JP2020023247A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】操縦安定性、グリップ性能をバランス良く改善できる空気入りタイヤを提供する。【解決手段】トレッド部に、タイヤ周方向に延びる少なくとも3本の周方向主溝と、前記周方向主溝によって区画されかつタイヤ軸方向最外側に配されるショルダー陸部を含む少なくとも4本の陸部とが設けられた空気入りタイヤであって、前記ショルダー陸部の少なくとも一方に、タイヤ軸方向に延びるショルダー横溝が設けられ、トレッド接地面内において、前記ショルダー横溝のタイヤ軸方向長さがトレッド幅の10〜30%、隣接する前記ショルダー横溝間のタイヤ周方向距離がトレッド幅の20〜60%であり、前記ショルダー陸部を構成するゴム組成物は、ゴム成分に対してカーボンブラックを40質量部以上、シリカを30質量部以上含む、ことを特徴とする空気入りタイヤ。【選択図】なし

Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。
乗用車用タイヤ、重荷重用タイヤ等の空気入りタイヤにおいて、安全性等の観点から、操縦安定性、ウェットグリップ性能等のグリップ性能が必要とされ、例えば、トレッドパターンとして、ブロックパターンを採用する手法等が用いられている。また、横溝、縦溝の本数、溝容積などを増すことなどが有効であることも知られている。
従来から、空気入りタイヤのトレッド部にサイプを設けて、操縦安定性等を改善する試みが行われている。例えば、特許文献1には、ミドル陸部に所定のミドル横溝が設けられ、かつミドル横溝に所定の溝底サイプが設けられた空気入りタイヤにより、ドライ路面での操縦安定性等を改善したタイヤが提案されている。
しかしながら、操縦安定性と、ウェットグリップ性能との両立に関しては、更なる改善が求められている。
特開2015−13606号公報
本発明は、前記課題を解決し、操縦安定性、グリップ性能をバランス良く改善できる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、トレッド部に、タイヤ周方向に延びる少なくとも3本の周方向主溝と、前記周方向主溝によって区画されかつタイヤ軸方向最外側に配されるショルダー陸部を含む少なくとも4本の陸部とが設けられた空気入りタイヤであって、
前記ショルダー陸部の少なくとも一方に、タイヤ軸方向に延びるショルダー横溝が設けられ、
トレッド接地面内において、前記ショルダー横溝のタイヤ軸方向長さがトレッド幅の10〜30%、隣接する前記ショルダー横溝間のタイヤ周方向距離がトレッド幅の20〜60%であり、
前記ショルダー陸部を構成するゴム組成物は、ゴム成分に対してカーボンブラックを40質量部以上、シリカを30質量部以上含む、
ことを特徴とする空気入りタイヤに関する。
前記ショルダー陸部を構成するゴム組成物は、ゴム成分に対してカーボンブラックを50質量部以上含むことが好ましい。
本発明によれば、トレッド部に、タイヤ周方向に延びる少なくとも3本の周方向主溝と、前記周方向主溝によって区画されかつタイヤ軸方向最外側に配されるショルダー陸部を含む少なくとも4本の陸部とが設けられた空気入りタイヤであって、
前記ショルダー陸部の少なくとも一方に、タイヤ軸方向に延びるショルダー横溝が設けられ、
トレッド接地面内において、前記ショルダー横溝のタイヤ軸方向長さがトレッド幅の10〜30%、隣接する前記ショルダー横溝間のタイヤ周方向距離がトレッド幅の20〜60%であり、
前記ショルダー陸部を構成するゴム組成物は、ゴム成分に対してカーボンブラックを40質量部以上、シリカを30質量部以上含む、
ことを特徴とする空気入りタイヤであるので、操縦安定性、グリップ性能をバランス良く改善できる。
本実施形態の空気入りタイヤ1のトレッド部2の展開図の一例。 図1のトレッド部2におけるショルダー陸部4sの拡大図の一例。
本発明は、トレッド部に、タイヤ周方向に延びる少なくとも3本の周方向主溝と、前記周方向主溝によって区画されかつタイヤ軸方向最外側に配されるショルダー陸部を含む少なくとも4本の陸部とが設けられた空気入りタイヤであって、
前記ショルダー陸部の少なくとも一方に、タイヤ軸方向に延びるショルダー横溝が設けられ、
トレッド接地面内において、前記ショルダー横溝のタイヤ軸方向長さがトレッド幅の10〜30%、隣接する前記ショルダー横溝間のタイヤ周方向距離がトレッド幅の20〜60%であり、
前記ショルダー陸部を構成するゴム組成物は、ゴム成分に対してカーボンブラックを40質量部以上、シリカを30質量部以上含む、
ことを特徴とする空気入りタイヤである。
前記空気入りタイヤは、操縦安定性、グリップ性能をバランス良く改善できる。このような作用効果が得られる理由は明らかではないが、以下のように推察される。
グリップ性能は、ゴムの発熱性を高めること、柔軟化して摩擦力を向上させることにより、向上するが、柔らかすぎると剛性感がなくなり、操縦安定性が低下するという問題がある。
本発明では、カーボンブラック量40質量部以上、シリカ量30質量部以上のゴム組成物でショルダー陸部を構成し、発熱性を高めること、必要に応じて軟化剤で硬度を低下させることにより、ウェットグリップ性能等のグリップ性能を向上させると共に、タイヤのショルダー陸部に設けられたタイヤ軸方向に延びるショルダー横溝を構成し、かつ該ショルダー横溝のタイヤ軸方向長さ、隣接する該ショルダー横溝間のタイヤ周方向距離を最適化することにより、ブロック剛性が確保され、良好な操縦安定性が得られると推察される。以上の作用効果により、操縦安定性、ウェットグリップ性能等のグリップ性能がバランス良く改善されると推察される。
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1は、本実施形態の空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある。)1のトレッド部2の展開図である。本実施形態の空気入りタイヤ1は、例えば、乗用車用のラジアルタイヤとして好適に使用される。
図1に示されているように、タイヤ1のトレッド部2には、タイヤ周方向に延びる一対のショルダー主溝3s、3sと、その間のセンター主溝3cという3本の周方向溝3が設けられている。図1は、周方向主溝3が3本のタイヤであるが、周方向主溝3は3本以上であれば特に制限されず、4本以上設けたものでも良い。
ショルダー主溝3sは、トレッド接地端Te側でタイヤ周方向に連続して延びている。本実施形態のショルダー主溝3sは、略一定の溝幅を有し、直線状である。ショルダー主溝3sは、波状又はジグザグ状でも良い。
「トレッド接地端Te」は、正規状態のタイヤ1に、正規荷重を負荷してキャンバー角0°で平面に接地させたときの最もタイヤ軸方向外側の接地位置である。
「正規状態」は、タイヤが正規リム(図示せず)にリム組みされ、かつ、正規内圧が充填された無負荷の状態である。以下、特に言及されない場合、タイヤの各部の寸法等は、この正規状態で測定された値である。
「正規リム」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めているリムであり、例えばJATMAであれば“標準リム”、TRAであれば“Design Rim”、ETRTOであれば“Measuring Rim”である。
「正規内圧」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば“最高空気圧”、TRAであれば表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“INFLATION PRESSURE”である。
「正規荷重」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば“最大負荷能力”、TRAであれば表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“LOAD CAPACITY”である。
センター主溝3cは、ショルダー主溝3sよりもタイヤ軸方向内側に設けられている。センター主溝3cは、タイヤ周方向に連続して延びている。センター主溝3cは、略一定の溝幅を有し、直線状である。本実施形態のセンター主溝3cは、1本からなり、タイヤ赤道C上に設けられている。センター主溝3cは、例えば、タイヤ赤道Cのタイヤ軸方向両側に2本設けられても良い。
図1に示されているように、トレッド部2には、一対のミドル陸部4m、4mと、一対のショルダー陸部4s、4sという4本の陸部4が区分されている。ミドル陸部4mは、ショルダー主溝3sとセンター主溝3cとの間に設けられている。図1は、ショルダー主溝3s、センター主溝3cによって区画され、タイヤ周方向に延びる4本の陸部4を設けたタイヤであるが、タイヤ軸方向最外側に配されるショルダー陸部4sを含む4本以上の陸部4を設けたものであれば特に制限されず、5本以上でも良い。
図2には、ショルダー陸部4sの拡大図が示されている。図2に示されているように、ショルダー陸部4sは、ショルダー主溝3sのタイヤ軸方向外側(タイヤ幅方向外側)に設けられている。
ショルダー陸部4sには、タイヤ軸方向(タイヤ幅方向)に延びるショルダー横溝30が複数本設けられている。ショルダー横溝30は、タイヤ軸方向最外側に配されるショルダー陸部4sの一方又は両方に設けられていれば良い。なお、本明細書では、「溝」は、溝幅が2mm以上の溝状体として定義される。
ショルダー横溝30は、トレッド接地端Teからタイヤ軸方向内側(タイヤ幅方向内側)に向かって延びている。このようなショルダー横溝30は、ショルダー陸部4sのタイヤ軸方向内側の剛性を付与する。
ショルダー横溝30は、第1部分31と第2部分32とを含んでいる。ショルダー横溝30の第1部分31は、タイヤ軸方向に対して平行に延びている。ショルダー横溝30の第2部分32は、第1部分31のタイヤ軸方向内側に連なり、タイヤ軸方向に対するショルダー横溝30の角度θ1を漸増させつつタイヤ軸方向内側に延びている。
トレッド接地面内(トレッド接地端Te−Te間)において、各ショルダー横溝30のタイヤ軸方向長さ(タイヤ幅方向長さ)は、トレッド幅の10〜30%である。このようなショルダー横溝30が複数設けられることで、良好な操縦安定性が得られる。好ましくは、15〜25%である。下限以上にすることで、各パターン陸部が柔軟に動き、乗り心地性能が改善される傾向がある。上限以下にすることで、操縦安定性が向上する傾向がある。
ここで、トレッド幅とは、タイヤを正規リムに装着し、正規内圧を充填し、静止した状態で平板に対し垂直に置き、正規荷重を加えたときのタイヤ接地面のタイヤ軸方向の最大幅であり、図1では、TW(トレッド接地端Te−Te間距離)である。各ショルダー横溝のタイヤ軸方向長さは、トレッド接地面内における各ショルダー横溝のタイヤ軸方向の投影長さであり、図2では、L30である。
「トレッド接地面」とは、正規リムにリム組みしかつ正規内圧を充填した状態のタイヤに、正規荷重を負荷した時に接地しうるトレッド面を意味する。また、トレッド接地面におけるタイヤ軸方向の最外の位置が「トレッド接地端」である。
タイヤ周方向で隣接するショルダー横溝30、30間のタイヤ周方向距離は、操縦安定性を向上させる観点から、トレッド幅の5〜15%の範囲内であることが好ましい。ここで、タイヤ周方向で隣接するショルダー横溝間のタイヤ周方向距離は、タイヤ周方向で隣り合うショルダー横溝間のトレッド接地端における距離であり、図2では、l30である。
ショルダー陸部4sを構成するゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対してカーボンブラックを40質量部以上、シリカを30質量部以上含む。
なお、トレッド部2は、少なくともショルダー陸部4sが上記ゴム組成物で構成されていればよく、ショルダー陸部4sが上記ゴム組成物で、ショルダー陸部4s以外が他のゴム組成物で構成されていてもよいし、トレッド部2全体が上記ゴム組成物で構成されていてもよい。
前記ゴム組成物において、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、40質量部以上であるが、好ましくは50質量部以上である。下限以上にすることで、剛性が向上するため、操縦安定性が向上する傾向がある。該含有量の上限は特に限定されないが、分散性、低燃費性等の観点から、好ましくは120質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは80質量部以下である。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、操縦安定性、グリップ性能の観点から、好ましくは110m/g以上、より好ましくは125m/g以上、更に好ましくは135m/g以上である。上限は特に限定されないが、分散性の観点から、該NSAは、180m/g以下が好ましく、160m/g以下がより好ましい。
なお、カーボンブラックのNSAは、JIS K 6217−2:2001によって求められる。
使用可能なカーボンブラックとしては、特に限定されないが、N134、N220、N330、N550等が挙げられる。市販品としては、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱ケミカル(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物において、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、30質量部以上であるが、好ましくは35質量部以上、より好ましくは40質量部以上である。これにより、良好なグリップ性能が得られる傾向がある。該含有量の上限は特に限定されないが、好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下、更に好ましくは50質量部以下である。上限以下にすることで、シリカの良好な分散が得られやすい傾向がある。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは80m/g以上、より好ましくは115m/g以上、更に好ましくは150m/g以上である。下限以上にすることで、良好な乾燥路面及び湿潤路面でのブレーキ性能が得られる傾向がある。また、好ましくは400m/g以下、より好ましくは270m/g以下、更に好ましくは250m/g以下である。上限以下にすることで、良好なシリカ分散性が得られる傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037−93に準じてBET法で測定される値である。
シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などを用いることができるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカ(含水シリカ)が好ましい。市販品としては、デグッサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物には、カーボンブラック、シリカ以外に他の充填剤を配合してもよい。他の充填剤としては、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレー、水酸化アルミニウム、マイカ等が挙げられる。
前記ゴム組成物において、充填剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、操縦安定性、グリップ性能の観点から、好ましくは30〜180質量部、より好ましくは35〜130質量部である。
前記ゴム組成物がシリカを含有する場合、シリカとともにシランカップリング剤を含むことが好ましい。
シランカップリング剤としては、ゴム工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができ特に限定されず、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、Momentive社製のNXT、NXT−Zなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などのグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などが挙げられる。市販品としては、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スルフィド系、メルカプト系が好ましい。
前記ゴム組成物がシランカップリング剤を含有する場合、その含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは5質量部以上である。下限以上にすることで、シランカップリング剤を配合したことによる効果が得られる傾向がある。また、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。上限以下にすることで、配合量に見合った効果が得られ、良好な混練時の加工性が得られる傾向がある。
使用できるゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)等のジエン系ゴムが挙げられる。ゴム成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、グリップ性能、耐摩耗性がバランスよく得られるという理由から、NR、BR、SBRが好ましく、SBR、BRがより好ましい。
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)等を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは40質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは80質量%以上である。下限以上にすることで、良好な操縦安定性、グリップ性能が得られる傾向がある。また、SBRの含有量の上限は、好ましくは95質量%以下である。
SBRのビニル量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは35質量%以上であり、また、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。上記範囲内であると、良好な操縦安定性、グリップ性能が得られる傾向がある。
なお、SBRのビニル量(1,2−結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
SBRのスチレン量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは35質量%以上であり、また、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。上記範囲内であると、良好な操縦安定性、グリップ性能が得られる傾向がある。
なお、SBRのスチレン量は、H−NMR測定によって測定できる。
高分子SBR及び低分子量SBRを併用する場合、高分子量SBRの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは40万以上、より好ましくは70万以上、更に好ましくは90万以上であり、また、好ましくは180万以下、より好ましくは150万以下、更に好ましくは130万以下である。一方、低分子量SBRの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは0.1万以上、より好ましくは0.3万以上、更に好ましくは0.5万以上であり、また、好ましくは5.0万以下、より好ましくは3.0万以下、更に好ましくは1.2万以下である。このような高分子量SBR、低分子量SBRを併用することで、良好な操縦安定性、グリップ性能が得られる傾向がある。
なお、SBRのMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMULTIPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
高分子SBR及び低分子量SBRを併用する場合、高分子量SBRの含有量/低分子量SBRの含有量(質量比)は、操縦安定性、グリップ性能の観点から、好ましくは90/10〜40/60、より好ましくは80/20〜50/50、更に好ましくは70/30〜60/40である。
SBRは、非変性SBR、変性SBRのいずれであってもよい。変性SBRとしては、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基を有するSBRであればよく、例えば、SBRの少なくとも一方の末端を、上記官能基を有する化合物(変性剤)で変性された末端変性SBR(末端に上記官能基を有する末端変性SBR)や、主鎖に上記官能基を有する主鎖変性SBRや、主鎖及び末端に上記官能基を有する主鎖末端変性SBR(例えば、主鎖に上記官能基を有し、少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性された主鎖末端変性SBR)や、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)され、水酸基やエポキシ基が導入された末端変性SBR等が挙げられる。
上記官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1〜6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基)、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1〜6のアルコキシシリル基)、アミド基が好ましい。
変性SBRに使用される変性剤としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル;ジグリシジル化ビスフェノールA等の2個以上のフェノール基を有する芳香族化合物のポリグリシジルエーテル;1,4−ジグリシジルベンゼン、1,3,5−トリグリシジルベンゼン、ポリエポキシ化液状ポリブタジエン等のポリエポキシ化合物;4,4’−ジグリシジル−ジフェニルメチルアミン、4,4’−ジグリシジル−ジベンジルメチルアミン等のエポキシ基含有3級アミン;ジグリシジルアニリン、N,N’−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ジグリシジルオルソトルイジン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル−p−フェニレンジアミン、ジグリシジルアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等のジグリシジルアミノ化合物;
ビス−(1−メチルプロピル)カルバミン酸クロリド、4−モルホリンカルボニルクロリド、1−ピロリジンカルボニルクロリド、N,N−ジメチルカルバミド酸クロリド、N,N−ジエチルカルバミド酸クロリド等のアミノ基含有酸クロリド;1,3−ビス−(グリシジルオキシプロピル)−テトラメチルジシロキサン、(3−グリシジルオキシプロピル)−ペンタメチルジシロキサン等のエポキシ基含有シラン化合物;
(トリメチルシリル)[3−(トリメトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3−(トリエトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3−(トリプロポキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3−(トリブトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3−(メチルジエトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3−(メチルジプロポキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3−(メチルジブトキシシリル)プロピル]スルフィド等のスルフィド基含有シラン化合物;
エチレンイミン、プロピレンイミン等のN−置換アジリジン化合物;メチルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン;4−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−N,N−ジ−t−ブチルアミノベンゾフェノン、4−N,N−ジフェニルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)ベンゾフェノン、N,N,N’,N’−ビス−(テトラエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミノ基及び/又は置換アミノ基を有する(チオ)ベンゾフェノン化合物;4−N,N−ジメチルアミノベンズアルデヒド、4−N,N−ジフェニルアミノベンズアルデヒド、4−N,N−ジビニルアミノベンズアルデヒド等のアミノ基及び/又は置換アミノ基を有するベンズアルデヒド化合物;N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−フェニル−2−ピロリドン、N−t−ブチル−2−ピロリドン、N−メチル−5−メチル−2−ピロリドン等のN−置換ピロリドンN−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−フェニル−2−ピペリドン等のN−置換ピペリドン;N−メチル−ε−カプロラクタム、N−フェニル−ε−カプロラクタム、N−メチル−ω−ラウリロラクタム、N−ビニル−ω−ラウリロラクタム、N−メチル−β−プロピオラクタム、N−フェニル−β−プロピオラクタム等のN−置換ラクタム類;の他、
N,N−ビス−(2,3−エポキシプロポキシ)−アニリン、4,4−メチレン−ビス−(N,N−グリシジルアニリン)、トリス−(2,3−エポキシプロピル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン類、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルマレイミド、N,N−ジエチル尿素、1,3−ジメチルエチレン尿素、1,3−ジビニルエチレン尿素、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1−メチル−3−エチル−2−イミダゾリジノン、4−N,N−ジメチルアミノアセトフェン、4−N,N−ジエチルアミノアセトフェノン、1,3−ビス(ジフェニルアミノ)−2−プロパノン、1,7−ビス(メチルエチルアミノ)−4−ヘプタノン等を挙げることができる。
なお、上記化合物(変性剤)による変性は公知の方法で実施可能である。
SBRとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等により製造・販売されているSBRを使用できる。
BRとしては特に限定されず、高シス含量のBR、低シス含量のBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
BRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、また、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。上記範囲内であると、良好な操縦安定性、乾燥路面及び湿潤路面でのブレーキ性能が得られる傾向がある。
BRのシス含量は、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは98質量%以上であり、上限は特に限定されない。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、BRのシス含量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
BRは、非変性BR、変性BRのいずれでもよく、変性BRとしては、前述の官能基が導入された変性BRが挙げられる。
BRとしては、例えば、宇部興産(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品を使用できる。
前記ゴム組成物は、オイル、液状ジエン系重合体の等の軟化剤(常温(25℃)で液体状態の軟化剤)を含むことが好ましい。なかでも、オイルが好ましい。
前記ゴム組成物において、オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは30質量部以上、より好ましくは40質量部以上、更に好ましくは50質量部以上であり、また、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下、更に好ましくは65質量部以下である。下限以上にすることで、良好な加工性、グリップ性能が得られ、上限以下にすることで、良好な操縦安定性が得られる傾向がある。なお、本明細書において、オイルの含有量には、油展ゴムに含まれるオイル量も含まれる。
オイルとしては、例えば、パラフィン系、アロマ系、ナフテン系プロセスオイルなどのプロセスオイルが挙げられる。
液状ジエン系重合体は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、1.0×10〜2.0×10であることが好ましく、3.0×10〜1.5×10であることがより好ましい。下限以上にすることで、良好な耐摩耗性、破壊特性が得られ、十分な耐久性を確保できる傾向がある。一方、上限以下にすることで、良好な重合溶液の粘度となり、優れた生産性が得られる傾向がある。
なお、本発明において、液状ジエン系重合体のMwは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算値である。
液状ジエン系重合体としては、液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)、液状ブタジエン重合体(液状BR)、液状イソプレン重合体(液状IR)、液状スチレンイソプレン共重合体(液状SIR)、液状スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(液状SBSブロックポリマー)、液状スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(液状SISブロックポリマー)、液状ファルネセン重合体、液状ファルネセンブタジエン共重合体等が挙げられる。これらは、末端や主鎖が極性基で変性されていても構わない。なかでも、液状IR、液状SBRが好ましい。
前記ゴム組成物では、軟化剤の含有量(軟化剤総量)は、操縦安定性、グリップ性能の性能バランスの観点から、ゴム成分100質量部に対して、30〜100質量部が好ましく、40〜80質量部がより好ましく、50〜65質量部が更に好ましい。なお、本明細書において、軟化剤の含有量には、油展ゴムに含まれるオイル量も含まれる。
前記ゴム組成物には、常温(25℃)で固体状態のレジン(樹脂)を配合してもよい。レジンの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、3〜50質量部が好ましく、7〜40質量部がより好ましい。
レジンとしては、例えば、芳香族ビニル重合体、クマロンインデン樹脂、インデン樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。市販品としては、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、Rutgers Chemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、JXエネルギー(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業(株)、東亞合成(株)等の製品を使用できる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、芳香族ビニル重合体、クマロンインデン樹脂、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂が好ましい。
上記芳香族ビニル重合体としては、α−メチルスチレン及び/又はスチレンを重合して得られる樹脂が挙げられ、例えば、スチレンの単独重合体、α−メチルスチレンの単独重合体、α−メチルスチレンとスチレンとの共重合体などが例示される。なかでも、α−メチルスチレンとスチレンとの共重合体が好ましい。
上記クマロンインデン樹脂とは、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロン及びインデンを含む樹脂であり、クマロン、インデン以外に骨格に含まれるモノマー成分としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルインデン、ビニルトルエンなどが挙げられる。
上記インデン樹脂とは、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、インデンを含む樹脂である。
上記ロジン系樹脂(ロジン類)変性の有無によって分類可能であり、無変性ロジン(未変性ロジン)、ロジン変性体(ロジン誘導体)に分類できる。無変性ロジンとしては、トールロジン(別名トール油ロジン)、ガムロジン、ウッドロジン、不均斉化ロジン、重合ロジン、水素化ロジン、その他の化学的に修飾されたロジンなどが挙げられる。ロジン変性体は無変性ロジンの変性体であって、ロジンエステル類、不飽和カルボン酸変性ロジン類、不飽和カルボン酸変性ロジンエステル類、ロジンのアミド化合物、ロジンのアミン塩などが挙げられる。
ロジン系樹脂は、カルボキシル基の含有量が過度に高くなく、適度な酸価を有していることが好ましい。具体的には、ロジン系樹脂の酸価は、通常、0mgKOH/gを超え、例えば、200mgKOH/g以下、好ましくは100mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下、さらに好ましくは10mgKOH/g以下である。
なお、酸価は、後述する実施例に準拠して測定できる。なお、酸価が過度に高い場合などには、公知のエステル化処理によって、ロジン類のカルボキシル基を低減し、酸価を上記範囲に調整することも可能である。
上記テルペン系樹脂としては、テルペン化合物を重合して得られるポリテルペン樹脂や、テルペン化合物と芳香族化合物とを重合して得られる芳香族変性テルペン樹脂などを使用できる。また、これらの水素添加物を使用することもできる。
上記ポリテルペン樹脂は、テルペン化合物を重合して得られる樹脂である。該テルペン化合物は、(Cの組成で表される炭化水素及びその含酸素誘導体で、モノテルペン(C1016)、セスキテルペン(C1524)、ジテルペン(C2032)などに分類されるテルペンを基本骨格とする化合物であり、例えば、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテン、リモネン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α−フェランドレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、テルピノレン、1,8−シネオール、1,4−シネオール、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオールなどが挙げられる。
上記ポリテルペン樹脂としては、上述したテルペン化合物を原料とするピネン樹脂、リモネン樹脂、ジペンテン樹脂、ピネン/リモネン樹脂などが挙げられる。なかでも、重合反応が容易である点、天然松脂が原料のため、安価であるという点から、ピネン樹脂が好ましい。ピネン樹脂は、通常、異性体の関係にあるα−ピネン及びβ−ピネンの両方を含んでいるが、含有する成分の違いにより、β−ピネンを主成分とするβ−ピネン樹脂と、α−ピネンを主成分とするα−ピネン樹脂とに分類される。
上記芳香族変性テルペン樹脂としては、上記テルペン化合物及びフェノール系化合物を原料とするテルペンフェノール樹脂や、上記テルペン化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンスチレン樹脂などが挙げられる。また、上記テルペン化合物、フェノール系化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンフェノールスチレン樹脂を使用することもできる。なお、フェノール系化合物としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、クレゾール、キシレノールなどが挙げられる。また、スチレン系化合物としては、スチレン、α−メチルスチレンなどが挙げられる。
前記ゴム組成物は、硫黄(硫黄加硫剤)を含むことが好ましい。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。市販品としては、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム成分100質量部に対する前記硫黄(硫黄加硫剤)の含有量は、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上である。下限以上にすることで、良好な操縦安定性、グリップ性能が得られる傾向がある。上限は特に限定されないが、好ましくは5.0質量部以下、より好ましくは3.0質量部以下、更に好ましくは2.5質量部以下である。
前記ゴム組成物は、加硫促進剤を含むことが好ましい。
加硫促進剤としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド(DM(2,2’−ジベンゾチアゾリルジスルフィド))、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT−N)等のチウラム系加硫促進剤;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スルフェンアミド系、グアニジン系加硫促進剤が好ましい。
加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、加硫特性等の観点から、好ましくは1.0質量部以上、より好ましくは2.0質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは8.0質量部以下、より好ましくは5.0質量部以下である。
前記ゴム組成物は、ワックスを含んでもよい。
ワックスとしては、特に限定されず、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;植物系ワックス、動物系ワックス等の天然系ワックス;エチレン、プロピレン等の重合物等の合成ワックス等が挙げられる。市販品として、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、石油系ワックスが好ましく、パラフィンワックスがより好ましい。
ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは6質量部以下である。
前記ゴム組成物は、老化防止剤を含んでもよい。
老化防止剤としては特に限定されず、例えば、フェニル−α−ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン等のp−フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤などが挙げられる。市販品としては、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、p−フェニレンジアミン系老化防止剤(より好ましくは、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)が好ましい。
老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。また、好ましくは7質量部以下、より好ましくは6質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。
前記ゴム組成物は、脂肪酸、特にステアリン酸を含んでもよい。
ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、例えば、日油(株)、NOF社、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。
脂肪酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。
前記ゴム組成物は、酸化亜鉛を含んでもよい。
酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下である。
前記ゴム組成物には、前記成分の他、タイヤ工業において一般的に用いられている添加剤を配合でき、界面活性剤等を例示できる。
前記ゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法などにより製造できる。
混練条件としては、架橋剤(加硫剤)及び加硫促進剤以外の添加剤を混練するベース練り工程では、混練温度は、通常100〜180℃、好ましくは120〜170℃である。加硫剤、加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程では、混練温度は、通常120℃以下、好ましくは85〜110℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を混練した組成物は、通常、プレス加硫などの加硫処理が施される。加硫温度としては、通常140〜190℃、好ましくは150〜185℃である。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。すなわち、上記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッド(単層トレッド、多層トレッドのキャップトレッド等の路面に接触する部材)等の形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを得る。
前記タイヤは、乗用車用タイヤ、大型乗用車用、大型SUV用タイヤ、トラック、バスなどの重荷重用タイヤ、ライトトラック用タイヤ、二輪自動車用タイヤ、レース用タイヤ(高性能タイヤ)などに使用可能である。
実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
SBR1:日本ゼオン(株)製のNipol NS522(スチレン量39質量%、ビニル量40質量%、Mw107万、ゴム固形分100質量部に対してオイル分37.5質量部含有)
SBR2:旭化成(株)製のタフデン4850(スチレン量40質量%、ビニル量47質量%、Mw0.8万、ゴム固形分100質量部に対してオイル分50質量部含有)
BR:宇部興産(株)製のBR150B(シス含量:98質量%)
シリカ(1):エボニックデグザ社製ウラトシルVN3(NSA172m/g)
シリカ(2):エボニックデグザ社製ウルトラジル360(NSA50m/g)
カーボンブラック(1):キャボット社製Vulcan10H(N134、NSA144m/g)
カーボンブラック(2):三菱化学(株)製シーストN220(NSA114m/g)
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスAH−24(アロマ系プロセスオイル)
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸
酸化亜鉛:酸化亜鉛3種(ハクスイテック(株)製)
ワックス:日本精蝋(株)製のオゾエース0355
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤NS:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)
加硫促進剤DPG:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’−ジフェニルグアニジン)
(実施例及び比較例)
表1に示す配合処方に従い、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。
表2に示す仕様に従い、得られた未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを作製し、170℃の条件下で10分間プレス加硫し、図1、2に示すトレッド接地面を有する試験用タイヤ(サイズ:195/65R15)を得た。
得られた試験用タイヤを下記により評価した。結果を表2に示す。
<ウェットグリップ性能>
各試験用タイヤを車両(国産FF2000cc)の全輪に装着して、湿潤アスファルト路面にて初速度100km/hからの制動距離を求め、比較例1を100として指数で表示した(ウェットグリップ性能指数)。指数が大きいほど制動距離が短く、ウェットグリップ性能に優れることを示す。
<操縦安定性>
各試験用タイヤを車両(国産FF2000cc)の全輪に装着させ、一般的な走行条件のテストコースで実車走行を行った。操舵時のコントロールの安定性(操縦安定性)をテストドライバーが官能評価し、比較例1を100として指数表示をした。操縦安定性指数が大きいほど操縦安定性が優れることを示す。
Figure 2020023247
Figure 2020023247
表1、2より、ショルダー陸部において、タイヤ軸方向に延びるショルダー横溝が設けられ、各ショルダー横溝のタイヤ軸方向長さ及び隣接するショルダー横溝間のタイヤ周方向距離がトレッド幅に対して所定範囲の範囲内である実施例では、操縦安定性、ウェットグリップ性能がバランス良く改善された。
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
3 周方向主溝
3s ショルダー主溝
3c センター主溝
4 陸部
4m ミドル陸部
4s ショルダー陸部
30 ショルダー横溝
30i ショルダー横溝30のタイヤ軸方向の内端
L30 1つのショルダー横溝30のタイヤ軸方向長さ
30 タイヤ周方向で隣接するショルダー横溝30、30のタイヤ周方向距離
31 第1部分
32 第2部分
C タイヤ赤道
θ1 タイヤ軸方向に対するショルダー横溝の角度
TW トレッド幅

Claims (2)

  1. トレッド部に、タイヤ周方向に延びる少なくとも3本の周方向主溝と、前記周方向主溝によって区画されかつタイヤ軸方向最外側に配されるショルダー陸部を含む少なくとも4本の陸部とが設けられた空気入りタイヤであって、
    前記ショルダー陸部の少なくとも一方に、タイヤ軸方向に延びるショルダー横溝が設けられ、
    トレッド接地面内において、前記ショルダー横溝のタイヤ軸方向長さがトレッド幅の10〜30%、隣接する前記ショルダー横溝間のタイヤ周方向距離がトレッド幅の20〜60%であり、
    前記ショルダー陸部を構成するゴム組成物は、ゴム成分に対してカーボンブラックを40質量部以上、シリカを30質量部以上含む、
    ことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記ショルダー陸部を構成するゴム組成物は、ゴム成分に対してカーボンブラックを50質量部以上含む請求項1記載の空気入りタイヤ。
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