JP2024043230A - 酢酸セルロース組成物、3dプリンター用の造形材、3dプリント造形品及びこれらの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】造形品の機械強度及び寸法安定性に優れ、大型造形品の造形に適した酢酸セルロース組成物及びこれを応用した技術を提供する。【解決手段】酢酸セルロース組成物において、酢酸セルロース(A)60~85質量%及び可塑剤(B)15~40質量%からなる樹脂成分が合計100重量部に対し、チタン酸カリウムの充填剤(C)5~80重量部が配合されている。【選択図】図1

Description

本発明は、酢酸セルロース組成物及びこれを応用した技術に関する。
近年、3DCADや3次元コンピューターグラフィックスのデータを元に立体造形品(3次元のオブジェクト)を製造する3Dプリンターが、産業向けを中心に急速に普及している。3Dプリンターによる造形品の製造方法は、光造形、インクジェット、粉末石膏造形、粉末焼結造形、熱溶解積層造形等がある。
このうち熱溶解積層法は、近年、工業用途、個人向け用途に多く採用されており、この方式の3Dプリンターには、造形材として熱可塑性樹脂のペレットやフィラメントが用いられている。この造形材を構成する樹脂として、ポリ乳酸(PLA)やアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS)などが多く用いられている。
さらに、PLAにガラス転移温度が20℃以下の熱可塑性樹脂を配合した造形材が開示されている(例えば、特許文献1)。また、共に30mmを超える繊維長を有する連続強化繊維(A)と連続熱可塑性樹脂繊維(B)を含む混繊糸を用い、3Dプリンターを用いて溶融し積層し立体構造物を製造する方法が開示されている(例えば、特許文献2)。また、大型パーツに用いる3Dプリンターは、従来のフィラメント供給方式に加え、ペレットを直接供給する方式も増えている。
国際公開2015/037574号公報 特許6251925号公報
しかしABS樹脂は、造形中の熱変形が大きかったり臭気が強かったりするなどの問題点がある。また、ABS樹脂製の造形品は、そり変形が生じ易く、これを軽減するため造形テーブルを加温するなどの対策が必要となる。一方でPLA樹脂製の造形品は、そり変形等は少ないものの耐熱性が低いことや、塗装性にやや難がある等の問題点がある。
さらに、ABS樹脂やPLA樹脂は、生分解性を有しておらず、3Dプリント造形品を廃棄処分する際の環境汚染の問題を有している。この環境汚染の問題は、今後、3Dプリント造形品の増加に伴って大量発生する未使用フィラメントや失敗製品の廃棄処分方法等に影響を与える。
また、特許文献1については、熱変形に対する改善が期待できるが、造形品の設計要求に対する寸法精度が十分であるとはいえない問題があった。また特許文献2では、一般的な3Dプリンターを用いることは困難で、専用の3Dプリンターを新規に開発する必要がある。また、端部で連続繊維の切断処理が不可欠で3Dプリント造形品の製造工程が複雑となる。さらに近年、造形品を製造する3Dプリンターは、家具や自動車等の大型パーツの形状確認に用いられてきている。しかし、特許文献1では剛性が不十分であり、特許文献2では強化繊維の配向性が大きすぎて、反り量が大きくなる大型パーツの造形は困難であった。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、造形品の機械強度及び寸法安定性に優れ、大型造形品の造形に適した酢酸セルロース組成物及びこれを応用した技術の提供を目的とする。
本発明に係る酢酸セルロース組成物は、酢酸セルロース(A)60~85質量%及び可塑剤(B)15~40質量%からなる樹脂成分が合計100重量部に対し、チタン酸カリウムの充填剤(C)5~80重量部が配合されていることを特徴とする。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、造形品の機械強度及び寸法安定性に優れ、大型造形品の造形に適した酢酸セルロース組成物及びこれを応用した技術が提供される。
実施形態に係る3Dプリンター用の造形材及び3Dプリント造形品の効果を確認した実施例1-6と比較例1-3とを示すテーブル。
以下、本発明の実施形態を説明する。実施形態に係る酢酸セルロース組成物は、酢酸セルロース(A)60~85質量%及び可塑剤(B)15~40質量%からなる樹脂成分が合計100重量部に対し、チタン酸カリウムの充填剤(C)5~80重量部が配合されている。
酢酸セルロースは、セルロースに無水酢酸を用いてエステル化されて得られる半合成高分子である。市販されている酢酸セルロースは主に酢化度によって大きく2つのものに分けられる。一つ目は酢化度が59%以上の三酢酸セルロース(以下CTA)、二つ目は酢化度が50~59%位の二酢酸セルロース(CDA)である。
このうち二酢酸セルロース(CDA)は、アセトン等の溶媒に溶解させて繊維やフィルムなどの成形品にすることが従来から行われている。しかし、溶媒の乾燥、溶媒のリサイクル使用など工程が複雑になるなど問題があった。そこで、本実施形態では、そのような溶媒法でなく、CDAに可塑剤をブレンドするコンパウンド法を採用することとした。
一般に酢酸セルロースの成形品は、酢化度が高いほど結晶性も高くなり、堅く脆くなる。一般的に樹脂は、結晶性が高いほど高強度になるが、柔軟性(具体的には伸度)が低くなり脆くなる性質を持つ。そこで酢酸セルロースに可塑剤を添加し、成形品に柔軟性を付与し、3Dプリンター用の造形材としては堅く脆いという固有の特性に起因する欠点を改善する。
酢酸セルロースに可塑剤を高比率でブレンドすることは、従来において困難とされてきたが、次のような製造方法により可能になった。すなわち、酢酸セルロース(A)の粒状体を撹拌しながら可塑剤(B)を連続的に噴霧するか断続的に投入するかして混合体にする工程、この混合体を常温で8時間以上静置する工程、この混合体が粘性流動する温度に設定し混練する工程、を経るという酢酸セルロース組成物の製造方法である。なお酢酸セルロース(A)及び可塑剤(B)の混合体にチタン酸カリウムの充填剤(C)を配合する工程については、この混合体を8時間以上静置する工程の前もしくは後に設ける。
使用できる酢酸セルロース(A)として、酢酸セルロースプロピオネートや酢酸セルロースブチレートといった酢酸セルロースの特定の官能基を化学修飾した化合物も含まれる。酢酸セルロースの重量平均分子量は、特に制限されず、用途に応じて選択でき、例えば、1×104~100×104、好ましくは5×104~75×104、さらに好ましくは10×104~50×104程度である。酢酸セルロースの酢化度(結合酢酸%)は、52~62.5%の範囲から選択できる。好ましい酢酸セルロースの酢化度は、59%以下(例えば、52~58%)、特に54~56%(例えば、55%)程度である。
可塑剤(B)としては、酢酸セルロース(A)との相溶性の観点から、グリセリンエステル化合物、ポリエーテルエステル系化合物、アジピン酸エステル化合物の少なくとも一つを用いるのが好ましい。このような脂肪族系の可塑剤(B)により、3Dプリント造形品の造形性を高め、引張伸度を向上することができる。具体的に、3Dプリンター用の造形材の溶融体に適度な粘性が付与され、途中で切断することなく、連続してフィラメントを引き取ることができる。
グリセリンエステル化合物としては、トリアセチン、モノグリセライド、アセチル化モノグリセライド、有機酸モノグリセライドなどが挙げられる。アジピン酸エステル化合物としては、アジピン酸ジエステル化合物、アジピン酸ポリエステル化合物が挙げられる。その他エステル化合物としては、セバシン酸エステル化合物、エポキシ系エステル、安息香酸系エステル、トリメリット酸エステル、グリコールエステル化合物、酢酸エステル、二塩基酸エステル化合物、リン酸エステル化合物、フタル酸エステル化合物、樟脳、クエン酸エステル、ステアリン酸エステル、金属石鹸、ポリオール、ポリアルキレンオキサイド等が挙げられる。これら可塑剤は、単独でも組み合わせて用いることもできる。
酢酸セルロース(A)の含有量は、可塑剤(B)との合計量のうち、60~85質量%とすることが必要であり、65~80質量%とすることが好ましく、70~75質量%とすることがより好ましい。
酢酸セルロース(A)の含有量が60質量%未満であると、相対的に可塑剤(B)の含有量が増え、樹脂だれが発生し3Dプリント造形品の造形性が悪くなったり、ブリードアウトが発生したりするので好ましくない。一方、(A)の含有量が85質量%を超えると、相対的に可塑剤(B)の含有量が減り、3Dプリント造形品の造形性が低下し、引張伸度等の機械特性も低下する。
本発明で用いるチタン酸カリウム(C)は、フラックス法による繊維状の合成鉱物で、一般式K2O・n-TiO2で示される。外観や造形時の層間接着性の観点から、線維径が0.3~0.6μmであり、繊維長10~20μmのウィスカーであることが好ましい。ここでウィスカーとは、結晶表面からその外側に向けて髭状に成長した結晶である。このチタン酸カリウムの充填剤(C)は、繊維状であるために、酢酸セルロース(A)との均一なコンパウンドが容易である。また、引張強度、曲げ弾性率などに関し、高い補強効果が期待できる。また充填材(C)としてのチタン酸カリウムは、ガラス繊維と比較して微小な繊維であるために、二軸押出機のスクリュー、ダイスなどの摩耗、3Dプリンターの先端ノズルの摩耗が、極めて少ない。
チタン酸カリウムの充填剤(C)のアスペクト比は30~60が好ましいが、30~40であればさらに好ましい。これにより、3Dプリント造形品の成形収縮率及び線膨張係数を低減させ、かつ酢酸セルロース組成物へのコンパウンド性を向上させる。
チタン酸カリウムの市販品としては、例えば、大塚化学株式会社製のティスモD(線維径0.3~0.6μm、繊維長10~20μm)、大塚化学株式会社製のティスモN(線維径0.3~0.6μm、繊維長10~20μm)が挙げられる。なお、これらはチタン酸カリウムの充填剤(C)の一部を例示すもので、これらに限定されるものではない。
チタン酸カリウムの充填剤(C)の配合量は、酢酸セルロース(A)及び可塑剤(B)の合計100重量部に対し、5~80重量部であり、好ましくは10~40重量部であり、さらに10~20重量部であることがさらに好ましい。チタン酸カリウムの充填剤(C)の配合量が5重量部未満であると、製造した3Dプリント造形品の成形収縮率及び反り量が大きくなるので好ましくない。その一方で、チタン酸カリウムの充填剤(C)の配合量が80重量部を超えると、3Dプリンター用の造形材としてのフィラメントの成形性が低下したり、製造した3Dプリント造形品の層間接着力が低下したりして好ましくない。
さらに相溶化剤(D)が、酢酸セルロース(A)及び可塑剤(B)の合計100重量部に対し、0.1~10重量部、配合されている。相溶化剤(D)としては、無水マレイン酸、無水マレイン酸変性物、および、シランカップリング剤が挙げられる。これらを単独もしくは組み合わせて用いることができる。
また実施形態に係る酢酸セルロース組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、染料および顔料を含む着色剤、帯電防止剤、末端封鎖剤、紫外線防止剤、光安定剤、防曇剤、防霧剤、難燃剤、着色防止剤、メヤニ防止剤、酸化防止剤、離型剤(エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスラウリル酸アミド)、防湿剤、酸素バリア剤、結晶核剤等の添加剤を添加することができる。
実施形態に係る酢酸セルロース組成物の製造方法は、酢酸セルロース(A)の粒状体を撹拌しながら可塑剤(B)を連続的に噴霧するか断続的に投入するかして混合体にする工程と、この混合体を常温で8時間以上静置する工程と、静置する前もしくは後に充填剤(C)及び相溶化剤(D)を投入する工程と、混合体が粘性流動する温度に設定し混練する工程と、を含む。なお、溶融混錬する工程の前段階である、酢酸セルロース(A)、可塑剤(B)、チタン酸カリウムの充填剤(C)、相溶化剤(D)をブレンドする工程については、上述した内容に限定されない。
溶融混錬する工程は、一軸押出機、二軸押出機、二軸以上の多軸押出機、ロール混練機等に、ブレンドした混合体を投入する方法が挙げられる。混練状態の向上のため、二軸押出機を用いることが好ましく、その場合、シリンダー温度は160~220℃、ダイス温度は180~220℃とすることが好ましい。なお、スタティックミキサーやダイナミックミキサーを併用することも効果的である。各種添加剤は、あらかじめマスターバッチとして作製し、ドライブレンドで供してもよい。
熱溶融積層方式の3Dプリンターにおいては、造形材の形状はペレットもしくはフィラメントである。実施形態に係る造形材も、ペレット又はフィラメントの形状を有している。ペレット形状の造形材の製造方法は、上述したようにストランド状に押し出された溶融体を水槽等で冷却した後にペレタイザーでカットする方法(ストランド法)や、ダイ・ノズルから溶融体が押し出された瞬間に回転刃が樹脂をカットする方法(ホットカット法)が挙げられる。
フィラメント形状の造形材としては、モノフィラメントでも、マルチフィラメントでもよいが、モノフィラメントが好ましい。またこれらは未延伸のものであっても延伸したものであってもよい。フィラメントは、直径が1.5~3.2mmで あることが好ましく、中でも1.6~3.1mmであることが好ましい。フィラメントの直径とは、フィラメントの長手方向に対して垂直に切断した断面における、最大長径と最小短径の平均である。フィラメントは、直径が1.5mm未満であると、細くなりすぎて、汎用の熱溶解積層法3Dプリンターに適さないことがある。なお、汎用の熱溶解積層法の3Dプリンターに適したフィラメントの直径の上限は、3.2mm程度である。
モノフィラメントの製造方法としては、実施形態に係る酢酸セルロース組成物のペレットを、160~230℃で溶融し、定量供給装置でノズル孔(直径5mm)から押出し、これを20~80℃の冷却水槽中で冷却固化後、紡糸速度1~50m/分で引き取り、ボビン等に巻き取る方法等が挙げられる。なお、モノフィラメントの形状にする際、ある程度の範囲内の倍率で延伸を施してもよい。なお、二軸の紡糸装置を用いれば、酢酸セルロース組成物からペレットを経由することなく、直接的にフィラメントを製造できる。
本実施形態の3Dプリント造形品は、ペレットの造形材から直接方式により3Dプリンターで造形してもよいし、フィラメントの造形材から3Dプリンターで造形してもよい。この場合、加熱溶融させた造形材を吐出させるノズルの温度としては、120~250℃とする、より好ましくは180~220℃とする。ノズル温度が250℃を超える高温にすると、酢酸セルロースが加水分解して、着色したり酢酸臭がしたりするなどの問題が生じる。本発明の造形材は、熱変形が少ないため造形テーブルの加熱は不要となる場合もある。積層ピッチは、通常0.05~0.5mmである。ノズルの径と押出条件の調整で積層ピッチは決定される。
本実施形態の酢酸セルロース組成物は、印刷性、塗装性、染色性などの表面加飾性能を有する。また実施例で後述するように、本実施形態の造形材の基本物性は、JIS規格に準拠した測定によれば、曲げ弾性率及び引張強度が向上し、成型収縮率及び線膨張係数のいずれも低下させることができる。そして、実施形態の3Dプリント造形品では、寸法安定性、ソリ変形防止、剛性・強度を大幅に向上させることができた。
次に本実施形態の効果を確認した実施例について比較例とともに説明する。なお、実施例及び比較例において、酢酸セルロース組成物の基本物性は、通常の石油系プラスチックに適用されるJIS規格に準拠して測定した。図1は、実施形態に係る3Dプリンター用の造形材及び3Dプリント造形品の効果を確認した実施例1-6と比較例1-3とを示すテーブルである。
(酢酸セルロース組成物の製造)
使用した材料は以下の通りである。酢酸セルロース(A)は株式会社ダイセル製のVRZ、可塑剤(B)は株式会社ダイセル製のトリアセチン、理研ビタミン株式会社製のBIOCIZER(グリセリンエステル化合物であるアセチル化モノグリセライドであってグリセリンジアセトモノラウレートを主成分に持つ)、充填剤(C)のチタン酸カリウム1は大塚化学株式会社製のティスモD(線維径0.3~0.6μm、繊維長10~20μm)、チタン酸カリウム2は大塚化学株式会社製のティスモN(線維径0.3~0.6μm、繊維長10~20μm)、相溶化剤(D)は三菱ケミカル株式会社製のマレイン酸変性ワックス(ダイヤカルナ)、ダウ・東レ株式会社製のシランカップリング剤(DOWSIL Z6020 Silane)
酢酸セルロース(A)、可塑剤(B)、充填剤(C)、相溶化剤(D)の混合は、酢酸セルロース(A)に可塑剤(B)を噴霧しながら混合し、静置時間を8時間とった後に、充填剤(C)と相溶化剤(D)を混合した。このように生成した混合体を高混練二軸押出機に投入し、200~220℃にて加熱混錬し、押出機ダイスよりストランドを押し出し、これをカットすることでペレットを製造した。そしてこのペレットから工業規格に準拠した試験片を作製した。
図1のテーブルに示すように、充填剤(C)(チタン酸カリウム1又はチタン酸カリウム2)が配合された実施例1-6とこの充填剤(C)が未配合の比較例1とを対比すると、「曲げ弾性率」「曲げ強度」「引張強度」「熱変形温度」において有意な性能向上が認められる。
なお、酢酸セルロース(A)、可塑剤(B)、充填剤(C)、相溶化剤(D)の全てを同時に混合してから静置時間を8時間とった実施例については、詳細データの記載を省略するが、比較例1に対比して有意な性能向上が認められる。また条件として8時間の静置時間を未実施とした比較例については、詳細データの記載は省略するが、実施例1-6に対し基本物性に有意な性能低下が認められた。
(フィラメント造形材の成形性)
次に、小型二軸押出機(ステアジャパン株式会社製)に、比較例1、実施例1-6で製造したペレットを投入し、紡糸速度10m/分にて24時間、直径1.75mmのモノフィラメントを製造した。比較例1、実施例1-6で製造されたモノフィラメントは、いずれも、糸切れ、へたりなどの問題はなかった。さらに、モノフィラメントを20cm毎に切断して得た10個のサンプルの最大長径と最小短径をマイクロメーターで測定した。その結果、比較例1、実施例1-6で製造されたモノフィラメントは、いずれも、10サンプルの平均直径は1.75±0.2mmであり、均一であることが確かめられた。
(3Dプリンターにおける造形性)
次に、3Dプリンター(エス・ラボ株式会社製S3DP333)を用い、ノズル温度が200~220℃(ABSフィラメントの場合のみ240~260℃)、テーブル温度の加熱無し、印刷速度が50mm/秒、ノズル径が0.4mm、1層の厚みが0.2mmの条件で、縦30mm×横30mm×高さ3mmになるようサイズ設定した造形品を10枚製造した。
なお、フィラメント造形材は、上述した実施例1-6、比較例1に加え、比較例2(ABSフィラメント:BASF社製のUltrafuse ABS Basic)及び比較例3(PLAフィラメント:BASF社製;Ultrafuse PLA-PR01)も作成した。その結果、比較例1-3、実施例1-6で製造されたサイズ設定が縦30mm×横30mm×高さ3mmの造形品は、いずれも問題なく造形できていることが確かめられ有意な性能差は認められなかった。
(寸法安定性)
比較例1-3、実施例1-6で製造された、サイズ設定が縦30mm×横30mm×高さ3mmの造形品の実寸を測定し成形収縮率を計算した。その結果、図1に示すように、実施例1-6は比較例1-3に対し有意な性能向上が認められた。
比較例1-3、実施例1-6で製造された、サイズ設定が縦30mm×横30mm×高さ3mmの造形品を水平面に配置した場合の四隅の高さを反り量として測定した。その結果、図1に示すように、実施例1-6は比較例1-3に対し有意な性能向上が認められた。
(3D造形時の臭気)
上記の3Dプリンターによる、上記の造形品の製造過程における臭気について4人で官能試験を実施した。その結果、充填材が配合された実施例1-6は、未配合の比較例1に対し、有意な消臭性能の向上が認められた。比較例2(ABS)及び比較例3(PLA)に対しても、同様であった。
本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図しておらず、その他の様々な形態で実施されることが可能である。実施形態において酢酸セルロース組成物は、3Dプリンター用の造形材の用途を例示しているが、これに限定されることは無く、例えば、押出成形(シート、パイプなど)、中空成形、射出成型等の用途にも適用可能である。

Claims (8)

  1. 酢酸セルロース(A)60~85質量%及び可塑剤(B)15~40質量%からなる樹脂成分が合計100重量部に対し、
    チタン酸カリウムの充填剤(C)5~80重量部が配合されている酢酸セルロース組成物。
  2. 請求項1に記載の酢酸セルロース組成物において、
    前記充填剤(C)は、フラックス法による繊維状の合成鉱物で、一般式K2O・n-TiO2で示される酢酸セルロース組成物。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の酢酸セルロース組成物において、
    相溶化剤(D)として、無水マレイン酸、無水マレイン酸変性物、および、シランカップリング剤の少なくとも一つが0.1~10重量部、配合されている酢酸セルロース組成物。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の酢酸セルロース組成物において、
    前記可塑剤(B)は、グリセリンエステル化合物、ポリエーテルエステル系化合物、アジピン酸エステル化合物から選択される少なくとも一つである酢酸セルロース組成物。
  5. 請求項1又は請求項2に記載の酢酸セルロース組成物の製造方法であって、
    前記酢酸セルロース(A)の粒状体を撹拌しながら前記可塑剤(B)を連続的に噴霧するか断続的に投入するかして混合体にする工程と、
    前記混合体を常温で8時間以上静置する工程と、
    前記静置する前もしくは後に前記充填剤(C)を投入する工程と、
    前記混合体が粘性流動する温度に設定し混練する工程と、を含む酢酸セルロース組成物の製造方法。
  6. 請求項1又は請求項2に記載の酢酸セルロース組成物を、ペレット又はフィラメントに成形した3Dプリンター用の造形材。
  7. 請求項6に記載の3Dプリンター用の造形材で成形された3Dプリント造形品。
  8. 請求項6に記載の3Dプリンター用の造形材を加熱溶融しノズルから吐出し積層させる3Dプリント造形品の製造方法。
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