JP2020002100A - リノール酸を含有する組成物 - Google Patents

リノール酸を含有する組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】リノール酸を含有する組成物の香気経時安定性を向上させるとともに、リノール酸を含有するリポソームの安定性も向上させ、使用時の粘度低下を抑制させた組成物の提供。【解決手段】(A)リノール酸を含むリポソーム、(B)トラネキサム酸、(C)カルボキシビニルポリマーおよび(D)水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウム、を含み、pHが6〜7.4である組成物。好ましくは、リノール酸の含有量が組成物全量に対して0.01〜1質量%であり、トラネキサム酸の含有量が組成物全量に対して1〜2質量%である、組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、リノール酸を含有する組成物に関する。
リノール酸は美白効果などを期待して、外用組成物(例えば化粧品、外用医薬品等)に配合されている。しかし、リノール酸は経時安定性が悪いことが知られており、リノール酸を配合した組成物が着色したり、異臭が発生したりする場合がある。これまでに検討されたリノール酸などの多価不飽和脂肪酸の経時安定性を向上させる技術としては、例えば、オイゲノール、イソオイゲノール、ビタミンKなどを配合する技術(特許文献1)、多価不飽和脂肪酸類をエステル化して配合する技術(特許文献2〜4)、高度不飽和脂肪酸含有脂質を含む内容物を窒素ガスが封入されたエアゾールとする技術(特許文献5)L−アスコルビン酸の2−O−アルキルエーテル誘導体をリノール酸等に対して配合する技術(特許文献6)などが挙げられる。
特開昭63−72654号公報 特開2007−126438号公報 特開2007−269683号公報 特開2007−269684号公報 特開平8−81326号公報 特開2005−120023号公報
本発明は、リノール酸を含有する組成物には保存中に異臭が発生したり、香料の香立ちが抑制されたりするという香気面での課題点が存在することを鑑み、リノール酸を含有する組成物における香気の経時安定性をより高め、異臭を発生させないだけでなく、リノール酸を含有するリポソームの高い安定性と使用時の粘性低下を抑制させた組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、かかる事情に鑑み鋭意検討を重ねた結果、驚くべきことに、リノール酸をリポソームに含有させた状態でトラネキサム酸を配合し、さらにカルボキシビニルポリマーを併用し、水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウムを用いて組成物ののpHを特定の範囲に調整することにより、リノール酸を配合した場合の組成物と比較し、香気の経時安定性が飛躍的に向上すると共に、リポソームの高い安定性を実現し、使用時の粘度低下を抑制しうる組成物を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の項1〜4に記載の組成物等を包含する。
項1.
下記に示す(A)成分乃至(D)成分を含有し、pHが6〜7.4である組成物。
(A)リノール酸を含有するリポソーム
(B)トラネキサム酸
(C)カルボキシビニルポリマー
(D)水酸化ナトリウム及び/または水酸化カリウム
項2.
リノール酸の含有量が組成物全量に対して0.01〜1質量%である、項1に記載の組成物。
項3.
トラネキサム酸の含有量が組成物全量に対して1〜2質量%である、項1に記載の組成物、項1または項2の何れか1項に記載の組成物。
項4.
組成物のpHが6.3〜7.1である、項1〜3の何れか1項に記載の組成物。
本発明の組成物は、リノール酸を含有するリポソームを配合した組成物にトラネキサム酸、カルボキシビニルポリマーを併用し、水酸化ナトリウム及び/または水酸化カリウムを用いて組成物のpHを特定の範囲に調整することにより組成物の香気経時安定性を向上させるとともに、リポソームの安定性を向上させ、使用時の粘度低下も抑制することが可能となる。
本発明の組成物は、以下の(A)成分乃至(D)成分を含有する。
(A)リノール酸を含むリポソーム
(B)トラネキサム酸
(C)カルボキシビニルポリマー
(D)水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウム
そして、本発明の組成物は、(B)〜(D)成分を含む分散媒(連続相)に(A)成分が分散してなる。つまり、本発明の組成物はリポソームの分散系であり、成分(B)〜(D)が分散媒に含まれており、成分(A)が分散質である。
本願でいう「リノール酸を含有するリポソーム」とは、主として脂質二重膜で形成された脂質小胞体(リポソーム)の構造体の中にリノール酸が包含される状態を意味する。脂質二重膜であるリポソーム膜で囲まれる空間に封入されている状態で存在することが好ましいが、リポソーム膜の構成成分とともに存在していてもよく、多重膜リポソームを構成する多重膜の間に存在していてもよく、リポソームを構成する脂質二重膜のうちの最も外側に位置する膜の表面に付着又は結合する形態で存在していても良く、それらの全てもしくは一部に存在しても良い。「リノール酸を含有するリポソーム」は、本願において、「リポソーム化したリノール酸」、「リノール酸内包リポソーム」、「リノール酸リポソーム」、や「リポソーム化リノール酸」と表現することがある。
本発明に使用するリポソームは、レシチンを構成成分(特に膜構成成分)として含むものが好ましい。レシチンとしては、大豆レシチン、コーンレシチン、綿実油レシチン、卵黄レシチン、卵白レシチンなどが例示される。また、レシチンに代えて又は加えて、レシチン誘導体を用いることもできる。レシチン誘導体としては、水素添加レシチンや、前記例示のレシチン中のリン脂質にポリエチレングリコール、アミノグリカン類等を導入した化合物が例示できる。このうち、大豆レシチン、卵黄レシチン、水素添加大豆レシチン、水素添加卵黄レシチンが好ましく、特に大豆レシチンおよび水素添加大豆レシチンが好ましい。また、レシチン中に存在するリン脂質(例えばホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、スフィンゴミエリン等)の純度を高めた精製レシチンも好ましく使用することができる。これらレシチン又はレシチン誘導体は1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明におけるリノール酸は、炭素数が12〜18の飽和脂肪酸や炭素数が18〜22の多価不飽和脂肪酸を含有する脂肪酸混合物(以下、単に「脂肪酸混合物」と記載する。)を使用することもできる。脂肪酸混合物のリノール酸含有量は高いものが好ましく、具体的にはリノール酸が脂肪酸混合物全量に対して90質量%以上が好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上である場合が最も好ましい。なお、前記の炭素数18〜22の多価不飽和脂肪酸の具体例としては、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、ジホモ−γ−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸などが挙げられる。
リノール酸の含有量は、本発明の組成物の全量に対して0.01〜1質量%が好ましく、0.05〜0.5質量%がより好ましく、0.08〜0.2質量%がさらに好ましく、0.09〜0.11質量%が最も好ましい。リノール酸の含有量が0.01質量%以上であれば、本発明の組成物を用いることにより、美白効果がより一層効率よく得られ、一方、1質量%を超える場合、保管条件によっては経時で異臭が発生したり、香料の香立ちを著しく阻害したりするなどの問題を生じる可能性があるため、好ましくない。
リポソーム分散液の製造方法は特に限定されず、常法を用いることができる。例えば、(1)リン脂質、リノール酸、その他含有させる成分などを均質に混合した後、pH調整剤、多価アルコール、糖類などを含む水溶液で水和し、リポソームを形成させる方法;
(2)リン脂質、リノール酸、その他含有させる成分をアルコール、多価アルコールなどに溶解し、pH調整剤、多価アルコール、糖類などを含む水溶液で水和し、リポソームを調製する方法;
(3)超音波、フレンチプレスやホモジナイザーを用いて、リン脂質、リノール酸、その他内含有させる成分を水中で複合化させ、リポソームを調製する方法;
(4)エタノールにリン脂質、リノール酸、その他含有させる成分を混合溶解し、このエタノール溶液を塩化カリウム水溶液に添加した後にエタノールを除去しリポソームを調製する方法;
などが例示できる。これらの製造方法では、リノール酸を含有するリポソームは水を含む水性溶媒連続層に分散した状態の分散液として得られる。
当該リポソーム分散液の製造時には、高分子、蛋白質及びその加水分解物、ムコ多糖類などを配合することができる。つまり、高分子、蛋白質及びその加水分解物、ムコ多糖類などを配合してリノール酸を含有するリポソームの分散液を製造してもよい。配合する高分子としては、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、セルロース誘導体などが例示できるが、これらに限定されない。この中でもキサンタンガム、またはヒドロキシエチルセルロースが好ましく、ヒドロキシエチルセルロースが最も好ましい。これら高分子等は1種または2種以上を組み合わせて使用できる。高分子の配合量は特に限定しないが、リポソーム分散液全体に対して0.001〜20質量%、好ましくは 0.01〜10質量%、特に好ましくは 0.05〜5質量%である。蛋白質及びその加水分解物としては、コラーゲン、エラスチン、ケラチン、カゼイン等の蛋白質、これら蛋白質の加水分解物、当該加水分解物の塩、当該加水分解物のエステル、あるいは当該加水分解物の酵素処理物などが例示される。蛋白質及びその加水分解物の配合量は特に限定しないが、リポソーム分散液全量に対して0.001〜5質量%、好ましくは0.01〜1質量%である。ムコ多糖としては、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ムコイチン硫酸、ヘパリンとその誘導体、及びそれらの塩類などが例示される。これらのうち、特にコンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸及びこれらのナトリウム塩が好ましい。ムコ多糖の配合量は特に限定しないが、リポソーム分散液全体に対して0.0005〜5質量%、好ましくは0.001〜1質量%、より好ましくは0.005〜0.5質量%、最も好ましくは0.01〜0.1質量%である。
トラネキサム酸の含有量は、本発明の組成物全量に対して0.1〜10質量%を配合することができ、0.1〜5質量%がより好ましく、1〜2質量%が最も好ましい。トラネキサム酸の含有量が0.1質量%以下であれば、本発明の効果を充分に得られない可能性があり、10質量%を越える場合、配合しただけの効果を得ることが出来ない恐れがあるため、好ましくない。
カルボキシビニルポリマーの含有量は、組成物のpHを6〜7.4の範囲において、好ましい組成物の粘度である1万〜5万センチポイズ(20℃)とするために、本発明の組成物全量に対して1質量%以下が好ましい。特に、組成物の粘度を2−4万センチポイズ(20℃)で、トラネキサム酸の含有量を1〜2質量%とする場合は、カルボキシビニルポリマーの含有量は0.15〜0.35質量%が好ましい。
本発明において、組成物のpHおよび粘度を調整する目的で水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウム(以下、「水酸化ナトリウム等」と記載することがある。)を含有させる。、組成物のpHの調整目標値は、6〜7.4、好ましくは6.3〜7.1、最も好ましくは、6.9〜7.1である。また組成物の粘度の調整目標値は、1万〜5万センチポイズであり、組成物の使用至便性を考慮すると、2万〜3万センチポイズが最も好ましい。これらの調整値を実現するために、水酸化ナトリウム等の含有量は、組成物全量に対して1質量%以下が好ましく、0.05〜0.5質量%がより好ましく、0.1〜0.3質量%が最も好ましい。ただし、水酸化ナトリウム等の含有量を調整しても両者が両立し得ない場合は、カルボキシビニルポリマーの含有量を調整することで解決する。したがって、カルボキシビニルポリマーと水酸化ナトリウム等の含有量の比率が重要となる。ここにおいて、組成物の粘度測定は、組成物を直径約5センチの120〜150ml容量の円筒形ガラス容器に入れ、20℃で恒温化したのちにB型粘度計を使用して、回転開始後60秒後の値を測定値とする。また、ローターの選定基準としては、測定値が読み値の30−70の範囲に入るものを選定する。また、組成物のpHの測定は、こ複合型ガラスpH電極を用い、20℃に恒温化した組成物に電極を直接浸漬し、浸漬2分後のpH値を測定値とする。
本発明の組成物は、例えば、トラネキサム酸((B)成分)、カルボキシビニルポリマー((C)成分)及び水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウム((D)成分)を含む組成物を常法に基づき調製し、次いで、別途調製したリノール酸を含有するリポソーム((A)成分)を配合して均一にすることにより、製造することができる。なお、(A)成分は、リポソーム分散液を使用することができ、その分散媒としては水またはアルコール類などの水溶性溶媒を含有する水を用いることが好ましい。
本発明の組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、(A)〜(D)成分以外の成分も配合することができる。配合できる成分としては、たとえば界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子、油成分、着色剤、酸化防止剤、金属封鎖剤、防腐剤、pH調整剤、清涼剤、香料、紫外線吸収・散乱剤、抗酸化剤、薬効成分などが挙げられる。
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステル活性剤などが挙げられ、中でもヘキサグリセリンモノラウリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノミリスチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリンモノラウリン酸エステル、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリンモノリノール酸エステル、デカグリセリンモノイソステアリン酸エステルなどのヘキサグリセリン脂肪酸エステル、デカグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。これら界面活性剤は、単独であるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。
保湿剤としては、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコールなどに代表される多価アルコール類、ソルビトールなどの糖アルコール類、ヒアルロン酸、ムコ多糖、アミノ酸、トリメチルグリシン、蛋白質加水分解物、植物抽出エキス、微生物代謝物などが挙げられる。これら保湿剤は、単独であるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。
水溶性高分子としては、セルロース誘導体、キサンタンガム、ポリビニルピロリドン、(アクリレーツ/イタコン酸ステアレス−20)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−30))クロスポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸パルメス−25)コポリマー、(アクリレーツ/イタコン酸セテス−20)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸アルキル(C12−22))コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス−25)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス−20)クロスポリマー、寒天、ペクチン、ジェランガム、ゼラチン、粘土鉱物などが挙げられる。これら水溶性高分子は、単独であるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。
油成分としては、動物油、植物油、炭化水素油、エステルオイル、ワックス類、ロウ類、ワセリン、高級アルコール、高級脂肪酸、シリコーン油及びその誘導体、精油などが挙げられる。これら油成分は、単独であるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の組成物は、外用組成物(皮膚に適用する組成物)として用いることが好ましい。外用組成物としては、例えば医薬組成物、医薬部外品組成物、及び化粧品組成物が例示される。特に、肌の美白効果を有する医薬品や医薬部外品、化粧品としての外用組成物(すなわち、美白用外用組成物)として、使用することが好ましい。剤形としては、特に限定するものではないが、フェイスパック、ペースト、軟膏、クリーム、ジェル、ローション、乳液、美容液、化粧水、スプレー剤などが挙げられる。
本発明の組成物を外用組成物として用いる場合、適用対象は特に限定されないが、好ましくは皮膚の色素沈着を予防したい人や既に沈着した皮膚の色素を排除(皮膚の美白)したい人である。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。なお、以下特に断りのない限り「%」は「質量%」を示す。
リノール酸を含有するリポソームを配合した組成物の経時香気安定性試験
特開平11−1423の実施例3の方法に準じて、リノール酸含有リポソームの分散液(リノール酸含有リポソームA)の調製を行った。具体的には、大豆レシチン、リノール酸およびdl―α―トコフェロールを1,3−ブチレングリコールに均質に混合し、これに精製水を加え、フレンチプレスで処理してリポソーム分散液(リノール酸含量0.5%)を調製した。なお、当該リポソーム分散液全量に対して、大豆レシチンは4質量%、dl―α―トコフェロールは0.05質量%、1,3−ブチレングリコールは4質量%含まれるように、それぞれを調製時に用いた。
そして、下記表1に示した処方の通り、各成分を常法にしたがって混合し、各組成物(実施例1及び比較例1)を製造した。なお、表1における各成分の数値は配合量(質量%)を示す。
比較例1は、トラネキサム酸2質量%を配合する代わりにL−アスコルビン酸2−グリコシドを2質量%配合した例である。
Figure 2020002100
各組成物を製造後40℃で3ヶ月間放置した後の組成物の臭気安定性を、香り専門評価パネルの官能評価により実施した。対照品としては同じ期間−5℃に保存したものを使用した。その結果、実施例に関しては、40℃で3ヶ月間放置した後でも異臭の発生は全く認めず、かつ組成物に配合した香料の香立ちは比較例よりも強く、−5℃放置品の対照と同等程度であった。また、特にフローラル系の香りに関してもその効果は顕著であることも確認した。
リノール酸を含有するリポソームを配合した組成物におけるリン脂質の経時安定性試験
表2に示す組成のリノール酸を含有するリポソームの分散液を、常法を用いて調製した。調製した分散液を表3に示す組成物に配合し、実施例2〜4及び比較例2の組成物を調製した。調製した組成物は、ガラス容器に密封した上で40℃、6ヶ月間放置した。放置後、レシチンを高速液体クロマトグラフィー質量分析計を用いて常法に従い定量した。得られたクロマトグラムのレシチンに相当するピークのピーク面積を求め、実施例2のピーク面積を基準とした相対比率を算出した。その結果を表3に示した。
Figure 2020002100
Figure 2020002100
表3に示したとおり、pHが低くなるほどレシチンの安定性が悪くなることがわかった。本結果より本発明の組成物のpH値は少なくとも5.99以上である必要があることがわかった。
リノール酸を含有するリポソームを配合した組成物の塩に対する粘度変化
表2に示す組成のリノール酸を含有するリポソームの分散液を、常法に従い調製した。調製した分散液を表4に示す組成物に配合し、実施例5、比較例3および比較例4の組成物を調製し、粘度(20℃)を測定した。次いで、調製した組成物に1%塩化ナトリウム水溶液を一定量添加し、十分に混合し均一化した後の粘度(20℃)を測定した。検討結果を表5に示した
Figure 2020002100
Figure 2020002100
表5に示したとおり、カルボキシビニルポリマー、トラネキサム酸、水酸化カリウムを全て併用した場合、塩化ナトリウムに対する組成物の粘度低下が抑制されることがわかった。
以下、本発明の組成物の処方例を示す。なお、以下特に断りのない限り「%」は「質量%」を示す。また、リポソーム分散液に含まれる、リポソーム以外の成分は、全て連続相に含まれる。
処方例1 美容液
成 分 配合量(%)
リノール酸内包リポソーム分散液 20
(リノール酸0.5%含有)
トラネキサム酸 2
カルボキシビニルポリマー 0.5
水酸化カリウム 0.2
d−δ−トコフェロール 0.01
オリーブ油 3
濃グリセリン 2
(アクリレーツ/イタコン酸ステアレス−20)コポリマー 1.5
メチルポリシロキサン 0.3
パラベン 0.1
香料(フローラルグリーンタイプ) 0.05
精製水 残 部
合 計 100
処方例2 乳液
成 分 配合量(%)
リノール酸内包リポソーム分散液 10
(リノール酸1.0%含有)
トラネキサム酸 2
カルボキシビニルポリマー 0.2
水酸化ナトリウム 0.15
天然ビタミンE 0.1
1,3−ブチレングリコール 5
オリーブ油 4
スクワラン 4
ポリオキシエチレンセチルエーテル 0.5
メチルポリシロキサン 0.5
パラベン 0.2
香料(シトラスフローラルタイプ) 0.05
精製水 残 部
合 計 100
処方例3 クリーム
成 分 配合量(%)
リノール酸内包リポソーム分散液 25
(リノール酸2.0%含有)
トラネキサム酸 1
カルボキシビニルポリマー 0.4
水酸化ナトリウム 0.19
酢酸dl―α―トコフェロール 0.5
グリセリン 10
メドフォーム油 8
スクワラン 6
ジプロピレングリコール 5
親油型モノステアリン酸グリセリン 2
セチルアルコール 2
モノステアリン酸ポリグリセリル 1
デカメチルシクロペンタシロキサン 1
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C−10〜30))
クロスポリマー 0.4
パラベン 0.05
香料(フローラルブーケタイプ) 0.3
精製水 残 部
合 計 100
処方例4 化粧水
成 分 配合量(%)
リノール酸内包リポソーム分散液 10
(リノール酸0.5%含有)
トラネキサム酸 1
カルボキシビニルポリマー 0.2
水酸化ナトリウム 0.13
dl―α―トコフェロール 0.005
濃グリセリン 10
トリメチルグリシン 3
パラベン 0.2
香料(フレッシュフローラルタイプ) 0.01
精製水 残 部
合 計 100
処方例5 化粧水
成 分 配合量(%)
リノール酸内包リポソーム分散液 20
(リノール酸2%含有)
トラネキサム酸 1.5
カルボキシビニルポリマー 0.2
水酸化ナトリウム 0.2
δ―トコフェロール 0.3
エチルアルコール 5
濃グリセリン 4
トレハロース 1
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.3
パラベン 0.1
香料(シングルフローラルタイプ) 0.01
精製水 残 部
合 計 100

Claims (4)

  1. 下記に示す(A)成分乃至(D)成分を含有し、pHが6〜7.4である組成物。
    (A)リノール酸を含有するリポソーム
    (B)トラネキサム酸
    (C)カルボキシビニルポリマー
    (D)水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウム
  2. リノール酸の含有量が組成物全量に対して0.01〜1質量%である、項1に記載の組成物。
  3. トラネキサム酸の含有量が組成物全量に対して1〜2質量%である、項1に記載の組成物、項1または項2の何れか1項に記載の組成物。
  4. 組成物のpHが6.3〜7.1である、項1〜3の何れか1項に記載の組成物。

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