JP2017172606A - シールリング - Google Patents

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南宣 朴
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直久 大矢
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Abstract

【課題】ポケットを有するシールリングにおいてフリクションロスを更に低減可能な技術を提供する。【解決手段】シールリングは、複数のポケット底部と、複数の柱部と、複数の凸面部と、複数の斜面部と、を具備する。上記複数のポケット底部は、内周面における周方向の寸法の合計が内周面の全周の寸法に対して20%以上となるように側面に間隔をあけて設けられ、外周面側が閉塞され、内周面側が開放されている。上記複数の柱部は、上記複数のポケット底部の間にそれぞれ配置されている。上記複数の凸面部は、上記複数のポケット底部と上記複数の柱部との間にそれぞれ配置され、上記側面側に突出するR面であり、上記複数の柱部の上記側面から上記複数のポケット底部に向けて延びる。上記複数の斜面部は、上記複数の凸面部と上記複数のポケット底部との間にそれぞれ配置され、上記複数の凸面部と上記複数のポケット底部とを接続する。【選択図】図3

Description

本発明は、油圧機器などに利用可能なシールリングに関する。
油圧式の自動変速機などの各種油圧機器にはシールリングが用いられる。シールリングは、ハウジングに挿通されるシャフトの溝部に嵌め込まれ、ハウジングとシャフトとの間を封止する。このようなシールリングでは、油圧機器の駆動時に、シャフトとの間の相対的な回転により、側面とシャフトの溝部の側壁面との間に摩擦損失(フリクションロス)が生じる。
このようなフリクションロスが大きいと、油圧機器全体としての駆動損失が増大するため、例えば、油圧機器が搭載された自動車において燃費が低下する。したがって、シールリングとシャフトとの間に生じるフリクションロスを低減させる技術が求められる。
特許文献1,2には、シールリングとシャフトとの間に生じるフリクションロスを低減させる技術が開示されている。
特許文献1に係るシールリングは、両側面が外周面から内周面に向けて間隔が狭くなるように傾斜した構成を有する。この構成により、シールリングとシャフトの溝部の側壁面との接触が面接触ではなく線接触になるため、シールリングとシャフトとの間の摩擦が抑制される。
特許文献2に係るシールリングは、側面にポケットが設けられた構成を有する。この構成では、シールリングに油圧が加わると、オイルがシールリングのポケットに入り込む。ポケットに入り込んだオイルは、シールリングに対して、シャフトの溝部の側壁面から離間する方向のキャンセル荷重を加える。これにより、シールリングとシャフトとの間の摩擦が抑制される。
このように、特許文献1,2に開示された技術では、シールリングの側面とシャフトの溝部の側壁面との間の摩擦が抑制されるため、シールリングとシャフトとの間に生じるフリクションロスが低減される。
特許第3437312号公報 特許第4676333号公報
しかしながら、特許文献1に係るシールリングでは、シールリングの側面とシャフトの溝部の側壁面とが面接触しないため、シールリングとシャフトとの間のシール性が充分に得られない場合がある。
一方、特許文献2に係るシールリングでは、シールリングの側面とシャフトの溝部の側壁面とが面接触するため、特許文献1に係るシールリングよりも高いシール性が得られる反面、フリクションロスが大きくなりやすい。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、ポケットを有するシールリングにおいてフリクションロスを更に低減可能な技術を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るシールリングは、外周面と、内周面と、側面と、複数のポケット底部と、複数の柱部と、複数の凸面部と、複数の斜面部と、を具備する。
上記内周面は、上記外周面に対向する。
上記側面は、上記外周面と上記内周面とを接続する。
上記複数のポケット底部は、上記内周面における周方向の寸法の合計が上記内周面の全周の寸法に対して20%以上となるように上記側面に間隔をあけて設けられ、上記外周面側が閉塞され、上記内周面側が開放されている。
上記複数の柱部は、上記複数のポケット底部の間にそれぞれ配置されている。
上記複数の凸面部は、上記複数のポケット底部と上記複数の柱部との間にそれぞれ配置され、上記側面側に突出するR面であり、上記複数の柱部の上記側面から上記複数のポケット底部に向けて延びる。
上記複数の斜面部は、上記複数の凸面部と上記複数のポケット底部との間にそれぞれ配置され、上記複数の凸面部と上記複数のポケット底部とを接続する。
このシールリングでは、複数のポケット底部の周方向の寸法の合計が大きいため、複数のポケット底部の総面積を広く確保することができる。したがって、このシールリングでは、ポケット底部に加わる油圧により、大きいキャンセル荷重を得ることができる。
また、このシールリングでは、各ポケット底部の両側に斜面部及び凸面部が設けられている。回転駆動時には、ポケット底部にあるオイルが、斜面部に沿って凸面部へとスムーズに案内される。凸面部に流入したオイルは、柱部に向けて流動する。このとき、凸面部は凸状のR面であるため、オイルが柱部に向かうにつれて凸面部によって形成されるオイル流路の絞りが徐々に小さくなる。このため、凸面部を流動するオイルは、内周面側に逃げにくく、凸面部の奥まで入り込もうとする。これにより、オイルから凸面部に大きいキャンセル荷重が加わる。
このように、このシールリングは、油圧によるキャンセル荷重のみならず、凸面部に加わるキャンセル荷重を受けることができる。これにより、このシールリングでは、シャフトとの間に生じるフリクションロスを大幅に低減可能である。
上記複数の凸面部の先端曲率半径が10mm以上であってもよい。
この構成では、凸面部の先端曲率半径を10mm以上とすることにより、凸面部によって形成されるオイル流路の絞りがより小さくなる。したがって、オイルは、凸面部の更に奥まで入り込もうとするため、オイルから凸面部に加わるキャンセル荷重が更に大きくなる。
上記複数のポケット底部の上記側面からの深さが上記シールリングの厚さの2%以上49%以下であってもよい。
この構成では、ポケット底部の深さをシールリングの厚さの2%以上とすることにより、オイルからポケット底部に加わるキャンセル荷重を良好に維持することができる。また、ポケット底部の深さをシールリングの厚さの49%以下とすることにより、シールリングの両側面にポケット底部を設けることが可能となる。
上記複数の斜面部と上記側面との間の角度が5°以上80°以下であってもよい。
この構成では、斜面部の角度を80°以下とすることにより、ポケット底部にあるオイルを斜面部に沿って凸面部へと更にスムーズに案内可能となる。また、斜面部の角度を5°以上とすることにより斜面部の周方向の寸法が小さくなるため、ポケット底部や凸面部をより広くすることが可能である。
上記シールリングの外径が16mm以上250mm以下であってもよい。
この構成のシールリングでは、上記の効果が特に良好に得られる。
ポケットを有するシールリングにおいてフリクションロスを更に低減可能な技術を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るシールリングの平面図である。 上記シールリングのシャフトとハウジングとの間に組み込まれた状態を示す断面図である。 上記シールリングを内周面側から示す図である。 回転駆動時の上記シールリングにおいてキャンセル荷重が加わりやすい部位を示す平面図である。 比較例1に係るシールリングを示す図である。 比較例2に係るシールリングを示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。
[シールリング1]
図1は、本発明の一実施形態に係るシールリング1の平面図である。シールリング1は、外周面1a、内周面1b、及び側面1cを有し、中心軸Cを中心とする環状に形成されている。外周面1a及び内周面1bは中心軸Cを中心とする円筒面である。側面1cは、外周面1a及び内周面1bに直交し、外周面1aと内周面1bとを接続している。
シールリング1は、両側面1cにそれぞれ等間隔に配置された複数のポケット10と、複数のポケット10の間にそれぞれ配置された複数の柱部20と、を有する。各ポケット10は、側面1cから窪む凹状に形成されており、外周面1a側が閉塞され、内周面1b側に開放されている。いずれのポケット10も同様の形状を有する。
各ポケット10はそれぞれ、シールリング1の周方向において対称となるように形成されている。これにより、シールリング1では、高い強度が得られるため、使用に伴う変形が生じにくくなる。このため、シールリング1では、高いシール性を長期間持続することができる。
ポケット10には、側面1cから所定の深さの底面を構成するポケット底部11が設けられている。ポケット底部11は、ポケット10において側面1cから最も深い位置にある。ポケット底部11は、ポケット10の両端部を除く中央領域に延在する。典型的には、ポケット底部11は側面1cに平行な平坦面として構成される。しかし、ポケット底部11は、平坦面でなくてもよく、例えば、その全体又は一部が凸状や凹状に湾曲していてもよい。
シールリング1では、複数のポケット底部11の内周面1bにおける周方向の寸法L11の合計が、内周面1bの全周の寸法の20%以上を占めている。これにより、シールリング1では、複数のポケット底部11の総面積を広く確保することができる。このため、シールリング1では、ポケット底部11に加わる油圧により、大きいキャンセル荷重を得ることができる。
また、シールリング1には、必要に応じ、シャフト50の溝部51(図3参照)への装着を容易にするための合口部30が設けられる。なお、本発明では、合口部30を有する場合のシールリング1の形状(例えば、上記の内周面1bの全周の寸法など)が、合口部30を閉じた状態として定義されるものとする。合口部30は、シールリング1の柱部20に設けられる。
合口部30は、合口部30からのオイル漏れが抑制可能な構成とされる。合口部30の形状は、特に限定されず、公知の形状を採用可能である。合口部30としては、例えば、直角(ストレート)合口、斜め(アングル)合口、段付き(ステップ)合口、ダブルアングル合口、ダブルカット合口、トリプルステップ合口などを採用可能である。ダブルアングル合口、ダブルカット合口、トリプルステップ合口では、合口部30からのオイル漏れが特に良好に抑制される。
シールリング1は、合口部30が広げられた状態でシャフト50の溝部51に装着される。そして、シールリング1が装着されたシャフト50は、シールリング1の外周面1aが溝部から少し突出した状態で、ハウジング60に挿通される。このように、シールリング1は、シャフト50とハウジング60との間に組み込まれる。
図2は、シャフト50とハウジング60との間に組み込まれたシールリング1を示す断面図である。図2は、シールリング1を、ポケット底部11を通る位置において、外周面1a、内周面1b、及び側面1cに垂直に切断した断面を示している。
シャフト50とハウジング60との間に組み込まれたシールリング1の外周面1aは、シールリング1における拡張しようとする弾性力により、ハウジング60の内周面に押し付けられ、ハウジング60の内周面に面接触する。
シャフト50の溝部51の両側には、シャフト50の外周面とハウジング60の内周面との間に隙間41,42が形成されている。オイルが隙間41からシャフト50の溝部51に流入すると、シールリング1は主に右側の側面1cにおいて油圧を受ける。これに伴い、シールリング1の左側の側面1cが、シャフト50の溝部51の側壁面に押し付けられ、シャフト50の溝部51の側壁面に面接触する。
このように、シールリング1では、外周面1aがハウジング60の内周面に面接触し、側面1cがシャフト50の溝部51の側壁面に面接触する。これにより、シールリング1は、隙間41からシャフト50の溝部51に流入するオイルが隙間42に漏れることを防止することができる。
なお、シールリング1は、シャフト50とハウジング60との間に組み込まれた状態で、ポケット10がシャフト50の溝部51内に配置されるように構成されている。つまり、シールリング1は、左側のポケット10と隙間42とが連通せず、ポケット10を設けてもオイル漏れが発生しにくい構成となっている。
シールリング1の左側のポケット10内には、シャフト50の溝部51の側壁面によって閉塞された空間が形成されている。左側のポケット10内のオイルの油圧は、シールリング1の右側の側面1cがオイルから受ける油圧とは反対方向(図2のブロック矢印方向)に作用する。つまり、左側のポケット10内のオイルは、主にポケット底部11に対して、シールリング1がシャフト50の溝部51に押し付けられる押付荷重を弱めるキャンセル荷重を加える。
上記のとおり、シールリング1では、複数のポケット底部11の総面積が広く確保されている。このため、シールリング1では、ポケット底部11に加わる油圧により、大きいキャンセル荷重を得ることができる。これにより、シールリング1の側面1cとシャフト50の溝部51の側壁面との間の摩擦が抑制される。
シールリング1を形成する材料は、特定の種類に限定されず、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリイミド(PI)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性ポリテトラフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)などを用いることができる。また、シールリング1を形成する材料には、これらにカーボン粉末やカーボン繊維等の添加剤が充填されていてもよい。
シールリング1の製造方法は、特定の方法に限定されない。例えば、射出成形法や圧縮成型法では、ポケット10が設けられたシールリング1を直接製造することが可能である。射出成形法に適した材料としては、例えば、PEEK、PPS、PIなどの樹脂が挙げられる。圧縮成型法に適した材料としては、例えば、PTFEなどの樹脂が挙げられる。また、例えば、PTFEなどの樹脂については、事後的にポケット10を機械加工することによりシールリング1を製造することも可能である。
[各ポケット10の詳細構成]
図3は、シールリング1の一部を内周面1b側から示す図である。図3(A)はポケット10の端部及び柱部20を示し、図3(B)は図3(A)の一点鎖線で囲んだ領域を拡大して示している。
本実施形態では、ポケット10及び柱部20が、シールリング1の厚さ方向の中央面D(図3(A)の二点鎖線)について対称に配置されている。しかし、シールリング1では、シールリング1の両側面1cにおけるポケット10及び柱部20の配置が周方向に相互にずれていても構わない。
ポケット底部11の深さは、シールリング1の厚さT1の2%以上であることが好ましい。これにより、オイルからポケット底部11に加わるキャンセル荷重を良好に維持することができる。
また、ポケット底部11の深さは、0.02mm以上であることが好ましい。これにより、オイルが、表面張力によってポケット10への流入を妨げられることなく、良好にポケット10に流入する。
また、ポケット底部11の深さは、製造過程などにおいてシールリング1の両側面1cのポケット10が厚さ方向に貫通することを防止するために、シールリング1の厚さT1の49%以下であることが好ましい。これにより、シールリング1の両側面1cにおいて、ポケット10の機能を良好に維持することができる。
ポケット10の両端部には、ポケット底部11と柱部20とを接続する接続部12が設けられている。接続部12は、斜面部13及び凸面部14により構成される。接続部12では、斜面部13がポケット底部11側に配置され、凸面部14が柱部20側に配置されている。
シールリング1がシャフト50に対して相対的に回転する回転駆動時に、ポケット10内のオイルが周方向に流動する。接続部12は、ポケット底部11に対して傾いているため、周方向に流動するオイルによって押圧される。オイルが接続部12を周方向に押圧する力は、シールリング1がシャフト50の溝部51に押し付けられる押付荷重を弱めるキャンセル荷重として作用する。
したがって、シールリング1では、ポケット底部11と柱部20とを接続する接続部12を設けることにより、ポケット10内を周方向に流動するオイルから接続部12に加わるキャンセル荷重を得ることができる。これにより、シールリング1の側面1cとシャフト50の溝部51の側壁面との間の摩擦が更に抑制される。
斜面部13は、ポケット底部11から凸面部14に向かうにつれて側面1cに近づくように傾斜した傾斜面として構成される。典型的には、斜面部13はテーパ状の平坦面として構成される。しかし、斜面部13は、平坦面でなくてもよく、例えば、その全体又は一部が凸状や凹状に湾曲していてもよい。
斜面部13は、シールリング1がシャフト50に対して相対的に回転する回転駆動時に、ポケット底部11にあるオイルを凸面部14へとスムーズに案内する機能を有する。この機能を良好に得るために、斜面部13と側面1cとの成す角度α(図3(B)参照)は、80°以下であることが好ましく、20°以下であることが更に好ましい。
また、シールリング1では、接続部12の内周面1bに沿った周方向の寸法L12のうち、凸面部14の寸法L14が占める割合が大きいことが好ましい。つまり、斜面部13の寸法L13は小さく留めることが好ましい。この観点から、斜面部13と側面1cとの成す角度αは、5°以上であることが好ましく、10°以上であることが更に好ましい。
ポケット底部11と斜面部13とは、直接接続されて谷線を形成していてもよく、直接接続されず、例えば、凹状のR面を介して滑らかに接続されていてもよい。
また、斜面部13と側面1cとの成す角度αは一定でなくても構わない。例えば、斜面部13は、側面1cとの間に成す角度αが異なる複数のテーパ面を有していてもよい。
凸面部14は、側面1c側に突出する凸状のR面として構成される。凸面部14は、柱部20の側面1cに滑らかに接続されている。つまり、凸面部14の接面は、柱部20に接続する位置において側面1cと一致している。凸面部14の形状は、適宜決定可能である。凸面部14は、単一の曲率半径で形成されていても、連続して曲率半径が変化するように形成されていてもよい。
斜面部13と凸面部14とは、直接接続されて山線を形成していてもよく、直接接続されず、例えば、凸状のR面を介して滑らかに接続されていてもよい。つまり、凸面部14の接面は、斜面部13に接続する位置において斜面部13と一致していてもよい。
シールリング1がシャフト50に対して相対的に回転する回転駆動時に、斜面部13に案内されて凸面部14に流入したオイルは、柱部20に向けて流動する。このとき、凸面部14は凸状のR面であるため、オイルが柱部20に向かうにつれて凸面部14によって形成されるオイル流路の絞りが徐々に小さくなる。
このため、凸面部14を柱部20に向けて流動するオイルは、シールリング1の内周面1b側に逃げにくく、凸面部14の奥まで入り込もうとする。オイルが凸面部14の奥に入る入り込むほど、オイルから凸面部14に大きい力が加わる。オイルから凸面部14に加わる力は、シールリング1がシャフト50の溝部51に押し付けられる押付荷重を弱めるキャンセル荷重として作用する。
したがって、シールリング1では、凸面部14を設けることにより、オイルから接続部12に加わるキャンセル荷重を増大させることができる。これにより、シールリング1の側面1cとシャフト50の溝部51の側壁面との間の摩擦がより一層抑制される。
オイルから凸面部14に加わるキャンセル荷重を更に増大させるために、シールリング1では凸面部14における最も曲率半径が小さい部分の曲率半径(先端曲率半径)が大きいことが好ましい。これにより、凸面部14によって形成されるオイル流路の絞りが更に小さくなるため、オイルが凸面部14の更に奥まで入り込もうとする。この観点から、凸面部14の先端曲率半径は、10mm以上であることが好ましく、50mm以上であることが更に好ましい。
この一方で、凸面部14の先端曲率半径が大きくなるほど、斜面部13に接続する位置における凸面部14の側面1cからの深さが小さくなるため、斜面部13から凸面部14へオイルが流入しにくくなる。
この点、シールリング1は、接続部12の内周面1bに沿った周方向の寸法L12のうち、凸面部14の寸法L14が占める割合が大きくなるように構成されている。凸面部14の寸法L14が大きいほど、斜面部13に接続する位置における凸面部14の側面1cからの深さが大きくなる。このため、シールリング1では、凸面部14の先端曲率半径が大きい場合にも、斜面部13から凸面部14へのオイルの流入量を充分に得ることができる。
ただし、凸面部14の先端曲率半径が大きすぎると、斜面部13から凸面部14へのオイルの流入量が不足する。この観点から、凸面部14の先端曲率半径は、200mm以下であることが好ましく、150mm以下であることが更に好ましい。
図4は、シールリング1においてポケット10内を流動するオイルからキャンセル荷重を受ける部位をハッチング(ドット)で示している。図4(A)は矢印R方向に右回転する場合について示し、図4(B)は矢印L方向に左回転する場合について示している。
図4(A)に示す右回転しているシールリング1では、各ポケット10における矢印R方向とは反対側の接続部12がオイルからキャンセル荷重を受ける。この一方で、図4(B)に示す左回転しているシールリング1では、各ポケット10における矢印L方向とは反対側の接続部12がオイルからキャンセル荷重を受ける。
このように、シールリング1では、各ポケット10の両端部に接続部12が設けられているため、いずれの回転方向の場合であっても、ポケット10内を流動するオイルから接続部12へのキャンセル荷重を受けることが可能である。
また、シールリング1では、両側面1cにポケット10が設けられているため、シールリング1のシャフト50の溝部51へ装着する向きによらずに、オイルからのキャンセル荷重を受けることができる。したがって、シールリング1は、その向きを考慮せずにシャフト50の溝部に装着可能であるため、装着作業が容易である。
更に、シールリング1の各側面1cにおけるポケット10の数は、適宜決定可能である。
例えば、ポケット底部11を広く確保する観点からは、ポケット10の数が少ないことが好ましく、具体的には、30個以下であることが好ましく、16個以下であることが更に好ましい。
また、ポケット10内を流動するオイルからキャンセル荷重を受ける接続部12を増加させる観点からは、ポケット10の数が多いことが好ましく、具体的には、2個以上であることが好ましく、4個以上であることが更に好ましい。
加えて、シールリング1の外径は、シャフト50及びハウジング60の構成に応じて適宜決定可能である。しかし、シールリング1では、外径が16mm以上250mm以下である場合に、上記の本発明の効果がより有効に得られる。
[実施例に係るシールリング1]
本発明の実施例として、上記実施形態の構成のシールリング1を作製した。シールリング1の外径は51mmとし、ポケット10の数は6個とした。また、各ポケット10において、斜面部13のポケット底部11に対する角度αは16°とした。
なお、以下に説明する比較例1〜3に係るシールリング101,201,301は、特に説明する構成以外について、本実施例に係るシールリング1と同様に構成されている。
[比較例1に係るシールリング101]
図5は、本発明の比較例1に係るシールリング101を示す図である。図5(A)はシールリング101の平面図であり、図5(B)はシールリング101の断面図である。
シールリング101は、側面101cが外周面101aから内周面101bに向けて間隔が狭くなるように傾斜した構成を有する。シールリング101では、側面101cとシャフト50の溝部51とが面接触しない構成とすることにより、フリクションロスの低減が図られている。
[比較例2に係るシールリング201]
図6は、本発明の比較例2に係るシールリング201を示す図である。図6(A)はシールリング201の平面図であり、図6(B)はシールリング201を内周面201b側から示す図である。
シールリング201では、各ポケット210の形状が、実施例に係るシールリング1のポケット10とは異なる。具体的には、シールリング201の各ポケット210では、両端部に設けられた凹状のR面である接続部212によってポケット底部211が柱部220の側面201cに接続されている。つまり、シールリング201では、接続部212の形状が、実施例に係るシールリング1における接続部12の斜面部13及び凸面部14とは異なる。
[フリクションロス評価]
実施例に係るシールリング1、比較例1に係るシールリング101、及び比較例2に係るシールリング201をサンプルとするフリクションロス評価を行った。フリクションロス評価としては、各サンプルを2本用い、オイルの温度を80℃とし、油圧を0.5MPa又は1.0MPaとする引き摺りトルク(N・m)の測定を行った。引き摺りトルクの測定における各サンプルの回転数は1500rpmとした。
この結果、実施例に係るシールリング1、比較例1に係るシールリング101、及び比較例2に係るシールリング201のいずれにおいても、油圧によらず低い引き摺りトルクが得られた。この中でも、実施例に係るシールリング1及び比較例1に係るシールリング101では、いずれの油圧においても比較例2に係るシールリング201よりも10%以上低い引き摺りトルクが得られた。
特に、実施例に係るシールリング1では、比較例2に係るシールリング201との比較において、ポケット10に斜面部13及び凸面部14を設けることにより、引き摺りトルクが低減されていることが確認された。
[オイル漏れ評価]
実施例に係るシールリング1、比較例1に係るシールリング101、及び比較例2に係るシールリング201をサンプルとするオイル漏れ評価を行った。オイル漏れ評価として、各サンプルを2本用い、オイルの温度を80℃とし、油圧を0.5MPa又は1.0MPaとするオイル漏れ量(cc/min)を測定した。オイル漏れ量の測定における各サンプルの回転数は1500rpmとした。
この結果、実施例に係るシールリング1、比較例1に係るシールリング101、及び比較例2に係るシールリング201のいずれにおいても、オイル漏れ量が許容範囲内に収まっていた。特に、実施例に係るシールリング1及び比較例2に係るシールリング201では、いずれの油圧においても比較例1に係るシールリング101の10分の1未満のオイル漏れ量となった。
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
一例として、本発明において、シールリングのポケットの形状は、適宜変更可能である。例えば、各ポケットの形状は、シールリングの周方向において対称であることは必須ではなく、シールリングの周方向において非対称であってもよい。
また、本発明において、シールリングの2つの側面に同様の構成のポケットが設けられている構成は必須ではない。例えば、ポケットはシールリングの2つの側面のうち一方のみに設けられていてもよい。また、シールリングの2つの側面にそれぞれ異なる構成のポケットが設けられていてもよい。更に、ポケットの数がシールリングの2つの側面で相互に異なっていてもよい。
1…シールリング
1a…外周面
1b…内周面
1c…側面
10…ポケット
11…ポケット底部
12…接続部
13…斜面部
14…凸面部
20…柱部
30…合口部

Claims (5)

  1. 外周面と、
    前記外周面に対向する内周面と、
    前記外周面と前記内周面とを接続する側面と、
    前記内周面における周方向の寸法の合計が前記内周面の全周の寸法に対して20%以上となるように前記側面に間隔をあけて設けられ、前記外周面側が閉塞され、前記内周面側が開放された複数のポケット底部と、
    前記複数のポケット底部の間にそれぞれ配置された複数の柱部と、
    前記複数のポケット底部と前記複数の柱部との間にそれぞれ配置され、前記側面側に突出するR面であり、前記複数の柱部の前記側面から前記複数のポケット底部に向けて延びる複数の凸面部と、
    前記複数の凸面部と前記複数のポケット底部との間にそれぞれ配置され、前記複数の凸面部と前記複数のポケット底部とを接続する斜面部と、
    を具備するシールリング。
  2. 請求項1に記載のシールリングであって、
    前記複数の凸面部の先端曲率半径が10mm以上である
    シールリング。
  3. 請求項1又は2に記載のシールリングであって、
    前記複数のポケット底部の前記側面からの深さが前記シールリングの厚さの2%以上49%以下である
    シールリング。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載のシールリングであって、
    前記複数の斜面部と前記側面との間の角度が5°以上80°以下である
    シールリング。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載のシールリングであって、
    前記シールリングの外径が16mm以上250mm以下である
    シールリング。
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