JP7166167B2 - シールリング - Google Patents

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Description

本発明は、オートマチックトランスミッション(以下、ATと記す)や無段変速機(以下、CVTと記す)など、油圧作動油などの流体の流体圧を利用した機器において、該流体を封止するために使用されるシールリングに関する。
AT、CVTなどの機器では、作動油を密封するためのオイルシールリングが要所に取り付けられている。例えば、ハウジングの軸孔に挿通される回転軸に設けられた対の離間した環状溝に取り付けられ、両環状溝間にある油路から供給される作動油を両シールリングの側面と内周面で受け、反対側の側面と外周面とで環状溝の側壁とハウジング内周面とをシールする。シールリングにおける各シール面は、環状溝の側壁、ハウジング内周面とそれぞれ摺動接触しつつ、両シールリング間の作動油の油圧を保持している。このようなシールリングは、摩擦損失が少なく、かつ充分なオイルシール性が要求される。特に近年では、燃費向上が重要な課題とされており、AT、CVTなどの機器において、良好なシール性を維持しつつ、更なる低トルク性の向上が望まれている。
従来、このようなシールリングとして、図8に示すような特許文献1のシールリングが提案されている。図8は該シールリングの一部切欠き図である。図8に示すように、このシールリングでは、リングの摺動面21に密封対象となる流体を導入する流路を形成し、この流路の途中に突部23(突部の両側が凹部22)を設けて、摺動面間の面圧を軽減するように動圧を発生させている。
また、他のシールリングとして、図9に示すような特許文献2のシールリングが提案されている。図9は該シールリングが環状溝に取り付けられた状態を示す図である。図9に示すように、このシールリングは、環状溝31に取り付けられ、摺動面32の非当接部33側の端部に、該端部の縁を部分的に切り欠いた構成の凹部34が設けられている。
特開平8-121603号公報 特開2008-275052号公報
しかしながら、特許文献1のシールリングは、高速回転時での動圧による油膜形成効果は期待できるが、低速回転時での油膜形成効果はほとんど現れない。そのため、低速回転時においては、オイルはシール面(摺動面21のうち環状溝と実際に相対摺動する部分)に油膜を形成することができず、トルクの低下や摩耗の低減に寄与できない。この原因は、突部23の頂点がシールリングの摺動面21より内側に入っており、低速回転時には凹部22(潤滑溝)に入り込んだオイルが突部23を乗り越えて隣接する凹部22に流れるためと考えらえる。
また、特許文献2のシールリングは、摺動面32にオイルを導入しやすく、低速回転から高速回転まで摺動面32における油膜形成性に優れ、低トルク性に優れる。しかし、その反面、摺動面32における凹部34の面積を大きく取れず摺動面積の低減が限られている。
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、シールリングの本来の目的である低オイルリーク性と、燃費向上のための低トルク性をバランス良く兼ね備えたシールリングを提供することを目的とする。
本発明のシールリングは、軸孔を有するハウジングおよび上記軸孔に挿通される回転軸の一方の部材に設けられた環状溝に装着されて、他方の部材表面に接触し、かつ上記環状溝の非密封流体側の側壁面に摺動自在に接触して、これら部材間の環状隙間を封止するシールリングであって、該シールリングは、少なくとも上記側壁面との摺動面となるリング側面の内径側端部の一部に、上記側壁面との非接触部となる凹部が設けられており、上記凹部は、リング周方向に沿ってV字状をなす一対の平面と、該一対の平面に接続され、リング径方向に沿って傾斜した傾斜平面とを有することを特徴とする。
上記凹部は、リング内周面に連通しており、上記傾斜平面は、互いに接続された上記一対の平面を介して上記リング内周面に接続されることを特徴とする。
上記傾斜平面の傾斜角は、上記シールリングの軸心方向と直角な面に対して、30~60度の範囲であることを特徴とする。
上記凹部は、内径側の開口寸法より外径側の開口寸法の方が大きいことを特徴とする。
上記凹部の上記摺動面からの深さは、該凹部のリング周方向の端部以外に最深部があり、該最深部からリング周方向の両端部に向けて浅くなり、該最深部からリング径方向の外側に向けて浅くなることを特徴とする。
上記凹部において、上記凹部のリング周方向の端部と上記摺動面との境界部の上記摺動面に対する勾配が、該境界部以外の部分の上記摺動面に対する勾配よりも大きくなっていることを特徴とする。
上記凹部において、上記傾斜平面のリング径方向の端部と上記摺動面との境界部の上記摺動面に対する勾配が、該境界部以外の部分の上記摺動面に対する勾配よりも大きくなっていることを特徴とする。
また、上記凹部がリング周方向で離間して複数個設けられ、隣り合う凹部同士の間のリング側面が上記摺動面の一部を構成することを特徴とする。
本発明のシールリングは、軸孔を有するハウジングおよび上記軸孔に挿通される回転軸の一方の部材に設けられた環状溝に装着されて、他方の部材表面に接触し、かつ環状溝の非密封流体側の側壁面に摺動自在に接触して、これら部材間の環状隙間を封止するものであり、少なくとも側壁面との摺動面となるリング側面の内径側端部の一部に、側壁面との非接触部となる凹部が設けられており、該凹部は、リング周方向に沿ってV字状をなす一対の平面と、該一対の平面に接続され、リング径方向に沿って傾斜した傾斜平面とを有する、つまり凹部は3方向テーパ状であるので、密封流体である作動油等がこの凹部を介してリング周方向側の摺動面やリング径方向側の摺動面に適度に流出しやすい。このため、低オイルリーク性と、低トルク性をバランス良く兼ね備えたシールリングとなる。
凹部は、リング内周面に連通しており、傾斜平面は、互いに接続された一対の平面を介してリング内周面に接続されるので、凹部に流入した作動油等は一対の平面に沿ってスムーズに流動しやすく、リング周方向側の摺動面に流出させやすくなることで、低トルク性を向上させつつ、低オイルリーク性を確保できる。
傾斜平面の傾斜角は、シールリングの軸心方向と直角な面に対して、30~60度の範囲であり、比較的急勾配であるので、凹部の外径側の摺動面における摺動面積を確保でき、低オイルリーク性を好適に確保できる。
凹部に流入した作動油等はシールリングの回転軸との相対的回転によって凹部内から摺動面に流出する。この際、凹部の内径側の開口寸法より外径側の開口寸法の方を大きくすることで、より多くの作動油等を摺動面に流出することが可能となり、十分な低トルク性を発揮する。
凹部の摺動面からの深さは、該凹部のリング周方向の端部以外に最深部があり、該最深部からリング周方向の両端部に向けて浅くなり、リング径方向は内側から外側に向けて浅くなることから、隣り合う凹部同士の間の摺動面や凹部よりも外径側の摺動面に密封流体である作動油等が流出しやすく、十分な低トルク性を有する。
凹部において、凹部のリング周方向の端部と摺動面との境界部の摺動面に対する勾配が、該境界部以外の部分の摺動面に対する勾配よりも大きくなっているので、摺動面が摩耗した場合でも凹部の開口面積の減少が小さく、トルクの変化が生じない。
凹部において、傾斜平面のリング径方向の端部と摺動面との境界部の摺動面に対する勾配が、該境界部以外の部分の摺動面に対する勾配よりも大きくなっているので、摺動面が摩耗した場合でも凹部の開口面積の減少が小さく、トルクの変化が生じない。
本発明のシールリングの一例を示す斜視図などである。 図1のシールリングの平面図である。 図1のシールリングを環状溝に組み込んだ状態を示す断面図である。 図2におけるA部の拡大図などである。 図2におけるA部をリング内径側から見た図である。 図5におけるD部の拡大図である。 境界部の一例を示す断面図である。 従来のシールリングの一例を示す図である。 従来のシールリングの他の例を示す図である。
本発明のシールリングの一例を図1および図2に基づいて説明する。図1(a)はシールリングの全体斜視図を示し、図1(b)は合い口の部分拡大図を示し、図2は該シールリングの正面図を示す。図1および図2に示すように、シールリング1は、一箇所の合い口4を有する断面が略矩形の環状体である。リングの両側面2の内径側端部に、リング周方向に沿って凹部3が複数設けられており、該凹部3はリング内周面1bに連通している。凹部3は、後述するように、3つの傾斜した平面から構成される3方向テーパ形状である。なお、リング内周面1bとリングの両側面2(凹部3を含む)との角部は直線状、曲線状の面取りが設けられていてもよく、シールリングを射出成形で製造する場合、該部分に金型からの突出し部分となる段部を設けてもよい。
図3は図1のシールリングを油圧装置の環状溝に組み込んだ状態の断面図を示す。なお、図3のシールリングは、図2のB-B’線で切断した状態を示している。図3に示すように、シールリング1は、ハウジング5の軸孔5aに挿通される回転軸6に設けられた環状溝6aに装着される。図中の矢印が作動油からの圧力が加わる方向であり、図中右側が非密封流体側である。シールリング1は、図中右側のリング側面2で、環状溝6aの非密封流体側の側壁面6bに摺動自在に接触している。また、その外周面1aで軸孔5aの内周面に接触している。このシール構造により、回転軸6と軸孔5aとの間の環状隙間を封止している。なお、環状溝が、回転軸側ではなく、ハウジング側に設けられる構成においても同様に適用できる。また、作動油は用途に応じた種類が適宜用いられる。本発明では、油温として30~150℃程度、油圧として0.5~3.0MPa程度、回転軸の回転数として1000~7000rpm程度の条件を主に想定している。
シールリング1は、一箇所の合い口4(図1参照)を有するカットタイプのリングであり、弾性変形により拡径して環状溝6aに装着される。シールリング1は、合い口4を有することから、使用時において作動油の油圧によって拡径されて、外周面1aが軸孔5aの内周面と密着する。合い口4の形状については、ストレートカット型、アングルカット型などにすることも可能であるが、シール性に優れることから、図1(b)に示す複合ステップカット型を採用することが好ましい。
図1~図3に示す形態のシールリング1では、一方のリング側面2が環状溝6aの側壁面6bとの摺動面となり、このリング側面2(摺動面)の内径側端部に該側壁面との非接触部となる3方向テーパ状の凹部3が形成されている。凹部3を設けることで、密封流体である作動油等が該凹部を介して摺動面に適度に流出しやすくなる。詳細には、隣り合う凹部同士の間の摺動面X(図1参照)と凹部との境界部は連続的な形状となり、また、凹部の外径側の摺動面Y(図1参照)と凹部との境界部は連続的な形状となるため、作動油等が摺動面Xや摺動面Yに流出しやすい。摺動面Xや摺動面Yに密封流体である作動油等が流出することで、該摺動面で油膜を形成でき、トルクおよび摩耗の低減が図れる。
リング側面の内径側における凹部以外の部分、すなわち、内径側の隣り合う凹部同士の間の面(摺動面X)は、外径側のリング側面と一平面で繋がっており、全体が非傾斜面(シールリングの軸心方向と直角な面)である。凹部3は、この内径側の面(摺動面X)から見て凹んだ形状となる。
3方向テーパ状の凹部を図4に基づいて詳細に説明する。図4(a)は図2のシールリングのA部拡大図を、図4(b)は図2のシールリングのC-C’部分におけるB-B’線断面図を示す。図4(a)に示すように、凹部3は、リング周方向に沿って傾斜した一対の平面3a、3bと、該一対の平面3a、3bに接続され、リング径方向に沿って傾斜した傾斜平面3cとを有する。凹部3の摺動面からの深さは、凹部3のリング周方向の端部以外が最も深く、図4(a)ではリング周方向の中央位置に最深部3dが形成される。最深部3dは、リング径方向に沿った線状に形成される。一対の平面3a、3bは、凹部3の最深部3dからリング周方向の両端側に向けて上記深さがそれぞれ浅くなるように形成される。また、傾斜平面3cは、一対の平面3a、3bの外径側縁(最深部3dを含む)からリング径方向の外側に向けて摺動面からの深さが浅くなるように形成される。なお、傾斜平面3cは、リング周方向では、最深部3dの径方向外側の部分からリング周方向の両端側に向けて上記深さがそれぞれ浅くなるように形成される。
このように傾斜平面3cは、一対の平面3a、3bと摺動面Yとを段差なく接続する傾斜平面である。なお、傾斜平面3cおよび平面3a、傾斜平面3cおよび平面3bとの境界部の形状は、各平面を単純に連結した構成の他、曲線状としてもよい。
図4(a)に示すように、シールリングを軸方向から見たリング平面視において、凹部3は略矩形状である。その中で、一対の平面3a、3bは略台形形状であり、各平面のリング径方向長さは、摺動面との各境界部から最深部3dに向けて短くなる。一対の平面3a、3bは、先細りした端部同士が互いに接続されている。一方、リング平面視において、傾斜平面3cは、略三角形状であり、一対の平面3a、3bよりもリング径方向の外側に位置している。この構成において、傾斜平面3cは、リング内周面1bと直接接続されておらず、一対の平面3a、3bを介してリング内周面1bに接続されるので、作動油等は、シールリングの周方向に沿って一層流れやすくなり、摺動面X側に流出しやすくなる。その結果、作動油等の摺動面Yへの流出が相対的に少なくなり、低オイルリーク性が向上できる。なお、一対の平面3a、3bの面積は略同一であることが好ましい。この場合、一対の平面3a、3bの各面積を1とすると、傾斜平面3cの面積比は、1/4~1/2であることが好ましく、1/3~1/2であることがより好ましい。
また、図4(a)に示すように、凹部3において、リング径方向の長さが一定である、つまり凹部3の外径側の摺動面Yのリング径方向の長さが一定であることが好ましい。これにより、オイルシール性を確保するための摺動面のリング径方向の長さが設定しやすくなる。
また、図4(a)に示すように、凹部3の内径側の開口寸法より外径側の開口寸法の方が大きく設計されている。すなわち、リング側面2において、環状溝の側壁面との非接触面である凹部3の平面形状は、内径側より外径側の方が非接触面積は大きくなるよう形成されている。このように凹部を設計することによって、凹部に流入した作動油等がシールリングの回転軸との相対的回転によって凹部内から流出されるとき、凹部の内径側の開口寸法は外径側の開口寸法よりも小さいので、凹部の内径側の開口寸法と外径側の開口寸法とが同じ場合と比較して、より多くの作動油等が摺動面に流出されるようになる。これは、凹部内から流出される作動油等が凹部の周方向端部にぶつかったときにシールリングの内径側に抜け出る量を抑えることができるためである。
図4(b)は、図2のシールリングにおけるC-C’領域のB-B線断面図を示しており、最深部3dに沿って切断した図である。図4(b)に示すように、最深部3dにおける摺動面からの深さはリング径方向に一定であり、傾斜平面3cにおける摺動面からの深さは、リング径方向で摺動面に近い領域程浅くなる。傾斜平面3cの傾斜角αは、シールリングの軸心方向と直角な面(図4(b)ではリング側面)に対して、30~60度の範囲であることが好ましい。より好ましくは、傾斜角αが30度~45度である。傾斜角αが30度未満であると、摺動面Yのリング径方向の長さの確保が困難となり、オイルリークが大きくなるおそれがある。また、傾斜角αが60度をこえると、作動油等の流出が抑制され、十分なトルク低減が得られないおそれがある。
また、傾斜角αは、シールリングの軸心方向に直角な面と、平面3aまたは平面3bとがなす角度(傾斜角β(図5参照))よりも大きいことが好ましい。この場合、シールリングの軸心方向に直角な面に対する平面3a、平面3bの傾斜角よりも、傾斜平面3cの傾斜角の方が急勾配となる。このように勾配差を設けることで、摺動面Yよりも摺動面Xに作動油等が流出しやすくなり、オイルシール性を向上できる。なお、傾斜角βは、1~30度であることが好ましく、5~20度であることがより好ましい。図5において、傾斜角βは、シールリングの軸心方向に直角な面であるリング側面2に対して軸方向に平行な仮想面Lと、平面3aまたは平面3bとがなす角度として示している。リング側面2と仮想面Lとの距離が最深部3dにおける摺動面からの深さとなる。
図4(b)に示す凹部3(一対の平面3a、3bと傾斜平面3cを含む)のリング径方向の長さTは、リング総厚みTの10~60%とすることが好ましく、20~50%とすることがより好ましく、30~40%とすることがさらに好ましい。また、最深部3dのリング径方向の長さTは、凹部のリング径方向の長さTの20~80%とすることが好ましく、30~70%とすることがより好ましく、40~60%とすることがさらに好ましい。
なお、凹部3は少なくとも摺動面となるリング側面に形成すればよいが、組み付け方向の依存性がなく、重量バランスにも優れることから、図4(b)に示すようにリングの両側面に対称に形成することが好ましい。
また、図2に示すように、凹部3はリング周方向で離間して複数個設けることが好ましい。隣り合う凹部同士の間のリング側面2が摺動面の一部(摺動面X)を構成する。上述のとおり、使用時には、この隣り合う凹部同士の間の摺動面において油膜を形成でき、トルクおよび摩耗の低減が図れる。凹部のそれぞれのリング周方向の長さは、個数に応じて、リング全周の約3~20%とすることが好ましい。また、摺動特性が安定することから、凹部は全て同サイズとし、略等間隔で離間して複数個(図1では片面14個)設けることが好ましい。
図5は、図2のシールリングのA部をリング内径側から見た図である。図5に示すように、一対の平面3a、3bは、摺動面(リング側面2)から、幅方向中央側に向けてリング周方向に沿って傾斜しており、リング周方向に沿ったV字状を形成する。リング側面2の一方が環状溝との摺動面である。図5に示すように、一対の平面3a、3bにおける摺動面からの深さは、リング周方向で摺動面に近い領域程浅くなり、リング径方向には一定である。
図1~図5に示す例では、凹部3における最深部3dの位置は、凹部3のリング周方向の中央位置であるが、特にこれに限定されるものではない。また、凹部3の最深部3dの形状は、平面3aと平面3bとを単純に連結したV字状の他、曲線状や水平状としてもよい。
凹部3の最深部3dの摺動面からの深さは、リング総幅の45%以下とすることが好ましく、30%以下とすることが更に好ましい。なお、ここでの「深さ」は、凹部をリングの両側面に形成する場合には、各側面の凹部の深さを合計したものである。リング総幅の45%をこえる場合、リングが使用時に大きく変形する等のおそれがある。
凹部のリング周方向の端部と摺動面との境界部について図6および図7に基づいて説明する。図6は図5におけるD部の拡大図であり、図7は境界部の一例を示す拡大断面図である。図7(a)に示すように、凹部3のリング周方向の端部と摺動面(リング側面2)との境界部3fは、摺動面に対して急勾配に形成されていることが好ましい。すなわち、凹部3において、境界部3fの摺動面に対する勾配を、該境界部3f以外の部分の摺動面に対する勾配よりも大きくすることが好ましい。この構成により、急勾配を形成しない場合(図7(b))と比較して、摺動面が同程度摩耗した場合でも凹部の開口面積の減少が小さく、トルクの変化が生じない。この急勾配は、例えば図6に示すように、リングの幅方向中央側に凸のR状にすることができる。境界部3fの急勾配部をR状に形成することで、密封流体である作動油等が、より摺動面に流出しやすくなり、更に低トルクとなる。
図6および図7では、凹部3のリング周方向の端部と摺動面(リング側面2)との境界部3fについて説明したが、傾斜平面3cのリング径方向の端部と摺動面(リング側面2)との境界部3e(図4(b)参照)についても同様の構成であることが好ましい。すなわち、凹部3において、境界部3eの摺動面に対する勾配が、該境界部3e以外の部分の摺動面に対する勾配よりも大きくなっていることが好ましい。
本発明のシールリングの材質は特に限定されないが、上述の凹部を側面に形成することや、弾性変形により拡径して溝に装着すること等を考慮すれば合成樹脂の成形体とすることが好ましい。使用できる合成樹脂としては、例えば、熱硬化性ポリイミド樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(以下、PEEKと記す)樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと記す)樹脂等のフッ素樹脂、ポリフェニレンサルファイド(以下、PPSと記す)樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。なお、これらの樹脂は単独で使用しても、2種類以上混合したポリマーアロイとしてもよい。
上述の凹部や複合ステップカットの合い口を有するシールリングの製造が容易であり低コストであること、機械加工された場合より回転トルクが低く安定すること等から、シールリングは、合成樹脂を射出成形してなる射出成形体にすることが好ましい。このため、合成樹脂としては、射出成形が可能である熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。その中でも特に、摩擦摩耗特性、曲げ弾性率、耐熱性、摺動性などに優れることから、PEEK樹脂またはPPS樹脂を用いることが好ましい。これらの樹脂は高い弾性率を有し、溝に組み込む際に拡径しても割れることがなく、シールする作動油の油温が高くなる場合でも使用でき、また、ソルベントクラックの心配もない。
また、必要に応じて上記合成樹脂に、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などの繊維状補強材、球状シリカや球状炭素などの球状充填材、マイカやタルクなどの鱗状補強材、チタン酸カリウムウィスカなどの微小繊維補強材を配合できる。また、PTFE樹脂、グラファイト、二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤、リン酸カルシウム、硫酸カルシウムなどの摺動補強材、カーボンブラックなども配合できる。これらは単独で配合することも、組み合せて配合することもできる。特に、PEEK樹脂またはPPS樹脂に、繊維状補強材である炭素繊維と、固体潤滑剤であるPTFE樹脂とを含むものが、本発明のシールリングに要求される特性を得やすいので好ましい。炭素繊維を配合することで、曲げ弾性率等の機械的強度の向上が図れ、PTFE樹脂の配合により摺動特性の向上が図れる。
合成樹脂製とする場合には、以上の諸原材料を溶融混練して成形用ペレットとし、これを用いて公知の射出成形法等により所定形状に成形する。射出成形により製造する場合、そのゲート位置は特に限定されないが、シール性の確保の観点および後加工が不要になることからリング内周面に設けた方が好ましい。また、ゲート位置は、リング内周面の合い口対向部に設けた方が、射出成形における流動バランスの面から好ましい。
本発明のシールリングは、シールリングの本来の目的である低オイルリーク性と、低トルク性をバランス良く兼ね備えるので、回転軸とハウジングとの間でこれらの特性が要求されるシールリングとして使用できる。特に、自動車等におけるATやCVTなどの油圧機器に燃費向上のために好適に使用できる。
1 シールリング
2 リング側面
3 凹部
3a 平面
3b 平面
3c 傾斜平面
3d 最深部
3e 境界部
3f 境界部
4 合い口
5 ハウジング
6 回転軸

Claims (8)

  1. 軸孔を有するハウジングおよび前記軸孔に挿通される回転軸の一方の部材に設けられた環状溝に装着されて、他方の部材表面に接触し、かつ前記環状溝の非密封流体側の側壁面に摺動自在に接触して、これら部材間の環状隙間を封止するシールリングであって、
    該シールリングは、少なくとも前記側壁面との摺動面となるリング側面の内径側端部の一部に、前記側壁面との非接触部となる凹部が設けられており、
    前記凹部は、リング周方向に沿ってV字状をなす一対の平面と、該一対の平面に接続され、リング径方向に沿って傾斜した傾斜平面とを有し、
    前記凹部は、リング内周面に連通しており、前記傾斜平面は、互いに接続された前記一対の平面を介して前記リング内周面に接続されることを特徴とするシールリング。
  2. 軸孔を有するハウジングおよび前記軸孔に挿通される回転軸の一方の部材に設けられた環状溝に装着されて、他方の部材表面に接触し、かつ前記環状溝の非密封流体側の側壁面に摺動自在に接触して、これら部材間の環状隙間を封止するシールリングであって、
    該シールリングは、少なくとも前記側壁面との摺動面となるリング側面の内径側端部の一部に、前記側壁面との非接触部となる凹部が設けられており、
    前記凹部は、リング周方向に沿ってV字状をなす一対の平面と、該一対の平面に接続され、リング径方向に沿って傾斜した傾斜平面とを有し、
    前記凹部の前記摺動面からの深さは、該凹部のリング周方向の端部以外に最深部があり、該最深部からリング周方向の両端部に向けて浅くなり、該最深部からリング径方向の外側に向けて浅くなることを特徴とするシールリング。
  3. 前記凹部は、リング内周面に連通しており、前記傾斜平面は、互いに接続された前記一対の平面を介して前記リング内周面に接続されることを特徴とする請求項記載のシールリング。
  4. 前記傾斜平面の傾斜角は、前記シールリングの軸心方向と直角な面に対して、30~60度の範囲であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項記載のシールリング。
  5. 前記凹部は、内径側の開口寸法より外径側の開口寸法の方が大きいことを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか1項記載のシールリング。
  6. 前記凹部において、前記凹部のリング周方向の端部と前記摺動面との境界部の前記摺動面に対する勾配が、該境界部以外の部分の前記摺動面に対する勾配よりも大きくなっていることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項記載のシールリング。
  7. 前記凹部において、前記傾斜平面のリング径方向の端部と前記摺動面との境界部の前記摺動面に対する勾配が、該境界部以外の部分の前記摺動面に対する勾配よりも大きくなっていることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項記載のシールリング。
  8. 前記凹部がリング周方向で離間して複数個設けられ、隣り合う凹部同士の間のリング側面が前記摺動面の一部を構成することを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか1項記載のシールリング。
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