JP2020035579A - 正極活物質の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電池の出力特性を向上可能な正極活物質の高効率な製造方法を提供する。【解決手段】正極活物質の製造方法であって、正極活物質原料、及び当該正極活物質原料の表面を被覆しかつLiNbO3を含有する被覆層を備える被覆体を、当該被覆体の最高温度が200〜250℃となり、かつ熱処理開始時から熱処理終了時まで当該被覆体の温度を時間により積分することによって得られる入熱量が11,000〜81,000(℃・min)となるように熱処理する工程を有することを特徴とする、正極活物質の製造方法。【選択図】図1

Description

本開示は、正極活物質の製造方法に関する。
全固体電池は、電解液を用いる電池と異なり材料間の接触面積が小さい。したがって、出力特性を向上させるためには、材料間のイオン伝導性の確保が必要となる。例えば、固体電解質と正極活物質との界面のイオン伝導性を確保することを目的として、正極活物質の表面にLiNbO被覆層を形成する技術が知られている。
特許文献1には、活物質へ、ニオブのペルオキソ錯体及びリチウムを含有する溶液を噴霧し、且つ、これと並行して前記溶液を乾燥する、噴霧乾燥工程と、前記噴霧乾燥工程の後に熱処理する熱処理工程と、を有し、前記熱処理の温度が、123℃よりも高く、且つ、350℃未満である、活物質複合粉体の製造方法が開示されている。当該文献には、熱処理温度を123℃よりも高くすることにより、リチウムイオンの伝導を阻害する水和水等の不純物の残存量を低減することが可能になるので、リチウムイオン伝導度を高めやすくなる旨の記載がある。また当該文献には、熱処理温度を350℃未満にすることにより、ニオブ酸リチウムの結晶化を防止することが可能になり、ニオブ酸リチウムのリチウムイオン伝導度を高めやすくなる旨の記載がある。
特開2015−56307号公報
しかしながら、特許文献1で開示されているような活物質複合粉体の製造方法においては、当該活物質複合粉体を用いた全固体電池の出力特性が低いという問題があった。
本開示は、上記実情に鑑み、電池に使用された場合に当該電池の出力特性を向上可能な正極活物質の高効率な製造方法を提供することを目的とする。
本開示の正極活物質の製造方法は、正極活物質原料、及び当該正極活物質原料の表面を被覆しかつLiNbOを含有する被覆層を備える被覆体を、当該被覆体の最高温度が200〜250℃となり、かつ熱処理開始時から熱処理終了時まで当該被覆体の温度を時間により積分することによって得られる入熱量が11,000〜81,000(℃・min)となるように熱処理する工程を有することを特徴とする。
本開示によれば、被覆体の最高温度及び入熱量をそれぞれ特定の範囲内に収めることによって、被覆体中の水分を効率よく除去しながら、被覆層中のLiNbOの結晶化を抑制できる結果、得られる正極活物質を用いる電池の出力特性を従来よりも向上させることができる。
実施例1〜実施例5及び比較例1〜比較例2の正極活物質の製造時における入熱量と、当該正極活物質に対応する各全固体電池の出力との関係を示すグラフである。
本開示の正極活物質の製造方法は、正極活物質原料、及び当該正極活物質原料の表面を被覆しかつLiNbOを含有する被覆層を備える被覆体を、当該被覆体の最高温度が200〜250℃となり、かつ熱処理開始時から熱処理終了時まで当該被覆体の温度を時間により積分することによって得られる入熱量が11,000〜81,000(℃・min)となるように熱処理する工程を有することを特徴とする。
本発明者らは、LiNbOを含有する被覆層により被覆された正極活物質原料(被覆体)の熱処理時間が長すぎる場合、得られる被覆層のイオン伝導度が低下することを発見した。これは、長時間の熱処理によって、被覆体表面にLiNbOの結晶相が発生してしまうことに起因すると考えられる。
本開示の正極活物質の製造方法は、上記の問題を踏まえたものであり、被覆体に対し適切な温度を設定しかつ適切な入熱量を付与することにより、被覆体の過剰な熱処理を回避でき、その結果、電池に使用された場合に当該電池の出力特性を向上可能な正極活物質が得られる方法である。
正極活物質の製造方法の一例を以下に説明する。なお、正極活物質の製造方法は、下記例に限定されるものではない。
まず、以下の通り、被覆に供するペルオキソ錯体溶液を調製する。このペルオキソ錯体溶液は、被覆層の原料となる。具体的には、例えば、ニオブ酸三水和物(Nb・3HO)及び過酸化水素水の混合水溶液に対し、アンモニア水を添加し攪拌することにより、透明な水溶液を調製する。この水溶液に対し水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)を加えることにより、ペルオキソ錯体溶液が得られる。
材料となるニオブ酸水和物につき、含水率(水和水の含有比)は特に限定されない。アンモニア水の添加量は、ニオブ酸が溶解し透明な水溶液が得られる量であればよい。リチウム塩としては、水酸化リチウム一水和物の他、硝酸リチウム及び硫酸リチウム等も使用できる。
次に、上記ペルオキソ錯体溶液を用い、正極活物質原料表面に対しLiNbOを含有する被覆層を形成する(コーティング)。
正極活物質原料は、電池の電極活物質として使用できるものであれば特に限定されない。正極活物質原料としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、Li1+xNi1/3Mn1/3Co1/3、マンガン酸リチウム(LiMn)、Li1+xMn2−x−y(MがAl,Mg,Co,Fe,Ni,Znから選ばれる1種以上の金属元素)で表される組成の異種元素置換Li−Mnスピネル化合物、チタン酸リチウム(LiTiO)、リン酸金属リチウム(LiMPO,M=Fe,Mn,Co,Ni)、遷移金属酸化物である酸化バナジウム(V)、酸化モリブデン(MoO)、硫化チタン(TiS)、グラファイト及びハードカーボン等の炭素材料(C)、リチウムコバルト窒化物(LiCoN)、リチウムシリコン酸化物(LiSi)、リチウム金属(Li)又はリチウム合金(LiM,M=Sn,Si,Al,Ge,Sb,P等)、リチウム貯蔵性金属間化合物(MgM,M=Sn,Ge,Sb、又はNSb,N=In,Cu,Mn)等とそれらの誘導体が挙げられる。
上記ペルオキソ錯体溶液を、正極活物質原料表面に塗布(コーティング)することにより被覆体が得られる。
上記ペルオキソ錯体溶液を用いて正極活物質原料をコーティングする方法は、特に限定されない。例えば、ペルオキソ錯体溶液中に正極活物質原料を浸漬した後で溶媒を留去する方法によるコーティング方法でもよいし、スプレードライヤーによりペルオキソ錯体溶液を正極活物質原料へ吹き付けるコーティング方法等でもよい。
コーティング方法の一例としては、コーティング装置を用いたフィルムコーティングの方法で、正極活物質原料粒子に液体を噴霧し、得られた被覆体を乾燥する手順を1回のみ又は2回以上繰り返すコーティング方法が挙げられる。具体的なコーティング装置としては、例えば、転動流動コーティング装置、流動層造粒コーティング装置(以上、パウレック社製)、フローコーター(;製品名、フロイント産業社製)等を使用することができる。
コーティング終了後、コーティング装置の中から混合物を取り出し、次の熱処理工程に供する。
正極活物質原料をLiNbOにより被覆した後、得られた被覆体を、下記熱処理条件下で熱処理する。被覆体は、上記の通り合成したものを熱処理に供してもよいし、市販品を熱処理に供してもよい。
[熱処理条件]
・最高温度:200〜250℃
・入熱量:11,000〜81,000(℃・min)
本開示において、被覆体の最高温度とは、熱処理工程における被覆体の最高到達温度を意味する。最高温度を通常200〜250℃、好適には200〜240℃、より好適には200〜230℃とすることにより、被覆体中の水分を効率よく除去することができる。この水分除去により、得られる正極活物質を用いた全固体電池において、正極活物質と接触する固体電解質の劣化が抑制される結果、当該全固体電池の出力特性を向上させることができる。
本開示において、入熱量(℃・min)とは、熱処理開始時から熱処理終了時まで当該被覆体の温度を時間により積分することによって得られる値である。当該被覆体の温度のうち最も高い温度が上記最高温度に相当する。入熱量(℃・min)は、最高温度(℃)と処理時間(min)との積を必ずしも意味するものではない。
入熱量を、通常11,000〜81,000(℃・min)、好適には12,000〜80,000(℃・min)、より好適には13,000〜75,000(℃・min)とすることにより、被覆体中の水分を効率よく除去できることに加えて、被覆体表面のLiNbOの結晶化を抑制できる。特に、入熱量をこのような適度な範囲内とすることによって、被覆体表面に低リチウムイオン伝導性の結晶層が生成することを防ぎ、得られる正極活物質のリチウムイオン伝導性を高く保持できる結果、得られる正極活物質を用いた全固体電池の出力特性を従来よりも向上させることができる。
上記最高温度及び入熱量を被覆体に対し付与する熱処理装置としては、例えば、振動熱処理装置(製品名:VH−25、中央化工機社製)等が挙げられる。最高温度の測定及び入熱量の算出は、熱処理装置において実施されてもよいし、熱処理装置とは異なる装置及び/又は手段によって実施されてもよい。
熱処理終了後、得られた混合物を不活性雰囲気下(例えば、アルゴン雰囲気により満たされたグローブボックスの中など)にて回収することにより、正極活物質が得られる。
上記製造方法により得られる正極活物質を用いることにより、例えば全固体電池の製造が可能である。全固体電池の構成としては、例えば、上記正極活物質を含む正極と、負極と、当該正極と負極との間に存在するセパレータとを備える構成が挙げられる。
正極は、少なくとも上述した正極活物質を含み、必要に応じて固体電解質、導電材及びバインダー等をさらに含んでいてもよい。
正極に使用される固体電解質には特に制限がないが、例えば、LiPS等の硫化物系固体電解質等が挙げられる。
正極に使用されるバインダーには特に制限がないが、例えば、ブチレンラバー等が挙げられる。
正極に使用される導電材には特に制限がないが、例えば、層状炭素、気相成長炭素繊維(VGCF)、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック(KB)、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノファイバー(CNF)等が挙げられる。導電材の形状は特に限定されず、例えば層状、粒状及び繊維状等が挙げられる。
負極は、少なくとも負極活物質を含み、必要に応じて、固体電解質及びバインダー等を含んでいてもよい。
負極活物質としては、上述した正極活物質原料と同様の材料を使用することができる。なお、材料の種類に関し、上述した正極活物質原料と負極活物質との間には明確な区別はない。2種類の電極活物質の充放電電位を比較して、より貴な電位を示すものを正極活物質原料として用い、より卑な電位を示すものを負極活物質として用いることによって、任意の電圧の全固体電池を製造することができる。
負極に使用される固体電解質及びバインダーは、正極に使用されるこれら材料と同様である。
セパレータは、正極と負極との間に存在する。セパレータを介して、正極活物質と負極活物質との間のイオン伝導が生じる。
セパレータとしては、例えば、LiPS等の硫化物系固体電解質を含む層が挙げられる。
全固体電池は、セパレータの一方の面に正極を形成し、当該セパレータの他方の面に負極を形成することにより製造することができる。
以下に、実施例を挙げて本開示を更に具体的に説明するが、本開示はこの実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]
1.正極活物質の製造
(1)ペルオキソ錯体溶液の調製
濃度30質量%の過酸化水素水870.4gに、イオン交換水987.4g、及びニオブ酸三水和物(Nb・3HO(Nb含有率72%))44.2gを添加した。得られた水溶液に対し、濃度28質量%のアンモニア水87.9gを添加し、十分に攪拌することにより透明な水溶液を得た。
この水溶液に対し、水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)10.1gを加え、リチウムとニオブ錯体とを含有するペルオキソ錯体溶液を得た。このペルオキソ錯体溶液中のLiのモル濃度は0.12mol/kgであり、Nbのモル濃度は0.12mol/kgであった。
(2)正極活物質原料への錯体コーティング
上記ペルオキソ錯体溶液2840gを、コーティング装置を用いて、正極活物質原料(LiNiMnCoO)1kgに対して噴霧し、正極活物質原料への錯体コーティングを行った。コーティング装置の運転条件の詳細は下記の通りである。
・コーティング装置:転動流動コーティング装置(製品名:MP−01、パウレック社製)
・吸気ガス:窒素
・吸気温度:120℃
・吸気風量:0.4m/min
・ロータ回転数:400rpm
・噴霧速度:4.8g/min
・噴霧時間:2時間
(3)被覆体の熱処理
上記噴霧時間経過後、コーティング装置の中から被覆体を取り出した。その後、熱処理装置を用いて被覆体を熱処理した。熱処理装置の運転条件の詳細は下記の通りである。
・熱処理装置:振動熱処理装置(製品名:VH−25、中央化工機社製)
・熱処理雰囲気:アルゴン
・最高温度:200℃
・熱処理時間:117分間
・入熱量:14,063(℃・min)
ここで、入熱量とは、熱処理開始時から熱処理終了時まで被覆体の温度を時間により積分することによって得られる値である。
熱処理終了後、混合物をアルゴン雰囲気により満たされたグローブボックス(露点−70℃以下)内で回収し、回収した混合物を実施例1の正極活物質とした。
2.全固体電池の製造
(1)正極の作製
下記材料を混合し、正極スラリーを調製した。
・実施例1の正極活物質
・硫化物系固体電解質:LiPS
・導電材:VGCF(昭和電工社製) 3質量%
・バインダー:ブチレンラバー(JSR社製) 0.7質量%
・分散媒:ヘプタン
ただし、正極活物質と硫化物系固体電解質との混合比は、体積比にして(正極活物質):(硫化物系固体電解質)=6:4とした。
得られた正極スラリーを超音波ホモジナイザーにより分散させた後、アルミ箔上に塗工した。得られた塗工物を100℃で30分間乾燥させた後、断面積が1cmとなるように円盤状に打ち抜き、これを正極とした。
(2)負極の作製
下記材料を混合し、負極スラリーを調製した。
・負極活物質:層状炭素
・硫化物系固体電解質:LiPS
・バインダー:ブチレンラバー 1.2質量%
・分散媒:ヘプタン
ただし、負極活物質と硫化物系固体電解質との混合比は、体積比にして(負極活物質):(硫化物系固体電解質)=6:4とした。
得られた負極スラリーを超音波ホモジナイザーにより分散させた後、銅箔上に塗工した。得られた塗工物を100℃で30分間乾燥させた後、断面積が1cmとなるように円盤状に打ち抜き、これを負極とした。
(3)固体電池の製造
円筒状セラミックス(内径断面積:1cm)に硫化物系固体電解質(LiPS)64.8mgを加え、表面を平滑にした後1tonでプレスすることにより、セパレータを形成した。その両面に上述した正極及び負極をそれぞれ加え、4.3tonで1分間プレスした。得られた積層体の両方の電極面側を、ステンレス棒によって1tonの圧力を加えて拘束することにより、実施例1の全固体電池が得られた。
[実施例2〜実施例5、比較例1〜比較例2]
実施例1の「1.正極活物質の製造」中の「(3)被覆体の熱処理」における熱処理装置、最高温度、熱処理時間及び入熱量を後述する表1の通り変更したこと以外は、実施例1と同様に、実施例2〜実施例5及び比較例1〜比較例2の正極活物質、並びに全固体電池を製造した。
3.全固体電池の出力測定
実施例1〜実施例5及び比較例1〜比較例2の全固体電池を、電圧4.55Vまで充電後、2.5Vまで放電した。その後、交流インピーダンス法により3.6Vにおける全固体電池の出力を測定した。
下記表1は、実施例1−5及び比較例1−2の被覆体の熱処理条件と、対応する全固体電池の出力との関係をまとめた表である。なお、上述したように、下記表1中の「入熱量(℃・min)」は、熱処理開始時から熱処理終了時まで被覆体の温度を時間により積分することによって得られる値であり、「最高温度(℃)」と「処理時間(min)」との積を必ずしも意味するものではない。また、下記表1中の「熱処理装置」の詳細は以下の通りである。
VH−25:振動熱処理装置(製品名:VH−25、中央化工機社製)
KDF−T100:マッフル炉(製品名:KDF−T100、デンケン・ハイデンタル社製)
4.考察
図1は、実施例1〜実施例5及び比較例1〜比較例2の正極活物質の製造時における入熱量と、当該正極活物質に対応する各全固体電池の出力との関係を示すグラフである。図1のうち、比較例1及び実施例1〜4のプロットを結ぶ折れ線、並びに、実施例5及び比較例2のプロットを結ぶ線は、それぞれ同じ熱処理装置を用いた結果であることを意味する。また、図1中の縦の破線は、出力が128mW以上となる入熱量の範囲の下限値(11,000(℃・min))と上限値(81,000(℃・min))とを示す。
図1から明らかなように、電池の出力特性が極大となる入熱量の範囲が存在する。2本の破線で示すように、従来の全固体電池よりも高い128mW以上の出力特性を得るためには、11,000(℃・min)以上、81,000(℃・min)以下の入熱量により、被覆体を熱処理する必要がある。
図1に示した入熱量と全固体電池の出力との関係は、以下のように解釈することができる。
正極活物質の製造方法における熱処理工程によって、被覆体に含有及び付着した水分を除去することができる。その結果、全固体電池において正極活物質と接触する固体電解質の劣化が抑制されるため、全固体電池の出力特性が上がる。しかし、熱処理工程における入熱量が高すぎる場合、得られる正極活物質の表面にリチウムイオン伝導性に劣る結晶層が生成し、その結果として得られる全固体電池の出力特性が低下する。つまり、熱処理条件は穏やかすぎても厳しすぎても全固体電池の出力特性が下がってしまうため、出力特性が極大となる入熱量の範囲が存在する。図1より、本開示においては、11,000(℃・min)以上、81,000(℃・min)以下の範囲の入熱量が適切であることが初めて明らかとなった。

Claims (1)

  1. 正極活物質の製造方法であって、
    正極活物質原料、及び当該正極活物質原料の表面を被覆しかつLiNbOを含有する被覆層を備える被覆体を、当該被覆体の最高温度が200〜250℃となり、かつ熱処理開始時から熱処理終了時まで当該被覆体の温度を時間により積分することによって得られる入熱量が11,000〜81,000(℃・min)となるように熱処理する工程を有することを特徴とする、正極活物質の製造方法。
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