JPWO2016158848A6 - シールリング - Google Patents

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Abstract

フリクションロスの低減とオイル漏れの抑制とを両立可能なシールリングを提供する。
シールリングは、外周面と、上記外周面に対向する内周面と、上記外周面と上記内周面とを接続する側面と、上記側面に間隔をあけて設けられ、上記外周面側が閉塞され、上記内周面側が開放された複数のポケットと、を具備する。上記複数のポケットはそれぞれ、第1及び第2端部と、第1及び第2斜面部と、を有する。上記第1及び第2端部は、周方向の両端部にそれぞれ設けられ、上記側面から延びる、先端曲率半径が60mm以下の上記側面側に突出する凸状のR面である。上記第1及び第2斜面部は、上記第1及び第2端部から周方向の中央部に向けてそれぞれ延びる。

Description

本発明は、油圧機器などに利用可能なシールリングに関する。
油圧式の自動変速機などの各種油圧機器が搭載された自動車が知られている。このような自動車では、燃費向上のため、油圧機器の駆動損失の低減が望まれている。
油圧式の自動変速機にはシールリングが用いられる。シールリングは、ハウジングに挿通されるシャフトの溝部に嵌め込まれ、ハウジングとシャフトとの間を封止する。このようなシールリングでは、自動変速機の駆動時に、シャフトとの間の相対的な回転により、シャフトとの間に摩擦損失(フリクションロス)が生じる。
このようなフリクションロスは油圧機器の駆動損失につながる。したがって、フリクションロスを低減させる技術が求められる。特許文献1〜5には、シールリングとシャフトとの間に生じるフリクションロスを低減させる技術が開示されている。これらの文献に開示されたシールリングには、シャフトとの接触面にポケットが設けられている。
このようなシールリングに油圧が加わるとオイルがポケットに入り込む。ポケットに入り込んだオイルは、シールリングに対して、シャフトから離間する方向に力を加える。これにより、シールリングとシャフトとの間の摩擦が抑制されるため、シールリングとシャフトとの間に生じるフリクションロスが低減される。
国際公開第2011/105513号パンフレット 国際公開第2004/090390号パンフレット 国際公開第2011/162283号パンフレット 国際公開第2013/094654号パンフレット 国際公開第2013/094657号パンフレット
上記の技術では、シールリングのポケットに入り込んだオイルが、シールリングとシャフトとの間に流入して、シールリングとシャフトとの間に油膜を形成することがある。この油膜の形成により、シールリングの潤滑性が向上してフリクションロスが低減される一方で、この油膜が厚くなりすぎるとオイルがシールリングより外側に漏れやすくなる。このように、フリクションロスとオイル漏れとはトレードオフの関係になりやすい。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、フリクションロスの低減とオイル漏れの抑制とを両立可能なシールリングを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るシールリングは、外周面と、上記外周面に対向する内周面と、上記外周面と上記内周面とを接続する側面と、上記側面に間隔をあけて設けられ、上記外周面側が閉塞され、上記内周面側が開放された複数のポケットと、を具備する。
上記複数のポケットはそれぞれ、第1及び第2端部と、第1及び第2斜面部と、を有する。
上記第1及び第2端部は、周方向の両端部にそれぞれ設けられ、上記側面から延びる、先端曲率半径が60mm以下の上記側面側に突出する凸状のR面である。
上記第1及び第2斜面部は、上記第1及び第2端部から周方向の中央部に向けてそれぞれ延びる。
このシールリングでは、回転方向に応じて、第1端部及び第1斜面部、又は第2端部及び第2斜面部が、ポケット内のオイルから油圧を受けることにより、フリクションロスが低減される。つまり、この構成では、回転方向によらずに、フリクションロスを低減する効果が得られる。
特に、この構成では、第1及び第2端部が凸状のR面である。これにより、第1及び第2端部では、側面に対する傾斜が第1及び第2斜面部よりも緩やかになり、つまりオイル流路の絞りが小さくなる。これにより、このシールリングでは、ポケット内のオイルが第1及び第2端部の奥まで流入しやすくなるため、第1及び第2端部に加わる油圧が増大する。この構成では、第1及び第2端部の先端曲率半径を60mm以下とすることにより上記の効果が有効に得られる。
また、このシールリングでは、ポケットが内周面側に開放され、かつ、外周面側に閉塞されているため、ポケット内に入ったオイルが外周面側に漏れ出しにくい。
このように、このシールリングでは、ポケットの形状及びポケットの数の相互作用によって、フリクションロスの低減とオイル漏れの抑制とを両立することが可能である。
上記複数のポケットはそれぞれ、上記第1端部と上記第2端部との間の中央領域に設けられた底部を更に有していてもよい。
上記第1及び第2斜面部は、上記第1及び第2端部から上記底部にそれぞれ延びていてもよい。
上記底部は、上記側面に平行な方向に延びていてもよい。
このシールリングでは、ポケット内のオイルの油圧を、底部において良好に受けることできるため、フリクションロスを更に低減することができる。
上記ポケットは、上記底部と上記第1及び第2斜面部とをそれぞれ接続し、上記側面側から窪む凹状のR面である第1及び第2接続部を更に有してもよい。
このシールリングでは、底部からポケットに流入したオイルが第1及び第2斜面部によりスムーズに流動することができる。これにより、第1及び第2斜面部にオイルからの油圧が更に良好に加わる。
上記第1斜面部と上記第2斜面部とが上記中央部において接続されていてもよい。
このシールリングでは、各ポケットの周方向の寸法を縮小可能であるため、ポケットを多く設けることが可能である。これにより、このシールリングでは、フリクションロスを更に低減することができる。
上記内周面における上記複数のポケットの周方向の寸法の合計は、上記内周面の全周の50%以上98%以下であってもよい。
このシールリングでは、内周面におけるポケットの占める割合を50%以上とすることにより、フリクションロスを低減する効果が良好に得られる。この一方で、内周面におけるポケットの占める割合を98%以下に留めることにより、各ポケットを柱部によって良好に隔てることができるため、各ポケットにおける油圧を良好に確保することができる。
上記第1及び第2斜面部は平面であってもよい。
この構成により、シールリングの設計や加工が容易になる。
上記第1及び第2斜面部は、上記側面に対して1°以上20°以下の角度を成していてもよい。
このシールリングでは、第1及び第2斜面部の側面に対する角度が小さく、つまりポケットが浅く形成されている。これにより、ポケット内のオイルによって第1及び第2斜面部に加わる油圧における内周面向きの成分が大きくなる。また、オイル流路の絞りが小さくなるため、オイルが第1及び第2端部に流入しやすくなる。これらの結果、このシールリングでは、より効果的にフリクションロスを低減することができる。
フリクションロスの低減とオイル漏れの抑制を両立可能なシールリングを提供することができる。
本発明の一実施形態に係るシールリングの平面図である。 上記シールリングの部分斜視図である。 上記シールリングの内周面を部分的に示す図である。 上記シールリングの回転時に油圧を受ける部位を示す平面図である。 上記実施形態の変形例に係るシールリングの内周面を部分的に示す図である。 比較例1に係るシールリングを示す図である。 比較例2に係るシールリングを示す図である。 比較例3に係るシールリングを示す図である。 フリクションロス評価の結果を示すグラフである。 オイル漏れ評価の結果を示すグラフである。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。
[シールリング1]
図1は、本発明の一実施形態に係るシールリング1の平面図である。シールリング1は、外周面1a、内周面1b、及び側面1cを有し、中心軸Cを中心とする環状に形成されている。外周面1a及び内周面1bは中心軸Cを中心とする円筒面であり、側面1cは外周面1a及び内周面1bに直交している。
シールリング1は、2つの側面1cにそれぞれ等間隔に配置された複数のポケット10を有する。各ポケット10は、凹状に形成されている。また、シールリング1には、必要に応じ、シャフトへの装着を容易にするための合口部30が設けられる。なお、本発明では、合口部30を有する場合のシールリング1の形状が、合口部30を閉じた状態として定義されるものとする。
合口部30は、合口部30からのオイル漏れが抑制可能な構成とされる。合口部30の形状は、特に限定されず、公知の形状を採用可能である。合口部30としては、例えば、直角(ストレート)合口、斜め(アングル)合口、段付き(ステップ)合口、ダブルアングル合口、ダブルカット合口、トリプルステップ合口などを採用可能である。ダブルアングル合口、ダブルカット合口、トリプルステップ合口では、合口部30からのオイル漏れが特に良好に抑制される。
シールリング1は、合口部30が広げられた状態でシャフトの溝部に装着される。シールリング1が装着されたシャフトは、シールリング1の外周面1aが溝部から少し突出した状態で、ハウジングに挿通される。これにより、シールリング1の外周面1aがハウジングの内周面に接触するとともに、シールリング1の側面1cがシャフトの溝部に接触する。このように、シールリング1によってシャフトとハウジングとの間が封止される。
シールリング1は、シャフト及びハウジングに装着された状態で、ポケット10がシャフトの溝部内に配置されるように構成されている。したがって、シールリング1とシャフトの溝部との間には、ポケット10によって空間が形成される。シールリング1では、ポケット10内に流入したオイルの油圧がシールリング1とシャフトの溝部とを離間させる方向に作用するため、シャフトの溝部との間のフリクションロスが低減される。
シールリング1の径や厚さt(図3参照)は、装着するシャフトやハウジングの構成に応じて決定可能である。シールリング1の外径は、例えば、10mm以上150mm以下とすることができる。シールリング1の厚さtは、例えば、0.8mm以上3.5mm以下とすることができる。
シールリング1を形成する材料は、特定の種類に限定されず、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリイミド(PI)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性ポリテトラフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)などを用いることができる。また、シールリング1を形成する材料には、これらにカーボン粉末やカーボン繊維等の添加剤が充填されていてもよい。
シールリング1の製造方法は、特定の方法に限定されない。例えば、射出成形法や圧縮成型法では、ポケット10が設けられたシールリング1を直接製造することが可能である。射出成形法に適した材料としては、例えば、PEEK、PPS、PIなどの樹脂が挙げられる。圧縮成型法に適した材料としては、例えば、PTFEなどの樹脂が挙げられる。また、例えば、PTFEなどの樹脂については、事後的にポケット10を機械加工することによりシールリング1を製造することも可能である。
[各ポケット10の構成]
図2は、シールリング1の概略構成を示す部分斜視図であり、ポケット10を拡大して示している。図3は、シールリング1のポケット10を内周面1b側から示す図である。図3では、シールリング1の内周面1bに沿った形状を示している。図3に示す寸法d,d,dは、シールリング1の内周面1bの周方向に沿った寸法を示している。
ポケット10は、シールリング1の側面1cの内周面1b側に設けられている。ポケット10は、シールリング1の外周面1aとの間に隔壁部15を具備し、外周面1a側が隔壁部15によって閉塞されている。したがって、シールリング1では、ポケット10内のオイルがシールリング1の外周面1a側に漏れ出すことを抑制することができる。
この一方で、ポケット10は、内周面1bとの間に隔壁部を有しておらず、シールリング1の内周面1b側に開放されている。これにより、ポケット10内の油圧が過度に高くなることを防止することができるため、ポケット10内のオイルがシールリング1の外周面1a側に漏れ出すことを効果的に抑制することができる。
ポケット10の隔壁部15は、ポケット10内の空間と外周面1a側の空間とを隔てることができれば、特定の構成に限定されない。隔壁部15は、例えば、シールリング1の側面1cに直交する平面として構成することが可能である。
各ポケット10は、側面1cに設けられた柱部20によってシールリング1の周方向に隔てられている。つまり、シールリング1の内周面1bには、ポケット10と柱部20とが交互に配置されている。
ポケット10の寸法d及び柱部20の寸法dは、それぞれシールリング1の径などに応じて適宜決定可能である。ポケット10の寸法dは、例えば、2.0mm以上35mm以下とすることができる。柱部20の寸法dは、例えば、0.1mm以上5.0mm以下とすることができる。
ポケット10の形状は、中心軸Cを通り、周方向における中央部にある図3に一点鎖線で示す平面Dについて対称であることが好ましい。これにより、シールリング1の回転方向によらずにポケット10の機能を確保することができる。また、シールリング1の2つの側面1cにおけるポケット10の位置及び形状は、シールリング1の厚さt方向における中央部にある図3に一点鎖線で示す平面Eについて対称となるように構成されている。
ポケット10は、底部11と、第1及び第2斜面部12a,12bと、第1及び第2端部13a,13bと、第1及び第2接続部14a,14bと、を具備する。第1及び第2斜面部12a,12b、第1及び第2端部13a,13b、及び第1及び第2接続部14a,14bはそれぞれ平面Dについて対称である。
底部11は、ポケット10の周方向の中央領域に設けられ、ポケット10において側面1cからの深さが最も深い部位である。底部11は、シールリング1の回転方向によらず、オイルの流入口として機能する。底部11は、その全体として、側面1cに平行な方向に延びていることが好ましい。底部11は、典型的には平面であるが、厳密に平面である必要はない。つまり、底部11は、緩やかな曲面であってもよく、例えば、その全体又は一部が凸状や凹状に湾曲していてもよい。
底部11の寸法d及び側面1cからの深さtは、適宜決定可能である。底部11の寸法dは、例えば、0.01mm以上3mm以下とすることができる。底部11の側面1cからの深さtは、例えば、0.1mm以上0.6mm以下とすることができる。また、底部11の両側面1cからの深さtの合計は、例えば、シールリング1の厚さtの50%以上98%以下とすることができる。
第1及び第2斜面部12a,12bは、底部11に対して相互に反対側に配置されている。図2,3に示す例では、第1斜面部12aが底部11の右側に配置され、第2斜面部12bが底部11の左側に配置されている。第1及び第2斜面部12a,12bは、それぞれ底部11から柱部20に向けて、側面1cからの深さが浅くなるように傾斜する。
第1及び第2斜面部12a,12bは、設計や加工の容易さなどの観点において、平面であることが好ましい。しかし、第1及び第2斜面部12a,12bは、平坦面でなく緩やかな曲面であってもよく、例えば、その全体又は一部が凸状や凹状に湾曲していてもよい。
第1及び第2斜面部12a,12bがそれぞれ側面1cとの間に成す角度αは、適宜決定可能である。角度αが小さいほど、第1及び第2斜面部12a,12bに加わる油圧における内周面1b向きの成分が大きくなる。この一方で、角度αが小さすぎると、第1及び第2斜面部12a,12bに油圧が加わりにくくなる。これらの観点から、角度αは、例えば、1°以上20°以下とすることができる。
第1及び第2端部13a,13bは、側面1c側に突出する凸状のR面として構成され、ポケット10の周方向の両端部に配置されている。第1端部13aは第1斜面部12aと柱部20とを接続し、第2端部13bは第2斜面部12bと柱部20とを接続している。図2,3に示す例では、第1端部13aが第1斜面部12aの左側に配置され、第2端部13bが第2斜面部12bの右側に配置されている。
第1及び第2端部13a,13bは、楔状のオイル流路を形成している。第1及び第2端部13a,13bは、凸状のR面として構成されるため、柱部20に近づくにつれて傾斜が緩やかになる。したがって、第1及び第2端部13a,13bが形成するオイル流路は、狭くなるにつれて絞りが小さくなる。これにより、オイルが内周面1b側に逃げにくくなり、つまりオイルが第1及び第2端部13a,13bの奥まで進入しやすくなるため、第1及び第2端部13a,13bに加わる油圧が増大する。
第1及び第2端部13a,13bの形状は、適宜決定可能である。第1及び第2端部13a,13bは、単一の曲率半径で形成されていても、連続して曲率半径が変化するように形成されていてもよい。第1及び第2端部13a,13bの最も曲率半径が小さい部分の曲率半径(先端曲率半径)は0mmより大きければよい。また、第1及び第2端部13a,13bの先端曲率半径は、60mm以下であることが好ましく、30mm以下であることがより好ましく、10mm以下であることが更に好ましい。これらにより、上記の効果が有効に得られる。
第1及び第2接続部14a,14bは、側面1c側から窪む凹状のR面として構成され、底部11の周方向の両側に配置されている。第1接続部14aは第1斜面部12aと底部11とを接続し、第2接続部14bは第2斜面部12bと底部11とを接続している。図2,3に示す例では、第1接続部14aが底部11の左側に配置され、第2接続部14bが底部11の右側に配置されている。
第1及び第2接続部14a,14bは凹状のR面として構成されるため、底部11からポケット10に流入したオイルがスムーズに第1及び第2斜面部12a,12bに流動することが可能となる。このため、シールリング1では、第1及び第2斜面部12a,12bにおいて良好に油圧を受けることが可能である。
第1及び第2接続部14a,14bの形状は、適宜決定可能である。第1及び第2接続部14a,14bは、単一の曲率半径で形成されていても、連続して曲率半径が変化するように形成されていてもよい。第1及び第2接続部14a,14bの最も曲率半径が小さい部分の曲率半径(先端曲率半径)は0mmより大きければよい。また、第1及び第2接続部14a,14bの先端曲率半径は、第1及び第2端部13a,13bと同様に、60mm以下とすることができ、30mm以下とすることができ、10mm以下とすることができる。
[ポケット10の配置]
シールリング1では、一般的なシールリングよりも多くのポケットが設けられている。これにより、シールリング1において、回転時に油圧を受ける部位の数が多くなり、つまり回転時に油圧を受ける部位の間隔が狭くなる。図1に示す例では12個のポケット10が設けられている。
図4は、シールリング1の回転時に主に油圧を受ける部位をハッチングで示している。図4(A)は矢印R方向に右回転する場合について示し、図4(B)は矢印L方向に左回転する場合について示している。
図4(A)に示す右回転しているシールリング1では、各ポケット10の第1斜面部12a及び第1端部13aが油圧を受けるものの、各ポケット10の第2斜面部12b及び第2端部13bがほとんど油圧を受けない。この一方で、図4(B)に示す左回転しているシールリング1では、各ポケット10の第2斜面部12b及び第2端部13bが油圧を受けるものの、各ポケット10の第1斜面部12a及び第1端部13aがほとんど油圧を受けない。
このように、シールリング1では、いずれの回転方向の場合であっても、ほとんど油圧を受けない部位が発生する。シールリング1おいてほとんど油圧を受けない部位が周方向に長く連続して存在していると、シールリング1全体に加わる油圧が低下するとともに不安定になる。これにより、フリクションロスを充分に抑制できなくなる場合がある。
その点、シールリング1では、一般的なシールリングよりもポケット10の数を多くすることにより、油圧を受ける部位の間隔を狭め、つまり油圧を受けない部位の範囲を狭めている。これにより、シールリング1は、ポケット10内のオイルから、高い油圧を安定して受けることが可能となる。
シールリング1では、ポケット10の数を4個以上とすることにより、上記の効果が良好に得られる。この一方で、ポケット10の数を40個以下とすることにより、各ポケット10それぞれに加わる油圧を確保することができるため、シールリング1全体に加わる油圧を高く保持することができる。このため、シールリング1では、ポケット10の数が4個以上40個以下であることが好ましい。
また、シールリング1では、ポケット10の寸法dの合計が、内周面1bの全周の50%以上98%以下であることが好ましい。シールリング1では、内周面1bにおけるポケット10の占める割合を50%以上とすることにより、フリクションロスを低減する効果が良好に得られる。この一方で、シールリング1では、内周面1bにおけるポケットの占める割合を98%以下に留めることにより、各ポケット10を柱部20によって良好に隔てることができるため、各ポケット10におけるフリクションロスを低減する効果を確保することができる。
[変形例]
図5を参照して、上記実施形態の変形例に係るシールリング501について説明する。シールリング501は、以下に説明する構成以外について、上記実施形態に係るシールリング1と同様の構成を有する。また、シールリング501における上記実施形態に係るシールリング1と同様の構成についての説明は適宜省略する。
図5は、本実施形態の変形例に係るシールリング501のポケット510を内周面1b側から示す図である。図5では、シールリング501の内周面1bに沿った形状を示している。
シールリング501には、上記実施形態に係る底部11及び接続部14a,14bが設けられていない。このため、第1及び第2斜面部12a,12bは、直接接続されることによりV字形状を成している。なお、第1及び第2斜面部12a,12bは、直接接続されていなくても、例えば、凹状のR面で接続されていてもよい。
このように上記実施形態に係る底部11及び接続部14a,14bを省略した構成により、シールリング501の各ポケットの510の寸法dは、上記実施形態に係るシールリング1の各ポケット10の寸法dよりも小さくなる。これにより、シールリング501では、ポケット510の数を更に多くすることができる。
シールリング501では、ポケット510の数、つまり斜面部12a,12b及び端部13a,13bの数を多くすることにより、回転時に油圧を受ける部位の数が多くなり、回転時に油圧を受ける部位の間隔が狭くなる。これにより、回転時のシールリング501は、ポケット510内のオイルから、更に高い油圧を更に安定して受けることが可能となる。
このように、変形例に係るシールリング501では、回転時のフリクションロスを更に効果的に低減可能である。
[実施例に係るシールリング1]
本発明の実施例として、上記実施形態の構成のシールリング1を作製した。シールリング1の外径は51mmとし、ポケット10の数は12個とした。なお、以下に説明する比較例1〜3に係るシールリング101,201,301は、特に説明する構成以外について、本実施例に係るシールリング1と同様に構成されている。
[比較例1に係るシールリング101]
図6は、本発明の比較例1に係るシールリング101を示す図である。図6(A)はシールリング101の平面図であり、図6(B)はシールリング101の図6(A)のA−A'線に沿った断面図である。
シールリング101では、側面101cが、外周面101aから内周面101bに向けて間隔が狭くなるように傾斜している。シールリング101では、側面101cとシャフトの溝部とが面接触しない構成とすることにより、フリクションロスの低減が図られている。
[比較例2に係るシールリング201]
図7は、本発明の比較例2に係るシールリング201を示す図である。図7(A)はシールリング201の平面図であり、図7(B)はシールリング201の図7(A)のB−B'線に沿った断面図である。
シールリング201には、8個のポケット210が設けられている。ポケット210は、実施例に係るシールリング1のポケット10とは異なり、内周面201bと側面201cとを接続する傾斜面を有する。シールリング201では、側面201cとシャフトの溝部との面接触を保ちつつ、ポケット210によるフリクションロスの低減が図られている。
[比較例3に係るシールリング301]
図8は、本発明の比較例3に係るシールリング301を示す図である。図8(A)はシールリング301の平面図であり、図8(B)はシールリング301のポケット310を拡大して示す部分斜視図である。
シールリング301に設けられたポケット310は、内周面301bに設けられた流入口311から外周面301aと内周面301bとの間の領域に沿って延びている。ポケット310は、流入口311から離れるにつれて幅及び側面301cからの深さが小さくなるように構成されている。
シールリング301は、オイル流路を絞りつつ、流入口311からポケット310内に流入したオイルが内周面301b側に流出しないように構成されている。シールリング301は、ポケット310内の油圧を高めることによるフリクションロスの低減に特化した構成となっている。
[フリクションロス評価]
実施例に係るシールリング1、比較例1に係るシールリング101、比較例2に係るシールリング201、及び比較例3に係るシールリング301をサンプルとするフリクションロス評価を行った。フリクションロス評価としては、各サンプルを2本用い、オイルの温度を80℃とし、油圧を0.5MPaとする引き摺りトルク(N・m)の測定を行った。引き摺りトルクの測定における各サンプルの回転数は1000〜6000rpmとした。
図9は、引き摺りトルクの測定結果を示すグラフである。図9の横軸は回転数(rpm)を示し、縦軸は引き摺りトルクの相対値を示している。
実施例に係るシールリング1、比較例1に係るシールリング101、比較例2に係るシールリング201、及び比較例3に係るシールリング301のいずれにおいても低い引き摺りトルクが得られ、フリクションロスが低減されていた。その中でも、実施例に係るシールリング1及び比較例3に係るシールリング301では、非常に低い引き摺りトルクが得られ、より効果的にフリクションロスが低減されていることがわかった。
[オイル漏れ評価]
実施例に係るシールリング1、比較例1に係るシールリング101、比較例2に係るシールリング201、及び比較例3に係るシールリング301をサンプルとするオイル漏れ評価を行った。オイル漏れ評価として、各サンプルを2本用い、オイルの温度を80℃とし、油圧を0.5MPaとするオイル漏れ量(ml/min)を測定した。オイル漏れ量の測定における各サンプルの回転数は1000〜6000rpmとした。
図10は、オイル漏れ量の測定結果を示すグラフである。図10の横軸は回転数(rpm)を示し、縦軸はオイル漏れ量の相対値を示している。
実施例に係るシールリング1、比較例1に係るシールリング101、比較例2に係るシールリング201、及び比較例3に係るシールリング301のいずれにおいてもオイル漏れ量が少なく、オイル漏れが抑制されていた。その中でも、実施例に係るシールリング1及び比較例2に係るシールリング201では、回転数によらず、ほとんどオイル漏れが発生しておらず、より効果的にオイル漏れが抑制されていることがわかった。また、比較例3に係るシールリング301では、低回転数において良好な結果が得られているものの、特に高回転数において実施例に係るシールリング1には適わなかった。
[まとめ]
実施例に係るシールリング1では、フリクションロス評価及びオイル漏れ評価のいずれについても比較例1に係るシールリング101よりも更に良好な結果が得られた。
また、実施例に係るシールリング1では、オイル漏れ評価について比較例2に係るシールリング201と遜色のない結果が得られ、フリクションロス評価について比較例2に係るシールリング201よりも更に良好な結果が得られた。
更に、実施例に係るシールリング1では、フリクションロス評価について比較例3に係るシールリング301と遜色のない結果が得られ、オイル漏れ評価について比較例3に係るシールリング301よりも更に良好な結果が得られた。
上記のとおり、本発明の実施例に係るシールリング1のみがフリクションロス評価及びオイル漏れ評価の両方において特に良好な結果が得られた。これにより、シールリング1では、フリクションロスの低減とオイル漏れの抑制とを両立可能であることがわかる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
一例として、本発明において、シールリングのポケットの形状は、適宜変更可能である。例えば、各ポケットの形状は、シールリングの周方向において対称であることは必須ではなく、シールリングの周方向において非対称であってもよい。
また、本発明において、シールリングの2つの側面に同様の構成のポケットが設けられている構成は必須ではない。例えば、ポケットはシールリングの2つの側面のうち一方のみに設けられていてもよい。また、シールリングの2つの側面にそれぞれ異なる構成のポケットが設けられていてもよい。更に、ポケットの数がシールリングの2つの側面で相互に異なっていてもよい。
1…シールリング
1a…外周面
1b…内周面
1c…側面
10…ポケット
11…底部
12a,12b…斜面部
13a,13b…端部
14a,14b…接続部
15…隔壁部
20…柱部
30…合口部

Claims (8)

  1. 外周面と、前記外周面に対向する内周面と、前記外周面と前記内周面とを接続する側面と、前記側面に間隔をあけて設けられ、前記外周面側が閉塞され、前記内周面側が開放された複数のポケットと、を具備し、
    前記複数のポケットはそれぞれ、
    周方向の両端部にそれぞれ設けられ、前記側面から延びる、先端曲率半径が60mm以下の前記側面側に突出する凸状のR面である第1及び第2端部と、
    前記第1及び第2端部から周方向の中央部に向けてそれぞれ延びる第1及び第2斜面部と、を有する
    シールリング。
  2. 請求項1に記載のシールリングであって、
    前記複数のポケットはそれぞれ、前記第1端部と前記第2端部との間の中央領域に設けられた底部を更に有し、
    前記第1及び第2斜面部は、前記第1及び第2端部から前記底部にそれぞれ延びる
    シールリング。
  3. 請求項2に記載のシールリングであって、
    前記底部は、前記側面に平行な方向に延びている
    シールリング。
  4. 請求項2又は3に記載のシールリングであって、
    前記ポケットは、前記底部と前記第1及び第2斜面部とをそれぞれ接続し、前記側面側から窪む凹状のR面である第1及び第2接続部を更に有する
    シールリング。
  5. 請求項1に記載のシールリングであって、
    前記第1斜面部と前記第2斜面部とが前記中央部において接続されている
    シールリング。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載のシールリングであって、
    前記内周面における前記複数のポケットの周方向の寸法の合計は、前記内周面の全周の50%以上98%以下である
    シールリング。
  7. 請求項1から6のいずれか1項のいずれか1項に記載のシールリングであって、
    前記第1及び第2斜面部は平面である
    シールリング。
  8. 請求項7に記載のシールリングであって、
    前記第1及び第2斜面部は、前記側面に対して1°以上20°以下の角度を成す
    シールリング。
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