WO2024057977A1 - 木目調加飾フィルム - Google Patents

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Abstract

本発明は、自然木のような木目模様を実現し、特に木目の立体感を表現した木目調加飾フィルムを提供する。 本発明の木目調加飾フィルムは、表面マット印刷層と、第一の熱可塑性樹脂フィルムと、木目印刷部を含む背面印刷層と、第二の熱可塑性樹脂フィルムとをこの順に備え、上記表面マット印刷層は、上記背面印刷層と重なるように配置され、薄膜印刷部と、上記薄膜印刷部よりも厚さが厚く、かつ平面視において上記木目印刷部と重なるように配置された厚膜印刷部とを含み、上記厚膜印刷部のマットインク重量は、上記薄膜印刷部のマットインク重量よりも3.0g/m2以上多い。

Description

木目調加飾フィルム
本開示は、木目調加飾フィルムに関する。
基材に貼り付けることで木目調の意匠を付与する木目調加飾フィルムについて、自然木のような外観を表現する方法が種々検討されている。例えば、特許文献1には、2つの主要面を有する透明樹脂フィルムと、この透明樹脂フィルムの第一の主要面に設けられた木目模様部と、前記透明樹脂フィルムの第一の主要面上の木目模様部上に積層された着色ベースフィルム層と、前記透明樹脂フィルムの第二の主要面に設けられた導管模様部を有する木質化粧シートであって、前記導管模様部が艶消しビーズを含む印刷インクにより形成されており、前記導管模様部が前記透明樹脂フィルム表面中に埋め込まれているがその表面を露出していることを特徴とする木質化粧シートが開示されている。
特開2001-260299号公報
本発明者らは、木目調加飾フィルムにおいて自然木のような木目を表現するために、加飾フィルムの表面にエンボス加工を施すことで立体感を表現することも検討したが、より立体的な木目を表現するためには、更なる検討の余地があった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、自然木のような木目模様を実現し、特に木目の立体感を表現した木目調加飾フィルムを提供することを目的とする。
(1)本発明の一実施形態は、表面マット印刷層と、第一の熱可塑性樹脂フィルムと、木目印刷部を含む背面印刷層と、第二の熱可塑性樹脂フィルムとをこの順に備え、上記表面マット印刷層は、上記背面印刷層と重なるように配置され、薄膜印刷部と、上記薄膜印刷部よりも厚さが厚く、かつ平面視において上記木目印刷部と重なるように配置された厚膜印刷部とを含み、上記厚膜印刷部のマットインク重量は、上記薄膜印刷部のマットインク重量よりも3.0g/m以上多い木目調加飾フィルム。
(2)本発明のある実施形態は、上記(1)の構成に加え、上記薄膜印刷部のマットインク重量は、2.65g/m以上である木目調加飾フィルム。
(3)本発明のある実施形態は、上記(1)又は(2)の構成に加え、上記表面マット印刷層は、シリカを含む木目調加飾フィルム。
(4)本発明のある実施形態は、上記(1)~(3)のいずれかの構成に加え、上記第一の熱可塑性樹脂フィルムは、ポリ塩化ビニルフィルムである木目調加飾フィルム。
(5)本発明のある実施形態は、上記(1)~(4)のいずれかの構成に加え、上記第二の熱可塑性樹脂フィルムは、ポリ塩化ビニルフィルムである木目調加飾フィルム。
(6)本発明のある実施形態は、上記(1)~(5)のいずれかの構成に加え、上記第二の熱可塑性樹脂フィルムは、着色されている木目調加飾フィルム。
(7)本発明のある実施形態は、上記(1)~(6)のいずれかの構成に加え、上記表面マット印刷層の上記第二の熱可塑性樹脂フィルムと反対側の面にエンボス形状を有する木目調加飾フィルム。
(8)本発明のある実施形態は、上記(1)~(7)のいずれかの構成に加え、上記第二の熱可塑性樹脂フィルムの上記背面印刷層と反対側に粘着剤層を有する木目調加飾フィルム。
本発明によれば、自然木のような木目模様を実現し、特に木目の立体感を表現した木目調加飾フィルムを提供することができる。
実施形態に係る木目調加飾フィルムの一例を示した断面模式図である。 図1に示した木目調加飾フィルムの斜視図である。 図1に示した表面マット印刷層の平面模式図である。 図1に示した背面印刷層の平面模式図である。 エンボス加工を施した木目調加飾フィルムの一例を示した断面模式図である。 図5に示した木目調加飾フィルムの斜視図である。 木質繊維を模したエンボス形状の一例を示した平面模式図である。 実施例3の木目調加飾フィルムの平面写真図である。 実施例3の木目調加飾フィルムの斜め方向からの写真図である。
以下に実施形態を掲げ、本発明について図面を参照して更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態のみに限定されるものではない。また、各実施形態の構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。
図1は、実施形態に係る木目調加飾フィルムの一例を示した断面模式図である。図2は、図1に示した木目調加飾フィルムの斜視図である。図1及び図2に示したように、実施形態に係る木目調加飾フィルム100は、表面マット印刷層10と、第一の熱可塑性樹脂フィルム20と、背面印刷層30と、第二の熱可塑性樹脂フィルム40とをこの順に備える。使用時には、表面マット印刷層10が観察者側(表面側)となる。
(表面マット印刷層)
図3は、図1に示した表面マット印刷層の平面模式図である。図1~図3に示したように、表面マット印刷層10は、薄膜印刷部11と厚膜印刷部12とを含む。また、表面マット印刷層10は、背面印刷層と重なるように配置される。背面印刷層30と重なるように表面マット印刷層10が配置されることで、木目調加飾フィルム100全体の艶感を抑えることができる。
表面マット印刷層10は、平面視において、後述する背面印刷層30の木目印刷部31に加え、木目印刷部以外の部分32の少なくとも一部と重なっていることが好ましく、背面印刷層30の全面と重なるように配置されることがより好ましい。なお、表面マット印刷層10を背面印刷層30の全面と重なるように配置する場合であっても、木目調加飾フィルムの使用時に観察者から視認されない部分(木目調加飾フィルムの端部等)には、表面マット印刷層は配置されていなくてもよい。本明細書中、木目調加飾フィルムを使用時に表面側となる観察者側から見た場合を平面視という。
表面マット印刷層10は、艶消剤を含むことが好ましい。艶消剤を含むことで、表面マット印刷層10の艶感を低減させることができる。表面マット印刷層10は、艶消剤を含むマットインクにより形成されていることがより好ましい。薄膜印刷部11と厚膜印刷部12の厚さは、マットインク重量により調整することができる。マットインク重量が多いほど、表面マット印刷層10の厚さが厚くなり、光沢度が低くなる。
厚膜印刷部12は、薄膜印刷部11よりも厚さが厚く、かつ平面視において木目印刷部31と重なるように配置されている。厚膜印刷部12は、薄膜印刷部11よりも厚さが厚いことから、薄膜印刷部11よりも光沢度が低くなる。自然木の板目面又は柾目面では、導管等は凹部として現れることから、木目印刷部31に厚膜印刷部12を重ね、光沢度を低くすることで木目印刷部31が凹んでいるように見せることができる。
平面視において、厚膜印刷部12と木目印刷部31とが重なるように配置されることで、厚膜印刷部12と木目印刷部31とを同調させて、よりリアルな木目模様を表現することができる。厚膜印刷部12は、平面視において木目印刷部31の少なくとも一部が重なっていればよいが、厚膜印刷部12と木目印刷部31とが重なる面積が大きい方が好ましい。一方で、厚膜印刷部12は、平面視において木目印刷部31からはみ出していないことが好ましく、図3及び後述する図4に示したように、厚膜印刷部12と木目印刷部31とは、平面視における形状が同じであることが更に好ましい。厚膜印刷部12は、木目印刷部31と同様に、略同一方向に伸びる複数の直線又は曲線の線状模様を含んでもよい。
厚膜印刷部12のマットインク重量は、薄膜印刷部11のマットインク重量よりも3.0g/m以上多い。厚膜印刷部12のマットインク重量を上記範囲とすることで、木目印刷部31が凹み、木目印刷部以外の部分32が突出しているように見せ、立体感を表現することができる。厚膜印刷部12のマットインク重量と薄膜印刷部11のマットインク重量との差(以下、「マットインク重量差」ともいう)が3.0g/m未満であると、木目の立体感が得られなくなる。上記マットインク重量差は、3.52g/m以上であることが好ましく、5.0g/m以上であることがより好ましい。厚膜印刷部12のマットインク重量の上限は、薄膜印刷部11のマットインク重量よりも3.0g/m以上多ければ特に限定されないが、表面マット印刷層10をグラビア印刷で行う場合、グラビア印刷版に保持できるマットインクの量を考慮すると、例えば23g/mである。この場合、マットインク重量差の上限は、23g/m未満である。本明細書中、「マットインク重量」は乾燥後のマットインクの重量を意味する。マットインクの乾燥条件は、60℃、1分間である。
薄膜印刷部11のマットインク重量は、例えば、0.1g/m以上であってもよい。薄膜印刷部11のマットインク重量の好ましい下限は0.5g/mであり、より好ましい下限は0.9g/mであり、更に好ましい下限は2.0g/mである。木目の立体感を得つつ、木目調加飾フィルム100全体の艶感を抑えてより自然木のような風合いを表現できるという観点からは、上記マットインク重量差が3.0g/m以上であり、かつ、薄膜印刷部11のマットインク重量が2.65g/m以上であることが特に好ましい。薄膜印刷部11のマットインク重量の上限は、木目調加飾フィルム100全体の艶感を抑えるという観点からは特に限定されず、厚膜印刷部12のマットインク重量と薄膜印刷部11のマットインク重量との差が3.0g/m以上となればよい。
上記艶消剤としては、シリカ(二酸化ケイ素)、炭酸カルシウム等の無機フィラー、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等の樹脂ビーズ等が挙げられる。無機フィラーは、安定性が高いことから、樹脂ビーズよりも本実施形態に用いる艶消剤として好適である。無機フィラーのなかでも、艶消効果が高いという観点からは、艶消し剤としてはシリカが好ましい。
表面マット印刷層10は、シリカを含んでもよい。上記マットインクに含まれるシリカの含有量は、例えば、マットインク全体に対して18~53質量%である。上記マットインクは、バインダー樹脂を含んでもよい。上記バインダー樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等が挙げられる。
表面マット印刷層10は、着色剤を含んでもよいし、含まなくてもよいが、着色剤が熱を吸収する可能性があることから、耐熱性の観点からは着色剤を含まなくてもよい。
(第一の熱可塑性樹脂フィルム)
第一の熱可塑性樹脂フィルム20は、背面印刷層30と表面マット印刷層10の印刷下地の役割を有する。第一の熱可塑性樹脂フィルム20の両面には、背面印刷層30と表面マット印刷層10とが両面印刷されていることが好ましい。
第一の熱可塑性樹脂フィルム20は、観察者側から見た場合に背面印刷層30が視認できるように、透明フィルムであることが好ましい。上記透明フィルムは、全光線透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。なお、本明細書において、全光線透過率は、JIS K 7375に基づく値である。
第一の熱可塑性樹脂フィルム20は、熱可塑性樹脂を含有する。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリカーボネート等が挙げられる。なかでも、伸びがよく破断し難く、成形時にエンボス形状を維持できることから、第一の熱可塑性樹脂フィルム20はポリ塩化ビニルフィルムであることが好ましい。上記ポリ塩化ビニルフィルムは、ポリ塩化ビニルと可塑剤とを含んでもよい。
上記ポリ塩化ビニルとしては、例えば、塩化ビニルの単独重合体、塩化ビニルと共重合可能な他の単量体と塩化ビニルとの共重合体を挙げることができる。上記共重合可能な他の単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;エチレン、プロピレン、スチレン等のオレフィン;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジエチル等のマレイン酸ジエステル;フマル酸ジブチル、フマル酸ジエチル等のフマル酸ジエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル;塩化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、本明細書において「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも一方」を表す。
上記共重合体における上記共重合可能な他の単量体の含有量は、通常、50質量%以下であり、好ましくは10質量%以下である。上記ポリ塩化ビニルのなかでも、寸法安定性に優れる点から、塩化ビニルの単独重合体が好ましい。
上記ポリ塩化ビニルの平均重合度は700~1300が好ましく、700~1000がより好ましい。なお、本発明において、ポリ塩化ビニルの平均重合度は、JIS K 6721「塩化ビニル系樹脂試験方法」に準拠して測定した平均重合度を意味する。上記平均重合度が1300を超えると、ポリ塩化ビニルフィルムの伸びが不十分となるおそれがある。
上記ポリ塩化ビニルは、ストレートPVC、架橋PVCを含んでもよい。架橋PVCを含むことで、耐熱性、耐溶剤性を向上させることができる。
上記ストレートPVCと上記架橋PVCの合計100質量部に対して、上記架橋PVCを0~50質量部配合してもよい。上記架橋PVCの含有量が、ストレートPVCと上記架橋PVCの合計100質量部に対して、0~50質量部であると、加工性を維持しつつ、耐熱性、耐溶剤性を向上させることができる。
上記ストレートPVCとしては、株式会社カネカ製の「カネビニールS1008N」(平均重合度:800)、「カネビニールS1007」(平均重合度:700)、「カネビニールS1008」(平均重合度:800)、「カネビニールS1001」(平均重合度:1050)、「カネビニールS1001N」(平均重合度:1050)、「カネビニールS1003」(平均重合度:1300)、「カネビニールS1003N」(平均重合度:1300)等が挙げられる。
上記架橋PVCとしては、株式会社カネカ製の「カネビニールK07S」(平均重合度:720)、「カネビニールK10S」(平均重合度:1030)、「カネビニールK10M」(平均重合度:1080)、「カネビニールK13S」(平均重合度:1290)、「カネビニールK13M」(平均重合度:1100)等が挙げられる。
上記可塑剤は、ポリ塩化ビニルフィルムに柔軟性を付与する添加剤である。上記可塑剤としては、特に限定されず、例えば、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DOP)、フタル酸ジブチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル(DINP)、テレフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DOTP)等のフタル酸エステル、アジピン酸エステル、アジピン酸とポリアルコールが結合したポリエステル等が挙げられる。
上記可塑剤の含有量は、上記ポリ塩化ビニル100質量部に対して8質量部以上、30質量部以下であることが好ましい。第一の熱可塑性樹脂フィルム20の両面に背面印刷層30と表面マット印刷層10とを両面印刷する場合、第一の熱可塑性樹脂フィルム20は、背面印刷層30と表面マット印刷層10に用いられるインクに含まれる溶剤による膨潤を抑制する等の印刷耐性を有することが好ましい。可塑剤の含有量を上記範囲とすることで、第一の熱可塑性樹脂フィルム20がインクに含まれる溶剤を吸収し難くなり、フィルムの強度が確保できるため、印刷耐性を向上させることができる。また、印刷してインクを乾燥する際に、フィルムが伸びて背面印刷層及び/又は表面マット印刷層の位置ずれが発生することを抑制することができる。上記可塑剤の含有量が8質量部未満であると、カレンダー成形時にフィルムに割れ、裂けが発生することがある。上記可塑剤の含有量が30質量部を超えると、背面印刷層や表面マット印刷層の印刷時に、フィルムの伸びが発生し印刷加工が難しくなるおそれがある。上記可塑剤の含有量は、上記ポリ塩化ビニル100質量部に対して10質量部以上、20質量部以下であることがより好ましい。
第一の熱可塑性樹脂フィルム20は、添加剤として、ポリ塩化ビニルに一般的に配合されるものを使用することができ、安定剤、紫外線吸収剤、加工助剤、抗菌剤等を含んでもよい。
ポリ塩化ビニルのような含ハロゲン樹脂は、溶融混練やフィルム成形の際に脱ハロゲン化水素に起因する熱分解を起こし易いため、安定剤を添加し、加工工程における劣化を抑制することがある。上記安定剤としては、ホスファイト系酸化防止剤、マグネシウム、アルミニウム等を含む熱安定剤、Ba-Zn系安定剤、βージケトン化合物を含む有機系安定剤等が挙げられる。
第一の熱可塑性樹脂フィルム20の厚さは、50μm以上、300μm以下であることが好ましい。上記範囲であると、フィルム自体の強度、耐久性を得つつ、適度なコシがあるため基材への貼付けしやすくすることができる。第一の熱可塑性樹脂フィルム20の厚さは、70μm以上、250μm以下であることがより好ましい。第一の熱可塑性樹脂フィルム20の両面に、背面印刷層30と表面マット印刷層10とを両面印刷することを考慮すると、第一の熱可塑性樹脂フィルム20の厚さは、後述する第二の熱可塑性樹脂フィルム40の厚さよりも厚くてもよい。
(背面印刷層)
図4は、図1に示した背面印刷層の平面模式図である。図4に示したように、背面印刷層30は、木目印刷部31を含む。木目印刷部31は、自然木の木目模様を模した模様である。上記木目模様は、自然木の繊維方向の切断面(柾目面又は木目面)に現れる、導管、節、放射繊維、晩材部分等、周囲よりも色が濃く見える(窪んで見える)部分を含んでもよい。木目印刷部31は、略同一方向に伸びる複数の直線又は曲線の線状模様を含むことが好ましい。
上記木目模様は、少なくとも木目印刷部31を含んでいればよく、木目印刷部以外の部分32を含んでいてもよい。木目印刷部以外の部分32は、例えば、自然木の早材に対応する部分であってもよい。
木目印刷部31は、木目印刷部以外の部分32よりも凹んでいるように見えることが好ましいことから、木目印刷部31は、木目印刷部以外の部分32よりも明度が低い色で印刷されていることが好ましい。木目印刷部以外の部分32は印刷されていても、印刷されていなくてもよい。
木目調加飾フィルムは、木目印刷部31に厚膜印刷部12を重ねることで木目の立体感を表現しているため、木目印刷部31及び木目印刷部以外の部分32の両方が印刷されている場合に、木目印刷部31のインク重量と木目印刷部以外の部分32のインク重量は特に限定されず、同程度であってもよい。木目印刷部31のインク重量が、木目印刷部以外の部分32のインク重量よりも多い方が、より木目を立体的に見せることができる。本明細書中、「インク重量」は乾燥後のインクの重量を意味する。インクの乾燥条件は、60℃、1分間である。
(第二の熱可塑性樹脂フィルム)
第二の熱可塑性樹脂フィルム40は、表面マット印刷層10、第一の熱可塑性樹脂フィルム20及び背面印刷層30よりも背面側(観察者側と反対側)に配置され、木目調加飾フィルム100を支持するベースフィルムの役割を有する。
第二の熱可塑性樹脂フィルム40は、第一の熱可塑性樹脂フィルム20と組成が同じであってもよいし、異なってもよい。第二の熱可塑性樹脂フィルム40は、ポリ塩化ビニルフィルムであってもよく、第二の熱可塑性樹脂フィルム40に含まれるポリ塩化ビニルは、組成及び平均分子量等の点で、第一の熱可塑性樹脂フィルム20に含まれるポリ塩化ビニルと同じであってもよいし、異なってもよい。また、第一の熱可塑性樹脂フィルム20で例示した、安定剤、紫外線吸収剤、加工助剤、抗菌剤等を含んでもよい。
上記ポリ塩化ビニルフィルムは可塑剤を含んでもよい。第二の熱可塑性樹脂フィルム40に含まれる可塑剤の含有量は、第一の熱可塑性樹脂フィルム20のように印刷耐性を考慮する必要はないが、第一の熱可塑性樹脂フィルム20と第二の熱可塑性樹脂フィルム40との積層後に、歪みを抑制する観点からは、フィルムの硬さ(可塑剤の含有量)が同等であることが好ましい。
第二の熱可塑性樹脂フィルム40に含まれる可塑剤の含有量は、ポリ塩化ビニル100質量部に対して8質量部以上、30質量部以下であることが好ましく、10質量部以上、20質量部以下であることがより好ましい。
第二の熱可塑性樹脂フィルム40の厚さは、50μm以上、300μm以下であることが好ましい。上記範囲であると、フィルム自体の強度、耐久性を得つつ、適度なコシがあるため基材への貼付けしやすくすることができる。第二の熱可塑性樹脂フィルム40の厚さは、70μm以上、250μm以下であることがより好ましい。
第二の熱可塑性樹脂フィルム40は、着色されていてもよい。例えば、茶色に着色されていてもよい。第二の熱可塑性樹脂フィルム40に含まれる着色剤は特に限定されず、塩化ビニルフィルムの分野で通常使用される染料、顔料を用いることができる。
(エンボス形状)
図5は、エンボス加工を施した木目調加飾フィルムの一例を示した断面模式図である。図6は、図5に示した木目調加飾フィルムの斜視図である。表面マット印刷層10の第一の熱可塑性樹脂フィルム20と反対側の面にエンボス形状70を有してもよい。エンボス形状70を有することで、木目調加飾フィルム100に自然木のような手触りを付与することができる。
実施形態に係る木目調加飾フィルム100は、表面マット印刷層10の厚膜印刷部12により木目の立体感を表現しているため、エンボス形状70は、図5及び図6に示したように、木目印刷部31や厚膜印刷部12の平面形状と同調させなくてもよい。エンボス形状70は、梨地柄であってもよいし、木質繊維を模した柄でもよい。
図7は、木質繊維を模したエンボス形状の一例を示した平面模式図である。木質繊維を模したエンボス形状70は、複数の線状の凹部が設けられたものであってもよく、複数の線状の凹部は、裏面印刷層の木目印刷部31の延伸方向に沿って配置されることが好ましい。木質繊維を模したエンボス形状70は、木目印刷部31の木目模様よりも細かい繊維を表したものであることが好ましい。
エンボス形状を有する場合の木目調加飾フィルム100の表面の算術平均粗さRaは、例えば7~30μmであってもよく、十点平均粗さRzは、例えば20~60μmであってもよく、最大高さRyは、例えば30~100μmであってもよい。上記Ra、Rz及びRyは、いずれもJIS B 0601-1994に準拠した方法で測定した値である。エンボス形状の凹凸の高さは、厚膜印刷部12の厚さよりも大きくてもよい。マットインクを用いて実現できる厚膜印刷部12の厚さは、エンボス形状により付与される木目調加飾フィルム100の表面凹凸高さの1/100程度であり、上記エンボス形状の凹凸は厚膜印刷部12の厚さよりも充分に大きいため、上記Ra、Rz及びRyの算出において、厚膜印刷部12の厚さの影響は小さい。
エンボス形状70は、表面マット印刷層10の第一の熱可塑性樹脂フィルム20と反対側の面に、表面に所望の模様が形成されたエンボスロールを押し付けることで形成することができる。
(粘着剤層)
図1及び図2に示したように、木目調加飾フィルム100は、第二の熱可塑性樹脂フィルム40の背面印刷層30と反対側に粘着剤層50を有してもよい。粘着剤層50の厚さは特に限定されないが、10~60μmであることが好ましく、20~50μmであることがより好ましい。
粘着剤層50は、粘着機能を有するものであれば特に限定されず、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等の粘着剤を含有するものが挙げられる。なかでも、粘着性、加工性、耐熱性に優れるとともに、比較的安価である点から、アクリル系粘着剤が好適に用いられる。
木目調加飾フィルム100は、粘着剤層50の第二の熱可塑性樹脂フィルム40と反対側にセパレーター60が配置されてもよい。セパレーター60は、粘着剤層50の表面を保護し、使用時に剥離できるものであれば、特に限定されず、加飾フィルムの分野で通常使用されるものを用いることができる。
図示していないが、木目調加飾フィルム100は、第二の熱可塑性樹脂フィルム40と粘着剤層50との間にプライマー層を有していてもよい。また、背面印刷層30と第二の熱可塑性樹脂フィルム40との間に金属膜を有してもよい。上記金属膜としては、アルミニウム、インジウム等の金属の蒸着膜が挙げられる。上記金属膜の厚さは、例えば1μm以下である。
実施形態に係る木目調加飾フィルム100は、基材の表面に貼り付けることで、木目調の意匠を付与することができる。上記基材としては、壁面に取り付ける化粧板(壁装材)、室内ドア、クローゼットやキッチンの扉、家具、フローリング等の内装材が挙げられる。上記基材の材質は、特に限定されず、例えば、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂等の樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂);鉄、銅、アルミニウム等の金属;合金等が挙げられる。
(製造方法)
実施形態に係る木目調加飾フィルムは、例えば以下の方法で製造することができる。本発明の他の実施形態は、第一の熱可塑性樹脂フィルムの第一面に木目印刷部を含む背面印刷層を印刷し、上記第一の熱可塑性樹脂フィルムの上記第一面と反対側の第二面に表面マット印刷層を印刷する工程と、上記背面印刷層の上記第一の熱可塑性樹脂フィルムと反対側の面に、第二の熱可塑性樹脂フィルムを積層する工程とを有し、上記表面マット印刷層は、薄膜印刷部と、上記薄膜印刷部よりも厚さが厚く、かつ、平面視において上記背面印刷層と重なる厚膜印刷部とを含み、上記厚膜印刷部は、平面視において上記木目印刷部と重なるように形成され、上記厚膜印刷部のマットインク重量は、上記薄膜印刷部のマットインク重量よりも3.0g/m以上多い木目調加飾フィルムの製造方法であってもよい。
第一の熱可塑性樹脂フィルム20及び第二の熱可塑性樹脂フィルムの成膜方法としては、カレンダー成形、押出成形、射出成形等の従来公知の成形法を用いることができるが、厚さの薄いフィルムであっても優れた厚さ精度で作製できることから、カレンダー成形が好適である。上記カレンダー加工に用いられるカレンダー形式は特に限定されず、例えば、逆L型、Z型、直立2本型、L型、傾斜3本型等、従来公知の形式を採用することができる。
上記背面印刷層及び表面マット印刷層を印刷する工程では、第一の熱可塑性樹脂フィルムの第一面に木目印刷部を含む背面印刷層を印刷し、上記第一の熱可塑性樹脂フィルムの第二面に表面マット印刷層を印刷する。すなわち、第一の熱可塑性樹脂フィルムの両面に背面印刷層と表面マット印刷層とを両面印刷する。第一の熱可塑性樹脂フィルムの両面に背面印刷層と表面マット印刷層とを両面印刷することで、木目印刷部と厚膜印刷部とを同調させることができ、木目印刷部が周囲よりも凹んで見えるようにすることができる。表面マット印刷層は、背面印刷層と重なるように印刷され、厚膜印刷部は、平面視において木目印刷部と重なるように形成される。
上記背面印刷層及び表面マット印刷層を印刷する工程は、インクジェット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、ロータリースクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、静電印刷等により行うことができるが、グラビア印刷が好ましい。特に、表面マット印刷層は、グラビア印刷により印刷されることが好ましい。両面印刷が可能であり、かつグラビア印刷版の表面が平滑で、塩化ビニルフィルムへの印刷時にインク密着性がよいためである。以下では、背面印刷層と表面マット印刷層とをグラビア印刷により形成する例を説明する。グラビア印刷は、表面に印刷模様と対応する凹凸が形成されたグラビア印刷版の凹部にインクを充填し、そのインクをフィルムに転写する印刷方法である。
上記背面印刷層及び表面マット印刷層を印刷する工程は、第一の熱可塑性樹脂フィルムの第一面に背面印刷層を印刷する工程と、上記第一の熱可塑性樹脂フィルムの第二面に表面マット印刷層を印刷する工程とを含んでもよい。背面印刷層の印刷と表面マット印刷層の印刷とを別工程とする場合、上記背面印刷層及び表面マット印刷層の印刷順は特に限定されない。
以下に、背面印刷層を印刷した後に表面マット印刷層を印刷する場合を説明する。例えば、グラビア印刷版と圧胴の間に第一の熱可塑性樹脂フィルムを挟み、グラビア印刷版と圧胴とを回転させて、第一の熱可塑性樹脂フィルムの第一面にグラビア印刷版に充填された木目印刷用のインクを転写し、木目模様を印刷する。グラビア印刷版は、筒状であってもよい。
その後、第一の熱可塑性樹脂フィルムを裏返して、グラビア印刷版と圧胴の間に第一の熱可塑性樹脂フィルムを挟み、グラビア印刷版と圧胴とを回転させて、第一の熱可塑性樹脂フィルムの第二面にグラビア印刷版に充填されたマットインクを転写し、薄膜印刷部と厚膜印刷部とを含む表面マット印刷層を印刷する。
表面マット印刷層は、薄膜印刷部と、上記薄膜印刷部よりも厚さが厚く、かつ、平面視において上記背面印刷層と重なる厚膜印刷部とを含む。
厚膜印刷部のマットインク重量は、薄膜印刷部のマットインク重量よりも3.0g/m以上多い。グラビア印刷版の表面に形成する凹凸の深さを調整することで、薄膜印刷部及び厚膜印刷部のマットインク重量を調整することができる。例えば、グラビア印刷版表面の最も深い溝(凹部)を厚膜印刷部として、厚膜印刷部を基準に溝の深さを浅くすることで、薄膜印刷部を形成することができる。
厚膜印刷部のマットインク重量と薄膜印刷部のマットインク重量との差(マットインク重量差)は、3.52g/m以上であることが好ましく、5.0g/m以上であることがより好ましい。厚膜印刷部のマットインク重量の上限は、例えば23g/mである。
薄膜印刷部のマットインク重量は、例えば、0.1g/m以上であってもよい。薄膜印刷部のマットインク重量の好ましい下限は0.5g/mであり、より好ましい下限は0.9g/mであり、更に好ましい下限は2.0g/mである。この場合、マットインク重量差の上限は、23g/m未満である。上記マットインク重量差が3.0g/m以上であり、かつ、薄膜印刷部のマットインク重量が2.65g/m以上であることが特に好ましい。
第一の熱可塑性樹脂フィルムと第二の熱可塑性樹脂フィルムとは、例えば、所定の温度に加熱された一対のロール間を通して圧着させ熱ラミネートしてもよい。熱ラミネートに一対のエンボスロールを用いることで、表面マット印刷層の観察者側の表面にエンボス加工を施しながら第一の熱可塑性樹脂フィルムと第二の熱可塑性樹脂フィルムとを熱ラミネートすることができる。熱ラミネートに一対のエンボスロールを用いた場合、表面マット印刷層の観察者側の表面に加え、第二の熱可塑性樹脂フィルムの背面側の表面にもエンボス加工が施されてもよい。
その後、セパレーター上に形成された粘着剤層を第二の熱可塑性樹脂フィルムの背面印刷層と反対側に積層してもよい。
以下、本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
下記表1に、実施例及び比較例で用いたエンボスロールの算術平均粗さRa、十点平均粗さRz及び最大高さRyを示した。Ra、Rz及びRyは、それぞれJIS B 0601-1994に準拠した方法で、表面粗さ測定機を用いて以下の条件で測定した。表1のRa、Rz及びRyは、それぞれ3回測定した平均値を記載した。エンボス1、エンボス2は、梨地柄のエンボスロールである。
測定装置:ミツトヨ製の「サーフテスト SJ-310」
カットオフ値λc:0.8mm
区間数(測定長のうち計測を行う区間の数):5
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
(実施例1)
ポリ塩化ビニルとして、株式会社カネカ製のストレートPVC「カネビニールS1008N」(平均重合度:800)を70質量部と、株式会社カネカ製の架橋PVC「カネビニールK07S」(平均重合度:720)を30質量部とを混合し、ポリ塩化ビニルを得た。上記ポリ塩化ビニルの合計100質量部に対して、可塑剤として、フタル酸ジイソノニル(DINP)6質量部及びエポキシ化大豆油(ADEKA製の「アデカサイザーO-130P」)4質量部を配合した。
また、上記ポリ塩化ビニルの合計100質量部に対して、安定剤として、ホスファイト系酸化防止剤(ADEKA製の「アデカスタブ1500」)を0.7質量部、Ba-Zn系安定剤(ADEKA製の「アデカスタブAC-258」)を4.0質量部添加した。更に、上記ポリ塩化ビニルの合計100質量部に対して、アクリル系加工助剤(三菱ケミカル株式会社製の「メタブレンP-551A」)を1.5質量部、紫外線吸収剤(ADEKA製の「アデカスタブ1413」)を1.0質量部添加し、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物を得た。
上記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物を用い、カレンダー成形を行い、第一の熱可塑性樹脂フィルムとして、厚さ80μmで、全光線透過率が90%の透明な塩化ビニルフィルムを作製した。
上記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物に着色剤を添加した後、カレンダー成形を行い、第二の熱可塑性樹脂フィルムとして、厚さ70μmの着色塩化ビニルフィルムを作製した。
第一の熱可塑性樹脂フィルムの一方の面に、裏面印刷層として、木目印刷部を含む木目模様をグラビア印刷で印刷した。
その後、第一の熱可塑性樹脂フィルムを裏返し、木目模様が印刷された面と反対側の面に、マットインクを用いてグラビア印刷により両面印刷を行い、表面マット印刷層を印刷した。マットインクの乾燥条件は、60℃、1分間とした。
グラビア印刷版としては、木目印刷部と同様の模様が形成されたものを用いた。マットインク層は、厚膜印刷部が木目印刷部と重なり、薄膜印刷部が木目印刷部以外の部分と重なるように印刷した。グラビア印刷版に形成される凹部の深さを12段階で表した場合に、最も深いスケール12を厚膜印刷部とし、実施例1では、薄膜印刷部がスケール9であるグラビア印刷版を用いて、表面マット印刷層を印刷した。
マットインクとしては、アクリルウレタン系樹脂をバインダー樹脂として含み、かつ艶消剤としてシリカ(二酸化ケイ素)と含むアクリルウレタン系のマットインクを用いた。マットインク全体に対するシリカの含有量は、18~53質量%であった。
両面印刷した後、第一の熱可塑性樹脂フィルムの背面印刷層が印刷された面に第二の熱可塑性樹脂フィルムを重ね、木質繊維の模様が彫られた一対のエンボスロール間を通すことで、熱ラミネートした。実施例1では、表1に示した「エンボス1」のエンボスロールを用いた。
厚さ120μmの離型紙をセパレーターとして、アクリル系粘着剤を用いて厚さが40μmの粘着剤層を形成した。その後、第二の熱可塑性樹脂フィルムの背面印刷層と反対側の面に、上記粘着剤層を貼り合わせ、実施例1に係る木目調加飾フィルムを作製した。実施例1に係る木目調加飾フィルムは、表面側から順に、表面マット印刷層、第一の熱可塑性樹脂フィルム、裏面印刷層、第二の熱可塑性樹脂フィルム、粘着剤層及び離型紙を有し、表面マット印刷層側の表面にエンボス形状を有するものであった。
(実施例2~18、比較例1~4)
表面マット印刷層の印刷に用いるグラビア印刷版の薄膜印刷部のスケール、及び、第一の熱可塑性樹脂フィルムと第二の熱可塑性樹脂フィルムとを熱ラミネートするエンボスロールの種類を表3に示したようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2~18、比較例1~4に係る木目調加飾フィルムを作製した。
<マットインク重量の算出>
以下の方法で、実施例及び比較例で表面マット印刷層の印刷に用いたグラビア印刷版の深さ(スケール)と、木目調加飾フィルムにおける表面マット印刷層のマットインク重量との関係を検討した。
スケール1~12段階の深さを有する12枚のグラビア印刷版を用意し、各グラビア印刷版を用いて、厚さが均一な表面マット印刷層がベタ印刷されたサンプルを作製した。マットインクは、実施例1と同様のものを用い、塗布後、60℃で1分間乾燥させた。表面マット印刷層以外の各サンプルの構成は、実施例1と同じとした。
各サンプルの表面マット印刷層の一部をアルコールでふき取り、表面マット印刷層を除去した部分と除去していない部分とを同面積で切り出した試験片を作製した。表面マット印刷層を除去した試験片と表面マット印刷層を除去していない試験片の重量差から、スケール毎にマットインク重量を算出した。
上記試験片の切り出し方法は、同じ面積の試験片が作製できれば特に限定されないが、本検討では、穴あけパンチを用いた。穴あけパンチとしては、株式会社KNIPEXの回転パンチプライヤー(品番:9070-220)を用いて直径5mmの円形のサンプルを作製した。上記サンプルは、室温30℃、湿度60%、圧力717kN/mで打ち抜いた。なお、1回の測定につき、表面マット印刷層を除去した試験片を79個、表面マット印刷層を除去していない試験片を79個準備した。各サンプルにつき、3回測定した平均値を下記表2に示した。
表面マット印刷層をふき取る溶媒は、マットインクの種類によって適宜選択すればよいが、本検討ではイソプロピルアルコール(IPA)を用いた。上記表面マット印刷層のふき取りは、具体的には、IPAを浸み込ませた綿布で、圧力9.8kN/mで50回擦った。その後、室温30℃、湿度60%の環境下で、乾燥時間3分で乾燥させた。重量測定は、電子分析天秤(島津製作所のAEU-130)を用いた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
<木目の立体感>
実施例2~18、比較例1~4の木目調加飾フィルムについて、以下の方法で木目の立体感を評価し、結果を表3に示した。実施例及び比較例の木目調加飾フィルムの表面に対して、CIE標準光源D65による波長380nm~780nmの光を、入射角40~85°の範囲で変化させて入射し、反射角側から観察角度60°で目視にて確認した。上記入射角及び観察角度は、木目調加飾フィルムの表面に対する垂直方向(法線方向)を基準(0°)とした。
訓練された5人のパネリストが、木目印刷部と木目印刷部以外の部分とのコントラストの差を上記方法で確認し、木目印刷部のコントラストが木目印刷部以外の部分よりも高く視認され、立体感を感じることができた人数が3人以上であった場合を〇、立体感を感じることのできた人数が2人以下であった場合を×とした。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
表3に示したように、(ii)厚膜印刷部のマットインク重量と、(i)薄膜印刷部のマットインク重量との差((ii)-(i))が3.0g/m以上である実施例1~18は、木目印刷部のコントラストが木目印刷部以外の部分よりも高く視認され、立体感が感じられた。一方で上記((ii)-(i))が3.0g/m未満である比較例1~4は、木目印刷部と重なる厚膜印刷部と、木目印刷部以外の部分と重なる薄膜印刷部との厚さの差が小さいことから、木目模様が立体的に見えなかった。
参考に、実施例3の写真図を用いて木目の立体感について説明する。図8は、実施例3の木目調加飾フィルムの平面写真図である。図9は、実施例3の木目調加飾フィルムの斜め方向からの写真図である。図9は、木目の立体感の評価において、入射角45°、観察角度60°で観察した場合に対応する。木目印刷部に含まれる導管部は、図8に示したように黒く線状に印刷された部分である。図9に示したように、光を当てて斜め方向から観察すると、導管部に対応する部分は凹んで見えた。
更に全体の艶感に着目すると、薄膜印刷部に対応するエンボス印刷版のスケール(深さ)を7以上、すなわち、薄膜印刷部のマットインク重量を2.65g/m以上とした実施例1~6は、実施例7~18と比べてより全体的に艶消されており、木目の立体感と全体的な艶消とが両立されていた。
なお、上記実施例及び比較例では、効果を比較しやすいように、厚膜印刷部のスケールを12に固定して検討したが、厚膜印刷部のスケールを変えた場合でも、厚膜印刷部と薄膜印刷部のマットインク重量の差を3.0g/m以上とすることで木目の立体感を表現することができる。
10:表面マット印刷層
11:薄膜印刷部
12:厚膜印刷部
20:第一の熱可塑性樹脂フィルム
30:背面印刷層
31:木目印刷部
32:木目印刷部以外の部分
40:第二の熱可塑性樹脂フィルム
50:粘着剤層
60:セパレーター
70:エンボス
100:木目調加飾フィルム

Claims (8)

  1. 表面マット印刷層と、第一の熱可塑性樹脂フィルムと、木目印刷部を含む背面印刷層と、第二の熱可塑性樹脂フィルムとをこの順に備え、
    前記表面マット印刷層は、前記背面印刷層と重なるように配置され、薄膜印刷部と、前記薄膜印刷部よりも厚さが厚く、かつ平面視において前記木目印刷部と重なるように配置された厚膜印刷部とを含み、
    前記厚膜印刷部のマットインク重量は、前記薄膜印刷部のマットインク重量よりも3.0g/m以上多いことを特徴とする木目調加飾フィルム。
  2. 前記薄膜印刷部のマットインク重量は、2.65g/m以上であることを特徴とする請求項1に記載の木目調加飾フィルム。
  3. 前記表面マット印刷層は、シリカを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の木目調加飾フィルム。
  4. 前記第一の熱可塑性樹脂フィルムは、ポリ塩化ビニルフィルムであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の木目調加飾フィルム。
  5. 前記第二の熱可塑性樹脂フィルムは、ポリ塩化ビニルフィルムであることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の木目調加飾フィルム。
  6. 前記第二の熱可塑性樹脂フィルムは、着色されていることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の木目調加飾フィルム。
  7. 前記表面マット印刷層の前記第二の熱可塑性樹脂フィルムと反対側の面にエンボス形状を有することを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の木目調加飾フィルム。
  8. 前記第二の熱可塑性樹脂フィルムの前記背面印刷層と反対側に粘着剤層を有することを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の木目調加飾フィルム。
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