JP2020007901A - 型枠付き壁体構成部材、型枠付き壁体および型枠付き壁体の構築方法 - Google Patents

型枠付き壁体構成部材、型枠付き壁体および型枠付き壁体の構築方法 Download PDF

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【課題】より強度が高く、良好な止水性・防食性を有する等の新規な特徴を備えた型枠付き壁体構成部材を提供する。【解決手段】前面側と背面側とを隔てる境界に設置される型枠付き壁体を構成する型枠付き壁体構成部材は、壁体構成部材と、壁体構成部材の少なくとも一方の側の長手方向の少なくとも一部に取り付けられた型枠と、壁体構成部材の所定個所に固定された複数の壁体構成部材側補強材と、壁体構成部材と型枠とによって形成される空間とを備えていることを特徴とする。【選択図】 図1

Description

本発明は、港湾鋼構造物などの壁体構造物において前面側と背面側とを隔てる境界に設置される型枠付き壁体、型枠付き壁体を構成する型枠付き壁体構成部材および型枠付き壁体の構築方法に関する。
従来、港湾鋼構造物などでは前面側と背面側との境界に構築される矢板壁の防食工法として、コンクリートライニング工法を採用する場合があった。従来採用していた工法は、最初に、鋼矢板などを基礎地盤に打設などの手段で打ち込み、その後、潜水士により鋼矢板表面にずれ止め、型枠、支保工等を設置し、最後に、型枠内にコンクリートなどを打設してコンクリートライニング防食層を形成するというものであった。しかし、このような工法では、型枠などの設置やコンクリートの硬化などに時間を要するため工期が長期化する、潜水士による作業が必要となるため費用が嵩む、波浪や潮流等の影響を受け、手戻りが発生しやすい、等の弊害があった。そこで、本発明者は、これらの弊害を解消すべく、新規な型枠付き壁体構成部材を提案した(特許文献1参照)。
特許第5942845号公報
本発明は、特許文献1の型枠付き矢板を改良発展させたものであって、より強度が高く、良好な止水性・防食性を有する等の新規な特徴を備えた型枠付き壁体構成部材、型枠付き壁体および型枠付き壁体の構築方法を提供することを目的としている。
本願請求項1に記載された、壁体構造物の前面側と背面側とを隔てる境界に設置される型枠付き壁体を構成する型枠付き壁体構成部材は、壁体構成部材と、前記壁体構成部材の少なくとも一方の側の長手方向の少なくとも一部に取り付けられた型枠と、前記壁体構成部材の所定個所に固定された複数の壁体構成部材側補強材と、前記壁体構成部材と前記型枠とによって形成される空間とを備えていることを特徴とするものである。
本願請求項2に記載された型枠付き壁体構成部材は、前記請求項1の型枠付き壁体構成部材において、前記空間内に配置され、前記型枠の所定個所に固定された型枠側補強材をさらに備えていることを特徴とするものである。
本願請求項3に記載された型枠付き壁体構成部材は、前記請求項1又は2の型枠付き壁体構成部材において、前記空間内における前記壁体構成部材と前記型枠との取り付け個所の近傍において、前記壁体構成部材に長手方向に延びるように配置された止水壁をさらに備えていることを特徴とするものである。
本願請求項4に記載された型枠付き壁体構成部材は、前記請求項1から請求項3までのいずれか1項の型枠付き壁体構成部材において、前記型枠の一部で、前記壁体構成部材と所定距離隔てた正面板における前記壁体構成部材に面する側の面の少なくとも一部に取り付けられたシート状体をさらに備えていることを特徴とするものである。
本願請求項5に記載された型枠付き壁体構成部材は、前記請求項4の型枠付き壁体構成部材において、前記シート状体が、少なくとも押さえ部材で押さえ、前記押さえ部材の両端を前記正面板に固定することによって取り付けられることを特徴とするものである。
本願請求項6に記載された型枠付き壁体構成部材は、前記請求項1から請求項5までのいずれか1項の型枠付き壁体構成部材において、前記鋼製型枠が、前記壁体構成部材と所定距離隔てた正面板と、前記正面板の両端又はその近傍に配置された一対の側面板とを有しており、前記正面板と前記側面板の各々を固定することによって形成されていることを特徴とするものである。
本願請求項7に記載された型枠付き壁体構成部材は、前記請求項6の型枠付き壁体構成部材において、前記側面板の先端が前記正面板に当接し、前記正面板と前記側面板とによって形成される外側角部を接合することによって固定されていることを特徴とするものである。
本願請求項8に記載された型枠付き壁体構成部材は、前記請求項6の型枠付き壁体構成部材において、前記正面板の先端が前記側面板に当接し、前記正面板と前記側面板とによって形成される外側角部を接合することによって固定されていることを特徴とするものである。
本願請求項9に記載された型枠付き壁体構成部材は、前記請求項1から請求項5までのいずれか1項の型枠付き壁体構成部材において、前記鋼製型枠が、前記壁体構成部材と所定距離隔てた正面板と、前記正面板の両端又はその近傍に配置された一対の側面板とを有しており、1枚の鋼板を曲げ加工することによって形成されていることを特徴とするものである。
本願請求項10に記載された型枠付き壁体構成部材は、前記請求項6から請求項9までのいずれか1項の型枠付き壁体構成部材において、前記側面板の各々が前記正面板に対して実質的に直交し、或いは、僅かに傾斜していることを特徴とするものである。
本願請求項11に記載された型枠付き壁体構成部材は、前記請求項6から請求項10までのいずれか1項の型枠付き壁体構成部材において、前記壁体構成部材と前記側面板との接合個所及び/又は前記正面板と前記側面板との接合個所に、長手方向に延びるように配置された浸透抑止材をさらに備えていることを特徴とするものである。
本願請求項12に記載された型枠付き壁体構成部材は、前記請求項11の型枠付き壁体構成部材において、前記浸透抑止材に隣接して配置されたシーリング材をさらに備えていることを特徴とするものである。
本願請求項13に記載された型枠付き壁体構成部材は、前記請求項1から請求項12までのいずれか1項の型枠付き壁体構成部材において、前記壁体構成部材と前記鋼製型枠との当接部の所定部位にシーリング材が設置されていることを特徴とするものである。
本願請求項14に記載された型枠付き壁体構成部材は、前記請求項6から請求項8までのいずれか1項の型枠付き壁体構成部材において、前記側面板と前記正面板との当接部の所定部位にシーリング材が設置されていることを特徴とするものである。
本願請求項15に記載された型枠付き壁体構成部材は、前記請求項3から請求項5までのいずれか1項の型枠付き壁体構成部材において、前記止水壁と前記壁体構成部材との当接部、前記止水壁と前記正面板との当接部の所定部位にシーリング材が設置されていることを特徴とするものである。
本願請求項16に記載された型枠付き壁体構成部材は、前記請求項1から請求項15までのいずれか1項の型枠付き壁体構成部材において、前記壁体構成部材が、ハット形鋼矢板、鋼管矢板、直線形鋼矢板、U形鋼矢板、Z形鋼矢板、又はBOX矢板の単体部材、前記各単体部材を複数個数嵌合させパネル化した部材、または前記単体部材に鋼板、H形鋼、T形鋼、又は角形鋼を補強部材として付加した合成断面部材であることを特徴とするものである。
本願請求項17に記載された型枠付き壁体構成部材は、前記請求項1から請求項16までのいずれか1項の型枠付き壁体構成部材において、前記型枠が鋼製部材で形成されていることを特徴とするものである。
本願請求項18に記載された型枠付き壁体構成部材は、前記請求項1から請求項16までのいずれか1項の型枠付き壁体構成部材において、前記型枠がセメント系硬化体からなる版と鋼製部材とで形成されていることを特徴とするものである。
本願請求項19に記載された型枠付き壁体構成部材は、前記請求項1から請求項18までのいずれか1項の型枠付き壁体構成部材において、前記鋼製型枠の下端には、前記空間の底面全体を閉鎖する底面板がさらに配置されていることを特徴とするものである。
本願請求項20に記載された型枠付き壁体は、前記請求項1から請求項19までのいずれか1項の型枠付き壁体構成部材を複数基嵌合することによって構成されることを特徴とするものである。
本願請求項21に記載された型枠付き壁体は、前記請求項20の型枠付き壁体において、前記型枠付き壁体構成部材の前記空間内に充填材が充填されていることを特徴とするものである。
本願請求項22に記載された型枠付き壁体は、前記請求項20の型枠付き壁体において、前記型枠付き壁体構成部材の前記型枠の下部が基礎地盤に埋設されており、前記空間内に充填材が充填されていることを特徴とするものである。
本願請求項23に記載された、前記請求項1から請求項19までのいずれか1項に記載された型枠付き壁体構成部材を用いた型枠付き壁体の構築方法は、前記型枠付き壁体構成部材を製作する製作工程と、前記型枠付き壁体構成部材の上部が前面側と背面側とを隔てる境界に位置するように、前記型枠付き壁体構成部材の下部を基礎地盤に打設したり、コンクリートフーチング中に埋設したりする下部支持工程とを含むことを特徴とするものである。
本願請求項24に記載された型枠付き壁体の構築方法は、前記請求項23の構築方法において、前記下部支持工程の後に、前記空間内に充填材を充填する充填工程をさらに含むことを特徴とするものである。
本願請求項25に記載された型枠付き壁体の構築方法は、前記請求項23の構築方法において、前記製作工程と前記下部支持工程との間に、前記空間内に充填材を充填する充填工程をさらに含むことを特徴とするものである。
本発明によれば、壁体構成部材に壁体構成部材側補強材を設け、また、型枠に型枠側補強材を設けることにより、型枠付き壁体構成部材の強度を高めることができる。また、空間内にコンクリート等の充填材が充填されると、前記補強材の存在により、充填材と壁体構成部材および型枠との密着一体性の向上を図ることができる。また、止水壁及び/浸透抑止材を設けることにより、側面板と壁体構成部材との接合部、側面板と正面板との接合部等の不測の欠陥個所等からの海水等の腐食因子の浸入を防止することができる。また、シート状体を設けることにより、正面板に孔が開いても海水等の腐食因子の浸入を防ぐことができ、また、シート状体に弾性体(ゴム板、弾性発泡体)を用いると、漂流物(流木、氷盤等)や消波ブロックの衝突等によるダメージを軽減することができる。また、押さえ部材を用いてシート状体を取り付けることにより、取り付け作業を簡単にすることができる。また、正面板と側面板とにより形成される外側角部を溶接することによって正面板と側面板を固定すると、肉盛溶接を容易に実施することができる。また、側面板を正面板に対して僅かに傾斜させて取り付けることにより、肉盛溶接を容易に実施することができる。また、型枠に底面板を設けることにより、充填材が充填される際の底型枠となるとともに、型枠の変形防止に役立つ。また、壁体構成部材と型枠との当接部、側面板と正面板との当接部、止水壁と壁体構成部材との当接部、止水壁と正面板との当接部の所定部位にシーリング材を設置することにより、海水などの浸入を防ぐことができる。さらに、型枠側補強材を設けることにより、バイブロハンマによる振動打設や油圧ハンマによる衝撃打設に伴う型枠の壁体構成部材に対する相対的振れを小さくし、溶接接合部に発生する応力を低減し、溶接接合部に割れ等の損傷が生ずるのを防止することができる。
第1の実施形態に係る型枠付き壁体構成部材が水域構造物の境界に設置されて型枠付き壁体を形成している状態を示した概略斜視図である。 図2(a)は、図1に示される型枠付き壁体の一部を示した平面図、図2(b)は、図2(a)の部分2bの拡大図である。 図3(a)は、壁体構成部材がハット形鋼矢板の場合の型枠付き壁体構成部材を示した平面図、図3(b)および(c)は、型枠の正面板に被覆防食が施されている状態を示した図である。 図4(a)は、型枠の正面板がセメント系硬化体で形成されている場合を示した型枠付き壁体構成部材の平面図、図4(b)〜(d)は、図4(a)の正面板の種々の取り付け態様を示した図である。 鋼製型枠の正面板と側面板との溶接接合の種々の態様を示した図である。 溶接接合の2つのタイプを説明するための図である。 図7(a)は、図3(a)の正面図、図7(b)は、図7(a)の矢印7bに沿って見た断面図、図7(c)は、図7(a)の矢印7cに沿って見た断面図、図7(d)は、図7(a)の矢印7dに沿って見た断面図である。 プレートタイプの型枠側補強材が取り付けられた型枠付き壁体構成部材の平面図である。 壁体構成部材側補強材の変形例を説明するための図である。 壁体構成部材側補強材の変形例を説明するための別の図である。 図11(a)は、Aタイプ溶接接合の型枠付き壁体構成部材を示した図、図11(b)は、図11(a)の部分11bの拡大図、図11(c)は、図11(a)の部分11cの拡大図である。 浸透抑止材の各種態様を示した一連の図である。 シーリング材を備えた浸透抑止材の各種態様を示した一連の図である。 図14(a)は、Bタイプ溶接接合の型枠付き壁体構成部材を示した図、図14(b)は、図14(a)の部分14bの拡大図、図14(c)は、図14(a)の部分14cの拡大図である。 浸透抑止材の各種態様を示した一連の図である。 シーリング材を備えた浸透抑止材の各種態様を示した一連の図である。 押さえ部材を用いたシート状体の取り付けの一例を示した図である。 鋼製型枠の正面板の下方部に設置される補強材を示した図である。 図19(a)は、2基の山側タイプの型枠付き壁体構成部材を嵌合することによって形成される型枠付き壁体の一部を示した平面図、図19(b)は、図19(a)の部分19bの拡大図である。 山側タイプの型枠付き壁体構成部材の壁体構成部材側補強材の変形例を説明するための図である。 2基の両側タイプの型枠付き壁体構成部材を嵌合することによって形成される型枠付き壁体の一部を示した平面図である。 谷側タイプの型枠付き壁体構成部材において鋼製型枠の正面板が折板状である例を示した一連の図である。 山側タイプの型枠付き壁体構成部材において鋼製型枠の側面板が折板状である例を示した一連の図である。 型枠付き壁体が設置されている状態を示した一連の図である。 図25(a)は、2基の第2の実施形態に係る型枠付き壁体構成部材を嵌合することによって形成される型枠付き壁体の一部を示した平面図、図25(b)は、図25(a)の部分25bの拡大図である。 第2の実施形態に係る型枠付き壁体構成部材を示した平面図である。 第2の実施形態に係る型枠付き壁体構成部材の変形例である。 第2の実施形態に係る型枠付き壁体構成部材において壁体構成部材側補強材の変形例を説明するための図である。 第2の実施形態に係る型枠付き壁体構成部材において鋼製型枠の変形例を説明するための図である。 2基の両側タイプの型枠付き壁体構成部材を嵌合することによって形成される型枠付き壁体の一部を示した平面図である。 壁体構成部材として直線形鋼矢板を用いた型枠付き壁体構成部材を嵌合することによって形成される型枠付き壁体の一部を示した一連の図である。 壁体構成部材としてU形鋼矢板を用いた型枠付き壁体構成部材を嵌合することによって形成される型枠付き壁体の一部を示した一連の図である。 壁体構成部材としてハット形鋼矢板を用いた型枠付き壁体構成部材を嵌合することによって形成される型枠付き壁体の一部を示した一連の図である。
(全体構成)
次に図面を参照して、本発明の好ましい実施形態に係る型枠付き壁体構成部材および型枠付き壁体について説明する。本発明の好ましい実施形態に係る型枠付き壁体構成部材は、壁体構成部材としてハット形鋼矢板を利用する第1の実施形態と、壁体構成部材として鋼管矢板を利用する第2の実施形態に大別される。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る型枠付き壁体構成部材が水域構造物の境界に設置されて型枠付き壁体を形成している状態を示した概略斜視図、図2(a)は、図1に示される型枠付き壁体の一部を示した平面図である。
第1の実施形態に係る型枠付き壁体構成部材は、図3に示されるように、ハット形鋼矢板12と、ハット形鋼矢板12の少なくとも一部に取り付けられる型枠14とを備えている。図1において全体として参照符号10で示される型枠付き壁体は、複数基の型枠付き壁体構成部材を嵌合することによって形成される。
第1の実施形態に係る型枠付き壁体構成部材を構成するハット形鋼矢板12は、図2(a)および図3に示されるように、土水圧等の荷重が作用した場合に主として曲げモーメントに抵抗するフランジ12a、アーム部12b及び継手部12cと、主としてせん断力に抵抗するウェブ12dとを有している。より詳細に説明すると、ハット形鋼矢板12では、フランジ12aの幅方向(図2(a)において「x方向」と図示)の両縁部から外方に向かって拡がるように一対のウェブ12dがそれぞれ連続して配置され、各ウェブ12dにフランジ12aと略平行になるようにアーム部12bがそれぞれ連続して配置されており、各アーム部12bに継手部12cがそれぞれ連続して設けられている。
ハット形鋼矢板12の継手部12cの一方には上方開口爪12c1が形成され、継手部12cの他方には下方開口爪12c2が形成されている。上方開口爪12c1と下方開口爪12c2は、互いに相補する形状に形作られており、一方のハット形鋼矢板12の継手部12cの上方開口爪12c1に、隣接する他方のハット形鋼矢板12の継手部12cの下方開口爪12c2を嵌め込むことによって、或いは、一方のハット形鋼矢板12の継手部12cの下方開口爪12c2に、隣接する他方のハット形鋼矢板12の継手部12cの上方開口爪12c1を嵌め込むことによって、所望の枚数のハット形鋼矢板12を嵌合させることができる。図2(b)は、図2(a)の部分2bの拡大図であって、ハット形鋼矢板12の嵌合個所を示したものである。
型枠14は、平板状の鋼製の正面板14aと、正面板14aの両縁部に正面板14aと実質的に直交するようにそれぞれ取り付けられた一対の鋼製の側面板14b、14cとを有している。側面板14b、14cは、図3に明瞭に示されるように、正面板14aに溶接などによって堅固に固定されている。或いは、1枚の鋼板を曲げ加工することによって、型枠14を形成してもよい。型枠14は、溶接などによって、ハット形鋼矢板12に堅固に固定されている。
型枠14に用いる鋼板は、一様な板厚、一様な規格(材質)のものである必要はなく、所定部位の板厚や規格(材質)を変えてもよい。また、型枠14の所定部位に別の鋼板を溶接などで積層してもよい。さらに、型枠14の外面(水域側)に被覆防食を施してもよい。被覆防食を例示すれば、図3(b)に示されるような有機材料被覆(エポキシ樹脂被覆、ウレタン樹脂被覆)や図3(c)に示されるような無機材料被覆(金属被覆、セメント硬化体被覆)がある。さらには、クラッド鋼板(チタンやステンレスを積層した鋼板)やFRP板、FRP板を積層した鋼板を用いてもよい(図示せず)。
型枠14の正面板を、図4(a)に示されるように、セメント系硬化体(コンクリート、モルタルなど)で形成してもよい。図4(b)〜図4(d)は、セメント系硬化体製の正面板14′aの取り付け態様を示した図である。図4(b)に示される態様では、側面板14bおよび後述する型枠側補強材16の先端にアンカー筋をそれぞれ溶接接合し、アンカー筋を利用してセメント系硬化体製の正面板14′aが取り付けられている。図4(c)に示される態様では、側面板14′bとして山形鋼を用い、山形鋼を利用してセメント系硬化体製の正面板14′aが取り付けられている。図4(d)に示される態様では、側面板14bの先端に一定幅のプレートを溶接接合し、このプレートを利用してセメント系硬化体製の正面板14′aが取り付けられている。なお、これらの取り付け態様は例示的なものであり、他の適当な取り付け態様を採用してもよい。セメント系硬化体(コンクリート、モルタルなど)には、鉄筋、ガラス繊維等の高分子系繊維、スチールファイバ等の補強材が配置されていてもよい。
図5は、型枠14の正面板と側面板との溶接接合の種々の態様を示した図である。すなわち、図5(a)では、側面板14bの先端が正面板14aに当接し、正面板14aと側面板14bとによって形成される外側角部が溶接部となっている。図5(b)では、正面板14aの先端が側面板14bに当接し、正面板14aと側面板14bとによって形成される外側角部が溶接部となっている。図5(c)は、図5(a)に示す溶接接合がなされている隣接する2つの型枠14を示した図である。図5(c)の態様では、隣接する側面板14bと側面板14cと鋼矢板の継手嵌合部とにより形成された空間が側面板14b、14c等に付着した海洋生物で充填されるが、この空間が狭いため、付着・充填した海洋生物が落下しにくく、これにより付着生物による防食効果が期待できるという利点がある。図5(d)は、図5(b)に示す溶接接合がなされている隣接する2つの型枠14を示した図である。図5(d)の態様では、正面板14aと側面板14b、14cとの溶接部が水域側に位置するので、肉盛溶接を実施し易いという利点がある。図5(e)および図5(f)は、側面板14b、14cを正面板14aに対して僅かに傾斜させて接合する態様を示した図である。図5(e)の態様では、ハット形鋼矢板12と側面板14b、14cとの接合個所の肉盛溶接を実施し易い。図5(f)の態様では、ハット形鋼矢板12と側面板14b、14cとの接合個所に加えて、正面板14aと側面板14b、14cとの接合個所の肉盛溶接も実施し易い。なお、肉盛溶接は、腐食や摩耗作用により減肉した溶接部の補修を行うためのものである。
図5(a)および図5(c)の態様では一般的に、図6(a)に示されるように、正面板14aと側面板14bとを溶接接合して型枠14を形成し、このようにして形成された型枠14を壁体構成部材(ハット形鋼矢板12)に溶接接合することによって、型枠付き壁体構成部材が形成される(以下「Aタイプ溶接接合」という)。これに対し、図5(b)および図5(d)の態様では一般的に、図6(b)に示されるように、一対の側面板14bを壁体構成部材(ハット形鋼矢板12)に溶接接合し、その後、正面板14aを側面板14bに溶接接合することによって、型枠付き壁体構成部材が形成される(以下「Bタイプ溶接接合」という)。
正面板14aと側面板14b、14cとによって形成される接合個所となる型枠14の隅角部には、型枠側補強材16が取り付けられている。型枠側補強材16は、正面板14aの内面の所定個所と側面板14b、14cの内面の所定個所とを連結する方杖タイプの部材である。型枠側補強材16としては、棒状部材(鉄筋、丸鋼、角形鋼など)が用いられる。型枠側補強材16の正面板14a、側面板14b、14cへの固定は、溶接又は機械的締結(ボルト止めなど)によって行われる。
方杖タイプの型枠側補強材16の代わりに、図8に示されるような型枠側補強材18を取り付けてもよい。型枠側補強材18は、型枠14の隅角部に取り付けられる略三角形状鋼板からなる部材である。型枠側補強材18としては、板状部材(平鋼、孔開き鋼板など)が用いられる。型枠側補強材18の正面板14a、側面板14b、14cへの固定は、溶接又は機械的締結(ボルト止めなど)によって行われる。
バイブロハンマや油圧ハンマなどを用いて型枠付き壁体構成部材を振動打設や衝撃打設する場合、型枠14には振動や衝撃に伴うせん断変形などが生じ(型枠14が鋼矢板12に対して相対的に振れる状態になり)、溶接部(ハット形鋼矢板12との接合個所、正面板14aと側面板14b、14cとの接合個所)に不測の応力が発生して、溶接部が疲労破壊することがある。溶接部のこのような疲労破壊は、溶接部の溶け込みが不十分な場合に特に発生しやすい。一方、十分な溶け込みを有する連続溶接を行うと、製作コストが嵩む、溶接部の冷却に伴う残留変形が大きくなり変形矯正コストが嵩む、溶接が連続していると一部の溶接欠陥から生ずる疲労亀裂が溶接全長に伝搬することがある、等の不具合が発生する、また、十分な溶け込みを有する断続溶接を行うと、連続溶接時の上述の不具合を回避できるが、非溶接部の止水性に問題がある。以上のような不具合を解消すべく、型枠付き壁体構成部材は、正面板14aと側面板14b、14cとの接合個所(隅角部)のゆがみを抑制する型枠側補強材16、18を備えるのが好ましい。正面板14aと側面板14b、14cとの接合個所(隅角部)のゆがみの抑制は、側面板14b、14cと壁体構成部材(ハット形鋼矢板12)との接合個所への悪影響も抑制することができる。
なお、型枠側補強材16、18は、正面板14aと側面板14b、14cとを溶接接合する鋼製型枠組立加工時において、組み立てジグとしての役割を果たすこともできる。
型枠付き壁体構成部材はまた、ハット形鋼矢板12を補強するための壁体構成部材側補強材を備えている。壁体構成部材側補強材は、ハット形鋼矢板12の相対するアーム部12b同士を幅方向(x方向)に連結し、ウェブ12d同士を幅方向(x方向)に連結し、又はウェブ12dを長手方向(y方向)に補強する部材である。図2(a)、図3(a)、図4(a)および図7(a)に示される壁体構成部材側補強材20は、ハット形鋼矢板12の相対するアーム部12b同士を幅方向(x方向)に連結する部材であり、図7(a)に示されるように、長手方向(y方向)に所定間隔へだてて設けられている。なお、壁体構成部材側補強材と型枠側補強材は、互いに干渉しないように配置される。
図9は、壁体構成部材側補強材の変形例を示した図である。より詳細に説明すると、図9(a)に示される壁体構成部材側補強材22は、ハット形鋼矢板12の相対するウェブ12d同士を連結する部材であり、長手方向(y方向)に所定間隔へだてて設けられている。図9(b)および図9(c)に示される壁体構成部材側補強材24は、ハット形鋼矢板12の各ウェブ12dの内面に長手方向(y方向)に延びるようにそれぞれ取り付けられた一対の部材である。図9(d)および図9(e)に示される壁体構成部材側補強材26も、壁体構成部材側補強材24と同様に、ハット形鋼矢板12の各ウェブ12dの内面に長手方向(y方向)に延びるようにそれぞれ取り付けられた一対の部材である。壁体構成部材側補強材24および壁体構成部材側補強材26は、両端部においてウェブ12dの内面に接触し溶接などでウェブ12dの内面に固定されている。図9(c)に示される例では、ハット形鋼矢板12の各ウェブ12dの内面に長手方向(y方向)に延びるように一対の壁体構成部材側補強材24がそれぞれ取り付けられているが、複数対の壁体構成部材側補強材24を取り付けてもよい。また、図9(e)に示される例では、ハット形鋼矢板12の各ウェブ12dの内面に長手方向(y方向)に延びるように一対の壁体構成部材側補強材26がそれぞれ取り付けられているが、複数対の壁体構成部材側補強材26を取り付けてもよい。壁体構成部材側補強材24と壁体構成部材側補強材26は、両端部の折り曲げ方が相違している。壁体構成部材側補強材20、22、24、26としては、棒状部材(鉄筋、丸鋼、角形鋼など)が用いられる。
図10は、壁体構成部材側補強材の別の変形例を示した図である。図10(a)および図10(b)に示される壁体構成部材側補強材28は、ハット形鋼矢板12の相対するアーム部12b同士を幅方向(x方向)および長手方向(y方向)に連結する部材である。図10(c)および図10(d)に示される壁体構成部材側補強材30は、ハット形鋼矢板12の相対するウェブ12dの内面同士を幅方向(x方向)およびに長手方向(y方向)連結する部材である。壁体構成部材側補強材28、30としては、網鉄筋やエキスパンドメタル等のネット状部材が用いられる。なお、ネット状部材は、アーム部12bから離間して設置してもよい。その場合には、ネット状部材28′とアーム部12bとの間にスペーサを設置する。このスペーサは、アーム部12bに固定され、スペーサにはネット状部材28′が固定される(図10(e)参照)。
なお、壁体構成部材側補強材20、22、24、26、28、30の取り付けは、溶接又は機械的締結(ボルト止めなど)によって行われる。
壁体構成部材側補強材20、22、24、26、28、30の取り付けにより、ハット形鋼矢板12、型枠付き壁体構成部材、ひいては型枠付き壁体10の強度を高めることができる。また、後述するように、ハット形鋼矢板12と型枠14とによって形成される空間内にコンクリート等の充填材が充填されると、壁体構成部材側補強材の存在により、充填材と壁体構成部材との密着一体性の向上を図ることができ、また、型枠側補強材の存在により、充填材と型枠との密着一体性の向上を図ることができる。
好ましくは、型枠付き壁体構成部材は、ハット形鋼矢板12のアーム部12bの内面又は継手部12cの内面の側面板14b、14cに近接した個所に長手方向(y方向)に延びるように配置された止水壁32を備えている。図示されている止水壁32は丸鋼であるが、止水壁32としては、棒状部材(異形鉄筋、丸鋼など)、板状部材(平鋼、孔開き鋼板など)、又は形鋼(山形鋼、立設部に孔を設けた山形鋼など)が用いられる。
正面板14aと側面板14b、14cとの接合、側面板14b、14cとハット形鋼矢板12との接合、止水壁32のハット形鋼矢板12への取り付けが、全線連続溶接又は断続溶接によって行われる場合には、少なくとも非溶接個所にシーリング材を設置(被覆又は充填)するのが好ましい。なお、後述するようにハット形鋼矢板12と型枠14とによって形成される空間に充填材が充填されるが、充填材が充填されるとシーリング材が充填材中に埋設されるので、シーリング材が海水による劣化作用を受けにくくなる。
不測の事態(例えば、腐食作用による溶接部の減肉欠損、シーリング材の劣化、溶接不良など)により、ハット形鋼矢板12と側面板14b、14cとの接合個所から海水などが浸入することが懸念される。このような事態を放置しておくと、ハット形鋼矢板12が腐食することとなる。そこで、接合個所の近傍に止水壁32を配置し、接合個所から浸入してきた海水の移動を阻止することとした。なお、止水壁32は、ずれ止め(特に、異形鉄筋、孔開き鋼板を用いた場合に顕著な効果がある)、付着面積の増加による硬化性充填材との密着一体性の向上(後述するように、ハット形鋼矢板12と型枠14とによって形成される空間内に、硬化性充填材が充填される)という副次的な効果も期待できる。
好ましくは、型枠付き壁体構成部材は、ハット形鋼矢板12と側面板14b、14cとの接合個所及び/又は正面板14aと側面板14b、14cとの接合個所に長手方向(y方向)に延びるように配置された浸透抑止材33を備えている。
浸透抑止材33の配置は、所定個所への溶接(連続溶接、断続溶接)によって行われる。浸透抑止材33を配置する主たる目的は、止水壁32と同様に、型枠14の内部への海水の浸透を防止することであるが、後述するように、正面板14aを載置する係止部材としての機能を果たす場合もある。
浸透抑止材33についてより詳細に説明する。前記Aタイプ溶接接合の場合において、ハット形鋼矢板12と側面板14b、14cとの接合個所については、内側から連続溶接したりシーリング材を配置したりすることができない。したがって、ハット形鋼矢板12と側面板14b、14cとの接合個所の内側に、浸透抑止材33を配置する(図11(b)参照)ことにより、当該接合個所から型枠14の内部への海水の浸透を抑止することができる。正面板14aと側面板14b、14cとの接合個所については、内側から連続溶接したりシーリング材を配置したりすることができるが、海水の浸透をより確実に防止しようとする場合に、正面板14aと側面板14b、14cとの接合個所の内側に、浸透抑止材33を配置する(図11(c)参照)ことにより、当該接合個所から型枠14の内部への海水の浸透をより確実に防止することができる。
一方、前記Bタイプ溶接接合の場合において、ハット形鋼矢板12と側面板14b、14cとの接合個所については、内側から連続溶接したりシーリング材を配置したりすることができるが、海水の浸透をより確実に防止しようとする場合に、ハット形鋼矢板12と側面板14b、14cとの接合個所の内側に、浸透抑止材33を配置する(図14(b)参照)ことにより、当該接合個所から型枠14の内部への海水の浸透をより確実に防止することができる。正面板14aと側面板14b、14cとの接合個所については、外側から連続溶接したりシーリング材を配置したりすることができるが、海水の浸透をより確実に防止しようとする場合に、正面板14aと側面板14b、14cとの接合個所の内側に、浸透抑止材33を配置する(図14(c)参照)ことにより、当該接合個所から型枠14の内部への海水の浸透をより確実に防止することができる。なお、正面板14aと側面板14b、14cとの接合個所の内側に配置される浸透抑止材33は、正面板14aを載置する係止部材としての機能も果たす。
図11及び図14に示される例では、浸透抑止材33として丸鋼が用いられているが、浸透抑止材33として他の適当な部材、例えば、棒状部材(異形鉄筋など)、板状部材(平鋼、孔開き鋼板など)、形鋼(山形鋼、立設部に孔を設けた山形鋼など)を用いてもよい。図12(a)、図12(d)、図15(a)、図15(d)、図15(g)、図15(h)では山形鋼、図12(b)、図12(c)、図12(e)、図12(f),図15(b)、図15(c)、図15(e)、図15(f)では平鋼が用いられる例が示されている。なお、図15(g)は、側面板14bの先端が正面板14aの板厚部に入り込んだ状態で正面板14aと側面板14bが溶接接合されている例を示している。また、図15(h)は、正面板14aの先端の隅部と側面板14bの先端の隅部が点接触した状態で溶接接合されている例を示している。
浸透抑止材33に隣接して、シーリング材33aを配置してもよい。図13(a)〜図13(h)、図16(a)〜図16(j)は、シーリング材33aが配置された浸透抑止材33の例を示した一連の図である。図16(i)は、図15(g)においてシーリング材33aを配置した例を示し、図16(j)は、図15(h)においてシーリング材33aを配置した例を示したものである。シーリング材33aを配置することにより、海水の浸透をより一層確実に防止することが可能になる。シーリング材33aとしては、防食性を有するものが好ましく、例えば、シリコンシーラントが用いられる。シーリング材33aは、セメント系シーリング材のような耐熱性を有するものであることが好ましい。シーリング材33aを配設することにより、接合個所における隙間への海水の浸入をより一層確実に妨げることができる。なお、型枠の内部に配置されるシーリング材33aについては、鋼矢板継手部に適用される吸水膨潤止水材を適用する場合もある。
浸透抑止材33は、止水壁32とともに用いてもよく、いずれか一方のみを用いてもよい。また、浸透抑止材33は、ハット形鋼矢板12の側のみに配置してもよく、正面板14aの側のみに配置してもよく、両方に配置してもよい。
なお、浸透抑止材33は、図示されるように、正面板14a、側面板14b、14c、ハット形鋼矢板12の内面に接触して配置されているが、シーリング材33aを備えている場合には、シーリング材33aを介して、正面板14a、側面板14b、14c、ハット形鋼矢板12の内面に隣接して配置されている。
好ましくは、型枠14の正面板14aの裏面(鋼矢板12に面する側の面)には、シート状体34が取り付けられている。シート状体34は、不透水性材料又は透水係数の極めて小さな材料で形成されている。これにより、正面板14aに減肉が生じて孔が開いても海水などの浸入を防ぐことができる。また、シート状体34を弾性材料(たとえば、ゴム板、弾性発泡体)で形成してもよい。型枠付き壁体10には、漂流物(流木、氷盤(流氷)など)や消波ブロック等が衝突することがあるが、シート状体34を弾性材料で形成することにより、耐衝撃性を向上させることができる。
シート状体34の取り付けは、接着剤による接着(全面接着又は部分接着)、機械的締結(ボルト止めなど)、押さえ部材の利用、又はこれらの組み合わせによって行われる。図17(a)および図17(b)は、押さえ部材34aを用いたシート状体34の取り付けを示した図である。シート状体34の全幅よりも長い全長をもつ押さえ部材34aを準備し、シート状体34を押さえ部材34aで押さえ、押さえ部材34aの両端を正面板14aに溶接することによって、シート状体34が取り付けられる。図17(a)では、押さえ部材34aがハット形鋼矢板12の幅方向(x方向)に延びるように設置されているが、ハット形鋼矢板12の長手方向(y方向)に延びるように設置(図示せず)してもよい。型枠14内に充填材が充填されれば、シート状体34が正面板14aに密着するので、作業が簡単な押さえ部材34aによる取り付けが好ましい。押さえ部材34aとしては、薄い鋼板(幅20〜50mm程度)や丸鋼、鉄筋(径6mm程度)が用いられる。なお、シート状体34が厚い場合には、正面板14aに固定しやすいように、押さえ部材34aの端部を曲げて用いる(図17(b)参照)。
型枠14は底面が開口しているが、型枠14に底面板14dを設ける場合と設けない場合がある。底面板14dは、充填材を充填する際の底型枠として用いられるが、型枠14の変形を防止する役割も果たす。特に、壁体構成部材(ハット形鋼矢板12)の下部を基礎地盤に打設する際に、振動力や衝撃力の作用に伴う鋼製型枠14のゆがみ防止に効果がある。型枠14の正面板14aと側面板14b、14cを基礎地盤中に所定深さ(0.5m〜1.0m程度)貫入させる場合は、底面板14dを設けなくともよい。基礎地盤面を底型枠として機能させることができるからである。
底面板14dの取り付けは、ハット形鋼矢板12との境界部への全線連続溶接又は断続溶接によって行われる。また、底面板14dの取り付けに際して、少なくとも非溶接個所にシーリング材を設置(被覆又は充填)するのが好ましい。底面板14dには、底面板の補剛のための補強リブや底面板を前記空間の外側から支える支持部材(いずれも図示せず)を設けてもよい。前記支持部材には、鋼板や形鋼等が使用され、壁体構成部材(ハット形鋼矢板12)に溶接等の手段で固定される。図7(b)及び図7(c)は、底面板14dの取り付け形態の一例を示したものである。図7(b)に示される例は、通常の取り付け形態であり、底面板14dが正面板12に対して直角に取り付けられている。図7(c)に示される例では、底面板14dが正面板12に対して傾斜して取り付けられており、氷海域において氷盤が鋼製型枠14の下に回り込んだとき、底面板14dが傾斜していると、氷盤からのアップリフト力を軽減することができる。底面板14dの取り付けは、壁体構成部材10の基礎地盤への打設後に行ってもよい。図7(b)に対して、さらに、鋼板を正面板12に対して傾斜して取り付けてもよい(図示せず)。氷盤からのアップリフト力の軽減のほかに、底面板を設けた型枠付き壁体構成部材を基礎地盤中に貫入させる場合に、地盤の貫入抵抗を軽減することができる。
型枠14を基礎地盤中に所定深さ貫入させる場合には、型枠14の下方部がダメージを受ける場合がある。このため、型枠14の下方部に型枠側補強材を設置することがある。具体的には、少なくとも正面板14aの下端の幅方向に鋼板(正面板幅方向補強材14f)を溶接等の手段で設置する(図18(a)参照)。正面板14aの表側(水域側)、裏側(前記空間側)のいずれか一方又は両方に設置する態様がある。正面板14aの表側に設置すると、フリクションカッター(地盤貫入時の摩擦抵抗の低減)の役割も果たす。また、少なくとも正面板14aの下端の長手方向に鋼板や形鋼等の鋼部材(正面板長手方向補強材14g)を補強リブとして溶接等の手段で設置する(図18(b)参照)。
なお、少なくとも、前記空間側の基礎地盤上に所定厚さで捨てコンクリートやベントナイト系材料等の透水係数の極めて小さな材料を使用すると、前記空間内の海水などを排水するときに前記空間外から前記空間内への海水などの回り込みを防止することができる。
型枠14は上面も開口しているが、型枠14に上面板14eを設ける場合と設けない場合がある。後述するようにハット形鋼矢板12と型枠14とによって形成される空間に充填材が充填されるが、このような充填材が充填される前に空間内への海水や砂混じり海水の浸入を防ごうとする場合に、上面板14eの設置は特に有用である。上面板14eの取り付けは、溶接又は機械的締結(ボルト止めなど)によって行われる。上面板14eと正面板14a、側面板14b、14cとの境界部には、防水処理が施される。また、上面板14eには、充填材を充填するための開口(図示せず)が設けられている。図7(d)は、上面板14eの取り付け形態の一例を示したものである。
図1〜図18に示される型枠付き壁体構成部材では、型枠14がハット形鋼矢板12のフランジ12aと反対側に配置(以下「谷側タイプ」という)されているが、型枠14をハット形鋼矢板12のフランジ12aの側に配置(以下「山側タイプ」という)してもよい。図19(a)は、2基の山側タイプの型枠付き壁体構成部材を嵌合することによって形成される型枠付き壁体40の一部を示したものであって、谷側タイプの図2(a)に対応する図、図19(b)は、図19(a)の部分19bの拡大図である。山側タイプの型枠付き壁体構成部材は、型枠14の配置個所、及び壁体構成部材側補強材の細部を除いて、谷側タイプの型枠付き壁体構成部材と実質的に同一の構成を有している。
図19(a)に示される山側タイプの型枠付き壁体構成部材の壁体構成部材側補強材42は、ハット形鋼矢板12のフランジ12aの外面に、長手方向(y方向)に所定間隔へだてて設けられた棒状部材である。図20は、山側タイプの型枠付き壁体構成部材の壁体構成部材側補強材の変形例を示した一連の図である。すなわち、図20(a)の壁体構成部材側補強材44は、棒状部材の両端が下方に折れ曲げられている点を除いて、壁体構成部材側補強材42と同様である。図20(b)の壁体構成部材側補強材46は、ハット形鋼矢板12のフランジ12aの外面の一方の端部とウェブ12dの外面、ハット形鋼矢板12のフランジ12aの外面の他方の端部とウェブ12dの外面とを連結するように、長手方向(y方向)に所定間隔へだてて設けられた一対のL形部材である。図20(c)の壁体構成部材側補強材48は、ハット形鋼矢板12のアーム部12bから側面板14b、14cと略平行に延びた一対の縦部材48aと縦部材48aの先端同士を連結する横部材48bとからなり、長手方向(y方向)に所定間隔へだてて設けられた門形部材である。図20(d)の壁体構成部材側補強材50は、縦部材がウェブ12dと略平行になるように傾斜している点を除いて、壁体構成部材側補強材48と同様である。なお、各壁体構成部材側補強材の取り付けは、溶接によって行われる。
ハット形鋼矢板12のフランジ12aの側とフランジ12aと反対側の両方に型枠を配置(以下「両側タイプ」という)してもよい。図21は、2基の両側タイプの型枠付き壁体構成部材を嵌合することによって形成される型枠付き壁体52の一部の一例を示した図である。両側タイプの型枠付き壁体構成部材においても、上述のような所望の壁体構成部材側補強材、型枠側補強材を使用してよい。
山側タイプの型枠付き壁体構成部材によって形成される型枠付き壁体40は、ハット形鋼矢板12のアーム部12bや継手嵌合部が背面側(裏埋土側)に設置され、フランジ12aが前面側(水域側)に設置される場合などに有用である。また、両側タイプの型枠付き壁体構成部材によって形成される型枠付き壁体52は、自立式防波堤などのように前面と背面の両方が水域である場合に有用である。
なお、以上の谷側タイプの型枠付き壁体構成部材、山側タイプの型枠付き壁体構成部材、及び両側タイプの型枠付き壁体構成部材では、型枠14が正面板14aと側面板14b、14cによって形成される矩形断面を有するものであるが、正面板又は側面板として、折板を用いてもよい。図22は、谷側タイプの型枠付き壁体構成部材において正面板として折板を用いた例、図23は、山側タイプの型枠付き壁体構成部材において側面板として折板を用いた例をそれぞれ示している。図22及び図23に示される折板は、1枚の鋼板を曲げ加工することによって形成してもよいし、複数枚の平鋼板を溶接接合することによって形成してもよいし、曲げ加工と溶接接合を組み合わせることによって形成してもよい。
図24は、型枠付き壁体10、40、52が設置されている状態を示した一連の図である。型枠付き壁体10、40、52では、ハット形鋼矢板12に対して、長手方向(y方向)の所定範囲Lに型枠14が取り付けられている。所定範囲Lは、構造設計および設置環境(劣化環境、腐食環境、漂砂・流砂環境、漂流物環境など)によって決定される。所定範囲Lは、例えば、標準的な海洋環境において集中腐食が生ずるおそれがある干満帯付近、大きな曲げモーメントが作用する部位、壁体構成部材の変位を抑制するのに効果的な範囲、等をカバーするように決定される。
図24に示される各例について説明する。図24(a)は、型枠付き壁体10において型枠14が水面近傍に設置されている状態を示した図、図24(b)は、型枠付き壁体10において型枠14が基礎地盤近傍に設置されている状態を示した図、図24(c)は、型枠付き壁体10において型枠14が水面近傍から基礎地盤近傍に至る個所まで連続して設置されている状態を示した図、図24(d)は、型枠付き壁体10において型枠14が水面近傍と基礎地盤近傍の2か所に別個に設置されている状態を示した図、図24(e)は、型枠付き壁体40において型枠14が背面側に設置されている状態を示した図(型枠付き壁体の背面に廃棄物などの腐食性物質が接触する場合には背面側の少なくとも腐食性物質が接触する範囲に設置される)、図24(f)は、型枠付き壁体52において型枠14が前面側と背面側の両方に設置されている状態を示した図である。なお、通常、型枠の上端部は、50〜100mm程度上部コンクリートに埋め込まれる(図示せず)。
型枠付き壁体10、40、52においては、通常、ハット形鋼矢板12と型枠14によって形成される空間内に、図24(g)に示されるように、充填材が充填され、これにより型枠付き壁体が形成される。充填材としては、セメント系硬化性充填材(セメントミルク、モルタル、コンクリート、レジンモルタル、ソイルセメントなど)、高分子樹脂系硬化性充填材(エポキシ樹脂、ウレタン樹脂など)、又は水硬性スラグなどの産業副産物、又は土砂、又は前記硬化性充填材と土砂の組み合わせ(深さ方向で多層に組み合わせる場合もある)が用いられる。充填材として土砂を用いると、鋼材を土中腐食の状態(鋼材の土中での腐食速度は海水中での腐食速度の10分の1程度である)にすることができるとともに、コンクリート等の硬化性充填材と比較して土砂が安価であるため、防食コストの低減を図ることができる。前記硬化性充填材と土砂を多層に組み合わせる例として、例えば港湾などの海域において干潮面(LWL)を標高±0.0mとすると、基礎地盤面からLWL−1.0m程度までには土砂を充填し、LWL−1.0m以浅にはコンクリート等の硬化性充填材を充填する例があげられる。
なお、硬化性充填材には、ガラス繊維などの高分子系繊維、スチールファイバなどを混入してもよい。また、充填材は、空間の全長にわたって充填してもよいし、空間の一部の範囲にのみ充填してもよい。
(第2の実施形態)
図25(a)は、2基の第2の実施形態に係る型枠付き壁体構成部材を嵌合することによって形成される型枠付き壁体60の一部を示した平面図、図26は、第2の実施形態に係る型枠付き壁体構成部材を示した平面図である。本発明の第2の実施形態に係る型枠付き壁体構成部材は、鋼管矢板62と、鋼管矢板62の少なくとも一部に取り付けられる型枠64とを備えている。
型枠付き壁体構成部材を構成する鋼管矢板62は、鋼管本体62aと、鋼管本体62aの直径方向に間隔を隔てた個所に設けられた一対の継手部62bとを有している。各継手部62bは、長手方向(y方向)に延びたスリット62b1が設けられたパイプによって形成されている。そして、一方の鋼管矢板62の継手部62bのスリット62b1に、隣接する他方の鋼管矢板62の継手部62bのスリット62b1を嵌合させることによって、所望の個数の鋼管矢板62を結合させることができる。
鋼管矢板62の継手部を、一対の継手部62bの代わりに、鋼管本体62aの直径方向に間隔を隔てた個所に設けられたT形継手部62c、スリット62d1付きの矩形継手部62dにしてもよいし(図27(b)参照)、継手部62bとT形継手部62cの組み合わせにしてもよい(図27(a)参照)。或いは、図示されていない適当な継手部を設けてもよい。
型枠64は、平板状の鋼製の正面板64aと、正面板64aの両縁部に正面板64aと略直交するようにそれぞれ取り付けられた一対の鋼製の側面板64b、64cとを有している。側面板64b、64cは、正面板64aに溶接などによって堅固に固定されている。なお、型枠64も、型枠14と同様に、セメント硬化体製の正面板を用いてもよい。
図28は、壁体構成部材側補強材の変形例を示した図である。より詳細に説明すると、図28(a)に示される壁体構成部材側補強材70は、鋼管矢板62の継手部62bと鋼管本体62aとを連結するように、長手方向(y方向)に所定間隔へだてて設けられた一対のL形部材である。図28(b)に示される壁体構成部材側補強材72は、鋼管矢板62の継手部62bから延びた一対の縦部材72aと縦部材72aの先端同士を連結する横部材72bとからなり、長手方向(y方向)に所定間隔へだてて設けられた門形部材であり、横部材72bが鋼管本体62aの外面に接触している。図28(c)に示される壁体構成部材側補強材74は、鋼管矢板62の継手部62bから延びた一対の縦部材74aと縦部材74aの先端同士を連結する横部材74bとからなり、長手方向(y方向)に所定間隔へだてて設けられた門形部材である。壁体構成部材側補強材74の横部材74bは、横部材72bと異なり、鋼管本体62aの外面に接触していない。
型枠64を平面視で台形状にしてもよいし(図29(a)参照)、平面視で円弧状にしてもよい(図29(b)参照)。
図30は、2基の両側タイプの型枠付き壁体構成部材を嵌合することによって形成される型枠付き壁体84の一部を示した平面図である。両側タイプの型枠付き壁体構成部材は、鋼管矢板62の両側に鋼製型枠64が配置されている。両側タイプの型枠付き壁体84は、たとえば自立式の防波堤に用いられる。
なお、第2の実施形態に係る型枠付き壁体構成部材は、第1の実施形態に係る型枠付き壁体構成部材と同様に、型枠側補強材66、止水壁80、浸透抑止材81、シート状体82を備えている。また、型枠64は、型枠14と同様に、正面板64aと側面板64b、64cを溶接接合して形成してもよいし、1枚の鋼板を曲げ加工して形成してもよい。さらに、型枠付き壁体60、84においても、通常、鋼管矢板62と型枠64とによって形成される空間内に、充填材が充填される。
(構築方法)
以上のように構成された型枠付き壁体10、40、52、60、84の構築方法について説明する。まず、工場等で型枠を製作し、型枠に所要の型枠側補強材を設置する。これとともに、鉄鋼メーカー等で壁体構成部材(鋼矢板、鋼管矢板、BOX矢板など)を製作し、工場やヤードで、壁体構成部材に所要の壁体構成部材側補強材を設置する。次いで、工場やヤードで、壁体構成部材の所要個所に型枠、止水壁、シート状体を取り付ける(以上が型枠付き壁体構成部材の製作工程となる)。このようにして製作された型枠付き壁体構成部材を現場に搬入し、型枠付き壁体構成部材の上部が前面側と背面側とを隔てる境界に位置するように、型枠付き壁体構成部材の下部を基礎地盤に打設して、型枠付き壁体を構築する(下部支持工程)。前記下部支持工程において、型枠付き壁体構成部材の下部を基礎地盤に打設する代わりに、基礎地盤にコンクリートフーチングを設置し、コンクリートフーチング内に型枠付き壁体構成部材の下部を埋設する場合もある。前記下部支持工程の後、前記空間内に充填材を充填する(充填工程)。なお、充填材を充填しない場合もある。
或いは、工場等での型枠付き壁体構成部材の製作工程時に同時に充填工程を実施してもよい。すなわち、型枠付き壁体構成部材の工場等での製作時に、前記空間内に充填材を充填し、前記空間内の充填材が硬化した後に、鋼製型枠が型枠付き壁体構成部材を現場に搬入し、所定個所に打設したり、コンクリートフーチング中に埋設したりしてもよい。
本発明は、以上の発明の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
例えば、前記実施形態では、壁体構成部材としてハット形鋼矢板12又は鋼管矢板62が用いられているが、他の部材(直線形鋼矢板、BOX矢板、U形鋼矢板、Z形鋼矢板など)を壁体構成部材として用いてもよい。
図31は、その一例として、壁体構成部材に直線形鋼矢板88を用いた種々の形態を示したものである。すなわち、図31(a)に示される形態では、互いに平行に配置し、鋼板88aで連結した2列の直線形鋼矢板88を壁体構成部材として用い、一方の列の直線形鋼矢板88の外側に鋼製型枠90が取り付けて型枠付き壁体構成部材とし、これらの型枠付き壁体構成部材2基を嵌合して、型枠付き壁体86の一部を形成している。図31(b)に示される形態では、1列の直線形鋼矢板88の一方の側にH形鋼88bを固定し、直線形鋼矢板88の他方の側に鋼製型枠90が取り付けて型枠付き壁体構成部材とし、これらの型枠付き壁体構成部材2基を嵌合して、型枠付き壁体86の一部を形成している。図31(c)に示される形態は、図31(b)に示される例においてH形鋼88bの代わりにT形鋼88cを用いたものである。図31(d)に示される形態は、図31(a)に示される例において鋼板88aの代わりに角形鋼管88dを用いたものである。図31(e)に示される形態は、直線形鋼矢板88毎に1枚の鋼板88aで連結した図31(a)に示される例の変形であり、直線形鋼矢板88毎に2枚の鋼板88aで連結したものである。
また、図32は、壁体構成部材としてU形鋼矢板94を用いた種々の形態を示したものである。すなわち、図32(a)に示される形態では、U形鋼矢板94の谷側に型枠96aが設置された型枠付き壁体構成部材とU形鋼矢板94の山側に型枠96bが設置された型枠付き壁体構成部材が交互に継手を嵌合させて型枠付き壁体92の一部を形成している。図32(b)に示される形態では、3枚のU形鋼矢板94がその継手が嵌合されてパネル化された壁体構成部材が形成され、前記パネル化された壁体構成部材に1基の鋼製型枠96cが設置されて、型枠付き壁体構成部材となっている。図32(c)に示される形態では、図32(b)に示されるパネル化された壁体構成部材の他方の側に、1基の鋼製型枠96dが取り付けられている。
また、図33は、壁体構成部材にハット型鋼矢板100を用いた壁体構成部材98の2つの形態を示したものである。すなわち、図33(a)に示される形態では、ハット型鋼矢板100のフランジと反対側に鋼製型枠102aが取り付けられ、フランジ側にH形鋼104が取り付けられており、これらの型枠付き壁体構成部材2基を嵌合して、型枠付き壁体98の一部を形成している。図33(b)に示される形態では、ハット型鋼矢板100のフランジ側に鋼製型枠102bが取り付けられ、その反対側にフランジにH形鋼104が取り付けられており、これらの型枠付き壁体構成部材2基を嵌合して、型枠付き壁体98の一部を形成している。
なお、図31、図32および図33に示される各形態においても、前記実施形態に準じて型枠側補強材、壁体構成部材側補強材、止水壁、シート状体が設けられる。
また、2枚のZ形鋼矢板を嵌合させ、山側又は谷側に鋼製型枠を取り付けたもの(図示せず)を型枠付き壁体構成部材として用いてもよい。
また、型枠付き壁体構成部材と型枠を取り付けない壁体構成部材とを適宜組み合わせて壁体としてもよい。
さらに、図示されている壁体構成部材を構成する各部分の寸法や細部などは単なる例示的なものにすぎず、図示した以外のものにしてもよい。
10 第1の実施形態に係る谷側タイプの型枠付き壁体構成部材を嵌合することによって形成される型枠付き壁体
12 ハット形鋼矢板(壁体構成部材)
12a フランジ
12b アーム部
12c 継手部
12c1 上方開口爪
12c2 下方開口爪
12d ウェブ
14 型枠
14a、14′a 正面板
14b 側面板
14c 側面板
14d 底面板
14e 上面板
16 型枠側補強材(方杖タイプ)
18 型枠側補強材(プレートタイプ)
20、22、24、26、28、30 壁体構成部材側補強材
32 止水壁
33 浸透抑止材
33a シーリング材
34 シート状体
34a 押さえ部材
40 第1の実施形態に係る山側タイプの型枠付き壁体構成部材を嵌合することによって形成される型枠付き壁体
42、44、46、48、50 壁体構成部材側補強材
52 第1の実施形態に係る両側タイプの型枠付き壁体構成部材を嵌合することによって形成される型枠付き壁体
60 第2の実施形態に係る片側タイプの型枠付き壁体構成部材を嵌合することによって形成される型枠付き壁体
62 鋼管矢板(壁体構成部材)
62a 鋼管本体
62b 継手部
62b1 スリット
62c T形継手部
62d 矩形継手部
62d1 スリット
64 型枠
64a 正面板
64b 側面板
64c 側面板
66 型枠側補強材
68、70、72、74、76、78 壁体構成部材側補強材
80 止水壁
81 浸透抑止材
82 シート状体
84 第2の実施形態に係る両側タイプの型枠付き壁体構成部材を嵌合すること
によって形成される型枠付き壁体
86 型枠付き壁体構成部材
88 直線形鋼矢板(壁体構成部材)
90 型枠
92 型枠付き壁体
94 U形鋼矢板(壁体構成部材)
96a、96b 型枠
98 型枠付き壁体構成部材
100 ハット形鋼矢板(壁体構成部材)
102a、102b 型枠
104 H形鋼

Claims (25)

  1. 壁体構造物の前面側と背面側とを隔てる境界に設置される型枠付き壁体を構成する型枠付き壁体構成部材であって、
    壁体構成部材と、
    前記壁体構成部材の少なくとも一方の側の長手方向の少なくとも一部に取り付けられた型枠と、
    前記壁体構成部材の所定個所に固定された複数の壁体構成部材側補強材と、
    前記壁体構成部材と前記型枠とによって形成される空間と、
    を備えていることを特徴とする型枠付き壁体構成部材。
  2. 前記空間内に配置され、前記型枠の所定個所に固定された型枠側補強材をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載された型枠付き壁体構成部材。
  3. 前記空間内における前記壁体構成部材と前記型枠との取り付け個所の近傍において、前記壁体構成部材に長手方向に延びるように配置された止水壁をさらに備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載された型枠付き壁体構成部材。
  4. 前記型枠の一部で、前記壁体構成部材と所定距離隔てた正面板における前記壁体構成部材に面する側の面の少なくとも一部に取り付けられたシート状体をさらに備えていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載された型枠付き壁体構成部材。
  5. 前記シート状体が、少なくとも押さえ部材で押さえ、前記押さえ部材の両端を前記正面板に固定することによって取り付けられることを特徴とする請求項4に記載された型枠付き壁体構成部材。
  6. 前記型枠が、前記壁体構成部材と所定距離隔てた正面板と、前記正面板の両端又はその近傍に配置された一対の側面板とを有しており、前記正面板と前記側面板の各々をそれぞれ固定することによって形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載された型枠付き壁体構成部材。
  7. 前記側面板の先端が前記正面板に当接し、前記正面板と前記側面板とによって形成される外側角部を接合することによって固定されていることを特徴とする請求項6に記載された型枠付き壁体構成部材。
  8. 前記正面板の先端が前記側面板に当接し、前記正面板と前記側面板とによって形成される外側角部を接合することによって固定されていることを特徴とする請求項6に記載された型枠付き壁体構成部材。
  9. 前記型枠が、前記壁体構成部材と所定距離隔てた正面板と、前記正面板の両端又はその近傍に配置された一対の側面板とを有しており、1枚の鋼板を曲げ加工することによって形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載された型枠付き壁体構成部材。
  10. 前記側面板の各々が前記正面板に対して実質的に直交し、或いは、僅かに傾斜していることを特徴とする請求項6から請求項9までのいずれか1項に記載された型枠付き壁体構成部材。
  11. 前記壁体構成部材と前記側面板との接合個所及び/又は前記正面板と前記側面板との接合個所に、長手方向に延びるように配置された浸透抑止材をさらに備えていることを特徴とする請求項6から請求項10までのいずれか1項に記載された型枠付き壁体構成部材。
  12. 前記浸透抑止材に隣接して配置されたシーリング材をさらに備えていることを特徴とする請求項11に記載された型枠付き壁体構成部材。
  13. 前記壁体構成部材と前記型枠との当接部の所定部位にシーリング材が設置されていることを特徴とする請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載された型枠付き壁体構成部材。
  14. 前記側面板と前記正面板との当接部の所定部位にシーリング材が設置されていることを特徴とする請求項6から請求項8までのいずれか1項に記載された型枠付き壁体構成部材。
  15. 前記止水壁と前記壁体構成部材との当接部、前記止水壁と前記正面板との当接部の所定部位にシーリング材が設置されていることを特徴とする請求項3から請求項5までのいずれか1項に記載された型枠付き壁体構成部材。
  16. 前記壁体構成部材が、ハット形鋼矢板、鋼管矢板、直線形鋼矢板、U形鋼矢板、Z形鋼矢板、又はBOX矢板の単体部材、前記各単体部材を複数個数嵌合させパネル化した部材、または前記単体部材に鋼板、H形鋼、T形鋼、又は角形鋼を補強部材として付加した合成断面部材であることを特徴とする請求項1から請求項15までのいずれか1項に記載された型枠付き壁体構成部材。
  17. 前記型枠が鋼製部材で形成されていることを特徴とする請求項1から請求項16までのいずれか1項に記載された型枠付き壁体構成部材。
  18. 前記型枠がセメント系硬化体からなる版と鋼製部材とで形成されていることを特徴とする請求項1から請求項16までのいずれか1項に記載された型枠付き壁体構成部材。
  19. 前記型枠の下端には、前記空間の底面全体を閉鎖する底面板がさらに配置されていることを特徴とする請求項1から請求項18までのいずれか1項に記載された型枠付き壁体構成部材。
  20. 請求項1から請求項19までのいずれか1項に記載された型枠付き壁体構成部材を複数基嵌合することによって構成される型枠付き壁体。
  21. 前記型枠付き壁体構成部材の前記空間内に充填材が充填されていることを特徴とする請求項20に記載された型枠付き壁体。
  22. 前記型枠付き壁体構成部材の前記型枠の下部が基礎地盤に埋設されており、前記空間内に充填材が充填されていることを特徴とする請求項20に記載された型枠付き壁体。
  23. 前記請求項1から請求項19までのいずれか1項に記載された型枠付き壁体構成部材を用いた型枠付き壁体の構築方法であって、
    前記型枠付き壁体構成部材を製作する製作工程と、
    前記型枠付き壁体構成部材の上部が前面側と背面側とを隔てる境界に位置するように、前記型枠付き壁体構成部材の下部を基礎地盤に打設したり、コンクリートフーチング中に埋設したりする下部支持工程と、
    を含むことを特徴とする型枠付き壁体の構築方法。
  24. 前記下部支持工程の後に、前記空間内に充填材を充填する充填工程をさらに含むことを特徴とする請求項23に記載された型枠付き壁体の構築方法。
  25. 前記製作工程と前記下部支持工程との間に、前記空間内に充填材を充填する充填工程をさらに含むことを特徴とする請求項23に記載された型枠付き壁体の構築方法。
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