光線、電子線等の活性エネルギー線の照射により、または加熱等のエネルギーの付加により、重合(硬化)して、最外層のバインダ樹脂となる化合物を表す。なお、本明細書でいう重合性モノマーには、上記の反応性表面処理剤を含めないものとし、後述する潤滑剤として重合性シリコーン化合物や重合性パーフルオロポリエーテル化合物を用いる場合にはこれらも含めないものとする。
重合性モノマーが有する重合性基は、炭素-炭素二重結合を有し、重合可能な基である。重合性モノマーが有する重合性基の種類は、特に制限されないが、ラジカル重合性基が好ましい。ここで、ラジカル重合性基は、炭素-炭素二重結合を有するラジカル重合可能な基を表す。ラジカル重合性基の例としては、ビニル基および(メタ)アクリロイル基等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。重合性基が(メタ)アクリロイル基であると、少ないエネルギーまたは短時間での硬化が可能となる。さらに耐傷性が高く、かつ局所的な表面抵抗の低下も生じず、メモリ耐性と細線再現性とを両立できる。最外層の耐摩耗性、耐傷性等の向上の理由は、少ない光量または短い時間での効率的な硬化が可能となるからである。
重合性モノマーとしては、ラジカル重合反応を経て硬化するラジカル重合性モノマーであることが好ましい。重合性モノマーの例としては、スチレン系モノマー、(メタ)アクリル系モノマー、ビニルトルエン系モノマー、酢酸ビニル系モノマー、N-ビニルピロリドン系モノマー等が挙げられる。これら重合性モノマーは、単独でもまたは2種以上混合しても用いることができる。また、バインダ樹脂として、ポリスチレン、ポリアクリレート等が含まれていてもよい。
重合性モノマーが有する1分子中の重合性基の数は、特に制限されないが、2個以上であることが好ましく、3個以上であることがより好ましい。この範囲であると、最外層の耐摩耗性、耐傷性等が向上する。この理由は、最外層の架橋密度が増加し、膜強度がより向上するからである。また、重合性モノマーが有する1分子中の重合性基の数は、特に制限されないが、6個以下であることが好ましく、5個以下であることがより好ましく、4個以下であることがさらに好ましい。この範囲であると、最外層の均一性が高まることで、耐傷性が高くなり、かつ局所的な表面抵抗の低下も生じず、メモリ耐性と細線再現性を両立できる。この理由は、架橋密度が一定以下となり、硬化収縮が起こりにくくなるからであると推測される。これらの観点から、重合性モノマーが有する1分子中の重合性基の数は、3個であることが最も好ましい。
重合性モノマーの具体例としては、特に制限されないが、下記の化合物M1~M11が挙げられ、これらの中でも、下記の化合物M2が特に好ましい。下記の各式中、Rは、アクリロイル基(CH=CHCO-)を表し、R’は、メタクリロイル基(CH=C(CH)CO-)を表す。
Figure 0007155864000003
重合性モノマーは、単独でもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。また、重合性モノマーは、合成品であってもよいし市販品であってもよい。
<重合開始剤>
最外層形成用組成物は、さらに重合開始剤を含むことが好ましい。重合開始剤は、上記重合性モノマーを重合反応することによって得られる硬化樹脂(バインダ樹脂)を製造する過程で使用されるものである。重合開始剤は、熱重合開始剤であっても、光重合開始剤であってもよいが、光重合開始剤であることが好ましい。また、重合性モノマーがラジカル重合性モノマーである場合、ラジカル重合開始剤であることが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、特に制限されず公知のものを用いることができ、その例としては、アルキルフェノン系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物等が挙げられる。これらの中でも、α-アミノアルキルフェノン構造またはアシルホスフィンオキサイド構造を有する化合物が好ましく、アシルホスフィンオキサイド構造を有する化合物がより好ましい。アシルホスフィンオキサイド構造を有する化合物の一例としては、IRGACURE(登録商標)819(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド)(BASFジャパン株式会社製)が挙げられる。
これら重合開始剤は、単独でもまたは2種以上を混合して用いてもよい。
重合開始剤の使用量は、重合性モノマー100質量部に対して0.1~40質量部であることが好ましく、0.5~20質量部であることがより好ましい。
<電荷輸送物質>
最外層形成用組成物は、さらに電荷輸送物質を含んでもよい。電荷輸送物質としては、特に制限されず、公知のものを用いることができる。その例としては、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、ベンジジン誘導体等が挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン誘導体が好ましい。トリアリールアミン誘導体としては、下記化学式1で表されるものが好ましい。
Figure 0007155864000004
上記化学式1中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、炭素数1~7のアルキル基、または炭素数1~7のアルコキシ基を表す。k,lおよびnは、それぞれ独立して、0~5の整数を示し、mは0~4の整数を示す。ただし、k、l、nまたはmが2以上である場合においては、複数存在するR、R、RおよびRは、互いに同一のものであっても、異なるものであってもよい。これらの中でも、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、炭素数1~3のアルキル基であることが好ましい。また、k、l、nおよびmは、それぞれ独立して、0~1の整数であることが好ましい。
上記化学式1で表される化合物としては、たとえば、特開2015-114454号公報に記載のものを使用でき、また、公知の合成方法、たとえば、特開2006-143720号公報で開示されている方法などで合成することができる。
<他の成分>
最外層形成用組成物は、上記成分以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。他の成分の例としては、特に制限されないが、最外層が保護層としての機能を備える場合、潤滑剤等が挙げられる。潤滑剤は、特に制限されず公知のものを用いることができ、その例としては、重合性シリコーン化合物および重合性パーフルオロポリエーテル化合物等が挙げられる。
(電子写真感光体の製造方法)
本発明の一形態に係る電子写真感光体は、本発明に係る最外層形成用組成物を含む最外層形成用塗布液を用いる以外は、特に制限されず公知の電子写真感光体の製造方法によって製造することができる。中でも、導電性支持体上に形成された感光層の表面に、最外層形成用組成物を含む塗布液を塗布する工程と、塗布された最外層形成用塗布液に活性エネルギー線を照射して、または塗布された最外層形成用塗布液を加熱して、最外層形成用組成物の硬化物を得る工程と、を含む方法によって製造することが好ましい。
最外層形成用塗布液は、重合性モノマーと、フィラーと、を含む最外層形成用組成物を含むものである。前記フィラーは、側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤で表面処理された導電性を有する第1のフィラーと、前記第1のフィラーよりも比誘電率が低く、かつ比誘電率が5以下である第2のフィラーとを含有する。最外層形成用組成物は、重合開始剤等他の成分をさらに含んでいてもよい。また、最外層形成用塗布液は、最外層形成用組成物と、分散媒とを含むことが好ましい。
最外層形成用塗布液に用いられる分散媒としては、重合性モノマー、フィラー、さらに必要に応じて添加される重合開始剤等を溶解または分散させることができれば、いずれのものでも使用できる。具体的には、たとえば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、2-ブタノール(sec-ブタノール)、tert-ブタノール、ベンジルアルコール、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1,3-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、ピリジンおよびジエチルアミン等が挙げられる。分散媒は、単独でもまたは2種以上混合しても用いることができる。
最外層形成用塗布液の総質量に対する分散媒の含有量は、特に制限されないが、1質量%以上99質量%以下であることが好ましく、40質量%以上90質量%以下であることがより好ましく、50質量%以上80質量%以下であることがさらに好ましい。
最外層形成用組成物中の重合性モノマーの含有量は、特に制限されないが、15質量%以上であることが好ましく、35質量%以上であることがより好ましい。この範囲であると、最外層の架橋密度が増加し、膜強度がより向上し、最外層の耐摩耗性、耐傷性等がより向上する。また、最外層形成用組成物中の重合性モノマーの含有量は、特に制限されないが、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましい。
最外層形成用組成物中のシリコーン表面処理された第1のフィラーの含有量は、重合性モノマー100質量部に対して、50質量部以上200質量部以下であることが好ましく、50質量部以上150質量部以下であることがより好ましく、50質量部以上100質量部以下であることがさらに好ましい。上記第1のフィラーの含有量が50質量部以上であれば、最外層の導電性を高めることができ、メモリ耐性が向上するとともに、膜強度が上がることで耐傷性も十分になる。一方、上記第1のフィラーの含有量が200質量部以下であれば、相対的に硬化樹脂(バインダ樹脂)が少なくなることもなく、フィラーの脱落等が生じることもなく、脆くなることもないので、耐傷性が向上する。加えて、最外層の表面抵抗の低下が抑制され、細線再現性も向上することになる。
最外層形成用組成物中の第2のフィラーの含有量は、シリコーン表面処理された第1のフィラー100質量部に対して、10質量部以上110質量部以下であることが好ましく、20質量部以上110質量部以下であることがより好ましく、20質量部以上80質量部以下であることがさらに好ましい。第2のフィラーの含有量が10質量部以上であれば、第2のフィラーによる電界強度の確保の効果を十分に発現することができる。一方、第2のフィラーの含有量が110質量部以下であれば、導電性の低下が大きくなりすぎるのを効果的に抑制し、メモリ耐性が向上する。
最外層形成用組成物が重合開始剤を含む場合、その含有量は、重合開始剤の性能を有効に発現し得る範囲であればよく、重合性モノマー100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、5質量部以上であることがさらに好ましい。この範囲であると、最外層の耐摩耗性、耐傷性等が向上する。この理由は、最外層の架橋密度が増加し、機械的強度がより向上し、最外層の耐摩耗性、耐傷性等がより向上する。また、最外層形成用組成物中の重合開始剤の含有量は、重合開始剤の性能を有効に発現し得る範囲であればよく、重合性モノマー100質量部に対して、40質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましく、20質量部以下であることがさらに好ましい。この範囲であると、最外層の耐摩耗性、耐傷性等が向上する。この理由は、最外層の架橋密度が増加し、機械的強度がより向上し、最外層の耐摩耗性、耐傷性等がより向上する。
最外層形成用塗布液の調製方法は、特に制限はなく、重合性モノマー、フィラー、さらに必要に応じて添加される重合開始剤などの各種添加剤を分散媒に加えて、溶解または分散するまで攪拌混合すればよい。
本発明に係る最外層は、上記方法で調製した最外層形成用塗布液を感光層の上に塗布した後、乾燥および硬化させることにより形成することができる。
上記塗布、乾燥、および硬化の過程で、重合性モノマー間の反応、重合性モノマーと反応性表面処理された各フィラーとの間の反応、反応性表面処理された各フィラー同士の反応等が進行し、最外層形成用組成物の重合硬化物を含む最外層が形成される。
最外層形成用塗布液の塗布方法は、特に制限されず、たとえば、浸漬塗布法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー塗布法、円形スライドホッパー塗布法などの公知の方法を用いることができる。
上記塗布液を塗布した後は、自然乾燥または熱乾燥を行い、塗膜を形成した後、活性エネルギー線を照射して塗膜を硬化させる。活性エネルギー線としては紫外線や電子線が好ましく、紫外線がより好ましい。
紫外線光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。たとえば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、フラッシュ(パルス)キセノンランプ等を用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、紫外線の照射量(積算光量)は、好ましくは5~5000mJ/cmであり、より好ましくは10~2000mJ/cmである。また、紫外線の照度は、好ましくは5~500mW/cmであり、より好ましくは10~100mW/cmである。
必要な活性エネルギー線の照射量(積算光量)を得るための照射時間としては、0.1秒~10分が好ましく、作業効率の観点から0.1秒~5分がより好ましい。
最外層を形成する過程においては、活性エネルギー線を照射する前後や、活性エネルギー線を照射中に乾燥を行うことができ、乾燥を行うタイミングはこれらを組み合わせて適宜選択できる。
乾燥の条件は、溶媒の種類、膜厚などによって適宜選択できる。乾燥温度は、好ましくは20~180℃であり、より好ましくは80~140℃であり、乾燥時間は、好ましくは1~200分であり、より好ましくは5~100分である。
最外層の膜厚は、1~10μmであることが好ましく、1.5~5μmであることがより好ましい。
なお、最外層が上記組成物の重合硬化物を含むことは、熱分解GC-MS、核磁気共鳴(NMR)、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)、元素分析などの公知の分析方法によって確認することができる。
[画像形成装置]
本発明の電子写真感光体は、電子写真方式の画像形成装置に好適に用いられる。詳しくは、本発明の電子写真感光体と、前記電子写真感光体の表面を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段により帯電された前記電子写真感光体を露光し静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像が形成された前記電子写真感光体にトナーを供給してトナー像を形成する現像手段と、前記電子写真感光体上に形成されたトナー像を転写する転写手段と、前記電子写真感光体の表面に残存したトナーを除去するクリーニング手段と、を備える電子写真方式の画像形成装置に好適に用いられる。
図1は、本発明の電子写真感光体を用いた電子写真方式の画像形成装置の構成の一例を示す断面概略図である。図1に示す電子写真方式の画像形成装置100は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bk、無端ベルト状中間転写体ユニット7、給紙手段21、定着手段24等を備えている。画像形成装置100の装置本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
イエロー色の画像を形成する画像形成ユニット10Yは、ドラム状の感光体1Yの周囲に感光体1Yの回転方向に沿って順次配置された、帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、一次転写ローラー(一次転写手段)5Y、およびクリーニング手段6Yを有する。
マゼンタ色の画像を形成する画像形成ユニット10Mは、ドラム状の感光体1Mの周囲に感光体1Mの回転方向に沿って順次配置された、帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写ローラー(一次転写手段)5M、およびクリーニング手段6Mを有する。
シアン色の画像を形成する画像形成ユニット10Cは、ドラム状の感光体1Cの周囲に感光体1Cの回転方向に沿って順次配置された、帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写ローラー(一次転写手段)5C、およびクリーニング手段6Cを有する。
黒色画像を形成する画像形成ユニット10Bkは、ドラム状の感光体1Bkの周囲に感光体1Bkの回転方向に沿って順次配置された、帯電手段2Bk、露光手段3Bk、現像手段4Bk、一次転写ローラー(一次転写手段)5Bk、およびクリーニング手段6Bkを有する。
感光体1Y、1M、1C、1Bkとしては、本発明に係る電子写真感光体を用いる。
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、感光体1Y、1M、1C、1Bk上に形成するトナー像の色が異なるのみで同様に構成される。したがって、画像形成ユニット10Yを例にとって詳細に説明し、画像形成ユニット10M、10C、10Bkの説明を省略する。
画像形成ユニット10Yは、像形成体である感光体1Yの周囲に、帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、一次転写ローラー(一次転写手段)5Y、およびクリーニング手段6Yを有し、感光体1Y上にイエロー(Y)のトナー像を形成するものである。また、画像形成ユニット10Yのうち、少なくとも感光体1Y、帯電手段2Y、現像手段4Y、およびクリーニング手段6Yが一体化されて設けられている。
帯電手段2Yは、感光体1Yに対して一様な電位を与える手段であって、たとえば、コロナ放電型の帯電器が用いられる。
露光手段3Yは、帯電手段2Yによって一様な電位を与えられた感光体1Y上に、画像信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する手段である。露光手段3Yとしては、たとえば、感光体1Yの軸方向にアレイ状に発光素子を配列したLEDと結像素子とから構成されるもの、またはレーザー光学系が用いられる。
現像手段4Yは、たとえば、マグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブおよび感光体1Yとこの現像スリーブとの間に直流および/または交流バイアス電圧を印加する電圧印加装置よりなるものである。
一次転写ローラー5Yは、感光体1Y上に形成されたトナー像を無端ベルト状の中間転写体70に転写する手段(一次転写手段)である。一次転写ローラー5Yは、中間転写体70と当接して配置されている。
感光体1Yの表面に滑剤を供給する(塗布する)滑剤供給手段(図示せず)は、たとえば、一次転写ローラー(一次転写手段)5Yの下流側かつクリーニング手段6Yの上流側に設けられている。ただし、クリーニング手段6Yの下流側であってもよい。
滑剤供給手段116Yを構成するブラシローラー121としては、たとえば、基布に繊維の束をパイル糸として織り込んだパイル織り生地をリボン状生地にし、起毛した面を外側にして金属製シャフトの周囲に螺旋状に巻き付け、接着したものが挙げられる。この例のブラシローラー121は、たとえばポリプロピレンなどの樹脂製のブラシ繊維が高密度に植設されてなる長尺の織布がローラー基体の周面に形成されてなるものである。
クリーニング手段6Yは、クリーニングブレードより構成されている。なお、このクリーニングブレードより上流側にブラシローラーを設けてもよい。
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のローラー71~74により巻回され、回動可能に支持された無端ベルト状の中間転写体70を有する。無端ベルト状中間転写体ユニット7には、中間転写体70上にトナーを除去するクリーニング手段6bが配置されている。
また、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とにより筐体8が構成されている。筐体8は、装置本体Aから支持レール82L、82Rを介して引き出し可能に構成されている。
定着手段24としては、たとえば、内部に加熱源を備えた加熱ローラーと、この加熱ローラーに定着ニップ部が形成されるよう圧接された状態で設けられた加圧ローラーとにより構成されてなる熱ローラー定着方式のものが挙げられる。
なお、上記した実施形態においては、画像形成装置100がカラーのレーザープリンターであるものとしたが、モノクロのレーザープリンター、コピー機、複合機等であってもよい。また、露光光源は、レーザー以外の光源、たとえばLED光源等であってもよい。
[画像形成方法]
本発明の電子写真感光体を用いた上記構成の画像形成装置による画像形成方法としては、本発明の電子写真感光体の表面を帯電させる帯電工程と、帯電された前記電子写真感光体を露光し静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像が形成された前記電子写真感光体にトナーを供給してトナー像を形成する現像工程と、前記電子写真感光体上に形成されたトナー像を転写する転写工程と、前記電子写真感光体の表面に残存したトナーを除去するクリーニング工程と、を有する。
上記のように構成される画像形成装置100においては、次のようにして用紙P上に画像が形成される。
まず、帯電手段2Y、2M、2C、2Bkにより、感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面を負に帯電させる(帯電工程)。
次いで、露光手段3Y、3M、3C、3Bkで、感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面を画像信号に基づいて露光し、静電潜像を形成する(露光工程)。
次いで、現像手段4Y、4M、4C、4Bkにより、感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面にトナーを付与して現像し、トナー像を形成する(現像工程)。
次いで、一次転写ローラー5Y、5M、5C、5Bkにより、感光体1Y、1M、1C、1Bk上にそれぞれ形成した各色のトナー像を、回動する中間転写体70上に逐次転写(一次転写、転写工程)させて、中間転写体70上にカラー画像を形成する。
そして、一次転写ローラー5Y、5M、5C、5Bkと中間転写体70とを分離させた後、必要に応じて、滑剤供給手段により感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面に滑剤を供給する(滑剤供給工程)。
その後、感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面に残存したトナーを、クリーニング手段6Y、6M、6C、6Bkで除去する。
そして、次の画像形成プロセスに備えて、帯電手段2Y、2M、2C、2Bkにより感光体1Y、1M、1C、1Bkを負に帯電させる。
一方、給紙カセット20から給紙手段21により用紙Pを給紙し、複数の中間ローラー22A、22B、22C、22D、レジストローラー23を経て二次転写部(二次転写手段)5bに搬送する。そして、二次転写部5bにより、用紙P上にカラー画像を転写(二次転写)する。
このようにしてカラー画像が転写された用紙Pを、定着手段24で定着処理した後、排紙ローラー25で挟持して装置外に排紙し、排紙トレイ26上に載置する。また、用紙Pが中間転写体70から分離された後、クリーニング手段6bにより中間転写体70上の残存トナーを除去する。
以上のようにして、用紙P上に画像を形成することができる。
〔トナー〕
上記した画像形成方法および画像形成装置において使用されるトナーは、特に限定されないが、結着樹脂および着色剤を含むトナー粒子を含有することが好ましく、該トナー粒子は、必要に応じて離型剤などの他の成分が含有されていてもよい。
該トナー粒子は、高画質化を企図する観点から、その体積平均粒子径が2~8μmであることが好ましい。
上記のトナーを製造する方法としては、特に制限されないが、たとえば、通常の粉砕法や、分散媒中で作製する湿式溶融球形化法や、懸濁重合、分散重合、乳化重合凝集法等の既知の重合法などが挙げられる。
また、トナー粒子には、外添剤として、平均粒子径10~300nm程度のシリカおよびチタニア等の無機粒子、平均粒子径0.2~3μm程度の研磨剤等を適宜添加することができる。
トナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
トナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄などの強磁性金属、強磁性金属とアルミニウムおよび鉛などとの合金、フェライトおよびマグネタイトなどの強磁性金属の化合物など、従来公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライトが好ましい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
また、本発明の電子写真感光体を用いた上記構成の画像形成装置には、滑剤を本発明の電子写真感光体の表面から除去する滑剤除去手段が設けられてもよい。具体的には、たとえば感光体1Yの回転方向において、クリーニング手段6Yの下流側かつ帯電手段2Yの上流側に滑剤供給手段(図示せず)が設けられ、さらに当該滑剤供給手段の下流側かつ帯電手段2Yの上流側に滑剤除去手段が配置されて、画像形成装置が構成される。
滑剤除去手段は、除去部材が感光体1Y表面に接触し、機械的作用によって滑剤を除去する手段であることが好ましく、ブラシローラーや発泡ローラーなどの除去部材を用いることができる。
すなわち、上記した画像形成方法においては、滑剤除去工程をさらに有してもよい。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われた。また、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「質量%」および「質量部」を意味する。
(数平均一次粒径の測定)
各種フィラー、粒子の数平均一次粒径は、以下のようにして測定した。まず、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製)により撮影された試料(フィラー等)の10000倍の拡大写真をスキャナーに取り込んだ。次いで、得られた写真画像から、凝集フィラー又は凝集粒子を除く300個のフィラー像又は粒子像を、ランダムに自動画像処理解析システム ルーゼックス(登録商標)AP ソフトウエアVer.1.32(株式会社ニレコ製)を使用して2値化処理して当該フィラー像又は粒子像のそれぞれの水平方向フェレ径を算出した。そして、当該フィラー像又は粒子像のそれぞれの水平方向フェレ径の平均値を算出して数平均一次粒径とした。この際、第1及び第2のフィラーの数平均一次粒径の測定は、表面処理剤由来の化学種(被覆層)を含まない、第1のフィラー及び第2のフィラー(それぞれの上記フィラーを単に「母体」ともいう)について行った。
<比誘電率の測定方法>
内径25mm、厚さ50mmの円筒状の成形金型に入れた試料(各種フィラー)に、金型上部から400kgfの荷重を1分間かけて、直径25mm、厚さ1.5±0.5mmの円盤状の測定試料に成型した。この測定試料をプレシジョンLCRメータE4980A(アジレント・テクノロジー社製)を用いて、1MHz、23℃、50%RH環境下にて、比誘電率εの測定を行った。
<合成例1:複合粒子(コア-シェル粒子;C-1)の作製>
図2に示す製造装置を用い、硫酸バリウム芯材(コア粒子)の表面に酸化スズの外殻(シェル)が形成されてなる複合粒子(C-1)を作製した。
具体的には、母液槽41中に純水3500cmを投入し、次に数平均一次粒径が80nmである球状の硫酸バリウム芯材900gを投入して、5パス循環させた。母液槽41から流出するスラリーの流速は、2280cm/minであった。また、強分散装置43の撹拌速度を16000rpmとした。循環完了後のスラリーを純水で全量9000cmにメスアップし、そこに1600gのスズ酸ナトリウム及び2.3cmの水酸化ナトリウム水溶液(濃度25N)を投入して、5パス循環させた。このようにして母液を得た。
この母液を、母液槽41から流出する流速S1が200cmとなるように循環させながら、強分散装置43としてのホモジナイザー「magic LAB(登録商標)」(IKAジャパン株式会社製)に20%硫酸を供給した。供給速度S3を9.2cm/minとした。ホモジナイザーの容積は20cm、撹拌速度は16000rpmであった。循環を15分間行い、その間硫酸を連続的にホモジナイザーに供給した。このようにして、硫酸バリウム芯材の表面に酸化スズの被覆層が形成された粒子を含むスラリーを得た。
得られたスラリーを、その導電率が600μS/cm以下となるまでリパルプ洗浄した後、ヌッチェ濾過を行い、ケーキを得た。このケーキを大気中、150℃で10時間乾燥させた。次いで、乾燥ケーキを粉砕し、その粉砕粉を1体積%H/N雰囲気下で450℃、45分間還元焼成した。これによって、硫酸バリウム芯材の表面に酸化スズの外殻(シェル)が形成されてなる、数平均一次粒径が100nmである複合粒子(C-1)を作製した。
ここで、図2に示す製造装置において、符号42および44は、母液槽41と強分散装置43との間の循環路を形成する循環配管を、符号45および46は、循環配管42および44にそれぞれ設けられたポンプを、符号41aは攪拌翼を、符号43aは攪拌部を、符号41bおよび43bはシャフトを、符号41cおよび43cはモーターを、それぞれ示す。
<合成例2:導電性を有する第1のフィラー(CF-1)の作製>
メタノール40mLに母体としての酸化スズ(数平均一次粒径:100nm)20gを加え、USホモジナイサーを用いて120分間分散させた。次いで、反応性表面処理剤として3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製の「KBM503」)1gおよびトルエン40mLを加え、2時間撹拌した。エバポレーターによって溶剤を除去した後、120℃で1時間加熱することにより、反応性表面処理剤で表面処理が施された、重合性基を有する導電性を有する第1のフィラーを得た。
上記で得られた重合性基を有する導電性を有する第1のフィラー10gを、2-ブタノール100mLに加え、USホモジナイザーを用いて60分間分散させた。次いで、シリコーン主鎖の側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤(信越化学工業株式会社製の「KF-9908」)0.3gを加えて、さらに60分間、USホモジナイザーを用いて分散を行った。分散後、溶剤を室温下で揮発させ、80℃で60分間乾燥させることにより、反応性表面処理剤および側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤で表面処理が施された、導電性を有する第1のフィラー(CF-1)を作製した。
<合成例3~5:導電性を有する第1のフィラー(CF-2)~(CF-4)の作製>
合成例2の反応性表面処理剤および側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤で表面処理が施された導電性を有する第1のフィラー(CF-1)の作製において、母体と表面処理剤を下記表1のように変更した以外は、合成例2と同様にして、反応性表面処理剤および側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤で表面処理が施された、導電性を有する第1のフィラー(CF-2)~(CF-4)を作製した。
<合成例6:導電性を有する第1のフィラー(CF-5)の作製>
2-ブタノール20mLに母体として合成例1で作製した複合粒子(C-1)10gを加え、USホモジナイサーを用いて60分間分散させた。次いで、シリコーン主鎖の側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤(信越化学工業株式会社製の「KF-9908」)0.3gを加えて、さらに60分間、USホモジナイザーを用いて分散を行った。分散後、溶剤を室温下で揮発させ、80℃で60分間乾燥させることにより、反応性表面処理剤および側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤で表面処理が施された、導電性を有する第1のフィラー(CF-5)を作製した。
<合成例7:導電性を有する第1のフィラー(CF-6)の作製>
メタノール40mLに母体として合成例1で作製した複合粒子(C-1)20gを加え、USホモジナイサーを用いて120分間分散させた。次いで、反応性表面処理剤として3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製の「KBM503」)1gおよびトルエン40mLを加え、室温で2時間撹拌した。エバポレーターによって溶剤を除去した後、120℃で1時間加熱することにより、反応性表面処理剤で表面処理が施された(重合性基を有する)、導電性を有する第1のフィラー(CF-6)を作製した。導電性を有する第1のフィラー(CF-6)は、側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤で表面処理が施されていない。
<合成例8:導電性を有する第1のフィラー(CF-7)の作製>
合成例4の導電性を有する第1のフィラー(CF-3)の作製において、シリコーン主鎖の側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤(信越化学工業株式会社製の「KF-9908」)の代わりに、直鎖型のメチルハイドロジェンシリコーンオイル(信越化学工業株式会社製の「KF-99」)を用いた以外は、合成例4と同様にして、導電性を有する第1のフィラー(CF-7)を作製した。導電性を有する第1のフィラー(CF-7)は、側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤で表面処理が施されていない。
導電性を有する第1のフィラー(CF-1)~(CF-7)の構成を、下記表1に示す。
Figure 0007155864000005
表1中の表面処理剤の「KP-574」は、ポリ(メタ)アクリレート主鎖(アクリル主鎖)の側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤(信越化学工業株式会社製)である。
<合成例9:第2のフィラー(SF-1)の作製>
2-ブタノール20mLに母体としてのシリカ(数平均一次粒径:100nm)10gを加え、USホモジナイサーを用いて60分間分散させた。次いで、シリコーン主鎖の側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤(信越化学工業株式会社製の「KF-9908」)0.3gを加えて、さらに60分間、USホモジナイザーを用いて分散を行った。分散後、溶剤を室温下で揮発させ、80℃で60分間乾燥させることにより、側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤による表面処理が施された、第2のフィラー(SF-1)を作製した。
<合成例10:第2のフィラー(SF-2)の作製>
メタノール40mLに母体としてのシリカ(数平均一次粒径:100nm)20gを加え、USホモジナイサーを用いて120分間分散させた。次いで、反応性表面処理剤として3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製の「KBM503」)1gおよびトルエン40mLを加え、室温で2時間撹拌した。エバポレーターによって溶剤を除去した後、120℃で1時間加熱することにより、反応性表面処理剤で表面処理が施された、重合性基を有する第2のフィラー(SF-2)を作製した。
<合成例11:第2のフィラー(SF-3)の作製>
合成例10で作製した第2のフィラー(SF-2)10gを、2-ブタノール100mLに加え、USホモジナイザーを用いて60分間分散させた。次いで、シリコーン主鎖の側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤(信越化学工業株式会社製の「KF-9908」)0.3gを加えて、さらに60分間、USホモジナイザーを用いて分散を行った。分散後、溶剤を室温下で揮発させ、80℃で60分間乾燥させることにより、反応性表面処理剤および側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤で表面処理が施された、重合性基を有する第2のフィラー(SF-3)を作製した。
<合成例12:第2のフィラー(SF-4)の作製>
合成例11の第2のフィラー(SF-3)の作製において、シリコーン主鎖の側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤(信越化学工業株式会社製の「KF-9908」)の代わりに、アクリル主鎖の側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤(信越化学工業株式会社製の「KP-574」)を用いた以外は、合成例11と同様にして、第2のフィラー(SF-4)を作製した。
<合成例13:第2のフィラー(SF-5)の作製>
合成例9の第2のフィラー(SF-1)の作製において、母体として、シリカ(数平均一次粒径:100nm)の代わりに、シリカ(数平均一次粒径:500nm)を用いた以外は、合成例9と同様にして、第2のフィラー(SF-5)を作製した。
第2のフィラー(SF-1)~(SF-5)の構成を、下記表2に示す。
Figure 0007155864000006
<実施例1:感光体1の作製>
(1)導電性支持体の準備
円筒形アルミニウム支持体の表面を切削加工し、導電性支持体を準備した。
(2)中間層の作製
下記成分を下記の分量で混合し、分散機としてサンドミルを用いて、バッチ式で10時間の分散を行い、中間層形成用塗布液を調製した。当該塗布液を浸漬塗布法によって導電性支持体の表面に塗布し、110℃で20分間乾燥し、膜厚2μmの中間層を導電性支持体上に形成した。なお、ポリアミド樹脂としてX1010(ダイセル・エボニック株式会社製)を使用し、酸化チタン粒子としてSMT500SAS(テイカ株式会社製、数平均一次粒径:0.035μm)を使用した。
ポリアミド樹脂 10質量部
酸化チタン粒子 11質量部
エタノール 200質量部。
(3)電荷発生層の作製
下記成分を下記の分量で混合し、循環式超音波ホモジナイザー(RUS-600TCVP;株式会社日本精機製作所製)を用いて、19.5kHz、600Wにて循環流量40L/時間で0.5時間にわたって分散することにより、電荷発生層形成用塗布液を調製した。当該塗布液を浸漬塗布法によって中間層の表面に塗布し、乾燥させて、膜厚0.3μmの電荷発生層を中間層上に形成した。なお、電荷発生物質は、Cu-Kα特性X線回折スペクトル測定で8.3°、24.7°、25.1°、26.5°に明確なピークを有するチタニルフタロシアニンおよび(2R,3R)-2,3-ブタンジオールの1:1付加体と、未付加のチタニルフタロシアニンとの混晶を使用した。また、ポリビニルブチラール樹脂としてエスレック(登録商標)BL-1(積水化学工業株式会社製)を使用した。また、混合溶媒として、3-メチル-2-ブタノン/シクロヘキサノン=4/1(体積比)を使用した。
電荷発生物質 24質量部
ポリビニルブチラール樹脂 12質量部
混合溶媒 400質量部。
(4)電荷輸送層の作製
下記成分を下記の分量で混合した電荷輸送層形成用塗布液を、浸漬塗布法によって電荷発生層の表面に塗布し、120℃で70分間乾燥することにより、膜厚24μmの電荷輸送層を電荷輸送層上に形成した。なお、ポリカーボネート樹脂としてユーピロン(登録商標)Z300(三菱ガス化学株式会社製、ビスフェノールZ型ポリカーボネート)を使用した。また、酸化防止剤として、IRGANOX(登録商標)1010(BASFジャパン株式会社製)を使用した。
下記構造式1で表される電荷輸送物質 60質量部
ポリカーボネート樹脂 100質量部
酸化防止剤 4質量部。
Figure 0007155864000007
(5)最外層の作製
下記成分を下記の分量で混合した最外層形成用塗布液を、電荷輸送層の表面に、円形スライドホッパー塗布機を用いて塗布した。次いで、塗布された塗布液の膜に、メタルハライドランプを用いて紫外線(主波長:365nm)を1分間照射して(紫外線照度:16mW/cm、積算光量:960mJ/cm)、当該膜を硬化させることにより、膜厚5.0μmの最外層を電荷輸送層上に形成した。これにより、感光体1を作製した。なお、重合開始剤は、IRGACURE(登録商標)819(BASFジャパン株式会社製)を使用した。
重合性モノマー(上記化学式M2で表される化合物) 100質量部
導電性を有する第1のフィラー(CF-1) 80質量部
第2のフィラー(SF-3) 20質量部
重合開始剤 10質量部
2-ブタノール 400質量部。
<実施例2~11及び比較例1~4:感光体2~15の作製>
実施例1の感光体1の作製において、最外層の導電性を有する第1のフィラー及び第2のフィラーの種類を下記表3に示すように変更した以外は、感光体1と同様にして、感光体2~15を作製した。表3の「第2のフィラー」の欄において「SiO」は、第2のフィラー(SF-1)に用いた母体のシリカ(数平均一次粒径=0.1μm;比誘電率3.8)であり、「PTFE」は、四フッ化エチレン樹脂(数平均一次粒径:0.3μm、比誘電率2.1)であり、「メラミン」は、メラミン樹脂(数平均一次粒径:0.1μm、比誘電率7.6)である。
<比較例5:感光体16の作製>
実施例9の感光体9の作製において、最外層の重合性モノマー(上記化学式M2で表される化合物)の代わりに、ポリカーボネート樹脂としてユーピロン(登録商標)Z300(三菱ガス化学株式会社製、ビスフェノールZ型ポリカーボネート)を用い、2-ブタノールの代わりに、THF(テトラヒドロフラン)を用い、また、紫外線照射の代わりに熱乾燥(120℃で60分間)したこと以外は、感光体9と同様にして、感光体16を作製した。
<比較例6:感光体17の作製>
比較例5の感光体16の作製において、最外層の導電性を有する第1のフィラー(CF-5)80質量部及び第2のフィラー(SF-1)20質量部の代わりに、第2のフィラー(SF-1)及び(SF-5)を各50質量部ずつ用いた以外は、感光体16と同様にして、感光体17を作製した。
感光体1~17の最外層の構成を、下記表3に示す。
Figure 0007155864000008
[評価]
<メモリ耐性>
メモリ耐性は、以下のように実施した。
・10℃、15%RH、図3の画像 初期の感光体の1回転目と2回転目との濃度差評価(初期のメモリ耐性評価)

・23℃、50%RH、図4のベタ画像 耐久実験;10万枚連続印刷

・10℃、15%RH、図3の画像 耐久実験後の感光体の1回転目と2回転目との濃度差評価(耐久後のメモリ耐性評価)。
詳しくは、フルカラー印刷機(bizhub PRESS(登録商標) C1070:コニカミノルタ株式会社製)を線速500mm/secに改造した装置を用いて、得られた感光体をブラック位置に配置し評価を行った。
初期のメモリ耐性評価は、10℃、15%RH環境下で、図3に示す画像を転写材「PODグロスコート(A3サイズ、100g/m)」(王子製紙株式会社製)上に形成し、感光体の1回転目に相当する画像部と、感光体の2回転目に相当する画像部との濃度差を測定して評価した。
次に、耐久実験は、23℃、50%RH環境下で、図4に示すカバレッジ10%の縦帯状ベタ画像からなるテスト画像をA4横送りにおいて10万枚連続印刷した。
耐久後のメモリ耐性評価は、10℃、15%RH環境下で図3に示す画像を転写材「PODグロスコート(A3サイズ、100g/m)」(王子製紙株式会社製)上に形成し、耐久実験後の感光体の1回転目に相当する画像部と、耐久実験後の感光体の2回転目に相当する画像部との濃度差を測定して評価した。
耐久実験の前後(初期、耐久後)の濃度差の測定は、透過濃度計(マクベス社製TD-904)で行った。また、耐久実験の前後(初期、耐久後)の各メモリ耐性評価は、いずれも濃度の差によって5段階のランクで評価基準を設定した。ここではランクA~Cを合格とし、ランクD~Eを不合格とした。
-メモリ耐性の評価基準-
A:濃度差≦0.02
B:0.02<濃度差≦0.05
C:0.05<濃度差≦0.10
D:0.10<濃度差≦0.15(実用上問題あり)
E:0.15<濃度差(実用上問題あり)。
<細線再現性>
細線再現性は、以下のように実施した。
・30℃、85%RH、図5の画像 初期の感光体による1枚目の複写画像の線幅を原稿画像の線幅と比較して評価(初期の細線再現性評価)

・23℃、50%RH、図4のベタ画像 耐久実験;10万枚連続印刷

・30℃、85%RH、図5の画像 耐久実験後の感光体による1枚目の複写画像の線幅を原稿画像の線幅と比較して評価(耐久後の細線再現性評価)。
詳しくは、フルカラー印刷機(bizhub PRESS(登録商標) C1070:コニカミノルタ株式会社製)を線速500mm/secに改造した装置を用いて、得られた感光体をブラック位置に配置し評価を行った。
初期の細線再現性評価は、30℃、85%RH環境下で、初期の感光体により、図5に示す1ドットの線を有する画像を原稿画像としてこれを転写材「PODグロスコート(A3サイズ、100g/m)」(王子製紙株式会社製)上に複写し、複写画像の線幅を原稿画像の線幅と比較して、初期の細線再現性を評価した。
次に、耐久実験は、23℃、50%RH環境下で、図4に示すカバレッジ10%の縦帯状ベタ画像からなるテスト画像をA4横送りにおいて10万枚連続印刷した。
耐久後の細線再現性評価は、30℃、85%RH環境下で、耐久実験後の感光体により、図5に示す1ドットの線を有する画像を原稿画像としてこれを転写材「PODグロスコート(A3サイズ、100g/m)」(王子製紙株式会社製)上に複写し、複写画像の線幅を原稿画像の線幅と比較して、耐久後の細線再現性を評価した。
耐久実験の前後(初期、耐久後)の各細線再現性は、いずれも複写画像の線幅を原稿画像の線幅の比較によって5段階のランクで評価基準を設定した。ここではランクA~Cを合格とし、ランクD~Eを不合格とした。
-細線再現性の評価基準-
A:いずれの黒線が途切れず一定の線幅で形成されている(非常に優れている)
B:斜めの黒線の線幅が一部細くなったり乱れたりしているが途切れてはいない(優れている)
C:縦または横の黒線の線幅が一部細くなったり乱れたりしているが途切れてはいない(実用上問題ない)
D:黒線の途切れている箇所が一部ある(実用上問題あり)
E:黒線が形成されていない(実用上問題あり)。
<耐傷性>
耐傷性は、以下のように実施した。
・23℃、50%RH、図4のベタ画像 耐久実験;10万枚連続印刷

・23℃、50%RH、ハーフトーン画像 耐久実験後の感光体表面の目視観察と、耐久実験後の感光体により転写材全面にハーフトーン画像を形成し評価(耐傷性評価)。
詳しくは、フルカラー印刷機(bizhub PRESS(登録商標) C1070:コニカミノルタ株式会社製)を線速500mm/secに改造した装置を用いて、得られた感光体をブラック位置に配置し評価を行った。
まず、耐久実験は、23℃、50%RH環境下で、図4に示すカバレッジ10%の縦帯状ベタ画像からなるテスト画像をA4横送りにおいて10万枚連続印刷した。
耐傷性評価は、23℃、50%RH環境下で、耐久実験後、感光体表面を目視で観察するとともに、感光体により転写材「PODグロスコート(A3サイズ、100g/m)」(王子製紙株式会社製)上の全面に透過濃度計での相対反射濃度が0.4の画像(ハーフトーン画像)を形成し評価を実施した。
耐久実験後の耐傷性は、感光体表面およびハーフトーン画像をそれぞれ目視によって4段階のランクで評価基準を設定した。ここではランクA~Cを合格とし、ランクDを不合格とした。
-耐傷性の評価基準-
A:電子写真感光体表面に目視でみられる傷の発生はなく、ハーフトーン画像にも感光体傷に対応する画像不良の発生は見あたらない。(良好)
B:電子写真感光体表面に目視で軽微な傷の発生が1~3か所あるが、ハーフトーン画像には感光体傷に対応する画像不良の発生は見あたらない。(実用上問題なし)
C:電子写真感光体表面に目視で軽微な傷の発生が4~6か所あるが、ハーフトーン画像には感光体傷に対応する画像不良の発生は見あたらない。(実用上問題なし)
D:電子写真感光体表面に目視で明確に傷の発生があり、ハーフトーン画像にも該傷に対応する画像不良の発生が認められる。(実用上問題あり)。
実施例1~11及び比較例1~6の感光体1~17を用いた各評価結果を、下記表4に示す。
Figure 0007155864000009
上記表4から明らかなように、本発明の実施例1~11の感光体を用いた画像形成装置による各評価実験は、比較例1~6の感光体を用いた画像形成装置による各評価実験に比して、耐久実験の前後(初期、耐久後)におけるメモリ耐性、細線再現性の両立ができ、かつ、耐久後の耐傷性も良好であることがわかった。
1Y、1M、1C、1Bk 電子写真感光体、
2Y、2M、2C、2Bk 帯電手段、
3Y、3M、3C、3Bk 露光手段、
4Y、4M、4C、4Bk 現像手段、
5Y、5M、5C、5Bk 一次転写ローラー(一次転写手段)、
5b 二次転写部(二次転写手段)、
6Y、6M、6C、6Bk、6b クリーニング手段、
7 中間転写体ユニット、
8、120 筐体、
10Y、10M、10C、10Bk 画像形成ユニット、
20 給紙カセット、
21 給紙手段、
22A、22B、22C、22D 中間ローラー、
23 レジストローラー、
24 定着手段、
25 排紙ローラー、
26 排紙トレイ、
41 母液槽、
41a 攪拌翼、
41b、43b シャフト、
41c、43c モーター、
42、44 循環配管、
43 強分散装置、
43a 攪拌部、
45、46 ポンプ、
70 中間転写体、
82R、82L 支持レール、
100 画像形成装置、
A 本体、
P 用紙、
SC 原稿画像読み取り装置。

Claims (7)

  1. 導電性支持体上に少なくとも感光層と最外層とを順次積層してなる電子写真感光体において、
    前記最外層が、重合性モノマーとフィラーとを含有する組成物の重合硬化物を含み、
    前記フィラーが、側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤で表面処理された導電性を有する第1のフィラーと、前記第1のフィラーよりも比誘電率が低く、かつ比誘電率が5以下である第2のフィラーとを含有することを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記第2のフィラーが、シリカで構成されたフィラーであることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤で表面処理された導電性を有する第1のフィラーが、重合性基由来の基を有することを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤が、アクリル主鎖から分岐したシリコーン側鎖を有するものであることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記側鎖にシリコーン鎖を有する表面処理剤が、シリコーン主鎖から分岐したシリコーン側鎖を有するものであることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  6. 前記導電性を有する第1のフィラーは、芯材の表面に導電性を有する金属酸化物が付着されてなる複合粒子であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体の表面を帯電させる帯電手段と、
    前記帯電手段により帯電された前記電子写真感光体を露光し静電潜像を形成する露光手段と、
    前記静電潜像が形成された前記電子写真感光体にトナーを供給してトナー像を形成する現像手段と、
    前記電子写真感光体上に形成されたトナー像を転写する転写手段と、
    前記電子写真感光体の表面に残存したトナーを除去するクリーニング手段と、
    を備える電子写真方式の画像形成装置。
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