JPH0931103A - 高置換度澱粉脂肪酸エステル及びその製造方法 - Google Patents
高置換度澱粉脂肪酸エステル及びその製造方法Info
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- JPH0931103A JPH0931103A JP18150495A JP18150495A JPH0931103A JP H0931103 A JPH0931103 A JP H0931103A JP 18150495 A JP18150495 A JP 18150495A JP 18150495 A JP18150495 A JP 18150495A JP H0931103 A JPH0931103 A JP H0931103A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 単独で成形可能な程度に熱可塑性を有し、
かつ得られた成形品が良好な機械的特性及び生分解性を
有する澱粉脂肪酸エステル及びその製造方法を提供する
こと。 【本発明】 澱粉の脂肪酸エステルであって、前記エス
テルは1種又は2種以上の脂肪酸エステル基を含み、無
水グルコース残基あたりのエステル基置換度が1.8以
上であり、かつ高分子量を有する高置換度澱粉脂肪酸エ
ステル。
かつ得られた成形品が良好な機械的特性及び生分解性を
有する澱粉脂肪酸エステル及びその製造方法を提供する
こと。 【本発明】 澱粉の脂肪酸エステルであって、前記エス
テルは1種又は2種以上の脂肪酸エステル基を含み、無
水グルコース残基あたりのエステル基置換度が1.8以
上であり、かつ高分子量を有する高置換度澱粉脂肪酸エ
ステル。
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、熱可塑性を有する
澱粉脂肪酸エステル及びその製造方法に関する。本発明
の澱粉脂肪酸エステルは高分子量を有しており、特に生
分解性樹脂として有用である。
澱粉脂肪酸エステル及びその製造方法に関する。本発明
の澱粉脂肪酸エステルは高分子量を有しており、特に生
分解性樹脂として有用である。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】澱粉の
高置換度脂肪酸エステル化法としては、古くはWolff ら
の方法(J.Am.Chem.Soc.,73,1951)がある。この方法は以
下のように行われる。前処理として澱粉の熱水糊化液を
エタノール中で沈殿させ良く洗浄した後、濾別して水分
1%以下に減圧乾燥する。この前処理により得られる澱
粉をピリジンを溶媒として無水酢酸でアセチル化するこ
とにより、澱粉脂肪酸エステルが得られる。この方法
は、前処理方法が煩雑であり、実験室規模でのみ実施可
能な非効率的方法である。
高置換度脂肪酸エステル化法としては、古くはWolff ら
の方法(J.Am.Chem.Soc.,73,1951)がある。この方法は以
下のように行われる。前処理として澱粉の熱水糊化液を
エタノール中で沈殿させ良く洗浄した後、濾別して水分
1%以下に減圧乾燥する。この前処理により得られる澱
粉をピリジンを溶媒として無水酢酸でアセチル化するこ
とにより、澱粉脂肪酸エステルが得られる。この方法
は、前処理方法が煩雑であり、実験室規模でのみ実施可
能な非効率的方法である。
【0003】工業的に利用可能と言われている澱粉のア
セチル化法としては、Mark and Mehltretterらの方法(S
tarke.,24.1972.No.3)がある。この方法は以下のように
行われる。通常の約12.5% の平衡水分を含んだ澱粉に無
水酢酸を加える。得られる懸濁液を120℃にて還流攪
拌下、触媒として高濃度の苛性ソーダ水溶液を滴下しな
がらアセチル化することにより、澱粉脂肪酸エステルが
得られる。上記文献によれば、この方法により低分子化
を伴わなず簡便でかつ工業的にアセチル化を行い得ると
記載されている。しかし、実際には苛性ソーダ水溶液中
に含まれている水のために、酸加水分解を引き起こし激
しい低分子化を伴う。さらには、反応が不均一であるこ
と、反応に長時間を要することなどから工業的利用に適
した製法とは言えない。
セチル化法としては、Mark and Mehltretterらの方法(S
tarke.,24.1972.No.3)がある。この方法は以下のように
行われる。通常の約12.5% の平衡水分を含んだ澱粉に無
水酢酸を加える。得られる懸濁液を120℃にて還流攪
拌下、触媒として高濃度の苛性ソーダ水溶液を滴下しな
がらアセチル化することにより、澱粉脂肪酸エステルが
得られる。上記文献によれば、この方法により低分子化
を伴わなず簡便でかつ工業的にアセチル化を行い得ると
記載されている。しかし、実際には苛性ソーダ水溶液中
に含まれている水のために、酸加水分解を引き起こし激
しい低分子化を伴う。さらには、反応が不均一であるこ
と、反応に長時間を要することなどから工業的利用に適
した製法とは言えない。
【0004】また、最近では、澱粉をプロトン性極性有
機溶媒に溶解してエステル化する方法が提案されている
〔特開平01−54001号〕。この方法によれば、澱
粉をプロトン性極性有機溶媒に溶解せしめ、脂肪酸無水
物または脂肪酸塩化物を加えてエステル化することでエ
ステル基置換度が0.5以下の水溶性脂肪酸エステルを
得ることができる。しかしながら、この方法により得ら
れる脂肪酸エステルの置換度は低く、しかも水溶性を示
すエステル化物しか得られない。
機溶媒に溶解してエステル化する方法が提案されている
〔特開平01−54001号〕。この方法によれば、澱
粉をプロトン性極性有機溶媒に溶解せしめ、脂肪酸無水
物または脂肪酸塩化物を加えてエステル化することでエ
ステル基置換度が0.5以下の水溶性脂肪酸エステルを
得ることができる。しかしながら、この方法により得ら
れる脂肪酸エステルの置換度は低く、しかも水溶性を示
すエステル化物しか得られない。
【0005】ところで、近年、環境への配慮から、生分
解性樹脂の開発及び実用化が進められている。澱粉及び
その変性物は、生分解性製品への応用が可能であること
が知られている〔例えば、特開平2−14228号、特
開平1−217002号等参照〕。ところが、澱粉の変
性物で、単独で成形可能であり、得られる成形品が良好
な機械的特性及び生分解性を有するものは知られていな
い。前記特開平01−54001号記載の水溶性を示す
澱粉脂肪酸エステルは熱可塑性のものではなく、生分解
性プラスチックへの応用は考えられず、高置換度で熱可
塑性を示す高置換度澱粉脂肪酸エステルの提供が望まれ
る。
解性樹脂の開発及び実用化が進められている。澱粉及び
その変性物は、生分解性製品への応用が可能であること
が知られている〔例えば、特開平2−14228号、特
開平1−217002号等参照〕。ところが、澱粉の変
性物で、単独で成形可能であり、得られる成形品が良好
な機械的特性及び生分解性を有するものは知られていな
い。前記特開平01−54001号記載の水溶性を示す
澱粉脂肪酸エステルは熱可塑性のものではなく、生分解
性プラスチックへの応用は考えられず、高置換度で熱可
塑性を示す高置換度澱粉脂肪酸エステルの提供が望まれ
る。
【0006】そこで本発明の目的は、単独で成形可能な
程度に熱可塑性を有し、かつ得られた成形品が良好な機
械的特性及び生分解性を有する澱粉脂肪酸エステル及び
その製造方法を提供することにある。
程度に熱可塑性を有し、かつ得られた成形品が良好な機
械的特性及び生分解性を有する澱粉脂肪酸エステル及び
その製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、澱粉の脂肪酸
エステルであって、前記エステルは1種又は2種以上の
脂肪酸エステル基を含み、無水グルコース残基あたりの
エステル基置換度が1.8以上であり、かつ高分子量を
有することを特徴とする高置換度澱粉脂肪酸エステルに
関する。
エステルであって、前記エステルは1種又は2種以上の
脂肪酸エステル基を含み、無水グルコース残基あたりの
エステル基置換度が1.8以上であり、かつ高分子量を
有することを特徴とする高置換度澱粉脂肪酸エステルに
関する。
【0008】さらに本発明は、水分含量が1%以下の澱
粉をリチウム塩を含む非プロトン性有機溶媒にて糊化
し、次いで得られた糊化物を複素環窒素化合物の存在
下、脂肪酸無水物及び脂肪酸塩化物からなる群から選ば
れる少なくとも1種の化合物にてエステル化することを
特徴とする上記本発明の高置換度澱粉脂肪酸エステルの
製造方法に関する。
粉をリチウム塩を含む非プロトン性有機溶媒にて糊化
し、次いで得られた糊化物を複素環窒素化合物の存在
下、脂肪酸無水物及び脂肪酸塩化物からなる群から選ば
れる少なくとも1種の化合物にてエステル化することを
特徴とする上記本発明の高置換度澱粉脂肪酸エステルの
製造方法に関する。
【0009】本発明の高置換度澱粉脂肪酸エステル 本発明の高置換度澱粉脂肪酸エステルは、澱粉の脂肪酸
エステルであって、前記エステルは1種又は2種以上の
脂肪酸エステル基を含む。本発明の澱粉脂肪酸エステル
において、澱粉の種類としては特に制限はない。例え
ば、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉等の地下澱粉
及び小麦澱粉、コーンスターチ、サゴ澱粉、米澱粉等の
地上澱粉を挙げることができる。
エステルであって、前記エステルは1種又は2種以上の
脂肪酸エステル基を含む。本発明の澱粉脂肪酸エステル
において、澱粉の種類としては特に制限はない。例え
ば、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉等の地下澱粉
及び小麦澱粉、コーンスターチ、サゴ澱粉、米澱粉等の
地上澱粉を挙げることができる。
【0010】さらに、脂肪酸エステル基の脂肪酸の種類
についても特に制限はない。また、脂肪酸エステル基が
1種であっても、2種以上の脂肪酸エステル基を含むも
のであってもよい。脂肪酸エステル基の種類を選択する
ことで、得られる高置換度澱粉脂肪酸エステルの成形
性、機械的特性、生分解性等を変化させることができ
る。また、2種以上の脂肪酸エステル基を含む場合、脂
肪酸エステル基の種類と割合とを選択することで、成形
性、機械的特性、生分解性等を変化させることもでき
る。脂肪酸エステルのアシル基の部分は、例えば、飽和
又は不飽和であることができ、さらに、直鎖状であって
も分岐状であっても良い。ただし、熱可塑性およびその
性質を利用して容易に成形できるという観点からは、脂
肪酸エステル基の炭化水素基の部分は、直鎖の飽和炭化
水素基であることが適当である。
についても特に制限はない。また、脂肪酸エステル基が
1種であっても、2種以上の脂肪酸エステル基を含むも
のであってもよい。脂肪酸エステル基の種類を選択する
ことで、得られる高置換度澱粉脂肪酸エステルの成形
性、機械的特性、生分解性等を変化させることができ
る。また、2種以上の脂肪酸エステル基を含む場合、脂
肪酸エステル基の種類と割合とを選択することで、成形
性、機械的特性、生分解性等を変化させることもでき
る。脂肪酸エステルのアシル基の部分は、例えば、飽和
又は不飽和であることができ、さらに、直鎖状であって
も分岐状であっても良い。ただし、熱可塑性およびその
性質を利用して容易に成形できるという観点からは、脂
肪酸エステル基の炭化水素基の部分は、直鎖の飽和炭化
水素基であることが適当である。
【0011】脂肪酸エステルのアシル基の部分の炭素数
は、例えば2〜20であることができる。但し、反応性
が高く、成形性、機械的特性に優れた脂肪酸エステルを
得るという観点からは、脂肪酸エステルのアシル基の炭
素数は2〜5の範囲であることが好ましい。炭素数が少
ない脂肪酸エステル基を含む高置換度澱粉脂肪酸エステ
ルは、物性として、熱流動化温度もしくは融点が高く、
剛直な成形材料が得られるという傾向があり、炭素数が
多い脂肪酸エステル基を含む場合には、熱流動化温度も
しくは融点が低く、柔らかくて伸び易い成形材料が得ら
れるという傾向がある。
は、例えば2〜20であることができる。但し、反応性
が高く、成形性、機械的特性に優れた脂肪酸エステルを
得るという観点からは、脂肪酸エステルのアシル基の炭
素数は2〜5の範囲であることが好ましい。炭素数が少
ない脂肪酸エステル基を含む高置換度澱粉脂肪酸エステ
ルは、物性として、熱流動化温度もしくは融点が高く、
剛直な成形材料が得られるという傾向があり、炭素数が
多い脂肪酸エステル基を含む場合には、熱流動化温度も
しくは融点が低く、柔らかくて伸び易い成形材料が得ら
れるという傾向がある。
【0012】本発明の高置換度澱粉脂肪酸エステルは、
無水グルコース残基あたりのエステル基置換度が1.8
以上である。澱粉脂肪酸エステルのエステル基置換度と
熱可塑性、成形性、機械的特性等の間には相関が認めら
れるが、アセチル化物などの場合では、置換度2.5に
なるとそれらの諸性質が高くなるものの、置換度2.5
を超えると逆に悪くなる。また、2.5を超えるエステ
ル基置換度の澱粉脂肪酸エステルは、反応に長時間を要
し、生分解の速度が遅くなるので、エステル基置換度は
2.5以下とすることが好ましい。
無水グルコース残基あたりのエステル基置換度が1.8
以上である。澱粉脂肪酸エステルのエステル基置換度と
熱可塑性、成形性、機械的特性等の間には相関が認めら
れるが、アセチル化物などの場合では、置換度2.5に
なるとそれらの諸性質が高くなるものの、置換度2.5
を超えると逆に悪くなる。また、2.5を超えるエステ
ル基置換度の澱粉脂肪酸エステルは、反応に長時間を要
し、生分解の速度が遅くなるので、エステル基置換度は
2.5以下とすることが好ましい。
【0013】澱粉脂肪酸エステルのエステル基置換度は
以下のようにして測定される。試料1gを精秤した後、
75%エタノールを50ml加えて30分間攪拌する。
その後、0.5規定の水酸化カリウム溶液を40ml加
えて時々振とうしながら室温にて48時間放置する。過
剰のアルカリを0.5規定の塩酸にて滴定して、滴定量
を求める。これとは別に、ブランクとして原料(未エス
テル化澱粉)の塩酸滴定量を求める。得られた塩酸滴定
量から、エステル基(%)とエステル基置換度とを以下
の計算式により求める。
以下のようにして測定される。試料1gを精秤した後、
75%エタノールを50ml加えて30分間攪拌する。
その後、0.5規定の水酸化カリウム溶液を40ml加
えて時々振とうしながら室温にて48時間放置する。過
剰のアルカリを0.5規定の塩酸にて滴定して、滴定量
を求める。これとは別に、ブランクとして原料(未エス
テル化澱粉)の塩酸滴定量を求める。得られた塩酸滴定
量から、エステル基(%)とエステル基置換度とを以下
の計算式により求める。
【0014】
【数1】
【0015】さらに本発明の高置換度澱粉脂肪酸エステ
ルは、高分子量を有する。本発明の高置換度澱粉脂肪酸
エステルが高分子量であることは、例えば、フローテス
ター(ダイの長さ2mm、直径1mm、荷重400kg
f、200℃)による見かけの溶融粘度を測定すること
により評価することができる。例えば、アセチルエステ
ルである場合、上記見かけの溶融粘度が10×105 ポ
アズ〜35×105 ポアズの範囲であるものは高分子量
であり、上記溶融粘度が20×105 ポアズ〜25×1
05 ポアズの範囲であるものが好ましい。従来の方法に
より得られる澱粉脂肪酸エステルは、エステル化の際に
共存する水により加水分解されて低分子化してしまう
が、本発明の澱粉脂肪酸エステルは、下記の方法により
製造されるため、上記のように高い分子量を保持してい
る。
ルは、高分子量を有する。本発明の高置換度澱粉脂肪酸
エステルが高分子量であることは、例えば、フローテス
ター(ダイの長さ2mm、直径1mm、荷重400kg
f、200℃)による見かけの溶融粘度を測定すること
により評価することができる。例えば、アセチルエステ
ルである場合、上記見かけの溶融粘度が10×105 ポ
アズ〜35×105 ポアズの範囲であるものは高分子量
であり、上記溶融粘度が20×105 ポアズ〜25×1
05 ポアズの範囲であるものが好ましい。従来の方法に
より得られる澱粉脂肪酸エステルは、エステル化の際に
共存する水により加水分解されて低分子化してしまう
が、本発明の澱粉脂肪酸エステルは、下記の方法により
製造されるため、上記のように高い分子量を保持してい
る。
【0016】本発明の製造方法 本発明の高置換度澱粉脂肪酸エステルの製造方法におい
ては、第1の工程として、水分含量が1%以下の澱粉を
リチウム塩を含む非プロトン性有機溶媒にて糊化する。
前記Mark and Mehltretterらの製造法では、エステル化
反応が不均一であるため、反応に長時間を要し、反応系
中に存在する有機酸と水、さらには123〜129℃と
いう高い反応温度のため、低分子化した澱粉脂肪酸エス
テルしか得られない。エステル化反応を均一に行うに
は、澱粉を糊化した状態でエステル化することが望まし
い。一般的には、澱粉の糊化には水が用いられる。しか
し、水が存在するとエステル化剤である酸無水物が有機
酸に変性してしまい、エステル化反応が阻害される。さ
らに、有機酸が生成することにより、pHが低下して澱
粉の酸加水分解も引き起こす。
ては、第1の工程として、水分含量が1%以下の澱粉を
リチウム塩を含む非プロトン性有機溶媒にて糊化する。
前記Mark and Mehltretterらの製造法では、エステル化
反応が不均一であるため、反応に長時間を要し、反応系
中に存在する有機酸と水、さらには123〜129℃と
いう高い反応温度のため、低分子化した澱粉脂肪酸エス
テルしか得られない。エステル化反応を均一に行うに
は、澱粉を糊化した状態でエステル化することが望まし
い。一般的には、澱粉の糊化には水が用いられる。しか
し、水が存在するとエステル化剤である酸無水物が有機
酸に変性してしまい、エステル化反応が阻害される。さ
らに、有機酸が生成することにより、pHが低下して澱
粉の酸加水分解も引き起こす。
【0017】そこで本発明の製造方法では、水分含量が
1%以下の非水下または超低水分下にて澱粉を糊化す
る。このようにして糊化した澱粉を用いることにより、
低分子化を伴わず短時間で均一に、澱粉をエステル化す
ることができる。
1%以下の非水下または超低水分下にて澱粉を糊化す
る。このようにして糊化した澱粉を用いることにより、
低分子化を伴わず短時間で均一に、澱粉をエステル化す
ることができる。
【0018】本発明では、澱粉の水分含量は1%以下、
好ましくは0.5%以下とする。このように原料である
澱粉の水分含量を低くすることにより、次の工程におけ
るエステル化反応中の澱粉の加水分解による低分子化を
実質的に防止することができる。市販の澱粉の平衡水分
は約12〜18%であるため、熱風乾燥あるいは真空乾
燥により上記範囲の低水分の澱粉を得ることができる。
澱粉の種類としては、特に制限はない。例えば、馬鈴薯
澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉等の地下澱粉及び小麦澱
粉、コーンスターチ、サゴ澱粉、米澱粉等の地上澱粉を
挙げることができる。
好ましくは0.5%以下とする。このように原料である
澱粉の水分含量を低くすることにより、次の工程におけ
るエステル化反応中の澱粉の加水分解による低分子化を
実質的に防止することができる。市販の澱粉の平衡水分
は約12〜18%であるため、熱風乾燥あるいは真空乾
燥により上記範囲の低水分の澱粉を得ることができる。
澱粉の種類としては、特に制限はない。例えば、馬鈴薯
澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉等の地下澱粉及び小麦澱
粉、コーンスターチ、サゴ澱粉、米澱粉等の地上澱粉を
挙げることができる。
【0019】本発明では、エステル化に先立って、リチ
ウム塩を含む非プロトン性有機溶媒にて糊化する。リチ
ウム塩を共存させることで、澱粉の糊化を促進すること
ができる。リチウム塩としては、例えば、塩化リチウ
ム、臭化リチウム、フッ塩化リチウム、硝酸リチウム等
を挙げることができる。但し、糊化促進効果が優れてい
るという観点から、リチウム塩として塩化リチウムを用
いることが好ましい。
ウム塩を含む非プロトン性有機溶媒にて糊化する。リチ
ウム塩を共存させることで、澱粉の糊化を促進すること
ができる。リチウム塩としては、例えば、塩化リチウ
ム、臭化リチウム、フッ塩化リチウム、硝酸リチウム等
を挙げることができる。但し、糊化促進効果が優れてい
るという観点から、リチウム塩として塩化リチウムを用
いることが好ましい。
【0020】澱粉糊化用の溶媒としては非プロトン性有
機溶媒を用いる。非プロトン性有機溶媒を用いることで
澱粉の糊化を促進させることができる。非プロトン性有
機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミ
ド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA
C)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、
テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル、テト
ラメチレンスルホン、ニトロベンゼン、プロピレンカー
ボネート等を挙げることができる。
機溶媒を用いる。非プロトン性有機溶媒を用いることで
澱粉の糊化を促進させることができる。非プロトン性有
機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミ
ド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA
C)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、
テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル、テト
ラメチレンスルホン、ニトロベンゼン、プロピレンカー
ボネート等を挙げることができる。
【0021】非プロトン性有機溶媒中に含まれるリチウ
ム塩の濃度は、例えば、1〜4%、好ましくは2〜3%
の範囲とすることが適当である。また、リチウム塩を含
む非プロトン性有機溶媒と澱粉の混合割合は、澱粉10
0重量部に対してリチウム塩を含む非プロトン性有機溶
媒300〜900重量部、好ましくは400〜500重
量部とすることが適当である。
ム塩の濃度は、例えば、1〜4%、好ましくは2〜3%
の範囲とすることが適当である。また、リチウム塩を含
む非プロトン性有機溶媒と澱粉の混合割合は、澱粉10
0重量部に対してリチウム塩を含む非プロトン性有機溶
媒300〜900重量部、好ましくは400〜500重
量部とすることが適当である。
【0022】糊化は、所定水分含有量の澱粉とリチウム
塩を含む非プロトン性有機溶媒との混合物を、使用する
有機溶媒の沸点付近で20〜80分間、好ましくは30
〜60分間、還流攪拌させることで行うことができる。
得られる糊化物は、一般に黄色のペースト状物である。
このようにして得られた糊化物は、次の工程の脂肪酸エ
ステル化のために、100℃以下に冷却しておくことが
望ましい。
塩を含む非プロトン性有機溶媒との混合物を、使用する
有機溶媒の沸点付近で20〜80分間、好ましくは30
〜60分間、還流攪拌させることで行うことができる。
得られる糊化物は、一般に黄色のペースト状物である。
このようにして得られた糊化物は、次の工程の脂肪酸エ
ステル化のために、100℃以下に冷却しておくことが
望ましい。
【0023】次に、上記澱粉糊化物を、複素環窒素化合
物の存在下、脂肪酸無水物及び脂肪酸塩化物からなる群
から選ばれる少なくとも1種の化合物にてエステル化す
る。複素環窒素化合物はエステル化反応の触媒として作
用する。複素環窒素化合物は、澱粉のエステル化反応を
触媒するものであれば、特に制限はない。澱粉のエステ
ル化反応を触媒する複素環窒素化合物としては、例え
ば、ピリジンやその誘導体(例えば、ジメチルアミノピ
リジン等)、イミダゾールやその誘導体(例えば、4−
メチルイミダゾール)、ピロリジンやその誘導体、ピペ
リジンやその誘導体、ピコリン、ルチジン、コリジン等
を挙げることができる。特に、ジメチルアミノピリジン
等のピリジン誘導体がエステル化を触媒する効果が高い
ことから好ましい。
物の存在下、脂肪酸無水物及び脂肪酸塩化物からなる群
から選ばれる少なくとも1種の化合物にてエステル化す
る。複素環窒素化合物はエステル化反応の触媒として作
用する。複素環窒素化合物は、澱粉のエステル化反応を
触媒するものであれば、特に制限はない。澱粉のエステ
ル化反応を触媒する複素環窒素化合物としては、例え
ば、ピリジンやその誘導体(例えば、ジメチルアミノピ
リジン等)、イミダゾールやその誘導体(例えば、4−
メチルイミダゾール)、ピロリジンやその誘導体、ピペ
リジンやその誘導体、ピコリン、ルチジン、コリジン等
を挙げることができる。特に、ジメチルアミノピリジン
等のピリジン誘導体がエステル化を触媒する効果が高い
ことから好ましい。
【0024】脂肪酸無水物としては、例えば、無水酢
酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水吉草酸、無水ス
テアリン酸等を挙げることができる。また、脂肪酸塩化
物としては、例えば、塩化ラウリル、塩化ステアリル、
塩化アセチル等を挙げることができる。
酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水吉草酸、無水ス
テアリン酸等を挙げることができる。また、脂肪酸塩化
物としては、例えば、塩化ラウリル、塩化ステアリル、
塩化アセチル等を挙げることができる。
【0025】本発明の製造方法では、脂肪酸無水物及び
/又は脂肪酸塩化物と複素環窒素化合物とを予め混合
し、複素環窒素化合物を脂肪酸無水物及び/又は脂肪酸
塩化物中に溶解させておき、得られた混合物をエステル
化剤として用いることが、エステル化反応を促進させる
という観点から好ましい。上記エステル化剤中の複素環
窒素化合物の濃度は0.5〜2%、好ましくは1〜2%
とすることが適当である。
/又は脂肪酸塩化物と複素環窒素化合物とを予め混合
し、複素環窒素化合物を脂肪酸無水物及び/又は脂肪酸
塩化物中に溶解させておき、得られた混合物をエステル
化剤として用いることが、エステル化反応を促進させる
という観点から好ましい。上記エステル化剤中の複素環
窒素化合物の濃度は0.5〜2%、好ましくは1〜2%
とすることが適当である。
【0026】また、脂肪酸無水物及び/又は脂肪酸塩化
物の糊化物への添加量は、糊化物中の澱粉100重量部
あたり、200〜500重量部、好ましくは300〜4
00重量部とすることが適当である。複素環窒素化合物
を含むエステル化剤を糊化液に添加すると添加直後は、
一時的に白色不透明のペースト状となる。しかし、1〜
2分後に再び黄色透明なペーストに戻り、エステル化が
迅速化される。エステル化反応は、30〜60℃の温度
で行うことが適当である。
物の糊化物への添加量は、糊化物中の澱粉100重量部
あたり、200〜500重量部、好ましくは300〜4
00重量部とすることが適当である。複素環窒素化合物
を含むエステル化剤を糊化液に添加すると添加直後は、
一時的に白色不透明のペースト状となる。しかし、1〜
2分後に再び黄色透明なペーストに戻り、エステル化が
迅速化される。エステル化反応は、30〜60℃の温度
で行うことが適当である。
【0027】エステル化反応時間は、目的とするエステ
ル基置換度により、適宜変えることができる。通常、反
応開始後30分程度でエステル基置換度は約2に達す
る。以後は反応時間とともに、エステル基置換度は徐々
に高くなるので、所望のエステル基置換度が得られる時
点で反応を終了する。反応を終了させる時は、例えば、
エステル化反応液を強攪拌下の大過剰の水の中に投入す
ることで行うことができ、エステル化物は白色フレーク
状となる。生成物は、濾別し十分に水洗して乾燥するこ
とで、本発明の脂肪酸エステル化された澱粉のフレーク
を得ることができる。
ル基置換度により、適宜変えることができる。通常、反
応開始後30分程度でエステル基置換度は約2に達す
る。以後は反応時間とともに、エステル基置換度は徐々
に高くなるので、所望のエステル基置換度が得られる時
点で反応を終了する。反応を終了させる時は、例えば、
エステル化反応液を強攪拌下の大過剰の水の中に投入す
ることで行うことができ、エステル化物は白色フレーク
状となる。生成物は、濾別し十分に水洗して乾燥するこ
とで、本発明の脂肪酸エステル化された澱粉のフレーク
を得ることができる。
【0028】このようにして得られる本発明の澱粉脂肪
酸エステルは、熱可塑性を示すとともに、高分子量を保
持しているため賦形剤の物性が優れており、生分解性も
備えているので生分解性樹脂として有用である。本発明
の澱粉脂肪酸エステルは単独で成形品とすることが可能
である他、公知の生分解性樹脂とブレンドして使用する
こともできる。
酸エステルは、熱可塑性を示すとともに、高分子量を保
持しているため賦形剤の物性が優れており、生分解性も
備えているので生分解性樹脂として有用である。本発明
の澱粉脂肪酸エステルは単独で成形品とすることが可能
である他、公知の生分解性樹脂とブレンドして使用する
こともできる。
【0029】
実施例1 コーンスターチ100重量部に、2.7%の塩化リチウ
ム(LiCl) を含むジメチルホルムアミド(DMF)500重
量部を添加し、還流冷却管を付けた丸底フラスコ中で油
浴を用いて150℃にて30分間攪拌しながら糊化させ
た。この塩化リチウム/ジメチルホルムアミド糊化澱粉
溶液を60℃に冷却し、触媒として1.25%のジメチ
ルアミノピリジンを含む無水酢酸350重量部を加え
て、その温度で2時間攪拌してアセチル化反応を行なっ
た。反応終了後、反応液を激しく攪拌された大過剰の水
の中に添加して、白色フレーク状の沈殿を得た。この沈
殿を十分に水洗し、真空乾燥機にて水分0.5%以下に
減圧乾燥した。その結果、アセチル基置換度2.45を
示すスターチアセテートが得られた。
ム(LiCl) を含むジメチルホルムアミド(DMF)500重
量部を添加し、還流冷却管を付けた丸底フラスコ中で油
浴を用いて150℃にて30分間攪拌しながら糊化させ
た。この塩化リチウム/ジメチルホルムアミド糊化澱粉
溶液を60℃に冷却し、触媒として1.25%のジメチ
ルアミノピリジンを含む無水酢酸350重量部を加え
て、その温度で2時間攪拌してアセチル化反応を行なっ
た。反応終了後、反応液を激しく攪拌された大過剰の水
の中に添加して、白色フレーク状の沈殿を得た。この沈
殿を十分に水洗し、真空乾燥機にて水分0.5%以下に
減圧乾燥した。その結果、アセチル基置換度2.45を
示すスターチアセテートが得られた。
【0030】得られたスターチアセテートの熱流動特性
をフローテスター(島津製作所製CFT500C)を用
いて調べた。測定方法としては、長さ2mm、直径1m
mのダイを用いて荷重を10kgfにして5℃/mi
n.の昇温速度にて50℃〜250℃の範囲で測定し
た。その結果、本スターチアセテートは220℃付近に
熱流動点を有する熱可塑性樹脂であることが判明した。
さらに、上記フローテスター(長さ2mm、直径1mm
のダイを使用)を用いて、荷重を400kgf、200
℃における見かけの溶融粘度を求めた。その結果、見か
けの溶融粘度は21.2×105 ポアズであった。
をフローテスター(島津製作所製CFT500C)を用
いて調べた。測定方法としては、長さ2mm、直径1m
mのダイを用いて荷重を10kgfにして5℃/mi
n.の昇温速度にて50℃〜250℃の範囲で測定し
た。その結果、本スターチアセテートは220℃付近に
熱流動点を有する熱可塑性樹脂であることが判明した。
さらに、上記フローテスター(長さ2mm、直径1mm
のダイを使用)を用いて、荷重を400kgf、200
℃における見かけの溶融粘度を求めた。その結果、見か
けの溶融粘度は21.2×105 ポアズであった。
【0031】また、得られたスターチアセテートを試験
用卓上プレス(東洋精機製作所製)を用いて220℃、
150kgf/cm2 の熱圧下で厚さ0.4mmにシート成形
を試みたところ、微黄色透明で剛直な熱圧シートが得ら
れた。さらに、熱圧シートを土壌中に埋没しておいたと
ころ、約6ヵ月でシートに微生物の浸食と思われる痕跡
が見られ、形状が埋没前と著しく変化し、生分解の起き
ていることが確認された。
用卓上プレス(東洋精機製作所製)を用いて220℃、
150kgf/cm2 の熱圧下で厚さ0.4mmにシート成形
を試みたところ、微黄色透明で剛直な熱圧シートが得ら
れた。さらに、熱圧シートを土壌中に埋没しておいたと
ころ、約6ヵ月でシートに微生物の浸食と思われる痕跡
が見られ、形状が埋没前と著しく変化し、生分解の起き
ていることが確認された。
【0032】比較例1 Wolff らの方法(J.Am.Chem.Soc.,73.1951)に従って、澱
粉脂肪酸エステルを調製した。エステル化の前処理とし
てコーンスターチ100重量部に1000重量部の水を
加えて95℃で30分間加熱した糊液を家庭用ミキサー
で攪拌し微粒化した。その後5倍容のエタノール中に添
加して沈殿物を濾別、洗浄した後、水分1%以下に減圧
乾燥した。この前処理澱粉100重量部に無水酢酸35
0重量部、ピリジン390重量部を加えて100℃で2
時間反応させた。エステル化終了後の操作は、実施例1
と同じ方法で行った。その結果、アセチル基置換度が
2.05のスターチアセテートが得られたが、アセチル
基置換度は実施例1よりも低く、実施例1の方法の方が
アセチル化反応が速いことが分かる。さらに、得られた
スターチアセテートから、実施例1と同様にして作製し
た熱圧シートは、均一かつ透明であったが、実施例1で
得られたものよりも脆いものであった。
粉脂肪酸エステルを調製した。エステル化の前処理とし
てコーンスターチ100重量部に1000重量部の水を
加えて95℃で30分間加熱した糊液を家庭用ミキサー
で攪拌し微粒化した。その後5倍容のエタノール中に添
加して沈殿物を濾別、洗浄した後、水分1%以下に減圧
乾燥した。この前処理澱粉100重量部に無水酢酸35
0重量部、ピリジン390重量部を加えて100℃で2
時間反応させた。エステル化終了後の操作は、実施例1
と同じ方法で行った。その結果、アセチル基置換度が
2.05のスターチアセテートが得られたが、アセチル
基置換度は実施例1よりも低く、実施例1の方法の方が
アセチル化反応が速いことが分かる。さらに、得られた
スターチアセテートから、実施例1と同様にして作製し
た熱圧シートは、均一かつ透明であったが、実施例1で
得られたものよりも脆いものであった。
【0033】得られたスターチアセテートの見かけの溶
融粘度を実施例1と同様の方法で測定した結果、9.1
×105 ポアズであった。さらに、得られたスターチア
セテートについて、2.7%LiClを含むDMF 溶液を用いてG
PC(ゲル濾過クロマトグラフィー)による分子量を測
定した。尚、測定条件としては、カラムにはShodex GPC
KD-80M を2本連結させたものを用い、2.7%LiCl/DMFを
溶媒として0.8ml/min.の流速とした。検出器は示差屈折
計を用い、ポリスチレンを標準試料として見かけの分子
量分布を測定した。その結果、本スターチアセテート
は、実施例1のものよりも低分子量域に分布している事
が確認された。
融粘度を実施例1と同様の方法で測定した結果、9.1
×105 ポアズであった。さらに、得られたスターチア
セテートについて、2.7%LiClを含むDMF 溶液を用いてG
PC(ゲル濾過クロマトグラフィー)による分子量を測
定した。尚、測定条件としては、カラムにはShodex GPC
KD-80M を2本連結させたものを用い、2.7%LiCl/DMFを
溶媒として0.8ml/min.の流速とした。検出器は示差屈折
計を用い、ポリスチレンを標準試料として見かけの分子
量分布を測定した。その結果、本スターチアセテート
は、実施例1のものよりも低分子量域に分布している事
が確認された。
【0034】比較例2 Mark and Mehltretterら(USDA)の方法(Starke.,24,197
2,No.3)に従って澱粉脂肪酸エステルを調製した。コー
ンスターチ100重量部に無水酢酸400重量部を添加
し、還流冷却管を付けた丸底フラスコで油浴を用いて1
23℃にて攪拌した。この懸濁液の中に50%水酸化ナ
トリウム溶液22重量部(固形物11重量部)を滴下し
て、2時間反応させた。エステル化終了後の操作は実施
例1と同じ方法で行った。その結果、置換度1.82の
スターチアセテートが得られたが、アセチル基置換度は
実施例1よりも低く、実施例1の方法の方がアセチル化
反応が速いことが分かる。さらに、得られたスターチア
セテートの熱流動点は約225℃と実施例1よりもやや
高かった。
2,No.3)に従って澱粉脂肪酸エステルを調製した。コー
ンスターチ100重量部に無水酢酸400重量部を添加
し、還流冷却管を付けた丸底フラスコで油浴を用いて1
23℃にて攪拌した。この懸濁液の中に50%水酸化ナ
トリウム溶液22重量部(固形物11重量部)を滴下し
て、2時間反応させた。エステル化終了後の操作は実施
例1と同じ方法で行った。その結果、置換度1.82の
スターチアセテートが得られたが、アセチル基置換度は
実施例1よりも低く、実施例1の方法の方がアセチル化
反応が速いことが分かる。さらに、得られたスターチア
セテートの熱流動点は約225℃と実施例1よりもやや
高かった。
【0035】また、得られたスターチアセテートから実
施例1と同様の方法で成形した熱圧シートは、シートの
一部分が溶融しておらず、また溶融部分も透明感に欠け
た不均一不透明なシートで脆かった。得られたスターチ
アセテートの見かけの溶融粘度を実施例1と同様の方法
で測定した結果、8.3×105 ポアズであった。得ら
れたスターチアセテートについて、比較例1と同様にG
PCで測定した見かけの分子量分布は、実施例1や比較
例1のものよりも低分子量域に分布していた。実施例1
並びに比較例1及び2の反応条件及び結果を表1にまと
めて示す。
施例1と同様の方法で成形した熱圧シートは、シートの
一部分が溶融しておらず、また溶融部分も透明感に欠け
た不均一不透明なシートで脆かった。得られたスターチ
アセテートの見かけの溶融粘度を実施例1と同様の方法
で測定した結果、8.3×105 ポアズであった。得ら
れたスターチアセテートについて、比較例1と同様にG
PCで測定した見かけの分子量分布は、実施例1や比較
例1のものよりも低分子量域に分布していた。実施例1
並びに比較例1及び2の反応条件及び結果を表1にまと
めて示す。
【0036】
【表1】
【0037】実施例2 70%アミロース含量を有するハイアミロースコーンス
ターチ100重量部に2.7%の塩化リチウムを含む
N,N−ジメチルアセトアミド溶液500重量部を加え
て、還流冷却管の付いた3つ口フラスコ中で油浴を用い
て160℃にて30分間、攪拌しながら糊化させた。得
られた糊化液を40℃に冷却し触媒として1.25%の
ジメチルアミノピリジンを含む無水プロピオン酸350
重量部を加え、2時間攪拌しながらプロピオニル化反応
を行なった。プロピオニル化反応終了後は、実施例1と
同様に操作して、スターチプロピオネートを得た。その
結果、置換度約2.30のスターチプロピオネートが得
られた。
ターチ100重量部に2.7%の塩化リチウムを含む
N,N−ジメチルアセトアミド溶液500重量部を加え
て、還流冷却管の付いた3つ口フラスコ中で油浴を用い
て160℃にて30分間、攪拌しながら糊化させた。得
られた糊化液を40℃に冷却し触媒として1.25%の
ジメチルアミノピリジンを含む無水プロピオン酸350
重量部を加え、2時間攪拌しながらプロピオニル化反応
を行なった。プロピオニル化反応終了後は、実施例1と
同様に操作して、スターチプロピオネートを得た。その
結果、置換度約2.30のスターチプロピオネートが得
られた。
【0038】このスターチプロピオネートについて実施
例1と同様の方法で測定した、熱流動点は約170℃付
近であり、さらに見かけの溶融粘度は、5.1×103
ポアズであった。実施例1のアセテートよりも溶融粘度
が低下しており、成形性が向上するとともに熱圧シート
に柔軟性が発現した。
例1と同様の方法で測定した、熱流動点は約170℃付
近であり、さらに見かけの溶融粘度は、5.1×103
ポアズであった。実施例1のアセテートよりも溶融粘度
が低下しており、成形性が向上するとともに熱圧シート
に柔軟性が発現した。
【0039】実施例3 タピオカ澱粉100重量部に2.7%の塩化リチウムを
含むジメチルホルムアミド溶液400重量部を加えて、
混練機(森山製作所製加圧ニーダーDS5型)中で15
0℃にて30分間混練し糊化させた。得られた糊化液を
40℃に冷却した後、触媒として1.25%のジメチル
アミノピリジンを含む無水酪酸350重量部加えて2時
間攪拌しながら酪酸エステル化を行った。酪酸エステル
化反応終了後は、実施例1と同様に操作して、スターチ
ブチレートを得た。得られたスターチブチレートは、置
換度約2.26であり、熱流動点150℃、見かけの溶
融粘度3.6×103 ポアズであった。得られたスター
チブチレートは、溶融粘度もアセテートやプロピオネー
トよりも低下しており、熱圧シートとしたときの柔軟性
が増した。
含むジメチルホルムアミド溶液400重量部を加えて、
混練機(森山製作所製加圧ニーダーDS5型)中で15
0℃にて30分間混練し糊化させた。得られた糊化液を
40℃に冷却した後、触媒として1.25%のジメチル
アミノピリジンを含む無水酪酸350重量部加えて2時
間攪拌しながら酪酸エステル化を行った。酪酸エステル
化反応終了後は、実施例1と同様に操作して、スターチ
ブチレートを得た。得られたスターチブチレートは、置
換度約2.26であり、熱流動点150℃、見かけの溶
融粘度3.6×103 ポアズであった。得られたスター
チブチレートは、溶融粘度もアセテートやプロピオネー
トよりも低下しており、熱圧シートとしたときの柔軟性
が増した。
【0040】実施例4 コーンスターチ100重量部に2.7%の塩化リチウム
を含むジメチルアセトアミド溶液500重量部を加え
て、還流冷却管の付いたセパラブルフラスコ中で油浴を
用いて160℃にて30分間攪拌し糊化させた。本糊化
液を40℃に冷却した後、1.25%のジメチルアミノ
ピリジンを含む無水酢酸70重量部、無水プロピオン酸
280重量部を加えて攪拌しながら2時間反応させた。
エステル化反応終了後は実施例1と同様に操作してスタ
ーチアセテートプロピオネート(ミックスエステル)を
得た。得られたスターチアセテートプロピオネートは、
アセチル基置換度0.36であり、プロピオニル基置換
度が1.49であった。さらに、熱流動点は175℃と
なり単独エステル(実施例1及び2)よりも低下し、熱
圧フィルムとしたときの柔軟性が増した。見かけの溶融
粘度9.4×103 ポアズであった。
を含むジメチルアセトアミド溶液500重量部を加え
て、還流冷却管の付いたセパラブルフラスコ中で油浴を
用いて160℃にて30分間攪拌し糊化させた。本糊化
液を40℃に冷却した後、1.25%のジメチルアミノ
ピリジンを含む無水酢酸70重量部、無水プロピオン酸
280重量部を加えて攪拌しながら2時間反応させた。
エステル化反応終了後は実施例1と同様に操作してスタ
ーチアセテートプロピオネート(ミックスエステル)を
得た。得られたスターチアセテートプロピオネートは、
アセチル基置換度0.36であり、プロピオニル基置換
度が1.49であった。さらに、熱流動点は175℃と
なり単独エステル(実施例1及び2)よりも低下し、熱
圧フィルムとしたときの柔軟性が増した。見かけの溶融
粘度9.4×103 ポアズであった。
【0041】実施例5 エステル化剤として無水酢酸70重量部、無水酪酸28
0重量部を用いた以外は、実施例4と同様にしてエステ
ル化反応を行った。その結果、アセチル基置換度が0.
39であり、ブチル基置換度が1.53のスターチアセ
テートブチレートが得られた。得られたスターチアセテ
ートブチレートの熱流動点は150℃であり、単独エス
テル(実施例1、3)よりも低下し、また、熱圧シート
の柔軟性はアセテートプロピオネート(実施例4)より
も更に向上した。見かけの溶融粘度1.2×104 ポア
ズであった。
0重量部を用いた以外は、実施例4と同様にしてエステ
ル化反応を行った。その結果、アセチル基置換度が0.
39であり、ブチル基置換度が1.53のスターチアセ
テートブチレートが得られた。得られたスターチアセテ
ートブチレートの熱流動点は150℃であり、単独エス
テル(実施例1、3)よりも低下し、また、熱圧シート
の柔軟性はアセテートプロピオネート(実施例4)より
も更に向上した。見かけの溶融粘度1.2×104 ポア
ズであった。
【0042】実施例6 エステル化剤として無水酢酸に代えて塩化ラウロイル3
50重量部を用いた以外は、実施例1と同様にしてスタ
ーチラウレートを得た。その結果、得られたスターチラ
ウレートはラウロイル基置換度が2.10であり、熱流
動点は120℃と他の低級脂肪酸単独エステルやミック
スエステルよりも著しく低下した。
50重量部を用いた以外は、実施例1と同様にしてスタ
ーチラウレートを得た。その結果、得られたスターチラ
ウレートはラウロイル基置換度が2.10であり、熱流
動点は120℃と他の低級脂肪酸単独エステルやミック
スエステルよりも著しく低下した。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、熱可塑性を示し、高分
子量を有し、更に生分解性を有する澱粉脂肪酸エステル
を提供することができ、この澱粉脂肪酸エステルは、生
分解性樹脂として有用である。さらに本発明の製造方法
によれば、低分子化を抑制しながら高置換度の澱粉脂肪
酸エステルを得ることができる。
子量を有し、更に生分解性を有する澱粉脂肪酸エステル
を提供することができ、この澱粉脂肪酸エステルは、生
分解性樹脂として有用である。さらに本発明の製造方法
によれば、低分子化を抑制しながら高置換度の澱粉脂肪
酸エステルを得ることができる。
Claims (6)
- 【請求項1】 澱粉の脂肪酸エステルであって、前記エ
ステルは1種又は2種以上の脂肪酸エステル基を含み、
無水グルコース残基あたりのエステル基置換度が1.8
以上であり、かつ高分子量を有することを特徴とする高
置換度澱粉脂肪酸エステル。 - 【請求項2】 脂肪酸エステルのアシル基の炭素数が2
〜20の範囲である請求項1記載の高置換度澱粉脂肪酸
エステル。 - 【請求項3】 無水グルコース残基あたりのエステル基
置換度が1.8〜2.5の範囲である請求項1又は2記
載の高置換度澱粉脂肪酸エステル。 - 【請求項4】 脂肪酸エステル基がアセチル基であり、
フローテスター(ダイの長さ2mm、直径1mm、荷重
400kgf、200℃)による見かけの溶融粘度が1
0×105 ポアズ〜35×105 ポアズの範囲である請
求項1〜3のいずれか1項に記載の高置換度澱粉脂肪酸
エステル。 - 【請求項5】 水分含量が1%以下の澱粉をリチウム塩
を含む非プロトン性有機溶媒にて糊化し、次いで得られ
た糊化物を複素環窒素化合物の存在下、脂肪酸無水物及
び脂肪酸塩化物からなる群から選ばれる少なくとも1種
の化合物にてエステル化することを特徴とする請求項1
記載の高置換度澱粉脂肪酸エステルの製造方法。 - 【請求項6】 リチウム塩の含有量を1〜4%とする請
求項4記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18150495A JPH0931103A (ja) | 1995-07-18 | 1995-07-18 | 高置換度澱粉脂肪酸エステル及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18150495A JPH0931103A (ja) | 1995-07-18 | 1995-07-18 | 高置換度澱粉脂肪酸エステル及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0931103A true JPH0931103A (ja) | 1997-02-04 |
Family
ID=16101923
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18150495A Pending JPH0931103A (ja) | 1995-07-18 | 1995-07-18 | 高置換度澱粉脂肪酸エステル及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0931103A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0859012A2 (de) * | 1997-02-12 | 1998-08-19 | Fraunhofer-Gesellschaft Zur Förderung Der Angewandten Forschung E.V. | Verfahren zur Herstellung von bioabbaubaren Werkstoffen |
KR20010109394A (ko) * | 2000-05-31 | 2001-12-10 | 박인수 | 초산전분의 용매상 제조방법 |
WO2018061228A1 (ja) * | 2016-09-30 | 2018-04-05 | 日本コーンスターチ株式会社 | エステル化澱粉及び澱粉系プラスチック組成物 |
-
1995
- 1995-07-18 JP JP18150495A patent/JPH0931103A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0859012A2 (de) * | 1997-02-12 | 1998-08-19 | Fraunhofer-Gesellschaft Zur Förderung Der Angewandten Forschung E.V. | Verfahren zur Herstellung von bioabbaubaren Werkstoffen |
EP0859012A3 (de) * | 1997-02-12 | 1999-01-20 | Fraunhofer-Gesellschaft Zur Förderung Der Angewandten Forschung E.V. | Verfahren zur Herstellung von bioabbaubaren Werkstoffen |
KR20010109394A (ko) * | 2000-05-31 | 2001-12-10 | 박인수 | 초산전분의 용매상 제조방법 |
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JP2018053192A (ja) * | 2016-09-30 | 2018-04-05 | 日本コーンスターチ株式会社 | エステル化澱粉及び澱粉系プラスチック組成物 |
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