JP2020033525A - 顔料組成物、着色組成物及びカラーフィルタ - Google Patents

顔料組成物、着色組成物及びカラーフィルタ Download PDF

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Abstract

【課題】高色再現性が求められる緑色カラーフィルタにおいて、膜厚が厚くなることを抑制できる着色組成物の提供。
【解決手段】式(1)で表される化合物と、緑色顔料と、を含有する顔料組成物。
Figure 2020033525

[X〜X16は各々独立にH又はハロゲン原子;Y及びYは各々独立にH又はハロゲン原子;ZはC1〜3のアルキレン基]
【選択図】なし

Description

本発明は、顔料組成物、着色組成物及びカラーフィルタに関する。
現在、着色組成物は様々な分野に用いられており、着色組成物の具体的な用途としては、印刷インキ、塗料、樹脂用着色剤、繊維用着色剤、IT情報記録用色材(カラーフィルタ、トナー、インクジェット)などが挙げられる。着色組成物に用いられる色素には、色特性(着色力、鮮明性)、耐性(耐候性、耐光性、耐熱性、耐溶剤性)などが求められる。色素は、主に顔料と染料とに大別されるが、顔料は、分子状態で発色する染料とは異なり、粒子状態(一次粒子の凝集体)での発色となる。そのため、一般的に、顔料は、染料に比べて、耐性においては優位であるものの、着色力や彩度(鮮明性)では劣っている。
このような背景から、高着色力及び高彩度な顔料が求められており、着色力の点において優勢とされている有機顔料にとりわけ注目が集まっている。ところで、カラーフィルタの緑色の画素部には、所望の緑色色度を得るために、緑色顔料と黄色顔料とが組み合わせて用いられる。緑色顔料と黄色顔料との組合せとしては、例えばC.I.ピグメント グリーン58とC.I.ピグメント イエロー138との組合せが知られている(例えば特許文献1参照)。
特開2017−44791号公報
しかし、従来知られている緑色顔料と黄色顔料との組合せでは、高色再現性が求められる場合に、所望の色度を得るために膜厚を非常に厚くしなければならないという課題がある。
そこで、本発明は、高色再現性が求められる緑色カラーフィルタにおいて、膜厚が厚くなることを抑制できる着色組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、上記着色組成物を形成可能な顔料組成物、及び、上記着色組成物を用いて形成されるカラーフィルタを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、緑色顔料に組み合わせる黄色顔料として、キノフタロン骨格を二量化した化合物から構成される顔料を用いることにより、高色再現性が求められる場合でも、膜厚が厚くなることを抑制できることを見出した。
本発明の一側面は、下記式(1)で表される化合物と、緑色顔料と、を含有する顔料組成物である。
Figure 2020033525

[式(1)中、X〜X16は各々独立に水素原子又はハロゲン原子であり、Y及びYは各々独立に水素原子又はハロゲン原子であり、Zは炭素数1〜3のアルキレン基である。]
本発明の他の一側面は、上記式(1)で表される化合物と、緑色顔料と、溶剤と、を含有する、着色組成物である。
本発明の他の一側面は、上記式(1)で表される化合物と、緑色顔料と、を含有する画素部を有する、カラーフィルタである。
上記の各側面において、緑色顔料は、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料であってよい。
本発明によれば、高色再現性が求められる緑色カラーフィルタにおいて、膜厚が厚くなることを抑制できる着色組成物を提供することができる。また、本発明によれば、上記着色組成物を形成可能な顔料組成物、及び、上記着色組成物を用いて形成されるカラーフィルタを提供することができる。
<顔料組成物>
一実施形態の顔料組成物は、下記式(1)で表される化合物(以下、キノフタロン化合物ともいう)と、緑色顔料とを含有する。
Figure 2020033525
式(1)中、X〜X16は各々独立に水素原子又はハロゲン原子であり、Y及びYは各々独立に水素原子又はハロゲン原子であり、Zは炭素数1〜3のアルキレン基である。
上記キノフタロン化合物は、キノフタロン骨格の二量化により、選択的な吸収・透過を示す。また、上記キノフタロン化合物は、連結基Zをスペーサーとしてキノフタロン骨格を二量化しており、これにより共役が切断され、過剰な赤味化が抑制されている。更に、上記キノフタロン化合物では、イミド構造の導入により分散性が向上されている。これらのことから、上記キノフタロン化合物によれば、緑色顔料と組み合わせたときに優れた輝度と着色力とを示す顔料が得られる。具体的には、例えば、上記キノフタロン化合物から構成される黄色顔料は、緑色顔料と組み合わせたときに、上述した特許文献1に記載されている所定のキノフタロン化合物から構成される黄色顔料より良好な輝度を示し、かつ、これを超える優れた着色力を示す。
式(1)中のハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であってよく、フッ素原子、塩素原子又は臭素原子であることが好ましく、塩素原子であることがより好ましい。
式(1)中の炭素数1〜3のアルキレン基の具体例としては、例えば、メチレン基、エチレン基(1,1−エタンジイル基又は1,2−エタンジイル基)、プロピレン基(1,1−プロパンジイル基、2,2−プロパンジイル基、1,2−プロパンジイル基又は1,3−プロパンジイル基)が好ましく、メチレン基、1,1−エタンジイル基、1,1−プロパンジイル基、2,2−プロパンジイル基がより好ましく、メチレン基が更に好ましい。
上記キノフタロン化合物では、X〜X16のうち、少なくとも1つがハロゲン原子であることが好ましく、2つ以上がハロゲン原子であることがより好ましい。X〜X16にハロゲン原子が導入されることで、上記キノフタロン化合物の分散性が一層向上し、上述の効果がより顕著に得られる傾向がある。
〜Xのうち、少なくとも1つがハロゲン原子であることが好ましく、2つ以上がハロゲン原子であることがより好ましく、全てがハロゲン原子であってもよい。X及びXのうち少なくとも1つがハロゲン原子であることが好ましく、X及びXがいずれもハロゲン原子であることがより好ましい。
〜Xのうち、少なくとも1つがハロゲン原子であることが好ましく、2つ以上がハロゲン原子であることがより好ましく、全てがハロゲン原子であってもよい。X及びXのうち少なくとも1つがハロゲン原子であることが好ましく、X及びXがいずれもハロゲン原子であることがより好ましい。
〜X12のうち、少なくとも1つがハロゲン原子であることが好ましく、2つ以上がハロゲン原子であることがより好ましく、全てがハロゲン原子であってもよい。X10及びX11のうち少なくとも1つがハロゲン原子であることが好ましく、X10及びX11がいずれもハロゲン原子であることがより好ましい。
13〜X16のうち、少なくとも1つがハロゲン原子であることが好ましく、2つ以上がハロゲン原子であることがより好ましく、全てがハロゲン原子であってもよい。X14及びX15のうち少なくとも1つがハロゲン原子であることが好ましく、X14及びX15がいずれもハロゲン原子であることがより好ましい。
及びYは、同一であっても異なっていても構わないが、上記キノフタロン化合物の合成が容易となる観点からは、互いに同一であることが好ましい。
なお、式(1)の構造には、下記式(1−i)及び式(1−ii)等の構造の互変異性体が存在するが、上記キノフタロン化合物は、これらのいずれの構造であってもよい。
Figure 2020033525
式(1−i)及び式(1−ii)中、X〜X16、Y、Y及びZは上述のとおりである。
上記キノフタロン化合物の具体例を以下に挙げるが、上記キノフタロン化合物はこれらに限定されるものではない。
Figure 2020033525
Figure 2020033525
Figure 2020033525
Figure 2020033525
Figure 2020033525
Figure 2020033525
上記キノフタロン化合物は、単独で用いてもよいし、2種類以上の化合物を適宜選択して併用してもよい。
上記キノフタロン化合物の製造方法は、特に制限されるものではなく従来公知の方法を適宜利用して製造することができる。以下、キノフタロン化合物の製造方法の一態様を記載するが、製造方法はこれに限定されるものではない。
上記キノフタロン化合物は、例えば以下の工程I、工程II、工程III及び工程IVを含む方法により得ることができる。
<工程I>
まず、J.Heterocyclic,Chem,30,17(1993)に記載の方法などにより、ビスアニリンを1当量に対し、クロトンアルデヒドを2〜3当量加え、酸化剤存在下、強酸中において反応させ、後記する式(A−1)の化合物を合成する。
Figure 2020033525
式(A−1)中、Y、Y及びZは上述のとおりである。
強酸としては、塩酸、硫酸、硝酸などが挙げられる。酸化剤としては、ヨウ化ナトリウム、p−クロラニル、ニトロベンゼンなどが挙げられる。
工程Iに関し、反応温度は、80℃〜100℃、好ましくは90℃〜100℃であってよく、反応時間は、1時間〜6時間、好ましくは3時間〜6時間であってよい。
<工程II>
さらに、得られた式(A−1)の化合物と硝酸又は発煙硝酸を濃硫酸存在下において反応させることで、式(A−2)の化合物を得ることができる。
Figure 2020033525
式(A−2)中、Y、Y及びZは上述のとおりである。
工程IIに関し、反応温度は、−20℃〜70℃、好ましくは0℃〜50℃であってよく、反応時間は、1時間〜4時間、好ましくは1時間〜3時間であってよい。
<工程III>
さらに、得られた式(A−2)の化合物を1当量に対し、還元鉄を6〜8当量加え、反応させることで、式(A−3)の化合物を得ることができる。
Figure 2020033525
式(A−3)中、Y、Y及びZは上述のとおりである。
工程IIIに関し、反応温度は、60℃〜80℃、好ましくは70℃〜80℃であってよく、反応時間は、1時間〜3時間、好ましくは2時間〜3時間であってよい。
<工程IV>
さらに、特開2013−61622号公報に記載の方法などにより、得られた式(A−3)の化合物1当量に対し、無水フタル酸及びハロゲン置換フタル酸無水物からなる群より選択される少なくとも一種4〜6当量を酸触媒存在下において反応させることで、式(1)の化合物を得ることができる。酸触媒としては、安息香酸、塩化亜鉛などが挙げられる。
工程IVに関し、反応温度は、180℃〜250℃、好ましくは210℃〜250℃であってよく、反応時間は、1時間〜8時間、好ましくは3時間〜8時間であってよい。
上記キノフタロン化合物は、有機顔料としての性質を示すことができる。上記キノフタロン化合物は、顔料化されて配合されていてよい。換言すると、顔料組成物は、上記キノフタロン化合物から構成されるキノフタロン顔料を含有するものであってよい。
キノフタロン顔料の一次粒子の平均粒子径(平均一次粒子径)は、例えば、10nm以上であり、100nm以下である。ここで、平均一次粒子径は、一次粒子の長径の平均値であり、後述する平均アスペクト比の測定と同様にして一次粒子の長径を測定することにより求めることができる。
キノフタロン顔料の一次粒子の平均アスペクト比は、例えば、1以上であり、5以下である。キノフタロン顔料の一次粒子のアスペクト比は、以下の方法で測定することができる。まず、透過型電子顕微鏡(例えば日本電子株式会社製のJEM−2010)で視野内の粒子を撮影する。そして、二次元画像上に存在する一次粒子40個につき長い方の径(長径)と、短い方の径(短径)の平均値を求める。これらの値を用いて短径に対する長径の比を算出し、これを平均アスペクト比とする。透過型電子顕微鏡の代わりに走査型電子顕微鏡を使用してもよい。
上記キノフタロン化合物の顔料化は、公知慣用の方法で行えばよい。上記キノフタロン化合物から構成された黄色顔料は、例えば、ソルトミリング処理等により微細化されていてもよい。また、当該黄色顔料は、ロジン処理、界面活性剤処理、溶剤処理、樹脂処理等の方法で表面処理されていてもよい。
緑色顔料は、公知の緑色顔料から選ばれる1種又は2種以上であってよい。緑色顔料としては、例えば、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料、ハロゲン化銅フタロシアニン顔料、ハロゲン化アルミニウムフタロシアニン顔料等が挙げられる。緑色顔料は、高色再現性を有する緑色カラーフィルタが得られやすい観点から、好ましくは、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料である。市販されている緑色顔料としては、例えば、C.I.ピグメント グリーン58、C.I.ピグメント グリーン59、C.I.ピグメント グリーン7、C.I.ピグメント グリーン36、C.I.ピグメント グリーン62、C.I.ピグメント グリーン63等を用いることができる。
ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料は、1種又はハロゲン原子数の異なる複数種のハロゲン化亜鉛フタロシアニン化合物から構成される。ハロゲン化亜鉛フタロシアニン化合物は、下記式(2)で表される構造を有する。
Figure 2020033525
式(2)中、X〜X16は、各々独立に、水素原子又はハロゲン原子を示す。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料は、ハロゲン原子として、臭素原子及び塩素原子の少なくとも一方を有することが好ましく、臭素原子を有することが好ましい。ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料は、ハロゲン原子として、塩素原子及び臭素原子の一方又は両方のみを有していてもよい。すなわち、上記式(2)中のX〜X16は、塩素原子又は臭素原子であってよい。
一態様において、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料における、式(2)で表される化合物1分子中の臭素原子の数の平均は、13個未満である。このようなハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を緑色顔料として用いる場合、上述したキノフタロン化合物との組み合わせにおいて、更なる薄膜化が可能となる。臭素原子の数の平均は、上記観点から、好ましくは12個以下であり、より好ましくは11個以下である。臭素原子の数の平均は、上述したキノフタロン化合物との組み合わせにおいて、より一層優れた輝度が得られる観点から、好ましくは0.1個以上であり、より好ましくは6個以上であり、更に好ましくは8個以上である。上述の上限値及び下限値は、任意に組み合わせることができる。例えば、臭素原子の数の平均は、0.1個以上13個未満、8〜12個又は8〜11個であってよい。なお、以下の同様の記載においても、個別に記載した上限値及び下限値は任意に組み合わせ可能である。
臭素原子の数の平均が13個未満である場合、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料における、式(2)で表される化合物1分子中のハロゲン原子の数の平均は、上述したキノフタロン化合物との組み合わせにおいて、更なる薄膜化が可能となる観点から、好ましくは14個以下であり、より好ましくは13個以下であり、13個未満又は12個以下であってもよい。ハロゲン原子の数の平均は、上述したキノフタロン化合物との組み合わせにおいて、より一層優れた輝度が得られる観点から、好ましくは0.1個以上であり、より好ましくは8個以上であり、更に好ましくは10個以上である。
臭素原子の数の平均が13個未満である場合、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料における、式(2)で表される化合物1分子中の塩素原子の数の平均は、上述したキノフタロン化合物との組み合わせにおいて、更なる薄膜化が可能となる観点から、好ましくは5個以下であり、より好ましくは3個以下であり、2.5個以下又は2個未満であってもよい。塩素原子の数の平均は、上述したキノフタロン化合物との組み合わせにおいて、より一層優れた輝度が得られる観点から、好ましくは0.1個以上であり、より好ましくは0.3個以上であり、更に好ましくは0.6個以上であり、特に好ましくは0.8個以上であり、極めて好ましくは1個以上であり、より一層好ましくは1.3個以上である。塩素原子の数の平均は、2個以上であってもよい。
上記態様では、ハロゲン原子の数の平均が13個以下であり、臭素原子の数の平均が11個以下であり、塩素原子の数の平均が2個未満であると、より一層優れた輝度が得られる。このような効果が得られる観点では、臭素原子の数の平均が8〜11個であり、塩素原子の数の平均が0.1個以上2個未満であることが好ましい。
また、上述したキノフタロン化合物との組み合わせにおいて、更なる薄膜化が可能となる観点では、ハロゲン原子の数の平均が10〜14個であり、臭素原子の数の平均が8〜12個であり、塩素原子の数の平均が2〜5個であることが好ましい。
他の一態様において、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料における、式(2)で表される化合物1分子中の臭素原子の数の平均は、13個以上である。このようなハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を緑色顔料として用いる場合、上述したキノフタロン化合物との組み合わせにおいて、より一層優れた輝度が得られる。臭素原子の数の平均は、上記観点から、好ましくは14個以上である。臭素原子の数の平均は、上述したキノフタロン化合物との組み合わせにおいて、更なる薄膜化が可能となる観点から、好ましくは15個以下である。
臭素原子の数の平均が13個以上である場合、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料における、式(2)で表される化合物1分子中のハロゲン原子の数の平均は、上述したキノフタロン化合物との組み合わせにおいて、より一層優れた輝度が得られる観点から、好ましくは13個以上であり、より好ましくは14個以上であり、更に好ましくは15個以上である。ハロゲン原子の数の平均は、16個以下であり、上述したキノフタロン化合物との組み合わせにおいて、更なる薄膜化が可能となる観点から、好ましくは15個以下である。
臭素原子の数の平均が13個以上である場合、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料における、式(2)で表される化合物1分子中の塩素原子の数の平均は、上述したキノフタロン化合物との組み合わせにおいて、より一層優れた輝度が得られる観点から、好ましくは0.1個以上であり、より好ましくは1個以上である。塩素原子の数の平均は、上述したキノフタロン化合物との組み合わせにおいて、更なる薄膜化が可能となる観点から、好ましくは5個以下であり、より好ましくは3個以下であり、更に好ましくは2個未満である。
上記態様では、ハロゲン原子の数の平均が14個以上16個以下であり、臭素原子の数の平均が13個以上15個以下であり、塩素原子の数の平均が1個以上3個以下であると、上述したキノフタロン化合物との組み合わせにおいて、より一層優れた輝度が得られる。
上記ハロゲン原子の数(例えば、臭素原子の数及び塩素原子の数)は、蛍光X線分析により測定することができる。具体的には、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料における、亜鉛原子と各ハロゲン原子の質量比から、亜鉛原子1個あたりの相対値として、各ハロゲン原子の数を算出することができる。
ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料は、一又は複数の粒子から構成される。ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の一次粒子の平均粒子径(平均一次粒子径)は、0.01μm以上、0.015μm以上又は0.02μm以上であってよい。ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の平均一次粒子径は、0.20μm以下、0.10μm以下又は0.07μm以下であってよい。ここで、平均一次粒子径は、一次粒子の長径の平均値であり、後述する平均アスペクト比の測定と同様にして一次粒子の長径を測定することにより求めることができる。
ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の一次粒子の平均アスペクト比は、より優れたコントラストが得られる観点から、1.2以上、1.3以上、1.4以上又は1.5以上であってもよい。ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の一次粒子の平均アスペクト比は、より優れたコントラストが得られる観点から、2.0未満、1.8以下、1.6以下又は1.4以下であってもよい。
一次粒子の平均アスペクト比が1.0〜3.0の範囲にあるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料は、アスペクト比が5以上の一次粒子を含まないことが好ましく、アスペクト比が4以上の一次粒子を含まないことがより好ましく、アスペクト比が3を超える一次粒子を含まないことが更に好ましい。
一次粒子のアスペクト比及び平均アスペクト比は、以下の方法で測定することができる。まず、透過型電子顕微鏡(例えば日本電子株式会社製のJEM−2010)で視野内の粒子を撮影する。そして、二次元画像上に存在する一次粒子の長い方の径(長径)と、短い方の径(短径)とを測定し、短径に対する長径の比を一次粒子のアスペクト比とする。また、一次粒子40個につき長径と、短径の平均値を求め、これらの値を用いて短径に対する長径の比を算出し、これを平均アスペクト比とする。この際、試料であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料は、これを溶媒(例えばシクロヘキサン)に超音波分散させてから顕微鏡で撮影する。また、透過型電子顕微鏡の代わりに走査型電子顕微鏡を使用してもよい。
ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料は、質量分析によって、m/z1780以上1820未満の範囲における最大イオン強度Iaと、m/z1820以上1860以下の範囲における最大イオン強度Ibと、を求めたときに、Ia/Ibが1.50未満となるものであることが好ましい。このようなハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を用いることで、更なる薄膜化が可能となり、また、より一層優れた輝度が得られる。Ia/Ibは、より好ましくは1.0以下、更に好ましくは0.85以下、特に好ましくは0.6以下である。Ia/Ibは0以上であってよい。
ここで、Iaは、15臭素1塩素化亜鉛フタロシアニン(臭素原子数が15個であり、塩素原子数が1個であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン)を表す最大イオン強度であり、Ibは、16臭素化亜鉛フタロシアニン(臭素原子数が16個であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン)を表す最大イオン強度である。すなわち、Ia/Ibは、15臭素1塩素化亜鉛フタロシアニンと16臭素化亜鉛フタロシアニンの存在比率を示す。Ia/Ibが上記範囲である場合、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の結晶性が低下し、カラーフィルタ作製時の焼成工程における顔料粒子の成長が抑制されることで、散乱光が低減されるため、上記のような効果が得られると推察される。
質量分析は、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間質量分析計(例えば、日本電子株式会社製のJMS−S3000)を用いて行うことができる。具体的には、分子量がQであることが既知の化合物の質量分析を行った際に、m/z=Qが検出されるように、各測定パラメータを設定する。本実施形態では、分子量1840の既知化合物の質量分析を行った際に、m/z=1840が検出されるようにJMS−S3000の設定を調節する。
ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料は、極大透過波長における分光透過率が80%になるように塗膜を形成した際に、波長555nmの透過率が45%以上であり、波長505nmの透過率と波長555nmの透過率の比(T(505nm)/T(555nm))が1.40以上であり、半値幅が80nm以下となる分光特性を有することが好ましい。緑色のカラーフィルタ(緑色画素部)では、510nm以上560nm以下の範囲での透過率を高くすることが明るさを確保する上で重要であり、また、黄色顔料による調色を行う場合には、黄色顔料の配合により5nm程度長波長側にシフトするため、555nmでの透過率を高く維持したままで、505nmでの透過波長を高めることが明るい表示を得るために重要である。上記のような分光特性を有するハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を上述したキノフタロン化合物と組み合わせて用いることで、より一層優れた輝度を示す緑色画素部が得られる。
分光透過率は分光透過スペクトルを測定することにより得ることができる。「分光透過スペクトル」とは、日本工業規格JIS Z 8722(色の測定方法−反射及び透過物体色)の第一種分光測光器に準じて求められるものである。具体的には、ガラス基板等の上に所定の膜厚に製膜した塗膜について、所定波長領域の光を走査照射して、各波長における各透過率値をプロットしたものである。上記塗膜は、例えば、実施例に記載の方法で得られるものである。
ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料は、例えば、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン化合物から構成される粗顔料(以下、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン粗顔料という)を形成する工程と、当該粗顔料を顔料化する工程と、を備える方法により得られる。
ハロゲン化亜鉛フタロシアニン粗顔料を形成する工程は、クロロスルホン酸法、ハロゲン化フタロニトリル法、溶融法等の公知の製造方法によりハロゲン化亜鉛フタロシアニン化合物を合成する工程を含んでいてよい。
クロロスルホン酸法としては、亜鉛フタロシアニンを、クロロスルホン酸等の硫黄酸化物系の溶媒に溶解し、これに塩素ガス、臭素を仕込みハロゲン化する方法が挙げられる。この際の反応は、例えば、温度20〜120℃かつ3〜20時間の範囲で行われる。
ハロゲン化フタロニトリル法としては、例えば、芳香環の水素原子の一部又は全部が臭素の他、塩素等のハロゲン原子で置換されたフタル酸又はフタロジニトリルと、亜鉛の金属又は金属塩を適宜出発原料として使用して、対応するハロゲン化亜鉛フタロシアニン化合物を合成する方法が挙げられる。この場合、必要に応じてモリブデン酸アンモニウム等の触媒を用いてもよい。この際の反応は、例えば、温度100〜300℃かつ7〜35時間の範囲で行われる。
溶融法としては、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム等のハロゲン化アルミニウム、四塩化チタン等のハロゲン化チタン、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム等のアルカリ金属ハロゲン化物又はアルカリ土類金属ハロゲン化物(以下、アルカリ(土類)金属ハロゲン化物という)、塩化チオニルなど、各種のハロゲン化の際に溶媒となる化合物の一種又は二種以上の混合物からなる10〜170℃程度の溶融物中で、亜鉛フタロシアニンをハロゲン化剤にてハロゲン化する方法が挙げられる。
好適なハロゲン化アルミニウムは、塩化アルミニウムである。ハロゲン化アルミニウムを用いる上記方法における、ハロゲン化アルミニウムの添加量は、亜鉛フタロシアニンに対して、通常は、3倍モル以上であり、好ましくは10〜20倍モルである。
ハロゲン化アルミニウムは単独で用いてもよいが、アルカリ(土類)金属ハロゲン化物をハロゲン化アルミニウムに併用すると溶融温度をより下げることができ、操作上有利になる。好適なアルカリ(土類)金属ハロゲン化物は、塩化ナトリウムである。加えるアルカリ(土類)金属ハロゲン化物の量は溶融塩を生成する範囲内でハロゲン化アルミニウム10質量部に対してアルカリ(土類)金属ハロゲン化物が5〜15質量部が好ましい。
ハロゲン化剤としては、塩素ガス、塩化スルフリル、臭素等が挙げられる。
ハロゲン化の温度は10〜170℃が好ましく、30〜140℃がより好ましい。さらに、反応速度を速くするため、加圧することも可能である。反応時間は、5〜100時間であってよく、好ましくは30〜45時間である。
前記化合物の二種以上を併用する溶融法は、溶融塩中の塩化物と臭化物とヨウ化物の比率を調節したり、塩素ガス、臭素、ヨウ素等の導入量及び反応時間を変化させたりすることによって、生成するハロゲン化亜鉛フタロシアニン化合物中における特定ハロゲン原子組成のハロゲン化亜鉛フタロシアニン化合物の含有比率を任意にコントロールすることができるため好ましい。また、溶融法によれば、反応中の原料の分解が少なく原料からの収率がより優れ、強酸を用いず安価な装置にて反応を行うことができる。
本実施形態では、原料仕込み方法、触媒種及びその使用量、反応温度並びに反応時間の最適化により、既存のハロゲン化亜鉛フタロシアニン化合物とは異なるハロゲン原子組成のハロゲン化亜鉛フタロシアニン化合物を得ることができる。
上記いずれの方法であっても、反応終了後、得られた混合物を水又は塩酸等の酸性水溶液中に投入し、生成したハロゲン化亜鉛フタロシアニン化合物を沈殿させることで、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン粗顔料を得ることができる。ハロゲン化亜鉛フタロシアニン粗顔料としては、これをそのまま用いてもよいが、その後、濾過、水又は硫酸水素ナトリウム水、炭酸水素ナトリウム水、水酸化ナトリウム水洗浄、必要に応じてアセトン、トルエン、メチルアルコール、エチルアルコール、ジメチルホルムアミド等の有機溶剤洗浄を行い、乾燥等の後処理を行ってから用いることが好ましい。ハロゲン化亜鉛フタロシアニン粗顔料を、必要に応じてアトライター、ボールミル、振動ミル、振動ボールミル等の粉砕機内で乾式磨砕してから用いてもよい。
上記工程で得られるハロゲン化亜鉛フタロシアニン粗顔料は、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料と同様の組成を有する。
ハロゲン化亜鉛フタロシアニン粗顔料を顔料化する工程では、例えば、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン粗顔料を混練することで磨砕し、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を得る。ハロゲン化亜鉛フタロシアニン粗顔料を顔料化する工程は、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン粗顔料を、無機塩及び有機溶剤と共に混練する工程であってもよい。混練は、例えばニーダー、ミックスマーラー等を用いて行うことができる。
無機塩としては、水溶性無機塩が好適に用いられる。例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩が好ましく用いられる。無機塩の平均粒子径は、好ましくは0.5〜50μmである。このような無機塩は、通常の無機塩を微粉砕することにより容易に得られる。
上述した範囲の平均一次粒子径を有する顔料が得られやすい点で、粗顔料の使用量に対する無機塩の使用量を多くすることが好ましい。具体的には、無機塩の使用量は、粗顔料1質量部に対して5〜20質量部が好ましく、7〜15質量部がより好ましい。
有機溶剤には、粗顔料及び無機塩を溶解しないものを用いることができる。有機溶剤としては、結晶成長を抑制し得る有機溶剤を使用することが好ましい。このような有機溶媒としては水溶性有機溶剤が好適に使用できる。有機溶剤としては、例えばジエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール、液体ポリプロピレングリコール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等を用いることができる。有機溶剤(例えば水溶性有機溶剤)の使用量は、特に限定されるものではないが、粗顔料1質量部に対して0.01〜5質量部が好ましい。
無機塩及び有機溶剤を用いる場合、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料と、無機塩と、有機溶剤とを含む混合物が得られるが、この混合物から有機溶剤と無機塩を除去し、必要に応じてハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を主体とする固形物に対して洗浄、濾過、乾燥、粉砕等の操作を行ってもよい。
洗浄としては、水洗、湯洗のいずれも採用できる。洗浄は、1〜5回の範囲で繰り返し行ってよい。水溶性無機塩及び水溶性有機溶剤を用いた場合は、水洗することで容易に有機溶剤と無機塩を除去することができる。必要であれば、酸洗浄、アルカリ洗浄、有機溶剤洗浄を行ってもよい。
上記洗浄及び濾過後の乾燥としては、例えば、乾燥機に設置した加熱源による80〜120℃の加熱等により、顔料の脱水及び/又は脱溶剤をする回分式或いは連続式の乾燥等が挙げられる。乾燥機としては、一般に、箱型乾燥機、バンド乾燥機、スプレードライヤー等が挙げられる。特に、スプレードライヤーを用いるスプレードライ乾燥はペースト作製時に易分散であるため好ましい。また、乾燥後の粉砕は、比表面積を大きくしたり、一次粒子の平均粒子径を小さくしたりするための操作ではなく、例えば箱型乾燥機、バンド乾燥機を用いた乾燥の場合のように顔料がランプ状等となった際に顔料を解して粉末化するために行うものである。例えば、乳鉢、ハンマーミル、ディスクミル、ピンミル、ジェットミル等による粉砕などが挙げられる。
上記方法では、粗顔料を顔料化する際に、樹脂を共存させてもよい。顔料化の際に樹脂を共存させることで、粒子の活性面(活性成長面)が樹脂によって安定化される。これにより、粒子成長の方向の偏りが緩和されるため、平均アスペクト比の小さい顔料を容易に得ることができる。このような顔料を用いることで、画素部のコントラストを向上させることができる。この方法においてハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料は、当該ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を被覆する樹脂(以下、被覆樹脂ともいう)との混合物として得られる。
樹脂を共存させる方法において、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン粗顔料を顔料化する工程は、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン粗顔料を樹脂と共に混練する工程であってよく、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン粗顔料を、樹脂、無機塩及び有機溶剤と共に混練する工程であってもよい。
無機塩及び有機溶剤を用いる場合には、上記と同様に、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料と、樹脂と、無機塩と、有機溶剤とを含む混合物から有機溶剤と無機塩を除去した後、必要に応じてハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料と樹脂とを主体とする固形物に対して、洗浄、濾過、乾燥、粉砕等の操作を行ってよい。
樹脂としては、酸性基を有する樹脂、例えば、酸性基を有する重合体を含む樹脂が好ましく用いられる。酸性基が活性面(活性成長面)への相互作用を発現するため、樹脂が酸性基を有することで、一次粒子の平均アスペクト比が小さい顔料を容易に得ることができる。酸性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、及びそのアンモニウム塩基等が挙げられる。これらの中でも、より優れたコントラストが得られやすくなる観点から、カルボキシル基が好ましい。
樹脂は、1種又は複数種の重合体を含む。重合体としては、例えば、ビニル系重合体が挙げられる。ビニル系重合体は、ビニル基を有するモノマー(ビニル系モノマー)をモノマー単位として含んでいる。ビニル系重合体は、より優れたコントラストが得られやすくなる観点から、好ましくは酸性基を有し、より好ましくはカルボキシル基を有する。
ビニル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリレート系モノマー、スチレン系モノマー、ビニルエーテル系モノマー、含窒素モノマー、(ハロゲン置換)炭化水素系モノマー等が挙げられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート、及び、それに対応するメタクリレートの少なくとも一方を意味する。ビニル系重合体は、ビニル系モノマーの中でも、(メタ)アクリレート系モノマーをモノマー単位として含むことが好ましい。すなわち、ビニル系重合体は、好ましくは(メタ)アクリレート系重合体である。
(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、iso−ペンチル(メタ)アクリレート、sec−ペンチル(メタ)アクリレート、3−ペンチル(メタ)アクリレート、tert−ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、べヘニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソプロピルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエート(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエート(メタ)アクリレート、フェニルフェノール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、4,5−エポキシペンチル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシペンチル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
重合体がモノマー単位として含むモノマーは、1種であっても複数種であってもよい。
例えば、重合体は、(メタ)アクリレート系モノマーと、(メタ)アクリレート系モノマーとは異なる他のビニル系モノマーとを、それぞれモノマー単位として含むものであってよい。すなわち、重合体は、(メタ)アクリレート系モノマーと、他のビニル系モノマーとの共重合体であってよい。他のビニル系モノマーは、酸性基を有するモノマーであってよく、例えば、(メタ)アクリル酸であってよい。他のビニル系モノマーは、例えば、(メタ)アクリロニトリル等のニトロ基含有ビニル系モノマー類、スチレン、α−メチルスチレン等のビニル系芳香族モノマー類、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジメチロール(メタ)アクリルアミド又はダイアセトンアクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー類、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、又はN−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のアルコキシメチル基含有ビニル系モノマー類、エチレン、プロピレン、又はイソプレン等のオレフィン類、クロロプレン、又はブタジエン等のジエン類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、又はイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、又はプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類、3−(メタ)アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アリルオキシエチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、p−スチレンスルホン酸、α−メチル−p−スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、ビニルスルファミン酸、(メタ)アリルスルホン酸、イソプレンスルホン酸、4−(アリルオキシ)ベンゼンスルホン酸、1−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸、1,1−ジメチル−2−プロペン−1−スルホン酸、3−ブテン−1−スルホン酸、1−ブテン−3−スルホン酸、2−アクリルアミド−1−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ブタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−フェニルプロパンスルホン酸、2−((メタ)アクリロイルオキシ)エタンスルホン酸等の不飽和スルホン酸類などであってもよい。
ビニル系重合体中の(メタ)アクリレート系モノマーの含有量は、カラーフィルタの輝度を低下させない程度に、(メタ)アクリレート系重合体の長所である高い透明性を発現できる観点から、ビニル系重合体に含まれる全モノマー単位の質量を基準として、好ましくは90質量%以上であり、92質量%以上又は94質量%以上であってもよい。ビニル系重合体中の(メタ)アクリレート系モノマーの含有量は、(メタ)アクリレート系重合体の短所である耐熱性を他のビニル系モノマーで補う観点から、ビニル系重合体に含まれる全モノマー単位の質量を基準として、99質量%以下、97質量%以下又は95質量%以下であってよい。
樹脂中のビニル系重合体の含有量は、樹脂の全質量を基準として、90質量%以上であってよく、100質量%であってもよい。樹脂中の(メタ)アクリレート系重合体の含有量は、樹脂の全質量を基準として、90質量%以上であってよく、100質量%であってもよい。
樹脂の酸価は、より優れたコントラストが得られやすくなる観点から、好ましくは50mgKOH/g以上であり、より好ましくは70mgKOH/g以上であり、更に好ましくは90mgKOH/g以上である。樹脂の酸価は、現像性を担保する観点から、150mgKOH/g以下、170mgKOH/g以下又は200mgKOH/g以下であってよい。樹脂がビニル系重合体を含む場合、ビニル系重合体の酸価が上記範囲であってもよく、(メタ)アクリレート系重合体の酸価が上記範囲であってもよい。
上記酸価は、樹脂pg及びフェノールフタレイン試液1mlを、トルエンとエタノールとを体積比1:1で混合した混合溶液50mlに溶解させた試料液を準備し、0.1mol/Lエタノール製水酸化カリウム溶液(水酸化カリウム7.0gを蒸留水5.0mlに溶解させ、95vol%エタノールを加えることで1000mlに調整したもの)にて試料液が淡紅色を呈するまで滴定を行い、次式により算出できる。
酸価=q×r×5.611/p
式中、qは滴定に要した0.1mol/Lエタノール製水酸化カリウム溶液の滴定量(ml)を示し、rは滴定に要した0.1mol/Lエタノール製水酸化カリウム溶液の力価を示し、pは樹脂の質量(g)を示す。
樹脂の重量平均分子量は、ディスプレイ製造工程における200℃付近での加熱時に揮発しないようにする観点から、好ましくは4000以上であり、8000以上、10000以上又は15000以上であってもよい。樹脂の重量平均分子量は、顔料表面を効率的に被覆する観点から、20000以下、18000以下又は17000以下であってよい。樹脂がビニル系重合体を含む場合、ビニル系重合体の重量平均分子量が上記範囲であってもよく、(メタ)アクリレート系重合体の重量平均分子量が上記範囲であってもよい。なお、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
樹脂のガラス転移温度(Tg)は、保管時の安定性を担保する観点から、好ましくは40℃以上であり、45℃以上又は50℃以上であってもよい。樹脂のガラス転移温度(Tg)は、現像性を担保する観点と、工業的原料を容易に入手する観点から、200℃以下、95℃以下又は65℃以下であってもよい。樹脂がビニル系重合体を含む場合、ビニル系重合体のガラス転移温度(Tg)が上記範囲であってもよく、(メタ)アクリレート系重合体のガラス転移温度(Tg)が上記範囲であってもよい。上記ガラス転移温度(Tg)は、熱示差分析(DSC)によって測定することができる。
これらの観点から、カルボキシル基を有するビニル系重合体を含み、酸価が50mgKOH/g以上である樹脂が好ましい。また、(メタ)アクリレート系モノマーをビニル系重合体に含まれる全モノマー単位の質量基準で90質量%以上含み、かつ、酸性基を有する(メタ)アクリレート系重合体を含み、ゲルパーミエーションクロマトグラフによるポリスチレン換算の重量平均分子量が4000以上であり、ガラス転移温度が40℃以上である樹脂が好ましい。
樹脂の使用量は、顔料を十分に被覆することができ、コントラストをより向上させやすくなる観点から、粗顔料100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上であり、0.5質量部以上、1.0質量部以上又は1.5質量部以上であってもよい。樹脂の使用量は、より優れた着色力を有する顔料が得られやすい観点及びコントラストをより向上させやすくなる観点から、粗顔料100質量部に対して、好ましくは10質量部以下であり、7.0質量部以下、5.0質量部以下、3.5質量部以下又は3.0質量部以下であってもよい。樹脂の使用量は、例えば、粗顔料100質量部に対して、0.1〜10質量部、0.5〜7.0質量部、1.0〜5.0質量部、1.0〜3.5質量部又は1.5〜3.0質量部である。本実施形態では、酸性基を有する重合体の使用量が上記範囲であることが好ましい。
上記方法で得られる樹脂で被覆されたハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を用いる場合、顔料組成物は、上記式(1)で表される化合物と、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料と、当該ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を被覆する樹脂(被覆樹脂)と、を含有することとなる。この場合、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料は、樹脂によって完全に被覆されていることが好ましいが、顔料の一部は、樹脂によって被覆されていなくてもよい。すなわち、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料が樹脂によって被覆されている場合、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料は、樹脂によって少なくとも一部が被覆された粒子を含んでいればよく、樹脂によって完全に被覆された粒子のみからなっていてよく、樹脂によって一部が被覆され、一部が露出した状態の粒子のみからなっていてもよく、これらの混合物であってもよい。また、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料中には、樹脂によって完全に被覆されていない粒子が存在してもよい。
顔料組成物中の被覆樹脂の含有量は、コントラストをより向上させやすくなる観点から、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上であり、0.5質量部以上、1.0質量部以上又は1.5質量部以上であってもよい。顔料組成物中の被覆樹脂の含有量は、着色力により優れる観点及びコントラストをより向上させやすくなる観点から、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料100質量部に対して、好ましくは10質量部以下であり、7.0質量部以下、5.0質量部以下、3.5質量部以下又は3.0質量部以下であってもよい。顔料組成物中の被覆樹脂の含有量は、例えば、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料100質量部に対して、0.1〜10質量部、0.5〜7.0質量部、1.0〜5.0質量部、1.0〜3.5質量部又は1.5〜3.0質量部である。本実施形態では、酸性基を有する重合体の含有量が上記範囲であることが好ましい。
顔料組成物における上記式(1)で表される化合物及び緑色顔料の含有量の比は、所望の色調(色度)に応じて適宜決定される。上記式(1)で表される化合物の含有量は、上記式(1)で表される化合物及び緑色顔料の合計量100質量部に対して、例えば、1質量部以上であってよく、90質量部以下であってもよく、高色再現性を有する緑色カラーフィルタ用途に特に好適に用いることができる観点から、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上であり、好ましくは80質量部以下、より好ましくは70質量部以下、更に好ましくは60質量部以下である。
顔料組成物は、上記以外の成分を更に含有していてもよい。例えば、顔料組成物は、上記以外の有機顔料、有機染料、有機顔料誘導体等を更に含有していてもよい。有機顔料誘導体は、例えば、公知の有機顔料の一部が、スルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基、フタルイミドメチル基等で修飾(置換)された誘導体であってよい。具体的には、例えば、Solsperse(登録商標名)5000、同12000、同22000(ルーブリゾール株式会社製)等が挙げられる。
上記のキノフタロン顔料及び緑色顔料以外の顔料としては、例えば、アゾ系顔料、ジスアゾ系顔料、アゾメチン系顔料、アントラキノン系顔料、キノフタロン系顔料、キナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ジオキサジン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、フタロシアニン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料及びペリレン系顔料(但し、上記式(1)で表される化合物を含む顔料及び緑色顔料に該当するものは除く)が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメント イエロー3、同12、同74、同83、同109、同110、同129、同138、同139、同150、同173、同185、同231、C.I.ピグメントバイオレット19、同23、同42等が挙げられる。また、併用可能な染料としては、例えば、キサンテン系染料、アゾ系染料、ジスアゾ系染料、アントラキノン系染料、キノフタロン系染料、トリアリールメタン系染料、メチン系染料、フタロシアニン系染料、ローダミン系染料、シアニン系染料等が挙げられる。これらの有機染料は、例えば、所定の色度に調色する目的及び/又は電気信頼性を改善する目的で用いることができる。
顔料組成物は、上記以外の成分(被覆樹脂以外の樹脂等)として、例えば、ロジン、界面活性剤、分散剤、感光性の化合物(感光性樹脂等)、硬化性樹脂等を更に含有していてもよい。これらの成分は、顔料表面に処理(いわゆる表面処理)されていてもよいし、されていなくてもよい。顔料表面に処理する方法としては、ロジン処理、界面活性剤処理、溶剤処理、樹脂処理等の公知の方法であってよい。
顔料組成物は、溶剤を実質的に含まず、例えば固体状(例えば粉末状)である。顔料組成物中の溶剤の含有量は、例えば、0質量%以上1.0質量%以下である。顔料組成物を溶剤中に分散させることで、顔料分散体である着色組成物を形成することができる。
以上説明した顔料組成物を用いることにより、高輝度であり、かつ薄膜でも高色再現性を有する緑色カラーフィルタ(カラーフィルタの緑色画素部)が得られる。本発明者らは、その理由を以下のように推察している。
高色再現性を有する緑色カラーフィルタを得るためには、黄色顔料が、併用する緑色顔料によって光が吸収されない(透過される)青色領域において、より広い波長範囲で光を好適に吸収する必要があるところ、従来は、黄色顔料の含有量を増やすことにより、黄色顔料による青色領域での吸光量を増やしていた。しかし、この場合、輝度が低下する、膜厚が厚くなってしまうといった問題が生じていた。
これに対し、式(1)で表される化合物はキノフタロン骨格を二量化させた構造を有するため、上記のキノフタロン化合物は、従来の黄色顔料に比べ、青色領域においてより長波長側にまで広がった吸収スペクトルを有している。このため、キノフタロン化合物の含有量を増やさなくても、高色再現用緑色度に調色できる。よって、この緑色カラーフィルタでは、薄膜でも高色再現性を実現しつつ、高い輝度も達成できる。
したがって、顔料組成物は、カラーフィルタ用(カラーフィルタの形成に用いられる)顔料組成物として好適であり、緑色カラーフィルタ(カラーフィルタの緑色画素部)の形成に用いられる顔料組成物として特に好適である。
<着色組成物>
一実施形態の着色組成物は、上記式(1)で表される化合物(キノフタロン化合物)と、緑色顔料と、溶剤と、を含有する。
着色組成物における上記キノフタロン化合物及び緑色顔料の態様(種類、含有量等)は、それぞれ、上述の顔料組成物における上記キノフタロン化合物及び緑色顔料の態様と同じであってよい。
溶剤としては、有機溶剤が好ましい。有機溶剤としては、例えばトルエンやキシレン、メトキシベンゼン等の芳香族系溶剤、酢酸エチルや酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エステル系溶剤、エトキシエチルプロピオネート等のプロピオネート系溶剤、メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクタム、N−メチル−2−ピロリドン、アニリン、ピリジン等の窒素化合物系溶剤、γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶剤、カルバミン酸メチルとカルバミン酸エチルの48:52の混合物等のカルバミン酸エステルなどが挙げられる。有機溶剤は、好ましくは、極性を有し水に可溶な溶剤であり、より好ましくは、プロピオネート系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、窒素化合物系溶剤、又はラクトン系溶剤である。
溶剤の含有量は、上記キノフタロン化合物及び緑色顔料の合計量100質量部に対して、300質量部以上であってよく、1000質量部以下であってよい。
着色組成物は、上記以外の成分を更に含有していてもよい。例えば、着色組成物は、上記以外の有機顔料、有機染料、有機顔料誘導体等を更に含有していてもよい。有機顔料、有機染料及び有機顔料誘導体としては、上述の顔料組成物において併用してもよい有機顔料、有機染料及び有機顔料誘導体と同じものが例示できる。
着色組成物は、上記以外の成分として、分散剤を更に含有していてもよい。分散剤には、アミン価を有する樹脂等の公知慣用の分散剤を用いることができる。分散剤としては、例えばANTI−TERRA(登録商標名)U/U100、同204、DISPERBYK(登録商標名)106、同108、同109、同112、同130、同140、同142、同145、同161、同162、同163、同164、同167、同168、同180、同182、同183、同184、同185、同2000、同2001、同2008、同2009、同2013、同2022、同2025、同2026、同2050、同2055、同2150、同2155、同2163、同2164、同9076、同9077、BYK LPN−6919、同21116、同21324、同22102(ビックケミー株式会社製)、EFKA(登録商標名)46、同47、同4010、同4020、同4320、同4300、同4330、同4401、同4570、同5054、同7461、同7462、同7476、同7477(BASF株式会社製)、アジスパー(登録商標名)PB814、同821、同822、同881(味の素ファインテクノ株式会社製)、Solsperse(登録商標名)24000、同28000、同37500、同76500(ルーブリゾール株式会社製)などが挙げられる。分散剤の含有量は、上記キノフタロン化合物及び緑色顔料の合計量100質量部に対して、10質量部以上であってよく、120質量部以下であってよい。
着色組成物は、感光性の化合物(感光性樹脂等)を更に含有してもよい。感光性の化合物を含有する着色組成物は、感光性着色組成物ということもできる。感光性の化合物としては、例えばウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド酸系樹脂、ポリイミド系樹脂、スチレンマレイン酸系樹脂、スチレン無水マレイン酸系樹脂等の熱可塑性樹脂や、例えば1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ビス(アクリロキシエトキシ)ビスフェノールA、3−メチルペンタンジオールジアクリレート等のような2官能モノマー、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス−(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等のような多官能モノマー等の光重合性モノマーなどが挙げられる。
感光性着色組成物は、光重合開始剤を更に含有してもよい。光重合開始剤としては、例えばアセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタノール、ベンゾイルパーオキサイド、2−クロロチオキサントン、1,3−ビス(4'−アジドベンザル)−2−プロパン、1,3−ビス(4'−アジドベンザル)−2−プロパン−2'−スルホン酸、4,4'−ジアジドスチルベン−2,2'−ジスルホン酸等が挙げられる。
感光性着色組成物は、例えば以下の方法により得られる。まず、キノフタロン化合物及び緑色顔料を、必要に応じて分散剤及び/又は有機顔料誘導体と共に、有機溶剤に分散させて分散液が得られる。次いで、この分散液に、感光性樹脂(更には光重合開始剤)を加え、必要に応じて有機溶剤を更に加えた後に、均一に撹拌することにより感光性着色組成物が得られる。
この場合、感光性樹脂の含有量は、上記の分散液100質量部に対して、3質量部以上であってよく、20質量部以下であってよい。光重合開始剤の含有量は、感光性樹脂1質量部に対して、0.05質量部以上であってよく、3質量部以下であってよい。
以上説明した着色組成物を用いることにより、高輝度であり、かつ薄膜でも高色再現性を有する緑色カラーフィルタ(カラーフィルタの緑色画素部)が得られる。したがって、着色組成物は、カラーフィルタ用(カラーフィルタの形成に用いられる)着色組成物として好適であり、緑色カラーフィルタ(カラーフィルタの緑色画素部)の形成に用いられる着色組成物として特に好適である。
<カラーフィルタ及び表示装置>
一実施形態のカラーフィルタは、上記のキノフタロン化合物と、上記の緑色顔料とを含有する画素部を有する。カラーフィルタは、典型的には、赤色画素部と、青色画素部と、緑色画素部と、を有している。上記のキノフタロン化合物と、上記の緑色顔料とを含有する画素部は、好ましくは緑色画素部である。
上記画素部は、上述の着色組成物(感光性着色組成物)から容易に形成することができる。具体的な方法としては、例えば、着色組成物(感光性着色組成物)を、スピンコート法、ロールコート法、インクジェット法等でガラス等の透明基板上に塗布し、ついでこの塗布膜に対して、フォトマスクを介して紫外線によるパターン露光を行った後、未露光部分を溶剤等で洗浄して着色パターンを得る、フォトリソグラフィーと呼ばれる方法が挙げられる。
画素部の形成方法は特に限定されず、例えば、電着法、転写法、ミセル電解法、PVED(Photovoltaic Electrodeposition)法の方法で画素部のパターンを形成して、カラーフィルタを製造してもよい。
上記カラーフィルタは、例えば、ディスプレイ等の表示装置用のカラーフィルタとして用いることができ、LED等の光源と組み合わせて用いることができる。すなわち、本発明の他の一実施形態は、上記のカラーフィルタと、光源と、を備える、表示装置である。
光源は、例えば、白色LED(発光ダイオード)光源、白色有機EL光源、白色無機EL光源、白色量子ドット光源等であってよい。光源が白色LED光源である場合、当該白色LED光源は、例えば、赤色LEDと緑色LEDと青色LEDとを組み合わせて混色により白色光を得る白色LED光源、青色LEDと赤色LEDと緑色蛍光体とを組み合わせて混色により白色光を得る白色LED光源、青色LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体とを組み合わせて混色により白色光を得る白色LED光源、青色LEDとYAG系蛍光体との混色により白色光を得る白色LED光源、紫外線LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体と青色発光蛍光体とを組み合わせて混色により白色光を得る白色LED光源、赤色レーザーを組み合わせた白色LED光源、量子ドット技術を利用した白色LED光源等であってよい。
蛍光体としては、この分野で用いられる蛍光体を適宜選択することができる。例えば、青色LED又は紫外線LEDで励起可能な蛍光体としては、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(YAG:Ce)、セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(LAG:Ce)、ユウロピウム及び/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム系蛍光体(例えばCaO−Al−SiO:Eu)、ユウロピウムで賦活されたシリケート系蛍光体((Sr,Ba)2SiO:Eu)、サイアロン系蛍光体、CASN系蛍光体(CaAlSiN:Eu)、SCASN系蛍光体((Sr,Ca)AlSiN:Eu)等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(KSiF:Mn)、硫化物系蛍光体、量子ドット蛍光体等が挙げられる。
より具体的には、例えば、サイアロン系蛍光体は、α型サイアロン蛍光体であってよい。α型サイアロン蛍光体は、例えば、窒化ケイ素(Si)、窒化アルミニウム(AlN)、炭酸カルシウム(CaCO)、酸化ユーロピウム(Eu)を所定のモル比で混合し、1気圧(0.1MPa)の窒素中において1700℃の温度で1時間保持してホットプレス法により焼成して製造される、Euイオンを固溶したα型サイアロン蛍光体であってよい。このα型サイアロン蛍光体は、450〜500nmの青色光で励起されて550〜600nmの黄色の光を発する蛍光体である。サイアロン系蛍光体は、例えば、β−Si構造を有するβ型サイアロン蛍光体であってもよい。このβ型サイアロン蛍光体は、近紫外〜青色光で励起されることにより、500〜600nmの緑色〜橙色の光を発する蛍光体である。
また、例えば、蛍光体は、JEM相からなる酸窒化物蛍光体であってもよい。この酸窒化物蛍光体は、近紫外〜青色光で励起されて、460〜510nmに発光波長ピークを有する光を発する。
<組成物セット>
上記の実施形態(着色組成物)では、上記のキノフタロン化合物及び緑色顔料が一組成物中に含まれているが、他の一実施形態では、上記のキノフタロン化合物及び緑色顔料は、それぞれ別個の組成物に含まれていてもよい。すなわち、本発明の他の一実施形態は、上記式(1)で表される化合物を含有する第1の組成物(第1の顔料組成物)と、緑色顔料を含有する第2の組成物(第2の顔料組成物)と、を備える組成物セット(顔料組成物セット)である。この組成物セットも、カラーフィルタの形成に好適に用いられ、緑色カラーフィルタ(カラーフィルタの緑色画素部)の形成に特に好適に用いられる。
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[合成例1]
フラスコ中に4,4’−メチレンビス(2−クロロアニリン)5.0g(56.1mmol)、p−クロラニル27.6g(112mmol)、水150ml、濃塩酸150ml、n−ブタノール100mlを添加して95℃で30分間攪拌した。この混合物に、n−ブタノール12mlに溶解したクロトンアルデヒド11.8g(168mmol)を滴下して、さらに1時間攪拌した。温度を80℃に下げ、塩化亜鉛15.3g(112mmol)を少量ずつ加えた後、THF200mlを添加して80℃を保ったまま1時間攪拌した。室温まで放冷した後、減圧ろ過にて黄土色粉末を回収した。得られた黄土色粉末をTHF200mlで洗浄し、再び減圧ろ過にて黄土色粉末を回収した。さらに、得られた黄土色粉末をフラスコに移し、水200mlと28%アンモニア水40mlを加え、室温で2時間攪拌した。減圧ろ過にて粉末を回収し、20.3gの粗生成物を得た。得られた粗生成物をトルエンに溶解し不溶物をろ過により除いた後に再結晶して中間体(A)12.6gを得た。
Figure 2020033525

H−NMR(CDCl)δppm:2.81(s,6H),4.24(s,2H),7.34(d,J=8.0Hz,2H),7.49(s,2H),7.67(s,2H),7.99(d,J=8.8Hz,2H)
13C−NMR(CDCl)δppm:25.8,41.1,123.2,126.2,127.8,130.9,133.1,136.3,137.6,143.1,160.0
FT−IR cm−1:3435,3054,3030,2915,1603,1487,1206
FD−MS:366M+
続いて、フラスコ中に中間体(A)4.15g(11.3mmol)と濃硫酸7.55mLを加え、45℃で20分間攪拌した。その後、発煙硝酸1.62mLを滴下し、温度を保持し1時間攪拌を続けた。放冷後、氷水250mLを系中にゆっくりと注いだ。さらに、10wt%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、pHを8〜9に調整した。析出した粉末を減圧ろ過で回収し、蒸留水200mL、エタノール100mLで洗浄することで、中間体(B)4.86g(10.6mmol)を得た。
Figure 2020033525

H−NMR(CDCl)δppm:2.86(s,6H),4.27(s,2H),7.56(d,J=8.8Hz,2H),7.62(s,2H),8.08(d,J=8.8Hz,2H)
13C−NMR(CDCl)δppm:25.7,32.4,119.9,125.6,127.5,130.1,131.1,137.3,143.1,145.9,162.2
FT−IR cm−1:3465,1604,1530,1487,1362
続いて、フラスコ中に中間体(B)5.00g(10.9mmol)とエタノール23.3mLを加え、室温で10分間攪拌した。その後、還元鉄4.88g(87.4mmol)を系中に加え、室温でさらに10分間攪拌した。続いて、濃塩酸6.33mLを滴下し、温度を80℃に昇温し、6時間攪拌を続けた。放冷後、蒸留水150mLに注ぎ、10%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、pHを9に調整した。析出した粉末を減圧ろ過で回収した。さらに、回収した粉末を酢酸エチル700mL中で十分攪拌させ、減圧ろ過を行った。そこで得られたろ液の溶媒を減圧留去することで、黄土色粉末である中間体(C)3.64g(9.16mmol)を得た。
Figure 2020033525

H−NMR(CDCl)δppm:2.65(s,6H),3.97(s,2H),5.92(s,4H),7.32(s,2H),7.38(d,J=8.8Hz,2H),8.59(d,J=8.8Hz,2H)
13C−NMR(CDCl)δppm:25.4,31.9,116.8,117.7,117.9,121.0,131.8,132.2,142.0,143.1,158.9
FT−IR cm−1:3476,3373,1627,1605,1409,1359,1250
続いて、窒素雰囲気下、フラスコ中に安息香酸14.1g(116mmol)を量りとり、140℃にて溶融させた。そこに、中間体(C)1.44g(3.62mmol)とテトラクロロフタル酸無水物5.53g(19.3mmol)を加え、220℃にて4時間攪拌した。放冷後、反応溶液にアセトン300mLを加え、1時間攪拌した後、減圧ろ過にて黄色粉末であるキノフタロン二量体(Q1)を4.52g(3.08mmol)得た。
Figure 2020033525

FT−IR cm−1:3449,1727,1622,1536,1410,1363,1308,1192,1112,737
FD−MS:1467M+
[合成例2]
フラスコ中に濃硫酸55gを仕込み、氷冷下に攪拌しながら文献(Polymer, volume39, No.20(1998), p4949)記載の方法で得られる6,6’−メチレンジキナルジン7.0g(23.5mmol)を添加した。10℃以下を保ちながら60%硝酸6.1gを滴下し、10℃から20℃で1時間攪拌を続けた。反応液を氷水150mlに注ぎ、20wt%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH3に調整した。析出した粉末を減圧ろ過で回収し、水で中性まで洗浄した。得られた固体を70℃で送風乾燥した後、粗生成物を熱酢酸エチル100ml、次いで熱トルエン60mlで洗浄ろ過し、中間体(D)6.52g(16.8mmol)を得た。
Figure 2020033525

H−NMR(DMSO−d6)δppm:2.70(s,6H),4.42(s,2H),7.58(d,J=8.8Hz,2H),7.63(d,J=8.8Hz,2H),8.09(d,J=8.8Hz,2H),8.13(d,J=8.8Hz,2H)
13C−NMR(DMSO−d6)δppm:24.5,32.0,117.7,124.8,127.5,129.8,130.5,131.9,145.8,146.2,160.7
FT−IR(KBr disk)cm−1:3048,1602,1520,1494,1363
続いて、フラスコ中に還元鉄5.30g、酢酸135mlを仕込み攪拌しながら50℃に加熱した。次いで中間体(D)4.50g(11.6mmol)を70℃以下に保つように添加した。添加終了後60℃で1hr攪拌を続けた後、反応液を35℃以下に冷却し、氷水500mlに注ぎ、20%NaOH水でpH9に調製した。生成した沈殿物をセライト上で減圧ろ過した。固形物を回収し、70℃で送風乾燥後、ジメチルスルホキシド(DMSO)100mlとN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)100mlの混合溶媒に加え、90℃で1hr攪拌した。混合物をセライト上で減圧ろ過し、得られたろ液を水1Lに攪拌しながら加えた。生成した沈殿物を減圧濾過で回収し、水洗して中間体(E)3.80g(11.6mmol)を得た。
Figure 2020033525

H−NMR(DMSO−d6)δppm:2.57(s,6H),3.45(s,2H),5.66(s,4H),7.06(d,J=8.2Hz,2H),7.16(d,J=8.2Hz,2H),7.23(d,J=8.2Hz,2H),8.49(d,J=8.2Hz,2H)
13C−NMR(DMSO−d6)δppm:24.6,32.1,115.8,116.2,119.5,130.9,131.8,141.5,147.4,157.0
FT−IR(KBr disk)cm−1:3464,3363,3315,3192,1640,1591,1573,1415,1365,801
続いて、窒素雰囲気下、フラスコ中に安息香酸135gを量りとり、140℃にて溶融させた。そこに、中間体(E)3.80g(11.6mmol)とテトラクロロフタル酸無水物17.99g(62.9mmol)、無水塩化亜鉛0.49g(3.6mmol)を加え、220℃にて6時間攪拌した。反応混合物を120℃に冷却後、クロロベンゼン300mLを加えて1時間攪拌し、減圧ろ過にて黄色粉末であるキノフタロン二量体(Q2)を10.5g(7.5mmol)得た。
Figure 2020033525

FT−IR cm−1:1788,1729,1688,1638,1607,1537,1420,1310,732
FD−MS:1400M+
[合成例3]
1000mlフラスコに、塩化スルフリル(富士フイルム和光純薬株式会社製)270g、塩化アルミニウム(関東化学株式会社製)315g、塩化ナトリウム(東京化成工業株式会社製)43g、亜鉛フタロシアニン(DIC株式会社製)63g、臭素(富士フイルム和光純薬株式会社製)367gを仕込んだ。80℃まで昇温し、臭素69gを加えた。その後、130℃まで昇温した。反応混合物を水に取り出した後、ろ過、水洗、乾燥することによりハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R1)を得た。ハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R1)について、日本電子株式会社のJMS−S3000で質量分析した結果、m/z1780以上1820未満の範囲における最大イオン強度Iaを、m/z1820以上1860以下の範囲における最大イオン強度Ibで除した値(Ia/Ib)は1.24であった。また、その時のDelaytimeは495nsであり、m/z1820以上1860以下のピークのResolving Power Valueは36553であった。
[合成例4]
1000mlフラスコに、塩化スルフリル(富士フイルム和光純薬株式会社製)270g、塩化アルミニウム(関東化学株式会社製)347g、塩化ナトリウム(東京化成工業株式会社製)43g、臭素(富士フイルム和光純薬株式会社製)43gを仕込み、よく混合した。亜鉛フタロシアニン(DIC株式会社製)65g、臭素407gを仕込み、80℃まで昇温した後、臭素72gを加え、120℃まで昇温した。反応混合物を水に取り出した後、ろ過、水洗、乾燥することによりハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R2)を得た。ハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R2)について、日本電子株式会社のJMS−S3000で質量分析した結果、m/z1780以上1820未満の範囲における最大イオン強度Iaを、m/z1820以上1860以下の範囲における最大イオン強度Ibで除した値(Ia/Ib)は0.81であった。また、その時のDelaytimeは300nsであり、m/z1820以上1860以下のピークのResolving Power Valueは28832であった。
[合成例5]
1000mlフラスコに、塩化スルフリル(富士フイルム和光純薬株式会社製)270g、塩化アルミニウム(関東化学株式会社製)315g、塩化ナトリウム(東京化成工業株式会社製)43g、臭素(富士フイルム和光純薬株式会社製)43gを仕込み、よく混合した。亜鉛フタロシアニン(DIC株式会社製)65g、臭素407gを仕込み、80℃まで昇温した後、臭素72gを加え、100℃まで昇温した。反応混合物を水に取り出した後、ろ過、水洗、乾燥することによりハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R3)を得た。ハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R3)について、日本電子株式会社のJMS−S3000で質量分析した結果、m/z1780以上1820未満の範囲における最大イオン強度Iaを、m/z1820以上1860以下の範囲における最大イオン強度Ibで除した値(Ia/Ib)は0.57であった。また、その時のDelaytimeは285nsであり、m/z1820以上1860以下のピークのResolving Power Valueは42672であった。
[合成例6]
300mlフラスコに、塩化スルフリル(富士フイルム和光純薬株式会社製)45g、塩化アルミニウム(関東化学株式会社製)109g、塩化ナトリウム(東京化成工業株式会社製)15g、亜鉛フタロシアニン(DIC株式会社製)30g、臭素(富士フイルム和光純薬株式会社製)300gを仕込んだ。145℃まで昇温し、反応混合物を水に取り出した後、ろ過、水洗、乾燥することによりハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R4)を得た。ハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R4)について、リガク社製のZSX100Eを使用した蛍光X線分析を行い、亜鉛原子、塩素原子及び臭素原子の質量比から、亜鉛原子1個あたりの相対値として、平均塩素原子数及び平均臭素原子数を算出した。なお、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン 1gを加圧成型(25mmφ)したものを測定試料とし、測定径20mmφ、真空雰囲気下にて測定した。その結果、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R4)では、1分子中のハロゲン原子数が平均15.7個であり、そのうち臭素原子数が平均14.1個、塩素原子数が平均1.6個であった。
[合成例7]
300mlフラスコに、塩化スルフリル(富士フイルム和光純薬株式会社製)91g、塩化アルミニウム(関東化学株式会社製)109g、塩化ナトリウム(東京化成工業株式会社製)15g、亜鉛フタロシアニン(DIC株式会社製)30g、臭素(富士フイルム和光純薬株式会社製)59gを仕込んだ。130℃まで昇温し、反応混合物を水に取り出した後、ろ過、水洗、乾燥することによりハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R5)を得た。ハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R5)について、合成例6と同様にして、平均塩素原子数及び平均臭素原子数を算出した。ハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R5)では、1分子中のハロゲン原子数が平均12.7個であり、そのうち臭素原子数が平均10.2個、塩素原子数が平均2.5個であった。
[合成例8]
300mlフラスコに、塩化スルフリル(富士フイルム和光純薬株式会社製)91g、塩化アルミニウム(関東化学株式会社製)109g、塩化ナトリウム(東京化成工業株式会社製)15g、亜鉛フタロシアニン(DIC株式会社製)30g、臭素(富士フイルム和光純薬株式会社製)44gを仕込んだ。130℃まで昇温し、反応混合物を水に取り出した後、ろ過、水洗、乾燥することによりハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R6)を得た。ハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R6)について、合成例6と同様にして、平均塩素原子数及び平均臭素原子数を算出した。ハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R6)では、1分子中のハロゲン原子数が平均12.0個であり、そのうち臭素原子数が平均9.0個、塩素原子数が平均3.0個であった。
[合成例9]
300mlフラスコに、塩化スルフリル(富士フイルム和光純薬株式会社製)90g、塩化アルミニウム(関東化学株式会社製)105g、塩化ナトリウム(東京化成工業株式会社製)14g、亜鉛フタロシアニン(DIC株式会社製)27g、臭素(富士フイルム和光純薬株式会社製)52gを仕込んだ。130℃まで昇温し、反応混合物を水に取り出した後、ろ過、水洗、乾燥することによりハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R7)を得た。ハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R7)について、合成例6と同様にして、平均塩素原子数及び平均臭素原子数を算出した。ハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R7)では、1分子中のハロゲン原子数が平均11.9個であり、そのうち臭素原子数が平均9.9個、塩素原子数が平均2.0個であった。
[合成例10]
300mlフラスコに、塩化スルフリル(富士フイルム和光純薬株式会社製)70g、塩化アルミニウム(関東化学株式会社製)105g、塩化ナトリウム(東京化成工業株式会社製)14g、亜鉛フタロシアニン(DIC株式会社製)27g、臭素(富士フイルム和光純薬株式会社製)54gを仕込んだ。80℃まで昇温し、反応混合物を水に取り出した後、ろ過、水洗、乾燥することによりハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R8)を得た。ハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R8)について、合成例6と同様にして、平均塩素原子数及び平均臭素原子数を算出した。ハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R8)では、1分子中のハロゲン原子数が平均11.4個であり、そのうち臭素原子数が平均10.2個、塩素原子数が平均1.2個であった。
[合成例11]
300mlフラスコに、塩化スルフリル(富士フイルム和光純薬株式会社製)91g、塩化アルミニウム(関東化学株式会社製)109g、塩化ナトリウム(東京化成工業株式会社製)15g、亜鉛フタロシアニン(DIC株式会社製)30g、臭素(富士フイルム和光純薬株式会社製)30gを仕込んだ。130℃まで昇温し、反応混合物を水に取り出した後、ろ過、水洗、乾燥することによりハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R9)を得た。ハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R9)について、合成例6と同様にして、平均塩素原子数及び平均臭素原子数を算出した。ハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R9)では、1分子中のハロゲン原子数が平均10.0個であり、そのうち臭素原子数が平均6.9個、塩素原子数が平均3.1個であった。
[合成例12]
11質量%の発煙硫酸375gを10℃に冷却しながら攪拌し、C.I.ピグメント イエロー138(大日精化工業株式会社製)75gを加えた。次いで、90℃で6時間攪拌した。反応液を氷水1600gに加え、15分間攪拌した後、沈殿物をろ過した。得られたウェットケーキを800gの水で3回洗浄した。ウェットケーキを80℃で真空乾燥し、粉砕することでキノフタロン誘導体(S1)を得た。キノフタロン誘導体(S1)について、高速液体クロマトグラフ質量分析計(島津製作所製LC−MS−8040)を使用した平均スルホン化率測定を行った。キノフタロン誘導体(S1)をジメチルスルホキシドで定容し、10mmol/L炭酸水素アンモニウム水溶液/メタノール/テトラヒドロフランの混合溶媒を移動相としてグラジエント溶離したプロファイルを使用した。得られたピークは質量分析(イオン化モード:DUIS)によりそれぞれ定性し、平均スルホン化率はピーク面積比により算出した。キノフタロン誘導体(S1)の平均スルホン化率は1個であることを確認した。
[顔料化例1]
キノフタロン二量体(Q1)5g、粉砕した塩化ナトリウム50g、ジエチレングリコール8gを双腕型ニーダーに仕込み、80℃で8時間混練した。混練後、混合物を80℃の水6000gに取り出し、1時間攪拌後、ろ過、湯洗、乾燥、粉砕することにより、黄色顔料であるキノフタロン顔料(QY1)を得た。日本電子社製透過電子顕微鏡JEM−2010で得られたキノフタロン顔料(QY1)を撮影した。二次画像上の凝集体を構成する一次粒子40個につき長い方の径(長径)と短い方の径(短径)の平均値から平均アスペクト比を算出し、長径の平均値を平均一次粒子径とした。平均アスペクト比は3.00未満であった。平均一次粒子径は100nm以下であった。
[顔料化例2]
キノフタロン二量体(Q1)をキノフタロン二量体(Q2)に代えたこと以外は顔料化例1と同様にして、キノフタロン顔料(QY2)を得た。平均アスペクト比は3.00未満であった。平均一次粒子径は100nm未満であった。
[顔料化例3]
ハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R1)40g、粉砕した塩化ナトリウム400g、ジエチレングリコール63gを双腕型ニーダーに仕込み、80℃で8時間混練した。混練後、混合物を80℃の水2kgに取り出し、1時間攪拌後、ろ過、湯洗、乾燥、粉砕することにより、緑色顔料であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(RP1)を得た。
[顔料化例4及び5]
ハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R1)に代えてハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R2)〜(R3)をそれぞれ用いたこと以外は顔料化例3と同様にして、緑色顔料であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(RP2)〜(RP3)をそれぞれ作製した。
[顔料化例6]
ハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R4)20g、粉砕した塩化ナトリウム140g、ジエチレングリコール32g、キシレン1.8gを双腕型ニーダーに仕込み、30℃で15時間混練した。混練後、混合物を30℃の水2kgに取り出し、1時間攪拌後、ろ過、湯洗、乾燥、粉砕することにより、緑色顔料であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(RP4)を得た。得られたハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(RP4)の一次粒子の平均粒子径は、日本電子社製透過電子顕微鏡JEM−2010による粒子径測定から、0.02μmであった。
[顔料化例7]
ハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R4)20g、粉砕した塩化ナトリウム140g、ジエチレングリコール32g及びキシレン1.8gをTS−1316(星光PMC株式会社製アクリル樹脂)1.5gと共に双腕型ニーダーに仕込み混練したこと以外は顔料化例6と同様にして、緑色顔料であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(RP5)を含む緑色顔料組成物(RG5)を作製した。得られた緑色顔料組成物(RG5)中のハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(RP5)の一次粒子の平均粒子径は、日本電子社製透過電子顕微鏡JEM−2010による粒子径測定から、0.02μmであった。
[顔料化例8]
ハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R5)20g、粉砕した塩化ナトリウム140g、ジエチレングリコール32g、キシレン1.8gを双腕型ニーダーに仕込み、100℃で6時間混練した。混練後、混合物を80℃の水2kgに取り出し、1時間攪拌後、ろ過、湯洗、乾燥、粉砕することにより、緑色顔料であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(RP6)を得た。
[顔料化例9]
ハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R5)をハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R6)に代えたこと以外は顔料化例8と同様にして、緑色顔料であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(RP7)を作製した。
[顔料化例10]
ハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R7)40g、TS−1316(星光PMC社製アクリル樹脂)1.2g、粉砕した塩化ナトリウム400g、ジエチレングリコール63gを双腕型ニーダーに仕込み、80℃で8時間混練した。混練後、混合物を80℃の水2kgに取り出し、1時間攪拌後、ろ過、湯洗、乾燥、粉砕することにより、緑色顔料であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(RP8)を含む緑色顔料組成物(RG8)を得た。得られた緑色顔料組成物(RG8)中のハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(RP8)を日本電子社製透過電子顕微鏡JEM−2010で撮影した。二次元画像上の凝集体を構成する一次粒子40個につき長い方の径(長径)と短い方の径(短径)の平均値から平均アスペクト比を算出した。平均アスペクト比は1.39であった。
[顔料化例11]
ハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R5)をハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R8)に代えたこと以外は顔料化例8と同様にして、緑色顔料であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(RP9)を得た。
[顔料化例12]
ハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R7)をハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R8)に代えたこと以外は顔料化例10と同様にして、緑色顔料であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(RP10)を含む緑色顔料組成物(RG10)を作製した。得られた緑色顔料組成物(RG10)中のハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(RP10)を日本電子社製透過電子顕微鏡JEM−2010で撮影した。二次元画像上の凝集体を構成する一次粒子40個につき長い方の径(長径)と短い方の径(短径)の平均値から平均アスペクト比を算出した。平均アスペクト比は1.55であった。
[顔料化例13]
ハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R5)をハロゲン化亜鉛フタロシアニン(R9)に代えたこと以外は顔料化例8と同様にして、緑色顔料であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(RP11)を作製した。
[製造例1]
キノフタロン顔料(QY1)0.66gを、キノフタロン誘導体(S1)0.04g、BYK LPN−21116(ビックケミー社製)1.40g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート12.60gと共に0.3〜0.4mmのジルコンビーズを用いて、東洋精機株式会社製のペイントシェーカーで2.5時間分散して、黄色顔料分散体(QMY1)を得た。黄色顔料分散体(QMY1)4.0gに、ユニディックZL−295(DIC株式会社製、商品名、固形分:40質量%)0.6g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート0.22gを加えて、ペイントシェーカーで混合することで黄色調色用組成物(QTY1)を得た。
[製造例2]
キノフタロン顔料(QY1)をキノフタロン顔料(QY2)に代えたこと以外は製造例1と同様にして、黄色顔料分散体(QMY2)及び黄色調色用組成物(QTY2)を作製した。
[製造例3]
ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(RP1)2.48gを、BYK LPN−6919(ビックケミー社製、固形分:60質量%)1.24g、ユニディックZL−295(DIC株式会社製、固形分:40質量%)1.86g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10.92gと共に0.3〜0.4mmのジルコンビーズを用いて、東洋精機株式会社製のペイントシェーカーで2時間分散して、緑色顔料分散体(RMG1)を得た。緑色顔料分散体(RMG1)4.0gに、ユニディックZL−295(DIC株式会社製、固形分:40質量%)0.98g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート0.22gを加えて、ペイントシェーカーで混合することで緑色調色用組成物(RCG1)を得た。
[製造例4〜6、8、9、11、13]
ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(RP1)に代えて、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(RP2)〜(RP4)、(RP6)、(RP7)、(RP9)及び(RP11)をそれぞれ用いたこと以外は、製造例3と同様にして、緑色顔料分散体(RMG2)〜(RMG4)、(RMG6)、(RMG7)、(RMG9)及び(RMG11)、並びに、緑色調色用組成物(RCG2)〜(RCG4)、(RCG6)、(RCG7)、(RCG9)及び(RCG11)をそれぞれ作製した。
[製造例7、10、12]
ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(RP1)2.48gに代えて緑色顔料組成物(RG5)2.48g、緑色顔料組成物(RG8)2.48g又は緑色顔料組成物(RG10)2.48gをそれぞれ用いたこと以外は、製造例3と同様にして、緑色顔料分散体(RMG5)、(RMG8)及び(RMG10)、並びに、緑色調色用組成物(RCG5)、(RCG8)及び(RCG10)をそれぞれ作製した。
[製造例14]
C.I.ピグメント イエロー138(大日精化工業株式会社製、クロモファイン イエロー6206EC、以下では「Y138」ともいう)0.66gを、キノフタロン誘導体(S1)0.04g、BYK−161(ビックケミー社製)1.87g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート12.13gと共に0.3〜0.4mmのジルコンビーズを用いて、東洋精機株式会社製のペイントシェーカーで2時間分散して、黄色顔料分散体(QMY3)を得た。黄色顔料分散体(QMY3)4.0gに、ユニディックZL−295(DIC株式会社製、固形分:40質量%)0.6g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート0.22gを加えて、ペイントシェーカーで混合することで黄色調色用組成物(QTY3)を得た。
[製造例15〜17]
ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(RP1)に代えてC.I.ピグメント グリーン58(DIC株式会社製、以下では「G58」ともいう)、C.I.ピグメント グリーン36(DIC株式会社製、以下では「G36」ともいう)又はC.I.ピグメント グリーン59(DIC株式会社製、以下では「G59」ともいう)をそれぞれ用いたこと以外は、製造例3と同様にして、緑色顔料分散体(RMG12)〜(RMG14)及び緑色調色用組成物(RCG12)〜(RCG14)をそれぞれ作製した。
[製造例18]
C.I.ピグメント グリーン7(DIC株式会社製、以下では「G7」ともいう)2.48gを、BYK LPN−6919(ビックケミー社製、固形分:60質量%)1.24g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10.92gと共に0.3〜0.4mmのジルコンビーズを用いて、東洋精機株式会社製のペイントシェーカーで2時間分散した後、ユニディックZL−295(DIC株式会社製、固形分:40質量%)1.86gを加えて緑色顔料分散体(RMG15)を得た。緑色顔料分散体(RMG15)4.0gに、ユニディックZL−295(DIC株式会社製、固形分:40質量%)0.98g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート0.22gを加えて、ペイントシェーカーで混合することで緑色調色用組成物(RCG15)を得た。
[緑色調色用組成物の評価(1)]
緑色調色用組成物(RCG4)及び(RCG5)を、それぞれ、ソーダガラス基板上にスピンコートし、90℃で3分乾燥して評価用ガラス基板を得た。この評価用ガラス基板上に形成された着色膜の単色分光透過スペクトルを、日立ハイテクサイエンス社製U−3900を用いて測定した。なお、スピンコートする際にスピン回転数を調整することにより、極大透過波長における透過率が80%となるように、着色膜の厚さを調整した。
緑色調色用組成物(RCG4)を用いて作製した評価用基板の波長460nmにおける透過率は1.21%であり、波長505nmにおける透過率は70.60%であり、波長555nmにおける透過率は50.47%であり、波長600nmにおける透過率は0.30%であり、透過スペクトルの半値幅は73nmであった。波長505nmの透過率と波長555nmの透過率の比(T(505nm)/T(555nm))が1.40であった。
緑色調色用組成物(RCG5)を用いて作製した評価用基板の波長460nmにおける透過率は0.67%であり、波長505nmにおける透過率は71.57%であり、波長555nmにおける透過率は45.73%であり、波長600nmにおける透過率は0.14%であり、透過スペクトルの半値幅は68nmであった。波長505nmの透過率と波長555nmの透過率の比(T(505nm)/T(555nm))が1.57であった。
[緑色調色用組成物の評価(2)]
緑色調色用組成物(RCG6)、(RCG7)及び(RCG9)〜(RCG11)を、それぞれ、ソーダガラス基板上にスピンコートし、90℃で3分乾燥した後に、230℃で1時間加熱した。これにより、着色膜をソーダガラス基板上に有する、評価用ガラス基板を作製した。なお、スピンコートする際にスピン回転数を調整することにより、230℃で1時間加熱して得られる着色膜の膜厚を調整し、各緑色調色用組成物について、着色膜の膜厚が1.5μmである評価用ガラス基板、着色膜の膜厚が1.9μmである評価用ガラス基板及び着色膜の膜厚が2.4μmである評価用ガラス基板をそれぞれ作製した。この評価用ガラス基板について、日立ハイテクサイエンス社製U−3900を用いてC光源における色度(x,y)を測定し、日立ハイテクサイエンス社製白色干渉顕微鏡VS1330で膜厚を測定した。
緑色調色用組成物(RCG6)を用いて作製した評価用基板の評価結果は、下記のようになった。
膜厚:1.5μm、色度x:0.182、色度y:0.436
膜厚:1.9μm、色度x:0.171、色度y:0.462
膜厚:2.4μm、色度x:0.158、色度y:0.494
緑色調色用組成物(RCG7)を用いて作製した評価用基板の評価結果は、下記のようになった。
膜厚:1.5μm、色度x:0.163、色度y:0.391
膜厚:1.9μm、色度x:0.154、色度y:0.407
膜厚:2.4μm、色度x:0.142、色度y:0.428
緑色調色用組成物(RCG9)を用いて作製した評価用基板の評価結果は、下記のようになった。
膜厚:1.5μm、色度x:0.167、色度y:0.400
膜厚:1.9μm、色度x:0.157、色度y:0.419
膜厚:2.4μm、色度x:0.146、色度y:0.443
緑色調色用組成物(RCG10)を用いて作製した評価用基板の評価結果は、下記のようになった。
膜厚:1.5μm、色度x:0.166、色度y:0.409
膜厚:1.9μm、色度x:0.159、色度y:0.426
膜厚:2.4μm、色度x:0.149、色度y:0.447
緑色調色用組成物(RCG11)を用いて作製した評価用基板の評価結果は、下記のようになった。
膜厚:1.5μm、色度x:0.127、色度y:0.343
膜厚:1.9μm、色度x:0.123、色度y:0.346
膜厚:2.4μm、色度x:0.118、色度y:0.350
<実施例1〜12、比較例1>
(着色組成物の調製)
緑色調色用組成物(RCG)と黄色調色用組成物(QTY)を、表1に記載の組み合わせ及び配合比で混合して着色組成物を作製した。
(カラーフィルタ特性の評価)
得られた着色組成物をソーダガラス基板上にスピンコートし、90℃で3分乾燥し、230℃で1時間加熱した。これにより、ソーダガラス基板上に着色膜を有する評価用基板を作製した。この際、スピンコートする際のスピン回転数を調整することによって、着色膜のC光源における色度(x,y)が、特開2011−117986号公報で使用されている緑色色度(0.240,0.615)となるように調整した。色度は株式会社日立ハイテクサイエンス製の分光光度計(U−3900)によって測定される値である。
得られた評価用基板における着色膜について、株式会社日立ハイテクサイエンス製の分光光度計(U−3900)で輝度Yを測定し、株式会社日立ハイテクサイエンス製の白色干渉顕微鏡(VS1330)で膜厚を測定した。
Figure 2020033525
<実施例13〜22、比較例2>
緑色調色用組成物と黄色調色用組成物を、表2に記載の組み合わせ及び配合比で混合して着色組成物を作製した。次いで、着色膜のC光源における色度(x,y)が、特開2010−2550号公報で使用されている緑色色度(0.260,0.650)となるようにスピンコートする際のスピン回転数を調整したこと以外は、実施例1〜12及び比較例1と同様にして、ソーダガラス基板上に着色膜を有する評価用基板を作製し、得られた評価用基板における着色膜について、輝度Y及び膜厚を測定した。
Figure 2020033525
<実施例23〜30、比較例3>
緑色調色用組成物と黄色調色用組成物を、表3に記載の組み合わせ及び配合比で混合して着色組成物を作製した。次いで、着色膜のC光源における色度(x,y)が、特開2017−16132号公報で使用されている緑色色度(0.210,0.670)となるようにスピンコートする際のスピン回転数を調整したこと以外は、実施例1〜12及び比較例1と同様にして、ソーダガラス基板上に着色膜を有する評価用基板を作製し、得られた評価用基板における着色膜について、輝度Y及び膜厚を測定した。
Figure 2020033525
<実施例31、比較例4>
緑色調色用組成物と黄色調色用組成物を、表4に記載の組み合わせ及び配合比で混合して着色組成物を作製した。次いで、KSF光源(NS2W364F−HG光源)を用いたときに、高色再現用色規格であるDCI−P3(デジタルシネマイニシアティブ)規格の一般座標(0.265,0.690)の緑色色度を示す着色膜が得られるように、スピンコートする際のスピン回転数を調整したこと以外は、実施例1〜12及び比較例1と同様にして、ソーダガラス基板上に着色膜を有する評価用基板を作製し、得られた評価用基板における着色膜について、輝度Y及び膜厚を測定した。
Figure 2020033525

Claims (6)

  1. 下記式(1)で表される化合物と、緑色顔料と、を含有する顔料組成物。
    Figure 2020033525

    [式(1)中、X〜X16は各々独立に水素原子又はハロゲン原子であり、Y及びYは各々独立に水素原子又はハロゲン原子であり、Zは炭素数1〜3のアルキレン基である。]
  2. 前記緑色顔料が、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料である、請求項1に記載の顔料組成物。
  3. 下記式(1)で表される化合物と、緑色顔料と、溶剤と、を含有する、着色組成物。
    Figure 2020033525

    [式(1)中、X〜X16は各々独立に水素原子又はハロゲン原子であり、Y及びYは各々独立に水素原子又はハロゲン原子であり、Zは炭素数1〜3のアルキレン基である。]
  4. 前記緑色顔料が、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料である、請求項3に記載の着色組成物。
  5. 下記式(1)で表される化合物と、緑色顔料と、を含有する画素部を有する、カラーフィルタ。
    Figure 2020033525

    [式(1)中、X〜X16は各々独立に水素原子又はハロゲン原子であり、Y及びYは各々独立に水素原子又はハロゲン原子であり、Zは炭素数1〜3のアルキレン基である。]
  6. 前記緑色顔料が、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料である、請求項5に記載のカラーフィルタ。

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