JP2020055392A - 車体前部構造 - Google Patents
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車体前部構造のなかには、例えば、センタトンネルとダッシュロアパネルとの結合部周辺の衝突対策や振動対策の観点から、結合部周辺にエンジンルーム側から補強部材を取り付ける構成が知られている。この車体前部構造によれば、補強部材が結合部周辺とともに剛性の高い閉断面を形成することにより、結合部周辺を補強部材で補強することが可能になる。これにより、結合部周辺の強度・剛性が補強部材で確保され、車両の前面衝突による入力する荷重を支え、振動を抑制することが可能になる(例えば、特許文献1参照)。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、車体前後方向の振動を抑制でき、エンジンルームにおけるレイアウトの自由度を高めることができる車体前部構造を提供することを目的とする。
よって、センタトンネルの側壁とダッシュロアパネルとが交差する第1交差部を補強部材で補強できる。これにより、第1交差部を起点とする車体前後方向の振動を補強部材で抑制できる。
また、補強部材はフットレスト側に配置されている。よって、補強部材を車室側に配置して、エンジンルーム側に設ける必要がない。これにより、エンジンルームの空間を好適に確保でき、エンジンルームに動力源ユニットなどの部品を配置する際にレイアウトの自由度を高めることができる。
加えて、補強部材に対してスペーサを部分的に当接させることにより、当接部分の周囲には空間を確保できる。よって、例えば車両10の前面衝突時に、動力源ユニットなどがダッシュロアパネルに当たり、ダッシュロアパネルが部分的に変形して車室側に侵入した場合に、この空間によりダッシュロアパネルの変形を吸収できる。これにより、スペーサの変形を抑えることができ、フットレストの姿勢を維持できる。
さらに、座面をビード状の当接部分に対応させることにより、座面を当接部分から離間させることができる。この当接部分にはスペーサが結合されている。よって、燃料配管の内部を流れる燃料の脈動振動がスペーサに直接伝わることを抑制できる。
これにより、スペーサの上端部が車体前方に移動するように回転することを抑制してスペーサを安定的に支持できる。
これにより、複数の凹部をセンタトンネルに強固に結合でき、センタトンネルにダッシュロアスチフナの結合端部を強固に結合できる。
ここで、例えば、フロアトンネルの上部にキックアップ部(すなわち、脆弱部)が設けられている場合、脆弱領域は、キックアップ部より車体前方に配置される。これにより、前面衝突により荷重が入力した際に、入力した荷重でキックアップ部が変形する前に、脆弱領域から変形が始まるように衝突変形の順番を制御でき、入力した荷重を好適に吸収することができる。
また、補強部材をフットレスト側に配置することにより、補強部材をエンジンルーム側に設ける必要がない。これにより、エンジンルームに動力源ユニットなどの部品を配置する際にレイアウトの自由度を高めることができる。
図1、図2に示すように、車両10は、車室11(図3参照)の前部、床部12などを形成する車体前部構造15を備えている。車体前部構造15は、センタトンネル21と、ダッシュロアユニット22と、フロアカバー23と、スペーサ24(図5参照)と、を備えている。
図2、図3に示すように、センタトンネル21は、車体幅方向中央において、ダッシュロアユニット22のダッシュロアパネル51および床部12のフロアパネル13から上方に隆起し、ダッシュロアパネル51およびフロアパネル13に沿って車体前後方向に延びている。センタトンネル21は、トンネル上壁26と、一対のトンネル側壁(側壁)27と、一対のトンネルフランジ28とを備えている。
トンネル上壁26、一対のトンネル側壁27、一対のトンネルフランジ28によりセンタトンネル21が断面ハット状に形成されている。
以下、一対のトンネル側壁27のうち、車幅方向右側のトンネル側壁27を「トンネル右側壁27」と称す。また、一対のトンネルフランジ28のうち、車幅方向右側のトンネルフランジ28を「トンネル右フランジ28」と称す。
キックアップ部31は、下方に向けた窪みを有するV字状に形成されている。キックアップ部31は、前面衝突により荷重が入力した際に、入力した荷重で好適に変形可能に脆弱部に形成されている。キックアップ部31を好適に変形させることにより、入力した荷重を吸収することができる。
カバー上壁35は、ダッシュロアユニット22のダッシュロアパネル51に対して上方で、かつ車体後方へ間隔をおいて配置されている。カバー上壁35は、ダッシュロアパネル51に沿って車体前方へ向けて上り勾配となるように平坦な傾斜状に形成されている。
また、カバー上壁35にはフットレスト41が車室11側から取り付けられている。フットレスト41は、トンネル右側壁27に隣接して、カバー上壁35に沿って車体前方へ向けて上り勾配となるように平坦な傾斜状に延びている。フットレスト41に搭乗者の足部43が車体後方の上側から載せられる。
ここで、膨出部33とダッシュロアパネルとの間の空間38にスペーサ24が収納されている。すなわち、フットレスト41は、スペーサ24により車室11側に突出した位置に支持(配置)される。
フロアカバー23やスペーサ24は、ダッシュロアユニット22により支持されている。
一対のロアクロスメンバユニット53は、センタトンネル21に対して左右対称に形成されている。また、一対の補強バー56は、センタトンネル21に対して左右対称に形成されている。
以下、一対のロアクロスメンバユニット53のうち、車幅方向右側のロアクロスメンバユニット53を「右ロアクロスメンバユニット53」と称す。一対の補強バー56のうち、車幅方向右側の補強バー56を「右補強バー56」と称す。
エンジンルーム62には、例えば、エンジンおよびトランスミッションが一体に構成される動力源ユニットなどの部品が収納される。
ダッシュロアパネル51は、縦壁(縦面)64と、傾斜壁(斜面)65とを有する。縦壁64は、傾斜壁65の上端部から鉛直に立ち上げられ、上端部にダッシュアッパパネル67(図1参照)が連結されている。
ダッシュロアパネル51の縦壁64の下端部に傾斜壁65が連結されている。傾斜壁65は、縦壁64の下端部から車体後方へ向けて下り勾配の傾斜状に延びている。縦壁64と傾斜壁65とが交差する部位で第2交差部66が形成される。傾斜壁65の後端部65aにフロアパネル13が連結され、フロアパネル13が車体後方へ向けて延びている。
支持片73に支持プレート74がボルト72、ナット75で取り付けられている。支持プレート74に燃料配管76がブラケット77で支持される。
ジョイントカバー52は、ダッシュロアパネル51からエンジンルーム62側に膨出され、カバー底部53bに貫通孔79を有する。貫通孔79にステリングロッドが貫通される。ステアリングロッド80(図5参照)にはステアリングホイールが連結される。
ロアクロスメンバ81は、ダッシュロアパネル51の傾斜壁65の上端部において、トンネル右側壁27からダッシュロアパネル51の右側部51a(図2参照)まで車幅方向外側へ向けて延びている。
前フランジ81bおよび後フランジ81cがダッシュロアパネル51に結合されることにより、V断面部81aとダッシュロアパネル51の傾斜壁65とにより閉断面が形成されている。
ロアクロスメンバ81の前フランジ81bのうちセンタトンネル21寄りの第1フランジ部位81dに第1補強部材82が設けられている。第1補強部材82は、第1フランジ部位81dからトンネル右側壁27に沿って車体前上方へ向けて延設されている。第1補強部材82は、ジョイントカバー52の貫通孔79より車幅方向内側に設けられている。
これにより、第1補強部材82を補強するために、第1補強部材82で閉断面を形成する必要や、補強用の部材を新たに備える必要がなく、部品点数の増加を抑えることができる。
よって、ダッシュロアパネル51の縦壁64と傾斜壁65とが交差する第2交差部66を第1補強結合部82aで補強できる。これにより、第2交差部66を起点とする車体前後方向の振動を第1補強結合部82a(すなわち、第1補強部材82)で抑制できる。
しかし、第1部位84と第2部位85とが第1補強結合部82a(すなわち、第1補強部材82)で補強されることにより、領域51bの強度・剛性が保たれている。これにより、ダッシュロアパネル51のうち、第1部位84と第2部位85との間の領域51bが振動することを抑制できる。
また、第1補強結合部82aは、第1部位84および第2部位85に結合される。すなわち、第1補強結合部82aはダッシュロアパネル51に結合されている。
このように、ダッシュロアパネル51およびトンネル右側壁27に第1補強部材82が結合される。これにより、トンネル右側壁27およびダッシュロアパネル51の2部材は、第1補強部材82により拘束される。
当接部分82cをビード形状とすることにより、当接部分82cの剛性が高められる。当接部分82cにスペーサ24の前面24aが部分的に当接される。よって、スペーサ24を当接部分82cで安定的に支持できる。
さらに、当接部分82cの剛性が高められることにより、ダッシュロアパネル51の縦壁64と傾斜壁65とが交差する第2交差部66を起点とする車体前後方向の曲げ変形に対する剛性を第1補強部材82で高めることにより確保できる。
よって、トンネル右側壁27とダッシュロアパネル51とが交差する第1交差部87(交点)を第1補強部材82で補強できる。これにより、第1交差部87を起点とする車体前後方向の振動を第1補強部材82で抑制できる。
ここで、エンジンルーム62には、例えば動力源ユニットなどが搭載されている。このため、例えば、車両10の前面衝突時に、動力源ユニットなどがダッシュロアパネル51に当たり、ダッシュロアパネル51が部分的に変形して車室11側に侵入することが考えられる。この場合に、空間89によりダッシュロアパネル51の変形を吸収できる。これにより、スペーサ24の変形を抑えることができ、フットレスト41の姿勢を維持できる。
すなわち、搭乗者がフットレスト41を足部43で踏み込む際に、フットレスト41に車室11側から車体前方に向けて荷重F1が入力する。入力した荷重F1は、スペーサ24を経て車体前方に伝えられる。よって、例えば、第1補強部材82の上端部82fが、スペーサ24の上面24bの延長線92より下方に配置された場合、スペーサ24の上端部24cを好適に支えることが難しい。このため、スペーサ24の上端部24cが車体前方に移動するように回転することが考えられる。
すなわち、搭乗者がフットレスト41を足部43で踏み込んだ状態において、スペーサ24の上端部24cを第1補強部材82で好適に支持できる。これにより、スペーサ24の上端部24cが車体前方に移動するように回転することを抑制してスペーサ24を安定的に支持できる。
複数の凹部95は、トンネル上壁26、トンネル上壁26とトンネル右側壁27とのトンネル交差部29、トンネル右フランジ28に位置し、車幅方向内側より車幅方向外側において車体の低い位置に配置されている。複数の凹部95は、凹状に形成されて、トンネル上壁26、トンネル交差部29、トンネル右フランジ28に結合される。
複数のたわみ部96は、複数の凹部95のうち、隣接する凹部95を連結するように湾曲状に形成されている。
これにより、前面衝突により荷重が入力した際に、入力した荷重でキックアップ部31が変形する前に、脆弱領域98から変形が始まるように衝突変形の順番を制御でき、入力した荷重を好適に吸収することができる。
よって、ダッシュロアパネル51の縦壁64において、第1補強部材82と、センタトンネル21と、ダッシュロアスチフナ54と、ダッシュロアミドルクロスメンバ55と、ジョイントカバー52とで環状に補強されたフレーム補強部102が形成されている。
11 車室
15 車体前部構造
21 センタトンネル
24 スペーサ
24b スペーサの上面
27 トンネル右側壁(センタトンネルの側壁)
41 フットレスト
51 ダッシュロアパネル
52 ジョイントカバー
54 ダッシュロアスチフナ
55 ダッシュロアミドルクロスメンバ
64 縦壁
65 傾斜壁
68 座面
71 固定部材
76 燃料配管
79 貫通孔
80 ステアリングロッド
81 ロアクロスメンバ(ダッシュロアクロスメンバ)
82 、第1補強部材(補強部材)
82a 第1補強結合部(補強結合部)
82c 当接部分
82d 第1結合部
82e 第2結合部
82f 第1補強部材の上端部
83 第2補強部材
84 第1部位
85 第2部位
92 延長線
94 結合端部
95 凹部
96 たわみ部
102 フレーム補強部
Claims (11)
- センタトンネルと、前記センタトンネルに連結されるダッシュロアパネルとを備えた車体前部構造において、
前記センタトンネルの側壁および前記ダッシュロアパネルを、少なくとも拘束する補強部材と、
前記補強部材に対して部分的に当接され、車室側にフットレストを支持するスペーサと、
を備える、ことを特徴とする車体前部構造。 - 前記補強部材は、前記ダッシュロアパネルと結合する補強結合部を有し、
前記補強結合部は、
前記ダッシュロアパネルの縦壁と傾斜壁とを拘束する、ことを特徴とする請求項1に記載の車体前部構造。 - 前記補強結合部は、
前記スペーサが部分的に当接される当接部分を有し、
前記当接部分は、
前記ダッシュロアパネルに対して離間した状態において車体上下方向に延設するビードを形成する、ことを特徴とする請求項2に記載の車体前部構造。 - 前記ダッシュロアパネルにおいて、前記センタトンネルの車幅方向外側に設けられたジョイントカバーを備え、
前記補強結合部は、
前記センタトンネルおよび前記ダッシュロアパネルが重ねられた第1部位に結合する第1結合部と、
前記ジョイントカバーおよび前記ダッシュロアパネルが重ねられた第2部位に結合する第2結合部と、
を有する、ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の車体前部構造。 - 前記ダッシュロアパネルは、
前記車室の反対側に突設され、燃料配管を固定する固定部材が取り付けられる座面を有し、
前記座面は、
前記ビードを形成する前記当接部分に対応して配置される、ことを特徴とする請求項3に記載の車体前部構造。 - 前記補強部材の上端部は、前記スペーサの上面に沿って延びる延長線と略同一まで延設されている、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の車体前部構造。
- 前記ダッシュロアパネルの前記車室側において車体上下方向に配設され、下端部を形成する結合端部で前記センタトンネルに結合されるダッシュロアスチフナを備え、
前記結合端部は、
車幅方向内側より車幅方向外側において車体の低い位置に配置され、凹状に形成された複数の凹部と、
前記複数の凹部のうち、隣接する凹部を連結する湾曲状に形成されたたわみ部と、を有し、
前記凹部が前記センタトンネルに結合される、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の車体前部構造。 - 前記補強部材および前記ダッシュロアスチフナは、
前記ダッシュロアパネルの縦壁において、前記補強部材の上端部と前記ダッシュロアスチフナの結合端部とが車体上下方向に間隔をおいて設けられている、ことを特徴とする請求項7に記載の車体前部構造。 - 前記ダッシュロアスチフナから車幅方向外側に前記ジョイントカバーまで延びるダッシュロアミドルクロスメンバを備え、
前記ダッシュロアパネルの縦壁において、
前記補強部材と、前記センタトンネルと、前記ダッシュロアスチフナと、前記ダッシュロアミドルクロスメンバと、前記ジョイントカバーとで環状のフレーム補強部が形成される、ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の車体前部構造。 - 前記センタトンネルから車幅方向外側に前記ダッシュロアパネルに沿って延び、前記ダッシュロアパネルとともに閉断面を形成するダッシュロアクロスメンバを備え、
前記補強部材は、
前記ダッシュロアクロスメンバから前記センタトンネルの側壁に沿って延設される、ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の車体前部構造。 - 前記ジョイントカバーは、ステアリングロッドが貫通する貫通孔を有し、
前記貫通孔より車幅方向内側に前記補強部材が設けられ、
前記ダッシュロアクロスメンバのうち、前記貫通孔より車幅方向外側の部位から第2補強部材が、前記補強部材に並行して延設される、ことを特徴とする請求項10に記載の車体前部構造。
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