JP2579843B2 - 澱粉エステルの製造方法、澱粉エステル、及び澱粉エステル組成物 - Google Patents
澱粉エステルの製造方法、澱粉エステル、及び澱粉エステル組成物Info
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Description
テル化試薬として製造される澱粉エステルの製造方法、
澱粉エステル、及び当該澱粉エステルを含む組成物に関
する。特に、本発明は、高置換度・高分子量かつ高機械
強度を有する耐水性の澱粉エステルが得られる澱粉エス
テルの製造方法、澱粉エステル、及び澱粉エステル組成
物に関する。
粉エステルを得るのに好適な合成反応としては、水系ス
ラリー状態で酢酸ビニルをエステル化試薬として使用す
る方法が公知である。(「澱粉科学ハンドブック」株式
会社朝倉書店発行、1977年7月初版第1刷、第50
5頁参照) 一方、高置換度の澱粉エステルを得るのに好適な合成反
応としては、酸無水物をピリジン中でジメチルアミノピ
リジンやアルカリ金属塩を触媒として反応させる方法が
公知である。(『スターチスケミストリー&テクノロジ
ー』ウィスラー著、ACADEMIC PRESS社発行、第332 〜33
6 頁参照)。
う一つの方法として、酸無水物中、アルカリ金属水酸化
物水溶液を触媒として、100℃以上の温度で反応さ
せ、アルコールで精製して製造する方法とそれによる澱
粉エステルが公知である。(特表平5−508185
号)さらに、同出願においては、製造された澱粉エステ
ルと、その澱粉エステルに対して特異的な効果(澱粉エ
ステルのゲル化を引き起こす作用)を有する可塑剤との
組成物について言及している。
一つの対応としては、A.M.Mark andC.L.Mehltretterが
1972年に学術雑誌「Die Starke」(3月
号、ページ73)に発表している、特表平5−5081
85号と酷似した方法が公知である。
度澱粉エステルを製造する方法では、エステル化試薬の
有効利用率が40%程度と低く、また、副生する有機酸
と希釈溶媒中に微量に存在する水あるいは触媒と共に系
内に添加される水により、生成される澱粉エステルのグ
ルコシド結合(主としてα1−4結合)が加水分解し
て、低分子量の澱粉エステルになったり、あるいは、何
等かの方法で低分子量化を極力防止したとしても、原料
とする澱粉の分子量よりも生成する澱粉エステルの分子
量が、化学量論的に考えられる様に大きくなることはな
い。
る目的で、反応溶媒中に重炭酸ソーダ等のアルカリ性の
塩を予め混合させておく方法もあるが、やはり分子量的
に1/3程度まで低下してしまい、余り有効ではない。
−508185号や、A.M.Mark andC.L.Mehltretter の
澱粉エステルの合成方法等)で製造された澱粉エステル
は、耐水性・機械物性等において、澱粉誘導体として
は、相応の成形品を作ることができるが、実用上は 1)より高い機械強度・機械物性 2)より低い水(又は水蒸気)感受性(即ち、水や空気
中の水分による機械物性への影響が少ない) 3)より安価な製造コスト が要求されているのが実情である。
有効利用率の面で、従来技術では限界があり、コスト低
下にも自ずと限界があった。
は脂肪酸ハロゲン化物を使用)された高置換度澱粉エス
テルの場合、生分解性ポリエステル、ポリビニルアルコ
ール(PVAL)、ポリ酢酸ビニル(PVAC)、酢酸
セルロース等とブレンドすると、相応の機械的物性の向
上は見られるが、澱粉エステル単独での成形品の機械強
度と他の樹脂単独での成形品の機械強度を結ぶ直線で示
される強度変化過程に比較して、澱粉エステルと他の樹
脂とのブレンド物からの成形品の機械強度は低くなる傾
向にあった(実施例12・比較例7参照)。これらは、
従来法の製造の澱粉エステルと前記樹脂との混和性(コ
ンパティビリティー)に起因するものと考えられる。そ
の相溶性の違いは現在まだ明確には判っていないが、澱
粉エステルの持つ分子構造の基本的な相違、即ち分子
量、エステル置換基の分子内分布、澱粉エステルと可塑
剤との相溶性、澱粉エステルの可塑剤最大保持量、及び
分子量と可塑剤最大保持量に関わる剪断粘性の相違等に
あると考えられる。そして、業界において上記の様な機
械物性低下傾向のない、あるいは、極めて少ない、耐水
性・生分解性・熱可塑性の澱粉エステル又は澱粉誘導体
の出現が強く望まれていた。
エステル化試薬を用い、さらにエステル化試薬の有効利
用率(試薬有効率)及び反応効率を上げうる、高置換度
エステル化澱粉の新規な製造方法を提供することを目的
とするともに、機械的強度・物性が飛躍的に優れた成形
品が得られる高置換度・高分子量・高耐水性・生分解性
エステル化澱粉及び、その澱粉エステルを使用した組成
物を提供することを目的とする。
を解決するために、鋭意開発に努力をした結果、下記構
成の澱粉エステルの製造方法、澱粉エステル、及び澱粉
エステル組成物に想到した。
澱粉エステルは、ビニルエステルをエステル化試薬とす
るものであって、ビニルエステルとしてエステル基炭素
数2〜18のものを用い、非水有機溶媒中でエステル化
触媒を使用して澱粉と反応させることを特徴とする。
ステルと、当該澱粉エステルと相溶性の高い少なくとも
一種以上のエステル型可塑剤又は生分解性ポリマーと
を、全成分または主成分とするものである。
に説明をする。ここで配合単位は特に断らない限り、重
量単位である。
コーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、小
麦澱粉等の地上茎未変性澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ
澱粉等の地下茎未変性澱粉、及び、それらの澱粉の低
度エステル化・エーテル化・酸化・酸処理化・デキスト
リン化された化工澱粉、等を、単独または複数併用して
使用する。
ルとしては、エステル基炭素数2〜18(好ましくは炭
素数2〜7)のものを、単独または複数併用して使用す
る。エステル基炭素数が18を越えると、試薬有効率は
高くなるが、反応効率が低下する。また、エステル基炭
素数2〜7の範囲では、反応効率の面で高レベルを維持
できて(70%以上)望ましい。
内はエステル基炭素数の数)、それらの内で、特に、酢
酸ビニル、プロピオン酸ビニルが、反応効率が高くて望
ましい。
ル(C3)、ブタン酸ビニル(C4)、カプロン酸ビニ
ル(C6)、カプリル酸ビニル(C8)、ラウリン酸ビ
ニル(C12)、パルミチン酸ビニル(C16)、ステ
アリン酸ビニル(C18)等の飽和;または、アクリル
酸ビニル(C3)、クロトン酸ビニル(C4)、イソク
ロトン酸ビニル(C4)、オレイン酸ビニル(C18)
等の不飽和の脂肪族カルボン酸ビニルエステル、 安息香酸ビニル、P−メチル安息香酸ビニル等の芳香
族カルボン酸のビニルエステル)を使用可能である。
エステルを有機溶媒として使用する場合である。
回収工程は不要となる。なお、従来のビニルエステルを
使用したエステル化反応において、このような反応形式
は採用されていない。
効果及びビニルエステルの反応効率が向上して望ましい
一方、ビニルエステルが液状(加熱溶融したものを含
む。)のものに限られるとともに、若干の反応不均一性
を有する。
は、前項記載のビニルエステルを挙げることができる。
薬であるビニルエステルを非水有機溶媒として使用でき
ない、または、使用しない場合である。
溶液濃度・反応速度の調整が容易である利点を有し、ビ
ニルエステルを有機溶媒として使用する場合に比して、
反応均一性が高い反面、ビニルエステルと溶媒との分離
回収を必要とする。
ルエステルをジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメ
チルホルムアミド(DMF)、ピリジン等の澱粉溶解性
の極性溶媒、又は、酢酸エチル・アセトン等の澱粉非
溶解性であって、また、ビニルエステル・生成エステル
化澱粉溶解性(但しビニルエステルと非反応性)の極性
溶媒を、単独または複数併用して使用することができ
る。
粉溶解性の非水有機溶媒が、反応効率、反応の均一性の
観点から望ましい。
周期表中第5周期までに属する金属の水酸化物及び/
又は鉱酸塩もしくは炭酸塩、有機物層間転移触媒、及
び、アミノ化合物、の各群のいずれからか選択して使
用する。これらの内で、が反応効率及び触媒コストの
観点から望ましい。
などのアルカリ金属水酸化物;酢酸ソーダ、プロピオン
酸ソーダ、Pトルエンスルホン酸ソーダなどのアルカリ
金属有機酸塩;水酸化バリウム、水酸化カルシウム等の
アルカリ土類金属水酸化物、酢酸カルシウム、プロピオ
ン酸カルシウム、Pトルエンスルホン酸バリウム等のア
ルカリ土類金属有機酸塩;燐酸ソーダ、燐酸カルシウ
ム、重亜硫酸ソーダ、重炭酸ソーダ、硫酸カリ等の鉱酸
塩、アルミン酸ソーダ、亜鉛酸カリ、水酸化アルミニウ
ム、水酸化亜鉛等の両性金属の酸性塩や水酸化物、炭酸
ソーダ、重炭酸カリウム等の炭酸塩。
ノ酢酸等のアミノ化合物。
ウムクロリド、N−テトラエチルアンモニウムクロリド
等の第4級アンモニウム化合物。
澱粉に含浸させておくことが、ビニルエステルを媒体と
する反応や澱粉を溶解させない非水媒体中で反応を行う
場合に、反応効率が向上して望ましい。
ては、原料澱粉を触媒を含む水溶液や溶媒に漬ける方
法、溶媒を含む水溶液や溶媒と澱粉をニーダー等の混練
装置を使用して混ぜる方法、触媒を含む水溶液は、溶媒
と澱粉をドラムドライヤー等の澱粉のアルファー化装置
でアルファー化する方法、触媒を含む水溶液や溶媒と澱
粉をバッチクッカー又は連続クッカーで糊化含浸させる
方法等、各種の含浸方法が採用可能である。
規定されないが、通常、30〜200℃、反応効率の見
地から望ましくは、60〜150℃とする。
は、澱粉の低分子量化(加水分解)を防ぐ目的で、40
℃以下の温度条件が採用されていたが、ビニルエステル
を使用する場合は、酸の副成がないため、それらより高
温で反応を行わすことができ、反応効率を増大できる。
テルの使用量に関しては、原料澱粉1モルに対し、1〜
20倍モルとし、より好ましくは、3〜7倍モルとす
る。
澱粉無水物当たり1〜30%とする。
しては、下記各種可塑剤(主としてエステル型)を使用
可能である。
ジエチル・ジブチル等のフタル酸エステル、及び、エチ
ルフタロイルエチルグリコレート、ブチルフタロイルブ
チルグリコレート等 ・脂肪酸エステル系 :オレイン酸、アジピン
酸、ステアリン酸等のメチル・エチル・ブチル・イソプ
ロピル等 ・多価アルコールエステル系:スークロースアセテー
ト、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリアセチ
ン(トリアセチルグリセリン)、トリプロピオニン(ト
リプロピオニルグリセリン)、アセチルジグリセリン等 ・オキシ酸エステル :アセチルリシノール酸メ
チル、アセチルクエン酸トリエチル等 ・燐酸エステル :燐酸トリブチル、燐酸ト
リフェニル等 ・エポキシ可塑剤 :エポキシ化大豆油、エポ
キシ化ヒマシ油、アルキルエポキシステアレート等 ・高分子系可塑剤 :各種液状ゴム、テルペン
類、リニアポリエステル等 これらの中で、特に、アセチルクエン酸トリエチル(A
TEC)、エチルフタロイルエチルグリコレート(EP
EG)、トリアセチン(TA)、トリプロピオニン(T
P)等のエステル型可塑剤が好ましく使用される。なぜ
なら、TA・TPは相溶性が特に良く、樹脂透明性が高
いため、また、ATEC・EPEGは相溶性が良く、さ
らに機械強度が特に高くなるためである。
ラーとしては、下記各種フィラーを使用可能である。
ン、クレー、チョーク、ライムストーン、炭酸カルシウ
ム、マイカ、ガラス、ケイソウ土、ウォールアストナイ
ト、各種シリカ塩、各種マグネシウム塩、各種マンガン
塩等 ・有機系フィラー :澱粉(誘導体含む)、セルロース
繊維(誘導体含む)、セルロース粉(誘導体含む)、木
粉、パルプ、ピカンファイバー、綿粉、穀物外皮、コッ
トンリンター、木材繊維、パガス等 ・合成系フィラー :ガラス繊維、尿素重合体、セラミ
ック等 特に、タルク・マイカ・炭酸カルシウム等の無機フィラ
ー、繊維状セルロース粉・コットンリンターパルプ・ピ
カンファイバー等の有機フィラーが好適に使用できる。
なぜなら、タルク・マイカは、表面性が良く機械強度低
下が見られず、炭酸カルシウム等の無機フィラーは、射
出成型時の流れ性が良好であり、また、繊維状セルロー
ス等の有機フィラーは、機械強度の向上効果が特に高い
ためである。
る、他の天然あるいは合成樹脂としては、以下に例示さ
れるものを好適に使用できる。
ステルと必要に応じて可塑剤を混ぜ、これに樹脂と必要
に応じてフィラーその他を、ヘンシェルミキサーでブレ
ンドした後、プラストミルやエクストルーダーで混練す
る方法が挙げられるが、特に限定されない。
形態は、粉末、ペレット状、フレーク状及び顆粒状のい
ずれも問わない。
ロキシエチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロ
キシブチルセルロース等 ・重合物系 :ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポ
リアジペート、ポリヒドロキシブチレート(ポリヒドロ
キシアルカノエート類)、ポリヒドロキシブチレートバ
レエート等の生分解性ポリエステル、ポリエチレンオキ
シド・ポリプロピレンオキシド等のポリアルキレンオキ
シド、PVAL及び各種変性PVAL、ポリアクリルア
ミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系
樹脂、ポリ酢酸ビニル・ポリビニルカルバゾール・ポリ
アクリル酸エステル等のビニルポリマー、エチレン酢酸
ビニル共重合体等
・澱粉エステルは、上記の如く、ビニルエステルとして
エステル基炭素数2〜18のものを用い、非水有機溶媒
中でエステル化触媒を使用して澱粉と反応させることを
特徴とする構成により、さらに、これらの澱粉エステル
と、当該澱粉エステルと相溶性の高い少なくとも一種以
上のエステル型可塑剤とを主成分としてなる組成物であ
ることを特徴とする構成により、後述の実施例・比較例
で支持される如く、以下の効果が見られる。
なる。
テル組成物に比較して、飛躍的に高い機械強度を有する
成形品を形成することできる。これは、生成された当該
澱粉エステルは、驚くべきことに高置換度であるにもか
かわらず、従来法では達成し得ないような高い分子量、
即ち、反応に使用した原料澱粉(未変性澱粉・軽度化工
澱粉)よりも、エステル化により分子量が増加すること
に起因すると考えられる。
は、従来法にて生成された澱粉エステルとは全く異な
り、前記で挙げた合成樹脂・可塑剤との組み合わせによ
る組成物の機械強度は、良好な混和性(コンパティビリ
ティー)から、配合比率相応の機械強度、或いは配合比
率から期待される機械強度以上の機械強度を示してい
る。このことは、本発明の澱粉エステルは、従来法にて
生成された澱粉エステルとは分子特性上また分子構造上
異なった新規な澱粉エステルであると言える。
とすると同時に、反応媒体(反応溶媒)とする場合は、
生成工程における特別な溶媒回収工程は不要となるとと
もに、低分子量化阻止効率も増大する。
に行った実施例について説明をする。
チ25gを、DMSO(非水有機溶媒)200gに懸濁
させ、攪拌しながら80℃まで昇温し、80℃に20分
間保持することにより、糊化させる。この溶液に重炭酸
ソーダ(触媒)20%を添加し、80℃を維持して酢酸
ビニル(ビニルエステル)12gを添加、その温度で1
時間反応させる。その後、水道水中に反応液を流し込
み、高速で攪拌しながら粉砕、洗浄して澱粉エステルの
沈殿物を得る。これを濾過し、乾燥して、澱粉エステル
を調製する。
ステルとして酢酸ビニルの代わりにプロピオン酸ビニル
14.0gを使用する。
ステルとして酢酸ビニルの代わりにラウリン酸ビニル3
2gを使用する。
ステルとして酢酸ビニルの代わりにアクリル酸ビニル1
3.7gを使用する。
ステルとして酢酸ビニルの代わりに安息香酸ビニル1
9.8gを使用する。
て重炭酸ソーダの代わりにジメチルアミノピリジン1.
4gを使用する。
を20℃、40℃、100℃、120℃、150℃に変
更する。
本的に同様の澱粉エステルを合成することを目的とする
が、触媒を澱粉に予め含浸させた事例である。
性ソーダ1.5g、及び水8.3gをシグマプレードニ
ーダーに入れ30℃で30分間混練する。次にこれを実
施例1の方法で糊化させた後、酢酸ビニル12gを添加
して、温度80℃を維持しながら1時間反応させる。そ
の後実施例1と同様に処理して澱粉エステルを得る。
本的に同様の澱粉エステルを合成することを目的とする
が、非水有機溶媒としてビニルエステルを使用した事例
である。
酸カリウム7.5gを酢酸ビニル14gに懸濁させ、温
度78℃で4時間反応させる。その後、実施例1と同様
に処理して澱粉エステルを得る。
基本的に同様の澱粉エステルを合成することを目的とす
るが、触媒を澱粉に予め含浸させると共に、非水有機溶
媒としてビニルエステルを使用した事例である。
酸ソーダ2.5g、及び水7.5gをシグマプレードニ
ーダーに入れ15分間30℃で混練する。その後、この
混合物を反応フラスコに移し、酢酸ビニル60gを添加
して、温度75℃を維持しながら2時間反応させる。そ
の後、実施例1と同様に処理して澱粉エステルを得る。
ルを得る目的で、エステル試薬として無水酢酸を使用し
た実施例1に対する比較事例である。
MSO200gに懸濁させ、攪拌しながら80℃まで昇
温し、80℃に20分間保持することにより糊化させ
る。この溶液に副成する酸の中和用として重炭酸ソーダ
39gを加えた後、反応温度の20℃まで冷却し無水酢
酸48gを、澱粉の酸加水分解を抑えるように、反応液
温度を20℃〜25℃を維持しながら添加し、添加終了
後、その温度で1時間反応させる。その後、実施例1と
同様にして澱粉エステルを得る。
の代わりに無水プロピオン酸を使用する。即ち、実施例
2に対する比較事例である。
を20℃、40℃、100℃、120℃、150℃に変
更する。即ち、実施例3に対する比較事例である。
ルを得る目的で、反応溶媒として水を使用した実施例1
に対する比較事例である。
道水中に懸濁させ、20%澱粉スラリーを作成する。こ
れに苛性ソーダを加えて、pHを10にする。その後、
スラリーの温度を40℃にして、pH9〜10を維持し
ながら12gの酢酸ビニルを添加し、その温度で1時間
反応させる。反応液は糊状になり、分別濾過がそのまま
では困難であるので、約500mlのメタノール中に注
ぎ、沈殿を濾過回収して乾燥する。
温度計を備えた1Lの4つ口フラスコにハイアミロース
スターチ(アミロース分70%)46gを入れ、攪拌し
ながら無水酢酸150mlを加える。続いて、一定の還流
が起こるまで加熱する。沸騰温度は約125℃である。
その際、フラスコ底部で固体澱粉の燃焼を引き起こす様
な加熱は避ける必要がある。1〜2時間後、粘度が上昇
し、3〜4時間後には粘性の褐色がかった透明な混合物
が生じる。必要な反応時間である約5時間後、酢酸5〜
10mlを118℃で溜別し、続いてエタノール20mlを
滴下して加える。やや抑制した加熱でさらに30分間攪
拌し、続いてエタノールと無水酢酸の反応により生じた
酢酸エステル及び酢酸からなる溶剤混合物を102〜1
05℃で溜別する。次いで、加熱を止め、混合物を0.
5〜1時間冷却する。続いて再度エタノール20mlを滴
下して加える。その後、メタノール約200mlで徐々に
沈殿させる。生成物をアルコールで何度も洗浄し、吸引
分離し、空気中で乾燥させる。
テルについて、下記各項目の物性試験を行った。その結
果を表1に示す。各実施例は各対応比較例に比して、試
薬反応効率・有効率、置換度(DS)、及び、数平均分
子量のいずれにおいても優っていることが分かる。即
ち、本発明の方法は、エステル化試薬有効率50%以
上、同反応率77%以上で、生成される澱粉エステルの
低分子量化を防止しながら、DS2.0以上の高置換度
澱粉エステルを製造できることが分かる。
中の反応した量。
テル化反応に寄与する部分の全分子量に対する割合。
に存在する全ての2,3,6位の反応性水酸基のうち、
どれだけがエステル結合に変わったを示す割合。置換度
3が全て変わった状態(100%)。
の分子量、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
(GPC)のクロマトグラムにより測定される澱粉の分
子量の表示方法の1種で上式により計算されるものであ
る。
ルに各種可塑剤、さらには、各種樹脂を配合した場合
の、配合比率と成形品強度との関係について試験をし
た。
比較例5の方法でそれぞれ調製した置換度2.5(前者
・後者とも)の各高分子量澱粉エステルと、可塑剤とし
てアセチルクエン酸トリエチル(ATEC)を使用し
て、表2に示す配合処方で混合したものから、それぞれ
応用例1・比較応用例1の試験片を調製し、引張り強度
(JIS K 7113;1号型試験片)及び曲げ強度(JIS K 72
03)を測定した。
配合処方において、配合量の多寡に関係なく、実施例1
を用いた応用例1は、比較例5を用いた比較応用例1に
比して、格段に機械強度に優れていることが分かる。
比較例1の各方法で調製した置換度2.5(前者)又は
2.1(後者)の各高分子量澱粉エステルと、可塑剤と
してトリアセチンを使用し、これに表3に示す配合処方
で、ポリカプロラクトン(ユニオンカーバイド社製「TO
NE-787」)又は酢酸セルロース(帝人(株)製「アセテ
ートテネックス0660」)をブレンド樹脂として混合
したものから、それぞれ応用例2・比較応用例2の試験
片を調製し、引張り強度(JIS K 7113;1号型試験片)
を測定した。
から、可塑剤配合物の機械強度の関係は、本発明の応用
例2の場合、比例関係直線L上に来るのに対し、比較応
用例2の場合、下側に屈曲する折れ線グラフになること
が分かる。
比較例3(反応温度100℃)の方法でそれぞれ調製し
た置換度2.5(前者)または2.3(後者)の澱粉エ
ステル)と可塑剤としてアセチルクエン酸トリエチル
(ATEC)、エチルフタロイルエチルグリコレート
(EPEG)、トリアセチン(TA)、ジブチルフタレ
ート(DBP)をそれぞれ使用し(可塑剤として対澱粉
17.6部)、さらに、フィラーとしてタルクを30wt
%配合したものから、それぞれ応用例3・比較応用例3
の試験片を調製し、曲げ弾性率(JIS K 7203)及び引張
り強度(JIS K 7113;1号型試験片)を測定した。
場合は単独可塑剤系から2種複合可塑剤系にすることに
より、さらなる機械強度の向上が見られるが、比較応用
例3の場合には、そのような現象は見られない。これ
は、実施例と比較例の澱粉エステルが異なったものであ
ることを示している。
比と引張強度の関係を示すグラフ図
引張強度の関係を示すグラフ図
Claims (18)
- 【請求項1】 ビニルエステルをエステル化試薬とする
澱粉エステルの製造方法であって、 前記ビニルエステルとしてエステル基炭素数2〜18の
ものを用い、非水有機溶媒中でエステル化触媒を使用し
て澱粉と反応させることを特徴とする澱粉エステルの製
造方法。 - 【請求項2】 請求項1において、澱粉エステルの数平
均分子量が、使用した原料澱粉の数平均分子量より大き
くなることを特徴とする澱粉エステルの製造方法。 - 【請求項3】 請求項1又は2において、前記ビニルエ
ステルが液状(加熱溶融したものを含む。)のとき、前
記非水有機溶媒として該ビニルエステルを使用すること
を特徴とする澱粉エステルの製造方法。 - 【請求項4】 請求項1又は2において、前記非水有機
溶媒が、 澱粉溶解性の有機溶媒、及び/又は 澱粉非溶解性であって、ビニルエステル・澱粉エステ
ル溶解性(相溶性)の有機溶媒、 であることを特徴とする澱粉エステルの製造方法。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかにおいて、澱粉
エステルの置換度(DS)が1.0以上であることを特
徴とする澱粉エステルの製造方法。 - 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかにおいて、前記
エステル化触媒が、周期表中第5周期までに属する金
属の水酸化物及び/又は鉱酸塩もしくは炭酸塩、ジメ
チルアミノピリジン等の有機物層間転移触媒、及び、
第4級アンモニウム塩等のアミノ化合物、の各群のいず
れからか選択されることを特徴とする澱粉エステルの製
造方法。 - 【請求項7】 請求項6において、前記エステル触媒
を、原料澱粉に予め含浸させておくことを特徴とする澱
粉エステルの製造方法。 - 【請求項8】 ビニルエステルをエステル化試薬として
製造される澱粉エステルであって、 前記ビニルエステルとしてエステル基炭素数2〜18の
ものを用いられ、非水有機溶媒中でエステル化触媒を使
用して澱粉と反応させて得られることを特徴とする澱粉
エステル。 - 【請求項9】 請求項8において、澱粉エステルの数平
均分子量が、原料澱粉の数平均分子量より大きいことを
特徴とする澱粉エステル。 - 【請求項10】 請求項8又は9において、前記ビニル
エステルが液状(加熱溶融したものを含む。)のとき、
前記非水有機溶媒として該ビニルエステルを使用するこ
とを特徴とする澱粉エステル。 - 【請求項11】 請求項8又は9において、前記非水有
機溶媒が、 澱粉溶解性の有機溶媒、及び/又は 澱粉非溶解性であって、ビニルエステル・澱粉エステ
ル溶解性(相溶性)の有機溶媒、 であることを特徴とする澱粉エステル。 - 【請求項12】 請求項8〜11のいずれかにおいて、
澱粉エステルの置換度(DS)が1.0以上であること
を特徴とする澱粉エステル。 - 【請求項13】 請求項8〜12のいずれかにおいて、
前記エステル化触媒が、周期表中第5周期までに属す
る金属の水酸化物及び/又は鉱酸塩もしくは炭酸塩、
ジメチルアミノピリジン等の有機物層間転移触媒、及
び、第4級アンモニウム塩等のアミノ化合物、の各群
のいずれからか選択されることを特徴とする澱粉エステ
ル。 - 【請求項14】 請求項8〜13のいずれかに記載の澱
粉エステルと、当該澱粉エステルと相溶性の高い少なく
とも一種以上のエステル型可塑剤とを全成分又は主成分
とすることを特徴とする澱粉エステル組成物。 - 【請求項15】 請求項14において、前記澱粉エステ
ルと相溶性の高いエステル型可塑剤が、多価アルコール
脂肪酸エステルであって、脂肪酸が炭素数7以下の飽和
又は不飽和脂肪酸であることを特徴とする澱粉エステル
組成物。 - 【請求項16】 請求項14において、前記エステル型
可塑剤が、1価アルコールの有機酸エステル又は無機酸
エステルであって、アルコール残基の少なくとも一つが
炭素数5以下のアルキル又はアルケニル基であるである
ことを特徴とする澱粉エステル組成物。 - 【請求項17】 請求項8〜14のいずれかに記載の澱
粉エステル及び必要により可塑剤と、生分解性ポリエス
テル、ポリビニルアルコール、ポリビニルエステル、ポ
リアルキレンオキシド、ポリアミド化合物、酢酸セルロ
ースの中から選択される1種または2種以上とを全成分
または主成分とすることを特徴とする澱粉エステル組成
物。 - 【請求項18】 請求項14〜17のいずれかにおい
て、繊維状形態、柱状形態、板状形態又は粒状を有する
有機質フィラー及び/又は無機質フィラーが、1種また
は2種以上配合されてなることを特徴とする澱粉エステ
ル組成物。
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