JP2020019332A - マスタシリンダ - Google Patents

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Abstract

【課題】リザーバタンクとの間の作動液の流れを改善することができるマスタシリンダを提供すること。【解決手段】マスタシリンダ2は、シリンダ本体21と、第一液圧室A及び第二液圧室Bをそれぞれ区画する第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23と、リザーバタンク6に連通するポート21a及びポート21cと、収容溝211a,211b,212a,212bに収容されたシール部材213〜216と、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23に設けられた第一通路225,235及び第二通路226,236と、第一マスタピストン22に収容されて第一液圧室Aと第二通路226との連通及び遮断を切り替える弁機構227と、第二マスタピストン23に収容されて第二液圧室Bと第二通路236との連通及び遮断を切り替える弁機構237と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、マスタシリンダに関する。
従来から、例えば、下記特許文献1の開示されたマスタシリンダが知られている。この従来のマスタシリンダは、シリンダ本体と、シリンダ本体に挿入されて液圧室を区画するピストンと、作動液を蓄えるリザーバに連通するようにシリンダ本体に設けられた連通路と、液圧室と常時連通するとともに連通路と液圧室とを連通するリリーフポートと、弾性変形容易部分と弾性変形困難部分とを有してシリンダ本体の内周面の凹部に収容されてシリンダ本体の内周面とピストンの外周面との間をシールするシール部材と、を備えている。
特許第5112784号公報
上記従来のマスタシリンダにおいては、液圧室の液圧が低下すると、図9にて太線矢印により示すように、シール部材の弾性変形容易部分が弾性変形することにより凹部とシール部材との隙間(流路)を介して、リザーバ(リザーバタンク)から作動液が液圧室に供給される。又、上記従来のマスタシリンダにおいては、マスタピストンに形成されたリリーフポートを介してリザーバタンクから作動液が液圧室に供給される。
ところで、近年、車両においては、運転者によるブレーキ操作に拘わらず、自動的に車両を制動する自動ブレーキ機能が搭載される場合がある。この自動ブレーキ機能においては、マスタシリンダよりも下流側に設けられたポンプによってマスタシリンダの液圧室の作動液が吸引されて、吸引された作動液が加圧されて各車輪のホイールシリンダに供給される。このような自動ブレーキ機能においては、ポンプがマスタシリンダから作動液を速やかに且つ必要十分な量を吸引して、制動力を発生させる際の応答性を高める必要がある。
一方、運転者によるブレーキ操作に応じて車両を制動する通常ブレーキにおいては、マスタシリンダよりも下流側(例えば、ホイールシリンダ等)からの作動液の戻りが遅くマスタシリンダ内が負圧になったときにリザーバタンクからマスタシリンダに作動液をスムーズに流入させて、ブレーキ操作フィーリングの向上を図る必要がある。このようなブレーキ操作フィーリングの向上を達成するにあたっては、例えば、マスタシリンダの内周面に連通溝等を形成したり、上記従来のマスタシリンダのシール部材のように弾性変形容易部分を有する等の工夫を施したりする必要がある。このように、マスタシリンダにおいては、リザーバタンクと液圧室との間における作動液の流れを改善することが望まれている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。即ち、本発明の目的は、リザーバタンクとの間の作動液の流れを改善することができるマスタシリンダ及び車両のブレーキ装置を提供することにある。
上記の課題を解決するため、請求項1に係るマスタシリンダの発明は、シリンダ本体と、シリンダ本体の内部にシリンダ本体の軸線方向に沿って摺動可能に収容され、且つ、液圧室を区画する底壁部及び底壁部に連結された周壁部を有する有底筒状のマスタピストンと、シリンダ本体に設けられて、作動液を貯留するリザーバタンクに連通するポートと、ポートに隣接するようにポートから軸線方向に沿って前後に離間してシリンダ本体の内周面に設けられた凹状の収容溝に収容されて、収容溝の内周面とマスタピストンの外周面との間をシールする第一シール部材及び第二シール部材と、マスタピストンの周壁部を貫通して設けられて、少なくとも第一シール部材及び第二シール部材の間に位置した状態で液圧室とポートとを連通する第一通路と、を備えたマスタシリンダであって、マスタピストンの第一通路から軸線方向に沿って離間して底壁部側に位置するように周壁部を貫通して設けられて、第一シール部材及び第二シール部材の間に位置した状態で液圧室とポートを介したリザーバタンクとを連通可能な第二通路と、マスタピストンに収容されて、液圧室と第二通路との連通及び遮断を切り替える弁機構と、を有し、弁機構は、液圧室における作動液の液圧が予め設定された基準液圧よりも低下した場合に、第二通路と液圧室との連通を許容し、液圧室における液圧が基準液圧以上となった場合に、第二通路と液圧室との連通を遮断するように構成される。
これによれば、シリンダ本体の内部にてマスタピストンによって区画される液圧室における作動液の液圧に応じて、弁機構は、液圧室と、第二通路、換言すれば、第二通路とポートを介して連通するリザーバタンクと、の連通を許容し、又は、連通を遮断することができる。即ち、弁機構は、液圧室における液圧が予め設定された基準液圧よりも低下した場合には液圧室と第二通路(リザーバタンク)との連通を許容し、液圧室における液圧が基準液圧以上の場合には液圧室と第二通路(リザーバタンク)との連通を遮断することができる。
これにより、液圧室の液圧が基準液圧よりも低下する場合、即ち、リザーバタンクから液圧室に作動液を流入させる場合には、弁機構が連通を許容するため、リザーバタンクから第二通路を介して液圧室に作動液が速やかに流入することができる。一方、液圧室の液圧が基準液圧以上の場合、即ち、液圧室からリザーバタンクに向けて作動液を流出させない場合には、弁機構が連通を遮断するため、液圧室から第二通路を介してリザーバタンクに作動液が流出することを抑制することができる。このように、第二通路及び弁機構を設けることにより、リザーバタンクと液圧室との間における作動液の流れを改善することができる。
その結果、マスタシリンダを車両のブレーキ装置に適用した場合において、自動ブレーキ機能によって車両のブレーキ装置のポンプがマスタシリンダの液圧室に存在する作動液を吸引する際、即ち、液圧室の液圧が基準液圧よりも低下した際には、速やかに且つ必要十分な量の作動液を吸引することができる。又、通常ブレーキ時に下流側からの作動液の戻りが遅く液圧室の液圧が基準液圧よりも低下した際にも、速やかに且つスムーズに作動液をリザーバタンクから液圧室に流入させることができる。従って、車両のブレーキ装置においては、自動ブレーキ機能作動時におけるポンプ圧をホイールシリンダに供給して制動力を発生させる際の応答性を高めることが可能となるとともに、通常ブレーキ時におけるブレーキ操作フィーリングの向上を達成することが可能となる。
本発明の実施形態に係るマスタシリンダが設けられるブレーキ装置の構成を示す図である。 図1のマスタシリンダの構成を示す断面図である。 図2の弁機構の構成を示す断面図である。 図2のマスタシリンダにおける弁機構が連通を許容する状態を説明するための断面図である。 図2のマスタシリンダにおける弁機構が連通を遮断する状態を説明するための断面図である。 本発明の第一変形例を示す断面図である。 本発明の第一変形例及び第二変形例に係る弁機構の構成を示す図である。 本発明の第二変形例に係るマスタシリンダを示す図である。 従来のマスタシリンダにおける作動液の流れを説明するための断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、以下の実施形態及び各変形例の相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。又、説明に用いる各図は概念図であり、各部の形状は必ずしも厳密なものではない場合がある。
本実施形態における車両のブレーキ装置1は、図1に示すように、マスタシリンダ2、ブレーキブースタ3、ホイールシリンダ4、ブレーキアクチュエータ5及びリザーバタンク6を備えている。マスタシリンダ2は、後に詳述するように、シリンダ本体21、及び、マスタピストンとしての第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23と、を含んで構成されている。ブレーキブースタ3は、例えば、負圧式の倍力装置であり、運転者による踏力を倍力して第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23に伝達する。
ホイールシリンダ4は、各輪に設けられたホイールシリンダ41、ホイールシリンダ42、ホイールシリンダ43及びホイールシリンダ44から構成される。各ホイールシリンダ41〜44は、ブレーキアクチュエータ5(以下、単に「アクチュエータ5」とも称呼する。)を介して、マスタシリンダ2に接続されている。ホイールシリンダ41は、車両の左後輪RLに配置されている。ホイールシリンダ42は、車両の右後輪RRに配置されている。ホイールシリンダ43は、車両の左前輪FLに配置されている。ホイールシリンダ44は、車両の右前輪FRに配置されている。これにより、各ホイールシリンダ41〜44は、作動液としてのブレーキフルードがマスタシリンダ2又は後述するポンプによって加圧されてアクチュエータ5を介して供給されると、左後輪RL、右後輪RR、左前輪FL及び右前輪FRに制動力を発生させる。
アクチュエータ5は、詳細な図示を省略するが、各ホイールシリンダ41〜44に対応して設けられた管路、電磁弁及び逆止弁等を有している。これにより、アクチュエータ5は、図示を省略する制御装置(マイクロコンピュータ)によって電磁弁が連通状態又は遮断状態に切替制御されると、マスタシリンダ2によって加圧されたブレーキフルードを各ホイールシリンダ41〜44に供給したり、内蔵するポンプによって加圧されたブレーキフルードを調圧して各ホイールシリンダ41〜44に供給したりする。尚、アクチュエータ5の作動については、本発明に直接関係しないので、その詳細な説明を省略する。
車両のブレーキ装置1においては、運転者がブレーキペダル7を踏み込むと、マスタシリンダ2に気密的に連結された負圧式のブレーキブースタ3により踏力が倍力され、後述するように、シリンダ本体21内の第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23が押圧される。押圧された第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23は、例えば、車両前後方向(軸線方向)にて前方に向けて前進し、それぞれ、マスタシリンダ2(より詳しくはシリンダ本体21)の内部にリザーバタンク6から供給されたブレーキフルードを加圧する。これにより、マスタシリンダ2においては、マスタシリンダ圧が発生し、マスタシリンダ圧がアクチュエータ5を介して各ホイールシリンダ41〜44に供給(伝達)される。
又、車両のブレーキ装置1においては、例えば、自動ブレーキ機能の作動時や、走行中又は制動時の車両の挙動を修正するために、アクチュエータ5に内蔵したポンプを作動させる。これにより、ポンプは、例えば、自動ブレーキ機能の作動時においては、マスタシリンダ2を介してリザーバタンク6からブレーキフルードを吸引し、吸引したブレーキフルードを加圧してポンプ圧を発生させる。そして、ポンプ圧は、アクチュエータ5によって調圧されて、各ホイールシリンダ41〜44に供給(伝達)される。
(1.マスタシリンダ2の構成の詳細)
マスタシリンダ2は、図2に示すように、マスタピストンである第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23を摺動可能に収容するシリンダ本体21を備えている。シリンダ本体21は、一端に開口を有し、他端に底面を有する有底筒状(中空状)のシリンダである。シリンダ本体21の開口側には、ブレーキブースタ3が気密的に連結される(図1を参照)。尚、以下の説明において、マスタシリンダ2については、シリンダ本体21の開口側を後方(例えば、車両前後方向において後方)、シリンダ本体21の底面側を前方(例えば、車両前後方向において前方)として説明する。
図2に示すように、シリンダ本体21の内部には、前後方向(即ち、軸線方向)において各々に隣接する部分よりも内径が小さい部分、換言すれば、シリンダ本体21の内周面において全周から内部方向に向けて突出している第一小径部分211と第二小径部分212とが設けられている。第二小径部分212は、第一小径部分211よりも前方側に位置している。
第一小径部分211には、第一シール部材としてのシール部材213及び第二シール部材としてのシール部材214がそれぞれに配置される二つの収容溝211a及び収容溝211bが形成されている。第二小径部分212には、第一シール部材としてのシール部材215及び第二シール部材としてのシール部材216がそれぞれ配置される二つの収容溝212a及び収容溝212bが形成されている。
シール部材213及びシール部材214は、弾性材料(例えば、ゴム材料)から形成されている。シール部材213及びシール部材214は、図2に示すように、それぞれ、一側が開放された断面形状がU字状のカップシールである。シール部材213及びシール部材214は、前後方向(即ち、軸線方向)にて前方側が開放端となるように、それぞれ収容溝211a及び収容溝211bの内周面に当接するように収容されている。
シール部材213は、収容溝211aの底面(内周面)と当接してシールする外周シール部213a及び第一マスタピストン22の外周面と当接してシールする内周シール部213bが接続部分によって連結されている。シール部材213においては、後述する第一液圧室Aの液圧が予め設定された基準液圧よりも低下して(例えば、負圧になって)リザーバタンク6から第一液圧室Aにブレーキフルードが供給される場合、外周シール部213aが内方に向けて倒れるように弾性変形する。
その結果、リザーバタンク6から供給されるブレーキフルードは、収容溝211aの底面とシール部材213の外周シール部213aとの間に形成される隙間(流路)を通って、第一液圧室Aに流れる。ここで、予め設定された基準液圧は、後述する弁機構227及び弁機構237の剛性を勘案して設定されるものであり、例えば、大気圧に設定される。
シール部材214は、収容溝211bの底面(内周面)と当接してシールする外周シール部214a及び第一マスタピストン22の外周面と当接してシールする内周シール部214bが接続部分によって連結されている。シール部材214は、ブレーキフルードがマスタシリンダ2からブレーキブースタ3に向けて流出することを防止する。
シール部材215及びシール部材216も、弾性材料(例えば、ゴム材料)から形成されている。シール部材215及びシール部材216は、図2に示すように、それぞれ、一側が開放された断面形状がU字状のカップシールである。シール部材215は、前後方向(即ち、軸線方向)にて前方側が開放端となるようにシリンダ本体21に設けられた収容溝212aの内周面に当接するように収容されている。シール部材216は、前後方向(即ち、軸線方向)にて後方側が開放端となるようにシリンダ本体21に設けられた収容溝212bの内周面に当接するように収容されている。
シール部材215は、収容溝212aの底面(内周面)と当接してシールする外周シール部215a及び第二マスタピストン23の外周面と当接してシールする内周シール部215bが接続部分によって連結されている。シール部材215においては、後述する第二液圧室Bの液圧が基準液圧よりも低下して(例えば、負圧になって)リザーバタンク6から第二液圧室Bにブレーキフルードが供給される場合、外周シール部215aが内方に向けて倒れるように弾性変形する。その結果、リザーバタンク6から供給されるブレーキフルードは、収容溝212aの底面とシール部材215の外周シール部215aとの間に形成される隙間(流路)を通って、第二液圧室Bに流れる。
シール部材216は、収容溝212bの底面(内周面)と当接してシールする外周シール部216a及び第二マスタピストン23の外周面と当接してシールする内周シール部216bが接続部分によって連結されている。シール部材216は、第一液圧室Aと第二液圧室Bとを液密に区画し、第一液圧室Aと第二液圧室Bとの間でブレーキフルードが流れることを防止する。
第一マスタピストン22は、シリンダ本体21の内部に前後方向(即ち、軸線方向)に沿って摺動可能に配置されている。第一マスタピストン22は、本体部221と、突出部222と、から構成されている。本体部221は、前方にて開口する有底筒状(中空状)に形成されており、後方に設けられた底壁部221aと、底壁部221aに連結された周壁部221bと、から構成されている。突出部222は、本体部221の底壁部221aの端面から後方に突出した円筒状の部分である。突出部222はブレーキブースタ3の内部に気密的に収容されており、突出部222の後方端部はブレーキブースタ3の図示を省略するパワーピストンと当接して押圧されるようになっている。
本体部221の周壁部221bの内部には、スプリング223が収容されている。スプリング223は、一端が第一マスタピストン22の底壁部221aに当接し、且つ、他端が第二マスタピストン23(より詳しくは、後述する底壁部231a)に当接するように収容されている。スプリング223は、第一液圧室Aの液圧を増大させるように軸線方向(即ち、車両前後方向)にそって前進した第一マスタピストン22を軸線方向(即ち、車両前後方向)に沿って後退させるように付勢する。
第二マスタピストン23は、シリンダ本体21の内部において、第一マスタピストン22の前方側にて同軸的且つ前後方向(即ち、軸線方向)に沿って摺動可能に配置されている。第二マスタピストン23は、本体部231と、突出部232と、から構成されている。本体部231は、前方にて開口する有底筒状(中空状)に形成されており、後方に設けられた底壁部231aと、底壁部231aに連結された周壁部231bと、から構成されている。突出部232は、本体部231の底壁部231aの端面から後方即ち第一マスタピストン22に向けて突出した円筒状の部分である。
本体部231の周壁部231bの内部には、スプリング233が収容されている。スプリング233は、一端が第二マスタピストン23の底壁部231aに当接し、且つ、他端がシリンダ本体21の底面に当接するように収容されている。スプリング233は、第二液圧室Bの液圧を増大させるように軸線方向(即ち、車両前後方向)に沿って前進した第二マスタピストン23を軸線方向(即ち、車両前後方向)に沿って後退させるように付勢する。
ここで、第一マスタピストン22の本体部221を形成する底壁部221a及び周壁部221bの内面と、シリンダ本体21の内周面と、シール部材213と、シール部材216と、によって「第一液圧室A」が区画される。又、第二マスタピストン23の本体部231を形成する底壁部231a及び周壁部231bの内面、シリンダ本体21の内周面及び内底面と、シール部材215と、によって「第二液圧室B」が区画される。
マスタシリンダ2のシリンダ本体21には、内部と外部とを連通するポート21a、ポート21b、ポート21c及びポート21dが形成されている。以下、各ポート21a〜ポート21dを具体的に説明する。
ポート21aは、前後方向(即ち、軸線方向)の前後に離間して配置されたシール部材213及びシール部材214の間に形成されており、リザーバタンク6とシリンダ本体21の内部とを連通させている。そして、ポート21aは、第一マスタピストン22に形成された第一通路225及び第二通路226を介して第一液圧室Aに連通可能となっている。ポート21bは、ポート21aよりも前方に設けられており、第一液圧室Aとアクチュエータ5(図1を参照)とを連通させている。
第一通路225は、第一マスタピストン22の本体部221を構成する周壁部221bを貫通するように設けられている。又、第一通路225は、例えば、周壁部221bの周方向に沿って等間隔となるように複数設けられている。更に、第一通路225は、第一マスタピストン22が前進していない状態であって第一液圧室Aの液圧を増大(加圧)しない初期位置にある状態において、前後方向(即ち、軸線方向)にてシール部材213の若干後方の位置に設けられている。
これにより、第一通路225は、第一マスタピストン22が前進した場合、ポート21aとの直接的な連通が分断されるようになっている。具体的に、第一通路235は、第一マスタピストン22が前進していない状態において、ポート21aに対して前後方向(即ち、軸線方向)にて後方に位置することにより、ポート21aと直接的に連通する。一方、第一通路225は、第一マスタピストン22が前進した状態において、ポート21aに対して前後方向(即ち、軸線方向)にて前方に位置することによってポート21aとの直接的な連通が分断される。
第二通路226は、前後方向(即ち、軸線方向)において第一通路225よりも後方側、換言すれば、第一通路225よりも軸線方向に沿って離間して第一マスタピストン22の底壁部221a側に位置するように、第一マスタピストン22の周壁部221bを貫通するように設けられている。又、第二通路226は、例えば、周壁部221bの周方向に沿って等間隔となるように複数設けられている。更に、第二通路226は、第一マスタピストン22が前進していない状態であって第一液圧室Aの液圧を増大(加圧)しない初期位置にある状態において、第一シール部材であるシール部材213と第二シール部材であるシール部材214との間であり、且つ、シール部材214側(シール部材214の若干前方)の位置に設けられる。
これにより、第二通路226は、第一マスタピストン22の前進如何に拘わらず、常にポート21aと連通可能な状態が維持されるようになっている。即ち、第二通路226は、第一マスタピストン22が前進してポート21aと第一通路225との直接的な連通が分断された状態においても、ポート21aと直接的に連通可能な状態が維持されるようになっている。
第二通路226は、第一マスタピストン22の本体部221を構成する周壁部221bの内部に配置された弁機構227により、第一液圧室Aとの連通状態と遮断状態とが切り替えられるようになっている。弁機構227は、図3に示すように、弾性材料(例えば、ゴム材料)から筒状に形成されており、少なくとも、第二通路226の周壁部221bの内部側即ち第一液圧室Aに臨む開口を覆うように、周壁部221bの内側且つスプリング223の外側に配置されている。又、弁機構227は、先端側、より具体的には第二通路226の開口を覆った状態において第二通路226の開口よりも前方側にて全周にわたり、外方に向けて突出する凸部227aを有している。
そして、弁機構227は、後述するように、第一液圧室Aにおける液圧が基準液圧よりも低下した状況(例えば、負圧になった状況)において、第一マスタピストン22の内方に向けて倒れるように弾性変形し、第二通路226の開口から離間する。これにより、弁機構227は、第一液圧室Aにおける液圧が低下した状況では第二通路226の開口を覆うことがなく、ポート21a側から周壁部221bの内部、即ち、リザーバタンク6から第一液圧室Aに向けたブレーキフルードの流れを許容する。
一方、弁機構227は、後述するように、第一液圧室Aにおける液圧が基準液圧又は基準液圧以上に増加した状況(大気圧以上になった状況)において、弾性復帰して第二通路226の開口を液密的に覆う。これにより、弁機構227は、周壁部221bの内部からポート21a側、即ち、第一液圧室Aからリザーバタンク6に向けたブレーキフルードの流れを禁止し、第一液圧室Aの液圧を維持する。つまり、弁機構227は、リザーバタンク6から第一液圧室Aに向けたブレーキフルードの流れのみを許容する、所謂、逆止弁としての機能を発揮する。
ポート21cは、図2、図4及び図5に示すように、前後方向(即ち、軸線方向)の前後に離間して配置されたシール部材215及びシール部材216の間に形成されており、リザーバタンク6とシリンダ本体21の内部とを連通させている。そして、ポート21cは、第二マスタピストン23に形成された第一通路235及び第二通路236を介して第二液圧室Bに連通可能となっている。ポート21dは、ポート21cよりも前方に設けられており、第二液圧室Bとアクチュエータ5(図1を参照)とを連通させている。
第一通路235は、第二マスタピストン23の本体部231を構成する周壁部231bを貫通するように設けられている。又、第一通路235は、例えば、周壁部231bの周方向に沿って等間隔となるように複数設けられている。更に、第一通路235は、第二マスタピストン23が前進していない状態であって第二液圧室Bの液圧を増大(加圧)しない初期位置にある状態において、前後方向(即ち、軸線方向)にてシール部材215の若干後方の位置に設けられている。
これにより、第一通路235は、第二マスタピストン23が前進した場合、ポート21cとの直接的な連通が分断されるようになっている。具体的に、第一通路235は、第二マスタピストン23が前進していない状態において、ポート21cに対して前後方向(即ち、軸線方向)にて後方に位置することにより、ポート21cと直接的に連通する。一方、第一通路235は、第二マスタピストン23が前進した状態において、ポート21cに対して前後方向(即ち、軸線方向)にて前方に位置することによってポート21cとの直接的な連通が分断される。
第二通路236は、前後方向(即ち、軸線方向)において第一通路235よりも後方側、換言すれば、第一通路235よりも軸線方向に沿って離間して第二マスタピストン23の底壁部231a側に位置するように、第二マスタピストン23の周壁部231bを貫通するように設けられている。又、第二通路236は、例えば、周壁部231bの周方向に沿って等間隔となるように複数設けられている。更に、第二通路236は、第二マスタピストン23が前進していない状態であって第二液圧室Bの液圧を増大(加圧)しない初期位置にある状態において、第一シール部材であるシール部材215と第二シール部材であるシール部材216との間であり、且つ、シール部材216側(シール部材216の若干前方)の位置に設けられる。
これにより、第二通路236は、第二マスタピストン23の前進如何に拘わらず、常にポート21cと連通可能な状態が維持されるようになっている。即ち、第二通路236は、第二マスタピストン23が前進してポート21cと第一通路235との直接的な連通が分断された状態においても、ポート21cと直接的に連通可能な状態が維持されるようになっている。
第二通路236は、第二マスタピストン23の本体部231を構成する周壁部231bの内部に配置された弁機構237により、第二液圧室Bとの連通状態と遮断状態とが切り替えられるようになっている。弁機構237も、図3に示すように、上述した弁機構227と同様に、弾性材料(例えば、ゴム材料)から筒状に形成されている。
そして、弁機構237は、少なくとも、第二通路236の周壁部231bの内部側即ち第二液圧室Bに臨む開口を覆うように、周壁部231bの内側且つスプリング233の外側に配置されている。又、図3に示すように、弁機構237も、上述した弁機構227と同様に、先端側、より具体的には第二通路236の開口を覆った状態において第二通路236の開口よりも前方側にて全周にわたり、外方に向けて突出する凸部237aを有している。尚、弁機構227と弁機構237とは、構成が同一であるが、軸線方向に沿った全長が異なるのみである。
弁機構237は、後述するように、第二液圧室Bにおける液圧が基準液圧よりも低下した状況(例えば、負圧になった状況)において、第二マスタピストン23の内方に向けて倒れるように弾性変形し、第二通路236の開口から離間する。これにより、弁機構237は、第二液圧室Bにおける液圧が低下した状況では第二通路236の開口を覆うことなく、ポート21c側から周壁部231bの内部、即ち、リザーバタンク6から第二液圧室Bに向けたブレーキフルードの流れを許容する。
一方、弁機構237は、後述するように、第二液圧室Bにおける液圧が増加した状況(大気圧以上になった状況)において、弾性復帰して第二通路236の開口を液密的に覆う。これにより、弁機構237は、周壁部231bの内部からポート21c側、即ち、第二液圧室Bからリザーバタンク6に向けたブレーキフルードの流れを禁止し、第二液圧室Bの液圧を維持する。つまり、弁機構237は、リザーバタンク6から第二液圧室Bに向けたブレーキフルードの流れのみを許容する、所謂、逆止弁としての機能を発揮する。
(2.マスタシリンダ2の作動について)
次に、マスタシリンダ2の作動について具体的に説明する。尚、上述したように、第一マスタピストン22、第一通路225、第二通路226及び弁機構227の構成と、第二マスタピストン23、第一通路235、第二通路236及び弁機構237の構成と、は同様である。従って、以下の説明においては、第二マスタピストン23、第一通路235、第二通路236及び弁機構237を例示して説明する。
車両のブレーキ装置1が自動ブレーキ機能により作動する場合、アクチュエータ5に内蔵されたポンプは、第一液圧室A及び第二液圧室Bに存在しているブレーキフルードを吸引する。そして、ポンプはブレーキフルードをポンプ圧まで加圧し、アクチュエータ5が調圧して各ホイールシリンダ41〜44に供給(伝達)する。これにより、各ホイールシリンダ41〜44は、それぞれ、対応する車輪RL〜FRに制動力を発生させる。
このように、ポンプがブレーキフルードを吸引すると、第一液圧室A及び第二液圧室Bの液圧は基準液圧よりも低下し、例えば、負圧になる。この場合、第二液圧室Bにおいては、シール部材215に対して負圧が作用し、外周シール部215aが弾性変形する。その結果、収容溝212aの底面と外周シール部215aとの間に隙間(流路)が生じる。従って、図4に太線矢印により示すように、基準液圧よりも低下して負圧になった第二液圧室Bに対して、リザーバタンク6からポート21cを介して供給されるブレーキフルードが隙間(流路)から流入する。
又、自動ブレーキ機能の作動時においては、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23は原則停止している。このため、基準液圧よりも低下して負圧になった第二液圧室Bに対して、図4にて太線矢印により示すように、リザーバタンク6からポート21cを介して供給されるブレーキフルードが第一通路235を通って流入する。
ここで、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23が前進した場合には、第一通路235は第一シール部材であるシール部材215よりも前方に移動する。しかしながら、この場合には、上述したように、シール部材215の外周シール部215a(シール部材213の外周シール部213a)が弾性変形し、収容溝212a(収容溝211a)の底面と外周シール部215a(外周シール部213a)との間に隙間(流路)が生じる。従って、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23が前進した場合には、第二液圧室B(第一液圧室A)に対して、リザーバタンク6からポート21c(ポート21a)を介して供給されるブレーキフルードが隙間(流路)から第一通路235(第一通路225)を通って流入する。
更に、第二液圧室Bが基準液圧よりも低下して負圧になった場合には、図4に示すように、弁機構237が第二マスタピストン23の内方に向けて弾性変形する。そして、弁機構237は、第二通路236を介した第二液圧室Bとポート21c(リザーバタンク6)との連通を許可する。ここで、ポート21c(リザーバタンク6)と第二通路236とは常に連通可能な状態とされている。従って、弁機構237が連通を許可した状態では、基準液圧よりも低下して負圧になった第二液圧室Bに対して、図4にて太線矢印により示すように、リザーバタンク6からポート21cを介して供給されるブレーキフルードが第二通路236を通って流入する。
このように、隙間(流路)及び第一通路235に加えて第二通路236からもリザーバタンク6に貯留されたブレーキフルードが第二液圧室Bに供給されることにより、第二液圧室Bひいてはブレーキフルードを吸引しているポンプに対して速やかに且つ必要十分な量のブレーキフルードを供給することができる。その結果、ポンプからのポンプ圧が速やかに各ホイールシリンダ41〜44に供給(伝達)されるため、自動ブレーキ作動時において、車両のブレーキ装置1が制動力を発生させる際の応答性を高めることができる。
一方、制動力が発生してポンプによる加圧が完了すると、第二液圧室Bの液圧は基準液圧よりも増大して、例えば、大気圧以上(ポンプ圧)に変化する。これにより、図5に示すように、弁機構237の内部に向けた弾性変形が復帰し、その結果、第二通路236の開口が覆われて第二通路236を介した第二液圧室Bとポート21c(リザーバタンク6)との連通が禁止される。これにより、自動ブレーキ機能による制動力発生時及び非制動時においては、第二液圧室Bからリザーバタンク6に向けて必要以上のブレーキフルードの流出が禁止される。
ここで、ブレーキペダル7が踏み込み操作される通常ブレーキ時においては、運転者によるブレーキペダル7に対する踏力及びブレーキブースタ3による倍力によって、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23が前進する。そして、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23の前進により、第一通路225,235がシール部材213及びシール部材215よりも前方に位置する。その結果、第一通路225,235を介して第一液圧室A及び第二液圧室Bとリザーバタンク6との連通がシール部材213,215によって遮断され、第一液圧室A及び第二液圧室Bの液圧が基準液圧よりも増大する。
又、第一液圧室A及び第二液圧室Bの液圧が基準液圧よりも増大することにより、弁機構227及び弁機構237は、図5に示すように、第二通路226,236を介して第一液圧室A及び第二液圧室Bとリザーバタンク6との連通を遮断する。これにより、第一液圧室A及び第二液圧室Bの液圧は、増大した状態即ちマスタシリンダ圧で適切に維持される。従って、通常ブレーキ時においては、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23の前進に伴ってマスタシリンダ2が適切にマスタシリンダ圧を発生することができる。その結果、各ホイールシリンダ41〜44は、供給(伝達)されたマスタシリンダ圧に応じた制動力を車輪RL〜FRに発生させることができる。
更に、ブレーキペダル7に対する踏力が解除された場合(非制動時の場合)、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23は、それぞれ、スプリング223及びスプリング233の付勢力によって後方に後退する。この場合、第一液圧室A及び第二液圧室Bの体積が増加することにより、第一液圧室A及び第二液圧室Bの液圧が基準液圧よりも低下する。これにより、弁機構227及び弁機構237は、第二通路226及び第二通路236を介した第一液圧室A及び第二液圧室Bとリザーバタンク6との連通を許可する。従って、第一液圧室A及び第二液圧室Bにリザーバタンク6からブレーキフルードが速やかに供給され、その結果、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23が速やかに後退するとともに各ホイールシリンダ41〜44に供給されたマスタシリンダ圧が速やかに低下する。
以上の説明からも理解できるように、上記実施形態のマスタシリンダ2によれば、シリンダ本体21の内部にて第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23のそれぞれによって区画される第一液圧室A及び第二液圧室Bにおけるブレーキフルードの液圧に応じて、弁機構227,237は、第一液圧室A及び第二液圧室Bと、第二通路226,236、換言すれば、第二通路226,236とポート21a,21cを介して連通するリザーバタンク6と、の連通を許容し、又は、連通を遮断することができる。即ち、弁機構227,237は、第一液圧室A及び第二液圧室Bにおける液圧が予め設定された基準液圧よりも低下した場合には第一液圧室A及び第二液圧室Bと第二通路226,236(リザーバタンク6)との連通を許容し、第一液圧室A及び第二液圧室Bにおける液圧が基準液圧以上の場合には第一液圧室A及び第二液圧室Bと第二通路226,236(リザーバタンク6)との連通を遮断することができる。
これにより、第一液圧室A及び第二液圧室Bの液圧が基準液圧よりも低下する場合、即ち、リザーバタンク6から第一液圧室A及び第二液圧室Bにブレーキフルードを流入させる場合には、弁機構227,237が連通を許容するため、リザーバタンク6から第二通路226,236を介して第一液圧室A及び第二液圧室Bにブレーキフルードが速やかに流入することができる。一方、第一液圧室A及び第二液圧室Bの液圧が基準液圧以上の場合、即ち、第一液圧室A及び第二液圧室Bからリザーバタンク6に向けてブレーキフルードを流出させない場合には、弁機構227,237が連通を遮断するため、第一液圧室A及び第二液圧室Bから第二通路226,236を介してリザーバタンク6にブレーキフルードが流出することを抑制することができる。このように、第二通路226,236及び弁機構227,237を設けることにより、リザーバタンク6と第一液圧室A及び第二液圧室Bとの間におけるブレーキフルードの流れを改善することができる。
その結果、マスタシリンダ2を車両のブレーキ装置1に適用した場合において、自動ブレーキ機能によって車両のブレーキ装置1のポンプがマスタシリンダ2の第一液圧室A及び第二液圧室Bに存在するブレーキフルードを吸引する際には、速やかに且つ必要十分な量のブレーキフルードを吸引することができる。又、通常ブレーキ時に下流側(ホイールシリンダ4側)からのブレーキフルードの戻りが遅く第一液圧室A及び第二液圧室Bのの液圧が基準液圧よりも低下した際にも、速やかに且つスムーズにブレーキフルードをリザーバタンク6から第一液圧室A及び第二液圧室Bに流入させることができる。従って、車両のブレーキ装置1においては、自動ブレーキ機能作動時におけるポンプ圧をホイールシリンダ4に供給して制動力を発生させる際の応答性を高めることが可能となるとともに、通常ブレーキ時におけるブレーキ操作フィーリングの向上を達成することが可能となる。
この場合、第一通路225,235及び第二通路226,236は、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23が第一液圧室A及び第二液圧室Bの液圧を増大させない初期位置にある状態において、シール部材213,214及びシール部材215,216の間に位置するように設けられる。
これによれば、例えば、第一液圧室A及び第二液圧室Bの液圧が基準液圧よりも低下することにより第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23が前進して摺動した場合であっても、少なくとも第二通路226,236とポート21a,21cとの連通可能な状態を維持することができる。従って、第一液圧室A及び第二液圧室Bの液圧が基準液圧よりも低下した場合には、常に第一液圧室A及び第二液圧室Bに対して第二通路226,236を介してリザーバタンク6からブレーキフルードを流入させることができる。
又、これらの場合、第二通路226,236は、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23の周壁部221b,231bの周方向に沿って複数設けられる。これによれば、周方向に沿って複数設けられた第二通路226,236を介して、速やかに必要十分な量のブレーキフルードを第一液圧室A及び第二液圧室Bに流入させることができる。
又、これらの場合、弁機構227,237は、弾性材料から筒状に形成されるとともにマスタピストンである第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23の内部に配設され、第一液圧室A及び第二液圧室Bにおける液圧が基準液圧よりも低下した場合に、第二通路226,236の第一液圧室A及び第二液圧室Bに臨む開口から第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23の内方に向けて弾性変形を伴って離間して第二通路226,236と第一液圧室A及び第二液圧室Bとの連通を許容し、第一液圧室A及び第二液圧室Bにおける液圧が基準液圧以上となった場合に、弾性変形から復帰して少なくとも開口を液密的に覆って第二通路226,236と第一液圧室A及び第二液圧室Bとの連通を遮断するように構成される。この場合、弁機構227,237は、開口を液密的に覆った状態で、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23の底壁部221a,231aから最も離間する先端側にて周方向に沿って外方に向けて突出するように設けられて、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23の内周面に接触する凸部227a,237aを有する。
これらによれば、極めて簡単且つ安価な構成により、弁機構227,237を設けることができる。又、弾性材料から弁機構227,237を筒状に形成することにより、弁機構227,237を第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23に極めて容易に組み付けることができる。
更に、これらの場合、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23に収容されて、第一液圧室A及び第二液圧室Bの液圧を増大させるように軸線方向に沿って前進した第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23を軸線方向に沿って後退させるように付勢するスプリング223,233を備えることができる。
これによれば、通常ブレーキ時において、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23が前進して第一液圧室A及び第二液圧室Bの液圧を増大させてマスタシリンダ圧を発生させた後に非制動となった場合、前進した第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23はスプリング223,233の付勢力によって後方に後退する。この場合、第一液圧室A及び第二液圧室Bの体積が増加することにより、第一液圧室A及び第二液圧室Bの液圧が基準液圧よりも低下する。
これにより、弁機構227,237は、第二通路226,236を介した第一液圧室A及び第二液圧室Bとリザーバタンク6との連通を許可する。従って、第一液圧室A及び第二液圧室Bにリザーバタンク6からブレーキフルードを速やかに供給することができ、その結果、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23を速やかに後退させることができるとともにホイールシリンダ4に供給されたマスタシリンダ圧を速やかに低下させることができる。
(3.第一変形例)
上記実施形態においては、弁機構227及び弁機構237を筒状(円筒状)に形成し、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23の周方向に沿って設けられた複数の第二通路226及び第二通路236の開口を含む全周を覆うようにした。これに代えて、図6及び図7に示すように、円環状の基部228b及び基部238bと、基部228b,238bから複数の第二通路226,236のそれぞれの位置に少なくとも対応して軸線方向(即ち、車両前後方向)に沿って延設された腕部228c及び腕部238cと、を有する弁機構228及び弁機構238とすることも可能である。
この場合、図7に示すように、弁機構228,238においては、腕部228c及び腕部238cの先端には、第一液圧室A及び第二液圧室Bが大気圧以上になったときに、例えば、第二通路226,236の開口に一部が嵌る半球状の凸部228a,238aが設けられる。このように、弁機構228,238が第二通路226,236のそれぞれの開口に対応するように腕部228c,238cを有する場合であっても、弁機構228,238は、第一液圧室A及び第二液圧室Bの液圧が基準液圧よりも低下した(負圧になった)場合には、ポート21a及びポート21c(リザーバタンク6)と第一液圧室A及び第二液圧室Bとの連通を許可することができる。一方、弁機構228,238は、第一液圧室A及び第二液圧室Bの液圧が基準液圧よりも増大した(大気圧以上になった)場合には、ポート21a及びポート21c(リザーバタンク6)と第一液圧室A及び第二液圧室Bとの連通を禁止することができる。従って、この第一変形例の場合においても、上記実施形態と同様の効果が得られるとともに、弁機構228,238の軽量化及び低コスト化を達成することができる。
(4.第二変形例)
上記第一変形例においては、弁機構228,238が各第二通路226,236に対応する凸部228a,238a及び腕部228c,238cを有するようにした。この場合、弁機構228,238を第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23に組み付ける際には、腕部228c,238cを第二通路226,236の開口に一致させて組み付ける必要がある。そこで、図7に示すように、弁機構228,238の基部228b,238bに位置決め突起228b1,238b1を設けるとともに、図8に示すように、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23の本体部221,231の周壁部221b,231bの内部に前後方向(即ち、軸線方向)に延設されて位置決め突起228b1,238b1と係合する位置決め溝221b1,231b1を設けることができる。
これにより、位置決め突起228b1,238b1と位置決め溝221b1,231b1とを係合させた状態で弁機構228,238を組み付けることにより、腕部228c,238cを第二通路226,236の開口に容易に一致させることができる。従って、弁機構228,238を組み付ける際の位置合わせ作業が不要となり、組み付け作業性を大幅に向上させることができる。
本発明の実施にあたっては、上記実施形態及び上記各変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態及び上記各変形例においては、弁機構227,228及び弁機構237,238に凸部227a,228a及び凸部237a,238aを設けるようにした。これに代えて、凸部227a,228a及び凸部237a,238aを省略して、弁機構227,228及び弁機構237,238を構成することも可能である。この場合においても、弁機構227.228,237,238は、第一液圧室A及び第二液圧室Bの液圧が増大した(大気圧以上になった)場合に第二通路226,236の開口を覆うことができるため、上記実施形態及び上記各変形例と同様の効果が得られる。
又、上記実施形態及び上記各変形例においては、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23のそれぞれに第二通路226,236を設けるとともに弁機構227,237を設けるようにした。これに代えて、例えば、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23のうちの第二マスタピストン23にのみ、第二通路236を設けるとともに弁機構237を設けることも可能である。このように、第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23のうちの一方に第二通路226又は第二通路236を設けるとともに弁機構227又は弁機構237を設けた場合であっても、従来のマスタシリンダに比べてブレーキフルードを速やかに第一液圧室A又は第二液圧室Bに供給することができ、従来のマスタシリンダに比べて応答性を改善することができる。
又、上記実施形態及び上記各変形例においては、第二通路226,236を第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23の周方向に沿って等間隔となるように複数設けるようにした。これに代えて、第二通路226,236を周方向に沿って不連続に複数設けることも可能である。
又、上記実施形態及び上記各変形例においては、第二通路226,236が本体部221、231を貫通する貫通孔であるとした。この場合、第二通路226,236の孔形状については特に限定されるものではなく、弁機構227,237によって連通状態又は遮断状態が切り替えられる形状であれば丸形状、楕円形状、角形状等を採用可能であることは言うまでもない。
又、上記実施形態及び上記各変形例においては、第二通路226,236が第一マスタピストン22及び第二マスタピストン23の周方向に沿って等間隔に複数設けるようにした。これに代えて、必要に応じて、第二通路226,236を一つだけ設けることも可能である。この場合、第一液圧室A及び第二液圧室Bへのブレーキフルードの流入性を考慮して、第二通路226,236の流路径(孔径)の大きさは、第二通路226,236を複数設けた場合における個々の流路径(孔径)に比べて、大きくなるように設定されることが好ましい。
更に、上記実施形態及び上記各変形例においては、第一シール部材としてのシール部材213の外周シール部213a及びシール部材215の外周シール部215aが、第一液圧室A及び第二液圧室Bの液圧が基準液圧よりも低下した場合に内側に弾性変形するようにすることも可能である。この場合においては、第一液圧室A及び第二液圧室Bの液圧が基準液圧よりも低下した場合には、外周シール部213a,215aが弾性変形して容易に隙間(流路)が形成されやすくなり、車両のブレーキ装置1における応答性及びブレーキ操作フィーリングを改善することができる。
1…車両のブレーキ装置、2…マスタシリンダ、3…ブレーキブースタ、4…ホイールシリンダ、41〜44…各ホイールシリンダ、5…ブレーキアクチュエータ、6…リザーバタンク、7…ブレーキペダル、21…シリンダ本体、21a…ポート、21b…ポート、21c…ポート、21d…ポート、22…第一マスタピストン(マスタピストン)、23…第二マスタピストン(マスタピストン)、211…第一小径部分、211a…収容溝、211b…収容溝、212…第二小径部分、212a…収容溝、212b…収容溝、213…シール部材(第一シール部材)、213a…外周シール部、213b…内周シール部、214…シール部材(第二シール部材)、214a…外周シール部、214b…内周シール部、215…シール部材(第一シール部材)、215a…外周シール部、215b…内周シール部、216…シール部材(第二シール部材)、216a…外周シール部、216b…内周シール部、221…本体部、221a…底壁部、221b…周壁部、222…突出部、223…スプリング、225…第一通路、226…第二通路、227…弁機構、227a…凸部、228…弁機構、228a…凸部、228b…基部、228c…腕部、231…本体部、231a…底壁部、231b…周壁部、232…突出部、233…スプリング、235…第一通路、236…第二通路、237…弁機構、237a…凸部、238…弁機構、238a…凸部、238b…基部、238c…腕部、228b1,238b1…位置決め突起、221b1,231b1…位置決め溝、A…第一液圧室、B…第二液圧室、FL…左前輪、FR…右前輪、RL…左後輪、RR…右後輪。

Claims (7)

  1. シリンダ本体と、
    前記シリンダ本体の内部に前記シリンダ本体の軸線方向に沿って摺動可能に収容され、且つ、液圧室を区画する底壁部及び底壁部に連結された周壁部を有する有底筒状のマスタピストンと、
    前記シリンダ本体に設けられて、作動液を貯留するリザーバタンクに連通するポートと、
    前記ポートに隣接するように前記ポートから前記軸線方向に沿って前後に離間して前記シリンダ本体の内周面に設けられた凹状の収容溝に収容されて、前記収容溝の内周面と前記マスタピストンの外周面との間をシールする第一シール部材及び第二シール部材と、
    前記マスタピストンの前記周壁部を貫通して設けられて、少なくとも前記第一シール部材及び前記第二シール部材の間に位置した状態で前記液圧室と前記ポートとを連通する第一通路と、を備えたマスタシリンダであって、
    前記マスタピストンの前記第一通路から前記軸線方向に沿って離間して前記底壁部側に位置するように前記周壁部を貫通して設けられて、前記第一シール部材及び前記第二シール部材の間に位置した状態で前記液圧室と前記ポートを介した前記リザーバタンクとを連通可能な第二通路と、
    前記マスタピストンに収容されて、前記液圧室と前記第二通路との連通及び遮断を切り替える弁機構と、を有し、
    前記弁機構は、前記液圧室における前記作動液の液圧が予め設定された基準液圧よりも低下した場合に、前記第二通路と前記液圧室との連通を許容し、前記液圧室における前記液圧が前記基準液圧以上となった場合に、前記第二通路と前記液圧室との連通を遮断するように構成された、マスタシリンダ。
  2. 前記弁機構は、
    弾性材料から筒状に形成されるとともに前記マスタピストンの内部に配設され、
    前記液圧室における前記液圧が前記基準液圧よりも低下した場合に、前記第二通路の前記液圧室に臨む開口から前記マスタピストンの内方に向けて弾性変形を伴って離間して前記第二通路と前記液圧室との連通を許容し、
    前記液圧室における前記液圧が前記基準液圧以上となった場合に、前記弾性変形から復帰して少なくとも前記開口を液密的に覆って前記第二通路と前記液圧室との連通を遮断するように構成された、請求項1に記載のマスタシリンダ。
  3. 前記弁機構は、
    前記開口を液密的に覆った状態で、
    前記マスタピストンの前記底壁部から最も離間する先端側にて周方向に沿って外方に向けて突出するように設けられて、前記マスタピストンの内周面に接触する凸部を有する、請求項2に記載のマスタシリンダ。
  4. 前記弁機構は、
    弾性材料から形成されるとともに前記マスタピストンの内部に配設され、
    環状の基部と、
    前記基部から前記軸線方向に沿って前記第二通路の位置に対応するように延設された腕部と、を有し、
    前記液圧室における前記液圧が前記基準液圧よりも低下した場合に、前記腕部が前記第二通路の前記液圧室に臨む開口から前記マスタピストンの内方に向けて弾性変形を伴って離間して前記第二通路と前記液圧室との連通を許容し、
    前記液圧室における前記液圧が前記基準液圧以上となった場合に、前記腕部が前記弾性変形から復帰して前記開口を液密的に覆って前記第二通路と前記液圧室との連通を遮断するように構成された、請求項1に記載のマスタシリンダ。
  5. 前記弁機構は、
    前記腕部の前記基部から離間する先端側にて外方に向けて突出するように設けられて、前記液圧室における前記液圧が前記基準液圧以上となった場合に、前記開口に対して少なくとも一部が嵌る凸部を有する、請求項4に記載のマスタシリンダ。
  6. 前記基部に設けられて外方に向けて突出する位置決め突起と、
    前記マスタピストンに設けられて前記位置決め突起と係合する位置決め溝と、を有する請求項4又は請求項5に記載のマスタシリンダ。
  7. 前記第一通路及び前記第二通路は、
    前記マスタピストンが前記液圧室の前記液圧を増大させない初期位置にある状態において、
    前記第一シール部材及び前記第二シール部材の間に位置する、請求項1乃至請求項6のうちの何れか一項に記載のマスタシリンダ。
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