JP2012082025A - ウェブ搬送装置及び、このウェブ搬送装置を搭載する画像記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】連続記録媒体であるウェブの巻き癖を矯正するために、ウェブの張力を精度よく保ちつつ、デカールをロールの直径に応じた押し付け量で湾曲方向と逆方向に押し付ける必要がある。
【解決手段】ウェブの張力を調整するパウダブレーキにおいて、ウェブ搬送における停止から加速、その後減速し停止直前まで、パウダブレーキによるブレーキ張力を増加する方向にのみ変化させると共に、搬送停止時又は駆動開始前に、巻き出し部の負荷手段となるパウダブレーキに電流値0を印加し、パウダブレーキのヒステリシス特性を排除することにより、ブレーキ張力を精度よく制御できるとともに、デカール効果を一定状態で維持し、ウェブの巻き癖の程度にあった矯正を実施するウェブ搬送装置である。このウェブ搬送装置は、搬送機構を共有して画像記録装置に搭載する。
【選択図】図1
【解決手段】ウェブの張力を調整するパウダブレーキにおいて、ウェブ搬送における停止から加速、その後減速し停止直前まで、パウダブレーキによるブレーキ張力を増加する方向にのみ変化させると共に、搬送停止時又は駆動開始前に、巻き出し部の負荷手段となるパウダブレーキに電流値0を印加し、パウダブレーキのヒステリシス特性を排除することにより、ブレーキ張力を精度よく制御できるとともに、デカール効果を一定状態で維持し、ウェブの巻き癖の程度にあった矯正を実施するウェブ搬送装置である。このウェブ搬送装置は、搬送機構を共有して画像記録装置に搭載する。
【選択図】図1
Description
本発明は、連続記録媒体に生じた巻き癖をデカールするウェブ搬送装置及び、このウェブ搬送装置を搭載する画像記録装置に関する。
従来から、ロール状に巻回された長尺な記録紙やフィルム等からなる連続記録媒体のウェブを装填し、巻き出した(引き出した)ウェブにインクを吐出し画像を記録する画像記録装置がある。又は、その巻回されたウェブを巻き出して、何らかの処理を行う装置に搬入するウェブ搬送装置が知られている。このようなウェブは、画像記録装置の搬送機構内、ウェブ搬送機構内、又はこのウェブ搬送装置が搭載される装置の搬送機構内に設けられたカッタ機構により、所望するサイズのシート(以下、カットウェブと称する)に切断される。
所望するサイズに切断されたカットウェブは、元々ロール状に巻き取られた状態であったため、巻き出した直後は、ある程度の巻き癖が生じている場合がある。この巻き癖の程度により、カットウェブの先端が搬送機構上で引っかかり、搬送エラーであるジャムが生じたり、排出トレイ等に収容された際に、それぞれのカットウェブの異なる反りにより、一様に整列して収納されずに、重なりがばらついたりする状態となり、取り出した後、整える必要がある等の手間が掛かり、不便さを生じさせている。
このような課題を解決する一例として、特許文献1には、センサ等の電子素子を使用しない簡単な機構によりラベル連続体の巻き癖(カール)の矯正を図るカール矯正機構付きの記録装置が提案されている。具体的には、巻回されたラベル連続体を繰り出す際に、巻回の径が小さくなるに従ってデカール機能を果たす第1の回転ローラがラベル連続体に当接する位置を移動させると共に、回転軸を挟んで反対側に設けた第2の回転ローラがラベル連続体をカールの湾曲逆方向に揺動する技術である。
通常、連続記録媒体であるウェブの巻き癖を矯正するためには、ウェブに張力を持たせた状態で、その巻き癖の湾曲方向と逆方向にデカール部を押し付ける必要がある。特許文献1で提案されている技術においては、ロール状連続記録媒体(以下、ロールと称する)の直径に応じてデカール部の押し付け量、つまり、デカール角を制御することのみが提案されている。しかし現実的には、張力の変化による制御も考慮する必要がある。
ウェブの巻き癖の矯正性能は、巻き癖の湾曲方向と逆方向に押し付けるデカール部の形状やデカール部のウェブへの押し付け量、ウェブの張力により大きく影響を受ける。従って最適なデカール効果を得るためには、正確な張力制御が必要である。
搬送を開始する時に発生する搬送経路中のウェブの張力は、ロールの回転における慣性モーメントにより、搬送の加速度に比例して増加し、搬送速度が一定になると一定の張力となる。一方、ある搬送速度から搬送を停止させる時に発生する搬送経路中のウェブの張力は、ロールの慣性モーメントが働き、搬送の減速時の加速度、つまりマイナスの加速度に比例して張力は減少する。搬送が停止すると張力がなくなってしまう。
このように、搬送開始時及び停止時において、ウェブの張力が変動するため、この変動を考慮した制御を行わなければ、適切なデカール効果を得ることができない。張力を与え調整する手段として、例えば、磁性体の粉末を回転軸とハウジングとの摺動部に配置し、外部の電磁コイルに流す電流を制御して、磁性体の粉末が励磁することにより発生する摩擦量を制御することによりトルク制御を行うパウダブレーキが用いられることが多い。
この制御方式は、制御が容易であり信頼性が高い反面、制御の方法によってトルク誤差が発生する欠点がある。つまり、磁性体のヒステリシス特性により、励磁を増加させた場合と減少させた場合とで、パウダブレーキに与える電流対トルク特性が異なる傾向を示し、結果的にトルク誤差が発生する。例えば、最大トルク約10Nmのマイクロパウダブレーキにおいては、30%程度のトルク誤差が発生する。このため、ウェブ巻き出し軸にパウダブレーキを配置した方式では、ウェブの張力誤差もトルク誤差と同じ値だけ発生する。従って、この張力誤差を考慮してパウダブレーキの制御を行わなければ、適切なデカール効果を得ることができない。
また、ロールの慣性モーメントは、ロール状の部分の質量に比例するため、使用によりロールのウェブ巻回残量が減少するに従い、質量が減少し、慣性モーメントが変化することとなる。例えば、記録紙が坪量で表わされるように、ウェブの単位体積当たりの質量が異なったり、ウェブの幅が異なったりする場合、つまりは、異なる種類のウェブを搬送させた場合は、各々でロール状の部分の質量が異なるため、慣性モーメントも異なっている。この慣性モーメントの変化や違いにより、張力も変化することを考慮した制御を行わなければ、適切なデカール効果を得ることができない。
そこで本発明は、連続記録媒体であるウェブの種類や搬送状態によるロールの慣性モーメントの変化や違いによる張力の変化を考慮し、さらにパウダブレーキのヒステリシス特性に起因するトルク誤差が発生しないようにパウダブレーキを制御することによりウェブの張力誤差を除去して適切なデカール効果が得られ、ジャム発生を抑制するウェブ搬送装置及び、このウェブ搬送装置を搭載する画像記録装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に従う実施形態のウェブ搬送装置は、ロール状に巻回されたロール状連続記録媒体を引き出し回転可能な形態で保持する保持手段と、引き出された前記連続記録媒体の搬送駆動を行う駆動部及び、搬送駆動を制御する搬送制御部を有する駆動手段と、前記連続記録媒体の搬送経路の前記保持手段から前記駆動部までの間の前記連続記録媒体に張力を与えるために、搬送による前記ロール状連続記録媒体の引き出しに対し負荷を与え、印加される電源の値に従い発生させる負荷の増減可能な負荷手段と、前記連続記録媒体の巻き癖を矯正するために、前記連続記録媒体の搬送経路の前記保持手段から前記駆動部までの間の前記連続記録媒体の一面に押し付けるデカール部を有する巻き癖矯正手段と、前記連続記録媒体を所望するカット長に切断するカッタ手段と、前記駆動部による搬送に伴う前記ロール状連続記録媒体の質量の値を取得する質量取得手段と、前記駆動部による搬送に伴う前記ロール状連続記録媒体の半径の値を取得する半径取得手段と、を具備し、さらに、前記質量取得手段で取得された前記ロール状連続記録媒体の質量の値と、前記半径取得手段で取得された前記ロール状連続記録媒体の半径の値を基に、前記負荷手段による前記ロール状連続記録媒体の引き出し負荷と、前記巻き癖矯正手段による前記連続記録媒体へのデカール部の押し付け量と、の少なくとも一方もしくは両方を制御するとともに、前記連続記録媒体の搬送停止時を除き、前記駆動手段による前記連続記録媒体の搬送中は、前記負荷手段により発生する負荷を増加する方向にのみ変化させるウェブ制御手段と、を有する。
本発明によれば、連続記録媒体であるウェブの種類や搬送状態によるロールの慣性モーメントの変化や違いによる張力の変化を考慮し、さらにパウダブレーキのヒステリシス特性に起因するトルク誤差により発生する張力誤差を除去して適切なデカール効果が得られ、ジャム発生を抑制するウェブ搬送装置及び、このウェブ搬送装置を搭載する画像記録装置を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る連続記録媒体に画像記録を行う画像記録装置に搭載されているウェブ搬送装置の全体的な構成を示している。以下の説明において、巻回された長尺な連続記録媒体をウェブと称している。
本実施形態における画像記録装置100は、ウェブを保持搬送する保持手段となる2つのドラム17a,17bと、各ドラム17a,17bとは、それぞれにギャップを空けて配置される2つの画像記録部5a,5bと、を備えた構成である。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る連続記録媒体に画像記録を行う画像記録装置に搭載されているウェブ搬送装置の全体的な構成を示している。以下の説明において、巻回された長尺な連続記録媒体をウェブと称している。
本実施形態における画像記録装置100は、ウェブを保持搬送する保持手段となる2つのドラム17a,17bと、各ドラム17a,17bとは、それぞれにギャップを空けて配置される2つの画像記録部5a,5bと、を備えた構成である。
本実施形態のウェブ搬送装置1は、機構として、ロール状に巻回された記録媒体等のウェブ2を巻き出し(引き出し)可能に収容する巻き出し部3と、この巻き出し部3から巻き出されたウェブ2の巻き癖を矯正するデカール装置として機能するデカール部4と、ウェブ2を所定の速度で搬送駆動する搬送駆動ニップローラ部6と、ウェブ2にミシン目加工などを施したり所定の長さにカットするカッタ部7と、所定の長さにカットされたシート状のカットウェブ2を後処理機へ向けて排出する排出機構8と、ドラム17a,17bと共に搬送機構を形成する複数のローラとを有している。
さらに、画像記録装置100及びウェブ搬送装置1における駆動制御系として、搬送機構の制御を行う搬送制御部9と、画像記録部5a,5bの制御を行う記録制御部10と、装置全体の制御及び上位機器(PC:パーソナルコンピュータ等)12から送られる画像の受信制御を行う統合制御部11と、予め記録されたウェブの形状や坪量、厚み等のウェブ情報が読み出し可能に記憶されたメモリ部20と、オペレータの操作やウェブ情報の設定等を行う操作部21と、で構成される制御部22を有している。尚、図1に示す本実施形態は、ウェブ搬送装置1が画像記録装置100に搭載される構成例を示すものであり、カッタ部7と排出機構8とローラ等の搬送機構は互いに兼用し、画像記録に関わる構成要件、例えば、ドラム17a,17b、画像記録部5a,5b及び記録制御部10等は必須ではなく、ウェブ搬送装置1の構成例としてもよい。
巻き出し部(又は、給紙部)3には、ウェブ2をロール状に巻回したロール13の巻き径を検出するためのセンサ14が設けられている。さらに、搬送経路におけるウェブ2を弛ませることなく一定の張力で維持するために、機械式や磁気式の回転ブレーキ、又はクラッチを介してモータを連結し逆回転させる方式のブレーキが組み込まれる。
画像記録部5a,5bは、それぞれに少なくともシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のインクヘッドを有している。これらの画像記録部5a,5bは、ウェブ2の幅方向に沿って、ライン状に配列及び固定されており、画像記録部5aはウェブ2の表面に及び、画像記録部5bはウェブ2の裏面に記録することで、1回の搬送でウェブ2の両面記録が実施できる。
搬送駆動ニップローラ部6は、ウェブ2に搬送力を与えるもので、ウェブ2を挟んで対向配置された一対のローラを駆動する駆動モータ(図示せず)を有している。カッタ部7における上流側に配置されるパーフォレーションカッタ23は、櫛歯上の不連続な刃先形状が、円盤状の外周に沿って形成されたパーフォレーションホイールを備えたパーフォレーションカットローラ23aと受けローラ23b(以下、パーフォレーションアンビルローラと称する)の対で構成され、連続したウェブ2の搬送方向にミシン目などの加工を施す。
搬送駆動ニップローラ部6は、ウェブ2に搬送力を与えるもので、ウェブ2を挟んで対向配置された一対のローラを駆動する駆動モータ(図示せず)を有している。カッタ部7における上流側に配置されるパーフォレーションカッタ23は、櫛歯上の不連続な刃先形状が、円盤状の外周に沿って形成されたパーフォレーションホイールを備えたパーフォレーションカットローラ23aと受けローラ23b(以下、パーフォレーションアンビルローラと称する)の対で構成され、連続したウェブ2の搬送方向にミシン目などの加工を施す。
また、カッタ部7の下流側に配置されるシートカッタ24は、連続したウェブ2をシート状に切断する切断刃を備えたシートカットローラ24aとシートカットアンビルローラ24bの対とを有し、ウェブ2を所望のカット長のカットウェブ25に切断するものである。尚、パーフォレーションカッタ23とシートカッタ24の各々のローラは、全て駆動源を有している。
ウェブ2の搬送経路における、パーフォレーションカッタ23とシートカッタ24の間には、一対のパーフォレーションニップローラ部50を設けている。さらに、カッタ部7のシートカッタ24より下流には一対のシートカットニップローラ部51を設けている。尚、パーフォレーションニップローラ部50とシートカットニップローラ部51において、各々の一対のローラのうち、一方は駆動源を有しており、他方は駆動源を有さず、駆動源を持つローラに連れまわされる。
排出機構8は、カットウェブ25を図示しない収納トレイや後続の機器に、順次排出する排出ローラを有している。
デカール部4は、巻き出されたウェブ2を支持するフリーローラ対15a、15bと、その間に配置され、図示しない駆動部による昇降移動によりウェブ2のカールの矯正部材として作用するデカールヘッド16とで構成される。
デカール部4は、巻き出されたウェブ2を支持するフリーローラ対15a、15bと、その間に配置され、図示しない駆動部による昇降移動によりウェブ2のカールの矯正部材として作用するデカールヘッド16とで構成される。
次に、このように構成されたウェブ搬送装置1の動作について説明する。
まず、巻き出し部3にロール状に巻かれたウェブ2が回転可能に装着される。次に、搬送制御部9は、どの巻き径においても巻き出したウェブ2に一定の張力を与えるために、センサ14により検出されるロール13の回転速度と、搬送制御部9から搬送駆動ニップローラ部6へ指令されるウェブの搬送速度とからロール13の巻き径を搬送動作中に計算で求める。例えば、センサ14により単位時間当たりの回転数を検出してロール径を算出する。これは、ロールが1回転する時間を算出し、ロール直径=搬送速度×ロールが1回転する時間/πによりロール径が算出される。そして、そのロールの状態に適した回転軸に与えるブレーキトルクを可変制御する。他にも、ロールの巻き径を非接触センサで直接検出する、又はロール外周に当接させた部材の位置を読み取ることにより巻き径を求めてもよい。
まず、巻き出し部3にロール状に巻かれたウェブ2が回転可能に装着される。次に、搬送制御部9は、どの巻き径においても巻き出したウェブ2に一定の張力を与えるために、センサ14により検出されるロール13の回転速度と、搬送制御部9から搬送駆動ニップローラ部6へ指令されるウェブの搬送速度とからロール13の巻き径を搬送動作中に計算で求める。例えば、センサ14により単位時間当たりの回転数を検出してロール径を算出する。これは、ロールが1回転する時間を算出し、ロール直径=搬送速度×ロールが1回転する時間/πによりロール径が算出される。そして、そのロールの状態に適した回転軸に与えるブレーキトルクを可変制御する。他にも、ロールの巻き径を非接触センサで直接検出する、又はロール外周に当接させた部材の位置を読み取ることにより巻き径を求めてもよい。
さらに、求められたロール13の巻き径に基づき生じたウェブ2の巻き癖を、デカール部4のデカールヘッド16により修正する。ここで、ウェブ2の巻き癖であるカールの程度は、一般的にロール巻き径により異なる。巻き径が大きいロールに巻かれていたウェブ2は、巻き出された状態でのカールが小さく、巻き径が小さいロールに巻かれていたウェブ2は、巻き出された状態でのカールが大きい。つまり、前述したセンサ14と搬送制御部9で指令される搬送速度から求めたロール13の巻き径情報を用いることにより、巻き出されたウェブ2のカール量を予測することができる。
巻き出し部3から巻き出されたウェブ2は、デカール部4のフリーローラ対15a、デカールヘッド16及びフリーローラ対15bに掛かる。これらを通過するウェブ2は、巻き出し部3のロール巻き方向と反対方向にデカールヘッド16に巻き付けられて下降し、その下降の程度に従った矯正(デカール)が施される。
デカールヘッド16は、ロール13の径が大きい場合には、巻き出し時のウェブ2に残存している巻き癖は弱いため、ウェブ2に当接させる量を少なくした状態(下降距離が短い)に制御して巻きつける。一方、ロール13の径が小さい場合は、巻き出し時のウェブ2に残存している巻き癖が強いため、ロール13の径が大きい場合に対し、デカールヘッド16をウェブ2に当接させる量を多くした状態(下降距離が長い)に制御して巻き付ける。図1においては、デカールヘッド16を下降させた状態(実線)を示している。
画像記録部5a,5bは、ラインヘッド型インクジェットプリンタを採用した場合、例えば大径のドラム17a、17bにウェブ2を巻きつけて一定の張力を与えて回転駆動させることにより、ウェブ2のスリップを防ぎながら駆動力を伝達して所望の速度で搬送させる。ドラム17a、17bの外周面に沿って所定ギャップを空けて配置された画像記録部5a、5bのインク吐出タイミング制御は、ドラムエンコーダ18a、18bから出力される搬送速度に同期したパルスを元に行う。
搬送制御部9は、ウェブ2の走行距離に同期して回転するドラム17bのドラムエンコーダ18bの出力パルスをカウントし、このカウント値に基づいてカッタ部7の下流側に配置されたシートカッタ24のシートカットローラ24aの回転タイミングを制御し、ウェブ2を所定の長さのシート(カットウェブ)に切断する。
前述したように、デカール部4における張力が大きくなるとデカール修正効果が大きくなり、張力が小さくなるとデカール修正効果が小さくなる。従って、搬送動作の加速や減速時に張力が変化し適切なデカール効果が得られないと、カールしたカットウェブが原因となり、排出機構8以降の搬送機構でジャムを引き起こすという問題がある。また、加速・減速時に搬送経路の張力が変動すると、搬送系路中のローラ等でスリップが発生して駆動モータが脱調を起こしたり回転変動を起こしたりするため、安定走行できなくなる問題もある。
そこで、本実施形態では、搬送状態によらず、デカール部4における張力を一定に保つために、搬送制御部9が搬送駆動ニップローラ部6に対して指令する搬送速度情報と、統合制御部11にユーザが予め入力したロール13の情報を元に、加速及び減速時に発生する張力変動を計算した上で、巻き出し部3に配置されたブレーキ19を制御する。ブレーキ19は、例えば、ロール13を保持するロールシャフト32の回転にブレーキを掛けて制動し、ウェブ2に掛かる張力を制御する。
図2に示す搬送動作開始から停止に至るシーケンス図を用いて説明する。
まず、統合制御部11から記録動作開始命令が指令されると、搬送制御部9は巻き出し部3のロール13の軸に固定されたブレーキ19を解放状態から制動状態(ブレーキが作用している状態)へと切り替える。尚、非稼働時などの通電しない時には固定状態となり、通電時には解放状態となる、固定ブレーキ34を併設してもよい。つまり、非稼働時には、固定ブレーキ34を動作させてブレーキ19を解放させる。一方、稼働時で記録動作開始命令が出された時には、ブレーキ19を一旦、制動状態に切り替えた後に、固定ブレーキ34を解放する。
まず、統合制御部11から記録動作開始命令が指令されると、搬送制御部9は巻き出し部3のロール13の軸に固定されたブレーキ19を解放状態から制動状態(ブレーキが作用している状態)へと切り替える。尚、非稼働時などの通電しない時には固定状態となり、通電時には解放状態となる、固定ブレーキ34を併設してもよい。つまり、非稼働時には、固定ブレーキ34を動作させてブレーキ19を解放させる。一方、稼働時で記録動作開始命令が出された時には、ブレーキ19を一旦、制動状態に切り替えた後に、固定ブレーキ34を解放する。
このように2つのブレーキを並設して、制動状態を補うことにより、搬送停止状態であれば、装置の稼働・非稼働に関わらず、ロール13を常に制動した状態に保つことができるため、非動作時に完全にブレーキ開放されることが無くなり、ロール13が重量アンバランスにより自重で回転してウェブの弛みが発生することを防ぎ、搬送安定性を高めることができる。また、ブレーキ19が制動状態の時に、ウェブ2に与える張力は、前回の画像記録動作において、制御部22がセンサ14や搬送速度情報を基に取得したロール13の巻き径情報がメモリ部20に不揮発保存された値を基に設定される。
巻き出し開始に当たり、ブレーキ19を制動状態に切り替えた後に、固定ブレーキ34を解放状態に切り替え、カッタ部7の上流に配置されたパーフォレーションカッタ23のパーフォレーションアンビルローラ23b、及び排出機構8のローラの回転を開始させる。
ブレーキ19を制動状態に切り替えた時のブレーキ19の設定トルクは、極力小さな値とする。例えば、巻き出し部3に装着可能な最大質量のロール13とロールシャフトにより、搬送加速時に発生する慣性張力をTrimaxとし、デカール部4における目標張力をTdcとすると、デカール部4におけるウェブ張力が「Tdc−Trimax」の値以下になるように、ブレーキトルクを設定する。つまり、この時のブレーキ19の設定トルクは、ウェブ搬送中最小の値に設定する。
パーフォレーションカッタ23のパーフォレーションアンビルローラ23bは、ミシン目を加工するパーフォレーションホイールがウェブに対して押し付けられる際に、その押し付け力を受けるための表面が平らな円筒状の鉄などの金属製の胴であり、ウェブ2に対しては小さな摩擦力しか働かないため、ウェブ搬送速度より数%速い、例えば、5%速い、105%の速度でスリップ駆動させるものである。
パーフォレーションカッタ23は、パーフォレーションホイールをパーフォレーションアンビルローラ23bへ押し付ける押し付け状態と、押し付けない退避状態に切り替えられる。この切り替えは、パーフォレーションカットローラ23aに設けられた図示しないカム付のモータ等により行われる。
搬送速度が記録動作を行うための一定速度に到達するまでは、パーフォレーションホイールは、パーフォレーションアンビルローラ23bに押し付けないように退避させる。ウェブ搬送速度が0の時には、パーフォレーションホイールを退避させて、パーフォレーションアンビルローラ23bをウェブ2に対して滑らせて、カットローラ上流に配置されたパーフォレーションニップローラ部50の駆動ローラを搬送駆動ニップローラ部6よりも5%程度速い線速度で回転させることによりウェブを搬送し、カッタ部7と搬送駆動ニップローラ部6との間に張力を発生させる。
次に、ウェブの基本搬送速度を決定する搬送駆動ニップローラ部6の回転駆動を開始する。尚、搬送駆動ニップローラ部6の回転速度(ウェブ搬送速度)は、例として、画像記録時等での搬送駆動ニップローラ一定速度:0.638m/s、加速時の搬送駆動ニップローラ加速度:0.266m/s^2、減速時の搬送駆動ニップローラ加速度:−0.204m/s^2、の条件とし、ロール直径は、a:φ870mmとb:φ106mmの2通りとしている。
図2に示すように、統合制御部11は、搬送駆動ニップローラ部6の回転と同時に、カッタ部7の下流側にあるシートカットアンビルローラ24bをウェブ搬送速度と等しい速度で回転を開始させる。シートカッタ24の上流側と下流側に一対で配置されたパーフォレーションニップローラ部50及びシートカットニップローラ部51の各々の駆動源は、ウェブ搬送速度の数%速い、例えば、5%速い、105%の速度で回転される。そして、パーフォレーションニップローラ部50及び、シートカットニップローラ部51の各々の駆動ローラと各々の駆動源との間には、滑りクラッチ等を連結配置する。パーフォレーションニップローラ部50及び、シートカットニップローラ部51の各々の駆動ローラは、前記各々の駆動源から前記クラッチ等を介してウェブ搬送速度より早い回転力を得つつ、ウェブ搬送速度に従い回転する。これにより、カッタ部7におけるウェブ2は、僅かな一定張力が与えられた状態のまま、弛みが発生しないように搬送開始される。
ここで、搬送駆動ニップローラ部6、パーフォレーションニップローラ部50、シートカットニップローラ部51及び、パーフォレーションアンビルローラ23bを記録時の搬送速度に対して十分小さい一定速度で搬送する低速搬送区間を設ける。これは、前回の記録搬送動作でウェブ2が弛んだ状態となっていた場合に、ウェブ搬送が開始され、弛みが取れた後の張力が発生する際の衝撃を緩和するためである。弛みが解消して張力が回復する距離を搬送した後に、記録時の搬送速度に向かって加速を開始すると同時に、ブレーキ19の設定トルクも増加させる。
この時、ロール13の慣性モーメントとウェブの搬送加速度の積をロール13の巻き半径の2乗で除算すると、ウェブ2に発生する張力を求められる。ここで、ロール13の巻き半径は、搬送制御部が搬送駆動ニップローラ部6へ送信する既知のウェブ搬送速度を、巻き出し部3に配置された、例えばロール13と同軸で回転し、外周にスリットを多数設けた円盤とフォトセンサにより得られるパルス周期から求めた角速度で除算することにより搬送動作に対してリアルタイムで求めることができる。
ロール13における慣性モーメントは、メモリ部20に記録されているウェブ2の厚み、坪量、幅の情報と、前述で求められたロール13の巻き径とを合わせて、現在のロール13の質量を求める。尚、前記ウェブ2の厚み、坪量、幅の各々の情報は、例えば装着するロール13により条件が異なる場合は、その条件の値を装着するロールに合わせ設定できるようにしてもよい。また、ロール13の質量(重量)は、公知な技術で求めてもよい。質量検出手段として、例えば、秤を用いて直接重量を計測してもよいし、圧力センサ30等を設けて、その検出信号を用いて算出してもよい。
これらの質量と半径からロール13の慣性モーメントを求める。例えば、「ロールの慣性モーメント=1/2×ロール質量×ロール巻き半径の2乗」である。
このような検出方法及び以下に記載の計算方法により、デカール部4の目標張力に対して加速により発生する張力を差し引いた分の張力を与えるように制御部22がブレーキ19への設定トルクを制御する。
このような検出方法及び以下に記載の計算方法により、デカール部4の目標張力に対して加速により発生する張力を差し引いた分の張力を与えるように制御部22がブレーキ19への設定トルクを制御する。
表1にあるように、例えばデカール部4におけるウェブ2の目標張力を20Nとした場合、ロール13の直径が870mmのときは、ロール13とロールシャフト32の加速時に発生する慣性張力Tri(図2におけるa1)は19.8Nであるため、ブレーキ張力Tpc(図2におけるa2)を0.2Nに制御すればデカール部4での張力は20Nとなる。
また、ロール13の直径が106mmのときは、ロール13とロールシャフト32の加速時に発生する慣性張力Tri(図2におけるb1)は1.3Nであるため、ブレーキ張力Tpc(図2におけるb2)を18.7Nに制御すればデカール部4での張力は、直径870mmのロールと同様に20Nとなる。
このように、停止から一定速度まで加速する間にデカール部4での張力は変化することがないため、デカール効果は、一定状態を保つことができ、ウェブ2の巻き癖の矯正状態も一定の状態を維持することができる。
次に、加速から一定速に移行する際は、搬送駆動ニップローラ部6の搬送速度は二次曲線に従って徐々に一定値の記録速度に漸近する。つまり、搬送速度の時間微分である搬送加速度は、一次直線に従って、0に漸近していく。加速度の変化時付近で搬送速度の変化を二次曲線によりなめらかに制御する理由は、ウェブ2の伸縮や搬送ローラの撓みにより、搬送系全体に搬送加速度の外乱が発生し、張力や搬送状態が不安定になることを防ぐためである。
一定の搬送速度の状態で記録制御部10が画像記録部5a、5bに対して記録制御を行って、上位機器12から受信した画像データがウェブ2に記録され、画像記録が終了した後に、搬送停止動作へと移行する。搬送減速動作を開始する際も、搬送速度の変化を二次曲線で制御した後、一定のマイナスの加速度で停止する。
搬送減速中もデカール部4における張力を一定速と同じ張力に保つために、以下の計算によりブレーキ制御を行う。尚、搬送減速時は、ロール13のブレーキで決まる自然停止のマイナスの加速度に対して、搬送駆動ニップローラ部6による搬送停止のマイナスの加速度を緩やかに変化するように設定することにより、デカール部4の張力を所望の値に制御する。減速時は、以下に記載の計算方法により、制御部22がブレーキ19への設定トルクを制御する。
表2にあるように、例えばデカール部4におけるウェブ2の目標張力を20Nとした場合、ロール13の直径が870mmのときは、ロール13とロールシャフト32の減速時に発生する慣性張力Tri(図2におけるa3)は−15.2Nである。また、ドラム17aの減速時に発生する慣性張力Tdiは−2.5Nであるため、ブレーキ張力Tpc(図2におけるa4)を37.7Nに制御すればデカール部4での張力は20Nとなる。
同様に、ロール13の直径が106mmのときは、ロール13とロールシャフト32の減速時に発生する慣性張力Tri(図2におけるb3)は−1.0Nであり、ドラム17aの減速時に発生する慣性張力Tdiは−2.5Nであるため、ブレーキ張力Tpc(図2におけるb4)を23.5Nに制御すればデカール部4での張力は、直径870mmのロールと同様に20Nとなる。
また、ブレーキ19の設定トルクは、図2にあるように、ウェブ搬送が停止するまで、ウェブ搬送中は増加するのみで、減少することがない。
例えば巻き出し部3に装着可能な最大質量のロール13が、表1にある質量の場合、巻き出し部3に装着可能な最大質量のロール13とロールシャフトにより搬送加速時に発生する慣性張力であるTrimaxが19.8Nとなるため、「Tdc−Trimax」は0.2Nとなる。よって、ウェブの低速搬送前の、前述したブレーキ19を制動状態に切り替えた時のブレーキ張力は0.2N以下になるように設定する。
そして、ウェブの搬送加速時には、ブレーキ張力は、表1にあるように、例えばロール13の直径が870mmのときは0.2N、ロール13の直径が106mmのときは18.7Nに設定する。
そして、画像記録時のウェブの搬送速度が一定の時には、ブレーキ張力は例えば一定の20Nに設定する。ウェブの搬送減速時において、ブレーキ張力は、表2に示すように、例えば、ロール13の直径が870mmの場合には、37.7Nに設定し、ロール13の直径が106mmの場合には、23.5Nに設定する。
尚、図2において、ウェブ2の搬送停止直後にブレーキへの張力指示値を0Nまで瞬時に下げているが、これに限らず、徐々に0Nに下げてもよい。
尚、図2において、ウェブ2の搬送停止直後にブレーキへの張力指示値を0Nまで瞬時に下げているが、これに限らず、徐々に0Nに下げてもよい。
上述したように、ブレーキ張力をウェブ搬送が停止するまで、ウェブ搬送中は増加するように制御することで、ブレーキ19のヒステリシス特性に起因するトルク誤差が発生せず、ウェブの張力を精度良く制御できる。
図3(a),(b)及び図4(a),(b)は、前述した計算により求めた張力を、ブレーキ制御、ロールとロールシャフトの慣性分、ドラム慣性分として模式的に示した図である。図3(a)は、ロール直径がφ870mmにおける加速時を示し、図3(b)は、同じロール直径における減速時の張力を示している。また、図4(a)は、ロール直径がφ106mmにおける加速時を示し、図4(b)は、同じロール直径における減速時の張力を示している。尚、図2と同様に、画像記録時等での搬送駆動ニップローラ一定速度:0.638m/s、加速時の搬送駆動ニップローラ加速度:0.266m/s^2、減速時の搬送駆動ニップローラ加速度:−0.204m/s^2、の条件とする。
ここで、図3(a)、図4(a)に示す搬送加速時のデカール部4におけるウェブ2の張力は、デカール部4の下流に位置するドラム17aの慣性モーメントを加味せず、図3(b)、図4(b)に示す搬送減速時はドラム17aの慣性モーメントを加味している。
搬送加速時は、ドラム17aがウェブ2に引っ張られて連れ回り回転するため、ドラム17aの慣性モーメントは、デカール部4におけるウェブ2の張力に影響を与えない。
一方、搬送減速時は、ウェブ2の搬送減速によりドラム17aへの引っ張り力が減少していくのに対し、ドラム17aは、ドラム17aの慣性モーメントの作用により、ウェブ搬送方向下流側にウェブを搬送しようとする。このため、ドラム17aの慣性モーメントは、デカール部4におけるウェブ2の張力に影響を与える。
デカール部4の張力を所望の値に制御するために、搬送減速時はドラム17aの減速時の慣性モーメントにより発生する張力変化も含めて計算する。この例では、ロール径の範囲をφ106mmからφ870mmとしたが、加速度、一定速度での張力の値を変更することにより、さらに大きなサイズのロールを制御することも可能である。
また、ロール13の巻き半径を求める手法として、光学センサを利用して、例えば、ロール半径方向に反射型フォトセンサを配列したラインセンサ33を巻き出し部フレーム31に固定する構成がある。この構成によれば、ロール半径より小さい半径の箇所に固定されたセンサの出射光は、ロール側面で反射して受光部で検出され、ロール径がそのセンサの配置半径以上であることが検出できる。反対に、ロール半径以上の箇所に固定されたセンサの出射光は、ロール側面で反射しないため、受光部ではロール径がそのセンサの配置半径以下であることが検出できる。
以上の検出結果から例えば、2箇所の半径の中間値をロール半径として、或いは反射光を検出したセンサの最大値をロール半径として求めることができる。この場合、フォトセンサの検出光をロール側面に直接照射、反射させて検出できるため、回転検出の場合に必要となる、ロール13と同軸で回転し円盤の外周上にスリットを多数設けた回転式チョッパー等の可動部材を省略でき、信頼性を向上することができる。また、ロール13の巻き半径を求める手段としては、光電式ではなく、プローブをロール外周面に機械的に接触させて変位を検出する方式のセンサでもよい。
また、メモリ部20に既に記録されているウェブの厚み、坪量、幅の情報と前述で求められたロールの巻き径とを合わせてロールの質量を求め、これら質量と半径からロールの慣性モーメントを求める方法について説明した。これらのうち、ロールの質量(重量)は、圧力センサ30[質量取得手段]から直接求めてもよい。
圧力センサ30は、例えば圧力に応じて抵抗値が変化するピエゾ素子を用いたものを巻き出し部フレーム31に固定しておき、ロール13のロールシャフト貫通穴に挿入されたロールシャフト32の荷重を受けるように配置する。このように圧力センサからの情報を元にすれば、ウェブの厚み、坪量、幅の情報と前述で求められたロールの巻き径を元に計算する必要がなくなるため、搬送停止状態においても直接ロールの質量を求めることができる。
また、ロール13の半径を、メモリ部20に記録されているウェブ2の厚み、坪量、幅の情報と、前記圧力センサ30等の質量検出手段で求められたロール13の質量により求めてもよい。また、前述の構成においては、ウェブの幅をメモリ20に予め記録させていたが、光学センサを利用して、例えば、ウェブの幅方向に反射型フォトセンサを配列したラインセンサを、巻き出し部3やその他ウェブ2の搬送経路に設け、ウェブの幅を検知してもよい。
以上のように本実施形態によれば、ウェブ搬送における停止から加速、一定速度、減速、停止まで巻き出し部のブレーキを制御することにより、デカール部に対する張力は、常に一定となり変化することがないため、デカール効果は、一定状態を保つことができ、ウェブの巻き癖の矯正状態も一定の状態を維持することができる。
さらに、加速度の変化時付近で速度変化を二次曲線により、円滑に制御することにより、デカール部の張力が変極点を持つことなく安定な一定値となるため、ウェブの伸縮や搬送ローラの撓みにより搬送系全体に加速度の外乱が発生し搬送状態が不安定になることを防ぎ、ウェブのデカール状態の安定化とともにジャムや搬送の安定化を実現している。
以上のことから、本実施形態の画像記録装置に搭載されたウェブ搬送装置は、幅や単位体積当たりの質量やロール半径が異なるロール状連続記録媒体に対応でき、且つ加速時・減速時のロール状連続記録媒体の慣性張力変動に対して、デカール部における張力を常に一定に保つことができる。さらに、デカール部の連続記録媒体に対する押し付け量を調整制御することにより、連続記録媒体の種類や搬送状態によらず適切なデカール効果が得られ、ジャム発生を抑制することができる。
[第2の実施形態]
次に、図5(a)乃至(c)を参照して、第2の実施形態のウェブ搬送装置について説明する。図5(a)は、デカール部4のカール補正指示値が一定の場合の、ウェブ張力に対するカール(巻き癖)補正効果を示す図、図5(b)は、ウェブ張力に応じたデカール部4のカール補正指示値を示す図、図5(c)は、ウェブ張力に応じたカール補正後のウェブカール状態を示す図である。
次に、図5(a)乃至(c)を参照して、第2の実施形態のウェブ搬送装置について説明する。図5(a)は、デカール部4のカール補正指示値が一定の場合の、ウェブ張力に対するカール(巻き癖)補正効果を示す図、図5(b)は、ウェブ張力に応じたデカール部4のカール補正指示値を示す図、図5(c)は、ウェブ張力に応じたカール補正後のウェブカール状態を示す図である。
前述した第1の実施形態では、ウェブの搬送の加速、減速時のデカール部4における張力を一定にするように、ロールの質量と半径の情報を元にブレーキ19の制御を行ったが、本実施形態では加速、減速時のデカール部4における張力の値を元に、デカール部の制御を行う。
前述した図1に示したデカール部は、ウェブの張力が一定の条件下では、デカールヘッド16を下方へ移動するとカール補正効果が大きくなり、上方へ移動するとカール補正効果が小さくなる。一般に、カール発生時の特性としては、デカールヘッドの位置が一定の条件下では、図5(a)に示すように、張力が大きい場合はカール補正効果が大きくなり、張力が小さい場合はカール補正効果が小さくなる。
従って、図5(b)に示すように、ウェブ張力が大きい場合には、カール補正を弱める方向にカール補正指示を行い、逆にウェブ張力が小さい場合にはカール補正を強める方向にカール補正指示を行うことにより、図5(a)とは、逆の特性を当てることができるため、結果として、ウェブのカール状態は、図5(c)に示すように、張力によらず、一定に保つことが可能となる。
以上説明したように、本実施形態によれば、デカール部の張力を常に一定に保たなくとも、異なる記録媒体坪量や異なる幅のロール紙に交換する場合の設定張力の違いや、加速・減速時のロール紙の慣性張力変動が発生している場合においても、用紙種類や搬送状態によらず適切なデカール効果を得ることができる。さらに、ウェブの伸縮や搬送ローラの撓みにより搬送系全体に加減速の変化が発生しても、その変化に追従してウェブのデカール状態の安定化とともに、ウェブのスリップやジャムなどが発生しない安定なウェブ搬送装置を提供できる。
[第3の実施形態]
次に、図6及び図7を参照して、第3の実施形態のウェブ搬送装置について説明する。
図6は、巻き出し部に用いられている負荷手段となるパウダブレーキにおける駆動電流と発生トルクの特性の一例を示す図である。図7は、パウダブレーキを駆動制御するためのブロック構成を示す図である。
次に、図6及び図7を参照して、第3の実施形態のウェブ搬送装置について説明する。
図6は、巻き出し部に用いられている負荷手段となるパウダブレーキにおける駆動電流と発生トルクの特性の一例を示す図である。図7は、パウダブレーキを駆動制御するためのブロック構成を示す図である。
本実施形態は、巻き出し部3のブレーキ19に電磁式のパウダブレーキ41を採用した構成例である。本実施形態は、トルク制御によりウェブの張力を可変可能なパウダブレーキ41と、前述した搬送制御部9(図1)から送信された搬送状態信号に基づき、パウダブレーキ41を駆動制御するためのパウダブレーキ電源制御部(ウェブ制御手段)42とで構成される。
パウダブレーキ41は、図6に示すように、ブレーキ内部の磁性粉末の保持力の影響により、電流値を0から正側に増加するように変化させた時(即ち、負荷となるトルク値を0から大きくなる方向へ変化させた時)の曲線と、その逆に一旦高くなった両値とも減少するように変化させた時の曲線とは、異なる軌跡を通る特性曲線となる。
この磁気的ヒステリシスの影響により、実際に同一電流値をパウダブレーキ41へ与えたとしても、それまで辿ってきた制御プロファイルの違いにより、トルク差Δが発生する。このトルク差Δの量は、最大トルク10Nm級の製品では、30%程度も発生し、高い張力精度が要求されるウェブ制御に対しては、大きなエラーの原因となる。
一方、このヒステリシス曲線は、パウダブレーキ41の電源を切断して、励磁コイル電流を一度、0に戻せば、再度、原点0から発する軌跡を辿る。従って、搬送制御部9の情報を元に、パウダブレーキ電源制御部42が搬送状態を判断し、搬送開始する前の停止状態でパウダブレーキ41の電流を一旦、0にしてから電流を増やす方向にのみ制御を行えば、毎回同じヒステリシス曲線を辿ることができる。これにより、上昇側の一方の特性曲線のみを使用するため、トルク値の誤差Δを0にすることができ、精度の良いトルク制御ができ、張力の精度を向上させることができる。
その制御として、例えば、図2に示すように、ロール13の直径がφ870mmの場合、パウダブレーキ電源制御部42は、搬送停止状態において、パウダブレーキ41に張力値(トルク値)0を指示する。そして、パウダブレーキ41は、停止区間で搬送開始直前に、ブレーキ張力値0.2Nに設定される。このウェブの弛みを取る区間のブレーキ張力値0.2Nは、ロール13の巻き品質のアンバランスによりロール13の重心が回転中心ではなく偏りがある場合に、偏った重心によりロール13が重力で意図せず回転してしまうことを防止するため、および搬送停止からウェブ2が搬送されウェブ2の弛みが除去される瞬間の衝撃をなるべく小さくするための最低限の張力としている。
ウェブ搬送中にパウダブレーキ41によるブレーキ張力値を増加させるために、ウェブの弛みを取る区間のブレーキ張力値は、0Nよりも大きく且つ「目標張力値−装置装着可能最大質量のロールの加速により発生する慣性張力値」以下に設定制御する。
そして、搬送動作を開始した後、低速区間から加速区間に移行する。この加速開始に伴い、ロール13により発生する慣性張力は0Nから19.8Nまで直線的に増加し、その後19.8Nの一定値に保たれる。この時、ウェブ2に加わる張力を目標張力値20Nとするように、ブレーキ張力値が制御されるが、ウェブの弛みを取る区間のブレーキ張力値が、「目標張力値−装置装着可能最大質量のロールの加速により発生する慣性張力値」である0.2Nであるため、目標張力値20Nを達成するために、ブレーキ張力値は0.2Nを保つ。ここでは、ブレーキ張力値を下降させないことが重要である。
ウェブ搬送中にパウダブレーキ41によるブレーキ張力値を増加させるために、目標張力値は、下限値を少なくとも装置装着可能最大質量のロールの加速により発生する慣性張力値以上にする必要があり、本実施例においては、「ウェブの弛みを取る区間のブレーキ張力値+装置装着可能最大質量のロールの加速により発生する慣性張力値」以上に設定制御する。また、目標張力値の上限値は、ウェブを保持する各構成部材の強度が保たれる範囲で低い値に設定制御する。
ウェブ搬送中にパウダブレーキ41によるブレーキ張力値を増加させるために、目標張力値は、下限値を少なくとも装置装着可能最大質量のロールの加速により発生する慣性張力値以上にする必要があり、本実施例においては、「ウェブの弛みを取る区間のブレーキ張力値+装置装着可能最大質量のロールの加速により発生する慣性張力値」以上に設定制御する。また、目標張力値の上限値は、ウェブを保持する各構成部材の強度が保たれる範囲で低い値に設定制御する。
次に、加速区間の終盤になり、記録速度区間前に、ロール13により発生する慣性張力は19.8Nから0Nまで直線的に減少し、その後記録独度区間は0Nの一定値に保たれる。この時、ウェブ2に加わる張力を目標張力値20Nとするように、ブレーキ張力値は0.2Nから20Nに直線的に張力を増加させる。
記録速度区間からはロール13により発生する慣性張力は0Nであり、ブレーキ張力値は20Nの一定を維持させ、記録速度区間において、ウェブに画像記録を行う。
記録速度区間からはロール13により発生する慣性張力は0Nであり、ブレーキ張力値は20Nの一定を維持させ、記録速度区間において、ウェブに画像記録を行う。
次に、画像記録が終了した後、ドラムを搬送停止させるために、記録速度区間から減速区間に移行する。この減速区間において、ロール13により発生する慣性張力は0Nから−15.2Nまで減少し、またドラム17aにより発生する慣性張力は0Nから−2.5Nまで減少する。減速区間においては、ロール13およびドラム17aはウェブ2の張力を負の値にしようとするため、パウダブレーキ電源制御部42は、目標張力値20Nを達成するよう、ブレーキ張力値を20Nから37.7Nに増加させ、ウェブ2の搬送にブレーキを掛けるため、この減速時においても電流を増加させる方向となり、ヒステリシスによる誤差は発生しない。
ウェブ2の搬送が減速して停止すると、搬送制御部9が搬送停止を判断して、停止情報信号をパウダブレーキ電源制御部41に送出する。パウダブレーキ電源制御部41では、駆動電流を0にする電源制御を行う。この駆動電流を0入力することにより、ヒステリシス特性は初期状態に復帰する。上述した説明では、ウェブ2の搬送が減速して停止した際に、印加する駆動電流値を0にしたが、これに限定されるものではなく、パウダブレーキを駆動開始する前であればよい。
以上のように本実施形態によれば、パウダブレーキの使用開始前に、パウダブレーキの駆動電流値を0に落として、初期状態とさせることにより、常に、駆動電流に対する張力値(トルク値)が同じ特性下で使用することができ、ヒステリシス特性に起因するトルク誤差による張力誤差を排除して適切なデカール効果を得ることができる。
尚、本発明の第1乃至第3の実施形態についてそれぞれ説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良・変更が可能である。例えば、前述した本発明の各実施形態に示された全体構成から幾つかの構成要素を削除してもよいし、さらには各実施形態の異なる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
1…ウェブ搬送装置、2…ウェブ、3…巻き出し部、4…デカール部、5a,5b…画像記録部、6…搬送駆動ニップローラ部、7…カッタ部、8…排出機構、9…搬送制御部、10…記録制御部、11…統合制御部、12…上位機器、13…ロール、14…センサ、15a、15b…フリーローラ対、16…デカールヘッド、17a,17b…ドラム、18a、18b…ドラムエンコーダ、19…ブレーキ、20…メモリ部、21…操作部、22…制御部、23…パーフォレーションカッタ、24…シートカッタ、25…カットウェブ、30…圧力センサ、31…巻き出し部フレーム、32…ロールシャフト、33…ラインセンサ、34…固定ブレーキ、41…パウダブレーキ、42…パウダブレーキ電源制御部、50…パーフォレーションニップローラ部、51…シートカットニップローラ部、100…画像記録装置。
Claims (5)
- ロール状に巻回されたロール状連続記録媒体を引き出し回転可能な形態で保持する保持手段と、
引き出された前記連続記録媒体の搬送駆動を行う駆動部及び、搬送駆動を制御する搬送制御部を有する駆動手段と、
前記連続記録媒体の搬送経路の前記保持手段から前記駆動部までの間の前記連続記録媒体に張力を与えるために、搬送による前記ロール状連続記録媒体の引き出しに対し負荷を与え、印加される電源の値に従い発生させる負荷の増減可能な負荷手段と、
前記連続記録媒体の巻き癖を矯正するために、前記連続記録媒体の搬送経路の前記保持手段から前記駆動部までの間の前記連続記録媒体の一面に押し付けるデカール部を有する巻き癖矯正手段と、
前記連続記録媒体を所望するカット長に切断するカッタ手段と、
前記駆動部による搬送に伴う前記ロール状連続記録媒体の質量の値を取得する質量取得手段と、
前記駆動部による搬送に伴う前記ロール状連続記録媒体の半径の値を取得する半径取得手段と、
を具備し、さらに、
前記質量取得手段で取得された前記ロール状連続記録媒体の質量の値と、前記半径取得手段で取得された前記ロール状連続記録媒体の半径の値を基に、前記負荷手段による前記ロール状連続記録媒体の引き出し負荷と、前記巻き癖矯正手段による前記連続記録媒体へのデカール部の押し付け量と、の少なくとも一方もしくは両方を制御するとともに、前記連続記録媒体の搬送停止時を除き、前記駆動手段による前記連続記録媒体の搬送中は、前記負荷手段により発生する負荷を増加する方向にのみ変化させるウェブ制御手段と、
を有することを特徴とするウェブ搬送装置。 - 前記ウェブ制御手段は、前記負荷手段への印加電流と、前記印加電流により発生する負荷トルクの、印加電流対負荷トルクの特性におけるヒステリシス特性による2つの曲線の内、トルクが増加する方向のヒステリシス曲線を基に、前記負荷手段を制御することを特徴とする、請求項1に記載のウェブ搬送装置。
- 前記ウェブ制御手段は、前記連続記録媒体が搬送動作状態か搬送停止状態かを判別して前記負荷手段の電源をON/OFF制御する負荷手段電源制御手段を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のウェブ搬送装置。
- ロール状に巻回されたロール状連続記録媒体を引き出し回転可能な形態で保持する保持手段と、
引き出された前記連続記録媒体の搬送駆動を行う駆動部及び、搬送駆動を制御する搬送制御部を有する駆動手段と、
前記連続記録媒体の搬送経路の前記保持手段から前記駆動部までの間の前記連続記録媒体に張力を与えるために、搬送による前記ロール状連続記録媒体の引き出しに対し負荷を与え、印加される電源の値に従い発生させる負荷の増減可能な負荷手段と、
前記連続記録媒体の巻き癖を矯正するために、前記連続記録媒体の搬送経路の前記保持手段から前記駆動部までの間の前記連続記録媒体の一面に押し付けるデカール部を有する巻き癖矯正手段と、
前記連続記録媒体を所望するカット長に切断するカッタ手段と、
前記駆動部による搬送に伴う前記ロール状連続記録媒体の質量の値を取得する質量取得手段と、
前記駆動部による搬送に伴う前記ロール状連続記録媒体の半径の値を取得する半径取得手段と、
を具備し、さらに、
前記質量取得手段で取得された前記ロール状連続記録媒体の質量の値と、前記半径取得手段で取得された前記ロール状連続記録媒体の半径の値を基に、少なくとも前記負荷手段による前記ロール状連続記録媒体の引き出し負荷を制御するとともに、前記連続記録媒体の搬送停止時を除き、前記駆動手段による前記連続記録媒体の搬送中は、前記負荷手段により発生する負荷を増加する方向にのみ変化させるウェブ制御手段と、
前記連続記録媒体上に画像を記録する画像記録手段と、
を有することを特徴とする画像記録装置。 - 前記画像記録装置は、請求項2又は3のいずれかに記載の前記ウェブ搬送装置を搭載することを特徴とする請求項4に記載の画像記録装置。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20140107 |