JP2020051555A - シールリング - Google Patents

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佑樹 山添
Yuki Yamazoe
佑樹 山添
筧 幸三
Kozo Kakehi
幸三 筧
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Abstract

【課題】シールリングの内周面に形成されたゲート痕の環状溝底面への干渉を抑制しつつ、シールリングが装着された回転軸をハウジングの軸孔に挿通する際に環状溝へ落ち込みにくくし、環状溝からの過剰なはみ出しが抑制されるシールリングを提供する。【解決手段】シールリング1は、ハウジングの軸孔に挿通される回転軸に設けられた環状溝に装着されて、該環状溝の非密封流体側の側壁面に摺動自在に接触し、かつ上記軸孔の内周面に接触して、これら回転軸と軸孔との間の環状隙間を封止するものであり、シールリング1は、樹脂組成物の射出成形体であり、リング内周面3において、径方向内側へ突出したゲート痕8と、ゲート痕8よりも径方向内側へ突出し、シールリング1の径方向厚みを厚くする肉厚部7とを有している。【選択図】図1

Description

本発明は、オートマチックトランスミッション(以下、ATと記す)や無段変速機(以下、CVTと記す)など、油圧作動油などの流体の流体圧を利用した機器において、該流体を封止するために使用されるシールリングに関する。
AT、CVTなどの機器では、作動油を密封するためのオイルシールリングが要所に取り付けられている。例えば、ハウジングの軸孔に挿通される回転軸に設けられた対の離間した環状溝に取り付けられ、両環状溝間にある油路から供給される作動油を両シールリングの側面と内周面で受け、反対側の側面と外周面とで環状溝の側壁とハウジング内周面とをシールする。シールリングにおける各シール面は、環状溝の側壁、ハウジング内周面とそれぞれ摺動接触しつつ、両シールリング間の作動油の油圧を保持している。このようなシールリングは、充分なオイルシール性が要求される。
従来、このようなシールリングとして、射出成形によって製造された樹脂製のシールリングが知られている。射出成形について、例えば、特許文献1には、円環状のシールリングの全長ほぼ中央にゲートが設けられることが記載されている。また、特許文献2には、成形体の中央にあたる合い口対向部またはその近傍にゲートが設けられることが記載されている。このようにシールリングの略中央位置にゲートが設けられることで、溶融樹脂の充填バランスに優れ、均一な強度が得られるとしている。
特開平8−276508号公報 特開2004−353760号公報
上記特許文献では、シールリングの内周面側にゲートが設けられるため、シールリングの内周面にゲート痕が形成される。ゲート痕にはゲートカットで取り残されたゲートの一部が成形面から突出すおそれがある。
従来では、ゲート痕が環状溝底面に干渉しないように、シールリングの径方向厚みを薄くする設計が行われてきた。しかし、シールリングの径方向厚みを薄くすると、シールリングが装着された回転軸をハウジングの軸孔に挿通する際に、一方の半径側のシールリングが環状溝へ落ち込みやすくなる。一方の半径側のシールリングが環状溝に落ち込んだ状態では、落ち込んだ対向側のシールリングが環状溝からはみ出す部分が大きくなる。特に、シールリングの自由状態のリング外径が回転軸の外径よりも大きい場合には、シールリングのはみ出しが一層大きくなる。そのため、シールリングが装着された回転軸をハウジングの軸孔に挿通する際には、ハウジングとシールリングが干渉し、シールリングが破損してしまうおそれがある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、シールリングの内周面に形成されたゲート痕の環状溝底面への干渉を抑制しつつ、シールリングが装着された回転軸をハウジングの軸孔に挿通する際に環状溝へ落ち込みにくくし、環状溝からの過剰なはみ出しが抑制されるシールリングを提供することを目的とする。
本発明のシールリングは、ハウジングの軸孔に挿通される回転軸に設けられた環状溝に装着されて、該環状溝の非密封流体側の側壁面に摺動自在に接触し、かつ上記軸孔の内周面に接触して、これら回転軸と軸孔との間の環状隙間を封止するシールリングであって、上記シールリングは、樹脂組成物の射出成形体であり、上記シールリングは、リング内周面において、径方向内側へ突出したゲート痕と、該ゲート痕よりも径方向内側へ突出し、上記シールリングの径方向厚みを厚くする肉厚部とを有していることを特徴とする。
上記肉厚部は、上記シールリングの周方向に沿って、上記ゲート痕の周囲以外の領域に形成され、該肉厚部が形成された領域におけるシールリングの径方向厚みが一定であることを特徴とする。
上記ゲート痕の周囲の非肉厚部は、上記シールリングの周方向に沿うように形成され、平面視において、上記非肉厚部の周方向一端から周方向他端までを結ぶ円弧と、上記シールリングの円中心とを結ぶ線によって構成される扇の中心角が10〜45°であることを特徴とする。
上記シールリングのリング外径が25〜60mmであり、上記肉厚部が形成された領域におけるシールリングの径方向厚みが、上記リング外径の4.8〜5.5%であることを特徴とする。また、上記シールリングが接触する上記軸孔の内周面におけるハウジング内径よりも上記シールリングのリング外径の方が大きいことを特徴とする。
上記シールリングは、周方向の一部に複合ステップ形状の合い口を有しており、該合い口と対向する位置に上記ゲート痕を有することを特徴とする。
上記樹脂組成物のベース樹脂がポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂であることを特徴とする。
本発明のシールリングは、樹脂組成物の射出成形体であり、該シールリングは、リング内周面において、径方向内側へ突出したゲート痕と、該ゲート痕よりも径方向内側へ突出し、シールリングの径方向厚みを厚くする肉厚部とを有しているので、従来のシールリングの径方向厚みよりも肉厚となり、環状溝への落ち込みに対して有利となる。その結果、回転軸を軸孔へ挿通する際のシールリングのはみ出しが小さくなり、シールリングのハウジングとの干渉がなくなり、挿通時のシールリングの損傷(割れ、かじりなど)を防止できる。また、肉厚部は、該ゲート痕よりも径方向内側へ突出しているので、ゲート痕がリング内周面から突出せず、回転軸の環状溝への干渉を防ぐことができる。
肉厚部は、上記シールリングの周方向に沿って、上記ゲート痕の周囲以外の領域に形成され、該肉厚部が形成された領域におけるシールリングの径方向厚みが一定であるので、シールリングの径方向厚みを全体的に厚くすることができ、より落ち込みにくい構造にできる。
ゲート痕周囲の非肉厚部は、シールリングの周方向に沿うように形成され、平面視において、非肉厚部の周方向一端から周方向他端までを結ぶ円弧と、シールリングの円中心とを結ぶ線によって構成される扇の中心角が10〜45°であるので、シールリングの設計および製作上の問題を回避できる。
シールリングのリング外径が25〜60mmであり、肉厚部が形成された領域におけるシールリングの径方向厚みが、リング外径の4.8〜5.5%であるので、従来品(4.5%程度)に比べて肉厚となっているので、挿通時におけるシールリングの落ち込みに対して一層有利となる。
上記シールリングは、周方向の一部に複合ステップ形状の合い口を有しており、該合い口と対向する位置にゲート痕を有するので、ゲート位置は、シールリングの略中央に位置し、均一な強度の樹脂製シールリングが得られる。また、シールリングの合い口が、複合ステップ形状の合い口であるので、拡径を可能としつつも、良好なシール性を得ることができる。
樹脂組成物のベース樹脂が、PPS樹脂またはPEEK樹脂であるので、耐摩耗性、シール性、耐熱性、耐久性などに優れる。また、良好な曲げ弾性率が得られるため、環状溝に組み込む際に拡径しても割れることがない。
本発明のシールリングの一例を示す平面図である。 図1のシールリングのA部分の拡大図である。 図1のシールリングをハウジングに組み込む際の断面図である。 図3のシールリング周辺の拡大図である。 従来のシールリングの一例を示す平面図である。 本発明のシールリングの各寸法を示す部分拡大図である。 従来のシールリングの各寸法を示す部分拡大図である。
本発明のシールリングの一例を図1および図2に基づいて説明する。図1はシールリングの平面図であり、図2は図1のA部分の拡大図である。図1に示すシールリング1は、断面が略矩形の環状体である。リング外周面2とリング内周面3は、シールリング1の軸心方向に平行な面である。リング内周面3とリング側面4(両側面)との角部は、直線状、曲線状の面取りが設けられていてもよい。
シールリング1は、一箇所の合い口6を有するカットタイプのリングであり、弾性変形により拡径して回転軸の環状溝に装着される。シールリング1は、外力を受けない自由状態でシール面(ハウジング内壁)よりも僅かに大径に設定されており、封止流体の圧力によってシール面に密着する。合い口6の形状については、ストレートカット形状、アングルカット形状などにすることも可能であるが、封止流体のシール性に優れることから、図1に示す複合ステップカット形状を採用することが好ましい。
シールリング1は、リング内周面3において、径方向内側へ突出した突起状のゲート痕8と、ゲート痕よりも径方向内側へ突出し、シールリングの径方向厚みを厚くする肉厚部5を有する。本発明のシールリングは樹脂組成物の射出成形体であり、ゲート痕8は射出成形時に溶融樹脂が注入されるゲートの位置に形成される。
図1の形態において、肉厚部5は、シールリングの周方向に沿って、ゲート痕の周囲以外の領域に形成される。肉厚部5は、その径方向厚みが一定となるように形成される。肉厚部5の頂面5aは、シールリングが装着された回転軸をハウジングの軸孔に挿通する際に回転軸の環状溝と接触する面であり、リング外周面2とシールリング1の軸心方向に平行な面となっている。このように、ゲート痕8をゲート痕よりも突出した肉厚部5で囲むことにより、シールリングの径方向厚みを全体的にゲート痕8の高さHに相当する分厚くすることができる。その結果、従来のシールリングよりもリング径方向厚みが増すため、環状溝へ落ち込みにくくなる。
図2に示すように、本発明のシールリングは、肉厚部5の高さをh、ゲート痕8の突出高さ(以下、単に「ゲート痕の高さ」という)をHとすると、ゲート痕の高さHは肉厚部の高さhよりも低くなっている(h>H)。なお、ゲート痕の高さHは、ゲート痕周囲の非肉厚部7(図1で言うと内周面3)からゲート痕の最も突出した部分までの長さ(最大長さ)である。本発明では、h>Hの関係であることから、ゲート痕8が肉厚部5の頂面5a、厳密には、非肉厚部がないと仮定した場合に肉厚部5の頂面5aを周方向に沿って延伸して形成される仮想頂面から出っ張ることを防止でき、ゲート痕の環状溝底への干渉を防止できる。肉厚部の高さhとゲート痕の高さHは、上記関係を満たす範囲であれば特に限定されないが、H/hが0.2〜0.8であることが好ましく、0.3〜0.7であることがより好ましい。また、肉厚部の高さhは、具体的な数値として0.2〜0.3mmであることが好ましい。
非肉厚部について、より詳しく説明する。図1に示すように、平面視において、非肉厚部7は略円弧状である。非肉厚部7の周方向一方の端部(肉厚部5の頂面5aと非肉厚部7の一方の傾斜面との境界部)から非肉厚部7の周方向他方の端部(肉厚部5の頂面5aと非肉厚部7の他方の傾斜面との境界部)までを結ぶ円弧と、シールリング1の円中心とを結ぶと扇形が形成される。扇形の中心角θは、特に限定されないが、10〜45°が好ましく、20〜35°がより好ましい。中心角θが10°未満では、成形金型の設計が困難となるおそれがある。一方、中心角θが45°を超えると、内周部における非肉厚部の範囲が大きくなりすぎ、環状溝底へ非肉厚部が落ち込んでしまい、挿通時に不具合となるおそれがある。図1に示すように、非肉厚部7は、合い口6に対向する位置に形成されるとよい。具体的には、合い口6の中心を通る円中心線が扇形の中心角θを2等分するように非肉厚部7が形成されるとよい。さらに、ゲート痕8は合い口6と対向する位置であって、かつ、非肉厚部7の周方向略中央に形成されることがより好ましい。この場合、ゲート痕8から見て、周方向両側に一対の肉厚部が形成される。
図2に示すように、非肉厚部7と肉厚部5との境界部は、非肉厚部7の周方向両側に形成され、非肉厚部7に向かって傾斜した2つの傾斜面7b、7cとなっている。非肉厚部7の深さは肉厚部の高さhと等しくなっている。非肉厚部7の底面7aと傾斜面7b(傾斜面7c)とがなす角度(傾斜角度α)は、例えば30〜60°である。傾斜面7b、7cは、シールリングの軸方向に沿って一定の傾斜角度で形成される。傾斜面は、平面で形成されていてもよく、曲面で形成されていてもよい。非肉厚部7と肉厚部5との境界部を傾斜面とすることで、シールリングの内周部における内径変化が緩やかとなり、シールリングが環状溝へ落ち込みにくくなる。また、成形金型にゲートを設ける際に、ゲートが非肉厚部に干渉することがないため、非肉厚部7内にゲート痕8を容易に形成できる。
シールリングには、一般に、射出成形において成形金型からの突出し部分となる段部が設けられる。段部は、通常、シールリングの内周部に周方向全周にわたり形成される。肉厚部を有する本発明のシールリングでは、肉厚部が段部を兼ねた構成であることが好ましい。一方、非肉厚部7は、シールリング1の内周部において段部が形成されていない部分に相当する。段部(肉厚部5)は、内径コアピンで突かれる部分であり、周方向全域に必ずしも必要でない。そのため、段部を一部に形成しなくても突き出しに影響がない。なお、段部の径方向厚みは、肉厚部の高さhに相当する。
図3には、ハウジングに組み込む際の断面図を示す。図3において、シールリング1は、回転軸9に設けられた環状溝9aに装着されている。環状溝9aにおいて、回転軸9の外径面9bから環状溝9aの底面までの深さ(溝深さ)は、全周にわたり一定である。シールリング1の環状溝9aへの装着は、装着用の治具を用い、シールリング1を拡径させて行われる。図3に示すシールリング1は自由状態のシールリングを示しており、この状態のリング外径をRとする。リング外径Rは、回転軸9の外径r3よりも大きくなっている。回転軸9のハウジング10の軸孔11への挿通時において、シールリング1は回転軸9の外径面9bからはみ出した状態となっている。
ハウジング10は、シールリング1の外周面と接触する内壁部10aを有する。また、ハウジング10の軸方向一端側には、外側に向かって拡径するテーパ部10bが形成されている。このテーパ部10bがシールリング1を案内することで、シールリング1の軸孔11への挿通を容易にしている。図3に示すように、ハウジング10において、テーパ部10bの開口端部におけるハウジング内径をr1、内壁部10aにおけるハウジング内径をr2とすると、リング外径Rは、ハウジング内径r1よりも小さく、ハウジング内径r2よりも大きくなっている。回転軸9の挿通時には、シールリング1の落ち込み、リング外径R、回転軸9の偏芯量を考慮して、テーパ部10bよりも径方向外側にシールリング1の外周面が飛び出さない設計とする必要がある。シールリングの外周面が外側に飛び出すと、挿通時にハウジング10の側面10cとシールリング1のリング側面とが面接触するため、シールリング1が破損するおそれがある。
図4には、図3のシールリング周辺の一部拡大図を示す。図4に示すように、ゲート痕8の高さHは肉厚部の高さhよりも低くなっており、肉厚部の頂面5aが環状溝9aの底面と接触するため、ゲート痕8の環状溝9aの底面への干渉を防止できる。
本発明のシールリングは、上述したように、ゲート痕の周囲に肉厚部を有するため、径方向厚みT1を維持でき、従来品に比べて肉厚とすることができる。この場合、シールリング1が環状溝底に落ち込んだとしても、該溝底の対向側のリング外周面のはみ出しが抑えられる。その結果、リング外周面がテーパ部10b内に位置するため、テーパ部10bよりも外側に飛び出すことを防止できる。
本発明のシールリングの自由状態の外径は、特に限定されないが、25〜60mmであることが好ましい。リング外径が25〜60mmの場合、シールリングの径方向厚みT1は、4.8〜5.5%であることが好ましい。径方向厚みT1がリング外径の4.8%未満の場合(例えば、従来のシールリングは4.5%程度)、シールリングがテーパ部よりも外側に飛び出しやすくなる。また、径方向厚みT1がリング外径の5.5%より厚い場合、環状溝への組み込み時にシールリングが割れるおそれがある。より好ましくは、シールリングの径方向厚みT1をリング外径の4.8〜5.2%に設定する。また、具体的な数値として、リング外径が25〜60mmの場合、肉厚部が形成された領域における径方向厚みは1.4〜3.0mmである。
一方、図5に従来のシールリングを示す。シールリング21は、内周面23から径方向内側へ突出したゲート痕28を有する。シールリング21では、リング内周部において、段部25が全周に形成され、さらに段部25の径方向内側にゲート痕28が形成されている。シールリング21は、ゲート痕28の環状溝への干渉を考慮して、リング径方向厚みT2が薄く設計されている。図3の挿通時において、シールリング21が環状溝底に落ち込んだ場合には、該溝底の対向側のリング外周面のはみ出しが大きくなる。その結果、リング外周面がテーパ部10bよりも外側に飛び出しやすくなり、シールリング21が破損するおそれがある。
ハウジング10の軸孔11に回転軸9を挿通した後において、シールリング1は、そのリング側面で、環状溝9aの非密封流体側の側壁面に摺動自在に接触する。また、そのリング外周面で軸孔11の内周面(ハウジング10の内壁部10a)に接触する。このシール構造により、シールリング1は、回転軸9と軸孔11との間の環状隙間12を封止する。また、密封される作動油は用途に応じた種類が適宜用いられる。例えば、油温として30〜150℃程度、油圧として0.5〜3.0MPa程度、回転軸の回転数として1000〜7000rpm程度の条件で使用される。
本発明のシールリングは、上述のとおり樹脂組成物の射出成形体である。樹脂組成物のベース樹脂としては、射出成形可能な合成樹脂であれば任意のものを使用できる。例えば、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)樹脂、PEEK樹脂、PPS樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂、フェノール(PF)樹脂などが挙げられる。なお、これらの樹脂は単独で使用しても、2種類以上混合したポリマーアロイとしてもよい。これらの樹脂の中でも特に、摩擦摩耗特性、曲げ弾性率、耐熱性、摺動性などに優れることから、PPS樹脂またはPEEK樹脂をベース樹脂として用いることが好ましい。これらの樹脂は高い弾性率を有し、環状溝に組み込む際に拡径しても割れ難く、シールする作動油の油温が高くなる場合でも使用でき、また、ソルベントクラックの心配もない。
また、必要に応じて上記ベース樹脂に、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などの繊維状補強材、球状シリカや球状炭素などの球状充填材、マイカやタルクなどの鱗状補強材、チタン酸カリウムウィスカなどの微小繊維補強材を配合できる。また、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、グラファイト、二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤、リン酸カルシウム、硫酸カルシウムなどの摺動補強材、カーボンブラックなども配合できる。これらは単独で配合することも、組み合せて配合することもできる。特に、PPS樹脂またはPEEK樹脂に、繊維状補強材である炭素繊維と、固体潤滑剤であるPTFE樹脂とを含むものが、本発明のシールリングに要求される特性を得やすいので好ましい。炭素繊維を配合することで、曲げ弾性率などの機械的強度の向上が図れ、PTFE樹脂の配合により摺動特性の向上が図れる。
以上の諸原材料を溶融混練して成形用ペレットとし、これを用いて射出成形法により所定形状に成形する。溶融樹脂を注入するゲートのゲート方式は特に限定されないが、成形後のゲートカット処理が不要となることからサブマリンゲート方式を用いることが好ましい。
図6には、本発明のシールリングの各寸法の一例を示す。図6(a)は図1のA部の拡大図であり、図6(b)は、図1のB部の拡大図である。このシールリングは、リング外径28mmである。リング径方向厚みT1は1.4mmであり、リング外径の5%である。ゲート痕のゲート高さHは、肉厚部の高さh(0.20mm)よりも小さくなっている。
図7には、従来のシールリングの各寸法の一例を示す。図7(a)は図5のA部の拡大図であり、図7(b)は、図5のB部の拡大図である。このシールリングは、リング外径28mmである。リング径方向厚みT2は1.2mmであり、リング外径の4.3%である。ゲート痕のゲート高さHは、0.20mmよりも小さく設定されている。図6および図7より、本発明のシールリングの方が全体的に径方向厚みが大きくなっており、環状溝への落ち込みに対して有利となっている。
本発明のシールリングは、シールリングの内周面に形成されたゲート痕の環状溝底面への干渉を抑制しつつ、環状溝へ落ち込みにくくし、環状溝からの過剰なはみ出しが抑制されるので、回転軸の環状溝に装着されるシールリングとして広く使用できる。
1 シールリング
2 リング外周面
3 リング内周面
4 リング側面
5 肉厚部
6 合い口
7 非肉厚部
8 ゲート痕
9 回転軸
10 ハウジング
11 軸孔
12 環状隙間

Claims (7)

  1. ハウジングの軸孔に挿通される回転軸に設けられた環状溝に装着されて、該環状溝の非密封流体側の側壁面に摺動自在に接触し、かつ前記軸孔の内周面に接触して、これら回転軸と軸孔との間の環状隙間を封止するシールリングであって、 前記シールリングは、樹脂組成物の射出成形体であり、
    前記シールリングは、リング内周面において、径方向内側へ突出したゲート痕と、該ゲート痕よりも径方向内側へ突出し、上記シールリングの径方向厚みを厚くする肉厚部とを有していることを特徴とするシールリング。
  2. 前記肉厚部は、前記シールリングの周方向に沿って、前記ゲート痕の周囲以外の領域に形成され、該肉厚部が形成された領域におけるシールリングの径方向厚みが一定であることを特徴とする請求項1記載のシールリング。
  3. 前記ゲート痕の周囲の非肉厚部は、前記シールリングの周方向に沿うように形成され、平面視において、前記非肉厚部の周方向一端から周方向他端までを結ぶ円弧と、前記シールリングの円中心とを結ぶ線によって構成される扇の中心角が10〜45°であることを特徴とする請求項2記載のシールリング
  4. 前記シールリングのリング外径が25〜60mmであり、
    前記肉厚部が形成された領域におけるシールリングの径方向厚みが、リング外径の4.8〜5.5%であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項記載のシールリング。
  5. 前記シールリングが接触する前記軸孔の内周面におけるハウジング内径よりも前記シールリングのリング外径の方が大きいことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項記載のシールリング。
  6. 前記シールリングは、周方向の一部に複合ステップ形状の合い口を有しており、該合い口と対向する位置に前記ゲート痕を有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項記載のシールリング。
  7. 前記樹脂組成物のベース樹脂がポリフェニレンサルファイド樹脂またはポリエーテルエーテルケトン樹脂であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項記載のシールリング。
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