JP2020032885A - 鞍乗り型車両の車体フレーム構造 - Google Patents
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Abstract
Description
車体フレームは、ヘッドパイプと、ヘッドパイプからそれぞれ後方へ延びる左右一対の上メインパイプ及び下メインパイプと、上メインパイプ、下メインパイプ間を接続する複数の補強パイプと、ヘッドパイプ近傍の下メインパイプから後下がりに後方へ延びる左右一対のダウンパイプと、ダウンパイプ及び下メインパイプのそれぞれを接続する補強パイプとを備える。
また、左右一対のダウンフレームも、それぞれ左右の下メインパイプ及び補強パイプに接続されるので、剛性が高くなる。この結果、前輪からヘッドパイプに捩れ荷重が伝わって車体フレームが捩れる際の車体フレームの捩れ中心がヘッドパイプ周辺の高い位置に発生する。このため、捩れ中心から前輪の接地点までの距離が長くなり、接地点で前輪に外乱が加わるときのモーメントが大きくなるので、前輪の接地点での移動量が大きくなりやすく、車両の操縦安定性に影響を及ぼしやすいという課題がある。
更に、上記のように車体フレームの剛性を高くすると、重量が増加するという課題もある。
本発明の目的は、車体フレームの軽量化を図るとともに、車両の操縦安定性を向上させることが可能な鞍乗り型車両の車体フレーム構造を提供することにある。
また、上記構成において、前記上フレーム(31)と前記下フレーム(32)との間隔は、前記ヘッドパイプ(21)側が広く、車両後方に向かう従い狭くなるようにしても良い。
また、上記構成において、前記補強フレーム(33,34,35,36)は、複数設けられ、複数の前記補強フレーム(33,34,35,36)のうちで、前記サブフレーム(27)に前記下フレーム(32)を介して突き合せられる補強フレーム(34)は、他の前記補強フレーム(33,35,36)よりも外径が大きくても良い。
図1は、一実施形態の車体フレーム構造を備えた自動二輪車10を示す左側面図である。
自動二輪車10は、車体フレーム11、前輪12、後輪13及びシート14を備える鞍乗り型車両である。
車体フレーム11は、ヘッドパイプ21、メインフレーム22、ピボットフレーム23、左右一対のシートフレーム24、単一のダウンフレーム26、左右一対のサブフレーム27を備える。
左右の上フレーム31は、ヘッドパイプ21の上部左右から後方斜め下方に延びている。
左右の下フレーム32は、ダウンフレーム26の上部左右から左右の上フレーム31の下方を通って後方斜め下方に延びている。左右の上フレーム31と左右の下フレーム32との後端部同士は、後端接続部材28を介して結合されている。
補強フレーム33〜36は、上フレーム31及び下フレーム32に対して傾斜するように接続されるとともに、傾斜方向の異なるものが互い違いになるように配置されることで、メインフレーム22が、トラス構造に形成されている。このように、メインフレーム22をトラス構造にすることで、メインフレーム22の強度・剛性を高めるとともに軽量化を図ることができる。
左右のシートフレーム24は、メインフレーム22の後端部の左右及びピボットフレーム23の上端部の左右から後方斜め上方に延びてシート14を支持している。
ダウンフレーム26は、ヘッドパイプ21の下部から下方(詳しくは、下方斜め後方)に延びている。
ピボットフレーム23及びダウンフレーム26は、エンジン41を支持している。
左右のサブフレーム27は、左右の下フレーム32とダウンフレーム26とを接続している。
フォークパイプ30aは、テレスコピック型の緩衝器であり、左右のフォークパイプ30aの下端部に車軸43を介して前輪12が支持されている。
トップブリッジ30b及びボトムブリッジ30cは、左右のフォークパイプ30aを連結している。トップブリッジ30bは、ボトムブリッジ30cの上方に隔てて配置され、トップブリッジ30bにハンドル44が取付けられている。
ステアリングシャフト30dは、トップブリッジ30bとボトムブリッジ30cとに上下に接続され、ヘッドパイプ21に挿入されて回動可能に支持される。
エンジン41は、クランク軸が収容されたクランクケース51と、クランクケース51の前部上部から突出するシリンダ部52とを備える。クランクケース51の後部には変速機54が設けられている。変速機54は、出力軸55を備え、出力軸55に取付けられたドライブスプロケット56と、後輪13に一体的に設けられたドリブンスプロケット57とにはチェーン58が掛け渡されている。
前輪12は、フロントフォーク30に取付けられたフロントフェンダ67によって上方から覆われ、後輪13は、左右のシートフレーム24に取付けられたリアフェンダ68によって上方から覆われている。
図2及び図3に示されるように、左右の上フレーム31の前端部31zは、ヘッドパイプ21の上部に溶接により接合され、左右の下フレーム32の前端部32zは、ダウンフレーム26の上部に溶接により接合されている。
左右の上フレーム31及び左右の下フレーム32は、後端部同士が、後端接続部材28で接続されている。
後端接続部材28は、ピボットフレーム23の上端部及びシートフレーム24の前端部が共締めにより取付けられる上部取付部28aと、ピボットフレーム23の上端部のみが取付けられる下部取付部28bとを備える。
メインフレーム22の左右の上フレーム31、左右の下フレーム32及び補強フレーム33〜36は、いずれも鋼管であるが、材質は鉄鋼に限らない。
上部フレーム部23aは、左右一対のピボットプレート部23cと、左右のピボットプレート部23cの上端部を接続する上部クロス部23dとから一体に形成されている。
左右のピボットプレート部23cは、左右一対のピボット側エンジン支持部23e、左右一対の後部取付部23f及び左右一対のピボット軸挿通穴23gを備える。
上部クロス部23dは、車幅方向に延びて左右のピボットプレート部23cの上端部同士を一体に接続する。
左右の後部取付部23fは、左右のピボットプレート部23cのそれぞれの上部から車両後方に一体に突出する部分であり、左右のシートフレーム24の前端部(詳しくは、下部取付部28b)が取付けられる部分である。
左右のピボット軸挿通穴23gは、ピボット軸38(図1参照)が挿入される部分である。
左右の前方突出部23hは、エンジン41のクランクケース51の後部下部を支持する。
左右の後方突出部23jは、リアクッションユニットの下端部を支持するリンク装置を連結する部分である。リアクッションユニットは、上端部がピボットフレーム23の上部クロス部23dに取付けられ、下端部がリンク装置を介して左右の後方突出部23jに取付けられる。リンク装置の一部は、スイングアーム46(図1参照)に連結される。
左右のシートフレーム24のそれぞれの前端部には、上側に前上部取付部24a、下側に前下部取付部24bが一体に形成されている。
前上部取付部24aは、後端接続部材28の上部取付部28a及びピボットプレート部23cの上端部23kにボルト73で共締めされている。また、後端接続部材28の下部取付部28bは、ピボットプレート部23cの上端部23kにボルト73で取付けられている。
前下部取付部24bは、ピボットプレート部23cの後部取付部23fにボルト74で取付けられている。
ダウンフレーム26の下端部には、左右一対のエンジンハンガ75が取付けられている。左右のエンジンハンガ75には、エンジン41(図1参照)のシリンダ部52(図1参照)の前部が支持される。
左右のサブフレーム27は、鋼管製であり、サブフレーム27の上端部27a(下フレーム32への接続部分)は、補強フレーム34の下端部34a(下フレーム32への接続部分)に対向する部分である。即ち、サブフレーム27は、下フレーム32を介して補強フレーム34に突き当てられる。
このように、上フレーム31及び下フレーム32の外径を大きくし、サブフレーム27及び補強フレーム33〜36の外径を小さくすることで、車体フレーム11の強度・剛性を高めることができるとともに、車体フレーム11の重量増を抑えることができる。
また、補強フレーム34を他の補強フレーム33,35,36よりも外径を大きくするとともにサブフレーム27と補強フレーム34とを等しい又は略等しい外径とすることで、車体フレーム11の強度・剛性を効果的に高めることができる。
捩れ中心76は、車両前後方向に延びる軸回りの捩れの中心である。
ヘッドパイプ21の全長の中心21c(軸線70上の中心)から捩れ中心76までの距離をLとする。距離Lは、本実施形態のようなトラス構造のメインフレーム22、ダウンフレーム26及びサブフレーム27の組み合わせを有しない従来の車体フレームに比べて長くなっている、即ち、捩れ中心76は、従来よりも下方に位置する。
左右の上フレーム31は、それぞれヘッドパイプ21から車幅方向外方斜め後方に延びる前部傾斜部31aと、前部傾斜部31aの後端から車幅方向内方斜め後方に延びる後部傾斜部31bとを備え、後部傾斜部31bの後端部に後端接続部材28が接続されている。
前部傾斜部31aと後部傾斜部31bとは、屈曲部31cで屈曲している。
左右の前部傾斜部31aには、車幅方向に延びるクロスフレーム77が渡されている。
左右の下フレーム32は、それぞれ前部傾斜部32a、中間部傾斜部32b及び後部傾斜部32cを備え、後部傾斜部32cの後端部に後端接続部材28が接続されている。
前部傾斜部32aと中間部傾斜部32bとは、屈曲部32dで屈曲し、中間部傾斜部32bと後部傾斜部32cとは、屈曲部32eで屈曲している。
前部傾斜部32a、中間部傾斜部32b及び後部傾斜部32cは、平面視で、いずれも上フレーム31よりも車幅方向外側に突出している。これにより、左右の下フレーム32間の空間を、左右の上フレーム31間の空間よりも広く確保できる。
また、左右の下フレーム32は、左右のピボットフレーム23よりも車幅方向外側に突出している。
ピボットフレーム23の左右のピボット側エンジン支持部23eの前端部(締結部)は、左右の上フレーム31の後部傾斜部31bよりも車幅方向内側に位置している。
左右のシートフレーム24の後部は、2枚のクロスプレート71,72により上下に挟まれている。このため、左右のシートフレーム24の強度・剛性を高めることができる。
左右の下フレーム32は、左右の上フレーム31よりも車幅方向外側に大きく突出し、上下から、左右の上フレーム31に取付けられた左右の補強フレーム34と、ダウンフレーム26に取付けられた左右のサブフレーム27とで支持されている。
特に、左右の補強フレーム34と左右のサブフレーム27とは、左右の下フレーム32の同じ位置に上下から挟まれるように突き当てられ、溶接されている。このため、左右の下フレーム32の上下方向の撓みは抑制され、メインフレーム22の全体としての強度・剛性を、重量増を抑えながら高めることができる。
捩れ中心76は、正面視でダウンフレーム26と重なり、車体フレーム11は、捩れ中心76を通って前後方向に延びる軸回りに捩られる。
(1)メインフレーム22をトラス構造にしたことで、過大とならずにしなやかさを有する適正なメインフレーム22の剛性が得られた。
(2)ダウンフレーム26を単一にするとともに、ダウンフレーム26とピボットフレーム23とを接続するロアフレームを廃止することで、車体フレーム11のダウンフレーム26側を従来よりも低剛性としてしなやかさを増した。
(3)メインフレーム22の下部(左右の下フレーム32)をダウンフレーム26に接続したことで、メインフレーム22の下部の剛性アップを抑えた。
上記(1)〜(3)によって、従来よりもダウンフレーム26側の剛性を低くして変形しやすくできる。これにより、車体フレーム11の捩れ中心76を下げることができる。
このように捩れ中心76の位置を従来よりも下げることで、車両の操縦安定性を向上できる。
ピボットフレーム23の上端部(詳しくは、ピボットプレート部23cの上端部23k)と、メインフレーム22の後端接続部材28の上部取付部28aと、シートフレーム24の前上部取付部24aとが、車幅方向内側から車幅方向外側へ順に重ねられている。
シートフレーム24の前上部取付部24aにはボルト挿通穴24cが開けられ、メインフレーム22の上部取付部28aには、ボルト挿通穴28cが開けられ、ピボットフレーム23の上端部23kにはねじ穴23mが形成されている。これらのボルト挿通穴24c及びボルト挿通穴28cにボルト73が通され、ボルト73の先端部がねじ穴23mにねじ込まれている。
上記したように、メインフレーム22、ピボットフレーム23及びシートフレーム24を共締めすることで、ボルト等の締結部材の個数の削減と組付工数の低減とを図り、また、車体フレーム11(図3参照)の軽量化を図ることもできる。
図7(A)は比較例の捩れ中心100を有する車体フレームの作用を示す作用図である。図7(B)は実施例(本実施形態)の捩れ中心76を有する車体フレーム11の作用を示す作用図である。図7(A),(B)において、それぞれの左側の図は外力が作用する前の状態、それぞれの右側の図は外力が作用している状態を示している。
図7(A)に示すように、左側の図において、ヘッドパイプ101の長手方向の中心から捩れ中心100までの距離をL1とする。距離L1は、実施例の距離L(図7(B)参照)よりも短いため、捩れ中心100は高く、捩れ中心100と前輪12(図1参照)の接地点C1との距離L2は長い。
前輪12の接地点C1に外力Fが水平に作用すると、右側の図において、接地点C1は、接地点C2まで移動する。このときの接地点C1から接地点C2までの移動距離はM1である。外力Fの方向は、車幅方向である(以下、同じ。)。
前輪12の接地点C1に外力Fが水平に作用すると、右側の図において、接地点C1は、接地点C3まで移動する。このときの接地点C1から接地点C3までの移動距離はM2である。
図7(A),(B)において、比較例では、距離L2が長いので、捩れ中心100回りのモーメントが大きくなり、移動距離M1は長くなる。
これに対して、実施例では、距離L3が短いので、捩れ中心76回りのモーメントが小さくなり、移動距離M2は、移動距離M1よりも短くなる。
即ち、実施例では、前輪12に作用する外乱に対して操舵系であるフロントフォーク30(図1参照)の挙動が比較例よりも抑えられ、車両の操縦安定性を向上できる。
上フレーム31の前端は、ヘッドパイプ21の上端側に固定され、下フレーム32の前端は、単一とされたダウンフレーム26のヘッドパイプ21寄りに固定されている。
補強フレーム34に下フレーム32を介してサブフレーム27を突き合わせことで、車体フレーム11を高剛性とすることができ、車体フレーム11を効果的に剛性アップできる。また、剛性の高いメインフレーム22と剛性の低いダウンフレーム26とを連結させる場合に、補強フレーム34とサブフレーム27との突き合わせによって、局所的な剛性の高低差を抑えることができる。これにより、車体フレーム11を効果的にしならせることができ、車体フレーム11の全体の良好な剛性バランスを得ることができる。
この構成によれば、捩れが発生するメインフレーム22の前側の剛性・強度を高めることができる。メインフレーム22の前端側には操舵系であるフロントフォーク30(図1参照)が設けられるので、メインフレーム22の前側の剛性・強度を高めることで車両の操縦安定性を向上できる。
この構成によれば、剛性の高い上フレーム31及び下フレーム32と、剛性の低いサブフレーム27及び補強フレーム33,34,35,36とを連結させることで、車体フレーム11の剛性を調整しやすくできる。これにより、車体フレーム11の全体の良好な剛性バランスを得ることができ、車体フレームを効果的にしならせることができる。また、外径の大きい上フレーム31及び下フレーム32と、外径の小さいサブフレーム27及び補強フレーム33,34,35,36とによって、車体フレーム11の強度の確保及び軽量化を図ることができる。
この構成によれば、剛性の高い補強フレーム34と、他の剛性の低い補強フレーム33,35,36とにより車体フレーム11の強度・剛性バランスを調整して、車体フレーム11の軽量化を図りながら良好な車体フレーム11の強度・剛性バランスを得ることができる。
例えば、上記実施形態において、図2及び図3に示したように、上フレーム31及び下フレーム32の後端同士を後端接続部材28を介して接続したが、これに限らず、上フレーム31及び下フレーム32の後端同士を直接に接続しても良い。
本発明は、自動二輪車10に適用する場合に限らず、自動二輪車以外も含む鞍乗り型車両にも適用可能である。なお、鞍乗り型車両とは、車体に跨って乗車する車両全般を含む。
11 車体フレーム
21 ヘッドパイプ
22 メインフレーム
26 ダウンフレーム
27 サブフレーム
31 上フレーム
32 下フレーム
33,34,35,36 補強フレーム
41 エンジン
Claims (5)
- ヘッドパイプ(21)からエンジン(41)の上方で車両後方に延びるメインフレーム(22)と、前記ヘッドパイプ(21)に固定された一端から下方に延びるダウンフレーム(26)とを備え、前記メインフレーム(22)が、左右一対の上フレーム(31)及び下フレーム(32)と、これらの上フレーム(31)、下フレーム(32)間に設けられる補強フレーム(33,34,35,36)とからトラス状に組まれた鞍乗り型車両の車体フレーム構造において、
前記上フレーム(31)の前端は、前記ヘッドパイプ(21)の上端側に固定され、前記下フレーム(32)の前端は、単一とされた前記ダウンフレーム(26)の前記ヘッドパイプ(21)寄りに固定されたことを特徴とする鞍乗り型車両の車体フレーム構造。 - 前記ダウンフレーム(26)と前記下フレーム(32)とを連結するサブフレーム(27)を備え、前記サブフレーム(27)は、前記補強フレーム(34)に前記下フレーム(32)を介して突き合せられることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両の車体フレーム構造。
- 前記上フレーム(31)と前記下フレーム(32)との間隔は、前記ヘッドパイプ(21)側が広く、車両後方に向かう従い狭くなることを特徴とする請求項1又は2に記載の鞍乗り型車両の車体フレーム構造。
- 前記サブフレーム(27)及び前記補強フレーム(33,34,35,36)は、前記上フレーム(31)及び前記下フレーム(32)よりも外径が小さいことを特徴とする請求項2に記載の鞍乗り型車両の車体フレーム構造。
- 前記補強フレーム(33,34,35,36)は、複数設けられ、複数の前記補強フレーム(33,34,35,36)のうちで、前記サブフレーム(27)に前記下フレーム(32)を介して突き合せられる補強フレーム(34)は、他の前記補強フレーム(33,35,36)よりも外径が大きいことを特徴とする請求項2又は4に記載の鞍乗り型車両の車体フレーム構造。
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