JP2020043723A - モータ制御装置 - Google Patents

モータ制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2020043723A
JP2020043723A JP2018171390A JP2018171390A JP2020043723A JP 2020043723 A JP2020043723 A JP 2020043723A JP 2018171390 A JP2018171390 A JP 2018171390A JP 2018171390 A JP2018171390 A JP 2018171390A JP 2020043723 A JP2020043723 A JP 2020043723A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
current
value
current value
upper limit
change speed
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018171390A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7225617B2 (ja
Inventor
光 河村
Hikari Kawamura
光 河村
友哉 高橋
Tomoya Takahashi
友哉 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Advics Co Ltd
Original Assignee
Advics Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Advics Co Ltd filed Critical Advics Co Ltd
Priority to JP2018171390A priority Critical patent/JP7225617B2/ja
Publication of JP2020043723A publication Critical patent/JP2020043723A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7225617B2 publication Critical patent/JP7225617B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Control Of Motors That Do Not Use Commutators (AREA)

Abstract

【課題】電流変化速度の算出精度の低下を抑制することが可能なモータ制御装置を提供する。【解決手段】モータ制御装置10は、ブラシレスモータ100に電圧を印加したときに、所定のサンプリング周期毎に、ブラシレスモータ100に流れる電流値を取得する電流取得部172と、電流取得部172によって取得された複数の電流値を基に、所定の電流範囲内で電流値が時間の経過とともに変化するときの変化速度である電流変化速度を算出する変化速度算出部173と、を備える。変化速度算出部173は、電流取得部172によって取得された複数の電流値の中から、電流範囲の下限値との差分が最も小さい電流値であると推定される最小電流値を選択し、電流取得部172によって取得された複数の電流値のうち、最小電流値と、同最小電流値よりも大きい電流値と、を基に、電流変化速度を算出する。【選択図】図1

Description

本発明は、ブラシレスモータを駆動させるモータ制御装置に関する。
従来から、ブラシレスモータを制御するモータ制御装置として、磁気飽和を利用してロータの磁極判定を行うものがある。例えば、特許文献1に記載のモータ制御装置は、d軸に流れる電流によって発生する磁束の向きとロータによる磁束の向きとが一致している際には、d軸に流れる電流が増大すると磁気飽和によりd軸インダクタンスが低下する一方、d軸に流れる電流によって発生する磁束の向きとロータによる磁束の向きとが逆向きの際には、d軸に流れる電流が増大してもd軸インダクタンスが変化しないという性質を利用して、磁極判定を行う。
特開2008−79489号公報
上記のようなモータにおいて、d軸インダクタンスは、d軸電圧を印加するときのd軸電流の電流変化速度と相関する。このため、磁極判定は、d軸の正方向に電圧を印加したときのd軸電流の電流変化速度と負方向に電圧を印加したときのd軸電流の電流変化速度との比較により行うことができる。ただし、磁極判定は、d軸の正方向に電圧を印加したときに磁気飽和が起こる程度の電流範囲を予め設定し、当該電流範囲の電流変化速度を比較することが好ましい。このような磁極判定を行う場合、電流変化速度の算出精度が低いと、誤判定を招きやすくなる。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するモータ制御装置は、ブラシレスモータに電圧を印加したときに、所定のサンプリング周期毎に、前記ブラシレスモータに流れる電流値を取得する電流取得部と、前記電流取得部によって取得された複数の電流値を基に、所定の電流範囲内で前記ブラシレスモータに流れる電流値が時間の経過とともに変化するときの変化速度である電流変化速度を算出する変化速度算出部と、を備え、前記変化速度算出部は、前記電流取得部によって取得された複数の電流値の中から、前記電流範囲の下限値との差分が最も小さい電流値であると推定される最小電流値を選択し、前記電流取得部によって取得された複数の電流値のうち、前記最小電流値と、同最小電流値よりも大きい電流値と、を基に、前記電流変化速度を算出する。
電流取得部によって取得された複数の電流値の中で電流範囲の下限値よりも小さい電流値のうち、最も大きな電流値を最小電流値とした場合、最小電流値と電流範囲の下限値との乖離が大きいことがある。このように下限値との乖離の大きい最小電流値を用いて電流変化速度を算出した場合、その算出精度が低くなるおそれがある。
この点、上記構成によれば、電流範囲の下限値との差分が最も小さいと推定される電流値が最小電流値とされる。そのため、下限値よりも小さい電流値が最小電流値として選択された場合であっても、当該最小電流値と下限値との乖離が大きくなりにくい。よって、このような最小電流値を用いて電流変化速度を算出したとしても、その算出精度が低くなりにくい。したがって、モータ制御装置は、電流変化速度の算出精度の低下を抑制することが可能となる。
上記モータ制御装置は、前記電流範囲の上限値よりも小さく且つ前記電流範囲の下限値よりも大きい値を下限側規定値として設定する規定値設定部を備え、前記下限側規定値は、1サンプリング周期における電流値の変化量の推定値に基づいた値であり、前記電流範囲の下限値よりも小さい電流値の中で、最も大きな電流値を第1下限候補電流値とし、前記第1下限候補電流値の次にサンプリングされる電流値であって且つ前記電流範囲の下限値以上の電流値を第2下限候補電流値とした場合、前記変化速度算出部は、前記第2下限候補電流値が前記下限側規定値より大きい場合には、前記第1下限候補電流値を前記最小電流値として選択し、前記第2下限候補電流値が前記下限側規定値以下の場合には、前記第2下限候補電流値を前記最小電流値として選択することが好ましい。
上記モータ制御装置において、前記変化速度算出部は、前記電流取得部によって取得された複数の電流値の中から、前記電流範囲の上限値との差分が最も小さい電流値であると推定される最大電流値を選択し、前記最大電流値を基に、前記電流変化速度を算出することが好ましい。
電流取得部によって取得された複数の電流値の中で電流範囲の上限値よりも大きい電流値のうち、最も小さな電流値を最大電流値とした場合、最大電流値と電流範囲の上限値との乖離が大きいことがある。このように上限値との乖離の大きい最大電流値を用いて電流変化速度を算出した場合、その算出精度が低くなるおそれがある。
この点、上記構成によれば、電流範囲の上限値との差分が最も小さいと推定される電流値が最大電流値とされる。このため、上限値よりも大きい電流値が最大電流値として選択された場合であっても、当該最大電流値と上限値との乖離が大きくなりにくい。よって、このような最大電流値を用いて電流変化速度を算出したとしても、その算出精度が低くなりにくい。したがって、モータ制御装置は、電流変化速度の算出精度の低下を抑制することが可能となる。
上記モータ制御装置は、前記電流範囲の上限値よりも大きい値を上限側規定値として設定する規定値設定部を備え、前記上限側規定値は、1サンプリング周期における電流値の変化量の推定値に基づいた値であり、前記電流範囲の上限値よりも小さい電流値の中で、最も大きな電流値を第1上限候補電流値とし、前記第1上限候補電流値の次にサンプリングされる電流値であって且つ前記電流範囲の上限値以上の電流値を第2上限候補電流値とした場合、前記変化速度算出部は、前記第2上限候補電流値が前記上限側規定値より大きい場合には、前記第1上限候補電流値を前記最大電流値として選択し、前記第2上限候補電流値が前記上限側規定値以下の場合には、前記第2上限候補電流値を前記最大電流値として選択することが好ましい。
実施形態のモータ制御装置と、同モータ制御装置によって制御されるブラシレスモータの概略構成を示すブロック図。 (a),(b)は、d軸の方向に第1パルス信号を印加するときのタイミングチャート。 (a),(b)は、d軸の方向に第2パルス信号を印加するときのタイミングチャート。 時間の経過に伴うd軸電流の変化と下限側規定値との関係を示すグラフ。 電流変化速度の算出のために、磁極判定部が実行する処理内容を示すフローチャート。 (a),(b)は、異なるタイミングで取得した複数のd軸電流の電流値の中から電流変化速度の算出に採用される電流値を説明するグラフ。
以下、モータ制御装置の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1には、本実施形態のモータ制御装置10と、モータ制御装置10によって制御されるブラシレスモータ100とが図示されている。ブラシレスモータ100は、車載のブレーキ装置におけるブレーキ液の吐出用の動力源として用いられる。ブラシレスモータ100は、永久磁石埋込型同期モータである。ブラシレスモータ100は、複数の相(U相、V相及びW相)のコイル101,102,103と、突極性を有するロータ105とを備えている。ロータ105としては、例えば、N極とS極とが一極ずつ着磁されている2極ロータを挙げることができる。
モータ制御装置10は、ベクトル制御によってブラシレスモータ100を駆動させる。このようなモータ制御装置10は、指令電流算出部11、指令電圧算出部12、2相/3相変換部13、インバータ14、3相/2相変換部15、ロータ位置推定部16及び磁極判定部17を有している。
指令電流算出部11は、ブラシレスモータ100に対する要求トルクTR*に基づき、d軸指令電流Id*及びq軸指令電流Iq*を算出する。d軸指令電流Id*は、ベクトル制御の回転座標におけるd軸方向の電流成分の指令値である。q軸指令電流Iq*は、回転座標におけるq軸方向の電流成分の指令値である。d軸及びq軸は、回転座標上で互いに直交している。
指令電圧算出部12は、d軸指令電流Id*と、d軸電流Idとに基づいたフィードバック制御によって、d軸指令電圧Vd*を算出する。d軸電流Idとは、ブラシレスモータ100の各コイル101,102,103への給電によって回転座標上で発生した電流ベクトルのうちのd軸方向の電流成分を示す値である。また、指令電圧算出部12は、q軸指令電流Iq*と、q軸電流Iqとに基づいたフィードバック制御によって、q軸指令電圧Vq*を算出する。q軸電流Iqとは、各コイル101,102,103への給電によって回転座標上で発生した電流ベクトルのうちのq軸方向の電流成分を示す値である。
2相/3相変換部13は、ロータ105の位置(すなわち、回転角)であるロータ回転角θを基に、指令電圧算出部12によって算出されたd軸指令電圧Vd*及びq軸指令電圧Vq*を、U相指令電圧VU*と、V相指令電圧VV*と、W相指令電圧VW*とに変換する。U相指令電圧VU*は、U相のコイル101に印加する電圧の指令値である。V相指令電圧VV*は、V相のコイル102に印加する電圧の指令値である。W相指令電圧VW*は、W相のコイル103に印加する電圧の指令値である。
インバータ14は、複数のスイッチング素子を有している。そして、インバータ14は、2相/3相変換部13から入力されたU相指令電圧VU*と、スイッチング素子のオン/オフ動作によってU相信号を生成する。また、インバータ14は、入力されたV相指令電圧VV*と、スイッチング素子のオン/オフ動作によってV相信号を生成する。また、インバータ14は、入力されたW相指令電圧VW*と、スイッチング素子のオン/オフ動作によってW相信号を生成する。すると、U相信号がブラシレスモータ100のU相のコイル101に入力され、V相信号がV相のコイル102に入力され、W相信号がW相のコイル103に入力される。
3相/2相変換部15には、ブラシレスモータ100のU相のコイル101に流れた電流としてU相電流IUが入力され、V相のコイル102に流れた電流としてV相電流IVが入力され、W相のコイル103に流れた電流としてW相電流IWが入力される。そして、3相/2相変換部15は、ロータ回転角θを基に、U相電流IU、V相電流IV及びW相電流IWを、d軸の方向の電流成分であるd軸電流Id、及び、q軸の方向の電流成分であるd軸電流Idに変換する。
ロータ位置推定部16は、ブラシレスモータ100の回転制御を開始する際に、回転座標系のd軸として推定される推定d軸を実d軸に近付ける磁極位置推定処理を行う。ロータ位置推定部16は、交流電圧発生部161と、更新部162と、を有する。
交流電圧発生部161は、磁極位置推定処理の実行時に、高周波で電圧を振動させる外乱電圧信号Vdh*を生成して第1の加算器181に出力する外乱出力処理を実行する。外乱出力処理が交流電圧発生部161によって実行されている場合、指令電圧算出部12によって算出されたd軸指令電圧Vd*に外乱電圧信号Vdh*が加算され、加算後のd軸指令電圧Vd*が2相/3相変換部13に入力される。
更新部162は、交流電圧発生部161によって外乱出力処理が実行されているときに、推定d軸の方向を更新し、推定d軸を実d軸にほぼ一致させるための更新処理を実行する。詳しくは、推定d軸の方向が実d軸の方向に対して傾く場合、推定d軸の方向に電圧ベクトルが発生するようにブラシレスモータ100に給電が行われると、推定d軸の方向に対して電流ベクトルが偏角した状態で発生する。その結果、回転座標において推定d軸と直交する制御軸である推定q軸の方向に電流成分が発生する。そこで、更新部162は、更新処理では、このような推定q軸の方向の電流成分の大きさが「0」となるように、推定d軸の向きを更新する。
なお、更新処理は、ロータ105の突極性を利用したものであり、ロータ105の磁極の向きまでは判定できない。このため、更新処理の終了時では、推定d軸の正負の向きが実d軸の正負の向きと一致している場合もあれば、推定d軸の正負の向きが実d軸の正負の向きとは逆になっている場合もある。
磁極判定部17は、ロータ位置推定部16が磁極位置推定処理を実行した後に、ロータ105の磁極の向きを判定する磁極判定処理を実行する。磁極判定処理は、d軸の正方向に電流を流す場合には磁気飽和が起きやすく、d軸の負方向に電流を流す場合には磁気飽和が起きにくい性質を利用する。このため、磁極判定処理は、d軸の正方向に電流を流すことで磁気飽和が起こる電流範囲を予め設定し、d軸の正方向及び負方向に当該電流範囲の電流を流したときのインダクタンス又はインダクタンスに準じたパラメータを比較する。
磁極判定部17は、判定電圧発生部171と、電流取得部172と、変化速度算出部173と、規定値設定部174と、判定部175と、を有する。
判定電圧発生部171は、磁極位置推定処理の実行後における推定d軸の方向に対し、磁極判定用の判定電圧信号を流す判定出力処理を実行する。判定電圧信号は、図2(a)に示す第1パルス信号S1と、図3(a)に示す第2パルス信号S2とを含んでいる。図2(a)に示すように、第1パルス信号S1は、推定d軸の方向に電圧規定値VTH以上の正の第1電圧Vd1を印加した後に、推定d軸の方向に電圧規定値VTH以上の負の第1電圧Vd1を印加するための1周期分の矩形波の信号である。一方、図3(a)に示すように、第2パルス信号S2は、推定d軸の方向に電圧規定値VTH以上の負の第2電圧Vd2を印加した後に、推定d軸の方向に電圧規定値VTH以上の正の第2電圧Vd2を印加するための1周期分の矩形波の信号である。第1電圧Vd1は、第2電圧Vd2と等しく、第1パルス信号S1の信号レベルが正の第1電圧Vd1である期間の長さは、第2パルス信号S2の信号レベルが負の第2電圧Vd2である期間の長さと等しい。電圧規定値VTHは、推定d軸に正の第1電圧Vd1又は負の第2電圧Vd2を印加する際に、磁気飽和が起こる程度の電流範囲の電流が推定d軸に流れるような大きさに設定される。
図1に戻り、判定電圧発生部171は、判定出力処理において、判定電圧信号に応じたd軸電圧信号Vdp*を生成する。そして、判定電圧発生部171は、生成したd軸電圧信号Vdp*を第2の加算器182に出力する。そのため、判定電圧発生部171が判定出力処理を実行している場合、d軸指令電圧Vd*にd軸電圧信号Vdp*が加算され、加算後のd軸指令電圧Vd*が2相/3相変換部13に入力される。
電流取得部172は、判定電圧発生部171が判定出力処理を実行しているときに、推定d軸の方向の電流成分である第1電流Id1及び第2電流Id2を取得する。第1電流Id1及び第2電流Id2は、推定d軸の方向の電流成分の大きさと、推定d軸の方向の電流成分の向き(正向き又は負向き)とを示す値である。本実施形態では、第1電流Id1の大きさや第2電流Id2の大きさのことを電流値という。したがって、電流取得部172は、ブラシレスモータ100に流れる電流値を取得しているということができる。
以下、図2及び図3を参照して、推定d軸の方向が実d軸の方向に一致している場合における第1電流Id1及び第2電流Id2の具体例について説明する。
図2(a),(b)に示すように、第1パルス信号S1が推定d軸の方向に入力される場合、電流取得部172は、推定d軸(実d軸)の方向に電圧規定値VTH以上の正の第1電圧Vd1が印加されているときの推定d軸の方向の電流成分である第1電流Id1を取得する。推定d軸の方向に正の第1電圧Vd1が印加されている場合、推定d軸の電流成分の向きは正向きである。そのため、電流取得部172によって取得される第1電流Id1は正の値となる。また、電流取得部172は、推定d軸の方向に電圧規定値VTH以上の正の第1電圧Vd1が印加されているときに、所定のサンプリング周期毎に第1電流Id1を取得する。図2(b)に示すように、推定d軸の方向に正の第1電圧Vd1が印加されている場合、第1電流Id1の電流値が時間の経過とともに大きくなる。
図3(a),(b)に示すように、第2パルス信号S2が推定d軸の方向に入力される場合、電流取得部172は、推定d軸(実d軸)の方向に電圧規定値VTH以上の負の第2電圧Vd2が印加されているときの推定d軸の方向の電流成分である第2電流Id2を取得する。推定d軸の方向に負の第2電圧Vd2が印加されている場合、推定d軸の電流成分の向きは負向きである。そのため、電流取得部172によって取得される第2電流Id2は負の値となる。また、電流取得部172は、推定d軸の方向に電圧規定値VTH以上の負の第2電圧Vd2が印加されているときに、所定のサンプリング周期毎に第2電流Id2を取得する。図3(b)に示すように、推定d軸の方向に負の第2電圧Vd2が印加されている場合、第2電流Id2が時間の経過とともに小さくなる。言い換えれば、第2電流Id2の電流値が時間の経過とともに大きくなる。
変化速度算出部173は、電流取得部172が取得した複数の第1電流Id1の電流値を基に、第1電流変化速度Id1’を算出する。また、変化速度算出部173は、電流取得部172が取得した複数の第2電流Id2の電流値を基に、第2電流変化速度Id2’を算出する。
図2(b)及び図3(b)に示すように、推定d軸の方向の電流成分である推定d軸電流(第1電流Id1及び第2電流Id2)の電流値が小さい状況下では、推定d軸の方向に正の第1電圧Vd1が印加される場合と、推定d軸の方向に負の第2電圧Vd2が印加される場合と、の双方の場合において、磁気飽和が起きにくい。このため、推定d軸電流の電流値が小さい状況下では、実d軸の方向に正の第1電圧Vd1が印加される場合と、実d軸の方向に負の第2電圧Vd2が印加される場合とで、時間の経過に伴う推定d軸電流の変化量である電流変化速度Id’に差が生じにくい。
ところが、推定d軸電流の電流値が大きい状況下では、実d軸の方向に負の第2電圧Vd2が印加される場合には磁気飽和が起きにくいものの、実d軸の方向に正の第1電圧Vd1が印加される場合には磁気飽和が起きやすくなる。このため、推定d軸電流の電流値が大きい状況下では、図2(a),(b)に示すように、実d軸の方向に正の第1電圧Vd1が印加される場合と、図3(a),(b)に示すように、実d軸の方向に負の第2電圧Vd2が印加される場合とで、電流変化速度Id’に差が生じる。
そこで、本実施形態では、図2(b)及び図3(b)に示すように、第1電流変化速度Id1’及び第2電流変化速度Id2’を比較するのに適した電流範囲RIが設定される。言い換えれば、電流範囲RIは、第1電流変化速度Id1’と第2電流変化速度Id2’とに差が生じやすいように設定される。
そして、変化速度算出部173は、電流取得部172によって取得された複数の第1電流Id1の電流値の中から、電流範囲の下限値ITHL1との差分が最も小さい電流値であると推定される第1最小電流値と、電流範囲の上限値ITHU1との差分が最も小さい電流値であると推定される第1最大電流値と、を選択する。続いて、変化速度算出部173は、第1最小電流値と、第1最大電流値と、を基に第1電流変化速度Id1’を算出する。第1電流変化速度Id1’を算出する際、変化速度算出部173は、複数の第1電流Id1の電流値の中で、第1最小電流値よりも大きく第1最大電流値よりも小さな第1電流Id1の電流値を用いることもできる。
例えば、変化速度算出部173は、第1最小電流値と第1最大電流値とを含む複数の電流値を用いて一次の近似式を生成し、この近似式の傾きを第1電流変化速度Id1’とすることができる。なお、第1電流変化速度Id1’の算出は、このような近似式を生成する方法に限らず、別の方法を用いるようにしてもよい。
また、変化速度算出部173は、電流取得部172によって取得された複数の第2電流Id2の電流値の中から、電流範囲の下限値ITHL1との差分が最も小さい電流値であると推定される第2最小電流値と、電流範囲の上限値ITHU1との差分が最も小さい電流値であると推定される第2最大電流値と、を選択する。続いて、変化速度算出部173は、第2最小電流値と、第2最大電流値と、を基に第2電流変化速度Id2’を算出する。第2電流変化速度Id2’を算出する際、変化速度算出部173は、複数の第2電流Id2の電流値の中で、第2最小電流値よりも大きく第2最大電流値よりも小さな第2電流Id2の電流値を用いることもできる。なお、第2電流変化速度Id2’の算出方法は、第1電流変化速度Id1’の算出方法と同じとする。
規定値設定部174は、不図示のメモリに記憶されるデータに基づいて下限側規定値ITHL2及び上限側規定値ITHU2を設定する。下限側規定値ITHL2は、電流取得部172が取得した複数の第1電流Id1の電流値の中から変化速度算出部173が第1最小電流値を選択したり、電流取得部172が取得した複数の第2電流Id2の電流値の中から変化速度算出部173が第2最小電流値を選択したりする際に使用されるパラメータである。同様に、上限側規定値ITHU2は、電流取得部172が取得した複数の第1電流Id1の電流値の中から変化速度算出部173が第1最大電流値を選択したり、電流取得部172が取得した複数の第2電流Id2の電流値の中から変化速度算出部173が第2最大電流値を選択したりする際に使用されるパラメータである。
図2(b)及び図3(b)に示すように、下限側規定値ITHL2は、電流範囲の上限値ITHU1よりも小さく且つ電流範囲の下限値ITHL1よりも大きな値として設定され、上限側規定値ITHU2は、電流範囲の上限値ITHU1よりも大きな値として設定される。下限側規定値ITHL2及び上限側規定値ITHU2は、1サンプリング周期における電流値の変化量の推定値に基づいてそれぞれ設定される。
例えば、図2(b)の部分拡大図に相当する図4を参照すると、下限側規定値ITHL2は、次のような値とすればよい。詳しくは、下限側規定値ITHL2は、第1電流Id1が電流範囲の下限値ITHL1未満の状態から第1電流Id1が下限値ITHL1以上の状態に移行するときの第1電流変化速度Id1’にサンプリング周期TSを乗じて得られる電流変化量の推定値ΔId1の半分の値と、下限値ITHL1との和と同じ値とすることが好ましい。同様に、図示を省略するが、上限側規定値ITHU2は、第1電流Id1が電流範囲の上限値ITHU1以下の状態から第1電流Id1が上限値ITHU1よりも大きい状態に移行するときの第1電流変化速度Id1’にサンプリング周期TSを乗じて得られる電流変化量の推定値の半分の値と、上限値ITHU1との和と同じ値とすることが好ましい。あるいは、上限側規定値ITHU2は、上述した電流変化量の推定値ΔId1の半分の値を電流範囲の上限値ITHU1に加算した値としてもよい。
なお、下限側規定値ITHL2及び上限側規定値ITHU2は、予め実験等により求めておくことが好ましい。この場合、予め求められた下限側規定値ITHL2及び上限側規定値ITHU2は、データとしてメモリに記憶される。
判定部175は、第1電流変化速度Id1’と第2電流変化速度Id2’とを基に、ロータ105の磁極判定を行う。すなわち、判定部175は、第1電流変化速度Id1’が第2電流変化速度Id2’よりも大きい場合には、推定しているロータ105のN極の位置が実際のN極の位置と同じであると判定する。つまり、判定部175は、推定d軸の向きが実d軸の向きと一致していると判定する。一方、判定部175は、第1電流変化速度Id1’が第2電流変化速度Id2’よりも小さい場合には、推定しているロータ105のN極の位置が実際のN極の位置の反対であると判定する。つまり、判定部175は、推定d軸の向きが実d軸の向きの反対であると判定する。
次に、図5に示すフローチャートを参照して、磁極判定部17によって電流変化速度Id’が算出される際の処理の流れについて説明する。図5における一連の処理は、判定出力処理において、第1パルス信号S1の出力時に第1電流変化速度Id1’を算出する際に実行される。また、一連の処理は、第2パルス信号S2の出力時に第2電流変化速度Id2’を算出する際にも実行される。
図5に示すフローチャートにおいて、推定d軸電流の電流値IdEは、第1パルス信号S1の出力時には第1電流Id1の電流値に相当する一方、第2パルス信号S2の出力時には第2電流Id2の電流値に相当する。また、電流変化速度Id2’は、第1パルス信号S1の出力時には第1電流変化速度Id1’に相当し、第2パルス信号S2の出力時には第2電流変化速度Id2’に相当する。
図5に示すように、磁極判定部17は、3相/2相変換部15から出力されるd軸電流Idに基づいて、推定d軸電流の電流値IdEを取得する(ステップS11)。図5の一連の処理が実行されている場合、ステップS11の処理は、所定のサンプリング周期TS毎に実行される。すなわち、推定d軸電流の電流値IdEの取得は、所定のサンプリング周期TS毎に実行される。続いて、磁極判定部17は、フラグFLGがオフか否かを判定する(ステップS12)。このフラグFLGは、一連の処理が開始されてから取得された推定d軸電流の電流値IdEに応じてオンオフ状態が切り替わるフラグFLGである。フラグFLGがオフの場合(ステップS12:YES)、磁極判定部17は、今回取得した推定d軸電流の電流値IdEが電流範囲の下限値ITHL1以上か否かを判定する(ステップS13)。今回取得した推定d軸電流の電流値IdEが電流範囲の下限値ITHL1よりも小さい場合(ステップS13:NO)、磁極判定部17は、ステップS11に処理を移行する。
一方、今回取得した推定d軸電流の電流値IdEが電流範囲の下限値ITHL1以上の場合(ステップS13:YES)、最小決定処理を実行する(ステップS14)。
ここで、第1パルス信号S1又は第2パルス信号S2が出力されている場合、推定d軸電流の電流値IdEは時間の経過とともに大きくなる。このため、推定d軸電流の電流値IdEが増加する場合は、電流値IdEが下限値ITHL1未満の状態から電流値IdEが下限値ITHL1以上の状態に移行する。つまり、ステップS13が肯定判定される場合には、前回取得した電流値IdEが下限値ITHL1未満となり、且つ、今回取得した電流値IdEが下限値ITHL1以上となるため、今回取得した推定d軸電流の電流値IdEが、「第2下限候補電流値」となる。第2下限候補電流値とは、ステップS11の処理の実行によって取得される電流値IdEの中で電流範囲の下限値ITHL1以上の電流値のうち、最も小さい電流値のことである。
また、ステップS13が肯定判定される場合には、今回取得した推定d軸電流の電流値IdEが第2下限候補電流値となるため、前回取得した推定d軸電流の電流値IdEが「第1下限候補電流値」となる。第1下限候補電流値とは、ステップS11の処理の実行によって取得される電流値IdEの中で下限値ITHL1よりも小さい電流値のうち、最も大きい電流値であって、第2下限候補電流値の前回のサンプリング周期TSで取得される電流値である。
磁極判定部17は、最小決定処理では、今回取得した推定d軸電流の電流値IdE(第2下限候補電流値)が下限側規定値ITHL2以下か否かによって最小電流値を決める。すなわち、磁極判定部17は、今回取得した推定d軸電流の電流値IdE(第2下限候補電流値)が下限側規定値ITHL2よりも大きいときには、前回取得した推定d軸電流の電流値IdE(第1下限候補電流値)を最小電流値として選択する。この場合、第1下限候補電流値及び第2下限候補電流値は、電流変化速度Id’の算出に採用されるため、メモリに記憶される。
一方、磁極判定部17は、今回取得した推定d軸電流の電流値IdE(第2下限候補電流値)が下限側規定値ITHL2以下であるときには、今回取得した推定d軸電流の電流値IdE(第2下限候補電流値)を最小電流値として選択する。この場合、第2下限候補電流値は、電流変化速度Id’の算出に採用されるため、メモリに記憶される。一方、第1下限候補電流値は、電流変化速度Id’の算出に採用されないため、メモリに記憶されない。
続いて、磁極判定部17は、フラグFLGをオンにする(ステップS15)。すなわち、このフラグFLGは、最小電流値が未だ決まっていないときにはオフとなり、最小電流値が決まったときにはオンとなるフラグである。ステップS15を実行した後、磁極判定部17は、ステップS11に処理を移行する。
先のステップS12において、フラグFLGがオンの場合(ステップS12:NO)、今回取得した推定d軸電流の電流値IdEが電流範囲の下限値ITHL1以上であるため、磁極判定部17は、今回取得した電流値IdEが電流範囲の上限値ITHU1よりも小さいか否かを判定する(ステップS16)。推定d軸電流の電流値IdEが上限値よりも小さい場合(ステップS16:YES)、すなわち、今回取得した推定d軸電流の電流値IdEが電流範囲RI内の値である場合、磁極判定部17は、今回取得した電流値IdEを電流変化速度Id’の算出に採用する(ステップS17)。よって、今回取得した電流値IdEは、メモリに記憶される。そして、磁極判定部17は、ステップS11に処理を移行する。
一方、今回取得した推定d軸電流の電流値IdEが電流範囲の上限値ITHU1以上の場合(ステップS16:NO)、磁極判定部17は、処理を次のステップS18に移行する。
ここで、第1パルス信号S1又は第2パルス信号S2が出力されている場合、推定d軸電流の電流値IdEは時間の経過とともに大きくなる。このため、推定d軸電流の電流値IdEが増加する場合は、電流値IdEが上限値ITHU1未満の状態から電流値IdEが上限値ITHU1以上の状態に移行する。つまり、ステップS16が否定判定される場合には、前回取得した電流値IdEが上限値ITHU1未満となり、且つ、今回取得した電流値IdEが上限値ITHU1以上となるため、今回取得した推定d軸電流の電流値IdEが、「第2上限候補電流値」となる。第2上限候補電流値とは、ステップS11の処理の実行によって取得される電流値IdEの中で上限値ITHU1以上の電流値のうち、最も小さい電流値のことである。
また、ステップS16が否定判定される場合には、今回取得した推定d軸電流の電流値IdEが第2上限候補電流値となるため、前回取得した推定d軸電流の電流値IdEが「第1上限候補電流値」となる。第1上限候補電流値とは、ステップS11の処理の実行によって取得される電流値IdEの中で上限値ITHU1よりも小さい電流値のうち、最も大きい電流値であって、第2上限候補電流値の前回のサンプリング周期TSで取得される電流値である。
ステップS18において、磁極判定部17は、第1上限候補電流値及び第2上限候補電流値を基に最大電流値を決める最大決定処理を実行する。
磁極判定部17は、最大決定処理では、今回取得した推定d軸電流の電流値IdE(第2上限候補電流値)が上限側規定値ITHU2以下か否かによって最小電流値を決める。すなわち、磁極判定部17は、今回取得した電流値IdE(第2上限候補電流値)が上限側規定値ITHU2よりも大きいときには、前回取得した電流値IdE(第1上限候補電流値)を最大電流値として選択する。この場合、今回取得した電流値IdEは、電流変化速度Id’の算出に採用されないため、メモリに記憶されない。
一方、磁極判定部17は、今回取得した電流値IdE(第2上限候補電流値)が上限側規定値ITHU2以下であるときには、今回取得した電流値IdE(第2上限候補電流値)を最大電流値として選択する。この場合、今回取得した電流値IdEは、電流変化速度Id’の算出に採用されるため、メモリに記憶される。
そして、最大決定処理の実行によって最大電流値が決定されると、磁極判定部17は、処理を次のステップS19に移行する。
ステップS19において、磁極判定部17は、メモリに記憶した複数の推定d軸電流の電流値IdEを基に、電流変化速度Id’を算出する。その後、磁極判定部17は、図5の一連の処理を終了する。
なお、電流変化速度Id’が算出されて一連の処理が終了されると、フラグFLGがオフにされるとともに、電流変化速度Id’の算出に採用された複数の電流値IdEがメモリから消去される。
本実施形態の作用及び効果を説明する。
図6(a),(b)は、推定d軸の方向に第1パルス信号S1又は第2パルス信号S2に応じた電圧を印加したときの推定d軸電流の時間変化と、推定d軸電流の電流値IdEの取得タイミングを示している。図6(a),(b)は、電流取得部172の推定d軸電流の電流値IdEの取得タイミングが等しいものの、電流取得部172の推定d軸電流の電流値IdEの取得タイミングにずれが生じている。
図6(a)に示す場合、第1パルス信号S1又は第2パルス信号S2が推定d軸の方向に入力され、推定d軸電流の電流値IdEが増加している場合、複数の電流値IdE1〜IdE6がサンプリング周期TS毎に取得される。図6(a)に示す場合には、第1電流値IdE1は、電流範囲の下限値ITHL1よりも小さい電流値のうち、最も大きな電流値である。そのため、第1電流値IdE1が第1下限候補電流値となる。また、第1電流値IdE1(第1下限候補電流値)の次に取得される第2電流値IdE2は、電流範囲の下限値ITHL1以上となる複数の電流値のうち、最も小さい電流値となる。そのため、第2電流値IdE2が第2下限候補電流値となる。また、第5電流値IdE5は、電流範囲の上限値ITHU1よりも小さい電流値のうち、最も大きい電流値である。そのため、第5電流値IdE5が第1上限候補電流値となる。さらに、第5電流値IdE5(第1上限候補電流値)の次に取得される第6電流値IdE6は、電流範囲の上限値ITHU1以上となる電流値のうち、最も小さい電流となる。そのため、第6電流値IdE6が第2上限候補電流値となる。なお、第3電流値IdE3及び第4電流値IdE4は、第2電流値IdE2及び第5電流値IdE5と同じく、電流範囲RI内の値となる。
図6(a)に示す場合では、第2下限候補電流値としての第2電流値IdE2が下限側規定値ITHL2以下となるため、第2電流値IdE2が最小電流値として選択される。また、第2上限候補電流値としての第6電流値IdE6が上限側規定値ITHU2よりも大きくなるため、第1上限候補電流値としての第5電流値IdE5が最大電流値として選択される。
このため、図6(a)に示す場合では、最小電流値としての第2電流値IdE2と最大電流値としての第5電流値IdE5とに基づき、電流変化速度Id’が算出される。電流変化速度Id’の算出に際し、第2電流値IdE2(最小電流値)よりも大きく第5電流値IdE5(最大電流値)よりも小さい第3電流値IdE3及び第4電流値IdE4も用い、電流変化速度Id’を算出してもよい。
一方、図6(b)に示す場合、第1パルス信号S1又は第2パルス信号S2が推定d軸の方向に入力され、推定d軸電流の電流値IdEが増加している場合、複数の電流値IdE11〜IdE16がサンプリング周期TS毎に取得される。図6(b)に示す場合には、第1電流値IdE11は、電流範囲の下限値ITHL1よりも小さい電流値のうち、最も大きな電流値である。そのため、第1電流値IdE11が第1下限候補電流値となる。また、第1電流値IdE11(第1下限候補電流値)の次に取得される第2電流値IdE12は、電流範囲の下限値ITHL1以上となる複数の電流値のうち、最も小さい電流値となる。そのため、第2電流値IdE12が第2下限候補電流値となる。また、第4電流値IdE14は、電流範囲の上限値ITHU1よりも小さい電流値のうち、最も大きい電流値である。そのため、第4電流値IdE14が第1上限候補電流値となる。さらに、第4電流値IdE14(第1上限候補電流値)の次に取得される第5電流値IdE15は、電流範囲の上限値ITHU1以上となる電流値のうち、最も小さい電流となる。そのため、第5電流値IdE15が第2上限候補電流値となる。なお、第3電流値IdE13は、第2電流値IdE12及び第4電流値IdE14と同じく、電流範囲RI内の値となる。
図6(b)に示す場合では、第2下限候補電流値としての第2電流値IdE12が下限側規定値ITHL2よりも大きくなるため、第1電流値IdE11が最小電流値として選択される。また、第2上限候補電流値としての第5電流値IdE15が上限側規定値ITHU2以下となるため、第2上限候補電流値としての第5電流値IdE15が最大電流値として選択される。
このため、図6(b)に示す場合では、最小電流値としての第1電流値IdE11と最大電流値としての第5電流値IdE15とに基づき、電流変化速度Id’が算出される。電流変化速度Id’の算出に際し、第1電流値IdE11(最小電流値)よりも大きく第5電流値IdE15(最大電流値)よりも小さい第3電流値IdE13及び第4電流値IdE14も用い、電流変化速度Id’を算出してもよい。
ところで、電流範囲RI外での電流変化速度Id’は、電流範囲RI内での電流変化速度Id’と大きく異なる可能性がある。すなわち、電流範囲RIよりも低電流側の領域では、電流範囲の下限値ITHL1から離れているほど、電流範囲RI外での電流変化速度Id’と、電流範囲RI内での電流変化速度Id’との速度差が大きくなりやすい。言い換えると、電流範囲RIよりも低電流側の領域であっても、電流範囲の下限値ITHL1からあまり離れていない領域での電流変化速度Id’と、電流範囲RI内での電流変化速度Id’との速度差は小さい。また、電流範囲RIよりも高電流側の領域では、電流範囲の上限値ITHU1から離れているほど、電流範囲RI外での電流変化速度Id’と、電流範囲RI内での電流変化速度Id’との速度差が大きくなりやすい。言い換えると、電流範囲RIよりも高電流側の領域であっても、電流範囲の上限値ITHU1からあまり離れていない領域での電流変化速度Id’と、電流範囲RI内での電流変化速度Id’との速度差は小さい。
本実施形態では、第1下限候補電流と電流範囲の下限値ITHL1との差分が第2下限候補電流と下限値ITHL1との差分よりも小さいときには、第1下限候補電流と下限値ITHL1との乖離が小さいと判断できるため、電流変化速度Id’の算出に第1下限候補電流が採用される。一方、第1下限候補電流と下限値ITHL1との差分が第2下限候補電流と下限値ITHL1との差分以上であるときには、第1下限候補電流と下限値ITHL1との乖離が大きいと判断できるため、電流変化速度Id’の算出に第1下限候補電流が採用されない。このように第1下限候補電流と下限値ITHL1との乖離が大きいときには、第1下限候補電流を用いずに電流変化速度Id’を算出することにより、電流変化速度Id’の算出精度の低下を抑制することができる。
また、第2上限候補電流と電流範囲の上限値ITHU1との差分が第1上限候補電流と上限値ITHU1との差分よりも小さいときには、第2上限候補電流と上限値ITHU1との乖離が小さいと判断できるため、電流変化速度Id’の算出に第2上限候補電流が採用される。一方、第2上限候補電流と上限値ITHU1との差分が第1上限候補電流と上限値ITHU1との差分以上であるときには、第2上限候補電流と上限値ITHU1との乖離が大きいと判断できるため、電流変化速度Id’の算出に第2上限候補電流が採用されない。このように第2上限候補電流と上限値ITHU1との乖離が大きいときには、第2上限候補電流を用いずに電流変化速度Id’を算出することにより、電流変化速度Id’の算出精度の低下を抑制することができる。
図2及び図3に示すように、推定d軸の方向に正の第1電圧Vd1を印加する場合には、推定d軸の方向に負の第2電圧Vd2を印加する場合よりも、電流範囲RIにおける電流変化速度Id’が高い。このため、推定d軸の方向に正の第1電圧Vd1を印加する場合には、推定d軸の方向に負の第2電圧Vd2を印加する場合よりも、電流変化速度Id’の算出に採用される電流値IdEの数が少なくなりやすい。この点、本実施形態では、電流範囲の下限値ITHL1及び上限値ITHU1から乖離しない電流値IdEであることを条件に、電流範囲の下限値ITHL1よりも小さい電流値IdE及び電流範囲の上限値ITHU1よりも大きい電流値IdEを電流変化速度Id’の算出に採用する。このため、推定d軸の方向に正の第1電圧Vd1を印加する場合の第1電流変化速度Id1’の算出に採用される電流値IdEの数が少なくなることを抑制できる。
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・規定値設定部174は、電流範囲の下限値ITHL1よりも小さい値を下限側規定値ITHL2として設定してもよい。このとき、モータ制御装置10は、第1下限候補電流値が下限側規定値ITHL2より小さい場合には第2下限候補電流値を最小電流値として選択し、第1下限候補電流値が下限側規定値ITHL2以上の場合には第1下限候補電流値を最小電流値として選択すればよい。
・規定値設定部174は、電流範囲の上限値ITHU1よりも小さく且つ電流範囲の下限値ITHL1よりも大きい値を上限側規定値ITHU2として設定してもよい。このとき、モータ制御装置10は、第1上限候補電流値が上限側規定値ITHU2よりも小さい場合には第2上限電流候補値を最大電流値として選択し、第1上限候補電流値が上限側規定値ITHU2以上の場合には第1上限候補電流値を最小電流値として選択すればよい。
・規定値設定部174は、下限側規定値ITHL2及び上限側規定値ITHU2を可変値としてもよい。
例えば、サンプリング周期TSが長い場合には、サンプリング周期TSが短い場合よりも、電流取得部172が取得する複数の推定d軸電流の電流値IdEのうち、電流範囲RI内に収まる電流値IdEのサンプリング数が少なくなりやすい。そこで、規定値設定部174は、サンプリング周期TSが長いほど、電流範囲の下限値ITHL1と下限側規定値ITHL2との差分が小さくなるように下限側規定値ITHL2を設定したり、電流範囲の上限値ITHU1と上限側規定値ITHU2との差分が大きくなるように上限側規定値ITHU2を設定したりしてもよい。
このようにサンプリング周期TSの長さに応じて下限側規定値ITHL2や上限側規定値ITHU2を決める制御構成を採用する場合、モータ制御装置10のそのときの演算負荷の度合いなどによってサンプリング周期TSの長さを変更できるようにしてもよい。
・変化速度算出部173は、第1下限候補電流値及び電流範囲の下限値ITHL1の差分としての第1差分と、第2下限候補電流値及び電流範囲の下限値ITHL1の差分としての第2差分とを算出し、第1差分と第2差分とを比較することによって最小電流値となる電流値を選択してもよい。詳しくは、モータ制御装置10は、第1差分が第2差分よりも小さい場合には最小電流値として第1下限候補電流値を選択し、第1差分が第2差分よりも大きい場合には最小電流値として第2下限候補電流値を選択すればよい。
・同様に、変化速度算出部173は、第1上限候補電流値及び電流範囲の上限値ITHU1の差分としての第1差分と、第2上限候補電流値及び電流範囲の上限値ITHU1の差分としての第2差分とを算出し、第1差分と第2差分とを比較することによって最大電流値となる電流値を選択してもよい。詳しくは、磁極判定部17は、第1差分が第2差分よりも小さい場合には最大電流値として第1上限候補電流値を採用し、第1差分が第2差分よりも大きい場合には最大電流値として第2上限候補電流値を採用すればよい。
・変化速度算出部173は、常に最大電流値に第1上限候補電流値を選択してもよいし、常に最大電流値に第2上限候補電流値を選択してもよい。
・磁極判定部17は、上記実施形態のように、複数の推定d軸電流の電流値IdEを取得しつつ当該電流値IdEを電流変化速度Id’の算出に採用するか否かを判定しなくてもよい。つまり、磁極判定部17は、複数の推定d軸電流の電流値IdEを取得し終わった後に、当該電流値IdEを電流変化速度Id’の算出に採用するか否かを判定してもよい。
・磁極判定部17は、第1電流Id1の電流値及び第2電流Id2の電流値を取得する際に、電流範囲RIに収まる電流値を複数取得できるように、サンプリング周期TSを設定することが好ましい。
・ブラシレスモータ100に適用されるロータ105は、2極ロータ以外のロータであってもよい。
・モータ制御装置10が適用されるブラシレスモータ100は、車載のブレーキ装置とは別のアクチュエータの動力源であってもよい。
・モータ制御装置10は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する専用のハードウェア(特定用途向け集積回路:ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路又はこれらの組み合わせを含む回路として構成し得る。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリ、すなわち記憶媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
10…モータ制御装置、11…指令電流算出部、12…指令電圧算出部、13…2相/3相変換部、14…インバータ、15…3相/2相変換部、16…ロータ位置推定部、161…交流電圧発生部、162…更新部、17…磁極判定部、171…判定電圧発生部、172…電流取得部、173…変化速度算出部、174…規定値設定部、175…判定部、100…ブラシレスモータ、101…コイル、102…コイル、103…コイル、105…ロータ、181…第1の加算器、182…第2の加算器、Id…d軸電流、Id*…d軸指令電流、Id’…電流変化速度、Id1…第1電流、Id1’…第1電流変化速度、Id2…第2電流、Id2’…第2電流変化速度、IdE…推定d軸電流の電流値、ΔId1…電流変化量の推定値、ITHL1…下限値、ITHL2…下限側規定値、ITHU1…上限値、ITHU2…上限側規定値、IU…U相電流、IV…V相電流、IW…W相電流、Iq…q軸電流、Iq*…q軸指令電流、RI…電流範囲、S1…第1パルス信号、S2…第2パルス信号、TR*…要求トルク、TS…サンプリング周期、Vd*…d軸指令電圧、Vdd*…d軸指令電圧、Vdh*…外乱電圧信号、Vdp*…d軸電圧信号、Vd1…第1電圧、Vd2…第2電圧、VTH…電圧規定値、Vq*…q軸指令電圧、VU*…U相指令電圧、VV*…V相指令電圧、VW*…W相指令電圧、θ…ロータ回転角。

Claims (4)

  1. ブラシレスモータに電圧を印加したときに、所定のサンプリング周期毎に、前記ブラシレスモータに流れる電流値を取得する電流取得部と、
    前記電流取得部によって取得された複数の電流値を基に、所定の電流範囲内で前記ブラシレスモータに流れる電流値が時間の経過とともに変化するときの変化速度である電流変化速度を算出する変化速度算出部と、を備え、
    前記変化速度算出部は、
    前記電流取得部によって取得された複数の電流値の中から、前記電流範囲の下限値との差分が最も小さい電流値であると推定される最小電流値を選択し、
    前記電流取得部によって取得された複数の電流値のうち、前記最小電流値と、同最小電流値よりも大きい電流値と、を基に、前記電流変化速度を算出する
    モータ制御装置。
  2. 前記電流範囲の上限値よりも小さく且つ前記電流範囲の下限値よりも大きい値を下限側規定値として設定する規定値設定部を備え、
    前記下限側規定値は、1サンプリング周期における電流値の変化量の推定値に基づいた値であり、
    前記電流範囲の下限値よりも小さい電流値の中で、最も大きな電流値を第1下限候補電流値とし、前記第1下限候補電流値の次にサンプリングされる電流値であって且つ前記電流範囲の下限値以上の電流値を第2下限候補電流値とした場合、
    前記変化速度算出部は、
    前記第2下限候補電流値が前記下限側規定値より大きい場合には、前記第1下限候補電流値を前記最小電流値として選択し、
    前記第2下限候補電流値が前記下限側規定値以下の場合には、前記第2下限候補電流値を前記最小電流値として選択する
    請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記変化速度算出部は、
    前記電流取得部によって取得された複数の電流値の中から、前記電流範囲の上限値との差分が最も小さい電流値であると推定される最大電流値を選択し、
    前記最大電流値を基に、前記電流変化速度を算出する
    請求項1又は請求項2に記載のモータ制御装置。
  4. 前記電流範囲の上限値よりも大きい値を上限側規定値として設定する規定値設定部を備え、
    前記上限側規定値は、1サンプリング周期における電流値の変化量の推定値に基づいた値であり、
    前記電流範囲の上限値よりも小さい電流値の中で、最も大きな電流値を第1上限候補電流値とし、前記第1上限候補電流値の次にサンプリングされる電流値であって且つ前記電流範囲の上限値以上の電流値を第2上限候補電流値とした場合、
    前記変化速度算出部は、
    前記第2上限候補電流値が前記上限側規定値より大きい場合には、前記第1上限候補電流値を前記最大電流値として選択し、
    前記第2上限候補電流値が前記上限側規定値以下の場合には、前記第2上限候補電流値を前記最大電流値として選択する
    請求項3に記載のモータ制御装置。
JP2018171390A 2018-09-13 2018-09-13 モータ制御装置 Active JP7225617B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018171390A JP7225617B2 (ja) 2018-09-13 2018-09-13 モータ制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018171390A JP7225617B2 (ja) 2018-09-13 2018-09-13 モータ制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020043723A true JP2020043723A (ja) 2020-03-19
JP7225617B2 JP7225617B2 (ja) 2023-02-21

Family

ID=69798999

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018171390A Active JP7225617B2 (ja) 2018-09-13 2018-09-13 モータ制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7225617B2 (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002078391A (ja) * 2000-08-30 2002-03-15 Hitachi Ltd 交流電動機の駆動システム
JP2003180094A (ja) * 2001-12-10 2003-06-27 Meidensha Corp Pmモータの磁極位置推定方式
JP2005020918A (ja) * 2003-06-27 2005-01-20 Hitachi Industrial Equipment Systems Co Ltd 交流電動機の制御装置及び交流電動機システム
JP2006230169A (ja) * 2005-02-21 2006-08-31 Toshiba Corp 同期機の制御装置
JP2008017608A (ja) * 2006-07-05 2008-01-24 Toshiba Corp 同期機のセンサレス制御装置
JP2015037376A (ja) * 2013-08-09 2015-02-23 有限会社シー・アンド・エス国際研究所 交流電動機のデジタル式回転子位相速度推定装置

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002078391A (ja) * 2000-08-30 2002-03-15 Hitachi Ltd 交流電動機の駆動システム
JP2003180094A (ja) * 2001-12-10 2003-06-27 Meidensha Corp Pmモータの磁極位置推定方式
JP2005020918A (ja) * 2003-06-27 2005-01-20 Hitachi Industrial Equipment Systems Co Ltd 交流電動機の制御装置及び交流電動機システム
JP2006230169A (ja) * 2005-02-21 2006-08-31 Toshiba Corp 同期機の制御装置
JP2008017608A (ja) * 2006-07-05 2008-01-24 Toshiba Corp 同期機のセンサレス制御装置
JP2015037376A (ja) * 2013-08-09 2015-02-23 有限会社シー・アンド・エス国際研究所 交流電動機のデジタル式回転子位相速度推定装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP7225617B2 (ja) 2023-02-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4674525B2 (ja) 磁極位置推定方法及びモータ制御装置
JP4989075B2 (ja) 電動機駆動制御装置及び電動機駆動システム
JP2007151344A (ja) 磁極位置推定方法、モータ速度推定方法及びモータ制御装置
JP2019208352A (ja) 電動機駆動制御装置および該方法ならびに電動機駆動制御システム
US10224842B2 (en) Control device and brushless motor
JP5929492B2 (ja) 誘導機の制御装置
WO2020045568A1 (ja) モータ制御装置
JP2012138982A (ja) モータ制御装置及び電気機器
JP2018085851A (ja) 可変磁束モータの電流制御方法、及び電流制御装置
JP4775145B2 (ja) 同期モータ制御装置
JP7225617B2 (ja) モータ制御装置
US11356037B2 (en) Inverter control device, inverter control method, inverter control program
JP7077879B2 (ja) モータ制御装置
JP2009100544A (ja) モータ制御装置
JP6800394B2 (ja) モータ制御装置、アクチュエータ装置及びモータ制御方法
CN113517838A (zh) 一种基于永磁同步电机的转子位置角确定方法及装置
JP2007082380A (ja) 同期モータ制御装置
JP7077878B2 (ja) モータ制御装置
JP6601343B2 (ja) 制御装置
JP7363161B2 (ja) モータ制御装置
JP5800933B2 (ja) 同期モータを制御するモータ制御装置
JP2020054035A (ja) モータ制御装置
JP7318188B2 (ja) モータ制御装置
US11533009B2 (en) Motor control device
WO2020050250A1 (ja) モータ制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210818

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220621

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220726

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220926

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230110

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230123

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7225617

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150