JP2020041121A - 耐火樹脂組成物、耐火シート、耐火積層体、及びバッテリー - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた消火性能を有すると共に、高い機械的強度を備えた耐火シートを製造できる耐火樹脂組成物を提供することを目的とする。【解決手段】吸熱剤、及び樹脂を含む耐火樹脂組成物であって、前記吸熱剤の熱分解開始温度が500℃以下、吸熱量が500J/g以上であり、吸熱剤100質量部に対する樹脂の含有量が1〜20質量部である耐火樹脂組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、耐火樹脂組成物、これを用いた耐火シート及び耐火積層体、並びにバッテリーに関する。
リチウム電池に代表される各種バッテリーは、内部短絡等が原因によりバッテリーが熱暴走し、発火や発煙等の不具合を生じることがある。このような不具合による被害を最小限に抑えるために、異常高温になったバッテリーの熱を周囲のバッテリー及びバッテリーを収容した筐体に伝え難くする方法が検討されており、例えば、バッテリーセルの周辺に耐火材や断熱層等の保護材を用いる方法が挙げられる。
例えば、特許文献1には、外側の少なくとも一部が耐火性コーティングで覆われている電池セルが開示されており、耐火性コーティングがアブレーティブコーティング、膨張性コーティング又は吸熱性コーティングであること、ポリウレタン系コーティングが使用可能であることが開示されている。
ところで、近年、携帯電話のバッテリーなどでは、電池容量が高く、急激な温度上昇により発火しやすくなっており、高い耐火性及び消火性能が求められている。また、バッテリーに用いられる耐火材などは、取扱い性、性能保持などの観点から一定の機械的強度が必要である。
しかし、特許文献1の耐火性コーティングは、十分な消火性能と、良好な機械的強度の両立ができない。
しかし、特許文献1の耐火性コーティングは、十分な消火性能と、良好な機械的強度の両立ができない。
そこで、本発明は、例えばバッテリーの温度上昇等に伴う発火に対して、優れた耐火性及び消火性能を有すると共に、高い機械的強度を備えた耐火シート及び耐火積層体を製造できる耐火樹脂組成物、これを用いた耐火シート及び耐火積層体、並びにこれらを備えるバッテリーを提供することを課題とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、熱分解開始温度と吸熱量が特定範囲である吸熱剤と、特定量の樹脂を含有する耐火性樹脂組成物により、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[16]を要旨とする。
[1]吸熱剤、及び樹脂を含む耐火樹脂組成物であって、前記吸熱剤の熱分解開始温度が500℃以下、吸熱量が500J/g以上であり、吸熱剤100質量部に対する樹脂の含有量が1〜20質量部である耐火樹脂組成物。
[2]前記吸熱剤が水和金属化合物である、上記[1]に記載の耐火樹脂組成物。
[3]前記樹脂の溶解度パラメーターが9以上である、上記[1]又は[2]に記載の耐火樹脂組成物。
[4]前記樹脂が熱可塑性樹脂である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の耐火樹脂組成物。
[5]前記樹脂がポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の耐火樹脂組成物。
[6]前記吸熱剤が、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム2水和物、及び硫酸マグネシウム7水和物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の耐火樹脂組成物。
[7]さらに難燃剤を含有する、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の耐火樹脂組成物。
[8]前記難燃剤がリン原子含有化合物である、上記[7]に記載の耐火樹脂組成物。
[9]上記[1]〜[8]のいずれかに記載の耐火樹脂組成物からなる耐火シート。
[10]バッテリーに使用される上記[9]に記載の耐火シート。
[11]上記[9]又は[10]の耐火シートと、バッテリーセルとを備え、前記耐火シートが、バッテリーセルの表面上に設けられるバッテリー。
[12]基材と、前記基材の少なくとも一方の面に設けられる上記[9]又は[10]に記載の耐火シートとを備える耐火積層体。
[13]前記基材が金属基材である上記[12]に記載の耐火積層体。
[14]バッテリーに使用される上記[12]又は[13]に記載の耐火積層体。
[15]上記[13]又は[14]に記載の耐火積層体と、バッテリーセルとを備え、前記耐火積層体が、バッテリーセルの表面上に設けられるバッテリー。
[16]前記バッテリーセル側から、前記耐火シート及び前記基材の順に配置されるように、前記耐火積層体が、前記バッテリーセルの表面上に設けられる上記[15]に記載のバッテリー。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[16]を要旨とする。
[1]吸熱剤、及び樹脂を含む耐火樹脂組成物であって、前記吸熱剤の熱分解開始温度が500℃以下、吸熱量が500J/g以上であり、吸熱剤100質量部に対する樹脂の含有量が1〜20質量部である耐火樹脂組成物。
[2]前記吸熱剤が水和金属化合物である、上記[1]に記載の耐火樹脂組成物。
[3]前記樹脂の溶解度パラメーターが9以上である、上記[1]又は[2]に記載の耐火樹脂組成物。
[4]前記樹脂が熱可塑性樹脂である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の耐火樹脂組成物。
[5]前記樹脂がポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の耐火樹脂組成物。
[6]前記吸熱剤が、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム2水和物、及び硫酸マグネシウム7水和物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の耐火樹脂組成物。
[7]さらに難燃剤を含有する、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の耐火樹脂組成物。
[8]前記難燃剤がリン原子含有化合物である、上記[7]に記載の耐火樹脂組成物。
[9]上記[1]〜[8]のいずれかに記載の耐火樹脂組成物からなる耐火シート。
[10]バッテリーに使用される上記[9]に記載の耐火シート。
[11]上記[9]又は[10]の耐火シートと、バッテリーセルとを備え、前記耐火シートが、バッテリーセルの表面上に設けられるバッテリー。
[12]基材と、前記基材の少なくとも一方の面に設けられる上記[9]又は[10]に記載の耐火シートとを備える耐火積層体。
[13]前記基材が金属基材である上記[12]に記載の耐火積層体。
[14]バッテリーに使用される上記[12]又は[13]に記載の耐火積層体。
[15]上記[13]又は[14]に記載の耐火積層体と、バッテリーセルとを備え、前記耐火積層体が、バッテリーセルの表面上に設けられるバッテリー。
[16]前記バッテリーセル側から、前記耐火シート及び前記基材の順に配置されるように、前記耐火積層体が、前記バッテリーセルの表面上に設けられる上記[15]に記載のバッテリー。
本発明によれば、優れた消火性能を有すると共に、高い機械的強度を備えた耐火シート及び耐火積層体を製造できる耐火樹脂組成物、これを用いた耐火シート及び耐火積層体、並びにこれらを備えるバッテリーを提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[耐火樹脂組成物]
本発明の耐火樹脂組成物は、吸熱剤、及び樹脂を含む耐火樹脂組成物であって、前記吸熱剤の熱分解開始温度が500℃以下、吸熱量が500J/g以上であり、吸熱剤100質量部に対する樹脂の含有量が1〜20質量部である耐火樹脂組成物である。
本発明に用いる吸熱剤は、上記した特定の熱分解開始温度を有するため、発火時に速やか分解し、迅速に消火できる。また該吸熱剤は、上記した特定の吸熱量を有するため、熱の吸収性がよく、耐火性、消火性能が良好になる。さらに、このような特定の吸熱剤に対する樹脂の含有量を一定範囲とすることにより、機械強度と、耐火性及び消火性能のバランスに優れる耐火シートを提供できる耐火樹脂組成物を得ることができる。
[耐火樹脂組成物]
本発明の耐火樹脂組成物は、吸熱剤、及び樹脂を含む耐火樹脂組成物であって、前記吸熱剤の熱分解開始温度が500℃以下、吸熱量が500J/g以上であり、吸熱剤100質量部に対する樹脂の含有量が1〜20質量部である耐火樹脂組成物である。
本発明に用いる吸熱剤は、上記した特定の熱分解開始温度を有するため、発火時に速やか分解し、迅速に消火できる。また該吸熱剤は、上記した特定の吸熱量を有するため、熱の吸収性がよく、耐火性、消火性能が良好になる。さらに、このような特定の吸熱剤に対する樹脂の含有量を一定範囲とすることにより、機械強度と、耐火性及び消火性能のバランスに優れる耐火シートを提供できる耐火樹脂組成物を得ることができる。
(樹脂)
耐火樹脂組成物に含有される樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及びエラストマー樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ(1−)ブテン樹脂、及びポリペンテン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ノボラック樹脂、ポリウレタン樹脂、及びポリイソブチレン等の合成樹脂が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド等の合成樹脂が挙げられる。
耐火樹脂組成物に含有される樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及びエラストマー樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ(1−)ブテン樹脂、及びポリペンテン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ノボラック樹脂、ポリウレタン樹脂、及びポリイソブチレン等の合成樹脂が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド等の合成樹脂が挙げられる。
エラストマー樹脂としては、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−プロピレンゴム、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、水素添加スチレン−イソプレンブロック共重合体、水素添加スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体等が挙げられる。
本発明においては、これら樹脂のうち1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明においては、これら樹脂のうち1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
耐火樹脂組成物に含有される樹脂は、吸熱剤の樹脂中の分散性、耐火シートの機械的強度を向上させる観点から、上記した中でも、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂の中でも、耐火シートの機械的強度をより向上させる観点から、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂、エチレン―酢酸ビニル共重合体樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、中でも、ポリビニルアセタール樹脂がより好ましい。
また、耐火樹脂組成物に含有される樹脂は、上記した中でも、溶解度パラメーター(SP値)が9以上の樹脂を用いることが好ましい。SP値が9以上の樹脂を用いた場合は、耐火樹脂組成物により形成される耐火シートの機械的強度が向上しやすくなる。さらに、SP値が9以上の樹脂を用い、かつ吸熱剤として水和金属化合物を用いた場合に耐火シートの機械的強度はより高まる。これは、水和金属化合物は比較的極性が高いため、SP値が9以上の樹脂との相溶性がよく、樹脂と水和金属化合物との分散性が高まり、その結果、耐火樹脂組成物により形成される耐火シートの機械的強度が向上するものと考えられる。
また、SP値が9以上の樹脂を用いると、水和金属化合物の分散性が高まり、これにより、耐火樹脂組成物中の吸熱剤の含有量を比較的多くすることができる。
本発明の耐火樹脂組成物に含有される樹脂のSP値はより好ましくは10以上であり、そして、好ましくは15以下であり、より好ましくは13以下である。
SP値が9以上の樹脂として好適に用いられる樹脂は、熱可塑性樹脂であり、例えば、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂、エチレン―酢酸ビニル共重合体樹脂などを挙げることができる。
本発明においてSP値は、Fedors法により測定された値である。
また、SP値が9以上の樹脂を用いると、水和金属化合物の分散性が高まり、これにより、耐火樹脂組成物中の吸熱剤の含有量を比較的多くすることができる。
本発明の耐火樹脂組成物に含有される樹脂のSP値はより好ましくは10以上であり、そして、好ましくは15以下であり、より好ましくは13以下である。
SP値が9以上の樹脂として好適に用いられる樹脂は、熱可塑性樹脂であり、例えば、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂、エチレン―酢酸ビニル共重合体樹脂などを挙げることができる。
本発明においてSP値は、Fedors法により測定された値である。
(ポリビニルアセタール樹脂)
ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールをアルデヒドでアセタール化して得られるポリビニルアセタール樹脂であれば特に限定されないが、ポリビニルブチラール樹脂が好適である。ポリビニルブチラールを用いることで、吸熱剤に対する樹脂の量が比較的少ない場合でも、機械的強度を高くすることが可能となる。そのため、耐火シートの厚みを薄くしても、一定の機械的強度を確保することができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量は、好ましくは20〜40モル%である。水酸基量を20モル%以上とすることで、ポリビニルアセタール樹脂の極性が高くなり、吸熱剤との結着力が強くなり、耐火樹脂組成物により形成される耐火シートの機械的強度が向上しやすくなる。また、水酸基量を40モル%以下とすることで、耐火シートが硬くなり過ぎたりすることを防止する。上記水酸基量は、より好ましくは23モル%以上、さらに好ましくは26モル%以上である。また、上記水酸基量は、より好ましくは37モル%以下、さらに好ましくは35モル%以下である。
ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールをアルデヒドでアセタール化して得られるポリビニルアセタール樹脂であれば特に限定されないが、ポリビニルブチラール樹脂が好適である。ポリビニルブチラールを用いることで、吸熱剤に対する樹脂の量が比較的少ない場合でも、機械的強度を高くすることが可能となる。そのため、耐火シートの厚みを薄くしても、一定の機械的強度を確保することができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量は、好ましくは20〜40モル%である。水酸基量を20モル%以上とすることで、ポリビニルアセタール樹脂の極性が高くなり、吸熱剤との結着力が強くなり、耐火樹脂組成物により形成される耐火シートの機械的強度が向上しやすくなる。また、水酸基量を40モル%以下とすることで、耐火シートが硬くなり過ぎたりすることを防止する。上記水酸基量は、より好ましくは23モル%以上、さらに好ましくは26モル%以上である。また、上記水酸基量は、より好ましくは37モル%以下、さらに好ましくは35モル%以下である。
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は、好ましくは40〜80モル%である。アセタール化度を上記範囲内とすることで、上記する水酸基量を所望の範囲内として、耐火シートの機械的強度が向上しやすくなる。アセタール化度は、より好ましくは55モル%以上であり、さらに好ましくは65モル%以上であり、また、より好ましくは76モル%以下である。
また、上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル基量は、好ましくは0.1〜30モル%である。アセチル基量がこの範囲内であると、耐湿性に優れ、可塑剤との相溶性に優れ、高い柔軟性を発揮して取扱い性が向上する。また、アセチル基量をこれら範囲内とすることで、上記する水酸基量を所望の範囲内として、耐火シートの機械的強度が向上しやすくなる。これら観点から、アセチル基量は、0.2モル%以上がより好ましく、0.5モル%以上がさらに好ましく、また、15モル%以下がより好ましく、7モル%以下がさらに好ましい。
なお、アセタール化度、水酸基量、及びアセチル基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定し、また算出することができる。
また、上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル基量は、好ましくは0.1〜30モル%である。アセチル基量がこの範囲内であると、耐湿性に優れ、可塑剤との相溶性に優れ、高い柔軟性を発揮して取扱い性が向上する。また、アセチル基量をこれら範囲内とすることで、上記する水酸基量を所望の範囲内として、耐火シートの機械的強度が向上しやすくなる。これら観点から、アセチル基量は、0.2モル%以上がより好ましく、0.5モル%以上がさらに好ましく、また、15モル%以下がより好ましく、7モル%以下がさらに好ましい。
なお、アセタール化度、水酸基量、及びアセチル基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定し、また算出することができる。
ポリビニルアセタール樹脂の重合度は、好ましくは200〜3000である。重合度をこれら範囲内にすることで、吸熱剤を適切に耐火シート中に分散させることがきる。重合度は、より好ましくは250以上、さらに好ましくは300以上である。
ポリビニルアセタール樹脂の重合度を低くすると粘度も下がり、耐火シート中に吸熱剤を分散しやすくなり、耐火シートの機械的強度が向上する。そのような観点から、ポリビニルアセタール樹脂の重合度は、好ましくは2000以下、より好ましくは1500以下、さらに好ましくは1000以下である。
なお、ポリビニルアセタール樹脂の重合度は、JIS K6728に記載の方法に基づいて測定した粘度平均重合度をいう。
ポリビニルアセタール樹脂の重合度を低くすると粘度も下がり、耐火シート中に吸熱剤を分散しやすくなり、耐火シートの機械的強度が向上する。そのような観点から、ポリビニルアセタール樹脂の重合度は、好ましくは2000以下、より好ましくは1500以下、さらに好ましくは1000以下である。
なお、ポリビニルアセタール樹脂の重合度は、JIS K6728に記載の方法に基づいて測定した粘度平均重合度をいう。
ポリビニルアセタール樹脂の10質量%エタノール/トルエン粘度は、好ましくは5mPa・s以上、より好ましくは10mPa・s以上であり、さらに好ましくは15mPa・s以上である。また、10質量%エタノール/トルエン粘度は、好ましくは500mPa・s以下、より好ましくは300mPa・s以下であり、更に好ましくは200mPa・s以下である。ポリビニルアセタール樹脂の10質量%エタノール/トルエン粘度を上記のとおりにすることにより、耐火シート中に吸熱剤を分散しやすくなり、耐火シートの機械的強度が向上する。
なお、10質量%エタノール/トルエン粘度は、次のように測定した値である。
エタノール/トルエン(重量比1:1)混合溶剤150mlを三角フラスコにとり、これに秤量した試料を加え、樹脂濃度を10wt%とし、20℃の恒温室にて振とう溶解する。その溶液を20℃に保持しBM型粘度計を用いて粘度を測定して、10質量%エタノール/トルエン粘度を求めることができる。
なお、10質量%エタノール/トルエン粘度は、次のように測定した値である。
エタノール/トルエン(重量比1:1)混合溶剤150mlを三角フラスコにとり、これに秤量した試料を加え、樹脂濃度を10wt%とし、20℃の恒温室にて振とう溶解する。その溶液を20℃に保持しBM型粘度計を用いて粘度を測定して、10質量%エタノール/トルエン粘度を求めることができる。
上記アルデヒドは特に限定されないが、一般には、炭素数が1〜10のアルデヒドが好適に用いられる。上記炭素数が1〜10のアルデヒドは特に限定されず、例えば、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。なかでも、n−ブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−バレルアルデヒドが好ましく、n−ブチルアルデヒドがより好ましい。これらのアルデヒドは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(ポリビニルアルコール樹脂)
ポリビニルアルコール樹脂は、従来公知の方法に従って、ビニルエステルを重合してポリマーを得た後、ポリマーをケン化、すなわち加水分解することにより得られる。
上記ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル及び安息香酸ビニル等が挙げられる。
ポリビニルアルコール樹脂のケン化度は、好ましくは80〜99.9モル%であり、より好ましくは85〜99モル%である。ケン化度をこのような範囲とすると、ポリビニルアルコール樹脂の極性が高まることで吸熱剤との分散性が良好になり、耐火樹脂組成物により形成される耐火シートの機械的強度が向上しやすくなる。
上記ケン化度は、JIS K6726に準拠して測定される。ケン化度は、ケン化によるビニルアルコール単位に変換される単位のうち、実際にビニルアルコール単位にケン化されている単位の割合を示す。
ポリビニルアルコール樹脂は、従来公知の方法に従って、ビニルエステルを重合してポリマーを得た後、ポリマーをケン化、すなわち加水分解することにより得られる。
上記ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル及び安息香酸ビニル等が挙げられる。
ポリビニルアルコール樹脂のケン化度は、好ましくは80〜99.9モル%であり、より好ましくは85〜99モル%である。ケン化度をこのような範囲とすると、ポリビニルアルコール樹脂の極性が高まることで吸熱剤との分散性が良好になり、耐火樹脂組成物により形成される耐火シートの機械的強度が向上しやすくなる。
上記ケン化度は、JIS K6726に準拠して測定される。ケン化度は、ケン化によるビニルアルコール単位に変換される単位のうち、実際にビニルアルコール単位にケン化されている単位の割合を示す。
ポリビニルアルコール樹脂の重合度は特に限定されないが、好ましくは400以上、より好ましくは500以上、さらに好ましくは700以上である。また、好ましくは2000以下、より好ましくは1500以下、更に好ましくは1000以下である。重合度をこれら範囲内にすることで、吸熱剤を適切に耐火シート中に分散させることができ、耐火シートの機械的強度が向上する。上記重合度は、JIS K6726に準拠して測定される。
ポリビニルアルコール樹脂の4質量%水溶液粘度は、好ましくは8mPa・s以上、より好ましくは10mPa・s以上であり、さらに好ましくは12mPa・s以上である。 また、4質量%水溶液粘度は、好ましくは25mPa・s以下、より好ましくは20mPa・s以下であり、更に好ましくは16mPa・s以下である。
ポリビニルアルコール樹脂の4質量%水溶液粘度を上記のとおりすることにより、耐火シート中に吸熱剤を分散しやすくなり、耐火シートの機械的強度が向上する。
なお、4質量%水溶液粘度は、20℃において、JIS K 6726に準じて測定することができる。
ポリビニルアルコール樹脂の4質量%水溶液粘度を上記のとおりすることにより、耐火シート中に吸熱剤を分散しやすくなり、耐火シートの機械的強度が向上する。
なお、4質量%水溶液粘度は、20℃において、JIS K 6726に準じて測定することができる。
(エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂)
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂としては、非架橋型のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂であってもよいし、また、高温架橋型のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂であってもよい。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体のけん化物、エチレン−酢酸ビニルの加水分解物などのようなエチレン−酢酸ビニル変性体樹脂も用いることができる。
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂は、JIS K 6730「エチレン・酢酸ビニル樹脂試験方法」に準拠して測定される酢酸ビニル含量が好ましく10〜50質量%、より好ましくは25〜45質量%である。酢酸ビニル含量をこれら下限値以上とすることで、後述する基材への接着性が高くなる。また、酢酸ビニル含量をこれら上限値以下とすることで、耐火シートの機械的強度が良好となる。
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂の重量平均分子量は5000〜200000が好ましく、10000〜150000がより好ましい。重量平均分子量をこのような範囲とすることにより、吸熱剤を適切に耐火シート中に分散させることができ、耐火シートの機械的強度が向上する。ここで、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂としては、非架橋型のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂であってもよいし、また、高温架橋型のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂であってもよい。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体のけん化物、エチレン−酢酸ビニルの加水分解物などのようなエチレン−酢酸ビニル変性体樹脂も用いることができる。
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂は、JIS K 6730「エチレン・酢酸ビニル樹脂試験方法」に準拠して測定される酢酸ビニル含量が好ましく10〜50質量%、より好ましくは25〜45質量%である。酢酸ビニル含量をこれら下限値以上とすることで、後述する基材への接着性が高くなる。また、酢酸ビニル含量をこれら上限値以下とすることで、耐火シートの機械的強度が良好となる。
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂の重量平均分子量は5000〜200000が好ましく、10000〜150000がより好ましい。重量平均分子量をこのような範囲とすることにより、吸熱剤を適切に耐火シート中に分散させることができ、耐火シートの機械的強度が向上する。ここで、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
(アクリル樹脂)
アクリル樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーを含むモノマー成分を重合したものである。なお、本明細書において「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」とは、「アクリル酸アルキルエステル、又はメタクリル酸アルキルエステル」を意味する。他の類似の用語も同様である。
本発明における(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーは、(メタ)アクリル酸と脂肪族アルコールとのエステルであって、前記脂肪族アルコールのアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜14、より好ましくは1〜10である。
具体的な(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、及びテトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーは、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アクリル樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーを含むモノマー成分を重合したものである。なお、本明細書において「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」とは、「アクリル酸アルキルエステル、又はメタクリル酸アルキルエステル」を意味する。他の類似の用語も同様である。
本発明における(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーは、(メタ)アクリル酸と脂肪族アルコールとのエステルであって、前記脂肪族アルコールのアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜14、より好ましくは1〜10である。
具体的な(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、及びテトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーは、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、アクリル樹脂を得るためのモノマー成分としては、上記した(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーの他に、極性基含有モノマーを含んでもよい。
極性基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、及びイタコン酸等のビニル基を含有するカルボン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、及びポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等の水酸基を有するビニルモノマー、(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルラウリロラクタム、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、及びジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート等の窒素含有ビニルモノマーが挙げられる。
極性基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、及びイタコン酸等のビニル基を含有するカルボン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、及びポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等の水酸基を有するビニルモノマー、(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルラウリロラクタム、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、及びジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート等の窒素含有ビニルモノマーが挙げられる。
アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーの単独重合体が好ましく、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートの単独重合体である、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレートなどが好ましく、ポリメチル(メタ)アクリレートがより好ましく、ポリメチルメタクリレートが更に好ましい。
アクリル樹脂の重量平均分子量は、吸熱剤を適切に耐火シート中に分散させることができ、耐火シートの機械的強度を向上させる観点から、1,000〜100,000が好ましく、5,000〜90,000がより好ましく、20,000〜80,000が更に好ましい。ここで、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーは、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーは、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
耐火樹脂組成物に含まれる樹脂の含有量は、吸熱剤100質量部に対して1〜20質量部である。樹脂の含有量が、吸熱剤100質量部に対して1質量部未満であると、耐火樹脂組成物の成形性や、樹脂による吸熱剤の保持性能、樹脂における吸熱剤の分散性などが悪くなり、耐火シートの機械的強度が低下しやすい。樹脂の含有量が、吸熱剤100質量部に対して20質量部を超えると、耐火性、消火性能が悪くなる。樹脂の含有量は、耐火シートの耐火性、消火性能を良好にしつつ、機械的強度を向上させる観点から、吸熱剤100質量部に対して、好ましくは3〜17質量部であり、より好ましくは5〜15質量部である。
耐火樹脂組成物における樹脂の含有量は、耐火樹脂組成物全量基準で、好ましくは0.5〜50質量%であり、より好ましくは4〜20質量%であり、より好ましくは6〜15質量%である。下限値以上であると、吸熱剤の分散性が向上し、耐火シートの機械的強度が高くなりやすく、上限値以下であると、耐火シートの耐火性、消火性能が向上しやすくなる。
(吸熱剤)
本発明の耐火樹脂組成物は、吸熱剤を含有する。吸熱剤は、耐火性を有し、発火が生じたときに、消火性能を発揮するものである。吸熱剤は、耐火シートにおいて樹脂中に分散され、かつ樹脂によって保持される。
吸熱剤の具体例としては、水和金属化合物などが挙げられる。水和金属化合物としては、火炎の接触により分解して水蒸気を発生し、吸熱する効果を有する化合物である。水和金属化合物としては、金属水酸化物、金属塩の水和物が挙げられる。具体的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、カルシウム−マグネシウム系水酸化物、ハイドロタルサイト、ベーマイト、タルク、ドーソナイト、硫酸カルシウムの水和物、硫酸マグネシウムの水和物、ホウ酸亜鉛[2ZnO・3B2O5・3.5H2O]などが挙げられる。
これらの中では、耐火性、消火性能などの観点から、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム2水和物、及び硫酸マグネシウム7水和物から選ばれる少なくとも1種が好ましく、特に水酸化アルミニウムが好ましい。
本発明の耐火樹脂組成物は、吸熱剤を含有する。吸熱剤は、耐火性を有し、発火が生じたときに、消火性能を発揮するものである。吸熱剤は、耐火シートにおいて樹脂中に分散され、かつ樹脂によって保持される。
吸熱剤の具体例としては、水和金属化合物などが挙げられる。水和金属化合物としては、火炎の接触により分解して水蒸気を発生し、吸熱する効果を有する化合物である。水和金属化合物としては、金属水酸化物、金属塩の水和物が挙げられる。具体的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、カルシウム−マグネシウム系水酸化物、ハイドロタルサイト、ベーマイト、タルク、ドーソナイト、硫酸カルシウムの水和物、硫酸マグネシウムの水和物、ホウ酸亜鉛[2ZnO・3B2O5・3.5H2O]などが挙げられる。
これらの中では、耐火性、消火性能などの観点から、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム2水和物、及び硫酸マグネシウム7水和物から選ばれる少なくとも1種が好ましく、特に水酸化アルミニウムが好ましい。
本発明で使用する吸熱剤は、熱分解開始温度が500℃以下である。吸熱剤の熱分解開始温度が500℃を超えると、発火時に吸熱剤が分解し難くなり、迅速に消火することができなくなる。
吸熱剤の熱分解開始温度は、400℃以下が好ましく、300℃以下がより好ましく、250℃以下が更に好ましい。吸熱剤の熱分解開始温度をこれら上限値以下とすることで発火時に速やかに吸熱剤が分解し、迅速に消火することが可能になる。また、吸熱剤の熱分解開始温度は、通常30℃以上、好ましくは100℃以上、さらに好ましくは150℃以上である。吸熱剤の熱分解開始温度をこれら下限値以上とすることで、非発火時の吸熱剤の分解を抑制できる。なお、熱分解開始温度は、熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)により測定することができ、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。
吸熱剤の熱分解開始温度は、400℃以下が好ましく、300℃以下がより好ましく、250℃以下が更に好ましい。吸熱剤の熱分解開始温度をこれら上限値以下とすることで発火時に速やかに吸熱剤が分解し、迅速に消火することが可能になる。また、吸熱剤の熱分解開始温度は、通常30℃以上、好ましくは100℃以上、さらに好ましくは150℃以上である。吸熱剤の熱分解開始温度をこれら下限値以上とすることで、非発火時の吸熱剤の分解を抑制できる。なお、熱分解開始温度は、熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)により測定することができ、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明で使用する吸熱剤は、吸熱量が500J/g以上である。吸熱剤の吸熱量が500J/g未満であると、熱の吸収性が低下し、耐火性、消火性能が悪くなる。吸熱剤の吸熱量は、好ましくは700J/g以上、より好ましくは1200J/g以上、更に好ましくは1700J/g以上である。吸熱剤の吸熱量が上記範囲内であると、熱の吸収性が向上するため、耐火性、消火性能がより良好となる。吸熱剤の吸熱量は、通常、4000J/g以下、好ましくは3000J/g以下である。
なお、吸熱量は熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)を用いて測定することができ、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。
なお、吸熱量は熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)を用いて測定することができ、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。
熱分解開始温度が500℃以下、吸熱量が500J/g以上である化合物としては、上記した水和金属化合物が挙げられるが、より具体的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム2水和物、硫酸マグネシウム7水和物、ハイドロタルサイト、ホウ酸亜鉛等が挙げられる。
また、吸熱剤は、平均粒子径が0.1〜90μmであるものが好ましい。平均粒子径が上記範囲内とすることで、樹脂中に吸熱剤が分散しやすくなり、吸熱剤を多量に配合させやすくなる。
吸熱剤の平均粒子径は、0.1〜40μmがより好ましく、0.2〜30μmがさらに好ましく、0.5〜10μmがよりさらに好ましい。吸熱剤の平均粒子径が上記範囲内であると、吸熱剤の分散性が向上して、耐火シートの機械的強度が高まり、また吸熱剤に対する樹脂の配合量を少なくしたりすることができる。さらに、耐火性、消火性能も向上させやすくなる。
なお、吸熱剤及び後述する難燃剤の平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置により測定したメディアン径(D50)の値である。
吸熱剤の平均粒子径は、0.1〜40μmがより好ましく、0.2〜30μmがさらに好ましく、0.5〜10μmがよりさらに好ましい。吸熱剤の平均粒子径が上記範囲内であると、吸熱剤の分散性が向上して、耐火シートの機械的強度が高まり、また吸熱剤に対する樹脂の配合量を少なくしたりすることができる。さらに、耐火性、消火性能も向上させやすくなる。
なお、吸熱剤及び後述する難燃剤の平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置により測定したメディアン径(D50)の値である。
耐火樹脂組成物における吸熱剤の含有量は、耐火樹脂組成物全量基準で、好ましくは50〜99.5質量%であり、より好ましくは70〜98質量%であり、さらに好ましくは80〜95質量%である。吸熱剤の含有量が上記下限値以上であると、耐火シートの耐火性、消火性能が向上し、上記上限値以下であると、機械的強度が高くなる。
(難燃剤)
本発明の耐火樹脂組成物は、難燃剤を含有してもよい。難燃剤を含有することで、耐火性、消火性能がより向上する。
本発明に使用する難燃剤としてはリン原子含有化合物が挙げられる。リン原子含有化合物としては、赤リン、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、及びキシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、及びリン酸マグネシウム等のリン酸金属塩、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸アルミニウム等の亜リン酸金属塩、ポリリン酸アンモニウム、下記一般式(1)で表されるリン系化合物等が挙げられる。これらリン含有化合物を使用することで、耐火シートに適切な耐火性、消火性能を付与できる。難燃剤は、これら1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の耐火樹脂組成物は、難燃剤を含有してもよい。難燃剤を含有することで、耐火性、消火性能がより向上する。
本発明に使用する難燃剤としてはリン原子含有化合物が挙げられる。リン原子含有化合物としては、赤リン、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、及びキシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、及びリン酸マグネシウム等のリン酸金属塩、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸アルミニウム等の亜リン酸金属塩、ポリリン酸アンモニウム、下記一般式(1)で表されるリン系化合物等が挙げられる。これらリン含有化合物を使用することで、耐火シートに適切な耐火性、消火性能を付与できる。難燃剤は、これら1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記一般式(1)中、R1及びR3は、同一又は異なって、水素、炭素数1〜16の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、又は炭素数6〜16のアリール基を示す。R2は、水酸基、炭素数1〜16の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜16の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシル基、炭素数6〜16のアリール基、又は炭素数6〜16のアリールオキシ基を示す。
前記一般式(1)で表される化合物の具体例としては、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、n−プロピルホスホン酸、n−ブチルホスホン酸、2−メチルプロピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチル−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられる。
上記した難燃剤の中では、耐火シートの耐火性、消火性能を向上させる観点から、リン酸エステル、亜リン酸金属塩、及びポリリン酸アンモニウムから選択される1種又は2種以上が好ましい。なお、これら3成分は、全てを使用してもよいし、3成分のうち2成分を使用してもよい。複数種の難燃剤を使用することで、効果的に耐火性、消火性能を向上させやすくなる。
上記した難燃剤の中では、耐火シートの耐火性、消火性能を向上させる観点から、リン酸エステル、亜リン酸金属塩、及びポリリン酸アンモニウムから選択される1種又は2種以上が好ましい。なお、これら3成分は、全てを使用してもよいし、3成分のうち2成分を使用してもよい。複数種の難燃剤を使用することで、効果的に耐火性、消火性能を向上させやすくなる。
難燃剤は、好ましくは、常温(23℃)及び常圧(1気圧)で固体状となるものである。難燃剤の平均粒子径は、1〜200μmが好ましく、1〜60μmがより好ましく、3〜40μmがさらに好ましく、5〜20μmがよりさらに好ましい。難燃剤の平均粒子径が上記範囲内であると、耐火樹脂組成物中における難燃剤の分散性が向上し、難燃剤を樹脂中に均一に分散させたり、樹脂に対する難燃剤の配合量を多くしたりすることができる。
難燃剤は、吸熱剤100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部であり、より好ましくは0.3〜10質量部であり、さらに好ましくは0.5〜5質量部である。難燃剤の含有量をこれら下限値以上とすることで、耐火シートの耐火性、消火性能を向上させ易くなり、上限値以下とすることで、樹脂の量を一定割合以上とすることができ、吸熱剤、難燃剤の分散性が高まり、機械的強度が向上しやすくなる。
難燃剤は、吸熱剤100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部であり、より好ましくは0.3〜10質量部であり、さらに好ましくは0.5〜5質量部である。難燃剤の含有量をこれら下限値以上とすることで、耐火シートの耐火性、消火性能を向上させ易くなり、上限値以下とすることで、樹脂の量を一定割合以上とすることができ、吸熱剤、難燃剤の分散性が高まり、機械的強度が向上しやすくなる。
(熱膨張性層状無機物)
本発明の耐火樹脂組成物は、熱膨張性層状無機物を含有してもよい。熱膨張性層状無機物を含有することで、耐火性、消火性能がより向上する。
熱膨張性層状無機物は、加熱時に膨張する従来公知の物質であり、例えば、バーミキュライト、熱膨張性黒鉛などが挙げられ、中でも熱膨張性黒鉛が好ましい。熱膨張性層状無機物としては、粒子状やりん片状のものを用いてもよい。熱膨張性層状無機物は、加熱されることで膨張して大容量の空隙を形成するため、耐火積層体に着火した場合に延焼を抑制したり、消火したりする。
熱膨張性黒鉛は、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、無機酸と、強酸化剤とで処理してグラファイト層間化合物を生成させたものであり、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物の一種である。無機酸としては濃硫酸、硝酸、セレン酸等が挙げられる。強酸化剤としては濃硝酸、過硫酸塩、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等が挙げられる。上記のように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛は、更にアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等でさらに中和処理してもよい。
熱膨張性層状無機物を使用する場合の配合量は、特に限定されないが、耐火シートの耐火性、消火性能、機械的強度などを考慮し、例えば、吸熱剤100質量部に対して、1〜300質量部の範囲で適宜調整すればよい。
本発明の耐火樹脂組成物は、熱膨張性層状無機物を含有してもよい。熱膨張性層状無機物を含有することで、耐火性、消火性能がより向上する。
熱膨張性層状無機物は、加熱時に膨張する従来公知の物質であり、例えば、バーミキュライト、熱膨張性黒鉛などが挙げられ、中でも熱膨張性黒鉛が好ましい。熱膨張性層状無機物としては、粒子状やりん片状のものを用いてもよい。熱膨張性層状無機物は、加熱されることで膨張して大容量の空隙を形成するため、耐火積層体に着火した場合に延焼を抑制したり、消火したりする。
熱膨張性黒鉛は、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、無機酸と、強酸化剤とで処理してグラファイト層間化合物を生成させたものであり、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物の一種である。無機酸としては濃硫酸、硝酸、セレン酸等が挙げられる。強酸化剤としては濃硝酸、過硫酸塩、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等が挙げられる。上記のように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛は、更にアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等でさらに中和処理してもよい。
熱膨張性層状無機物を使用する場合の配合量は、特に限定されないが、耐火シートの耐火性、消火性能、機械的強度などを考慮し、例えば、吸熱剤100質量部に対して、1〜300質量部の範囲で適宜調整すればよい。
(無機充填剤)
本発明の耐火樹脂組成物は、上記した吸熱剤、難燃剤、熱膨張性層状無機物以外の無機充填剤を更に含有してもよい。このような無機充填剤としては特に制限されず、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト等の金属酸化物、炭酸カルシウムなどの水和金属化合物以外の金属化合物、ガラス繊維、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、木炭粉末、各種金属粉、炭化ケイ素、ステンレス繊維、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、及び脱水汚泥等が挙げられる。これらの無機充填剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の耐火樹脂組成物は、上記した吸熱剤、難燃剤、熱膨張性層状無機物以外の無機充填剤を更に含有してもよい。このような無機充填剤としては特に制限されず、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト等の金属酸化物、炭酸カルシウムなどの水和金属化合物以外の金属化合物、ガラス繊維、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、木炭粉末、各種金属粉、炭化ケイ素、ステンレス繊維、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、及び脱水汚泥等が挙げられる。これらの無機充填剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機充填剤の平均粒子径は、0.5〜100μmが好ましく、1〜50μmがより好ましい。無機充填剤は、含有量が少ないときは分散性を向上させる観点から粒子径が小さいものが好ましく、含有量が多いときは高充填が進むにつれて、耐火樹脂組成物の粘度が高くなり成形性が低下するため粒子径が大きいものが好ましい。
本発明の耐火樹脂組成物が、吸熱剤、難燃剤、熱膨張性層状無機物以外の無機充填剤を含有する場合、その含有量は、耐火シートの耐火性、消火性能、機械的強度などを考慮し、例えば、吸熱剤100質量部に対して1〜300質量部の範囲で適宜調整すればよい。
(可塑剤)
本発明の耐火樹脂組成物は、更に可塑剤を含有してもよい。特に樹脂成分がポリビニルアルコール樹脂やポリビニルアセタール樹脂である場合、成形性などを向上させる観点から可塑剤を含むことが好ましい。
可塑剤は、一般にポリビニルアルコール樹脂やポリビニルアセタール樹脂と併用される可塑剤であれば特に限定されない。具体的には、例えば、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジヘプチルフタレート(DHP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)等のフタル酸エステル可塑剤、ジ−2−エチルヘキシルアジペート(DOA)、ジイソブチルアジペート(DIBA)、ジブチルアジペート(DBA)等の脂肪酸エステル可塑剤、エポキシ化大豆油等のエポキシ化エステル可塑剤、アジピン酸エステル、アジピン酸ポリエステル等のアジピン酸エステル可塑剤、トリー2−エチルヘキシルトリメリテート(TOTM)、トリイソノニルトリメリテート(TINTM)等のトリメリット酸エステル可塑剤、鉱油等のプロセスオイル等が挙げられる。可塑剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の耐火樹脂組成物が可塑剤を含有する場合、可塑剤の含有量は、樹脂100質量部に対して1〜60質量部が好ましく、5〜50質量部がより好ましく、10〜40質量部がさらに好ましい。可塑剤の含有量が前記範囲内であると、成形性が向上する傾向にあり、また耐火シートが柔らかくなり過ぎることを抑制できる。
本発明の耐火樹脂組成物は、更に可塑剤を含有してもよい。特に樹脂成分がポリビニルアルコール樹脂やポリビニルアセタール樹脂である場合、成形性などを向上させる観点から可塑剤を含むことが好ましい。
可塑剤は、一般にポリビニルアルコール樹脂やポリビニルアセタール樹脂と併用される可塑剤であれば特に限定されない。具体的には、例えば、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジヘプチルフタレート(DHP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)等のフタル酸エステル可塑剤、ジ−2−エチルヘキシルアジペート(DOA)、ジイソブチルアジペート(DIBA)、ジブチルアジペート(DBA)等の脂肪酸エステル可塑剤、エポキシ化大豆油等のエポキシ化エステル可塑剤、アジピン酸エステル、アジピン酸ポリエステル等のアジピン酸エステル可塑剤、トリー2−エチルヘキシルトリメリテート(TOTM)、トリイソノニルトリメリテート(TINTM)等のトリメリット酸エステル可塑剤、鉱油等のプロセスオイル等が挙げられる。可塑剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の耐火樹脂組成物が可塑剤を含有する場合、可塑剤の含有量は、樹脂100質量部に対して1〜60質量部が好ましく、5〜50質量部がより好ましく、10〜40質量部がさらに好ましい。可塑剤の含有量が前記範囲内であると、成形性が向上する傾向にあり、また耐火シートが柔らかくなり過ぎることを抑制できる。
(その他成分)
本発明の耐火樹脂組成物は、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じて上記以外の添加成分を含有させることができる。この添加成分の種類は特に限定されず、各種添加剤を用いることができる。このような添加剤として、例えば、滑剤、収縮防止剤、結晶核剤、着色剤(顔料、染料等)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、難燃助剤、帯電防止剤、界面活性剤、加硫剤、分散剤、及び表面処理剤等が挙げられる。添加剤の添加量は成形性等を損なわない範囲で適宜選択でき、添加剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の耐火樹脂組成物は、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じて上記以外の添加成分を含有させることができる。この添加成分の種類は特に限定されず、各種添加剤を用いることができる。このような添加剤として、例えば、滑剤、収縮防止剤、結晶核剤、着色剤(顔料、染料等)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、難燃助剤、帯電防止剤、界面活性剤、加硫剤、分散剤、及び表面処理剤等が挙げられる。添加剤の添加量は成形性等を損なわない範囲で適宜選択でき、添加剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(耐火シート)
本発明の耐火シートは、上記した耐火樹脂組成物からなるものである。該耐火シートは、本発明では、耐火シートをバッテリーなどの周囲に使用することで、バッテリーなどが発火した場合でも、吸熱して迅速に消火することができ、かつ機械的強度にも優れる。
耐火シートの厚さは、例えば、2〜1000μm、好ましくは5〜500μm、より好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは20〜50μmである。耐火シートの厚さを下限値以上とすることで、適切な耐火性、消火性能を有する。また、上限値以下とすることで、耐火シートの厚さが必要以上に厚くなることを防止し、携帯電話、スマートフォンなどの携帯機器に使用される小型のバッテリーにも適用しやすくなる。なお、上記した耐火シートの厚さは、基材の両面に設けられる場合は、各耐火シートの厚さである。
本発明の耐火シートは、上記した耐火樹脂組成物からなるものである。該耐火シートは、本発明では、耐火シートをバッテリーなどの周囲に使用することで、バッテリーなどが発火した場合でも、吸熱して迅速に消火することができ、かつ機械的強度にも優れる。
耐火シートの厚さは、例えば、2〜1000μm、好ましくは5〜500μm、より好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは20〜50μmである。耐火シートの厚さを下限値以上とすることで、適切な耐火性、消火性能を有する。また、上限値以下とすることで、耐火シートの厚さが必要以上に厚くなることを防止し、携帯電話、スマートフォンなどの携帯機器に使用される小型のバッテリーにも適用しやすくなる。なお、上記した耐火シートの厚さは、基材の両面に設けられる場合は、各耐火シートの厚さである。
(耐火シートの製造方法)
本発明の耐火シートは、耐火樹脂組成物を調製し、該耐火樹脂組成物を成形することにより製造することができる。耐火樹脂組成物は、樹脂、吸熱剤、及び必要に応じて配合される難燃剤、可塑剤等の任意成分をバンバリーミキサー、ニーダーミキサー、混練ロール、ライカイ機、遊星式撹拌機等の公知の混合装置を用いて混合することにより得られる。耐火樹脂組成物を耐火シートに成形する方法としては、具体的には、押出成形、プレス成形、及び射出成形が挙げられ、中でも押出成形が好ましく、単軸押出機、二軸押出機、射出成型機等を用いて成形することができる。
本発明の耐火シートは、耐火樹脂組成物を調製し、該耐火樹脂組成物を成形することにより製造することができる。耐火樹脂組成物は、樹脂、吸熱剤、及び必要に応じて配合される難燃剤、可塑剤等の任意成分をバンバリーミキサー、ニーダーミキサー、混練ロール、ライカイ機、遊星式撹拌機等の公知の混合装置を用いて混合することにより得られる。耐火樹脂組成物を耐火シートに成形する方法としては、具体的には、押出成形、プレス成形、及び射出成形が挙げられ、中でも押出成形が好ましく、単軸押出機、二軸押出機、射出成型機等を用いて成形することができる。
耐火シートは、耐火樹脂組成物の希釈液を離型シート上に塗布し乾燥することで成形してもよい。希釈液を用いる場合、樹脂は、通常、熱可塑性樹脂であり、好ましくはポリビニルアセタール樹脂である。
耐火樹脂組成物に吸熱剤が比較的多く配合されている場合(例えば、耐火樹脂組成物全量基準で吸熱剤の含有量が50質量%以上の場合)は、吸熱剤の分散性がよい耐火シートを得る観点から、希釈液を用いて、耐火シートを得ることが好ましい。
耐火樹脂組成物に吸熱剤が比較的多く配合されている場合(例えば、耐火樹脂組成物全量基準で吸熱剤の含有量が50質量%以上の場合)は、吸熱剤の分散性がよい耐火シートを得る観点から、希釈液を用いて、耐火シートを得ることが好ましい。
耐火樹脂組成物を希釈する際に使用する溶剤としては、特に限定されないが、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸n−ブチルなどのエステル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン系溶媒、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール系溶媒などが挙げられる。
耐火樹脂組成物の希釈液は、通常、樹脂が溶剤により溶解され、かつ耐火性添加剤が溶剤中に分散されスラリーとなる。スラリーとする場合、例えば、まず、溶媒、分散剤、吸熱材を含む無機粉末をビーズミルなどの分散混合機により攪拌して無機分散液を作製する。その後、無機分散液に、予め溶剤に溶解した樹脂溶液を添加し、上記分散混合機によりさらに攪拌することで、耐火樹脂組成物の希釈液を作製するとよい。
耐火樹脂組成物の希釈液における固形分濃度は、例えば30〜70質量%、好ましくは35〜65質量%、より好ましく40〜60質量%である。固形分濃度が下限値以上であると、効率的に耐火シートを形成することができる。また、上記上限値以下とすることで、樹脂を溶媒に溶解させ、かつ吸熱剤を溶媒に分散させやすくなる。
耐火樹脂組成物の希釈液は、通常、樹脂が溶剤により溶解され、かつ耐火性添加剤が溶剤中に分散されスラリーとなる。スラリーとする場合、例えば、まず、溶媒、分散剤、吸熱材を含む無機粉末をビーズミルなどの分散混合機により攪拌して無機分散液を作製する。その後、無機分散液に、予め溶剤に溶解した樹脂溶液を添加し、上記分散混合機によりさらに攪拌することで、耐火樹脂組成物の希釈液を作製するとよい。
耐火樹脂組成物の希釈液における固形分濃度は、例えば30〜70質量%、好ましくは35〜65質量%、より好ましく40〜60質量%である。固形分濃度が下限値以上であると、効率的に耐火シートを形成することができる。また、上記上限値以下とすることで、樹脂を溶媒に溶解させ、かつ吸熱剤を溶媒に分散させやすくなる。
(粘着材)
本発明の耐火シートは、耐火シートの少なくとも一方の面に粘着材が設けられてもよい。粘着材が設けられた耐火シート(耐火テープともいう)は、粘着材を介してバッテリーに貼り合わせることができる。粘着材は、一方の耐火シート上に設けられてもよいし、両方の耐火シート上に設けられてもよいが、両方の耐火シート上に設けられることが好ましい。粘着材が両方の耐火シート上に設けられることで、例えば、2つのバッテリーセルの間に耐火シートが配置される場合、耐火シートは両方のバッテリーセルに貼り合わせることができる。
本発明の耐火シートは、耐火シートの少なくとも一方の面に粘着材が設けられてもよい。粘着材が設けられた耐火シート(耐火テープともいう)は、粘着材を介してバッテリーに貼り合わせることができる。粘着材は、一方の耐火シート上に設けられてもよいし、両方の耐火シート上に設けられてもよいが、両方の耐火シート上に設けられることが好ましい。粘着材が両方の耐火シート上に設けられることで、例えば、2つのバッテリーセルの間に耐火シートが配置される場合、耐火シートは両方のバッテリーセルに貼り合わせることができる。
粘着材は、粘着剤層からなるものでもよいし、基材の両表面に粘着剤層が設けられた両面粘着テープでもよいが、粘着剤層からなることが好ましい。なお、両面粘着テープは、一方の粘着剤層が耐火シートに貼り合わせられることで、積層されて粘着材を構成することになる。
粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に制限はなく、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤等が挙げられるが、これらに限定されない。粘着材の厚みは、特に限定されないが、例えば、3〜500μm、好ましくは10〜200μmである。
また、両面粘着テープに使用する基材は、樹脂フィルム、不織布など、両面粘着テープに使用される公知の基材を使用するとよい。
粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に制限はなく、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤等が挙げられるが、これらに限定されない。粘着材の厚みは、特に限定されないが、例えば、3〜500μm、好ましくは10〜200μmである。
また、両面粘着テープに使用する基材は、樹脂フィルム、不織布など、両面粘着テープに使用される公知の基材を使用するとよい。
(耐火積層体)
本発明の耐火シートは、耐火シート単体で用いられてもよいし、基材と、基材の少なくとも一方の面に設けられる耐火シートとを有する耐火積層体としてもよい。基材は、耐火シートの支持体として機能させることができる。
基材の軟化点又は融点は、耐火性、及び消火性能をより優れたものとする観点から、300℃以上が好ましく、600℃以上がより好ましく、1000℃以上がさらに好ましい。また、基材の軟化点又は融点は、高ければ高いほどよいが、例えば5000℃以下、実用的には3000℃以下である。
基材の軟化点は熱機械分析装置(TMA)により測定することができ、基材の融点は示差走査熱分析(DSC)により測定することができる。
本発明の耐火シートは、耐火シート単体で用いられてもよいし、基材と、基材の少なくとも一方の面に設けられる耐火シートとを有する耐火積層体としてもよい。基材は、耐火シートの支持体として機能させることができる。
基材の軟化点又は融点は、耐火性、及び消火性能をより優れたものとする観点から、300℃以上が好ましく、600℃以上がより好ましく、1000℃以上がさらに好ましい。また、基材の軟化点又は融点は、高ければ高いほどよいが、例えば5000℃以下、実用的には3000℃以下である。
基材の軟化点は熱機械分析装置(TMA)により測定することができ、基材の融点は示差走査熱分析(DSC)により測定することができる。
基材としては、樹脂、金属、金属以外の無機材料、又はこれらの複合体などにより形成されるが、これらの中では金属により形成された金属基材が好ましい。また、基材の形態としては、フィルム、箔などでもよいし、クロス、メッシュなどでもよい。したがって、例えば、樹脂フィルム、金属箔、金属クロス、金属メッシュ、有機繊維クロス、金属以外の無機材料のクロス(無機繊維クロス)などが挙げられる。
樹脂フィルムとしては、ポリアミドイミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、ポリベンゾイミダゾール(PBI)樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂フィルム、ポリフェニレンスルフィド樹脂フィルム、これら樹脂の2種以上を含む樹脂フィルムなどが挙げられ、これらの中では、ポリイミド樹脂フィルムが好ましい。ポリイミド樹脂フィルムを使用することで、耐火シートとの接着性が良好となりやすい。また、ポリイミド樹脂フィルムは、耐熱性が高いため発火時においても効果的に支持体として機能しやすくなる。
金属としては、亜鉛、金、銀、クロム、チタン、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル、タンタル又はこれらを含む合金が挙げられ、合金としてはSUSなどのステンレス、黄銅、ベリリウム銅、インコネルなどが挙げられる。これら金属は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これら金属は、金属クロスとしてもよいし、金属メッシュにしてもよいし、金属箔としてよい。また、金属箔は、パンチングなどにより、複数の孔が開けられてよい。金属メッシュ又はパンチングされた金属箔は、軽量でありながらも、効果的に支持体としての機能を発揮できる。
また、クロスとしては、金属クロス以外にも、ガラス繊維クロス、炭素繊維クロスなどの無機繊維クロス、アラミド繊維クロス、PBO(ポリパラフェニレンベンズオキサゾール)繊維クロス、ポリイミド繊維クロス、PEEK繊維クロス、PBI繊維クロスなどの有機繊維クロス、またはこれら無機繊維及び有機繊維から選択される2種以上を含むクロスであってもよい。なお、クロスは、織布であってもよいし、編布であってもよいし、不織布であってもよい。
上記した中では、消火性能と、耐火シートとの接着性を両立する観点から、金属箔、金属メッシュ、金属クロスなど、金属から形成される金属基材、樹脂フィルムなどが好ましく、中でも、金属基材、特に金属箔が好ましい。
また、引張り強度を高くして支持機能を効果的に向上させる観点から、金属としては、銅、アルミニウム、ステンレスから選択される1種以上が好ましい。また、樹脂フィルムとしては、ポリイミド樹脂フィルムが好ましい。
また、引張り強度を高くして支持機能を効果的に向上させる観点から、金属としては、銅、アルミニウム、ステンレスから選択される1種以上が好ましい。また、樹脂フィルムとしては、ポリイミド樹脂フィルムが好ましい。
基材の厚さは、特に限定されないが、2〜1000μmが好ましく、好ましくは3〜200μm、より好ましくは5〜100μm、さらに好ましくは8〜50μmである。厚さをこれら下限値以上とすることで、発火したときでも耐火シートを基材により支持しやすくなる。一方、上限値以下とすることで、基材を必要以上に厚くすることなく良好な性能を発揮しやすくなる。さらには、基材を薄くすることで耐火シートに柔軟性を付与し、例えばバッテリー表面が曲面を有していたり、凹凸を有したりしても、耐火積層体をバッテリー表面に追従させることが可能になる。
基材は、200℃における引張り強度が3GPa以上であることが好ましい。200℃における引張り強度が3GPa以上であると、基材は、耐火シートが発火し又は高温に加熱されたときに、十分に支持体としての機能を果たすことが可能である。上記引張り強度は、より好ましくは8GPa以上、さらに好ましくは40GPa以上、よりさらに好ましくは50GPa以上である。引張り強度の上限値は、特に限定されないが、例えば1000GPa、実用的には500GPaである。
なお、基材の200℃における引張り強度は、JIS7113に準拠してAUTOGRAPH(島津製作所製、AGS−J)を用い、引張速度20mm/分により測定したものである。
なお、基材の200℃における引張り強度は、JIS7113に準拠してAUTOGRAPH(島津製作所製、AGS−J)を用い、引張速度20mm/分により測定したものである。
(耐火積層体の製造方法)
本発明の耐火積層体は、耐火樹脂組成物を押出成形などすることで、基材の一方の面又は両面上に耐火シートを形成することで製造することができる。また、本発明の耐火積層体は、溶剤により希釈した耐火樹脂組成物の希釈液を、基材の一方の面又は両面に塗布し、乾燥することで、基材の一方の面又は両面上に耐火シートを形成することで製造してもよい。
さらに、本発明の耐火積層体は、予め成形した耐火シートを、基材の一方の面又は両面に圧着などすることで積層させて製造してもよい。
なお、基材の両面に、耐火シートを形成する場合には、両面に同時に耐火シートを形成してもよいし、片面ずつ順次、耐火シートを形成してもよい。
本発明では、溶剤により希釈した耐火樹脂組成物の希釈液を用いて耐火シートを形成することが好ましい。希釈液を用いる場合、樹脂は、通常、熱可塑性樹脂であり、好ましくはポリビニルアセタール樹脂である。
希釈する際に使用する溶剤の種類、希釈液における固形分濃度などは上記したとおりである。
本発明の耐火積層体は、耐火樹脂組成物を押出成形などすることで、基材の一方の面又は両面上に耐火シートを形成することで製造することができる。また、本発明の耐火積層体は、溶剤により希釈した耐火樹脂組成物の希釈液を、基材の一方の面又は両面に塗布し、乾燥することで、基材の一方の面又は両面上に耐火シートを形成することで製造してもよい。
さらに、本発明の耐火積層体は、予め成形した耐火シートを、基材の一方の面又は両面に圧着などすることで積層させて製造してもよい。
なお、基材の両面に、耐火シートを形成する場合には、両面に同時に耐火シートを形成してもよいし、片面ずつ順次、耐火シートを形成してもよい。
本発明では、溶剤により希釈した耐火樹脂組成物の希釈液を用いて耐火シートを形成することが好ましい。希釈液を用いる場合、樹脂は、通常、熱可塑性樹脂であり、好ましくはポリビニルアセタール樹脂である。
希釈する際に使用する溶剤の種類、希釈液における固形分濃度などは上記したとおりである。
[粘着材]
本発明の耐火積層体は、耐火積層体の少なくとも一方の面に粘着材を備えてもよい。粘着材は、耐火シートが基材の一方の面のみに設けられる場合、基材の他方の面に設けられてもよいし、耐火シート上に設けられてもよいが、耐火シート上に設けられることが好ましい。耐火シート上に粘着材が設けられると、耐火積層体は、粘着材を介してバッテリーに貼り合わせた場合、バッテリー側から、耐火シート、基材の順で配置されることになる。このような配置により、消火性能が高めやすくなる。
また、耐火シートが基材の両面に設けられる場合、粘着材は、一方の耐火シート上に設けられてもよいし、両方の耐火シート上に設けられてもよいが、両方の耐火シート上に設けられることが好ましい。粘着材が両方の耐火シート上に設けられることで、例えば、2つのバッテリーセルの間に耐火積層体が配置される場合、耐火積層体は両方のバッテリーセルに貼り合わせることができる。
本発明の耐火積層体は、耐火積層体の少なくとも一方の面に粘着材を備えてもよい。粘着材は、耐火シートが基材の一方の面のみに設けられる場合、基材の他方の面に設けられてもよいし、耐火シート上に設けられてもよいが、耐火シート上に設けられることが好ましい。耐火シート上に粘着材が設けられると、耐火積層体は、粘着材を介してバッテリーに貼り合わせた場合、バッテリー側から、耐火シート、基材の順で配置されることになる。このような配置により、消火性能が高めやすくなる。
また、耐火シートが基材の両面に設けられる場合、粘着材は、一方の耐火シート上に設けられてもよいし、両方の耐火シート上に設けられてもよいが、両方の耐火シート上に設けられることが好ましい。粘着材が両方の耐火シート上に設けられることで、例えば、2つのバッテリーセルの間に耐火積層体が配置される場合、耐火積層体は両方のバッテリーセルに貼り合わせることができる。
[バッテリー]
本発明の耐火シート及び耐火積層体は、バッテリーに用いられることが好ましい。バッテリーは、通常、少なくとも1つのバッテリーセルを有し、そのバッテリーセルの表面上に耐火シート又は耐火積層体が配置されるとよい。また、耐火積層体は、耐火シートがバッテリーセル側に向けられることが好ましい。すなわち、耐火積層体は、バッテリーセル側から、耐火シート、基材の順に配置されることが好ましい。耐火シートがバッテリーセルに向けられることで、バッテリーセルで発火が生じたときに、その発火を耐火シートにより迅速に消火できるようになる。バッテリーは、バッテリーセルを1つ有してもよいし、2つ以上有してもよい。
本発明の耐火シート及び耐火積層体は、バッテリーに用いられることが好ましい。バッテリーは、通常、少なくとも1つのバッテリーセルを有し、そのバッテリーセルの表面上に耐火シート又は耐火積層体が配置されるとよい。また、耐火積層体は、耐火シートがバッテリーセル側に向けられることが好ましい。すなわち、耐火積層体は、バッテリーセル側から、耐火シート、基材の順に配置されることが好ましい。耐火シートがバッテリーセルに向けられることで、バッテリーセルで発火が生じたときに、その発火を耐火シートにより迅速に消火できるようになる。バッテリーは、バッテリーセルを1つ有してもよいし、2つ以上有してもよい。
バッテリーセルは、正極材、負極材、セパレータ、正極端子、及び負極端子等が外装部材に収容されたバッテリーの構成単位を指す。また、バッテリーセルは、セルの形状により、円筒型、角型、ラミネート型に分類される。
バッテリーセルが円筒型の場合、正極材、負極材、セパレータ、正極端子、負極端子、絶縁材、安全弁、ガスケット、及び正極キャップ等が外装缶に収容されているバッテリーの構成単位を指す。一方、バッテリーセルが角型の場合、正極材、負極材、セパレータ、正極端子、負極端子、絶縁材、及び安全弁等が外装缶に収容されているバッテリーの構成単位を指す。バッテリーセルがラミネート型の場合、正極材、負極材、セパレータ、正極端子、及び負極端子等が外装フィルムに収容されているバッテリーの構成単位を指す。ラミネート型のバッテリーでは、2枚の外装フィルムの間、或いは、1枚の外装フィルムが例えば2つ折りで折り畳まれ、その折り畳まれた外装フィルムの間に、正極材、負極材、セパレータ、正極端子、及び負極端子等が配置され、外装フィルムの外縁部がヒートシールによって圧着されている。外装フィルムとしては例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムが積層されたアルミニウムフィルム等が挙げられる。
また、バッテリーセルは、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、ニッケル・水素電池、リチウム・硫黄電池、ニッケル・カドミウム電池、ニッケル・鉄電池、ニッケル・亜鉛電池、ナトリウム・硫黄電池、鉛蓄電池、空気電池等の二次電池であり、これらの中でもリチウムイオン電池が好ましい。
バッテリーは、例えば、携帯電話及びスマートフォン等の小型電子機器、ノートパソコン、自動車等に使用されるが、これらに限定されない。
バッテリーセルが円筒型の場合、正極材、負極材、セパレータ、正極端子、負極端子、絶縁材、安全弁、ガスケット、及び正極キャップ等が外装缶に収容されているバッテリーの構成単位を指す。一方、バッテリーセルが角型の場合、正極材、負極材、セパレータ、正極端子、負極端子、絶縁材、及び安全弁等が外装缶に収容されているバッテリーの構成単位を指す。バッテリーセルがラミネート型の場合、正極材、負極材、セパレータ、正極端子、及び負極端子等が外装フィルムに収容されているバッテリーの構成単位を指す。ラミネート型のバッテリーでは、2枚の外装フィルムの間、或いは、1枚の外装フィルムが例えば2つ折りで折り畳まれ、その折り畳まれた外装フィルムの間に、正極材、負極材、セパレータ、正極端子、及び負極端子等が配置され、外装フィルムの外縁部がヒートシールによって圧着されている。外装フィルムとしては例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムが積層されたアルミニウムフィルム等が挙げられる。
また、バッテリーセルは、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、ニッケル・水素電池、リチウム・硫黄電池、ニッケル・カドミウム電池、ニッケル・鉄電池、ニッケル・亜鉛電池、ナトリウム・硫黄電池、鉛蓄電池、空気電池等の二次電池であり、これらの中でもリチウムイオン電池が好ましい。
バッテリーは、例えば、携帯電話及びスマートフォン等の小型電子機器、ノートパソコン、自動車等に使用されるが、これらに限定されない。
耐火シート又は耐火積層体は、バッテリーセルのいずれの表面上に設けられるとよいが、バッテリーセルの大部分(例えば、表面積の50%以上、より好ましくは70%以上)の表面を覆うことが好ましい。表面の大部分を覆うことでバッテリーセルの発火に対して、迅速に消火しやすくなる。
また、バッテリーセルは、安全弁を有することが多いが、安全弁を有する場合、耐火シート又は耐火積層体によって安全弁を覆うように設けられることが好ましい。このとき、安全弁の機能を担保するために、安全弁を密封させないように覆うとよい。さらに、ラミネート型のバッテリーセルの場合には、ヒートシールによって圧着されるヒートシール部を耐火シート又は耐火積層体によって覆うように設けられることが好ましい。
バッテリーセルは、安全弁又はヒートシール部から発火することが多いため、これらを耐火シート又は耐火積層体で覆うことでバッテリーセルの発火より有効に消火しやすくなる。
さらに、耐火シート又は耐火積層体は、バッテリーセルが安全弁を有する場合、バッテリーセルの大部分の表面を覆い、かつ安全弁又はヒートシール部も覆うように配置されることがより好ましい。例えば、耐火シート又は耐火積層体はバッテリーセルに巻くように配置されるとよい。
また、バッテリーセルは、安全弁を有することが多いが、安全弁を有する場合、耐火シート又は耐火積層体によって安全弁を覆うように設けられることが好ましい。このとき、安全弁の機能を担保するために、安全弁を密封させないように覆うとよい。さらに、ラミネート型のバッテリーセルの場合には、ヒートシールによって圧着されるヒートシール部を耐火シート又は耐火積層体によって覆うように設けられることが好ましい。
バッテリーセルは、安全弁又はヒートシール部から発火することが多いため、これらを耐火シート又は耐火積層体で覆うことでバッテリーセルの発火より有効に消火しやすくなる。
さらに、耐火シート又は耐火積層体は、バッテリーセルが安全弁を有する場合、バッテリーセルの大部分の表面を覆い、かつ安全弁又はヒートシール部も覆うように配置されることがより好ましい。例えば、耐火シート又は耐火積層体はバッテリーセルに巻くように配置されるとよい。
例えば、図1に示すようにバッテリーセル11が角型の場合、耐火シート12は、バッテリーセル11の外周面を巻き付けられるように配置され、例えば、その主面11A,11Bと、端面11C,11Dの上に配置されることが好ましい。なお、主面11A,11Bとは、角型のバッテリーセル11において、最も面積が大きくなる両面であり、端面11C,11Dは、主面11A,11Bを接続する端面である。角型セルでは、一般的に、端面11C,11Dのいずれかに安全弁(図示しない)が設けられるため、図1の構成においても、耐火シート12がバッテリーセル11の安全弁を覆う。
また、例えば、図2に示すようにバッテリーセル11が角型の場合、耐火シート12は、主面11A,11Bの両方のみに設けられてもよい。さらに、主面11A,11Bのうち、一方のみに設けられてもよい。
また、例えば、図2に示すようにバッテリーセル11が角型の場合、耐火シート12は、主面11A,11Bの両方のみに設けられてもよい。さらに、主面11A,11Bのうち、一方のみに設けられてもよい。
バッテリーセル11がラミネート型の場合、図3に示すように、耐火シート12は、例えば、バッテリーセル11の両面11X,11Yそれぞれを覆うように設けられるとよい。このとき、耐火シート12は、ヒートシール部11Zも覆うように配置されるとよい。
なお、ラミネート型においても、耐火シート12は、一方の面11Xのみを覆うように設けられてもよい。
さらに、図4に示すように、バッテリーセル11が円筒型の場合、耐火シート12は、バッテリーセル11の外周面に巻き付けられるように配置されればよい。
さらに、図5に示すように、複数のバッテリーセル11が設けられている場合は、耐火シート12をバッテリーセル11の間に配置することができる。このような構成によれば、1つのバッテリーセル11が熱暴走により発火しても、耐火シート12によって有効に消火されることになるので、隣接するバッテリーセル11が連続的に発火したりすることを防止できる。
図5に示すバッテリーは、模式的にバッテリーセル11を2つのみ示すが、3つ以上のバッテリーセルが設けられてもよい。その場合、バッテリーセル11、11の間それぞれには、耐火シート12が配置されるとよい。
なお、図1〜4において、耐火シート12は、耐火シート12の一方の面に設けられた粘着剤層を介してバッテリーセル11に接着されてもよいし、図5において、耐火シート12は、耐火シート12の両方の面に設けられた粘着剤層を介して2つのバッテリーセル11に接着されてもよい。
また、図1〜5に示した構成は、バッテリーの構成の一例に過ぎず、様々な態様を採用することが可能である。例えば、図5に示す複数のバッテリーセル11は、角型のバッテリーセル11である構成を示したが、このような構成に限定されず、ラミネート型のバッテリーセルなどでもよい。
なお、ラミネート型においても、耐火シート12は、一方の面11Xのみを覆うように設けられてもよい。
さらに、図4に示すように、バッテリーセル11が円筒型の場合、耐火シート12は、バッテリーセル11の外周面に巻き付けられるように配置されればよい。
さらに、図5に示すように、複数のバッテリーセル11が設けられている場合は、耐火シート12をバッテリーセル11の間に配置することができる。このような構成によれば、1つのバッテリーセル11が熱暴走により発火しても、耐火シート12によって有効に消火されることになるので、隣接するバッテリーセル11が連続的に発火したりすることを防止できる。
図5に示すバッテリーは、模式的にバッテリーセル11を2つのみ示すが、3つ以上のバッテリーセルが設けられてもよい。その場合、バッテリーセル11、11の間それぞれには、耐火シート12が配置されるとよい。
なお、図1〜4において、耐火シート12は、耐火シート12の一方の面に設けられた粘着剤層を介してバッテリーセル11に接着されてもよいし、図5において、耐火シート12は、耐火シート12の両方の面に設けられた粘着剤層を介して2つのバッテリーセル11に接着されてもよい。
また、図1〜5に示した構成は、バッテリーの構成の一例に過ぎず、様々な態様を採用することが可能である。例えば、図5に示す複数のバッテリーセル11は、角型のバッテリーセル11である構成を示したが、このような構成に限定されず、ラミネート型のバッテリーセルなどでもよい。
上記した図1〜5は、耐火シートをバッテリーセルに使用する際の実施形態の一例を示したものであるが、耐火積層体を用いる場合も耐火シートと同様に、角型のバッテリーセル、ラミネート型のバッテリーセル、円筒形のバッテリーセル、複数のバッテリーセルなどに使用することができる。耐火積層体は、バッテリーセルから耐火シート、基材がこの順に配置されることが好ましい。このように配置されることで、バッテリーセルで発火が生じたときに、その発火を耐火シートにより迅速に消火できるようになる。
上記した図5に示すような、複数のバッテリーセルに耐火積層体を使用する場合は、基材と、基材の両面に設けられる耐火シートとを有する耐火積層体を用いることが好ましい。この場合は、耐火シートがバッテリーセルに向けて配置されるとよい。すなわち、バッテリーセル/耐火シート/基材/耐火シート/バッテリーセルの順に並べられることとなる。このような構成によれば、1つのバッテリーセルが熱暴走により発火しても、耐火シートによって有効に消火されることになるので、隣接するバッテリーセルが連続的に発火したりすることを防止できる。
また、耐火積層体は、耐火積層体の一方の面又は両方の面に設けられた粘着材を介してバッテリーセルに接着されてもよい。すなわち、耐火シートの表面上に配置された粘着材を介してバッテリーセルに取り付けられてもよい。
上記した図5に示すような、複数のバッテリーセルに耐火積層体を使用する場合は、基材と、基材の両面に設けられる耐火シートとを有する耐火積層体を用いることが好ましい。この場合は、耐火シートがバッテリーセルに向けて配置されるとよい。すなわち、バッテリーセル/耐火シート/基材/耐火シート/バッテリーセルの順に並べられることとなる。このような構成によれば、1つのバッテリーセルが熱暴走により発火しても、耐火シートによって有効に消火されることになるので、隣接するバッテリーセルが連続的に発火したりすることを防止できる。
また、耐火積層体は、耐火積層体の一方の面又は両方の面に設けられた粘着材を介してバッテリーセルに接着されてもよい。すなわち、耐火シートの表面上に配置された粘着材を介してバッテリーセルに取り付けられてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
各物性の測定方法及び評価方法は以下のとおりである。
<熱分解開始温度の測定方法>
熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)を用いて測定した。測定条件は、室温から1000℃まで、昇温速度4℃/min、吸熱剤重量10mgであった。得られたTG曲線から重量が減少し始める温度を熱分解開始温度とした。
<吸熱量の測定方法>
熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)を用いて、測定条件は、室温から1000℃まで、昇温速度4℃/min、吸熱剤重量10mgであった。得られたDTA曲線から吸熱量(凹部の面積)から算出した。
<平均粒子径の測定方法>
各成分の平均粒子径はレーザー回折法で測定した。具体的には、レーザー回折散乱方式粒度分布計等の粒度分布計によって求めた粒度分布における積算値50%での粒子径を平均粒子径とした。
<基材の引張り強度>
引張り強度は、JIS7113に準拠してAUTOGRAPH(島津製作所製、AGS−J)により測定した。
<基材の融点又は軟化点>
明細書記載の方法により測定した。
<熱分解開始温度の測定方法>
熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)を用いて測定した。測定条件は、室温から1000℃まで、昇温速度4℃/min、吸熱剤重量10mgであった。得られたTG曲線から重量が減少し始める温度を熱分解開始温度とした。
<吸熱量の測定方法>
熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)を用いて、測定条件は、室温から1000℃まで、昇温速度4℃/min、吸熱剤重量10mgであった。得られたDTA曲線から吸熱量(凹部の面積)から算出した。
<平均粒子径の測定方法>
各成分の平均粒子径はレーザー回折法で測定した。具体的には、レーザー回折散乱方式粒度分布計等の粒度分布計によって求めた粒度分布における積算値50%での粒子径を平均粒子径とした。
<基材の引張り強度>
引張り強度は、JIS7113に準拠してAUTOGRAPH(島津製作所製、AGS−J)により測定した。
<基材の融点又は軟化点>
明細書記載の方法により測定した。
<バッテリー発火テスト>
スマートフォンに使用されるラミネート型のリチウムイオン電池の周囲に、実施例及び比較例で作成した耐火シート又は耐火積層体を巻くように配置し、300℃に設定したホット、プレート上に試験体を載せて火の放出から火が消されるまでの時間を評価した。消火時間が5秒以内であった場合を「A」、消火時間が5秒超10秒以内であった場合を「B」、消火時間が10秒超であった場合を「C」として評価し、消火時間が短い方が消火性能に優れていることを表す。結果を表1に示す。
スマートフォンに使用されるラミネート型のリチウムイオン電池の周囲に、実施例及び比較例で作成した耐火シート又は耐火積層体を巻くように配置し、300℃に設定したホット、プレート上に試験体を載せて火の放出から火が消されるまでの時間を評価した。消火時間が5秒以内であった場合を「A」、消火時間が5秒超10秒以内であった場合を「B」、消火時間が10秒超であった場合を「C」として評価し、消火時間が短い方が消火性能に優れていることを表す。結果を表1に示す。
<耐火シートの引張り強度>
実施例なお実施例1〜19および及び比較例1〜6で得られた耐火シートの常温(23℃)における引張り強度をJIS7113に準拠してAUTOGRAPH(島津製作所製、AGS−J)により測定して、下記で判定した。なお実施例20〜24は基材を有している耐火積層体であるが、基材を設ける前の耐火シートの状態で引張り強度を測定した。
A:弾性率1500MPa以上
B:弾性率1200MPa以上1500MPa未満
C:弾性率900MPa以上1200MPa未満
D:弾性率900MPa未満
実施例なお実施例1〜19および及び比較例1〜6で得られた耐火シートの常温(23℃)における引張り強度をJIS7113に準拠してAUTOGRAPH(島津製作所製、AGS−J)により測定して、下記で判定した。なお実施例20〜24は基材を有している耐火積層体であるが、基材を設ける前の耐火シートの状態で引張り強度を測定した。
A:弾性率1500MPa以上
B:弾性率1200MPa以上1500MPa未満
C:弾性率900MPa以上1200MPa未満
D:弾性率900MPa未満
<碁盤目試験残存率>
JIS D0202−1988に準拠して碁盤目テープ剥離試験を行った。セロハンテープ(商品名「CT24」,ニチバン株式会社製)を用い、実施例で得られた耐火積層体の耐火シートに指の腹で密着させた後剥離した。判定は100マスの内、基材から剥離しないマス目のパーセントで表し,下記で判定した。
A:80%以上
B:40%以上80%未満
C:10%以上40%未満
D:10%未満
JIS D0202−1988に準拠して碁盤目テープ剥離試験を行った。セロハンテープ(商品名「CT24」,ニチバン株式会社製)を用い、実施例で得られた耐火積層体の耐火シートに指の腹で密着させた後剥離した。判定は100マスの内、基材から剥離しないマス目のパーセントで表し,下記で判定した。
A:80%以上
B:40%以上80%未満
C:10%以上40%未満
D:10%未満
実施例、比較例で使用した各成分は以下のとおりである。
<樹脂>
PVB1:ポリビニルブチラール樹脂、重合度800、アセタール化度69mol%、アセチル基量1mol%、水酸基量30mol%、10質量%エタノール/トルエン粘度142mPa・s、SP値10.6
PVB2:ポリビニルブチラール樹脂、重合度320、アセタール化度75mol%、アセチル基量3mol%、水酸基量22mol%、10質量%エタノール/トルエン粘度21mPa・s、SP値10.2
PVB3:ポリビニルブチラール樹脂、重合度1,100、アセタール化度64mol%、アセチル基量1mol%、水酸基量35mol%、10質量%エタノール/トルエン粘度280mPa・s、SP値10.9
PVA:ポリビニルアルコール樹脂、重合度800、ケン化度98mol%、4質量%水溶液粘度142mPa・s、SP値12.4
EVA:エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、商品名「エバフレックス」、三井デュポンポリケミカル社製、酢酸ビニル含量40質量%、重量平均分子量110,000、SP値9.1
アクリル樹脂:ポリメタクリル酸メチル、重量平均分子量53,000、SP値9.5
NBR:アクリロニトリルブタジエンゴム,重量平均分子量72,000、SP値8.8
<可塑剤>
DIDP:ジイソデシルフタレート
<吸熱剤>
水酸化アルミニウム1:C301−N、住友化学社製、平均粒子径1μm、熱分解開始温度201℃、吸熱量1800J/g
水酸化アルミニウム2:B−325、アルモリックス社製、平均粒子径27μm、熱分解開始温度200℃、吸熱量1850J/g
水酸化マグネシウム:タテホ化学社製、平均粒子径3μm、熱分解開始温度250℃、吸熱量1500J/g
硫酸カルシウム2水和物:ナカライテスク社製、平均粒子径40μm、熱分解開始温度120℃、吸熱量750J/g
硫酸マグネシウム7水和物:ナカライテスク社製、平均粒子径40μm、熱分解開始温度150℃、吸熱量1600J/g
水酸化カルシウム:富田製薬社製、平均粒子径40μm、熱分解開始温度40℃、吸熱量980J/g
<難燃剤>
ポリリン酸アンモニウム:AP422、クラリアント社、平均粒子径15μm
<無機充填剤>
炭酸カルシウム:ホワイトンBF−300 備北粉化株式会社
酸化アルミニウム:ナカライテスク社製
<樹脂>
PVB1:ポリビニルブチラール樹脂、重合度800、アセタール化度69mol%、アセチル基量1mol%、水酸基量30mol%、10質量%エタノール/トルエン粘度142mPa・s、SP値10.6
PVB2:ポリビニルブチラール樹脂、重合度320、アセタール化度75mol%、アセチル基量3mol%、水酸基量22mol%、10質量%エタノール/トルエン粘度21mPa・s、SP値10.2
PVB3:ポリビニルブチラール樹脂、重合度1,100、アセタール化度64mol%、アセチル基量1mol%、水酸基量35mol%、10質量%エタノール/トルエン粘度280mPa・s、SP値10.9
PVA:ポリビニルアルコール樹脂、重合度800、ケン化度98mol%、4質量%水溶液粘度142mPa・s、SP値12.4
EVA:エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、商品名「エバフレックス」、三井デュポンポリケミカル社製、酢酸ビニル含量40質量%、重量平均分子量110,000、SP値9.1
アクリル樹脂:ポリメタクリル酸メチル、重量平均分子量53,000、SP値9.5
NBR:アクリロニトリルブタジエンゴム,重量平均分子量72,000、SP値8.8
<可塑剤>
DIDP:ジイソデシルフタレート
<吸熱剤>
水酸化アルミニウム1:C301−N、住友化学社製、平均粒子径1μm、熱分解開始温度201℃、吸熱量1800J/g
水酸化アルミニウム2:B−325、アルモリックス社製、平均粒子径27μm、熱分解開始温度200℃、吸熱量1850J/g
水酸化マグネシウム:タテホ化学社製、平均粒子径3μm、熱分解開始温度250℃、吸熱量1500J/g
硫酸カルシウム2水和物:ナカライテスク社製、平均粒子径40μm、熱分解開始温度120℃、吸熱量750J/g
硫酸マグネシウム7水和物:ナカライテスク社製、平均粒子径40μm、熱分解開始温度150℃、吸熱量1600J/g
水酸化カルシウム:富田製薬社製、平均粒子径40μm、熱分解開始温度40℃、吸熱量980J/g
<難燃剤>
ポリリン酸アンモニウム:AP422、クラリアント社、平均粒子径15μm
<無機充填剤>
炭酸カルシウム:ホワイトンBF−300 備北粉化株式会社
酸化アルミニウム:ナカライテスク社製
<実施例1〜6、13〜19、比較例1〜2、5〜6>
表1、2に示した配合を有する耐火樹脂組成物をエタノール/トルエンを重量比で50:50にてブレンドした混合溶剤で固形分濃度55質量%に希釈したスラリー液を用意した。そのスラリー液を離型シート(リンテック社製PETフィルム)の片面に塗布して、80℃、30分間で乾燥させて、離型シート上に形成された耐火シートを得た。次いで、耐火シートを離型シートから剥離し、単体の耐火シートを得た。
<実施例7、11>
エタノール/トルエンを重量比で50:50にてブレンドした混合溶剤の代わりに、水を用いた以外は実施例1と同様にして、耐火シートを得た。
<実施例8、9、12、比較例3>
エタノール/トルエンを重量比で50:50にてブレンドした混合溶剤の代わりに、トルエンを用いた以外は実施例1と同様にして、耐火シートを得た。
<実施例10、比較例4>
表1、2に示した配合を有する耐火樹脂組成物を一軸押出機に供給し、150℃で押出成形して、耐火シートを得た。
表1、2に示した配合を有する耐火樹脂組成物をエタノール/トルエンを重量比で50:50にてブレンドした混合溶剤で固形分濃度55質量%に希釈したスラリー液を用意した。そのスラリー液を離型シート(リンテック社製PETフィルム)の片面に塗布して、80℃、30分間で乾燥させて、離型シート上に形成された耐火シートを得た。次いで、耐火シートを離型シートから剥離し、単体の耐火シートを得た。
<実施例7、11>
エタノール/トルエンを重量比で50:50にてブレンドした混合溶剤の代わりに、水を用いた以外は実施例1と同様にして、耐火シートを得た。
<実施例8、9、12、比較例3>
エタノール/トルエンを重量比で50:50にてブレンドした混合溶剤の代わりに、トルエンを用いた以外は実施例1と同様にして、耐火シートを得た。
<実施例10、比較例4>
表1、2に示した配合を有する耐火樹脂組成物を一軸押出機に供給し、150℃で押出成形して、耐火シートを得た。
<実施例20>
表3に示した配合を有する耐火樹脂組成物を、エタノール/トルエンを重量比で50:50にてブレンドした混合溶剤で固形分濃度50質量%に希釈したスラリー液を用意した。そのスラリー液を厚さ20μmのステンレス箔の片面に塗布して、80℃、30分間で乾燥させて、厚さ40μmの耐火シートを形成して、基材の片面に耐火シートを設けた耐火積層体を得た。
表3に示した配合を有する耐火樹脂組成物を、エタノール/トルエンを重量比で50:50にてブレンドした混合溶剤で固形分濃度50質量%に希釈したスラリー液を用意した。そのスラリー液を厚さ20μmのステンレス箔の片面に塗布して、80℃、30分間で乾燥させて、厚さ40μmの耐火シートを形成して、基材の片面に耐火シートを設けた耐火積層体を得た。
<実施例21〜23>
基材の種類を表3に示すものに変更した以外は、実施例20と同様にして、基材の片面に耐火シートを設けた耐火積層体を得た。
基材の種類を表3に示すものに変更した以外は、実施例20と同様にして、基材の片面に耐火シートを設けた耐火積層体を得た。
<実施例24>
表3に示した配合を有する耐火樹脂組成物を、エタノール/トルエンを重量比で50:50にてブレンドした混合溶剤で固形分濃度50質量%に希釈したスラリー液を用意した。そのスラリー液を厚さ20μmのステンレス箔の両面に塗布して、80℃、30分間で乾燥させて、各面に厚さ40μmの耐火シートを形成して、基材の両面に耐火シートを設けた耐火積層体を得た。
表3に示した配合を有する耐火樹脂組成物を、エタノール/トルエンを重量比で50:50にてブレンドした混合溶剤で固形分濃度50質量%に希釈したスラリー液を用意した。そのスラリー液を厚さ20μmのステンレス箔の両面に塗布して、80℃、30分間で乾燥させて、各面に厚さ40μmの耐火シートを形成して、基材の両面に耐火シートを設けた耐火積層体を得た。
以上の実施例に示すように、特定の吸熱剤を用い、かつ吸熱剤に対する樹脂の含有量を特定範囲とした本発明の耐火樹脂組成物からなる耐火シートは、消火性能が良好であり、かつ引っ張り強度が高いことより、優れた機械的強度を有することが分かった。それに対して、樹脂の量が少ない比較例1,3の耐火シートは、機械的強度が低く、樹脂の量が多い比較例2,4の耐火シートは消火性能に劣ることが分かった。特定の吸熱剤を用いない比較例5,6の耐火シートは、消火性能に劣ることが分かった。
10 バッテリー
11 バッテリーセル
12 耐火シート
11 バッテリーセル
12 耐火シート
Claims (16)
- 吸熱剤、及び樹脂を含む耐火樹脂組成物であって、
前記吸熱剤の熱分解開始温度が500℃以下、吸熱量が500J/g以上であり、
吸熱剤100質量部に対する樹脂の含有量が1〜20質量部である耐火樹脂組成物。 - 前記吸熱剤が水和金属化合物である、請求項1に記載の耐火樹脂組成物。
- 前記樹脂の溶解度パラメーターが9以上である、請求項1又は2に記載の耐火樹脂組成物。
- 前記樹脂が熱可塑性樹脂である、請求項1〜3のいずれかに記載の耐火樹脂組成物。
- 前記樹脂がポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれかに記載の耐火樹脂組成物。
- 前記吸熱剤が、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム2水和物、及び硫酸マグネシウム7水和物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれかに記載の耐火樹脂組成物。
- さらに難燃剤を含有する、請求項1〜6のいずれかに記載の耐火樹脂組成物。
- 前記難燃剤がリン原子含有化合物である、請求項7に記載の耐火樹脂組成物。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の耐火樹脂組成物からなる耐火シート。
- バッテリーに使用される請求項9に記載の耐火シート。
- 請求項9又は10の耐火シートと、バッテリーセルとを備え、前記耐火シートが、バッテリーセルの表面上に設けられるバッテリー。
- 基材と、前記基材の少なくとも一方の面に設けられる請求項9又は10に記載の耐火シートとを備える耐火積層体。
- 前記基材が金属基材である請求項12に記載の耐火積層体。
- バッテリーに使用される請求項12又は13に記載の耐火積層体。
- 請求項13又は14に記載の耐火積層体と、バッテリーセルとを備え、前記耐火積層体が、バッテリーセルの表面上に設けられるバッテリー。
- 前記バッテリーセル側から、前記耐火シート及び前記基材の順に配置されるように、前記耐火積層体が、前記バッテリーセルの表面上に設けられる請求項15に記載のバッテリー。
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