JP2021002425A - 電池用外装フィルム、及び電池 - Google Patents

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彰人 土肥
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Abstract

【課題】耐火性に優れる電池用外装フィルムを提供する。【解決手段】基材層11、金属層12、及びシーラント層13がこの順で積層された電池用外装フィルム10であって、800℃以下に最大吸熱ピーク温度を有し、かつ室温(23℃)から1000℃まで加熱した際の総吸熱量が100J/g以上である電池用外装フィルムである。【選択図】図1

Description

本発明は、電池用外装フィルム、及びこれを用いた電池に関する。
パソコン、携帯電話、ビデオカメラ等の小型化に応じて、その駆動源である電池にも小型軽量化の要求が高まり、高性能なリチウムイオン二次電池が普及している。また、リチウムイオン二次電池は、電気自動車またはハイブリッド車の車載電源としても用いられ、各種性能の向上が期待されている。
リチウムイオン二次電池用外装材としては、従来用いられている金属製の缶とは異なり、軽量で、形状を自由に選択できる外装フィルムが注目を集めている。外装フィルムは、一般に、基材層、金属層、シーラント層がこの順に積層された多層構造を基本構成としており、各層間の密着性の向上を考慮して、各層間に接着剤層が用いられることも多い。かかる外装フィルムは、シーラント層同士をヒートシールすることで、容器に加工することができ、容器内に、正極材、負極材、セパレータ、電解液など電池の各構成要素を収容し、密封することができる。
外装フィルムについては、さかんに開発が進められており、例えば、特許文献1では、電解液などに対する耐久性が向上したリチウムイオン二次電池用外装材に関する発明が記載されている。また、特許文献2では、密着強度、及び製造効率が向上した電池用包装材料に関する発明が記載されている。
特開2015−170461号公報 特開2015−109287号公報
ところで、近年、リチウムイオン二次電池等を用いたバッテリーなどでは、電池容量が高く、急激な温度上昇により発火しやすくなっている。しかしながら、従来の外装フィルムは、上記したように、密着性、耐久性などを高める観点からの開発はなされているものの、電池の発火を抑制させるなどの観点からの開発は、あまり行われてこなかった。
そこで、本発明は、発火を抑制させることが可能な、耐火性に優れる電池用外装フィルム、及びこれを用いた電池を提供することを課題とする。
本発明は、上記各課題に鑑みてなされたものであり、以下の[1]〜[13]を要旨とする。
[1]基材層、金属層、及びシーラント層がこの順で積層された電池用外装フィルムであって、800℃以下に最大吸熱ピーク温度を有し、かつ室温(23℃)から1000℃まで加熱した際の総吸熱量が100J/g以上である電池用外装フィルム。
[2]基材層と金属層との間に接着層が設けられた、上記[1]に記載の電池用外装フィルム。
[3]吸熱剤及び樹脂aを含有する耐火樹脂層を備える、上記[1]又は[2]に記載の電池用外装フィルム。
[4]前記基材層が、吸熱剤及び樹脂aを含有する耐火基材層である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の電池用外装フィルム。
[5]前記樹脂aが熱可塑性樹脂である、上記[3]又は[4]に記載の電池用外装フィルム。
[6]前記樹脂aがポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記[3]〜[5]のいずれかに記載の電池用外装フィルム。
[7]前記耐火樹脂層が、さらに難燃剤を含有する、上記[3]〜[6]のいずれかに記載の電池用外装フィルム。
[8]前記耐火基材層が、さら難燃剤を含有する、上記[4]〜[7]のいずれかに記載の電池用外装フィルム。
[9]前記耐火樹脂層が基材層と金属層との間に設けられた、上記[3]〜[8]のいずれかに記載の電池用外装フィルム。
[10]前記吸熱剤の平均粒子径が0.1〜90μmである、上記[3]〜[9]のいずれかに記載の電池用外装フィルム。
[11]前記吸熱剤が水和金属化合物である、上記[3]〜[10]のいずれかに記載の電池用外装フィルム。
[12]前記水和金属化合物が、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム2水和物、硫酸マグネシウム7水和物からなる群から選ばれる1種以上である、上記[11]に記載の電池用外装フィルム。
[13]上記[1]〜[12]のいずれかに記載の電池用外装フィルムを外装材とする電池。
本発明の電池用外装フィルムは、電池の外装材として使用した際に、耐火性に優れる。
電池用外装フィルムの一実施形態を示す模式的な断面図である。 電池用外装フィルムの別の一実施形態を示す模式的な断面図である。 電池用外装フィルムの別の一実施形態を示す模式的な断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
[電池用外装フィルム]
本発明の電池用外装フィルム(以下、単に外装フィルムという場合もある)は、基材層、金属層、及びシーラント層がこの順で積層された電池用外装フィルムであって、800℃以下に最大吸熱ピーク温度を有し、かつ室温(23℃)から1000℃まで加熱した際の総吸熱量が100J/g以上である。
図1は、本発明の電池用外装フィルムの一実施形態を示す。電池用外装フィルム10は、基材層11、金属層12、及びシーラント層13がこの順で積層された積層体である。
電池用外装フィルム10は、正極材、負極材、セパレータ、正極端子、及び負極端子等の電池素子を密封して収容するための外装材として好適に用いられるものである。すなわち、本発明の電池用外装フィルム10は、電子素子を収容した際には、基材11が外側に位置し、シーラント層13が最内層になる。電池の組み立ての時に、シーラント層13同士を接面させて熱融着することにより電池素子が密封される。また金属層12により、電池用外装フィルム10の強度が高まり、該電池用外装フィルム10を外装材とする電池とした場合において、水蒸気、酸素、光等の侵入を防止することができる。
なお、本発明の電池用外装フィルム10は、基材層11、金属層12、及びシーラント層13がこの順で積層されていればよく、必ずしも各層の表面同士が接触している必要はなく、基材層11と金属層12の間、又は金属層12とシーラント層13との間に、後述する耐火樹脂層、接着層などの他の層が設けられていてもよい。
電池用外装フィルム10は、800℃以下に最大吸熱ピーク温度を有し、かつ室温(23℃)から1000℃まで加熱した際の総吸熱量が100J/g以上であることにより、特定の吸熱作用を有し、そのため、電池素子を収容し、電池とした場合において、電池の発火を効果的に抑制しやすくなる。
上記のような特性を有する電池用外装フィルムとする観点から、電池用外装フィルムは後述する吸熱剤を含有することが好ましく、具体的には、吸熱剤は、電池用外装フィルム10を構成する層のうち、少なくとも1つの層に含まれる。ここで、電池用外装フィルムを構成する層とは、基材、金属層、シーラント層、必要に応じて設けられる接着層、耐火樹層などである。
図2に示すように、電池用外装フィルムは、基材層11と金属層12との間に接着層14が設けられていてもよい。これにより基材層11と金属層12との接着性を高めることができる。図2は、接着層14が基材層11と金属層12との間に設けられているが、これに代えて、あるいはこれと共に、金属層12とシーラント層13との間に接着層14を設けてもよい。また接着層14に吸熱剤を含有させてもよい。これにより、電池用外装フィルムの最大吸熱ピーク温度、総吸熱量を所望の範囲に調整しやすくなる。
また、本発明の電池用外装フィルムは、図3に示すように、吸熱剤及び樹脂aを含有する耐火樹脂層15を備えることが好ましい。耐火樹脂層15を備えることにより、電池用外装フィルムの最大吸熱ピーク温度、総吸熱量を所望の範囲に調整しやすくなる。また、この場合、基材層、金属層、及びシーラント層に吸熱剤を配合する必要がないため、外装フィルムの基本的物性を維持したまま、耐火性を向上させやすく、好ましい。
図3において、耐火樹脂層15は、基材層11と金属層12との間に設けられている。より詳細には、耐火樹脂層15と金属層12との間には接着層14が設けられており、電池用外装フィルム10は、基材11、耐火樹脂層15、接着層14、金属層12、シーラント層13がこの順に積層されている積層体である。接着層14は、耐火樹脂層15と金属層12との間に設ける代わりに、耐火樹脂層15と基材11との間に設けてもよい。あるいは、耐火樹脂層15と金属層12との間、及び耐火樹脂層15と基材11との間の両方に設けてもよい。なお、図3の電池用外装フィルムにおいて、接着層14は必ずしも設けなくてよい。この場合、基材層11、耐火樹脂層15、金属層12、シーラント層13がこの順に積層された電池用外装フィルム10となる。
電池用外装フィルム10において、耐火樹脂層15は、必ずしも基材11と金属層12との間に設けなくてもよく、金属層12とシーラント層13の間、基材層11の外層側などに設けてもよいが、耐火性、などの観点から、基材11と金属層12との間に設けることが好ましい。
電池用外装フィルムの最大吸熱ピーク温度、総吸熱量を所望の範囲に調整しやすくする観点から、基材11を、後述する吸熱剤及び樹脂aを含有する耐火基材層としてもよい。
(最大吸熱ピーク温度)
本発明の電池用外装フィルムは、800℃以下に最大吸熱ピーク温度を有する。電池用外装フィルムの最大吸熱ピーク温度が800℃超である場合、電池が短絡したり、物理的に損傷するなどの異常が生じた場合に、発火しやすくなる。電池用外装フィルムの耐火性を向上させる観点から、電池用外装フィルムの最大吸熱ピーク温度は、好ましくは600℃以下であり、より好ましくは500℃以下であり、さらに好ましくは400℃以下である。電池用外装フィルムの最大吸熱ピーク温度は、好ましくは50℃以上であり、より好ましくは100℃以上である。
最大吸熱ピーク温度は、熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)を用いて測定して得られるDTA曲線において吸熱量が最大となる温度であり、実施例に記載の条件で測定される。
(総吸熱量)
本発明の電池用外装フィルムは、室温(23℃)から1000℃まで加熱した際の総吸熱量が100J/g以上である。電池用外装フィルムの総吸熱量が100J/g未満であると、電池に異常が生じた場合に発火しやすくなる。電池用外装フィルムの耐火性を向上させる観点から、電池用外装フィルムの総吸熱量は好ましくは150J/g以上、より好ましくは200J/g以上、さらに好ましくは250J/g以上であり、そして好ましくは2000J/g以下である。
総吸熱量は、熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)を用いて室温(23℃)から1000℃まで加熱して得られたDTA曲線から求められ、23℃〜1000℃までの全吸熱量から全発熱量を引いた値(すなわち、総吸熱量=全吸熱量−全発熱量)である。すなわち、総吸熱量は、DTA曲線に吸熱ピーク(凹部)が一つのみ確認される場合は、該凹部の面積から計算され、吸熱ピーク(凹部)、発熱ピーク(凸部)が複数観測される場合は、吸熱ピーク(凹部)の全面積から計算される吸熱量から、発熱ピーク(凸部)の全面積から計算される発熱量を差し引いた値となる。
(吸熱剤)
本発明の電池用外装フィルムは、吸熱剤を含有することが好ましい。該吸熱剤の室温(23℃)から1000℃まで加熱した際の吸熱量は、電池用外装フィルムの総吸熱量を上記した範囲に調整しやすくする観点から、好ましくは500J/g以上、より好ましくは600J/g以上、さらに好ましくは900J/g以上である。吸熱剤の吸熱量が上記範囲内であると、熱の吸収性が向上するため、電池用外装フィルムの発火が抑制されやすくなる。前記吸熱剤の吸熱量は、通常、4000J/g以下、好ましくは3000J/g以下、より好ましくは2000J/g以下である。なお、吸熱剤の吸熱量は、熱重量示差熱分析装置(TG−DTA)により測定することができ、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。
吸熱剤の熱分解開始温度は、500℃以下が好ましく、400℃以下がより好ましく、350℃以下がさらに好ましく、250℃以下がよりさらに好ましい。吸熱剤の熱分解開始温度がこれら上限値以下とすることで速やかに吸熱剤が分解し、発火を抑制しやすくなる。また、吸熱剤の熱分解開始温度は、例えば50℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは150℃以上、さらに好ましくは180℃以上である。
なお、熱分解開始温度は、熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)により測定することができ、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。
吸熱剤の平均粒子径は、0.1〜90μmであるものが好ましい。平均粒子径を上記範囲内とすることで、樹脂中に吸熱剤が分散しやすくなり、樹脂中に吸熱剤を均一に分散でき、多量に配合させることも可能になる。吸熱剤の平均粒子径は、0.5〜60μmがより好ましく、0.8〜40μmがさらに好ましく、0.8〜10μmがよりさらに好ましい。吸熱剤の平均粒子径が上記範囲内であると、吸熱剤の分散性が向上し、吸熱剤の配合量を多くしたりすることができる。
なお、平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置により測定したメディアン径(D50)の値である。
吸熱剤としては、電池用外装フィルムの最大吸収ピーク温度及び総吸熱量を上記した範囲とすることが可能なものであれば特に制限されないが、水和金属化合物であることが好ましい。水和金属化合物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム2水和物、硫酸マグネシウム7水和物、ハイドロタルサイト、ホウ酸亜鉛等が挙げられる。これら化合物は、熱分解開始温度が500℃以下、吸熱量が500J/g以上である吸熱剤でもある。
上記した中でも、水和金属化合物は、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム2水和物、及び硫酸マグネシウム7水和物からなる群から選ばれる一種以上が好ましい。さらに、外装フィルムの耐火性、耐ピンホール性、及び成形性を良好とする観点などから、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム2水和物、及び硫酸マグネシウム7水和物からなる群から選ばれる一種以上がより好ましい。上記した中でも、水和金属化合物としては、特に水酸化アルミニウムが好ましい。
吸熱剤は、電池用外装フィルムを構成する少なくともいずれかの層に含まれる。吸熱剤が含まれる層全量に対する吸熱剤の含有量は、好ましくは5〜98質量%であり、より好ましくは10〜95質量%である。
(厚さ)
本発明の電池用外装フィルムの厚さは特に限定されないが、好ましくは20〜300μmであり、より好ましくは40〜200μmである。これら下限値以上であると、耐火性、耐ピンホール性などの機械的強度を一定以上に調整しやすくなり、これら上限値以下であると、厚みに応じた効果が得やすく、該外装フィルムを外装材として使用した電池が軽量化される。
<耐火樹脂層>
本発明の電池用外装フィルムは、最大吸熱ピーク温度、及び総吸熱量を所望の範囲とする観点から、吸熱剤及び樹脂aを含有する耐火樹脂層を備えることが好ましい。
≪樹脂a≫
樹脂aとしては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及びエラストマー樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ(1−)ブテン樹脂、及びポリペンテン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ノボラック樹脂、ポリウレタン樹脂、及びポリイソブチレン等の合成樹脂が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド等の合成樹脂が挙げられる。
エラストマー樹脂としては、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−プロピレンゴム、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、水素添加スチレン−イソプレンブロック共重合体、水素添加スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体等が挙げられる。
樹脂aとしては、これらのうち1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
樹脂aとしては、吸熱剤の樹脂中での分散性、及び耐火樹脂層の機械的強度を向上させる観点から、上記した中でも熱可塑性樹脂が好ましく、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
(ポリビニルアセタール樹脂)
ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールをアルデヒドでアセタール化して得られるポリビニルアセタール樹脂であれば特に限定されないが、ポリビニルブチラール樹脂が好適である。ポリビニルブチラールを用いることで、吸熱剤に対する樹脂の量が比較的少ない場合でも、機械的強度を高くすることが可能となる。そのため、耐火樹脂層の厚さを薄くしても、一定の機械的強度を確保することができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量は、好ましくは20〜40モル%である。水酸基量を20モル%以上とすることで、ポリビニルアセタール樹脂の極性が高くなり、吸熱剤との結着力が強くなり、耐火樹脂組成物により形成される耐火樹脂層の機械的強度が向上しやすくなる。また、水酸基量を40モル%以下とすることで、耐火樹脂層が硬くなり過ぎたりすることを防止する。上記水酸基量は、より好ましくは23モル%以上、さらに好ましくは26モル%以上である。また、上記水酸基量は、より好ましくは37モル%以下、さらに好ましくは35モル%以下である。
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は、好ましくは40〜80モル%である。アセタール化度を上記範囲内とすることで、上記する水酸基量を所望の範囲内として、外装フィルムの機械的強度が向上しやすくなる。アセタール化度は、より好ましくは55モル%以上であり、さらに好ましくは65モル%以上であり、また、より好ましくは76モル%以下である。
また、上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル基量は、好ましくは0.1〜30モル%である。アセチル基量がこの範囲内であると、耐湿性に優れ、可塑剤との相溶性に優れ、高い柔軟性を発揮して取扱い性が向上する。また、アセチル基量をこれら範囲内とすることで、上記する水酸基量を所望の範囲内として、耐火樹脂層の機械的強度が向上しやすくなる。これら観点から、アセチル基量は、0.2モル%以上がより好ましく、0.5モル%以上がさらに好ましく、また、15モル%以下がより好ましく、7モル%以下がさらに好ましい。
なお、アセタール化度、水酸基量、及びアセチル基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定し、また算出することができる。
ポリビニルアセタール樹脂の重合度は、好ましくは200〜3000である。重合度をこれら範囲内にすることで、吸熱剤を適切に耐火樹脂層中に分散させることがきる。重合度は、より好ましくは250以上、さらに好ましくは300以上である。
ポリビニルアセタール樹脂の重合度を低くすると粘度も下がり、耐火樹脂層中に吸熱剤を分散しやすくなり、耐火樹脂層の機械的強度が向上する。そのような観点から、ポリビニルアセタール樹脂の重合度は、好ましくは2000以下、より好ましくは1500以下、さらに好ましくは1000以下である。
なお、ポリビニルアセタール樹脂の重合度は、JIS K6728に記載の方法に基づいて測定した粘度平均重合度をいう。
ポリビニルアセタール樹脂の10質量%エタノール/トルエン粘度は、好ましくは5mPa・s以上、より好ましくは10mPa・s以上であり、さらに好ましくは15mPa・s以上である。また、10質量%エタノール/トルエン粘度は、好ましくは500mPa・s以下、より好ましくは300mPa・s以下であり、更に好ましくは200mPa・s以下である。ポリビニルアセタール樹脂の10質量%エタノール/トルエン粘度を上記のとおりにすることにより、耐火樹脂層中に吸熱剤を分散しやすくなり、耐火樹脂層の機械的強度が向上する。
なお、10質量%エタノール/トルエン粘度は、次のように測定した値である。
エタノール/トルエン(重量比1:1)混合溶剤150mlを三角フラスコにとり、これに秤量した試料を加え、樹脂濃度を10wt%とし、20℃の恒温室にて振とう溶解する。その溶液を20℃に保持しBM型粘度計を用いて粘度を測定して、10質量%エタノール/トルエン粘度を求めることができる。
上記アルデヒドは特に限定されないが、一般には、炭素数が1〜10のアルデヒドが好適に用いられる。上記炭素数が1〜10のアルデヒドは特に限定されず、例えば、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。なかでも、n−ブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−バレルアルデヒドが好ましく、n−ブチルアルデヒドがより好ましい。これらのアルデヒドは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(ポリビニルアルコール樹脂)
ポリビニルアルコール樹脂は、従来公知の方法に従って、ビニルエステルを重合してポリマーを得た後、ポリマーをケン化、すなわち加水分解することにより得られる。
上記ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル及び安息香酸ビニル等が挙げられる。
ポリビニルアルコール樹脂のケン化度は、好ましくは80〜99.9モル%であり、より好ましくは85〜99モル%である。ケン化度をこのような範囲とすると、ポリビニルアルコール樹脂の極性が高まることで吸熱剤との分散性が良好になり、耐火樹脂組成物により形成される耐火樹脂層の機械的強度が向上しやすくなる。
上記ケン化度は、JIS K6726に準拠して測定される。ケン化度は、ケン化によるビニルアルコール単位に変換される単位のうち、実際にビニルアルコール単位にケン化されている単位の割合を示す。
ポリビニルアルコール樹脂の重合度は特に限定されないが、好ましくは400以上、より好ましくは500以上、さらに好ましくは700以上である。また、好ましくは2000以下、より好ましくは1500以下、更に好ましくは1000以下である。重合度をこれら範囲内にすることで、吸熱剤を適切に耐火樹脂層中に分散させることができ、耐火樹脂層の機械的強度が向上する。上記重合度は、JIS K6726に準拠して測定される。
ポリビニルアルコール樹脂の4質量%水溶液粘度は、好ましくは8mPa・s以上、より好ましくは10mPa・s以上であり、さらに好ましくは12mPa・s以上である。 また、4質量%水溶液粘度は、好ましくは25mPa・s以下、より好ましくは20mPa・s以下であり、更に好ましくは16mPa・s以下である。
ポリビニルアルコール樹脂の4質量%水溶液粘度を上記のとおりすることにより、吸熱剤を分散しやすくなり、耐火樹脂層の機械的強度が向上する。
なお、4質量%水溶液粘度は、20℃において、JIS K 6726に準じて測定することができる。
(エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂)
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂としては、非架橋型のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂であってもよいし、また、高温架橋型のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂であってもよい。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体のけん化物、エチレン−酢酸ビニルの加水分解物などのようなエチレン−酢酸ビニル変性体樹脂も用いることができる。
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂は、JISK6730「エチレン・酢酸ビニル樹脂試験方法」に準拠して測定される酢酸ビニル含量が好ましく10〜50質量%、より好ましくは25〜45質量%である。酢酸ビニル含量をこれら下限値以上とすることで、後述する基材等他の層への接着性が高くなる。また、酢酸ビニル含量をこれら上限値以下とすることで、耐火樹脂層の機械的強度が良好となる。
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂の重量平均分子量は5000〜200000が好ましく、10000〜150000がより好ましい。重量平均分子量をこのような範囲とすることにより、吸熱剤を適切に耐火樹脂層中に分散させることができ、耐火樹脂層の機械的強度が向上する。ここで、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
(アクリル樹脂)
アクリル樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーを含むモノマー成分を重合したものである。なお、本明細書において「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」とは、「アクリル酸アルキルエステル、又はメタクリル酸アルキルエステル」を意味する。他の類似の用語も同様である。
本発明における(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーは、(メタ)アクリル酸と脂肪族アルコールとのエステルであって、前記脂肪族アルコールのアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜14、より好ましくは1〜10である。
具体的な(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、及びテトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーは、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、アクリル樹脂を得るためのモノマー成分としては、上記した(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーの他に、極性基含有モノマーを含んでもよい。
極性基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、及びイタコン酸等のビニル基を含有するカルボン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、及びポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等の水酸基を有するビニルモノマー、(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルラウリロラクタム、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、及びジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート等の窒素含有ビニルモノマーが挙げられる。
アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーの単独重合体が好ましく、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートの単独重合体である、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレートなどが好ましく、ポリメチル(メタ)アクリレートがより好ましく、ポリメチルメタクリレートが更に好ましい。
アクリル樹脂の重量平均分子量は、吸熱剤を適切に耐火樹脂層中に分散させることができ、耐火樹脂層の機械的強度を向上させる観点から、1,000〜100,000が好ましく、5,000〜90,000がより好ましく、20,000〜80,000が更に好ましい。ここで、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーは、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
≪可塑剤≫
本発明の耐火樹脂層は、更に可塑剤を含有してもよい。特に樹脂aがポリビニルアルコール樹脂やポリビニルアセタール樹脂である場合、成形性などを向上させる観点から可塑剤を含むことが好ましい。
可塑剤は、一般にポリビニルアルコール樹脂やポリビニルアセタール樹脂と併用される可塑剤であれば特に限定されない。具体的には、例えば、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジヘプチルフタレート(DHP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)等のフタル酸エステル可塑剤、ジ−2−エチルヘキシルアジペート(DOA)、ジイソブチルアジペート(DIBA)、ジブチルアジペート(DBA)等の脂肪酸エステル可塑剤、エポキシ化大豆油等のエポキシ化エステル可塑剤、アジピン酸エステル、アジピン酸ポリエステル等のアジピン酸エステル可塑剤、トリー2−エチルヘキシルトリメリテート(TOTM)、トリイソノニルトリメリテート(TINTM)等のトリメリット酸エステル可塑剤、鉱油等のプロセスオイル等が挙げられる。可塑剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の耐火樹脂層が可塑剤を含有する場合、その含有量は、樹脂100質量部に対して0.5〜40質量部が好ましく、0.7〜20質量部がより好ましく、1.0〜10質量部が更に好ましい。可塑剤の含有量が前記範囲内であると、成形性が向上する傾向があり、また電池用外装フィルムが柔らかくなり過ぎることを抑制することができる。
≪吸熱剤≫
耐火樹脂層に含まれる吸熱剤としては、上述した吸熱剤を用いることができる。吸熱剤の量は、外装フィルムの発火を抑制する観点から、樹脂a100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは100質量部以上、さらに好ましくは500質量部以上、さらに好ましくは1000質量部以上である。そして、配合量に応じた効果を得る観点などから、吸熱剤の量は、樹脂a100質量部に対して、好ましくは3000質量部以下である。
≪難燃剤≫
耐火樹脂層は、更に難燃剤を含有することが好ましい。難燃剤を含有することで、外装フィルムの発火を抑制しやすくなる。
難燃剤としては、例えば、赤リン、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、及びキシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、及びリン酸マグネシウム等のリン酸金属塩、ポリリン酸アンモニウム、下記一般式(1)で表される化合物等が挙げられる。
前記一般式(1)中、R及びRは、同一又は異なって、水素、炭素数1〜16の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、又は炭素数6〜16のアリール基を示す。Rは、水酸基、炭素数1〜16の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜16の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシル基、炭素数6〜16のアリール基、又は炭素数6〜16のアリールオキシ基を示す。
前記一般式(1)で表される化合物の具体例としては、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、n−プロピルホスホン酸、n−ブチルホスホン酸、2−メチルプロピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチル−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられる。前記難燃剤は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記難燃剤の中でも、耐火樹脂層の難燃性を向上させる観点から、赤リン、ポリリン酸アンモニウム、及び前記一般式(1)で表される化合物が好ましく、難燃性能、安全性、及びコスト等の観点からポリリン酸アンモニウムがより好ましい。
耐火樹脂層が難燃剤を含有する場合、その含有量は樹脂a100質量部に対して、1〜200質量部が好ましく、5〜100質量部がより好ましく、5〜50質量部が更に好ましい。難燃剤の含有量が前記範囲内であると、耐火性に優れる。
耐火樹脂層の厚さは、耐火性を向上させる観点、耐ピンホール性などの機械的強度並びに成形性を良好とする観点などから、好ましくは10μm以上、より好ましくは30μm以上、さらに好ましく50μm以上である。また、耐火樹脂層の厚さは、例えば、200μm以下である。
耐火樹脂層は、吸熱剤、樹脂a、必要に応じて配合される、可塑剤、難燃剤などを含有する耐火樹脂組成物により形成することができる。
耐火樹脂組成物には、上記以外に各種添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、例えば、滑剤、収縮防止剤、結晶核剤、着色剤(顔料、染料等)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、充填剤、補強剤、難燃助剤、帯電防止剤、界面活性剤、加硫剤、及び表面処理剤等が挙げられる。添加剤は、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(耐火樹脂層の製造方法)
耐火樹脂層は、耐火樹脂組成物を調製し、該耐火樹脂組成物を成形することにより製造することができる。耐火樹脂組成物を耐火樹脂層に成形する方法としては、具体的には、押出成形、プレス成形、及び射出成形が挙げられ、中でも押出成形が好ましく、単軸押出機、二軸押出機、射出成型機等を用いて成形することができる。耐火樹脂組成物の希釈液を離型シート上に塗布し乾燥することで成形してもよい。希釈液を用いる場合、樹脂は、好ましくはポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂である。耐火樹脂組成物に吸熱剤が比較的多く配合されている場合(例えば、耐火樹脂組成物全量基準で吸熱剤の含有量が50質量%以上の場合)は、吸熱剤の分散性がよい耐火樹脂層を得る観点から、希釈液を用いて、耐火樹脂層を得ることが好ましい。
耐火樹脂組成物を希釈する際に使用する溶剤としては、特に限定されないが、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸n−ブチルなどのエステル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン系溶媒、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール系溶媒、水などが挙げられる。
耐火樹脂組成物の希釈液は、通常、樹脂が溶剤により溶解され、かつ吸熱剤、難燃剤などの無機粉末が、溶剤中に分散されスラリーとなる。スラリーとする場合、例えば、まず、溶媒、無機粉末をビーズミルなどの分散混合機により攪拌して無機分散液を作製する。その後、無機分散液に、予め溶剤に溶解した樹脂溶液を添加し、上記分散混合機によりさらに攪拌することで、耐火樹脂組成物の希釈液を作製するとよい。
耐火樹脂組成物の希釈液における固形分濃度は、例えば30〜70質量%、好ましくは35〜65質量%、より好ましく40〜60質量%である。固形分濃度が下限値以上であると、効率的に耐火樹脂層を形成することができる。また、上記上限値以下とすることで、樹脂を溶媒に溶解させ、かつ吸熱剤を溶媒に分散させやすくなる。
<基材層>
基材層を形成する材料としては、特に制限されないが、絶縁性を備えるものが好ましい。基材層を形成する材料としては、樹脂が好ましく、例えば、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、珪素樹脂、フェノール樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリイミド樹脂、これらの混合物などから形成される樹脂フィルムを挙げることができる。これらの中でも、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などが好ましい。
ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどが挙げられる。
ポリアミド樹脂としては、例えば、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612などのナイロンが挙げられる。
基材層は、上記樹脂により形成される樹脂フィルムであることが好ましく、1軸又は2軸延伸された延伸フィルムであってもよく、未延伸フィルムであってもよい。中でも、耐熱性、耐ピンホール性を高くする観点などから、延伸フィルムが好ましく、2軸延伸されたフィルムがより好ましい。基材層は、耐ピンホール性を高める観点から、異なる素材を積層させて多層としてもよい。
基材層は、吸熱剤及び樹脂aを含有する耐火基材層であってもよい。耐火基材層に含有される吸熱剤及び樹脂aは、上記したものと同様のものを使用でき、それぞれの含有量も上記と同様である。また、耐火基材層は、耐火性を向上させる観点から、難燃剤などを含有してもよい。難燃剤の種類、及び含有量についても上記と同様である。
耐火基材層を使用した場合、上記した耐火樹脂層などの別の層を設けなくても、耐火性が良好になるため、単純な層構成で電池用外装フィルムを形成させることができる。また、電池用外装フィルムが、耐火基材層を備える場合には、耐ピンホール性などの機械的強度も良好となる。
基材層の厚さは特に限定されないが、好ましくは5〜200μmであり、より好ましくは10〜100μmであり、さらに好ましくは20〜70μmである。基材の厚さが上記下限値以上であると、耐ピンホール性などの機械的強度が向上し、上記上限値以下であると、外装フィルム全体の厚さが薄くなり、電池が軽量化又は小型化しやすくなる。
<金属層>
本発明の電池用外装フィルムは、金属層を備える。金属層を備えることで、電池用外装フィルムの耐ピンホール性が向上すると共に、電池内部に水蒸気、酸素、光等が侵入するのを防止することができる。
金属層を形成する材料としては、例えば、アルミニウム、ステンレス、チタン等の金属箔が挙げられ、中でもアルミニウムが好ましい。
金属層の厚さ特に限定されないが、例えば、10〜200μm、好ましくは20〜100μmである。
<接着層>
本発明の電池用外装フィルムは、接着層が設けられていてもよい。接着層は、基材層と金属層との間に設けられることが好ましい。
接着層は電池用外装フィルムを構成する各層を接着することが可能であれば、特に限定されず、公知のものが特に制限なく使用できる。
接着層の形成に使用される接着剤は、2液硬化型接着剤であってもよく、また1液硬化型接着剤であってもよい。更に、接着層の形成に使用される接着剤の接着機構についても、特に制限されず、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれであってもよい。
接着層は、樹脂成分bにより形成され、該樹脂成分bとしては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、尿素樹脂、アミノ樹脂、ゴム、シリコーン系樹脂、フッ化エチレンプロピレン共重合体などが挙げられる。これらの樹脂成分bは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
接着層は、上記した吸熱剤を含有してもよい。接着層が吸熱剤を含有することで、電池用外装フィルムの耐火性が向上する。接着層が吸熱剤を含有する場合、吸熱剤の含有量は、樹脂成分b100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは50質量部以上、さらに好ましくは80質量部以上であり、そして好ましくは500質量部以下、より好ましくは300質量部以下、さらに好ましくは200質量部以下である。吸熱剤の含有量がこれら下限値以上であると、外装フィルムの耐火性が向上する。吸熱剤の含有量がこれら上限値以下であると、接着層の接着力の低下を防止することができる。
接着層は、上記した難燃剤を含有してもよい。接着層が難燃剤を含有することで、電池用外装フィルムの耐火性が向上する。接着層が難燃剤を含有する場合、その含有量は樹脂成分b100質量部に対して、1〜100質量部が好ましく、5〜180質量部がより好ましく、5〜50質量部が更に好ましい。難燃剤の含有量が前記範囲内であると、耐火性に優れる。
接着層の厚さは、特に限定されないが、例えば2〜50μmであり、好ましくは3〜25μmである。
<シーラント層>
本発明の電池用外装フィルムは、シーラント層を備える。シーラント層は、最内層に該当し、電池の組み立てのときにシーラント層同士が熱溶着して電池素子を密封する層である。
シーラント層は、上記の通り、熱溶着して電池素子を密封できればよく、その材料は、特に限定されない。シーラント層は、例えば、樹脂成分cより形成され、樹脂成分cとしては、例えば、ポリオレフィン、カルボン酸変性ポリオレフィンなどが挙げられる。
ポリオレフィンとしては、鎖状ポリオレフィン、環状ポリオレフィンが挙げられる。
前記鎖状ポリオレフィンとしては、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン、ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)等のポリプロピレン、エチレン-ブテン-プロピレンのターポリマー等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられる。
前記環状ポリオレフィンは、オレフィンと環状モノマーとの共重合体であり、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーであるオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、4-メチル-1-ペンテン、スチレン、ブタジエン、イソプレン、等が挙げられる。また、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーである環状モノマーとしては、例えば、ノルボルネン等の環状アルケン、具体的には、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ノルボルナジエン等の環状ジエン等が挙げられる。これらの環状モノマーの中でも、好ましくは環状アルケン、更に好ましくはノルボルネンが挙げられる。
カルボン酸変性ポリオレフィンとしては、例えば、カルボン酸変性鎖状ポリオレフィン、カルボン酸変性環状ポリオレフィンが挙げられる。
カルボン酸変性鎖状ポリオレフィンとしては、前記鎖状ポリオレフィンをカルボン酸でブロック重合又はグラフト重合することにより変性したポリマーである。変性に使用されるカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
前記カルボン酸変性環状ポリオレフィンとは、環状ポリオレフィンを構成するモノマーの一部を、α,β-不飽和カルボン酸又はその無水物に代えて共重合することにより、或いは環状ポリオレフィンに対してα,β-不飽和カルボン酸又はその無水物をブロック重合又はグラフト重合することにより得られるポリマーである。カルボン酸変性される環状ポリオレフィンについては、前記と同様である。また、変性に使用されるカルボン酸としては、前記鎖状ポリオレフィンの変性に使用されるものと同様である。
これらのなかでも、樹脂成分cとしては、好ましくはカルボン酸変性鎖状ポリオレフィン、より好ましくはカルボン酸変性ポリプロピレンである。
シーラント層は、1種の樹脂成分cで形成してもよい、2種以上の樹脂成分cを組み合わせたブレンドポリマーにより形成してもよい。さらにシーラント層は、1層のみで成されていてもよいが、同一又は異なる樹脂成分によって2層以上で形成されていてもよい。
シーラント層は、電池用外装フィルムの耐火性を向上させる観点から、前記した吸熱剤、及び難燃剤の少なくとも1種を含有してもよい。シーラント層が吸熱剤を含有する場合、樹脂成分c100質量部に対する吸熱剤の含有量は、上記した接着層における樹脂成分b100質量部に対する量と同様とすればよい。難燃剤の含有量についても同様である。
なお、上記のとおりシーラント層は、吸熱剤を含有してもよいでもよいが、外装フィルムを外装材として用いた際に、その内容物である電池素子に吸熱剤が直接接触することを防止する観点から、シーラント層以外の層が、吸熱剤を含有することが好ましい。
シーラント層の厚さは、適宜選定することができ、例えば10〜100μm、好ましくは15〜50μmである。
(電池用外装フィルムの作製)
本発明の電池用外装フィルムは、熱ラミネート法、押出成形法などを利用して作製することができる。例えば、電池用外装フィルムを構成する各層を準備して、熱ラミネートなどの公知の方法により積層体とすることができる。また、電池用外装フィルムを構成する層のうち、少なくとも2層を積層した第1の積層体と、電池用外装フィルムを構成する層のうち、第1の積層体を構成する層以外の層の第2の積層体を準備して、両者を熱ラミネートや、接着層を介在させて接着するなどして、外装フィルムを作製してもよい。
第1又は第2の積層体を形成する場合において、例えば、基材層上など外装フィルムを構成する任意の層上に耐火樹脂層を形成させる場合は、例えば、基材層上などに耐火樹脂組成物の希釈液を塗布し、乾燥させて、耐火樹脂層を形成させることができる。また、別の方法として、基材層上などに耐火樹脂組成物を押出成形するなどして、耐火樹脂層を形成することができる。さらに別の方法として、予め作製した耐火樹脂層を基材層上などと重ねて熱ラミネートしてもよい。
また、例えば、金属層上にシーラント層を積層する場合は、押出成形法、熱ラミネート法、グラビアコート法、ロールコート法などを適用することができる。
[電池]
上記した電池用外装フィルムを用いて、電池用外装フィルムを外装材とする電池を作製することが好ましい。より詳細には、電池用外装フィルムを外装材として、該外装材内に、少なくとも正極材、負極材、セパレータ、正極端子、及び負極端子等を備えた電池素子を封入した電池とすることが好ましい。該外装材は、通常は、電池用外装フィルムのシーラント層同士がヒートシールされることで形成されており、周縁にフランジ部(シーラント層同士がヒートシールにより密着している領域)を有する。また、通常は、該フランジ部から、正極材及び負極材の各々に接続された正極端子、及び負極端子が外部に突出している。
上記電池としては、一次電池、二次電池のいずれでもよいが、好ましくは二次電池である。二次電池の種類については、特に制限されず、例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、鉛畜電池、ニッケル・水素畜電池、ニッケル・カドミウム畜電池、ニッケル・鉄畜電池、ニッケル・亜鉛畜電池、酸化銀・亜鉛畜電池、金属空気電池、多価カチオン電池、コンデンサー、キャパシター等が挙げられる。これらの二次電池の中でも、好適な適用対象として、リチウムイオン電池が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例、比較例で使用した各種成分を以下に示す。
<樹脂>
PVB:ポリビニルブチラール樹脂、重合度800、アセタール化度69mol%、アセチル基量1mol%、水酸基量30mol%
PVA:ポリビニルアルコール樹脂、重合度800、ケン化度98mol%
EVA:エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、商品名「エバフレックス」、三井デュポンポリケミカル社製、酢酸ビニル含量40質量%、重量平均分子量110,000
アクリル樹脂:ポリメタクリル酸メチル、重量平均分子量53,000
NBR:アクリロニトリルブタジエンゴム,重量平均分子量72,000
<可塑剤>
DIDP:ジイソデシルフタレート
<吸熱剤>
水酸化アルミニウム1:C301−N、住友化学社製、平均粒子径1μm、熱分解開始温度200℃、吸熱量1000J/g
水酸化アルミニウム2:B−325、アルモリックス社製、平均粒子径27μm、熱分解開始温度200℃、吸熱量1000J/g
水酸化マグネシウム:タテホ化学社製、平均粒子径3μm、熱分解開始温度350℃、吸熱量950J/g
硫酸カルシウム2水和物:ナカライテスク社製、平均粒子径40μm、熱分解開始温度120℃、吸熱量750J/g
硫酸マグネシウム7水和物:ナカライテスク社製、平均粒子径40μm、熱分解開始温度50℃、吸熱量1150J/g
水酸化カルシウム:富田製薬社製、平均粒子径40μm、熱分解開始温度400℃、吸熱量980J/g
<難燃剤>
ポリリン酸アンモニウム:AP422、クラリアント社、平均粒子径15μm
<無機充填剤>
炭酸カルシウム:ホワイトンBF−300 備北粉化株式会社、熱分解開始温度900℃、吸熱量1750J/g
<実施例1>
(1)耐火樹脂層の作製
表1に示した配合を有する耐火樹脂組成物をエタノール/トルエンを重量比で50:50にてブレンドした混合溶剤で固形分濃度55質量%に希釈したスラリー液を用意した。そのスラリー液を離型シート(リンテック社製PETフィルム)の片面に塗布して、80℃、30分間で乾燥させて、離型シート上に形成された耐火樹脂層を得た。次いで、耐火樹脂層を離型シートから剥離し、単体の耐火樹脂層を得た。
(2)外装フィルムの作製(基材層/耐火樹脂層/接着層/金属層/シーラント層)
二軸延伸ナイロンフィルム(基材層、25μm)と上記(1)で作製した耐火樹脂層とを熱ラミネートにより積層し、二軸延伸ナイロンフィルム(基材)と耐火樹脂層との積層体Aを得た。次いで、アルミニウム箔(金属層、40μm)の一方の表面に、カルボン酸変性ポリプロピレン層(第1シーラント層、厚さ15μm)とホモポリプロピレン層(第2シーラント層、厚さ15μm)を共押出することにより、金属層とカルボン酸変性ポリプロピレン層とホモポリプロピレン層とがこの順に積層された積層体Bを得た。積層体Bの金属層の表面に、エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂)100質量部と酸無水物(メチルヘキサヒドロ無水フタル酸)100質量部とを含む接着層組成物を塗布した。該塗布した接着層組成物上に、耐火樹脂層が接触するように積層体Aを積層した後、加熱し、接着層組成物を硬化させ接着層(厚さ10μm)とし、外装フィルムを得た。該外装フィルムは、二軸延伸ナイロンフィルム(基材層)/耐火樹脂層/接着層/金属層/カルボン酸変性ポリプロピレン層/ホモポリプロピレン層がこの順に積層された外装フィルムである。
<実施例2〜10、比較例1〜2>
耐火樹脂組成物の組成を表1のとおり変更した以外は、実施例1と同様にして外装フィルムを得た。
<実施例11>
耐火樹脂組成物の組成を表1のとおり変更し、エタノール/トルエンを重量比で50:50にてブレンドした混合溶剤の代わりに水を用いた以外は、実施例1と同様にして外装フィルムを得た。
<実施例12〜14>
表1に示した配合を有する耐火樹脂組成物を一軸押出機に供給し、150℃で押出成形して、耐火樹脂層を得たこと以外は、実施例1と同様にして外装フィルムを得た。
<比較例3>
アルミニウム箔(金属層、40μm)の一方の表面に、カルボン酸変性ポリプロピレン層(第1シーラント層、厚さ15μm)とホモポリプロピレン層(第2シーラント層、厚さ15μm)を共押出することにより、金属層、カルボン酸変性ポリプロピレン層、ホモポリプロピレン層とがこの順に積層された積層体Bを得た。積層体Bの金属層の表面に、エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂)100質量部と酸無水物(メチルヘキサヒドロ無水フタル酸)100質量部とを含む接着層組成物を塗布した。該塗布した接着層組成物上に、二軸延伸ナイロンフィルム(基材、厚さ25μm)を積層した後、加熱し、接着層組成物を硬化させ接着層(厚さ10μm)とし、外装フィルムを得た。該外装フィルムは、二軸延伸ナイロンフィルム(基材層)/接着層/カルボン酸変性ポリプロピレン層/ホモポリプロピレン層がこの順に積層された外装フィルムである。
<実施例15>
(1)耐火樹脂層の作製
表2に示した配合を有する耐火樹脂組成物をエタノール/トルエンを重量比で50:50にてブレンドした混合溶剤で固形分濃度55質量%に希釈したスラリー液を用意した。そのスラリー液を離型シート(リンテック社製PETフィルム)の片面に塗布して、80℃、30分間で乾燥させて、離型シート上に形成された耐火樹脂層を得た。次いで、耐火樹脂層を離型シートから剥離し、単体の耐火樹脂層を得た。
(2)外装フィルムの作製(基材層/接着層/耐火樹脂層/金属層/シーラント層)
アルミニウム箔(金属層、40μm)の一方の表面に、カルボン酸変性ポリプロピレン層(第1シーラント層、厚さ15μm)とホモポリプロピレン層(第2シーラント層、厚さ15μm)を共押出することにより、金属層、カルボン酸変性ポリプロピレン層、ホモポリプロピレン層がこの順に積層された積層体Cを得た。積層体Cの金属層側の表面に、上記(1)で作製した耐火樹脂層を熱ラミネート(200℃)し、積層体Dを作製した。
二軸延伸ナイロンフィルム(基材、25μm)の表面に、エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂)100質量部と酸無水物(メチルヘキサヒドロ無水フタル酸)100質量部とを含む接着層組成物を塗布した。該塗布した接着層組成物上に、耐火樹脂層が接触するように積層体Dを積層した後、加熱し、接着層組成物を硬化させ接着層(厚さ10μm)とし、外装フィルムを得た。該外装フィルムは、二軸延伸ナイロンフィルム(基材)/接着層/耐火樹脂層/金属層/カルボン酸変性ポリプロピレン層/ホモポリプロピレン層がこの順に積層された外装フィルムである。
<実施例16>
耐火樹脂組成物の組成を表2のとおり変更し、エタノール/トルエンを重量比で50:50にてブレンドした混合溶剤の代わりに水を用いた以外は、実施例15と同様にして外装フィルムを得た。
<実施例17〜19>
表2に示した配合を有する耐火樹脂組成物を一軸押出機に供給し、150℃で押出成形して、耐火樹脂層を得たこと以外は、実施例15と同様にして外装フィルムを得た。
<比較例4>
耐火樹脂組成物の組成を表2のとおり変更した以外は、実施例15と同様に外装フィルムを得た。
<実施例20>
(1)耐火基材層(基材層)の作製
表3に示した配合を有する耐火樹脂組成物をエタノール/トルエンを重量比で50:50にてブレンドした混合溶剤で固形分濃度55質量%に希釈したスラリー液を用意した。そのスラリー液を離型シート(リンテック社製PETフィルム)の片面に塗布して、80℃、30分間で乾燥させて、離型シート上に形成された耐火樹脂層を得た。次いで、耐火樹脂層を離型シートから剥離し、単体の耐火基材層(厚さ40μm)を得た。
(2)外装フィルムの作製(耐火基材層/接着層/金属層/シーラント層)
アルミニウム箔(金属層、40μm)の一方の表面に、カルボン酸変性ポリプロピレン層(第1シーラント層、厚さ15μm)とホモポリプロピレン層(第2シーラント層、厚さ15μm)を共押出することにより、金属層、カルボン酸変性ポリプロピレン層、ホモポリプロピレン層とがこの順に積層された積層体Bを得た。積層体Bの金属層の表面に、エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂)100質量部と酸無水物(メチルヘキサヒドロ無水フタル酸)100質量部とを含む接着層組成物を塗布した。該塗布した接着層組成物上に、上記(1)で作製した耐火基材層を積層した後、加熱し、接着層組成物を硬化させ接着層(厚さ10μm)とし、外装フィルムを得た。該外装フィルムは、耐火基材層/接着層/金属層/カルボン酸変性ポリプロピレン層/ホモポリプロピレン層がこの順に積層された外装フィルムである。
<実施例21>
耐火樹脂組成物の組成を表3のとおり変更し、エタノール/トルエンを重量比で50:50にてブレンドした混合溶剤の代わりに水を用いた以外は、実施例20と同様にして外装フィルムを得た。
<実施例22〜24>
表3に示した配合を有する耐火樹脂組成物を一軸押出機に供給し、150℃で押出成形して、耐火樹脂層を得たこと以外は、実施例20と同様にして外装フィルムを得た。
<比較例5>
耐火樹脂組成物の組成を表3のとおり変更した以外は、実施例20と同様に外装フィルムを得た。
<実施例25>
アルミニウム箔(金属層、40μm)の一方の表面に、カルボン酸変性ポリプロピレン層(第1シーラント層、厚さ15μm)とホモポリプロピレン層(第2シーラント層、厚さ15μm)を共押出することにより、金属層、カルボン酸変性ポリプロピレン層、ホモポリプロピレン層とがこの順に積層された積層体Bを得た。積層体Bの金属層の表面に、エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂)100質量部、酸無水物(メチルヘキサヒドロ無水フタル酸)100質量部、及び水酸化アルミニウム1 100質量を含む接着層組成物を塗布した。該塗布した接着層組成物上に、二軸延伸ナイロンフィルム(基材、25μm)を積層した後、加熱し、接着層組成物を硬化させ接着層(厚さ10μm)とし、外装フィルムを得た。該外装フィルムは、二軸延伸ナイロンフィルム(基材層)/接着層(吸熱剤含む)/金属層/カルボン酸変性ポリプロピレン層/ホモポリプロピレン層がこの順に積層された外装フィルムである。
<実施例26〜32、比較例6>
接着層組成物の組成を表4のとおり変更した以外は、実施例25と同様にして外装フィルムを得た。
各物性の測定方法及び評価方法は以下のとおりである。
<吸熱剤の熱分解開始温度の測定方法>
熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)を用いて測定した。測定条件は、室温から1000℃まで、昇温速度4℃/min、吸熱剤重量10mgであった。得られたTG曲線から重量が減少し始める温度を熱分解開始温度とした。
<吸熱剤の吸熱量の測定方法>
熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)を用いて、測定条件は、室温から1000℃まで、昇温速度4℃/min、吸熱剤重量10mgであった。得られたDTA曲線から吸熱量(凹部の面積)を算出した。
<吸熱剤の平均粒子径の測定方法>
各成分の平均粒子径はレーザー回折法で測定した。具体的には、レーザー回折散乱方式粒度分布計等の粒度分布計によって求めた粒度分布における積算値50%での粒子径を平均粒子径とした。
<外装フィルムの最大吸熱ピーク温度>
熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)を用いて測定を行い、測定条件は、室温(23℃)から1000℃まで、昇温速度4℃/min、外装フィルム重量10mgであった。
得られたDTA曲線から、吸熱量が最大となる温度を読み取り、この温度を最大吸熱ピーク温度とした。
<外装フィルムの総吸熱量>
熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)を用いて測定を行い、測定条件は、室温(23℃)から1000℃まで、昇温速度4℃/min、外装フィルム重量10mgであった。得られたDTA曲線から総吸熱量を算出した。総吸熱量の算出は明細書中の記載に基づいて行った。
<バッテリ発火テスト>
スマートフォンに使用される電池素子(正極材、負極材、セパレータ、正極端子、及び負極端子等を備えた電池素子)を、各実施例及び比較例で製造した外装フィルムで密封してリチウムイオン二次電池を作製した。具体的には、前記正極及び負極の各々に接続された金属端子を外側に突出させた状態で、電池素子の周縁にフランジ部(シーラント層同士が接触する領域)が形成できるようにして被覆し、前記フランジ部のシーラント層同士をヒートシールして密封し、リチウムイオン二次電池(試験体)を作製した。
該試験体を、300℃に設定したホットプレート上に試験体を載せて火の放出から火が消されるまでの時間を評価した。以下の評価基準で評価した。
AA・・消火時間が1秒以内
A・・消火時間が1秒超5秒以内
B・・消火時間が5秒超10秒以内
C・・消火時間が10秒超
<耐ピンホール性>
耐ピンホール性は、以下の通り評価した。
外装フィルムを縦300mm×横200mmのサイズにカットして、直径89mm(3.5インチ)の円筒状に把持し、初期把持間隔178mm(7インチ)、最大屈曲時の把持間隔25mm(1インチ)として、ゲルボテスター(理学工業社製)を用いて、20℃×65%RH環境下、5000回屈曲を与えた後のピンホール数を計数した。以下の評価基準で評価した。
A・・20個以内
B・・20個超100個以内
C・・100個超
<成形性>
外装フィルム(縦50m×横500mm)を直径7.62cmの金属ロールに50m/分の速度で巻きつけて長尺化した際にシートにクラックが入った場合をB、入らず綺麗に巻き取れた場合をAとした。
最大吸熱ピーク温度及び総吸熱量の値が、所定の範囲内である各実施例の電池用外装フィルムは、バッテリ発火テストの結果が良好であり、耐火性に優れていた。一方、最大吸熱ピーク温度及び総吸熱量の少なくとも一方が所定の範囲外である各比較例の電池用外装フィルムは、バッテリ発火テストの結果が悪く、耐火性に劣っていた。
10 電池用外装フィルム
11 基材層
12 金属層
13 シーラント層
14 接着層
15 耐火樹脂層

Claims (13)

  1. 基材層、金属層、及びシーラント層がこの順で積層された電池用外装フィルムであって、800℃以下に最大吸熱ピーク温度を有し、かつ室温(23℃)から1000℃まで加熱した際の総吸熱量が100J/g以上である電池用外装フィルム。
  2. 基材層と金属層との間に接着層が設けられた、請求項1に記載の電池用外装フィルム。
  3. 吸熱剤及び樹脂aを含有する耐火樹脂層を備える、請求項1又は2に記載の電池用外装フィルム。
  4. 前記基材層が、吸熱剤及び樹脂aを含有する耐火基材層である、請求項1〜3のいずれかに記載の電池用外装フィルム。
  5. 前記樹脂aが熱可塑性樹脂である、請求項3又は4に記載の電池用外装フィルム。
  6. 前記樹脂aがポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項3〜5のいずれかに記載の電池用外装フィルム。
  7. 前記耐火樹脂層が、さらに難燃剤を含有する、請求項3〜6のいずれかに記載の電池用外装フィルム。
  8. 前記耐火基材層が、さら難燃剤を含有する、請求項4〜7のいずれかに記載の電池用外装フィルム。
  9. 前記耐火樹脂層が基材層と金属層との間に設けられた、請求項3〜8のいずれかに記載の電池用外装フィルム。
  10. 前記吸熱剤の平均粒子径が0.1〜90μmである、請求項3〜9のいずれかに記載の電池用外装フィルム。
  11. 前記吸熱剤が水和金属化合物である、請求項3〜10のいずれかに記載の電池用外装フィルム。
  12. 前記水和金属化合物が、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム2水和物、硫酸マグネシウム7水和物からなる群から選ばれる1種以上である、請求項11に記載の電池用外装フィルム。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の電池用外装フィルムを外装材とする電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023245618A1 (zh) * 2022-06-24 2023-12-28 宁德新能源科技有限公司 封装膜、电化学装置和电子装置

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