JP2020049677A - 化粧シート及び化粧板 - Google Patents

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Abstract

【課題】高艶(グロス)部分と低艶(マット)部分とのコントラストによって視覚的な立体感が得られる化粧シートであって、高艶(グロス)部分に更に光沢の差を表現することが可能な化粧シート、及びそれを用いた化粧板を提供する。【解決手段】厚さ方向において順に、基材シートと、絵柄模様層と、意匠形成層とを少なくとも備える積層体から構成される化粧シートであって、(1)前記意匠形成層は、前記基材シート側から順に、第1意匠形成層及び第2意匠形成層の二層を有しており、(2)前記絵柄模様層は、濃色部分と淡色部分とが交互に配置される絵柄模様を描出する層であり、前記濃色部分と前記淡色部分との境界には濃淡のコントラストが大きい境界Aと濃淡のコントラストが小さい境界Bが交互に存在し、(3)前記第1意匠形成層は、前記絵柄模様層の前記淡色部分の領域内で前記濃淡のコントラストが大きい境界Aと同調するように部分的に形成されており、前記第2意匠形成層は、前記絵柄模様層及び前記第1意匠形成層を被覆するように形成されており、(4)前記意匠形成層側から前記化粧シートを平面視した状態において、前記第1意匠成形層と前記第2意匠形成層とが重なる部分の光沢の程度をGr1とし、前記第1意匠形成層が存在せず前記第2意匠形成層が存在する部分の光沢の程度をGr2とした場合に、Gr2<Gr1である、ことを特徴とする化粧シート。【選択図】なし

Description

本発明は、化粧シート及び化粧板に関する。
従来、建築物の内装材に用いられる建具、床、壁等においては、表面化粧等のために各種の化粧シートが用いられている。例えば、厚さ方向において順に、基材シートと、表面保護層とを有する積層体から構成される化粧シートが幅広く用いられており、必要に応じて基材シート上に装飾層(絵柄模様層)及び/又は透明性樹脂層を設けたり、接着性を高めるために透明性樹脂層と表面保護層との間にプライマー層を設けたり、表面保護層の耐傷性を高めるために表面保護層の樹脂成分に電離放射線硬化型樹脂を含有すること等が知られている。
化粧シートの具体例としては、例えば特許文献1、特許文献2等があり、特許文献1には建築物の内層、建具の表面化粧、車両内装等に用いられる化粧シートが開示されており、その実施例1には、厚さ方向において順に、基材シート2と、着色層3と、木目模様の絵柄層4と、接着層5と、透明樹脂層6と、厚さ2μmのプライマー層7と、電子線硬化型樹脂組成物により形成された厚さ5μmの表面保護層8とを備える化粧シートが記載されている(特許文献1の[0037]段落及び図1)。
また、化粧シートに立体的な意匠性を備える態様として、例えば、基材シート上に絵柄模様層を設け、その上に艶消し剤を含む樹脂層を全面に設け、更に絵柄模様層と同調するように部分的に樹脂層を設けた化粧シートが提案されている(特許文献3、4等)。
このような、従来の立体的な意匠性を備える化粧シートは、高艶(グロス)部分と低艶(マット)部分とのコントラストによって視覚的な立体感が得られるものの、従来は高艶(グロス)部分は単一の塗膜により発現されており、この単一の塗膜の領域内で光沢変化は殆ど存在しない。なお、艶消し剤の量を調整することにより高艶(グロス)部分と低艶(マット)部分とのコントラストを発現するこれらの樹脂層を意匠形成層ともいう。
他方、木目模様についていえば、実際の木材には季節要因での成長速度の違いに応じてさまざまな木目模様が存在する。例えば、早材(いわゆる夏目)と呼ばれる部分と、晩材(いわゆる冬目)と呼ばれる部分に大別され、従来これらを印刷で表現するためには晩材部分を低艶(マット)で表現し、早材部分を高艶(グロス)で表現することが一般的である。しかしながら、早材模様においても木材の成長速度は一定ではなく、加工処理を経た木材を観察すると、早材部分においても複雑に光沢の差が含まれている場合が多い。
例えば、図5には木目模様の板目(i)と柾目(ii)の導管模様の例が示されているが、晩材(低艶:濃色部分)と早材(高艶:淡色部分)とが交互に配置されるこれらの部分の境界を観察すると濃淡のコントラストが大きい境界(晩材から早材への移行部分)と濃淡のコントラストが小さい境界(早材から晩材への移行部分)とが存在することが分かり、早材部分においても光沢の差が含まれ得ることが示されている。
なお、本発明に関連する他の先行文献としては、例えば特許文献5が存在する。
特開2006−7728号公報 特許第5573986号公報 特開平9−174795号公報 特開2013−123863号公報 特開2017−65261号公報
従来の化粧シートは、高艶(グロス)部分と低艶(マット)部分とのコントラストによって視覚的な立体感が得られるものの、高艶(グロス)部分に更に光沢の差を表現することは困難とされている。
本発明は、高艶(グロス)部分と低艶(マット)部分とのコントラストによって視覚的な立体感が得られる化粧シートであって、高艶(グロス)部分に更に光沢の差を表現することが可能な化粧シート、及びそれを用いた化粧板を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、厚さ方向において順に、基材シートと、絵柄模様層と、意匠形成層とを少なくとも備える積層体から構成される化粧シートであって、前記意匠形成層が特定の二層を有する場合には上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の化粧シート及び化粧板に関する。
1.厚さ方向において順に、基材シートと、絵柄模様層と、意匠形成層とを少なくとも備える積層体から構成される化粧シートであって、
(1)前記意匠形成層は、前記基材シート側から順に、第1意匠形成層及び第2意匠形成層の二層を有しており、
(2)前記絵柄模様層は、濃色部分と淡色部分とが交互に配置される絵柄模様を描出する層であり、前記濃色部分と前記淡色部分との境界には濃淡のコントラストが大きい境界Aと濃淡のコントラストが小さい境界Bが交互に存在し、
(3)前記第1意匠形成層は、前記絵柄模様層の前記淡色部分の領域内で前記濃淡のコントラストが大きい境界Aと同調するように部分的に形成されており、前記第2意匠形成層は、前記絵柄模様層及び前記第1意匠形成層を被覆するように形成されており、
(4)前記意匠形成層側から前記化粧シートを平面視した状態において、前記第1意匠成形層と前記第2意匠形成層とが重なる部分の光沢の程度をGr1とし、前記第1意匠形成層が存在せず前記第2意匠形成層が存在する部分の光沢の程度をGr2とした場合に、Gr2<Gr1である、
ことを特徴とする化粧シート。
2.前記意匠形成層が更に第3意匠形成層を有し、前記第3意匠形成層は、前記絵柄模様層と前記第1意匠形成層との間に全面に形成されている、上記項1に記載の化粧シート。
3.前記第1意匠形成層、前記第2意匠形成層及び前記第3意匠形成層の少なくとも一層が電離放射線硬化型樹脂を含有する、上記項2に記載の化粧シート。
4.前記第2意匠形成層は、樹脂ビーズを含有する、上記項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
5.前記絵柄模様層と前記意匠形成層との間に、透明性樹脂層とを備える、上記項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
6.前記第2意匠形成層側からエンボス凹凸模様が賦型されている、上記項1〜5のいずれかに記載の化粧シート。
7.前記絵柄模様層の絵柄模様が木目模様であり、前記濃色部分が晩材(冬目)を描出し、前記淡色部分が早材(夏目)を描出し、前記濃淡のコントラストが大きい境界Aは前記晩材から前記早材への移行部分である、上記項1〜6のいずれかに記載の化粧シート。
8.厚さ方向において順に、化粧板基材と、上記項1〜7のいずれかに記載の化粧シートとを備える積層体から構成される化粧板。
本発明の化粧シートは、厚さ方向において順に、基材シートと、絵柄模様層と、意匠形成層とを少なくとも備える積層体から構成される化粧シートであって、
(1)前記意匠形成層は、前記基材シート側から順に、第1意匠形成層及び第2意匠形成層の二層を有しており、
(2)前記絵柄模様層は、濃色部分と淡色部分とが交互に配置される絵柄模様を描出する層であり、前記濃色部分と前記淡色部分との境界には濃淡のコントラストが大きい境界Aと濃淡のコントラストが小さい境界Bが交互に存在し、
(3)前記第1意匠形成層は、前記絵柄模様層の前記淡色部分の領域内で前記濃淡のコントラストが大きい境界Aと同調するように部分的に形成されており、前記第2意匠形成層は、前記絵柄模様層及び前記第1意匠形成層を被覆するように形成されており、
(4)前記意匠形成層側から前記化粧シートを平面視した状態において、前記第1意匠成形層と前記第2意匠形成層とが重なる部分の光沢の程度をGr1とし、前記第1意匠形成層が存在せず前記第2意匠形成層が存在する部分の光沢の程度をGr2とした場合に、Gr2<Gr1である、
ことを特徴とする。
このような特徴は、例えば、第2意匠形成層を高艶(グロス)部分とし、更に光沢の程度が高い(より高艶の)第1意匠形成層が部分的に形成されていることにより達成することができ、意匠形成層側から化粧シートを平面視した状態において高艶(グロス)部分に更に光沢の差を表現することができる。また、本発明では絵柄模様の濃色部分と淡色部分の境界のうち濃淡のコントラストが大きい境界Aと同調するように淡色部分の領域内に第1意匠形成層が部分的に形成されているため、上記効果に加えてコントラストの大きい境界Aをより際立たせる効果も得られる。
本発明の化粧シートの一例を模式的に示した断面図である。 本発明の化粧シートの一例を模式的に示した断面図である。 本発明の化粧シートの一例を模式的に示した断面図である。 本発明の化粧材の構成部材の一例を模式的に示した断面図である。 木材を製材した際に、製材法の違いにより各種の木目模様が得られること、並びに木目模様の板目(i)と柾目(ii)の導管模様の例において、晩材(低艶:濃色部分)と早材(高艶:淡色部分)とが交互に配置されるこれらの部分の境界を観察すると濃淡のコントラストが大きい境界(晩材から早材への移行部分)と濃淡のコントラストが小さい境界(早材から晩材への移行部分)とが存在することが分かり、早材部分においても光沢の差が含まれることを示す模式図である。図中、矢印部分は木目模様との関係における第1意匠形成層の形成位置を示す。
1.化粧シート
本発明の化粧シートは、厚さ方向において順に、基材シートと、絵柄模様層と、意匠形成層とを少なくとも備える積層体から構成される化粧シートであって、
(1)前記意匠形成層は、前記基材シート側から順に、第1意匠形成層及び第2意匠形成層の二層を有しており、
(2)前記絵柄模様層は、濃色部分と淡色部分とが交互に配置される絵柄模様を描出する層であり、前記濃色部分と前記淡色部分との境界には濃淡のコントラストが大きい境界Aと濃淡のコントラストが小さい境界Bが交互に存在し、
(3)前記第1意匠形成層は、前記絵柄模様層の前記淡色部分の領域内で前記濃淡のコントラストが大きい境界Aと同調するように部分的に形成されており、前記第2意匠形成層は、前記絵柄模様層及び前記第1意匠形成層を被覆するように形成されており、
(4)前記意匠形成層側から前記化粧シートを平面視した状態において、前記第1意匠成形層と前記第2意匠形成層とが重なる部分の光沢の程度をGr1とし、前記第1意匠形成層が存在せず前記第2意匠形成層が存在する部分の光沢の程度をGr2とした場合に、Gr2<Gr1である、
ことを特徴とする。
このような特徴は、例えば、第2意匠形成層を高艶(グロス)部分とし、更に光沢の程度が高い(より高艶の)第1意匠形成層が部分的に形成されていることにより達成することができ、意匠形成層側から化粧シートを平面視した状態において高艶(グロス)部分に更に光沢の差を表現することができる。また、本発明では絵柄模様の濃色部分と淡色部分の境界のうち濃淡のコントラストが大きい境界Aと同調するように淡色部分の領域内に第1意匠形成層が部分的に形成されているため、上記効果に加えてコントラストの大きい境界Aをより際立たせる効果も得られる。
従来品の化粧シートは、高艶(グロス)部分と低艶(マット)部分とのコントラストによって視覚的な立体感が得られるものの、高艶(グロス)部分は単一の塗膜により発現されており、この単一の塗膜の領域内で光沢変化は殆ど存在しないものであるが、本発明の化粧シートは、高艶(グロス)部分に更に光沢の差を十分に表現することができるため、従来品よりも更に視覚的な立体感を付与することができる。
よって、例えば絵柄模様が木目模様である場合には、より現実の木目模様に近い意匠性を発現することができ、例えば、低艶(マット)の晩材と高艶(グロス)の早材とを描出するだけでなく、早材中にも樹木の成長速度の違いなどに起因する、光沢の程度の異なるコントラストの違いを描出することができる。
本発明の化粧シートは、厚さ方向において順に、基材シートと、絵柄模様層と、所定の二層構成の意匠形成層とを備える積層体から構成されていればよく、その具体的構成(層構成)については限定されない。
具体的な実施態様では、例えば、基材シート上に、絵柄模様層及び所定の二層構成の意匠形成層を順に積層してなる化粧シート(図1の態様)、意匠形成層が更に第3意匠形成層を有する化粧シート(図2の態様)等が挙げられる。また、絵柄模様層と意匠形成層との間に任意に透明性接着剤層、透明性樹脂層、プライマー層を順に形成してもよい(図3の態様)。なお、化粧板基材との接着性を高めるために、必要に応じて、図1〜図3に示すように化粧シートの裏面に裏面プライマー層を設けてもよい。
本明細書では、基材シートから見て意匠形成層が積層されている方向を「上」又は「おもて面」と称し、基材シートから見て裏面プライマー層が積層されている方向を「下」又は「裏面」と称する。化粧シート又は化粧板の「おもて(側)の面」又は「意匠形成層(側)の面」とは、化粧シート又は化粧板の施工後に視認される面を意味する。なお、以下では「意匠形成層の側」という場合に、略記して「意匠形成層側」ともいう。
以下、図面を参照しながら化粧シートについて説明する。
図1〜3は、それぞれ本発明の化粧シートの一例を示す断面図である。図1に示す化粧シート1は、基材シート2上に絵柄模様層3及び意匠形成層8、9(まとめて意匠形成層a)が積層されている。図2に示す化粧シート1は、基材シート2上に絵柄模様層3及び意匠形成層7〜9(まとめて意匠形成層a)が積層されている。また、図3に示す化粧シート1は、基材シート2上に絵柄模様層3、透明性接着剤層4、透明性樹脂層5、プライマー層6及び意匠形成層7〜9(まとめて意匠形成層a)が積層されている。なお、図1〜図3では、基材シート2の裏面に裏面プライマー層8が積層されている。
意匠形成層7〜9(意匠形成層a)は、詳細には、全面に(ベタ状に)形成された第3意匠形成層7、一部に形成された第1意匠形成層8、並びに好ましくは全面に形成された第2意匠形成層9であり、本発明の化粧シートは意匠形成層7〜9のうち、第1意匠形成層8、及び第2意匠形成層9が必須の層である。
図1から明らかな通り、本願発明の化粧シートにおいて、絵柄模様層は、濃色部分bと淡色部分cとが交互に配置される絵柄模様を描出する層であり、濃色部分bと淡色部分cとの境界には濃淡のコントラストが大きい境界Aと濃淡のコントラストが小さい境界Bとが交互に存在し、第1意匠形成層dは、淡色部分cの領域内(上から見た場合に淡色部分cと重なる領域内)に濃淡のコントラストが大きい境界Aと同調するように部分的に形成されている。つまり、上から見た場合に、第1意匠形成層dがコントラストが大きい境界Aと隣接するように淡色部分cの領域内の端に形成されている。本発明では、このような構成を具備することにより前述の優れた効果が得られる。
以下、本発明の化粧シートを構成する各層について具体的に説明する。なお、以下の記載において、「〜」で表される数値範囲の下限上限は「以上以下」を意味する(例えば、α〜βならば、α以上β以下である)。
基材シート
基材シートは、その表面(おもて面)には絵柄模様層、意匠形成層等が順次積層される。基材シートの材質は限定されないが、樹脂系であれば非ハロゲン系熱可塑性樹脂を含有することが好ましい。その他、紙質系の材質を用いることもできる。
上記非ハロゲン系熱可塑性樹脂としては、低密度ポリエチレン(線状低密度ポリエチレンを含む),中密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン,エチレン−αオレフィン共重合体,ホモポリプロピレン,ポリメチルペンテン,ポリブテン,エチレン−プロピレン共重合体,プロピレン−ブテン共重合体,エチレン−酢酸ビニル共重合体,エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、又は、これらの混合物等のオレフィン系熱可塑性樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合体,ポリカーボネート,ポリアリレート等の熱可塑性エステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル,ポリ(メタ)アクリル酸エチル,ポリアクリル酸エチル,ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系熱可塑性樹脂、ナイロン−6,ナイロン−66等のポリアミド系熱可塑性樹脂、又は、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂等が挙げられる。また、これらの非ハロゲン系熱可塑性樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。中でも、絵柄模様層の印刷適性及びエンボス加工適性に優れ、安価である点で、オレフィン系熱可塑性樹脂が好ましい。
上記紙質系の場合には、公知の繊維質シート(裏打紙)などが利用できる。
具体的には、一般紙(パルプ主体のシートを既知のサイズ剤でサイズ処理したもの);難燃紙(パルプ主体のシートをスルファミン酸グアニジン、リン酸グアジニン等の難燃剤で処理したもの);水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機添加剤を含む無機質紙;上質紙;薄用紙;繊維混抄紙(パルプと合成繊維とを混合して抄紙したもの)などが挙げられる。なお、本発明に使用される繊維質シートには、分類上、不織布に該当しているものも包含される。また、紙質系の基材シートには、繊維質シートと異種材料を組み合わせたもの(例えば、紙の片面若しくは両面にポリエチレンを溶融塗布したポリエチレン加工紙、アルミニウム箔などの金属箔を積層した防湿紙)なども包含される。
基材シートは、着色されていてもよい。この場合は、上記のような樹脂系又は紙質系のシートに対して着色材(顔料又は染料)を添加して着色することができる。着色材としては、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄等の無機顔料、フタロシアニンブルー等の有機顔料のほか、各種の染料も使用することができる。これらは、公知又は市販のものから1種又は2種以上を選ぶことができる。また、着色材の添加量も、所望の色合い等に応じて適宜設定すればよい。
基材シートには、必要に応じて、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等の各種の添加剤が含まれていてもよい。
基材シートの厚さは20〜150μmが好ましい。基材シートの厚さが20μm未満であると、化粧板基材に凹凸形状がある場合に当該凹凸の化粧板表面への表出を十分に抑制できないおそれがある。また、基材シートの厚さが150μmを超えると、化粧シートをロール状態で保存した際に巻きぐせがつくことにより、ロールラミネートが困難となるおそれがある。基材シートの厚さは、40〜100μmがより好ましい。基材シートは、単層又は多層のいずれで構成されていてもよい。
基材シートは、絵柄模様層を形成するインキの密着性を高めるために表面(おもて面)にコロナ放電処理を施してもよい。コロナ放電処理の方法・条件は、公知の方法に従って実施すれば良い。また、必要に応じて、基材シートの裏面にコロナ放電処理を施したり、後述する裏面プライマー層を形成したりしてもよい。
絵柄模様層
絵柄模様層は、化粧シートに所望の絵柄(意匠)を付与する層であり、絵柄の種類等は限定的ではない。例えば、木目模様、レザー模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、幾何学図形、抽象模様等が挙げられる。
なお、本発明の化粧シートの絵柄模様層は、濃色部分と淡色部分とが交互に配置される絵柄模様を描出する層であって、濃色部分と淡色部分との境界には濃淡のコントラストが大きい境界Aと濃淡のコントラストが小さい境界Bが交互に存在する。例えば図1では、絵柄模様層は、濃色部分bと淡色部分cとが交互に配置されて絵柄模様を描出する層であり、濃色部分bと淡色部分cとの境界には濃淡のコントラストが大きい境界Aと濃淡のコントラストが小さい境界Bとが交互に存在する。このような絵柄模様は、例えば、図5のように木目模様の場合に現れ易い。例えば、図5には木目模様の板目(i)と柾目(ii)の導管模様の例において、晩材(低艶:濃色部分)と早材(高艶:淡色部分)とが交互に配置されるこれらの部分の境界を観察すると濃淡のコントラストが大きい境界(晩材から早材への移行部分:境界A)と濃淡のコントラストが小さい境界(早材から晩材への移行部分:境界B)とが存在することが分かり、早材部分においても光沢の差が含まれている。但し、本発明の化粧シートの絵柄模様は木目模様に限定されるものではなく、木目模様と同様に濃色部分bと淡色部分cとの交互配置、及び濃淡のコントラストが相対的に異なる境界Aと境界Bとが交互に生じる絵柄模様であれば広く採用することができる。
絵柄模様層の形成方法は特に限定されず、例えば、公知の着色剤(染料又は顔料)を結着材樹脂とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)して得られるインキを用いた印刷法により、基材シート表面に形成すればよい。インキとしては、化粧シートのVOCを低減する観点からは水性組成物を用いることもできる。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、カドミウムレッド等の無機顔料;アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料;アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料;酸化チタン被覆雲母、酸化塩化ビスマス等の真珠光沢顔料;蛍光顔料;夜光顔料等が挙げられる。これらの着色剤は、単独又は2種以上を混合して使用できる。これらの着色剤は、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体質顔料、中和剤、界面活性剤等とともに用いてもよい。
結着材樹脂としては、親水性処理されたポリエステル系ウレタン樹脂のほか、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリスチレン−アクリレート共重合体、ロジン誘導体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルコール付加物、セルロース系樹脂なども併用できる。より具体的には、例えば、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、ポリエチレンオキシド系樹脂、ポリN−ビニルピロリドン系樹脂、水溶性ポリエステル系樹脂、水溶性ポリアミド系樹脂、水溶性アミノ系樹脂、水溶性フェノール系樹脂、その他の水溶性合成樹脂;ポリヌクレオチド、ポリペプチド、多糖類等の水溶性天然高分子;等も使用することができる。また、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリ酢酸ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン−ポリアクリル系樹脂等が変性したものないし前記天然ゴム等の混合物、その他の樹脂を使用することもできる。上記結着材樹脂は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
溶剤(又は分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水等の無機溶剤等が挙げられる。これらの溶剤(又は分散媒)は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
絵柄模様層の形成に用いる印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられる。また、全面ベタ状の着色層を形成した後に、本願発明のパターン状の絵柄模様層を形成する場合には、全面ベタ状の着色層を形成する方法として、例えば、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等の各種コーティング法が挙げられる。その他、手描き法、墨流し法、写真法、転写法、レーザービーム描画法、電子ビーム描画法、金属等の部分蒸着法、エッチング法等を用いたり、他の形成方法と組み合わせて用いたりしてもよい。
絵柄模様層の厚さは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、層厚は0.1〜15μm程度である。
透明性接着剤層
絵柄模様層と後述の透明性樹脂層又は意匠形成層との密着性を高めるため、絵柄模様層上に透明性接着剤層を形成してもよい。透明性接着剤層は、透明性のものであれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。
接着剤としては特に限定されず、化粧シートの分野で公知の接着剤が使用できる。化粧シートの分野で公知の接着剤としては、例えば、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂、ウレタン系樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。これら接着剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、イソシアネートを硬化剤とする二液硬化型ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂も適用し得る。
透明性接着剤層の厚さは特に限定されないが、厚さが0.1〜30μm程度、好ましくは1〜20μm程度である。
透明性樹脂層
透明性樹脂層は任意に設けることができる層であり、透明性であれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれであってもよい。上記透明性樹脂層の材質は限定されないが、非ハロゲン系熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂であることが好ましい。
上記非ハロゲン系熱可塑性樹脂としては、低密度ポリエチレン(線状低密度ポリエチレンを含む),中密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン,エチレン−αオレフィン共重合体,ホモポリプロピレン,ポリメチルペンテン,ポリブテン,エチレン−プロピレン共重合体,プロピレン−ブテン共重合体,エチレン−酢酸ビニル共重合体,エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、又は、これらの混合物等のオレフィン系熱可塑性樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合体,ポリカーボネート,ポリアリレート等の熱可塑性エステル系樹脂、ポリメタアクリル酸メチル,ポリメタアクリル酸エチル,ポリアクリル酸エチル,ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系熱可塑性樹脂、ナイロン−6,ナイロン−66等のポリアミド系熱可塑性樹脂、又は、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂等が挙げられる。また、これらの非ハロゲン系熱可塑性樹脂は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。中でも、エンボス加工適性に優れ、安価である点で、オレフィン系熱可塑性樹脂が好ましい。
なお、透明性樹脂層は、透明性を有する限り、着色されていてもよい。
また、透明性樹脂層は、透明性を有する限り、必要に応じて、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等の各種の添加剤が含まれていてもよい。
透明性樹脂層の厚さは限定的ではないが、40μm以上300μm以下が好ましく、その中でも80μm以上200μm以下がより好ましく、80μm以上120μm以下が最も好ましい。透明性樹脂層の厚さを上記範囲に設定することにより、深いエンボスを形成することができると共に、傷の発生や絵柄模様層の摩耗による削れ(絵柄取られ)を抑制する効果が得られ易い。
プライマー層
透明性樹脂層の上には、意匠形成層用のプライマー層を設けてもよい。このプライマー層は透明性樹脂層と後述の意匠形成層との密着性を高める作用に加えて、意匠形成層との組み合わせにより化粧シートの折り曲げ加工性や耐傷性を高めることができる。
プライマー層は、公知のプライマー剤を透明性樹脂層の表面に塗布することにより形成できる。プライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂(アクリルウレタン系共重合体樹脂)、ポリカーボネート系アクリルウレタン共重合体樹脂等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、ウレタン−セルロース系樹脂(例えば、ウレタンと硝化綿の混合物にヘキサメチレンジイソシアネートを添加してなる樹脂)からなるプライマー剤、アクリルとウレタンのブロック共重合体からなる樹脂系プライマー剤等が挙げられる。これらの中でも、耐傷性及び耐候性の観点からポリカーボネート系アクリルウレタン共重合体樹脂を含むウレタン樹脂系プライマー剤が好適に使用できる。
プライマー剤には、必要に応じて、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候剤;シリカ、炭酸カルシウム、クレー等のフィラー;水酸化マグネシウム等の難燃剤;酸化防止剤;滑剤;発泡剤などが挙げられる。添加剤の配合量は、製品特性に応じて適宜設定できる。
上記の添加剤のうち、紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)が好適である。これらの耐候剤の含有量は限定されないが、紫外線吸収剤、光安定剤のそれぞれについて1000〜100000重量ppm程度とすればよい。特に本発明では、トリアジン系紫外線吸収剤及び/又はヒンダードアミン系光安定剤を用いることが好ましい。
プライマー層の厚さは限定的ではないが、1〜12μmが好ましく、2〜8μmがより好ましい。かかる範囲内に設定することにより、後述の意匠形成層との組み合わせにより化粧シートの折り曲げ加工性や耐傷性を高め易くなる。また、耐候剤などの添加剤を含有し易くなり、化粧シートに耐候性も付与し易くなる。
意匠形成層
本発明の化粧シートは、厚さ方向において順に、基材シートと、絵柄模様層と、意匠形成層(第1意匠形成層及び第2意匠形成層)とを少なくとも備える積層体から構成され、基材シートと意匠形成層との間には、適宜、前述の透明性接着剤層、透明性樹脂層及び意匠形成層用のプライマー層から選択される少なくとも一層を備えてもよい。
当該意匠形成層は、基材シート側から順に第1意匠形成層及び第2意匠形成層の二層を必須の層として有し、更に絵柄模様層と第1意匠形成層との間に任意の層として第3意匠形成層を有していてもよい。
図1から明らかな通り、本願発明の化粧シートにおいて、絵柄模様層は、濃色部分bと淡色部分cとが交互に配置される絵柄模様を描出する層であり、濃色部分bと淡色部分cとの境界には濃淡のコントラストが大きい境界Aと濃淡のコントラストが小さい境界Bとが交互に存在し、第1意匠形成層dは、淡色部分cの領域内(上から見た場合に淡色部分cと重なる領域内)に濃淡のコントラストが大きい境界Aと同調するように部分的に形成されている。つまり、上から見た場合に、第1意匠形成層dがコントラストが大きい境界Aと隣接するように淡色部分cの領域内の端に形成されている。また、第2意匠形成層は絵柄模様層及び第1意匠形成層を被覆するように形成されていればよく、必ずしも全面に(ベタ状に)形成されていなくてもよいが、全面に形成されていることが好ましい。
図1の態様において、例えば、第2意匠形成層を高艶(グロス)部分とし、更に光沢の程度が高い(より高艶の)第1意匠形成層が部分的に形成されていることにより、意匠形成層側から化粧シートを平面視した状態において高艶(グロス)部分に更に光沢の差を表現することができる。また、本発明では絵柄模様の濃色部分と淡色部分の境界のうち濃淡のコントラストが大きい境界Aと同調するように淡色部分の領域内に第1意匠形成層が部分的に形成されているため、上記効果に加えてコントラストの大きい境界Aをより際立たせる効果も得られる。
また、絵柄模様層と第1意匠形成層との間に第3意匠形成層を有する場合は、例えば、第3意匠形成層7を低艶(マット)部分とし、第2意匠形成層9を高艶(グロス)部分とし、その間に第2意匠形成層9よりも光沢の程度が高い(より高艶の)第1意匠形成層8が部分的に形成されることにより、高艶(グロス)部分9に更に光沢の差を表現することができる。つまり、第3意匠形成層の光沢の程度<第2意匠形成層の光沢の程度<第1意匠形成層の光沢の程度とすることが好ましい。なお、絵柄模様層及び第1意匠形成層は第2意匠形成層で被覆されていることを前提とするが、上から見た場合に絵柄模様層及び第1意匠形成層の端部と第2意匠形成層の端部とを実質的に同じとする場合に、不可避的に絵柄模様層、第1意匠形成層の端部が第2意匠形成層により被覆しきれず、絵柄模様層、第1意匠形成層の一部が若干見えている態様は許容される。
上記意匠形成層7〜9(意匠形成層a)に含まれる樹脂成分としては限定的ではないが、電離放射線硬化型樹脂又は2液硬化型ウレタン系樹脂を含有することが好ましい。実質的には、これらの樹脂から形成されているものが好ましい。電離放射線硬化型樹脂又は2液硬化型ウレタン系樹脂により意匠形成層を形成する場合には、化粧シートの耐摩耗性、耐衝撃性、耐汚染性、耐擦傷性、耐候性等を高め易い。これらの中でも、電離放射線硬化型樹脂がより好ましく、本発明では 第1意匠形成層、第2意匠形成層及び第3意匠形成層の少なくとも一層が電離放射線硬化型樹脂を含有することが好ましい。
電離放射線硬化型樹脂としては特に限定されず、紫外線、電子線等の電離放射線の照射により重合架橋反応可能なラジカル重合性二重結合を分子中に含むプレポリマー(オリゴマーを含む)及び/又はモノマーを主成分とする透明性樹脂が使用できる。これらのプレポリマー又はモノマーは、単体又は複数を混合して使用できる。硬化反応は、通常、架橋硬化反応である。
具体的には、前記プレポリマー又はモノマーとしては、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ基等のカチオ
ン重合性官能基等を有する化合物が挙げられる。また、ポリエンとポリチオールとの組み合わせによるポリエン/チオール系のプレポリマーも好ましい。ここで、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基の意味である。
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの分子量としては、通常250〜100000程度が好ましい。
ラジカル重合性不飽和基を有するモノマーとしては、例えば、単官能モノマーとして、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、多官能モノマーとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
カチオン重合性官能基を有するプレポリマーとしては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ化合物等のエポキシ系樹脂、脂肪酸系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂のプレポリマーが挙げられる。また、チオールとしては、例えば、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等のポリチオールが挙げられる。ポリエンとしては、例えば、ジオール及びジイソシアネートによるポリウレタンの両端にアリルアルコールを付加したものが挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂を硬化させるために用いる電離放射線としては、電離放射線硬化型樹脂(組成物)中の分子を硬化反応させ得るエネルギーを有する電磁波又は荷電粒子が用いられる。通常は紫外線又は電子線を用いればよいが、可視光線、X線、イオン線等を用いてもよい。
2液硬化型ウレタン系樹脂としては特に限定されないが、中でも主剤としてOH基を有するポリオール成分(アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、エポキシポリオール等)と、硬化剤成分であるイソシアネート成分(トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メタキシレンジイソシアネート等)とを含むものが使用できる。
上記例示の樹脂については1種又は2種以上を併用して用いることができる。
本発明の化粧シートは、前述の通り、意匠形成層が意匠形成層1と意匠形成層2とから構成される場合には、意匠形成層側から化粧シートを平面視した状態において、第1意匠成形層と第2意匠形成層とが重なる部分の光沢の程度をGr1とし、第1意匠形成層が存在せず第2意匠形成層が存在する部分の光沢の程度をGr2とした場合に、Gr2<Gr1であり、これは例えば、第2意匠形成層の光沢の程度<第1意匠形成層の光沢の程度とすることにより達成することができる。また、第3意匠形成層を更に有する場合には、第3意匠形成層の光沢の程度<第2意匠形成層の光沢の程度<第1意匠形成層の光沢の程度とすることが好ましい。
各意匠形成層において光沢の程度に差を設けるための手段としては、各意匠形成層における艶消し材(シリカなどのフィラー)の含有量に違いを設けることが挙げられる。つまり、艶消し材の含有量が多い場合には低艶(マット)部分となり、艶消し材の含有量が少ない場合には高艶(グロス)部分となる。そして、高艶部分において艶消し材の含有量を更に調整することによりハイグロス部分、中間グロス部分等を表現することができる。
各意匠形成層の光沢の程度を特定するためには、例えば、各意匠形成層の断面を電子顕微鏡で観察し、単位面積あたりに存在する艶消し材(フィラー)の量を測定し、それを基準となる層(艶消し材の含有量と光沢度との関係が明確である層)との関係で相対的に特定することにより調べることができる。例えば、化粧シートを表面と垂直方向に切断し、得られた断面を透過型電子顕微鏡(TEM)又は走査透過型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影し、幅1mmの層を構成する樹脂成分とフィラー成分との表面積の割合を測定することで算出できる。測定する膜厚がμmオーダーの場合はSEMを用いることが好ましく、nmオーダーの場合はTEMを用いることが好ましい。SEMの場合は加速電圧は1〜10kV、倍率は1000〜7000倍とすることが好ましく、TEMの場合は加速電圧は10〜30kV、倍率は5万〜30万倍とすることが好ましい。
本発明では、第1意匠形成層の光沢の程度は75°グロス計による光沢度が30以上90以下(特に35以上80以下、更に41以上60以下)、第2意匠形成層の光沢の程度は75°グロス計による光沢度が5以上50以下(特に7以上40以下)であり、且つ第1意匠形成層と第2意匠形成層の75°グロス計による光沢度の差が3以上(特に光沢度の差が5以上)であることが好ましい。また、第3意匠形成層の光沢の程度は75°グロス計による光沢度が1〜5程度である。
本発明の化粧シートは、絵柄模様層の絵柄模様が木目模様であり、濃色部分が晩材(冬目)を描出し、淡色部分が早材(夏目)を描出し、濃淡のコントラストが大きい境界Aが晩材から早材への移行部分である態様に好適に適用できる。例えば、図5には木目模様の板目(i)と柾目(ii)の導管模様の例において、晩材(低艶:濃色部分)と早材(高艶:淡色部分)とが交互に配置されるこれらの部分の境界を観察すると濃淡のコントラストが大きい境界(晩材から早材への移行部分:境界A)と濃淡のコントラストが小さい境界(早材から晩材への移行部分:境界B)とが存在することが分かり、早材部分においても光沢の差が含まれている。本発明の化粧シートは、図5に例示される絵柄模様との関係では図5中の矢印で示される、淡色部分の端部の境界Aに第1意匠形成層が形成される。よって、第2意匠形成層(高艶(グロス)部分)に更に光沢の差を表現することができる。また、絵柄模様の濃色部分と淡色部分の境界のうち濃淡のコントラストが大きい境界Aと同調するように淡色部分の領域内に第1意匠形成層が部分的に形成されているため、上記効果に加えてコントラストの大きい境界Aをより際立たせる効果も得られる。
各意匠形成層の厚さは限定的ではないが、第1意匠形成層の厚さは1〜15μmが好ましく、1〜7μmがより好ましい。第2意匠形成層の厚さは1〜15μmが好ましく、1〜7μmがより好ましい。また、第3意匠形成層の厚さは1〜20μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。
意匠形成層には、耐候性を向上させるために、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、トリアジン系などの紫外線吸収剤を添加するのが好ましい。
また、紫外線を照射して樹脂層を硬化させる場合には、光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミノオキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン等、光重合促進剤(増感剤)としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等を用いることができる。
また、最表層である第2意匠形成層には、意匠性の更なる向上のために樹脂ビースを含有させてもよく、また第2意匠形成層上には化粧シートに更に所望の触感を付与することを目的として触感付与層(いわゆる盛り上げ印刷層)を設けることもできる。
意匠形成層は、例えば、プライマー層上に電離放射線硬化型樹脂又は2液硬化型ウレタン系樹脂をグラビアコート、ロールコート等の公知の塗工法により塗工後、樹脂を硬化させることにより形成できる。
意匠形成層全体の厚さは3μm以上であればよいが、その中でも3μm以上25μm以下が好ましく、3μm以上18μm以下がより好ましい。
エンボス加工
エンボス加工は、化粧シートに木目模様等の所望のテクスチャーを付与するために行う。例えば、化粧シートに熱を与えて加熱軟化させた後、主に意匠形成層側から所望の形の凹凸模様を有するエンボス板を加圧して凹凸模様を賦型し、冷却固定することによりテクスチャーを付与する。エンボス加工は、公知の枚葉又は輪転式エンボス機で行える。
エンボス加工の凹凸模様としては、例えば、木目導管溝、浮造模様(浮出した年輪の凹凸模様)、ヘアライン、砂目、梨地等が挙げられる。
エンボス加工を施した場合には、必要に応じて、エンボス凹部にワイピング加工によりインキを充填してもよい。例えば、エンボス凹部にドクターブレードで表面をかきながらインキを充填する。充填するインキ(ワイピングインキ)としては、通常は2液硬化型のウレタン樹脂をバインダーとするインキを用いることができる。特に木目導管溝凹凸に対してワイピング加工を行うことによって、より実際の木目に近い意匠を表現することにより商品価値を高めることができる。
裏面プライマー層
基材シートの裏面には、必要に応じて裏面プライマー層を設けてもよい。例えば、基材シートと化粧板基材とを接着して化粧板を作製する際に効果的である。
裏面プライマー層は、公知のプライマー剤を基材シートに塗布することにより形成できる。プライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂(アクリルウレタン系共重合体樹脂)、ポリカーボネート系アクリルウレタン共重合体樹脂等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、ウレタン−セルロース系樹脂(例えば、ウレタンと硝化綿の混合物にヘキサメチレンジイソシアネートを添加してなる樹脂)からなるプライマー剤、アクリルとウレタンのブロック共重合体からなる樹脂系プライマー剤等が挙げられる。
プライマー剤には、必要に応じて、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー等の充填剤、水酸化マグネシウム等の難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤などが挙げられる。添加剤の配合量は、製品特性に応じて適宜設定できる。
裏面プライマー層の厚さは特に限定されないが、通常0.01〜10μm、好ましくは0.1〜1μm程度である。
化粧シートの各層に含まれる各種添加剤のベシクル化
本発明の化粧シートの上述の各層に添加される各種添加剤(プライマー層や意匠形成層に添加される無機フィラー等)は、当該各種添加剤がベシクル化されていることが好ましい。各種添加剤をベシクル化する方法としては特に限定されず、公知の方法によりベシクル化することができ、中でも超臨界逆相蒸発法が好ましい。
以下、超臨界逆相蒸発法について詳細に説明する。超臨界逆相蒸発法とは、超臨界状態又は超臨界点以上の温度若しくは圧力条件下の二酸化炭素にベシクルの外膜を形成する物質を均一に溶解させた混合物中に、水溶性または親水性の封入物質としての各種添加剤を含む水相を加えて、一層の膜で封入物質としての各種添加剤を包含したカプセル状のベシクルを形成する方法である。なお、超臨界状態の二酸化炭素とは、臨界温度(30.98℃)および臨界圧力(7.3773±0.0030MPa)以上の超臨界状態にある二酸化炭素を意味し、臨界点以上の温度若しくは圧力条件下の二酸化炭素とは、臨界温度のみ、又は、臨界圧力のみが臨界条件を超えた条件下の二酸化炭素を意味する。当該方法により、直径50〜800nmの単層ラメラベシクルを得ることができる。一般に、ベシクルとは、球殻状に閉じた膜構造を有する小胞の内部に液相を含むものの総称であり、特に、外膜がリン脂質等の生体脂質から構成されるものをリポソームと称する。
上記リン脂質としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、カルジオリピン、黄卵レシチン、水添黄卵レシチン、大豆レシチン、水添大豆レシチン等のグリセロリン脂質、スフィンゴミエリン、セラミドホスホリルエタノールアミン、セラミドホスホリルグリセロール等のスフィンゴリン脂質が挙げられる。
外膜を構成する物質としては、また、ノニオン系界面活性剤や、これとコレステロール類若しくはトリアシルグリセロールの混合物等の分散剤を用いることができる。
上記ノニオン系界面活性剤としては、ポリグリセリンエーテル、ジアルキルグリセリン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコポリマー、ポリブタジエン−ポリオキシエチレン共重合体、ポリブタジエン−ポリ2−ビニルピリジン、ポリスチレン−ポリアクリル酸共重合体、ポリエチレンオキシド−ポリエチルエチレン共重合体、ポリオキシエチレン−ポリカプロラクタム共重合体等の1種又は2種以上を用いることができる。
上記コレステロール類としては、コレステロール、α−コレスタノール、β−コレスタノール、コレスタン、デスモステロール(5,24−コレスタジエン−3β−オール)、コール酸ナトリウム、コレカルシフェロール等の1種又は2種以上を用いることができる。
上記リポソームの外膜は、リン脂質と分散剤との混合物から形成されていてもよい。本発明の化粧シートにおいては、外膜をリン脂質から形成したリポソームとすることで、各層の主成分である樹脂組成物と各種添加剤との相溶性を良好なものとすることができる。
2.化粧板
本発明の化粧板は、厚さ方向において順に、化粧板基材と、前述の本発明の化粧シートとを備える積層体から構成される。
図2に、化粧板基材11上に本発明の化粧シート1(意匠形成層側とは反対面と化粧板基材11とを貼り合わせる)がこの順に積層された化粧板12の一例を示す。
化粧板基材としては限定的ではないが、例えば、中密度木質繊維板、高密度木質繊維板、パーティクルボード、針葉樹合板、広葉樹合板、早成樹合板、コルクシート、コルク含有複合基材、熱可塑性樹脂板(ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂等を主成分とする樹脂板、又はそれらを発泡させたもの)等の少なくとも1種が挙げられる。これらの化粧板基材は、単独又は2種以上を組み合わせて積層することにより使用してもよい。
ここで、針葉樹としては、例えば、椴松、唐松、蝦夷松、杉、ヒノキ、パイン、セコイヤ、トウヒ等が挙げられる。広葉樹としては、例えば、ラワン、シナ、カバ、セン、ブナ、ナラ、メランチ等が挙げられる。また、早成樹としては、ポプラ、ファルカタ、アカシア、カメレレ、ユーカリ、ターミナリア等が挙げられる。
針葉樹合板、広葉樹合板、早成樹合板等の木質合板を用いる場合の木質単板の積層数(プライ数)は限定的ではないが、通常3〜7枚が好ましく、5〜7枚がより好ましい。また、木質合板作製時に用いる接着剤も限定されず、公知の木工用接着剤が広く使用できる。接着剤としては、例えば、アクリル、ウレタン、アクリル−ウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、アイオノマー、ブタジエン−アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等を有効成分とする接着剤が挙げられる。また、熱硬化型接着剤として、メラミン系、フェノール系、ユリア系(酢酸ビニル−尿素系など)等の接着剤も挙げられる。
前記コルクシートとしては、コルク樫の樹皮のコルク組織を剥離及び加工した弾力性に富む素材であるいわゆる天然コルクだけでなく、コルクに似せて作られたいわゆる合成コルクのいずれも用いることができる。なお、コルクシートは単層であってもよく、弾性率や密度が異なる複数のコルクシートの積層体であってもよい。
前記コルク含有複合基材としては、コルクシートと他の材質(例えば、中密度木質繊維板、高密度木質繊維板)とを積層して貼り合わせてなる複合材などが挙げられる。
化粧板基材の厚さは限定的ではないが、2〜15mm程度が好ましく、2〜12mm程度がより好ましい。
化粧シート及び化粧板基材を積層する積層方法は限定的でなく、例えば接着剤によりそれぞれを貼着する方法等を採用することができる。接着剤は、被着材の種類等に応じて公知の接着剤から適宜選択すればよい。例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、アイオノマー等のほか、ブタジエン−アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等が挙げられる。これら接着剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いる。
以下に実施例及び比較例並びに試験例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に示す内容に限定されない。
実施例1
建材用着色薄紙原紙(王子エフテックス株式会社製「U−FLEX30」)上に、グラビア印刷法で厚み5μmの着色ベタ層を形成したのち、厚み4μmの木目導管の絵柄模様層を塗工した。木目導管は晩材部分が濃色となるようパターンを形成し、且つ、晩材と隣り合う早材部分については、晩材部分との明暗柄のコントラストが大きい境界Aと、コントラストが小さい境界Bが存在するパターンとした。
着色ベタ層には、アクリル系樹脂に着色剤が配合された混合樹脂(DICグラフィックス製「HRA−NT」)を使用した。絵柄模様層には、アルキド系樹脂とニトロセルロース系樹脂に着色剤が配合された混合樹脂(DICグラフィックス製「MAX−NT」)を使用した。
次いで第1意匠形成層(高艶層)として、艶消しシリカを含有した下記2液ウレタン硬化型インクを厚み2μmで、木目模様の前述の晩材部分を除いたパターン(早材部分)の中で明度の高い部分(境界A)と同調するように形成した。なお、第1意匠形成層を塗工した部分のシート艶は75°光沢値が58となるように設定した。
(昭和インク工業製「FW−NT」平均粒径2ミクロンつや消しシリカ2wt%、アクリルポリオール98wt%からなる樹脂を主剤とし、ヘキサメチレンジイソシアネートを硬化剤とした2液硬化型インク)
次いで第2意匠形成層(中艶層)として、艶消しシリカを含有した下記2液ウレタン硬化型インクを厚み2μmで、前述の絵柄模様層と第1意匠形成層を被覆するように全面に(ベタ状に)形成した。なお、第2意匠形成層を塗工した部分のシート艶は、第2意匠形成層単独では75°光沢値が40、第1意匠形成層と第2意匠形成層とが積層した状態で54となるように設定した。
(昭和インク工業製「FW−NT」平均粒径2ミクロンつや消しシリカ8wt%、アクリルポリオール92wt%からなる樹脂を主剤とし、ヘキサメチレンジイソシアネートを硬化剤とした2液硬化型インク)
最後に70℃で24時間加熱養生し、化粧シートを得た。
実施例2〜5
化粧シート作製方法として、下記表1に示すように組成及び光沢値を変更した以外は、同様の手法にて化粧シートを作成した。
実施例6
第2意匠形成層として平均粒径5μmの有機アクリルビーズを含有した下記2液ウレタン硬化型インクを厚み2μmで、前述の絵柄模様層と第1意匠形成層を被覆するように全面に(ベタ状に)形成した以外は実施例1と同様にして化粧シートを作成した。なお、第2意匠形成層を塗工した部分のシート艶は、第2意匠形成層単独では75°光沢値が26、第1意匠形成層と第2意匠形成層とが積層した状態で46となるように設定した。
(昭和インク工業製「UHC−NT」平均粒径5ミクロンアクリルビーズ6wt%、アクリルポリオール94wt%からなる樹脂を主剤とし、ヘキサメチレンジイソシアネートを硬化剤とした2液硬化型インク)
比較例1
化粧シート作製方法として、下記表1に示すように実施例1にて設けた第1意匠形成層を設けないこと以外には実施例1と同様の手法にて化粧シートを作製した。
実施例7
両面コロナ放電処理した60μm厚さの着色ポリプロピレンフィルムの一方の面にウレタンセルロース系樹脂(ウレタン及び硝化綿の混合物100重量部に対してヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加したもの)をグラビア塗工法により塗布し、裏面プライマー層を形成した。裏面プライマー層の厚みは1μmであった。
次いで、アクリルウレタン系樹脂(アクリルポリオール100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加したもの)をバインダーとする印刷インキを用いてグラビア印刷により厚み4μmの着色ベタ層を形成したのち、厚み3μmの木目導管の絵柄模様層を塗工した。木目導管は晩材部分が濃色となるようパターンを形成し、且つ、晩材と隣り合う早材部分については、晩材部分との明暗柄のコントラストが大きい境界Aと、コントラストが小さい境界Bが存在するパターンとした。
次いで、ウレタン系接着剤を絵柄模様上に塗工した後、その上からプロピレン系樹脂を厚さ60μmとなるようにTダイ押し出し機で加熱溶融押し出しして透明性樹脂層を形成した。
上記透明性樹脂層にコロナ放電処理を施し、その処理面にアクリルウレタン系樹脂(アクリルポリオール100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加したもの)をグラビア塗工法により塗工して意匠形成層用プライマー層を形成した。意匠形成層用プライマー層の厚みは1μmであった。
意匠形成層用プライマー層上 に、実施例2に記載の意匠形成層を設けた。
次いで、意匠形成層側から版深50μmの木目導管状エンボス版でエンボス加工を施して木目導管状の凹凸模様を形成し、化粧シートを得た。
試験例1
実施例及び比較例で作成した化粧シートの意匠効果を下記手法及び基準で評価した。
パナソニック製 演色AA昼光色D6500K光源下にてシート全体を目視にて確認し、以下の基準で意匠効果を判断した。
+++:第1意匠形成層、第2意匠形成層、第3意匠形成層のそれぞれの塗工された領域の光沢差がそれぞれ明確に確認された。
++:第1意匠形成層と第2意匠形成層との境界の光沢差が明確に確認された。
+:第1意匠形成層と第2意匠形成層との境界の光沢差がやや確認された。
−:第1意匠形成層と第2意匠形成層との境界の光沢差が殆ど確認できなかった。
1.化粧シート
2.基材シート
3.絵柄模様層
4.透明性接着剤層
5.透明性樹脂層
6.意匠形成層用のプライマー層
7.第3意匠形成層
8.第1意匠形成層
9.第2意匠形成層
10.裏面プライマー層
11.化粧板基材
12.化粧板
13.四方柾
14.四方板目(芯持ち)
15.板目
16.柾目
a.意匠形成層
b.絵柄模様の濃色部分
c.絵柄模様の淡色部分
d.絵柄模様層の淡色部分の領域内で濃色部分との濃淡のコントラストが大きい境界Aと同調するように部分的に形成されている第1意匠形成層
A.絵柄模様の濃色部分と淡色部分との境界のうち濃淡のコントラストが大きい境界A
B.絵柄模様の濃色部分と淡色部分との境界のうち濃淡のコントラストが小さい境界B
(i)絵柄模様が木目模様(特に板目模様)である場合の絵柄模様と第1意匠形成層を形成する部分との関係(矢印が第1意匠形成層を形成する部分)
(ii)絵柄模様が木目模様(特に柾目模様)である場合の絵柄模様と第1意匠形成層を形成する部分との関係(矢印が第1意匠形成層を形成する部分)

Claims (8)

  1. 厚さ方向において順に、基材シートと、絵柄模様層と、意匠形成層とを少なくとも備える積層体から構成される化粧シートであって、
    (1)前記意匠形成層は、前記基材シート側から順に、第1意匠形成層及び第2意匠形成層の二層を有しており、
    (2)前記絵柄模様層は、濃色部分と淡色部分とが交互に配置される絵柄模様を描出する層であり、前記濃色部分と前記淡色部分との境界には濃淡のコントラストが大きい境界Aと濃淡のコントラストが小さい境界Bが交互に存在し、
    (3)前記第1意匠形成層は、前記絵柄模様層の前記淡色部分の領域内で前記濃淡のコントラストが大きい境界Aと同調するように部分的に形成されており、前記第2意匠形成層は、前記絵柄模様層及び前記第1意匠形成層を被覆するように形成されており、
    (4)前記意匠形成層側から前記化粧シートを平面視した状態において、前記第1意匠成形層と前記第2意匠形成層とが重なる部分の光沢の程度をGr1とし、前記第1意匠形成層が存在せず前記第2意匠形成層が存在する部分の光沢の程度をGr2とした場合に、Gr2<Gr1である、
    ことを特徴とする化粧シート。
  2. 前記意匠形成層が更に第3意匠形成層を有し、前記第3意匠形成層は、前記絵柄模様層と前記第1意匠形成層との間に全面に形成されている、請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記第1意匠形成層、前記第2意匠形成層及び前記第3意匠形成層の少なくとも一層が電離放射線硬化型樹脂を含有する、請求項2に記載の化粧シート。
  4. 前記第2意匠形成層は、樹脂ビーズを含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
  5. 前記絵柄模様層と前記意匠形成層との間に、透明性樹脂層とを備える、請求項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
  6. 前記第2意匠形成層側からエンボス凹凸模様が賦型されている、請求項1〜5のいずれかに記載の化粧シート。
  7. 前記絵柄模様層の絵柄模様が木目模様であり、前記濃色部分が晩材(冬目)を描出し、前記淡色部分が早材(夏目)を描出し、前記濃淡のコントラストが大きい境界Aは前記晩材から前記早材への移行部分である、請求項1〜6のいずれかに記載の化粧シート。
  8. 厚さ方向において順に、化粧板基材と、請求項1〜7のいずれかに記載の化粧シートとを備える積層体から構成される化粧板。
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