A.第1実施形態:
A−1.静電チャック100の構成:
図1は、第1実施形態における静電チャック100の外観構成を概略的に示す斜視図であり、図2は、第1実施形態における静電チャック100のXZ断面構成を概略的に示す説明図であり、図3は、第1実施形態における静電チャック100のXY断面構成を概略的に示す説明図である。図3には、図2のIII−IIIの位置における静電チャック100のXY断面構成が示されている。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向といい、Z軸負方向を下方向というものとするが、静電チャック100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。また、以下では、Z軸方向に直交する方向を「面方向」という。
静電チャック100は、対象物(例えばウェハW)を静電引力により吸着して保持する装置であり、例えば半導体製造装置の真空チャンバー内でウェハWを固定するために使用される。静電チャック100は、所定の配列方向(本実施形態では上下方向(Z軸方向))に並べて配置された板状部材10およびベース部材20を備える。板状部材10とベース部材20とは、板状部材10の下面S2(図2参照)とベース部材20の上面S3とが、後述する接合部30を挟んで上記配列方向に対向するように配置される。すなわち、ベース部材20は、ベース部材20の上面S3が板状部材10の下面S2側に位置するように配置される。板状部材10の下面S2は、特許請求の範囲における第2の表面に相当し、ベース部材20の上面S3は、特許請求の範囲における第3の表面に相当する。
板状部材10は、略円板状部材であり、例えばセラミックス(例えば、アルミナや窒化アルミニウム等)により形成されている。より詳細には、板状部材10は、外周に沿って上側に切り欠きが形成された部分である外周部OPと、外周部OPの内側に位置する内側部IPとから構成されている。板状部材10における内側部IPの厚さ(Z軸方向における厚さであり、以下同様)は、外周部OPに形成された切り欠きの分だけ、外周部OPの厚さより厚くなっている。すなわち、板状部材10の外周部OPと内側部IPとの境界の位置で、板状部材10の厚さが変化している。
板状部材10の内側部IPの直径は例えば50mm〜500mm程度(通常は200mm〜350mm程度)であり、板状部材10の外周部OPの直径は例えば60mm〜510mm程度(通常は210mm〜360mm程度)である(ただし、外周部OPの直径は内側部IPの直径より大きい)。また、板状部材10の内側部IPの厚さは例えば1mm〜10mm程度であり、板状部材10の外周部OPの厚さは例えば0.5mm〜9.5mm程度である(ただし、外周部OPの厚さは内側部IPの厚さより薄い)。
板状部材10の上面S1の内、内側部IPにおける上面(以下、「吸着面」ともいう)S11は、Z軸方向に略直交する略円形の表面である。吸着面S11は、対象物(例えばウェハW)を保持する吸着面として機能する。吸着面S11は、特許請求の範囲における第1の表面に相当する。
板状部材10の吸着面S11における外縁付近には、連続的な壁状の凸部(以下、「壁状凸部」という。)12が形成されている。壁状凸部12は、シールバンドとも呼ばれる。Z軸方向視での壁状凸部12の形状は、板状部材10の吸着面S11の中心を中心とした略円環状である。また、図2に示すように、壁状凸部12の断面(Z軸に平行で、かつ、上記中心を通る断面)の形状は、略矩形である。壁状凸部12の高さは、例えば、10μm〜20μm程度である。また、壁状凸部12の幅(Z軸方向視での壁状凸部12の延伸方向に直交する方向の大きさ)は、例えば、0.5mm〜5.0mm程度である。
また、板状部材10の吸着面S11における壁状凸部12より内側の領域には、複数の独立した柱状の凸部(以下、「柱状凸部」という。)14が形成されている。Z軸方向視での各柱状凸部14の形状は、略円形である。また、Z軸方向視で、複数の柱状凸部14は、略均等間隔で配置されている。また、図2に示すように、各柱状凸部14の断面(Z軸に平行な断面)の形状は、略矩形である。柱状凸部14の高さは、凸部12の高さと略同一であり、例えば、10μm〜20μm程度である。また、柱状凸部14の幅(Z軸方向視での柱状凸部14の最大径)は、例えば、0.5mm〜1.5mm程度である。なお、板状部材10の吸着面S11における壁状凸部12より内側の領域の内、柱状凸部14が形成されていない部分は、凹部16となっている。
ウェハWは、板状部材10の吸着面S11における壁状凸部12と複数の柱状凸部14とに支持される。ウェハWが壁状凸部12および複数の柱状凸部14に支持された状態では、ウェハWの表面(下面)と、板状部材10の吸着面S11(より詳細には吸着面S11の凹部16)との間に、空間が存在することとなる。後述するように、この空間には、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス)が供給される。
板状部材10の上面S1の内、外周部OPにおける上面(以下、「外周上面」ともいう)S12は、Z軸方向に略直交する略円環状の表面である。板状部材10の外周上面S12には、例えば、静電チャック100を固定するための治具(不図示)が係合する。
図2に示すように、板状部材10の内部には、導電性材料(例えば、タングステン、モリブデン、白金等)により形成されたチャック電極40が配置されている。Z軸方向視でのチャック電極40の形状は、例えば略円形である。チャック電極40に電源(不図示)から電圧が印加されると、静電引力が発生し、この静電引力によってウェハWが板状部材10の吸着面S11に吸着固定される。
また、板状部材10の内部には、導電性材料(例えば、タングステン、モリブデン、白金等)を含む抵抗発熱体により構成されたヒータ電極50が配置されている。ヒータ電極50に電源(不図示)から電圧が印加されると、ヒータ電極50が発熱することによって板状部材10が温められ、板状部材10の吸着面S11に保持されたウェハWが温められる。これにより、ウェハWの温度分布の制御が実現される。
ベース部材20は、例えば板状部材10の外周部OPと同径の、または、板状部材10の外周部OPより径が大きい円形平面の板状部材であり、例えば金属(アルミニウムやアルミニウム合金等)により形成されている。ベース部材20の直径は例えば220mm〜550mm程度(通常は220mm〜350mm)であり、ベース部材20の厚さは例えば20mm〜40mm程度である。
ベース部材20は、板状部材10の下面S2とベース部材20の上面S3との間に配置された接合部30によって、板状部材10に接合されている。接合部30は、例えば、熱硬化型接着剤であるシリコーン系接着剤により構成されている。また、接合部30は、上記接着剤より熱伝導率の高いフィラー(例えば、アルミナ等のセラミックスの粉末)を含んでいてもよい。接合部30の厚さは、例えば0.1mm〜1mm程度である。接合部30の構成は、後にさらに詳述する。
ベース部材20の内部には冷媒流路21が形成されている。冷媒流路21に冷媒(例えば、フッ素系不活性液体や水等)が流されると、ベース部材20が冷却され、接合部30を介したベース部材20と板状部材10との間の伝熱(熱引き)により板状部材10が冷却され、板状部材10の吸着面S11に保持されたウェハWが冷却される。これにより、ウェハWの温度分布の制御が実現される。
また、図2に示すように、静電チャック100は、板状部材10とウェハWとの間の伝熱性を高めてウェハWの温度分布の制御性をさらに高めるため、板状部材10の吸着面S11とウェハWの表面との間に存在する空間に不活性ガス(例えば、ヘリウムガス)を供給する構成を備えている。すなわち、静電チャック100には、ベース部材20の下面S4から上面S3にわたって上下方向に延びる第1のガス流路孔131と、ベース部材20の第1のガス流路孔131に連通すると共に接合部30を上下方向に貫通する貫通孔135と、後述する凹部134を介して接合部30の貫通孔135に連通すると共に板状部材10の吸着面S11に開口する第2のガス流路孔132とが形成されている。また、板状部材10の内部には、第2のガス流路孔132と連通すると共に面方向に環状に延びる横流路133が形成されており、板状部材10の下面S2には、凹部134が形成されている。凹部134には、通気性を有する充填部材(通気性プラグ)160が充填されている。ヘリウムガス源(不図示)から供給されたヘリウムガスが、ベース部材20の第1のガス流路孔131内に流入すると、流入したヘリウムガスは、第1のガス流路孔131から接合部30の貫通孔135および凹部134内に充填された通気性を有する充填部材160の内部を経て、板状部材10の第2のガス流路孔132内に流入し、横流路133を介して面方向に流れつつ、吸着面S11に形成されたガス噴出孔から噴出する。このようにして、吸着面S11とウェハWの表面との間に存在する空間に、ヘリウムガスが供給される。
A−2.接合部30の詳細構成:
次に、接合部30の詳細構成について説明する。図3に示すように、本実施形態の静電チャック100では、接合部30が、面方向に並ぶ2つの部分である第1の接合部310および第2の接合部320を備えている。第1の接合部310は、後述する静電チャック100の製造方法において、第1の接着材料部310aから形成された部分であり、第2の接合部320は、後述する静電チャック100の製造方法において、第2の接着材料部320aから形成された部分である。第1の接合部310および第2の接合部320の厚さは、接合部30の厚さと同様に、例えば0.1mm〜1mm程度である。なお、第1の接合部310および第2の接合部320は、実際には、互いに一体となっている。
図3に示すように、第1の接合部310は、面方向に並ぶ3つの部分である外周環状部311、柱状部313および開口部環状部312を含んでいる。外周環状部311は、Z軸方向視での接合部30の外周部に相当する環状の部分である。外周環状部311の幅(Z軸方向視で、延伸方向に直交する方向の大きさ)は、例えば0.1mm〜5mm程度である。
第1の接合部310の柱状部313は、外周環状部311によって囲まれた領域に位置する柱状の部分である。柱状部313の径(Z軸方向視での大きさ)は、例えば0.1mm〜10mm程度である。本実施形態では、第1の接合部310は複数の柱状部313を含んでいる。複数の柱状部313は、外周環状部311によって囲まれた領域に、略均等に配置される。
第1の接合部310の開口部環状部312は、外周環状部311によって囲まれた領域に位置し、かつ、Z軸方向視でベース部材20の上面S3に形成された開口部(例えば、第1のガス流路孔131の開口部)を取り囲む環状の部分である。なお、開口部環状部312により囲まれた空間が、接合部30を貫通する貫通孔(例えば、貫通孔135)となる。開口部環状部312の幅(Z軸方向視で、延伸方向に直交する方向の大きさ)は、例えば0.1mm〜10mm程度である。なお、図3には、1つの開口部環状部312のみが図示されているが、ベース部材20の上面S3に複数の開口部(例えば、リフトピン用の開口部や給電端子用の開口部等)が形成されている場合には、該複数の開口部のそれぞれに対応して開口部環状部312が設けられる。
また、第2の接合部320は、第1の接合部310の外周環状部311によって囲まれた領域の内、柱状部313および開口部環状部312が存在する領域を除く領域の全体にわたって配置された部分である。
本実施形態では、第1の接合部310に含まれる接着剤は、第2の接合部320に含まれる接着剤と同種の接着剤である。また、第1の接合部310が接着剤に加えてフィラーを含む場合には、第2の接合部320も接着剤に加えて同種のフィラーを含むことが好ましい。
A−3.静電チャック100の製造方法:
次に、第1実施形態の静電チャック100の製造方法について説明する。図4は、第1実施形態の静電チャック100の製造方法を示すフローチャートであり、図5は、第1実施形態の静電チャック100の製造方法を概念的に示す説明図である。
はじめに、板状部材10とベース部材20とを準備する(S110)。板状部材10およびベース部材20は、公知の製造方法によって製造可能である。例えば、板状部材10は以下の方法で製造される。すなわち、複数のセラミックスグリーンシート(例えばアルミナグリーンシート)を準備し、所定のセラミックスグリーンシートに所定の加工を行う。所定の加工としては、例えば、チャック電極40やヒータ電極50等の形成のためのメタライズペーストの印刷、各ビアの形成のための孔開けおよびメタライズペーストの充填、各ガス流路の形成のための孔開け等が挙げられる。これらのセラミックスグリーンシートを積層して熱圧着し、切断等の加工を行うことにより、セラミックスグリーンシートの積層体を得る。得られたセラミックスグリーンシートの積層体を焼成することによりセラミックス焼成体を作製し、研磨加工や、壁状凸部12および柱状凸部14を形成するためのショットブラスト加工等の所定の加工を行うことにより、板状部材10が製造される。
次に、準備されたベース部材20の上面S3に、第1の接着剤を含むペースト状接着材料を塗布することにより、第1の接着材料部310aを形成する(S120、図5のA欄参照)。第1の接着材料部310aは、接合部30の内の第1の接合部310を形成するための接着材料部であり、おおよそ第1の接合部310の形状と同様の形状に形成される。第1の接着材料部310aは、第1の接合部310を構成する各部(外周環状部311、開口部環状部312および柱状部313)を形成するための部分を含む。説明の便宜上、第1の接着材料部310aの内、外周環状部311、開口部環状部312および柱状部313を形成するための部分を、それぞれ、第1の接着材料部310aの外周環状部311a、開口部環状部312aおよび柱状部313aという。S120の塗布工程は、例えば、第1の接着材料部310aを構成する各部(外周環状部311a、開口部環状部312aおよび柱状部313a)の形状に対応する開口部が形成されたマスクを用いたスクリーン印刷によって行う。また、S120の塗布工程に用いられるペースト状接着材料の粘度は、塗布後に自身の形状を保持することができる程度の粘度に設定される。なお、スクリーン印刷等の塗布工程では、塗布厚さのバラツキが発生するため、S120の塗布工程により形成された第1の接着材料部310aにおいては、高さのバラツキが発生する。なお、ここでいう第1の接着材料部310aの高さのバラツキとは、第1の接着材料部310aを構成する1つの部分(例えば、外周環状部311a)における各位置での高さのバラツキと、第1の接着材料部310aを構成する複数の部分(例えば、外周環状部311aと柱状部313a)との間での高さのバラツキと、の少なくとも一方を意味する。S120の工程は、特許請求の範囲における第1の塗布工程に相当し、外周環状部311aは、特許請求の範囲における第1の環状部に相当し、開口部環状部312aは、特許請求の範囲における第2の環状部に相当する。
次に、治具400を用いて第1の接着材料部310aをプレスすることにより、第1の接着材料部310aの高さを揃える(S130、図5のB欄参照)。この工程により、上述した第1の接着材料部310aの高さのバラツキが補正され、第1の接着材料部310aの高さが略均一となる。なお、この工程に用いられる治具400は、第1の接着材料部310aの高さを揃えることができるものであればよく、治具400の表面(プレス面)の形状は任意に設定可能である。例えば、治具400のプレス面の形状が、治具400によってプレスされた第1の接着材料部310aの先端が平坦形状となるような形状であってもよい。ただし、本実施形態では、治具400のプレス面の形状が、治具400によってプレスされた第1の接着材料部310aの先端が尖頭形状となるような形状であるとしている。S130の工程は、特許請求の範囲におけるプレス工程に相当する。
次に、S130のプレス工程以降の第1の接着材料部310aに対して硬化処理を行う(S140)。本実施形態では、第1の接着材料部310aに対して硬化処理を行うことにより、第1の接着材料部310aを仮硬化する。なお、本明細書において、仮硬化とは、接着材料部がゴム硬度計(ショアA)で測定した際に20以上50以下の値を示す状態を意味する。S140における硬化処理としては、例えば、120℃、0.5〜1時間の熱処理が行われる。なお、本実施形態では、S140における硬化処理は、S130において治具400を用いて第1の接着材料部310aをプレスした状態で行われる。S140における硬化処理の後に、第1の接着材料部310aから治具400を離間する。S140の工程は、特許請求の範囲における第1の硬化工程に相当する。
次に、ベース部材20の上面S3における、硬化処理が行われた第1の接着材料部310aの外周環状部311aによって囲まれた領域(ただし、柱状部313aおよび開口部環状部312aが存在する領域を除く)に、第2の接着剤を含むペースト状接着材料を塗布することにより、第2の接着材料部320aを形成する(S150、図5のC欄参照)。第2の接着材料部320aは、接合部30の内の第2の接合部320を形成するための接着材料部であり、おおよそ第2の接合部320の形状と同様の形状に形成される。S150の塗布工程は、例えば、第2の接着材料部320aの形状に対応する開口部が形成されたマスクを用いたスクリーン印刷によって行う。本実施形態では、S150の塗布工程に用いられるペースト状接着材料に含まれる第2の接着剤として、S120の塗布工程に用いられるペースト状接着材料に含まれる第1の接着剤と同種の接着剤が用いられる。また、S150の塗布工程に用いられるペースト状接着材料の粘度は、S120の塗布工程に用いられるペースト状接着材料の粘度と同程度に設定される。また、S150の塗布工程により形成される第2の接着材料部320aの厚さは、例えば、S140の硬化工程後の第1の接着材料部310aの厚さの105〜110%程度の厚さに設定される。S150の工程は、特許請求の範囲における第2の塗布工程に相当する。
次に、板状部材10をベース部材20の上面S3側に配置することにより、板状部材10とベース部材20とを第1の接着材料部310aおよび第2の接着材料部320aを介して貼り合わせた状態とし、第1の接着材料部310aおよび第2の接着材料部320aに対して硬化処理を行う(S160、図5のD欄参照)。この硬化処理により、第1の接着材料部310aおよび第2の接着材料部320aが硬化して(完全硬化して)、それぞれ、第1の接合部310および第2の接合部320となり、第1の接合部310と第2の接合部320とから構成された接合部30が形成される。なお、本明細書において、完全硬化とは、接着材料部がゴム硬度計(ショアA)で測定した際に50より大きい値を示す状態を意味する。S160における硬化処理としては、例えば、150℃、3〜5時間の熱処理が行われる。また、S160における硬化処理の際には、板状部材10とベース部材20との積層体が積層方向に加圧されるとしてもよい。S160の工程は、特許請求の範囲における第2の硬化工程に相当する。主として以上の工程により、本実施形態の静電チャック100が製造される。
A−4.本実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態の静電チャック100は、板状部材10と、ベース部材20と、接合部30とを備える。板状部材10は、吸着面S11と、吸着面S11とは反対側の下面S2とを有する。ベース部材20は、上面S3を有し、上面S3が板状部材10の下面S2側に位置するように配置される。ベース部材20の内部には、冷媒流路21が形成されている。接合部30は、板状部材10の下面S2とベース部材20の上面S3との間に配置されて板状部材10とベース部材20とを接着する。
また、本実施形態の静電チャック100の製造方法は、ベース部材20の上面S3に、第1の接着剤を含むペースト状接着材料を塗布することにより、接合部30の外周部に相当する形状の外周環状部311aを含む第1の接着材料部310aを形成する工程(第1の塗布工程、S120)と、治具400を用いて第1の接着材料部310aをプレスすることにより、第1の接着材料部310aの高さを揃える工程(プレス工程、S130)と、プレス工程以降の第1の接着材料部310aに対して硬化処理を行う工程(第1の硬化工程、S140)と、ベース部材20の上面S3における、硬化処理が行われた第1の接着材料部310aの外周環状部311aによって囲まれた領域の少なくとも一部(開口部環状部312aおよび柱状部313aが存在する領域を除く領域)に、第2の接着剤を含むペースト状接着材料を塗布することにより、第2の接着材料部320aを形成する工程(第2の塗布工程、S150)と、板状部材10とベース部材20とを第1の接着材料部310aおよび第2の接着材料部320aを介して貼り合わせた状態で、第1の接着材料部310aおよび第2の接着材料部320aに対して硬化処理を行うことにより、第1の接着材料部310aおよび第2の接着材料部320aが硬化した接合部30を形成する工程(第2の硬化工程、S160)とを備える。
このように、本実施形態の静電チャック100の製造方法では、ベース部材20の上面S3に、接合部30の外周部に相当する形状の外周環状部311aを含む第1の接着材料部310aが形成され、第1の接着材料部310aに対して硬化処理が行われ、硬化処理が行われた第1の接着材料部310aの外周環状部311aによって囲まれた領域の少なくとも一部に第2の接着材料部320aが形成される。そのため、硬化処理が行われた第1の接着材料部310aの外周環状部311aがダムとして機能することにより、その後に第2の接着材料部320aに対して硬化処理を行っても、軟化した第2の接着材料部320aが接着箇所以外の箇所へ流れ出すことを抑制することができる。また、本実施形態の静電チャック100の製造方法では、ベース部材20の上面S3に形成された第1の接着材料部310aが治具400を用いてプレスされることによって高さが揃えられた後に、第1の接着材料部310aに対して硬化処理が行われ、該硬化処理後の第1の接着材料部310aの外周環状部311aによって囲まれた領域に第2の接着材料部320aが形成される。そのため、第1の接着材料部310aおよび第2の接着材料部320aを硬化させて形成した接合部30の厚さのバラツキを抑制することができ、接合部30の厚さのバラツキに起因する板状部材10の吸着面S11における温度分布の制御性の低下を抑制することができる。このように、本実施形態の静電チャック100の製造方法によれば、接着材料部が接着箇所以外の箇所へ流れ出すことを抑制しつつ、接合部30の厚さのバラツキを抑制して板状部材10の吸着面S11における温度分布の制御性の低下を抑制することができる。
また、本実施形態の静電チャック100の製造方法では、第1の接着材料部310aを形成するペースト状接着材料に含まれる第1の接着剤は、第2の接着材料部320aを形成するペースト状接着材料に含まれる第2の接着剤と同種の接着剤である。そのため、本実施形態の静電チャック100の製造方法によれば、製造された接合部30の内、第1の接着材料部310aから形成された第1の接合部310と第2の接着材料部320aから形成された第2の接合部320との間の熱伝導率を揃えることができ、接合部30の局所的な熱伝導率の相違に起因する板状部材10の吸着面S11における温度分布の制御性の低下を抑制することができる。
また、本実施形態の静電チャック100の製造方法では、上記プレス工程は、治具400を用いて第1の接着材料部310aをプレスすることにより、第1の接着材料部310aの高さを揃えると共に、第1の接着材料部310aの先端を尖頭形状にする工程である。そのため、本実施形態の静電チャック100の製造方法によれば、第1の接着材料部310aの先端を尖頭形状にすることにより、硬化工程後の第1の接着材料部310aの先端部分に配置された第2の接着材料部320aがすべって流れてしまうことを抑制することができ、製造された接合部30の内、第1の接着材料部310aから形成された第1の接合部310と第2の接着材料部320aから形成された第2の接合部320との間の剥離の発生を抑制することができる。
また、本実施形態の静電チャック100の製造方法では、第1の接着材料部310aは、外周環状部311aによって囲まれた領域に位置する柱状部313aを含む。そのため、本実施形態の静電チャック100の製造方法では、S130のプレス工程において、接合部30の外周部に相当する形状の外周環状部311aと、外周環状部311aによって囲まれた領域に位置する柱状部313aと、を含む第1の接着材料部310aの高さが揃えられる。従って、本実施形態の静電チャック100の製造方法によれば、第1の接着材料部310aおよび第2の接着材料部320aを硬化させて形成した接合部30の厚さのバラツキを効果的に抑制することができ、接合部30の厚さのバラツキに起因する板状部材10の吸着面S11における温度分布の制御性の低下を効果的に抑制することができる。
また、本実施形態の静電チャック100の製造方法では、ベース部材20の上面S3に、開口部(例えば第1のガス流路孔131)が形成されており、第1の接着材料部310aは開口部環状部312aを含む。開口部環状部312aは、外周環状部311aによって囲まれた領域に位置し、上記開口部を取り囲む形状の部分である。そのため、本実施形態の静電チャック100の製造方法では、S130のプレス工程において、接合部30の外周部に相当する形状の外周環状部311aと、外周環状部311aによって囲まれた領域に位置し、ベース部材20の上面S3の開口部を取り囲む形状の開口部環状部312aと、を含む第1の接着材料部310aの高さが揃えられる。また、その後に第1の接着材料部310aに対する硬化処理が行われることにより、第1の接着材料部310aの開口部環状部312aがダムとして機能する。従って、本実施形態の静電チャック100の製造方法によれば、開口部環状部312aの存在によりベース部材20の上面S3の開口部への第2の接着材料部320aの流出を抑制しつつ、第1の接着材料部310aおよび第2の接着材料部320aを硬化させて形成した接合部30の厚さのバラツキを抑制することができ、接合部30の厚さのバラツキに起因する板状部材10の吸着面S11における温度分布の制御性の低下を抑制することができる。
また、本実施形態の静電チャック100の製造方法では、S130のプレス工程において、治具400を用いて第1の接着材料部310aをプレスした状態でS140の硬化工程を行い、S140の硬化工程の後に、第1の接着材料部310aから治具400を離間させる。そのため、本実施形態の静電チャック100の製造方法では、S130のプレス工程によりプレスされた第1の接着材料部310aの形状(高さや表面形状)が、第1の接着材料部310aから治具400を離間させる動作に伴い変化することを抑制することができる。従って、本実施形態の静電チャック100の製造方法によれば、第1の接着材料部310aおよび第2の接着材料部320aを硬化させて形成した接合部30の厚さのバラツキを効果的に抑制することができる。
また、本実施形態の静電チャック100の製造方法では、S140の硬化工程において、第1の接着材料部310aに対して硬化処理を行うことにより、第1の接着材料部310aを仮硬化し、S160の硬化工程において、互いに接した状態の第1の接着材料部310aおよび第2の接着材料部320aに対して硬化処理を行うことにより、第1の接着材料部310aおよび第2の接着材料部320aが(完全)硬化した接合部30を形成する。そのため、本実施形態の静電チャック100の製造方法では、S140の硬化工程において第1の接着材料部310aを完全硬化し、S160の硬化工程において第2の接着材料部320aのみに対して硬化処理を行う形態と比較して、第1の接着材料部310aと第2の接着材料部320aとの間の密着性を向上させることができる。従って、本実施形態の静電チャック100の製造方法によれば、製造された接合部30の内、第1の接着材料部310aから形成された第1の接合部310と第2の接着材料部320aから形成された第2の接合部320との間の剥離の発生を効果的に抑制することができる。
B.第2実施形態:
図6は、第2実施形態の静電チャック100の製造方法を示すフローチャートであり、図7は、第2実施形態の静電チャック100の製造方法を概念的に示す説明図である。以下では、第2実施形態の静電チャック100の製造方法の内、上述した第1実施形態の静電チャック100の製造方法と同一の工程については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
はじめに、第1実施形態と同様に、板状部材10とベース部材20とを準備する(S110)。
次に、作業台500の上面に、第1の接着剤を含むペースト状接着材料を塗布することにより、第1の接着材料部310aを形成する(S122、図7のA欄参照)。S122の工程は、第1の接着材料部310aの形成面がベース部材20の上面S3から作業台500の上面に変更された点を除き、第1実施形態におけるS120の工程と同様である。S122の工程は、特許請求の範囲における第1の塗布工程に相当し、外周環状部311aは、特許請求の範囲における第1の環状部に相当する。
次に、第1実施形態と同様に、治具400を用いて第1の接着材料部310aをプレスすることにより、第1の接着材料部310aの高さを揃える(S130、図7のB欄参照)。
次に、S130のプレス工程以降の第1の接着材料部310aに対して硬化処理を行うことにより、シート状接着材料部310bを形成する(S142、図7のB欄参照)。シート状接着材料部310bは、第1の接着材料部310aが仮硬化した状態のものである。説明の便宜上、シート状接着材料部310bの内、第1の接着材料部310aの外周環状部311a、開口部環状部312aおよび柱状部313aが仮硬化した部分を、それぞれ、外周環状部311b、開口部環状部312bおよび柱状部313bという。S142における硬化処理としては、例えば、120℃、0.5〜1時間の熱処理が行われる。なお、本実施形態では、S142における硬化処理は、S130において治具400を用いて第1の接着材料部310aをプレスした状態で行われる。S142における硬化処理の後に、第1の接着材料部310a(シート状接着材料部310b)から治具400を離間する。S142の工程は、特許請求の範囲におけるシート形成工程に相当する。
次に、ベース部材20の上面S3に、S142で形成されたシート状接着材料部310bを配置する(S144、図7のC欄参照)。ベース部材20の上面S3へのシート状接着材料部310bの配置の際には、外周環状部311bが接合部30の外周部となる位置となり、開口部環状部312bがベース部材20の上面S3の開口部を取り囲む位置となるように、ベース部材20とシート状接着材料部310bとの間の相対位置が調整される。S144の工程は、特許請求の範囲における配置工程に相当する。
次に、ベース部材20の上面S3における、シート状接着材料部310bの外周環状部311bによって囲まれた領域(ただし、柱状部313bおよび開口部環状部312bが存在する領域を除く)に、第2の接着剤を含むペースト状接着材料を塗布することにより、第2の接着材料部320aを形成する(S152、図7のD欄参照)。この塗布工程は、第1の接着材料部310aがシート状接着材料部310bに変更された点を除き、第1実施形態におけるS150の工程と同様である。S152の工程は、特許請求の範囲における第2の塗布工程に相当する。
次に、板状部材10をベース部材20の上面S3側に配置することにより、板状部材10とベース部材20とをシート状接着材料部310bおよび第2の接着材料部320aを介して貼り合わせた状態とし、シート状接着材料部310bおよび第2の接着材料部320aに対して硬化処理を行う(S162、図7のE欄参照)。この硬化処理により、シート状接着材料部310bおよび第2の接着材料部320aが硬化して(完全硬化して)、それぞれ、第1の接合部310および第2の接合部320となり、第1の接合部310と第2の接合部320とから構成された接合部30が形成される。この硬化工程は、第1の接着材料部310aがシート状接着材料部310bに変更された点を除き、第1実施形態におけるS160の工程と同様である。S162の工程は、特許請求の範囲における第2の硬化工程に相当する。主として以上の工程により、第2実施形態の静電チャック100が製造される。
以上説明したように、第2実施形態の静電チャック100の製造方法は、第1の接着剤を含むペースト状接着材料を塗布することにより、接合部30の外周部に相当する形状の外周環状部311aを含む第1の接着材料部310aを形成する工程(第1の塗布工程、S122)と、治具400を用いて第1の接着材料部310aをプレスすることにより、第1の接着材料部310aの高さを揃える工程(プレス工程、S130)と、プレス工程以降の第1の接着材料部310aに対して硬化処理を行うことにより、外周環状部311aを含むシート状接着材料部310bを形成する工程(シート形成程、S142)と、ベース部材20の上面S3にシート状接着材料部310bを配置する工程(配置工程、S144)と、ベース部材20の上面S3における、シート状接着材料部310bの外周環状部311bによって囲まれた領域の少なくとも一部(開口部環状部312bおよび柱状部313bが存在する領域を除く領域)に、第2の接着剤を含むペースト状接着材料を塗布することにより、第2の接着材料部320aを形成する工程(第2の塗布工程、S152)と、板状部材10とベース部材20とをシート状接着材料部310bおよび第2の接着材料部320aを介して貼り合わせた状態で、シート状接着材料部310bおよび第2の接着材料部320aに対して硬化処理を行うことにより、シート状接着材料部310bおよび第2の接着材料部320aが(完全)硬化した接合部30を形成する工程(第2の硬化工程、S162)とを備える。
このように、第2実施形態の静電チャック100の製造方法では、作業台500の上面に、接合部30の外周部に相当する形状の外周環状部311aを含む第1の接着材料部310aが形成され、第1の接着材料部310aに対して硬化処理が行われることにより、外周環状部311bを含むシート状接着材料部310bが形成され、ベース部材20の上面S3にシート状接着材料部310bが配置され、シート状接着材料部310bの外周環状部311bによって囲まれた領域の少なくとも一部に第2の接着材料部320aが形成される。そのため、シート状接着材料部310bの外周環状部311bがダムとして機能することにより、その後に第2の接着材料部320aに対して硬化処理を行っても、軟化した第2の接着材料部320aが接着箇所以外の箇所へ流れ出すことを抑制することができる。また、第2実施形態の静電チャック100の製造方法では、作業台500の上面に形成された第1の接着材料部310aが治具400を用いてプレスされることによって高さが揃えられた後に、第1の接着材料部310aに対して硬化処理が行われ、該硬化処理により形成されたシート状接着材料部310bの外周環状部311bによって囲まれた領域に第2の接着材料部320aが形成される。そのため、シート状接着材料部310bおよび第2の接着材料部320aを硬化させて形成した接合部30の厚さのバラツキを抑制することができ、接合部30の厚さのバラツキに起因する板状部材10の吸着面S11における温度分布の制御性の低下を抑制することができる。このように、第2実施形態の静電チャック100の製造方法によれば、接着材料部が接着箇所以外の箇所へ流れ出すことを抑制しつつ、接合部30の厚さのバラツキを抑制して板状部材10の吸着面S11における温度分布の制御性の低下を抑制することができる。
また、第2実施形態の静電チャック100の製造方法では、第1実施形態と同様に、第1の接着材料部310aを形成するペースト状接着材料に含まれる第1の接着剤は、第2の接着材料部320aを形成するペースト状接着材料に含まれる第2の接着剤と同種の接着剤であるため、製造された接合部30の内、第1の接着材料部310a(シート状接着材料部310b)から形成された第1の接合部310と第2の接着材料部320aから形成された第2の接合部320との間の熱伝導率を揃えることができ、接合部30の局所的な熱伝導率の相違に起因する板状部材10の吸着面S11における温度分布の制御性の低下を抑制することができる。
また、第2実施形態の静電チャック100の製造方法では、第1実施形態と同様に、上記プレス工程は、治具400を用いて第1の接着材料部310aをプレスすることにより、第1の接着材料部310aの高さを揃えると共に、第1の接着材料部310aの先端を尖頭形状にする工程であるため、第1の接着材料部310aを仮硬化させたシート状接着材料部310bの先端部分に配置された第2の接着材料部320aがすべって流れてしまうことを抑制することができ、製造された接合部30の内、第1の接着材料部310a(シート状接着材料部310b)から形成された第1の接合部310と第2の接着材料部320aから形成された第2の接合部320との間の剥離の発生を抑制することができる。
また、第2実施形態の静電チャック100の製造方法では、第1実施形態と同様に、第1の接着材料部310aは、外周環状部311aによって囲まれた領域に位置する柱状部313aを含むため、第1の接着材料部310aを仮硬化させたシート状接着材料部310bおよび第2の接着材料部320aを硬化させて形成した接合部30の厚さのバラツキを効果的に抑制することができ、接合部30の厚さのバラツキに起因する板状部材10の吸着面S11における温度分布の制御性の低下を効果的に抑制することができる。
また、第2実施形態の静電チャック100の製造方法では、第1実施形態と同様に、ベース部材20の上面S3に、開口部(例えば第1のガス流路孔131)が形成されており、第1の接着材料部310aは、外周環状部311aによって囲まれた領域に位置し、上記開口部を取り囲む形状の開口部環状部312aを含むため、開口部環状部312aの存在によりベース部材20の上面S3の開口部への第2の接着材料部320aの流出を抑制しつつ、第1の接着材料部310aを仮硬化させたシート状接着材料部310bおよび第2の接着材料部320aを硬化させて形成した接合部30の厚さのバラツキを抑制することができ、接合部30の厚さのバラツキに起因する板状部材10の吸着面S11における温度分布の制御性の低下を抑制することができる。
また、第2実施形態の静電チャック100の製造方法では、第1実施形態と同様に、S130のプレス工程において、治具400を用いて第1の接着材料部310aをプレスした状態でS142のシート形成工程を行い、S142のシート形成工程の後に、第1の接着材料部310aを仮硬化させたシート状接着材料部310bから治具400を離間させるため、S130のプレス工程によりプレスされた第1の接着材料部310aの形状(高さや表面形状)が、シート状接着材料部310bから治具400を離間させる動作に伴い変化することを抑制することができ、シート状接着材料部310bおよび第2の接着材料部320aを硬化させて形成した接合部30の厚さのバラツキを効果的に抑制することができる。
また、第2実施形態の静電チャック100の製造方法では、第1実施形態と同様に、S142のシート形成工程において、第1の接着材料部310aに対して硬化処理を行うことにより第1の接着材料部310aが仮硬化したシート状接着材料部310bを形成し、S162の硬化工程において、互いに接した状態のシート状接着材料部310bおよび第2の接着材料部320aに対して硬化処理を行うことにより、シート状接着材料部310bおよび第2の接着材料部320aが(完全)硬化した接合部30を形成するため、シート状接着材料部310bと第2の接着材料部320aとの間の密着性を向上させることができ、製造された接合部30の内、シート状接着材料部310bから形成された第1の接合部310と第2の接着材料部320aから形成された第2の接合部320との間の剥離の発生を効果的に抑制することができる。
C.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上記実施形態における静電チャック100の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、接合部30の第1の接合部310が外周環状部311と開口部環状部312と柱状部313とを含んでいるが、第1の接合部310が開口部環状部312と柱状部313との少なくとも一方を含まないとしてもよい。
また、上記実施形態では、板状部材10が、外周に沿って上側に切り欠きが形成された部分である外周部OPと、外周部OPの内側に位置する内側部IPとから構成されているが、板状部材10に切り欠きが形成されておらず、板状部材10のZ軸方向の厚さが全体にわたって一様であるとしてもよい。また、上記実施形態では、板状部材10の吸着面S11に、壁状凸部12と柱状凸部14とが形成されているが、壁状凸部12や柱状凸部14が形成されていなくてもよい。また、上記実施形態では、板状部材10の内部に1つのチャック電極40が設けられた単極方式が採用されているが、板状部材10の内部に一対のチャック電極40が設けられた双極方式が採用されてもよい。また、上記実施形態の静電チャック100における各部材を形成する材料は、あくまで例示であり、各部材が他の材料により形成されてもよい。
また、上記実施形態における静電チャック100の製造方法は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記第1実施形態では、ベース部材20の上面S3に、第1の接着剤を含むペースト状接着材料を塗布することにより第1の接着材料部310aを形成し(S120)、ベース部材20の上面S3における、硬化処理が行われた第1の接着材料部310aの外周環状部311aによって囲まれた領域の少なくとも一部に、第2の接着剤を含むペースト状接着材料を塗布することにより第2の接着材料部320aを形成しているが(S150)、ベース部材20の上面S3に代えて板状部材10の下面S2に、第1の接着材料部310aを形成し、板状部材10の下面S2における、硬化処理が行われた第1の接着材料部310aの外周環状部311aによって囲まれた領域の少なくとも一部に第2の接着材料部320aを形成するとしてもよい。
同様に、上記第2実施形態では、ベース部材20の上面S3に、シート状接着材料部310bを配置し(S144)、ベース部材20の上面S3における、シート状接着材料部310bの外周環状部311bによって囲まれた領域の少なくとも一部に、第2の接着剤を含むペースト状接着材料を塗布することにより第2の接着材料部320aを形成しているが(S152)、ベース部材20の上面S3に代えて板状部材10の下面S2に、シート状接着材料部310bを配置し、板状部材10の下面S2における、シート状接着材料部310bの外周環状部311bによって囲まれた領域の少なくとも一部に第2の接着材料部320aを形成するとしてもよい。
また、上記第1実施形態では、S140の硬化工程において、第1の接着材料部310aに対して硬化処理を行うことにより第1の接着材料部310aを仮硬化し、S160の硬化工程において、第1の接着材料部310aおよび第2の接着材料部320aに対して硬化処理を行うことにより、第1の接着材料部310aおよび第2の接着材料部320aが完全硬化した接合部30を形成するとしているが、これに代えて、S140の硬化工程において、第1の接着材料部310aに対して硬化処理を行うことにより第1の接着材料部310aを完全硬化し、S160の硬化工程において、第2の接着材料部320aに対して硬化処理を行うことにより、第1の接着材料部310aおよび第2の接着材料部320aが完全硬化した接合部30を形成するとしてもよい。
また、上記各実施形態では、第1の接着材料部310aを形成するペースト状接着材料に含まれる第1の接着剤は、第2の接着材料部320aを形成するペースト状接着材料に含まれる第2の接着剤と同種の接着剤であるとしているが、これらが異種の接着剤であってもよい。また、上記各実施形態では、プレス工程において、治具400を用いて第1の接着材料部310aをプレスすることにより第1の接着材料部310aの先端を尖頭形状にするとしているが、プレス工程後の第1の接着材料部310aの先端形状は、尖頭形状以外の形状であってもよい。また、上記各実施形態では、第1の接着材料部310aが外周環状部311aと開口部環状部312aと柱状部313aとを含んでいるが、第1の接着材料部310aが開口部環状部312aと柱状部313aとの少なくとも一方を含まないとしてもよい。また、上記各実施形態では、S130のプレス工程において、治具400を用いて第1の接着材料部310aをプレスした状態で硬化処理を行い、該硬化処理の後に第1の接着材料部310a(またはシート状接着材料部310b)から治具400を離間させるとしているが、硬化処理の前に第1の接着材料部310aから治具400を離間させるとしてもよい。
また、本発明は、静電引力を利用してウェハWを保持する静電チャック100の製造方法に限らず、板状部材10とベース部材20とを備え、板状部材10の表面上に対象物を保持する他の保持装置(例えば、真空チャックやヒータ装置等)の製造方法にも適用可能である。