JP2020001257A - 樹脂組成物およびフィラメント状成形体 - Google Patents
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Abstract
Description
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)熱溶解積層法3Dプリンターの造形材料用樹脂組成物であって、ポリ乳酸(A)とポリアミド共重合体(B)とフッ素系滑剤(C)とを含有し、(A)と(B)との質量比(A/B)が90/10〜25/75であって、(C)の含有量が、(A)と(B)の合計100質量部に対して0.05質量部以上であることを特徴とする樹脂組成物。
(2)フッ素系滑剤(C)が、フッ化ビニリデン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体であることを特徴とする(1)に記載の樹脂組成物。
(3)さらに、充填剤(D)を含有することを特徴とする(1)または(2)に記載の樹脂組成物。
(4)熱溶解積層法3Dプリンターの造形材料用成形体であって、(1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂組成物で構成され、直径が0.2〜5.0mmであることを特徴とするフィラメント状成形体。
まず、本発明の樹脂組成物について説明する。本発明の樹脂組成物は、ポリ乳酸(A)とポリアミド共重合体(B)とフッ素系滑剤(C)とを含有する樹脂組成物であって、ポリ乳酸(A)とポリアミド共重合体(B)との質量比(A/B)が90/10〜25/75であって、フッ素系滑剤(C)の含有量が、ポリ乳酸(A)とポリアミド共重合体(B)の合計100質量部に対して0.05質量部以上である。
実施例、比較例で得られた樹脂組成物、フィラメント状成形体および造形物の評価は、以下の方法によりおこなった。
(1)ポリ乳酸(A)のD体含有量
ポリ乳酸(A)約0.3gを1N−水酸化カリウム/メタノール溶液6mlに加え、65℃にて充分撹拌し、ポリ乳酸を分解させた後、硫酸450μlを加えて、65℃にて撹拌し、乳酸メチルエステルとした。このサンプル5ml、純水3ml、および、塩化メチレン13mlを混合して振り混ぜた。静置分離後、下部の有機層を約1.5ml採取し、HPLC用ディスクフィルター(孔径0.45μm)でろ過し、ガスクロマトグラフィーで測定した。
ガスクロマトグラフィー(Hewlett Packard社製、HP−6890)は、ヘリウム(He)をキャリアガスとして、流速1.8ml/minで、オーブンプログラムは90℃で3分間保持し、50℃/minで220℃まで昇温し、1分間保持する条件でおこなった。カラムは、J&W社製DB−17(30m×0.25mm×0.25μm)を用い、検出器はFID(温度300℃)、内部標準法で測定した。乳酸メチルエステルの全ピーク面積に占めるD−乳酸メチルエステルのピーク面積の割合(%)を算出し、これをD体含有量(モル%)とした。
東洋精機製作所社製メルトインデクサーF−B01を用いて、JIS K7210に準拠して測定した。試験温度190℃、試験荷重2.16kgの条件で測定した。
得られた樹脂組成物のペレット(65℃×48hrの条件で乾燥して、水分率を0.01%としたもの)を用いて、射出成形機(日精樹脂社製、NEX−110型)を用い、シリンダー温度190〜220℃、金型温度30〜40℃の条件で、直径10mm、厚さ2mmの円板を作製した。
テーバー摩耗試験機(東洋精機製、Rotary Abrasion Testen)を用いて、JIS K7204に準拠して、円板の摩耗試験を実施した。用いた摩耗輪はH−22であり、回転数は1000回転、回転速度は70rpm、荷重1.0kgf、測定環境温度20℃、湿度65%RHとした。
摩耗試験前後の円板の質量を測定してその前後の質量差を摩耗質量とした。各樹脂組成物からなる円板における摩耗質量を、ポリ乳酸のみから構成される比較例1の円板の摩耗質量で除して、研磨性を評価した。
本発明においては、摩耗質量が、ポリ乳酸のみから構成される比較例1の円板の摩耗質量で除した値が1.2以上を合格とした。
得られた樹脂組成物のペレット(65℃×48hrの条件で乾燥して、水分率を0.01%としたもの)を用いて、射出成形機(日精樹脂社製、NEX−110型)を用い、シリンダー温度190〜220℃、金型温度30〜40℃の条件で、ISO準拠の一般物性測定用試験片(ダンベル片)を作製し、曲げスパン64mm、試験速度2mm/sで曲げ弾性率を測定した。
本発明においては、3.0GPa以下を合格とした。
紡糸速度10m/分にて24時間、繊経1.75mmのモノフィラメントを採取した際の糸切れ回数により、以下のように3段階で評価した。
〇:糸切れが0回
△:糸切れ回数が1〜3回
×:糸切れ回数が4回以上、もしくはフィラメントの引取不可
得られたモノフィラメントを、20cm毎に、モノフィラメントの長手方向に対して垂直に切断し、測定サンプルを30個得た。各サンプルにおいて、断面における最大長径と最小短径を、マイクロメーターを用いて測定し、その平均を各サンプルの直径とした。全30サンプルの直径を平均して、モノフィラメントの直径を算出した。
上記(6)において算出した、全サンプルの直径の最大値(M1)と最小値(M2)を用いて、モノフィラメントの直径バラツキを算出した。
直径バラツキ=(M1−M2)/2
JIS P8115に記載のMIT耐折度試験に準じて、マイズ試験機社製、MIT耐折度試験機を用い、荷重5N、クランプ先端R0.38mm、つかみ間隔2.0mm、試験速度175rpm、折り曲げ角度135度で実施し、モノフィラメントの耐折回数を計測した。測定には、標準状態(室温22±2℃、湿度50±2%)で48時間以上放置した試料を用いた。耐折回数により、以下のように4段階で評価した。
◎:100回以上
○:30〜99回
△:5〜29回
×:5回未満
本発明においては、耐折回数が5回以上を合格とした。耐折回数は、30回以上であることが好ましく、100回以上であることがより好ましい。
得られたモノフィラメントと3Dプリンター(FLASHFORGE社製、CREATOR PRO)を用いて、ノズル温度190〜240℃、テーブル温度50℃の条件でISOダンベル片の造形を10回繰り返しおこない、その間のノズルの汚れを観察した。ノズルに付着していた汚れが、造形したISOダンベル片にも付着していた場合は「×」とし、造形したISOダンベル片には付着していなかった場合、以下の2段階で評価した。
○:ノズルに汚れが付着していなかった。
△:ノズルに汚れが付着していた。
本発明においては、「△」以上を合格とした。
得られたモノフィラメントを用いて、3Dプリンター(FLASHFORGE社製、CREATOR PRO)を用いて、ノズル温度190〜240℃、テーブル温度50℃の条件で、図1の「ルーク」を造形した。
樹脂が均一に吐出されなかったたり、反りが大きすぎて造形台から剥がれて、造形することができなかった場合、「×」と評価した。造形することができた場合、図1の1(オーバーハング部分)の外観を、以下の2段階で評価した。
◎:オーバーハング部分の造形がダレることがなかった。
○:オーバーハング部分の造形がダレた。
本発明においては、「○」以上を合格とした。
得られたモノフィラメントを用いて、3Dプリンター(FLASHFORGE社製、CREATOR PRO)を用いて、ノズル温度190〜240℃、テーブル温度50℃の条件で、ISOダンベル片を造形した。
ISOダンベル片を用いて、掴み具間距離80mm、試験速度1mm/sで引張強度を測定した。
本発明においては、25MPa以上を合格とした。
実施例、比較例に用いた原料は以下の通りである。
〔ポリ乳酸(A)〕
・ポリ乳酸(NatureWorks社製『3001D』、D−乳酸含有量1.4モル%、MFR10g/10分)
・ポリアミド6/66/12共重合体(宇部興産社製『6434B』、融点188℃)
・フッ化ビニリデン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(ダイキン工業社製『PPA DA-310ST』)
・ライトアマイド(共栄社化学社製『WH−255』)
・タルク(竹原化学工業社製『ハイミクロンタルクHE5』、平均粒子径1.6μm)
(1)フッ素系滑剤を2質量%含有したマスターバッチペレット(FM)
二軸押出機(池貝社製、PCM−30、スクリュー径29mm、L/D30、ダイス径3mm、孔数3)を用い、ポリ乳酸として3001D 98質量部と、フッ素系滑剤としてPPA DA-310ST 2質量部とをブレンドして押出機に供給した。温度200℃、スクリュー回転数120rpm、吐出量7kg/hの条件で溶融混練し、押出した。引き続き、押出機先端から吐出されたストランドを、冷却バスで冷却後、ペレタイザーにて引き取り、カッティングして、マスターバッチペレットを得た。
フッ素系滑剤に代えてフッ素系滑剤以外の滑材(WH−255)を用いる以外は、(1)と同様の操作をおこなって、マスターバッチペレットを得た。
二軸押出機(池貝社製、PCM−30、スクリュー径29mm、L/D30、ダイス径3mm、孔数3)を用い、ポリ乳酸(A)として3001D 77質量部と、ポリアミド共重合体(B)として6434B 20質量部と、フッ素系滑剤を2質量%含有したマスターバッチペレット(FM) 3質量部と、充填剤(D)としてタルク 15質量部をブレンドして、押出機に供給した。温度215℃、スクリュー回転数120rpm、吐出量7kg/hの条件で溶融混練し、押出した。引き続き、押出機先端から吐出されたストランドを、冷却バスで冷却後、ペレタイザーにて引き取り、カッティングして樹脂組成物のペレットを得た。得られた樹脂組成物において、ポリ乳酸(A)/ポリアミド共重合体(B)の質量比率[(A)/(B)]は、80/20であった。
得られた樹脂組成物のペレットを65℃×48hrの条件で乾燥して、水分率を0.01%とした。
この乾燥させた樹脂組成物ペレットを、モノフィラメント製造装置(単軸押出機(日本製鋼所社製、スクリュー径60mm、溶融押出しゾーン1200mm))を用い、紡糸温度220℃の条件で、得られるモノフィラメントの直径が1.75mmになるように吐出量を調整して、孔径5mmで1孔有する丸断面の紡糸口金から押出した。引き続き、押し出されたモノフィラメントを紡糸口金より20cm下の冷却温水50℃に浸漬し、引き取り速度30m/分で調整しながら引き取り、モノフィラメントを得た。冷却時間は約1分であった(未延伸)。
ポリ乳酸、ポリアミド共重合体、フッ素系滑剤および充填剤のマスターバッチの質量部を表1に示すものに変更してブレンドした以外は、実施例1と同様の操作をおこなって、樹脂組成物のペレットを得、乾燥した。
得られた乾燥させた樹脂組成物のペレットを用いて、実施例1と同様と同様の操作をおこなってモノフィラメントを得た。
実施例5で得られた樹脂組成物のペレット(65℃×48hrの条件で乾燥して、水分率を0.01%としたもの)を、モノフィラメント製造装置(単軸押出機(日本製鋼所社製、スクリュー径60mm、溶融押出しゾーン1200mm))を用い、紡糸温度200℃の条件で、得られる延伸後のモノフィラメントの直径が1.75mmになるように吐出量を調整して、孔径5mmで1孔有する丸断面の紡糸口金から押出した。引き続き、押し出されたモノフィラメントを紡糸口金より20cm下の冷却温水50℃に浸漬し、引き取り速度30m/分で調整しながら引き取り、延伸したモノフィラメントを得た(延伸倍率=3.0)。冷却時間は約1分であった。
実施例5の樹脂組成物のペレットを用いて、3倍延伸した実施例6のモノフィラメントは、実施例5で得られた未延伸のモノフィラメントに比べて、耐屈曲性が向上していた。
実施例1、2、5〜7の樹脂組成物は、フッ素系滑剤を含有していない以外は同組成である比較例2と対比して、造形したISOダンベル片の引張強度が高く層間接着強度に優れていた。
比較例2の樹脂組成物は、フッ素系滑剤を含有していなかったため、層間接着強度が低く機械的強度に劣っていた。また、3Dプリンターのノズルが汚れていた。
比較例3の樹脂組成物は、フッ素系滑剤の含有量が過小であったため、層間接着強度が低く機械的強度に劣っていた。また、3Dプリンターのノズルが汚れていた。
比較例4の樹脂組成物は、フッ素系滑剤以外の滑剤を用いたため、層間接着強度が低く機械的強度に劣っていた。
比較例5の樹脂組成物は、ポリアミド共重合体の含有量が少なかったため、曲げ弾性率が高く、柔軟性に劣るため、モノフィラメントの耐屈曲性も劣るものとなった。
Claims (4)
- 熱溶解積層法3Dプリンターの造形材料用樹脂組成物であって、ポリ乳酸(A)とポリアミド共重合体(B)とフッ素系滑剤(C)とを含有し、(A)と(B)との質量比(A/B)が90/10〜25/75であって、(C)の含有量が、(A)と(B)の合計100質量部に対して0.05質量部以上であることを特徴とする樹脂組成物。
- フッ素系滑剤(C)が、フッ化ビニリデン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
- さらに、充填剤(D)を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 熱溶解積層法3Dプリンターの造形材料用成形体であって、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物で構成され、直径が0.2〜5.0mmであることを特徴とするフィラメント状成形体。
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