JP2020019563A - 包装袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】内部を視認可能であるとともに、開封後の開閉が容易な包装袋を提供する。【解決手段】基材層11と、熱接着性樹脂層17と、を含むとともに金属箔層を含まない透明な樹脂シート100を前後に配置して重ね、周縁を熱接着性樹脂層17により接着して形成された接着部21を備えた包装袋1であって、熱接着性樹脂層17は、所定の波長域のレーザー光を透過し、基材層11は、熱接着性樹脂層17に比べて所定の波長域のレーザー光の透過率が低く、対向して配置された前面側シート100及び背面側シート100の基材層11には、所定の波長域のレーザー光が照射された部分に形成されるハーフカット線15から成る切断部50、60を備えていることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、引裂により開封される包装袋に関する。
従来の包装袋は特許文献1に開示されている。この包装袋は、端部に切込みを設け、切込みが伸展するような引裂直線性を有する二軸延伸フィルムを用いている。これにより、切込みの先端から引裂直線性を有する方向に沿って、切込みが伸展する。そのため、包装袋を容易に開封することが可能である。
特開平10−168293号公報
しかしながら、このような包装袋は、引裂直線性を有するフィルムを用いる必要があり、使用する材料が限定される。また、このような包装袋において、引裂きによって形成される開口は、引裂直線性に沿って直線状に形成される。このとき、直線状の開口は前後に重なるため、表側のフィルムと裏側のフィルムとを離間させにくく、開閉性が悪くなる場合があった。
本発明は、内部を視認可能であるとともに、開封後の開閉が容易な包装袋を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明の包装袋は、基材層と、熱接着性樹脂層と、を含むとともに金属箔層を含まない透明な樹脂シートを前後に配置して重ね、周縁を前記熱接着性樹脂層により接着して形成された接着部を備えた包装袋であって、前記熱接着性樹脂層は、所定の波長域のレーザー光を透過し、前記基材層は、前記熱接着性樹脂層に比べて前記所定の波長域のレーザー光の透過率が低く、対向して配置された前面側シート及び背面側シートの前記基材層には、前記所定の波長域のレーザー光が照射され部分に形成されるハーフカット線から成る切断部を備えていることを特徴とする。
この構成によると、包装袋に金属薄層を含まないため内部に収容された収容物を外部から視認することが可能である。また、基材層には、レーザー光の一部を吸収する材料を用い、熱接着性樹脂層には、レーザー光が透過する材料を用いることで、中間層として金属薄層を備えない構成であっても、レーザー光によるハーフカット線の形成が可能である。これにより、曲線、折れ線等の複雑な形状のハーフカット線を形成することが可能であり、前面側シートと背面側シートで切断部の形状を調整することが可能である。
また、レーザー光の一部が基材層で吸収され、熱接着性樹脂層で透過するため、基材層にのみハーフカット線を形成し、熱接着性樹脂層にはハーフカット線を形成しないようにすることが可能である。これにより、包装袋は、ガスバリア性を確保することができる。また、金属箔層が含まれないので、廃棄時に分別が不要であり、使用者の利便性が高い。さらに焼却時の焼却施設の負担を減らすことも可能である。
上記構成において、前記所定の波長域のレーザー光は、炭酸ガスレーザー光であり、前記熱接着性樹脂層は、ポリエチレン及び無延伸ポリプロピレンの少なくともひとつを含んでよい。
上記構成において、前記基材層は、ポリエチレンテレフタレート及び延伸ナイロンの少なくとも1つを含んでよい。
上記構成において、少なくとも基材層と、熱接着性樹脂層と、を含むとともに金属箔層を含まない透明な樹脂シートを前後に配置して重ね、周縁を前記熱接着性樹脂層により接着して形成された接着部を備えた包装袋であって、対向して配置された前面側シート及び背面側シートの少なくとも一方は、前記基材層と前記熱接着性樹脂層との間に中間層を含み、前記熱接着性樹脂層は、所定の波長域のレーザー光を透過し、前記基材層及び前記中間層の少なくとも一方は、前記熱接着性樹脂層に比べて前記所定の波長域のレーザー光の透過率が低く、前記所定の波長域のレーザー光が照射される部分に形成されるハーフカット線から成る切断部を備えていてよい。
上記構成において、前記所定の波長域のレーザー光は、炭酸ガスレーザー光であり、前記熱接着性樹脂層は、ポリエチレン及び無延伸ポリプロピレンの少なくともひとつを含んでよい。
上記構成において、前記基材層は、前記熱接着性樹脂層よりも前記所定の波長域のレーザー光の透過率が低く、前記基材層は、ポリエチレンテレフタレート及び延伸ナイロンの少なくとも1つを含んでよい。
上記構成において、前記中間層は、前記熱接着性樹脂層よりも前記所定の波長域のレーザー光の透過率が低く、前記中間層は、ポリエチレンテレフタレート及び延伸ナイロンの少なくとも1つを含んでよい。
上記構成において、前記前面側シートの前記切断部と前記背面側シートの前記切断部とが左右方向の中央部で上下方向に異なる位置に配置されてよい。
本発明の包装袋によると、内部を視認可能であるとともに、開封後の開閉を容易に行える。
本発明にかかる包装袋の一例の正面図である。 図1に示す包装袋の前面部を構成する樹脂シートを示す図である。 図1に示す包装袋の背面部を構成する樹脂シートを示す図である。 前面部の樹脂シートの切断部近傍の断面図である。 包装袋のノッチ部よりも上側の部分を奥側に引裂いた時の切断線を示す図である。 包装袋のノッチ部よりも上側の部分を手前側に引裂いた時の切断線を示す図である。 第1実施例〜第4実施例それぞれの炭酸ガスレーザー光によって加工された部分の断面を示す図である。 本発明にかかる包装袋を構成する樹脂シートの他の例の切断部を拡大した断面図である。 本発明にかかる包装袋に用いられる樹脂シートの他の例の断面図である。
<第1実施形態>
以下に図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明にかかる包装袋の一例の正面図である。図2は、図1に示す包装袋の前面部を構成する樹脂シートを示す図である。図3は、図1に示す包装袋の背面部を構成する樹脂シートを示す図である。包装袋1は四辺を接着した所謂四方シール袋である。包装袋1は、袋本体2及びチャック部材3を有する。チャック部材3は樹脂により形成され、袋本体2の上部の内面に接着される。
袋本体2は透明な樹脂シート100から成り、前面部5及び背面部6を有する。袋本体2の周縁には樹脂シート100の内面に配した熱接着性樹脂層17(後述の図4参照)同士を熱接着して熱接着部21が形成される。
前面部5と背面部6とは互いに対向して上端部、両側端部及び下端部を熱接着部21で接着される。なお、袋本体2の上端部は開放され、内容物Sを収納後に熱接着部21により熱接着される。
袋本体2のチャック部材3の下方には内容物Sを収納する収納部4が形成される。チャック部材3の開閉により収納部4の上方が開閉される。なお、内容物Sに特に限定はなく、例えば液状、ゲル状、固形状、粉末状等の食品や化粧品、洗剤、医薬品等を挙げることができる。
前面部5及び背面部6の外面上には内容物Sに関する情報(文字や図柄等)が印刷される。なお、内容物Sに関する情報が印刷されたシートを前面部5及び背面部6の外面に貼着してもよい。なお、前面部5及び背面部6を構成する樹脂シート100では、後述する印刷層12を設けて印刷層12で図柄を形成している。
チャック部材3よりも上方の袋本体2の両側縁の熱接着部21上にはV字状のノッチ部22が形成される。なお、ノッチ部22の形状はV字状に限定されず、I字状やU字状やホームベース形状でもよい。前面部5及び背面部6のチャック部材3の上方にはそれぞれ、前面切断部50及び背面切断部60が形成される。
図1、図3に示すように、背面切断部60は、左右方向に延びるハーフカット線から成る。背面切断部60は傾斜部61及び直線部62を有する。傾斜部61はノッチ部22に沿ったV字状に形成される。傾斜部61の内端61aは熱接着部21よりも内側に配される。直線部62は左右方向に直線状に延び、左右の傾斜部61を連結する。なお、傾斜部61をノッチ部22に沿ったU字状やコ字状に形成してもよい。
図1、図2に示すように、前面切断部50は、左右方向に延びるハーフカット線から成る。前面切断部50は傾斜部51、直線部52、上側曲線部53及び下側曲線部54を有する。傾斜部51はノッチ部22に沿ったV字状に形成される。傾斜部51の内端51aは熱接着部21よりも内側に配される。なお、前面切断部50では、上側曲線部53及び下側曲線部54は、曲線であるが、例えば、複数の直線を繋いだ折れ線で形成されてもよい。
直線部52は傾斜部51の内端51aから前面部5の左右方向中央側に向かって直線状に所定距離延びて形成される。上側曲線部53は上に凸になるように湾曲し、左右の直線部52を連結する。下側曲線部54は下に凸になるように湾曲し、左右の直線部52を連結する。
前面部5の傾斜部51と背面部6の傾斜部61(図1参照)は正面視で重なって形成され、前面部5の直線部52と背面部6の直線部62は正面視で重なって形成される。また、上側曲線部53及び下側曲線部54は直線部62よりもそれぞれ上方及び下方にずれて配され、正面視で直線部62とは重なっていない。すなわち、前面切断部50と背面切断部60とは左右方向の中央部で上下方向に異なる位置に形成される。
図4は、前面部の樹脂シートの切断部近傍の断面図である。なお、背面部6の樹脂シート100の構成も前面部5の樹脂シート100の構成と同様であるため、前面部5の樹脂シート100を代表して説明する。
樹脂シート100は袋本体2の外側から内側に向かって順に基材層11、熱接着性樹脂層17を積層して形成される。基材層11と熱接着性樹脂層17とは接着層14を介して接着される。
基材層11の下面(熱接着性樹脂層17側)の所定位置には図柄等を印刷する印刷層12が形成される。印刷層12を基材層11の上面(外側)に設けてもよい。
基材層11は例えば厚さ約9〜25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムにより形成される。なお、基材層11として例えば一軸または二軸に延伸したナイロンフィルムを用いることもできる。基材層11は、後述する炭酸ガスレーザー光(波長10.6μm)の一部を吸収する材料を広く採用できる。印刷層12は基材層11上の所定位置に配したインキにより厚さ約1〜5μmに形成される。基材層11の下面(内側)には、透明蒸着膜を蒸着した蒸着フィルムにより形成されてもよい。透明蒸着膜はシリカやアルミナ等により形成される。
熱接着性樹脂層17は例えば厚さ約25〜150μmのポリエチレンフィルム(PEF)により形成される。対向する熱接着性樹脂層17が互いに熱接着されることにより熱接着部21(図1参照)が形成される。なお、熱接着性樹脂層17の厚みは内容物Sが固形物である場合には約30〜40μmに形成され、内容物Sが液状物の場合には約80〜100μmに形成されると望ましい。また、熱接着性樹脂層17を構成するポリエチレンフィルムは、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)や低密度ポリエチレン(LDPE)により形成してもよい。さらに熱接着性樹脂層17として、ポリエチレンフィルムに替えてポリプロピレン(無延伸ポリプロピレン:CPP)により形成してもよい。熱接着性樹脂層17は、熱接着性を有するとともに、炭酸ガスレーザー光が略吸収されない、換言すると、透過する材料を広く採用することができる。
接着層14は例えば厚さ約5〜30μmのポリエチレンフィルム等により形成される。エクストルージョンコーター(不図示)等を用いた押出し法により接着層14を介して基材層11と熱接着性樹脂層17とが接着される。ウレタン系等の接着剤から成る接着層14を用いたドライラミネート法により、基材層11と熱接着性樹脂層17とを接着してもよい。
前面切断部50及び背面切断部60は前面部5及び背面部6の外側(図4の矢印A方向)から炭酸ガスレーザー光を照射し、前面切断部50及び背面切断部60を構成するように、レーザー光を移動(走査)する。この時、基材層11に到達したレーザー光のエネルギの少なくとも一部は基材層11に吸収される。基材層11のレーザー光が照射された部分において、レーザー光のエネルギの少なくとも一部は、基材層11に吸収される。基材層11は、吸収したエネルギによって発熱し、溶融される。これにより基材層11は、レーザー光が照射された軌跡に沿って切断される。一方、基材層11と隣り合う熱接着性樹脂層17は、レーザー光が透過するため、発熱せず加工されない。
すなわち、前面部5及び背面部6にレーザー光を照射するとともに、走査することで、基材層11のみ切断されてハーフカット線15が形成され、前面切断部50及び背面切断部60が形成される。ここで、ハーフカット線15とは、図4に示すような積層された樹脂シート100において、一部に形成される凹部又は貫通部であって、樹脂シート100の全ての層を貫通するものではない形状のものを指す。
そして、前面切断部50及び背面切断部60を形成した後に、前面部5及び背面部6を熱接着性樹脂層17を接触させて、加熱、加圧することで、熱接着を行って、熱接着部21を形成する。
以上のように作製した包装袋1において、使用者がノッチ部22から袋本体2の上部の前面切断部50及び背面切断部60を破断すると、前面部5及び背面部6は直線部62に沿って破断されて包装袋1が開封される。使用者が前面部5及び背面部6の上端部を摘持して互いに離れる方向に引くと、チャック部材3が開かれる。使用者はチャック部材3を開き、収納部4の上面を介して内容物Sを取り出すことができる。また、使用者はチャック部材3を閉じ、残りの内容物Sを容易に保管することができる。
包装袋1は、ノッチ部22よりも上部を奥(背面)側に引く場合と、手前(前)側に引く場合とで、前面切断部50の切断線が異なる。図5は、包装袋のノッチ部よりも上側の部分を奥側に引裂いた時の切断線を示す図である。図6は、包装袋のノッチ部よりも上側の部分を手前側に引裂いた時の切断線を示す図である。
図5に示すように、使用者がノッチ部22から袋本体2の上部の前面切断部50、背面切断部60を破断すると、包装袋1が開封される。この時、使用者がノッチ部22から上の部分を背面側に力を加えながら袋本体2を破断すると前面部5は上側曲線部53に沿って破断され、背面部6は直線部62に沿って破断される。
この時、前面部5の上側曲線部53と背面部6の直線部62とが左右方向の中央部で上下方向に異なる位置に形成されている。これにより、破断後の前面部5の上端と背面部6の上端との間に段差56が形成される。したがって、使用者は前面部5及び背面部6の上端部を容易に摘持して互いに離れる方向に引き、チャック部材3を容易に開くことができる。
図6に示すように、使用者がノッチ部22から上の部分を手前側に力を加えながら袋本体2を破断すると前面部5は下側曲線部54に沿って破断され、背面部6は直線部62に沿って破断される。
この時、前面部5の下側曲線部54と背面部6の直線部62とが左右方向の中央部で上下方向に異なる位置に形成されている。これにより、破断後の前面部5の上端と背面部6の上端との間に段差56が形成される。したがって、使用者は前面部5及び背面部6の上端部を容易に摘持して互いに離れる方向に引き、チャック部材3を容易に開くことができる。
次に、上述した包装袋1の開封性及びガスバリア性に対して評価を行った。以下に、包装袋1の評価の詳細について説明する。
試験片は、基材層11として、外側に厚み12μmのアルミナが蒸着されたポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:IB-PET-PUB、大日本印刷株式会社製)を使用した。また、熱接着性樹脂層17として、40μmのポリエチレンフィルム(商品名:A−1、タマポリ株式会社製)をそれぞれ使用した。そして、エクストルージョンコーターを用いて押出し法により樹脂シート100を形成した。
樹脂シート100の外側から炭酸ガスレーザー光(波長、10.6μm)を照射してハーフカット線15を形成した。炭酸ガスレーザー光は、炭酸ガスレーザー光照射装置(装置名:ML−G9300、株式会社キーエンス製)を用いて照射した。
このとき、炭酸ガスレーザー光照射装置の出力は、最大出力に対して70%、75%、80%及び85%を採用した。また、炭酸ガスレーザー光の基材層11に照射している部分の移動速度(走査速度)は、いずれの出力でも4000mm/sとしている。なお、最大出力の70%の炭酸ガスレーザー光を照射した試験片を第1実施例とする。同様に、75%の試験片を第2実施例、80%の試験片を第3実施例、85%の試験片を第4実施例として説明する。
各実施例における炭酸ガスレーザー光による加工状態を図面を参照して説明する。図7は、第1実施例〜第4実施例それぞれの炭酸ガスレーザー光によって加工された部分の断面を示す図である。図7の各写真において、炭酸ガスレーザー光は、上から下に向けて照射される。
図7の各写真に示すように、炭酸ガスレーザー光の出力にかかわらず、基材層11は切断(加工)されるが、熱接着性樹脂層17は加工されていない、或いは、略加工されていない。
このことは、基材層11と熱接着性樹脂層17との炭酸ガスレーザー光の透過率(吸収率)の差によるものである。すなわち、ポリエチレンテレフタレートで形成された基材層11は、照射された炭酸ガスレーザー光の波長域(10.6μm)の光に対して、約60%〜約75%程度の透過率である。そのため、ポリエチレンテレフタレートからなる基材層11は、照射された炭酸ガスレーザー光のエネルギの4割程度を吸収し、発熱により溶融して加工される。一方、ポリエチレンの炭酸ガスレーザー光の透過率は、97%〜100%である。そのため、ポリエチレンからなる熱接着性樹脂層17は、炭酸ガスレーザー光が透過し、加工されにくい。
そして、第1実施例〜第4実施例の断面を見ると、第1実施例、第2実施例では、基材層11の上部が完全に切断されていない。一方、第3実施例、第4実施例では、基材層11が完全に切断されている。つまり、出力が大きいほど、確実に切断されていることがわかる。すなわち、上述のような基材層11及び熱接着性樹脂層17を備えた樹脂シート100では、基材層11は、炭酸ガスレーザー光の出力が大きくなるほど、より確実に加工される。また、熱接着性樹脂層17は、炭酸ガスレーザー光の出力にかかわらず、加工されにくい。
各実施例の樹脂シート100に、前面切断部50を形成して前面部5を形成する。また、背面切断部60を形成して背面部6を形成する。そして、前面部5と背面部6とを互いの熱接着性樹脂層17が接触するように重ね合わせ、上下左右の四端部をそれぞれ熱接着して、包装袋1を形成した。なお、前面部5と背面部6とは、同じ実施例の樹脂シート100を用いている。
なお、第1実施例〜第4実施例の樹脂シート100で包装袋1を形成した。そして、第1実施例〜第4実施例の包装袋1に対して、引裂追従性の試験を行った。試験は、各例の包装袋1の前面を上にして、ノッチ部22よりも上の部分を左から奥側(背面側)に引裂く背面引裂きと、手前側(前面側)に引裂く前面引裂きと、を行った。各例の背面引裂き及び前面引裂きのサンプル数はそれぞれ10である。そして、前面切断部50及び背面切断部60に沿って切断された割合(%)を求める。引裂き追従性を表1に示す。
表1に示すように、炭酸ガスレーザー光の出力が小さいときには、背面引裂き時の追従性が低いが、出力を上げると、追従性が上昇し、炭酸ガスレーザー光の出力が最大出力の80%、85%では、前面切断部50及び背面切断部60に100%追従していることがわかる。すなわち、上側曲線部53及び下側曲線部54といった、特殊な形状のハーフカット線15を確実に形成できていることがわかる。また、前面引裂き時には、ガスレーザー光の出力が低い場合でも、引裂き追従性が高い。
すなわち、本発明にかかる包装袋1では、中間層としてレーザー光を透過させない金属薄層を配置することなく、十分な引裂追従性を有する切断部を形成できることが分かった。
そして、ガスバリア性の比較を行うために、炭酸ガスレーザー光を照射しない試料も作成した。包装袋1のガスバリア性は水蒸気透過度(WVTR)で評価した。水蒸気透過度の測定は実包法(塩化カルシウムを詰めた袋の封をし、保存前後の重量差を測定)により、温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下で実施した。測定を開始して1週間経過後の測定値で比較している。各例のサンプル数は3である。その結果を、表2に示す。
表2によると、炭酸ガスレーザー光による加工を行わなかった包装袋の水蒸気量は、0.3g/m2・dayであった。一方、炭酸ガスレーザー光で加工した、第1実施例〜第4実施例は、0.5g/m2・dayであった。レーザ加工によりガスバリア性が低下するが、収容物によっては使用可能であることが分かった。
また、本発明にかかる包装袋1では、中間層としてガスバリア性を有する金属箔層を省略しているが、収容物によっては保存可能であることが分かった。
本実施形態によると、中間層に金属箔層を備えない樹脂シートに、炭酸ガスレーザー光による加工を行うことで形成される。金属箔層の積層工程が不要になるため、包装袋1の製造工程を省略することが可能である。また、金属薄層を省略できるため、樹脂シートを透明なものとすることができる。これにより、内部に収容した収容物の保存状態の確認が容易になる。
また、包装袋1には金属箔層を備えないので、廃棄時に分別が不要であり、それだけ、使用者の手間を省くことが可能である。さらに、廃棄された包装袋を焼却処理する場合において、金属箔が含まれていることによる焼却施設の負担を無くすことができる。
本実施形態によると、基材層11は、熱接着性樹脂層17に比べて炭酸ガスレーザー光の透過率が低く、対向して配置された前面側シート100及び背面側シート101の前記基材層11には、炭酸ガスレーザー光が照射された部分に形成されるハーフカット線15から成る切断部50、60を備えている。このため、炭酸ガスレーザー光を照射して基材層11に切断部50、60を形成する際にレーザー光が基材層11で吸収され、熱接着性樹脂層17を透過する。これにより、基材層11にのみ切断部50、60が形成される。これにより、引裂による開封が容易であるとともに、包装袋1を透明に形成して内部を視認することができる。
また、従来のような金属箔を含まないため、包装袋1の内部に混入した金属片等を金属探知機で容易に検知することができる。
また、熱接着性樹脂層17は、ポリエチレン及び無延伸ポリプロピレンの少なくとも1つを含む。これにより、炭酸ガスレーザー光が透過するため、熱接着性樹脂層17は加工されにくい。
また、基材層11は、ポリエチレンテレフタレート及び延伸ナイロンの少なくとも1つを含む。これにより、基材層11には、炭酸ガスレーザー光の照射によって、ハーフカット線15を形成できる。
<第2実施形態>
本発明にかかる包装袋の他の例について図面を参照して説明する。図8は、本発明にかかる包装袋を構成する樹脂シートの他の例の切断部を拡大した断面図である。本実施形態の樹脂シート101は、基材層11と熱接着性樹脂層17との間に、中間層13を備えている。これ以外の構成については、第1実施形態の樹脂シート100と同じである。そのため、樹脂シート101の樹脂シート100と同じ部分については、同じ符号を付すとともに、同じ部分の詳細な説明は省略する。
図8に示すように、樹脂シート101は、基材層11と熱接着性樹脂層17との間に、中間層13を備えている。すなわち、樹脂シート101は、基材層11、中間層13及び熱接着性樹脂層17が積層されている。
中間層13は、例えば、基材層11と同じ材質の層である。すなわち、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムにより形成される。なお、中間層13として例えば一軸または二軸に延伸したナイロンフィルムを用いることもできる。中間層13は、炭酸ガスレーザー光(波長10.6μm)の一部を吸収する材料を広く採用できる。基材層11と中間層13とは、接着層14を介して積層される。印刷層12は基材層11と中間層13との間にインキにより厚さ約1〜5μmで形成される。基材層11の下面(内側)には、透明蒸着膜を蒸着した蒸着フィルムにより形成されてもよい。透明蒸着膜はシリカやアルミナ等により形成される。また、中間層13と熱接着性樹脂層17とは、接着層16を介して積層される。接着層16は、接着層14と同様の構成を有する。
このような、樹脂シート101において、中間層13は、基材層11と同様、炭酸ガスレーザー光の(エネルギの)一部を吸収する。そのため、樹脂シート101において、炭酸ガスレーザー光で加工を行う場合、炭酸ガスレーザー光の一部は基材層11で吸収されて、基材層11が発熱し、溶融することでハーフカット線15が加工される。そして、炭酸ガスレーザー光は、基材層11を透過し、中間層13に照射されて一部が中間層13で吸収される。これにより、中間層13にハーフカット線15が加工される。
すなわち、基材層11と中間層13の両方にハーフカット線15が形成される。このように、基材層11と中間層13の両方にハーフカット線15が形成されるため、引裂き時の切断部への追従性をより高くすることが可能である。また、基材層11のハーフカット線15を大きくし、中間層13のハーフカット線15を小さくしても、引裂き時の切断部への追従性を高めることが可能である。中間層13のハーフカット線15を小さくすることで、中間層13の切断部におけるガスバリア性を高めることができる。これにより、包装袋1のガスバリア性を高めることが可能となる。
<変形例>
図9は、本発明にかかる包装袋に用いられる樹脂シートの他の例の断面図である。第2実施形態では、中間層13と基材層11とを、炭酸ガスレーザー光を一部吸収する材料を用いていた。しかしながら、これに限定されない。例えば、図9に示す樹脂シート102のように、中間層13に炭酸ガスレーザー光で加工される材料を用いる場合、基材層11として、無延伸ポリプロピレン、ポリエチレンフィルム等、炭酸ガスレーザー光が透過する材料を用いてもよい。このようにすることで、中間層13にはハーフカット線15が形成されるが、基材層11にはハーフカット線15が形成されない。このようにすることで、包装袋1は、透明で引裂き時の切断部への追従性が高くなるとともに、ガスバリア性を高めることが可能である。これにより、長期保存が可能となる。
以上示した樹脂シート101は、一例であり、上述の構成に限定されるものではない。上述の構成以外に、例えば、次の構成を挙げることが可能である。延伸ナイロン(ONY)を基材層11とし、印刷層12、接着層14を介してポリエチレンフィルムからなる熱接着性樹脂層17を積層した樹脂シート。ポリエチレンテレフタレートPETを基材層11とし、印刷層12、接着層14を介して延伸ナイロン(ONY)からなる中間層13を積層し、さらに接着層16を介してポリエチレンフィルムからなる熱接着性樹脂層17を積層した樹脂シート。ポリエチレンテレフタレートPETを基材層11とし、印刷層12、アンカーコート層を介して押出ポリエチレンからなる中間層13を介してポリエチレンフィルムからなる熱接着性樹脂層17を積層した樹脂シート。また、基材層11及び中間層13の少なくとも一方が、炭酸ガスレーザー光を吸収する材料を用い、金属箔層を省いた樹脂シート。
上述の各実施形態では、樹脂シートのハーフカット線15を形成するレーザー光として、炭酸ガスレーザー光を挙げているが、これに限定されない。例えば、YAGレーザー光、YVO4レーザー光、アルゴンイオンレーザー光、半導体レーザー光等を用いてもよい。このとき、ハーフカット線15が形成される層(基材層又は中間層)は、照射されるレーザー光の波長域の光の透過率が低い(レーザー光の波長域の光を吸収する)材料を用いる。また、熱接着性樹脂層17は、照射されるレーザー光の波長域の光の透過率が高い(レーザー光の波長域の光を吸収しない、又は、しにくい)材料を用いる。
なお、上述の各、実施形態の包装袋1は四方シール袋に限定されず、例えば、所謂スタンディングパウチや三方シール袋等により形成されてもよい。
本発明によると、薬品、食品等の粉体、粒体、半流動体及び液体等の収容物を収容する包装袋に利用することができる。
1 包装袋
2 袋本体
3 チャック部材
4 収納部
5 前面部
6 背面部
11 基材層
12 印刷層
13 中間層
14 接着層
16 接着層
17 熱接着性樹脂層
21 熱接着部
22 ノッチ部
50 前面切断部
51 傾斜部
51a 内端
52 直線部
53 上側曲線部
54 下側曲線部
56 段差
60 背面切断部
61 傾斜部
61a 内端
62 直線部
100 樹脂シート
101 樹脂シート
102 樹脂シート
A 矢印

Claims (8)

  1. 基材層と、熱接着性樹脂層と、を含むとともに金属箔層を含まない透明な樹脂シートを前後に配置して重ね、周縁を前記熱接着性樹脂層により接着して形成された接着部を備えた包装袋であって、
    前記熱接着性樹脂層は、所定の波長域のレーザー光を透過し、
    前記基材層は、前記熱接着性樹脂層に比べて前記所定の波長域のレーザー光の透過率が低く、
    対向して配置された前面側シート及び背面側シートの前記基材層には、前記所定の波長域のレーザー光が照射された部分に形成されるハーフカット線から成る切断部を備えていることを特徴とする包装袋。
  2. 前記所定の波長域のレーザー光は、炭酸ガスレーザー光であり、
    前記熱接着性樹脂層は、ポリエチレン及び無延伸ポリプロピレンの少なくとも1つを含む請求項1に記載の包装袋。
  3. 前記基材層は、ポリエチレンテレフタレート及び延伸ナイロンの少なくとも1つを含む請求項2に記載の包装袋。
  4. 少なくとも基材層と、熱接着性樹脂層と、を含むとともに金属箔層を含まない透明な樹脂シートを前後に配置して重ね、周縁を前記熱接着性樹脂層により接着して形成された接着部を備えた包装袋であって、
    対向して配置された前面側シート及び背面側シートの少なくとも一方は、前記基材層と前記熱接着性樹脂層との間に中間層を含み、
    前記熱接着性樹脂層は、所定の波長域のレーザー光を透過し、
    前記基材層及び前記中間層の少なくとも一方は、前記熱接着性樹脂層に比べて前記所定の波長域のレーザー光の透過率が低く、前記所定の波長域のレーザー光が照射された部分に形成されるハーフカット線から成る切断部を備えていることを特徴とする包装袋。
  5. 前記所定の波長域のレーザー光は、炭酸ガスレーザー光であり、
    前記熱接着性樹脂層は、ポリエチレン及び無延伸ポリプロピレンの少なくともひとつを含む請求項4に記載の包装袋。
  6. 前記基材層は、前記熱接着性樹脂層よりも前記所定の波長域のレーザー光の透過率が低く、
    前記基材層は、ポリエチレンテレフタレート及び延伸ナイロンの少なくとも1つを含む請求項5に記載の包装袋。
  7. 前記中間層は、前記熱接着性樹脂層よりも前記所定の波長域のレーザー光の透過率が低く、
    前記中間層は、ポリエチレンテレフタレート及び延伸ナイロンの少なくとも1つを含む請求項5又は請求項6に記載の包装袋。
  8. 前記前面側シートの前記切断部と前記背面側シートの前記切断部とが左右方向の中央部で上下方向に異なる位置に配置される請求項1から請求項7のいずれかに記載の包装袋。
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