JP7168494B2 - 耐火積層体及びバッテリー - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は、下記[1]~[15]を要旨とする。
[1]基材と、前記基材の少なくとも一方の面に設けられる耐火樹脂層とを備え、
前記耐火樹脂層が、樹脂と、吸熱剤、難燃剤、及び熱膨張性層状無機物からなる群から選択される少なくとも1種の耐火性添加剤とを含む耐火樹脂組成物からなり、
前記基材の軟化点又は融点が300℃以上である耐火積層体。
[2]前記基材の200℃における引張り強度が3GPa以上である上記[1]に記載の耐火積層体。
[3]前記基材が、金属基材である上記[1]又は[2]に記載の耐火積層体。
[4]前記吸熱剤が、熱分解開始温度500℃以下、吸熱量500J/g以上である上記[1]~[3]のいずれか1項に記載の耐火積層体。
[5]前記吸熱剤が水和金属化合物である上記[1]~[4]のいずれか1項に記載の耐火積層体。
[6]前記吸熱剤が、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム2水和物、及び硫酸マグネシウム7水和物からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記[1]~[5]のいずれか1項に記載の耐火積層体。
[7]前記熱膨張性層状無機物が、熱膨張性黒鉛である上記[1]~[6]のいずれか1項に記載の耐火積層体。
[8]前記難燃剤が、リン原子含有化合物である上記[1]~[7]のいずれか1項に記載の耐火積層体。
[9]前記耐火性添加剤の含有量が、樹脂100質量部に対して、50~2500質量部である上記[1]~[8]のいずれか1項に記載の耐火積層体。
[10]前記樹脂が熱可塑性樹脂である上記[1]~[9]のいずれか1項に記載の耐火積層体。
[11]前記耐火樹脂層の厚さが、2~5000μmである上記[1]~[10]のいずれか1項に記載の耐火積層体。
[12]前記基材に対する前記耐火樹脂層の厚さの比が2/8~9/1である上記[1]~[11]のいずれか1項に記載の耐火積層体。
[13]バッテリーに使用される上記[1]~[12]のいずれか1項に記載の耐火積層体。
[14]上記[1]~[13]のいずれか1項に記載の耐火積層体と、バッテリーセルとを備え、前記耐火積層体が、バッテリーセルの表面上に設けられるバッテリー。
[15]前記バッテリーセル側から、前記耐火樹脂層及び前記基材の順に配置されるように、前記耐火積層体が、前記バッテリーセルの表面上に設けられる上記[14]に記載のバッテリー。
[耐火積層体]
本発明の耐火積層体は、基材と、基材の少なくとも一方の面に設けられる耐火樹脂層とを備え、耐火樹脂層が、樹脂と、所定の耐火性添加剤とを含む耐火樹脂組成物からなり、基材の軟化点又は融点が300℃以上となるものである。
本発明では、耐火樹脂層が、所定の耐火性添加剤を有することで一定の耐火性及び消火性能を発現することができる。また、基材は、高軟化点又は高融点を有するので、発火が生じても支持体として効果的に機能して耐火性添加剤を所定の場所に留めることができるので、耐火性及び消火性能が向上する。
また、耐火樹脂層22は、基材21に直接積層されてもよいし、本発明の効果を阻害しない範囲内であれば、基材21の表面上に形成されたプライマー層、接着層などを介して基材21に積層されてもよいが、直接積層されることが好ましい。
[耐火樹脂層]
本発明において、耐火樹脂層は、樹脂と、耐火性添加剤とを含む。耐火樹脂層において使用される耐火性添加剤は、吸熱剤、難燃剤、及び熱膨張性層状無機物から選択される少なくとも1種である。耐火樹脂層は、耐火性添加剤を含有することで、耐火性を有し、かつ発火が生じた際に、鎮火させる消火性能を有する。
耐火樹脂層に使用される樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及びエラストマー樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ(1-)ブテン樹脂、及びポリペンテン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ノボラック樹脂、ポリウレタン樹脂、及びポリイソブチレン等の合成樹脂が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド等の合成樹脂が挙げられる。
本発明においては、これら樹脂のうち1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
また、熱可塑性樹脂の中でも、耐火性の観点からはポリ塩化ビニル樹脂が好ましく、基材との接着性、耐火樹脂層の成形性、耐火性添加剤の分散性などの観点からは、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂などが好ましい。これらの中では、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂がより好ましく、ポリビニルアセタール樹脂が特に好ましい。
ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールをアルデヒドでアセタール化して得られるポリビニルアセタール樹脂であれば特に限定されないが、ポリビニルブチラール樹脂が好適である。
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量は、好ましくは20~40モル%である。水酸基量を20モル%以上とすることで、極性が高くなり基材への接着性が良好になりやすい。また、水酸基量を40モル%以下とすることで、耐火樹脂層が硬くなり過ぎたりすることを防止する。上記水酸基量は、基材への接着性をより高くする観点から高いほうがよく、より好ましくは23モル%以上、さらに好ましくは26モル%以上である。また、上記水酸基量は、より好ましくは37モル%以下、さらに好ましくは33モル%以下である。
また、上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル基量は、好ましくは0.1~30モル%である。アセチル基量がこの範囲内であると、耐湿性に優れ、可塑剤との相溶性に優れ、高い柔軟性を発揮して取扱い性が向上する。また、アセチル基量をこれら範囲内とすることで、上記する水酸基量を所望の範囲内として、基材への接着性を良好にしやすくなる。これら観点から、アセチル基量は、0.2モル%以上がより好ましく、0.5モル%以上がさらに好ましく、また、15モル%以下がより好ましく、7モル%以下がさらに好ましい。
なお、アセタール化度、水酸基量、及びアセチル基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定し、また算出することができる。
ポリビニルアセタール樹脂の重合度を低くすると粘度も下がり、耐火樹脂層中に耐火性添加剤を分散しやすくなる。そのような観点から、ポリビニルアセタール樹脂の重合度は、好ましくは2000以下、より好ましくは1500以下、さらに好ましくは1000以下である。
なお、ポリビニルアセタール樹脂の重合度は、JIS K6728に記載の方法に基づいて測定した粘度平均重合度をいう。
ポリ塩化ビニル樹脂は、塩化ビニル単独重合体であってもよいし、塩化ビニル系共重合体でよい。塩化ビニル系共重合体は、塩化ビニル及び塩化ビニルと共重合可能な不飽和結合を有する単量体の共重合体であって、塩化ビニル由来の構成単位を50質量%以上含有する。
塩化ビニルと共重合可能な不飽和結合を有する単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル、エチレン、プロピレン等のオレフィン、アクリロニトリル、スチレン等の芳香族ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。
また、ポリ塩化ビニル樹脂は、塩化ビニル単独重合体、塩化ビニル系共重合体などを塩素化したポリ塩素化塩化ビニル樹脂でもよい。
ポリ塩化ビニル樹脂は、上記したものの中から1種単独で使用してもよいし、2種以上
を併用してもよい。
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂としては、非架橋型のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂であってもよいし、また、高温架橋型のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂であってもよい。また、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂としては、エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物、エチレン-酢酸ビニルの加水分解物などのようなエチレン-酢酸ビニル変性体樹脂も用いることができる。
エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂は、JIS K 6730「エチレン・酢酸ビニル樹脂試験方法」に準拠して測定される酢酸ビニル含量が好ましく10~50質量%、より好ましくは25~45質量%である。酢酸ビニル含量をこれら下限値以上とすることで、基材への接着性が高くなる。また、酢酸ビニル含量をこれら上限値以下とすることで、耐火樹脂層の破断強度などの機械強度が良好となる。
また、上記樹脂の含有量は、好ましくは85質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、よりさらに好ましくは20質量%以下である。本発明では、これら上限値以下とすることで耐火性添加剤を多量に配合することが可能になる。
本発明において、耐火性添加剤は、吸熱剤、難燃剤、及び熱膨張性層状無機物から選択される1種又は2種以上である。耐火性添加剤は、耐火性を有し、発火が生じたときに、消火性能を発揮するものである。耐火性添加剤は、耐火積層体において樹脂中に分散され、かつ樹脂によって保持される。耐火性添加剤は、耐火性、消火性能、樹脂基材との接着性の観点から、吸熱剤を含むことが好ましい。
耐火性添加剤に使用する吸熱剤の具体例としては、水和金属化合物が挙げられる。水和金属化合物としては、火炎の接触により分解して水蒸気を発生し、吸熱する効果を有する化合物である。水和金属化合物としては、金属水酸化物、金属塩の水和物が挙げられる。具体的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、カルシウム-マグネシウム系水酸化物、ハイドロタルサイト、ベーマイト、タルク、ドーソナイト、硫酸カルシウムの水和物、硫酸マグネシウムの水和物、ホウ酸亜鉛[2ZnO・3B2O5・3.5H2O]などが挙げられる。
これらの中では、耐火性、消火性能などの観点から、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム2水和物、及び硫酸マグネシウム7水和物から選ばれる少なくとも1種が好ましく、特に水酸化アルミニウムが好ましい。
吸熱剤の熱分解開始温度は、400℃以下が好ましく、300℃以下がより好ましく、250℃以下が更に好ましい。吸熱剤の熱分解開始温度をこれら上限値以下とすることで発火時に速やかに吸熱剤が分解し、迅速に消火することが可能になる。また、吸熱剤の熱分解開始温度は、通常100℃以上、好ましくは150℃以上、さらに好ましくは180℃以上である。
なお、熱分解開始温度は、熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)により測定することができ、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。
なお、吸熱量は熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)を用いて測定することができ、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。
吸熱剤の平均粒子径は、0.5~60μmがより好ましく、0.8~40μmがさらに好ましく、0.8~10μmがよりさらに好ましい。吸熱剤の平均粒子径が上記範囲内であると、耐火樹脂組成物中における吸熱剤の分散性が向上し、吸熱剤を樹脂中に均一に分散させたり、樹脂に対する吸熱剤の配合量を多くしたりすることができる。さらに、耐火性、消火性能も向上させやすくなる。
なお、吸熱剤及び後述する難燃剤の平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置により測定したメディアン径(D50)の値である。
本発明に使用する難燃剤としてはリン原子含有化合物が挙げられる。リン原子含有化合物としては、赤リン、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、及びキシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、及びリン酸マグネシウム等のリン酸金属塩、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸アルミニウム等の亜リン酸金属塩、ポリリン酸アンモニウム、下記一般式(1)で表されるリン系化合物等が挙げられる。これらリン含有化合物を使用することで、耐火樹脂層に適切な耐火性、消火性能を付与できる。難燃剤は、これら1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記した難燃剤の中では、耐火シートの耐火性、消火性能を向上させる観点から、リン酸エステル、亜リン酸金属塩、及びポリリン酸アンモニウムから選択される1種又は2種以上が好ましい。なお、これら3成分は、全てを使用してもよいし、3成分のうち2成分を使用してもよい。複数種の難燃剤を使用することで、効果的に耐火性、消火性能を向上させやすくなる。
熱膨張性層状無機物は、加熱時に膨張する従来公知の物質であり、例えば、バーミキュライト、熱膨張性黒鉛などが挙げられ、中でも熱膨張性黒鉛が好ましい。熱膨張性層状無機物としては、粒子状やりん片状のものを用いてもよい。熱膨張性層状無機物は、加熱されることで膨張して大容量の空隙を形成するため、耐火積層体に着火した場合に延焼を抑制したり、消火したりする。
熱膨張性黒鉛は、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、無機酸と、強酸化剤とで処理してグラファイト層間化合物を生成させたものであり、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物の一種である。無機酸としては濃硫酸、硝酸、セレン酸等が挙げられる。強酸化剤としては濃硝酸、過硫酸塩、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等が挙げられる。上記のように酸処理して得られた熱膨張性黒鉛は、更にアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等でさらに中和処理してもよい。
熱膨張性黒鉛の平均アスペクト比は、2以上が好ましく、5以上がより好ましく、10以上が更に好ましい。熱膨張性黒鉛の平均アスペクト比の上限は特に限定されないが、熱膨張性黒鉛の割れ防止の観点から、1,000以下であることが好ましい。熱膨張性黒鉛の平均アスペクト比が2以上であることにより、膨張して大容量の空隙を作りやすくなるため難燃性が向上する。
熱膨張性黒鉛の平均アスペクト比は、10個の熱膨張性黒鉛について、それぞれ最大寸法(長径)及び最小寸法(短径)測定し、最大寸法(長径)を最小寸法(短径)で除した値の平均値を平均アスペクト比とする。熱膨張性黒鉛の長径及び短径は、例えば、電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて測定することができる。
耐火樹脂組成物における耐火性添加剤の含有量は、樹脂100質量部に対して、例えば50~2500質量部である。50質量部以上とすることで、耐火積層体に適切な耐火性、消火性能を付与できる。また、2500質量部以下とすると、耐火樹脂層に一定割合以上の樹脂を含有させることができるので、耐火樹脂層の樹脂中に耐火性添加剤を適切に分散させることが可能になる。そのため、成形性が良好となり、さらには、基材に対する接着性も良好となる。
耐火性添加剤の含有量は、樹脂100質量部に対して、耐火性、消火性能を向上させる観点から、好ましくは100質量部以上、より好ましくは250質量部以上であり、さらに好ましくは400質量部以上である。また、上記耐火性添加剤の含有量は、樹脂100質量部に対して、成形性、分散性の観点から、好ましくは2100質量部以下、より好ましくは1600質量部以下であり、さらに好ましくは1100質量部以下であり、基材との接着性の観点から、特に好ましくは750質量部以下である。
また、好ましくは難燃剤の含有量が2~100質量部であるとともに、熱膨張性層状無機物及び吸熱剤の少なくとも1種の含有量が98~2000質量部であり、より好ましくは難燃剤の含有量が5~100質量部であるとともに、熱膨張性層状無機物及び吸熱剤の少なくとも1種の含有量が240~1500質量部である。また、さらに好ましくは難燃剤の含有量が5~50質量部であるとともに、熱膨張性層状無機物及び吸熱剤の少なくとも1種の含有量が300~1000質量部であり、特に好ましくは難燃剤の含有量が5~30質量部であるとともに、熱膨張性層状無機物及び吸熱剤の少なくとも1種の含有量が380~720質量部である。
本発明の耐火樹脂組成物は、上記した耐火性添加剤以外の無機充填剤を更に含有してもよい。耐火性添加剤以外の無機充填剤としては特に制限されず、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト等の金属酸化物、炭酸カルシウムなどの水和金属化合物以外の金属化合物、ガラス繊維、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、木炭粉末、各種金属粉、炭化ケイ素、ステンレス繊維、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、及び脱水汚泥等が挙げられる。これらの無機充填剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の耐火樹脂組成物は、更に可塑剤を含有してもよい。特に樹脂成分がポリ塩化ビニル樹脂やポリビニルアセタール樹脂である場合、成形性などを向上させる観点から可塑剤を含むことが好ましい。
可塑剤は、一般にポリ塩化ビニル樹脂やポリビニルアセタール樹脂と併用される可塑剤であれば特に限定されない。具体的には、例えば、ジ-2-エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジヘプチルフタレート(DHP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)等のフタル酸エステル可塑剤、ジ-2-エチルヘキシルアジペート(DOA)、ジイソブチルアジペート(DIBA)、ジブチルアジペート(DBA)等の脂肪酸エステル可塑剤、エポキシ化大豆油等のエポキシ化エステル可塑剤、アジピン酸エステル、アジピン酸ポリエステル等のアジピン酸エステル可塑剤、トリー2-エチルヘキシルトリメリテート(TOTM)、トリイソノニルトリメリテート(TINTM)等のトリメリット酸エステル可塑剤、鉱油等のプロセスオイル等が挙げられる。可塑剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の耐火樹脂組成物が可塑剤を含有する場合、可塑剤の含有量は、樹脂100質量部に対して1~60質量部が好ましく、5~50質量部がより好ましく、10~40質量部がさらに好ましい。可塑剤の含有量が前記範囲内であると、成形性が向上する傾向にあり、また耐火樹脂層が柔らかくなり過ぎることを抑制できる。
本発明の耐火樹脂組成物は、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じて上記以外の添加成分を含有させることができる。この添加成分の種類は特に限定されず、各種添加剤を用いることができる。このような添加剤として、例えば、滑剤、収縮防止剤、結晶核剤、着色剤(顔料、染料等)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、難燃助剤、帯電防止剤、界面活性剤、加硫剤、分散剤、及び表面処理剤等が挙げられる。添加剤の添加量は成形性等を損なわない範囲で適宜選択でき、添加剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、基材として軟化点又は融点が300℃以上の基材を使用する。基材は、軟化点又は融点が300℃未満であると、発火が生じたときに支持体として効果的に機能できない。そのため、耐火性添加剤を所定の場所に留めることができず、耐火積層体の耐火性及び消火性能が低下する。
基材の軟化点又は融点は、耐火性、及び消火性能をより優れたものとする観点から、450℃以上が好ましく、600℃以上がより好ましく、850℃以上がさらに好ましく、1400℃以上が特に好ましい。また、基材の軟化点又は融点は、高ければ高いほどよいが、例えば5000℃以下、実用的には3000℃以下である。
また、金属としては、銅、アルミニウム、ステンレス、ニッケルから選択される1種以上が好ましく、中でも、引張り強度を高くして支持機能を効果的に向上させるために、ステンレス、ニッケルから選択される1種以上がより好ましい。また、無機繊維クロスとしては、ガラス繊維クロスが好ましく、樹脂フィルムとしては、ポリイミド樹脂フィルムが好ましい。
なお、基材の200℃における引張り強度は、JIS7113に準拠してオートグラフを用い引張速度20mm/分により測定したものである。
また、基材が、金属などの無機材料により形成される場合には、示差走査熱分析(DSC)により測定される融点を意味する。具体的にはセタラムインスツルメンツ社製「LABSYS EVO」を用い、アルゴン雰囲気下、20℃/分の条件で加熱し、吸熱ピークが観測される温度を融点とする。
なお、基材が、有機材料と無機材料の複合材料で形成される場合には、上記DSCにより測定し、ピークが2つ観測される場合には、上記示差走査熱分析(DSC)により測定されるうち、高い方の融点を意味する。また、融点又は軟化点を有しない材料(すなわち、上記方法では、軟化点などが測定されない材料)についても、本明細書では、上記示差走査熱分析(DSC)により測定した際、基材が分解する分解温度を融点又は軟化点とする。
本発明の耐火積層体は、耐火樹脂組成物を押出成形などすることで、基材の一方の面又は両面上に耐火樹脂層を形成することで製造することができる。また、本発明の耐火積層体は、溶剤により希釈した耐火樹脂組成物の希釈液を、基材の一方の面又は両面に塗布し、乾燥することで、基材の一方の面又は両面上に耐火樹脂層を形成することで製造してもよい。
さらに、本発明の耐火積層体は、予めシート状にした耐火樹脂組成物を、耐火樹脂層として、基材の一方の面又は両面に圧着などすることで積層させて製造してもよい。シート状の耐火樹脂組成物(耐火樹脂層)は、例えば、離型シート上に、押出成形などにより成形してもよいし、耐火樹脂組成物の希釈液を離型シート上に塗布し乾燥することで成形してもよい。
なお、基材の両面に、耐火樹脂層を形成する場合には、両面に同時に耐火樹脂層を形成してもよいし、片面ずつ順次、耐火樹脂層を形成してもよい。
また、本発明では、溶剤により希釈した耐火樹脂組成物の希釈液を用いて耐火樹脂層を形成することが好ましい。希釈液を用いる場合、樹脂は、通常、熱可塑性樹脂であり、好ましくはポリビニルアセタール樹脂である。
耐火樹脂組成物の希釈液は、通常、樹脂が溶剤により溶解され、かつ耐火性添加剤が溶剤中に分散されスラリーとなる。スラリーとする場合、例えば、まず、溶媒、分散剤、吸熱材を含む無機粉末をビーズミルなどの分散混合機により攪拌して無機分散液を作製する。その後、無機分散液に、予め溶剤に溶解した樹脂溶液を添加し、上記分散混合機によりさらに攪拌することで、耐火樹脂組成物の希釈液を作製するとよい。
耐火樹脂組成物の希釈液における固形分濃度は、例えば30~70質量%、好ましくは35~65質量%、より好ましく40~60質量%である。固形分濃度が下限値以上であると、効率的に樹脂組成物層を形成することができる。また、上記上限値以下とすることで、樹脂を溶媒に溶解させ、かつ耐火性添加剤を溶媒に分散させやすくなる。
本発明の耐火積層体は、粘着材を備えてもよい。粘着材は、耐火樹脂層が基材の一方の面のみに設けられる場合、基材の他方の面に設けられてもよいし、耐火樹脂層上に設けられてもよいが、耐火樹脂層上に設けられることが好ましい。耐火樹脂層上に粘着材が設けられると、耐火積層体は、粘着材を介してバッテリーに貼り合わせた場合、バッテリー側から、耐火樹脂層、基材の順で配置されることになる。このような配置により、後述するように消火性能が高めやすくなる。
また、耐火樹脂層が基材の両面に設けられる場合、粘着材は、一方の耐火樹脂層上に設けられてもよいし、両方の耐火樹脂層上に設けられてもよいが、両方の耐火樹脂層上に設けられることが好ましい。粘着材が両方の耐火樹脂層上に設けられることで、例えば、2つのバッテリーセルの間に耐火積層体が配置される場合、耐火積層体は両方のバッテリーセルに貼り合わせることができる。
粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に制限はなく、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤等が挙げられるが、これらに限定されない。粘着材の厚みは、特に限定されないが、例えば、3~500μm、好ましくは10~200μmである。
また、両面粘着テープに使用する基材は、樹脂フィルム、不織布など、両面粘着テープに使用される公知の基材を使用するとよい。
本発明の耐火積層体は、バッテリーに用いられることが好ましい。バッテリーは、通常、少なくとも1つのバッテリーセルを有し、そのバッテリーセルの表面上に耐火積層体が配置されるとよい。また、耐火積層体は、耐火樹脂層がバッテリーセル側に向けられることが好ましい。すなわち、耐火積層体は、バッテリーセル側から、耐火樹脂層、基材の順に配置されることが好ましい。耐火樹脂層がバッテリーセルに向けられることで、バッテリーセルで発火が生じたときに、その発火を耐火樹脂層により迅速に消火できるようになる。バッテリーは、バッテリーセルを1つ有してもよいし、2つ以上有してもよい。
バッテリーセルが円筒型の場合、正極材、負極材、セパレータ、正極端子、負極端子、絶縁材、安全弁、ガスケット、及び正極キャップ等が外装缶に収容されているバッテリーの構成単位を指す。一方、バッテリーセルが角型の場合、正極材、負極材、セパレータ、正極端子、負極端子、絶縁材、及び安全弁等が外装缶に収容されているバッテリーの構成単位を指す。バッテリーセルがラミネート型の場合、正極材、負極材、セパレータ、正極端子、及び負極端子等が外装フィルムに収容されているバッテリーの構成単位を指す。ラミネート型のバッテリーでは、2枚の外装フィルムの間、或いは、1枚の外装フィルムが例えば2つ折りで折り畳まれ、その折り畳まれた外装フィルムの間に、正極材、負極材、セパレータ、正極端子、及び負極端子等が配置され、外装フィルムの外縁部がヒートシールによって圧着されている。外装フィルムとしては例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムが積層されたアルミニウムフィルム等が挙げられる。
また、バッテリーセルは、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、ニッケル・水素電池、リチウム・硫黄電池、ニッケル・カドミウム電池、ニッケル・鉄電池、ニッケル・亜鉛電池、ナトリウム・硫黄電池、鉛蓄電池、空気電池等の二次電池であり、これらの中でもリチウムイオン電池が好ましい。
バッテリーは、例えば、携帯電話及びスマートフォン等の小型電子機器、ノートパソコン、自動車等に使用されるが、これらに限定されない。
また、バッテリーセルは、安全弁を有することが多いが、安全弁を有する場合、耐火積層体によって安全弁を覆うように設けられることが好ましい。このとき、耐火積層体は、安全弁の機能を担保するために、安全弁を密封させないように覆うとよい。さらに、ラミネート型のバッテリーセルの場合には、ヒートシールによって圧着されるヒートシール部を耐火積層体によって覆うように設けられることが好ましい。
バッテリーセルは、安全弁又はヒートシール部から発火することが多いため、これらを耐火積層体で覆うことでバッテリーセルの発火より有効に消火しやすくなる。
さらに、耐火積層体は、バッテリーセルの大部分の表面を多い、かつ安全弁又はヒートシール部を有する場合、安全弁又はヒートシール部も覆うように配置されることがより好ましい。例えば、耐火積層体はバッテリーセルに巻くように配置されるとよい。
また、例えば、図4に示すようにバッテリーセル11が角型の場合、耐火積層体20は、主面11A,11Bの両方のみに設けられてもよい。さらに、主面11A,11Bのうち、一方のみに設けられてもよい。
さらに、図6に示すように、バッテリーセル11が円筒型の場合、耐火積層体20は、バッテリーセル11の外周面に巻き付けられるように配置されればよい。
また、耐火積層体20は、耐火積層体20の一方の面に設けられた粘着材を介してバッテリーセル11に接着されてもよい。すなわち、耐火樹脂層22の表面上に配置された粘着材を介してバッテリーセル11に取り付けられてもよい。
図7に示すバッテリーは、模式的にバッテリーセル11を2つのみ示すが、3つ以上のバッテリーセルが設けられてもよい。その場合、バッテリーセル11、11の間それぞれには、耐火積層体25が上記した構成で配置されるとよい。
<熱分解開始温度の測定方法>
熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)を用いて測定した。測定条件は、室温から1000℃まで、昇温速度4℃/min、吸熱剤重量10mgであった。得られたTG曲線から重量が減少し始める温度を熱分解開始温度とした。
<吸熱量の測定方法>
熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)を用いて、測定条件は、室温から1000℃まで、昇温速度4℃/min、吸熱剤重量10mgであった。得られたDTA曲線から吸熱量(凹部の面積)から算出した。
<平均粒子径の測定方法>
各成分の平均粒子径はレーザー回折法で測定した。具体的には、レーザー回折散乱方式粒度分布計等の粒度分布計によって求めた粒度分布における積算値50%での粒子径を平均粒子径とした。
<基材の引張り強度>
引張り強度は、JIS7113に準拠してAUTOGRAPH(島津製作所製、AGS-J)を用い、引張速度20mm/分により測定した。
<基材の融点又は軟化点>
明細書記載の方法により測定した。
スマートフォンに使用されるラミネート型のリチウムイオン電池の周囲に、実施例及び比較例で作成した耐火積層体を巻くように配置し、300℃に設定したホットプレート上に試験体を載せて火の放出から火が消されるまでの時間を評価した。消火時間が5秒以内であった場合を「A」、消火時間が5秒超10秒以内であった場合を「B」、消火時間が10秒超30秒以下であった場合を「C」、消火時間が30秒超であった場合を「D」として評価し、消火時間が短い方が消火性能に優れていることを表す。結果を表1に示す。
実施例及び比較例で作成した耐火積層体を2cm×5cmの試験片に切り出し、その切り出したサンプルの下端に炎の先端が接触するようにガスライター(商品名「チャッカマン」、株式会社東海製)であぶり、下記の評価基準で判定した。
A:1分以上変化なし。
B:30秒以内に燃焼して変形した。
C:15秒以内に燃焼して変形した。
D:5秒以内に燃焼して変形した。
実施例及び比較例で得られた耐火積層体の常温(23℃)及び200℃における引張り強度を測定して、200℃における引張り強度の常温時からの悪化率(強度の低下率)をもとに下記で判定した。
A:悪化率10%以下
B:悪化率10~40%
C:悪化率40~80%
D:悪化率80%以上、もしくは形状保持できず
JIS D0202-1988に準拠して碁盤目テープ剥離試験を行った。セロハンテープ(商品名「CT24」,ニチバン株式会社製)を用い、実施例及び比較例で得られた耐火樹脂層に指の腹で密着させた後剥離した。判定は100マスの内、基材から剥離しないマス目のパーセントで表し,下記で判定した。
A:80%以上
B:40%以上80%未満
C:10%以上40%未満
D:10%未満
<樹脂>
PVB1:ポリビニルブチラール樹脂、重合度800、アセタール化度69mol%、アセチル基量1mol%、水酸基量30mol%
PVB2:ポリビニルブチラール樹脂、重合度1700、アセタール化度75mol%、アセチル基量3mol%、水酸基量22mol%
PVC:ポリ塩化ビニル樹脂、商品名「TKシリーズ」、信越化学社製
EVA:エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、商品名「エバフレックス」、三井デュポンケミカル社製、酢酸ビニル含量40質量%
<可塑剤>
DIDP:ジイソデシルフタレート
<熱膨張性黒鉛>
ADT501:商品名「ADT-501」、ADT社製、平均アスペクト比25.2
<吸熱剤>
水酸化アルミニウム1:BF013、日本軽金属株式会社製、平均粒子径1μm、熱分解開始温度201℃、吸熱量1998J/g
水酸化アルミニウム2:SB303、日本軽金属株式会社製、平均粒子径27μm、熱分解開始温度201℃、吸熱量1998J/g
硫酸カルシウム:硫酸カルシウム2水和物、ナカライテスク社製、平均粒子径42μm、熱分解開始温度120℃、吸熱量750J/g
<難燃剤>
ポリリン酸アンモニウム:AP422、クラリアント社、平均粒子径15μm
亜リン酸アルミニウム;APA100、太平化学産業社製、平均粒子径42μm
トリフェニルホスフェート:Triphenyl Phosphate EP、東京化成工業株式会社製、平均粒子径100μm
<分散剤>
楠本化成社製:ED400
表1に示した配合に従って、吸熱剤、難燃剤、分散剤をエタノール加えて、ビーズミル(アイメックス社製「レディーミル」)にて、30分間撹拌することにより、無機分散液を作製した。次に、この無機分散液に、予め樹脂、可塑剤をエタノールに溶解した樹脂溶液を添加し、ビーズミルにてさらに60分間攪拌することで固形分濃度52質量%のスラリー液を用意した。そのスラリー液を厚さ15μmのSUS箔に塗布して、80℃、30分間で乾燥させて、厚さ40μmの耐火樹脂層を形成して、基材の片面に耐火樹脂層を設けた耐火積層体を得た。
実施例7,8はそれぞれ固形分濃度を40質量%、65質量%に変更してシートを作製した以外は実施例1と同様に実施した。
表1に示した配合を有する耐火樹脂組成物を、一軸押出機に供給し、150℃で押出成形して基材上に積層することで、厚さ40μmの耐火樹脂層を形成して、基材の片面に耐火樹脂層を設けた耐火積層体を得た。
基材を表2に示す種類のものに変更した以外は、実施例1と同様に実施した。なお、ガラスクロスとしては、日東紡社製の「NCRガラス」を使用した。ポリイミドとしては、東レデュポン社製のポリイミド樹脂フィルム(商品名「カプトン」)を使用した。パンチングSUS箔及びパンチング銅箔は、厚さ20μmのSUS箔、又は銅箔に直径1mmの孔を3mm間隔で碁盤目状に設けたものであった。SUSメッシュは、阪倉金網社製のものであって、厚み70μm、目開き250メッシュ、平織タイプのものを使用した。
[実施例23]
基材を表2に示す種類のものに変更した以外は、実施例12と同様に実施した。
基材を表2に示す種類のものを使用し、かつ耐火樹脂層を基材の両面に設けた以外は、実施例1と同様に実施した。なお、耐火樹脂層は、実施例1と同様に基材の一方の面に耐火樹脂層を形成した後、同様の方法によって基材の他方の面にも耐火樹脂層を形成した。
スラリー液をSUS箔に塗布する代わりに、離型フィルム(リンテック社製のPETフィルム)に塗布して乾燥させて、厚さ40μmの耐火樹脂層を形成し、離型フィルムを耐火樹脂層から剥離して、厚さ40μmの耐火樹脂層単層からなる耐火シートを得た。
表2に示した配合を有する耐火樹脂組成物を、一軸押出機に供給し、150℃で押出成形して、厚さ40μmの耐火樹脂層単層からなる耐火シートを得た。
基材を表2に示す種類のものに変更した以外は、実施例1と同様に実施した。なお、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムは、東洋紡社製の「エスペットフィルム」を使用し、PP(ポリプロピレン)フィルムは、フタムラ化学社製の2軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用した。紙としては一般的なコピー用紙を使用した。
11 バッテリーセル
20、25 耐火積層体
21 基材
22 耐火樹脂層
Claims (9)
- 耐火積層体と、バッテリーセルとを備え、前記耐火積層体が、バッテリーセルの表面上に設けられるバッテリーであって、
前記耐火積層体が、基材と、前記基材の少なくとも一方の面に設けられる耐火樹脂層とを備え、
前記耐火樹脂層が、樹脂と、吸熱剤、難燃剤、及び熱膨張性層状無機物からなる群から選択される少なくとも1種の耐火性添加剤とを含む耐火樹脂組成物からなり、
前記基材の軟化点又は融点が300℃以上である耐火積層体であり、
前記バッテリーセル側から、前記耐火樹脂層及び前記基材の順に配置されるように、前記耐火積層体が、前記バッテリーセルの表面上に設けられる構造である、バッテリー。 - 前記基材の200℃における引張り強度が3GPa以上である請求項1に記載のバッテリー。
- 前記基材が、金属基材である請求項1又は2に記載のバッテリー。
- 前記熱膨張性層状無機物が、熱膨張性黒鉛である請求項1~3のいずれか1項に記載のバッテリー。
- 前記難燃剤が、リン原子含有化合物である請求項1~4のいずれか1項に記載のバッテリー。
- 前記耐火性添加剤の含有量が、樹脂100質量部に対して、50~2500質量部である請求項1~5のいずれか1項に記載のバッテリー。
- 前記樹脂が熱可塑性樹脂である請求項1~6のいずれか1項に記載のバッテリー。
- 前記耐火樹脂層の厚さが、2~5000μmである請求項1~7のいずれか1項に記載のバッテリー。
- 前記基材に対する前記耐火樹脂層の厚さの比が2/8~9/1である請求項1~8のいずれか1項に記載のバッテリー。
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