JP2020001282A - インクジェット印刷システム - Google Patents

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Abstract

【課題】乾燥ユニットの熱処理を強化した場合であっても、下流側の処理に悪影響を与えることを防止する。【解決手段】第1の印刷装置5で連続紙WPにインク滴による印刷が行われ、乾燥ユニット25によりインク滴が乾燥される。次いで冷却機構29により、乾燥ユニット25で熱を帯びた連続紙WPが冷却される。連続紙WPは、搬送ユニット28で搬送される際に中心部の熱が連続紙WPの表面に伝達して、温度勾配が大きくなった状態で別体チラーユニット9により冷却される。したがって、効率的に別体チラーユニット9により連続紙WPを冷却できる。したがって、連続紙WPが第2の印刷装置11で処理される際には十分に冷却されているので、連続紙WPの乾燥を強化した乾燥ユニット25でも、第2の印刷装置11の処理に悪影響を与えることを防止できる。【選択図】図1

Description

本発明は、印刷媒体にインク滴を吐出して印刷を行う第1の処理装置と、その下流側に第2の処理装置とを備えたインクジェット印刷システムに係り、特に、第1の処理装置で印刷した印刷媒体を加熱して冷却した後、第2の処理装置でその印刷媒体を処理する技術に関する。
従来、この種のインクジェット印刷システムとして、給紙部と、加熱部及び冷却ローラを備えた第1の処理装置と、反転機構と、加熱部を備えた第2の処理装置と、排紙部とを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
このような構成のシステムでは、第1の処理装置は、給紙部から巻き出された印刷用紙の表面にインク滴を吐出して印刷を行う。第1の処理装置は、さらに印刷用紙の表面を乾燥させた後、印刷用紙の冷却を行う。その後、反転機構が印刷用紙の表裏を反転させる。第2の処理装置は、印刷用紙の裏面にインク滴を吐出して印刷を行って、印刷用紙の裏面を乾燥させる。その後、両面に印刷が行われた印刷用紙が排紙部に巻き取られる。
特開2017−124523号公報(図1)
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の装置において、生産性向上等の目的で、第1の処理装置で印刷した後の加熱部での加熱温度を強化する(例えば、100℃から140℃へ高める)ことが行われる。すると、印刷用紙の温度を十分に下げきれないので、冷却ローラの数を増やすなどして単一の冷却ユニットの冷却能力を強化することが行われる。しかしながら、このように冷却ユニットの冷却能力を強化しても、印刷用紙が厚い場合には、印刷用紙を中心部まで冷却すること、換言すると、印刷用紙の温度を厚み方向に均一に冷却することは困難である。そのため、熱を下げきれていない印刷用紙に起因して、様々な悪影響が第2の処理装置において生じる可能性がある。例えば、第2の処理装置が印刷装置である場合には、ノズル欠けや濃度変動、印刷ヘッドの制御基板などへの悪影響が第2の処理装置において生じるという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、乾燥ユニットの熱処理を強化した場合であっても、下流側の処理に悪影響を与えることを防止できるインクジェット印刷システムを提供することを目的とする。
本発明者等は、上記の問題を解決するために鋭意研究した結果、次のような知見を得た。
単一の冷却ユニットの冷却能力を強化するだけでは印刷媒体の温度が効果的に下げられないのは、次のような現象によると考えられる。
つまり、冷却ユニットの冷却能力を強化することにより、印刷媒体の表面は従来例より温度が下げられるものの、後述の理由から冷却ユニットによる印刷媒体の厚み方向の冷却には限界があるので印刷媒体の中心部を所望温度までを冷却することは困難である。印刷媒体の中心部が所望温度まで冷却されていない状態で、印刷媒体を搬送すると印刷媒体が第2の処理装置に到達するまでに、印刷媒体の中心部の熱が表面に伝達し、印刷媒体の表面温度が冷却ユニットでの冷却終了時よりも上昇する。第2の処理装置はこのように高温の印刷媒体を処理することになるため、印刷媒体を適正に処理することができない。
冷却ローラの数を増やすなどして冷却能力を強化した単一の冷却ユニットによる冷却効率が悪いのは、印刷媒体の中心部が所望温度まで冷却されるよりも前に印刷媒体の表面が冷却されて冷却ユニットとの温度勾配が小さくなり、印刷媒体の表面から冷却ユニットへの熱移動効率が低下するからである。このように印刷媒体の表面から冷却ユニットへの熱移動効率が低下した状態で、冷却を継続しても印刷媒体の中心部を所望温度まで冷却することは困難である。このような知見に基づく本発明は、次のように構成されている。
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、印刷媒体にインク滴を吐出して印刷を行うインクジェット印刷システムにおいて、前記印刷媒体にインク滴を吐出して印刷を行う印刷部と、前記印刷媒体のインク滴を乾燥させる乾燥部と、前記乾燥部で乾燥された前記印刷媒体を冷却する第1の冷却部と、前記第1の冷却部の下流側に配置され、前記第1の冷却部で冷却された前記印刷媒体を下流側に搬送する搬送機構と、前記搬送機構の下流側に配置され、前記搬送機構で搬送された前記印刷媒体を冷却する第2の冷却部と、を備えた第1の処理装置と、前記第2の冷却部の下流側に配置され、前記第2の冷却部で冷却された前記印刷媒体に所定の処理を行う第2の処理装置と、を備えていることを特徴とするものである。
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、印刷部で印刷媒体にインク滴による印刷が行われ、乾燥部によりインク滴が乾燥される。次いで第1の冷却部により、乾燥部で熱を帯びた印刷媒体が冷却されるものの、中心部には取りきれない熱が残る。中心部に熱が残った印刷媒体は、搬送機構で搬送される間に中心部の熱が印刷媒体の表面に伝達して印刷媒体の表面温度が上昇し、印刷媒体の表面と第2の冷却部との温度勾配が大きくなる。この状態で第2の冷却部により印刷媒体が冷却されるが、中心部の熱が表面に伝達し、印刷媒体と第2の冷却部との温度勾配が大きくなっているので、第2の冷却部は効率的に印刷媒体を冷却できる。したがって、印刷媒体が第2の処理装置で処理される際には十分に冷却されているので、乾燥部の熱処理を強化した場合であっても、第2の処理装置の処理に悪影響を与えることを防止できる。
また、本発明において、前記搬送機構は、非冷却状態で前記印刷媒体を搬送するものであることが好ましい(請求項2)。
搬送機構は、印刷媒体を冷却することなく、単に搬送するだけである。換言すると、印刷媒体に空走期間を設けるだけである。これにより、所定の時間が稼がれ、印刷媒体の中心部に残った熱が印刷媒体の表面にまで伝達する時間を確保することができる。
また、本発明において、前記印刷部は、前記印刷媒体の一方面に印刷を行うものであり、前記第2の処理装置は、前記所定の処理として前記印刷媒体の他方面に印刷を行うものであり、前記搬送機構は、前記印刷媒体の一方面と他方面とを反転させつつ下流側に搬送するターンバーユニットを含むことが好ましい(請求項3)。
印刷部により印刷媒体に一方面に印刷がおこなわれ、乾燥部による乾燥、第1の冷却部による冷却、ターンバーによる印刷媒体の反転、第2の冷却部による冷却を経て、第2の処理装置によって印刷媒体の他方面にインク滴による印刷が行われる。第2の処理装置での印刷の際には、印刷媒体の温度が十分に低下しているので、印刷に係る機能に支障が生じることがない。
また、本発明において、前記第1の冷却部及び前記第2の冷却部は、複数個のチラーローラから構成されており、前記第1の冷却部及び前記第2の冷却部の少なくとも一方は、前記複数個のチラーローラによる前記印刷媒体の搬送経路が縦方向であることが好ましい(請求項4)。
複数個のチラーローラを横方向に配置すると、システムの全長やフットプリントの増加を招く。しかしながら、第1の冷却部及び第2の冷却部の少なくとも一方が搬送経路を縦方向に向けられたものとすることで、そのような不都合を防止できる。
また、本発明において、前記搬送機構の上流側であって、前記第1の冷却部の下流側に駆動ローラを備えていることが好ましい(請求項5)。
第1の冷却部と第2の冷却部とを直列的に配置すると、テンション差が大きくなって、第2の処理装置に向けた印刷媒体の搬送に支障が生じる恐れがある。例えば、チラーローラは、冷媒を内蔵し、回転軸にシール部材を含むので、一般的な搬送ローラに比較して回転時の抵抗が非常に大きい。そのため、第1の冷却部と第2の冷却部との二段構成とした場合、第1の冷却部上流側で印刷媒体に加わるテンションと第2の冷却部下流側で印刷媒体に加わるテンションとの差が非常に大きくなる。そこで、第1の冷却部と第2の冷却部との間に駆動ローラを備えることにより、このテンション差を縮小することができる。これにより、第2の処理装置への印刷媒体の搬送を円滑に行うことができる。また、印刷媒体のやぶれ等を防ぐことが可能になる。
本発明に係るインクジェット印刷システムによれば、印刷部で印刷媒体にインク滴による印刷が行われ、乾燥部によりインク滴が乾燥される。次いで第1の冷却部により、乾燥部で熱を帯びた印刷媒体が冷却されるものの、中心部には取りきれない熱が残る。中心部に熱が残った印刷媒体は、搬送機構で搬送される間に中心部の熱が印刷媒体の表面に伝達して印刷媒体の表面温度が上昇し、印刷媒体の表面と第2の冷却部との温度勾配が大きくなる。この状態で第2の冷却部により印刷媒体が冷却されるが、中心部の熱が表面に伝達し、印刷媒体と第2の冷却部との温度勾配が大きくなっているので、第2の冷却部は効率的に印刷媒体を冷却できる。したがって、印刷媒体が第2の処理装置で処理される際には十分に冷却されているので、乾燥部の熱処理を強化した場合であっても、第2の処理装置の処理に悪影響を与えることを防止できる。
実施例に係るインクジェット印刷システムの概略構成を示す全体構成図である。 冷却・搬送ユニットの概略構成を示す図である。 別体チラーユニットの概略構成を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施例について説明する。
図1は、実施例に係るインクジェット印刷システムの概略構成を示す全体構成図である。
本実施例に係るインクジェット印刷システム1は、給紙部3と、第1の印刷装置5と、ターンバーユニット7と、別体チラーユニット9と、第2の印刷装置11と、排紙部13とを備えている。
給紙部3は、長尺の連続紙WPのロールを水平軸周りに回転可能に保持し、連続紙WPのロールから連続紙WPを巻き出して第1の印刷装置5に対して供給する。第1の印刷装置5は、長尺の連続紙WPの表裏のうち、例えば表面に対して印刷を行う。ターンバーユニット7は、連続紙WPの表裏を反転させる。別体チラーユニット9は、ターンバーユニット7から送られてきた連続紙WPを冷却する。第2の印刷装置11は、第1の印刷装置5と同じ構成であり、連続紙WPの表裏のうち、例えば、裏面に対して印刷を行う。排紙部13は、第1の印刷装置5及び第2の印刷装置7で印刷された連続紙WPを水平軸周りに巻き取る。連続紙WPの供給側を上流とし、連続紙WPの排紙側を下流とすると、給紙部3は第1の印刷装置5の上流側に配置され、排紙部13は第2の印刷装置11の下流側に配置されている。
なお、第1の印刷装置5が本発明における「第1の処理装置」に相当し、第2の印刷装置11が本発明における「第2の処理装置」に相当する。また、連続紙WPが「印刷媒体」に相当する。
第1の印刷装置5は、給紙部3からの連続紙WPを取り込むための第1の駆動ローラM1を上流側に備えている。第1の駆動ローラM1によって給紙部3から巻き出された連続紙WPは、回転自在の搬送ローラ17等に沿って下流側の排紙部13に向かって搬送される。
第1の駆動ローラM1の下流側には、エッジ位置制御部19が配置されている。エッジ位置制御部19は、連続紙WPが搬送方向と直交する方向へ蛇行すると自動で調整し、連続紙WPが正しい位置に搬送されるように制御する。
エッジ位置制御部19の下流側には、第2の駆動ローラM2が配置されている。第2の駆動ローラM2により下流側へ送られた連続紙WPは、第2の駆動ローラM2の下流側に配置された搬送ローラ17によって搬送方向が水平方向に変えられる。連続紙WPの搬送経路に沿って配置されている複数個の搬送ローラ17の上方には、印刷部21が配置されている。印刷部21は、例えば、4個のインクジェットヘッド23で構成されている。例えば、最上流のインクジェットヘッド23がブラック(K)のインク滴を吐出し、次のインクジェットヘッド23がシアン(C)のインク滴を吐出し、次のインクジェットヘッド23がマゼンタ(M)のインク滴を吐出し、次のインクジェットヘッド23がイエロー(Y)のインク滴を吐出する。各インクジェットヘッド23は、搬送方向において所定の間隔だけ離間して配置されている。
印刷部21にて印刷された連続紙WPは、下流側の搬送ローラ17によって搬送方向が下向きに変えられる。その位置には、第3の駆動ローラM3が配置されている。第3の駆動ローラM3は、大きな巻付角で連続紙WPを巻き付け、連続紙WPに当接して連続紙WPのインク滴を乾燥させる。この第3の駆動ローラM3は、例えば、ヒータを内蔵しており、ヒートドラムとも呼ばれる。第3の駆動ローラM3は、連続紙WPの乾燥速度を向上して第1の印刷装置5の生産性を向上できるように、例えば、乾燥温度が140℃に設定されている。この第3の駆動ローラM3及び搬送ローラ17を含む部分は、乾燥ユニット25を構成する。
乾燥ユニット25で乾燥された連続紙WPは、冷却・搬送ユニット27によって冷却され下流側に搬送される。冷却・搬送ユニット27は、第4の駆動ローラM4を上流側に備え、冷却機構29と、搬送ローラ17と、第5の駆動ローラM5とを備えている。
第4の駆動ローラM4は、乾燥ユニット25で乾燥された連続紙WPを冷却・搬送ユニット27内に取り込む。冷却機構29は、詳細を後述するが、連続紙WPの表裏面を冷却する機能を備えている。冷却された連続紙WPは、複数個の搬送ローラ17を経て第5の駆動ローラM5で下流側へ搬送される。第5の駆動ローラM5で送られた連続紙WPは、搬送ローラ17を経て水平方向に搬送方向が変えられる。
冷却・搬送ユニット27から搬送された連続紙WPは、ターンバーユニット7に送られる。ターンバーユニット7は、冷却・搬送ユニット27の下流側に配置され、冷却・搬送ユニット27で冷却され下流側に搬送された連続紙WPをさらに下流側に搬送する搬送ユニットである。また、ターンバーユニット7は図示しない複数本のバーの組み合わせによって連続紙WPの表裏を反転させる。このターンバーユニット7は、連続紙の表裏面に当接するだけであり、連続紙WPに対して意図的な加温や冷却を一切行うことがないものである。換言すると、ターンバーユニット7は、連続紙WPを非冷却状態で搬送するものである。厳密には、上述した冷却・搬送ユニット27における冷却機構29の下流側からターンバーユニット7までは、非冷却状態であって、単に連続紙WPを搬送するだけの空走期間とも言える。
ターンバーユニット7で表裏が反転された連続紙WPは、例えば、裏面が上に向けられた姿勢で別体チラーユニット9に搬送される。別体チラーユニット9は、詳細を後述するが、上述した冷却機構29と同様に、連続紙WPの表裏面を冷却する機能を備えている。
別体チラーユニット9で冷却された連続紙WPは、第2の印刷装置11に搬送される。この第2の印刷装置11は、上述した第1の印刷装置5と同一の構成である。同一構成であるので、詳細な構成の説明は省略するが、第1の印刷装置5における第1の駆動ローラM1〜第5の駆動ローラM5に対応する位置の各駆動ローラを、第2の印刷装置11では第6の駆動ローラM6〜第10の駆動ローラM10とする。
第2の印刷装置11で印刷された連続紙WPは、インクジェット印刷システム1の最下流に配置されている排紙部13で巻き取られる。
上述した各駆動ローラM1〜M10(第3の駆動ローラM3及び第8の駆動ローラM8を除く)は、個別にニップローラ(符号なし)が回転可能に取り付けられている。連続紙WPへの搬送力は、ニップローラによって、各駆動ローラM1〜M10(第3の駆動ローラM3及び第8の駆動ローラM8を除く)との間に連続紙WPが挟持されることで付与される。ニップローラによる押圧力は、例えば、エアシリンダ(不図示)で付与される。ニップローラは、例えば、ゴムなどの弾性体で構成されている。
ここで、図2を参照して、上述した冷却・搬送ユニット27の詳細について説明する。なお、図2は、冷却・搬送ユニット27の概略構成を示す図である。
冷却・搬送ユニット27は、第4の駆動ローラM4の下流側であって、第5の駆動ローラM5の上流側に冷却機構29を備えている。冷却機構29は、例えば、7本のチラーローラ31a〜31gを備えている。本実施例における冷却機構29は、7本のチラーローラ31a〜31gのうち、連続紙WPが搬送される方向における最上流に配置されたチラーローラ31aが最も下部に配置され、チラーローラ31bがその上方であって第1の印刷装置5側にずらされ、チラーローラ31cがチラーローラ31bの上方であってターンバーユニット7側にずらされ、チラーローラ31dがチラーローラ31cの上方であって第1の印刷装置5側にずらされ、チラーローラ31eがチラーローラ31dの上方であってターンバーユニット7側にずらされ、チラーローラ31fがチラーローラ31eの上方であって第1の印刷装置5側にずらされ、チラーローラ31gがチラーローラ31fの上方であってターンバーユニット7側にずらされて配置されている。換言すると、冷却機構29は、連続紙WPの搬送経路が縦方向となるように配置されている。また、各チラーローラ31a〜31gは、冷却効率を高めるために、巻付角が大きくなるように配置されている。換言すると、各チラーローラ31a〜31gは、図2における各チラーローラ31b〜31gの上縁と下縁が隣接するものと高さ方向で重複し、チラーローラ31aは、その上縁が上方に隣接するチラーローラ31bの下縁と重複し、チラーローラ31gは、その下縁が下方に隣接するチラーローラ31fの上縁に重複するように配置されている。
7本のチラーローラ31a〜31gは、内部が中空となっている。各チラーローラ31a〜31gは、図示しない冷却媒体供給装置から所定温度に温調された水などの冷媒が回転軸(不図示)の一方側から供給され、その他端側から排出されて再び冷却媒体供給装置に戻される。このような各チラーローラ31a〜31gと、これらに当接した連続紙WPとの間において熱交換がなされることにより、乾燥ユニット25によって乾燥され、熱を帯びている連続紙WPが冷却される。
冷却・搬送ユニット27における冷却機構29は、7本のチラーローラ31a〜31gにおける搬送経路が縦方向に設定されているので、第1の印刷装置5及びインクジェット印刷システム1の全長及びフットプリントを抑制できる。
また、上述したように冷却・搬送ユニット27と別体チラーユニット9とを直列的に配置すると、それらの上流側と下流側におけるテンション差が大きくなって、第2の印刷装置11に向けた連続紙WPの搬送に支障が生じる恐れがある。例えば、別体チラーユニット9のチラーローラ39a〜39gと、冷却・搬送ユニット27におけるチラーローラ31a〜31gは、冷媒を内蔵し、回転軸にシール部材を含むので、一般的な搬送ローラ17などに比較して回転時の抵抗が非常に大きい。そのため、冷却・搬送ユニット27と別体チラーユニット9との二段構成とした場合、第1の冷却・搬送ユニット27の上流側で連続紙WPに加わるテンションと別体チラーユニット9の下流側で連続紙WPに加わるテンションとの差が非常に大きくなる。冷却・搬送ユニット27と別体チラーユニット9との間に駆動ローラM5を備えると、このテンション差を縮小することができる。したがって、連続紙WPの搬送を円滑に行うことができる。また、印刷媒体のやぶれ等を防ぐことが可能になる。
なお、上述した駆動ローラM5が本発明における「駆動ローラ」に相当する。
次に、図3を参照して、別体チラーユニット9について説明する。なお、図3は、別体チラーユニットの概略構成を示す図である。
別体チラーユニット9は、横長形状の筐体33を備えている。筐体33は、その両側面のうち、上流側に導入口35を備え、下流側に排出口37を備えている。筐体33は、上流側から下流側に向かって、2個の搬送ローラ17と、7本のチラーローラ39a〜39gと、2個の搬送ローラ17との順に水平方向に備えている。各チラーローラ39a〜39gは、上述した冷却・搬送ユニット27と同じ構成であって、その搬送経路が水平方向となるように配置したものであるので、詳細な説明については省略する。
図1に示すように、上述した給紙部3と、第1の印刷装置5と、ターンバーユニット7と、別体チラーユニット9と、第2の印刷装置11と、排紙部13とは、制御部41によって統括的に制御される。制御部41は、CPUやメモリなどによって構成されており、メモリに設定されている、搬送速度、目標テンション値、乾燥温度などの印刷条件に応じて各部を制御する。
なお、上述した冷却・搬送ユニット27の冷却機構29が本発明における「第1の冷却部」に相当し、別体チラーユニット9の冷却機構29が本発明における「第2の冷却部」に相当する。また、冷却・搬送ユニット27の冷却機構29より下流側の搬送ローラ17および第5の搬送ローラM5並びにターンバーユニット7が本発明における「搬送ユニット」に相当する。以下の説明では、上記冷却・搬送ユニット27の冷却機構29より下流側の搬送ローラ17および第5の搬送ローラM5並びにターンバーユニット7を「搬送ユニット28」と言う。
上述したように構成された実施例装置によると、印刷部21で連続紙WPにインク滴による印刷が行われ、乾燥ユニット25によりインク滴が乾燥される。次いで冷却・搬送ユニット27の冷却機構29により、乾燥ユニット25で熱を帯びた連続紙WPが冷却される。但し、その中心部には取りきれない熱が残る。中心部に熱が残り、別体チラーユニット9のチラーローラ39a〜39gとの温度勾配が小さくなった連続紙WPは、搬送ユニット28で搬送される際に中心部の熱が連続紙WPの表面に伝達して、チラーユニット9のチラーローラ39a〜39gとの温度勾配が大きくなる。この状態で別体チラーユニット9により連続紙WPが冷却されるが、中心部の熱が表面に伝達し、連続紙WPと別体チラーユニット9を構成する7本のチラーローラ39a〜39gとの温度勾配が大きくなっているので、効率的に別体チラーユニット9により連続紙WPを冷却できる。別体チラーユニット9を通過した連続紙WPは中心部まで所望温度(たとえば、第2の印刷装置11での印刷処理に適した温度)に冷却されているので、連続紙WPが第2の印刷装置11に移動するまでに連続紙WPの中心部の熱が表面に伝達して連続紙WPの表面温度が上昇することがない。したがって、連続紙WPが第2の印刷装置11で処理される際には十分に冷却されているので、連続紙WPの乾燥を強化した乾燥ユニット25でも、第2の印刷装置11の処理に悪影響を与えることを防止できる。
また、本実施例装置では、冷却・搬送ユニット27と別体チラーユニット9との間に配置されたターンバーユニット7を含む搬送ユニット28により連続紙WPを冷却することなく、単に搬送する。換言すると、連続紙WPに空走期間を設けるだけである。これにより、所定の時間が稼がれ、連続紙WPの中心部に残った熱が連続紙WPの表面にまで伝達する時間を確保することができる。したがって、簡単な構成で別体チラーユニット9による冷却効果を向上できる。
次に、上述した本実施例装置による効果について説明する
(1)従来例(チラーユニットが1個)
図1において、第1の印刷ユニット5の冷却・搬送ユニット27を省略した構成とする。160gsm(Grams per Square Meter)の連続紙WPを搬送速度=120m/minで搬送しつつ30分間にわたって印刷を行った場合の連続紙WPの温度測定結果について示す。
第1の印刷装置5の出口における連続紙WPの表面温度は、47℃であった。この温度は乾燥ユニット25の直後での連続紙WPの表面温度とほぼ等しい。連続紙WPは別体チラーユニット9で冷却される。別体チラーユニット9の出口での表面温度は、21℃であった。この時点で連続紙WPは中心部まで完全に冷却されていない。このため、連続紙WPが第2の印刷装置11のインクジェットヘッド23に向けて搬送される間に、連続紙WPの中心部の熱が表面に移動する。インクジェットヘッド23の直前での連続紙WPの表面温度は30℃であった。
(2)本実施例(チラーユニットが2個)
図1において、上記(1)従来例より厚い250gsmの連続紙WPを搬送速度=120m/minで搬送しつつ30分間にわたって印刷を行った場合の連続紙WPの温度測定結果について示す。
第1の印刷装置5における乾燥ユニット25の直後の連続紙WPの表面温度は、74℃であった。連続紙WPは従来例(約47℃)よりも高温になるまで加熱される。連続紙WPはまず冷却機構29によって冷却される。冷却機構29により連続紙WPの表面温度は32.4℃(理論値)まで冷却される。但し、連続紙WPの中心部の温度は32.4℃超であると思われる。連続紙WPは冷却機構29から出た後、搬送ユニット28(搬送ローラ17および第5の駆動ローラM5等)により搬送される間に、中心部の熱が表面に移動する。この結果、第1の印刷装置5の出口における連続紙WPの表面温度は、38℃であった。連続紙WPはターンバーユニット7を経て別体チラーユニット9に向けて搬送される。別体チラーユニット9が2回目の冷却を行う。冷却により第2の印刷装置11のインクジェットヘッド23の直前での表面温度は、26℃であった。乾燥ユニット25が連続紙WPを従来例(47℃)よりも高温(74℃)になるまで加熱しているにも拘わらず、インクジェットヘッド23の直前において従来例(30℃)に比較して温度が低く(26℃)なっており、十分に冷却がされていることが明らかである。
なお、冷却・搬送ユニット28の冷却機構29に別体チラーユニット9を直結した場合を想定する。この場合、別体チラーユニット9は32.4℃(冷却機構29直後での温度)の連続紙WPの冷却を行うことになる。この場合、別体チラーユニット9と連続紙WPとの温度勾配が小さいため連続紙WPを効率的に冷却することができない。これに対し、本実施例では別体ユニット9は表面温度約38℃(搬送ユニット28(冷却機構29下流側の搬送ローラ17および第5の搬送ローラM5等)により空送した後の温度)の連続紙WPの冷却を行う。別体チラーユニット9と連続紙WPの温度勾配が大きいため、冷却機構29に別体チラーユニット9を直結した場合よりも、別体チラーユニット9はより効率的に連続紙WPの冷却することができる。
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
(1)上述した実施例では、第2の処理ユニットとして第2の印刷装置11を例にとって説明したが、本発明はこのような構成に限定されない。例えば、第2の印刷装置11に代えて、連続紙WPを所定の長さに裁断するカッター装置を備えるものにも適用できる。このような構成であっても、熱を帯びた連続紙WPによって裁断機能に悪影響が及ぶことを防止できる。また、カッター装置以外にも、第2の処理ユニットとしては、連続紙WPに近接して配置された光学系を有する最終検査装置なども挙げられる。このような装置では、熱残りによる検査精度の低下を抑制できる。
(2)上述した実施例では、搬送ユニットがターンバーユニット7を含む構成を例にとって説明したが、本発明はこのような構成に限定されない。つまり、冷却・搬送ユニット27により冷却した連続紙WPの中心部に残った熱がその表裏面に伝達するまでの時間を稼ぐことができるものであればよい。したがって、連続紙WPの表裏を反転させることなく、単に連続紙WPを搬送するだけの搬送ユニットを備えている構成であってもよい。
(3)上述した実施例では、冷却機構29と別体チラーローラ9のうち、冷却機構29の7本のチラーローラ31a〜31gの搬送経路を縦方向にしているが、装置の全長やフットプリントの増大を考慮する必要がない場合は、冷却機構29の7本のチラーローラ31a〜31gによる搬送経路を別体チラーユニット9のように水平方向としてもよい。また、逆に、装置の全長やフットプリントをより小さくした場合には、別体チラーユニット9における搬送経路を縦方向となるように構成してもよい。
(4)上述した実施例では、冷却・搬送ユニット27に第5の駆動ローラM5を配置しているが、本発明はこれを必須とするものではない。つまり、冷却・搬送ユニット27と別体チラーユニット9の上流下流におけるテンション差が搬送に悪影響を与えないのであれば、第5の駆動ローラM5を備える必要はない。
(5)上述した実施例では、印刷媒体として連続紙WPを例示したが、フィルムなどの他の印刷媒体であっても本発明を適用できる。また、厚みのある連続紙WPを例にとったが、一般的な厚みの連続紙WPや薄い連続紙WPであっても本発明を適用できる。
1 … インクジェット印刷装置
3 … 給紙部
5 … 第1の印刷装置
7 … ターンバーユニット
9 … 別体チラーユニット
11 … 第2の印刷装置
13 … 排紙部
WP … 連続紙
M1〜M10 … 第1〜第10の駆動ローラ
17 … 搬送ローラ
21 … 印刷部
23 … インクジェットヘッド
25 … 乾燥ユニット
27 … 冷却・搬送ユニット
29 … 冷却機構
31a〜31g … チラーローラ
39a〜39g … チラーローラ
41 … 制御部

Claims (5)

  1. 印刷媒体にインク滴を吐出して印刷を行うインクジェット印刷システムにおいて、
    前記印刷媒体にインク滴を吐出して印刷を行う印刷部と、
    前記印刷媒体のインク滴を乾燥させる乾燥部と、
    前記乾燥部で乾燥された前記印刷媒体を冷却する第1の冷却部と、
    前記第1の冷却部の下流側に配置され、前記第1の冷却部で冷却された前記印刷媒体を下流側に搬送する搬送機構と、
    前記搬送機構の下流側に配置され、前記搬送機構で搬送された前記印刷媒体を冷却する第2の冷却部と、を備えた第1の処理装置と、
    前記第2の冷却部の下流側に配置され、前記第2の冷却部で冷却された前記印刷媒体に所定の処理を行う第2の処理装置と、
    を備えていることを特徴とするインクジェット印刷システム。
  2. 請求項1に記載のインクジェット印刷システムにおいて、
    前記搬送機構は、非冷却状態で前記印刷媒体を搬送するものであることを特徴とするインクジェット印刷システム。
  3. 請求項1または2に記載のインクジェット印刷システムにおいて、
    前記印刷部は、前記印刷媒体の一方面に印刷を行うものであり、
    前記第2の処理装置は、前記所定の処理として前記印刷媒体の他方面に印刷を行うものであり、
    前記搬送機構は、前記印刷媒体の一方面と他方面とを反転させつつ下流側に搬送するターンバーユニットを含むことを特徴とするインクジェット印刷システム。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット印刷システムにおいて、
    前記第1の冷却部及び前記第2の冷却部は、複数個のチラーローラから構成されており、
    前記第1の冷却部及び前記第2の冷却部の少なくとも一方は、前記複数個のチラーローラによる前記印刷媒体の搬送経路が縦方向であることを特徴とするインクジェット印刷システム。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載のインクジェット印刷システムにおいて、
    前記搬送機構の上流側であって、前記第1の冷却部の下流側に駆動ローラを備えていることを特徴とするインクジェット印刷システム。
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