簡単な要旨
一態様では、アミド型局所麻酔薬および非ステロイド系抗炎症薬物(NSAID)、ならびに送達ビヒクルを含む医薬組成物が提供される。
一実施形態では、アミド型局所麻酔薬は、「カイン」分類の麻酔薬である。
一実施形態では、アミド型局所麻酔薬は、ブピバカインまたはロピバカインであり、NSAIDは、メロキシカムである。
一実施形態では、組成物は、ブピバカインおよびメロキシカムを含む。
一実施形態では、アミド型局所麻酔薬:NSAIDの比は、約10:1〜50:1、15:1〜50:1、20:1〜50:1、25:1〜50:1、15:1〜45:1、20:1〜45:1、25:1〜45:1、30:1〜45:1、20:1〜30:1、20:1〜35:1、20:1〜40:1、または30:1〜35:1の範囲である。別の実施形態では、アミド型局所麻酔薬:NSAIDの比は、約10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、21:1、22:1、23:1、24:1、25:1、26:1、27:1、28:1、29:1、30:1、31:1、32:1、33:1、34:1、35:1、36:1、37:1、38:1、39:1、40:1、41:1、42:1、43:1、44:1、45:1、46:1、47:1、48:1、49:1、50:1、51:1、52:1、53:1、54:1、55:1、56:1、57:1、58:1、59:1、または60:1である。別の実施形態では、アミド型局所麻酔薬は、カイン分類の麻酔薬である。
一実施形態では、組成物は、ブピバカインおよびメロキシカムを含み、ここでブピバカイン:メロキシカムの比は、約10:1〜50:1、15:1〜50:1、20:1〜50:1、25:1〜50:1、15:1〜45:1、20:1〜45:1、25:1〜45:1、30:1〜45:1、20:1〜30:1、20:1〜35:1、20:1〜40:1、または30:1〜35:1の範囲である。別の実施形態では、ブピバカイン:メロキシカムの比は、約20:1、21:1、22:1、23:1、24:1、25:1、26:1、27:1、28:1、29:1、30:1、31:1、32:1、33:1、34:1、35:1、36:1、37:1、38:1、39:1、40:1、41:1、42:1、43:1、44:1、45:1、46:1、47:1、48:1、49:1、50:1、51:1、52:1、53:1、54:1、55:1、56:1、57:1、58:1、59:1、または60:1である。
一実施形態では、組成物は、ロピバカインおよびメロキシカムを含む。
一実施形態では、組成物は、ロピバカインおよびメロキシカムを含み、ここでロピバカイン:メロキシカムの比は、約10:1〜50:1、15:1〜50:1、20:1〜50:1、25:1〜50:1、15:1〜45:1、20:1〜45:1、25:1〜45:1、30:1〜45:1、20:1〜30:1、20:1〜35:1、20:1〜40:1、または30:1〜35:1の範囲である。別の実施形態では、ロピバカイン:メロキシカムの比は、約10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、21:1、22:1、23:1、24:1、25:1、26:1、27:1、28:1、29:1、30:1、31:1、32:1、33:1、34:1、35:1、36:1、37:1、38:1、39:1、40:1、41:1、42:1、43:1、44:1、45:1、46:1、47:1、48:1、49:1、50:1、51:1、52:1、53:1、54:1、55:1、56:1、57:1、58:1、59:1、または60:1である。
一実施形態では、組成物は、組成物の約0.25〜0.75重量パーセント、0.25〜2.5重量パーセント、0.25〜3.5重量パーセント、0.25〜5重量パーセント、1.5〜5重量パーセント、1.5〜3.5重量パーセント、1.5〜3.0重量パーセント、2〜3重量パーセント、2.1〜2.9重量パーセント、2.2〜2.8重量パーセント、2.3〜2.7重量パーセント、2.4〜2.6重量パーセント、または2.25〜2.75重量パーセントの量のアミド型局所麻酔薬を含む。別の実施形態では、組成物は、NSAID、好ましくはメロキシカムをさらに含み、メロキシカムは、組成物の約0.005〜0.006重量パーセント、0.005〜0.007重量パーセント、0.005〜0.008重量パーセント、0.005〜0.009重量パーセント、0.005〜1重量パーセント、0.005〜0.75重量パーセント、0.005〜0.5重量パーセント、0.005〜0.25重量パーセント、0.005〜0.125重量パーセント、0.01〜1重量パーセント、0.01〜0.75重量パーセント、0.01〜0.5重量パーセント、0.01〜0.25重量パーセント、0.01〜0.125重量パーセント、0.020〜0.100重量パーセント、0.030〜0.100重量パーセント、0.040〜0.100重量パーセント、0.050〜0.090重量パーセント、0.060〜0.080重量パーセント、0.070〜0.080重量パーセントの範囲の量で存在する。さらに別の実施形態では、メロキシカムは、組成物の0.001重量パーセント超および0.01重量パーセント未満、0.009重量パーセント未満、0.008重量パーセント未満、0.007重量パーセント未満、0.006重量パーセント未満、0.005重量パーセント未満、または0.004重量パーセント未満の量で存在する。
一実施形態では、組成物は、水ベースの溶液である。
一実施形態では、組成物は、注射可能である。
別の実施形態では、組成物は、筋肉内注射、経皮、局所的、皮下注射、神経周囲注射として、または創傷に投与するのに適している。
一実施形態では、送達ビヒクルは、徐放送達ビヒクルである。
一実施形態では、徐放送達ビヒクルは、ポリマー組成物、リポソーム組成物、マイクロスフェア組成物、非ポリマー組成物または埋込式デバイスである。
一実施形態では、徐放送達ビヒクルは、マイクロスフェア組成物ではない。
一実施形態では、徐放送達ビヒクルは、リポソーム組成物ではない。
一実施形態では、徐放送達ビヒクルは、非ポリマー組成物ではない。
一実施形態では、徐放送達ビヒクルは、埋込式デバイスではない。
一実施形態では、徐放送達ビヒクルは、ポリマー組成物ではない。
一実施形態では、送達ビヒクルは、徐放ビヒクルではない。別の実施形態では、送達ビヒクルは、即時放出ビヒクルである。さらに別の実施形態では、麻酔薬およびNSAIDの少なくとも約80%は、約15分、30分、45分、60分、90分または2時間以内に、送達ビヒクルから放出される。さらに別の実施形態では、麻酔薬およびNSAIDの放出は、in vitro溶解試験により37℃で決定される。
一実施形態では、組成物は、粘度計を使用して37℃で粘度を測定される場合、10,000mPa・s未満の粘度を有する。別の実施形態では、組成物は、粘度計を使用して37℃で粘度を測定される場合、5,000mPa・s未満の粘度を有する。さらに別の実施形態では、組成物は、粘度計を使用して37℃で測定される場合、約2500mPa・s〜10,000mPa・sの範囲の粘度を有する。一部の実施形態では、粘度計は、コーンおよびプレート粘度計である。
さらに別の実施形態では、徐放送達ビヒクルは、小さい単層小胞(SUV)、大きい単層小胞(LUV)、多重層小胞(MLV)および多小胞(multivesicular)リポソーム(MVL)からなる群から選択されるリポソームである。
一実施形態では、アミド型局所麻酔薬は、リポソームの水性空間またはリポソームの脂質層に封入される。
一実施形態では、非ステロイド系抗炎症薬物(NSAID)は、リポソームの水性空間またはリポソームの脂質層に封入される。
さらに別の実施形態では、徐放送達ビヒクルは、生体内分解性または生分解性ポリマーから構成されたマイクロスフェアである。
一実施形態では、アミド型局所麻酔薬および非ステロイド系抗炎症薬物(NSAID)は、マイクロスフェアに封入される。
一実施形態では、埋込式デバイスは、アミド型局所麻酔薬および非ステロイド系抗炎症薬物(NSAID)を含むリザーバーを備えた浸透圧ポンプである。
一実施形態では、徐放送達ビヒクルは、スクロース酢酸イソブチルを含む非ポリマー製剤である。
一実施形態では、徐放送達ビヒクルは、ポリマー、アミド型局所麻酔薬および非ステロイド系抗炎症薬物(NSAID)を含む、半固体ポリマー製剤の形態のポリマー製剤である。
一実施形態では、ポリマーは、生体内分解性または生分解性ポリマーである。
さらに別の実施形態では、ポリマー製剤は、その場でインプラントまたはデポーを形成する。
さらに別の実施形態では、ポリマーは、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)コポリマー、ポリカプロラクトン、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、およびポリオルトエステルからなる群から選択される。
さらなる実施形態では、徐放送達ビヒクルは、ポリオルトエステル、アミド型局所麻酔薬および非ステロイド系抗炎症薬物(NSAID)を含む半固体ポリマー製剤の形態のポリマー製剤である。
一実施形態では、アミド型局所麻酔薬は、ブピバカイン、ロピバカイン、レボブピバカイン、ジブカイン、メピバカイン、プロカイン、リドカイン、およびテトラカインからなる群から選択される。別の実施形態では、アミド型局所麻酔薬は、ブピバカインおよびロピバカインから選択される。
一実施形態では、アミド型局所麻酔薬は、ロピバカインである。
一実施形態では、アミド型局所麻酔薬は、ブピバカインである。
前述の実施形態の任意の1つまたは複数に関するさらなる実施形態では、非ステロイド系抗炎症薬物(NSAID)は、エノール酸NSAIDである。例示的なエノール酸NSAIDには、メロキシカム、ピロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、およびイソキシカムが含まれる。
特定の実施形態では、エノール酸NSAIDは、メロキシカムである。
前述の実施形態の任意の1つまたは複数に関するさらなる実施形態では、組成物は、半固体または固体組成物である。
一実施形態では、送達ビヒクルは、徐放送達ビヒクルである。一実施形態では、徐放ビヒクルは、ポリマービヒクルまたはポリマー製剤である。
別の実施形態では、徐放ポリマービヒクルは、生体内分解性または生分解性ポリマーを含む固体または半固体ビヒクルである。
一実施形態では、生分解性または生体内分解性ポリマー製剤は、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)コポリマー、ポリカプロラクトン、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、またはポリオルトエステルからなる群から選択されるポリマーを含む。
一実施形態では、ポリオルトエステルは、本明細書に記載される式I、II、IIIおよびIVによって表されるポリオルトエステルから選択される。
前述に関する特定のさらなる実施形態では、ポリオルトエステルは、式Iによって表される。
代替の実施形態では、徐放ビヒクルは、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)コポリマー、ポリカプロラクトン、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、またはポリオルトエステルを含まない。別の実施形態では、徐放ビヒクルは、ポリオルトエステルを含まない。さらに別の実施形態では、徐放ビヒクルは、式I、II、IIIまたはIVによって表されるポリオルトエステルを含まない。さらに別の実施形態では、徐放ビヒクルは、式Iによって表されるポリオルトエステルを含まない。
またさらなる実施形態では、組成物または送達ビヒクルは、溶媒をさらに含む。溶媒は、プロトン性または非プロトン性いずれかの性質であってよい。一実施形態では、組成物は、送達ビヒクルとして、ポリオルトエステルおよび溶媒を含む。
別の実施形態では、徐放送達ビヒクルは、マイクロスフェア、微粒子、および均一または不均一マトリックスデポーからなる群から選択される。一実施形態では、マイクロスフェア、微粒子またはデポービヒクルは、生分解性または生体内分解性である。
別の実施形態では、徐放送達ビヒクルは、リポソーム製剤または脂質ベースの製剤である。
別の実施形態では、徐放製剤は、ポリマーベースの固体または半固体インプラントであり、アミド(amideamide)型局所麻酔薬およびエノール酸NSAIDは、ポリマーベースのインプラントに分散している。一実施形態では、インプラントは、縫合糸またはステープルの形態の、固体ポリマーベースのビヒクルである。
さらなる追加の態様では、アミド型局所麻酔薬および有効性を増強する量のNSAIDを含む送達ビヒクルの疼痛緩和プロファイルを延長し、それによって、NSAIDを含まない同じ組成物よりも長期間にわたって有効な疼痛緩和をもたらすことができる組成物を提供するための方法が提供される。一実施形態では、得られる組成物は、一般に、投与後、約1日間〜約3日間、約1日間〜約5日間、約1日間〜約7日間、約1日間〜約10日間、約1日間〜約12日間、約1日間〜約13日間、または約1日間〜約14日間にわたって疼痛緩和をもたらすのに有効である。特に、得られる組成物は、一般に、投与後、約1日間〜少なくとも約5日間、約1日間〜約3日間、約1日間〜約5日間、約1日間〜約7日間、約3日間〜約5日間、約3日間〜約7日間または約5日間〜約10日間にわたって疼痛緩和をもたらすのに有効であり、すなわち短時間作用性の製剤ではなく、疼痛緩和のための長時間作用性の製剤である。
さらなる追加の態様では、送達ビヒクル、ならびにそのビヒクルに組み込まれたアミド型局所麻酔薬および有効性を増強する量のエノール酸NSAIDを含む組成物の疼痛緩和プロファイルを変え、それによって、投与後、約1〜5時間にわたって示される組成物の平均疼痛緩和効果の少なくとも約50%となる長期間の疼痛低減効果を、約1〜5日間、約1〜2日間、約1〜3日間または約1〜4日間、および必要に応じてそれを上回る期間にわたって示す組成物を提供する方法が提供される。
特定の実施形態では、組成物は、投与後、約3日間までもしくは約5日間までもしくは約7日間までもしくは約10日間までの期間にわたって、または約1日間〜約3日間、約1日間〜約5日間、約1日間〜約7日間、約3日間〜約5日間、約3日間〜約7日間もしくは約5日間〜約10日間の期間にわたって、測定可能な血漿濃度のアミド型もしくはアニリド型局所麻酔薬および/またはNSAIDをもたらすのに有効である。一実施形態では、組成物は、投与後、約1日間〜約3日間、約1日間〜約5日間、約1日間〜約7日間、約1日間〜約10日間、約1日間〜約12日間、約1日間〜約13日間、または約1日間〜約14日間の期間にわたって、測定可能な血漿濃度のアミド型もしくはアニリド型局所麻酔薬および/またはNSAIDをもたらすのに有効である。別の実施形態では、アミド型もしくはアニリド型局所麻酔薬および/またはNSAIDの血漿濃度は、LC/MS/MS(液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析)によって測定される。
特定の実施形態では、組成物は、約80重量%またはそれよりも多いアミド型もしくはアニリド型局所麻酔薬および/またはNSAIDが、投与後もしくはin vitro薬物放出実験の開始後、約3日間までもしくは約5日間までもしくは約7日間までもしくは約10日間までの期間にわたって(例えば、実施例5に記載される通り)、または約1日間〜約3日間、約1日間〜約5日間、約1日間〜約7日間もしくは約5日間〜約10日間、約2日間〜約5日間、約3日間〜約5日間、約4日間〜約5日間、約2日間〜約4日間、約3日間〜約4日間もしくは約3日間、約4日間もしくは約5日間の期間にわたって、in vitroまたはin vivoのいずれかで放出されるように、組成物から著しい部分のアミド型局所麻酔薬およびNSAIDの両方を放出させるのに有効である。
一実施形態では、組成物は、相乗的組成物であり、この場合、アミド型局所麻酔薬およびNSAIDの組合せの放出によって、アミド型局所麻酔薬およびNSAIDを独立に添加する相加効果によってもたらされる疼痛緩和のレベルを上回る疼痛緩和の相乗レベルがもたらされる。別の実施形態では、組成物によって、アミド型局所麻酔薬およびNSAIDを独立に添加する相加効果によってもたらされる期間よりも長い疼痛緩和期間がもたらされる。
一実施形態では、組成物は、ブピバカインおよびメロキシカムを含む相乗的組成物であり、ここでブピバカイン:メロキシカムの比は、約10:1〜50:1、20:1〜35:1、20:1〜40:1、または30:1〜35:1の範囲である。別の実施形態では、ブピバカイン:メロキシカムの比は、約10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、21:1、22:1、23:1、24:1、25:1、26:1、27:1、28:1、29:1、30:1、31:1、32:1、33:1、34:1、35:1、36:1、37:1、38:1、39:1、40:1、41:1、42:1、43:1、44:1、45:1、46:1、47:1、48:1、49:1、50:1、51:1、52:1、53:1、54:1、55:1、56:1、57:1、58:1、59:1、または60:1である。さらに別の実施形態では、ブピバカインおよびメロキシカムを含む相乗的組成物を対象に投与すると、ブピバカインおよびメロキシカムを独立に投与する相加効果によってもたらされる疼痛緩和を上回る疼痛緩和の相乗レベルがもたらされる。別の実施形態では、対象は、術後患者である。
一実施形態では、組成物は、ロピバカインおよびメロキシカムを含む相乗的組成物であり、ここでロピバカイン:メロキシカムの比は、約10:1〜50:1、20:1〜35:1、20:1〜40:1、または30:1〜35:1の範囲である。別の実施形態では、ロピバカイン:メロキシカムの比は、約10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、21:1、22:1、23:1、24:1、25:1、26:1、27:1、28:1、29:1、30:1、31:1、32:1、33:1、34:1、35:1、36:1、37:1、38:1、39:1、40:1、41:1、42:1、43:1、44:1、45:1、46:1、47:1、48:1、49:1、50:1、51:1、52:1、53:1、54:1、55:1、56:1、57:1、58:1、59:1、または60:1である。さらに別の実施形態では、ロピバカインおよびメロキシカムを含む相乗的組成物を対象に投与すると、ロピバカインおよびメロキシカムを独立に投与する相加効果によってもたらされる疼痛緩和を上回る疼痛緩和の相乗レベルがもたらされる。別の実施形態では、対象は、術後患者である。
別の態様では、アミド型またはアニリド型局所麻酔薬をNSAID、例えばエノール酸NSAID、および送達ビヒクルと組み合わせて含む組成物を、針から分注し、それによって、その組成物から局所麻酔薬およびNSAIDの両方を制御放出することを含む処置方法であって、約80重量%またはそれよりも多い量の両方の薬物が、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約7日間、約8日間、約9日間、または約10日間の期間にわたって放出される、方法が提供される。
一実施形態では、処置方法は、ブピバカインおよびメロキシカムを含む組成物から、約5mg〜600mg、20mg〜60mg、60mg〜600mg、60mg〜400mg、120mg〜400mgの用量のブピバカインを投与することを含む。別の実施形態では、処置方法は、ブピバカイン(buipivacaine)およびメロキシカムを含む組成物から、約1mg超、および約100mg未満、75mg未満、60mg未満、50mg未満、40mg未満、30mg未満または25mg未満の用量のブピバカインを投与することを含む。別の実施形態では、組成物は、相乗的である。さらに別の実施形態では、処置方法は、ブピバカインおよびメロキシカムを含む組成物から、約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、505、510、515、520、525、530、535、540、545、550、555、560、565、570、575、580、585、590、595、または600mgの用量のブピバカインを投与することを含む。さらに別の実施形態では、組成物は、処置の治療有効性が相乗的である。さらに別の実施形態では、組成物は、ブピバカイン:メロキシカムの比が、約10:1〜50:1、20:1〜35:1、20:1〜40:1もしくは30:1〜35:1の範囲であるか、または約10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、21:1、22:1、23:1、24:1、25:1、26:1、27:1、28:1、29:1、30:1、31:1、32:1、33:1、34:1、35:1、36:1、37:1、38:1、39:1、40:1、41:1、42:1、43:1、44:1、45:1、46:1、47:1、48:1、49:1、50:1、51:1、52:1、53:1、54:1、55:1、56:1、57:1、58:1、59:1もしくは60:1である場合、処置の治療有効性が相乗的である。
一実施形態では、処置方法は、ブピバカインおよびメロキシカムを含む組成物から、約0.1mg〜100mg、1mg〜50mg、1mg〜40mg、1mg〜25mg、2mg〜25mg、5mg〜100mg、5mg〜50mg、5mg〜40mg、5mg〜25mgの用量のメロキシカムを投与することを含む。別の実施形態では、処置方法は、ブピバカインおよびメロキシカムを含む組成物から、約0.05mg超、および約20mg未満、15mg未満、10mg未満、8mg未満、6mg未満、5mg未満または4mg未満の用量のメロキシカムを投与することを含む。別の実施形態では、組成物は、処置の治療有効性が相乗的である。さらに別の実施形態では、処置方法は、ブピバカインおよびメロキシカムを含む組成物から、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100mgの用量のメロキシカムを投与することを含む。さらに別の実施形態では、組成物は、相乗的である。さらに別の実施形態では、組成物は、ブピバカイン:メロキシカムの比が、約10:1〜50:1、20:1〜35:1、20:1〜40:1もしくは30:1〜35:1の範囲であるか、または約10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、21:1、22:1、23:1、24:1、25:1、26:1、27:1、28:1、29:1、30:1、31:1、32:1、33:1、34:1、35:1、36:1、37:1、38:1、39:1、40:1、41:1、42:1、43:1、44:1、45:1、46:1、47:1、48:1、49:1、50:1、51:1、52:1、53:1、54:1、55:1、56:1、57:1、58:1、59:1もしくは60:1である場合、処置の治療有効性が相乗的である。
一実施形態では、処置方法は、ロピバカインおよびメロキシカムを含む組成物から、約5mg〜600mg、20mg〜60mg、60mg〜600mg、60mg〜400mg、120mg〜400mgの用量のロピバカインを投与することを含む。別の実施形態では、処置方法は、ロピバカインおよびメロキシカムを含む組成物から、約1mg超、および約100mg未満、75mg未満、60mg未満、50mg未満、40mg未満、30mg未満または25mg未満の用量のロピバカインを投与することを含む。別の実施形態では、組成物は、相乗的である。さらに別の実施形態では、処置方法は、ロピバカインおよびメロキシカムを含む組成物から、約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、505、510、515、520、525、530、535、540、545、550、555、560、565、570、575、580、585、590、595、または600mgの用量のロピバカインを投与することを含む。さらに別の実施形態では、組成物は、処置の治療有効性が相乗的である。さらに別の実施形態では、組成物は、ロピバカイン:メロキシカムの比が、約10:1〜50:1、20:1〜35:1、20:1〜40:1もしくは30:1〜35:1の範囲であるか、または約10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、21:1、22:1、23:1、24:1、25:1、26:1、27:1、28:1、29:1、30:1、31:1、32:1、33:1、34:1、35:1、36:1、37:1、38:1、39:1、40:1、41:1、42:1、43:1、44:1、45:1、46:1、47:1、48:1、49:1、50:1、51:1、52:1、53:1、54:1、55:1、56:1、57:1、58:1、59:1もしくは60:1である場合、処置の治療有効性が相乗的である。
一実施形態では、処置方法は、ロピバカインおよびメロキシカムを含む組成物から、約0.1mg〜100mg、1mg〜50mg、1mg〜40mg、1mg〜25mg、2mg〜25mg、5mg〜100mg、5mg〜50mg、5mg〜40mg、5mg〜25mgの用量のメロキシカムを投与することを含む。別の実施形態では、処置方法は、ロピバカインおよびメロキシカムを含む組成物から、約0.05mg超、および約20mg未満、15mg未満、10mg未満、8mg未満、6mg未満、5mg未満または4mg未満の用量のメロキシカムを投与することを含む。別の実施形態では、組成物は、処置の治療有効性が相乗的である。さらに別の実施形態では、処置方法は、ロピバカインおよびメロキシカムを含む組成物から、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100mgの用量のメロキシカムを投与することを含む。さらに別の実施形態では、組成物は、相乗的である。さらに別の実施形態では、組成物は、ロピバカイン:メロキシカムの比が、約10:1〜50:1、20:1〜35:1、20:1〜40:1もしくは30:1〜35:1の範囲であるか、または約10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、21:1、22:1、23:1、24:1、25:1、26:1、27:1、28:1、29:1、30:1、31:1、32:1、33:1、34:1、35:1、36:1、37:1、38:1、39:1、40:1、41:1、42:1、43:1、44:1、45:1、46:1、47:1、48:1、49:1、50:1、51:1、52:1、53:1、54:1、55:1、56:1、57:1、58:1、59:1もしくは60:1である場合、処置の治療有効性が相乗的である。
一実施形態では、組成物は、対象の疼痛を低減するのに治療上有効であり、組成物が疼痛を経験している対象に投与されると、疼痛の低減は、対象の血液/血漿中のブピバカインのレベルに比例する。別の実施形態では、疼痛の低減速度は、対象の血液/血漿中のブピバカインの上昇速度に正比例する。さらに別の実施形態では、疼痛の増大速度は、対象の血液/血漿中のブピバカインの低減速度に正比例する。さらに別の実施形態では、疼痛および/または疼痛の低減速度は、von Frey繊維を用いて探索することによって測定される。代替の実施形態では、疼痛および/または疼痛の低減速度は、Pain Numeric Rating Scale(PNRS)を使用して測定される。代替の実施形態では、疼痛および/または疼痛の低減速度は、Pain Visual Analog Scale(VAS)を使用して測定される。別の実施形態では、対象における疼痛の低減は、対象におけるブピバカインレベルに反比例する。対象における疼痛の増大速度。
別の実施形態では、本明細書で提供される組成物は、局所鎮痛薬を、それを必要とする患者に提供する方法において使用するためのものである。この処置は、例えば、アミド型またはアニリド型局所麻酔薬、送達ビヒクルおよびNSAIDを含む本明細書に記載される組成物を患者に投与して、投与後、長期間にわたって疼痛を低減または防止するのに有効な、麻酔薬およびNSAIDの両方の放出速度、ならびにそれぞれの付随する薬物動態プロファイルをもたらすことを含む。局所投与は、例えば、神経、硬膜外空間内、髄腔内に行うことができ、または手術部位もしくは創傷に直接的に行うことができる。一実施形態では、約2日間の期間にわたって、約3日間の期間にわたって、約5日間の期間にわたって、約7日間の期間にわたって、約8日間の期間にわたって、約10日間の期間にわたって、約12日間の期間にわたって、または約14日間の期間にわたって、約80重量%またはそれよりも多い量の両方の薬物が放出される。別の実施形態では、約5日間の期間にわたって、約80重量%またはそれよりも多い量の両方の薬物が放出される。別の実施形態では、約3日間の期間にわたって、約80重量%またはそれよりも多い量の両方の薬物が放出される。別の実施形態では、約2日間の期間にわたって、約80重量%またはそれよりも多い量の両方の薬物が放出される。
一実施形態では、組成物は、徐放製剤ではない。別の実施形態では、組成物は、即時放出組成物である。さらに別の実施形態では、組成物は、水ベースの組成物である。さらに別の実施形態では、水ベースの組成物は、アミド型局所麻酔薬およびメロキシカムを含み、麻酔薬:メロキシカムの比は、15:1〜50:1の範囲である。一実施形態では、麻酔薬は、ブピバカインであり、別の実施形態では、麻酔薬は、ロピバカインである。さらに別の実施形態では、即時放出組成物は、in vitro溶解試験により37℃で決定して、15分、30分、45分、60分または90分以内に少なくとも80%を放出する。代替の実施形態では、即時放出組成物は、in vitro溶解試験により37℃で決定して、15分、30分、45分、60分または90分以内に少なくとも80%を放出する。さらに別の実施形態では、即時放出組成物は、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)コポリマー、ポリカプロラクトン、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、およびポリオルトエステルからなる群から選択されるポリマーを含まない。
一実施形態では、組成物は、投与後、約2時間まで、約4時間まで、約6時間まで、約8時間まで、約12時間まで、約18時間まで、約24時間まで、2日間まで、約3日間まで、約4日間まで、約5日間まで、約6日間まで、約7日間まで、約8日間まで、約9日間まで、約10日間まで、約11日間まで、約12日間まで、約13日間までまたは約14日間まで、著しい疼痛緩和をもたらすのに有効である。別の実施形態では、組成物は、投与後、約2時間〜約4時間、約2時間〜約6時間、約2時間〜約8時間、約2時間〜約10時間、約4時間〜約12時間、約6時間〜約18時間、約6時間〜約24時間、約2時間〜約2日間、約2時間〜約4日間、約1時間〜約3日間、約1時間〜約5日間、約1日間〜約5日間、約1日間〜約3日間、約2日間〜約5日間、約3日間〜約7日間、約3日間〜約8日間、約3日間〜約10日間、約3日間〜約12日間、約3日間〜約14日間、約5日間〜約10日間、約5日間〜約12日間、約5日間〜約14日間、約3日間〜約5日間、約4日間〜約5日間、約2日間〜約4日間、約3日間〜約4日間、または約2日間、約3日間もしくは約4日間にわたって、著しい疼痛緩和をもたらすのに有効である。
一実施形態では、組成物は、鎮痛を必要とする対象に鎮痛をもたらす。別の実施形態では、組成物は、術後の対象に鎮痛をもたらす。
一実施形態では、組成物は、麻酔を必要とする対象に麻酔をもたらす。別の実施形態では、組成物は、術後の対象に麻酔をもたらす。
さらに別の実施形態では、本明細書で提供される組成物および送達系は、急性または慢性疼痛を低減または処置するのに有効である。
さらに別の態様では、疼痛緩和を必要とする患者に疼痛緩和をもたらすための方法が提供される。この方法は、本明細書に記載される通り、組成物を提供し、長期間にわたって疼痛緩和をもたらすために、その組成物が患者に投与されるよう指示することを含む。
一実施形態では、長期間の疼痛緩和とは、投与後、少なくとも約3日間である。別の実施形態では、長期間とは、投与後、約5日間までまたは約5日間である。別の実施形態では、長期間とは、投与後、約3日間までまたは約3日間である。さらに別の実施形態では、長期間とは、投与後、約1日間〜少なくとも約5日間、または約1日間〜約5日間までである。さらに別の実施形態では、長期間とは、投与後、約3日間である。別の実施形態では、長期間とは、約3日間〜約8日間、約3日間〜約10日間、約3日間〜約12日間、約3日間〜約14日間、約5日間〜約10日間、約5日間〜約12日間または約5日間〜約14日間である。
一実施形態では、この方法は、疼痛緩和を相乗的に増大し、その疼痛緩和レベルは、アミド型局所麻酔薬およびNSAIDを独立に添加する相加効果によってもたらされる疼痛緩和レベルを上回る。別の実施形態では、この方法は、疼痛緩和期間を相乗的に延長し、その疼痛緩和期間は、アミド型局所麻酔薬およびNSAIDを独立に添加する相加効果によってもたらされる疼痛緩和期間を上回る。
一態様では、ブピバカインまたはロピバカインであるアミド型局所麻酔薬およびメロキシカムを含む組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む処置方法であって、組成物中の麻酔薬:メロキシカムの比が、約15:1〜60:1、20:1〜35:1、20:1〜40:1もしくは30:1〜35:1の範囲であるか、または約10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、21:1、22:1、23:1、24:1、25:1、26:1、27:1、28:1、29:1、30:1、31:1、32:1、33:1、34:1、35:1、36:1、37:1、38:1、39:1、40:1、41:1、42:1、43:1、44:1、45:1、46:1、47:1、48:1、49:1、50:1、51:1、52:1、53:1、54:1、55:1、56:1、57:1、58:1、59:1もしくは60:1である、処置方法が提供される。一実施形態では、組成物は、徐放組成物ではない。別の実施形態では、約15分間、30分間、45分間、1時間、または2時間の期間以内に、組成物からin vitroで37℃において麻酔薬およびメロキシカムの少なくとも80%が放出される。さらに別の実施形態では、組成物は、約0.1wt%超、および約10wt%未満、9wt%未満、8wt%未満、7wt%未満、6wt%未満、5wt%未満、または4wt%未満の量のブピバカインまたはロピバカインを含む。さらに別の実施形態では、組成物は、約0.01wt%超、および約0.2wt%未満、0.125wt%未満または0.1wt%未満の量のメロキシカムを含む。さらに別の実施形態では、組成物は、約0.001wt%超、および約0.01wt%未満、0.009wt%未満、0.008wt%未満、0.007wt%未満、0.006wt%未満、0.005wt%未満または0.004wt%未満の量のメロキシカムを含む。
一実施形態では、徐放組成物ではない組成物は、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)コポリマー、ポリカプロラクトン、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、およびポリオルトエステルからなる群から選択されるポリマーを含まない。別の実施形態では、組成物は、水性である。
一実施形態では、組成物は、ポリオルトエステルを含まない。さらに別の実施形態では、組成物は、式I、II、IIIおよびIVによって表されるポリオルトエステルから選択されるポリオルトエステルを含まない。
一実施形態では、組成物は、神経周囲注射として投与される。さらなる実施形態では、神経周囲注射は、神経ブロックである。
特定の実施形態では、組成物は、有痛状態を処置することを必要とする対象の有痛状態を処置するために、神経ブロックとして投与される。
さらなる特定の実施形態では、組成物は、術後疼痛の処置を必要とする対象における術後疼痛の処置のために、術前投与などの有痛状態の予防的処置としての神経ブロックとして投与される。
別の態様では、治療有効量のメロキシカムおよび治療有効量のアミド型局所麻酔薬を含む水性医薬組成物が提供される。
一実施形態では、水性医薬組成物を対象に投与すると、対象への投与後、約1時間〜約48時間、約1時間〜約36時間、約1時間〜約24時間、約1時間〜約16時間、約1時間〜約12時間、約2時間〜約12時間、約3時間〜約12時間、約4時間〜約12時間、約4時間〜約24時間、約4時間〜約36時間、約4時間〜約48時間、約4時間〜約10時間、約5時間〜約10時間、約6時間〜約48時間、約6時間〜約36時間、約6時間〜約24時間、約6時間〜約10時間、約6時間〜約9時間、約6時間〜約8時間、または約4時間〜約8時間の期間にわたって、対象に疼痛緩和がもたらされる。別の実施形態では、鎮痛期間は、アミド型局所麻酔薬またはメロキシカム単独の治療有効量の水性医薬組成物の投与によってもたらされる疼痛緩和期間よりも長い。
一実施形態では、アミド型局所麻酔薬は、ブピバカイン、ロピバカイン、レボブピバカイン、ジブカイン、メピバカイン、プロカイン、リドカイン、およびテトラカインからなる群から選択される。別の実施形態では、アミド型局所麻酔薬は、ブピバカインである。さらに別の実施形態では、アミド型局所麻酔薬は、ロピバカインである。
別の態様では、メロキシカムまたは薬学的に許容されるその塩の薬学的に許容される水溶液が提供され、その水溶液は、アミド型局所麻酔薬の薬学的に許容される水溶液と組み合わせて、対象に投与するのに適した薬学的混合物を作製するのに適している。
一実施形態では、アミド型局所麻酔薬は、ブピバカイン、ロピバカイン、レボブピバカイン、ジブカイン、メピバカイン、プロカイン、リドカイン、およびテトラカインからなる群から選択される。別の実施形態では、アミド型局所麻酔薬は、ブピバカインである。さらに別の実施形態では、アミド型局所麻酔薬は、ロピバカインである。
一実施形態では、対象は、急性または慢性疼痛に罹患している。別の実施形態では、対象は、疼痛のための予防的処置を必要とする。
一実施形態では、医薬混合物は、筋肉内、皮下注射、または神経周囲注射としての投与に適している。別の実施形態では、医薬混合物は、静脈内投与に適している。別の実施形態では、医薬混合物は、創傷への投与に適している。
別の態様では、疼痛の対象または疼痛の予防的処置を必要とする対象を処置するための方法であって、対象に、治療有効量のメロキシカムおよび治療有効量のアミド型局所麻酔薬を含む水性医薬組成物を投与することを含む、方法が提供される。
一実施形態では、水性医薬組成物中のアミド型局所麻酔薬は、ブピバカイン、ロピバカイン、レボブピバカイン、ジブカイン、メピバカイン、プロカイン、リドカイン、およびテトラカインからなる群から選択される。好ましい実施形態では、アミド型局所麻酔薬は、ブピバカインである。別の好ましい実施形態では、アミド型局所麻酔薬は、ロピバカインである。
一実施形態では、水性医薬組成物を対象に投与すると、投与後、約1時間〜約48時間、約1時間〜約36時間、約1時間〜約24時間、約1時間〜約12時間、約2時間〜約18時間、約3時間〜約16時間、約4時間〜約24時間、約4時間〜約36時間、約4時間〜約48時間、約4時間〜約22時間、約4時間〜約20時間、約4時間〜約18時間、約4時間〜約16時間、約4時間〜約14時間、約4時間〜約12時間、約6時間〜約48時間、約6時間〜約36時間、約6時間〜約48時間、約6時間〜約36時間、約6時間〜約24時間、約6時間〜約20時間、約6時間〜約18時間、約6時間〜約16時間、約6時間〜約14時間、約6時間〜約12時間、または約6時間〜約10時間の期間にわたって、対象に疼痛緩和がもたらされる。
一実施形態では、疼痛は、慢性または急性疼痛である。
別の態様では、疼痛の対象または疼痛の予防的処置を必要とする対象を処置するための方法であって、メロキシカムまたは薬学的に許容されるその塩の医薬溶液を、アミド型局所麻酔薬の医薬溶液と混合して、混合溶液を調製し、その混合溶液を対象に投与することを含む、方法が提供される。
一実施形態では、混合溶液は、その混合溶液を調製した後、約24時間、約20時間、約16時間、約12時間、約8時間、約6時間、約4時間、約2時間、約1時間、約45分、約30分、約15分または約5分以内に対象に投与される。
一実施形態では、メロキシカムの医薬溶液は、水溶液である。
一実施形態では、混合溶液は、筋肉内、皮下、または神経周囲注射によって投与される。別の実施形態では、混合溶液は、創傷に投与される。
一実施形態では、混合溶液を対象に投与すると、投与後、約1時間〜約48時間、約1時間〜約36時間、約1時間〜約24時間、約2時間〜約18時間、約3時間〜約16時間、約4時間〜約24時間、約4時間〜約22時間、約4時間〜約20時間、約4時間〜約18時間、約4時間〜約16時間、約4時間〜約14時間、約4時間〜約12時間、約6時間〜約48時間、約6時間〜約36時間、約6時間〜約24時間、約6時間〜約20時間、約6時間〜約18時間、約6時間〜約16時間、約6時間〜約14時間、約6時間〜約12時間、または約6時間〜約10時間の期間にわたって、対象に疼痛緩和がもたらされる。
別の態様では、ポリオルトエステル、トリグリセリド粘度低下剤を含む溶媒、およびポリオルトエステルが、単相を形成する形で混和性である極性非プロトン性溶媒、ならびにその単相に分散または可溶化した1つまたは複数の治療活性のある薬剤から構成された送達系が提供される。一実施形態では、トリグリセリド粘度低下剤は、1〜7個の間の炭素原子をそれぞれ独立に含む3つの脂肪酸基を含み、これは、本明細書で「短鎖」トリグリセリドとも呼ばれる。別の実施形態では、送達系は、ジカルボン酸をさらに含む。
一実施形態では、活性薬剤は、約1日間〜8週間、約1日間〜7週間、約1日間〜6週間、約1日間〜5週間、約1日間〜4週間、約1日間〜3週間、約1日間〜2週間、約1週間〜8週間、約1週間〜6週間、約1週間〜4週間、約1日間〜7日間、約1日間〜6日間、約1日間〜5日間、約1時間〜24時間、約2時間〜18時間、約3時間〜16時間、約4時間〜24時間、約4時間〜22時間、約4時間〜20時間、約4時間〜18時間、約4時間〜16時間、約4時間〜14時間、約4時間〜12時間、約6時間〜48時間、約6時間〜36時間、約6時間〜24時間、約6時間〜20時間、約6時間〜18時間、約6時間〜16時間、約6時間〜14時間、約6時間〜12時間、または約6時間〜10時間の範囲の期間にわたって、送達系から放出される。
一実施形態では、送達系は、粘度計を使用して37℃で粘度を測定される場合、約10,000mPa・s未満の粘度を有し、粘度計を使用して37℃で粘度を測定される場合約5,000mPa・s未満の粘度を有し、または粘度計を使用して37℃で粘度を測定される場合、約2,500mPa・s未満の粘度を有する。別の実施形態では、送達系は、コーンおよびプレート粘度計を使用して37℃で測定される場合、約2500mPa・s〜10,000mPa・sの範囲の粘度を有する。
一実施形態では、トリグリセリド粘度低下剤は、グリセリントリアセテート(トリアセチン、1,2,3−トリアセトキシプロパン、またはグリセロールトリアセテートとも呼ばれる)である。
一実施形態では、極性非プロトン性溶媒は、室温で水中25重量%超の溶媒の水溶度を有する有機溶媒である。
一実施形態では、極性非プロトン性溶媒は、約2デバイ(D)超の双極子モーメントを有する。
一実施形態では、極性非プロトン性溶媒は、アミド、エーテル、ケトン、およびスルホキシドからなる群から選択されるクラスである。
別の実施形態では、極性非プロトン性溶媒は、ジメチルスルホキシドおよびデシルメチルスルホキシドからなる群から選択されるスルホキシドである。
さらに別の実施形態では、極性非プロトン性溶媒は、2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、およびジメチルアセトアミドからなる群から選択されるアミドである。
一実施形態では、極性非プロトン性溶媒は、ジメチルイソソルビドおよびテトラヒドロフランから選択されるエーテルである。
一実施形態では、極性非プロトン性溶媒は、アセトンおよびメチルエチルケトンからなる群から選択されるケトンである。
一実施形態では、極性非プロトン性溶媒は、エステル−カプロラクトンおよびブチロラクトンからなる群から選択されるラクトンである。
一実施形態では、極性非プロトン性溶媒は、アルコールのエステルであるプロピレンカーボネート(4−メチル−1,3−ジオロラン−2−オン)である。
一実施形態では、極性非プロトン性溶媒は、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オンである。
一実施形態では、極性非プロトン性溶媒は、ジメチルスルホキシド(DMSO)またはN−メチルピロリドン(NMP)またはジメチルアセトアミド(DMAC)である。
一実施形態では、極性非プロトン性溶媒は、ジメチルスルホキシド(DMSO)またはN−メチルピロリドン(NMP)である。
一実施形態では、極性非プロトン性溶媒は、ジメチルスルホキシド(DMSO)である。
一実施形態では、ジカルボン酸は、マレイン酸である。
一実施形態では、治療活性のある薬剤は、制吐薬である。
一実施形態では、治療活性のある薬剤は、グラニセトロンである。
一実施形態では、治療活性のある薬剤は、麻酔薬である。別の実施形態では、麻酔薬は、アミド型局所麻酔薬である。さらに別の実施形態では、麻酔薬は、ブピバカイン、レボブピバカイン、ジブカイン、メピバカイン、プロカイン、リドカイン、テトラカイン、およびロピバカインからなる群から選択される。
一実施形態では、治療活性のある薬剤は、ロピバカインまたはブピバカインである。
一実施形態では、麻酔薬を含む組成物は、非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)をさらに含む。別の実施形態では、NSAIDは、エノール酸NSAIDである。さらに別の実施形態では、NSAIDは、メロキシカム、ピロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、およびイソキシカムからなる群から選択される。
一実施形態では、治療活性のある薬剤は、オピオイドである。別の実施形態では、治療活性のある薬剤は、ブプレノルフィンである。
一実施形態では、ポリオルトエステルは、本明細書に記載される以下の式I、II、IIIおよびIVによって表されるポリオルトエステルから選択される。
一実施形態では、ポリオルトエステルは、式Iに示される構造によって表されるポリオルトエステルである。
式中、R
*は、メチル、エチル、プロピルまたはブチルであり、nは、繰返し単位の数であり、5〜400の範囲の整数であり、各部分単位のAは、R
1またはR
3である。
一実施形態では、R*は、エチルである。
一実施形態では、Aは、R
1に相当し、R
1は、
であり、pおよびqは、それぞれ独立に、約1〜20の範囲の整数であり、各R
5は、独立に、水素またはC
1〜4アルキルであり、R
6は、
であり、sは、0〜10の整数であり、tは、2〜30の整数であり、R
7は、水素またはC
1〜4アルキルである。別の実施形態では、R7は、C1、C2、C3、またはC4アルキルである。特定の実施形態では、R
7は、Hである。さらに別の実施形態では、R
1部分単位は、α−ヒドロキシ酸含有部分単位である。別の実施形態では、pおよびqは、それぞれ独立に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、および20から選択される。さらに別の実施形態では、R5は、独立に、水素、またはC1、C2、C3もしくはC4アルキルである。
一実施形態では、Aは、R
3に相当し、R
3は、
であり、xは、1〜100の範囲の整数である。別の実施形態では、xは、0、1、2、3、4、および5から選択され、yは、2〜30の範囲の整数であり、R
8は、水素またはC
1〜4アルキルである。さらに別の実施形態では、R
8は、C1、C2、C3またはC4アルキルである。別の実施形態では、R
8は、Hである。
一実施形態では、ポリオルトエステルは、Aが、R
1またはR
3であり、R
1が、
であり、pおよびqが、それぞれ独立に、任意の繰返し単位の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、および20から選択され、pの平均数またはpおよびqの合計(p+q)の平均数が、約1〜7の間であり、xおよびsが、それぞれ独立に、0〜10の範囲の整数であり、tおよびyが、それぞれ独立に、2〜30の範囲の整数である、ポリオルトエステルである。別の実施形態では、pおよびqの合計は、R
1の任意の繰返し単位の1、2、3、4、5、6または7である。さらに別の実施形態では、R
5は、Hである。
一実施形態では、Aは、R
1またはR
3であり、R
1は、
であり、pおよびqは、それぞれ独立に、R
1の任意の繰返し単位の約1〜20、約1〜15、または約1〜10の範囲の整数であり、pの平均数またはpおよびqの合計(すなわち、p+q)の平均数は、約1〜7の間である。別の実施形態では、xおよびsは、それぞれ独立に、0〜約7または1〜約5の範囲である。さらに別の実施形態では、tおよびyは、それぞれ独立に、2〜10の範囲である。
一実施形態では、R5は、水素またはメチルである。
一実施形態では、sおよびxは、それぞれ独立に、1、2、3、4、5、6、7および8から選択される。別の実施形態では、sは、2である。さらに別の実施形態では、xは、2である。
一実施形態では、ポリオルトエステルは、3,9−ジエチル−3,9−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン−3,9−ジイルおよびA
の交互残基を含み、Aは、前述の通りである。
送達系のポリオルトエステルに関する特定の一実施形態では、ポリオルトエステルは、約2,500ダルトン〜10,000ダルトンの範囲の分子量を有する。
送達系に関する一実施形態では、ポリオルトエステルは、式Iに示される構造によって表され、送達系の約65〜75重量パーセント、60〜70重量パーセント、50〜70重量パーセント、40〜70重量パーセント、50〜65重量パーセント、または55〜65重量パーセントの範囲の量である。別の実施形態では、式Iとして示される構造によって表されるポリオルトエステルは、送達系の約40重量パーセント、45重量パーセント、50重量パーセント、55重量パーセント、60重量パーセント、65重量パーセント、または70重量パーセントの量である。
送達系に関する一実施形態では、送達系は、トリグリセリド粘度低下剤および非プロトン性溶媒をさらに含む。別の実施形態では、送達系は、ジカルボン酸をさらに含む。
送達系に関する一実施形態では、トリグリセリド粘度低下剤は、送達系の約10wt%〜50wt%、10wt%〜35wt%、20wt%〜40wt%、25wt%〜35wt%、20wt%〜40wt%、15wt%〜30wt%、または20wt%〜25wt%、または約15wt%、16wt%、17wt%、18wt%、19wt%、20wt%、21wt%、22wt%、23wt%、24wt%、25wt%、27wt%、28wt%、29wt%、30wt%、31wt%、32wt%、33wt%、34wt%、35wt%、36wt%、37wt%、38wt%、39wt%または40wt%の範囲の量で存在する。
送達系に関する一実施形態では、非プロトン性溶媒は、送達系の約1wt%〜40wt%、5wt%〜40wt%、5wt%〜35wt%、5wt%〜30wt%、5wt%〜25wt%、5wt%〜15wt%、10wt%〜20wt%、10wt%〜15wt%、15wt%〜25wt%、5wt%〜20wt%、5wt%〜15wt%、5wt%〜12wt%、6wt%〜12wt%、または約2wt%、3wt%、4wt%、5wt%、6wt%、7wt%、8wt%、9wt%、10wt%、11wt%、12wt%、13wt%、14wt%、15wt%、16wt%、17wt%、18wt%、19wt%、20wt% 21wt%、22wt%、23wt%、24wt%、25wt%、26wt%、27wt%、28wt%、29wt%、30wt%、31wt%、32wt%、33wt%、34wt%、35wt%、36wt%、37wt%、38wt%、39wt%、または40wt%の範囲の量で存在する。
送達系に関する一実施形態では、ジカルボン酸は、送達系の約0.010〜0.500重量パーセント、0.020〜0.400重量パーセント、0.030〜0.300重量パーセント、0.040〜0.200重量パーセント、0.040〜0.150重量パーセント、0.05〜0.150重量パーセント、0.020〜0.080重量パーセント、0.030〜0.070重量パーセント、0.040〜0.060重量パーセント、0.100〜0.200重量パーセント、0.125〜0.175重量パーセント、または0.140〜0.160重量パーセントの範囲の量で存在する。送達系に関する別の実施形態では、ジカルボン酸は、約0.01wt%〜0.6wt%、0.01wt%〜0.05wt%、0.05wt%〜0.6wt%、0.01wt%〜0.15wt%、0.05wt%〜0.15wt%、0.01wt%、0.02wt%、0.03wt%、0.04wt%、0.050wt%、0.060wt%、0.070wt%、0.080wt%、0.090wt%、0.100wt%、0.125wt%、0.150wt%、0.175wt%、0.2wt%、0.3wt%、0.4wt%、0.5wt%、または0.6wt%の範囲の量で存在する。
送達系に関する一実施形態では、アミド型局所麻酔薬は、送達系の約0.1〜8重量パーセント、1〜7重量パーセント、1〜6重量パーセント、1〜5重量パーセント、または1〜4重量パーセント、1〜3重量パーセント、1.5〜3.5重量パーセント、1.5〜3.0重量パーセント、2〜3重量パーセント、2.1〜2.9重量パーセント、2.2〜2.8重量パーセント、2.3〜2.7重量パーセント、2.4〜2.6重量パーセント、または2.25〜2.75重量パーセントの範囲の量で存在する。アミド型局所麻酔薬は、ブピバカイン、ロピバカイン、レボブピバカイン、ジブカイン、メピバカイン、プロカイン、リドカイン、およびテトラカインから選択され得る。好ましい実施形態では、アミド型局所麻酔薬は、ブピバカインまたはロピバカインである。この実施形態の送達系は、NSAID、好ましくはメロキシカムをさらに含み、メロキシカムは、送達系の約0.005wt%〜1wt%、0.005wt%〜0.75wt%、0.005wt%〜0.5wt%、0.005wt%〜0.25wt%、0.005wt%〜0.125wt%、0.01wt%〜1wt%、0.01wt%〜0.75wt%、0.01wt%〜0.5wt%、0.01wt%〜0.25wt%、0.01wt%〜0.125wt%、0.020wt%〜0.100wt%、0.030wt%〜0.100wt%、0.040wt%〜0.100wt%、0.050wt%〜0.090wt%、0.060wt%〜0.080wt%、0.070wt%〜0.080wt%、0.050wt%〜0.090wt%、0.060wt%〜0.080wt%、0.070wt%〜0.080wt%の範囲の量で存在する。この実施形態では、送達系におけるアミド型局所麻酔薬:メロキシカムの比は、約10:1〜50:1、15:1〜45:1、20:1〜40:1もしくは30:1〜35:1の範囲であるか、または約13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、21:1、22:1、23:1、24:1、25:1、26:1、27:1、28:1、29:1、30:1、31:1、32:1、33:1、34:3、35:1、36:1、37:1、38:1、39:1、40:1、41:1、42:1、43:1、44:1、45:1、46:1、47:1、48:1、49:1もしくは50:1である。
送達系に関する一実施形態では、ポリオルトエステルは、式Iとして示される構造によって、本明細書で提供される、それと関係する変数の組合せおよび集合の任意の1つまたは複数に従って表され、活性薬剤は、送達系の約1〜5重量パーセントの範囲の量のグラニセトロンであり、非プロトン性溶媒は、送達系の約5〜35重量パーセントの範囲の量のDMSOまたはNMPであり、トリグリセリド粘度低下剤は、送達系の約10〜30重量パーセントの範囲の量のトリアセチンである。
特定の実施形態では、トリグリセリド粘度低下剤を含む溶媒および極性非プロトン性溶媒は、組み合わせた量が送達系の約15〜50重量パーセントの範囲であり、治療剤は、送達系の約3〜30重量パーセントの範囲の量である。好ましい実施形態では、トリグリセリド粘度低下剤を含む溶媒および極性非プロトン性溶媒は、組み合わせた量が送達系の約30〜50重量パーセントの範囲であり、治療剤は、組み合わせた量が送達系の2.0〜3.0重量パーセントである。
さらに別の実施形態では、ポリオルトエステルは、式Iとして示される構造によって、本明細書で提供される、それと関係する変数の組合せおよび集合の任意の1つまたは複数に従って表され、活性薬剤は、送達系の約3〜30重量パーセントの範囲の量のロピバカインまたはブピバカインを含み、トリグリセリド粘度低下剤は、送達系の約10〜50重量パーセントの範囲の量のトリアセチンであり、溶媒は、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミドおよびN−メチルピロリドンから選択され、送達系の約5〜30重量パーセントの範囲の量である。好ましい実施形態では、活性薬剤は、送達系の約2〜5重量パーセントの範囲の量のロピバカインまたはブピバカインを含み、トリグリセリド粘度低下剤は、送達系の約20〜50重量パーセントの範囲の量のトリアセチン(riacetin)であり、溶媒は、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミドおよびN−メチルピロリドンから選択され、送達系の約5〜10重量パーセントの範囲の量である。
一実施形態では、ポリオルトエステルは、式Iとして示される構造によって表され、活性薬剤は、組成物の約1〜5重量パーセントの範囲の量のグラニセトロンであり、溶媒は、組成物の約10〜35重量パーセントの範囲の量のDMSOである。
別の態様では、治療活性のある薬剤を投与する方法が提供される。この方法は、針から、ポリオルトエステル、トリグリセリド粘度低下剤、およびポリオルトエステルが、単相を形成する形で混和性である非プロトン性溶媒、ならびにその単相に分散または可溶化した治療活性のある薬剤を含む、本明細書に記載される送達系または組成物を分注することを含み、溶媒は、所定の放出プロファイルに従って組成物から活性薬剤を制御放出するように選択され、活性薬剤は、約1日間〜8週間、1日間〜7週間、1日間〜6週間、1日間〜5週間、1日間〜4週間、1日間〜3週間、1日間〜2週間、1週間〜8週間、1週間〜6週間、1週間〜4週間、1日間〜7日間、1日間〜6日間、1日間〜5日間、1時間〜24時間、2時間〜18時間、3時間〜16時間、4時間〜24時間、4時間〜22時間、4時間〜20時間、4時間〜18時間、4時間〜16時間、4時間〜14時間、4時間〜12時間、6時間〜48時間、6時間〜36時間、6時間〜24時間、6時間〜20時間、6時間〜18時間、6時間〜16時間、6時間〜14時間、6時間〜12時間、または6時間〜10時間の範囲の期間にわたって、送達系または組成物から放出される。
別の態様では、ポリオルトエステルから構成され、トリグリセリド粘度低下剤、およびポリオルトエステルが、単相を形成する形で混和性である非プロトン性溶媒、ならびにその単相に分散または可溶化した治療活性のある薬剤を含む送達系組成物を、それを必要とする患者に針から分注することを含む処置方法であって、トリグリセリド粘度低下剤および非プロトン性溶媒が、所定の放出プロファイルに従って組成物から活性薬剤を制御放出するように選択され、活性薬剤が、約1日間〜8週間、1日間〜7週間、1日間〜6週間、1日間〜5週間、1日間〜4週間、1日間〜3週間、1日間〜2週間、1週間〜8週間、1週間〜6週間、1週間〜4週間、1日間〜7日間、1日間〜6日間、1日間〜5日間、1時間〜24時間、2時間〜18時間、3時間〜16時間、4時間〜24時間、4時間〜22時間、4時間〜20時間、4時間〜18時間、4時間〜16時間、4時間〜14時間、4時間〜12時間、6時間〜48時間、6時間〜36時間、6時間〜24時間、6時間〜20時間、6時間〜18時間、6時間〜16時間、6時間〜14時間、6時間〜12時間または6時間〜10時間の範囲の期間にわたって送達系または組成物から放出される、方法が提供される。一実施形態では、送達系は、神経周囲注射として投与される。さらなる実施形態では、神経周囲注射は、神経ブロックである。
特定の実施形態では、送達系は、有痛状態を処置することを必要とする対象の有痛状態を処置するために、神経ブロックとして投与される。
さらなる特定の実施形態では、送達系は、術後疼痛の処置を必要とする対象における術後疼痛の処置のために、術前投与などの有痛状態の予防的処置としての神経ブロックとして投与される。
一実施形態では、対象に鎮痛をもたらす方法であって、前述の実施形態のいずれか1つによる組成物を投与することを含む、方法が提供される。別の実施形態では、この方法は、術後鎮痛をもたらす。
組成物、または関係する方法もしくは系の前述の実施形態のそれぞれに関して、アミド型またはアニリド型局所麻酔薬を対象とした各実施形態は、NSAIDのそれぞれおよびすべての実施形態に適用されることを意味し、送達ビヒクルの各実施形態は、アミド型またはアニリド型局所麻酔薬、およびエノール酸NSAIDなどの組合せの各実施形態に適用されることを意味する。
本発明の系、組成物および方法のさらなる実施形態は、以下の説明、図、実施例、および特許請求の範囲から明らかとなろう。先の説明および以下の説明から理解され得る通り、本明細書に記載されるそれぞれの特色およびすべての特色、ならびにこのような特色の2つまたはそれよりも多いそれぞれの組合せおよびすべての組合せは、本開示の範囲に含まれ、ただし、このような組合せに含まれる特色は、互いに矛盾しないものとする。さらに、任意の特色または特色の組合せは、本発明の任意の実施形態から具体的に除外され得る。本発明のさらなる態様および利点は、特に、添付の実施例および図と併せて考慮される場合、以下の説明および特許請求の範囲に記載される。
詳細な説明
I.定義
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、状況によって別段明示されない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば1つの「ポリマー」への言及は、単一のポリマー、および2つまたはそれよりも多い同じまたは異なるポリマーを含み、1つの「添加剤」への言及は、単一の添加剤、および2つまたはそれよりも多い同じまたは異なる添加剤を含むなどである。
ある範囲の値が提供される場合、その範囲の上限と下限の間に介在する各値、およびその記載される範囲において記載されるまたは介在する他の任意の値は、本開示に包含されることが企図される。例えば、10〜20重量パーセント(wt%)の範囲が記載される場合、11、12、13、14、15、16、17、18、および19wt%、ならびに10wt%またはそれよりも高い値から約20wt%までの範囲の値、および20wt%またはそれよりも低い値から約10wt%までの範囲の値も明確に開示されることが企図される。
「生体内分解性」、「生侵食性」および「生分解性」は、本明細書で交換可能に使用され、生存生物の作用、中でも注目すべきは生理的pHおよび温度を含めた生物学的環境の作用によって、ポリマーが分解、解体または消化されることを指す。一例として、ポリオルトエステルの生侵食のための主な機序は、ポリオルトエステルの単位間および単位内の連結の加水分解である。
ポリオルトエステルなどの「加水分解を受けやすいポリマー」は、水分子との反応によって分解、解体または消化され得るポリマーを指す。このようなポリマーは、そのポリマーに加水分解性基を含有する。加水分解を受けやすいポリマーの例として、本明細書に記載されるポリマー、ならびに参照によってその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第4,079,038号、第4,093,709号、第4,131,648号、第4,138,344号、第4,180,646号、第4,304,767号、第4,957,998号、第4,946,931号、第5,968,543号、第6,613,335号、および第8,252,304号、ならびに米国特許出願第2007/0265329号に記載されるポリマーを挙げることができるが、それらに限定されない。
ポリオルトエステルなどのポリマーの文脈における「分子量」は、分子ふるいクロマトグラフィー、光散乱技術、または速度によって典型的に決定される、ポリマーの名目上の平均分子量を指す。分子量は、数平均分子量または重量平均分子量のいずれかとして表すことができる。別段指定されない限り、本明細書における分子量へのあらゆる言及は、重量平均分子量を指す。数平均および重量平均の分子量の決定は、共に、ゲル浸透クロマトグラフィーまたは他の液体クロマトグラフィー技術を使用して測定することができる。数平均分子量を決定するための束一的特性(例えば、凝固点降下、沸点上昇、または浸透圧)の測定、または重量平均分子量を決定するための光散乱技術、超遠心分離法もしくは粘度測定法の使用などの、分子量の値を測定するための他の方法を使用することもできる。本発明のポリマーは、典型的に多分散性であり(すなわち、ポリマーの数平均分子量および重量平均分子量は、等しくない)、約3.0未満、約2.75未満、約2.25未満、約1.5未満、および約1.03未満などの低い多分散性の値を有する。
「半固体」は、中程度の応力下で流動性である材料の機械物理状態を示す。より具体的には、半固体材料は、一般に、37℃で約1,000〜3,000,000mPa・sの間の粘度、特に37℃で約1,000〜50,000mPa・sの間の粘度を有する。
「活性薬剤」または「活性成分」は、有益なまたは有用な結果をもたらす任意の化合物または化合物の混合物を指す。一般に、「活性薬剤」または「薬物」は、生物活性を有しており、治療目的で適合または使用される任意の有機または無機化合物または物質を指す。本明細書で使用される場合、本明細書における薬物への言及、ならびに他の化合物への言及は、適用できる場合には、本明細書に記載される化合物のジアステレオマーおよびエナンチオマーなどの異性体、塩、溶媒和物、ならびに多形、特定の結晶形、ならびにラセミ混合物および純粋な異性体を含めた、薬学的に許容されるその形態のいずれかの化合物を含むことを意味する。活性薬剤は、ビヒクル、担体、賦形剤、滑沢剤、結合剤および他の製剤化助剤などの構成成分、ならびに被包性またはそれ以外で保護性を有する構成成分とは区別可能である。活性薬剤の例は、製薬、農業または化粧用の薬剤である。
活性薬剤の例は、製薬、農業または化粧用の薬剤である。適切な医薬品には、局所的もしくは病巣内適用(例えば、擦過皮膚、裂創、穿刺創などへの適用、ならびに手術創または切開部への適用を含む)によって、または皮下、皮内、筋肉内、眼内もしくは関節内注射などの注射によって対象に投与することができる、局所作用または全身作用性の薬学的に活性な薬剤が含まれる。適切な医薬品には、多糖類、DNAおよび他のポリヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、抗原、抗体、ワクチン、ビタミン、酵素、タンパク質、自然に生じるまたは生体工学処置の物質など、抗感染症薬(抗生物質、抗ウイルス薬、殺菌薬、疥癬虫殺虫薬またはシラミ駆除薬を含む)、消毒薬(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、酢酸マフェニド、塩化メチルベンゼトニウム、ニトロフラゾン、ニトロメルゾールなど)、ステロイド(例えば、エストロゲン、プロゲスチン、アンドロゲン、アドレノコルチコイドなど)、オピオイド(例えば、ブプレノルフィン、ブトルファノール、デゾシン、メプタジノール、ナルブフィン、オキシモルホンおよびペンタゾシン)、治療用ポリペプチド(例えば、インスリン、エリスロポエチン、形態形成タンパク質、例えば骨形態形成タンパク質など)、鎮痛薬および抗炎症剤(例えば、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトロラク、COX−1阻害剤、COX−2阻害剤など)、抗精神病剤(例えば、クロルプロマジン、トリフルプロマジン、メソリダジン、ピペラセタジンおよびチオリダジンを含めたフェノチアジン;クロルプロチキセンを含めたチオキサンテンなど)、抗血管新生剤(例えば、コンブレスタチン(combresiatin)、コントルトロスタチン(contortrostatin)、抗VEGFなど)、抗不安剤(例えば、ジアゼパム、アルプラゾラム、クロナゼパム、オキサゼパムを含めたベンゾジアゼピン、およびバルビツレート)、抗うつ薬(イミプラミン、アミトリプチリン、ドキセピン、ノルトリプチリン、アモキサピン、トラニルシプロミン、フェネルジンなどを含めた三環系抗うつ薬およびモノアミンオキシダーゼ阻害剤を含む)、刺激薬(例えば、メチルフェニデート、ドキサプラム、ニケタミドなど)、麻薬(例えば、ブプレノルフィン、モルヒネ、メペリジン、コデインなど)、鎮痛解熱薬および抗炎症剤(例えば、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセンなど)、局所麻酔薬(例えば、アミド型またはアニリド型局所麻酔薬、例えば、ブピバカイン、レボブピバカイン、ジブカイン、メピバカイン、プロカイン、リドカイン、テトラカイン、ロピバカインなど)、避妊剤、化学療法剤および抗悪性腫瘍剤(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド、5−フルオロウラシル、チオグアニン、カルムスチン、ロムスチン、メルファラン、クロラムブシル、ストレプトゾシン、メトトレキセート、ビンクリスチン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ビンデシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、タモキシフェンなど)、心血管治療薬および降圧剤(例えば、プロカインアミド、亜硝酸アミル、ニトログリセリン、プロプラノロール、メトプロロール、プラゾシン、フェントラミン、トリメタファン、カプトプリル、エナラプリルなど)、肺障害の治療薬、抗てんかん剤(例えば、フェニロイン(phenyloin)、エトトインなど)、抗発汗薬、角質軟化(keratoplastic)剤、色素沈着剤または皮膚軟化薬、制吐剤(例えば、オンダンセトロン、グラニセトロン、トロピセトロン、メトクロプラミド、ドンペリドン、スコポラミン、パロノセトロンなど)が含まれる。本願の組成物は、他の局所作用性の活性薬剤、例えば収斂薬、制汗薬、刺激薬、発赤薬、発疱薬、硬化薬、腐蝕薬、腐食薬、角質溶解剤、日焼け止め薬、ならびに脱色剤および鎮痒剤を含めた様々な皮膚科用薬に適用することもできる。「活性薬剤」という用語は、殺生物薬、例えば殺菌薬、殺有害生物薬および除草薬、植物成長促進剤または阻害剤、防腐剤、殺菌消毒薬、空気浄化薬、ならびに栄養素をさらに含む。活性薬剤のプロドラッグおよび薬学的に許容される塩は、本願の範囲内に含まれる。
「小分子」は、約900ダルトン未満の分子量を有する分子、典型的に薬物である。
「アミド型」という用語は、本明細書で使用される場合、アミド−もしくはアミノ−アニリド型または「−カイン」クラスの局所麻酔性アミド(anestheticamide)、例えばブピバカイン、レボブピバカイン、ロピバカイン、エチドカイン、リドカイン、メピバカイン、プリロカインなどを指す。このクラスの分子は、アミノ官能基ならびにアニリド基、例えばフェニル置換アニリンのアミノ窒素から形成されたアミド基を含有する。これらの分子は、一般に弱塩基であり、約5.8〜約6.4の範囲のpKb値を有する。
「エノール酸NSAID」は、本明細書で使用される場合、オキシカムクラスの非ステロイド系抗炎症薬物、例えばメロキシカム、ピロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム(ピロキシカムのプロドラッグ)、ロルノキシカムなどを指す。このクラスの分子は、酸性エノール官能基を含有する。
「薬学的に許容される塩」は、著しく有害な中毒学的作用を患者に引き起こさない塩の形成に適した少なくとも1つの基を有する薬物の塩形態を示す。薬学的に許容される塩には、薬物における官能基(複数可)の性質に応じて、無機酸、有機酸、塩基性アミノ酸、または酸性アミノ酸との反応によって調製された塩が含まれる。薬学的に許容される適切な塩には、例えば、塩基性薬物の溶液を、その塩基性薬物の薬学的に許容される塩形態を形成することができる酸、例えば塩酸、ヨード酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、リン酸、硫酸などの溶液と混合することによって形成され得る、酸付加塩が含まれる。塩基性薬物に典型的なアニオンには、それがプロトン化形態である場合、塩化物、硫酸塩、臭化物、メシル酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩およびリン酸塩が含まれる。薬学的に許容される適切な塩形態は、例えば、Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection and Use、Weinheim/Zurich:Wiley-VCH/VHCA、2002年; P. H. StahlおよびC. G. Wermuth編に見出される。
本明細書で言及される場合、「有機酸」は、一般に約300ダルトン未満の分子量を有する少なくとも1つのカルボン酸基を有する有機分子である。有機酸は、2つまたはそれよりも多いカルボン酸基、例えば、2つ、3つ、または4つのカルボン酸基を有することができる。有機酸は、脂肪族または芳香族であってよく、ヒドロキシル、エステルなどのさらなる非塩基性置換基を必要に応じて含有することができる。脂肪族有機酸は、1つまたは複数の不飽和要素、例えば二重結合または三重結合を含有することもできる。例示的な有機酸として、エタン酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、安息香酸、アセチルサリチル酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、サリチル酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸などが挙げられる。
「ポリオルトエステルと適合性がある」は、ポリオルトエステルの特性の特定の一態様では、ポリオルトエステルと混合されると単相を形成し、ポリオルトエステルにいかなる化学変化も引き起こさない添加剤の特性を指す。
「治療有効量」は、疾患の処置のためにヒトまたは動物に投与される場合、その疾患または状態に処置を行うのに十分な量を意味する。
疾患または状態を「処置する」またはその「処置」には、疾患または状態に罹患しやすい可能性があるが、その疾患または状態を経験していないか、またはその症状を示していないヒトまたは動物において、疾患または状態が生じるのを防止すること(予防的処置)、疾患または状態を阻害すること(その発症の緩徐または抑止)、疾患または状態の症状または副作用からの緩和をもたらすこと(軽減処置を含む)、および疾患または状態を緩和すること(疾患の退行を引き起こす)が含まれる。
本明細書で使用される場合、「相乗的」は、組合せと関係して使用される場合、所与のレベルの鎮痛または疼痛緩和を達成するために、アミド型局所麻酔薬またはNSAIDが単独で投与される場合に必要とされるはずの量よりも少量の鎮痛剤(アミド型局所麻酔薬)を用いることを可能にし、一部の実施形態では、より少量のNSAIDを用いることも可能にする組合せを指す。相乗的組合せは、所与のレベルの鎮痛または疼痛緩和をもたらすために、アミド型局所麻酔薬またはNSAIDが単独で投与される場合よりも少量のアミド型局所麻酔薬およびNSAIDを単回投与で投与することを可能にし、それによって、組合せによる相加的鎮痛効果を上回る効果をもたらすことができる。ある場合には、アミド型またはアニリド型局所麻酔薬およびNSAIDのより少量とは、鎮痛をもたらす量未満であり、ここで組合せの構成成分の一方または両方は、通常は鎮痛効果または疼痛緩和効果をもたらさないとみなされる投与量で投与される。
あるいは、「相乗的」という用語は、組合せと関係して使用される場合、アミド型局所麻酔薬またはNSAIDのいずれかが単独で投与される場合に観測される期間を上回って、鎮痛効果または疼痛緩和効果の期間または度合いを延長する組合せを指す。この場合、アミド型局所麻酔薬および/またはNSAIDの量は、鎮痛をもたらすために単回投与で通常提供される量と同じであってよく、それによって、投与頻度を抑えて、所与の用量のアミド型局所麻酔薬またはNSAIDによって達成可能なはずの鎮痛または疼痛緩和よりも大きい鎮痛または疼痛緩和をもたらすことができるので、複数回投与の鎮痛治療または疼痛緩和治療過程にわたって投与されるアミド型またはアニリド型局所麻酔薬およびNSAIDをより少量に抑えることができる。
「必要に応じての」または「必要に応じて」とは、後述される状況が生じても生じなくてもよいことを意味し、したがって、その説明は、その状況が生じる場合および生じない場合を含む。
ある特定の特色または実体に関する「実質的に」という用語は、その特色または実体に関して、著しい度合いであるか、またはほぼ完全である(すなわち85%またはそれを上回る度合いまで)ことを意味する。
特に所与の量に関する「約」という用語は、プラスまたはマイナス5%、10%、15%または20%の偏差を包含することを意味する。
さらなる定義は、以下の節に見出すこともできる。
II.組成物および使用方法
術後疼痛を管理するために使用される現在利用可能な局所麻酔製剤は、一般に、24時間後には、特に十分機能するというわけではなく、すなわち短時間作用の性質である。術後疼痛を処置するための局所麻酔薬としての、ブピバカインまたはロピバカイン(遊離塩基形態)などのアミド型麻酔薬の半固体組成物と、ポリオルトエステルの形態のモデル送達ビヒクルとの併用の研究では、組成物の一部は、手術部位への適用直後には有効であったが(適用後、約5時間までの期間にわたって、またはさらには最初の24時間程度にわたって)、術後の数日を考慮すると、それらの有効性が低下したことが観測された。より具体的には、送達ビヒクルに唯一の活性薬剤としてブピバカインまたはロピバカインを含む組成物は、一般に、短時間(例えば、適用後、約1〜5時間程度)におけるそれらの有効性と比較して、術後、約1〜3日間の期間にわたって有効性が著しく低下した(図3を参照されたい)。しかし、ブピバカインまたはロピバカインだけを含有する対応する組成物の血漿濃度は、同じ期間にわたって相対的に一定の血漿濃度を示したが、このことは、薬物放出が相対的に一定であることを示している(図1Aを参照されたい)。出願人らは、アミド局所麻酔薬から構成された、より有効な長時間作用性の組成物をもたらすやり方を研究していたところ、組成物へのNSAID、例えばエノール酸NSAIDの組込みが、得られる組成物の薬力を変えるのに極めて有効であったことを発見した。得られる組成物について、適用後、約5時間〜24時間に有効性のわずかな低下も観測されたが(図4および図4および5A〜5Bを参照されたい)、興味深いことに、その組成物の有効性は、単独の活性薬剤としてのアミド型局所麻酔薬から構成された組成物によって達成された有効性を上回っており、したがって、投与後、約1日間または約2日間〜約5日間または6日間までの期間、必要に応じてそれよりも長期間にわたる疼痛緩和(すなわち、有効性)は、投与後最初の5時間にもたらされた疼痛緩和と類似していた。この驚くべき有利な効果は、メロキシカムを含む組成物について観測されたが、同じアミド型局所麻酔薬および7.5wt%の異なる化学クラスのNSAID、ヘテロアリール酢酸、ジクロフェナクを含む組成物については、有効性の類似の回復は観測されなかった(図4を参照されたい)。さらに、送達ビヒクル中アミド型局所麻酔薬およびエノール酸NSAIDから構成された組成物によって再び戻り、もたらされた、投与後、約2日間〜少なくとも約5日間の有効性の度合いは、エノール酸NSAIDだけを製剤に添加することによって予想される結果を上回っていた。すなわち、アミド型局所麻酔薬およびエノール酸NSAIDは、相加的ではなく相乗的に作用する。例えば、以下に論じられる図4に提供される結果を参照されたい。
したがって、一実施形態では、出願人らは、アミド型局所麻酔薬および送達ビヒクルを含む組成物にエノール酸NSAIDを添加することが、(i)短時間作用性の麻酔製剤を、少なくとも約3〜5日間の期間にわたって持続的な疼痛緩和をもたらすのに有効な製剤に改変し、(ii)薬物の単なる相加効果に基づいて予想される度合いを上回る疼痛緩和度、すなわち相乗効果をもたらし、(iii)他の有益な特色を有するものの中でも、投与後少なくとも約5日間の期間にわたって、測定可能な血漿濃度のアミド型局所麻酔薬およびNSAIDの両方をもたらすのに有効であることを発見した。
したがって、本明細書に記載される系および組成物は、一般に、アミド型局所麻酔薬、エノール酸NSAIDおよび送達ビヒクルを含む。長時間作用性の組成物および系は、例えば疼痛、例えば術後疼痛の処置のために、例えば、薬物送達系として、または医学的もしくは外科的デバイスとして使用することができる。組成物の構成成分は、例えば以下の実施例1〜8に記載されている。
別の実施形態では、出願人らは、ポリオルトエステル送達ビヒクルおよび活性薬剤を含む組成物においてトリグリセリド溶媒を使用すると、トリグリセリド溶媒を含まない組成物の粘度と比較して、組成物からの活性薬剤(複数可)の放出動態を変えず、または活性薬剤(複数可)の薬物動態プロファイルを変えずに、トリグリセリド溶媒を含まない類似の組成物と比較して、組成物の粘度が実質的に低下することを発見した。組成物の粘度の低下は、室温における針送達による投与が容易になるという点で著しい臨床上の利点をもたらす。これらの予想されない知見を示す例示的な組成物は、例えば以下の実施例9〜15に記載されている。
1.鎮痛のための組成物
一態様では、アミド型局所麻酔薬、エノール酸非ステロイド系抗炎症薬物(NSAID)および送達ビヒクルを含む組成物が提供される。この節では、組成物の構成成分のそれぞれを記載する。
アミド型局所麻酔薬
組成物は、アミド型の局所麻酔薬を含む。このクラスに属する局所麻酔薬には、ブピバカイン、レボブピバカイン、ジブカイン、メピバカイン、プロカイン、リドカイン、テトラカイン、ロピバカインなどが含まれる。これらの化合物は、5.8〜6.4の範囲のpKb値を有するアルカリ−アミドである。すなわち薬物は、プロトン化可能な第三級アミン官能基を含有する。例えば、ロピバカイン、リドカイン、およびブピバカインのpKa値は、それぞれ8.1、7.7および8.1である。アミド型薬物は、それらの中性、塩基性形態で、もしくはそれらの対応する酸付加塩のいずれかとして、または両方の形態の混合物として、組成物で提供される。
一実施形態では、アミド型局所麻酔薬は、その遊離塩基形態で組成物に添加される。アミド型麻酔薬は、ラセミ混合物として、すなわち等量のRおよびSエナンチオマーを含有するものとして提供することができ、または単一のエナンチオマーとして提供することができ、または一方のエナンチオマーが過剰に存在する、エナンチオマーの不均等な混合物として提供することができる。
特定の一実施形態では、組成物は、局所麻酔薬としてブピバカインを含む。さらなる実施形態では、組成物は、活性薬剤としてロピバカインを含む。
さらに1つまたは複数のさらなる実施形態では、組成物は、例えばレボブピバカイン、ジブカイン、メピバカイン、プロカイン、リドカイン、テトラカインなどの、前述のアミド型局所麻酔薬の任意の1つまたは複数を含む。さらに別の実施形態では、アミド型局所麻酔薬は、ブピバカイン、ロピバカイン、レボブピバカイン、ジブカイン、メピバカイン、プロカイン、リドカイン、およびテトラカインからなる群から選択される。
組成物はまた、アミド型局所麻酔薬およびエノール酸NSAID(下記)に加えて、1つまたは複数のさらなる生物活性薬剤を含むことができる。
アミド型局所麻酔薬は、本明細書で提供される通り、組成物に溶解または分散している。組成物におけるアミド型局所麻酔薬の濃度は、約0.1wt%〜1wt%、0.1wt%〜10wt%、0.25wt%〜0.75wt%、0.25wt%〜2.5wt%、0.25wt%〜3.5wt%、0.25wt%〜5wt%、1.5wt%〜5wt%、1.5wt%〜3.5wt%、1.5wt%〜3.0wt%、2wt%〜3wt%、2.1wt%〜2.9wt%、2.2wt%〜2.8wt%、2.3wt%〜2.7wt%、2.4wt%〜2.6wt%、2.25wt%〜2.75wt%、1wt%〜30wt%、1wt%〜10wt%、10wt%〜20wt%、1wt%〜5wt%、2wt%〜5wt%、2wt%〜4wt%、2wt%〜3wt%、10wt%〜15wt%、または15wt%〜20wt%で変わることができ、約0.25wt%、0.5wt%、0.751wt%、1.1wt%、1.2wt%、1.3wt%、1.4wt%、1.5wt%、1.6wt%、1.7wt%、1.8wt%、1.9wt%、2wt%、2.1wt%、2.2wt%、2.3wt%、2.4wt%、2.5wt%、2.6wt%、2.7wt%、2.8wt%、2.9wt%、3wt%、3.1wt%、3.2wt%、3.3wt%、3.4wt%、3.5wt%、3.6wt%、3.7wt%、3.8wt%、3.9wt%、4wt%、4.1wt%、4.2wt%、4.3wt%、4.4wt%、4.5wt%、4.6wt%、4.7wt%、4.8wt%、4.9wt%、5wt%、5wt%、5.1wt%、5.2wt%、5.3wt%、5.4wt%、5.5wt%、5.6wt%、5.7wt%、5.8wt%、5.9wt%、6wt%、6.1wt%、6.2wt%、6.3wt%、6.4wt%、6.5wt%、6.6wt%、6.7wt%、6.8wt%、6.9wt%、7wt%、7.1wt%、7.2wt%、7.3wt%、7.4wt%、7.5wt%、7.6wt%、7.7wt%、7.8wt%、7.9wt%、8wt%、8.1wt%、8.2wt%、8.3wt%、8.4wt%、8.5wt%、8.6wt%、8.7wt%、8.8wt%、8.9wt%、9wt%、9.1wt%、9.2wt%、9.3wt%、9.4wt%、9.5wt%、9.6wt%、9.7wt%、9.8wt%、9.9wt%、10wt%、11wt%、11.1wt%、11.2wt%、11.3wt%、11.4wt%、11.5wt%、11.6wt%、11.7wt%、11.8wt%、11.9wt%、12wt%、12.1wt%、12.2wt%、12.3wt%、12.4wt%、12.5wt%、12.6wt%、12.7wt%、12.8wt%、12.9wt%、13wt%、13.1wt%、13.2wt%、13.3wt%、13.4wt%、13.5wt%、13.6wt%、13.7wt%、13.8wt%、13.9wt%、14wt%、14.1wt%、14.2wt%、14.3wt%、14.4wt%、14.5wt%、14.6wt%、14.7wt%、14.8wt%、14.9wt%、15wt%、15wt%、15.1wt%、15.2wt%、15.3wt%、15.4wt%、5.5wt%、15.6wt%、15.7wt%、15.8wt%、15.9wt%、16wt%、16.1wt%、16.2wt%、16.3wt%、16.4wt%、16.5wt%、16.6wt%、16.7wt%、16.8wt%、16.9wt%、17wt%、17.1wt%、17.2wt%、17.3wt%、17.4wt%、17.5wt%、17.6wt%、17.7wt%、17.8wt%、17.9wt%、18wt%、18.1wt%、18.2wt%、18.3wt%、18.4wt%、18.5wt%、18.6wt%、18.7wt%、18.8wt%、18.9wt%、19wt%、19.1wt%、19.2wt%、19.3wt%、19.4wt%、19.5wt%、19.6wt%、19.7wt%、19.8wt%、19.9wt%、20wt%、21wt%、22wt%、23wt%、24wt%、25wt%、26wt%、27wt%、28wt%、29wt%および30wt%であってよい。
一実施形態では、アミド型局所麻酔薬は、組成物中に約0.01wt%〜約7.5wt%の間で存在する。別の実施形態では、アミド型局所麻酔薬は、組成物中に約0.1wt%〜約7.5wt%の間、または約0.1wt%〜約5.5wt%の間、または約0.25wt%〜約5.2wt%の間、または約0.25wt%〜約5.0wt%の間で存在する。
エノール酸非ステロイド系抗炎症薬物(NSAID)
一部の実施形態では、本明細書で提供される組成物は、NSAID(非ステロイド系抗炎症薬物)をさらに含む。組成物における使用に企図されるNSAIDには、酢酸誘導体、プロピオン酸誘導体、エノール酸誘導体およびフェナム酸誘導体が含まれる。これらのクラスの代表的なNSAIDとして、以下の酢酸型NSAID:ジフルニサル、インドメタシン、トルメチン、スリンダク、エトドラク、ケトロラク、ジクロフェナクおよびナブメトン、以下のプロピオン酸型NSAID:イブプロフェン、デクスイブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、デクスケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、およびロキソプロフェン、フェナム酸型NSAID:メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸およびトルフェナム酸が挙げられるが、それらに限定されない。
一実施形態では、組成物におけるNSAIDは、エノール酸型NSAIDである。本明細書に記載される通り、組成物へのエノール酸NSAIDの組込みは、エノール酸NSAIDを含まない組成物の短時間作用の性質とは対照的に、得られる組成物の薬力プロファイルを変え、それによって、一般に適用後、約1日間〜少なくとも約5日間にわたって疼痛緩和をもたらすのに有効な組成物を提供するのに有効である。組成物のさらなる特色は、本明細書の他所に記載される。
組成物に含まれるNSAID、すなわちエノール酸NSAIDは、ほとんどのNSAIDが含んでいるようなカルボン酸官能基を含んでいないが、ケト−エノール互変異性を受け得るビニル性カルボン酸が存在することに起因して、弱酸性の性質である。本発明の組成物に含まれるのに適した代表的なエノール酸NSAIDとして、メロキシカム、ピロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、およびイソキシカムが挙げられる。特定の実施形態では、エノール酸NSAIDは、メロキシカムである。特に特定の一つの組成物は、ブピバカインおよびメロキシカムを含む。さらに別の特定の組成物は、ロピバカインおよびメロキシカムを含む。
理論に拘泥するものではないが、エノール酸NSAIDの組込みは、典型的な術式の結果として生じる炎症を低減するのに有効であり、それによってアミド型麻酔薬は、有効な局所麻酔をもたらすことができると考えられる。より具体的には、例えば術後患者において炎症をしばしば伴う組織のpHのわずかな低下は、アミノ−アミド型麻酔薬が、約5時間程度経過した後に有効な疼痛緩和をもたらすことができなくなる原因になり得ると考えられる。局所麻酔薬は、炎症応答の遅延時間に起因して、術後に著しく短時間で疼痛緩和をもたらすことができる。しかし炎症が、アミド型局所麻酔薬がその望ましい薬理学的効果を発揮するのを妨げる(すなわちこれは、麻酔薬が標的神経に送達される能力を妨害することによる)のに十分な度合いに標的組織のpHを低下させるのに有効な度合いまで生じると、組成物は、有効な疼痛緩和をもたらす能力の有効性が著しく低下すると考えられる。したがって、NSAIDを含まない組成物で観測された短時間効果は、厳密には組成物が局所麻酔薬を放出できないことに起因するものではなく、むしろ、放出された局所麻酔薬がその所期の薬理学的効果を発揮できないことに起因すると考えられる。興味深いことに、すべてのNSAIDが、局所投与されるアミド型麻酔薬の効果を増強するのに有効であるわけではないと思われる。実施例7に記載される通り、送達ビヒクルとしてのポリオルトエステル、ならびにブピバカインおよび7.5wt%のジクロフェナク(プロトンを供与するカルボン酸基を有する)を含む例示的な組成物は、適用後、約1日またはそれ以降は、その短時間有効性を取り戻すことができず、適用後、約5時間までのその初期の短時間有効性と比較すると、適用後1〜5日間の時間枠にわたって、かなり少ない疼痛緩和しかもたらさなかった。このことは、ブピバカイン−メロキシカム組成物とは明らかに対照的である。
アミド型局所麻酔薬は、実務者が疼痛を管理するか、または疼痛緩和をもたらすのに適した用量を決定することを可能にし得る、明確なPK/PDプロファイルを有していないことが、一般に認められている。前述の通り、麻酔薬の投与後のある期間にわたる血中のアミド型局所麻酔薬レベルと、疼痛の低減との間のいかなる相関も得られていないことは、炎症、または創傷もしくは切開領域のpHの低下に起因し得ると考えられる。実施例16に示される通り、メロキシカムおよびアミド型局所麻酔薬の両方を含む組成物を対象に併用投与すると、メロキシカムを含まない場合の相関よりもかなり近いPK/PDプロファイルがもたらされ、この場合、治療有効性(疼痛の低減)は、対象の血中の局所麻酔薬の濃度に相関する。換言すれば、アミド型局所麻酔薬、例えばブピバカインまたはロピバカインおよびNSAID、例えばメロキシカムを含む、本明細書に記載される組成物を投与すると、アミド型局所麻酔薬(例えば、ブピバカイン)の濃度が疼痛の低減に比例する、血漿プロファイルがもたらされる。実施例16に提示されているデータは、NSAID(例えば、メロキシカム)の存在によって、ブピバカインまたはロピバカインなどの麻酔薬と併用投与されると相乗的治療活性が実際にもたらされるだけでなく、メロキシカムの併用投与によって、疼痛スコアの変化に追随する投与後の経時的血漿プロファイルがもたらされることを示唆している。したがって、一部の実施形態では、対象の疼痛を管理するか、または疼痛緩和をもたらす方法が提供され、ここで本明細書に記載される通り、アミド型局所麻酔薬をメロキシカムなどのNSAIDと共に含む組成物を投与すると、疼痛スコアに正比例する麻酔薬の血漿レベルがもたらされる。疼痛スコアは、例えば、実施例8に記載されるvon Frey試験によって、または対象の疼痛を評定するためにPain Numeric Rating Scale(PNRS)もしくはPain Visual Analog Scale(VAS)を使用して対象に質問することによって測定することができる。一部の実施形態では、この方法は、本明細書に記載される通り、アミド型局所麻酔薬およびメロキシカムを含む組成物を投与することを含み、ここで疼痛スコアの低下は、投与時に始まり、投与後、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間継続する期間にわたって、投与後、約1時間、3時間、6時間、12時間または24時間目に始まり、投与後、約2日目、約3日目、約4日目、約5日目に終了する期間にわたって、麻酔薬の血漿濃度の増大に対して正比例し続ける。
エノール酸NSAIDは、本明細書に提供される通り、組成物に溶解または分散している。組成物中のメロキシカムなどのエノール酸NSAIDの濃度は、約0.01wt%〜10wt%、0.01wt%〜5wt%、0.01wt%〜3wt%、0.01wt%〜1wt%、0.01wt%〜0.75wt%、0.01wt%〜0.5wt%、0.01wt%〜0.25wt%、0.01wt%〜0.125wt%、0.02wt%〜0.1wt%、0.03wt%〜0.1wt%、0.04wt%〜0.1wt%、0.05wt%〜0.09wt%、0.06wt%〜0.08wt%、0.07wt%〜0.08wt%、0.07wt%〜0.08wt%、0.1wt%〜10wt%、0.1wt%〜5wt%、0.1wt%〜3wt%、0.1wt%〜1wt%で変わることができ、0.01wt%、0.011wt%、0.012wt%、0.013wt%、0.014wt%、0.015wt%、0.016wt%、0.017wt%、0.018wt%、0.019wt%、0.02wt%、0.021wt%、0.022wt%、0.023wt%、0.024wt%、0.025wt%、0.026wt%、0.027wt%、0.028wt%、0.029wt%、0.030wt%、0.031wt%、0.032wt%、0.033wt%、0.034wt%、0.035wt%、0.036wt%、0.037wt%、0.038wt%、0.039wt%、0.040wt%、0.041wt%、0.042wt%、0.043wt%、0.044wt%、0.045wt%、0.046wt%、0.047wt%、0.048wt%、0.049wt%、0.05wt%、0.051wt%、0.052wt%、0.053wt%、0.054wt%、0.055wt%、0.056wt%、0.057wt%、0.058wt%、0.059wt%、0.06wt%、0.061wt%、0.062wt%、0.063wt%、0.064wt%、0.065wt%、0.066wt%、0.067wt%、0.068wt%、0.069wt%、0.07wt%、0.071wt%、0.072wt%、0.073wt%、0.074wt%、0.075wt%、0.076wt%、0.077wt%、0.078wt%、0.079wt%、0.08wt%、0.081wt%、0.082wt%、0.083wt%、0.084wt%、0.085wt%、0.086wt%、0.087wt%、0.088wt%、0.089wt%、0.09wt%、0.091wt%、0.092wt%、0.093wt%、0.094wt%、0.095wt%、0.096wt%、0.097wt%、0.098wt%、0.099wt%、0.1wt%、0.11wt%、0.12wt%、0.13wt%、0.14wt%、0.15wt%、0.16wt%、0.17wt%、0.18wt%、0.19wt%、0.2wt%、0.21wt%、0.22wt%、0.23wt%、0.24wt%、0.25wt%、0.26wt%、0.27wt%、0.28wt%、0.29wt%、0.30wt%、0.31wt%、0.32wt%、0.33wt%、0.34wt%、0.35wt%、0.36wt%、0.37wt%、0.38wt%、0.39wt%、0.40wt%、0.41wt%、0.42wt%、0.43wt%、0.44wt%、0.45wt%、0.46wt%、0.47wt%、0.48wt%、0.49wt%、0.5wt%、0.5.1wt%、0.52wt%、0.53wt%、0.54wt%、0.55wt%、0.56wt%、0.57wt%、0.58wt%、0.59wt%、0.6wt%、0.61wt%、0.62wt%、0.63wt%、0.64wt%、0.65wt%、0.66wt%、0.67wt%、0.68wt%、0.69wt%、0.7wt%、0.71wt%、0.72wt%、0.73wt%、0.74wt%、0.75wt%、0.76wt%、0.77wt%、0.78wt%、0.79wt%、0.8wt%、0.81wt%、0.82wt%、0.83wt%、0.84wt%、0.85wt%、0.86wt%、0.87wt%、0.88wt%、0.89wt%、0.9wt%、0.91wt%、0.92wt%、0.93wt%、0.94wt%、0.95wt%、0.96wt%、0.97wt%、0.98wt%、0.99wt%、1.0wt%、1.01wt%、1.02wt%、1.03wt%、1.04wt%、1.05wt%、1.06wt%、1.07wt%、1.08wt%、1.09wt%、1.1wt%、1.11wt%、1.12wt%、1.13wt%、1.14wt%、1.15wt%、1.16wt%、1.17wt%、1.18wt%、1.19wt%、1.2wt%、1.21wt%、1.22wt%、1.23wt%、1.24wt%、1.25wt%、1.26wt%、1.27wt%、1.28wt%、1.29wt%、1.30wt%、1.31wt%、1.32wt%、1.33wt%、1.34wt%、1.35wt%、1.36wt%、1.37wt%、1.38wt%、1.39wt%、1.40wt%、1.41wt%、1.42wt%、1.43wt%、1.44wt%、1.45wt%、1.46wt%、1.47wt%、1.48wt%、1.49wt%、1.5wt%、1.5.1wt%、1.52wt%、1.53wt%、1.54wt%、1.55wt%、1.56wt%、1.57wt%、1.58wt%、1.59wt%、1.6wt%、1.61wt%、1.62wt%、1.63wt%、1.64wt%、1.65wt%、1.66wt%、1.67wt%、1.68wt%、1.69wt%、1.7wt%、1.71wt%、1.72wt%、1.73wt%、1.74wt%、1.75wt%、1.76wt%、1.77wt%、1.78wt%、1.79wt%、1.8wt%、1.81wt%、1.82wt%、1.83wt%、1.84wt%、1.85wt%、1.86wt%、1.87wt%、1.88wt%、1.89wt%、1.9wt%、1.91wt%、1.92wt%、1.93wt%、1.94wt%、1.95wt%、1.96wt%、1.97wt%、1.98wt%、1.99wt%、2.00wt%、2.01wt%、2.02wt%、2.03wt%、2.04wt%、2.05wt%、2.06wt%、2.07wt%、2.08wt%、2.09wt%、2.1wt%、2.11wt%、2.12wt%、2.13wt%、2.14wt%、2.15wt%、2.16wt%、2.17wt%、2.18wt%、2.19wt%、2.20wt%、2.21wt%、2.22wt%、2.23wt%、2.24wt%、2.25wt%、2.26wt%、2.27wt%、2.28wt%、2.29wt%、2.30wt%、2.31wt%、2.32wt%、2.33wt%、2.34wt%、2.35wt%、2.36wt%、2.37wt%、2.38wt%、2.39wt%、2.40wt%、2.41wt%、2.42wt%、2.43wt%、2.44wt%、2.45wt%、2.46wt%、2.47wt%、2.48wt%、2.49wt%、2.5wt%、2.5.1wt%、2.52wt%、2.53wt%、2.54wt%、2.55wt%、2.56wt%、2.57wt%、2.58wt%、2.59wt%、2.6wt%、2.61wt%、2.62wt%、2.63wt%、2.64wt%、2.65wt%、2.66wt%、2.67wt%、2.68wt%、2.69wt%、2.7wt%、2.71wt%、2.72wt%、2.73wt%、2.74wt%、2.75wt%、2.76wt%、2.77wt%、2.78wt%、2.79wt%、2.8wt%、2.81wt%、2.82wt%、2.83wt%、2.84wt%、2.85wt%、2.86wt%、2.87wt%、2.88wt%、2.89wt%、2.9wt%、2.91wt%、2.92wt%、2.93wt%、2.94wt%、2.95wt%、2.96wt%、2.97wt%、2.98wt%、2.99wt%、3.0wt%、3.01wt%、3.02wt%、3.03wt%、3.04wt%、3.05wt%、3.06wt%、3.07wt%、3.08wt%、3.09wt%、3.1wt%、3.11wt%、3.12wt%、3.13wt%、3.14wt%、3.15wt%、3.16wt%、3.17wt%、3.18wt%、3.19wt%、3.20wt%、3.21wt%、3.22wt%、3.23wt%、3.24wt%、3.25wt%、3.26wt%、3.27wt%、3.28wt%、3.29wt%、3.30wt%、3.31wt%、3.32wt%、3.33wt%、3.34wt%、3.35wt%、3.36wt%、3.37wt%、3.38wt%、3.39wt%、3.40wt%、3.41wt%、3.42wt%、3.43wt%、3.44wt%、3.45wt%、3.46wt%、3.47wt%、3.48wt%、3.49wt%、3.5wt%、3.5.1wt%、3.52wt%、3.53wt%、3.54wt%、3.55wt%、3.56wt%、3.57wt%、3.58wt%、3.59wt%、3.6wt%、3.61wt%、3.62wt%、3.63wt%、3.64wt%、3.65wt%、3.66wt%、3.67wt%、3.68wt%、3.69wt%、3.7wt%、3.71wt%、3.72wt%、3.73wt%、3.74wt%、3.75wt%、3.76wt%、3.77wt%、3.78wt%、3.79wt%、3.8wt%、3.81wt%、3.82wt%、3.83wt%、3.84wt%、3.85wt%、3.86wt%、3.87wt%、3.88wt%、3.89wt%、3.9wt%、3.91wt%、3.92wt%、3.93wt%、3.94wt%、3.95wt%、3.96wt%、3.97wt%、3.98wt%、3.99wt%、4.0wt%、4.25wt%、4.5wt%、4.75wt%、5.0wt%、5.25wt%、5.5wt%、5.75wt%、6.0wt%、6.25wt%、6.5wt%、6.75wt%、7.0wt%、7.25wt%、7.5wt%、7.75wt%、8.0wt%、8.25wt%、8.5wt%、8.75wt%、9.0wt%、9.25wt%、9.5wt%、9.75wt%、または10.0wt%であってよい。
一実施形態では、組成物は、組成物の約0.01wt%を超え、組成物の約0.025wt%を超え、約0.05wt%、約0.1wt%を超え、もしくは約0.25wt%を超える、または約0.01〜10wt%の間、または約0.01〜7.5wt%の間、または約0.01〜5.0wt%の間、または約0.01〜3.5wt%の間の量のエノール酸NSAIDを含む。
アミド型局所麻酔薬およびNSAIDの組合せ
一実施形態では、組成物は、アミド型局所麻酔薬およびNSAIDを含み、ここでアミド型麻酔薬:NSAIDの比は、約10:1〜60:1、10:1〜50:1、20:1〜60:1、20:1〜50:1、20:1〜40:1、20:1〜35:1、25:1〜35:1、25:1〜40:1、25:1〜45:1、25:1〜50:1、25:1〜55:1、25:1〜60:1、30:1〜60:1、30:1〜55:1、30:1〜50:1、30:1〜45:1、30:1〜40:1、30:1〜35:1の範囲であり、約10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、21:1、22:1、23:1、24:1、25:1、26:1、27:1、28:1、29:1、30:1、31:1、32:1、33:1、34:1、35:1、36:1、37:1、38:1、39:1、40:1、41:1、42:1、43:1、44:1、45:1、46:1、47:1、48:1、49:1、50:1、51:1、52:1、53:1、54:1、55:1、56:1、57:1、58:1、59:1、または60:1であってよい。特定の実施形態では、アミド型局所麻酔薬は、ブピバカインであり、NSAIDは、メロキシカムである。代替の特定の実施形態では、アミド型局所麻酔薬は、ロピバカインであり、NSAIDは、メロキシカムである。
例示的な送達ビヒクル
組成物は、送達ビヒクルをさらに含む。一実施形態では、送達ビヒクルは、徐放ビヒクルであり、例示的なビヒクルとして、ポリマー製剤、リポソーム、マイクロスフェア、埋込式デバイスまたは非ポリマー製剤が挙げられる。ここで、これらのビヒクルの例を記載する。
リポソーム
リポソームは、球状二重層で配置された脂質から構成された小胞である。リポソームは、通常、小さい単層小胞(SUV)、大きい単層小胞(LUV)、多重層小胞(MLV)または多小胞リポソーム(MVL)と分類される。定義によると、SUVおよびLUVは、1つの二重層だけを有しているが、MLVは、多数の同心二重層を含有する(例えば、Stryer、Biochemistry、第2版、W.H. Freeman & Co.、213頁(1981年)を参照されたい)。MVLは、最初、Kimら(Biochim、Biophys. Acta、728巻:339〜348頁、1983年)によって報告され、粒子1つ当たり複数の非同心水性チャンバを含有している(それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第6,132,766号および第8,182,835号を参照されたい)。
本発明の組成物において使用するのに適したリポソームには、小胞を形成する脂質から主に構成されたリポソームが含まれる。小胞を形成する脂質は、リン脂質によって例示される通り、水中で二重層小胞を自発的に形成することができる。リポソームはまた、脂質二重層、例えばコレステロールに組み込まれた他の脂質と、内部と接触している疎水性部分、二重層膜の疎水性領域、および二重層膜の外部極性表面に向かって配向した頭部部分を含むことができる。
小胞を形成する脂質は、2つの炭化水素鎖、典型的にアシル鎖、および極性または非極性いずれかの頭部を有することができる。ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジン酸、ホスファチジルイノシトール、およびスフィンゴミエリンなどのリン脂質を含めた、小胞を形成する様々な合成脂質および小胞を形成する自然に生じる脂質が存在し、その2つの炭化水素鎖は、典型的に、炭素原子約14〜22個の間の長さであり、様々な不飽和度を有する。そのアシル鎖が様々な飽和度を有する前述の脂質およびリン脂質は、商業的に得ることができ、または公開されている方法に従って調製することができる。他の適切な脂質には、糖脂質およびコレステロールなどのステロールが含まれる。
一実施形態では、小胞を形成する脂質は、特定される度合いの流動性または強剛性を達成し、血清中のリポソームの安定性を制御し、リポソームに封入された薬剤の放出速度を制御するように選択される。リポソームは、様々な技術によって調製することができる(例えば、Szoka, F., Jr.ら、Ann. Rev. Biophys. Bioeng. 9巻:467頁(1980年)、米国特許第5,631,018号を参照されたい)。ミセルおよびエマルションなどの、リポソーム以外の脂質ベースの送達ビヒクルが企図されることも理解されよう。
一実施形態では、アミド型局所麻酔薬およびエノール酸NSAIDは、リポソームの水性空間またはリポソームの脂質層に封入される。
マイクロスフェア/微粒子/マイクロカプセル
別の実施形態では、送達ビヒクルは、マイクロスフェア、微粒子またはマイクロカプセルである。活性薬剤が組み込まれる相互接続した細孔を有する球形ポリマーマトリックスの形態のマイクロスフェアは、例えば米国特許第4,818,542号に記載されている。活性薬剤が組み込まれるか、または会合する1つまたは複数のポリマーから構成された微粒子は、in vivo使用に適したポリ(ビニルピロリドン)およびポリ(アクリルアミド)などの生分解性または非生分解性ポリマーから作製され得る。マイクロスフェアまたは微粒子は、その場でデポーを形成する製剤の一部として、またはインプラントの一部として投与され得る。活性薬剤は、望ましい治療有効性を提供するために、マイクロスフェアまたは微粒子から、制御された方式で放出される。一実施形態では、徐放送達ビヒクルは、生体内分解性または生分解性ポリマーから構成されたマイクロスフェアである。別の実施形態では、アミド型局所麻酔薬およびエノール酸NSAIDは、マイクロスフェアに封入される。
埋込式デバイス
活性薬剤を含有し、制御可能に放出するリザーバーを有する埋込式デバイスは、医療分野で公知である。一実施形態では、活性薬剤を埋め込み、徐放するための、浸透圧式、機械式、または電気機械式デバイスが提供される。埋込式デバイスの例は、米国特許第7,655,254号、同第8,603,051号および同第8,603,076号、ならびに米国特許出願公開第2003/0032947号に記載されている。
非ポリマー製剤
送達ビヒクルは、薬学的に許容される非ポリマー担体の形態をとることもできる。例えば、非ポリマー製剤は、薬学的に許容される非ポリマー担体としてのスクロース酢酸イソブチル、およびベンジルアルコールなどの必要に応じての溶媒を含むことができる。非ポリマー製剤は、液体であってよい。この液体非ポリマー製剤は、投与後、約24〜36時間、36〜48時間、48〜60時間、60〜72時間、3〜4日間または3〜5日間の期間にわたって、対象に持続的な局所麻酔をもたらす。一実施形態では、送達ビヒクルは、約50〜80wt%の間のスクロース酢酸イソブチルおよび約5〜25wt%の間のベンジルアルコール、あるいは55〜75wt%の間のスクロース酢酸イソブチルおよび約15〜25wt%の間のベンジルアルコールから構成され、100wt%までの残部は活性薬剤である。この種類の例示的な非ポリマー製剤は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる欧州特許第1809329号に記載されている。
一部の実施形態では、液体非ポリマー担体は、粘度計を使用して測定して、37℃で約50,000mPa・s未満の粘度を有する液体担体材料である。あるいは、担体は、粘度計を使用して37℃で測定される場合、約10,000mPa・s未満の粘度を有する。別の実施形態では、液体非ポリマー担体は、37℃で約5,000mPa・s未満の粘度を有する液体担体材料である。さらに別の実施形態では、液体非ポリマー担体は、37℃で約2,500mPa・s未満の粘度を有する液体担体材料である。
別の実施形態では、非ポリマー製剤は、水溶液である。
ポリマー製剤
徐放送達ビヒクルとしての例示的なポリマー製剤には、生体内分解性または生分解性ポリマーから構成された製剤が含まれる。ビヒクルは、生体内分解性または生分解性ポリマーから構成される場合、固体または半固体ビヒクルであってよい。生体内分解性および/または生分解性ポリマーは、当技術分野で公知であり、それらのポリマーには、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)コポリマー、ポリカプロラクトン、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、およびポリオルトエステルが含まれるが、それらに限定されない。半固体ポリマーは、ガラス状態または粘性液体状態のいずれかで存在する。半固体ポリマーは、典型的に、室温未満のガラス転移温度(Tg)を示す。半固体ポリマーは、Tg未満では、ガラス状態で存在するとみなすことができ、Tgを上回る温度では、ポリオルトエステルは、液体状態で存在するとみなすことができる。半固体ポリオルトエステルポリマーは、熱可塑性ポリマーではない。
一実施形態では、生体内分解性または生分解性ポリマーは、エノール酸型NSAID、およびアミド型またはアニリド型麻酔薬の望ましい放出速度を達成するために、ある特定の分解または侵食速度をもたらすように選択される。送達ビヒクルおよび活性薬剤は、製剤化して、半固体または固体組成物を提供することができる。例えば、一実施形態では、ポリオルトエステルから構成された半固体送達ビヒクルが提供され、そのいくつかの例は、本明細書に記載される。別の実施形態では、送達ポリマービヒクルは、その場でインプラントまたはデポーを形成する。
別の実施形態では、生分解性または生体内分解性ポリマーから構成された固体送達ビヒクルが提供され、ここで固体ビヒクルは、ロッドまたはディスクの形態である。ロッドおよびディスクは、患者への埋込みに適しており、活性薬剤が組み込まれる生分解性または生体内分解性ポリマーは、活性薬剤の放出を調整するように製剤化することができる。例えば、ロッドまたはディスクは、異なる生分解速度を有する異なるポリマーから製剤化することができ、または異なる分子量のポリマーを使用することができ、添加物質または添加剤を活性薬剤−ポリマーマトリックスに添加して、薬剤放出速度を調整することができる。ロッドまたはディスクは、前述の生分解性ポリマー、ならびにポリグラクチンおよびグリコリドとトリメチレンカーボネート(TMC)のコポリマー(ポリグリコネート)を含めた、縫合糸に一般に使用され、かつ/または縫合糸に使用することができる材料を含むこともできる。
一実施形態では、送達ビヒクルは、ポリオルトエステルから構成される。
本明細書で提供される組成物に有用なポリオルトエステルは、一般に、ジケテンアセタールおよびジオールの反応から生じる交互残基から構成され、ここで、ジケテンアセタールから誘導された残基のそれぞれの隣接対は、反応したジオールの残基によって分離されている。ポリオルトエステルは、α−ヒドロキシ酸含有部分単位、すなわち、α−ヒドロキシ酸またはその環式ジエステルから誘導された部分単位、例えばグリコリド、ラクチド、またはそれらの組合せ、すなわちあらゆる比の、例えば75:25、65:35、50:50などのラクチド対グリコリドを含むポリ(ラクチド−co−グリコリド)を含む部分単位を含むことができる。このような部分単位はまた、潜在性酸部分単位と呼ばれ、これらの潜在性酸部分単位はまた、本明細書で使用される場合、それらの末端ヒドロキシル基に起因して、より一般的な「ジオール」分類に該当する。ポリオルトエステルは、例えば、米国特許第4,549,010号および同第5,968,543号に記載されている通り調製することができる。本明細書で提供される組成物において使用するのに適した例示的なポリオルトエステルは、米国特許第8,252,304号に記載されている。
α−ヒドロキシ酸含有部分単位R1のモルパーセンテージは、一般に、全ジオール構成成分の0〜20mol%の範囲である(R1およびR3は、以下に提供される)。1つまたは複数の実施形態では、ポリオルトエステル製剤におけるα−ヒドロキシ酸含有部分単位のモルパーセンテージは、少なくとも約0.01モルパーセントである。ポリマーにおけるα−ヒドロキシ酸含有部分単位の例示的なパーセンテージは、約0〜約50モルパーセント、または約0〜約25モルパーセント、または約0.05〜約30モルパーセント、または約0.1〜約25モルパーセントである。例えば、一実施形態では、ポリマーにおけるα−ヒドロキシ酸含有部分単位のパーセンテージは、約0〜約50モルパーセントである。別の実施形態では、ポリマーにおけるα−ヒドロキシ酸含有部分単位のパーセンテージは、約0〜約30モルパーセントである。さらに別の特定の実施形態では、ポリマーにおけるα−ヒドロキシ酸含有部分単位のパーセンテージは、約0.05〜約25モルパーセントである。さらに別の実施形態では、ポリマーにおけるα−ヒドロキシ酸含有部分単位のパーセンテージは、約0.1〜約25モルパーセント、約0.1〜約50モルパーセント、約10〜約40モルパーセント、約5〜約25モルパーセント、約10〜約25モルパーセント、または約15〜約25モルパーセントである。例として、α−ヒドロキシ酸含有部分単位のパーセンテージは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、24、26、27、28、29または30モルパーセントであってよく、それらの間にある、より低い任意の1つのモルパーセンテージ数値と、より高い任意のモルパーセンテージ数値の組合せによって形成された任意のあらゆる範囲を含む。一実施形態では、α−ヒドロキシ酸含有部分単位のパーセンテージは、40モルパーセント未満または30モルパーセント未満である。
より具体的には、本明細書で提供される組成物および送達系において使用するためのポリ(オルトエステル)は、次式によって記載される。
式中、R
*は、C
1〜4アルキル(例えば、C1、C2、C3またはC4アルキル)であり、nは、5〜400の範囲の整数であり、各部分単位におけるAは、R
1またはR
3である。すなわち、式Iのポリマーの任意のモノマー単位
において、Aは、R
1またはR
3のいずれかであり得る。
特定の実施形態では、R
*は、エチル(すなわち、C2アルキル)である。式I(R
*は、エチルである)による部分単位は、本明細書で提供されるジオールと、構造
を有するジケテンアセタールである3,9−ジ(エチリデン)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(DETOSU)の反応から得られる部分単位に相当する。
式Iを参照すると、既に記載される通り、Aは、R
1に相当し得る。R
1は、
であり、pおよびqは、それぞれ独立に、約1〜20の間の範囲の整数であり(例えば、それぞれ独立に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、および20から選択される)、各R
5は、独立に、水素またはC
1〜4アルキルであり(例えば、H、またはC1、C2、C3もしくはC4アルキルである)、R
6は、
であり、sは、0〜10の整数であり(例えば、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10から選択される)、tは、2〜30の整数であり、R
7は、水素またはC
1〜4アルキルである(例えば、H、またはC1、C2、C3もしくはC4アルキルである)。1つまたは複数の特定の実施形態では、R
7は、Hである。R
1部分単位は、α−ヒドロキシ酸含有部分単位、すなわち、α−ヒドロキシ酸またはその環式ジエステルから誘導された部分単位である。
式Iを参照すると、Aはまた、R
3に相当し得る。R
3は、
であり、xは、1〜100の範囲の整数であり、ある特定の具体的な場合には、1、2、3、4、および5から選択され、yは、2〜30の範囲の整数であり、R
8は、水素またはC
1〜4アルキル(C1、C2、C3またはC4アルキル)である。
特定の実施形態では、R8は、Hである。
一部の実施形態では、ポリ(オルトエステル)は、Aが、R
1またはR
3であり、R
1が、
であり、pおよびqが、それぞれ独立に、約1〜20の間の範囲の整数であり、R
1がポリ(オルトエステル)ポリマーに存在する場合、pの平均数またはpおよびqの合計(p+q)の平均数が、約1〜7の間であり(例えば、1、2、3、4、5、6、7)、xおよびsが、それぞれ独立に、0〜10の範囲の整数であり、tおよびyが、それぞれ独立に、2〜30の範囲の整数である、ポリ(オルトエステル)である。1つまたは複数の特定の実施形態では、R
5は、Hである。
さらなる特定のポリ(オルトエステル)は、Aが、R
1またはR
3であり、R
1が、
であり、pおよびqが、それぞれ独立に、約1〜20の間、または約1〜15の間、または約1〜10の間で変わる整数であり、R
1がポリ(オルトエステル)ポリマーに存在する場合、pの平均数またはpおよびqの合計(すなわち、p+q)の平均数が約1〜7の間である、ポリ(オルトエステル)である。さらに、xおよびsの特定の範囲(前述の特定の実施形態を参照、または本明細書で提供される任意のポリオルトエステルを参照)は、それぞれが、独立に、0〜7または1〜5の範囲の整数である範囲である。同様に、tおよびyに関する特定の範囲は、それぞれ独立に、2〜10で変わる範囲である。
特定のポリオルトエステルは、R5が水素またはメチルである、ポリオルトエステルである。
ある特定の具体的な実施形態では、sおよびxは、それぞれ独立に、1、2、3、4、5、6、7および8から選択される。いくつかの特定の実施形態では、sは、2である。一部の他の特定の実施形態では、xは、2である。
例示的なポリオルトエステルは、3,9−ジエチル−3,9−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン−3,9−ジイルと、A
(式中、Aは、前述の通りである)の交互残基を含む。
本明細書に記載されるものなどのポリオルトエステルは、例示的なジケテンアセタールである、3,9−ジ(エチリデン)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(DETOSU)
を、前述の1つまたは複数のジオール、例えばHO−R
1−OHまたはHO−R
3−OHと反応させることによって調製することができる。例示的なジオールとして、オリゴエチレングリコール、例えばトリエチレングリコール(TEG)、α−ヒドロキシ酸で一方または両方の末端が修飾されたオリゴエチレングリコール、例えばオリゴエチレングリコールジグリコリドまたはオリゴエチレングリコールジラクチド、2〜30個の炭素原子のヒドロカルビルコアを有する有機ジオール、例えば1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、cis/trans1,4−シクロヘキサンジメタノール、パラ−メンタン−3,8−ジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、およびその環式等価物(ヒドロキシル基は、シクロアルキル環またはアルキレン環内の任意の2つの位置にあってよい)が挙げられる。有機ジオールは、2〜20個の炭素原子を有することができる。有機ジオールは、直鎖、分岐または環式であってよく、飽和または不飽和であってもよい。一般に、不飽和ジオールは、1〜3個の不飽和要素を有する。特定のポリ(オルトエステル)は、合計約10〜50モルパーセントの、ヒドロカルビルコアを有する1つまたは複数の有機ジオールから誘導された部分単位を含有する。
HO−R1−OHなどのジオールは、米国特許第5,968,543号およびHellerら、J. Polymer Sci、Polymer Letters編、18巻:293〜297頁(1980年)に記載されている通り調製される。例えば、ポリエステル部分を含む式HO−R1−OHのジオールは、式HO−R3−OHのジオールを、0.5〜10モル当量の間のラクチドまたはグリコリドなどのα−ヒドロキシ酸の環式ジエステルと反応させ、その反応を100〜200℃で約12時間〜約48時間進行させることによって調製することができる。反応に適した溶媒には、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ピロリドン、テトラヒドロフラン、およびメチルブチルエーテルなどの有機溶媒が含まれる。ジオール生成物は、本明細書では一般に、別個の簡略化された実体、例えば、TEGジグリコリド(およびジオール反応生成物、例えばTEGジグリコリド)と呼ばれるが、ジオールは実際には、反応物の反応性質、例えばグリコリドの開環に起因して、反応から得られる複合混合物であり、したがってTEGジグリコリドという用語(または類似の生成物を指す任意の他の用語)は、一般に、生成物の平均的または全体的な性質を指すことを、当業者は理解されよう。
特定のポリオルトエステルは、3,9−ジ(エチリデン)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(DETOSU)を、1つまたは複数の反応性ジオールと反応させることによって調製される。一般に、ポリオルトエステルは、無水条件下で、DETOSUを2つまたはそれよりも多い反応性ジオールと反応させることによって調製される。特定のポリオルトエステルは、米国特許第8,252,305号に記載される通り、DETOSUを、トリエチレングリコールおよびトリエチレングリコールジグリコリドと反応させることによって調製される。DETOSU−トリエチレングリコール−トリエチレングリコールジグリコリドから調製された特定のポリオルトエステルは、構成成分のモル比が90:80:20であるが、構成成分の相対比は、前述の通り適切に変わり得る。
DETOSUとTEGおよびTEGジグリコリドの反応によって形成されたポリオルトエステルは、一般に、以下の部分単位を有するものとして説明することができ、ここでR
1は、トリエチレングリコールジグリコリド(グリコリドとTEGの反応によって形成された)から誘導されたジオレート部分に相当し、R
3は、トリエチレングリコールから誘導されたジオレート部分に相当し、Aは、R
1であり、R
1は、
であり、R
5は、Hであり、R
6は、
であり、得られるポリオルトエステルの構成成分は、
であり、pおよびqの合計は、平均で2であり、sは2であり、AがR
3である場合には、R
3は、
であり、xは、2であり、得られるポリオルトエステルの部分単位または構成成分は、
である。本明細書に記載される様々なα−ヒドロキシ酸含有部分単位およびさらなるジオールから調製されたポリオルトエステルに対応する構造は、容易に想定され得る。
例示的なポリオルトエステルは、約1000Da〜約200,000Da、例えば約2,500Da〜約100,000Daまたは約3,500Da〜約20,000Daまたは約4,000Da〜約10,000Daまたは約5,000Da〜約8,000Daの重量平均分子量を有する。例示的な分子量(Da)は、2500、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9500、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000、100,000、120,000、150,000、175,000および200,000、ならびにそれらの間の範囲であり、例示的な範囲には、前述の通りより低い任意の1つの分子量を、その選択されたより低い分子量に対して、先に提供される通りより高い任意の1つの分子量を組み合わせることによって形成された範囲が含まれる。
送達系のポリオルトエステルに関する特定の一実施形態では、ポリオルトエステルは、約2,500ダルトン〜10,000ダルトンの範囲の分子量を有する。
一実施形態では、この節に記載されるポリ(オルトエステル)は、室温および室温を上回る温度の両方で半固体である。一実施形態では、80〜100モル%のR
3を含有するポリオルトエステル(R
3は、
であり、xは、2である)は、室温および室温を上回る温度の両方で半固体ポリマーである。半固体ポリマーは、ガラス状態または粘性液体状態のいずれかで存在する。半固体ポリマーは、典型的に、室温未満のガラス転移温度(Tg)を示す。半固体ポリマーは、Tg未満では、ガラス状態で存在するとみなすことができ、Tgを上回る温度では、ポリオルトエステルは、液体状態で存在するとみなすことができる。半固体ポリオルトエステルポリマーは、熱可塑性ポリマーではない。
一般に、次式、式I、式II、式IIIまたは式IVのいずれか1つによるポリオルトエステルは、本明細書で提供される組成物および/または送達ビヒクルにおいて使用するのに適している。
式I〜IVを参照すると、
Rは、結合、−(CH
2)
a−、または−(CH
2)
b−O−(CH
2)
c−であり、aは、1〜12の整数であり(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、および12から選択される)、bおよびcは、独立に、1〜5の整数であり(例えば、1、2、3、4、および5から選択される)、
R
*は、C
1〜4アルキルであり、
R
o、R’’およびR’’’は、それぞれ独立に、HまたはC
1〜4アルキルであり、
nは、少なくとも5の整数であり、
Aは、ジオールである。
例えば、本明細書に記載される組成物および送達系は、式I、式II、式IIIまたは式IVのポリオルトエステルから構成することができ、この場合、
Rは、結合、−(CH
2)
a−、または−(CH
2)
b−O−(CH
2)
c−であり、aは、1〜12の整数であり、bおよびcは、独立に、1〜5の整数であり、
R
*は、C
1〜4アルキルであり
R
o、R’’およびR’’’は、それぞれ独立に、HまたはC
1〜4アルキルであり、
nは、少なくとも5の整数であり、
Aは、R
1、R
2、R
3、またはR
4であり、
R
1は、前述の段落に記載される通り、α−ヒドロキシ酸含有部分単位であり、
R
5は、水素またはC
1〜4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル)であり、
R
6は、
からなる群から選択され、
sは、0〜10の範囲の整数であり、
tは、2〜30の範囲の整数であり、
R
7は、水素またはC
1〜4アルキルであり、
R
2は、
であり、
R
3は、
であり、
xは、0〜200の範囲の整数であり、
yは、2〜30の範囲の整数であり、
R
8は、水素またはC
1〜4アルキルであり、
R
9およびR
10は、独立に、C
1〜12アルキレンであり、
R
11は、水素もしくはC
1〜6アルキルであり、R
12は、C
1〜6アルキルであり、またはR
11およびR
12は、一緒になってC
3〜10アルキレンとなり、
R
4は、アミド、イミド、尿素、およびウレタン(カルバメート(carbmate))基から独立に選択される少なくとも1つの官能基を含有するジオールの残基である。
ある特定の場合、ポリオルトエステルは、Aが、R
1、R
3、またはR
4である、式I〜IVのいずれか1つによるポリオルトエステルであり、この場合、
R
3は、
から選択され、
xは、0〜100の整数であり、
yは、2〜30の整数であり、
R
8は、水素またはC
1〜4アルキルであり、
R
9およびR
10は、独立に、C
1〜12アルキレンであり、
R
11は、水素もしくはC
1〜6アルキルであり、R
12は、C
1〜6アルキルであり、またはR
11およびR
12は、一緒になってC
3〜10アルキレンとなり、
R
4は、アミド、イミド、尿素、およびウレタン基から独立に選択される少なくとも1つの官能基を含有するジオールの残基であり、R
5は、水素またはC
1〜4アルキルである。
ポリオルトエステルの特定の一実施形態では、式R1を有するA単位の分率は、0〜20モルパーセントの間である。
一例示的なポリオルトエステルは、式I、II、IIIまたはIVによって記載され、この場合、
その単位のいずれも、R
2に等しいAを有しておらず、
R
3は、
であり、
xは、1〜100の整数であり、
yは、2〜30の整数であり、
R
6は、
であり、
sは、1〜10の整数であり、
tは、2〜30の整数であり、
R
5、R
7、およびR
8は、独立に、水素またはメチルである。
式I、II、IIIまたはIVのさらなる代表的なポリオルトエステルは、R3およびR6が、共に−(CH2−CH2−O)2−(CH2−CH2)−であり、R5が、メチルであり、pおよびqが、それぞれ独立に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、および20から選択されるポリオルトエステルである。
式I、II、IIIまたはIVのポリオルトエステルの別の実施形態では、R3およびR6は、共に−(CH2−CH2−O)9−(CH2−CH2)−であり、R5は、メチルであり、pまたはpおよびqの合計は、平均で2である。
別の変形形態では、ポリオルトエステルは、式I、II、IIIまたはIVを有しており、Rは、−(CH2)b−O−(CH2)c−であり、bおよびcは、共に2であり、R*は、C2アルキルである。
式I、II、IIIまたはIVのさらなる代表的なポリオルトエステルは、R
5が、水素またはメチルであり、R
6が、
であり、sが、1〜10の整数であり、あるいは一部の実施形態では、sが、1、2、3、または4から選択され、tが、特に2、3、4、5、6、7、8、9および10から選択される2〜30の整数であり、R
7が、水素またはメチルであり、R
3が、
であり、xが、1〜10の整数であり、または一部の実施形態では、1、2、3もしくは4から選択され、yが、特に2、3、4、5、6、7、8、9および10から選択される2〜30の整数であり、R
8が、水素またはメチルであり、R
4が、2〜20個の炭素原子(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、および20個から選択される炭素原子)を有する脂肪族ジオールの残基から選択され、一部の実施形態では、R
4が、1つまたは2つのアミド、イミド、尿素、またはウレタン基によって中断された2〜10個の炭素原子を有する、ポリオルトエステルである。ある場合には、ポリオルトエステルにおけるAがR
1である部分単位の割合は、約0.01〜50モルパーセントである。ある特定の場合、AがR
1であるポリオルトエステルにおける部分単位の割合は、約0〜約30モルパーセントまたは約0.1〜25モルパーセントである。例示的なモルパーセンテージとして、ポリオルトエステルにおけるAがR
1である部分単位の10、15、20および25モルパーセントが挙げられる。一実施形態では、モルパーセントは、20である。さらに、1つまたは複数の実施形態では、AがR
2である部分単位の割合は、約20パーセント未満、約10パーセント未満または約5パーセント未満であり、AがR
4である部分単位の割合は、20パーセント未満、約10パーセント未満、または5パーセント未満である。
ある特定の実施形態では、式I、式II、式IIIおよび式IVに示されるポリオルトエステルは、ジケテンアセタールおよびジオールの交互残基の1つであり、ジケテンアセタール残基のそれぞれの隣接対は、ジオールなどの1つのポリオールの残基によって分離されている。
ポリオルトエステルの製造方法は、当技術分野で周知であり、例えば、米国特許第6,613,355号および同第8,252,304号に記載されている。
必要に応じての溶媒および添加剤
組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容される添加剤をさらに含むことができ、ここに、いくつかの例を記載する。
送達ビヒクルがポリマー製剤であり、特にポリマーがポリオルトエステルである実施形態では、送達ビヒクルは、必要に応じて、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる2014年4月21日出願の共有の米国特許出願第61/982,300号に記載されているものなどの有機酸を含むことができる。有機酸は、特に送達の初期段階中(例えば、投与後1〜3日目)に、ビヒクルまたは組成物からのアミド型局所麻酔薬などの活性薬剤の放出を容易にする。一般に、有機酸は、カルボン酸である。最も適切な酸は、約300ダルトン未満の分子量を有する有機酸である。代表的な有機酸として、例えば、フマル酸またはマレイン酸、エタン酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、安息香酸、サリチル酸およびアセチルサリチル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸などが挙げられる。
送達ビヒクルは、約0.01wt%〜0.6wt%または約0.01wt%〜0.2wt%のジカルボン酸を含むことができる。ビヒクルに含まれる有機酸添加物質の量は、少なくとも部分的に、特定の活性薬剤の識別、ビヒクルに含有されている活性薬剤の量、特定のポリオルトエステル、その量、および望ましい送達プロファイルに応じて決まる。
所与の有機酸について出願人らによって発見された通り、多量の有機酸を含むビヒクルほど、急速な放出速度を示し、その放出は、典型的に、投与後最初の1〜3日間の間に最も顕著であり、均一組成物からの活性薬剤の結晶化を排除する。
別の実施形態では、半固体ポリオルトエステルポリマー製剤の形態の送達ビヒクルは、1つまたは複数の液体添加剤を含有することもできる。添加剤は、薬学的に許容されるポリオルトエステルと適合性がある液体添加剤であり得る。このような添加剤は、室温で液体であり、ポリオルトエステルと容易に混和する。例示的なポリオルトエステルと適合性がある液体添加剤には、プロトン性および非プロトン性溶媒の両方が含まれる。プロトン性液体添加剤には、約200Da〜4,000Daの間の分子量を有するポリエチレングリコール、または約200Da〜4,000Daの間の分子量を有するポリエチレングリコール誘導体もしくはコポリマー、例えば末端キャップPEG、例えばモノメトキシポリエチレングリコール、またはC2〜C19脂肪族カルボン酸もしくはこのような酸の混合物のモノ−、ジ−もしくはトリグリセリド、ならびにアルコキシル化テトラヒドロフルフリルアルコールが含まれる。さらなる適切な液体添加剤には、アルコキシル化テトラヒドロフルフリルアルコールのC1〜C4アルキルエーテル、およびC2〜C19脂肪族カルボン酸エステルなどが含まれる。半固体ビヒクルのための特定の添加剤は、400、450、500、550、600および650Daから選択される分子量を有するモノメトキシ−PEGである。
さらなる液体添加剤には、非プロトン性溶媒が含まれる。使用するのに適した非プロトン性溶媒、ならびに非プロトン性溶媒を含む例示的なポリオルトエステルビヒクルは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2014/0275046号に記載されている。生体適合性がある親水性の非プロトン性有機溶媒の例として、例えばアミド、例えばN−メチル−2−ピロリドン(NMP)、2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル(cycylohexyl)−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミドおよびジメチルホルムアミド;一塩基酸のエステル、例えば乳酸メチル、乳酸エチルおよび酢酸メチル;スルホキシド、例えばジメチルスルホキシドおよびデシルメチルスルホキシド;ラクトン、例えばe−カプロラクトンおよびブチロラクトン;ケトン、例えばアセトンおよびメチルエチルケトン;ならびにエーテル、例えばジメチルイソソルビドおよびテトラヒドロフランが挙げられる。
例示的な半固体組成物は、ポリオルトエステル、NMPまたはDMSOなどの液体添加剤、アミド型局所麻酔薬、例えばブピバカインまたはロピバカインなどの少なくとも1つの活性薬剤、ならびにエノール酸NSAID、例えばメロキシカム、ならびに必要に応じてマレイン酸などの有機酸添加物質を含む。半固体組成物の構成成分の相対濃度は、アミド型局所麻酔薬(複数可)、エノール酸NSAID、ポリオルトエステル、ポリオルトエステルと適合性がある液体添加剤、および存在する場合には有機酸添加物質の量に応じて変わる。ポリオルトエステルと適合性がある液体添加剤の重量パーセントは、約10〜50重量パーセント、または約10〜40重量パーセント、または10〜30重量パーセント、または10〜25重量パーセント、または1〜20重量パーセント、または5〜15重量パーセント、または5〜10重量パーセントの範囲であり得る。ポリオルトエステルと適合性がある液体添加剤の例示的な量は、約5、6、7、8、9、10、12、15、20、25、30、35、40、45または50重量パーセントである。
別の実施形態では、本明細書に記載される組成物、特に、ポリオルトエステル、NMPまたはDMSOなどの液体添加剤、アミド型局所麻酔薬、例えばブピバカインまたはロピバカインなどの少なくとも1つの活性薬剤、ならびにエノール酸NSAID、例えばメロキシカム、ならびに必要に応じて有機酸添加物質を含む半固体組成物は、以下の節2に記載される量の、以下の節2に記載されるものなどの粘度低下トリグリセリド溶媒をさらに含む。
半固体ポリマー製剤の形態の送達ビヒクルは、活性薬剤、ポリマー、例えばポリオルトエステル、必要に応じてのポリマー/ポリオルトエステルと適合性がある液体添加剤、ならびに所望に応じて任意の他のさらなる添加物質または添加剤を混合またはブレンドすることによって調製することができる。混合またはブレンドは、任意の適切な方法によって、一般に約50℃未満の温度、例えば室温で実施され得るが、ある特定の場合、材料の性質に応じて、混合またはブレンドは、より高温で、例えば約25〜100℃で実施され得る。混合またはブレンドは、一般に、室温で均一な、流動性の非粘性ビヒクルを得るために、さらなる溶媒がない状態で実施される。
ポリマーと適合性がある液体添加剤は、典型的に、組成物の総重量に対して約5重量パーセント〜約70重量パーセントの範囲の量で、組成物に添加される。液体添加剤は、組成物中に、約5重量パーセント〜約50重量パーセントの範囲の量で存在し得る。他の実施形態では、液体添加剤は、組成物中に、約5〜10wt%、5〜15wt%、10〜60wt%、15〜60wt%、15〜50wt%、20〜60wt%、25〜50wt%、30〜70wt%、30〜60wt%、30〜50wt%、35〜70wt%、35〜60wt%または35〜50wt%の範囲の量で存在する。
活性薬剤(例えば、薬物)の放出速度は、ポリマーの組成および量を調整することによって、かつ/または必要に応じての添加物質/添加剤の選択および量によって制御することができる。ポリマーの化学構造(すなわち、使用されるモノマーの種類、またはコポリマーもしくはターポリマーのためのモノマーの比、ポリマー鎖上の末端基、ならびにポリマーの分子量)は、ポリマー材料の親水性または親油性を決定し、ポリマーデポーの分解時間に寄与する。より親水性が高いポリマー(例えば、ジオールモノマーが親水性であるポリオルトエステル、例えばトリエチレングリコール、テトラエチレングリコールまたはポリエチレングリコールなど)は、より急速な放出速度およびより短い放出期間が必要とされる適用に使用される。組成物は、放出期間にわたって望ましい治療効果をもたらすのに有効な量の送達ビヒクルおよび活性薬剤を含む。
本願では、ポリオルトエステルおよび他の組成物の構成成分を説明するために単数形態が使用されるが、前述の群から選択される、2つ以上のポリオルトエステルおよび/または2つ以上のアミド型局所麻酔薬もしくはエノール酸NSAIDを、送達系で使用できると理解される。本明細書に記載される方法および組成物の一部の実施形態では、組成物は、1つまたは複数のさらなる添加剤をさらに含む。一実施形態では、特定の添加剤は、組成物からの活性薬剤の放出に影響を及ぼさない添加剤である。
また、必須ではないが、他の薬学的に許容される不活性な薬剤、例えば着色剤および防腐剤も、組成物に組み込まれ得ると理解される。
カインおよびエノール酸NSAIDを含む水性組成物
本明細書に記載される通り、アミド型局所麻酔薬およびエノール酸非ステロイド系抗炎症薬物の組合せを投与すると、対象において驚くほど有効な疼痛緩和レベルおよび期間がもたらされることが発見された。本開示および本明細書で提供される指針に基づいて、当業者には、アミド型局所麻酔薬およびエノール酸非ステロイド系抗炎症薬物の組合せが、単独で投与される等量のアミド型局所麻酔薬または非ステロイド系抗炎症薬物よりもやはり有効となり得ることが理解され得る。したがって、アミド型局所麻酔薬およびエノール酸非ステロイド系抗炎症薬物を含む水溶液も開示される。特定の実施形態では、水性組成物中のエノール酸NSAIDは、メロキシカムである。より具体的な実施形態では、水性組成物は、メロキシカムおよびブピバカインを含む。
水性の組合せに適したアミド型局所麻酔薬は、例えば、注射可能な溶液として商業的に利用可能であり、それには、リドカイン、メピバカイン、ブピバカイン、およびエチドカインが含まれるが、それらに限定されない。メロキシカムの薬学的に許容される溶液は、例えば、米国特許第8,920,820号に開示されている。したがって、例えば、メロキシカムの薬学的に許容される溶液は、対象への投与前に、アミド型局所麻酔薬の溶液と混合され得る。例えば、混合は、投与前1時間未満、または投与前2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間、16時間、18時間、20時間、22時間もしくは24時間以内に行われ得る。アミド型局所麻酔薬とエノール酸NSAIDの混合物は、同量のアミド型局所麻酔薬またはエノール酸NSAIDいずれか単独よりも有効な疼痛緩和をもたらす。疼痛緩和をもたらすこのような組合せ製剤のより高い有効性は、例えばvon Freyアッセイ(例えば、以下の実施例8に記載されるもの)を使用して測定することができ、対象の疼痛耐性は、活性薬剤のいずれか単独を投与される場合よりも、メロキシカムおよびアミド型局所麻酔薬の組合せを投与される場合の方が高い。
したがって、一実施形態では、治療有効量のメロキシカムおよび治療有効量のアミド型局所麻酔薬を含む水性医薬組成物が企図される。一実施形態では、対象に組成物を投与すると、投与後、約4日間〜約6日間の期間にわたって、対象に疼痛緩和がもたらされる。
別の実施形態では、治療有効量のメロキシカムを含む水溶液が提供され、その溶液は、治療有効量のアミド型局所麻酔薬を含む医薬溶液に添加して、それを必要とする対象に投与するのに適した混合溶液を作製するのに適している。一実施形態では、対象に混合溶液を投与すると、投与後、約4時間〜約12時間の期間にわたって、あるいは約4〜24時間、または2〜4時間、または2〜6時間、または3〜5時間の期間にわたって、対象に疼痛緩和がもたらされる。
一実施形態では、混合溶液は、疼痛の対象を処置するための方法において使用するためのものであり、この方法は、メロキシカムの医薬溶液をアミド型局所麻酔薬の医薬溶液と混合して、混合溶液を調製し、その混合溶液を調製してから24時間以内に、対象に混合溶液を投与することを含む。この方法は、疼痛に関して対象を予防的に処置することも含み得る。
組成物を、実施例1〜8に言及してここに記載される本発明の組成物および使用方法の裏付けとして調製し、試験した。実施例1〜8に記載される例示的な組成物のそれぞれは、80%のトリエチレングリコール(TEG)および20%のTEG−グリコリド(部分単位1つ当たり平均2つのグリコリドを含む、すなわちTEG−ジグリコリド)から構成された式Iのポリオルトエステル(POE)を含む。例えば、米国特許第8,252,305号、実施例1(d)を参照されたい。45%〜80%の間の式Iのポリオルトエステル、20%〜45%の間の非プロトン性溶媒、5%のロピバカイン、および3.6%のメロキシカムを含有する組成物を、実施例1に記載される通り調製した。実施例1で8026−01−01と識別される組成物は、61.5wt%の式Iのポリオルトエステル、29.7wt%の非プロトン性溶媒NMP、5.2wt%のロピバカイン塩基および3.6%のメロキシカムから構成されていた。ロピバカインおよびメロキシカムの放出速度は、実施例2に記載されるin vitro試験に従ってin vitroで測定され、ここでは、既知の量の組成物を、バイアル中の既知の量のリン酸緩衝食塩水に入れた。生理食塩水およびポリマー組成物を含有するバイアルを、かき混ぜずに37℃でインキュベートし、一定分量の生理食塩水を、一定の時間間隔で除去した。各薬物の濃度を、一定分量で測定した。ポリマーデポー組成物からの薬物の累積放出は、実施例2の表2−1に示され、72時間(3日間)までに両方の薬物が100%放出されたことが示される。
したがって、一実施形態では、ポリオルトエステル、アミド型麻酔薬およびエノール酸NSAIDから構成された組成物が企図され、麻酔薬およびNSAIDは、約1〜3日間の間の期間にわたって、または少なくとも約2日間の期間にわたって、または少なくとも約3日間の期間にわたって、組成物からin vitroで放出される。
実施例3に記載される別の研究では、およそ62〜63%の間の式Iのポリオルトエステル、およそ15〜20%の間の非プロトン性溶媒、10%〜15%の間のブピバカイン塩基、および6%〜7.5%のジクロフェナクを含有する組成物を調製した。
実施例4に記載される別の研究では、およそ55%〜80%の間の式Iのポリオルトエステル、およそ15%〜35%の間の非プロトン性溶媒、約5〜15wt%の間のブピバカイン、および約0.05〜3.5wt%の間のメロキシカムを含有する組成物を調製し、ブピバカインおよびメロキシカムのin vitro放出速度を測定した。in vitro放出速度を測定するための試験は、実施例5に記載されており、実施例の表5−1および5−2には、組成物からの各薬物の累積放出パーセントがまとめられている。55〜65wt%の間のPOEおよび16〜32wt%の非プロトン性溶媒を含む組成物は、ブピバカインを長期間にわたって放出し、168時間後にin vitroで37〜75パーセントの間の薬物を放出した。70〜80wt%のPOE、15wt%の非プロトン性溶媒、および0.5〜1.2wt%の有機酸(マレイン酸)を含む組成物は、より急速な薬物放出速度をもたらし、実質的にすべての薬物(例えば、ブピバカイン担持量の約80%、85%または90%超)を約120時間で放出した。この研究は、有機酸などの必要に応じての添加剤をどのように添加するかによって、組成物の薬物放出期間を調整できることを示している。
実施例4で調製した組成物のいくつかを、ブピバカインおよびメロキシカムの薬物動態を測定するために、in vivoで試験した。表4−1(実施例4)で8026−04−03、8026−04−04および8026−04−05と識別される組成物を、4mLの組成物で注射し、薬物の血漿濃度を、投与後7日間までにわたって採取した血液試料から決定した(実施例6を参照されたい)。この研究から得られたデータは、図1A〜1Bに示されており、ここでブピバカインの血漿レベル(図1A)およびメロキシカムの血漿レベル(図1B)を、15wt%のブピバカイン/3wt%のメロキシカム(黒四角、組成物番号8026−04−03)、10wt%のブピバカイン/0.75wt%のメロキシカム(白丸、組成物番号8026−04−04)、および5wt%のブピバカイン/0.38wt%のメロキシカム(白三角、組成物番号8026−04−05)の3つの組成物について、各時点においてプロットする。データは、これらの組成物が、投与後、少なくとも約4日間(96時間)または少なくとも約3日間の期間にわたって、測定可能な血漿濃度のブピバカインおよびメロキシカムをもたらすことを示している。
別のin vivo薬物動態研究を、実施例7に記載される通りイヌで実施した。79%のポリオルトエステル、0.6wt%のマレイン酸、15wt%のNMP、5%のブピバカインおよび0.15wt%のメロキシカムから構成された組成物(組成物の識別番号8026−04−07、実施例4)を、それぞれおよそ0.5mLの2回の別個の注射で投与した。血漿試料をそれぞれのイヌから収集し、ブピバカインおよびメロキシカムについて分析した。この研究から得られたデータは、図2Aおよび2Bに示されている。
図2A〜2Bは、ポリオルトエステル送達ビヒクル、ならびに5wt%のブピバカインおよび0.15wt%のメロキシカムから構成された組成物(番号8026−04−07)をイヌにin vivo投与した後の、時間(時間)関数としてのブピバカインの血漿濃度(図2A)およびメロキシカムの血漿濃度(図2B)(ng/mL)のグラフである。この組成物は、投与後、少なくとも4日間(96時間)または少なくとも約3日間の期間にわたって、測定可能な血漿濃度のブピバカインおよびメロキシカムをもたらす。
実施例8は、ブピバカイン−メロキシカム組成物の薬力を評価するために実施したいくつかの研究を記載する。術後(POP)疼痛ブタモデル系を使用し、7cmの長さの皮膚および筋膜切開を、全身麻酔下でブタの左側腹部に行い、試験組成物または対照物質を、創傷に適用した。次に、無菌縫合糸を使用して皮膚切開部を閉じた。術後疼痛を、実施例8に記載される通り、von Frey方法論を使用してアセスメントした。最初の研究では(実施例8A)、15%のブピバカインを含有する延長放出ポリマー組成物を、5%のロピバカインを含有する延長放出ポリマー組成物と比較した。手術部位への投与方法を変えて、薬力の任意の差異をもたらすかどうかについて評価した。試験した方法は、創傷領域の表面上に直接組成物を滴下注入するか、または創傷の外側縁に組成物を皮下注射するかのいずれかであった。表8−1は、試験群および投与方法を詳説している。
von Frey試験によって測定した薬力学的応答は、図3に示されている。退く力(グラム力)は、以下の組成物のそれぞれに関して、in vivo投与後の時間(時および日)関数として示される。ポリオルトエステル送達ビヒクル、および(i)注射(縦破線入り、群2)もしくは滴下注入(縦線入り、群3)によって投与される15wt%のブピバカイン、または(ii)注射(横線入り、群4)もしくは滴下注入(網目模様入り、群5)によって投与される5wt%のロピバカインのいずれかから構成された組成物。点々入りの棒は、生理食塩水で処理した対照群(群1)の応答を表す。ロピバカインまたはブピバカインを含む組成物の両方の皮下注射によって、単回投与後、創傷を閉じる前に持続的な効果が得られた。創傷表面上への組成物の適用は、15%のブピバカイン組成物の注射ほど有効ではなかったが、投与方法の間の対応する差異は、5%のロピバカイン組成物では観測されなかった。ブピバカイン組成物とロピバカイン組成物の応答にほとんど差異はなく、2〜4日目に、すべての薬物処置群において感受性の増大(退きを誘発するための力がより小さい)が観測され、薬物処置を受けたブタ(群2〜5)において退きを誘発するのに必要な力は、6日目にいくらか増大した。2〜4日目に有効性が低下し、炎症が沈静した通り6日目に回復したのは、炎症媒介性の局所麻酔の失敗が理由であると仮定された。
別の薬力研究を実施して(実施例8B)、局所麻酔薬を含有する延長放出製剤の有効性を、局所麻酔薬をNSAIDと組み合わせて含有する製剤と比較した。実施例8Bの表8−2にまとめた5つの異なる製剤の侵害受容活性を、ブタPOPモデルで評価した。ロピバカインを含有する延長放出製剤(それぞれより緩慢な放出およびより急速な放出の、群2および3)を、ブピバカイン、ならびにNSAIDであるジクロフェナクおよびメロキシカムを含有する延長放出製剤(それぞれ群4および5)と比較した。ビヒクルまたは試験物質については2mLの用量体積を、切開部の外側縁に皮下注射し、切開部を縫合糸で閉じた。ベースライン、術後1、3、および5時間目、ならびに1〜6日目に、von Frey法によって侵害受容をアセスメントした。
結果は、図4に示されており、ここで、退く力(グラム力)は、投与後の時間(時および日)関数として示される。組成物は、図4に示されており、以下の通りである。ポリオルトエステル送達ビヒクル、および(i)5wt%のロピバカインと0.6%のマレイン酸(横線入り、群2)、(ii)5wt%のロピバカインと0.2%のマレイン酸(網目模様入り、群3)、(iii)15wt%のブピバカインおよび7.5wt%のジクロフェナク(縦破線入り、群4)、または(iv)15wt%のブピバカインおよび3.5wt%のメロキシカム(縦線入り、群5)から構成された組成物。点々入りの棒は、生理食塩水で処理した対照群(群1)の応答を表す。
結果は、対照を除いて、モデルにおいて評価した組成物のすべてが、例えば、切開後最初の5時間において、疼痛の処置/管理に短時間有効であったことを示している。唯一の活性薬剤としてロピバカインを含有する延長放出ポリマー組成物(群3)は、メロキシカムと組み合わされたブピバカインおよびジクロフェナクと組み合わされたブピバカインを含む延長放出ポリマー組成物と同じく、投与後最初の5時間において有効であった。5時間目の時点で、群3で試験した組成物よりも多量のマレイン酸を含むが、群2で試験したロピバカイン単独を含む組成物は、その他の3つの組成物と比較して記録された退く力の低下に示され得る通り、その疼痛緩和があまり有効でなかった。このことは、組成物中のマレイン酸の含量が多いほど、それによって活性薬剤の放出速度が急速になることに起因する可能性が高い(例えば、2014年4月21日出願の米国特許出願第61/982,300号を参照されたい)。組成物の顕著な差異が、より長期の時点で、例えば1〜6日目にわたって観測される。1〜3日目にわたって、ロピバカイン単独(活性薬剤に関して)を含有する組成物、ならびにブピバカイン/ジクロフェナク組成物は、退く力の低下傾向によって示される通り、鎮痛の低下を示した。それとは対照的に、ブピバカインおよびメロキシカムの組合せを含む組成物は、その他の3つの組成物よりも著しく有効であった。ブピバカインおよびメロキシカムの組合せを含む組成物によって達成された鎮痛は、研究全体の過程にわたって本質的に未変化のままであり、その組成物について示された、測定された退く力は、1日目を除き、最大測定力であった。研究の後期には、ロピバカイン単独を含有する組成物(群2および3)は、4〜6日目にわたって観測された退く力の増大によって実証される通り、それらの鎮痛効果を取り戻すように見えたが、いずれも、鎮痛活性を1〜6日目にわたって維持したブピバカイン/メロキシカム組成物ほど疼痛の低減に有効でなく、または一貫性がなかった。ブピバカイン/メロキシカム組成物とは対照的に、異なるNSAIDであるジクロフェナクを含有するブピバカイン組成物は、約5時間〜約6日間の退く力の低下傾向によって示される通り、疼痛緩和をもたらす能力が経時的に低下し続けた。
したがって、異なるNSAIDを含有する2つの組成物は、用いた術後疼痛モデルにおいて異なる疼痛緩和プロファイルを示した。このデータは、組成物にエノール酸NSAID(例えば、メロキシカム)を組み込むと、局所「カイン」型麻酔薬が、より良好に機能し、鎮痛をもたらすようになることを、予想外に示している。ブピバカイン/メロキシカムの組合せに関する疼痛応答プロファイルは、術後最初の約1〜10時間程度にわたって、良好な短期間有効性を示した後、1日目に有効性のわずかな低下、およびその後の急速な回復を示し、したがって、観測された退く力のプラトーによって証明される通り、組成物は、約2日目までには再び有効になり、2日目〜少なくとも6日目に最大の疼痛緩和をもたらす。この組合せは、試験したその他の組成物の中でも特に優れており、本発明の研究では、特にブピバカイン/ジクロフェナク組成物と比較して、驚くほど増強された疼痛緩和をもたらす。
別の薬力研究を実施して、異なる濃度のブピバカインおよびメロキシカムの2つの活性成分を含有する5つの異なる製剤を評価した。実施例8Cに記載される通り、表8−3にまとめた製剤を、1)創縁の周りの皮下注射、または2)切開によって作った創傷表面への直接適用、または3)創傷のいずれかの側の組織への注射のいずれかによって投与した。結果は、すべてのブピバカイン/メロキシカム組成物が、前述の研究(実施例8B)と一致して、投与後6日目まで良好な鎮痛を示したことを示した(データ示さず)。このデータはまた、組成物中約5wt%を上回るブピバカイン濃度では、さらなる鎮痛はもたらされないことを示唆した。メロキシカムの用量応答は観測されなかった。したがって、一実施形態では、アミド型局所麻酔薬を含む組成物は、約0.01〜7.5wt%の間、または約0.1〜6wt%の間、または約0.5〜5wt%の間である。
実施例8Dは、5wt%のブピバカインと0.08〜0.3wt%の範囲の様々な濃度のメロキシカムを含有する組成物によってもたらされたin vivo応答を評価するために実施した別の研究を記載している。表8−4には、組成物および試験群がまとめられている。組成物を、ブタの切開部の両側に皮下注射として投与し、von Frey試験を使用して鎮痛を評価した。
結果は、図5A〜5Bに示されており、ここで退く力(グラム力)は、投与後の時間(時および日)関数として示される。試験組成物は、図5A〜5Bに示されており、以下の通りである。ポリオルトエステル送達ビヒクル、ならびに5wt%のブピバカインと0.08wt%のメロキシカム(縦破線入り、群2)、5wt%のブピバカインと0.19wt%のメロキシカム(縦線入り、群1)、および5wt%のブピバカインと0.3wt%のメロキシカム(横線入り、群3)との組合せから構成された組成物、ポリオルトエステル送達ビヒクルおよび0.15wt%のメロキシカム単独(点々入り、群4)から構成された組成物(図5A)、ならびにポリオルトエステル送達ビヒクルおよび5wt%のロピバカインと0.38wt%のメロキシカムの組合せ(網目模様入り、群5)、または5wt%のロピバカイン単独(模様なし、白棒、群6)から構成された組成物。様々な度合いの抗侵害受容が、群1、2および3について術後6日間の観測にわたって得られ、0.08%のメロキシカムを含有する群2の組成物では、鎮痛の低下が観測された。群4のメロキシカム単独の組成物は、本質的に鎮痛効果を示さなかった。メロキシカムを伴うおよび伴わない、ロピバカインを含有する製剤は、ブピバカイン製剤で見られるものと同じ傾向を示した(図5Bを参照されたい)。メロキシカムは、局所麻酔薬単独で見られた効果を上回る効果への抗侵害受容によるプラスの寄与を有していた。このデータはまた、約0.01〜5wt%の間のアミド型局所麻酔薬と少なくとも約0.1wt%または0.15wt%のエノール酸NSAIDの組合せが、鎮痛に相乗効果をもたらすことを示唆している。
したがって、図4および図5A〜5Bのデータによって証明される通り、一実施形態では、組成物は、疼痛の管理のため、疼痛の処置のため、または疼痛の予防的処置のために、それを必要とするヒトに投与される。この投与は、術後疼痛のin vivoモデルにおいて測定される通り、投与後に疼痛緩和が低下するが、この疼痛緩和の低下は、投与後、約1時間および約3〜8時間、または約3〜24時間に測定される期間にわたって生じ、投与後1時間未満(例えば、図4に関するベースライン)の時間に測定される疼痛緩和とは相対的である。疼痛緩和が低下した期間の後、疼痛緩和が増大したまたは増大する期間が続き、この期間は、投与後、約1〜3日間または約1〜4日間または約1〜5日間の間である。疼痛緩和が増大した期間中に増大したまたは増大する疼痛緩和は、疼痛緩和が低下した期間中に測定される疼痛緩和に対するものである。一実施形態では、疼痛緩和が低下した期間中および/または疼痛緩和が増大した期間中の疼痛緩和は、関連する期間中の術後疼痛のin vivoモデルにおいて測定された値の平均である。別の実施形態では、疼痛緩和が増大した期間中の疼痛緩和は、術後疼痛のin vivoモデルにおいて測定された疼痛緩和が、投与後1日目(24時間)よりも2日目の方が高い場合、疼痛緩和が増大したとみなされる。別の実施形態では、疼痛緩和が増大した期間中の疼痛緩和は、術後疼痛のin vivoモデルにおいて測定された疼痛緩和が、投与後1日目(24時間)よりも3日目の方が高い場合、疼痛緩和が増大したとみなされる。別の実施形態では、疼痛緩和が増大した期間中の疼痛緩和は、術後疼痛のin vivoモデルを使用してその期間の任意の時点で測定された疼痛緩和が、投与後1時間未満の時点(例えば、ベースライン)で術後疼痛のin vivoモデルにおいて測定される任意の時点の疼痛緩和の約10%以内である場合、疼痛緩和が増大したとみなされる。
別の実施形態では、組成物は、投与後、約2〜5日間の間の期間にわたって、投与後1〜5時間に組成物によってもたらされた平均疼痛緩和の、平均で少なくとも約50%の疼痛緩和(術後疼痛のin vivoモデルで測定される)をもたらす。投与後、ある期間中、例えば1〜5時間の期間中の平均疼痛緩和は、一実施形態では、その期間中に収集された疼痛緩和スコアまたは値の平均である。一実施形態では、平均は算術平均を指し、ここで平均疼痛緩和は、ある期間中の疼痛緩和スコアまたは値の合計を計算し、その合計を、合計値またはスコアの数で割ることによって得られる。
2.粘度低下トリグリセリド溶媒を含む組成物
送達ビヒクルとして生分解性ポリオルトエステルポリマーを含む、本明細書に記載される組成物に関しては、例えば、薬物送達系として、または医療もしくは手術デバイスとしてこれらの組成物を使用することができる。このような使用では、組成物は、典型的に、標準シリンジおよび小ゲージ針を用いて体内に注射することによって投与される。したがって、シリンジおよび小ゲージ針から容易に分注されるが、治療に必要な活性薬剤の放出動態を有する粘度の組成物を提供することが望ましい。当技術分野において、例えばその全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第US2014/0275145号において公知の通り、選択された、系中の1つまたは複数の非プロトン性極性溶媒を使用して、ポリマー組成物からの活性薬剤の放出プロファイルをモジュレートすることができる。極性非プロトン性溶媒およびポリオルトエステルを含むこれらの組成物は、37℃で約10,000mPa・s未満の粘度、ならびに溶媒の選択および量に応じて決まる薬物放出プロファイルを有する。本明細書では、それを必要とする対象に針を介して投与するのに適した粘度を有し、より高い粘度を有する組成物と類似の薬物放出プロファイルを有する組成物が提供される。これらの組成物は、示される通り、神経ブロックとして使用する場合など、細いゲージの長針を介する注射が必要な適用において、または悪心を管理するためのグラニセトロンなどの活性薬剤を長期間にわたって送達するためのデポーのその場での形成において使用することができる。
組成物の粘度は、理解され得る通り、温度に依存して変わる。例えば、37℃で測定して10,000mPa・sの粘度を有する組成物は、25℃で測定される粘度よりも高い粘度を有し、本明細書に記載されるポリオルトエステル組成物では、25℃における粘度は、しばしば37℃における粘度よりも約7〜10倍高い。組成物は、一般に室温で保存され、室温(20〜25℃)で投与されるので、その粘度が針を介して25℃で容易に投与できるような組成物を有することが望ましい。本発明のこの実施形態は、このような組成物を提供する。
トリグリセリド溶媒を、ポリオルトエステルおよび極性非プロトン性溶媒を含む組成物に添加すると、組成物のin vitro放出プロファイルまたは薬物動態プロファイルに反映される通り、薬物放出動態を著しく変えずに、粘度計を用いて25℃で測定される場合の組成物の粘度を、10分の1、20分の1、30分の1または40分の1に低下できることが見出された(粘度計を用いて25℃で測定した、トリグリセリド溶媒を含まない類似の組成物の粘度と比較)。このようなことは、組成物中の溶媒の量が、薬物放出動態に測定可能な影響をもたらす、極性非プロトン性溶媒の場合には該当しない。すなわち、例えば、ある特定の濃度の極性非プロトン性溶媒を含有する初期組成物は、特定の薬物放出動態を示す。より多量のその極性非プロトン性溶媒を初期組成物に添加することによって、その極性非プロトン性溶媒の濃度を増大させると、典型的に、初期組成物に対して薬物放出動態が変化した新しい組成物が得られる。驚くべきことに、このことは、極性非プロトン性溶媒を含有する組成物に、トリグリセリド粘度低下剤が添加される場合には該当しない。有益なことには、組成物の粘度は、ポリオルトエステルおよび極性非プロトン性溶媒を含む組成物にトリグリセリド粘度低下剤を添加することによって、トリグリセリド粘度低下剤を含まない類似の組成物と比較して、薬物放出プロファイルの変化を最小限に抑えながら10分の1、12分の1、15分の1、20分の1、30分の1または40分の1に低下することができる。トリグリセリド粘度低下剤は、3つの脂肪酸基を有するものであり、各脂肪酸基は、独立に、1〜7個の間の炭素原子を有しており、ある場合には「短鎖トリグリセリド」と呼ばれる。一部の実施形態では、送達系は、粘度計を使用して25℃で測定される場合、約10,000mPa・s未満、5,000mPa・s未満、または2,500mPa・s未満の粘度を有する。
例示的なトリグリセリド粘度低下剤として、トリアセチン(1,2,3−トリアセトキシプロパン、1,2,3−トリアセチルグリセロール、グリセロールトリアセテート、またはグリセリルトリアセテート)、トリプロピオニン(グリセリルトリプロピオネートまたは1,2,3−トリプロピルグリセロール(triproprylglycerol))、またはトリブチリン(1,2,3−トリブチリルグリセロールまたはグリセロールトリブチレート)が挙げられるが、それらに限定されない。これらのトリグリセリド粘度低下剤は、3つの脂肪酸鎖を有しており、各脂肪酸鎖は、独立に、1〜7個の間の炭素を有しており、したがって相対的に「短鎖」脂肪酸エステルである。短鎖エステルの組合せ、例えば グリセロールジアセテートモノプロピオネートなども許容されると理解される。
非プロトン性溶媒は、約2デバイ(D)(6.67×10−30クーロンメートル)超、または約2.2D(7.34×10−30クーロンメートル)超、または約2.4D(8.05×10−30クーロンメートル)超の双極子モーメントを有する溶媒である。一実施形態では、非プロトン性溶媒は、約2D超、または約2.2D超、または約2.4D超の双極子モーメントを有する溶媒であり、水混和性である。別の実施形態では、非プロトン性溶媒は、約2D超、または約2.2D超、または約2.4D超の双極子モーメントを有する溶媒であり、水混和性が低い。一実施形態では、溶媒は、室温(20〜25℃)においてあらゆる割合で水と均一溶液を形成する場合、水と混和性である。溶媒は、室温(20〜25℃)においてある割合で水と均一溶液を形成する場合、部分的に混和性である。溶媒は、水と均一溶液を形成しない場合(20〜25℃)、混和性が低い。送達系において使用するのに適した非プロトン性溶媒の例は、例えば、米国特許出願公開第2014/0275046号(その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)に記載されているが、例示的な非プロトン性溶媒は、アミド、エーテル、ケトン、またはスルホキシドを包含することができる。例示的なアミドとして、2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドンおよびジメチルアセトアミドが挙げられる。例示的なエーテルとして、ジメチルイソソルビドおよびテトラヒドロフランが挙げられる。例示的なケトンとして、アセトンおよびメチルエチルケトンが挙げられる。例示的なスルホキシドとして、ジメチルスルホキシドおよびデシルメチルスルホキシドが挙げられる。これらの低粘度送達系において使用するのに適したさらなる極性非プロトン性溶媒には、ラクトン、例えばエステル−カプロラクトンおよびブチロラクトン、ならびにアルコールのエステル、例えばプロピレンカーボネート(4−メチル−1,3−ジオロラン−2−オン)が含まれる。
本明細書に式I、II、IIIまたはIVと記載されるものなどのポリオルトエステル、極性非プロトン性溶媒およびトリグリセリド粘度低下剤を含むこのような送達系では、ポリオルトエステルは、トリグリセリド粘度低下剤を含む溶媒および極性非プロトン性溶媒内で混和性である。したがって組成物は、効率的な送達のために、治療活性のある薬剤が分散または可溶化している単相を形成するように調製することができる。
特定の実施形態では、送達系は、本明細書で式Iと記載されるポリオルトエステル、短鎖トリグリセリド粘度低下剤であるトリアセチン、およびジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン(NMP)またはジメチルアセトアミド(DMAC)である極性非プロトン性溶媒を含む。
ポリオルトエステル、トリグリセリド粘度低下剤および極性非プロトン性溶媒を含む薬学的な送達系は、任意の治療活性のある薬剤を投与して、望ましい期間にわたって薬剤を送達するための送達系として使用することができる。治療剤は、ポリオルトエステル、短鎖トリグリセリド粘度低下剤および極性非プロトン性溶媒の組合せによって形成される単相に分散または可溶化され得る治療剤である。
前述の送達系を作成するための方法は、実施例10および14に記載される過程によって達成することができる。一実施形態では、活性薬剤は、非プロトン性溶媒に溶解している。溶解は、約60〜80℃または約80℃などの高温で実施され得る。別個に、適量のポリオルトエステルポリマーおよび短鎖トリグリセリド粘度低下剤が合わせられ、十分に混合される。ポリオルトエステルポリマーおよび短鎖トリグリセリド粘度低下剤は、約60〜80℃の間または約65〜75℃の間または約70℃の高温で合わせられ、かつ/または混合され得る。次に、活性薬剤を含有する溶液は、適量のポリマーおよび短鎖トリグリセリドのブレンドと合わせられ、均一になるまで混合される。トリグリセリド粘度低下剤が存在すると、トリグリセリド粘度低下剤が存在しない状態の送達系と比較して、送達系の粘度を約10〜40分の1に低下させることができることが観測された。このような送達系は、本明細書で「低粘度送達系」と呼ばれる。低粘度送達系は、トリグリセリド粘度低下剤を用いずに製剤化された類似の組成物の投与後に観測されたものと類似の緩和の期間およびレベル(例えば、悪心からの緩和または疼痛からの緩和)をもたらす。
低粘度送達系は、適量のポリオルトエステル、短鎖トリグリセリド粘度低下剤を含む溶媒および極性非プロトン性溶媒を用いて製剤化することができる。例えば、低粘度送達系は、40重量%〜75重量%、40重量%〜60重量%、45重量%〜55重量%、65〜75重量%、または約40重量%、45重量%、50重量% 55重量%、60重量%、65重量%、70重量%もしくは75重量%のポリオルトエステルを含有するように製剤化することができる。送達系における極性非プロトン性溶媒は、約3%〜25%、3%〜10%、5%〜7.5%、10%〜25%、1%〜15%、5%〜12%、5%〜10%、5%〜20%の範囲、または約3%、5%、7.5%、8%、9%、10%、12%、15%、20%もしくは25%の重量パーセントで存在することができる。短鎖トリグリセリド粘度低下剤を含む溶媒は、組成物中に、約5%〜45%、20%〜40%、25%〜35%、30%〜45%、35%〜40%、5%〜25%、10%〜20%、または約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%もしくは40%の重量パーセントで存在する。
低粘度送達系は、2つ以上の活性薬剤を含有することができる。一部の実施形態では、1つまたは複数の活性薬剤は、短鎖トリグリセリド粘度低下剤を含む溶媒、極性非プロトン性溶媒または2つの溶媒の混合物に可溶性でなくてはならない。活性薬剤(複数可)は、ポリオルトエステルを含有する送達系に分散または可溶化している。低粘度送達系における活性薬剤の総重量パーセントは、例えば、約0.1重量%〜5重量%、0.1重量%〜10重量%、0.1重量%〜5重量%、2重量%〜5重量%、2重量%〜4重量%、2重量%〜3重量%、2.5重量%〜7.5重量%、2.5重量%〜3.0重量%、3重量%〜5重量%、または約0.1重量%、0.25重量%、0.5重量%、1.0重量%、2.5重量%、2.75重量%、3.0重量%、3.5重量%、4.0重量%、5重量%、7.5重量%もしくは10重量%で変わることができる。
実施例9〜13に記載される本発明のこの態様を裏付けるために実施した研究を、ここに記載する。これらの実施例のそれぞれにおいて、80%のトリエチレングリコール(TEG)および20%のTEG−グリコリド(部分単位1つ当たり平均2つのグリコリドを含む、すなわち、TEG−ジグリコリド)を含む、式Iのポリオルトエステル(POE)から構成された送達ビヒクルを使用する組成物を使用した。例えば、米国特許第8,252,305号、実施例1(d)を参照されたい。
実施例9に記載される最初の研究では、実施例4に記載される通り調製した組成物(組成物識別番号8026−04−07)を調製し、モデルトリグリセリド粘度低下剤として30%のトリアセチン(グリセロールトリアセテート)を含む類似の組成物を調製した。トリグリセリド粘度低下剤を含む組成物の粘度を、粘度計を使用して25℃で測定すると、7,115mPa・sであった。
トリグリセリド粘度低下剤を含む組成物を、実施例10に記載される通りイヌの薬物動態研究において、トリグリセリド粘度低下剤を含まない組成物と比較した。イヌに、試験組成物を2回の別個の注射により投与し、所定の時点で各イヌから血液試料を収集した。その後、血液試料を、ブピバカインおよびメロキシカム血漿濃度について分析した。データは、図6A〜6Bに示されている。データは、組成物が、トリグリセリド粘度低下剤を含まない組成物(三角)と比較して、トリグリセリド粘度低下剤を含む組成物(白丸)と非常に類似した、Cmaxがごくわずかに増大する血漿PKプロファイルをもたらすことを示している。
図6Aおよび6Bは、それぞれ実施例9に記載される2つの例示的な組成物に関して、ブピバカインおよびメロキシカムについて非常に類似した血漿濃度曲線を示すグラフである。例示的な組成物は、8026−04−07(5.0wt%のブピバカイン、0.15wt%のメロキシカム、79.3wt%のポリオルトエステル、0.6wt%のマレイン酸および15%のN−メチルピロリドン[非プロトン性溶媒])、ならびに8026−09−01(3.84wt%のブピバカイン、0.11wt%のメロキシカム、60.96wt%のポリオルトエステル、0.46wt%のマレイン酸、23.08wt%のトリアセチンおよび11.5wt%のN−メチルピロリドン[非プロトン性溶媒])である。これらの特定の組成物では、非希釈組成物(8026−04−07)の粘度は、25℃でおよそ70,000mPa・sであり、一方、トリアセチン含有組成物の粘度は、25℃でおよそ7,000mPa・sである。ブピバカインおよびメロキシカムの血漿濃度曲線は、トリアセチンの希釈組成物8026−09−01の血漿濃度曲線が、わずかに高いCmaxを除いて、非希釈組成物8026−04−07の血漿濃度曲線とほぼ同一であることを示している。
これらの研究は、組成物をトリアセチンと共に製剤化すると、薬物放出動態のごく穏やかな変化を伴う、低粘度の組成物を得ることができることを実証しているが、組成物の極性非プロトン性溶媒、トリアセチンまたは他の構成成分の濃度をモジュレートするなどにより組成物をさらに調整することによって、粘度および薬物放出動態に関してさらに最適化され得ると認識される。
実施例10に記載される別の研究では、アミド型局所麻酔薬およびエノール酸NSAIDとトリグリセリド粘度低下剤の組合せを含む送達系を調製した。この組成物は、実施例10の表10−1にまとめられている。組成物の粘度を測定し(実施例の方法に関する節における手順に従って)、表10−1に示す。トリグリセリド粘度低下剤を組成物に添加すると、トリグリセリド粘度低下剤を含まない組成物と比較して、粘度が10分の1以下、20分の1以下もしくは40分の1以下、またはそれよりも低い粘度に低下した。
表10−1の組成物からのブピバカインおよびメロキシカムのin vitro放出を、実施例11に記載される試験で測定した。実施例11の表11−1および11−2は、それぞれ、組成物からのブピバカインおよびメロキシカムの累積放出パーセントを示す。この組成物は、3日間またはそれよりも長い長期間にわたって、両方の薬物のin vitro放出をもたらした。
in vivo薬物動態研究を実施して、ブピバカインおよびメロキシカム、ならびにトリグリセリド粘度低下剤を含む送達系からの薬物の放出を評価した。実施例12に記載される通り、イヌを、識別番号8026−10−03および8026−10−05の組成物(実施例10、表10−1)2mLで、2回の別個の注射により処置した。血液試料を採取し、血漿を、ブピバカインおよびメロキシカム濃度について分析した。研究からのデータは、図7A〜7Bに示されている。組成物は、投与後、少なくとも96時間の期間にわたって、測定可能な血漿濃度のブピバカイン(図7A)およびメロキシカム(図7B)をもたらした。ここで35wt%のトリアセチンを含む組成物(8026−10−03)は、三角によって示され、30wt%のトリアセチンを含む組成物(8026−10−05)は、白丸によって表される。
トリグリセリド粘度低下剤を含まない類似の組成物と比較して、トリグリセリド粘度低下剤を含む組成物の粘度が低く、組成物からの薬物の放出動態に著しい変化がないことにより、この組成物を、針を介して神経ブロックと同様に注射される臨床設定において使用する機会が得られる。したがって、神経ブロックとしての組成物の使用を評価するための研究を実施した。実施例13に記載される通り、表13−1に記載される各組成物4グラムを、動物4匹のそれぞれに注射し、ブタの一方の側腹部の坐骨神経近くに投与した。神経ブロックの度合いをアセスメントするために、von Freyフィラメント(Ugo Basile)を、実施例13に記載される通り、足背の線源表面に適用した。von Freyアッセイの結果は、図8に提示されている。
図8は、ポリオルトエステル送達ビヒクル、2.5wt%のブピバカイン単独(群4、8026−13−01、縦破線入り)、または2.5wt%のブピバカイン、0.0175wt%のメロキシカムおよび0.15%のマレイン酸(群3、8026−10−01、縦線入り)、または0.10wt%のマレイン酸(群5、8026−0−02、横線入り)、または0.5wt%のブピバカインの緩衝液(模様なし、白棒、群2)から構成された組成物をブタにin vivo投与した後の、時間(時および日)関数としての退く力(グラム力)の棒グラフであり、点々入りの棒は、生理食塩水で処理した対照群の応答を表す。データは、ブピバカインおよびメロキシカムの両方を含む組成物を投与された動物が、圧力に応答するのにより高い閾値を有していたことを示している。ブピバカインおよびメロキシカムの両方を含有する組合せ組成物の有効性は、ブピバカインを含有するが、メロキシカムを含有していない類似の組成物が実際にもたらすよりも長く続き、より深い麻酔をもたらした。
図8のデータは、in vivoブタモデルを使用する、神経ブロックとしてのいくつかの組成物の有効性を示している。ブピバカインおよびメロキシカムを含む低粘度ポリマー送達組成物は、神経ブロックとして投与される場合、メロキシカムを伴わない状態のブピバカインと比較して、より長く続き、より深い麻酔をもたらすブピバカインおよびメロキシカムの組合せの利点が維持された。粘度計を使用して25℃で測定される、2000mPa・s〜4000mPa・sの間の粘度などの低粘度を有するポリオルトエステル組成物は、驚くべきことに、神経ブロックとして有効であった。粘度が低いと、有効な延長放出にとって急速過ぎる薬物放出速度をもたらすと予想されるかもしれないが、データは、そうでないことを示している。
表9−1、10−1、13−1および14−1に記載されるものなどの製剤の投与を含めた、実施例8A〜8Dに記載されるものなどの方法に従って実施した実験では、ブピバカインとメロキシカムの組合せ、またはロピバカインおよびメロキシカムの組合せを含む組成物を対象に投与すると、例えば、von Frey試験、またはpain numeric rating scale(PNRSまたはNRS)もしくはvisual analog scale(VAS)アセスメントによって決定される通り、疼痛の低減に対して驚くべき相乗効果がもたらされることが実証される。一部の実施形態では、このような相乗作用は、ブピバカインの用量が5mg〜600mgの範囲内であり、メロキシカムの用量が約0.1mg〜100mgの範囲内であり、単一組成物として併用投与される場合のブピバカイン:メロキシカムの比が、約10:1〜60:1の範囲内である場合に観測され得る。
トリグリセリド粘度低下剤の使用は、様々な治療剤のためのポリオルトエステル送達系において利用され得ることを理解されよう。例示的な一例は、ポリオルトエステルポリマー、短鎖トリグリセリド粘度低下剤および極性非プロトン性溶媒、ならびに制吐治療剤を含む送達系を調製した実施例14に提供されている。一実施形態では、制吐薬は、患者において化学療法剤によって誘導された嘔吐、放射誘導性悪心および嘔吐、ならびに/または術後誘導性悪心および嘔吐を処置するために使用される。処置は、5−HT3アンタゴニストなどの制吐薬を含む組成物を患者に投与することを含み、この組成物は、有効な制吐治療のための放出速度をもたらすように設計される。例示的な一実施形態では、制吐薬は、グラニセトロンである。送達系は、例えば静脈内投与することができる。実施例14の表14−1に提示されているデータに見られる通り、トリグリセリド粘度低下剤であるトリアセチンを組成物に添加すると、トリグリセリド粘度低下剤を含まない組成物と比較して、粘度が約5分の1〜90分の1に低下した。粘度低下は、粘度が粘度計を使用して25℃で測定される場合(下記の方法を参照されたい)、一実施形態では、約5分の1以下、約7分の1以下、約20分の1以下、約30分の1以下、約40分の1以下、約50分の1以下、約60分の1以下、約70分の1以下、約80分の1以下または約90分の1以下である。トリグリセリド粘度低下剤を組成物に添加すると、粘度計を使用して37℃で測定される場合、粘度が約5分の1以下または約10分の1以下または約20分の1以下または約30分の1以下に低下した。
実施例14の組成物からのグラニセトロンのin vitro放出を、実施例15に記載される通り決定した。薬物の累積放出は、実施例15の表15−1にまとめられており、薬物放出が、様々なトリアセチン濃度を伴う組成物および伴わない組成物間の薬物放出プロファイルと同等であることを示している。極性非プロトン性溶媒の濃度が増大すると、in vitro放出速度が増大した。極性非プロトン性溶媒の量を増大させることによって粘度が低下すると、薬物放出は約2倍に増大した。しかし、トリアセチン濃度の増大が同じでも、同じ放出速度の増大は引き起こされなかった。さらに組成物は、グラニセトロンを少なくとも約3日間または少なくとも約4日間放出した。組成物の粘度を低下させるためにトリグリセリド粘度低下剤を添加しても、トリグリセリド粘度低下剤を含まない類似の組成物と比較して、グラニセトロンのin vitro放出は変わらなかった。このことは、トリアセチンを含まない組成物番号8026−14−03および10%のトリアセチンを含む8026−14−04を比較することによって、表15−1のデータに見られる。トリアセチン組成物(25℃でおよそ20分の1の低い粘度を有していた)からのグラニセトロンの放出は、トリアセチンを含まない類似の組成物によって提供されるグラニセトロンの累積放出の10%以内であった。同様に、8026−14−01(トリアセチンを含まない)および8026−14−02(10wt%のトリアセチンを含む)を比較すると、25℃で7分の1の低い粘度を有するトリアセチン含有組成物が、24時間、72時間および96時間の時点において、トリアセチンを含まない組成物によって提供された放出の約15%以内の速度で、グラニセトロンを放出したことが明らかである。したがって、一実施形態では、トリグリセリド粘度低下剤を含む組成物は、粘度計を使用して25℃で粘度が測定される場合、約5分の1または10分の1以下の(または前述の通りそれよりも低い)粘度を有し、96時間の期間中、少なくとも1つの時点、少なくとも2つの時点または少なくとも3つの時点で、トリグリセリド粘度低下剤を含まない類似の組成物からの薬剤放出の約20%、15%または10%以内の活性薬剤放出を有する。
前述の通り粘度が低い組成物は、それを必要とする対象に投与するのに適している。例えば、治療有効量の1つまたは複数の活性薬剤を含有する低粘度組成物は、活性薬剤(複数可)を必要とする対象に皮下、皮内もしくは筋肉内投与することができ、または組織もしくは例えば創傷に局所的適用もしくは滴下注入することができる(手術またはそれ以外で)。
本明細書に開示される、トリアセチンなどのトリグリセリド粘度低下剤を含む低粘度組成物および系は、状態の処置または予防を必要とする対象(例えば、患者)に、有効量の本明細書に記載される流動性組成物で投与される。これらの低粘度組成物は、粘性ポリマーまたは固体ポリマー送達系の送達プロファイルを有する活性薬剤のための液体送達系の利点をもたらす。トリアセチンなどのトリグリセリド粘度低下剤を含む本発明の低粘度組成物により、他の液体ポリマー系と比較して、より小さいゲージ針を使用することも可能になる。トリアセチンなどのトリグリセリド粘度低下剤を含む本発明の組成物における生分解性ポリマーの使用により、活性薬剤の放出速度および流動性組成物の分解を、非ポリマー流動性組成物とは対照的に幅広い範囲にわたって変えることも可能になる。
本明細書に開示されるポリオルトエステルなどのポリマーを含む各組成物は、それに溶解または分散した活性薬剤(複数可)の放出に関して特徴付けることができる。例えば、組成物からの1つまたは複数の薬物の放出は、少量の各ポリマー製剤(例えば、50〜500mg)を、ある体積の緩衝液(例えば、適切な容器中、リン酸緩衝食塩水150mL)に入れることによって決定することができる。次に試料を、かき混ぜながらまたはかき混ぜずに、例えば25℃、37℃または50℃でインキュベートする。ある時間間隔で、例えば、6時間ごと、12時間ごと、または24時間ごとに、一定分量の緩衝溶液を除去し、活性薬剤の存在について分析する。分析は、例えば高速液体クロマトグラフィーによって実施することができる。
3.処置方法
提供される組成物は、例えば、患者の疼痛の管理において使用することができる。したがって、疼痛を改善し、疼痛を管理し、疼痛を処置し、かつ/または局所鎮痛もしくは局所麻酔を、それを必要とする対象に提供する方法が提供される。一実施形態では、鎮痛を必要とする対象に鎮痛をもたらす方法が提供される。この方法は、術後鎮痛をもたらすことができ、例えば、組成物は、術後の対象に投与される。別の実施形態では、局所麻酔を必要とする対象に局所麻酔をもたらす方法が提供される。別の実施形態では、術後疼痛を管理または処置する状況などにおいて、疼痛の予防的処置のための方法が提供される。他の実施形態では、アミド型またはアニリド型局所麻酔薬を含むポリオルトエステル組成物の疼痛緩和プロファイルを、有効性を増強する量のエノール酸NSAID、例えばメロキシカムをそれに組み込むことによって延長し、それによって、NSAIDを含まない同じ組成物よりも長期間にわたって有効な疼痛緩和をもたらすことができる組成物を提供するための方法が提供される。
疼痛を処置し、かつ/または鎮痛をもたらすための方法を含めた、本明細書に記載される処置方法は、それを必要とする対象に組み合わせて投与される場合に治療を施す量の、ブピバカインまたはロピバカインをメロキシカムと組み合わせて含む組成物を投与することを含む。例えば、ブピバカインおよびメロキシカムを含む組成物を投与する場合、処置方法は、約5mg〜600mg、20mg〜60mg、60mg〜600mg、60mg〜400mg、120mg〜400mgの範囲の用量のブピバカインを、ある用量のメロキシカムと共に投与することを含む。一部の実施形態では、対象に投与されるブピバカインの用量は、約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、505、510、515、520、525、530、535、540、545、550、555、560、565、570、575、580、585、590、595、または600mgである。好ましい実施形態では、ブピバカインおよびメロキシカムを組み合わせた用量は、治療有効性が、その用量のブピバカインまたはその用量のメロキシカムのいずれかが単独で投与される場合を上回る、相乗的用量である。一実施形態では、処置方法は、その用量のブピバカインを、約0.1mg〜100mg、1mg〜50mg、1mg〜40mg、1mg〜25mg、2mg〜25mg、5mg〜100mg、5mg〜50mg、5mg〜40mg、5mg〜25mgの範囲の用量のメロキシカムと共に投与することを含む。別の実施形態では、この方法は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100mgの用量のメロキシカムを投与することを含む。
本明細書に記載される通り、ロピバカインおよびメロキシカムと組み合わせて処置を必要とする対象を処置する場合、処置方法は、ロピバカインおよびメロキシカムを含む組成物を投与することを含むことができる。例えば、この方法は、約5mg〜600mg、20mg〜60mg、60mg〜600mg、60mg〜400mg、120mg〜400mgの範囲の用量のロピバカインを、ある用量のメロキシカムと共に投与することを含む。一部の実施形態では、対象に投与されるロピバカインの用量は、約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、505、510、515、520、525、530、535、540、545、550、555、560、565、570、575、580、585、590、595、または600mgである。好ましい実施形態では、ロピバカインおよびメロキシカムを組み合わせた用量は、治療有効性が、その用量のロピバカインまたはその用量のメロキシカムのいずれかが単独で投与される場合を上回る、相乗的用量である。一実施形態では、処置方法は、その用量のロピバカインを、約0.1mg〜100mg、1mg〜50mg、1mg〜40mg、1mg〜25mg、2mg〜25mg、5mg〜100mg、5mg〜50mg、5mg〜40mg、5mg〜25mgの範囲の用量のメロキシカムと共に投与することを含む。別の実施形態では、この方法は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100mgの用量のメロキシカムを投与することを含む。
特に、アミド型麻酔薬およびエノール酸NSAIDの組合せを含む組成物は、投与後、約1日間〜少なくとも約2日間または少なくとも約3日間または少なくとも約4日間または少なくとも約5日間にわたって疼痛緩和をもたらすのに有効であり、すなわちこれは、短時間作用性の組成物ではなく、疼痛緩和のための長時間作用性の組成物である。他の実施形態では、組成物は、約4日間までまたは約5日間までの期間にわたって疼痛緩和をもたらす。
さらなる追加の態様では、アミド型局所麻酔薬を含むポリオルトエステル組成物の鎮痛または疼痛緩和効果を、有効性を増強する量のエノール酸NSAIDをそれに組み込むことによって変え、それによって、少なくとも5時間にわたって鎮痛または疼痛緩和効果を有する組成物であって、例えば、術後疼痛のin−vivoモデルで実証される形で、例えば投与後、約5〜24時間にわたって鎮痛または疼痛緩和効果の低下を必要に応じて示した後(例えば、実施例8を参照されたい)、投与後、約1日間〜2日間にわたって組成物がその鎮痛または疼痛緩和効果を維持または取り戻す期間が続き、その結果、投与後、約1〜5時間にわたって示される組成物の平均鎮痛または疼痛緩和効果の少なくとも約75%または少なくとも約50%となる長期間の鎮痛または疼痛緩和効果を、投与後、約2日間〜約5日間および必要に応じてそれを上回る期間にわたって示す組成物を提供するための方法が提供される。
組成物は、一実施形態では、測定可能な血漿濃度のアミド型またはアニリド型局所麻酔薬および/またはエノール酸NSAIDを、投与後5日間までの期間にわたってもたらすのに有効である。
特定の実施形態では、組成物は、少なくとも約80重量%またはそれを上回る両方の薬物が、約5日間または少なくとも約5日間までの期間にわたって放出されるように、組成物から、著しい部分のアミド型またはアニリド型局所麻酔薬およびNSAIDの両方、例えばブピバカインおよびメロキシカムの両方、またはロピバカインおよびメロキシカムの両方を放出するのに有効である。別の実施形態では、少なくとも約80%の両方の薬物が、約3日間の期間にわたってまたは約2日間の期間にわたって放出される。一実施形態では、両方の薬物が、少なくとも約1日間〜約5日間までの間の期間にわたって放出され、別の実施形態では、約1〜5日間または約2〜3日間の間、または少なくとも約3日間の期間にわたって放出される。ある場合には、アミド型またはアニリド型局所麻酔薬は、例えばメロキシカムなどのNSAIDをさらに含む本質的に同じ組成物とおよそ同じ量で、およそ同じ時間枠にわたって組成物から放出され得るが、組成物へのNSAIDの組込みおよび組成物からのNSAIDの放出は、組成物に対するNSAIDの効果が、相加的ではなく相乗的な性質となるように、NSAID型薬物の組込みから予想された量を上回る量だけ局所型麻酔薬の有効性を増強するのに有効である。
また、アミド型局所麻酔薬およびメロキシカムを含む組成物が徐放製剤ではない製剤が企図される。一部の実施形態では、組成物は、即時放出製剤である。即時放出製剤は、例えば投与後、約15分、30分または60分以内に麻酔薬およびメロキシカム両方の少なくとも80%を放出する。
別の態様では、アミド型またはアニリド型局所麻酔薬を、NSAID、例えばエノール酸NSAID、およびポリオルトエステルと組み合わせて含む組成物を、針から分注し、それによって、局所麻酔薬およびNSAIDの両方を組成物から制御放出することを含む処置方法であって、両方の薬物の80重量%またはそれを上回る量が約5日間の期間にわたって放出される、方法が提供される。
別の実施形態では、本明細書で提供される組成物は、局所麻酔を必要とする患者に局所麻酔をもたらす方法において使用するためのものである。この処置は、例えば、アミド型またはアニリド型局所麻酔薬、NSAID、および送達ビヒクルを含む、本明細書に記載される組成物を患者に投与することを含み、一部の実施形態では、送達ビヒクルは、ポリオルトエステルであり、NSAIDは、エノール酸NSAIDである。この方法は、適用後、長期間にわたって疼痛を低減または防止するのに有効な、麻酔薬およびNSAIDの両方の放出速度、ならびにそれぞれの付随する薬物動態プロファイルをもたらす。局所投与は、例えば、神経の近くに、硬膜外空間に、髄腔内に、または手術部位もしくは手術創もしくは非手術創に直接的に行うことができる(例えば、創傷領域への滴下注入、皮下注射または皮内注射)。創傷への皮下注射は、一部の実施形態では、局所浸潤鎮痛(LIA)によって達成される。LIAは、当初、2008年にKerrおよびKohanによって広く注目が集まって以来、人気を得つつある鎮痛技術である。この技術は、手術時の創傷全体に、しばしばアジュバント(例えば、エピネフリン、ケトロラク、オピオイド)と共に、長時間作用性の局所麻酔剤の大量の希釈溶液を浸潤させる。
一実施形態では、長期間とは、少なくとも約5日間である。別の実施形態では、長期間とは、約5日間までである。さらに別の実施形態では、長期間とは、約1日間〜少なくとも約5日間、または約1日間〜約5日間までである。さらに別の実施形態では、長期間とは、約3日間である。
この方法では、一実施形態では、両方の薬物の約80重量%またはそれよりも多い量が、約5日間の期間にわたって放出される。組成物は、一実施形態では、適用後、少なくとも約5日間にわたって著しい疼痛緩和をもたらすのに有効である。
疼痛緩和を必要とする患者に疼痛緩和をもたらすための方法が提供され、この方法は、本明細書に記載される通り組成物を提供し、長期間にわたって疼痛緩和をもたらすために、その組成物が患者に投与されるよう指示することを含む。一実施形態では、長期間とは、少なくとも約5日間である。別の実施形態では、長期間とは、約5日間までである。さらに別の実施形態では、長期間とは、約1日間〜少なくとも約5日間、または約1日間〜約5日間までである。さらに別の実施形態では、長期間とは、約3日間である。
本明細書で提供される組成物および送達系はまた、急性または慢性疼痛を管理、低減または処置するために使用することができる。組成物はまた、急性または慢性疼痛の予防的処置のために使用することができる。急性疼痛は、例えば、手術、骨折、歯科治療、熱傷もしくは切り傷、または分娩および出産と関連し得る。慢性疼痛は、例えば、頭痛、下背部痛、がん疼痛、関節炎疼痛、神経原性疼痛および心因性疼痛と関連し得る。
本明細書に記載される方法のいずれかのための投与に関しては、組成物を、標準シリンジおよび針(例えば、約16ゲージ)を用いて注射し、滴下注入し、もしくは適用することができ、または例えば、スプレーアプリケーターを用いて適用することができる。組成物は、皮下、皮内または筋肉内に注射することができる。組成物は、創傷に局所的または皮下適用することができる。組成物はまた、以下により詳説される通り、神経周囲に適用することができる。組成物は、シリンジ、注射液またはチューブディスペンサーによるものを含めた、当技術分野で公知の様々な方法を使用して適用することができる。
一態様では、アミド型局所麻酔薬およびNSAIDを含む本明細書に記載される組成物は、末梢神経ブロックとしての投与が企図される。特に、トリグリセリド粘度低下剤を含む前述の組成物は、神経ブロックとしての使用が企図される。末梢神経ブロックは、疼痛を低減するか、またはしびれ感をもたらすために、末梢神経近くまたは末梢神経内に薬剤を導入する。末梢神経ブロックの種類には、運動性、感覚的、特異的、および自律神経性ブロックが含まれるがそれらに限定されず、さらに、腕神経叢(腋窩、斜角筋、鎖骨上、鎖骨下)、個々の上肢神経ブロック(正中、橈骨、尺骨、筋皮、腋窩)、坐骨、足首、中足骨、口、大腿、膝窩、伏在、遠位、手指、深腓骨、浅腓骨、脛骨、腓腹、および伏在ブロックが含まれるが、それらに限定されない。
この態様では、神経または神経叢に隣接する位置への注射には、相対的に低粘度(例えば、室温(約25℃)で測定される場合、約5000mPa・s未満、4000mPa・s未満、3000mPa・s未満、2000mPa・s未満もしくは1000cmPa・s未満、または約250mPa・s〜5000mPa・sの間、250mPa・s〜3000mPa・sの間、500mPa・s〜5000mPa・sの間、500mPa・s〜3000mPa・sの間、1000mPa・s〜3000mPa・sの間、1000mPa・s〜4000mPa・sの間、1000mPa・s〜5000mPa・sの間、2000mPa・s〜4000mPa・sの間、1500mPa・s〜2500mPa・sの間、2500mPa・s〜3500mPa・sの間、3500mPa・s〜4500mPa・sの間、2750mPa・s〜3000mPa・sの間、3000mPa・s〜3750mPa・sの間、または3750mPa・s〜4000mPa・sの間の粘度)を有する組成物が必要である。製剤の粘度を低下させるための1つの手段は、約40wt%〜60wt%、45wt%〜55wt%、50wt%〜60wt%または50wt%〜55wt%の式Iなどのポリオルトエステル、約2%〜10%、3%〜10%、2%〜5%、3%〜5%、2%〜4%、3%〜4%または3%〜8%の極性非プロトン性溶媒、および約25wt%〜45wt%、30wt%〜45wt%、35wt%〜45wt%または35wt%〜40wt%のトリアセチンを使用して組成物を調製することである。使用され得る極性非プロトン性溶媒には、DMSOおよびNMPが含まれるが、それらに限定されない。組成物は、合計(wt%)で約1wt%〜12wt%、または約2wt%〜7wt%のアミド型局所麻酔薬およびアミド型局所麻酔薬および非ステロイド系抗炎症薬物(NSAID)をさらに含む。例えば、組成物は、1.25wt%〜10wt%のブピバカインおよび0.075wt%〜1.5wt%のメロキシカムを含むことができる。神経ブロックとして投与するための組成物を調製するために、適量のアミド−またはアミノ−アニリド型局所麻酔薬を、極性非プロトン性溶媒に溶解させ、溶解するまで混合する。一実施形態では、麻酔薬は、約60℃〜85℃の間または約70℃の温度で非プロトン性溶媒に溶解する。次に、マレイン酸などの有機酸を添加し、溶解させた後、NSAID、例えばメロキシカムを添加する。適量のポリマーおよびトリアセチンを、別個に混合し、加熱し(例えば、約60℃〜80℃の間または70℃で)、十分に混合する。次に、NSAIDおよび麻酔薬を含有する溶液を、望ましい量のポリマーおよびトリアセチンのブレンドと合わせ、次に均一になるまで高温で混合する。
アミド型局所麻酔薬およびNSAID(例えば、ブピバカインおよびメロキシカム)を含む組成物へのトリアセチンの添加は、本明細書では、組成物の粘度を低下させ、それによって、組成物を神経ブロック注射により適したものにすることが示される(例えば、実施例9および実施例13を参照されたい)。神経ブロック製剤によって放出された活性薬剤の血中レベルを測定するための研究では、薬物送達組成物の薬物動態プロファイルに対するトリアセチンの最小限の効果が示される。換言すれば、神経ブロックとして注射することができ、その粘度の低さにかかわらず、活性薬剤の徐放および対応する持続的な疼痛緩和をもたらす低粘度組成物を製剤化することによって、予想されなかった利益が得られた。特定の実施形態では、麻酔薬は、ブピバカインであり、NSAIDは、メロキシカムである。
以下の実施例は、例示的な性質のものであり、制限することを企図しない。
方法:粘度測定を、CPA−44PSYZカップを備えたブルックフィールド粘度計DV−II Proを使用して実施し、25℃または37℃で測定した。8,000cP(mPa・s)未満を有する製剤の粘度測定を、CPA−40Zスピンドルを使用して25℃で測定し、その系を、ブルックフィールド粘度標準である1,000mPa・sのシリコーン油を使用して検証した。8,000cP(mPa・s)を超える製剤の粘度測定は、CPA−52Zスピンドルを使用して評価し、ブルックフィールド粘度標準である30,000mPa・sのシリコーン油を使用して標準化した。
材料:実施例1〜13に記載される例示的な組成物のそれぞれは、80%のトリエチレングリコール(TEG)および20%のTEG−グリコリド(部分単位1つ当たり平均2つのグリコリドを含む、すなわちTEG−ジグリコリド)を含む、式Iのポリオルトエステル(POE)を含む。例えば、米国特許第8,252,305号、実施例1(d)を参照されたい。
(実施例1)
ロピバカインおよび非ステロイド系抗炎症薬物を含む組成物
式Iのポリオルトエステル、非プロトン性溶媒、ロピバカイン、およびメロキシカムを含有する組成物を、以下の表1−1に記載される量の各構成成分を用いて調製した。組成物を、NSAIDを非プロトン性溶媒におよそ80℃で溶解させ、次にロピバカインを溶解するまで加熱しながら添加して、薬物溶液を形成することによって調製した。薬物溶液を、均一になるまで高温でポリオルトエステルと混合した。
*NMP=N-メチルピロリドン、POE=ポリオルトエステル
(実施例2)
ポリオルトエステル組成物からのロピバカインおよびメロキシカムのin vitro放出
実施例1の組成物からのロピバカインおよびメロキシカムの放出を、リン酸緩衝食塩水(PBS)150mLを充填したバイアルに、実施例1のポリマー組成物50mgを入れることによって決定した。次に、バイアルをかき混ぜずに37℃でインキュベートした。24時間間隔で、PBSの試料1mLを、溶液をかき混ぜずにバイアルから取り出した。各試料をHPLCによって分析して、ロピバカインおよびメロキシカムの濃度を決定した。時間関数としての、デポー50mgからの薬物の累積放出を決定した。結果は、以下の表2−1に示されている。
(実施例3)
ブピバカインおよびジクロフェナクを含む送達系
およそ62〜63%の間の式Iのポリオルトエステル、およそ15〜20%の間の非プロトン性溶媒、10%〜15%の間のブピバカイン塩基、および6%〜7.5%のジクロフェナクを含有する組成物を調製した。組成物を、最初に、適量のジクロフェナクを適量の非プロトン性溶媒におよそ80℃で溶解させ、次にブピバカインをその溶液に溶解させることによって調製した。次に、薬物溶液を、適量のポリマーと、均一になるまで高温で混合した。例示的な組成物は、表3−1に提示されている。
*NMP=N-メチルピロリドン、POE=ポリオルトエステル
(実施例4)
ブピバカインおよびメロキシカムを含む送達系
およそ55%〜67%の間の式Iのポリオルトエステル、およそ16%〜32%の間の非プロトン性溶媒、9.9%〜15%のブピバカイン、および1.5%〜3.4%のメロキシカムを含有する組成物を調製した。組成物を、最初に、適量のNSAIDを非プロトン性溶媒におよそ80℃で溶解させ、次に適量のブピバカインを添加し、溶解するまで加熱することによって調製した。次に、薬物溶液を、適量のポリマーと、均一になるまで高温で混合した。例示的な組成物は、表4−1に提示されている。
(実施例5)
例示的な組成物からのブピバカインおよびメロキシカムのin vitro放出
実施例4に記載される組成物からのブピバカインおよびメロキシカムの放出を、リン酸緩衝食塩水150mLを含有するバイアルに、およそ50mg〜200mgのポリマー組成物を入れることによって決定した。バイアルを、60rpmで連続的に回転させることによって37℃でインキュベートした。24時間間隔で、試料1mLを、溶液の任意のさらなるかき混ぜを伴わずにバイアルから取り出した。各試料をHPLCによって分析して、ブピバカインの濃度およびメロキシカムの濃度を決定した。次に、デポーからの薬物の累積放出を計算した。データは、表5−1および5−2に示されており、3日間またはそれよりも長い長期間にわたって両方の薬物が放出されたことを示している。
(実施例6)
ブピバカイン−メロキシカム組成物のin vivo投与
in vivo薬物動態研究を、以下の通り実施した。体重60〜100kgの間のヒツジに、実施例4に記載される通り調製した以下の組成物4mLを投与した。組成物番号8026−04−03(研究1、n=6、ブピバカイン600mgおよびメロキシカム120mgを投与した)、8026−04−04(研究2、n=3、ブピバカイン400mgおよびメロキシカム30mgを投与した)または8026−04−05(研究2、n=3、ブピバカイン200mgおよびメロキシカム15.2mgを投与した)。それぞれのヒツジから、以下の時点で血漿試料を収集した。t=0(薬物投与直前)、投与後、0.5、1、3、6、および8、24、および30時間、次に3〜7日目(48〜168時間)に毎日。その後、血漿試料を、ブピバカインおよびメロキシカムについてLC/MS/MSによって分析した。
この研究から得られたデータは、図1A〜1Bに示されており、ここでブピバカインの血漿レベル(図1A)およびメロキシカムの血漿レベル(図1B)を、15wt%のブピバカイン/3wt%のメロキシカム(黒四角)、10wt%のブピバカイン/0.75wt%のメロキシカム(白丸)、および5wt%のブピバカイン/0.38wt%のメロキシカム(白三角)の3つの組成物について、各時点においてプロットする。データは、組成物が、投与後少なくとも96時間の期間にわたって、測定可能な血漿濃度のブピバカインおよびメロキシカムをもたらすことを示している。
(実施例7)
ブピバカイン−メロキシカム組成物のin vivo投与
in vivo薬物動態研究を、以下の通り実施した。体重およそ10kgのビーグル犬(n=5)に、組成物ID番号8026−04−07(実施例4)1mLを、それぞれおよそ0.5mLの2回の別個の注射により、速やかに連続投与した。それぞれ1mL用量の組成物ID番号8026−04−07は、ブピバカイン500mgおよびメロキシカム15mgを含有していた。それぞれのイヌから、以下の時点で血漿試料を収集した。t=0(薬物投与直前)、0.5、1、3、6、24時間、および5日目(120時間)まで毎日。その後、血漿試料を、ブピバカインおよびメロキシカムについてLC/MS/MSによって分析した。
この研究から得られたデータは、図2A〜2Bに示されており、組成物が、投与後少なくとも96時間の期間にわたって、測定可能な血漿濃度のブピバカインおよびメロキシカムをもたらすことを示している。
(実施例8)
ブピバカイン−メロキシカム組成物のin vivo薬力
様々な組成物を、ブタモデル系における術後の切開(術後またはPOP)疼痛を低減するそれらの能力について評価した。このモデルでは、7cmの長さの皮膚および筋膜切開を、全身麻酔下で左側腹部に行った。試験組成物または対照物質を、創傷に適用した。次に、無菌縫合糸を使用して皮膚切開部を閉じた。下記のすべての研究を、各群4匹のブタで評価した。
術後疼痛を、von Frey方法論を使用してアセスメントした。von Freyフィラメント(Ugo Basile)を、側腹部皮膚表面の切開線からおよそ0.5cmの近位に適用した。動物が刺激から退く(刺激から逃げる動作)まで、フィラメントの直径を増大させながら適用した(太い繊維ほどグラム力が高くなり、細い繊維ほどグラム力が低くなる)。各フィラメントを、3〜5回適用した。退きが生じなかった場合、より太いフィラメントを適用した。フィラメント最大力は、60gであった。退きが生じた場合、より細いフィラメントを適用した。フィラメントの太さを交互に変えることによって、退き反応が生じるのに必要なグラム力を決定し、記録した。適用した力が大きいほど、より有効な鎮痛がもたらされた。
(実施例8A)
研究1では、エノール酸NSAIDを含まない、ブピバカインまたはロピバカインを含有する組成物を評価した。15%のブピバカインを含有する延長放出ポリマー組成物を、5%のロピバカインを含有する延長放出ポリマー組成物と比較した。組成物を、実施例1に記載される手順に従って調製した。切開を行った後(n=4のブタ/群)、各試験組成物を、創傷領域の表面上に直接的に滴下注入することによって、または創傷の外側縁に皮下注射することによって投与した。用量は、生理食塩水2mL(群1)、15%のブピバカイン組成物2mL(群2および3、ブピバカイン300mgを投与した)、および5%のロピバカイン組成物1.8mL(群4および5、ロピバカイン90mgを投与した)であった。表8−1に、試験群および組成物がまとめられている。鎮痛は、前述の通り、von Frey試験における応答によって評価した。von Frey試験のベースライン(手術前の)退きスコアは、60gであった。
各試験群の動物のvon Frey応答は、図3に示されており、ここで退く力(グラム力)は、ブタへのin vivo投与後の時間(時および日)関数として示される。試験組成物は、以下の通り示される。(i)注射(縦破線入り、ブピバカイン300mg)もしくは滴下注入(縦線入り、ブピバカイン300mg)によって投与される15wt%のブピバカイン、または(ii)注射(横線入り、ロピバカイン90mg)もしくは滴下注入(網目模様入り、ロピバカイン90mg)によって投与される5wt%のロピバカイン。点々入りの棒は、生理食塩水で処理した対照群の応答を表す。ブピバカイン組成物とロピバカイン組成物の応答にほとんど差異はなく、2〜4日目に、すべての薬物処置群において感受性の増大(退きを誘発するための力がより小さい)が観測され、薬物処置を受けたブタ(群2〜5)において退きを誘発するのに必要な力は、6日目にいくらか増大した。2〜4日目に有効性が低下し、炎症が沈静した通り6日目に回復したのは、炎症媒介性の局所麻酔の失敗が理由であると仮定された。
(実施例8B)
第2の研究(研究2)を実施して、アミド型局所麻酔薬を含有する延長放出製剤を、局所麻酔薬を非ステロイド系抗炎症薬物と組み合わせて含有する製剤と比較した。5つの異なる製剤の侵害受容活性を、ブタPOPモデルで評価した。組成物は、表8−2に提示されている。ロピバカインを含有する延長放出製剤(それぞれより緩慢な放出およびより急速な放出の、群2および3)を、ブピバカイン、ならびにNSAIDであるジクロフェナクおよびメロキシカムを含有する延長放出製剤(それぞれ群4および5)と比較した。ビヒクルまたは試験物質については2mLの用量体積を、切開部の外側縁に皮下注射し、切開部を縫合糸で閉じた。前述の通り、ベースライン、術後1、3、および5時間目、ならびに1〜6日目に、von Frey法によって侵害受容をアセスメントした。
研究2の結果は、図4に示されており、ここで退く力(グラム力)は、ブタの創傷切開部へのin vivo皮下注射による投与後の時間(時および日)関数として示され、試験組成物は、以下の通り示される。(i)5wt%のロピバカインと0.6%のマレイン酸(横線入り、ロピバカイン100mg)、(ii)5wt%のロピバカインと0.2%のマレイン酸(網目模様入り、ロピバカイン100mg)、(iii)15wt%のブピバカインおよび7.5wt%のジクロフェナク(縦破線入り、ブピバカイン300mg、ジクロフェナク7.5mg)、または(iv)15wt%のブピバカインおよび3.5wt%のメロキシカム(縦線入り、ブピバカイン300mg、メロキシカム70mg)。点々入りの棒は、生理食塩水で処理した対照群の応答を表す。
(実施例8C)
第3の研究である研究3を実施して、異なる濃度のブピバカインおよびメロキシカムの2つの活性成分を含有する5つの異なる製剤を評価した。前回の研究と同様に、各製剤2mLを、1)創縁の周りの皮下注射(8回の注射、各側4回)、または2)切開によって作った創傷表面への直接適用、または3)創傷のいずれかの側の組織への注射のいずれかによって投与した。評価したパラメータおよびアセスメントのタイミングは、研究2と同じであった。表8−3に、試験した組成物が提示されている。
結果は、すべてのブピバカイン/メロキシカム組成物が、前述の研究と一致して、6日目まで良好な鎮痛を示したことを示した(データ示さず)。5%を上回るブピバカイン濃度では、著しい利益はなかった。メロキシカムの用量応答は観測されなかった。
(実施例8D)
5%のブピバカインと0.08〜0.4%の範囲の様々な濃度のメロキシカムを含有する組成物を、メロキシカム単独を含有する(すなわち、局所麻酔薬を含有していない)組成物と共に試験した。メロキシカムだけの組成物では、メロキシカムを、水/t−ブチルアルコール混合物に溶解させ、pHを11に調整した。次に、溶液を凍結乾燥させた。凍結乾燥させた適量のメロキシカムを、非プロトン性溶媒であるDMSOにおよそ80℃で溶解させた。次に、得られた薬物溶液を、適量のポリマーと均一になるまで高温で混合した。さらに、メロキシカムを伴うおよび伴わない、5%のロピバカインを含有する組成物も評価して、他の局所麻酔薬に対してメロキシカムおよびブピバカインの相乗効果が延長されたかどうかを決定した。
表8−4には、試験組成物および群の割当てが提示されている。すべての試験組成物を、総用量2mLでブタの切開部の両側に皮下注射として投与した(8回の注射、各側4回)。評価したパラメータおよびアセスメントのタイミングは、研究2と同じであった。
結果は、図5A〜5Bに示されており、ここで退く力(グラム力)は、試験製剤の投与後の時間(時および日)関数として示され、これらの製剤は以下の通り示される。ポリオルトエステル送達ビヒクル、ならびに5wt%のブピバカインと0.08wt%のメロキシカム(縦破線入り、ブピバカイン100mg、メロキシカム1.6mgを投与した)、5wt%のブピバカインと0.19wt%のメロキシカム(縦線入り、ブピバカイン100mg、メロキシカム3.8mgを投与した)、および5wt%のブピバカインと0.3wt%のメロキシカム(横線入り、ブピバカイン100mg、メロキシカム3mgを投与した)との組合せから構成された組成物、ポリオルトエステル送達ビヒクルおよび0.16wt%のメロキシカム単独(点々入り、メロキシカム3.2mgを投与した)から構成された組成物(図5A)、ならびにポリオルトエステル送達ビヒクルおよび5wt%のロピバカインと0.38wt%のメロキシカムの組合せ(網目模様入り、ロピバカイン100mg、メロキシカム7.6mgを投与した)、または5wt%のロピバカイン単独(模様なし、白棒、ロピバカイン100mgを投与した)から構成された組成物(図5B)。
(実施例9)
ブピバカインおよびメロキシカム、ならびに粘度低下トリグリセリドを含むポリマー組成物
実施例4において8026−04−07と識別された組成物を、30%のトリアセチン(グリセロールトリアセテート)を含むように調製し、識別番号8026−09−01を割り当てた。トリアセチン含有組成物の粘度を、前述の方法に関する節に記載される通り測定すると、25℃で7,115mPa・sであった。トリアセチンを含まない類似の組成物の粘度は、前述の方法に関する節に記載される通り測定される場合、25℃でおよそ75,000mPa・sであった。
トリグリセリド粘度低下剤を含む組成物を、イヌの薬物動態研究において、トリグリセリド粘度低下剤を含まない組成物と比較した。in vivo薬物動態研究を、以下の通り実施した。体重およそ10kgのビーグル犬(n=5)に、識別番号8026−04−07の組成物1mLを、およそ0.5mLの2回の別個の注射により投与した(ブピバカイン50mg、メロキシカム1.5mgを投与した)。別の組の、やはり体重およそ10kgのビーグル犬(n=5)に、識別番号8026−09−01の組成物1.3mLを、それぞれおよそ0.65mLの2回の別個の注射により投与した(合計1.3mL、ブピバカイン50mg、メロキシカム1.5mgを投与した)。それぞれのイヌから、以下の時点で血漿試料を収集した。t=0(薬物投与直前)、投与後、1、3、6、8、24、および34〜36時間、次に3〜7日目(48〜168時間)に毎日。その後、血漿試料を、ブピバカインおよびメロキシカムについてLC/MS/MSによって分析した。
研究から得られたデータは、図6A〜6Bに示されている。データは、組成物が、トリグリセリド粘度低下剤を含まない組成物(三角)と比較して、トリグリセリド粘度低下剤を含む組成物(白丸)と非常に類似した、Cmaxがごくわずかに増大する血漿PKプロファイルをもたらすことを示している。
(実施例10)
ブピバカインおよびメロキシカム、ならびに粘度低下剤を含むポリマー組成物
およそ40%〜60%の間の式Iのポリオルトエステル、およそ3%〜10%の間の極性非プロトン性溶媒(NMPまたはDMSO)、2.5%〜5.0%のブピバカイン、および0.075%〜0.15%のメロキシカムを含有する組成物を調製した。組成物を、ブピバカインを非プロトン性溶媒におよそ80℃で溶解させ、溶解するまで混合することによって調製した。次に、マレイン酸を添加し、溶解させた後、メロキシカムを添加し、溶解するまで混合し続けて、薬物溶液を形成した。別個に、ポリマーおよびトリアセチン(グリセロールトリアセテート)を合わせ、70℃に加熱し、次に十分に混合した。次に、薬物溶液を、ポリマーおよびトリアセチンのブレンドと高温で合わせ、均一になるまで混合した。組成物の粘度を、前述の方法に関する節に記載される通り測定した。例示的な組成物は、表10−1に提示されている。
トリグリセリド粘度低下剤であるトリアセチンをこれらの組成物に添加すると、トリグリセリド粘度低下剤を含まない組成物と比較して、粘度が10分の1以下、20分の1以下もしくは40分の1以下、またはそれよりも低い粘度に低下した。
(実施例11)
トリグリセリド粘度低下剤を含む組成物からのブピバカインおよびメロキシカムのin vitro放出
実施例10の組成物からのブピバカインおよびメロキシカムの放出を、リン酸緩衝食塩水200mLを入れたバイアルにポリマー組成物100mg(およそ50mg〜200mg)を入れることによって決定した。バイアルを、振とう機で60RPMにおいて37℃でインキュベートした。24時間間隔で、試料1mLを、溶液をかき混ぜずにバイアルから取り出した。各試料をHPLCによって分析して、ブピバカインおよびメロキシカムの濃度を決定した。次に、デポーからの薬物の累積放出を計算したものを、表11−1および11−2に示す。
(実施例12)
ブピバカインおよびメロキシカム、ならびにトリグリセリド粘度低下剤を含む送達系のin vivo分析
in vivo薬物動態研究を、以下の通り実施した。体重およそ10kgのビーグル犬(n=5)に、識別番号8026−10−03および8026−10−05の組成物2mLを、それぞれおよそ1mL(ブピバカイン50mgおよびメロキシカム3mgを含有する)の2回の別個の注射により投与した。それぞれのイヌから、以下の時点で血漿試料を収集した。t=0(薬物投与直前)、0.5、1、3、6、24時間、および5日目(120時間)まで毎日。その後、血漿試料を、ブピバカインおよびメロキシカムについてLC/MS/MSによって分析した。
研究から得られたデータは、図7A〜7Bに示されている。組成物は、投与後、少なくとも96時間の期間にわたって、測定可能な血漿濃度のブピバカイン(図7A)およびメロキシカム(図7B)をもたらした。ここで35wt%のトリアセチンを含む組成物(8026−10−03)は、三角によって示され、30wt%のトリアセチンを含む組成物(8026−10−05)は、白丸によって表される。
(実施例13)
神経ブロックとしての組成物のin vivo使用
本明細書に記載される通り、アミド型局所麻酔薬、例えばブピバカインおよびNSAIDの組合せが、神経ブロック手順を用いる局所麻酔に使用できるかどうかを決定するための研究を実施した。神経周囲注射を実施するために、実施例10に記載されているものなどの低粘度製剤を評価した。
組成物の有効性を、von Freyアッセイを使用して試験したが、これらの研究では、術後疼痛研究と比較して、切開は行わなかった。各組成物4グラムを、動物4匹のそれぞれに注射し、ブタの一方の側腹部の坐骨神経近くに投与した。以下の表13−1は、各動物に注射した組成物の概要を提示している。
神経ブロックのアセスメント:神経ブロックの度合いをアセスメントするために、von Freyフィラメント(Ugo Basile)を、足背の線源表面に適用する。フィラメントのグラム数が増大するにつれて、足背皮膚への力が増大する。最大力は300gである。動物が刺激から退くまで、フィラメントを適用する。各フィラメントを、3〜5回適用する。退きが生じない場合、より太いフィラメントを適用する。退きが生じる場合、より細いフィラメントを適用する(より太いまたはより細いとは、より高い/より太いまたはより低い/より細いグラム力を指す)。フィラメントの太さを交互に変えることによって、退き反応が生じるのに必要な力を決定し、記録する。退き反応は、足を持ち上げ、刺激から逃げる動作とみなされる。
von Freyアッセイの結果は、図8に提示されており、ここで退く力(グラム力)は、2.5wt%のブピバカイン単独(群4、8026−13−01、縦破線入り、ブピバカイン50mgを投与した)、2.5wt%のブピバカイン、0.075wt%のメロキシカムおよび0.15%のマレイン酸(群3、8026−10−01、縦線入り、ブピバカイン50mgおよびメロキシカム1.5mgを投与した)、2.5wt%のブピバカイン、0.075wt%のメロキシカムおよび0.10wt%のマレイン酸(群5、8026−10−02、横線入り、ブピバカイン50mgおよびメロキシカム1.5mgを投与した)、または0.5wt%のブピバカインHClの溶液5mL(模様なし、白棒、群2、ブピバカイン25mgを投与した)を含有する、ポリオルトエステル送達ビヒクルから構成された組成物2gmをブタにin vivo投与した後の、時間(時および日)関数として示される。点々入りの棒は、生理食塩水で処理した対照群の応答を表す。
(実施例14)
グラニセトロンおよびトリグリセリド粘度低下剤を含む組成物の調製
およそ65wt%〜88wt%の間の式Iのポリオルトエステル、およそ5wt%〜10wt%の間の極性非プロトン性溶媒(NMPまたはDMSO)、およそ0wt%〜20wt%の間のトリアセチン、およびおよそ2wt%のグラニセトロンを含有する組成物を調製した。組成物を、グラニセトロンを非プロトン性溶媒におよそ80℃で添加し、溶解するまで混合して、薬物溶液を形成することによって調製した。別個に、ポリマーおよびトリアセチン(グリセロールトリアセテート)を合わせ、70℃に加熱した後、十分に混合した。次に、薬物溶液を、ポリマーおよびトリアセチンのブレンドと70℃で合わせ、均一になるまで混合した。比較のために、15%の極性非プロトン性溶媒からなるグラニセトロン製剤を調製した。
組成物の粘度を、前述の方法に関する節に記載される方法を使用して、25℃および37℃で測定した。結果は、表14−1に示されている。トリアセチンを組成物に添加すると、25℃で測定される場合、粘度が約5分の1以下(8026−14−06と8026−14−03を比較)、約7分の1以下(8016−14−01と8026−14−02を比較)、約20分の1以下(8026−14−04と8025−14−03を比較)または約90分の1以下(8026−14−05と8026−14−03を比較)に低下した。トリアセチンを組成物に添加すると、37℃で測定される場合、粘度が約5分の1以下(8026−14−01と8026−14−02を比較し、8026−14−03と8026−14−03を比較)、約30分の1以下(8026−14−05と8026−14−03を比較)に低下した。
(実施例15)
グラニセトロンおよびトリグリセリド粘度低下剤を含む組成物のin vitro放出
実施例14の組成物からのグラニセトロンの放出を、リン酸緩衝食塩水150mLを入れたバイアルに、各組成物200mgを入れることによって決定した。次に試料を、最初の24時間にわたって、振とう機で60RPMにおいて37℃でインキュベートし、次に50℃で120時間インキュベートした。24時間間隔で、試料1mLを、溶液をかき混ぜずにバイアルから取り出した。各試料をHPLCによって分析して、グラニセトロンの濃度を決定した。各デポーからの薬物の累積放出を計算したものを、表15−1に示す。
組成物は、少なくとも約3日間または少なくとも約4日間にわたってグラニセトロンを放出した。トリアセチンを含まない組成物番号8026−14−03および10%のトリアセチンを含む8026−14−04を比較した場合に見られる通り、組成物の粘度を低下させるためにトリアセチンを添加しても、トリアセチンを含まない類似の組成物と比較して、グラニセトロンのin vitro放出は変わらなかった。トリアセチン組成物(25℃で17分の1の低い粘度を有していた)からのグラニセトロンの放出は、トリアセチンを含まない類似の組成物によって提供されるグラニセトロンの累積放出の10%以内であった。同様に、8026−14−01(トリアセチンを含まない)および8026−14−02(10wt%のトリアセチンを含む)を比較すると、25℃で7分の1の低い粘度を有するトリアセチン含有組成物が、24時間、72時間および96時間の時点において、トリアセチンを含まない組成物によって提供された放出の約15%以内の速度で、グラニセトロンを放出したことが明らかである。
(実施例16)
ヘルニア縫合から生じる疼痛の処置
ブピバカインおよびメロキシカムを含む医薬組成物を、片側直視下鼠経ヘルニア修復の待機的手術を受ける計画の患者に投与する臨床研究を実施する。この研究は、第2相無作為化プラセボ対照の多施設研究として設計する。28日間のスクリーニング期間の後、研究は、4日間にわたって疼痛およびオピオイドの使用に関して対象を追跡し、次に28日間の術後来診を設ける。
本明細書に記載される製剤、例えば前述の実施例10の表10−1に記載される製剤を評価する。この実施例に記載される投与は、ブピバカインの用量に関して記載されるが、別段の注記がない限り、この研究で使用した製剤は、表10−1に特定される通り、ブピバカインおよびメロキシカムの両方を含有している。対照として、生理食塩水を使用する。この研究には、およそ90人の患者が登録される。非常に重要な除外基準には、臨床的に著しい腎臓もしくは肝臓の異常(ASTまたはALT>3×ULN、クレアチン>2×ULN)および慢性疼痛状態のための鎮痛薬の現在の使用、手術から3日以内の長時間作用性オピオイドの使用、または手術から24時間以内の任意のオピオイドの使用が含まれる。疼痛を制御するためのオピオイド救急薬は、必要に応じて術後に許可される。次に、群ごとの平均疼痛強度を、群ごとに経時的にグラフ化する。さらに、ブピバカインおよびメロキシカムの血漿レベルを、投与後、120時間(例えば、投与後、1、2、4、6、8、10、12、16、24、30、36、48、60、72、96および120時間)にわたって測定する。そのデータを使用して、例えば、AUCinf(ng・時間/mL)、AUClast(ng・時間/mL)、Cmax(ng/mL)、半減期(時間)およびTmax(時間)を決定する。
手術の終了時に、患者は、ブピバカインおよびメロキシカムを含む組成物(ブピバカインの用量は、組成物の注射により、約200mg)(群1)、ブピバカインおよびメロキシカムを含む組成物(ブピバカインの用量は、組成物の滴下注入により、約200mg)(群2)、ブピバカインおよびメロキシカムを含む組成物(ブピバカインの用量は、組成物の注射により、約400mg)(群3)、ブピバカインおよびメロキシカムを含む組成物(ブピバカインの用量は、組成物の滴下注入により、約400mg)(群4)、唯一の活性薬剤としてブピバカインを含む組成物(ブピバカインの用量は、注射により、400mg)(群5)、唯一の活性薬剤としてメロキシカムを含む組成物(メロキシカムの用量は、群3または4で注射により投与される用量と同じ)(群6)、および/または生理食塩水の注射(群7、対照)を投与される。滴下注入は、切開領域の表面上に直接的に投与され、注射は、切開部の外側縁に皮下注射される。疼痛は、疼痛なしが0であり、起こり得る最悪の疼痛が10である1〜10の尺度のnumerical pain rating scale(NPRS)によってアセスメントする。各群の患者は、製剤投与後の様々な時点(例えば、2、4、6、8、10、12、14、18、24、30、36、42、48、54、72、78、84および96時間)で疼痛をアセスメントするよう求められる。
主要有効性エンドポイントは、活性アームと生理食塩水プラセボ間で24時間にわたる積算疼痛強度(SPI)(SPI0−24)を比較することによってアセスメントされる通り、投与後の疼痛制御の規模および期間である。エンドポイントには、24時間および72時間にわたるNPRSスコアの平均曲線下面積(AUC0−24、AUC0−72)、さらなる時間間隔による積算疼痛強度(SPI0−48、SPI0−72、SPI0−96)、オピオイドを用いなかった患者の割合、ならびにオピオイドの総消費量(処置後24、48、72および96時間)が含まれ得る。有効性エンドポイントは、適宜、ANOVA、カイ二乗試験、およびログ−ランク試験を使用して分析する。PIスコアが欠損している任意の時点については、Last Observation Carried Forward(LOCF)を使用する。
製剤および投与量は、研究群(群1〜6)のPIスコアが、統計的に対照群(群7)のPIスコア未満である場合に、治療上有効であるとみなされる。治療有効性は、例えば、1〜2日間、1〜3日間、1〜4日間、1〜5日間、1〜7日間、1〜8日間、1〜10日間、1〜12日間または1〜14日間の期間にわたって生じ得る。換言すれば、治療有効性は、ブピバカイン用量が200mgまたは400mgである、ブピバカインおよびメロキシカムを含有する製剤の投与後、およそ24、36、48、60、72、84、96、108、または120時間にわたって観測される。治療有効性(疼痛の低減)は、治療有効性が生じる期間にわたって、ブピバカインの血漿レベルに正比例し得る。ブピバカインおよびメロキシカムを含む組成物の治療有効性は、唯一の活性成分としてブピバカインを含む組成物、および/または唯一の活性成分としてメロキシカムを含む組成物の治療有効性を上回る。
(実施例17)
バニオン切除術から生じる疼痛の処置
ブピバカインおよびメロキシカムを含む医薬組成物を、バニオン切除術を受ける計画の患者に投与する臨床研究を実施する。この研究は、第2相無作為化プラセボ対照の多施設研究として設計する。28日間のスクリーニング期間の後、研究は、4日間にわたって疼痛およびオピオイドの使用に関して対象を追跡し、次に28日間の術後来診を設ける。
本明細書に記載される製剤、例えば前述の実施例10の表10−1に記載される製剤を評価する。この実施例に記載される投与は、ブピバカインの用量に関して記載されるが、別段の注記がない限り、この研究で使用した製剤は、表10−1に特定される通り、ブピバカインおよびメロキシカムの両方を含有している。対照として、生理食塩水を使用する。この研究には、およそ90人の患者が登録される。疼痛を制御するためのオピオイド救急薬は、必要に応じて術後に許可される。次に、群ごとの平均疼痛強度を、群ごとに経時的にグラフ化する。さらに、ブピバカインおよびメロキシカムの血漿レベルを、投与後、120時間(例えば、投与後、1、2、4、6、8、10、12、16、24、30、36、48、60、72、96および120時間)にわたって測定する。そのデータを使用して、例えば、AUCinf(ng・時間/mL)、AUClast(ng・時間/mL)、Cmax(ng/mL)、半減期(時間)およびTmax(時間)を決定する。
バニオン切除術の終了時に、患者は、以下の1つまたは複数の組成物を投与される。ブピバカインおよびメロキシカムを含む組成物(ブピバカインの用量は、縫合部位周辺への組成物の注射により、約120mg)(群1)、ブピバカインおよびメロキシカムを含む組成物(ブピバカインの用量は、術後の開放創を介する組成物の注射により、約120mg)(群2)、唯一の活性薬剤としてブピバカインを含む組成物(ブピバカインの用量は、開放創を介する手術部位周辺への組成物の注射により、120mg)(群3)、唯一の活性薬剤としてメロキシカムを含む組成物(メロキシカムの用量は、群1または2で、開放創を介する手術部位周辺への組成物の注射により投与される用量と同じ)(群4)、閉じた創傷周辺への生理食塩水の注射(群5、プラセボ)。疼痛は、疼痛なしが0であり、起こり得る最悪の疼痛が10である1〜10の尺度のnumerical pain rating scale(NPRS)によってアセスメントする。各群の患者は、製剤投与後の様々な時点(例えば、2、4、6、8、10、12、14、18、24、30、36、42、48、54、72、78、84および96時間)で疼痛をアセスメントするよう求められる。
主要有効性エンドポイントは、活性アームと生理食塩水プラセボ間で24時間にわたる積算疼痛強度(SPI)(SPI0−24)を比較することによってアセスメントされる通り、投与後の疼痛制御の規模および期間である。エンドポイントには、24時間および72時間にわたるNPRSスコアの平均曲線下面積(AUC0−24、AUC0−72)、さらなる時間間隔による積算疼痛強度(SPI0−48、SPI0−72、SPI0−96)、オピオイドを用いなかった患者の割合、ならびにオピオイドの総消費量(処置後24、48、72および96時間)が含まれ得る。有効性エンドポイントは、適宜、ANOVA、カイ二乗試験、およびログ−ランク試験を使用して分析する。PIスコアが欠損している任意の時点については、Last Observation Carried Forward(LOCF)を使用する。
製剤および投与量は、研究群(群1〜5)のPIスコアが、統計的にプラセボ群(群5)のPIスコア未満である場合に、治療上有効であるとみなされる。治療有効性は、例えば、1〜2日間、1〜3日間、1〜4日間、1〜5日間、1〜7日間、1〜8日間、1〜10日間、1〜12日間または1〜14日間の期間にわたって生じ得る。換言すれば、治療有効性は、ブピバカイン用量が200mgまたは400mgである、ブピバカインおよびメロキシカムを含有する製剤の投与後、およそ24、36、48、60、72、84、96、108、または120時間にわたって観測される。治療有効性(疼痛の低減)は、治療有効性が生じる期間にわたって、ブピバカインの血漿レベルに正比例し得る。ブピバカインおよびメロキシカムを含む組成物の治療有効性は、唯一の活性成分としてブピバカインを含む組成物、および/または唯一の活性成分としてメロキシカムを含む組成物の治療有効性を上回る。
さらに、本発明の臨床研究では、ブピバカインおよびメロキシカムの両方を含有する製剤を、等用量のブピバカイン単独の投与と比較した場合、治療有効性が大きく増大することを実証する。
さらに、本発明の臨床研究では、ブピバカインおよびメロキシカムの両方を含有する製剤を、等用量のブピバカイン単独の投与と比較した場合、治療有効性が大きく増大することを実証する。
一実施形態において、例えば、以下の項目が提供される。
(項目1)
送達系、アミド型局所麻酔薬、およびメロキシカムを含む医薬組成物であって、前記組成物が、水ベースの組成物であり、前記アミド型局所麻酔薬およびメロキシカムが、前記組成物中に約15:1〜50:1の範囲の比で存在する、医薬組成物。
(項目2)
前記アミド型局所麻酔薬が、ブピバカインである、項目1に記載の組成物。
(項目3)
前記アミド型局所麻酔薬が、ロピバカインである、項目1に記載の組成物。
(項目4)
前記アミド型局所麻酔薬が、前記組成物中に約0.1〜8.0wt%の範囲の量で存在し、前記メロキシカムが、前記組成物中に約0.005wt%〜1wt%の範囲の量で存在する、項目1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
(項目5)
前記アミド型局所麻酔薬が、前記組成物中に約0.1〜0.5wt%の範囲の量で存在し、前記メロキシカムが、前記組成物中に約0.005wt%〜0.1wt%未満の範囲の量で存在する、項目1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
(項目6)
前記送達系が、即時放出送達系である、項目1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
(項目7)
前記送達系が、粘度計を使用して37℃で測定される場合、10000mPa・s未満の粘度を有する、項目1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
(項目8)
前記局所麻酔薬が、約1時間〜48時間の期間にわたって前記組成物から放出される、項目1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
(項目9)
鎮痛または疼痛緩和を必要とする対象に鎮痛または疼痛緩和をもたらすための方法であって、前記対象に、項目1〜8のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、方法。
(項目10)
疼痛を管理することを必要とする対象の疼痛を管理するための方法であって、前記対象に、項目1〜8のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、方法。
(項目11)
対象の疼痛の予防的処置のための方法であって、前記対象に、項目1〜10のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、方法。
(項目12)
前記投与が、筋肉内、皮下、神経周囲における、または創傷に対するものである、項目8〜11のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
前記疼痛が、急性疼痛または慢性疼痛である、項目8〜12のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
前記組成物または送達系が、手術創に投与される、項目8〜13のいずれか一項に記載の方法。
(項目15)
前記疼痛が、術後疼痛である、項目8〜14のいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
前記組成物が、投与後、約1日間〜約5日間の期間にわたって疼痛緩和をもたらす、項目8〜14のいずれか一項に記載の方法。
(項目17)
前記組成物が、投与後、約1時間〜48時間の期間にわたって疼痛緩和をもたらす、項目8〜14のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
前記組成物または送達系が、神経ブロックとして投与される、項目8〜17のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
前記組成物または送達系が、末梢神経ブロックとして投与される、項目8〜17のいずれか一項に記載の方法。