JP2020158159A - 包装材料、積層体、及び樹脂成形容器 - Google Patents

包装材料、積層体、及び樹脂成形容器 Download PDF

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健一 大月
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彰人 土肥
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倫男 島本
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俊明 森
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Abstract

【課題】容器重量が軽くても、熱暴走を抑制し、また、熱暴走が起こっても容器の表面温度が上昇しにくい包装材料を提供する。【解決手段】本発明の包装材料は、樹脂と、熱分解開始温度が500℃以下、吸熱量が500J/g以上である吸熱剤とを含有する吸熱剤樹脂組成物からなり、吸熱剤の含有量が、吸熱剤樹脂組成物全量基準で、15〜85質量%であり、かつ前記吸熱剤樹脂組成物全体における吸熱量が250J/g以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、包装材料、積層体、及び包装材料又は積層体から成形される樹脂成形容器に関し、より具体的にはバッテリーに使用される包装材料、積層体及び樹脂成形容器に関する。
リチウムイオン電池に代表される各種バッテリーは、内部短絡等が原因によりバッテリーが熱暴走し、発火や発煙等の不具合を生じることがある。このような不具合が生じたバッテリーは、リコールの対象となり、製造元へ輸送されることがある。
リチウムイオン電池の輸送は、例えば特許文献1に示されるように段ボールが使用され、また、輸送コンテナが使用されることもある。輸送コンテナとしては、例えば特許文献2に示されるように、内部にリチウムイオン電池などの熱活性材料が配置される空間を区画するパネルを備え、そのパネルがパーティション部材によって複数のセルを規定し、該セルに流動性ポリマー系熱吸収材料が保持されたものが知られている。特許文献2では、流動性ポリマー系熱吸収材料として高吸水性ポリマーが使用される。
特開2002−75308号公報 特表2017−534531号公報
ところで、一旦熱暴走したリチウムイオン電池などのバッテリーは、再度熱暴走しやすく、リコールなどにより輸送する場合には、厳重に管理する必要がある。しかし、特許文献1のように、段ボールで輸送すると、リチウムイオン電池が熱暴走により発火しても、その発火を止めることができない。
一方で、特許文献2では、パネルに高吸水性ポリマーを含有させることで発火はある程度防止できるが、高吸水性ポリマーでは十分に発火を防止できないことがある。また、高吸水性ポリマーを保持するためのセルを設ける必要があり、輸送コンテナの構造が複雑になる。
さらに、近年、不具合が生じたバッテリーは、耐熱性を有する金属容器などの専用容器に収納した上で輸送することが検討されている。金属容器は、バッテリーの発火を止めることができるものの容器表面の温度が高くなり、作業者がやけどを負うなどの危険性があるうえ、容器重量が大きく、輸送、運搬時には作業者の負担が大きくなる。
そこで、本発明は、容器が軽量であっても、吸熱することで熱暴走を抑制し、また、熱暴走が起こっても容器の表面温度が上昇しにくい包装材料を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、包装材料に樹脂と特定の吸熱剤を含有させ、吸熱剤樹脂組成物全体の吸熱量を所定値以上とすることで上記課題ができることを見出し、以下の本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[10]を要旨とする。
[1]樹脂と、熱分解開始温度が500℃以下、吸熱量が500J/g以上である吸熱剤とを含有する吸熱剤樹脂組成物からなり、吸熱剤の含有量が、吸熱剤樹脂組成物全量基準で、15〜85質量%であり、かつ前記吸熱剤樹脂組成物全体における吸熱量が180J/g以上である包装材料。
[2]前記吸熱剤が水和金属化合物である上記[1]に記載の包装材料。
[3]前記水和金属化合物が、金属水酸化物、及び金属硫酸化物の水和物からなる群から選択される少なくとも1種である上記[2]に記載の包装材料。
[4]前記樹脂が熱可塑性樹脂である上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の包装材料。
[5]前記樹脂のメルトフローレートが1〜100g/10minである上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の包装材料。
[6]前記吸熱剤樹脂組成物がさらに難燃剤を含有する上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の包装材料。
[7]厚さが、0.3〜10mmである上記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の包装材料。
[8]バッテリー用に使用される上記[1]〜[7]のいずれか1項に記載の包装材料。
[9]上記[1]〜[8]のいずれか1項に記載の包装材料からなる包装材料層と、基材とを備え、
前記包装材料層が、前記基材の少なくとも一方の面に設けられる積層体。
[10]上記[1]〜[8]のいずれか1項に記載の包装材料、又は上記[9]に記載の積層体から成形される樹脂成形容器。
本発明によれば、容器が軽量であっても、吸熱することで熱暴走を抑制し、また、熱暴走が起こっても容器の表面温度が上昇しにくい包装材料を提供できる。
本発明の一実施形態に係る樹脂成形容器の斜視図を示す。 本発明の別の実施形態に係る樹脂成形容器の斜視図を示す。 本発明の別の実施形態に係る樹脂成形容器の断面図を示す。
[包装材料]
本発明の包装材料は、樹脂と、吸熱剤とを含有する吸熱剤樹脂組成物からなる。以下、包装材料を構成する各成分について詳細に説明する。
(樹脂)
本発明では、包装材料に樹脂を使用することで、包装材料、及び包装材料によって成形される樹脂成形容器を軽量にすることができる。包装材料に使用される樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及びエラストマー樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ノボラック樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイソブチレン、変性ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂等の合成樹脂が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド等の合成樹脂が挙げられる。
エラストマー樹脂としては、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−プロピレンゴム、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、水素添加スチレン−イソプレンブロック共重合体、水素添加スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体等が挙げられる。
本発明においては、これら樹脂のうち1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
吸熱剤樹脂組成物に含有される樹脂は、上記した中でも、熱可塑性樹脂が好ましい。吸熱剤樹脂組成物に熱可塑性樹脂を使用すると、樹脂成形容器を簡単な方法で成形できる。
また、熱可塑性樹脂の中でも、成形性の観点からポリオレフィン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂が好ましく、ポリオレフィン樹脂がより好ましい。ポリオレフィン樹脂としては、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ(1−)ブテン樹脂、及びポリペンテン樹脂等が挙げられ、これらの中では、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂が好ましく、得られる容器の耐熱性をより高める観点から、ポリプロピレン樹脂がさらに好ましい。
(ポリエチレン樹脂)
ポリエチレン樹脂としては、低密度ポリエチレン樹脂(0.93g/cm以下、LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(0.930g/cmより大きく0.942g/cm未満、MDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(0.942g/cm以上、HDPE)が挙げられる。また、低密度ポリエチレン樹脂の好適な具体例としては、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)が挙げられる。
なお、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の密度は、好ましくは0.90g/cm以上であり、より好ましくは0.91g/cm以上である。また、高密度ポリエチレン樹脂の密度は、好ましくは0.98g/cm以下であり、より好ましくは0.97g/cm以下である。高密度ポリエチレン樹脂や直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の密度をこれら範囲内とすることで、成形性、機械特性などが良好となる。
ポリエチレン樹脂は、エチレンのホモポリマーでもよいが、エチレンを主成分(全モノマーの好ましくは75質量%以上、より好ましくは90質量%以上)とした、エチレンと少量のα−オレフィンの共重合体などでもよい。α−オレフィンとしては、好ましくは炭素数3〜12、より好ましくは炭素数4〜10のものが挙げられ、具体的には、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン等が挙げられる。なお、共重合体において、これらのα−オレフィンは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、ポリエチレン樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(ポリプロピレン樹脂)
ポリプロピレン樹脂としては、プロピレンの単独重合体であるホモポリプロピレンでもよいし、プロピレンを主成分(全モノマーの好ましくは75質量%以上、より好ましくは90質量%以上)とした、プロピレンと少量のプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体等が挙げられる。
プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、ランダムブロック共重合体等が挙げられるが、これらの中でも、ランダム共重合体(すなわち、ランダムポリプロピレン)が好ましい。
プロピレン以外のα−オレフィンとしては、炭素数2のエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン等の炭素数4〜10程度のα−オレフィン等が挙げられるが、これらの中でも、成形性及び耐熱性の観点から、エチレンが好ましい。なお、共重合体において、これらのα−オレフィンは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、ポリプロピレン樹脂としては、酸変性ポリプロピレン樹脂であってもよい。酸変性ポリプロピレン樹脂としては、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリプロピレン樹脂であり、ポリプロピレン樹脂中にカルボキシル基や無水カルボン酸基を有する。酸変性プロピレン樹脂は、不飽和カルボン酸又はその誘導体とプロピレンとの共重合でもよいし、不飽和カルボン酸又はその誘導体をポリプロピレン樹脂にグラフト変性したものでもよい。不飽和カルボン酸としては、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、オレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。不飽和カルボン酸又はその誘導体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
酸変性ポリプロピレン樹脂を後述する金属水酸化物と併用すると、包装材料の機械強度が向上する。
本発明において、樹脂のメルトフローレート(MFR)は、1〜100g/10minであることが好ましく、15〜100g/10minであることがより好ましく、20〜80g/10minであることがさらに好ましく、25〜75g/10minであることがよりさらに好ましい。樹脂のメルトフローレートを上記範囲内とすることで、樹脂成形容器などを成形する際の成形性が良好となる。また、吸熱剤樹脂組成物における吸熱剤の分散性が良好となり、吸熱剤を吸熱剤樹脂組成物において均一に分散させやすくなる。
なお、メルトフローレートは、JIS K 7210−2:1999に従って190℃、2.16kg荷重の条件によって測定されたものである。
吸熱剤樹脂組成物における樹脂の含有量は、吸熱剤樹脂組成物全量基準で、好ましくは15〜85質量%である。樹脂の含有量を15質量%以上とすると、吸熱剤樹脂組成物の成形性、包装材料の強度が良好となる。一方で85質量%以下とすると、吸熱剤樹脂組成物に一定量以上の吸熱剤を含有させることが可能になり、バッテリー暴走時の表面温度を低くしやすくなる。これら観点から上記樹脂の含有量は、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましく、40質量%以上がよりさらに好ましい。また、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましく、60質量%以下がよりさらに好ましい。
(吸熱剤)
本発明において使用される吸熱剤は、熱分解開始温度が500℃以下、吸熱量が500J/g以上である。
吸熱剤の熱分解開始温度が500℃を超えると、バッテリーが熱暴走したときに、速やかに消火できなかったり、容器の表面温度を低下できなかったりする。熱暴走時の表面温度を適切に低下させ、また発火したときに速やかに消火する観点から、吸熱剤の熱分解開始温度は、400℃以下が好ましく、300℃以下がより好ましく、250℃以下が更に好ましい。
また、吸熱剤の熱分解開始温度は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは150℃以上、さらに好ましくは180℃以上である。これら下限値以上とすることで、通常の使用環境下で吸熱剤が誤って分解することを防止する。
なお、熱分解開始温度は、熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)により測定することができ、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。
吸熱剤の吸熱量が500J/g未満となると、バッテリーが熱暴走したときに、速やかに消火できなかったり、容器の表面温度の上昇を十分に抑制できなかったりする。吸熱剤の吸熱量は、好ましくは600J/g以上、より好ましくは900J/g以上である。吸熱剤の吸熱量がこれら下限値以上であると、熱の吸収性が向上するため、熱暴走時の容器表面を低温度に維持でき、耐火性も良好となる。吸熱剤の吸熱量は、通常、4000J/g以下、好ましくは3000J/g以下、より好ましくは2000J/g以下である。
なお、吸熱量は熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)を用いて測定することができ、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。
耐火性添加剤に使用する吸熱剤としては、水和金属化合物が挙げられる。水和金属化合物としては、火炎に接触し、また高温に加熱されたときに分解して水蒸気を発生し、吸熱する効果を有する化合物である。水和金属化合物の具体例としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、カルシウム−マグネシウム系水酸化物、ハイドロタルサイト、ベーマイト、タルク、ドーソナイト、又はこれらの水和物などの金属水酸化物、若しくはこれらの水和物、硫酸カルシウムの水和物、硫酸マグネシウムの水和物などの金属硫酸化物の水和物、ホウ素亜鉛の水和物などのホウ素系化合物が挙げられる。
これらの中では、熱暴走時の容器表面温度を効果的に低下させる観点、耐火性の観点などから、金属水酸化物、及び金属硫酸化物の水和物から選択されることが好ましく、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、カルシウム−マグネシウム系水酸化物、硫酸カルシウムの水和物、硫酸マグネシウムの水和物などがあげられ、金属水酸化物がより好ましく、水酸化アルミニウムが特に好ましい。
また、金属水酸化物は、表面処理されたものでもよい。使用する表面処理剤としては、例えば、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、脂環族カルボン酸、樹脂酸、ホスホン酸、多価カルボン酸、及びそれらの金属塩などが挙げられる。これらは単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
飽和脂肪酸としては、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などが挙げられ、不飽和脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などが挙げられる。脂環族カルボン酸としては、例えば、シクロペンタン環やシクロヘキサン環の末端にカルボキシル基を持つナフテン酸などが挙げられ、樹脂酸としては、例えば、アビエチン酸、ピマル酸、ネオアビエチン酸などが挙げられる。飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、脂環族カルボン酸及び樹脂酸の金属塩としては、例えば、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属塩や、アンモニウム塩などが挙げられる。無機粒子の表面処理剤としては、プロピレン系樹脂に対する滑性の観点から飽和脂肪酸を用いることがより好ましい。
無機粒子に対する表面処理剤の被覆処理量は、無機粒子100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、0.3〜5質量部がより好ましく、1〜3質量部が特に好ましい。
吸熱剤は、上記したものの中から1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、吸熱剤は、平均粒子径が0.1〜90μmであることが好ましい。吸熱剤の平均粒子径は、0.5〜60μmがより好ましく、0.8〜40μmがさらに好ましく、0.8〜30μmがよりさらに好ましい。吸熱剤の平均粒子径が上記範囲内であると、吸熱剤樹脂組成物中における吸熱剤の分散性が向上し、吸熱剤を樹脂中に均一に分散させたり、樹脂に対する吸熱剤の配合量を多くしたりすることができる。さらに、耐火性、消火性能も向上させやすくなり、熱暴走時に容器の温度を低くしやすくなる。
なお、吸熱剤及び後述する難燃剤の平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置により測定したメディアン径(D50)の値である。
吸熱剤樹脂組成物における吸熱剤の含有量は、吸熱剤樹脂組成物全量基準で、15〜85質量%である。吸熱剤の含有量が15質量%未満であると、吸熱剤による吸熱が少なくなり耐火性、消火性などが不十分となり、さらに、バッテリー暴走時の表面温度を低くしにくくなる。また、吸熱剤の含有量が85質量%より大きくなると、吸熱剤樹脂組成物に一定量以上の樹脂を配合しにくくなり、容器の成形性、機械強度などが低下する。
吸熱剤の含有量は、吸熱剤樹脂組成物全量基準で、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましく、また、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましい。吸熱剤の含有量を上記下限値以上とすることで、吸熱剤による吸熱が高くなり耐火性、消火性などが優れたものとなり、バッテリー暴走時の表面温度を高くしやすくなる。また、吸熱剤の含有量を上記上限値以下とすることで、吸熱剤樹脂組成物に一定量以上の樹脂を配合しやすくなり、容器の成形性、機械強度などを優れたものにしやすい。
(難燃剤)
本発明の吸熱剤樹脂組成物は、難燃剤を含有してもよい。使用する難燃剤としてはリン原子含有化合物が挙げられる。リン原子含有化合物としては、赤リン、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、及びキシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、及びリン酸マグネシウム等のリン酸金属塩、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸アルミニウム等の亜リン酸金属塩、ポリリン酸アンモニウム、下記一般式(1)で表されるリン系化合物等が挙げられる。これらリン含有化合物を使用することで、包装材料に適切な耐火性、消火性能、難燃性を付与できる。難燃剤は、これら1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記一般式(1)中、R及びRは、同一又は異なって、水素、炭素数1〜16の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、又は炭素数6〜16のアリール基を示す。Rは、水酸基、炭素数1〜16の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜16の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシル基、炭素数6〜16のアリール基、又は炭素数6〜16のアリールオキシ基を示す。
前記一般式(1)で表される化合物の具体例としては、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、n−プロピルホスホン酸、n−ブチルホスホン酸、2−メチルプロピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチル−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられる。
上記した難燃剤の中では、包装材料の耐火性、消火性能、難燃性を向上させる観点から、リン酸エステル、亜リン酸金属塩、及びポリリン酸アンモニウムから選択される1種又は2種以上が好ましく、ポリリン酸アンモニウムがより好ましい。
難燃剤は、好ましくは、常温(23℃)及び常圧(1気圧)で固体状となるものである。難燃剤の平均粒子径は、1〜200μmが好ましく、1〜60μmがより好ましく、3〜40μmがさらに好ましく、5〜20μmがよりさらに好ましい。難燃剤の平均粒子径が上記範囲内であると、吸熱剤樹脂組成物中における難燃剤の分散性が向上し、難燃剤を樹脂中に均一に分散させたり、樹脂に対する難燃剤の配合量を多くしたりすることができる。
吸熱剤樹脂組成物が難燃剤を含有する場合、難燃剤の含有量は、吸熱剤樹脂組成物全量基準で、好ましくは5〜50質量%である。上記下限値以上とすることで、包装材料の耐火性、消火性、難燃性などが良好になりやすい。また、上限値以下とすることで、樹脂及び吸熱剤を吸熱剤樹脂組成物に一定量以上含有しやすくなり、上記した樹脂及び吸熱剤を含有させる効果を発揮しやすくなる。
これら観点から、難燃剤の含有量は、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましく、また、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。
また、吸熱剤に加えて難燃剤を含有する場合、吸熱剤樹脂組成物における吸熱剤に対する難燃剤の質量比は、1/9〜8/2が好ましく、2/8〜7/3がより好ましく、3/7〜6/4がさらに好ましい。これら範囲内とすることで、吸熱剤及び難燃剤を含有することの効果を発揮しやすくなる。
(無機充填剤)
本発明の吸熱剤樹脂組成物は、上記した吸熱剤、難燃剤以外の無機充填剤を更に含有してもよい。吸熱剤、難燃剤以外の無機充填剤としては特に制限されず、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト等の金属酸化物、炭酸カルシウムなどの水和金属化合物以外の金属化合物、ガラス繊維、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、木炭粉末、各種金属粉、炭化ケイ素、ステンレス繊維、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、及び脱水汚泥等が挙げられる。
また、吸熱剤樹脂組成物は、無機充填剤として熱膨張性層状無機物を含有してもよい。熱膨張性層状無機物は、加熱時に膨張する従来公知の物質であり、例えば、バーミキュライト、熱膨張性黒鉛などが挙げられ、中でも熱膨張性黒鉛が好ましい。熱膨張性層状無機物としては、粒子状やりん片状のものを用いてもよい。熱膨張性層状無機物は、加熱されることで膨張して大容量の空隙を形成するため、包装材料に着火した場合に延焼を抑制したり、消火したりする。
上記した無機充填剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の吸熱剤樹脂組成物が、吸熱剤及び難燃剤以外の無機充填剤を含有する場合、その含有量は、吸熱剤樹脂組成物全量基準で、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは2〜20質量%である。
(可塑剤)
本発明の吸熱剤樹脂組成物は、更に可塑剤を含有してもよい。特に樹脂成分がポリ塩化ビニル樹脂やポリビニルアセタール樹脂である場合、成形性などを向上させる観点から可塑剤を含むとよい。
可塑剤は、一般にポリ塩化ビニル樹脂やポリビニルアセタール樹脂と併用される可塑剤であれば特に限定されない。具体的には、例えば、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジヘプチルフタレート(DHP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)等のフタル酸エステル可塑剤、ジ−2−エチルヘキシルアジペート(DOA)、ジイソブチルアジペート(DIBA)、ジブチルアジペート(DBA)等の脂肪酸エステル可塑剤、エポキシ化大豆油等のエポキシ化エステル可塑剤、アジピン酸エステル、アジピン酸ポリエステル等のアジピン酸エステル可塑剤、トリー2−エチルヘキシルトリメリテート(TOTM)、トリイソノニルトリメリテート(TINTM)等のトリメリット酸エステル可塑剤、鉱油等のプロセスオイル等が挙げられる。可塑剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の吸熱剤樹脂組成物が可塑剤を含有する場合、可塑剤の含有量は、樹脂100質量部に対して1〜60質量部が好ましく、5〜50質量部がより好ましく、10〜40質量部がさらに好ましい。可塑剤の含有量が前記範囲内であると、成形性が向上する傾向にあり、また包装材料が柔らかくなり過ぎることを抑制できる。
(その他成分)
本発明の吸熱剤樹脂組成物は、本発明の目的が損なわれない範囲で、必要に応じて上記以外の添加成分を含有させることができる。この添加成分の種類は特に限定されず、各種添加剤を用いることができる。このような添加剤として、例えば、滑剤、収縮防止剤、結晶核剤、着色剤(顔料、染料等)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、難燃助剤、帯電防止剤、界面活性剤、加硫剤、分散剤、及び表面処理剤等が挙げられる。添加剤の添加量は成形性等を損なわない範囲で適宜選択でき、添加剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(吸熱剤樹脂組成物全体の吸熱量)
本発明の吸熱剤樹脂組成物全体の吸熱量は180J/g以上である。吸熱量が180J/g未満であると、吸熱剤樹脂組成物からなる包装材料による吸熱が不十分となり、熱暴走を抑制できなかったり、容器表面の温度が必要以上に高くなったりする。熱暴走を十分に抑制し、かつ容器表面の温度を低くする観点から、吸熱剤樹脂組成物全体の吸熱量は250J/g以上が好ましく、350J/g以上がより好ましく、450J/g以上がさらに好ましい。
また、樹脂の量を所定量以上含有させて、包装材料の成形性、機械強度など向上させる観点から、吸熱剤樹脂組成物全体の吸熱量は、例えば1500J/g以下、好ましくは1000J/g以下、より好ましくは800J/g以下である。
なお、吸熱剤樹脂組成物全体の吸熱量は、吸熱剤の吸熱量を測定し、その吸熱量を、吸熱剤樹脂組成物における吸熱剤の含有割合(質量比)に乗じることで算出できる。吸熱剤樹脂組成物に吸熱剤が2種類以上含まれる場合には、吸熱剤樹脂組成物に含有される吸熱剤の吸熱量の総量を吸熱剤樹脂組成物全体の吸熱量とする。
包装材料の厚さは、例えば、0.3〜10mm、好ましくは0.5〜8mm、より好ましくは0.8〜5mmである。包装材料の厚さをこれら下限値以上とすることで、適切な量の吸熱剤が放熱材料に存在することになる。そのため、包装材料に適切な耐火性、消火性能を付与でき、さらには、容器表面の温度を低下させやすくなる。一方で、上限値以下とすることで容器を軽量にできる。さらには、厚さを上記範囲内とすることで、容器などに成形したときの成形性を良好にしつつ、機械強度なども優れたものとなる。
包装材料は、シート状であってもよいし、シート状以外の様々な形状に成形されていてもよい。また、後述する積層体においては、包装材料層を構成すればよい。
[層構造]
本発明の包装材料は、単層で使用されてもよいが、他の層に積層され、積層体とされてもよい。積層体としては、例えば、基材と、基材の少なくとも一方の面上に設けられ、上記包装材料からなる包装材料層とを備えるものが挙げられる。基材は、包装材料層の両面に積層されてもよい。また、基材自体は、単層であってもよいし、多層構造であってもよい。さらに、積層体は、基材の両面に包装材料層が設けられる構造を有していてもよい。
積層体において、基材は、包装材料層に直接積層されてもよいが、接着剤、粘着剤、両面粘着テープなどの接着体を介して積層されてもよい。
基材としては、高耐熱性基材、樹脂層などが挙げられる。高耐熱性基材とは、軟化点又は融点が300℃以上の基材を意味する。基材が軟化点又は融点が300℃以上の高耐熱性基材となると、バッテリーに熱暴走が生じたときでも、溶融などされずに支持体として効果的に機能する。
高耐熱性基材の軟化点又は融点は、バッテリーに熱暴走が生じ高温になったときでも形状が維持できるように、450℃以上が好ましく、600℃以上がより好ましく、850℃以上がさらに好ましく、1400℃以上が特に好ましい。また、高耐熱性基材の軟化点又は融点は、高ければ高いほどよいが、例えば5000℃以下、実用的には3000℃以下である。
高耐熱性基材としては、樹脂、金属、金属以外の無機材料、又はこれらの複合体などにより形成されるが、これらの中では金属が好ましい。また、高耐熱性基材の形態としては、フィルム、箔などでもよいし、クロス、メッシュなどでもよい。したがって、例えば、金属箔、金属クロス、金属メッシュ、有機繊維クロス、金属以外の無機材料のクロス(無機繊維クロス)などが挙げられる。また、樹脂フィルムなどから構成される樹脂層であってもよい。
高耐熱性基材を構成する樹脂層に使用できる樹脂としては、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾイミダゾール(PBI)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂が挙げられる。樹脂層では、これら樹脂を2種以上使用してもよい。これらの中では、ポリイミド樹脂が好ましい。ポリイミド樹脂を使用することで、包装材料層との接着性が良好となりやすい。また、ポリイミド樹脂は、耐熱性が高いため、バッテリーの熱暴走時においても効果的に支持体として機能しやすくなる。
金属としては、亜鉛、金、銀、クロム、チタン、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル、タンタル又はこれらを含む合金が挙げられ、合金としてはSUSなどのステンレス、黄銅、ベリリウム銅、インコネルなどが挙げられる。これら金属は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これら金属は、金属クロスとしてもよいし、金属メッシュにしてもよいし、金属箔としてよい。また、金属箔は、パンチングなどにより、複数の孔が開けられてよい。金属メッシュ又はパンチングされた金属箔は、軽量でありながらも、効果的に支持体としての機能を発揮できる。
また、クロスとしては、金属クロス以外にも、ガラス繊維クロス、炭素繊維クロスなどの無機繊維クロス、アラミド繊維クロス、PBO(ポリパラフェニレンベンズオキサゾール)繊維クロス、ポリイミド繊維クロス、PEEK繊維クロス、PBI繊維クロスなどの有機繊維クロス、またはこれら無機繊維及び有機繊維から選択される2種以上を含むクロスであってもよい。なお、クロスは、織布であってもよいし、編布であってもよいし、不織布であってもよい。
高耐熱性基材は、上記した中では、消火性能と、包装材料層との接着性を両立する観点から、金属箔、金属メッシュ、金属クロスなど、金属から形成される金属基材、ガラス繊維クロスなどの金属以外の無機繊維クロス、樹脂フィルムなどであることが好ましく、中でも、金属基材、特に金属箔が好ましい。
また、金属としては、銅、アルミニウム、ステンレス、ニッケルから選択される1種以上が好ましく、中でも、引張り強度を高くして支持機能を効果的に向上させるために、ステンレス、ニッケルから選択される1種以上がより好ましい。また、無機繊維クロスとしては、ガラス繊維クロスが好ましく、樹脂フィルムとしては、ポリイミド樹脂フィルムが好ましい。
高耐熱性基材の厚さは、特に限定されないが、2〜1000μmが好ましく、好ましくは5〜500μm、より好ましくは8〜200μm、さらに好ましくは12〜90μmである。厚さをこれら下限値以上とすることで、発火したときでも包装材料層を高耐熱性基材により支持しやすくなる。一方、上限値以下とすることで、高耐熱性基材を必要以上に厚くすることなく良好な性能を発揮しやすくなる。さらには、高耐熱性基材を薄くすることで積層体に柔軟性を付与し、積層体を種々の形状の容器に成形できる。
高耐熱性基材は、200℃における引張り強度が3GPa以上であることが好ましい。200℃における引張り強度が3GPa以上であると、高耐熱性基材は、包装材料層が高温に加熱されたときに、十分に支持体としての機能を果たすことが可能である。上記引張り強度は、より好ましくは8GPa以上、さらに好ましくは40GPa以上、よりさらに好ましくは50GPa以上である。引張り強度の上限値は、特に限定されないが、例えば1000GPa、実用的には500GPaである。
なお、高耐熱性基材の200℃における引張り強度は、JIS7113に準拠してオートグラフを用い引張速度20mm/分により測定したものである。
高耐熱性基材の軟化点又は融点は、その使用される材料によって測定方法が異なり、例えば、高耐熱性基材が耐熱性樹脂などの有機材料から形成される場合には、熱機械分析装置(TMA)により測定される軟化点を意味する。具体的にはセイコーインスツルメンツ社製「TMA−6000」を用い、厚み30μmのフィルムを作成し、3mm×15mmに切り出したサンプルを、装置にセットし、5℃/分の条件で加熱し、5gの荷重をかけながら下に変位し始める温度を軟化点とする。
また、高耐熱性基材が、金属などの無機材料により形成される場合には、示差走査熱分析(DSC)により測定される融点を意味する。具体的にはセタラムインスツルメンツ社製「LABSYS EVO」を用い、アルゴン雰囲気下、20℃/分の条件で加熱し、吸熱ピークが観測される温度を融点とする。
なお、高耐熱性基材が、有機材料と無機材料の複合材料で形成される場合には、上記DSCにより測定し、ピークが2つ観測される場合には、上記示差走査熱分析(DSC)により測定されるうち、高い方の融点を意味する。また、融点又は軟化点を有しない材料(すなわち、上記方法では、軟化点などが測定されない材料)についても、本明細書では、上記示差走査熱分析(DSC)により測定した際、高耐熱性基材が分解する分解温度を融点又は軟化点とする。
また、積層体に使用される基材としての樹脂層は、上記した高耐熱性基材に限定されず、高耐熱性基材を構成する樹脂以外の樹脂で構成される樹脂層であってもよい。そのような樹脂層を構成する樹脂としては、上記包装材料に使用される樹脂として列挙したものから適宜選択して使用するとよい。樹脂層を構成する樹脂は、1種単独であってもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上併用する場合、例えば、高耐熱性基材を構成する樹脂として列挙したものと、包装材料に使用する樹脂として列挙したものとを適宜組み合わせて使用してもよい。
樹脂層を構成する樹脂は、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂を使用することで、樹脂層(基材)の成形性が良好となり、積層体全体の成形性も良好となる。また、樹脂層を構成する樹脂は、上記した包装材料層を構成する樹脂よりも軟化点が高いことが好ましい。軟化点が高いと、包装材料層が熱暴走により軟化などされても、樹脂層の形状が維持され、樹脂層によって包装材料層を支持することが可能になり、積層体の耐熱性が向上する。なお、樹脂層を構成する樹脂の軟化点は、上記した方法に準じて測定できる。
また、包装材料層を構成する樹脂が上記したようにポリオレフィン樹脂である場合には、樹脂層を構成する樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、変性PPE樹脂、PPS樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などが好ましくは使用される。これら樹脂は、成形性が良好であり、例えば押出成形、射出成形などにおいて容易に層状にすることが可能である。
基材を構成する樹脂層は、樹脂以外の成分を含有してもよい。そのような成分としては、上記した無機充填剤やその他成分から適宜選択して使用すればよい。
また、基材を構成する樹脂層は、樹脂が主成分となる層であり、樹脂層における樹脂の含有量は、樹脂層全量基準で70〜100質量%であることが好ましく、80〜100質量%であることがより好ましく、90〜100質量%であることがさらに好ましい。このように、樹脂層における樹脂成分の含有率を高くすることで、積層体から樹脂成形容器を成形するときの成形性が良好となる。また、積層体や樹脂成形容器に一定の柔軟性、機械強度を付与しやすくなり、積層体や樹脂成形容器の耐久性が良好となる。
樹脂層の厚さは、特に限定されないが、例えば、0.2〜6mmであり、0.4〜4mmが好ましく、0.6〜2mmがより好ましい。
本発明の積層体の基材は、単層からなるものでもよいが、複数層から構成されてもよい。例えば、基材は、上記した高耐熱性基材と、樹脂層とから構成されてもよい。そのような場合、特に限定されないが、例えば、積層体においては、高耐熱性基材、樹脂層、及び包装材料層の順に積層されるとよい。
[使用方法]
本発明の包装材料、及び積層体は、例えば、バッテリー用に使用される。本発明では、バッテリーが熱暴走しても、所定の熱分解開始温度及び吸熱量を有する吸熱剤によって、発熱、発火が抑えられ、包装材料表面が高温になることが抑制される。
本発明の包装材料又は積層体が使用されるバッテリーとしては、特に限定されないが、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、ニッケル・水素電池、リチウム・硫黄電池、ニッケル・カドミウム電池、ニッケル・鉄電池、ニッケル・亜鉛電池、ナトリウム・硫黄電池、鉛蓄電池、空気電池等の二次電池であり、これらの中でもリチウムイオン二次電池が好ましい。リチウムイオン二次電池は、熱暴走しやすく、また、高温になりやすいが、本発明の包装材料を使用することで、効果的に熱暴走を抑制し、また、表面温度の上昇も抑制する。
なお、バッテリーは、例えば、携帯電話及びスマートフォン等の小型電子機器、ノートパソコン、自動車等に使用されるが、これらに限定されない。
さらに、本発明の包装材料及び積層体は、熱暴走などの不具合が生じたバッテリー用に使用されることが好ましい。既に熱暴走をしたバッテリーは、水分などが付着すると再度熱暴走しやすくなるが、本発明のように特定の吸熱剤を使用することで、バッテリーへの水分の付着を防止し、バッテリーが再度熱暴走することを防止する。また、熱暴走しても、吸熱剤により包装材料が高温になることを防止する。
[樹脂成形容器]
上記した本発明の包装材料は、樹脂成形容器に成形されるとよい。同様に、積層体も樹脂成形容器に成形されるとよい。樹脂成形容器は、例えば、内部にバッテリーが収納される容器である。
樹脂成形容器は、積層体により成形される場合、容器内側に包装材料層が配置されるとよく、容器の内側から、包装材料層、基材の順に配置されるとよい。したがって、基材が上記したように高耐熱性基材からなる場合には、樹脂成形容器の内側から包装材料層、高耐熱性基材が配置されるとよい。また、基材が上記したように樹脂層を有する場合、樹脂成形容器の内側から包装材料層、樹脂層が配置されるとよい。さらに、基材が高耐熱性基材と樹脂層の両方を含有する場合、樹脂成形容器の内側から包装材料層、樹脂層、高耐熱性基材の順に設けられるとよい。
また、樹脂成形容器が包装材料単体から成形される場合も、樹脂成形容器の内側に包装材料が配置されることになる。
樹脂成形容器の内側(すなわち、樹脂成形容器の内周面)に、本発明の包装材料が配置されると、熱暴走しても、内側に設けた本発明の包装材料により、迅速に発火を防止し、かつ樹脂成形容器が高温になることを効果的に抑制できる。一方で、樹脂成形容器は、容器の外側に基材を有する場合、その基材により一定の強度が付与されて、機械強度、耐久性などが良好となる。
樹脂成形容器の形状は、バッテリーを内部に収納できる限り特に限定されないが、例えば、図1に示すように、箱体を2分割した形状を有する第1及び第2の容器本体11、12からなる樹脂成形容器10が挙げられる。各容器本体11、12は、内部にバッテリーなどの収納物を収納可能な空間を有し、その空間と外部に連通する開口部11B,12Bを有する。第1及び第2の容器本体11、12は、開口部11B,12Bを囲む端面11A,12A同士を突き合わせ、かつ開口部11B、12B同士を連通させることで、樹脂成形容器10となる。
また、第1及び第2の容器本体11、12それぞれは、端面11A、12Aより外側に延出する延出部11C,12Cを有し、延出部11C,12C同士も突き合わされ、その延出部11C,12C同士がボルトとナットなどの固定手段により固定されるとよい。なお、図1では、各容器本体11、12には、延出部11C,12Cがそれぞれ2つ設けられたが、各容器本体において延出部11C,12Cは1つ以上設けられればいくつであってもよい。また、延出部11C,12Cは省略され、容器本体11、12同士は、異なる手段によって固定されてもよい。
樹脂成形容器10においては、第1及び第2の容器本体11、12のいずれもが上記した包装材料、又は積層体によって成形されるとよい。
また、樹脂成形容器は、図2に示すように、内部に収納物を収納できる空間を有し、かつ開口部21Bにより外部に連通する容器本体21と、容器本体21の開口部21Bを塞ぐ蓋体22とを備える樹脂成形容器20であってもよい。このような樹脂成形容器20においては、例えば、蓋体22に設けられた図示しないバックルなどの公知の固定手段などによって蓋体22が容器本体21に固定されるとよい。
樹脂成形容器20においては、容器本体21、蓋体22のいずれもが上記した包装材料、又は積層体によって成形されるとよい。図3には、樹脂成形容器20が、積層体により成形されるときの容器本体21の断面図を示す。樹脂成形容器20が積層体により成形されるときには、上述したように、樹脂成形容器20(すなわち、容器本体21)の内側が包装材料層24、外側が基材25となるとよい。
なお、樹脂成形容器は、上記した箱状の容器に限定されず、袋状であってもよい。袋状の樹脂成形容器は、例えば、シート状の包装材料又は積層体を2枚用意して、それらを重ねた上で周囲を貼り合わせて成形できる。また、1枚のシート状の包装材料、又は積層体を折り畳み、かつ周囲を貼り合わせて成形してもよい。
さらに、包装材料、又は積層体は、容器にする必要はなく、例えば、シート状の包装材料、又は積層体によってバッテリーを包むようにして使用してもよい。
<製造方法>
本発明の包装材料は、吸熱剤樹脂組成物から形成される。吸熱剤樹脂組成物は、樹脂、吸熱剤、及びその他の任意成分をビーズミル、プラストミル、ボールミル、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、混練ロール、ライカイ機、遊星式撹拌機等の公知の混合装置を用いて混合することにより得られる。各成分の混合は、吸熱剤の分解開始温度未満で行えばよく、例えば、100〜250℃、好ましくは150〜190℃である。
また、各成分を混合して得た吸熱剤樹脂組成物は、シート状に成形した後、破砕するなどしてペレット状などのコンパウンドとし、そのコンパウンドを吸熱剤樹脂組成物として使用してもよい。
得られた吸熱剤樹脂組成物は、公知の成形方法で、所望の形状を有する包装材料に成形すればよい。ここで、所望の形状を有する包装材料としては、樹脂成形容器を構成する各部材(容器本体、蓋体など)の形状を有するものなどが挙げられる。成形方法としては、押出成形、プレス成形、及び射出成形などが挙げられる。また、押出成形、プレス成形などによりシート状の包装材料を得た後、その包装材料を真空成形、真空成形、圧縮成形、スタンピング成形等などによりさらに加工して所望の形状に成形してもよい。
なお、成形時の加熱温度は、吸熱剤の分解開始温度未満で行えばよく、例えば、100〜250℃、好ましくは150〜190℃である。
本発明の積層体は、例えば、包装材料層に加えて基材として樹脂層を有する場合には、上記した吸熱剤樹脂組成物と、樹脂層を形成するための樹脂組成物とを用いて成形すればよい。具体的には、吸熱剤樹脂組成物、及び樹脂組成物から、押出成形、プレス成形、射出成形などにより、包装材料層と、樹脂層とを有する積層体を得るとよい。このとき、射出成形や押出成形では、押出機を2つ用意して、各押出機より、樹脂組成物及び吸熱剤樹脂組成物をそれぞれ押し出して、所望の形状(例えば、容器本体、蓋体など)を有する2層構造(樹脂層と包装材料層の2層構造)の積層体を成形すればよい。勿論、3層構造以上の積層体を成形してもよい。また、プレス成形、押出成形により、樹脂層と、包装材料層とを有するシート状の積層体を得た後、その積層体を真空成形、真空成形、圧縮成形、スタンピング成形等により所望の形状に成形してもよい。
なお、樹脂層を形成するための樹脂組成物は、上記した混合装置などにより、樹脂及びその他の任意成分を混合することで得ることができる。
また、本発明の積層体は、必要に応じて予め所望の形状に成形した、包装材料又は樹脂層と包装材料層からなる積層体に、上記した高耐熱性基材などの基材を公知の手段で貼り合わせて作製してもよい。具体的には、接着剤、粘着剤、両面粘着テープにより貼り合わせるとよい。
また、基材の上に、樹脂層や包装材料を押出成形などにより積層して積層体を成形してもよい。さらにシート形状の積層体を成形した後に、その積層体を真空成形、圧縮成形、スタンピング成形等により所望の形状に成形してもよい。
また、シート状の包装材料や積層体を成形する場合には、溶剤により希釈した吸熱剤樹脂組成物の希釈液を、剥離シートや基材の少なくとも一方の面に塗布し、乾燥することで、剥離シートや基材の一方の面又は両面上に包装材料を成形することで製造してもよい。なお、剥離シートは、包装材料を成形後に、包装材料から剥離させるとよい。シート状の包装材料や積層体は、真空成形、圧縮成形、スタンピング成形等によりさらに所望の形状に成形してもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
各物性の測定方法及び評価方法は以下のとおりである。
<熱分解開始温度の測定方法>
熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)を用いて測定した。測定条件は、室温から1000℃まで、昇温速度4℃/min、吸熱剤重量10mgであった。得られたTG曲線から重量が減少し始める温度を熱分解開始温度とした。
<吸熱剤の吸熱量の測定方法>
熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)を用いて、測定条件は、室温から1000℃まで、昇温速度4℃/min、吸熱剤重量10mgであった。得られたDTA曲線から吸熱量(凹部の面積)を算出した。
<吸熱剤樹脂組成物の吸熱量>
吸熱剤樹脂組成物(包装材料)中に含まれる吸熱剤の含有割合(質量比)に、吸熱剤の吸熱量を乗じて、吸熱剤樹脂組成物全体の吸熱量を算出した。吸熱剤樹脂組成物に吸熱剤が2種類以上含まれる場合には、全ての吸熱剤の吸熱量の総量を吸熱剤樹脂組成物全体の吸熱量とした。
<平均粒子径の測定方法>
各成分の平均粒子径はレーザー回折法で測定した。具体的には、レーザー回折散乱方式粒度分布計等の粒度分布計によって求めた粒度分布における積算値50%での粒子径を平均粒子径とした。
<基材の引張り強度>
引張り強度は、JIS7113に準拠してAUTOGRAPH(島津製作所製、AGS−J)を用い、引張速度20mm/分により測定した。
<融点又は軟化点>
明細書記載の方法により測定した。
<メルトフローレート(MFR)>
明細書記載の方法により測定した。
実施例、比較例の吸熱剤樹脂組成物で使用した各成分は以下のとおりである。
[吸熱剤樹脂組成物]
<樹脂>
PP樹脂1:ポリプロピレン樹脂(商品名NBX03HRS、日本ポリプロ社製、軟化点:115℃、密度0.9g/cm
PP樹脂2:ポリプロピレン樹脂(商品名YS559N、サンアロマー社製、軟化点:120℃、密度0.9g/cm
PE樹脂:ポリエチレン樹脂(商品名2208J、プライムポリマー社製、軟化点:130℃、密度0.96g/cm
変性PPE樹脂:ポリフェニレンエーテル樹脂(商品名600H、旭化成社製、軟化点:160℃、密度1.06g/cm
PBT樹脂:ポリブチレンテレフタレート樹脂、(商品名5201X10、東レ社製、軟化点:180℃、密度1.29g/cm
PPS樹脂:ポリフェニレンスルフィド樹脂(商品名FZ−2100、DIC社製、軟化点:250℃)
EVA樹脂:エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、(商品名V406、三井・デュポンポリケミカル社製、軟化点:50℃)
<吸熱剤>
水酸化アルミニウム1:日本軽金属社製、商品名「BF013」
水酸化アルミニウム2:日本軽金属社製、商品名「B53」
硫酸カルシウム:ナカライテスク社製、商品名「硫酸カルシウム2水和物」
水酸化マグネシウム:丸善薬品工業社製、商品名「キスマ5A」
<無機充填剤>
炭酸カルシウム:ホワイトンBF−300 備北粉化株式会社
<難燃剤>
ポリリン酸アンモニウム:AP422、クラリアント社、平均粒子径15μm
[実施例1]
表1に示す配合にしたがって、樹脂、及び吸熱剤をプラストミルに投入し、180℃で5分間、10rpmで混練して混合物を得た。その後、混合物を油圧プレス機を用いて180℃の条件で1mm厚みのシートに成形した。そのシートを粉砕機に投入し、約2mm角程度の吸熱剤樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットを1軸押出機に投入し、押出機で200℃で混練し、押出機の先端に取り付けた金型に流し込んで、射出成形により容器本体を成形した。実施例1の容器本体は、図1に示す形状を有しており、2つの容器本体を突き合わせることで樹脂成形容器(「容器1」とする)となるものであった。容器本体(すなわち、包装材料)の厚さは、2.5mmであり、容器1の容量(内部空間の体積)は、1200mLであった。
[実施例2]
実施例1と同様に、吸熱剤樹脂組成物のペレットを得た。
また、吸熱剤樹脂組成物のペレットと同様の手法により、ポリカーボネート(軟化点240℃)95質量部、黒顔料5質量部からなる樹脂組成物のペレットを作製した。
吸熱剤樹脂組成物のペレットを1軸押出機に投入し230℃で混練し、また、樹脂組成物のペレットを別の1軸押出機に投入し250℃で混練し、これら2つの押出機より、吸熱剤樹脂組成物及び樹脂組成物を押し出し、1つの金型に流し込んで、射出成形により、内側より順に、包装材料層、樹脂層の2層構造よりなる容器本体を成形した。同様の射出成形により蓋体も成形した。容器本体、及び蓋体は、図2に示す形状を有していた。実施例2では、容器本体の開口部を蓋体で閉じることにより、樹脂成形容器(「容器2」とする)となるものであった。容器本体、及び蓋体において、包装材料層の厚さが2.5mm、樹脂層の厚さが0.6mmであった。
[実施例4、8、10、12、14、16、比較例1、3]
吸熱剤樹脂組成物の配合を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様に実施した。
[実施例3、5、9、11、13、15、17、比較例2]
吸熱剤樹脂組成物の配合を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例2と同様に実施した。
[実施例6]
吸熱剤樹脂組成物の配合を表1に示すとおりに変更し、かつプラストミル内部での混練温度、油圧プレス機におけるプレス温度、及び押出機内部での混練温度を全て100℃に変更した以外は、実施例1と同様に実施した。
[実施例7]
吸熱剤樹脂組成物の配合を表1に示すとおりに変更し、かつプラストミル内部での混練温度、油圧プレス機におけるプレス温度、及び押出機内部での混練温度を全て100℃に変更した以外は、実施例2と同様に実施した。
[実施例18、19]
包装材料(すなわち、容器本体)の厚さを表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様に実施した。
[実施例20]
実施例1で得られた各容器本体の外周面に、両面にアクリル系粘着剤からなる粘着剤層を有する両面粘着テープ(各粘着剤層の厚み50μm)を用いて、基材(SUS箔、厚さ50μm、引張強度193GPa、融点1500℃)を貼り合わせた点以外は、実施例1と同様に実施した。
[実施例21]
実施例2で得られた容器本体、蓋体の外周面に、実施例20と同様の両面粘着テープを用いて、基材(SUS箔、厚さ50μm、引張強度193GPa、融点1500℃)を貼り合わせた点以外は、実施例1と同様に実施した。
[実施例22〜24]
使用される樹脂の種類を表2に示すとおりに変更した以外は、実施例18〜20それぞれと同様に実施した。
[比較例4]
実施例2と同様にポリカーボネートと黒顔料からなる樹脂組成物のペレットを作製した。得られたペレットを1軸押出機に投入し230℃で混練し、押出機の先端に取り付けた金型に流し込んで、射出成形により容器本体を成形した。同様の射出成形により蓋体も成形した。容器本体、及び蓋体は、図2に示す形状を有しており、実施例2と同様に容器2を構成するものであった。また、容器本体、及び蓋体は、樹脂層単体からなり、厚さ2mmであった。
[比較例5]
実施例1と同じ形状、同じ寸法の鉄製の容器本体よりなる容器1を作製した。
各実施例、比較例で得られた容器は、以下の方法に従って評価した。
<バッテリー暴走時の表面温度>
4000mAhのラミネートタイプのリチウムイオン電池を、容器本体内に入れ、予めセッティングしておいた小型ホットプレートの上に置いた。次に、容器1では容器本体に別の容器本体を突き合わせ、また、容器2では蓋体を閉めて容器を密閉した。その後、ホットプレートを300℃に加熱し、意図的に電池を暴走させ暴走時の容器表面の温度を、サーモグラフィを用いて測定した。
<成形性>
各実施例の成形方法に従って樹脂成形容器を製造する際、押出時に材料全体の流動性が足りず、成型できなかったものを不合格、問題なく製造できたものを合格とした。
<落球試験>
重量1kgの鉄球を準備し、高さ5mの位置から地面に静置した容器の上に落下させ、落下後の容器の状態を目視で確認した。なお、容器1は、一対の容器本体を固定させて状態で、一方の容器本体の上方から鉄球を落下させて本試験を行った。また、容器2は、容器本体の開口部を蓋体で閉じて蓋体を容器本体に固定させた状態で、蓋体の上方から鉄球を落下させて本試験を行った。
A:容器にヒビ、欠けがないか、あっても1か所のみであり、容器に実質的な破損がなかった。
B:容器にヒビ、欠けが2か所以上か確認された。
C:容器自体が割れ、容器の状態を保っていられなかった。
*表1、2に示す配合は、吸熱剤樹脂組成物の配合を示す。
**吸熱剤の物性は、比較例1においては、炭酸カルシウムの物性を示す。
***表1、2における、2層(1)は、内側から順に、包装材料層及び樹脂層が積層された層構成である。2層(2)は、内側から順に、包装材料層及びSUS箔が積層された層構成である。3層は、内側から順に、包装材料層、樹脂層、及びSUS箔が積層された層構成である。
以上の各実施例では、所定の分解開始温度及び吸熱量を有する吸熱剤を、吸熱剤樹脂組成物に所定の割合で使用することで、軽量であるにもかかわらず、吸熱剤樹脂組成物の吸熱量を十分に高くできた。そのため、バッテリーが熱暴走することを抑制し、また、バッテリーが熱暴走したとしても容器表面が高温になることを防止できる。また、各実施例では、成形性が良好で、かつ落球試験の結果からも明らかなように機械強度も良好となった。
10、20 容器
11、12 第1及び第2の容器本体
21 容器本体
22 蓋体
24 包装材料層
25 基材

Claims (10)

  1. 樹脂と、熱分解開始温度が500℃以下、吸熱量が500J/g以上である吸熱剤とを含有する吸熱剤樹脂組成物からなり、吸熱剤の含有量が、吸熱剤樹脂組成物全量基準で、15〜85質量%であり、かつ前記吸熱剤樹脂組成物全体における吸熱量が180J/g以上である包装材料。
  2. 前記吸熱剤が水和金属化合物である請求項1に記載の包装材料。
  3. 前記水和金属化合物が、金属水酸化物、及び金属硫酸化物の水和物からなる群から選択される少なくとも1種である請求項2に記載の包装材料。
  4. 前記樹脂が熱可塑性樹脂である請求項1〜3のいずれか1項に記載の包装材料。
  5. 前記樹脂のメルトフローレートが1〜100g/10minである請求項1〜4のいずれか1項に記載の包装材料。
  6. 前記吸熱剤樹脂組成物がさらに難燃剤を含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の包装材料。
  7. 厚さが、0.3〜10mmである請求項1〜6のいずれか1項に記載の包装材料。
  8. バッテリー用に使用される請求項1〜7のいずれか1項に記載の包装材料。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の包装材料からなる包装材料層と、基材とを備え、
    前記包装材料層が、前記基材の少なくとも一方の面に設けられる積層体。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の包装材料、又は請求項9に記載の積層体から成形される樹脂成形容器。
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