JP2019504157A - 新規な酢酸セルロース含有可塑化組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、酢酸セルロースおよび可塑剤を含んでなる組成物、その製造方法およびその使用に関する。
例えばUS1,930,069には、セルロースの有機誘導体および可塑剤を含有するプラスチック材料からの可塑剤の浸出の傾向は、その中に比較的少ない割合の適当な樹脂(例えば合成樹脂)を混合することにより低減できることが記載されている。
従って、本発明は、
・酢酸セルロース(CA)、
・酢酸デンプン(SA)および
・少なくとも1つの可塑剤
を含んでなる組成物であって、酢酸セルロースは酢酸セルロース、酢酸デンプンおよび可塑剤の総重量に対して少なくとも50重量%の量で存在し、前記した少なくとも1つの可塑剤は酢酸セルロース、酢酸デンプンおよび可塑剤の総重量に対して最大18重量%の量で存在する、組成物に関する。
(a)本発明の組成物を供給する工程、および
(b)例えば押出しおよび射出成形により、組成物を付形して物品を製造する工程
を含む、可塑化物品の製造方法に関する。
本明細書において、(「空気への移行」とも称する)「浸出」とは、物質が原初のマトリックスから放出されることを意味する。より具体的には、本発明の概念では、20時間より長い時間にわたって酢酸セルロースマトリックスから可塑剤が放出された場合に、浸出と記載され得る。酢酸セルロースマトリックスから浸出され得る可塑剤の量の測定は、60℃、20時間の等温熱重量分析(I−TGA)により実施でき、これは、より具体的には実施例において説明する。
デンプンは、自然界に豊富で安価なバイオポリマーである。デンプンは、線状α−D−グルカンアミロースおよび高分岐アミロペクチンからなる。
酢酸デンプンはデンプンの酢酸エステルである。
酢酸セルロースはセルロースの酢酸エステルである。
本発明では、用語「酢酸セルロース」とは、1.0〜3.0の範囲の置換度(DS)まで有機酸によりアセチル化された、常套の木材パルプ、コットンまたは他のセルロース材料を意味する。
本発明の組成物は少なくとも1つの可塑剤を含んでなる。
可塑剤の中でも、下記可塑剤を挙げることができる:(グリセリルトリアセテートとしても知られている)トリアセチン、(グリセリルトリプロピオネートとも称される)トリプロプリオニン、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ジメチルフタレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、ジエチルシトレート、ジ−2−メトキシエチルフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、スルホンアミド n−エチル−o,p−トルエン、トリフェニルホスフェート、トリクレシルホスフェート、ジブトキシエチルフタレート、ジアミルフタレート、トリエチルシトレート、エチル o−ベンゾイルベンゾエート、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、アセチルトリプロピルシトレート、トリプロピオニン、トリブチリン、o,p−トルエンスルホンアミド、ペンタエリスリトールテトラアセテート、ジブチルタートレート、ジエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジプロピオネート、ジブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジブチルアゼレート、トリクロロエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、ジ−n−ブチルセバケート、ジメチルセバケート、ジオクチルセバケート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ブチルベンジルフタレート、2−エチルヘキシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、トリ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール、(ジオキソチオランまたは2,3,4,5−テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキサンとしても知られている)スルホランおよびそれらの混合物。
先に記載した通り、本発明は、
・酢酸セルロース、
・酢酸デンプンおよび
・少なくとも1つの可塑剤
を含んでなる組成物であって、酢酸セルロースは酢酸セルロース、酢酸デンプンおよび可塑剤の総重量に対して少なくとも50重量%の量で存在し、前記した少なくとも1つの可塑剤は酢酸セルロース、酢酸デンプンおよび可塑剤の総重量に対して最大18重量%の量で存在する、組成物に関する。
これは、実施例において明らかに示されている。
追加の化合物の中でも、例えば用途に応じて、酢酸セルロースおよび/または酢酸デンプンの調製に通常使用されている他の任意の添加剤としての、抗UV化合物またはUV吸収剤、(酸化防止剤、フェノール化合物およびホスファイト化合物を包含する)熱安定剤、〔ヒンダードアミン光安定剤(HALS)を包含する〕光安定剤、酸掃去剤、潤滑剤、顔料、染料、臭気マスク剤、増白剤およびそれらの混合物を挙げることができる。
先に説明したように、本発明の組成物は、少なくとも下記からなる興味深い妥協をもたらす:
・可塑剤の浸出現象を回避すること;
・CA含有材料の用途における最高使用温度を高めること;および
・材料の(特に弾性ヤング率に関する)レオロジー的および機械的特性を変えずに製造方法における酢酸セルロースの導入(適当な粘度範囲のような加工性)を可能にすること。
1.可塑剤の浸出
この特性は、所定の温度(通常は周囲温度より高い温度、より具体的には30〜180℃、より好ましくは40〜120℃、更により好ましくは50〜80℃、最も好ましくは55〜65℃、例えば60℃)、所定の時間(通常は数時間、より具体的には1時間〜170時間、より好ましくは5時間〜48時間)での等温熱重量分析(I−TGA)による方法を実施することにより測定できる。
I−TGAにより、経時的にポリマーマトリックスから移行し得る可塑剤の量を測定できる。これは、ポリマーマトリックスからの可塑剤の加速された浸出を観察し、異なるタイプの可塑剤の挙動の違いを同定する一般的な方法である。
これらの測定結果は、明らかに同じ時間−温度条件下で比較のCA/TA二成分混合物を用いて得られた結果と比較できる。
後述の実施例4では、比較のCA/TA二成分混合物と比べた、本発明の三成分混合組成物の浸出に対する耐性の定量的評価を示す。
この特性は、以下に説明する方法を実施することにより測定できる。
CA/SA/TA三成分混合物を含んでなる本発明の組成物は、マイクロコンパウンダーを用い、溶融押出により製造できる。
工程中、印加された(「プラトーでの力」とも称される)軸力は、力検出セルによって記録することができる。この力は、材料粘度および組成物加工性の指標である。
典型的には、本発明の組成物のプラトーでの力は、1000N〜6000N、好ましくは2000N〜5000Nの範囲であり、より好ましくは4800Nである。
後述の実施例1では、製造方法におけるCAの導入が、比較のCA/TA二成分混合物と比べて、本発明の三成分混合物について促進されることを示す。
この特性は、本発明の三成分混合組成物CA/SA/TAおよび比較の二成分混合物CA/TA組成物のDMTA(動的機械的熱分析)サーモグラムを実施することにより測定できる。
線形応答ドメインにてDMTA RSA II Rheometrics Scientificを使用できる。
弾性率E'(ヤング率)が1GPaより大きいままとなるまでの温度を測定し、用途における最高使用温度を評価する。
典型的には、本発明の組成物を用いた場合のCA含有材料の用途における最高使用温度は、少なくとも50℃、好ましくは50℃〜140℃の範囲であり、より好ましくは100℃より高い。
換言すると、本発明の組成物は、同量の可塑剤を含むCA/TA二成分混合物より10%〜100%高い、好ましくは同量の可塑剤を含むCA/TA二成分混合物より30%〜90%高い用途における最高使用温度をもたらす。
後述の実施例3では、CA/TA二成分混合物と比べた、本発明の組成物から作製された物質の運転温度範囲の改善能を示す。
異なった機械的特性を、射出成形技術から得た本発明の三成分混合物のプレートについて測定できる。これらの特性は、以下の特定の測定に関し得る:
・ISO標準527-1および527-2に準じた室温での引張試験。引張試験により、ヤング率のような機械的パラメーターが得られる。
これらの測定結果は、明らかに同じ実験条件下で得られた比較の混合物、例えば70/30または85/15などの比較のCA/TA二成分混合物を用いて得られた結果と比較することもできる。
典型的には、本発明の組成物は、90/5/5、85/5/10、85/10/5、80/5/15、80/10/10、80/15/5、75/10/15、75/15/10、75/20/5、70/15/15、70/20/10、70/25/5、65/20/15、65/25/10、65/30/5、60/25/15、60/30/10、60/35/5、50/45/5、50/40/10、50/35/15のCA/SA/可塑剤の重量比を有する。
後述の実施例4では、比較のCA/TA二成分混合物と比べた、本発明の三成分混合物の機械的特性(例えば弾性ヤング率)の測定を示す。
機械的特性はまた、以下の特定の測定に関し得る:
・ISO標準179/1eAに準じた室温でのノッチ付きシャルピー衝撃試験。シャルピー衝撃試験により、耐衝撃性のようなパラメーターが得られる。
これらの測定結果は、明らかに同じ実験条件下で得られた比較の混合物、例えば70/30または85/15などの比較のCA/TA二成分混合物を用いて得られた結果と比較することもできる。
例えば、幾つかの特定の三成分混合物、特に75/10/15〜65/20/15の範囲であり、例えば75/10/15、70/15/15または65/20/15、最も好ましくは70/15/15である重量比を有する三成分混合物により、同じ量の可塑剤を含むCA/TA二成分混合物と比べて同等の耐衝撃性が、本発明の組成物にもたらされる。
典型的には、75/10/15〜65/20/15の範囲の重量比を有する本発明の三成分混合物の耐衝撃性は、1〜5kJ/m2の範囲である。
より具体的には、70/15/15の本発明の三成分混合物の耐衝撃性は、3.0〜4.0kJ/m2、より好ましくは3.1〜3.9kJ/m2、更により好ましくは3.2〜3.8kJ/m2、特により好ましくは3.3〜3.8kJ/m2の範囲であり、典型的には3.5kJ/m2である。
後述の実施例4では、比較のCA/TA二成分混合物と比べた本発明の三成分混合物の機械的特性(例えば耐衝撃性)の測定を示す。
本発明の組成物は、当業者に公知の方法で製造できる。
可塑剤は液体または固体であってよい。
本発明の組成物の製造は、単に、上記した少なくとも1つの追加の化合物を場合により伴った酢酸セルロース、酢酸デンプンおよび可塑剤の混合物の溶融手段による直接導入からなる。より正確には、本発明の組成物の製造は、溶融酢酸セルロース、酢酸デンプン、可塑剤、および少なくとも1つの追加の化合物を混合することからなる。処理温度は好ましくは140〜240℃の範囲に設定され得る。
(a)本発明の組成物を供給する工程、および
(b)組成物を付形して物品を製造する工程
を含む、可塑化物品の製造方法にも関する。
処理される方法に応じて、酢酸セルロース、酢酸デンプンおよび少なくとも1つの可塑剤を含有する本発明の組成物は、多種多様な用途(例えばフィルム、膜または繊維、および3D物体)に使用できる。
「…と…の間」および「…〜…の範囲」という表現は、特に記載のない限り、境界を含むものとして理解されるべきである。
「最大…」および「少なくとも…」という表現は、特に記載のない限り、境界を含むものとして理解されるべきである。
本発明の組成物についての下記実施例は、限定ではなく、説明の目的のためのものである。
本明細書中に参照して組み込まれている特許、特許出願および刊行物の開示が、用語が不明瞭になり得る程度に本明細書の記載と矛盾する場合は、本明細書の記載が優先される。
実施例1:スクリーニングスケール(約10gの物質)での本発明の三成分混合物および比較の二成分混合物の溶融押出しによる製造
CA/SA/TA三成分混合物を含有する本発明の3つの組成物(C1、C2およびC3)並びに2つの比較の二成分混合物CA/TA(C4およびC5)を、マイクロコンパウンダーを用いて溶融押出しにより製造した。
後述の表1に示すように、本発明の組成物に関して、特定のアミロース含量、特定のDSおよび溶液中比粘度を有する3種のSA(SA1、SA2およびSA3)並びに特定のDSを有する1種のCA(CA1)を使用した。より具体的には、CA1は、Solvay社によりRhodia Acetol(登録商標)の商品名で販売されている酢酸セルロースであり、TAはEastman Chemical社によりEastman(商標)Triacetinの商品名で販売されているトリアセチンである。
比較の二成分混合物CA/TAに関して、本発明の三成分混合物に使用したものと同じCA(即ちCA1)および同じTAを使用した。
まず、全成分、即ちCA粉、場合によりSA、トリアセチン液体可塑剤を正確な比で乾燥混合し、次いで、溶融混合のためにマイクロコンパウンダーに導入して三成分混合物を得た。
本発明の三成分混合物および比較の二成分混合物の各重量比を、表1に示す。
例えば、10gの物質を製造する場合、重量比50/35/15を有する本発明の三成分混合物を得るために、5gのCA、3.5gのSAおよび1.5gのTAを使用した。
同様に、10gの物質を製造する場合、重量比70/30を有する比較の二成分混合物を得るために、7gのCAおよび3gのTAを使用した。
使用したマイクロコンパウンダー〔DSM社製DSM Midi(登録商標)2000〕は、円錐形共回転二軸スクリューを備えたバッチ式小型押出機(1ランあたり約10gの物質をもたらす15mL)であった。不活性雰囲気(N2)下で運転したが、完全に機密な状態ではなかった。この装置では、再循環システムを用いてスクリュー速度とは無関係に滞留時間を制御できた。下記工程条件を採用した。
バレル温度:180℃
スクリュー速度:100rpm
滞留時間:5分
180℃では、測定された軸力によると、いずれのSA中アミロース含量においても、三成分混合物(50/35/15)は典型的には、二成分80/20と二成分70/30との間の粘度を示した。
従って、この三成分混合組成物の溶融加工における加工性は、CA/TA混合物80/20と70/30との間であると予測される。
CA/SA/TA三成分混合物を含有する本発明の3つの組成物(C6、C7およびC8)並びに2つの比較の二成分混合物CA/TA(C9およびC10)を、二軸押出機を用いて製造した。
後述の表2に示すように、本発明の組成物に関して、特定のアミロース含量、特定のDSおよび溶液中比粘度を有する1種のSA(SA1)並びに特定のDSを有する1種のCA(CA2)を使用した。より具体的には、CA2は、Solvay社によりRhodia Acetol(登録商標)の商品名で販売されている酢酸セルロースであり、TAはEastman Chemical社によりEastman(商標)Triacetinの商品名で販売されているトリアセチンである。
比較の二成分混合物CA/TAに関して、本発明の三成分混合物に使用したものと同じCA(即ちCA2)および同じTAを使用した。
本発明の三成分混合物および比較の二成分混合物の各重量比を、表2に示す。
32mmの直径および44の直径に対する長さの比L/Dを有する二軸押出機Clextralを使用した。バレルの2つの第一ゾーンに全成分を導入した。下記条件を採用した。
速度:10kg/時
スクリュー速度:200rpm
供給ゾーンからダイまでの温度プロファイル:20℃〜225℃
ダイの出口で、ストランドを粒状化した。後に射出成形するために、各組成物を25kg製造した。
次いで、製造したペレットを射出成形工程により成形し、厚さ3mm、直径85mmのディスクおよび引張バー1A ISO527を作製した。BILLION社製射出成形装置BILLION(登録商標)H260/100を、下記条件で使用した。
供給ゾーンからノズルまでの一軸スクリューに沿ったバレル温度:210℃〜240℃
型温度:30℃
射出サイクル時間:48〜57秒
下記表2に、製造した組成物をまとめる。
実施例1にてスクリーニングスケールで製造した、本発明の三成分混合組成物(C1)および比較の二成分混合物(C4およびC5)のDMTAサーモグラムを実施した。線形応答ドメインにてDMTA RSA II Rheometrics Scientificを使用した。弾性率E'が1GPaより大きいままとなるまでの温度を測定し、用途における最高使用温度を評価した。
結果を下記表3にまとめる。
このように、本発明の三成分混合物は、良好なレベルの機械的特性を維持しつつ、比較の二成分CA/TA混合物より高い温度で使用できる。
・異なった本発明の三成分混合組成物(C6、C7およびC8)の耐浸出性の定量的評価
所定の温度(通常は周囲温度より高い温度)で所定の時間(通常は数時間)実施した等温熱重量分析(I−TGA)により、経時的にポリマーマトリックスから移行し得る可塑剤の量を測定できる。これは、ポリマーマトリックスからの可塑剤の加速された浸出を観察し、異なるタイプの可塑剤の挙動の違いを同定する一般的な方法である。
等温熱重量分析(I−TGA)は、NETZSCH社により市販されているTG209 F1 Thermogravimetric Analyser(登録商標)を用いて実施し、60℃で20時間、実施例2において射出成形技術により得たプレートで本発明の各三成分混合物(即ち、本発明に従ったC6、C7およびC8)について実施した。これらの測定結果を、明らかに同じ時間−温度条件下で2つの比較のCA/TA二成分混合物(70/30および85/15、即ち、比較のC9およびC10)を用いて得た結果と比較した。
比較の70/30(比較のC9)二成分混合物は、セルロースの溶融加工を可能にする「標準的」な可塑剤量(CAおよび可塑剤の総重量に対して30重量%)に対応していた。酢酸セルロースの可塑化に必要な可塑剤の最少量は約5重量%である。しかし、より多量の可塑剤を含んでいても、比較の85/15(比較のC10)二成分混合物は、酢酸セルロースの可塑化工程に関して、標準的な70/30組成物よりもはるかに重要な状態に対応していた。
様々な機械的特性を、実施例2において射出成形技術により得た三成分混合物のプレートについて測定した。これらの特性は、以下の特定の測定に関する。
・ISO標準527-1および527-2に準じた室温での引張試験。引張試験により、ヤング率、降伏応力および破壊時変形のような機械的パラメーターを得た。
・ISO標準179/1eAに準じた室温でのノッチ付きシャルピー衝撃試験。シャルピー衝撃試験により、耐衝撃性のようなパラメーターを得た。
これらの測定結果を、実施例2において明らかに同じ実験条件下で実施した2つの比較のCA/TA二成分混合物(70/30および85/15、即ち、比較のC9およびC10)を用いて得た結果と比較した。
機械的特性および耐浸出性の結果を、以下の表4および5にまとめる。
これらの特定のデータから、本発明のCA/SA混合物は、CA自体(単独と考えられる、比較の二成分混合物)よりもはるかに多くの可塑剤を保持すると推測される。これらの所見は、70/15/15三成分混合物からのトリアセチン(TA)の浸出を、同量の可塑剤を含む比較の二成分混合物(85/15)からの同じ可塑剤の浸出と比較した(浸出低減に関して2.7倍が測定された)場合に、特に印象的である。
引張試験およびノッチ付きシャルピー衝撃試験の両試験について、本発明の70/15/15三成分混合物の機械的特性は、2つの比較の二成分混合物により規定される範囲に含まれていた。
異なる実施例(実施例3および4)に由来する結果を厳密に比べて、耐浸出性、用途における最高使用温度、および対応する物質の機械的性能レベルを検討すると、70/15/15三成分混合組成物は、特性の最良の妥協を有すると考えられる。
Claims (15)
- ・酢酸セルロース、
・酢酸デンプンおよび
・少なくとも1つの可塑剤
を含んでなる組成物であって、酢酸セルロースは酢酸セルロース、酢酸デンプンおよび可塑剤の総重量に対して少なくとも50重量%の量で存在し、前記した少なくとも1つの可塑剤は酢酸セルロース、酢酸デンプンおよび可塑剤の総重量に対して5〜18重量%の量で存在する、組成物。 - 可塑剤はアルケニルコハク酸無水物とは異なる、請求項1に記載の組成物。
- 酢酸セルロースは、酢酸セルロース、酢酸デンプンおよび可塑剤の総重量に対して50〜92重量%、より好ましくは55〜90重量%、更により好ましくは60〜80重量%、最も好ましくは60〜70重量%の量で存在する、請求項1または2に記載の組成物。
- セルロースのDSは2〜3、好ましくは2.0〜2.6、最も好ましくは2.3〜2.6である、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
- 酢酸セルロースの分子量は30000g/mol〜200000g/mol、特に50000g/mol〜150000g/mol、更に特に60000g/mol〜120000g/molの範囲である、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
- 酢酸デンプンは、酢酸セルロース、酢酸デンプンおよび可塑剤の総重量に対して5〜45重量%、好ましくは10〜40重量%、より好ましくは11〜35重量%、更により好ましくは15〜35重量%の量で存在する、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
- 酢酸デンプンの置換度は0.5〜3.0、有利には1.5〜3、より好ましくは2〜3、更により好ましくは2.4〜2.7の範囲である、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
- 酢酸デンプンの分子量は20000g/mol〜200000g/mol、より好ましくは40000g/mol〜120000g/mol、更により好ましくは60000g/mol〜110000g/molの範囲である、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
- 酢酸デンプン中に存在するアミロース含量は、酢酸デンプンの総重量に対して0〜100重量%、より好ましくは20〜90重量%、より好ましくは35〜80重量%、更により好ましくは40〜60重量%の量である、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
- 酢酸セルロース/酢酸デンプン/可塑剤の重量比は、90/5/5、85/5/10、85/10/5、80/5/15、80/10/10、80/15/5、75/10/15、75/15/10、75/20/5、70/15/15、70/20/10、70/25/5、65/20/15、65/25/10、65/30/5、60/25/15、60/30/10、60/35/5、50/45/5、50/40/10、50/35/15である、請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
- 酢酸セルロース/酢酸デンプン/可塑剤の重量比は70/15/15である、請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
- 抗UV化合物またはUV吸収剤、熱安定剤、光安定剤、酸掃去剤、潤滑剤、顔料、染料、臭気マスク剤、増白剤およびそれらの混合物から選択される追加の化合物を更に含んでなる、請求項1〜11のいずれかに記載の組成物。
- (a)請求項1〜12のいずれかに記載の組成物を供給する工程、および
(b)例えば押出しおよび射出成形により、組成物を付形して物品を製造する工程
を含む、可塑化物品の製造方法。 - 可塑化物品、例えば化粧品包装、食品包装、ヘアアクセサリー、配線デバイス、電子デバイス、玩具、消費財、エンジニアリングプラスチック、家電製品、眼鏡フレームおよびツールハンドルから選択される可塑化物品を製造するための、請求項1〜12のいずれかに記載の組成物の使用。
- 酢酸セルロースおよびそのような可塑剤を含有するプラスチック材料からの1つ以上の可塑剤の浸出を防止または低減するため、および/または材料のレオロジー的および機械的特性を変えずに製造方法における酢酸セルロースの導入を可能にしつつ酢酸セルロース含有材料の用途における最高使用温度を高めるための酢酸デンプンの使用であって、酢酸セルロースは酢酸セルロース、酢酸デンプンおよび可塑剤の総重量に対して少なくとも50重量%の量で存在し、前記した少なくとも1つの可塑剤は酢酸セルロース、酢酸デンプンおよび可塑剤の総重量に対して5〜18重量%の量で存在する、使用。
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