JP2006282011A - 液圧ブースタ - Google Patents

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Abstract

【課題】ブレーキ操作入力が前進方向に作用するとともにマスタピストンを作動せしめる液圧を発生する倍力液圧発生室の液圧に基づく反力が後退方向に作用する制御ピストンと、該制御ピストンの前進時に開弁するとともに前記制御ピストンの後退時に閉弁するようにして前記倍力液圧発生室および液圧発生源間に介設される増圧弁と、制御ピストンの前進時に閉弁するとともに前記制御ピストンの後退時に開弁するようにして解放室および倍力液圧発生室間に介設される減圧弁とを備える液圧ブースタにおいて、増圧弁の初期応答性向上を図るとともにブレーキ操作部材を強く操作したときの増圧弁の応答性も高める。【解決手段】増圧弁106は、ブレーキ操作入力の増大に応じて順次開弁する第1および第2弁手段141,142とから成り、第2弁手段142のシール径が第1弁手段141のシール径よりも大きく設定される。
【選択図】 図4

Description

本発明は、ブレーキ操作部材からのブレーキ操作入力が前進方向に作用するとともにマスタシリンダのマスタピストンを作動せしめる液圧を発生する倍力液圧発生室の液圧に基づく反力が後退方向に作用する制御ピストンと、該制御ピストンの前進時に開弁するとともに前記制御ピストンの後退時に閉弁するようにして前記倍力液圧発生室および液圧発生源間に介設される増圧弁と、前記制御ピストンの前進時に閉弁するとともに前記制御ピストンの後退時に開弁するようにしてリザーバに通じる解放室および前記倍力液圧発生室間に介設される減圧弁とを備え、ブレーキ操作入力および前記倍力液圧発生室の液圧に基づく反力が釣り合うように前記制御ピストンが前後に作動することで前記液圧発生源の液圧を調圧して前記倍力液圧発生室に作用せしめる液圧ブースタに関する。
このような液圧ブースタは、たとえば特許文献1等により既に知られている。
特開2002−308085号公報
ところで、このような液圧ブースタにおいて増圧弁の起動荷重(開弁に要する力)は、そのシール径を小さくすると小さくなるが、そのようなシール径の設定とすると、ブレーキ操作部材を強く操作して液圧発生源からの高液圧を倍力液圧発生室に導入する際の応答性は低下する。またシール径を上述とは逆に大きく設定すると増圧弁の起動荷重が大きくなってしまう。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、増圧弁の初期応答性向上を図るとともにブレーキ操作部材を強く操作したときの増圧弁の応答性も高め得るようにした液圧ブースタを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、ブレーキ操作部材からのブレーキ操作入力が前進方向に作用するとともにマスタシリンダのマスタピストンを作動せしめる液圧を発生する倍力液圧発生室の液圧に基づく反力が後退方向に作用する制御ピストンと、該制御ピストンの前進時に開弁するとともに前記制御ピストンの後退時に閉弁するようにして前記倍力液圧発生室および液圧発生源間に介設される増圧弁と、前記制御ピストンの前進時に閉弁するとともに前記制御ピストンの後退時に開弁するようにしてリザーバに通じる解放室および前記倍力液圧発生室間に介設される減圧弁とを備え、ブレーキ操作入力および前記倍力液圧発生室の液圧に基づく反力が釣り合うように前記制御ピストンが前後に作動することで前記液圧発生源の液圧を調圧して前記倍力液圧発生室に作用せしめる液圧ブースタにおいて、前記増圧弁は、前記ブレーキ操作入力の増大に応じて順次開弁する第1および第2弁手段とから成り、第2弁手段のシール径が第1弁手段のシール径よりも大きく設定されることを特徴とする。
また請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加えて、第1および第2弁手段が前記制御ピストンの軸線に沿う方向に並んで配置されることを特徴とする。
さらに請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明の構成に加えて、第2弁手段は、第1弁手段からの流量が最大になる前に開弁を開始すべく構成されることを特徴とする。
なお実施例のブレーキペダル11は本発明のブレーキ操作部材に対応する。
請求項1記載の発明によれば、増圧弁は、第1および第2弁手段から成り、ブレーキ操作部材によるブレーキ操作入力増大に応じて、比較的小さなシール径を有する第1弁手段の開弁に続いて、比較的大きなシール径の第2弁手段が開弁するので、ブレーキ操作入力の小さなブレーキ操作初期には起動荷重の小さな第1弁手段の開弁によって初期応答性を確保することが可能であり、ブレーキ操作部材を強く操作したときには第1および第2弁手段がともに開弁するようにして応答性を高めることができ、増圧弁の初期応答性向上を図るとともにブレーキ操作部材を強く操作したときの増圧弁の応答性も高めることができる。
また請求項2記載の発明によれば、第1および第2弁手段から成る増圧弁をコンパクトに構成することができる。
さらに請求項3記載の発明によれば、第1および第2弁手段がブレーキ操作入力の増大に応じて連続して滑らかに開弁するようにして、段付き感が生じるのを回避し、優れた操作フィーリングを得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
図1〜図11は本発明の一実施例を示すものであり、図1は車両用ブレーキ装置の全体構成を示すブレーキ液圧系統図、図2はマスタシリンダの拡大縦断面図、図3は液圧ブースタおよびストロークシミュレータの縦断面図、図4は液圧ブースタの一部である増圧弁付近の閉弁状態での拡大縦断面図、図5は液圧ブースタの一部である減圧弁付近の開弁状態での拡大縦断面図、図6は制御ピストンおよびストロークシミュレータの拡大縦断面図、図7は第1弁手段の開弁時の図4に対応した断面図、図8は第2弁手段の開弁時の図4に対応した断面図、図9は図5の9矢示部拡大図、図10は増圧弁の開弁に伴う作動液の流通量変化を示す図、図11はストロークシミュレータの作用特性図である。
先ず図1において、四輪車両のブレーキ装置は、タンデム型であるマスタシリンダMと、ブレーキ操作部材であるブレーキペダル11から入力されるブレーキ操作力に応じて液圧発生源12の液圧を調圧して前記マスタシリンダMに作用せしめる液圧ブースタ13と、前記ブレーキペダル11および液圧ブースタ13間に介装されるストロークシミュレータ14とを備える。
前記マスタシリンダMおよび液圧ブースタ13に共通なケーシング15は、前端を閉じた有底円筒状のシリンダ体16と、内向き鍔部17aを後端に有して円筒状に形成されるとともにシリンダ体16の後部に同軸に結合されるボディ17とで構成される。シリンダ体16の後端はボディ17の前部に液密に嵌合されており、シリンダ体16の後端およびボディ17間には、ボディ17に液密に嵌合されるセパレータ18、第1スリーブ19および第2スリーブ20が、第1スリーブ19をセパレータ18および第2スリーブ20間に挟みつつ挟持される。
図2を併せて参照して、シリンダ体16には前端を閉じた第1シリンダ孔21が形成されており、マスタシリンダMは、倍力液圧作用室22に背面を臨ませるとともに後方側にばね付勢される後部マスタピストン23が第1シリンダ孔21に摺動可能に嵌合されるとともに、後方側にばね付勢されつつ後部マスタピストン23の前方に配置される前部マスタピストン24が第1シリンダ孔21に摺動可能に嵌合されて成り、後部マスタピストン23および前部マスタピストン24間には後部出力液圧室25が形成され、シリンダ体16の前端閉塞部および前部マスタピストン24間に前部出力液圧室26が形成される。
シリンダ体16には、後部出力液圧室25に通じる後部出力ポート27と、前部出力液圧室26に通じる前部出力ポート28とが設けられる。さらに後部出力液圧室25で後部マスタピストン23および前部マスタピストン24間には後部マスタピストン23を後方側に付勢する後部戻しばね29が縮設され、前部出力液圧室26でシリンダ体16の前部閉塞端および前部マスタピストン24間には前部マスタピストン24を後方側に向けて付勢する前部戻しばね30が縮設される。
マスタシリンダMには、リザーバ31が付設されるものであり、このリザーバ31には、第1、第2および第3液溜め室31a,31b,31cが相互に区画されて形成され、第2液溜め室31bに通じる円筒状の後部接続筒部ならびに第1液溜め室31aに通じる円筒状の前部接続筒部33がシリンダ体16の軸線方向に間隔をあけた位置で上方に突出するようにして一体に設けられる。
後部マスタピストン23は、前方側および後方側ピストン部23a,23bが小径連結部23cを介して一体に連設されて成るものであり、前方側ピストン部23aには、後部出力液圧室25側への作動液の流入を許容して第1シリンダ孔21の内面に摺接するカップシール34が装着され、後方側ピストン部23bには第1シリンダ孔21の内面に摺接するカップシール35が装着される。
後部マスタピストン23の外周および第1シリンダ孔21の内面間で前方側および後方側ピストン部23a,23b間には後部補給液室36が環状に形成されており、この後部補給液室36に常時通じて後部接続筒部32内に開口する補給ポート37がシリンダ体16に穿設され、リザーバ31の第2液溜め室31bから補給されるブレーキ液が後部補給液室36に供給されることになる。
後部マスタピストン23には、該後部マスタピストン23が後退限位置に戻ったときに後部出力液圧室25および後部補給液室36間を連通させるセンターバルブ38が装着される。
このセンターバルブ38は、後部マスタピストン23の前端部に同軸に装着される弁函39と、後部補給液室36に通じて後部マスタピストン23の前方側ピストン部23aに同軸に穿設されるとともに弁函39内で前方側ピストン部23aの前端部に開口する軸方向通路40と、軸方向通路40の前端開口部を閉鎖可能として弁函39内に前後動可能に収納される弁体41と、弁体41を後方すなわち軸方向通路40の閉鎖方向に付勢するばね力を発揮して弁函39内に収納される弁ばね42と、後部マスタピストン23が後退限にあるときには弁体41を弁ばね42のばね付勢力に抗して前進位置に保持するが後部マスタピストン23の前進時には弁ばね42による弁体41の後退動作すなわち閉弁動作を許容するストッパピン43とを備える。
後部マスタピストン23の小径連結部23cには、該小径連結部23cの軸方向に長い長孔状の貫通孔44が小径連結部23cの一直径線に沿うようにして設けられ、該貫通孔44の両端は後部補給液室36に連通される。ストッパピン43は、シリンダ体16に固定されて貫通孔44を貫通しており、弁体41に連設されて軸方向通路40に挿通されるバルブステム41aの後端がストッパピン43に当接される。
このようなセンターバルブ38によれば、後部マスタピストン23が後退限にあるときにはストッパピン43でバルブステム41aが押圧されることにより弁体41が軸方向通路40を開放する位置となって開弁して後部出力液圧室25および貫通孔44間を連通し、後部補給液室36からの補給液を後部出力液圧室25に補給可能となる。また後部マスタピストン23が後退限から前進すると、ストッパピン43が貫通孔44内の後方に位置するように後部マスタピストン23に対して相対移動することにより、弁体41が弁ばね42のばね力により軸方向通路40を閉鎖する位置まで移動し、後部補給液室36および後部出力液圧室25間が遮断される。
前部マスタピストン24は、前方側および後方側ピストン部24a,24bが小径連結部24cを介して一体に連設されて成るものであり、前方側ピストン部24aには、前部出力液圧室26側への作動液の流入を許容して第1シリンダ孔21の内面に摺接するカップシール45が装着され、後方側ピストン部24bには第1シリンダ孔21の内面に摺接するカップシール46が装着される。
前部マスタピストン24の外周および第1シリンダ孔21の内面間で前方側および後方側ピストン部24a,24b間には前部補給液室47が環状に形成されており、この前部補給液室47に常時通じて前部接続筒部33内に開口する補給ポート48がシリンダ体16に穿設され、リザーバ31の第1液溜め室31aから補給されるブレーキ液が前部補給液室47に供給されることになる。
前部マスタピストン24には、該前部マスタピストン24が後退限位置に戻ったときに前部出力液圧室26および前部補給液室47間を連通させるセンターバルブ49が装着される。
このセンターバルブ49は、前部マスタピストン24の前端部に同軸に装着される弁函50と、前部補給液室47に通じて前部マスタピストン24の前方側ピストン部24aに同軸に穿設されるとともに弁函50内で前方側ピストン部24aの前端部に開口する軸方向通路51と、軸方向通路51の前端開口部を閉鎖可能として弁函50内に前後動可能に収納される弁体52と、弁体52を後方すなわち軸方向通路51の閉鎖方向に付勢するばね力を発揮して弁函50内に収納される弁ばね53と、前部マスタピストン24が後退限にあるときには弁体52を弁ばね53のばね付勢力に抗して前進位置に保持するが前部マスタピストン24の前進時には弁ばね53による弁体52の後退動作すなわち閉弁動作を許容するストッパピン54とを備える。
前部マスタピストン24の小径連結部24cには、該小径連結部24cの軸方向に長い長孔状の貫通孔55が小径連結部24cの一直径線に沿うようにして設けられ、該貫通孔55の両端は前部補給液室47に連通される。ストッパピン54は、シリンダ体16に固定されて貫通孔55を貫通しており、弁体52に連設されて軸方向通路51に挿通されるバルブステム52aの後端がストッパピン54に当接される。
このようなセンターバルブ49によれば、前部マスタピストン24が後退限にあるときにはストッパピン54でバルブステム52aが押圧されることにより弁体52が軸方向通路51を開放する位置となって開弁して前部出力液圧室26および貫通孔55間を連通し、前部補給液室47からの補給液を前部出力液圧室26に補給可能となる。また前部マスタピストン24が後退限から前進すると、ストッパピン54が貫通孔55内の後方に位置するように前部マスタピストン24に対して相対移動することにより、弁体52が弁ばね53のばね力により軸方向通路51を閉鎖する位置まで移動し、前部補給液室47および前部出力液圧室26間が遮断される。
すなわちマスタシリンダMは、後部マスタピストン23および前部マスタピストン24に、それらのマスタピストン23,24の後退時には後部および前部出力液圧室25,26にリザーバ31からのブレーキ液を補給するように開弁作動するセンターバルブ38,49が装着されたセンターバルブ型に構成されている。
後部および前部マスタピストン23,24間には、それらのマスタピストン23,24間の最大間隔を規制する最大間隔規制手段56が設けられるものであり、この最大間隔規制手段56は、前部マスタピストン24における後方側ピストン部24bの背面に当接されるリテーナ57と、後部マスタピストン23に装着されたセンターバルブ38における弁函39の前端中央部に連設されて前方に延びるとともにリテーナ57の中央部に前部が移動可能に挿通されるロッド58と、前記リテーナ57に前方側から係合し得るようにして前記ロッド58の前端に螺着される係合部材59とを備える。しかも後部戻しばね29は、前記弁函39およびリテーナ57間に縮設されるものであり、リテーナ57は実質的には前部マスタピストン23に固定された状態にある。
このような最大間隔規制手段56によれば、係合部材59がリテーナ57の中央部に前方側から係合することで後部および前部マスタピストン23,24間の最大間隔が規制されることになる。
再び図1において、前記マスタシリンダMの後部出力ポート27は、液圧モジュレータ60を介して右前輪用車輪ブレーキB1および左後輪用車輪ブレーキB2に接続されており、また前部出力ポート28は、液圧モジュレータ60を介して左前輪用車輪ブレーキB3および右後輪用車輪ブレーキB4に接続される。而して液圧モジュレータ60は、後部および前部出力ポート27,28から出力されるブレーキ液圧を自在に制御してブレーキ操作時のアンチロックブレーキ制御を実行し得るとともに、非ブレーキ操作状態でのトラクション制御等の自動ブレーキ制御を実行し得る従来周知のものである。
図3において、液圧ブースタ13は、前端を倍力液圧作用室22に臨ませてケーシング15のボディ17に摺動可能に収容される円筒状のバックアップピストン64と、増圧弁106および減圧弁107で構成されてバックアップピストン64に内蔵される調圧弁手段65と、前記倍力液圧作用室22に接続される倍力液圧発生室121の液圧に基づく反力ならびにブレーキペダル11から入力されるブレーキ操作入力が釣り合うようにして前記調圧弁手段65を調圧作動せしめる制御ピストン66と、前記倍力液圧発生室121の液圧に基づく反力を制御ピストン66に付与するようにして前記調圧弁手段65および制御ピストン66間に介装される第1反力ピストン67と、ブレーキペダル11によるブレーキ操作入力が大きくなったときに第1反力ピストン67からの反力に加えて液圧発生源12の出力液圧および反力ばね112による反力を前記制御ピストン66に付与するようにして前記バックアップピストン64および第1反力ピストン67間に介装される第2反力ピストン68とを備える。
ケーシング15の一部を構成してシリンダ体16の後部に同軸に結合されるボディ17には、前記シリンダ体16の後端、セパレータ18、第1スリーブ19および第2スリーブ20を前端側から液密に嵌合せしめる大径孔69と、該大径孔69の後端との間に環状の段部70を形成して大径孔69の後端に同軸に連なるとともに大径孔69よりも小径に形成される中径孔71とが設けられ、中径孔71の後端を規定するようにしてボディ17が後端に備える内向き鍔部17aは、前記中径孔71よりも小径である小径孔72を形成する。
前記セパレータ18、第1スリーブ19および第2スリーブ20は、セパレータ18および第1スリーブ19間に板ばね73を介装した状態でマスタシリンダMにおけるシリンダ体16の後端および前記段部70間に挟まれるようにして大径孔69に液密に嵌合される。而して板ばね73が発揮するばね力により、セパレータ18、第1スリーブ19および第2スリーブ20は、シリンダ体16の後端および段部70間の距離に対する寸法公差を吸収しつつボディ17の前部に確実に固定される。
前記セパレータ18は、マスタシリンダMにおけるシリンダ体16の第1シリンダ孔21よりもわずかに小径の第2シリンダ孔74を内周で形成する短円筒状のものであり、また第1スリーブ19は、第1シリンダ孔21と同径である第3シリンダ孔75を形成する円筒状のものである。さらに第2スリーブ20は、ボディ17の大径孔69に嵌合される大径部20aと、第2シリンダ孔74よりもわずかに小径である第4シリンダ孔76を形成して大径部20aから後方に延びる小径部20bとを一体に有して段付き円筒状に形成されており、大径部20aの後端が段部70に当接される。而してボディ17内に液密に嵌合、固定されるセパレータ18、第1スリーブ19および第2スリーブ20により、第1シリンダ孔21と同軸である第2〜第4シリンダ孔74,75,76が前方側から順に形成されることになる。
前記バックアップピストン64は、第2シリンダ孔74に摺動可能に嵌合される前側小径部64aと、前側小径部64aよりも若干小径である外径を有して第4シリンダ孔76に摺動可能に嵌合される後側小径部64bと、前側小径部64aおよび後側小径部64b間を結ぶとともに第3シリンダ孔75に隙間を有して挿入される中間大径部64cとを一体に有するものであり、中間大径部64cを前側小径部64aおよび後側小径部64bよりも大径とした段付きの円筒状に形成される。
ボディ17には、マスタシリンダMのシリンダ体16およびセパレータ18間に対応する位置で大径孔69の内面に開口する接続ポート77と、セパレータ18および第1スリーブ19間に対応する位置で大径孔69の内面に開口する入力ポート78と、第1スリーブ19の軸方向中間部で大径孔69の内面に開口する出力ポート79と、中径孔71の前部内面に開口する解放ポート80とが、前方から順に間隔をあけて設けられる。
前記入力ポート78には、図1で示すように、液圧発生源12が接続されるものであり、この液圧発生源12は、リザーバ31の第3液溜め室31cから作動液をくみ上げるポンプ81と、該ポンプ81の吐出側に接続されるアキュムレータ82と、アキュムレータ82の液圧を検出して前記ポンプ81の作動を制御するための液圧センサ83とを備えるものであり、高圧の一定液圧が液圧発生源12から入力ポート78に供給される。また解放ポート80はリザーバ31の第2液溜め室31bに接続される。
ボディ17における大径孔69の内面には、接続ポート77の内端を開口せしめる環状凹部86と、入力ポート78の内端を開口せしめる環状凹部87と、出力ポート79の内端を開口せしめる環状凹部88とが設けられており、それらの環状凹部86,87,88をそれぞれ両側からシールする環状のシール部材であるOリング89,90,91,92がマスタシリンダMのシリンダ体16、セパレータ18、第1スリーブ19および第2スリーブ20の外周に装着される。すなわち環状凹部86を両側からシールするOリング89,90が大径孔69の内面に弾発接触するようにしてシリンダ体16およびセパレータ18の外周に装着され、前記Oリング90との間に環状凹部87を挟むOリング91が大径孔69の内面に弾発接触するようにして第1スリーブ19の外周に装着され、前記Oリング91との間に環状凹部88を挟むOリング92が大径孔69の内面に弾発接触するようにして第2スリーブ20における大径部20aの外周に装着される。
ところでセパレータ18、第1スリーブ19および第2スリーブ20を大径孔69に嵌合する際に、第2スリーブ20の外周に装着されたOリング92は、環状凹部86〜88を乗り越える必要があり、第1スリーブ19の外周に装着されたOリング91は環状凹部86,87を乗り越える必要があり、セパレータ18の外周に装着されたOリング90は環状凹部86を乗り越える必要があるのであるが、3つのOリング90〜92のうち複数すなわち少なくとも2つが環状凹部86〜88のうちの複数の嵌入方向前縁を同時に通過すると、セパレータ18、第1スリーブ19および第2スリーブ20の嵌入に大きな力が必要となり、また過大な力を加えるとOリング90〜92の損傷にもつながってしまい、組付け性に悪影響を及ぼすことになる。
そこでセパレータ18、第1スリーブ19および第2スリーブ20のボディ17への嵌入方向に沿う各環状凹部86〜88の前縁相互の間隔L1,L2が、セパレータ18、第1スリーブ19および第2スリーブ20の前記ボディ17への嵌入時に複数の前記Oリング90〜92がそれらの前縁を同時に通過することを回避した値に設定されるものであり、この実施例では、環状凹部86,87の前記前縁相互の間隔L1はOリング90,91相互の間隔L3よりも小さく設定され、環状凹部87,88の前記前縁相互の間隔L2はOリング91,92相互の間隔L4よりも小さく設定される。
図4を併せて参照して、バックアップピストン64の前側小径部64aは、セパレータ18の第2シリンダ孔74に液密にかつ摺動可能に嵌合され、バックアップピストン64の中間大径部64cは第1スリーブ19の第3シリンダ孔75に液密にかつ摺動可能に嵌合されるものであり、前側小径部64aの外周および第1スリーブ19の内周間には環状路93が形成され、セパレータ18および第1スリーブ19間には環状路93に通じる流路94が形成され、この流路94により入力ポート78に通じる環状凹部87が前記環状路93に連通する。
しかも前記環状路93の前後両側は、セパレータ18およびバックアップピストン64間に介装される環状のシール部材であるOリング95と、第1スリーブ19およびバックアップピストン64間に介装される環状のシール部材であるOリング96とでシールされるものであり、Oリング95はバックアップピストン64における前側小径部64aの外周に弾発的に摺接するようにしてセパレータ18の内周すなわち第2シリンダ孔74の内面に装着され、Oリング96は、第1スリーブ19の内周である第3シリンダ孔75の内面に弾発接触するようにしてバックアップピストン64における中間大径部64cの外面に装着される。
図5を併せて参照して、第2スリーブ20における小径部20bの内周すなわち第4シリンダ孔76の内面にはバックアップピストン64における後側小径部64bの外周に弾発的に接触するOリング97が装着される。一方、第1および第2スリーブ19,20には、出力ポート79に通じるようにしてボディ17の内面に設けられている環状凹部88に外端を通じさせる流路98が設けられており、第1および第2スリーブ19,20間で第1スリーブ19の内周および第2スリーブ20における小径部20bの内周には、前記流路98に通じる環状凹部99が形成され、この環状凹部99の前後両側は、前記Oリング96,97でシールされる。
一方、図3で示すように、ボディ17における内向き鍔部17aには、リング状のストッパ100が当接されており、バックアップピストン64における後側小径部64bの後端部外周に装着された止め輪101に内周を前方側から当接、係合せしめたリテーナ102と、第2スリーブ20との間に、バックアップピストン64の後半部を囲繞するコイル状のばね103が縮設され、このばね103のばね力によりバックアップピストン64は後方に向けてばね付勢される。而してボディ17の内向き鍔部17aに当接したストッパ100に前記止め輪101が当接させた位置がバックアップピストン64の後退限であり、後退限にあるバックアップピストン64の前端は、倍力液圧作用室22に臨むとともに、非作動状態にある後部マスタピストン23の背面の外周縁部に全周にわたって当接し、その状態で後部マスタピストン23も後退限となる。
図4で明示するように、マスタシリンダMにおけるシリンダ体16の後端上部には、該シリンダ体16の後端に当接するボディ17の前端との間に通路137を形成するようにして半径方向に延びる溝138が設けられており、前記通路137は、接続ポート77に通じる環状凹部86および倍力液圧作用室22間を連通する。また後部マスタピストン23の後端には、該マスタピストン23の後端に当接するバックアップピストン64の前端との間に、倍力液圧をマスタピストン23の背面およびバックアップピストン64の前端間に導く通路139を形成する溝140が設けられており、この溝140は、後部マスタピストン23に設けられている貫通孔44の軸線すなわちストッパピン43の軸線と平行にして、後部マスタピストン23の一直径線に沿って延びるように形成される。
而して接続ポート77は、環状凹部86および通路137を介して倍力液圧作用室22に連通し、前記通路139は、バックアップピストン64が後部マスタピストン23に当接した状態で後部マスタピストン23およびバックアップピストン64間に倍力液圧作用室22の液圧を作用せしめる働きをする。
ボディ17内で第2スリーブ20および内向き鍔部17a間には、前記ばね103を収容するようにしてバックアップピストン64を囲むばね室104が形成されており、このばね室104は解放ポート80に連通する。またばね室104と、出力ポート79に通じる環状凹部99との間はOリング97でシールされる。
バックアップピストン64の軸方向中間部内面には、半径方向内方に張り出す内向き鍔部64dが一体に設けられており、内向き鍔部64dの内周でバックアップピストン64と同軸の挿通孔108が形成される。前記内向き鍔部64dよりも前方でバックアップピストン64には段付き円筒状の第2反力ピストン68が摺動可能に嵌合され、第2反力ピストン68には第1反力ピストン67が同軸にかつ相対摺動可能に嵌合される。
またバックアップピストン64の前端部には、倍力液圧作用室22に前面を臨ませる端壁部材109が液密に嵌合されており、この端壁部材109の外周縁部に前方から当接、係合する止め輪110がバックアップピストン64の前端部内周に装着される。さらに第2反力ピストン68の前端には、周方向に複数の開口部128…を有して有底円筒状に形成されるフィルタ枠127の内面にメッシュ部材129が設けられて成るフィルタ111が装着されており、このフィルタ111および前記端壁部材109間に縮設される反力ばね112のばね力で第2反力ピストン68は内向き鍔部64dに前方から当接する側に付勢される。
而して第2反力ピストン68およびフィルタ111と、前記端壁部材109との間でバックアップピストン64内には入力室113が形成されており、この入力室113は、バックアップピストン64に設けられる連通孔114を介して環状路93に連通する。すなわち入力室113には液圧発生源12からの高圧の作動液が導入されるものであり、端壁部材109の外周には、入力室113および倍力液圧作用室22間をシールしてバックアップピストン64の内周に弾発接触するOリング115が装着される。
第2反力ピストン68の中間部内面には前方に臨む環状の段部68aが設けられており、第2反力ピストン68の前部には、第2反力ピストン68の内周に弾発接触するOリング116を外周に有する段付き円筒状の弁座部材117が前記段部68aに当接するようにして嵌合されており、弁座部材117よりも前方で第2反力ピストン68の内周に装着された止め輪118および弁座部材117間には板ばね119が介設される。これにより弁座部材117は、第2反力ピストン68の前部に液密に嵌合、固定されることになり、第2反力ピストン68を介してバックアップピストン64に支持される。
一方、第1反力ピストン67は、第2反力ピストン68の後部内周に弾発接触する環状のシール部材120を外周に有して第2反力ピストン68の前部に摺動可能に嵌合されており、第2反力ピストン68内には、前記弁座部材117の背面を臨ませるとともに第1反力ピストン67の前端を臨ませる倍力液圧発生室121が形成される。また第2反力ピストン68の外周およびバックアップピストン64の内周間には環状室122が形成されており、第2反力ピストン68に設けられた連通孔123を介して倍力液圧発生室121は環状室122に連通される。さらにバックアップピストン64における中間大径部64cには、環状室122を環状凹部99に通じさせる連通孔124が設けられており、倍力液圧発生室121は、連通孔123、環状室122、連通孔124、環状凹部99および流路98を介して出力ポート79に連通する。しかも第2反力ピストン68の外周には、環状室122を前後から挟むOリング125,126がバックアップピストン64の内周に弾発接触するようにして装着される。
図6において、制御ピストン66は、前端に端壁66aを有した有底円筒状に形成されるものであり、ボディ17の後端の内向き鍔部17aが形成する小径孔72に摺動可能に嵌合されつつバックアップピストン64の後側小径部64bに同軸に挿入される。しかも内向き鍔部17aの内周すなわち小径孔72の内面には制御ピストン66の外周に弾発接触する環状のシール部材130が装着されており、制御ピストン66の外面には、前記内向き鍔部17aの内周縁部に前方側から当接、係合することにより制御ピストン66の後退限を規制する規制突部131が全周にわたって一体に突設される。
内向き鍔部64dの後方でバックアップピストン64および制御ピストン66間には解放室132が形成されており、この解放室132は、ストッパ100に設けられた連通孔133を介してばね室104に連通する。すなわち解放室132は、連通孔133、ばね室104および解放ポート80を介してリザーバ31における第3液溜め室31cに連通する。
第1反力ピストン67は、前記挿通孔108を貫通して後方に延びる延長筒部67aを同軸にかつ一体に有しており、この延長筒部67aの後端は、前記制御ピストン66の前端の端壁66aに常時当接される。また倍力液圧発生室121には、第1反力ピストン67の後端すなわち前記延長筒部67aの後端を制御ピストン66の端壁66aに接触させるようにばね付勢するばね力を発揮するばね134が収容され、このばね134のばね力はごく弱く設定される。
また第2反力ピストン68には、第1反力ピストン67の延長筒部67aを同軸に囲繞して前記挿通孔108に挿通される延長筒部68bが同軸にかつ一体に設けられており、第2反力ピストン68が、バックアップピストン64の内向き鍔部64dに当接して後退限位置にある状態で、第2反力ピストン68における延長筒部68bの後端は、バックアップピストン64の内向き鍔部64dに当接して該バックアップピストン64に固定されるシートストッパ135よりも後方にあるものの、第1反力ピストン67における延長筒部67aの後端よりも前方に配置される。
したがってバックアップピストン64に対する制御ピストン66の前進作動時に、第1反力ピストン67は制御ピストン66とともに前進し、第2反力ピストン68の後端は、ブレーキペダル11によるブレーキ操作入力が大きくなって制御ピストン66の前進移動量が所定値以上となったときに制御ピストン66の前端の端壁66aに当接することになる。
再び図4に注目して、増圧弁106は、ブレーキペダル11からのブレーキ操作入力の増大に応じて順次開弁するようにして制御ピストン66の軸方向に並ぶ第1および第2弁手段141,142とから成るものであり、第2弁手段142のシール径が第1弁手段141のシール径よりも大きく設定され、第2弁手段142は、開弁した第1弁手段141からの流量が最大になる前に開弁を開始すべく構成される。
第1弁手段141は、前端に第1の弁座143が設けられる円筒状の摺動部材144と、液圧発生源12に通じる入力室113に連通する弁室145を内部に形成するリテーナ146と、弁室145内に臨む前記第1の弁座143に着座することを可能としつつ前記リテーナ146に摺動可能に嵌合される弁体147と、該弁体147を第1の弁座に着座させるように付勢しつつリテーナ146および弁体147間に設けられる第1の弁ばね148と、弁体147に当接することを可能として制御ピストン66に連動、連結されるとともに前記摺動部材144に軸方向相対移動可能に挿入される押圧ロッド149とで構成される。
また第2弁手段142は、第1弁手段141と共通の構成要素である前記摺動部材144に設けられる弁部150と、前記摺動部材144を摺動可能に嵌合せしめるとともに第2の弁座151が前端に設けられる段付き円筒状の弁座部材117と、第1弁手段141と共通の構成要素である前記リテーナ146と、弁部150を第2の弁座151に着座させるように付勢しつつリテーナ146および前記摺動部材144間に設けられる第2の弁ばね152と、第1弁手段141と共通の構成要素である押圧ロッド149とで構成される。
摺動部材144および弁座部材117は、弁座部材117に摺動部材144を摺動可能に嵌合せしめた状態で第2反力ピストン68に挿入、支持される被挿入手段156を構成するものであり、第2反力ピストン68はバックアップピストン64に摺動可能に嵌合されるので、被挿入手段156は、バックアップピストン64に挿入、支持されることになる。
前記リテーナ146は、被挿入手段156の一部を構成する弁座部材117の前端部外周に圧入によって取付けられる。このリテーナ146内には、摺動部材144の前端の第1の弁座143ならびに弁座部材117の前端の第2の弁座151を臨ませる弁室145が形成される。またリテーナ146の前部には、入力室113に通じる開放孔153を中央部に有する端壁146aを前端に有して有底円筒状に形成されるガイド筒部146bが一体に設けられる。第1弁手段141の弁体147は、ガイド筒部146bに摺動可能に嵌合されるスライド部材154の後部に、第1の弁座143に着座可能な球体155が固着されて成るものである。すなわち弁体147はリテーナ146に摺動可能に嵌合されることになり、第1の弁ばね148は前記端壁146aおよびスライド部材154間に縮設される。
摺動部材144には、前端を第1の弁座143の中央部に開口させた第1の弁孔157と、第1の弁孔157よりも大径にして第1の弁孔157に前端を通じさせるとともに後端を開放した摺動孔158とが同軸に設けられる。一方、弁座部材117には、前端を第2の弁座151の中央部に開口させる第2の弁孔159と、第2の弁孔159と同一径を有して第2の弁孔159に前端を通じさせるとともに後端を開放した摺動孔160とが同軸に設けられ、摺動部材144は、第2の弁孔159を移動可能として同軸に貫通するとともに摺動孔160に摺動可能に嵌合される。
押圧ロッド149は、その前端部を第1の弁孔157内に配置して摺動部材144の摺動孔158に摺動可能に嵌合されるものであり、弁座部材117内で前記押圧ロッド149には、摺動部材144の後端に当接して摺動部材144を前方に押圧移動させることを可能とした押圧鍔部149aが一体に設けられ、弁座部材117には、前記押圧鍔部149に後方から当接することで押圧ロッド149の後退限を規制する規制鍔部117aが摺動孔160の後部内面から半径方向内方に張り出すようにして一体に設けられる。
前記押圧鍔部149aよりも前方で押圧ロッド149には、摺動孔158の内面に摺接する摺動部149bが設けられており、この摺動部149bよりも前方側で押圧ロッド149は、摺動部材144の内面との間に環状室163を形成するようにして小径に形成される。
而して図7で示すように、押圧ロッド149の前端で弁体147を押圧して該弁体147を第1の弁座143から離座せしめたときには弁室145が前記環状室163に連通することになる。しかも規制段部117aに押圧鍔部149aが当接している状態で、押圧ロッド149の前端および弁体147間の距離は、摺動部材144の後端および押圧鍔部149a間の距離よりも小さいものであり、押圧ロッド149の前進時に、弁体147が第1の弁座143から離座した後に押圧ロッド149がさらに前進することで押圧鍔部149aにより摺動部材144が前方に押圧されることになる。
第2弁手段142の弁部150は、第1の弁座143よりも後方で摺動部材144に設けられるものであり、弁体147が第1の弁座143に着座したときのシール径よりも大きなシール径を有して第2の弁座151に着座可能である。而して第1弁手段141が開弁した後に、図8で示すように、押圧ロッド149がさらに前進して摺動部材144が前方に押圧されることにより弁部150が第2の弁座151から離座し、第2弁手段142が開弁することになる。
弁座部材117における摺動孔160の内面には、後端を弁座部材117の後端に開放する複数状の流通溝161…が設けられており、摺動部材144には、前記環状室163を各流通溝161…に連通させる複数の連通孔164…が設けられる。
而して弁座部材117における摺動孔160および複数の流通溝161…は流通路162を形成するものであり、第1弁手段141の開弁時には、弁室145から環状室163に流入した作動液が連通孔164…を経て流通路162内を倍力液圧発生室121側に流通し、第2弁手段142の開弁時には弁室145の作動液が流通路162内を倍力液圧発生室121側に流通することになる。
ところでリテーナ146の側壁には、液圧発生源12に通じる入力室113を弁室145に連通させるべく複数の連通孔165…が設けられるのであるが、それらの連通孔165…は、第1弁手段141における弁体147の第1の弁座143への着座位置に関して弁体147とは反対側すなわち後方側に位置するようにしてリテーナ146の側壁に設けられる。
前記押圧ロッド149の後部は、倍力液圧発生室121に突入されており、倍力液圧発生室121内で押圧ロッド149は円盤状の整流部材168の中央部に摺動可能に嵌合される。而して整流部材168は、弁座部材117の倍力液圧発生室121に臨む面に当接することで前記流通路162の倍力液圧発生室121への開口端を閉じ得るものであり、押圧ロッド149だけで軸方向の移動をガイドされる。しかも整流部材168の前記流通路162に臨む面は平坦面168aに形成される。
図5に注目して、また前記整流部材168よりも後方で押圧ロッド149にはばね受け部材169が圧入、固定されており、整流部材168およびばね受け部材169間にはばね170が縮設される。一方、第1反力ピストン67の前端も、前記押圧ロッド149と同軸にして倍力液圧発生室121に突入されており、この第1反力ピストン67の前部に嵌合、当接されるリテーナ171および整流部材168間にばね134が縮設される。而して整流部材168は、ばね134,170によるばね力で弁座部材117側に向けて付勢されることになるが、ばね134,170のばね力は、第1弁手段141の開弁によって液圧発生源12からの液圧が流通路162に作用するのに応じて整流部材168が弁座部材117から離間し得る程度に設定される。
第1反力ピストン67の前部に嵌合されたリテーナ171は、第1反力ピストン67との間に弁室172を形成するものであり、リテーナ171には倍力液圧発生室121および弁室172間を連通する複数の連通孔173…が設けられる。またリテーナ171の中央部には円筒状のガイド筒部174が設けられており、押圧ロッド149の後端部がガイド筒部174に摺動可能に嵌合される。また弁室172に臨んで第1反力ピストン67の前端には弁座175が設けられ、押圧ロッド149の後端には弁座175に着座し得るようにして半球状に形成される弁部176が設けられる。
減圧弁107は、前記弁座175と、該弁座175に着座可能な前記弁部176とで構成されるものであり、第1反力ピストン67には、前記弁座175の中央部に開口する弁孔177と、弁孔177よりも大径に形成されて前端を弁孔177に通じさせるとともに第1反力ピストン67の後端まで延びる解放路178とが同軸に設けられており、第1反力ピストン67の後端には制御ピストン66の前端の端壁66aが常時当接するので解放路178の後端は実質的には閉じられる。
第1反力ピストン67の中間部には、前記解放路178に内端を通じさせる複数の連通孔179…が設けられており、減圧弁107の開弁時に、解放路178からの作動液は、前記連通孔179…、一次貯留室180およびオリフィス181を介して解放室132に流通する。
前記一次貯留室180は、第1および第2反力ピストン67,68間に形成されるものであり、後方側に臨んで第1反力ピストン67の外周に設けられる環状の段部67bと、該段部67aに対向すべく前方側に臨んで第2反力ピストン68の内周に設けられる環状の段部68cとの間で、第1反力ピストン67を囲繞する環状に形成される。
また前記オリフィス181は、第1反力ピストン67における延長筒部67aの外周と、第2反力ピストン68の延長筒部68bの内周との間に形成されるものであり、延長筒部67aの外周および延長筒部68bの内周間に公差分だけの環状間隙を設定することにより前記オリフィス181が形成される。
しかも連通孔179…は、少なくとも減圧弁107が閉弁状態から開弁し始めるときには一次貯留室180に対応する位置となるようにして第1反力ピストン67に設けられる。
このような液圧ブースタ13では、ブレーキペダル11からのブレーキ操作入力がストロークシミュレータ14を介して制御ピストン66に入力され、制御ピストン66から第1反力ピストン67に前方に向けての押圧力が作用する。而してバックアップピストン64に対する制御ピストン66の前進方向の移動量が所定値未満の状態では、制御ピストン66には第1反力ピストン67だけが当接しており、第1反力ピストン67の前進に応じて弁座175に弁部176が着座することで減圧弁107が閉弁して倍力液圧発生室121および解放室132間が遮断され、制御ピストン66、第1反力ピストン67および押圧ロッド149がさらに前進する。この押圧ロッド149の前進に応じて増圧弁106では、先ず弁体147が摺動部材144の前端の第1の弁座143から離座して第1弁手段141が開弁し、次いで押圧ロッド149がさらに前進することにより摺動部材144が押圧ロッド149で押されることになり、弁部150が第2の弁座151から離座して第2弁手段142が開弁する。
また減圧弁107の閉弁状態では第1反力ピストン67の前端に倍力液圧発生室121の液圧が作用しており、ブレーキペダル11からのブレーキ操作入力と、倍力液圧発生室121の液圧に基づく液圧力とが釣り合うように第1反力ピストン67および制御ピストン66が後退することで減圧弁107が開弁するとともに増圧弁106が閉弁し、そのような増圧弁106および減圧弁107の開閉を繰り返すことで、液圧発生源12の出力液圧がブレーキペダル11からのブレーキ操作入力に応じた倍力液圧に調圧されて倍力液圧発生室121に作用することになる。またバックアップピストン64に対する制御ピストン66の前進方向の移動量が所定値以上になると、制御ピストン66には第1反力ピストン67だけでなく第2反力ピストン68も当接することになり、入力室113の液圧によって第2反力ピストン68を後方に向けて押圧する液圧力ならびに反力ばね112のばね力も反力として加わるので、制御ピストン66に作用する反力は大きくなる。
図1に注目して、倍力液圧作用室22に通じるようにしてボディ17に設けられている接続ポート77は、常閉型の自動ブレーキ加圧用リニアソレノイド弁184を介して液圧発生源12に接続されるとともに、リザーバ31の第3液溜め室31cに常閉型の回生協調用減圧リニアソレノイド弁185を介して接続される。すなわち倍力液圧作用室22および液圧発生源12間に常閉型の自動ブレーキ加圧用リニアソレノイド弁184が介設され、倍力液圧作用室22およびリザーバ31間に常閉型の回生協調用減圧リニアソレノイド弁185が介設される。
また倍力液圧発生室121に通じる出力ポート79は、直列に接続された常開型の自動ブレーキ減圧用リニアソレノイド弁186および常開型の回生協調用加圧リニアソレノイド弁187を介して前記接続ポート77に接続されており、第1の一方向弁188が、前記出力ポート79から接続ポート77側への作動液の流通を許容するようにして自動ブレーキ減圧用リニアソレノイド弁186に並列に接続され、第2の一方向弁189が、前記接続ポート77から前記出力ポート79側への作動液の流通を許容するようにして前記回生協調用加圧リニアソレノイド弁187に並列に接続される。
すなわち倍力液圧発生室121および倍力液圧作用室22間に、第1の一方向弁188が並列に接続された自動ブレーキ減圧用リニアソレノイド弁186が介設されるとともに、第2の一方向弁189が並列に接続された回生協調用加圧リニアソレノイド弁187が介設されることになる。
しかも出力ポート79および自動ブレーキ減圧用リニアソレノイド弁186間にはブレーキ操作量検出用液圧センサ190が接続され、回生協調用加圧リニアソレノイド弁187および接続ポート77間に自動ブレーキフィードバック制御用液圧センサ191が接続される。
このように液圧発生源12および倍力液圧作用室22間には、常閉型の自動ブレーキ加圧用リニアソレノイド弁184が介設され、倍力液圧発生室121および倍力液圧作用室22間には、常開型の自動ブレーキ減圧用リニアソレノイド弁186と、倍力液圧発生室121から倍力液圧作用室22側へのブレーキ液の流通を許容するようにして自動ブレーキ減圧用リニアソレノイド弁186に並列に接続される第1の一方向弁188とが介設されることにより、ブレーキペダル11の非操作時、すなわち調圧弁手段65の非作動時にも、自動ブレーキ加圧用リニアソレノイド弁184および自動ブレーキ減圧用リニアソレノイド弁186を開閉制御して倍力液圧作用室22の液圧を調圧することにより、非ブレーキ操作状態で車輪ブレーキB1〜B4にブレーキ液圧を作用せしめるようにした自動ブレーキ制御を行うことができる。しかも自動ブレーキ時に自動ブレーキ減圧用リニアソレノイド弁186が閉弁している状態でブレーキペダル11を操作することで調圧弁手段65が作動して、倍力液圧作用室22の液圧よりも高い液圧が倍力液圧発生室121に生じたときには、第1の一方向弁188を介して倍力液圧発生室121の液圧を倍力液圧作用室22に作用せしめることができ、通常のブレーキ操作時と同様にマスタシリンダMを作動せしめることができる。
また倍力液圧作用室22およびリザーバ31間に、常閉型の回生協調用減圧リニアソレノイド弁185が介設され、倍力液圧発生室121および倍力液圧作用室22間には、常開型の回生協調用加圧リニアソレノイド弁187と、倍力液圧作用室22から倍力液圧発生室121側へのブレーキ液の流通を許容するようにして回生協調用加圧リニアソレノイド弁187に並列に接続される第2の一方向弁189とが介設されているので、ブレーキ操作状態での回生時に、回生協調用加圧リニアソレノイド弁187および回生協調用減圧リニアソレノイド弁185を開閉制御して倍力液圧作用室22の液圧を調圧することにより、通常のブレーキ時とはオフセットした状態のブレーキ液圧をマスタシリンダMから出力することができ、回生協調用加圧リニアソレノイド弁187の閉弁時にブレーキペダル11を戻したときには、第2の一方向弁189を介して倍力液圧作用室22の液圧をリザーバ31側に逃がすことが可能となる。
図6に注目して、ストロークシミュレータ14は、制御ピストン66の前端の端壁66aとの間にストローク液室193を形成して制御ピストン66に液密にかつ軸方向摺動可能に嵌合される入力部材としての入力ピストン194と、該入力ピストン194および前記制御ピストン66の端壁66a間に介装されるようにしてストローク液室193に収容される弾発手段195とを備えて制御ピストン66に内蔵される。
入力ピストン194は、制御ピストン66の後端部に装着される止め輪196によって後退限位置が規制されるようにして、制御ピストン66の後部に摺動可能に嵌合され、ブレーキペダル11に連なる入力ロッド197の前端部が入力ピストン194に首振り可能に連接される。すなわち入力ピストン194には、ブレーキペダル11の操作に応じたブレーキ操作力が入力ロッド197を介して入力され、そのブレーキ操作力の入力に応じて入力ピストン194は前進作動する。しかも入力ピストン194の外周には、制御ピストン66の内周に摺接する環状のシール部材198が装着される。
弾発手段195は、ゴム等の弾性材料によって筒状に形成される弾性体199と、弾性体199よりもばね荷重を小さく設定した金属製のコイルばね200とが、制御ピストン66にスライド可能に収容されるスライド部材201を介して直列に接続されて成るものであり、弾性体199がスライド部材201および入力ピストン194間に介設され、コイルばね200が制御ピストン66の前端の端壁66aおよびスライド部材201間に介設される。
しかも弾性体199およびコイルばね200は、ブレーキペダル11のブレーキ操作初期にはコイルばね200が発揮するばね力が制御ピストン66に作用し、スライド部材201が制御ピストン66の前端の端壁66aに当接することでコイルばね200のばね力の制御ピストン66への作用が終了した後に弾性体199の弾性変形が開始されるようにして、入力ピストン194および制御ピストン66間に直列に介装されるものである。
またコイルばね200のセット荷重は、前後方向のばね力を発揮するようにしてコイルばね200と直列に接続される他のばね部材のセット荷重よりも小さく設定されるものであり、この実施例では、第1反力ピストン67および制御ピストン66の端壁66aを介してコイルばね200に直列に接続されて倍力液圧発生室121に収容されるばね134のセット荷重よりも小さく設定される。
スライド部材201の中央部には、制御ピストン66と同軸にして弾性体199を貫通するガイド軸202の前端部が圧入されており、このガイド軸202の後端部は、入力ピストン194に摺動可能に嵌合される。すなわち入力ピストン194の中央部には、ガイド軸202の後端部を摺動可能に嵌合せしめる摺動孔203と、該摺動孔203よりも大径に形成されて摺動孔203の後部に前端を連ならせるとともに後端を閉じた有底孔204とが同軸に設けられており、ガイド軸202の後端部は入力ピストン194がガイド軸202に対して前方に相対移動するのに応じて有底孔204に突入される。
制御ピストン66の前端の端壁66aには、その端壁66aの前面を臨ませた解放室132をストローク液室193に連通させる複数の貫通孔205…が、制御ピストン66の中心からの距離を同一として穿設されており、制御ピストン66内のストローク液室193には、それらの貫通孔205…を介して作動液が導入される。
前記各貫通孔205…は、制御ピストン66が所定の前進ストローク以上前進したときに、バックアップピストン64に固定されるシートストッパ135で閉じられるものであり、このシートストッパ135は、外周をバックアップピストン64における後側小径部64bの内周に圧入することで内向き鍔部64dに当接するようにしてバックアップピストン64に固定されるリテーナ206と、該リテーナ206に保持される弾性シール部材207とから成る。
図9において、リテーナ206は、前記内向き鍔部64dに後方から当接するリング板部206aと、第2反力ピストン68の延長筒部68bを囲んで円筒状に形成されるとともにリング板部206aの内周部に前端が連なる内筒部206bと、該内筒部206bを同軸に囲繞する円筒状にして前記リング板部206aの外周部に前端が連なる外筒部206cとを一体に有して、剛性を有する材料たとえば金属によってリング状に形成されるものであり、前記延長筒部68bおよび内筒部206b間に環状の微小間隙208を形成するようにして外筒部206cがバックアップピストン64に圧入される。
弾性シール部材207は、前記制御ピストン66の半径方向に沿って前記貫通孔205…の内側および外側で端壁66aの前面に接触することで各貫通孔205…を塞ぐようにした内外二重の円筒状のリップ部207a,207bを有するものであり、内筒部206bおよび外筒部206c間に挿入されてリテーナ206に焼き付け接着され、制御ピストン66の端壁66aが当接していない自然な状態では前記リップ部207a,207bの一部はリテーナ206から制御ピストン66側に突出する。
しかもリテーナ206における内筒部206bおよび外筒部206cは、弾性シール部材207のリップ部207a,207bを端壁66aに接触させた状態から制御ピストン66がさらに前進したときには、弾性シール部材207の外側で前記端壁66aの前面に当接してメタルタッチを得ることが可能であり、制御ピストン66の半径方向に沿って貫通孔205…の内側および外側で端壁66aの前面に接触している前記リップ部207a,207bの半径方向外方で外筒部206cが端壁66aの前面に接触するとともに前記リップ部207a,207bの半径方向内方で内筒部206bが端壁66aの前面に接触することになる。
またリテーナ206の背面すなわちリング板部206aおよび外筒部206cの外面には、制御ピストン66の端壁66aが弾性シール部材207のリップ部207a,207bに接触した状態で、リテーナ206の内方側を解放室132のうち制御ピストン66の外側部分に通じさせる連通溝209が設けられる。
すなわち制御ピストン66の端壁66aが弾性シール部材207のリップ部207a,207bに接触した状態では、第2反力ピストン68の延長筒部68bも前記端壁66aに接触しており、リテーナ206および延長筒部68b間は、微小間隙208および連通溝209を介して、解放室132のうち制御ピストン66の外側部分に通じることになり、制御ピストン66の端壁66aが弾性シール部材207に接触した状態において、弾性シール部材207よりも内方でリテーナ206の後部が臨む空間が制御ピストン66の後退に応じて負圧になることはなく、大気圧に維持される。
再び図6において、制御ピストン66は、入力ピストン194よりも前方側でその内周面の一部を前方に向かうにつれて小径となるテーパ面210として有底円筒状に形成されており、この実施例では、制御ピストン66の前半寄りの部分が内周面をテーパ面210としたテーパ筒部66bとして形成される。
スライド部材201は、前記テーパ面210よりも前方で制御ピストン66内にスライド可能に収容される。またスライド部材210および入力ピストン194間に介装される弾性体199は、入力ピストン194の前進作動に伴う軸方向圧縮力の作用に応じて弾性変形するとともに前記軸方向圧縮力の増大に応じて前記テーパ面210による拘束で前部から順次変形が阻止されるようにして筒状に形成されるものであり、荷重の非作用状態では外径を軸方向全長にわたって同一とした円筒状である。
ところで、入力ピストン194に嵌合することで該入力ピストン194に後端部を支持せしめたガイド軸202は、その軸方向全長にわたる解放路211を同軸に有して円筒状に形成されるものであり、入力ピストン194において、シール部材198が装着される部分よりも前部には、解放路211に通じる有底孔204に内端を開口した複数の通路212…が入力ピストン194の半径方向に沿うようにして設けられる。而して各通路212…ならびに前記有底孔204は、ストローク液室193において弾性体199および制御ピストン66間をガイド軸202の解放路211に連通させる。
またスライド部材201には、前記解放路211の前端に同軸に連なる解放路213が設けられ、スライド部材201が制御ピストン66の前端の端壁66aに当接したときに解放路213が端壁66aで塞がれることを回避するための複数の溝214…が半径方向に沿ってスライド部材201の前端面に設けられる。
このような構成により、制御ピストン66の前進時に貫通孔205…がシートストッパ135で閉じられてストローク液室193が液圧ロック状態となるまでは、制御ピストン66内の弾性体199および制御ピストン66間は、通路212…、有底孔204、解放路211,213、溝214および貫通孔205…を介して解放室132に連通している。すなわち弾性体199および制御ピストン66間は、作動液を制御ピストン66内に密閉するまでの制御ピストン66の前進ストロークでは解放室132すなわちリザーバ31に連通されることになる。
ブレーキペダル11に連なる入力ロッド197には、制御ピストン66のボディ17からの突出部を覆うブーツ215の後端部が取付けられており、このブーツ215の前端部はボディ17の後端部に取付けられる。しかもボディ17の後端部には、ブーツ215内を外部に通じさせる解放通路216が設けられる。
次にこの実施例の作用について説明すると、タンデム型のマスタシリンダMは、倍力液圧発生室22に背面を臨ませた後部マスタピストン23と、該後部マスタピストン23との間に後部出力液圧室25を形成するとともに前面を前部出力液圧室26に臨ませた前部マスタピストン24とがシリンダ体16に摺動可能に収容されて成り、前記シリンダ体16とともにケーシング15を構成するようにしてシリンダ体16に連なるボディ17には、短円筒状のセパレータ18と、該セパレータ18との間に流路94を形成してセパレータ18よりも後方に配置される円筒状の第1スリーブ19と、第1スリーブ19よりも後方に配置される段付き円筒状の第2スリーブ20とが液密に嵌合、固定される。また液圧発生源12の液圧失陥時に後部マスタピストン23を直接押圧し得るバックアップピストン64が、第1スリーブ19の内周との間に前記流路94に通じる環状路93を形成しつつセパレータ18、第1スリーブ19および第2スリーブ20に摺動可能に嵌合されており、環状路93の前側をシールするOリング95がバックアップピストン64の外周に弾発接触するようにしてセパレータ18の内周に装着され、環状路の後側をシールするOリング96が、第1スリーブ19の内周に弾発接触するようにしてバックアップピストン64の外周に装着されている。
したがって後部マスタピストン23を直接押圧するようにしてバックアップピストン64が前進しても、バックアップピストン64およびセパレータ18間をシールするOリング95が移動することはなく、したがってセパレータ18の軸方向長さを短く設定することができ、ケーシング15の軸方向長さも短くして車両用ブレーキ装置全体の軸方向短縮化に寄与することができる。
また第1スリーブ19が、セパレータ18の内径よりも大径かつ軸方向全長にわたる同一内径を有するように形成され、バックアップピストン64は、第1スリーブ19の内周との間に環状路93を形成してセパレータ18に摺動可能に嵌合される前側小径部64aと、前側小径部64aよりも大径に形成されて第1スリーブ19に摺動可能に嵌合される中間大径部64cとを有して段付きの円筒状に形成されるので、環状路93を容易に形成することができる。
ところで、ボディ17の内周には、接続ポート77の内端を開口せしめる環状凹部86と、入力ポート78の内端を開口せしめる環状凹部87と、出力ポート79の内端を開口せしめる環状凹部88とが設けられており、それらの環状凹部86,87,88をそれぞれ両側からシールするOリング89,90,91,92がマスタシリンダMのシリンダ体16、セパレータ18、第1スリーブ19および第2スリーブ20の外周に装着されるのであるが、セパレータ18、第1スリーブ19および第2スリーブ20のボディ17への嵌入方向に沿う各環状凹部86〜88の前縁相互の間隔L1,L2が、セパレータ18、第1スリーブ19および第2スリーブ20の前記ボディ17への嵌入時に複数の前記Oリング90〜92がそれらの前縁を同時に通過することを回避した値に設定されるものであり、この実施例では、環状凹部86,87の前記前縁相互の間隔L1はOリング90,91相互の間隔L3よりも小さく設定され、環状凹部87,88の前記前縁相互の間隔L2はOリング91,92相互の間隔L4よりも小さく設定される。
このような前記間隔L1〜L4の設定により、セパレータ18、第1スリーブ19および第2スリーブ20をボディに嵌合して組付ける際に、3つのOリング90〜92のうち複数すなわち少なくとも2つが環状凹部86〜88のうちの複数の嵌入方向前縁を同時に通過することはなく、セパレータ18、第1スリーブ19および第2スリーブ20の嵌入に大きな力は不要であり、大きな力を加えることなくセパレータ18、第1スリーブ19および第2スリーブ20を嵌合し得るのでOリング90〜92が損傷することはなく、セパレータ18、第1スリーブ19および第2スリーブ20のボディ17への嵌合、組付けを容易として組付け性を高めることができる。
ところでバックアップピストン64は、第2スリーブ20と、バックアップピストン64の後部に装着されるリテーナ102との間に縮設されてバックアップピストン64の後半部を囲繞する戻しばね103により、内向き鍔部17aにストッパ100を介して当接する後退限側に付勢されるものであり、マスタシリンダM側の後部戻しばね29は、バックアップピストン64を後退限側に付勢するばね力を発揮する必要はない。
したがって後部マスタピストン23を前進作動せしめるためには比較的小さなばね力を上回るだけの液圧を倍力液圧作用室22に作用せしめればよいので、ブレーキ操作初期にマスタシリンダMの作動開始が遅れてしまうことはなく、バックアップピストン64を後退限側に付勢する戻しばね103のばね力を比較的大きく設定することでバックアップピストン64を作動後に後退限に確実に戻すことができる。
また液圧ブースタ13が備える制御ピストン66は、倍力液圧発生室121の液圧低下時にはバックアップピストン64に当接して押圧作動せしめることを可能としてバックアップピストン64とは別体に形成されているので、バックアップピストン64の前端から制御ピストン66の後端までの公差を吸収して組付け性の向上を図ることができ、ブレーキペダル11の非操作状態で後退限にあるバックアップピストン64の前端が後部マスタピストン23に当接されるので、バックアップピストン64自体の液圧ブースタ13への組付け時の公差を管理することで、液圧ブースタ13およびマスタシリンダMを結合した際の無効ストロークの調整が不要となり、組付け性をさらに高めることができる。
しかもブレーキペダル11の非操作状態でバックアップピストン64の前端は後部マスタピストンの背面の周縁部全周に当接されるので、バックアップピストン64の押圧による後部マスタピストン23の円滑な作動を保証することができる。
さらにバックアップピストン64の前端および後部マスタピストン23の背面の当接部間に、液圧ブースタ13からの液圧をバックアップピストン64の前端および後部マスタピストンの背面に導く通路139が形成されており、バックアップピストン64の当接状態で後部マスタピストン23の背面全面に倍力液圧を容易に作用させることができる。また後部マスタピストン23の背面に、バックアップピストン64の前端との間に通路139を形成する溝140が設けられるので、バックアップピストン64の前端および後部マスタピストン23の背面間に通路139を容易に形成することができる。
また後部マスタピストン23には、その後部マスタピストン23の一直径線に沿うとともに後部マスタピストン23の軸線に沿う方向に長い貫通孔44が設けられており、マスタシリンダMはシリンダ体16に固定されるストッパピン43が貫通孔44に挿通されるようにしてセンタバルブ型に構成されるのであるが、前記溝140が、貫通孔44の軸線と平行にして後部マスタピストン23の背面に設けられるので、シリンダ体16への後部マスタピストン23の挿入時に該後部マスタピストン23の背面の溝140を位置出しとして用いることができ、組付け性の向上を図ることができる。
液圧ブースタ13で生じた倍力液圧は、ボディ17外に一旦取り出してから、シリンダ体16内の倍力液圧作用室22に導かれるものであり、シリンダ体16の後端およびセパレータ18間には、液圧ブースタ13からの倍力液圧が導かれる接続ポート77に通じる環状凹部86を倍力液圧作用室22に連通せしめる通路137が形成されており、シリンダ体16およびボディ17の外から倍力液圧を倍力液圧作用室22に導く通路構造を簡素化することができる。しかもシリンダ体16の後端にセパレータ18が当接されており、通路137は、シリンダ体16の上部後端に設けられる溝138とセパレータ18とで形成されるので、溝138によってシリンダ体16の上部位置を明示することでシリンダ体16およびボディ17の組付けが容易となり、倍力液圧作用室22からのエアー抜き性も向上する。
液圧ブースタ13は、ブレーキペダル11からのブレーキ操作入力が前進方向に作用するとともに倍力液圧発生室121の液圧に基づく反力が後退方向に作用する制御ピストン66と、該制御ピストン66の前進時に開弁するとともに制御ピストン66の後退時に閉弁するようにして倍力液圧発生室121ならび液圧発生源12に通じる入力室113間に介設される増圧弁106と、制御ピストン66の前進時に閉弁するとともに制御ピストン66の後退時に開弁するようにしてリザーバ31に通じる解放室132および倍力液圧発生室121間に介設される減圧弁107とを備えて、バックアップピストン64に内蔵されるのであるが、増圧弁106は、ブレーキ操作入力の増大に応じて順次開弁する第1および第2弁手段141,142とから成り、第2弁手段142のシール径が第1弁手段141のシール径よりも大きく設定されている。
このためブレーキ操作入力の小さなブレーキ操作初期には起動荷重(開弁に要する力)の小さな第1弁手段141の開弁によって初期応答性を確保することが可能であり、ブレーキペダル11を強く操作したときには第1および第2弁手段141,142がともに開弁するようにして応答性を高めることができ、増圧弁106の初期応答性向上を図るとともにブレーキペダル11を強く操作したときの増圧弁106の応答性も高めることができる。
また第1および第2弁手段141,142は制御ピストン66の軸線に沿う方向に並んで配置されるものであり、第1および第2弁手段141,142から成る増圧弁106をコンパクトに構成することができ、さらに第2弁手段142は、開弁した第1弁手段141からの流量が最大になう前に開弁を開始すべく構成される。したがって図10で示すように、押圧ロッド149の前進に応じて第1弁手段141が開弁した後に、第1弁手段141の最大開弁流通量に達する前に第2弁手段142が開弁するので、第1および第2弁手段141,142がブレーキ操作入力の増大に応じて連続して滑らかに開弁するようにして、段付き感が生じるのを回避し、優れた操作フィーリングを得ることができる。
増圧弁106の第1弁手段141は、バックアップピストン64に挿入、支持される被挿入手段156の少なくとも一部を構成するとともに第1の弁座143が設けられる摺動部材144と、液圧発生源12に通じるとともに第1の弁座143を臨ませる弁室145を形成して被挿入手段156の弁座部材117に取付けられるリテーナ146と、第1の弁座143に着座することを可能としつつリテーナ146に摺動可能に嵌合される弁体147と、該弁体147を第1の弁座143に着座させるように付勢しつつリテーナ146および弁体147間に設けられる第1の弁ばね148と、弁体147に当接することを可能として制御ピストン66に連動、連結されるとともに摺動部材144に軸方向移動可能に挿入される押圧ロッド149とを備えるものである。
このような第1弁手段141の構成によれば、バックアップピストン64に挿入される前の被挿入手段156の一部を構成する摺動部材144に第1の弁座143が設けられており、その被挿入手段156に取付けられるリテーナ146内の弁室145に弁体147を収容し、弁体147およびリテーナ146間に第1弁ばね148を介設するとともに摺動部材144に押圧ロッド149を挿入しておくことにより、増圧弁106の構成要素を被挿入手段156に組付けておくことができ、増圧弁106の組付性向上を図ることができる。
また液圧発生源12に通じる入力室113を弁室145に通じさせる連通孔165が弁体147の第1の弁座143への着座位置に関して弁体147とは反対側に位置するようにしてリテーナ146の側壁に設けられているので、連通孔165から弁室145に流入する高圧の作動液が弁体147の側方を流通して第1の弁座143側に流れることがなく、作動液の流れに弁体147が巻き込まれることを回避して弁体147の着座性向上を図ることができる。
第2弁手段142は、第1弁手段141と共通の構成要素である摺動部材144に設けられる弁部150と、該弁部150を着座させ得る第2の弁座151を有するとともに前記摺動部材144を摺動可能に嵌合せしめる弁座部材117と、第1弁手段141と共通の構成要素である前記リテーナ146と、弁部150を第2の弁座151に着座させるように付勢しつつリテーナ146および前記摺動部材144間に設けられる第2弁ばね152とを備え、第1および第2弁手段141,142に共通である押圧ロッド149が、ブレーキ操作入力の増大時に第1弁手段141の開弁後に前記摺動部材144をその弁部150が第2の弁座151から離座するように押圧すべく形成されている。
すなわち増圧弁106を2段階で開弁する弁構造としたにもかかわらず、摺動部材144、リテーナ146および押圧ロッド149を第1および第2弁手段141,142で共通な構成要素として部品点数の増大を抑えてコンパクトな構成とすることができる。
さらに弁座部材117の内面には、第2弁手段142における弁部150の第2の弁座151からの離座時には弁室145に一端を通じさせるとともに他端を倍力液圧発生室121に連通させ得るようにして軸方向に延びる流通溝161が設けられ、弁座部材117における摺動孔160および複数の流通溝161…は流通路162を形成するので、第2弁手段142の開弁時には、弁室145から流通路162を経て倍力液圧発生室121に作動液を流通させることができ、弁座部材117の内周直径を大径化することなく、すなわち液圧ブースタ13の大型化を招くことなく充分な作動液流通量を確保することが可能となる。しかも第1弁手段141の開弁時には、弁室145から環状室163に流入した作動液が連通孔164…を経て流通路162内を倍力液圧発生室121側に流通するので、第1弁手段141の開弁時にも流通抵抗を低くして弁室145の作動液を倍力液圧発生室121側に流通させることができる。
また弁座部材117の倍力液圧発生室121に臨む面に当接して流通路162の倍力液圧発生室121への開口端を閉じ得る円盤状の整流部材168の中央部に押圧ロッド149が摺動可能に嵌合され、該押圧ロッド149だけで軸方向の移動をガイドされる整流部材168が、液圧発生源12すなわち入力室113からの液圧が流通路162に作用するのに応じて弁座部材117から離間する程度のばね力で弁座部材117側に向けてばね付勢されており、増圧弁106の開弁に伴って液圧発生源12からの高圧の作動液が流通路162を経て倍力液圧発生室121に流入する際には、整流部材168を弁座部材117から離間するように押し退けて流入することで整流され、それにより増圧弁106の開弁に伴う作動音や脈動の発生を抑制することができる。しかも整流部材168の軸方向移動は、該整流部材168の中央部に摺動可能に嵌合される押圧ロッド149だけでガイドされるので、整流部材168の軸方向移動にあたって抵抗や引っ掛かりが生じることを回避して整流部材168の円滑な作動を保証することができる。
また整流部材168の流通路162に臨む受圧面積を変化させることで整流部材168の開弁圧を変化させることができ、設計の自由度を増大することができる。しかも整流部材168の流通路162に臨む面が平坦面168aに形成されているので、流通路162の内径や形状を変更するだけで整流部材168の開弁圧を変更することができ、設計の自由度をより増大することができる。
制御ピストン66には、倍力液圧発生室121の液圧を後退方向に作用せしめるようにして第1反力ピストン67が同軸に連接されており、この第1反力ピストン67は第2反力ピストン68に軸方向相対摺動可能に嵌合されるのであるが、第1反力ピストン67には減圧弁107の開弁時に倍力液圧発生室121に通じる解放路178が設けられ、該解放路178が、該解放路178からの作動液を一時的に貯留する一時貯留室180と、制御ピストン66の前面を臨ませてリザーバ31に通じる解放室132および一時貯留室180間に介設されるオリフィス181とを介して前記解放室132に接続されている。
このため減圧弁107の開弁に伴って倍力液圧発生室121の高圧が解放室132に逃がされるときには、第1反力ピストン67に設けられる解放路179から一時貯留室180およびオリフィス181を介して解放室132に作動液が流通するので、一時貯留室180に一時的に貯留された作動液の液圧がオリフィス181で絞られることになり、高圧の液圧を解放室132側に緩やかに解放して作動音の発生を抑制することができる。
また第1反力ピストン67の外周および第2反力ピストン68の内周には相互に対向する段部67b,68cがそれぞれ設けられ、一時貯留室180が、両段部67b,68c間で第1反力ピストン67を囲繞する環状に形成されるので、一時貯留室180を容易に形成することができる。
さらにオリフィス181は、第1反力ピストン67の外周および第2反力ピストン68の内周間に公差分だけの環状間隙を設定することにより形成されるものであり、オリフィス181の形成が容易である。
ストロークシミュレータ14は、ブレーキペダル11に入力ピストン194および制御ピストン66間に、弾性材料から成る弾性体199と、該弾性体199よりもばね定数の小さな金属製のコイルばね200とが、ブレーキ操作初期にコイルばね200が発揮するばね力の制御ピストン66への作用終了後に弾性体199の弾性変形が開始されるようにして直列に介装されて成るものであり、コイルばね200のセット荷重は、前後方向のばね力を発揮するようにしてコイルばね200と直列に接続される他のばね134のセット荷重よりも小さく設定されている。
したがって弾性体199にはコイルばね200からの荷重が予め作用した状態にあるので、弾性体199にへたりが生じたとしても、コイルばね200でそのへたりを吸収するようにして、通常ブレーキ時の無効ストローク感をなくし、弾性体199のへたりには関係なく、弾性体199およびコイルばね200による2段階の操作シミュレート特性を得ることができる。しかもブレーキ操作初期には、ストロークシミュレータ14のコイルばね200を変形させることで無効ストロークを得るようにし、ブレーキ操作初期のブレーキ操作入力を比較的小さなものとして、操作フィーリングを高めることができる。
ところで制御ピストン66は、内周面の一部を前方に向かうにつれて小径となるテーパ面210として円筒状に形成され、ストロークシミュレータ14の弾性体199は、テーパ面210よりも後方側で制御ピストン66に軸方向スライド可能に収容されるとともにブレーキペダル11に連なる入力ピストン194と、制御ピストン66間に介装されつつ制御ピストン66に収容されるものであり、この弾性体199は、入力ピストン194の前進動作に伴う軸方向圧縮力の作用に応じて弾性変形するとともに軸方向圧縮力の増大に応じて前記テーパ面210による拘束で前部から順次変形が阻止されるようにして筒状に形成されている。
すなわちブレーキペダル11のブレーキ操作に応じて入力ピストン194が前進するときには、図11で示すように、前進ストロークがS1に達するまではコイルばね200を圧縮することで入力荷重に応じてストロークが比例的に増加する。次いで、弾性体199を軸方向に圧縮しつつ入力ピストン194が前進するときには、その軸方向圧縮に応じて弾性体199が弾性変形するのであるが、前記軸方向圧縮力が増大するのに応じて制御ピストン66のテーパ面210による拘束で、弾性体199の弾性変形がその前部から順次阻止されるので、ブレーキペダル11の操作ストロークに対する入力荷重の変化量が大きくなる。それに対し、ブレーキペダル11によるブレーキ操作力を緩めるときには、テーパ面210による拘束で弾性体199の弾性変形が阻止されている状態では拘束に伴って増大した弾性エネルギーがブレーキ操作ペダル11にその戻し方向で作用するので、ストロークシミュレータ14でのブレーキ操作ストロークおよび操作荷重の関係に非線形の特性を持たせることができるとともにヒステリシス幅を大きくすることができ、ドライバの操作負担を軽減することができる。また、このことによって、マスタシリンダ、負圧ブースタおよび車輪ブレーキを組み合わせた一般的な車両用ブレーキ装置と同等の操作フィーリングを演出することができ、ドライバの違和感が少ない。
また弾性体199が、荷重の非作用状態では外径を軸方向全長にわたって同一とした円筒状に形成されるものであるので、弾性体199の形状を単純として弾性体199の成形を容易とし、弾性体199に偏荷重が発生することを回避して弾性体199の耐久性を高めることができる。
ところで、制御ピストン66内には作動液が導入されるものであり、弾性体199および制御ピストン66間は、作動液を制御ピストン66内に密閉するまでの制御ピストン66の前進ストロークではリザーバ31に連通されている。これにより制御ピストン66が所定の前進ストロークに達する前に制御ピストン66内の作動液が弾性体199および制御ピストン66間に介在したままロックされてしまうことがなく、弾性体199を制御ピストン66の内周面に確実に当接させて所望のヒステリシスを得ることが可能であり、操作性を損ねることがない。
また入力ピストン194には、弾性体199および制御ピストン66間をリザーバ31に通じさせる解放路211を同軸に有して弾性体199を貫通する円筒状のガイド軸202が支持されており、簡単な構成で解放路211を形成することができる。
制御ピストン66は、リザーバ31に通じてバックアップピストン63内に形成される解放室132に前面を臨ませるとともに貫通孔205が設けられる端壁66aを前端に有して有底円筒状に形成され、入力ピストン194は、端壁66aとの間にストローク液室193を形成して制御ピストン66に液密にかつ摺動可能に嵌合され、貫通孔205を制御ピストン66の所定以上の前進ストロークで閉じる弾性シール部材207が、剛性を有するとともにバックアップピストン64に圧入されるリテーナ206に保持されるので、制御ピストン66の所定量以上の前進ストローク時に制御ピストン66の前端の貫通孔205が閉じられると、ストローク液室193が密閉状態となって制御ピストン66に対する入力ピストン194の前進方向の相対移動が阻止されるので、液圧発生源12の失陥時にはストロークシミュレータ14により無効となるブレーキペダル11のストロークおよび反力の増大を抑えることができる。しかも制御ピストン66の所定以上の前進ストロークで制御ピストン66内に作動液を密閉するための構造が単純化されるものであり、さらに弾性シール部材207は、剛性を有するとともにバックアップピストン64に圧入されるリテーナ206に保持されるものであるので、リテーナ206すなわち弾性シール部材207のバックアップピストン64への組付けが容易となる。
また弾性シール部材207が、金属製のリテーナ206に焼き付け接着されることにより弾性シール部材207のリテーナ206への密着性を高めることができる。
さらに端壁66aには複数の貫通孔205…が設けられるので、入力ピストン194の作動に応じてストローク液室193および解放室132間で作動液を応答性よく流通させることが可能であり、それらの貫通孔205…を共通に閉じ得るリング状の前記弾性シール部材207がリング状に形成される前記リテーナ206に保持されるので、複数の貫通孔205…を単一の弾性シール部材207で閉じ得るようにして部品点数を少なくすることが可能となる。しかもリテーナ206の背面には、弾性シール部材207の端壁66aへの接触状態でリテーナ27の内方側を解放室132のうち制御ピストン66の外側部分に通じさせる連通溝209が設けられるので、弾性シール部材207で各貫通孔を閉じた状態で、リテーナ206の内方側は大気圧状態となっており、弾性シール部材207への接触状態から制御ピストン66が後退する際に、リテーナ206の前後に圧力差が生じることを回避し、圧力差が生じることによってリテーナ207のバックアップピストン64への固定状態が不安定となることを防止することができる。
さらに弾性シール部材207を保持するリテーナ206は、弾性シール部材207の外側で前記端壁66aの前面に当接してメタルタッチを得ることが可能であり、弾性シール部材207のリテーナ206からのはみ出しや、そのはみ出しによる食われが生じないようにして制御ピストン66の所定以上の前進ストロークで制御ピストン66内に作動液を密閉する際のシール性を高めることができる。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
たとえば上記実施例では、タンデム型のマスタシリンダMを倍力駆動する液圧ブースタについて説明したが、本発明は、単一のマスタピストンがケーシングに摺動可能に収容されるマスタシリンダを倍力駆動する液圧ブースタにも適用可能である。
車両用ブレーキ装置の全体構成を示すブレーキ液圧系統図である。 マスタシリンダの拡大縦断面図である。 液圧ブースタおよびストロークシミュレータの縦断面図である。 液圧ブースタの一部である増圧弁付近の閉弁状態での拡大縦断面図である。 液圧ブースタの一部である減圧弁付近の開弁状態での拡大縦断面図である。 制御ピストンおよびストロークシミュレータの拡大縦断面図である。 第1弁手段の開弁時の図4に対応した断面図である。 第2弁手段の開弁時の図4に対応した断面図である。 図5の9矢示部拡大図である。 増圧弁の開弁に伴う作動液の流通量変化を示す図である。 ストロークシミュレータの作用特性図である。
符号の説明
11・・・ブレーキ操作部材であるブレーキペダル
12・・・液圧発生源
13・・・液圧ブースタ
23・・・マスタピストン
31・・・リザーバ
66・・・制御ピストン
106・・・増圧弁
107・・・減圧弁
121・・・倍力液圧発生室
132・・・解放室
141・・・第1弁手段
142・・・第2弁手段
M・・・マスタシリンダ

Claims (3)

  1. ブレーキ操作部材(11)からのブレーキ操作入力が前進方向に作用するとともにマスタシリンダ(M)のマスタピストン(23)を作動せしめる液圧を発生する倍力液圧発生室(121)の液圧に基づく反力が後退方向に作用する制御ピストン(66)と、該制御ピストン(66)の前進時に開弁するとともに前記制御ピストン(66)の後退時に閉弁するようにして前記倍力液圧発生室(121)および液圧発生源(12)間に介設される増圧弁(106)と、前記制御ピストン(66)の前進時に閉弁するとともに前記制御ピストン(66)の後退時に開弁するようにしてリザーバ(31)に通じる解放室(132)および前記倍力液圧発生室(121)間に介設される減圧弁(107)とを備え、ブレーキ操作入力および前記倍力液圧発生室(121)の液圧に基づく反力が釣り合うように前記制御ピストン(66)が前後に作動することで前記液圧発生源(12)の液圧を調圧して前記倍力液圧発生室(121)に作用せしめる液圧ブースタにおいて、前記増圧弁(106)は、前記ブレーキ操作入力の増大に応じて順次開弁する第1および第2弁手段(141,142)とから成り、第2弁手段(142)のシール径が第1弁手段(141)のシール径よりも大きく設定されることを特徴とする液圧ブースタ。
  2. 第1および第2弁手段(141,142)が前記制御ピストン(66)の軸線に沿う方向に並んで配置されることを特徴とする請求項1記載の液圧ブースタ。
  3. 第2弁手段(142)は、第1弁手段(141)からの流量が最大になる前に開弁を開始すべく構成されることを特徴とする請求項1または2記載の液圧ブースタ。
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