本発明を具体化した実施形態について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成などは、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
図1から図3を参照して、第一から第三実施形態に共通する切断装置1の物理的構成を説明する。以下の説明では、図1の左下側、右上側、右下側、左上側、上側、下側を、各々、切断装置1の左側、右側、前側、後側、上側、下側とする。つまり、後述の本体カバー9の伸長方向が左右方向である。操作部50が配置された面が、切断装置1の上面である。前後方向、左右方向、下方、及び上方を、第一方向、第二方向、第三方向及び第四方向ともいう。本明細書では、特定の条件を満たす場合を表す「時」は、特定の条件を満たす瞬間及び実質的に特定の条件を満たすと判断される、当該瞬間を含む前後の期間を含む趣旨で用いられる。
図1に示すように、切断装置1は、シート状の被切断物20を切断データに従って切断できる。被切断物20は、例えば、所定の厚みを有する矩形状の保持部材10に保持された状態で、切断装置1によって切断される。保持部材10は、例えば合成樹脂材料からなるマットである。保持部材10は、シール状の被切断物20が貼り付けられた剥離紙等であってもよい。保持部材10の上面には、矩形状の枠線11が印刷されている。枠線11の外側となる周縁部と枠線11とを除いた、枠線11の内側の略矩形領域は、切断装置1を利用して被切断物20を切断可能な切断可能領域である。切断可能領域には、粘着剤が塗布された粘着層100が設けられる。被切断物20は、粘着層100に貼り付けられて保持される。被切断物20は、例えば、加工布、紙等である。切断装置1は、本体カバー9、プラテン3、ヘッド5、移送機構7、及びヘッド移動機構8を備える。
本体カバー9は、左右方向に長い略矩形箱状の筐体である。本体カバー9には、開口部91、カバー92、及び操作部50が設けられている。開口部91は、本体カバー9の正面部に設けられた開口である。カバー92は、左右方向に長い板状の部材である。カバー92の下端側は、回動可能に本体カバー9に支持される。カバー92が開くことで、開口部91は開放される。カバー92が閉じることで、開口部91は閉塞される。図1では、カバー92が開けられ、開口部91が開放されている。
操作部50は、本体カバー9の上面の右側部位に設けられる。操作部50は、液晶ディスプレイ(LCD)51、複数の操作スイッチ52、及びタッチパネル53を備える。LCD51には、コマンド、イラスト、設定値、及びメッセージ等の様々な項目を含む画像が表示される。タッチパネル53は、LCD51の表面に設けられる。ユーザは、指及びスタイラスペンの何れかを用いてタッチパネル53の押圧操作を行う(以下、この操作を「パネル操作」という)。切断装置1では、タッチパネル53により検出される押圧位置に対応して、どの項目が選択されたかが認識される。ユーザは、操作スイッチ52及びタッチパネル53を用いて、LCD51に表示された模様の選択、各種パラメータの設定、及び入力の操作等を行うことができる。
プラテン3は、本体カバー9内に設けられる。プラテン3は左右方向に延びる板状部材である。プラテン3は保持部材10の下面を受け、被切断物20を保持する保持部材10を載置できる。保持部材10は、開口部91が開放された状態で、プラテン3上にセットされる。プラテン3の第四方向の表面26の上下方向の位置をプラテン位置PPともいう。
ヘッド5は、キャリッジ19、装着部32、検出器41、及び上下駆動機構33を備える。装着部32及び上下駆動機構33は各々、キャリッジ19に対して前後に配置される。装着部32は、切断刃16を有するカートリッジ4を装着できる。カートリッジ4は、下端に切断刃16が配置された状態で装着部32に装着される。検出器41は、装着部32の第三方向の位置を出力可能な、位置センサである。図3に示すように検出器41は装着部32の左後方に配置される。
上下駆動機構33は、第一方向及び第二方向に交差する方向であって、装着部32をプラテン3に接近させる第三方向及び装着部32をプラテン3から離間させる第四方向に装着部32を移動させる。本例の上下駆動機構33は、Z軸モータ34及び伝達部材を備え、Z軸モータ34の回動運動を、Z軸モータ34の出力軸に連結した伝達部材により減速し且つ上下運動に変換して、装着部32に伝達し、装着部32及びカートリッジ4を上下方向(Z方向ともいう。)に駆動させる。すなわち、Z軸モータ34は、装着部32及びカートリッジ4を上下方向に駆動する。図2及び図3に示すように、上下駆動機構33は、伝達部材として、ギヤ35、36、軸37、板部48、ピニオン38、及びラック39を有する。ギヤ35は、Z軸モータ34の出力軸40の前端に固定されている。ギヤ35は、ギヤ36と噛み合う。ギヤ35の径は、ギヤ36の径よりも小さい。ギヤ36は前後方向に延びる筒状の軸部46を有する。ギヤ36の軸部46は軸37に挿通される。Z軸モータ34の出力軸40と、軸37とは前後方向に延びる。
板部48は、ギヤ36の径よりもやや小さい円盤状である。板部48の前端部はピニオン38の後端部と連結する。板部48はピニオン38と一体の部材である。板部48はギヤ36とは別体の部材である。板部48及びピニオン38は、ギヤ36の回動とは独立して、回動できる。ピニオン38及び板部48はギヤ36の前方において軸37に挿通される。ピニオン38及び板部48は軸37に対して相対的に回動できる。ピニオン38の径は、ギヤ35、36の径よりも小さい。ラック39は上下方向に延び、右面にピニオン38と噛み合うギヤ歯を備える。ラック39は、装着部32の背面に固定されている。
上下駆動機構33は更に、圧力変更機構31を備える。圧力変更機構31は、装着部32に加える第三方向(下方)の圧力を変更可能な部材である。本例の圧力変更機構31は、ギヤ36の軸部46に挿入されたネジリバネである。圧力変更機構31は、一端が軸部46に固定され、他端が板部48に固定される。圧力変更機構31は、ギヤ36の回動を、板部48に伝達する。圧力変更機構31は、ギヤ36の回動に応じてネジリバネの圧縮量が変化することにより、装着部32に加える第三方向の圧力を変化させる。すなわち、ギヤ36の回動による軸部46の回動に応じて、軸部46に一端が固定された圧力変更機構31であるネジリバネの圧縮量が変化し、圧力変更機構31の他端が固定された板部48の回動する力が変化する。板部48の回動する力が変化することで、装着部32に加わる第三方向の圧力が変化する。
Z軸モータ34の出力軸40が時計回りに回動すると、ギヤ35は時計回りに回動し、ギヤ36は、反時計回りに回動する。圧力変更機構31は、ギヤ36の回動を板部48に伝達する。切断刃16が被切断物20又は保持部材10に接触していない状態では、装着部32に第四方向(上方)に向かう圧力が加わっていない。このため、圧力変更機構31によりギヤ36の回動が板部48に伝達されるのに応じて、板部48及びピニオン38は、ギヤ36の回動と同じだけ、反時計回りに回動する。切断刃16が被切断物20又は保持部材10に接触した状態では、装着部32は、切断刃16を介して第四方向に向かう圧力を受ける。故に、圧力変更機構31によりギヤ36の回動が、板部48に伝達されても、装着部32に伝達された第三方向の圧力が、装着部32に加わる第四方向の圧力を上回るまでは、板部48及びピニオン38は回動しない。この状態で、Z軸モータ34の出力軸40が時計回りに更に回動すると、ギヤ36は板部48及びピニオン38に対して相対的に回動し、圧力変更機構31のねじれが大きくなる。これに伴い、圧力変更機構31が板部48及びピニオン38を介して装着部32に加える第三方向の圧力が大きくなる。圧力変更機構31から装着部32に伝達される第三方向の圧力が、装着部32に加わる第四方向の圧力を上回った場合にピニオン38は回動し、装着部32が第三方向に移動する(下降する)。この場合のピニオン38の回動量は、ギヤ36の回動量と互いに異なっていてもよいし、互いに同じであってもよい。反対にZ軸モータ34の出力軸40が反時計回りに回動すると、ギヤ35は反時計回りに回動し、ギヤ36、ピニオン38は、時計回りに回動する。この時装着部32は、ラック39と共に第四方向に移動する(上昇する)。装着部32に装着されたカートリッジ4は、Z軸モータ34の駆動に応じて、切断位置と上昇位置との間で移動する。切断位置は、後述の切断処理において決定される、被切断物20を切断データに従って切断する時の装着部32の上下方向における位置である。上昇位置は、装着部32が被切断物20から所定距離、上下方向に離間する位置である。
Z軸モータ34の回動量と、切断刃16が被切断物20又は保持部材10に接触した場合の圧力変更機構31による装着部32に加わる第三方向の圧力との間には相関がある。本例のZ軸モータ34はパルスモータであり、Z軸モータ34の出力軸40の回動角度は、Z軸モータ34への入力パルスに比例する。故に、Z軸モータ34への入力パルス数と、圧力変更機構31による装着部32に加わるプラテン3側への圧力とには相関がある。本例では、圧力変更機構31による装着部32に加える第三方向の圧力に対応する圧力値として、Z軸モータ34に入力されたパルス数を用いる。
移送機構7及びヘッド移動機構8は、プラテン3に載置された保持部材10と装着部32とを第一方向及び第一方向と交差する第二方向へ相対移動させる。移送機構7は、プラテン3上にセットされた保持部材10を、切断装置1の前後方向(Y方向ともいう)に移送可能に構成されている。移送機構7は、駆動ローラ12、ピンチローラ13、取付フレーム14、Y軸モータ15、及び減速機構17を備える。本体カバー9内には、一対の側壁部111、112が、互いに向かい合うように設けられている。側壁部111は、プラテン3の左側に位置する。側壁部112は、プラテン3の右側に位置する。駆動ローラ12及びピンチローラ13は、側壁部111、112の間に回転可能に支持される。駆動ローラ12及びピンチローラ13は、装着部32に対し保持部材10を第一方向(Y方向)に移送する。駆動ローラ12及びピンチローラ13は、切断装置1の左右方向(X方向ともいう)に延び、上下方向に並んで配設される。ピンチローラ13の左部にはローラ部(図示略)が設けられ、右部にはローラ部131が設けられる。
取付フレーム14は、側壁部112の外面側(右側)に固定される。取付フレーム14には、Y軸モータ15が取付けられる。Y軸モータ15は、例えばパルスモータである。Y軸モータ15の出力軸は、減速機構17の駆動ギヤ(図示略)に固定されている。駆動ギヤは従動ギヤ(図示略)に噛合する。従動ギヤは、駆動ローラ12の右端部の先端に固着されている。
保持部材10が移送される時、保持部材10の左縁部は、駆動ローラ12と、ピンチローラ13の左側のローラ部(図示略)との間に挟持される。保持部材10の右縁部は、駆動ローラ12とローラ部131との間に挟持される。Y軸モータ15が正転駆動又は逆転駆動されると、Y軸モータ15の回転運動が、減速機構17を介して駆動ローラ12に伝わる。すなわち、Y軸モータ15は駆動ローラ12を駆動する。これにより、保持部材10が後方又は前方へ移送される。
ヘッド移動機構8は、ヘッド5を、保持部材10の移送方向と交差する方向、すなわちX方向に移動可能に構成されている。つまり、ヘッド5の移動方向は、保持部材10の移送方向と直交する。ヘッド移動機構8は、上下一対のガイドレール21、22、取付フレーム24、X軸モータ25、減速機構としての駆動ギヤ27及び従動ギヤ29、並びに伝達機構30等を備える。ガイドレール21及び22は、側壁部111、112の間に固定されている。ガイドレール21及び22は、ピンチローラ13に対して後方且つ上方に位置する。ガイドレール21及び22は、ピンチローラ13と略平行つまりX方向に延びる。ヘッド5のキャリッジ19は、ガイドレール21及び22に沿ってX方向へ移動可能に、ガイドレール21及び22に支持される。
取付フレーム24は、側壁部111の外面側(左側)に固定されている。X軸モータ25は、取付フレーム24の後方に、下向きに取り付けられている。駆動ギヤ27は、X軸モータ25の出力軸に固定されている。X軸モータ25は、例えばパルスモータである。従動ギヤ29は駆動ギヤ27に噛合する。伝達機構30は、図示しない、左右一対のタイミングプーリと、左右一対のタイミングプーリに掛装された無端状のタイミングベルトを有する。一方のタイミングプーリ28は、従動ギヤ29と一体に回動可能に、取付フレーム24に設けられる。他方のタイミングプーリは、取付フレーム14に設けられる。タイミングベルトはX方向に延び、キャリッジ19に連結されている。
ヘッド移動機構8は、X軸モータ25の回転運動をX方向の運動に変換して、キャリッジ19に伝達する。X軸モータ25が正転駆動又は逆転駆動すると、X軸モータ25の回転運動が、駆動ギヤ27、従動ギヤ29、及びタイミングプーリ28を介してタイミングベルトに伝わる。これにより、キャリッジ19は、左方又は右方へ移動される。こうして、X軸モータ25の駆動によりヘッド5(装着部32)は保持部材10に対し第二方向(X方向)に移動する。
図4を参照して、第一から第三実施形態の切断装置1に共通する電気的構成を説明する。図4に示すように、切断装置1は、CPU71、ROM72、RAM73、及び入出力(I/O)インタフェイス75を備える。CPU71は、ROM72、RAM73、及びI/Oインタフェイス75と電気的に接続されている。CPU71は、ROM72及びRAM73と共に、制御部2を構成し、切断装置1の主制御を司る。ROM72は、切断装置1を動作させるための各種プログラム等を記憶する。プログラムには、例えば、後述するメイン処理を切断装置1に実行させるためのプログラムがある。RAM73は、各種プログラム、各種データ、操作スイッチ52の操作等で入力された設定値、CPU71が演算処理した演算結果等を一時的に記憶する。
I/Oインタフェイス75には、更に、フラッシュメモリ74、操作スイッチ52、タッチパネル53、検出センサ76、検出器41、LCD51、及び駆動回路77から79が接続されている。フラッシュメモリ74は、各種パラメータ等を記憶する不揮発性記憶素子である。
検出センサ76は、プラテン3上にセットされた保持部材10の先端を検出する。検出センサ76の検出信号は、制御部2に入力される。検出器41は、装着部32の第三方向の位置を出力する。本例の制御部2は、検出器41の出力に基づき、プラテン3の第三方向の位置を基準として、装着部32の第三方向の位置(以下、高さともいう。)を特定する。装着部32の第三方向の位置の基準は適宜変更されてよい。制御部2は、LCD51を制御して、画像を表示させる。LCD51は、各種指示を報知できる。駆動回路77から79は各々、Y軸モータ15、X軸モータ25、及びZ軸モータ34を駆動する。制御部2は、切断データに基づき、Y軸モータ15、X軸モータ25、及びZ軸モータ34等を制御し、保持部材10上の被切断物20に対する切断を自動で実行させる。切断データは、移送機構7及びヘッド移動機構8を制御させるための座標データを含む。座標データは、模様を表す複数の線分の各々の端点(以下、構成点ともいう。)の相対位置を、切断可能領域内に設定される切断座標系で表す。本例の切断座標系の原点AXは、矩形状の切断可能領域の左後方に設定され、左右方向がX方向、前後方向がY方向と設定される。
図5から図11を参照して、第一実施形態に係るメイン処理を説明する。切断装置1の制御部2は、パネル操作等により開始指示が入力された場合に、フラッシュメモリ74に記憶されているプログラムを、RAM73に読み出し、プログラムに含まれる指示に従ってメイン処理を実行する。具体例1から3として、図5に示す切断データD1からD3が取得される場合について説明する。具体例1から3に関するメイン処理は各々、互いに異なるタイミングで実行されるが、説明を簡単にするために並列に説明する。メイン処理に用いられる各種閾値は、切断条件を考慮して予め設定されていてもよいし、ユーザによって設定されてもよい。
図6に示すように、メイン処理では、制御部2は、被切断物20から模様を切断するための切断データを取得する(S1)。切断データが取得される処理は、公知の方法に従って適宜実行されればよい。図5に示すように、具体例1では、矩形状の模様Z1を切断するための2つの切断データ及び円状の模様Z2を切断するための1つの切断データを含む切断データD1が取得される。具体例2では、V字状の模様Z3を切断するための切断データD2が取得される。具体例3では、Z字状の模様Z4を切断するための切断データを含む切断データD3が取得される。制御部2は、駆動回路77及び78を制御してY軸モータ15及びX軸モータ25を駆動させることで、移送機構7及びヘッド移動機構8を制御し、保持部材10に対して装着部32を所定位置に相対的に移動する(S2)。S2の処理は、装着部32において装着された切断刃16とプラテン3に載置された保持部材10とが離間した状態で実行される。本例の所定位置は、公知の刃先の向きを調整する処理(例えば、特開平2−262995号公報参照)が実行される調整位置であり、より具体的には、図1に示す枠線11の内、後ろ側の辺上となる刃先調整領域内の位置である。
制御部2は、Z軸モータ34を駆動することで上下駆動機構33を制御し、S2の所定位置において、装着部32をプラテン3に接近させ(S3)、切断刃16が保持部材10に接触した時の検出器41が出力する第三方向の位置である保持位置HPを取得する(S4)。制御部2は装着部32を第三方向に移動する際にZ軸モータ34(駆動回路79)に入力するパルス数を圧力値としてカウントし、検出器41から出力される信号に基づき、圧力値に対応する装着部32の高さを取得する。本例の制御部2は、図10の凡例E0に示すように、装着部32をプラテン3に接近させ、圧力値に対する装着部32の高さの傾きが変わる装着部32の上下方向の位置を保持位置HPとして取得する。保持位置HPは保持部材10の第四方向の表面(上面)18の上下方向の位置を示す。制御部2は、傾きが変わったことを検出したら、上下駆動機構33を制御し、装着部32の第三方向への移動を停止する。
制御部2は、取得された保持位置HPに基づき基準位置RPを設定する(S5)。本例の制御部2は、S4の処理によって取得された保持位置HPから、保持部材10の厚み(上下方向の長さ)よりも小さい所定距離、装着部32を第三方向に移動させた位置を基準位置RPに設定する。保持部材10の厚みは、検出器41の出力に基づき取得されてもよいし、予めフラッシュメモリ74等に記憶されていてもよく、例えば4.0mmである。所定距離は予めフラッシュメモリ74等に記憶されていてもよいし、ユーザにより設定されてもよく、例えば1.0mmである。
制御部2は、S3の処理により切断刃16が保持部材10に接触した状態において、移送機構7及びヘッド移動機構8を制御し、刃先調整領域内で、切断刃16の向きを調整する公知の刃先の向きを調整する処理を実行する(S6)。制御部2は、上下駆動機構33を制御し、装着部32を上昇位置まで第四方向に移動させる(S7)。制御部2は、変数Nと変数Mとの各々に、1を設定する(S8)。変数Nは、切断回数をカウントするための変数である。変数Mは、S1で取得された切断データを切断順に取得するための変数である。
制御部2は、変数Mに関する圧力設定処理を実行する(S9)。S8の次に実行されるS9では、変数Nは1であり、変数Mは1である。図7に示すように、変数Mに関する圧力設定処理では、制御部2は、S1で取得された切断データの内の、切断順序がM番目の切断データを取得する(S21)。具体例1では、模様Z1の切断データが取得され、具体例2では、模様Z3の切断データが取得され、具体例3では、模様Z4の切断データが取得される。制御部2は、S21で取得されたM番目の切断データによって表される模様が環状の閉じた模様かを判断する(S22)。図5(C)に示すように、具体例1の模様Z1は、構成点P1からP6を順に結んだ線分LS1からLS5により表される矩形状の模様であり、環状の閉じた模様である(S22:YES)。この場合制御部2は、切断開始点P1を設定位置に設定する(S27)。設定位置は、N回目の切断処理における圧力値を設定する時の、装着部32が保持部材10に保持された被切断物20と対向する位置である。
具体例2の模様Z3は構成点P11からP13を順に結んだ線分LS6及びLS7により表されるV字状の模様であり、具体例3の模様Z4は構成点P21からP24を順に結んだ線分LS8からLS10により表されるZ字状の模様である。つまり模様Z3及び模様Z4は何れも環状の閉じた模様ではない(S22:NO)。これらの場合、制御部2は、切断データが示す複数の線分の内の、切断開始点を含む線分を取得する(S23)。具体例2及び具体例3では各々、線分LS6及び線分LS8が取得される。制御部2は、S23で取得された線分の長さが閾値よりも大きいかを判断する(S24)。具体例2の線分LS6の長さは、閾値よりも大きい(S24:YES)。この場合制御部2は、切断開始点P11から所定距離だけ離れた線分LS6上の点P14に設定位置を設定する(S25)。所定距離は、S24の閾値よりも小さく、閾値の半分よりも大きい。本例の所定距離は、S24の閾値の半分よりも大きい。一例として所定距離は3mmである、S24の閾値は4mmである。具体例3の線分LS8の長さは、閾値以下である(S24:NO)。この場合制御部2は、切断開始点P21から、線分LS8の長さの所定割合だけ離れた点P25に設定位置を設定する(S26)。所定割合は、好ましくは、1よりも小さく、0.5よりも大きい値であり、一例として0.75である。
S25からS27の何れかの次に、制御部2は、移送機構7及びヘッド移動機構8を制御し、S25からS27の何れかで設定された設定位置に、装着部32と保持部材10とを相対移動する(S28)。具体例1では、切断開始点P1の上方に切断刃16が配置される位置に装着部32と保持部材10とが相対移動される。具体例2では、点P14の上方に切断刃16が配置される位置に装着部32と保持部材10とが相対移動される。具体例3では、点P25の上方に切断刃16が配置される位置に装着部32と保持部材10とが相対移動される。
制御部2は、上下駆動機構33を制御し、設定位置において、装着部32を第三方向に移動する処理を開始する(S29)。制御部2は、変数Nが1であるかを判断する(S30)。変数Nが1より大きい場合(S30:NO)、制御部2は、後述のS33を実行する。変数Nが1である場合(S30:YES)、制御部2は、被切断物20の厚さ及び切断回数を取得する(S31)。被切断物20の厚さ及び切断回数は各々、ユーザにより入力された値であってもよいし、計算された値であってもよい。本例の制御部2は、圧力値に対応する装着部32の高さの比率の変化に基づき、被切断物20の厚さを取得し、取得された被切断物20の厚さに基づき、切断回数を算出する。
具体的には、図10に示すように、制御部2は、装着部32を第三方向に移動する際にZ軸モータ34(駆動回路79)に入力するパルス数を圧力値としてカウントし、且つ、検出器41から出力される信号に基づき、圧力値に対応する装着部32の高さを取得する。制御部2は、検出器41の出力に基づき、圧力値に対する装着部32の高さの傾きが変化したかを判断する。本例の制御部2は、装着部32をプラテン3に接近させ、圧力値に対する装着部32の高さの傾きが変わる装着部32の上下方向の位置TPを取得し、被切断物20の厚みBを特定する。位置TPは被切断物20の第四方向の表面(上面)23の上下方向の位置を示す。制御部2は、S4で取得された保持位置HPと、被切断物20の第四方向の表面23の位置TPとを特定し、両者の差分から厚みBを特定する。具体例1から3では、被切断物20の厚みとして、1.6mmが特定される。
切断回数はS1で取得された切断データに従って被切断物20を切断するのに要する切断処理の実行回数である。切断処理では、制御部2は、切断データに含まれる座標データを順に読み出し、座標データに従って、移送機構7及びヘッド移動機構8を制御し、被切断物20を切断刃16で切断する。切断処理は、切断データに含まれる全ての座標データが順に読み出され、読み出された座標データに従って移送機構7及びヘッド移動機構8が制御される処理を1回の処理とする。つまり、切断装置1が切断データによって示されるすべての切断線分を一回ずつ切断した場合に、切断回数を1とする。制御部2は例えば位置TPと、S5で設定されたプラテン位置PPとの差分を厚み閾値(閾値ThL)で除した商を切り上げた回数を切断回数として算出する。閾値ThLは一回の切断処理で切断可能な被切断物20の厚みの最大値であり、一例として1mmである。具体例1から3では、切断回数として2回が算出される。
制御部2は、S31で取得された厚さに基づき、切断回数毎に目標位置を設定する(S32)。制御部2は、最後以外の切断回数に対して、位置TPから、閾値Thに変数Nを乗じた値を差し引いた位置を目標位置に設定する。制御部2は、最後の切断回数に対して、目標位置に基準位置RPを設定する。制御部2は、移動処理を行う(S33)。図8に示すように、移動処理では、制御部2はZ軸モータ34に入力されたパルス数に基づき、圧力値が圧力閾値(閾値ThP)よりも大きいかを判断する(S91)。閾値ThPは、装着部32に加えられる圧力が過剰に大きくなることを回避するために設定された圧力値の最大値である。現在の圧力値が閾値ThP以下である場合(S91:NO)、制御部2は検出器41から出力される信号に基づき、装着部32がS32で設定された、変数Nに対応する目標位置に達したかを判断する(S92)。装着部32が目標位置に達していない場合(S92:NO)、制御部2は、処理をS91に戻す。装着部32の高さがS32で設定された目標位置に達した場合(S92:YES)、後述のS93の処理を実行する。
具体例1から3において、圧力値に対する装着部32の高さの傾きが図10の凡例E1で示される場合、装着部32の高さが目標位置に到達する前に圧力値が閾値ThPよりも大きいと判断される(S91:YES)。この場合制御部2は、上下駆動機構33を制御し、装着部32の第三方向への移動を停止する(S93)。制御部2は、比較高さを取得する(S94)。本例の比較高さはS93の処理で装着部32の第三方向への移動が停止された時の装着部32の高さである。図10の凡例E1で示す具体例1から3では、制御部2は、位置MPを1回目の切断処理の比較高さとしてRAM73に記憶する。制御部2は、前回(つまり、N−1回目の切断処理)の比較高さが今回(つまり、N回目の切断処理)の比較高さよりも大きいかを判断する(S95)。前回の比較高さと今回の比較高さよりも大きい場合は、N回目の切断処理において被切断物が、被切断物の厚み方向に新たに切断されていないことを示す。変数Nが1である場合、制御部2は、例えば、S31で取得された位置TPを前回の比較高さに設定する。この場合前回の比較高さである位置TPは、今回の比較高さである位置MPよりも大きい(S95:YES)。この場合制御部2は、前回の比較高さと今回の比較高さとの差が、閾値よりも大きいかを判断する(S96)。前回の比較高さと今回の比較高さとの差は、N回目の切断処理において新たに切断される被切断物の厚みを表す。S96の閾値は、前回の比較高さと今回の比較高さとの差が閾値Thに比して異常に小さい場合をエラーとして検出するために設定され、例えば、閾値Thの1/10から1/2の値が設定される。S96の処理は、目標位置が基準位置である場合には省略されてよい。位置TPと位置MPとの差は、閾値よりも大きい(S96:YES)。この場合制御部2は、以上で移動処理を終了し、処理を図7の変数Mに関する圧力設定処理に戻す。
前回の比較高さがS94で取得された今回の比較高さ以下である場合(S95:NO)、又は前回の比較高さと今回の比較高さとの差が、閾値以下である場合(S96:NO)、制御部2は、LCD51に「正常に切断できませんでした」等のエラーメッセージを表示する(S97)。制御部2は、S1で取得した切断データに基づく切断処理を中止させ、上下駆動機構33を制御し、装着部32を上昇位置まで第四方向へ移動させる(S98)。制御部2は、以上でメイン処理を終了する。
図7に示す変数Mに関する圧力設定処理において、S33の処理の次に、制御部2は、S4で制御部2によって取得された保持位置HPと、装着部32に装着された切断刃16が、プラテン3の第四方向の表面26に達する時の装着部32の第三方向の位置(プラテン位置PP)との間に、停止位置SPを設定する(S35)。プラテン位置PPは、例えばフラッシュメモリ74に記憶されている。本例の制御部2は、保持位置HPから所定量(例えば、2.3mm)第三方向の位置を停止位置SPとする。制御部2は、被切断物20の硬さを取得する(S36)。被切断物20の硬さはユーザによって入力された値でもよいし、被切断物20の種類等に応じて特定されてもよい。本例の制御部2は、図10に示すように、S29の処理で装着部32の第三方向の移動を開始させてから、S93の処理で装着部32の第三方向の移動を停止させるまでの間の内の、被切断物20に切断刃16が突き刺さっている期間Tにおける、圧力値に対応する装着部32の高さの傾き(比率)に基づき、被切断物20の硬さを取得する。具体的には制御部2は、圧力値に対応する装着部32の高さの比率と、フラッシュメモリ74に記憶された圧力値に対応する装着部32の高さの比率と、硬さとの関係とに基づき、被切断物20の硬さを取得する。制御部2は、S93で装着部32の第三方向の移動を停止させた時の圧力値に基づき切断処理実行時の圧力値(切断処理に用いる圧力値)を基準圧力値として設定する(S37)。本例の制御部2は、S93で装着部32の第三方向の移動を停止させた時の圧力値を基準圧力値に設定する。
制御部2は、変数Nについての切断処理実行時の、装着部32の第三方向の位置の目標範囲ARN(切断処理に用いる目標範囲)と、目標範囲ARNに応じた調整範囲PRNとを設定する(S38)。本例の制御部2は、S93で装着部32の第三方向への移動が停止された時の装着部32の高さ、つまりS94で取得された比較高さに基づき目標範囲ARNを設定する。調整範囲PRNは、装着部32の第三方向の位置を目標範囲ARN内とするために、圧力値を変更する処理において、圧力値を変更可能な範囲である。調整範囲PRNは、S37で設定された基準圧力値を含む範囲である。つまり、目標範囲ARNと、目標範囲ARNに応じた調整範囲PRNとは、切断回数N毎に設定される。具体的には、制御部2は、以下の手順で切断回数が1回目の切断処理について目標範囲AR1、調整範囲PR1を設定する。制御部2は比較高さから所定値(例えば0.10mm)差し引いた高さを目標範囲AR1の上限値に設定し、比較高さから所定値(例えば0.15mm)差し引いた高さを目標範囲AR1の下限値として設定する。つまり、制御部2は、比較高さよりも低い高さとなる範囲を目標範囲AR1として設定する。制御部2は、基準圧力値から所定値(例えば24パルス)差し引いた値を調整範囲PR1の下限値とし、基準圧力値に所定値(例えば4パルス)を加えた値を調整範囲PR2の上限値として設定する。調整範囲PR1の下限値と基準圧力値(24パルス)との差は、調整範囲PR2の上限値と基準圧力値との差(4パルス)よりも大きい。
制御部2は、装着部32の第三方向の位置を目標範囲ARN内とする処理での、圧力値の低下量及び上昇量を設定する(S39)。制御部2は、後述する処理において、装着部32の第三方向の位置が目標範囲ARNよりも第三方向にある場合に、圧力値を現在の圧力よりも低い圧力に対応する値に変更する。具体的には、制御部2は、圧力値を、現在の圧力値から、S36で取得された硬さに応じた低下量を差し引いた値に変更する。制御部2は、低下量を、被切断物20の硬さが硬いほど、硬さが柔らかい場合に比べ、低下量を大きく設定する。制御部2は、装着部32の第三方向の位置が目標範囲ARNよりも第四方向にある場合に、圧力値を現在の圧力よりも高い圧力に対応する値に変更する。具体的には、制御部2は、圧力値を、現在の圧力値に、S36で取得された硬さに応じた上昇量を加えた値に変更する。制御部2は、上昇量を、被切断物20の硬さが硬いほど、硬さが柔らかい場合に比べ、上昇量を大きく設定する。被切断物20の硬さと、低下量及び上昇量の関係は、例えば、フラッシュメモリ74に記憶されている。制御部2は、フラッシュメモリ74を参照し、S36で取得された被切断物20の硬さに応じた低下量及び上昇量を設定する。
制御部2は、設定位置が切断開始点であるかを判断する(S40)。具体例1では、設定位置は切断開始点である(S40:YES)。この場合制御部2は、以上で変数Mに関する圧力設定処理を終了し、処理を図6のメイン処理に戻す。具体例2及び具体例3では、設定位置は切断開始点ではない(S40:NO)。この場合、制御部2は、上下駆動機構33を制御し、装着部32を上昇位置まで第四方向へ移動させる(S41)。制御部2は、移送機構7及びヘッド移動機構8を制御し、M番目の切断データの切断開始点に移動する(S42)。具体例2では、切断開始点P11の上方に切断刃16が配置される位置に装着部32と保持部材10とが相対移動される。具体例3では切断開始点P21の上方に切断刃16が配置される位置に装着部32と保持部材10とが相対移動される。制御部2は、上下駆動機構33を制御し、装着部32の第三方向への移動し、S37で設定された圧力値に対応する位置まで、装着部32を第三方向に移動させる(S43)。制御部2は、以上で変数Mに関する圧力設定処理を終了し、処理を図6のメイン処理に戻す。
図6のS9の次に、制御部2は、切断制御処理を実行する(S10)。具体例1の模様Z1を切断する場合を例に、切断制御処理を説明する。図9に示すように、切断制御処理では、制御部2は、M番目の切断データに基づく切断処理を開始する(S51)。本例の制御部2は、Z軸モータ34が停止された状態に維持することで、装着部32に加わる圧力を制御する。制御部2は、切断データに含まれる、座標データを順次読み出し、読み出された座標データに従って、移送機構7及びヘッド移動機構8を制御し、被切断物20を切断刃16で切断する。切断データに含まれる全ての座標データが読み出され、装着部32が被切断物20に対して、最後の構成点に対応する位置に移動されるまで切断処理は継続される。
制御部2は、切断処理実行中の検出器41から出力される装着部32の高さを取得する(S52)。制御部2は、回転補正を実行する場合かを判断する(S53)。制御部2は、切断データによって示される複数の線分の内、連続する2つの線分がなす角度の内の小さい方が所定度以下となる場合に、当該2つの線分の交点において切断刃16の向きを変更する回転補正を行う。制御部2は、装着部32に対する被切断物20の位置が、連続する2つの線分がなす角度の内の小さい方が所定度以下となる、2つの線分の交点に対応する位置となった場合に、回転補正を実行する場合と判断する。所定度は適宜設定されればよく、例えば、90度である。つまり、本例では連続する2つの線分がなす角度の内小さい方が直角又は鋭角である場合に、回転補正が実行される。図11では、具体例1について実行された切断処理において、回転補正の有無を凡例C1で示す。回転補正は、線分LS1からLS5に対応する部分を切断中の場合は実行されず(OFF)、構成点P2からP5に達した場合に実行される(ON)。
制御部2は、線分LS1を切断中であり、構成点P2には達していない場合、回転補正を実行する場合ではないと判断する(S53:NO)。この場合制御部2は、S35で設定された停止位置SPよりも、S52で取得された高さが低いかを判断する(S54)。停止位置SPよりもS52で取得された高さが低い場合(S54:YES)、制御部2は、移送機構7及びヘッド移動機構8の制御を停止し、切断処理を停止させる(S74)。制御部2は、M番目の切断データに基づく切断処理において、S74により切断処理が停止された回数を1だけインクリメントする。停止回数は、模様の切断データ毎に設定され、停止回数の初期値は0である。制御部2は、上下駆動機構33を制御し、装着部32を上昇位置まで第四方向に移動させる(S75)。制御部2は、M番目の切断データに基づく切断処理において、S74により切断処理が停止された回数が、所定回数であるかを判断する(S76)。停止回数が所定回数である場合(S76:YES)、制御部2は、後述のS65の処理を実行する。
停止回数が所定回数より小さい場合(S76:NO)、制御部2は、M番目の切断データにおいて、次の構成点があるかを判断する(S77)。次の構成点は、現在切断中の線分の次に切断される線分の終点である。切断装置1が、線分LS5を切断中の場合、模様Z1の切断データには、次の構成点がない(S77:NO)。この場合制御部2は、後述のS66の処理を実行する。切断装置1が、線分LS1を切断中の場合、模様Z1の切断データには、次に切断される線分LS2の終点となる構成点P3がある(S77:YES)。この場合制御部2は、移送機構7及びヘッド移動機構8を制御し、次の線分LS2の始点となる構成点P2の上方に切断刃16が配置される位置に装着部32と保持部材10とを相対移動させる(S78)。制御部2は、上下駆動機構33を制御し、S37で設定された圧力値に対応する位置まで装着部32を第三方向に移動させる(S79)。制御部2は、移送機構7及びヘッド移動機構8の制御し、M番目の切断データに基づく切断処理を構成点P2から再開させ(S80)、処理をS52に戻す。
S52で取得された高さが停止位置SP以上である場合(S54:NO)、制御部2は、S52で取得された装着部32の第三方向の位置が目標範囲に収まらない場合に、制御部2が設定した圧力値を変更し、変更された圧力値に基づき圧力変更機構31を制御する処理を実行する(S55からS60)。具体的には、制御部2は、S52で取得された高さが目標範囲ARNよりも小さいか、又は目標範囲ARNよりも大きいかを判断する(S55、S58)。図11では、変数Nが1である場合の装着部32の高さの経時変化を凡例C2、圧力値の経時変化を凡例C3で示す。変数Nが2である場合の装着部32の高さの経時変化を凡例C4、圧力値の経時変化を凡例C5で示す。図11のタイミングT1で取得された高さは、目標範囲AR1よりも大きい(S55:NO、S58:YES)。この場合制御部2は、現在の圧力値にS39で設定された上昇量だけ加えた値は、S38で設定された調整範囲PR1内かを判断する(S59)。タイミングT1での圧力値に上昇量を加えた場合、調整範囲PR1外となる(S59:NO)。この場合制御部2は、圧力値を変更せず、制御部2は、M番目の切断データに従った切断処理を終了するかを判断する(S61)。タイミングT1では、被切断物20に対し装着部32が、模様Z1の切断終了点P6に対応する位置に移動されていないので(S61:NO)、制御部2は、処理をS52に戻す。
制御部2は、図11のタイミングT2において、装着部32に対する被切断物20の位置が、構成点P2に対応する位置にあり、回転補正を実行する場合であると判断し(S53:YES)、回転補正を行う(S87)。回転補正は公知の方法に従って適宜実行されればよい。例えば、制御部2は、図5(C)に示すように被切断物20に対して切断刃16の回転中心が構成点P2から線分LS1の延長線上にある点P8の上方となる位置に装着部32と保持部材10とを相対移動させる。制御部2は、被切断物20に対して切断刃16の回転中心が点P8の上方となる位置から、切断刃16の回転中心が線分LS2上の点P9の上方となる位置まで円弧運動させるように相対移動させ、切断刃16の刃先を次に切断される線分LS2の延設方向に向ける。回転補正は、他の方法で行われてもよい。制御部2は、例えば、上下駆動機構33を制御し、装着部32に加わる圧力を低下させて、切断刃16の刃先を被切断物20の表面23又は表面23近傍に配置させた状態とした後、切断刃16を装着部32内で回転させて、切断刃16の刃先を次に切断される線分LS2の延設方向に向けてもよい。制御部2は、処理をS52に戻す。
図11のタイミングT3において装着部32の高さが取得された場合、制御部2は、装着部32の高さは目標範囲AR1よりも小さいと判断する(S55:YES)。この場合制御部2は、現在の圧力値からS39で設定された低下量だけ差し引いた値は、S38で設定された調整範囲PR1内かを判断する(S59)。タイミングT3における圧力値から、S39で設定された低下量だけ差し引いた値は、調整範囲PR1内にあると判断され(S56:YES)、制御部2は、圧力値を、現在の圧力値から、S36で取得された硬さに応じた低下量を差し引いた値に変更し、変更された圧力値に基づき、上下駆動機構33を制御し(S57)、処理をS52に戻す(S61:NO)。
図11のタイミングT4において装着部32の高さが取得された場合、制御部2は、装着部32の高さは目標範囲AR1よりも小さいと判断し(S55:YES)、タイミングT4における圧力値から、S39で設定された低下量だけ差し引いた値は、調整範囲PR1外であると判断する(S56:NO)。制御部2は、処理をS52に戻す(S61:NO)。
図11のタイミングT5において装着部32の高さが取得された場合、制御部2は、装着部32の高さは目標範囲AR1よりも大きいと判断し(S55:NO、S58:YES
)、タイミングT4における圧力値に、S39で設定された上昇量だけ加えた値は、調整範囲PR1内であると判断する(S59:YES)。この場合制御部2は、圧力値を、現在の圧力値に、S36で取得された硬さに応じた上昇量を加えた値に変更し、変更された圧力値に基づき、上下駆動機構33を制御する(S60)。制御部2は、処理をS52に戻す(S61:NO)。
被切断物20に対し装着部32が、模様Z1の切断終了点P6に対応する位置に移動され、1番目の切断データに従った切断処理を終了する場合(S61:YES)、制御部2は、切断終了点P6において検出器41から出力される装着部32の高さを取得する(S62)。制御部2は、移送機構7及びヘッド移動機構8の制御を停止し、M番目の切断データに従った切断処理を終了する(S63)。制御部2は、S62で取得された装着部32の高さが、S5で設定された基準位置RPよりも低いかを判断する(S64)。S62で取得された装着部32の高さが基準位置RPよりも低い場合(S64:YES)、制御部2は、M番目の切断データの切断済み設定をONにする(S65)。切断済み設定はS1で取得された切断データに含まれる切断データ毎に設定され、切断済み設定の初期値はOFFである。
S62で取得された装着部32の高さが基準位置RP以上である場合(S64:NO)、又はS65の次に、M番目の切断データはS1で取得された切断データに含まれる切断順序が最後の切断データかを判断する(S66)。具体例1の1番目の切断データは、切断順序が最後の切断データではない(S66:NO)。この場合制御部2は、変数Mを1だけインクリメントし(S81)、M番目の切断データを取得する(S82)。制御部2は、M番目の切断データの切断済み設定がONであるかを判断する(S83)。切断済み設定がONである場合(S83:YES)、制御部2は、処理をS66に戻す。具体例1の2番目の切断データの切断済み設定はONではないと判断され(S83:NO)、制御部2は、上下駆動機構33を制御し、装着部32を上昇位置まで第四方向に移動させる(S84)。制御部2は、移送機構7及びヘッド移動機構8の制御し、S82で取得された2番目の切断データの切断開始点に移動する(S85)。制御部2は、上下駆動機構33を制御し、S37で設定された圧力値に対応する位置まで装着部32を第三方向に移動させ(S86)、処理をS51に戻す。同様の処理によって、具体例1の2番目の模様Z1及び3番目の模様Z2の模様が順に切断される。
繰り返し実行されるS66において、制御部2は、3番目の切断データはS1で取得された具体例1の切断データに含まれる切断順序が最後の切断データであると判断する(S66:YES)。この場合制御部2は、変数Nは、S31で取得された切断回数かを判断する(S67)。具体例1において変数Nが1である時、変数Nは切断回数ではない(S67:NO)。この場合制御部2は、S1で取得された切断データに含まれる切断データ全ての切断済み設定がONであるかを判断する(S68)。S1で取得された切断データに含まれる1以上の切断データについて、切断済み設定がOFFである場合(S68:NO)、制御部2は、刃先調整処理を行う(S69)。具体的には、制御部2は、上下駆動機構33を制御し、装着部32を上昇位置まで第四方向に移動させた後、S2、S3、S6、S7と同様の処理を実行する。制御部2は、変数Mに1を設定し、変数Nを1だけインクリメントする(S70)。制御部2は、M番目の切断データを取得する(S71)。制御部2は、M番目の切断データの切断済み設定がONであるかを判断する(S72)。切断済み設定がONである場合(S72:YES)、制御部2は、変数Mを1だけインクリメントして処理をS71に戻す。具体例1の1番目の切断データの切断済み設定はOFFである(S72:NO)。この場合制御部2は、処理を図6のS9に移行させ、2回目の切断処理の、変数Mに関する圧力設定処理を実行させる(S9)。
変数Nが2である場合の圧力値に対する装着部32の高さの傾きが図10の凡例E2で示される場合、図8のS95では、前回の比較高さである位置MPよりも今回の比較高さである位置LPの方が低く(S95:YES)、図11に示すように、前回の比較高さと今回の比較高さとの差Dが閾値よりも大きいと判断される(S96:YES)。図7のS38では、目標範囲AR2及び調整範囲PR2が設定される。目標範囲AR2は目標範囲AR1よりも装着部32の高さが低い範囲である。調整範囲PR2は、調整範囲PR1よりも圧力値が大きい範囲である。図9のS67では、変数Nは切断回数であると判断される(S67:YES)。変数Nが切断回数である場合(S67:YES)、又はS1で取得された切断データに含まれる切断データ全てについて、切断済み設定されている場合(S68:YES)、制御部2は、以上で切断制御処理を終了し、処理を図6のメイン処理に戻す。具体例2及び具体例3においても、具体例1の場合と同様に、切断制御処理が実行される。図6において、制御部2はS10の処理の次に、上下駆動機構33を制御し、装着部32を上昇位置まで第四方向に移動させる(S11)。制御部2は、以上でメイン処理を終了する。
第二実施形態のメイン処理について説明する。第二実施形態のメイン処理は、図8に示す移動処理にのみが異なり、他の処理は第一実施形態のメイン処理と同様である。第二実施形態のメイン処理では、図12に示す移動処理が実行される。図12において、図8に示す第一実施形態の移動処理と同様の処理には同じ符号を付与している。図12に示すように、第二実施形態の移動処理は、S121からS123の処理が実行され、S94の処理が実行されない点で第一実施形態の移動処理と異なる。第一実施形態と同様な処理については説明を省略し、以下、第一実施形態の移動処理と異なるS121からS123の処理について説明する。
図12に示すように、制御部2は、現在の圧力値が前回のS37で設定された圧力値か判断する(S121)。現在の圧力値が前回圧力値ではない場合には(S121:NO)、制御部2は第一実施形態と同様のS91の処理を実行する。制御部2は、現在の圧力値が前回圧力値である場合には(S121:YES)、制御部2は、前回圧力値に達した時の、装着部32の第三方向の位置を比較高さとして取得し(S122)、第一実施形態と同様のS92の処理を実行する。現在の装着部32の高さが目標位置に達していないと判断される場合は(S92:NO)、制御部2は、処理をS121に戻す。S93の処理の次に、S94の処理に替えて、制御部2は、S93で装着部32の第三方向の移動を停止した時の、圧力値を今回の圧力値として取得し、RAM73に記憶する(S123)。
制御部2は、S95ではS122で取得された前回の比較高さが、今回の比較高さよりも大きいかを判断する(S95)。前回の切断処理における装着部32の高さと圧力値との関係が図10の凡例E1で示され、今回の切断処理における装着部32の高さと圧力値との関係が図10の凡例E2で示される場合、前回圧力値ThPにおける今回の比較高さは前回の比較高さよりも小さい(S95:YES)。この場合制御部2は、S122で取得された今回の比較高さと、前回の比較高さとの差が閾値よりも大きいかを判断する。凡例E1と凡例E2とにおいて前回圧力値ThPにおける今回の比較高さと前回の比較高さとの差は閾値よりも大きい(S96:YES)。この場合制御部2は以上で移動処理を終了させる。前回の切断処理における装着部32の高さと圧力値との関係が図10の凡例E1で示され、今回の切断処理における装着部32の高さと圧力値との関係が図10の凡例E3で示される場合、前回圧力値ThPにおける今回の比較高さは前回の比較高さ以上である(S95:NO)。この場合制御部2は、第一実施形態と同様のエラー報知及び中止処理を行う(S97、S98)。第二実施形態では、今回圧力値が、前回圧力値よりも小さい場合、比較高さは取得されない。この為、今回圧力値が、前回圧力値よりも小さい場合には、S95からS98の処理は省略されてよい。
第三実施形態のメイン処理について説明する。第三実施形態のメイン処理は、例えば、ステッカー等の作成等に用いられる、剥離紙81に貼り付けられたシール状の被切断物82を、保持部材10を使用せずに切断する際に実行される。被切断物82の厚みは、第一及び第二実施形態における閾値ThLよりも小さく、切断装置1は、一回の切断処理で被切断物82を切断する。第三実施形態のメイン処理は、図6のS9、S10の処理に替えて、図13の圧力設定・切断制御処理が実行される点で、第一実施形態のメイン処理と異なり、他の処理は第一実施形態のメイン処理と同様である。図12において、第一実施形態のメイン処理と同様な処理には同じ符号を付与している。第一実施形態と同様な処理については説明を簡略化し、以下、第一実施形態のメイン処理と異なる圧力設定・切断制御処理について説明する。第三実施形態のメイン処理は、ユーザが被切断物82の種類を指定する情報を入力後、開始の指示を入力された場合に起動される。
図13に示すように、第三実施形態で実行される圧力設定・切断制御処理では、制御部2は、切断データによって示される模様の形状によらず、S1で取得された切断データの切断開始点に移動し(S100)、上下駆動機構33を制御し、装着部32を第三方向に移動する処理を開始する(S29)。制御部2は、検出器41の出力結果に基づき、装着部32が目標位置APに達したかを判断する(S101)。目標位置APは、切断刃16の刃先が、剥離紙81の上面83の第三方向の位置にある位置である。制御部2は、例えば、圧力値に対する装着部32の高さの傾きが変わる装着部32の上下方向の位置に基づき、目標位置APに達したかを判断する。装着部32が目標位置APに達していない場合(S101:NO)、制御部2は、処理をS101に戻す。装着部32が目標位置APに達している時(S101:YES)、制御部2は、上下駆動機構33を制御し、装着部32を第三方向に移動する処理を停止し(S93)、停止位置SPを設定する(S35)。本例の制御部2は、プラテン位置PPに所定高さ加えた位置を停止位置SPとして設定する。所定高さは、剥離紙81の厚みよりも小さく、剥離紙81の厚みの10分の1の値よりも大きく、例えば、0.1mmである。
制御部2は、S93で装着部32の第三方向の移動を停止した時の圧力値を、基準圧力値に設定する(S37)。制御部2は、目標位置に基づき、目標範囲AR、及び目標範囲ARに応じた調整範囲PRを設定する(S102)。具体的には制御部2は、剥離紙81の上面83の第三方向の位置を目標範囲ARの上限値に設定する。制御部2は、目標位置APから、S35で設定された停止位置SPと、目標位置APとの間の距離を2で除した商を差し引いた位置CPを目標範囲ARの下限値に設定する。位置CPは、目標位置APと停止位置SPとの中間に位置する。制御部2は、S37で設定された基準圧力値に所定値(例えば、4パルス)加えた値を調整範囲PRの上限値に設定する。制御部2は、S37で設定された基準圧力値から所定値差し引いた値を調整範囲PRの下限値(例えば、4パルス)に設定する。第三実施形態の調整範囲PRの上限値と下限値との差(8パルス)は、第一実施形態の調整範囲の上限値と下限値との差(28パルス)よりも小さい。制御部2は、第一低下量、第二低下量、上昇量を設定する(S103)。第二低下量は、第一低下量よりも小さい。第一低下量、第二低下量は各々、一例として、3パルス、1パルスである。本例の上昇量と、第二低下量とは同じである。
制御部2は、S1で取得された切断データに基づき、移送機構7及びヘッド移動機構8を制御して、切断処理を開始させる(S104)。制御部2は、検出器41の出力値に基づき、装着部32の高さを取得する(S52)。図14において、装着部32の高さの経時変化を凡例C6、圧力値の経時変化を凡例C7で示す。タイミングT11で装着部32の高さが取得された場合(S52)、現在の高さは、停止位置SPよりも高く(S54:NO)、目標範囲AR内である(S55:NO、S58:NO)。制御部2は、被切断物82に対し装着部32が、切断終了点に対応する位置に移動されておらず、切断データに従った切断処理が終了しない場合(S108:NO)、処理をS52に戻す。
タイミングT12で装着部32の高さが取得された場合(S52)、現在の高さは、停止位置SPよりも高く(S54:NO)、目標範囲ARよりも低いと判断される(S55:YES)。この場合制御部2は、タイミングT12における圧力値から、S103で設定された第二低下量だけ差し引いた値は、調整範囲PR内にあると判断し(S56:YES)、制御部2は、圧力値を、現在の圧力値から、第二低下量を差し引いた値に変更し、変更された圧力値に基づき、上下駆動機構33を制御する(S105)。制御部2は、処理をS52に戻す(S108:NO)。タイミングT13で装着部32の高さが取得された場合(S52)、現在の高さは、停止位置SPよりも高く(S54:NO)、目標範囲ARよりも低いと判断される(S55:YES)。この場合制御部2は、タイミングT13における圧力値から、S103で設定された第二低下量だけ差し引いた値は、調整範囲PR内にないと判断し(S56:NO)、制御部2は、処理をS52に戻す(S108:NO)。
タイミングT14で装着部32の高さが取得された場合(S52)、現在の高さは、停止位置SPよりも高く(S54:NO)、目標範囲ARよりも高いと判断される(S55:NO、S58:YES)。この場合制御部2は、タイミングT14における圧力値に、S103で設定された上昇量だけ加えた値は、調整範囲PR内にあると判断し(S59:YES)、制御部2は、圧力値を、現在の圧力値に、上昇量を加えた値に変更し、変更された圧力値に基づき、上下駆動機構33を制御する(S60)。制御部2は、処理をS52に戻す(S108:NO)。タイミングT15で装着部32の高さが取得された場合(S52)、現在の高さは、停止位置SPよりも高く(S54:NO)、目標範囲ARよりも高いと判断される(S55:NO、S58:YES)。この場合制御部2は、タイミングT15における圧力値に、S103で設定された上昇量だけ加えた値は、調整範囲PR内にないと判断し(S59:NO)、制御部2は、処理をS52に戻す(S108:NO)。
タイミングT16で装着部32の高さが取得された場合(S52)、現在の高さは、停止位置SPよりも低いと判断され(S54:YES)、制御部2は、圧力値に現在の圧力値から第一低下量差し引いた値を設定する(S106)。制御部2は、調整範囲PRを変更する(S107)。具体的には制御部2は、現在の調整範囲PRを第二低下量だけ第三方向側に変更する。制御部2は、処理をS52に戻す。制御部2は、被切断物82に対し装着部32が、切断終了点に対応する位置に移動されており、切断データに従った切断処理を終了する場合(S108:YES)、制御部2は、移送機構7及びヘッド移動機構8の制御を停止し、S1で取得された切断データに従った切断処理を終了する(S109)。制御部2は、以上で圧力設定・切断処理を終了し、処理を図6と同様のメイン処理に戻す。タイミングT17で装着部32の高さが取得された場合も(S52)、タイミングT16で装着部32の高さが取得された場合と同様の処理が実行される。
上記第一実施形態から第三実施形態において、プラテン3、装着部32、上下駆動機構33、圧力変更機構31、及び制御部2は各々、本発明のプラテン、装着部、第二移動機構、圧力変更機構、及び制御部の一例である。移送機構7及びヘッド移動機構8は、本発明の第一移動機構の一例である。S1の処理を実行する制御部2は、本発明の切断データ取得部の一例である。S37の処理を実行する制御部2は、本発明の圧力設定部の一例である。S38、S102の処理を実行する制御部2は、本発明の目標範囲設定部の一例である。S51、S104の処理を実行する制御部2は、本発明の切断制御部の一例である。S52の処理を実行する制御部2は、本発明の位置取得部の一例である。S57、S60、S105の処理を実行する制御部2は、本発明の圧力変更部の一例である。S36の処理を実行する制御部2は、本発明の硬さ取得部の一例である。S35の処理を実行する制御部2は、本発明の停止位置設定部の一例である。S74の処理を実行する制御部2は、本発明の停止制御部の一例である。S80の処理を実行する制御部2は、本発明の再開制御部の一例である。S29の処理を実行する制御部2は、本発明の移動制御部の一例である。S91の処理を実行する制御部2は、本発明の第一判断部の一例である。S92の処理を実行する制御部2は、本発明の第二判断部の一例である。S25、26の処理を実行する制御部2は、本発明の位置設定部の一例である。S31の処理を実行する制御部2は、本発明の回数取得部の一例である。S64の処理を実行する制御部2は、本発明の第三判断部の一例である。S65、S68の処理を実行する制御部2は、本発明の終了制御部の一例である。S94、S122の処理を実行する制御部2は、本発明の比較位置取得部の一例である。S95、S96の処理を実行する制御部2は、本発明の中止判断部の一例である。S98の処理を実行する制御部2は、本発明の中止制御部の一例である。
上記第一実施形態から第三実施形態の切断装置1は、制御部2によって切断処理が実行されている期間に、装着部32の第三方向の位置を取得し、取得された位置が目標範囲ARNに収まらない場合に、圧力変更機構31により装着部32に加えられる圧力を変更する。故に、切断装置1は、切断処理実行中の装着部32の第三方向の位置によらず、切断処理実行中に圧力変更機構31により装着部32に加えられる圧力が一定に設定される場合に比べ、切断刃16の刃先の位置を適切に調整できる。
第一実施形態から第三実施形態の切断装置1の制御部2は、S52で取得された装着部32の第三方向の位置が目標範囲ARNよりも第三方向にある場合に(S55:YES)、圧力値を現在の圧力よりも低い圧力に対応する値に変更する(S57)。切断装置1は、装着部32の第三方向の位置が目標範囲ARNよりも第三方向にある場合に、圧力値を現在の圧力よりも低い圧力に対応する値に変更することで、装着部32の第三方向の位置が目標範囲ARNから更に第三方向側に離れた位置となる可能性を低減し、装着部32の第三方向の位置が目標範囲ARN内となる可能性を高めることができる。
第一及び第二実施形態の切断装置1の制御部2は、被切断物20の硬さを取得し(S36)、圧力値を、現在の圧力値から、S36で取得された硬さに応じた低下量を差し引いた値に変更する(S39、S57)。故に、切断装置1は、被切断物20の硬さを考慮しないで低下量を設定する場合に比べ、切断刃16の刃先の位置を適切に調整できる。
第一及び第二実施形態の切断装置1の制御部2は、S36で取得された硬さが硬いほど、硬さが柔らかい場合に比べ、低下量を大きく設定する(S39、S57)。故に切断装置1は、被切断物20の硬さを考慮して、装着部32の第三方向の位置が目標範囲ARNから更に第三方向側に離れた位置となる可能性を低減し、装着部32の第三方向の位置が目標範囲ARN内となる可能性を高めることができる。
第一実施形態から第三実施形態の切断装置1の制御部2は、S52で取得された装着部32の第三方向の位置が目標範囲ARNよりも第四方向(上方)にある場合に(S58:YES)、圧力値を現在の圧力よりも高い圧力に対応する値に変更する(S60)。故に切断装置1は、装着部32の第三方向の位置が目標範囲ARNよりも第四方向にある場合に、圧力値を現在の圧力よりも高い圧力に対応する値に変更することで、装着部32の第三方向の位置が目標範囲ARNから更に第四方向側に離れた位置となる可能性を低減し、装着部32の第三方向の位置が目標範囲ARN内となる可能性を高めることができる。
第一及び第二実施形態の切断装置1の制御部2は、被切断物20の硬さを取得する(S36)。制御部2は、圧力値を、現在の圧力値に、S36で取得された硬さに応じた上昇量を加えた値に変更する(S39、S60)。故に、切断装置1は、被切断物20の硬さを考慮しないで上昇量を設定する場合に比べ、切断刃16の刃先の位置を適切に調整できる。
第一及び第二実施形態の切断装置1の制御部2は、S36で取得された硬さが硬いほど、硬さが柔らかい場合に比べ、上昇量を大きく設定する(S39、S60)。故に切断装置1は、被切断物20の硬さを考慮して、装着部32の第三方向の位置が目標範囲ARNから更に第四方向側に離れた位置となる可能性を低減し、装着部32の第三方向の位置が目標範囲ARN内となる可能性を高めることができる。
第一から第三実施形態の切断装置1の制御部2は、目標範囲ARNに応じた調整範囲PRN内において、圧力値を変更する(S56、S57、S59、S60)。切断装置1は、圧力値が調整範囲PRNを超えて変更されることを確実に回避できる。
第一及び第二実施形態の切断装置1の制御部2は、装着部32に装着された切断刃16が、被切断物20を保持する保持部材10の第四方向の表面18に達する時の装着部32の第三方向の位置を取得する(S4)。制御部2は、S4で取得された位置と、装着部32に装着された切断刃16が、プラテン3の第四方向の表面26に達する時の装着部32の第三方向の位置との間に、停止位置SPを設定する(S35)。制御部2は、S52で取得された装着部32の第三方向の位置が、停止位置SPよりも第三方向にある場合に、切断処理を停止させる(S74)。故に切断装置1は、装着部32に装着された切断刃16がプラテン3に達することを回避できる。すなわち、切断刃16が保持部材10を貫通することを抑制できる。
第一及び第二実施形態の切断装置1の制御部2は、S74で切断処理が停止された場合に、切断データによって表される複数の線分の内の、切断中の線分の次に切断される線分から、切断処理を再開させる(S80)。切断装置1は、S74で切断処理が停止されることにより、切断データによって表される複数の線分内に、未切断の線分が残ったまま、切断処理を終了する可能性を低減できる。
第三実施形態の切断装置1の制御部2は、目標範囲ARよりも第三方向、且つ、装着部32に装着された切断刃16がプラテン3の第四方向の表面26に達する時の装着部32の第三方向の位置よりも第四方向に、停止位置SPを設定する(S35)。制御部2は、S52で取得された装着部32の第三方向の位置が、停止位置SPよりも第三方向にある場合に(S54:YES)、圧力値を現在の圧力値から第一低下量差し引いた値に変更する(S106)。制御部2は、取得された装着部32の第三方向の位置が、停止位置SPよりも第四方向にあり(S54:NO)、且つ、目標範囲ARよりも第三方向にある場合に(S55:YES)、圧力値を、現在の圧力値から第一低下量よりも小さい第二低下量差し引いた値に変更する(S105)。故に第三実施形態の切断装置1は、切断処理実行中の装着部32の第三方向の位置によらず、切断処理実行中に圧力変更機構31により装着部32に加えられる圧力が一定に設定される場合に比べ、切断刃16の刃先の位置を適切に調整でき、且つ、装着部32に装着された切断刃16がプラテン3に達する可能性を低減できる。
第三実施形態の切断装置1の制御部2は、目標範囲ARに応じた調整範囲PR内において、圧力値を変更し、S52で取得された装着部32の第三方向の位置が、停止位置SPよりも第三方向にある場合に、調整範囲PRを、現在の調整範囲PRから第二所定量低下させた範囲に変更する(S107)。切断装置1は、S52で取得された装着部32の第三方向の位置に応じて、調整範囲PRを設定できる。切断装置1は、剥離紙81に添付されたシール状の被切断物82を保持部材10を使用せずに1度の切断処理で切断する場合、切断刃16の刃先が剥離紙81に刺さった状態を維持できるように、装着部32の高さを精密に制御することが好ましい。また切断装置1は、切断刃16の刃先がプラテン位置PPに達しないように装着部32の高さを制御しつつ、切断処理の途中で停止したり、切断処理を途中で終了したりしない方が好ましい。第三実施形態の切断装置1は、調整範囲PRを段階的に変更することで、調整範囲PRを変更しない場合に比べ、切断処理を途中で停止したり、終了したりすることを回避しつつ、切断刃16の刃先が剥離紙81に刺さった状態を維持しやすい。
第一実施形態及び第二実施形態の切断装置1の制御部2は、切断データによって示される複数の線分の内、連続する2つの線分がなす角度の内小さい方が所定度以下となる場合に、当該2つの線分の交点において切断刃16の向きを変更する回転補正を行う(S87)。制御部2は、回転補正を行っている期間は、S52で取得された装着部32の第三方向の位置が目標範囲ARNに収まるかに応じて、圧力を変更しない(S53:YES)。一般に、回転補正が実行されている場合、線分を切断する処理が実行されている場合に比べ、装着部32の第三方向の位置が不安定になりやすい。切断装置1は、不安定な装着部32の第三方向の位置に基づき、装着部32に加わる第三方向の圧力を変更されることを回避できる。また、回転補正方法によっては、回転補正時に、装着部32の高さが変更されたり、装着部32に加わる第三方向の圧力が変更されたりする場合がある。このため、回転補正時に装着部32の第三方向の位置に基づき、装着部32に加わる第三方向の圧力を変更しないことで、回転補正が適切に実行されなくなる事態を回避できる。
第一実施形態及び第二実施形態の切断装置1の制御部2は、上下駆動機構33を制御し、装着部32を第三方向に移動させる(S29)。制御部2は、上下駆動機構33が制御されている期間に、圧力変更機構31により装着部32に加わる第三方向の圧力に対応する圧力値が圧力閾値ThPに達したかを判断する(S91)。制御部2は、上下駆動機構33が制御されている期間に、装着部32の第三方向の位置が目標位置に達したかを判断する(S92)。制御部2はS91で圧力値が圧力閾値に達したと判断される前に、S92で装着部32の第三方向の位置が目標位置に達したと判断された場合(S92:YES)、上下駆動機構33の制御を停止させる(S93)。制御部2は、装着部32の第三方向の位置が目標位置にある時の圧力値を設定する(S37)。S92で装着部32の第三方向の位置が目標位置に達すると判断される前に、S91で圧力値が圧力閾値ThPに達したと判断された場合(S91:YES)、制御部2は上下駆動機構33の制御を停止させ(S93)、圧力値が圧力閾値ThP以下となる装着部32の第三方向の位置に移動した時の圧力値を設定する(S37)。制御部2は、上下駆動機構33の制御が停止された時の、装着部32の高さに基づき、目標範囲ARNを設定する(S38)。故に切断装置1は、制御部2がS37で圧力値が設定された時の装着部32の高さに基づき目標範囲ARNを適切に設定できる。
第一実施形態及び第二実施形態の切断装置1の制御部2は、切断データが示す模様が、環状ではない場合に(S22:NO)、切断データが示す複数の線分の何れかの上に、切断開始点とは異なる設定位置を設定する(S25、S26)。制御部2は、切断データが示す模様が、環状ではない場合に(S22:NO)、設定された設定位置において、装着部32を第三方向に移動させる(S28、S29)。制御部2は、切断データが示す模様が環状である場合に(S22:YES)、切断開始点において、装着部32を第三方向に移動させる(S27、S28、S29)。一般に、切断開始点付近では切断量(切り込み深さ)が不安定になることがある。切断装置1は、切断データが示す模様の形状に応じて、切断データに基づく切断処理を複数回実行することにより、被切断物20から模様を切断する場合の圧力値を適切に設定できる。
第一及び第二実施形態の切断装置1の制御部2は、切断データが示す複数の線分の内の、切断開始点を含む線分上に、設定位置を設定する(S25、S26)。切断装置1は、設定位置において圧力値が設定されてから、切断開始点に移動されるまでの距離を比較的短くでき、切断処理を短時間で行うことができる。切断装置1の制御部2は、切断データが示す複数の線分の内の、切断開始点を含む線分の長さに応じた距離だけ切断開始点から離れた位置に設定位置を設定する(S25、S26)。制御部2は、設定位置がランダムに設定される場合に比べ、圧力値を設定する時の条件を複数の模様の間で同じにできる。
第一及び第二実施形態の切断装置1の制御部2は、装着部32に装着された切断刃16が被切断物20を保持する保持部材10の第四方向の表面18に達する時の、装着部32の第三方向の位置を取得する(S4)。制御部2は、切断データに従って切断処理を実行する回数を取得する(S31)。制御部2は、S62で取得された装着部32の第三方向の位置が、S32で取得された位置に基づく基準位置RPよりも第三方向にあるかを判断する(S64)。制御部2は、基準位置RPよりも第三方向にあると判断された場合には(S64:YES)、S31で取得された回数だけ切断処理が実行されていない場合であっても(S67:NO)、切断データに従った切断処理を終了する(S65、S68)。つまり、制御部2は、切断データに基づく切断処理が終了した際に、基準位置RPよりも第三方向にあると判断された場合には(S64:YES)、切断データに従った切断処理を終了し(S65、S68)。基準位置RPよりも第三方向にあると判断されない場合には(S64:NO)、再度切断処理を実行する(S70)。故に、切断装置1は、切断データの切断終了点において切断処理が終了された時点での装着部32の高さに応じて、切断処理を再度実行するかを判断できる。切断装置1は、例えば、既に実行された切断処理によって、被切断物20が切断されているにも関わらず、さらなる切断処理が実行されることにより、保持部材10が過剰に切断されることを回避することができる。
第一実施形態及び第二実施形態の切断装置1の制御部2は、S31で取得された回数の各々に対応する切断処理の切断終了点において、S52で取得された装着部32の第三方向の位置が、基準位置RPよりも第三方向にあるかを判断する(S62、S64)。故に切断装置1は、切断終了点において、S62取得された装着部32の第三方向の位置が、基準位置RPよりも第三方向にある場合に、切断処理を終了できる。
第一実施形態及び第二実施形態の切断装置1では、切断データによって表される模様が環状である場合の切断終了点は、同じ回数の切断処理において切断された線分上に設定される。故に切断装置1は、切断終了点が切断開始点と一致する場合に比べ、切断終了点において、精度が安定した装着部32の第三方向の位置を取得できる。故に、切断装置1は、切断終了点が切断開始点と一致する場合に比べ、切断データに従った切断処理を終了するかを適切に判断できる。
第一実施形態及び第二実施形態の切断装置1では、基準位置RPは、S4で取得された保持位置HPよりも第三方向、且つ、プラテン3の第四方向の表面26よりも第四方向に設定される。故に、切断装置1は、被切断物20を貫通するように切断した場合に、切断処理を終了することができる。切断装置1は、被切断物20が貫通するようには切断されていない場合に、切断処理が終了される可能性を低減できる。
第一実施形態及び第二実施形態の切断装置1では、制御部2は、切断データに従って切断処理を実行する回数を取得する(S31)。制御部2は、回数に応じた切断処理毎に、所定条件における、装着部32の第三方向の位置を取得する(S94)。制御部2は、取得された装着部32の第三方向の位置である前回位置と、今回の切断処理において取得された装着部32の第三方向の位置である今回位置との比較結果に基づき、切断処理を中止させるかを判断する(S95、S96)。制御部2は、S95、S96で切断処理を中止させると判断された場合に、切断処理を中止させる(S98)。故に切断装置1は、同一の切断データに従って複数回の切断処理を行うことによって、被切断物20から模様を切断する場合に、前回位置と今回位置との比較結果に基づき切断処理を中止することができる。切断装置1は、切断処理が適切に実行されていない状態で、切断処理が複数回繰り返されることを回避できる。
第一実施形態の所定条件は、制御部2が装着部32を第三方向に移動させるのを停止した時に、装着部32の第三方向の位置が取得される条件である(S94)。制御部2は、今回位置が前回位置よりも第四方向にある場合、又は、前回位置と今回位置の差が閾値よりも大きい場合に、切断処理を中止させると判断する(S95、S96)。通常であれば、前回の切断処理によって切断された位置(高さ)から更に第四方向に切り込みが入れられており、前回位置よりも今回位置の方が第三方向にあるはずである。前回位置よりも今回位置の方が第四方向にある場合は、何らかの異常が発生している可能性がある。切断装置1の制御部2は圧力値を設定する時の装着部32の第三方向の位置に基づき、切断処理を中止するかを判断できる。切断装置1は、上記のように切断処理の終了時に、装着部32の第三方向の位置に異常が発生したと考えられる場合に、切断処理を中断できる。
第二実施形態の所定条件は、制御部2により装着部32が第三方向に移動させる期間に、圧力値が、前回の切断処理において、装着部32の移動が停止された時の圧力値に達した時に、取得された装着部32の第三方向の位置が取得される条件である(S122)。制御部2は、今回位置が前回位置よりも第四方向にある場合、又は、前回位置と今回位置の差が閾値よりも大きい場合に、切断処理を中止させると判断する(S95、S96)。切断装置1は前回の切断処理と同一の圧力値で圧力変更機構31を制御した時の、装着部32の第三方向の位置の比較結果に基づき切断処理を中止するかを判断できる。切断装置1は、装着部32の第三方向の位置に異常が発生したと考えられる場合に、切断処理を中断できる。
本発明の切断装置は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更が加えられてもよい。例えば、切断装置1の構成は適宜変更されてよい。切断装置1は、切断刃16による切断に加え、描画等の切断以外の処理を実行できてもよい。切断装置1は、装着部32と保持部材10とを相対的に第一方向及び第二方向に移動できればよく、例えば、保持部材10の位置を固定した上で、装着部32を第一方向及び第二方向に移動できてもよい。第一方向、第二方向、第三方向及び第四方向は、適宜変更されてよい。保持部材10は、被切断物20を保持できればよく、マット状の部材の他、例えば、トレー状の部材であってもよい。検出器41は装着部32の第三方向の位置を検出できればよく、配置及び構成等は適宜変更されてよい。検出器は、例えば、装着部32に設けられたスリットの移動量を検出するエンコーダであってもよいし、装着部32に設けられたマグネットが発生する磁場(磁界)の大きさ及び方向を検出するセンサであってもよい。検出器41が出力する装着部32の第三方向の位置の基準は適宜変更されてよい。圧力変更部は、装着部に加えるプラテン側への圧力を変更できればよく、ネジリバネ以外の付勢部材であってもよい。圧力変更機構は、例えば、装着部32に第三方向の力を加えるエアシリンダであってもよい。
図5に示すメイン処理は、制御部2の代わりに、マイクロコンピュータ、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が、プロセッサとして用いられてもよい。切断処理は、複数のプロセッサによって分散処理されてもよい。切断処理を実行するためのプログラムを記憶するフラッシュメモリ74は、例えば、HDD及び/又はSSD等の他の非一時的な記憶媒体で構成されてもよい。非一時的な記憶媒体は、情報を記憶する期間に関わらず、情報を留めておくことが可能な記憶媒体であればよい。非一時的な記憶媒体は、一時的な記憶媒体(例えば、伝送される信号)を含まなくてもよい。メイン処理を実行するためのプログラムは、例えば、図示略のネットワークに接続されたサーバからダウンロードされて(即ち、伝送信号として送信され)、HDDに記憶されてもよい。この場合、プログラムは、サーバに備えられたHDD等の非一時的な記憶媒体に保存されていればよい。上記実施形態のメイン処理の各ステップは、必要に応じて順序の変更、ステップの省略、及び追加が可能である。切断装置1の制御部2からの指令に基づき、切断装置1で稼動しているオペレーティングシステム(OS)等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって上記実施形態の機能が実現される場合も本開示の範囲に含まれる。
S2の所定位置は適宜変更されてよい。S2の所定位置は、被切断物20が載置されない場所であることが好ましく、具体的には枠線11で囲まれる切断可能領域以外の領域であることが好ましい。切断装置1が、被切断物20が配置されている箇所を特定できる場合、切断装置1は、特定された被切断物20の配置に基づき、S2の所定位置を決定してもよい。この場合S2の所定位置は、切断可能領域内であってもよい。切断位置を取得する処理は、S3からS7までの切断刃の向きを調整する処理とは、別の期間に実行されてもよい。S6の処理は必要に応じて省略されてよい。
圧力値は、適宜変更されてもよい。圧力値は、例えば、装着部32又は切断刃16に圧力センサが備えられている場合には、圧力センサ値を、圧力値としてもよい。圧力値の変更方法は適宜変更されてよい。圧力値の低下量及び上昇量の少なくとも何れかは、被切断物の硬さによらず同じ値であってもよいし、切断回数、基準圧力値、被切断物の厚み、被切断物の種類、切断刃の種類等に応じて異なる値が設定されてもよい。 制御部は、図9のS55からS57の処理、及びS58からS59の処理のいずれかのみを実行してもよい。制御部は、図13のS55、S56、S105の処理、及びS58からS59の処理のいずれかのみを実行してもよい。調整範囲は設定されなくてもよく、調整範囲外で圧力値が変更されてよい。回転補正時に装着部の位置に基づき圧力値が変更されてもよい。制御部2は、保持部材の種類、素材、厚み等に応じて、基準位置、目標位置、停止位置の設定方法を変更してもよい。例えば、停止位置は、保持部材の種類によらず、同じ位置であってもよい。基準位置は、保持位置であってもよい。保持位置を設定する処理は変更されてもよいし、省略されてもよい。第三実施形態において、被切断物の硬さに応じて、第一低下量、第二低下量、及び上昇量が設定されてもよい。図8及び図12の移動処理において、制御部は、S91を省略し、S92の処理に基づき装着部の第三方向の移動を停止してもよい(S93)。
制御部は、図9のS54において、装着部の第三方向の位置が、停止位置よりも第三方向にある場合の処理は適宜変更されてもよい。例えば、制御部は、装着部の第三方向の位置が、停止位置よりも第三方向にある場合に、切断処理を終了させてもよい。制御部は、切断処理が停止された場合に、切断処理を再開させなくてもよいし、ユーザによって入力された切断処理を再開させる指示に基づき、ユーザが指定する構成点から切断処理を再開させてもよい。S54及びS74からS80の処理は適宜省略されてもよい。制御部は、切断処理が停止された場合に、停止された回数によらず、切断済み設定をONにしてもよい。制御部は、切断済み設定を変更する処理を省略してもよく、この場合S65、S68からS73の処理、及びS83の処理は適宜省略されてもよい。
第三実施形態における第二低下量は、第一低下量以上の値でもよい。S107の処理は省略されてもよい。第三実施形態において、S52で取得された装着部32の第三方向の位置が停止高さよりも低い場合に、切断処理を停止してもよい。制御部は、圧力値を設定する処理を変更してもよく、例えば、第二移動機構が制御されている期間に、圧力変更機構により装着部に加わる第三方向の圧力に対応する圧力値が圧力閾値に達したかを判断せずに、装着部の第三方向の位置が目標位置に達したかのみを判断してもよい。
第三実施形態における調整範囲を変更する処理は適宜変更、省略されてもよい。制御部は、調整範囲を変更可能な範囲(上限値、下限値)を設定し、変更可能な範囲内で調整範囲を変更してもよい。制御部は、調整範囲を変更可能な範囲で変更できない場合に、切断処理を停止したり、中断したりしてもよい。制御部は、調整範囲変更後(S107)、装着部の第三方向の位置が、所定期間、停止位置SPよりも第三方向の所定範囲の位置である場合に、調整範囲を切断処理開始時の調整範囲(初期範囲)に近づくように変更してもよい。所定期間の一例としては、切断時間(例えば、50ms)、所定数(例えば、10回)の構成点を切断する期間、所定回数(例えば、5回)の回転補正を行う期間などがあげられる。所定範囲は、例えば、停止位置SPから目標範囲ARの下限値の位置CPまでの範囲である。この場合例えば、図13の圧力設定・切断制御処理において、S52で取得された装着部の第三方向の位置が停止位置SPよりも第四方向にあり(S54:NO)、目標範囲ARの下限値の位置CPよりも第三方向にある場合に(S55:YES)、制御部は、S55とS56との間に以下の処理を実行してもよい。制御部は、所定期間に応じた変数(例えば、切断時間)をカウントアップする。変数の初期値は0であり、S52で取得された装着部の第三方向の位置が停止位置SPよりも第三方向にある場合(S54:YES)、又は目標範囲の下限値の位置CPよりも第四方向にある場合に(S55:NO)、0に設定される。制御部は、所定期間に応じた変数をカウントアップした後、S107において調整範囲が変更されており、カウントされた変数に基づき所定期間に達したと判断される場合に調整範囲を変更可能範囲内で初期範囲に近づくように変更する。例えば、制御部は、現在の調整範囲PRを第二低下量だけ第四方向側に変更する。このようにした場合、切断装置は、調整範囲変更後(S107)の装着部の第三方向の位置に応じて調整範囲を初期範囲に近づくように戻すことができる。
制御部は、図7の圧力設定処理において、切断データが示す模様に応じて設定位置を設定しなくてもよいし、図7に示す方法と異なる方法で設定位置を設定してもよい。制御部は、切断データが示す模様が環状であるか否かにかかわらず、同じ方法で設定位置を設定してもよい。制御部は、切断開始点を含む線分上の任意の位置に設定位置を設定してもよいし、切断開始点から所定距離の点に設定位置を設定してもよい。制御部は、切断開始点を含む線分の長さによらず、同じ規則で設定位置を設定してもよいし、切断開始点以外の任意の点を含む線分上に設定位置を設定されてもよい。
制御部は、切断回数を取得する処理を省略してもよい。S64における、切断回数に応じた切断処理が終了する毎に装着部の第三方向の位置が、基準位置よりも第三方向にあるかを判断する処理は省略してもよく、切断回数だけ切断処理が実行された場合に(S67:YES)処理が終了されてもよい。S1で取得された切断データに複数の切断データが含まれる場合に、1回の切断処理は、模様毎に実行されてもよい。1回の切断処理が実行される毎に、刃先調整が実行されなくてもよい。制御部は、切断回数の各々に対応する切断処理において、1以上の任意の点において、取得された装着部の第三方向の位置が、基準位置よりも第三方向にあるかを判断し、判断結果に応じて、切断処理を終了してもよい。切断終了点は、切断開始点と同じ位置に設定されてもよい。
図8のS94、図12のS122における比較位置を取得する所定条件は適宜変更されてもよいし、比較位置を取得する処理は省略されてもよい。制御部2は、図8及び図12のS94からS98の処理は適宜省略されてもよいし、他の方法による前回位置と、今回位置との比較結果に基づき、切断処理を中止させるかを判断してもよい。