JP2020055397A - マスタシリンダ - Google Patents
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Abstract
【課題】小型化が可能であり、内部における作動液の流れを改善することができるマスタシリンダを提供すること。【解決手段】マスタシリンダ2は、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23の先端部分に、第一位置にある場合にポート21a,21cと第一液圧室A及び第二液圧室Bとを連通し、第二位置にある場合に前方側シール部材213によりポート21a,21cと第一液圧室A及び第二液圧室Bとの連通が遮断されるように、複数の連通路223及び連通路233を有する。そして、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23が第二位置よりも前進した場合に、先端部分が第二マスタピストン23の突出部232、及び、シリンダ本体21の底部211に当接することを避けるようにストッパピン226及びストッパピン236を第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23に設けた。【選択図】図2
Description
本発明は、マスタシリンダに関する。
従来から、例えば、下記特許文献1に開示された制御付ブレーキシステム用マスタシリンダ(以下、単に「従来のマスタシリンダ」と称呼する。)が知られている。この従来のマスタシリンダは、ハウジングと、ハウジング内を移動可能な少なくとも一つのピストンと、ピストンを液圧室から密封するシール部材と、ピストンの先端に形成されていて液圧室と加圧されていないリザーバタンクとを接続可能な制御通路と、を備えている。
近年、車両においては、運転者によるブレーキ操作に拘わらず、自動的に車両を制動する自動ブレーキ機能が搭載される場合がある。この自動ブレーキ機能においては、マスタシリンダよりも下流側に設けられたポンプによってマスタシリンダの液圧室の作動液が吸引されて、吸引された作動液が加圧されて各車輪のホイールシリンダに供給される。このような自動ブレーキ機能においては、ポンプがマスタシリンダから作動液を速やかに且つ必要十分な量を吸引して、制動力を発生させる際の応答性を高める必要がある。
ところで、上記従来のマスタシリンダにおいては、ピストンの先端における外周面に制御通路(連通路)を形成するようになっており、その結果、ピストンの先端の断面積が減少することに伴って強度が低下する可能性がある。このため、例えば、作動液の交換作業等においてピストンが前進して、ピストンの先端がシリンダ本体の閉塞端に当接すると連通路の変形が生じる虞がある。このような変形を防止するために、例えば、ピストンの肉厚を大きくして強度を確保する場合には、マスタシリンダの大型化が懸念される。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。即ち、本発明の目的は、小型化が可能であり、内部における作動液の流れを改善することができるマスタシリンダを提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明に係るマスタシリンダは、一端が底部を有して閉塞し且つ他端が開口したシリンダ本体と、シリンダ本体の内部にシリンダ本体の軸線方向に沿って摺動可能に収容され、且つ、シリンダ本体の内周面と共に液圧室を区画する底壁部及び底壁部に連結された周壁部を有する有底筒状のマスタピストンと、シリンダ本体に設けられて、作動液を貯留するリザーバタンクに連通するポートと、マスタピストンの周壁部における先端部分とポートとの間に配置されて、シリンダ本体の内周面とマスタピストンの先端部分を含む外周面との間をシールするシール部材と、を備えたマスタシリンダであって、先端部分に、マスタピストンがシリンダ本体に対して第一位置にある場合にポートと液圧室とを連通し、マスタピストンがシリンダ本体に対して第一位置よりも前進した第二位置にある場合にシール部材によりポートと液圧室との連通が遮断されるように、軸線方向に沿って延設され、且つ、周壁部の周方向に沿って配置された複数の連通路を有し、マスタピストンが第二位置よりも前進した場合に、先端部分がシリンダ本体の内部に位置する被当接部に当接することを避けるように軸線方向に沿って突出した凸部をマスタピストン及びシリンダ本体の底部のうちの少なくとも一方に設けた。
これによれば、凸部は、マスタピストンが第二位置よりも前進して先端部分がシリンダ本体の内部に位置する被当接部に当接することを避けることができる。このため、先端部分が被当接部と当接して連通路が変形することを防止するために、マスタピストンの肉厚を大きくして強度を確保する必要がない。従って、マスタシリンダの小型化を達成すると共に、先端部分に設けられた連通路はマスタシリンダの内部における作動液の流れを改善することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、以下の実施形態及び各変形例の相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。又、説明に用いる各図は概念図であり、各部の形状は必ずしも厳密なものではない場合がある。
本実施形態における車両のブレーキ装置1は、図1に示すように、マスタシリンダ2、ブレーキブースタ3、ホイールシリンダ4、ブレーキアクチュエータ5及びリザーバタンク6を備えている。マスタシリンダ2は、後に詳述するように、シリンダ本体21、及び、マスタピストンとしての第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23と、を含んで構成されている。ブレーキブースタ3は、例えば、負圧式の倍力装置であり、運転者による踏力を倍力して第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23に伝達する。
ホイールシリンダ4は、各輪に設けられたホイールシリンダ41、ホイールシリンダ42、ホイールシリンダ43及びホイールシリンダ44から構成される。各ホイールシリンダ41〜44は、ブレーキアクチュエータ5(以下、単に「アクチュエータ5」とも称呼する。)を介して、マスタシリンダ2に接続されている。ホイールシリンダ41は、車両の左後輪RLに配置されている。ホイールシリンダ42は、車両の右後輪RRに配置されている。ホイールシリンダ43は、車両の左前輪FLに配置されている。ホイールシリンダ44は、車両の右前輪FRに配置されている。これにより、ホイールシリンダ4は、作動液としてのブレーキフルードがマスタシリンダ2又は後述するポンプによって加圧されてアクチュエータ5を介して供給されると、左後輪RL、右後輪RR、左前輪FL及び右前輪FRに制動力を発生させる。
アクチュエータ5は、詳細な図示を省略するが、各ホイールシリンダ41〜44に対応して設けられた管路、電磁弁及び逆止弁等を有している。これにより、アクチュエータ5は、図示を省略する制御装置(マイクロコンピュータ)によって電磁弁が連通状態又は遮断状態に切替制御されると、マスタシリンダ2によって加圧されたブレーキフルードを各ホイールシリンダ41〜44に供給したり、内蔵するポンプによって加圧されたブレーキフルードを調圧して各ホイールシリンダ41〜44に供給したりする。尚、アクチュエータ5の作動については、本発明に直接関係しないので、その詳細な説明を省略する。
車両のブレーキ装置1においては、運転者がブレーキペダル7を踏み込むと、マスタシリンダ2に気密的に連結された負圧式のブレーキブースタ3により踏力が倍力され、シリンダ本体21内の第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23が押圧される。押圧された第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23は、例えば、車両前後方向(軸線方向)にて前方に向けて前進し、それぞれ、マスタシリンダ2(より詳しくはシリンダ本体21)の内部にリザーバタンク6から供給されたブレーキフルードを加圧する。これにより、マスタシリンダ2においては、マスタシリンダ圧が発生し、マスタシリンダ圧がアクチュエータ5を介して各ホイールシリンダ41〜44に供給(伝達)される。
又、車両のブレーキ装置1においては、例えば、自動ブレーキ機能の作動時や、走行中又は制動時の車両の挙動を修正するために、アクチュエータ5に内蔵したポンプを作動させる。これにより、ポンプは、例えば、自動ブレーキ機能の作動時においては、マスタシリンダ2を介してリザーバタンク6に貯留されているブレーキフルードを吸引し、吸引したブレーキフルードを加圧してポンプ圧を発生させる。そして、ポンプ圧は、アクチュエータ5によって調圧されて、各ホイールシリンダ41〜44に供給(伝達)される。
(1.マスタシリンダ2の構成の詳細)
マスタシリンダ2は、図2に示すように、マスタピストンである第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23を摺動可能に収容するシリンダ本体21を備えている。シリンダ本体21は、一端が被当接部としての底部211を有して閉塞し且つ他端が開口した有底筒状(中空状)のシリンダである。シリンダ本体21の開口側には、ブレーキブースタ3が気密的に連結される(図1を参照)。
マスタシリンダ2は、図2に示すように、マスタピストンである第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23を摺動可能に収容するシリンダ本体21を備えている。シリンダ本体21は、一端が被当接部としての底部211を有して閉塞し且つ他端が開口した有底筒状(中空状)のシリンダである。シリンダ本体21の開口側には、ブレーキブースタ3が気密的に連結される(図1を参照)。
ここで、以下の説明では、シリンダ本体21の軸線方向即ち車両前後方向において、シリンダ本体21の底部211側を「前方」とし、シリンダ本体21の開口側を「後方」とする。又、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23は、ブレーキペダル7が操作されていない場合にはマスタシリンダ2(シリンダ本体21)に対して原位置から前進していない「第一位置」にある。更に、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23は、ブレーキペダル7が操作された場合には第一位置から前進した「第二位置」にある。
図2に示すように、シリンダ本体21の内周面212には、周方向に沿って形成された収容溝212aが、シリンダ本体21の軸線方向に沿って第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23のそれぞれに対応して二つずつ、計四つ設けられている。尚、以下の説明において、特に区別する場合、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23のそれぞれに対して前方側の収容溝212aを「前方側収容溝212a」と称呼し、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23のそれぞれに対して後方側の収容溝212aを「後方側収容溝212a」と称呼する。
前方側収容溝212aには、シール部材である前方側シール部材213が収容される。又、後方側収容溝212aには、後方側シール部材214が収容される。前方側シール部材213及び後方側シール部材214は、弾性部材(例えば、ゴム材料)から形成されており、例えば、一側が開放された断面形状としてU字状のカップシールである。前方側シール部材213及び後方側シール部材214の外周縁は、収容溝212aの底面(内周面)と当接する。
前方側シール部材213の内周縁は、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23が第一位置にある場合には、後述する連通路223及び連通路233とガイド部224及びガイド部234と接続路225及び接続路235とが形成される先端部分における外周面と当接する。これにより、前方側シール部材213は、後述するように、連通路223,233を介したブレーキフルードの流動を許容する。
又、前方側シール部材213の内周縁は、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23が第二位置にある場合には、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23の先端部分よりも後方の外周面と当接する。これにより、前方側シール部材213は、連通路223,233を介したブレーキフルードの流動を禁止する。
後方側シール部材214の内周縁は、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23の第一位置及び第二位置に拘わらず、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23の先端部分よりも後方の外周面と当接する。従って、後方側シール部材214は、常に、ブレーキフルードの流動を禁止する。
第一マスタピストン22は、ブレーキブースタ3に気密的に連結されており、シリンダ本体21の内部にて同軸的且つ軸線方向(即ち、車両前後方向)に沿って前進及び後進可能に配置されている。第一マスタピストン22は、本体部221と、突出部222と、連通路223と、ガイド部224と、接続路225と、凸部としてのストッパピン226と、から構成されている。
本体部221は、前方に位置する先端が開口する有底筒状(中空状)に形成されており、後方に設けられた底壁部221aと、底壁部221aに連結された周壁部221bと、から構成されている。突出部222は、本体部221の底壁部221aの端面から後方に突出した円筒状の部分である。突出部222は、ブレーキブースタ3の内部に気密的に収容されている。突出部222の後方端部は、ブレーキブースタ3の図示を省略する入力部材と当接して押圧されるようになっている。
連通路223は、図3に示すように、本体部221の先端にて周方向に沿って複数設けられている。連通路223は、軸線方向(即ち、車両前後方向)に沿って溝状に形成されている。連通路223の軸線方向(即ち、車両前後方向)にて後方の基端223aは、第一マスタピストン22が第一位置にある場合において、図3にて破線により示す前方側シール部材213の内周縁におけるシール線よりも後方となるように形成される。又、連通路223の軸線方向(即ち、車両前後方向)にて前方の先端223bは、前方側シール部材213のシール線よりも前方となるように形成される。尚、基端223aは、第一マスタピストン22が第二位置にある場合において、前方側シール部材213のシール線よりも前方となる。
ガイド部224は、図3に示すように、第一マスタピストン22の本体部221の外径と同一の外径を有しており、本体部221の先端まで延設されている。これにより、ガイド部224は、前進又は後進する第一マスタピストン22の先端をシリンダ本体21の内周面212に対して案内する。ガイド部224は、周方向に沿って離間して、即ち、複数(図3にて二つ)の連通路223を挟むように形成される。
接続路225は、複数(図3にて二つ)の連通路223を先端223bにて連通し、連通路223同士を接続するものである。接続路225は、第一マスタピストン22の本体部221の外径よりも小径で本体部221の先端にて周方向に沿って形成されており、ガイド部224によって区画されている。
凸部としてのストッパピン226は、図2に示すように、第一マスタピストン22の本体部221の内部にて、軸線方向(即ち、車両前後方向)に沿って延設されている。ストッパピン226は、図2に示すように、第一マスタピストン22の本体部221の先端が被当接部としての第二マスタピストン23の突出部232の端面と当接するよりも先に(或いは、同時に)、先端面226aが第二マスタピストン23の底壁部231aに当接する長さとされている。即ち、ストッパピン226は、先端面226aが本体部221の先端を含む平面よりも少なくとも突出するようになっている。本実施形態において、ストッパピン226は、第一マスタピストン22とは別体として設けられており、本体部221の底壁部221aに対して一体に固定される。尚、ストッパピン226を第一マスタピストン22の底壁部221aに一体に形成しても良い。
又、ストッパピン226は、スリーブ部材227を軸線方向(即ち、車両前後方向)に沿って相対移動可能とすると共にスリーブ部材227の前方への抜けを防止する大径の係止部226bを有している。スリーブ部材227は、ストッパピン226(又は、底壁部221a)と共にスプリング228を伸縮可能に保持するものである。
スプリング228は、本体部221の周壁部221bの内部とストッパピン226の外周との間に収容されている。スプリング228は、一端がストッパピン226の基端側に設けられるフランジ部に(又は、底壁部221a)に当接し、且つ、他端が第二マスタピストン23(より詳しくは、後述する底壁部231a)の後方に当接するスリーブ部材227のフランジ部に当接するように収容されている。スプリング228は、後述する第一液圧室Aの液圧を増大させるように軸線方向(即ち、車両前後方向)に沿って前進した第一マスタピストン22を軸線方向(即ち、車両前後方向)に沿って後退させるように付勢力を付与する。
第二マスタピストン23は、シリンダ本体21の内部において、第一マスタピストン22よりも前方にて同軸的且つ軸線方向(即ち、車両前後方向)に沿って前進及び後進可能に配置されている。第二マスタピストン23は、本体部231と、突出部232と、連通路233と、ガイド部234と、接続路235と、凸部としてのストッパピン236と、から構成されている。本体部231は、シリンダ本体21の底部211に対向する先端が開口する有底筒状(中空状)に形成されており、後方に設けられた底壁部231aと、底壁部231aに連結された周壁部231bと、から構成されている。突出部232は、本体部231の底壁部231aの端面から後方即ち第一マスタピストン22に向けて突出した円筒状の部分である。
連通路233は、図3に示すように、本体部231の先端にて周方向に沿って複数設けられている。連通路233は、軸線方向(即ち、車両前後方向)に沿って溝状に形成されている。連通路233の軸線方向(即ち、車両前後方向)にて後方の基端233aは、第二マスタピストン23が第一位置にある場合において、図3にて破線により示す前方側シール部材213の内周縁におけるシール線よりも後方となるように形成される。又、連通路233の軸線方向(即ち、車両前後方向)にて前方の先端233bは、前方側シール部材213のシール線よりも前方となるように形成される。尚、基端233aは、第二マスタピストン23が第二位置にある場合において、前方側シール部材213のシール線よりも前方となる。
ガイド部234は、図3に示すように、第二マスタピストン23の本体部231の外径と同一の外径を有しており、本体部231の先端まで延設されている。これにより、ガイド部234は、前進又は後進する第二マスタピストン23の先端をシリンダ本体21の内周面212に対して案内する。ガイド部234は、周方向に沿って離間して、即ち、複数(図3にて二つ)の連通路233を挟むように形成される。
接続路235は、複数(図3にて二つ)の連通路233を先端233bにて連通し、連通路233同士を接続するものである。接続路235は、第二マスタピストン23の本体部231の外径よりも小径で本体部231の先端にて周方向に沿って形成されており、ガイド部234によって区画されている。
凸部としてのストッパピン236は、図2に示すように、第二マスタピストン23の本体部231の内部にて、軸線方向(即ち、車両前後方向)に沿って延設されている。ストッパピン236は、図2に示すように、第二マスタピストン23の本体部231の先端が被当接部であるシリンダ本体21の底部211と当接するよりも先に(或いは、同時に)、先端面236aが底部211に当接する長さとされている。即ち、ストッパピン236は、先端面236aが本体部231の先端を含む平面よりも少なくとも面一となるように、好ましくは、突出するようになっている。本実施形態において、ストッパピン236は、第二マスタピストン23とは別体として設けられており、本体部231の底壁部231aに対して一体に固定される。尚、ストッパピン236を第二マスタピストン23の底壁部231aに一体に形成しても良い。
本体部231の周壁部231bの内部には、スプリング237が収容されている。スプリング237は、一端が第二マスタピストン23の底壁部231aに当接し、且つ、他端がシリンダ本体21の底部211に当接するように収容されている。スプリング237は、後述する第二液圧室Bの液圧を増大させるように軸線方向(即ち、車両前後方向)に沿って前進した第二マスタピストン23を軸線方向(即ち、車両前後方向)に沿って後退させるように付勢力を付与する。
ここで、第一マスタピストン22の本体部221を形成する底壁部221a及び周壁部221bの内面と、シリンダ本体21の内周面212と、第一マスタピストン22に対応する前方側シール部材213と、第二マスタピストン23を形成する底壁部231a及び突出部232の内面と、第二マスタピストン23に対応する後方側シール部材214と、によって「第一液圧室A」が区画される。又、第二マスタピストン23の本体部231を形成する底壁部231a及び周壁部231bの内面と、シリンダ本体21の内周面212及び底部211と、第二マスタピストン23に対応する前方側シール部材213と、によって「第二液圧室B」が区画される。
マスタシリンダ2のシリンダ本体21には、内部と外部とを連通するポート21a、ポート21b、ポート21c及びポート21dが形成されている。以下、各ポート21a〜ポート21dを具体的に説明する。
ポート21aは、図2に示すように、第一マスタピストン22に対応する前方側シール部材213及び後方側シール部材214の間に形成されており、リザーバタンク6とシリンダ本体21の内部とを連通している。そして、ポート21aは、第一マスタピストン22に形成された連通路223及び接続路225を介して第一液圧室Aに連通可能となっている。ポート21bは、第一液圧室Aとアクチュエータ5(図1を参照)とを連通する。
ポート21cは、図2に示すように、第二マスタピストン23に対応する前方側シール部材213及び後方側シール部材214の間に形成されており、リザーバタンク6とシリンダ本体21の内部とを連通している。そして、ポート21cは、第二マスタピストン23に形成された連通路233及び接続路235を介して第二液圧室Bに連通可能となっている。ポート21dは、第二液圧室Bとアクチュエータ5(図1を参照)とを連通する。
(2.マスタシリンダ2の作動について)
次に、マスタシリンダ2の作動について具体的に説明する。車両のブレーキ装置1が自動ブレーキ機能により作動する場合、アクチュエータ5に内蔵されたポンプは、第一液圧室A及び第二液圧室Bに存在しているブレーキフルードを吸引する。そして、ポンプはブレーキフルードをポンプ圧まで加圧し、アクチュエータ5が調圧して各ホイールシリンダ41〜44に供給(伝達)する。これにより、各ホイールシリンダ41〜44は、それぞれ、対応する車輪RL〜FRに制動力を発生させる。
次に、マスタシリンダ2の作動について具体的に説明する。車両のブレーキ装置1が自動ブレーキ機能により作動する場合、アクチュエータ5に内蔵されたポンプは、第一液圧室A及び第二液圧室Bに存在しているブレーキフルードを吸引する。そして、ポンプはブレーキフルードをポンプ圧まで加圧し、アクチュエータ5が調圧して各ホイールシリンダ41〜44に供給(伝達)する。これにより、各ホイールシリンダ41〜44は、それぞれ、対応する車輪RL〜FRに制動力を発生させる。
このように、マスタシリンダ2の下流側に配置されたポンプがブレーキフルードを吸引すると、第一液圧室A及び第二液圧室Bの液圧は基準液圧よりも低下し、例えば、負圧になる。ところで、自動ブレーキ機能によってポンプが作動する場合、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23は、第一位置(原位置)にある。第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23が第一位置にある場合、図3に示すように、連通路223の基端223a及び連通路233の基端233aは、前方側シール部材213のシール線(図3にて破線により示す)よりも後方に位置する。即ち、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23が第一位置にある場合には、連通路223はポート21aを介してリザーバタンク6と連通し、連通路233はポート21cを介してリザーバタンク6と連通している。
又、本実施形態においては、二つの連通路223のそれぞれの先端223bは一つの接続路225によって接続され、二つの連通路233のそれぞれの先端233bは一つの接続路235によって接続される。これにより、二つの連通路223に流入したブレーキフルードは、第一マスタピストン22の本体部221の先端にて周方向に沿って設けられた接続路225を流路端として第一液圧室Aに流れる。同様に、二つの連通路233に流入したブレーキフルードは、第二マスタピストン23の本体部231の先端にて周方向に沿って設けられた接続路235を流路端として第二液圧室Bに流れる。
即ち、二つの連通路223が接続路225によって接続されることにより、リザーバタンク6から第一液圧室Aにブレーキフルードが流れるときの流路断面積は接続路225の周方向に沿った長さに比例して大きくなる。同様に、二つの連通路233が接続路235によって接続されることにより、リザーバタンク6から第二液圧室Bにブレーキフルードが流れるときの流路断面積は接続路235の周方向に沿った長さに比例して大きくなる。
これにより、自動ブレーキ機能によりポンプがマスタシリンダ2の第一液圧室A及び第二液圧室Bからブレーキフルードを吸引することにより、連通路223,233及び接続路225,235を介して、リザーバタンク6からブレーキフルードが必要十分な量だけスムーズに流入する。従って、ポンプは必要十分な量のブレーキフルードを速やかに吸引してポンプ圧を増圧することができる。その結果、各ホイールシリンダ41〜44は、供給(伝達)されたポンプ圧に応じた制動力を各車輪RL〜FRに応答性良く発生させることができる。
ここで、ブレーキペダル7が踏み込み操作される通常ブレーキ時においては、運転者によるブレーキペダル7に対する踏力及びブレーキブースタ3による倍力によって、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23が第一位置から第二位置に前進する。そして、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23が第二位置にある場合には、連通路223の基端223a及び連通路233の基端233aは、図3にて一点鎖線により示す前方側シール部材213のシール線よりも前方に位置する。その結果、前方側シール部材213は、内周縁が全周にわたり第一マスタピストン22の本体部221の外周面及び第二マスタピストン23の本体部231の外周面に接触してシールする。従って、連通路223とポート21aとの連通及び連通路233とポート21cとの連通が遮断されるため、即ち、第一液圧室Aとリザーバタンク6との連通及び第二液圧室Bとリザーバタンク6との連通が遮断されるため、第一液圧室A及び第二液圧室Bの液圧が基準液圧よりも増大する。
これにより、第一液圧室A及び第二液圧室Bの液圧は、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23の前進に伴う体積の減少によって増大した状態、即ち、マスタシリンダ圧で適切に維持される。その結果、各ホイールシリンダ41〜44は、供給(伝達)されたマスタシリンダ圧に応じた制動力を車輪RL〜FRに発生させることができる。
ところで、車両のブレーキ装置1のメンテナンス作業において、例えば、ブレーキフルードを交換した場合にマスタシリンダ2や配管の内部に圧縮性の空気が混入すると、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23が第二位置を超えて更に前進する場合がある。第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23が第二位置を超えて前進した場合、第一マスタピストン22は被当接部として第二マスタピストン23の突出部232(或いは、底壁部231a)と当接する虞があり、第二マスタピストン23は被当接部としてシリンダ本体21の底部211と当接する虞がある。
上述したように、第一マスタピストン22においては、本体部221(周壁部221b)の先端部分に連通路223及び接続路225が設けられ、第二マスタピストン23においては、本体部231(周壁部231b)の先端部分に連通路233及び接続路235が設けられている。これにより、本体部221(周壁部221b)の先端部分及び本体部231(周壁部231b)の先端部分の強度は、連通路223,233及び接続路225,235を設けない場合に比べて、低下する。
従って、第一マスタピストン22が被当接部である突出部232(或いは、底壁部231a)に当接したり、第二マスタピストン23が被当接部である底部211と当接したりすると、連通路223,233及び接続路225,235が変形する虞がある。連通路223,233及び接続路225,235が変形した場合、ブレーキフルードの第一液圧室A及び第二液圧室Bへのスムーズな流れが阻害される可能性がある。
そこで、本実施形態においては、第一マスタピストン22の本体部221にストッパピン226が設けられ、第二マスタピストン23の本体部231にストッパピン236が設けられる。ストッパピン226の先端面である先端面226aは、第一マスタピストン22の本体部221の先端を含む平面から軸線方向に沿って突出している。このため、本体部221の先端部分が被当接部である突出部232(或いは、底壁部231a)に当接するまでに又は当接と同時に、ストッパピン226の先端面226aは第二マスタピストン23の底壁部231aに当接する。
又、ストッパピン236の先端面である先端面236aは、第二マスタピストン23の本体部231の先端を含む平面と面一又は先端を含む平面よりも軸線方向に沿って突出している。このため、本体部231の先端部分が被当接部であるシリンダ本体21の底部211に当接するまでに又は当接と同時に、ストッパピン236の先端面236aは底部211に当接する。
ストッパピン226及びストッパピン236は、柱状であり、十分な座屈強度を有している。このため、ストッパピン226が底壁部231aに当接した場合でも変形しにくく、その結果、第一マスタピストン22の本体部221の先端部分が突出部232(或いは、底壁部231a)に当接することが避けられる(防止される)。従って、連通路223及び接続路225の変形が防止されると共にガイド部224の変形も防止され、ポンプが吸引した場合には、連通路223及び接続路225を介してブレーキフルードが第一液圧室Aにスムーズに流れる。尚、仮に、ストッパピン226の先端面226aが第一マスタピストン22の本体部221の先端を含む平面から軸線方向に沿って突出していない状況が生じた場合であっても、第一マスタピストン22の本体部221の先端部分の若干の変形が生じることにより直ちにストッパピン226の先端面226aが底壁部231aに当接して先端部分がより変形することを抑制することができる。
又、同様に、ストッパピン236が底部211に当接した場合でも変形しにくく、その結果、第二マスタピストン23の本体部231の先端部分が底部211に当接することが避けられる(防止される)。従って、連通路233及び接続路235の変形が防止されると共にガイド部234の変形も防止され、ポンプが吸引した場合には、連通路233及び接続路235を介してブレーキフルードが第二液圧室Bにスムーズに流れる。尚、仮に、ストッパピン236の先端面236aが第二マスタピストン23の本体部231の先端を含む平面から軸線方向に沿って突出していない状況が生じた場合であっても、第二マスタピストン23の本体部231の先端部分の若干の変形が生じることにより直ちにストッパピン236の先端面236aが底部211に当接して先端部分がより変形することを抑制することができる。
以上の説明からも理解できるように、上記実施形態のマスタシリンダ2は、シリンダ本体21と、シリンダ本体21の内部にてシリンダ本体21の軸線方向(車両前後方向)に沿って摺動可能に収容されたマスタピストンとしての第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23と、を備える、シリンダ本体21は、一端が底部211を有して閉塞し且つ他端が開口する。第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23は、シリンダ本体21の内周面212と共に液圧室である第一液圧室A及び第二液圧室Bを区画する底壁部221a、底壁部231a及び底壁部221a,231aに連結された周壁部221b、周壁部231bを有する有底筒状である。又、マスタシリンダ2は、シリンダ本体21に設けられて、作動液であるブレーキフルードを貯留するリザーバタンク6に連通するポート21a及びポート21cと、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23の周壁部221b、231bにおける先端部分とポート21a,21cとの間に配置されて、シリンダ本体21の内周面212と第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23の先端部分を含む外周面との間をシールするシール部材である前方側シール部材213と、を備える。
そして、マスタシリンダ2は、第一マスタピストン22(本体部221)及び第二マスタピストン23(本体部231)の先端部分に、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23がシリンダ本体21に対して第一位置にある場合にポート21a,21cと第一液圧室A及び第二液圧室Bとを連通し、第一マスタピストン22(本体部221)及び第二マスタピストン23(本体部231)がシリンダ本体21に対して第一位置よりも前進した第二位置にある場合に前方側シール部材213によりポート21a,21cと第一液圧室A及び第二液圧室Bとの連通が遮断されるように、軸線方向に沿って延設され、且つ、周壁部221b,231bの周方向に沿って配置された複数の連通路223及び連通路233を有し、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23が第二位置よりも前進した場合に、先端部分がシリンダ本体21の内部に位置する被当接部である第二マスタピストン23の突出部232(或いは、底壁部231a)、及び、シリンダ本体21の底部211に当接することを避けるように軸線方向に沿って突出した凸部としてのストッパピン226及びストッパピン236を第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23に設けた。
この場合、ストッパピン226,236は、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23の周壁部221b,231bの内部に位置し、且つ、ストッパピン226,236の先端面226a,236aが周壁部221b,231bの先端を含む平面から、軸線方向に沿って突出するように第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23の底壁部221a,231aから軸線方向に沿って延設されており、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23が第二位置よりも前進した場合に底部211に当接可能に設けられる。
これらによれば、ストッパピン226,236は、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23が第二位置よりも前進して先端部分がシリンダ本体21の内部に位置する被当接部である突出部232(或いは、底壁部231a)及び底部211に当接することを避けることができる。このため、先端部分が突出部232(或いは、底壁部231a)及び底部211と当接して連通路223,233が変形することを防止するために、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23の本体部221,231(周壁部221b,231b)の肉厚を大きくして強度を確保する必要がない。従って、マスタシリンダ2の小型化を達成すると共に、先端部分に設けられた連通路223,233はマスタシリンダ2の内部における作動液の流れを改善することができる。
又、これらの場合、例えば、ストッパピン226は、前進した第一マスタピストン22を軸線方向に沿って後進させるように付勢力を付与する弾性部材としてのスプリング228を保持するスリーブ部材227を第一マスタピストン22に対して相対移動可能に係止する大径の係止部226bを有する。
これによれば、スリーブ部材227を係止するために別部品を設ける必要がなく、マスタシリンダ2の構成を簡略化することができる。又、マスタシリンダ2の構成を簡略化することにより、マスタシリンダ2の製造コストを低減することも可能となる。
(3.第一変形例)
上記実施形態においては、第一マスタピストン22にストッパピン226を設け、第二マスタピストン23にストッパピン236を設けるようにした。これに代えて、図4に示すように、ストッパピン226を第二マスタピストン23の底壁部231aに固定して設けると共に、ストッパピン236をシリンダ本体21の底部211に固定して設けることも可能である。尚、ストッパピン226を第二マスタピストン23の底壁部231aに一体に形成しても良いし、ストッパピン236をシリンダ本体21の底部211に一体に形成しても良い。
上記実施形態においては、第一マスタピストン22にストッパピン226を設け、第二マスタピストン23にストッパピン236を設けるようにした。これに代えて、図4に示すように、ストッパピン226を第二マスタピストン23の底壁部231aに固定して設けると共に、ストッパピン236をシリンダ本体21の底部211に固定して設けることも可能である。尚、ストッパピン226を第二マスタピストン23の底壁部231aに一体に形成しても良いし、ストッパピン236をシリンダ本体21の底部211に一体に形成しても良い。
この第一変形例においても、ストッパピン226は、第一マスタピストン22が第二位置よりも前進した場合には先端面226aが第一マスタピストン22の底壁部221aと当接し、第一マスタピストン22の先端部分が被当接部である第二マスタピストン23の突出部232(或いは、底壁部231a)に当接することを避ける(防止する)ことができる。又、同様に、ストッパピン236は、第二マスタピストン23が第二位置よりも前進した場合には先端面236aが第二マスタピストン23の底壁部231aと当接し、第二マスタピストン23の先端部分が被当接部であるシリンダ本体21の底部211に当接することを避ける(防止する)ことができる。従って、この第一変形例においても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
(4.第二変形例)
上記実施形態及び上記第一変形例においては、例えば、ストッパピン236を一本の凸部として構成した。これに代えて、図5に示すように、例えば、ストッパピン236を第二マスタピストン23の周壁部231bの内部に設けられて、底壁部231aから突出する突起としてのストッパピン部材238と、シリンダ本体21の底部211に設けられてストッパピン部材238と当接する凸部としてのストッパピン部材239と、から構成することも可能である。この第二変形例においては、ストッパピン部材238及びストッパピン部材239は第二マスタピストン23が第二位置よりも前進した場合に互いに当接する。これにより、第二マスタピストン23の先端部分が被当接部であるシリンダ本体21の底部211に当接することを避ける(防止する)ことができる。従って、この第二変形例においても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
上記実施形態及び上記第一変形例においては、例えば、ストッパピン236を一本の凸部として構成した。これに代えて、図5に示すように、例えば、ストッパピン236を第二マスタピストン23の周壁部231bの内部に設けられて、底壁部231aから突出する突起としてのストッパピン部材238と、シリンダ本体21の底部211に設けられてストッパピン部材238と当接する凸部としてのストッパピン部材239と、から構成することも可能である。この第二変形例においては、ストッパピン部材238及びストッパピン部材239は第二マスタピストン23が第二位置よりも前進した場合に互いに当接する。これにより、第二マスタピストン23の先端部分が被当接部であるシリンダ本体21の底部211に当接することを避ける(防止する)ことができる。従って、この第二変形例においても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
尚、ストッパピン226が、図5に示すように、第二マスタピストン23の周壁部231bに第一マスタピストン22に向けて突出するように設けられ突起と当接するように、構成することも可能である。更に、図示を省略するが、第一マスタピストンに設けられたストッパピン226を、上述したように第二マスタピストン23に設けられたストッパピン236と同様に構成することも可能である。即ち、この場合、図5に示した第二マスタピストン23と同様に、凸部としてのストッパピンは、第二マスタピストン23の底壁部231aから軸線方向に沿って第一マスタピストン22に向けて延設されていて、第一マスタピストン22が第二位置よりも前進した場合に第一マスタピストン22の底壁部221aから軸線方向に沿って第二マスタピストン23に向けて突出した突起としてのストッパピン部材に当接可能に設けられる。
(5.第三変形例)
上記実施形態においては、第一マスタピストン22がガイド部224を有すると共に第二マスタピストン23がガイド部234を有するように構成した。これに代えて、例えば、第一液圧室A及び第二液圧室Bへのブレーキフルードの流入量を増加させる必要がある場合には、図6に示すように、ガイド部224及びガイド部234の少なくとも一方を省略して構成することも可能である。
上記実施形態においては、第一マスタピストン22がガイド部224を有すると共に第二マスタピストン23がガイド部234を有するように構成した。これに代えて、例えば、第一液圧室A及び第二液圧室Bへのブレーキフルードの流入量を増加させる必要がある場合には、図6に示すように、ガイド部224及びガイド部234の少なくとも一方を省略して構成することも可能である。
この場合、ガイド部224,234の省略に伴い、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23が前進又は後進した場合、前方側シール部材213の支持が不安定になる虞がある。このため、例えば、上記実施形態における連通路223の基端223a及び連通路233の基端233aの位置に比べて、第一変形例における連通路223の基端223a及び連通路233の基端233aの位置をより後方とすることが可能である。
これにより、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23が第一位置にある場合において、前方側シール部材213が本体部221の周壁部221b及び本体部231の周壁部231bの外周面によって支持されるため、前方側シール部材213を適切に支持することができる。尚、この第一変形例においては、本体部221の周壁部221b及び本体部231の周壁部231bの外周面によって、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23が支持される。従って、この第一変形例においても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
(6.第四変形例)
上記実施形態及び上記各変形例においては、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23の先端部分に接続路225及び接続路235を設けるようにした。これに代えて、図7及び図8に示すように、接続路225及び接続路235を省略することも可能である。この場合、図8に示すように、連通路223,233を切り欠きとして設けることも可能である。このように、接続路225及び接続路235を省略し、又、連通路223,233を切り欠きとして設ける場合であっても、上記実施形態及び上記各変形例と同様の効果が得られる。
上記実施形態及び上記各変形例においては、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23の先端部分に接続路225及び接続路235を設けるようにした。これに代えて、図7及び図8に示すように、接続路225及び接続路235を省略することも可能である。この場合、図8に示すように、連通路223,233を切り欠きとして設けることも可能である。このように、接続路225及び接続路235を省略し、又、連通路223,233を切り欠きとして設ける場合であっても、上記実施形態及び上記各変形例と同様の効果が得られる。
本発明の実施にあたっては、上記実施形態及び上記各変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態においては、ストッパピン226,236を一本設けるようにした。しかしながら、ストッパピン226,236の数については一本に限定されるものではなく、必要に応じて複数本のストッパピン226,236を設けることも可能である。
又、上記実施形態及び上記各変形例においては、互いに隣接する二つの連通路223及び連通路233を接続するように接続路225及び接続路235を設けるようにした。この場合、接続路225及び接続路235が接続する連通路223及び連通路233の数は、二つに限定されることはなく、接続路225及び接続路235が三つ以上の複数の連通路223及び連通路233を接続するように構成することも可能である。この場合、ガイド部224及びガイド部234の数が減少するが、少なくとも、周方向に沿って四つ以上のガイド部224及びガイド部234を設けることにより、上記実施形態及び上記各変形例と同様の効果が期待できる。
更に、上記実施形態及び上記各変形例においては、連通路223及び連通路233を第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23の周方向に沿って等間隔となるように複数設けるようにした。これに代えて、連通路223及び連通路233を周方向に沿って不連続に複数設けることも可能である。
1…車両のブレーキ装置、2…マスタシリンダ、21…シリンダ本体、21a〜21d…ポート、211…底部(被当接部)、212…内周面、212a…収容溝、213…前方側シール部材(シール部材)、214…後方側シール部材(シール部材)、22…第一マスタピストン(マスタピストン)、221…本体部、221a…底壁部、221b…周壁部、222…突出部、223…連通路、223a…基端、223b…先端、224…ガイド部、225…接続路、226…ストッパピン(凸部)、226a…先端面、226b…係止部、227…スリーブ部材、228…スプリング(弾性部材)、23…第二マスタピストン(マスタピストン)、231…本体部、231a…底壁部、231b…周壁部(被当接部)、232…突出部、233…連通路、233a…基端、233b…先端、234…ガイド部、235…接続路、236…ストッパピン(凸部)、236a…先端面、237…スプリング、238…ストッパピン部材(突起)、239…ストッパピン部材(凸部)、3…ブレーキブースタ、4…ホイールシリンダ、41〜44…ホイールシリンダ、5…ブレーキアクチュエータ、6…リザーバタンク、7…ブレーキペダル、A…第一液圧室(液圧室)、B…第二液圧室(液圧室)
Claims (8)
- 一端が底部を有して閉塞し且つ他端が開口したシリンダ本体と、
前記シリンダ本体の内部に前記シリンダ本体の軸線方向に沿って摺動可能に収容され、且つ、前記シリンダ本体の内周面と共に液圧室を区画する底壁部及び前記底壁部に連結された周壁部を有する有底筒状のマスタピストンと、
前記シリンダ本体に設けられて、作動液を貯留するリザーバタンクに連通するポートと、
前記マスタピストンの前記周壁部における先端部分と前記ポートとの間に配置されて、前記シリンダ本体の内周面と前記マスタピストンの前記先端部分を含む外周面との間をシールするシール部材と、を備えたマスタシリンダであって、
前記先端部分に、前記マスタピストンが前記シリンダ本体に対して第一位置にある場合に前記ポートと前記液圧室とを連通し、前記マスタピストンが前記シリンダ本体に対して前記第一位置よりも前進した第二位置にある場合に前記シール部材により前記ポートと前記液圧室との連通が遮断されるように、前記軸線方向に沿って延設され、且つ、前記周壁部の周方向に沿って配置された複数の連通路を有し、
前記マスタピストンが前記第二位置よりも前進した場合に、前記先端部分が前記シリンダ本体の内部に位置する被当接部に当接することを避けるように前記軸線方向に沿って突出した凸部を前記マスタピストン及び前記シリンダ本体の前記底部のうちの少なくとも一方に設けた、マスタシリンダ。 - 前記被当接部は、前記シリンダ本体の前記底部であり、
前記凸部は、
前記マスタピストンの前記周壁部の内部に位置し、且つ、先端面が前記周壁部の先端を含む平面から前記軸線方向に沿って突出するように前記マスタピストンの前記底壁部から前記軸線方向に沿って延設されており、前記マスタピストンが前記第二位置よりも前進した場合に前記底部に当接可能に設けられた、請求項1に記載のマスタシリンダ。 - 前記被当接部は、前記シリンダ本体の前記底部であり、
前記凸部は、
前記シリンダ本体の前記底部から前記軸線方向に沿って延設されていて、前記マスタピストンが前記第二位置よりも前進した場合に前記底壁部から前記軸線方向に沿って突出した突起に当接可能に設けられた、請求項1に記載のマスタシリンダ。 - 前記マスタピストンは、
前記シリンダ本体の前記内部に配置された第一マスタピストン及び前記第一マスタピストンよりも前記軸線方向にて前方に同軸的に配置された第二マスタピストンから構成されており、
前記第一マスタピストンの前記被当接部は、前記第二マスタピストンであり、
前記凸部は、
先端面が前記第一マスタピストンに前記周壁部の先端を含む平面から前記軸線方向に沿って突出するように前記第一マスタピストンの前記底壁部から前記軸線方向に沿って前記第二マスタピストンに向けて延設されており、前記第一マスタピストンが前記第二位置よりも前進した場合に前記第二マスタピストンの前記底壁部に当接可能に設けられた、請求項1に記載のマスタシリンダ。 - 前記マスタピストンは、
前記シリンダ本体の前記内部に配置された第一マスタピストン及び前記第一マスタピストンよりも前記軸線方向にて前方に同軸的に配置された第二マスタピストンから構成されており、
前記第一マスタピストンの前記被当接部は、前記第二マスタピストンであり、
前記凸部は、
前記第二マスタピストンの前記底壁部から前記軸線方向に沿って前記第一マスタピストンに向けて延設されていて、前記第一マスタピストンが前記第二位置よりも前進した場合に前記第一マスタピストンの前記底壁部から前記軸線方向に沿って前記第二マスタピストンに向けて突出した突起に当接可能に設けられた、請求項1に記載のマスタシリンダ。 - 前記凸部は、
前進した前記マスタピストンを前記軸線方向に沿って後進させるように付勢力を付与する弾性部材を保持するスリーブ部材を前記マスタピストンに対して相対移動可能に係止する係止部を有する、請求項1に記載のマスタシリンダ。 - 前記先端部分に、前記周方向に沿って延設されて前記複数の前記連通路を接続する接続路を有する、請求項1乃至請求項6のうちの何れか一項に記載のマスタシリンダ。
- 二つ以上の前記連通路ごとに前記周方向に沿って配置されていて、前記接続路を前記周方向に沿って区画すると共に、前記第一位置にて前記シール部材を支持し、前記第二位置にて前記先端部分の前記外周面を前記シリンダ本体の前記内周面に対して案内するガイド部を有する、請求項7に記載のマスタシリンダ。
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